令和2年11月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成30年(ワ)第26166号意匠権侵害差止損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和2年8月13日判決原告株式会社アールシーコア 同訴訟代理人弁護士三村量一同近藤正篤同小谷磨衣同訴訟復代理人弁護士野瀬健悟被告マキタホーム株式会社 同訴訟代理人弁護士曽我紀厚同中畑太一 主文 1 被告は,別紙被告製品目録1記載の建物を製造し,販売し,販売の申出をし,又は販売のために展示をしてはならない。 2 被告は,原告に対し,85万1238円及びこれに対する平成30年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用はこれを5分し,その2を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1 項と同旨 2 被告は,その占有する別紙被告製品目録1記載の建物を除去せよ。 3 被告は,別紙被告製品目録2記載の建物を製造し,販売し,販売の申出をし, 又は販売のために展示をしてはならない。 4 被告は,その占有する別紙被告製品目録2記載の建物を除去せよ。 5 被告は,原告に対し,1022万9770円及びこれに対する平成30年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,意匠に係る物品を「 せよ。 5 被告は,原告に対し,1022万9770円及びこれに対する平成30年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,意匠に係る物品を「組立家屋」とする意匠登録第1571668号の意匠権(以下「本件意匠権」という。)を有する原告が,被告に対し,被告による別紙被告製品目録1記載の建物(以下「被告製品1」という。)の製造,販売,販売の申出及び販売のための展示(以下,これらの行為を併せて「製造,販売等」という。)が本件意匠権を侵害すると主張して,意匠法37条1項及 び2項に基づき,被告製品1の製造,販売等の差止め及び除去を求めるとともに,原告が販売する別紙原告製品目録記載1ないし3の建物(以下,それぞれ「原告製品1」などといい,これらを併せて「原告製品」という。)の備える形態が原告の商品等表示として需要者の間に広く認識されているとした上で,被告が別紙被告製品目録2記載の建物(以下「被告製品2」という。)を製造, 販売等する行為は,原告の上記商品等表示と同一又は類似する商品等表示を使用するものであり,不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号の不正競争に該当すると主張して,不競法3条1項及び2項に基づき,被告製品2の製造,販売等の差止め及び除去を求め,さらに,意匠権侵害の不法行為による損害賠償請求権又は不競法4条による損害賠償請求権に基づき,意匠法 39条2項又は不競法5条2項によって算定される利益相当損害金929万9791円及び弁護士費用92万9979円の合計1022万9770円並びにこれに対する訴状送達の日の翌日である平成30年9月10日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支 022万9770円並びにこれに対する訴状送達の日の翌日である平成30年9月10日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠(以下,書証番号は 特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者原告は,不動産の売買,賃貸,管理及び仲介等を目的とする株式会社である。 被告は,鳥取市内に本店を置く,建築工事の請負業,不動産の賃貸及び売 買等を目的とする株式会社である。 (2) 本件意匠権及びその構成ア原告は,次の登録意匠(以下「本件意匠」という。)に係る意匠権(本件意匠権)を有している。 登録番号第1571668号 出願日平成28年6月7日登録日平成29年2月10日意匠に係る物品組立家屋なお,本件意匠は,組立て家屋のうち,その正面において梁部及び柱部により形成されるもので,別紙本件意匠公報の【図面】の実線で表され た部分に係る部分意匠である。 また,原告は,本件意匠の登録出願と同日に,それに先立つ平成28年4月1日に当該意匠に係る建物の写真が掲載されたカタログを原告の販売拠点に送付して公表したとして,この点につき意匠法4条2項の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書を提出した(甲20 6)。 イ本件意匠は,別紙本件意匠目録記載のとおりの構成態様を有している(以下,同目録記載の各構成態様を「構成態様A」の例により記載することがある。)。 (3) 原告による住宅の販売及びその形態 ア原告による住宅の販売状況 (ア) 有している(以下,同目録記載の各構成態様を「構成態様A」の例により記載することがある。)。 (3) 原告による住宅の販売及びその形態 ア原告による住宅の販売状況 (ア) 原告は,「BESS」のブランド名を用いて,自ら又は販社契約に基づき設置された地区販社等を通じて,一般の個人顧客に木造戸建て住宅の販売をしており,平成16年1月,「ワンダーデバイス」というシリーズ名のログハウス調木造住宅の販売を開始した。同シリーズには,「フランクフェイス」という名称のモデルを含む計3種類のモデルが存 在していた。(甲29,乙4)(イ) 原告は,平成20年4月,「ワンダーデバイス」シリーズの住宅として,別紙原告製品目録記載1の外観を有する製品(原告製品1)に「トリムフェイス」とのモデル名を付し,原告又はその地区販社において,同製品の製造,販売等を開始した。(甲23) 原告は,平成21年4月,原告製品1の形態を別紙原告製品目録記載2の外観を有する製品(原告製品2)へモデルチェンジするとともに,モデル名を「フランクフェイス」に変更した。(甲24,乙4)原告は,平成28年4月,原告製品2について,「フランクフェイス」というモデル名は維持しつつ,別紙原告製品目録記載3の外観を有する 製品(原告製品3)へモデルチェンジし,原告又はその地区販社において,同製品の製造,販売等を開始した。(甲25ないし27)イ原告製品の形態原告製品は,いずれにも共通する別紙原告製品形態目録記載の形態(以下,「原告製品形態」という。)を備えている(以下,同目録記載の各形 態を「原告製品形態①」の例により記載することがある。)。 なお,原告製品3は,原告製品1及び2と異なり,別紙原告製品目録記載3のとおり,原告製品形態①に 備えている(以下,同目録記載の各形 態を「原告製品形態①」の例により記載することがある。)。 なお,原告製品3は,原告製品1及び2と異なり,別紙原告製品目録記載3のとおり,原告製品形態①にいう柱部及び梁部は2本組みのスチールからなり,これらのスチールを,間隔を開けて配置することにより,2本のスチールと,その間に形成された空間とによって,3つの矩形が 構成されている。 また,原告製品3へのモデルチェンジに際して,新たに原告のブランド名の頭文字である「B」の字が盾にあてがわれたデザインのエンブレム(以下「本件エンブレム」という。)が,顧客の選択に応じ,建物に付属するようになった。(甲25)ウ公知意匠 原告は,本件意匠に係る出願日である平成28年6月7日よりも前の時点において,別紙引用意匠目録記載の建物を販売していた(以下,かかる建物が有する意匠を「引用意匠」という。)。 その正面視方向の外観は同目録第1記載のとおりであり,引用意匠の正面視の構成態様を分説すると,同目録第2記載のとおりである(以下, 「構成態様A”」の例により記載することがある。)。 (4) 被告の行為ア被告は,平成30年7月26日までに次の(ア)及び(イ)の土地及び建物を顧客に販売したほか,遅くとも同月18日の時点で次の(ウ)の土地及び建物の販売の申出をしていた(甲4,249)。 (ア) H所在の土地及び建物物件名 H建売販売価格 2150万円(税込)(以下,同物件の土地を「H土地」と,建物を「H建物」といい,H土地及びH建物を「H物件」と総称する。) (イ) I所在の土地及び建物物件名 I建売販売価格 2550万円(税込)(以下,同物件の土地を「I土地」と,建物を「I建物」 い,H土地及びH建物を「H物件」と総称する。) (イ) I所在の土地及び建物物件名 I建売販売価格 2550万円(税込)(以下,同物件の土地を「I土地」と,建物を「I建物」といい,I土地及びI建物を「I物件」と総称する。) (ウ) J所在の土地及び建物(甲4の1) 物件名 J販売価格 2500万円(税込)(以下,同物件の建物を「J建物」といい,同物件の土地と合わせて「J物件」という。また,H建物,I建物及びJ建物を「被告各建物」と総称する。) イ被告各建物の構造被告各建物の正面視方向の外観は,別紙被告各建物目録記載1ないし3のとおりである(甲4,5)。 3 争点(1) 本件意匠権侵害の成否(争点1) ア本件意匠と被告製品1の意匠との類否(争点1-(1))イ無効の抗弁の成否(争点1-(2))(2) 不正競争の成否(争点2)ア原告製品形態の「商品等表示」該当性(争点2-(1))イ原告製品形態と被告製品2の形態との同一性ないし類似性(争点2- (2))ウ混同のおそれの有無(争点2-(3))(3) 損害の発生及びその額(争点3)(4) 差止め等の必要性(争点4)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件意匠権侵害の成否)について(1) 争点1-(1)(本件意匠と被告製品1の意匠との類否)について(原告の主張)ア意匠に係る形状の類似性について(ア) 被告各建物の構成のうち本件意匠に相当する部分は,別紙被告製品 目録1記載の基本的構成態様及び具体的構成態様からなる(以下,この 部分を「被告意匠」という。なお,同目録記載の各構成態様を「構成態様A’」の例により記載することがある。)。 品 目録1記載の基本的構成態様及び具体的構成態様からなる(以下,この 部分を「被告意匠」という。なお,同目録記載の各構成態様を「構成態様A’」の例により記載することがある。)。 (イ) 被告意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様を本件意匠と対比すると,柱部の形成位置について,本件意匠の構成態様c1においては,家屋の中心から「やや左に外れた位置」とされているところ,被告製品 1の構成態様c1’では,家屋の中心から「やや右又は左に外れた位置」とされており,その形成位置が異なる場合があるほかは,全て同一である。 そして,上記の差異点についてみるに,柱部が中心からやや外れているという構成態様は,それにより需要者に対して左右対称の十字とは異 なる略十字の模様であるという印象を与えるものであって,それが右に外れているか,それとも左に外れているかという差異は,需要者に異なる印象を与えるものではない。 また,建築業界では,建物の立地条件の配慮により,そのデザインの左右を反転させるということは通常行われていることであって,特定の 意匠の左右を反転させた意匠は同一ないし類似と扱うのが,建設業界の常識である。さらに,特許庁における部分意匠の関連意匠登録事例をみても,登録意匠と面対称の意匠は登録意匠に類似する意匠と扱われていることがうかがえる。 以上によれば,被告意匠は,その形状において,本件意匠と類似する。 (ウ) 被告は,H建物及びI建物のいずれも,柱部及び梁部の断面図が「凹の字」であって,本件意匠とは異なり,正面から見ても柱部及び梁部に空間は形成されないと主張する。 しかしながら,本件意匠の意匠登録された部分は,組立て家屋(意匠法施行規則7条・別表第1の61号)の正面に設けられた柱部及び梁部 が から見ても柱部及び梁部に空間は形成されないと主張する。 しかしながら,本件意匠の意匠登録された部分は,組立て家屋(意匠法施行規則7条・別表第1の61号)の正面に設けられた柱部及び梁部 が形成する模様であるから,本件意匠に係る物品の需要者は,本件意匠 を備える組立て家屋をその正面方向から観察することとなる。そうすると,本件意匠において看者の注意を引き付ける部分,すなわち本件意匠の要部とは,本件意匠を正面方向から観察した際に看取される柱部及び梁部の位置関係並びに柱部や梁部が形成する模様ないし形状である。そして,上記の各建物は,被告意匠の具体的構成態様のとおり,正面方向 から観察した際に矩形が形成されていることに変わりはなく,この点において,原告意匠と上記の各建物に係る被告意匠とは共通する。 したがって,被告の上記主張は,被告意匠が本件意匠の要部を備えていること,ひいては,本件意匠と被告意匠とが類似することを否定する理由に当たらず,失当である。 イ意匠に係る物品の同一性について(ア) 本件意匠の意匠に係る物品は組立て家屋であり,被告意匠に係る物品も組立て家屋であるから,それらの物品は同一である。 (イ) 被告は,被告が販売等しているのは,全て不動産たる建物であるところ,不動産は意匠法上の「物品」に該当しないものとされているから, 本件においては物品の類似性が観念し得ず,よって本件意匠と被告意匠の類似性も認められないと主張する。 しかしながら,不動産が,意匠法2条1項にいう「物品」に該当しないと解されているのは,工業的に量産されないという不動産の性質に照らし,不動産に係る意匠が「工業上利用することができる意匠」(意匠 法3条1項)に該当しないと解されているためである。そうすると,使用時に不 るのは,工業的に量産されないという不動産の性質に照らし,不動産に係る意匠が「工業上利用することができる意匠」(意匠 法3条1項)に該当しないと解されているためである。そうすると,使用時に不動産となるものであっても,工業的に量産可能な性質を有するものであれば「物品」に該当するというべきである。 本件についてこれをみると,被告各建物が枠組壁工法(ツーバイフォー工法)により建築されるものであることや,被告が建築する建物のう ち少なくとも2戸が約1か月ないし1か月半という短い工期でその建物 の外観の大部分を完成させていることなどに照らすと,被告各建物は,規格化され,かつ工場等で量産可能に生産されたパネル(枠材及び構造用合板)を,あらかじめ定められた手順等で現場において組み立てて完成されるものであることは明らかである。そうすると,被告各建物は,「物品」である組立て家屋に該当するから,被告の上記主張は理由がな い。 さらに,被告は,被告各建物が販売時に動産として流通するものではないとして「物品」なければ意匠登録は認められないとも主張するが,被告各建物は,着工前の時点で,動産である上記パネル等の使用が予定されており,これらは1セットの動産として流通するものであるといえ るから,被告の上記主張も理由はない。 ウ小括以上によれば,被告意匠は,本件意匠に類似するというべきである。 (被告の主張)ア意匠に係る形状の類似性について 被告意匠の形状と本件意匠の形状とが類似することは争う。 H建物及びI建物のいずれも,柱部及び梁部の断面図は「凹の字」であり,これにより,本件意匠とは異なり,正面から見ても,柱部及び梁部の中央部に空間が形成されないという差異が生じている。このような差異が生じる以上,H建物及 れも,柱部及び梁部の断面図は「凹の字」であり,これにより,本件意匠とは異なり,正面から見ても,柱部及び梁部の中央部に空間が形成されないという差異が生じている。このような差異が生じる以上,H建物及びI建物の形状に係る被告意匠は,本件意匠 と類似しない。 イ意匠に係る物品の同一性について意匠法2条1項の「物品」といえるためには,有体物である動産であることを要し,組立て家屋についても,工業的に量産され,販売時に動産として流通するものでなければ意匠登録は認められない。 そして,被告各建物は純然たる建物すなわち不動産であって,工業的に 量産したものではないし,販売時には土地と合わせて不動産として販売されており,動産として流通させたものでもないから,「物品」には該当しない。 したがって,被告意匠と本件意匠については,意匠に係る物品の類似性が認められる余地はない。 ウ小括以上によれば,本件意匠と被告意匠が類似するとはいえない。 (2) 争点1-(2)(無効の抗弁の成否)について(被告の主張)ア新規性の欠如について (ア) 本件意匠は平成28年6月7日に登録出願されたものであり,引用意匠は同日より前の時点で公知であったところ,本件意匠と引用意匠は,「家屋の正面視において,地面と垂直に設けられた柱部及び地面と平行に設けられた梁部によって,略十字の模様が形成されている。」との基本的構成態様において一致している。 加えて,本件意匠と引用意匠は,いずれも原告が販売を展開する「ワンダーデバイス」シリーズの一類型であり,両者は同一のデザイン・コンセプトから生じたものである。 このように,基本的構成態様を一にする,同一のデザイン・コンセプトから生じた意匠は,必然的に類似するものであるから 」シリーズの一類型であり,両者は同一のデザイン・コンセプトから生じたものである。 このように,基本的構成態様を一にする,同一のデザイン・コンセプトから生じた意匠は,必然的に類似するものであるから,差異点がこれ らの一致を凌駕するほどに極めて顕著であるといった例外的な場合でなければ,類似性は否定されない。しかるに,本件意匠と引用意匠の差異点は,引用意匠の柱部及び梁部を,その全体の幅を保ちつつ1本から2本にするという,極めて単純な変更によって生じるものにすぎず,これは,顕著な差異点とはいえない。 (イ) この点,原告は,後記のとおり,本件意匠と引用意匠との差異点が 4つあるとして,新規性の欠如を争っている。しかしながら,原告が指摘する差異点は,いずれも,具体的構成態様のごく一部分の差異を指摘するものにすぎず,また,前記(ア)のとおり基本的構成態様は同一であるから,新規性の欠如を否定する根拠にはなりがたい。 また,原告は,引用意匠にはひさし様の板が存在するとして,これを, 本件意匠の新規性の欠如を否定する理由の1つとしているが,本件意匠の登録出願に先立つ平成20年頃には,ひさし様の板が設置されていない建物も存在したから,やはり,新規性の欠如を否定する根拠にはなり得ない。 (ウ) したがって,本件意匠の登録出願の前から,本件意匠と同一又は類 似する意匠が存在しており,本件意匠は,その登録出願の時点において新規性を欠くものであったから,本件意匠権には無効理由がある(意匠法3条1項1号,同項3号)。 イ創作容易性の存在について(ア) 引用意匠と本件意匠の各構成態様を比較すると,次の2点において 差異があるものの,そのほかは全て共通している。 (差異点1)本件意匠は,柱部により(縦棒に相当 易性の存在について(ア) 引用意匠と本件意匠の各構成態様を比較すると,次の2点において 差異があるものの,そのほかは全て共通している。 (差異点1)本件意匠は,柱部により(縦棒に相当する)縦長の矩形が形成されるとともに,当該縦長の矩形は,(横方向に)順に接する(当該縦長の矩形と高さが同一の)3つの矩形からなり,かつ,これら3つの矩形のう ち左右の2つの矩形の横幅は,(左右の2つの矩形に挟まれた)中央の矩形の横幅より長いのに対し,引用意匠は,柱部により(縦棒に相当する)縦長の矩形が1つ形成されているが,梁部により形成される横長の矩形と一体となっているため,独立した矩形を観念できない点(構成態様d及びd”)。 (差異点2) 本件意匠は梁部により(横棒に相当する)横長の矩形が形成されるとともに,当該横長の矩形は,いずれも(縦方向に)順に接する(当該横長の矩形と横幅が同一の)3つの矩形からなり,かつ,これら3つの矩形のうち上下の2つの矩形の縦幅は,(上下の2つの矩形に挟まれた)中央の矩形の縦幅より長いのに対し,引用意匠は,梁部により,(横棒 に相当する)横長の矩形が1つ形成されているが,柱部により形成される縦長の矩形と一体となっているため,独立した矩形を観念できない点(構成態様e及びe”)。 そして,これらの差異点についても,形成される矩形が1つであるか,3つに分かれているかという点にとどまり,この差は柱部及び梁部を形 成する材料が1本か2本かという単純な差にすぎず,このような差は本件意匠の創作の非容易性を基礎付けるものとはならない。 そうすると,本件意匠は当業者にとって創作容易であるといえる。 (イ) この点,原告は,本件意匠の正面視について,梁部が柱部を左右から挟むように形成され 作の非容易性を基礎付けるものとはならない。 そうすると,本件意匠は当業者にとって創作容易であるといえる。 (イ) この点,原告は,本件意匠の正面視について,梁部が柱部を左右から挟むように形成されているか,梁部と柱部が一体となるように形成さ れているかという引用意匠との差異を指摘して,本件意匠は当業者にとって容易に想到し得るものではないと主張するが,創作としては単純であり,当該創作を反映するデザインとしてもごく一般的であって,本件意匠に見られるような柱部と梁部の交差部分のデザインに想到するのは容易である。 また,原告は,本件意匠と引用意匠との差異点1’ないし4’があるとして,本件意匠は当業者にとって容易に想到し得るものではないと主張するが,差異点2’及び3’に見られる形状は,基本的構成態様中のバリエーションとして極めて想到しやすい部類にあるといえるから,創作は容易である。 (ウ) 以上によれば,当業者は本件意匠を容易に創作できたといえるから, 本件意匠権には無効理由がある(意匠法3条2項)。 (原告の主張)ア新規性の欠如について(ア) 本件意匠と引用意匠との共通点及び差異点本件意匠と引用意匠とは,家屋の正面視において,地面と垂直に設け られた柱部及び地面と平行に設けられた梁部によって,略十字の模様が形成されており(構成態様A及びA”),柱部が,地面と垂直に,かつ,家屋の1階床部から2階天井部の間に形成され,家屋の正面側壁面の前方(正面側)に,当該壁面から離れて形成されており(構成態様a,f及びa”,f”),梁部が,地面と平行に,かつ,家屋の左右両側の壁の 間に形成され,柱部と家屋の正面側壁面との間に設けられた2階床部と接している(構成態様b,g及びb”,g”)点で共通する。 及びa”,f”),梁部が,地面と平行に,かつ,家屋の左右両側の壁の 間に形成され,柱部と家屋の正面側壁面との間に設けられた2階床部と接している(構成態様b,g及びb”,g”)点で共通する。 そして,本件意匠と引用意匠との間には,次の4つの差異点が存在する。 (差異点1’) 本件意匠は,正面視において,梁部が柱部を左右から挟むように形成され,梁部と柱部によって,縦棒が横棒を貫通するような略十字の模様が形成されているのに対し,引用意匠は,正面視において,梁部が柱部と交差するように形成され,柱部と梁部によって,縦棒と横棒が一体となった略十字の模様が形成されている点(構成態様c1,c2及びc 1”,c2”)。 (差異点2’)本件意匠は,正面視において,柱部により縦長の矩形が形成されるとともに,当該縦長の矩形は,(横方向に)順に接する(当該縦長の矩形と高さが同一の)3つの矩形からなり,かつ,これら3つの矩形のうち 左右の2つの矩形の横幅は,(左右の2つの矩形に挟まれた)中央の矩 形の横幅より長いのに対し,引用意匠は,正面視において,柱部により縦長の矩形が1つ形成されるが,梁部により形成される横長の矩形と一体となっているため,独立した矩形を観念できない点(構成態様d及びd”)。 (差異点3’) 本件意匠は,正面視において,梁部により,柱部の左右に,それぞれ横長の矩形が1つずつ形成されるとともに,当該横長の矩形はいずれも,(縦方向に)順に接する(当該横長の矩形と横幅が同一の)3つの矩形からなり,かつ,これら3つの矩形のうち上下の2つの矩形の縦幅は,(上下の2つの矩形に挟まれた)中央の矩形の縦幅より長いのに対し, 引用意匠は,正面視において,梁部により,(横棒に相当する)横長の矩形が1 ,これら3つの矩形のうち上下の2つの矩形の縦幅は,(上下の2つの矩形に挟まれた)中央の矩形の縦幅より長いのに対し, 引用意匠は,正面視において,梁部により,(横棒に相当する)横長の矩形が1つ形成されているが,柱部により形成される縦長の矩形と一体となっているため,独立した矩形を観念できない点(構成態様e及びe”)。 (差異点4’) 本件意匠は,梁部にひさし様の板が付属していないのに対し,引用意匠は,梁部から,家屋の正面側壁面の前方(正面側)に向かって,ひさし様の板が付属しており,梁部と当該板の長さの比は約7対4である点(構成態様h”)。 (イ) 前記(ア)の本件意匠と引用意匠との差異点は,いずれも本件意匠の要 部に関するものであり,本件意匠が看者の視覚を通じて起こさせる美感と,引用意匠のそれとは大きく異なる。 a 差異点1’について本件意匠の正面視は,梁部が柱部を左右から挟むように形成され,梁部と柱部によって,縦棒が横棒を貫通するような略十字の模様が形 成されている。これに対し,引用意匠は,梁部と柱部によって,縦棒 と横棒が一体となった略十字が形成されている。このため,本件意匠においては,縦棒の存在感が横棒の存在感を大きく上回り,縦棒によって建物の正面視において左右に大きく分断されているような印象を看者に与えるのに対し,引用意匠では,縦棒と横棒の存在感は同一であるため,建物の正面視において4分割されている印象を看者に与え る。このことは,差異点2’により相乗的に生じる効果である。 b 差異点2’について本件意匠の正面視において,柱部により縦長の矩形が形成されるとともに,当該縦長の矩形は,横方向に順に接する,当該縦長の矩形と高さが同一の3つの矩形からなり,かつ,これら3つの矩形のう 2’について本件意匠の正面視において,柱部により縦長の矩形が形成されるとともに,当該縦長の矩形は,横方向に順に接する,当該縦長の矩形と高さが同一の3つの矩形からなり,かつ,これら3つの矩形のうち左 右の2つの矩形の横幅は中央の矩形の横幅より長い。これに対し,引用意匠の柱部によっては,独立した矩形を観念できない。このため,本件意匠は,看者に対し,正面視についてくっきりとした印象やメリハリの効いたシャープな印象を与えるのに対し,引用意匠では,のっぺりとした印象及びずっしりとしたやや重みのある印象を与える。よ って,看者に与える美感は,互いに大きく異なる。 c 差異点3’について本件意匠の正面視において,梁部により,柱部の左右にそれぞれ横長の矩形が1つずつ形成されるとともに,当該横長の矩形はいずれも縦方向に順に接する,当該横長の矩形と横幅が同一の3つの矩 形からなり,かつ,これら3つの矩形のうち上下の2つの矩形の縦幅は,中央の矩形の縦幅より長いのに対し,引用意匠の梁部によっても,独立した矩形を観念できない。このため,本件意匠と引用意匠との間では,看者において,差異点2’と同様の美感の違いを与える。 d 差異点4’について 本件意匠は,梁部にひさし様の板が付属していないのに対し,引用意匠は,梁部から,建物の正面側壁面の前方(すなわち,当該建物の正面に向かう方向)にひさし様の板が付属しており,梁部と当該ひさし様の板の長さの比は約7対4である。このため,本件意匠では,看者に対し,略十字の模様が強調された印象を与えるととも に,シンプルで洗練された印象を与えるのに対し,引用意匠では,住宅としての生活感を与える印象を与えるのであって,看者の視覚を通じて起こさせる美感は大きく異なる。 (ウ) た印象を与えるととも に,シンプルで洗練された印象を与えるのに対し,引用意匠では,住宅としての生活感を与える印象を与えるのであって,看者の視覚を通じて起こさせる美感は大きく異なる。 (ウ) 以上のとおり,本件意匠と引用意匠は,意匠の特徴的な部分において4つの差異点が存在し,これらの差異点を総合すると,本件意匠と引 用意匠とでは,看者の視覚を通じて起こさせる美感が大きく異なるというべきであるから,本件意匠と引用意匠は同一ではなく,かつ,類似しない。 よって,本件意匠が,登録出願の時点で新規性を欠いていたとは認められない。 イ創作容易性の存在について本件意匠と引用意匠との間には,前記アでみたとおり4つの差異点が存在するところ,これらの差異点はいずれも異なる意匠的効果を有するのであるから,その着想の点において,独創性が認められる。また,本件意匠のような柱部や梁部を採用する上では,多様なデザイン面の選択肢 の中からそのうちの1つとして,創意工夫を施して創作したものである。 さらに,引用意匠には,前記ア(イ)dで指摘したとおり,梁部にひさし様の板が設置されているところ,この板は,縦方向にシャープな直線を形成しようとするなどのデザイン思想の実現を阻害するものである。 以上によれば,当業者が,引用意匠から,前記アの4つの差異点に係る 意匠の構成態様に想到することはいずれも容易であったとはいえないし, 4つの差異点に係る構成態様の全てを組み合わせる形で意匠を創作することはなおさら容易であったとはいえない。 2 争点2(不正競争行為の成否)について(1) 争点2-(1)(原告製品形態の「商品等表示」該当性)について(原告の主張) ア商品の形態の特定について(ア) 原告製品形態の「 2 争点2(不正競争行為の成否)について(1) 争点2-(1)(原告製品形態の「商品等表示」該当性)について(原告の主張) ア商品の形態の特定について(ア) 原告製品形態の「商品等表示」該当性を基礎付ける部分は別紙原告製品形態目録記載のとおりであり,その構成態様および相互の位置関係をもって,出所表示機能を有する商品の形態は具体的かつ必要な範囲で特定されている。 (イ) この点,被告は,原告製品形態①ないし⑤は,いずれも建物正面視のみ,更にその一部に関するものでしかなく,一般住宅の特定に必要な建物全体及び屋根,柱,壁等の構成要素の形態や寸法等が具体的に特定されていないことなどを根拠として,当該商品の形態の内容が具体的に特定されていないと主張する。 しかしながら,「商品等表示」該当性を基礎付ける部分は,あくまで,商品の形態のうちの特徴的部分であって,必ずしも商品の形態全てが特徴的である必要はない。これは,商品の形態のうちの一部の特徴的部分のみが出所表示機能を備えることも十分にあり得るためである。 また,原告は,正面視における特徴的部分を基礎付けるために必要な 屋根,柱,壁の位置関係について具体的に特定している。そもそも,建物の需要者は,上記構成要素の形態や寸法の数値によって出所を判断するわけではないから,これらは,原告製品形態が「商品等表示」に該当するかを検討する上で不要な要素であって,被告の主張は失当である。 したがって,被告の上記主張は理由がない。 イ特別顕著性について(ア) 原告製品形態①ないし⑤が組み合わされた形態を有する建物は,見る者にシンプルかつ洗練された,オープンな印象を与える,斬新でインパクトのあるデザインである。このような建物の正面視の形態は,他 (ア) 原告製品形態①ないし⑤が組み合わされた形態を有する建物は,見る者にシンプルかつ洗練された,オープンな印象を与える,斬新でインパクトのあるデザインである。このような建物の正面視の形態は,他社が販売する住宅には決して見られない,原告製品独自の極めて特徴的な 外観である。そして,上記の形態は,建物の正面視として考え得る数多くのデザインの中から選択されたものであり,建物の機能によって必然的に採用されるものではない。 したがって,原告製品形態は客観的に明らかに他の同種の商品と識別し得る顕著な特徴を有しており,特別顕著性があると認められる。 (イ) この点,被告は,原告製品形態①ないし⑤を備える建物が相当数存在すると主張し,原告製品形態を備えるものとして,複数の建物を掲げる。 しかしながら,被告が掲げる建物の正面視の外観は,いずれも原告製品形態①,②,⑤を備えておらず,また,原告製品形態③及び④を備え る建物は1戸のみである。 そもそも,原告は,原告製品形態①ないし⑤を組み合わせたという点に建物の正面視の形態としての特別顕著性があると主張しているのに対し,被告は,原告製品形態①ないし⑤について,個々の形態ごとに顕著な特徴がないと主張するものである。こうした個別の原告製品形態に関 する反論は,原告製品形態の組合せが特別顕著性を有するという原告の上記主張に対する反論としては意味をなさず,失当である。 したがって,被告の上記主張は理由がない。 ウ周知性について原告製品及び被告各建物は,いずれも木造戸建て住宅である。そのため, 原告製品及び被告製品の需要者は,一般消費者のうち木造戸建て住宅の 購入に関心のある層である。 そして,被告は,鳥取県内において,原告製品形態と同一の形態的特徴を備 。そのため, 原告製品及び被告製品の需要者は,一般消費者のうち木造戸建て住宅の 購入に関心のある層である。 そして,被告は,鳥取県内において,原告製品形態と同一の形態的特徴を備える被告各建物の製造,販売等を行っているところ,このような被告の行為は,原告製品形態が,上記の需要者間において,特定の事業者の出所を表示するものとして広く認識されていることを裏付けるもので ある。すなわち,上記の行為は,原告製品形態が鳥取県を含む全国において周知な商品等表示であるため,これを覚知した鳥取県所在の被告によって,原告の出所表示機能を有する周知商品等表示にフリーライドすることを意図して行われたものにほかならない。 加えて,前記イのとおり,原告製品形態は,それ自体が強力な識別力を 有している上,原告は,平成20年4月から現在に至るまで,原告製品形態を備える住宅を全国各地で多数販売し,多額の売上高を記録しているほか,同月から現在に至るまで,雑誌やホームページ,製品カタログ,住宅展示場を通じて,原告製品形態を強調した多くの宣伝広告活動を継続して行ってきたものである。以上の事情を総合すれば,上記の需要者 は,遅くとも平成29年3月までには,原告製品形態の出所が原告であると広く認識するに至っているというべきであり,原告製品形態には周知性があると認められる。 エ小括以上のとおり,原告製品形態は商品の形態として特定されており,かつ, 特別顕著性も周知性も認められるから,原告製品形態は「商品等表示」に該当する。 (被告の主張)ア商品の形態の特定について商品の形態が「商品等表示」に該当するためには,当該商品の形態の内 容が具体的に特定されたものである必要があり,このことは,一般住宅 において 張)ア商品の形態の特定について商品の形態が「商品等表示」に該当するためには,当該商品の形態の内 容が具体的に特定されたものである必要があり,このことは,一般住宅 においても同様である。 しかるに,原告製品形態に係る各構成態様は,いずれも当該建物の正面視の一部を構成するものにすぎず,一般住宅の形態の特定に必要となる建物全体の形態や,屋根,柱,壁,窓,バルコニー,玄関といった構成要素の形態,寸法,位置関係などが具体的に特定されていない。 したがって,原告製品形態では,一般住宅としての商品の形態が具体的に特定されているとはいえないから,「商品等表示」に該当する余地はない。 イ特別顕著性について原告製品形態の各構成態様は,いずれも建物の正面視の形態としてはご くありふれたものである。現に,原告製品形態の各構成態様の全部又は一部を有する建物も相当数存在する。 すなわち,まず,原告製品形態①及び②についてみると,正面視が四角形である建物は多数存在し,そのような建物において,「正面視において,左右の壁が形成する2つの縦長の矩形,2階天井部が形成する1つの横 長の矩形」が存するというのは珍しい形態ではない。建物の正面視において柱部及び梁部によって構成される変形「田」の字を形成するという点も,形成される形態が「田」の字という簡素かつ単純なものであり,柱及び梁という建物が機能上必然的に備えるものから構成されていることからすれば,ありふれたものといえる。また,「田」の字のうち縦棒を 横棒の中心からやや外れた位置に置くという些末な変化を加えたところで,それにより形成される形態が他とは異なる顕著な特徴を有するということにはならない。 次に,原告製品形態③及び④についてみると,これらの形態を有する建 れた位置に置くという些末な変化を加えたところで,それにより形成される形態が他とは異なる顕著な特徴を有するということにはならない。 次に,原告製品形態③及び④についてみると,これらの形態を有する建物が複数存在することが認められる以上,特徴的とは到底いえない。 さらに,原告製品形態⑤についてみても,複数の層が存在する建物にお いて,層ごとに異なる色を配置することは特徴的とはいえず,それ自体が極めて特徴的な色彩や模様による場合でない限り,ごくありふれた選択であるといえる。 このように,原告製品形態は,原告製品の形態を特徴づけたり,他の建物の外観と大きな差異を生じさせたりしているものではないから,特別 顕著性は認められない。 ウ周知性について原告製品形態と同様の特徴を有する建物が従前から存在していたこと,原告の宣伝広告はその大半が平成26年以降のものであり,原告が周知性を獲得したと主張する時点である平成29年3月までに3年程度しか 経過していないこと,原告が挙げる,写真共有SNSのInstagram上の投稿の大半が同月以降のものであること,原告が運営する住宅展示場は,被告の所在地である鳥取県から長時間の移動を要する地域に存在する上,上記住宅展示場を訪問した鳥取県民は非常に少数であることに照らすと,原告製品形態が周知性を有していたとは認められない。 エ小括このように,原告製品形態は商品の形態として特定されておらず,仮に特定がなされているとしても,原告製品形態には特別顕著性も周知性も認められないから,原告製品形態が「商品等表示」に該当するとはいえない。 (2) 争点2-(2)(原告製品形態と被告製品2の形態との同一性ないし類似性)について(原告の主張)被告が製造し,販売し, ,原告製品形態が「商品等表示」に該当するとはいえない。 (2) 争点2-(2)(原告製品形態と被告製品2の形態との同一性ないし類似性)について(原告の主張)被告が製造し,販売し,販売の申出をし,及び販売のための展示を行った被告各建物,ひいては被告製品2は,いずれも原告製品形態と同一の形態的 特徴を備えており,正面視における形態は同一である。 (被告の主張)争う。 (3) 争点2-(3)(混同のおそれの有無)について(原告の主張)ア(ア) そもそも,原告製品形態それ自体,商品識別力が強い上,原告が「ト リムフェイス」(原告製品1)及び「フランクフェイス」(原告製品2,3)の販売においてブランディングに努めた結果,原告製品形態を有する原告製品は強力なブランドイメージを有するに至っている。そのため,原告製品形態を有する建物については,需要者に原告製品と誤信させるおそれが大きい。そして,原告製品形態と被告製品2の正面視は同一で あるか又は極めて類似しているから,被告製品2が原告の製造販売等する商品と混同されるおそれがある。 また,原告と被告とでは業務の分野は同一であり,商圏も重なっていること,被告が,原告の宣伝において用いられたコンセプトワード「小さく建てて,大きく暮らす。」と酷似した「ちいさく建てておおきく 暮らす」という表現を被告のInstagramの公式アカウントの紹介文において用いて,H建物等の製品画像を投稿していることからすれば,少なくとも,被告が被告製品2を販売する行為は,需要者をして,原告と被告の間に営業上の何らかの提携関係があると誤信させるおそれがあるというべきである。 さらに,混同のおそれがあることは,実際に,原告製品の需要者が原告に対し,原告製 ,需要者をして,原告と被告の間に営業上の何らかの提携関係があると誤信させるおそれがあるというべきである。 さらに,混同のおそれがあることは,実際に,原告製品の需要者が原告に対し,原告製品形態と「そっくり」な家が販売されていると連絡したことや,Instagram上で混同をきたしている内容の投稿がなされていることなどからも裏付けられている。 (イ) 一般社団法人不動産流通経営協会が令和元年10月に公表した「不 動産流通業に関する消費者動向調査<第24回(2019年度)>」の 「調査結果報告書」(甲251。以下「消費者動向調査結果報告書」という。)によれば,新築住宅購入者及び既存住宅(中古住宅)購入者の9割超が不動産情報サイトを利用した情報収集を行っているとされている。また,同報告書によれば,新築住宅購入者のうち半数程度が新築住宅のみならず既存住宅についても検討しており,既存住宅購入者のうち 7ないし8割程度が既存住宅のみならず新築住宅についても検討していたとされる。このように,住宅購入者の大半がインターネットを利用して不動産情報を取得しており,住宅購入(希望)者は,不動産情報サイトにおいて,複数の販売会社の住宅情報を横断的に収集するとともに,新築住宅と既存住宅を区別せずに情報収集を行っているという実情があ る。 そして,同一のウェブサイト上で,原告製品の既存住宅,新築住宅と,原告製品と酷似する複数の被告の新築住宅に係る住宅情報の概要が画像とともに一覧として表示されており,販売者が誰であるかということよりも,住宅の画像が最も需要者の眼を惹くこととなる。また,不動産情 報サイトを利用した住宅の購入希望者は,他のウェブサイトに移動した場合であっても,不動産情報サイト上での過去の閲覧履歴に基づいて も,住宅の画像が最も需要者の眼を惹くこととなる。また,不動産情 報サイトを利用した住宅の購入希望者は,他のウェブサイトに移動した場合であっても,不動産情報サイト上での過去の閲覧履歴に基づいて,他のウェブサイト上で住宅の画像等の住宅情報が掲載された広告を目にすることとなる。 このような住宅の販売態様の実情に照らせば,原告製品態様に興味を 有する需要者が,これと類似する被告製品について,原告製品と混同して問合せを行い,そのまま商談に進んでしまうおそれは非常に大きいということができる。 イ(ア) 被告は,被告各建物に本件エンブレムが付されていないことを根拠として,混同のおそれがあることを争っている。 しかしながら,原告が販売する建物に必ず本件エンブレムが付される とは限らない。そもそも,本件エンブレムの有無にかかわらず,原告製品形態それ自体に出所表示機能が認められるのであるから,本件エンブレムの存否は,混同を生じるおそれの有無には影響を与えない。 したがって,被告の上記主張は理由がない。 (イ) 被告は,木造の戸建住宅の購入を検討している者すなわち需要者は, 購入前に十分に対象を吟味し,購入するかどうかを慎重に検討するのが通常であるから,原告が主張するような混同を生じるおそれは認められないと主張する。 しかしながら,不競法2条1項1号の「混同」とは,混同が現に発生している必要はなく,混同が生じるおそれがあれば足りると解される。 また,混同のおそれが生じる結果についても,様々な誤認混同の予想される法的な評価としての結果が営業上の利益を侵害し又は侵害するおそれがあるような程度の結果と最終的に判断されるものでよいと解される。 この点,被告が原告製品形態を無断で使用する行為は,原告の商談の機会を喪失 な評価としての結果が営業上の利益を侵害し又は侵害するおそれがあるような程度の結果と最終的に判断されるものでよいと解される。 この点,被告が原告製品形態を無断で使用する行為は,原告の商談の機会を喪失させたり,原告の営業上の信用にフリーライドする結果となっ たりすることとなるから,被告の行為が需要者をして混同を生じさせるおそれのある行為であることは明らかである。 したがって,被告の上記主張は,不競法の趣旨と大きくかい離するものであって,理由がない。 (ウ) 被告は,原告製品と被告製品2とでは対象としている需要者が異な ると主張する。 しかしながら,原告製品とH建物,I建物とで価格に特段の差異がないこと及び原告製品のほぼ全てが自宅として購入,利用されていること,被告も自然派志向の建物としてH物件及びI物件を売り出していることなどの事情に照らせば,両者の需要者は共通する。 加えて,原告は,原告製品形態を有する原告製品について鳥取県内に おける購入希望に対応し得る状況にあり,現に,鳥取市において原告製品の販売実績があるのであるから,鳥取市内に通勤可能な場所の建物を求める被告の需要者は,原告の需要者でもある。 したがって,被告の上記主張は理由がない。 ウ以上によれば,被告製品2は原告製品と混同を生じるおそれがあるとい うべきである。 (被告の主張)ア混同を生じさせるか否かを判断するに当たっては,需要者一般の心理に基準を置き,日常一般に払われる注意力の下で,混同のおそれがあるか否かを検討するべきである。 これを本件についてみるに,原告製品には本件エンブレムが付されているが,H建物及びI建物にはいずれも本件エンブレムが付されていない。 本件エンブレムは,それ自体が強力な出所表示機能を有するもの これを本件についてみるに,原告製品には本件エンブレムが付されているが,H建物及びI建物にはいずれも本件エンブレムが付されていない。 本件エンブレムは,それ自体が強力な出所表示機能を有するものであるから,需要者が,本件エンブレムが付されていない建物の出所について原告であると混同するおそれはない。 イ本件における需要者とは,住宅の購入予定者をいうところ,住宅の価格は高額であり,かつ,多くは一生に一度購入をするか否かにすぎない物であるから,当該需要者においては,購入に当たり,その対象を吟味し,相応の時間を費やして,購入するか否かを慎重に検討するのが通常である。 したがって,被告製品2の出所が原告であると誤認ないし混同したまま 被告製品2を購入することはあり得ない。 ウ原告製品が対象としている需要者は,正確には,生活のための居住用物件を探す顧客層ではなく,セカンドハウスを所有したり,生活上の必要に駆られずとも住居を購入したりする余裕のある富裕層であるところ,H物件及びJ物件がいずれも居住用の物件であることからもうかがわれるとお り,被告が対象とする需要者は,居住用の一般的な住宅を求める層である から,被告製品2の需要者と,原告製品が対象とする需要者には差異がある。 したがって,本件においては原告製品と被告製品2との混同のおそれがあるとは認められない。 3 争点3(損害の発生及びその額)について (原告の主張)(1) 侵害の行為により被告が受けた「利益」の額についてア H物件及びI物件全体の売上高に基づく利益額について(ア) 被告各建物の販売による意匠権侵害行為ないし不正競争行為により被告が受けた「利益」(意匠法39条2項,不競法5条2項)の額は, H建物及びI建物の販売につ 上高に基づく利益額について(ア) 被告各建物の販売による意匠権侵害行為ないし不正競争行為により被告が受けた「利益」(意匠法39条2項,不競法5条2項)の額は, H建物及びI建物の販売について,それぞれ敷地を含めた物件全体の売上高に基づいて算定するのが相当である。 H物件の販売価格(税抜。以下建物につき,特記がない限り同じ。)は合計2047万6652円,H土地の購入費用は293万7979円,H建物の建築等費用は合計1266万9357円であるから,H物件の 全体の販売利益は486万9316円である。 また,I物件の販売価格は合計2448万3400円,I土地の購入費用は733万0599円,I建物の建築等費用は1272万2326円であるから,I物件の販売利益は合計443万0475円である。 したがって,被告は,意匠権侵害行為ないし不正競争行為により,9 29万9791円の利益を受けたから,原告に生じた損害の額は,同額と推定される。 (イ) 被告は,被告が受けた「利益」(意匠法39条2項,不競法5条2項)について,H建物及びI建物の各販売利益のみを基準に算定すべきであると主張する。 しかしながら,被告は,H建物及びI建物と一体としてでなければ, H土地及びI土地を販売することができなかったと認められるから,前記(ア)のとおり,各物件全体の販売利益を,意匠権侵害行為ないし不正競争行為による損害として考慮すべきである。すなわち,一般に,土地は,実勢価格を超える額で売買されることはないから,土地の所有者が実勢価格以上で当該土地を売却するには,何らかの付加価値を付ける必 要がある。しかるに,H土地及びI土地には,H建物及びI建物が存在するほかに付加価値はない。むしろ,鳥取県内全体の住宅地の公示価格は 格以上で当該土地を売却するには,何らかの付加価値を付ける必 要がある。しかるに,H土地及びI土地には,H建物及びI建物が存在するほかに付加価値はない。むしろ,鳥取県内全体の住宅地の公示価格は下落傾向にあること,H土地及びI土地には自然災害の危険が想定されることなどの減額事由が複数存在していることを考え合わせれば,H土地はH建物と,I土地はI建物と一体としてでなければ,売却するこ とはできなかったというべきである。 したがって,被告の上記主張には理由がない。 イ H建物及びI建物の売上高に基づく利益額(ア) 仮に,被告が受けた「利益」(意匠法39条2項,不競法5条2項)について,H建物及びI建物の各販売利益のみを基準に算定する場合は, 以下のとおり算定すべきである。 すなわち,H土地及びI土地の固定資産税評価額,路線価に基づく公示価格,近傍類地の過去の取引価格等を踏まえてそれらの客観的な実勢価格を算出すると,H土地は460万8485円を,I土地は724万7500円をそれぞれ上回ることはない。これらの額を各物件販売価格 の総額から控除し,さらに建物の建築等に要した費用を控除した額が,H建物及びI建物の客観的な販売利益と認められる。 したがって,H建物の販売利益は319万8810円,I建物の販売利益は451万3574円,各販売利益の額の合計771万2384円と算定される。 (イ) 被告は,建物と土地をあわせて1つの「商品」として販売する業者 であって,土地単体で売却をしている訳ではないから,土地単体の実勢価格は本件に直接の関係はなく,そもそも、売買価格は客観的に定まるものではなく,売主と買主の合意により決せられるものであり,当事者が合意している以上,当該合意における割り付け額が尊重されるべ の実勢価格は本件に直接の関係はなく,そもそも、売買価格は客観的に定まるものではなく,売主と買主の合意により決せられるものであり,当事者が合意している以上,当該合意における割り付け額が尊重されるべきであると主張する。 しかしながら,被告は,H物件及びI物件の販売価格を土地と建物に割り付ける具体的な根拠を何ら明らかにしていない。また,被告の主張するH建物及びI建物の販売利益の額は,前記(ア)のとおり算定された客観的な価格とかい離しており,本来の建物の売上を土地の売上に恣意的に割り付けていることがうかがわれることから,信ぴょう性がない。 したがって,被告の上記主張は理由がない。 (2) 推定の覆滅事由の存否についてア市場及び需要者の競合について被告の市場がある鳥取市内において原告製品を購入した顧客が複数存在するから,原告と被告の市場が競合していないとする被告の主張には理 由がない。 また,原告製品の建築等費用と,H建物及びI建物の各建築用費用との間には有意な差はないこと,原告製品の購入者の大半は原告製品を自宅として利用しており,別荘として購入された例は極めて少ないこと,原告製品がすべからく自然豊かな地方に建築されているわけではないこと, H物件及びI物件自体が自然派志向の建物として宣伝されていたことに照らすと,原告製品が自然派志向の富裕層のみを対象とし,被告が販売する建物は一般的な住宅購入者とする被告の主張は理由がない。 イ本件意匠及び原告製品形態の寄与度について被告は,本件意匠及び原告製品形態がH建物及びI建物の面積に占める 割合を根拠に,本件意匠や原告製品形態が被告の利益に何ら寄与してい ないなどと主張する。 しかしながら,本件意匠及び原告製品形態は,建物の正面視という最 物及びI建物の面積に占める 割合を根拠に,本件意匠や原告製品形態が被告の利益に何ら寄与してい ないなどと主張する。 しかしながら,本件意匠及び原告製品形態は,建物の正面視という最も人目をひく部分に係るものであり,これは,建物の外観のうち最も重要な部分であるといえる。 それのみならず,原告が原告製品の正面視を拡大した画像を用いて広告 宣伝を行った結果,本件意匠や原告製品形態は,高いブランド価値を有するに至り,見る者の目に強く印象付けられる部分となっている。 このように,本件意匠や原告製品形態は,被告の利益に大きく寄与しているというべきである。 ウ小括 以上によれば,本件意匠の販売利益に対する寄与率は80パーセントを下らない 。仮に,推定の覆滅に関して被告の主張する事実が認められるとしても,上記寄与率が50パーセントを下ることはない。 (3) 弁護士費用について被告の本件意匠権侵害行為ないし不正競争行為と相当因果関係がある弁 護士費用は,前記(1)の損害額の10パーセントに当たる92万9979円を下らない。 (被告の主張)(1) 侵害の行為により被告が受けた「利益」の額についてア H物件及びI物件全体の売上高に基づく利益額について 本件意匠は組立て家屋の意匠であって,土地そのものの価値に影響を与えるものではなく,本件意匠を侵害したことにより被告が土地を売却して利益を得たとはいえないから,H土地及びI土地を販売したことにより被告が受けた限界利益は,意匠権侵害行為ないし不正競争行為によって被告が得た利益の額として推定されない。 したがって,意匠法39条2項及び不競法5条2項により原告が受けた 損害の額と推定される「利益」は,建物の販売利益のみをいい,土地の って被告が得た利益の額として推定されない。 したがって,意匠法39条2項及び不競法5条2項により原告が受けた 損害の額と推定される「利益」は,建物の販売利益のみをいい,土地の販売利益はこれに含まれないと解するべきである。 イ H建物及びI建物の売上高に基づく利益額H建物及びI建物の売上高に基づく利益額は,以下のとおり,H建物につき12万2495円であり,I建物については,かえって1万482 6円の損失が発生した。 (ア) H物件における販売利益被告は,H土地の取得に293万7979円を,H建物の建築等に1266万9357円(税抜)を支出した。そして,H物件の売買契約における販売価格のうち,H土地部分は768万4800円,H建 物部分は1279万1852円(税抜)と合意されたから,H物件の販売により被告が得た販売利益は,H土地部分について474万6821円,H建物部分について12万2495円である。 (イ) I物件における販売利益被告は,I土地の取得に733万0599円を,I建物の建築等に1 272万2326円(税抜)を支出した。そして,I物件の売買契約における販売価格のうち,I土地部分は1177万5900円,I建物部分は1270万7500円(税抜)と合意されたから,I物件の販売により被告が得た販売利益は,I土地部分について444万5301円であり,I建物部分については1万4826円の損失となった。 (2) 推定の覆滅事由の存否について以下の事情からすれば,意匠法39条2項及び不競法5条2項による損害額の推定は覆滅されるべきであり,覆滅割合は95%を下らない。 ア市場及び需要者の競合について原告は,本件意匠ないし原告製品形態を有する組立て家屋を被告の市場 である 5条2項による損害額の推定は覆滅されるべきであり,覆滅割合は95%を下らない。 ア市場及び需要者の競合について原告は,本件意匠ないし原告製品形態を有する組立て家屋を被告の市場 である鳥取市内で販売しておらず,原告と被告の市場は競合していない。 また,原告の顧客は,生活上の必要に駆られずとも住宅を購入する余裕のある自然派指向の富裕層である一方,被告は,他の地域と比較して住民の所得が高くなく自然が豊かな鳥取県において生活を送るための物件を販売しており,被告の顧客は居住用の一般的な住宅を求める者であるから,両者の製品の需要者も異なる。 したがって,被告各製品の販売によって原告に損害が生じたとはいえない。 イ本件意匠及び原告製品形態の寄与度について被告製品目録1及び同2によって形成される建物の形状は,H建物及びI建物の外観のごく一部を占めるに過ぎず,これを面積の割合に引き 直せば数パーセントにとどまる。 また,H建物及びI建物の買主が,被告からの要請に応じ,各建物の正面視の縦棒に相当する柱部を撤去する工事をなしたことからも明らかであるとおり,本件意匠及び原告製品形態は,H建物及びI建物の買主にとって物件を購入する動機になっていない。 さらに,建物の購入に当たって何が重要かは購入者によって様々であり,例えば,立地,間取り,内装,価格設定,敷地の形態等の要素も重視され,外観の考慮要素としての優先順位は高くはなく,現に,住宅購入者が物件の「間取り」や「広さ」を「デザイン」より重視したという消費者動向調査結果報告書(甲251)も存在する。 ウ小括したがって,原告主張の損害額の推定を覆す事情が存在し,かかる事情を考慮すると,本件意匠及び原告製品形態は被告の利益に何ら寄与しておらず 調査結果報告書(甲251)も存在する。 ウ小括したがって,原告主張の損害額の推定を覆す事情が存在し,かかる事情を考慮すると,本件意匠及び原告製品形態は被告の利益に何ら寄与しておらず,仮に,上記利益に対する一定の寄与を認めるとしても,その度合いは極めて小さいというべきであって,5パーセントを超えること はない。 (3) 弁護士費用について争う。 4 争点4(差止め等の必要性)について(原告の主張)被告製品1ないし被告製品2は工業的に量産可能なものであるから,仮に 被告が現時点において本件意匠及び原告製品形態と同一又は類似の製品を販売等していないとしても,被告製品1ないし被告製品2を製造するための図面その他の資料が廃棄されない限り,これらを量産することが可能な状況であることには変わりがない。 また,原告が被告に対し平成30年7月25日付け通知書(乙1)を送付 してJ物件の販売等の停止を求めたにもかかわらず,被告は1か月以上何らの回答もしなかった。そして,被告は,同年9月3日頃,J物件に係る被告のホームページ上の画像について,略十字の模様のうち縦棒がないものへ差し替えたが,同月24日の時点において,実際にはJ建物の上記縦棒を撤去していなかった。このような被告の不誠実な態度に照らせば,今後,被告製 品1ないし被告製品2を製造,販売する可能性はないとの被告の主張は信用することができない。 以上に加え,本件が,本件意匠及び原告製品形態と酷似した被告製品1及び2が製造等されている悪質性の強い事案であること,被告が侵害の事実を争っていることなどに照らせば,現在においてもなお,被告が本件意匠権を 侵害するおそれ又は不正競争によって原告の営業上の利益が侵害されるおそれがあると認めら 事案であること,被告が侵害の事実を争っていることなどに照らせば,現在においてもなお,被告が本件意匠権を 侵害するおそれ又は不正競争によって原告の営業上の利益が侵害されるおそれがあると認められる。 したがって,被告製品1及び被告製品2の製造,販売等について差止めの必要性があり,また,被告が占有する被告製品1及び被告製品2の除去の必要性があると認められる。 (被告の主張)被告各建物については,本件意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様に該当し得る部分をすでに撤去する工事を完了しており,被告が,今後,本件意匠ないし原告製品形態と同一又は類似の建物を製造,販売等する可能性はない。 また,被告は,原告の前記通知書(乙1)が届いてから2か月程度の間に, ウェブサイトから画像を消去し,縦棒を除去する工事を完了させたものであるから,その態度は不誠実とはいえない。 さらに,被告が被告各建物を工業的に量産していたという事実もない。 したがって,差止め等の必要性があるとは認められない。 第4 争点に対する裁判所の判断 1 争点1(本件意匠権侵害の成否)について(1) 争点1-(1)(本件意匠と被告製品1の意匠との類否)についてア認定事実証拠(甲4,5,8ないし14,17,21,223,224,233,248,249)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 枠組壁工法について枠組壁工法とは,木材を使用した枠組に構造用合板その他これに類するものを打ち付けることにより,壁及び床版を設ける工法をいい,いわゆるツーバイフォー工法は枠組壁工法の一種である。枠組壁工法では,規格化され,工場等で量産される木材及び構造用合板が使用され,かつ, 施工方法はマニュアル化されているこ 設ける工法をいい,いわゆるツーバイフォー工法は枠組壁工法の一種である。枠組壁工法では,規格化され,工場等で量産される木材及び構造用合板が使用され,かつ, 施工方法はマニュアル化されていることから,我が国において木造家屋の建築に一般的に用いられてきた木造軸組工法(在来工法)と比較して,短い工期で木造家屋を建築することができるほか,コストダウンを図れたり,均質な製品を供給できるなどの長所がある。(甲8ないし13)(イ) 被告各建物の工法及び工事期間等について a 被告各建物の施工方法には,いずれも枠組壁工法が採用されている (甲8,14,223,233)。 b 建築計画の段階において,H建物の工事着手予定年月日は平成30年2月19日,工事完了予定年月日は同年5月20日とされ,I建物の工事着手予定年月日は同年3月22日,工事完了予定年月日は同年6月25日とされていた(甲223,233)。また,J建物につい ては,同年4月24日に基礎配筋検査がなされた後,同年6月27日には外壁が張り終わり,「完成までもうすぐ」という段階まで工事が進んだ(甲15,249)。なお,前記前提事実のとおり,遅くとも同年7月18日には,J建物の販売広告が被告のウェブサイト上に掲載されていた(甲249)。 (ウ) 被告各建物の正面視の形状について被告各建物の正面視の形状は,被告各建物目録記載の写真ないし画像のとおりであって,いずれも被告製品目録1記載の各構成態様をすべて満たしており,被告意匠を構成態様として有する(甲4,5,14,17,21,224,248,249)。 イ意匠に係る物品の同一性について(ア) 令和元年5月17日号外法律第3号による改正前の意匠法2条1項は,「『意匠』とは,物品(物品の部分を含 7,21,224,248,249)。 イ意匠に係る物品の同一性について(ア) 令和元年5月17日号外法律第3号による改正前の意匠法2条1項は,「『意匠』とは,物品(物品の部分を含む。…)の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合であって,視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」と規定していることから,意匠は,「物品」とその「形状,模 様若しくは色彩又はこれらの結合」と不可分一体の関係にあるものと解される。 したがって,登録意匠と,対比すべき相手方の製品に係る意匠とが同一又は類似であるというためには,まずその意匠に係る「物品」が同一又は類似であることを必要とするものと解するのが相当である。 (イ) 意匠法2条1項の「物品」とは,有体物のうち,市場で流通する動 産をいい,不動産は物品には該当しないと解されるところ,これは,不動産は一般に工業的に量産されることが想定されないことによる。 そうすると,使用される時点においては不動産として取り扱われる物であっても,工業的な量産可能性が認められ,動産的に取り扱われ得る物である限り,「物品」に該当すると解するのが相当である。 そして,意匠法7条,意匠法施行規則別表第1の61号は,「組立て家屋」を意匠の物品の区分の1つとして規定しているところ,「物品」に係る上記の解釈に照らせば,組立て後,使用される時点においては不動産として扱われる組立て家屋であっても,それより前の時点において,その構成部分を量産し,運搬して組み立てるなど,動産的に取り扱うこ とができるものである限り,同号が規定する「組立て家屋」に該当するというべきである。 本件についてこれをみるに,前記ア(イ)aのとおり,被告は,被告各建物を建築する上で枠組壁工法を採用しているから,前記 きるものである限り,同号が規定する「組立て家屋」に該当するというべきである。 本件についてこれをみるに,前記ア(イ)aのとおり,被告は,被告各建物を建築する上で枠組壁工法を採用しているから,前記ア(ア)で認定したところを併せ考えれば,被告各建物について,工場等で量産された 木材及び構造用合板を現場に運搬し,同所で組み立てて建築するという工程を経たことが推認される。このことは,前記ア(イ)bのとおり,被告各建物がいずれも3か月程度という短い工期で完成したことや,前記ア(ウ)のとおり,被告各建物がいずれも共通した形状を有していることによっても裏付けられるといえる。 以上によれば,被告各建物は,その建築工程等に照らし,使用される時点においては不動産として取り扱われるものの,それよりも前の時点においては,工業的に量産された材料を運搬して現場で組み立てるなど,動産的に取り扱うことが可能な建物であるから,「組立て家屋」に該当すると認められる。そして,被告各建物はいずれも被告製品1の構成態 様を備えているから,被告製品1についても,同様に,動産的に取り扱 うことができる建物と認められる。 したがって,被告製品1は,いずれも,「組立て家屋」として「物品」に該当するといえる。 (ウ) これに対し,被告は,被告各建物は,土地と合わせて不動産として販売されており,動産として流通させたものでもないから「物品」に該 当しないと主張する。しかしながら,被告各建物が動産的に取り扱うことが可能な建物であると認められることは,前記(イ)のとおりであるし,土地と一体として販売されたという事実によって,直ちにその動産としての性質が失われるものではないというべきである。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 )のとおりであるし,土地と一体として販売されたという事実によって,直ちにその動産としての性質が失われるものではないというべきである。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (エ) よって,被告製品1は,「組立て家屋」として意匠法2条1項の「物品」に該当するとともに,本件意匠に係る物品(本件意匠公報上の記載は「組立家屋」)と同一であると認められる。 ウ意匠に係る形状の類似性について(ア) 本件意匠と被告意匠との対比 a 共通点本件意匠と被告意匠とは,家屋の正面視において,地面と垂直に設けられた柱部及び地面と平行に設けられた梁部によって,略十字の模様が形成されているとの基本的構成態様において共通する。 また,両者は,具体的構成態様のうち,正面視において柱部が地面 と垂直にかつ家屋の1階床部から2階天井部の間に形成されている点(構成態様a及びa’),正面視において梁部が地面と平行にかつ家屋の左右両側の壁の間に形成されている点(構成態様b及びb’),正面視において梁部が柱部の略中央の高さにおいて,柱部を左右から挟むように形成されており,柱部と梁部によって,縦棒が横棒を貫通する ような略十字の模様が形成されている点(構成態様c1,c2及びc 1’,c2’),正面視において,柱部により縦棒に相当する縦長の矩形が形成されるとともに,この矩形は,横方向に順に接する,同矩形と高さが同一の3つの矩形からなり,両側の矩形の横幅は中央の矩形の横幅より長い点(構成態様d及びd’),正面視において,梁部により横棒に相当する横長の矩形が形成されるとともに,矩形は,縦方向 に順に接する,矩形と横幅が同一の3つの矩形からなり,両側の矩形の縦幅は中央の矩形の縦幅より長い点(構成態様e及びe’), 部により横棒に相当する横長の矩形が形成されるとともに,矩形は,縦方向 に順に接する,矩形と横幅が同一の3つの矩形からなり,両側の矩形の縦幅は中央の矩形の縦幅より長い点(構成態様e及びe’),柱部が,家屋の正面側壁面の前面(正面側)に,当該壁面から離れて形成されている点(構成態様f及びf’)及び梁部が柱部と家屋の正面側壁面との間に設けられた2階床部と接している点(構成態様g及びg’) がそれぞれ共通する。 b 差異点本件意匠においては,家屋の正面視において,柱部により形成される縦棒が,家屋の中心からやや左に外れた位置に配置されているのに対し,被告意匠においては,家屋の正面視において,柱部が中心から やや右または左に外れた位置に形成されているというものであるから,上記柱部により形成される縦棒が左寄りにある場合に限られるか,それとも,左寄りに限らず,右寄りにある場合も含まれるかという点に差異点がある(構成態様c1,c2及びc1’,c2’)。 なお,被告意匠の構成態様を有する被告各建物のうち,J建物につ いては,上記縦棒が左寄りに形成されているから,本件意匠の構成態様を全て満たすのに対し,H建物及びI建物については,上記縦棒が右寄りに形成されているから,本件意匠の構成態様c1及びc2を満たさないという差異点が存在する。 (イ) 本件意匠の要部 a 登録意匠と対比すべき相手方の製品に係る意匠とが類似であるか否 かの判断は,需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行う(意匠法24条2項)ものとされており,意匠を全体として観察することを要するが,この場合,意匠に係る物品の性質,用途及び使用態様,公知意匠にはない新規な創作部分の存否等を参酌して,取引者ないし需要者の最も注意をひきやすい部分を ており,意匠を全体として観察することを要するが,この場合,意匠に係る物品の性質,用途及び使用態様,公知意匠にはない新規な創作部分の存否等を参酌して,取引者ないし需要者の最も注意をひきやすい部分を意匠の要部として把握し, 登録意匠と相手方意匠とが,意匠の要部において構成態様を共通にしているか否かを重視して,観察を行うべきである。このことは,部分意匠においても異なるものではないというべきである。 b 前記イのとおり本件意匠に係る物品と被告意匠に係る物品はいずれも組立て家屋であること並びに別紙本件意匠公報の【使用状態を表す 参考図】及び被告各建物を紹介したウェブページの写真(甲4,5,14,15,248,249)において,木造の戸建て家屋の外観等が示されていることに照らせば,前記本件意匠及び被告意匠に係る各物品の需要者は,いずれも,木造の戸建て住宅の購入に関心がある一般消費者と認めるのが相当である。 そして,本件意匠は,家屋の正面視に,構成態様d及びeのように3つの矩形からなる柱部及び梁部を,構成態様c1のとおり,梁部が柱部を挟み込むようにして配置し,これにより,構成態様A及びc1のとおり,家屋の正面視に略十字の形状を作出するというものである。 また,構成態様f及びgのとおり,柱部は正面側壁面から離れて設置 され,梁部は2階床部と接している。本件意匠のこうした構成態様を踏まえて,本件意匠の機能的な特徴を検討すると,まず,梁部は,上記のとおり2階床部と接するように配置されているところ,別紙本件意匠公報記載の【E-E’断面図】のとおり,梁部に構成態様eのように形成される3つの矩形のうち,一番上の矩形のみが2階床部と接 するように設置され,一番下の矩形は2階床部とは接しておらず,こ れらの矩形に挟ま 図】のとおり,梁部に構成態様eのように形成される3つの矩形のうち,一番上の矩形のみが2階床部と接 するように設置され,一番下の矩形は2階床部とは接しておらず,こ れらの矩形に挟まれて形成される中央の矩形は空間をなしていることから,梁部は,家屋の構造上必須のものとして配置されるものではなく,専ら,柱部と相まって略十字を形成させ,かつ,上記略十字の形状を浮き出るように配置するなどというデザイン面を考慮して配置されたものであることが推認される。 同様に,柱部についてみても,別紙本件意匠公報記載の【C-C’断面図】,【F-F’断面図】及び【D-D’断面図】によれば,柱部と梁部が交差する箇所において2階床部と柱部の一部が接するほか,1階床部及び天井部と柱部の両端が接するものの,その他に家屋の構成部分と接する部分はない。また,上記各断面図によれば,柱部を構 成する左右の2つの矩形の断面は,正面視と平行な辺と比較して正面視と垂直な辺が短いという長方形をなしており,天井部分を支える構造物としては細すぎる。これらの事実によれば,柱部も,家屋の構造上必須のものとまでは認めがたく,主として上記のようなデザイン面を考慮して配置されたものであることが推認される。 また,本件意匠に係る物品は組立て家屋であるところ,家屋は,その性質上,家屋に出入りする際など,居住者や訪問者等が必ずその外観を目にすることから,居住に直接関係する内部の構造のみならず,その外観のデザインそのもの,特に通常玄関の存在する正面視のデザインが,看者である需要者の注意や関心をひくという側面もある。そ して,前記前提事実のとおり,原告は,本件意匠に係る意匠登録出願より前に,別紙引用意匠目録記載の建物を製造,販売等していたところ,同建物の正面視に 要者の注意や関心をひくという側面もある。そ して,前記前提事実のとおり,原告は,本件意匠に係る意匠登録出願より前に,別紙引用意匠目録記載の建物を製造,販売等していたところ,同建物の正面視には,本件意匠の柱部及び梁部に相当する縦棒及び横棒により略十字の形状が配されていたから,本件意匠の従前のものにはない特徴は,略十字の形状を有するという点のみならず,略十 字を形成する柱部及び梁部がそれぞれ上記のとおり3つの矩形からな っていることや,梁部が柱部を挟み込む態様によって梁部と柱部の交差部が形成されていることに存するといえる。 このように,意匠に係る物品である家屋の性質,用途及び使用態様,並びに公知意匠にはない新規な創作部分の存否等を総合すれば,本件意匠のうち,看者である需要者の注意を最もひく部分は,別紙本件意 匠目録記載の構成態様A及び構成態様aないしgにより特定された家屋の正面視の形状であり,これらの部分が本件意匠の要部であると認めるのが相当である。 (ウ) 差異点についての評価a 以上を踏まえて検討すると,前記(ア)bでみた両意匠の差異点,す なわち,柱部が形成されている位置が中心からやや左に外れた箇所であるか(本件意匠),それとも中心からやや右または左に外れた箇所であるか(被告意匠)という相違は,別紙本件意匠目録記載の構成態様A及び構成態様aないしgにより特定された家屋の正面視の形状に含まれることから,要部に関するものであるといえる。 しかしながら,上記の差異は,柱部の位置が家屋の正面視の中心から,左と右のいずれに外れているかという点に関するものにすぎず,柱部がその中心に位置するものではないという限りにおいては共通の形状となっている。 そして,柱部を家屋の中心からやや外れた箇所に位 から,左と右のいずれに外れているかという点に関するものにすぎず,柱部がその中心に位置するものではないという限りにおいては共通の形状となっている。 そして,柱部を家屋の中心からやや外れた箇所に位置することによ り,正面視において左右の対称性が欠ける形状となる結果,柱部を家屋の中心に配置する場合と比較して,看者に対し,より斬新さや独創性を感得させる効果を生じさせると考えられるところ,そのような効果は,柱部が中心からみて右寄りに位置するか,左寄りに位置するかによって,違いはないといえる。そうすると,柱部が右寄りに位置す るか,左寄りに位置するかという差異点は,要部に関するものではあ るが,本件意匠が看者に起こさせる美感に決定的な影響を与える差異であるということはできない。 以上を踏まえて,本件意匠と被告意匠の共通点及び差異点について検討するに,前記(ア)bの差異点は,本件意匠が看者に起こさせる美感に決定的な影響を与えるものではないのに対し,要部の大部分 において前記(ア)aの共通点がみられることから,両意匠は,差異点が共通点を凌駕するものではないというべきである。 b これに対し,被告は,H建物及びI建物の柱部及び梁部の断面図が「凹」の字状をなしており,柱部と梁部の間に空間が形成されないので,これらの建物の形状は本件意匠と類似しないと主張する。 しかしながら,H建物及びI建物のように,柱部及び梁部の断面が「凹」の字状の形状となっていても,家屋の正面視において柱部及び梁部に3つの矩形が形成されるという点においては何ら変わりがなく,家屋の正面を見る看者に起こさせる美感の内容に有意な差を生じさせないというべきである。 したがって,柱部及び梁部の断面が「凹」の字状であることは,本件意匠との差異 いては何ら変わりがなく,家屋の正面を見る看者に起こさせる美感の内容に有意な差を生じさせないというべきである。 したがって,柱部及び梁部の断面が「凹」の字状であることは,本件意匠との差異点であるとは認められないから,被告の上記主張は採用することができない。 c 以上の次第で,本件意匠と被告意匠の形状は,全体として需要者に一致した印象を与えるものであり,美感を共通にするというべき であるから,被告意匠の形状は本件意匠の形状に類似すると認められる。 エ小括以上によれば,本件意匠と被告意匠は,意匠に係る物品が同一であり,形状が類似することから,被告意匠は本件意匠に類似するものと認めら れる。 (2) 争点1-(2)(無効の抗弁の成否)についてア新規性の欠如の主張について(ア) 本件意匠と引用意匠との共通点本件意匠と引用意匠とを比較すると,家屋の正面視において,地面と垂直に設けられた柱部及び地面と平行に設けられた梁部によって略十字 の模様が形成されている点(構成態様A及びA”),柱部が地面と垂直にかつ家屋の1階床部から2階天井部の間に形成され,家屋の正面側壁面の前方(正面側)に,当該壁面から離れて形成されている点(構成態様a,f及びa”,f”),当該柱部は,家屋の中心からやや左に外れた位置に形成されている点(構成態様c1,c2及びc1”,c2”の各前 段)及び梁部が地面と平行にかつ家屋の左右両側の壁の間に形成され,柱部と家屋の正面側壁面との間に設けられた2階床部と接している点(構成態様b,g及びb”,g”)が共通すると認められる。 (イ) 本件意匠と引用意匠との差異点一方,本件意匠と引用意匠との間では,以下の各点において差異が あると認められる。 a 本件意匠は, 様b,g及びb”,g”)が共通すると認められる。 (イ) 本件意匠と引用意匠との差異点一方,本件意匠と引用意匠との間では,以下の各点において差異が あると認められる。 a 本件意匠は,正面視において,梁部が柱部を左右から挟むように形成され,梁部と柱部によって,縦棒が横棒を貫通するように,略十字の模様が形成されているのに対し,引用意匠は,正面視において,梁部が柱部と交差するように形成され,柱部と梁部によって,縦棒と横 棒が一体となった略十字の模様が形成されている(構成態様c1,c2及びc1”,c2”の各後段。以下「差異点①」という。)。 b 本件意匠は,正面視において,柱部により縦長の矩形が形成されるとともに,当該縦長の矩形は,横方向に順に接する,当該縦長の矩形と高さが同一の3つの矩形からなり,かつ,これら3つの矩形のうち 左右の2つの矩形の横幅は,左右の2つの矩形に挟まれた中央の矩形 の横幅より長いのに対し,引用意匠は,正面視において,柱部により縦長の矩形が1つ形成されるが,梁部により形成される横長の矩形と一体となっているため,独立した矩形を観念できない(構成態様d及びd”。以下「差異点②」という。)。 c 本件意匠は,正面視において,梁部により,柱部の左右に,それぞ れ横長の矩形が1つずつ形成されるとともに,当該横長の矩形はいずれも,縦方向に順に接する当該横長の矩形と横幅が同一の3つの矩形からなり,かつ,これら3つの矩形のうち上下の2つの矩形の縦幅は,上下の2つの矩形に挟まれた中央の矩形の縦幅より長いのに対し,引用意匠は,正面視において,梁部により,横棒に相当する横長の矩形 が1つ形成されているが,柱部により形成される縦長の矩形と一体となっているため,独立した矩形を観念できない(構成 いのに対し,引用意匠は,正面視において,梁部により,横棒に相当する横長の矩形 が1つ形成されているが,柱部により形成される縦長の矩形と一体となっているため,独立した矩形を観念できない(構成態様e及びe”。 以下「差異点③」という。)。 d 本件意匠は,梁部にひさし様の板が付属していないのに対し,引用意匠は,梁部から,家屋の正面側壁面の前方(正面側)に向かって, ひさし様の板が付属しており,梁部と当該板の長さの比は約7対4である(構成態様h”。以下「差異点④」という。)。 なお,被告は,差異点④の認定を争うが,引用意匠として主張されている家屋とは異なる家屋を指摘し,ひさし様の板が設置されていないものも存在していたと主張するのみであるから,引用意匠に基づく 新規性欠如の主張としては失当であるといわざるを得ず,同主張は採用することができない。 (ウ) 検討a 前記(ア)のとおり,引用意匠は,家屋の正面視において,地面と垂直に設けられた柱部及び地面と平行に設けられた梁部によって略十字 の模様が形成されているという基本的構成態様が共通するほか,柱部 及び梁部の設置個所に関して,具体的構成態様に共通点がある。 したがって,本件意匠に係る家屋を見た看者と,引用意匠に係る家屋を見た看者は,いずれも,その正面視において,柱部と梁部により,柱部が家屋の中心からやや左に外れるように形成された略十字の模様が,家屋の正面側壁面から浮き出るような格好で形成されているとい う限りにおいて,共通の美感を覚えるものと認められる。 b しかしながら,引用意匠と本件意匠との間には,前記(イ)のとおり,前記柱部及び梁部のデザイン及び柱部と梁部の交差する箇所の形状について4つの差異点が存在する。そこで,係る差異点が,看者に起こ b しかしながら,引用意匠と本件意匠との間には,前記(イ)のとおり,前記柱部及び梁部のデザイン及び柱部と梁部の交差する箇所の形状について4つの差異点が存在する。そこで,係る差異点が,看者に起こさせる美感に与える影響について検討する。 まず,差異点①のとおり,本件意匠では,梁部が柱部を挟むように配置されているため,柱部が家屋を上下に貫く外観を生じさせる。このため,柱部によって,家屋の正面を左右に二分割するという印象を生じさせる。これに対し,引用意匠は,上記のような配置がなされておらず,縦棒と横棒が一体となった略十字が形成されていることから, 家屋の正面を,上下左右に四分割するという印象を生じさせる。 次に,差異点②及び③のとおり,本件意匠においては,柱部及び梁部がそれぞれ3つの矩形から形成されている結果,看者に対し,メリハリの効いた,かつシャープな印象を与えるものといえる。これに対し,引用意匠は,柱部及び梁部に上記のような矩形は存在せず,1本 の太い棒状の構成要素を形成していることから,本件意匠の柱部及び梁部と比較して,のっぺりとした,かつ重みのある印象を与えるものといえる。 c このように,本件意匠と引用意匠とでは,前記aで説示した限りにおいて,看者が略十字の形状を感得するという共通点があるものの, 前記bで説示したところに照らせば,引用意匠について看者が感得す るのは,具体的には,家屋の正面視を4分割するような美感を与え,かつ,のっぺりとした重みのある印象を看者に与える略十字の形状であるのに対し,本件意匠について看者が感得するのは,家屋の正面を左右に2分割するような美感を与え,かつ,メリハリの効いたシャープな印象を看者に与える略十字の形状である。差異点①ないし③が生 じさせるこう し,本件意匠について看者が感得するのは,家屋の正面を左右に2分割するような美感を与え,かつ,メリハリの効いたシャープな印象を看者に与える略十字の形状である。差異点①ないし③が生 じさせるこうした意匠的効果の相違によって,看者が認識する略十字の形状は,本件意匠のものと引用意匠のものとで,質的に大きな差異が生じているといえる。そして,前記認定のとおり,柱部及び梁部のデザイン及び交差する箇所の形状は本件意匠の要部であるから,上記の本件意匠と引用意匠との形状の相違は要部についての相違である。 このような差異点①ないし③に加えて,本件意匠と引用意匠との間には,差異点④として,ひさしについても相違が存在することを併せ考えれば,本件意匠と引用意匠は,看者に対して,異なる美感を起こさせるものと認められる。 以上の次第で,本件意匠は引用意匠と同一であるとも,引用意匠と 類似しているとも認められないから,本件意匠権に意匠法3条1項1号,3号の無効理由があるとは認められない。 イ創作容易性の存在の主張について(ア) 意匠法3条2項は,物品との関係を離れた抽象的モチーフとして意匠登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若 しくは色彩又はこれらの結合を基準として,当業者が容易に創作をすることができる意匠でないことを登録要件としたものであることに照らすと,上記モチーフを基準として,その創作に当業者の立場からみた意匠の着想の新しさないし独創性があるものと認められない場合には,当業者が容易に創作をすることができた意匠に当たるものとして, 同項に係る無効理由が存するものと解するのが相当である(最高裁昭 和45年(行ツ)第45号同49年3月19日第三小法廷判決・民集28巻2号308頁,最高裁昭和48 たるものとして, 同項に係る無効理由が存するものと解するのが相当である(最高裁昭 和45年(行ツ)第45号同49年3月19日第三小法廷判決・民集28巻2号308頁,最高裁昭和48年(行ツ)第82号同50年2月28日第二小法廷判決・裁判集民事114号287頁参照)。 これを本件についてみると,本件意匠に係る出願当時に公知であった引用意匠は,正面視において,梁部が柱部と交差するように形成され, 柱部と梁部によって,縦棒と横棒が一体となった略十字の模様が形成されているものであって,かかる引用意匠と本件意匠との間には,前記ア(イ)のとおり,4つの差異点が存在する。 そして,本件意匠を構成する柱部及び梁部は,前記(1)ウ(イ)のとおり,家屋の機能上不可欠な構成要素とまでは認めがたく,主としてデザイン の観点から選択された構成要素であると認められるから,引用意匠の上記モチーフを基準として家屋の正面視に略十字の形状を配置する場合に,柱部及び梁部をどのように配置するか,略十字にいかなる形状を採用するか,柱部及び梁部にどのようなデザインを採用するかといった判断について,家屋の機能面から制約されるところは少なく,当業者は,新し い着想に基づく独創性を発揮する余地があるというべきである。実際に,本件意匠では,家屋の正面視に略十字を構成するように柱部及び梁部を配置するのみならず,梁部が該柱部を挟むように配置し(差異点①),柱部及び梁部自体にも,それぞれ3つの矩形を配置する(差異点②,③)という意匠上の創作が施されているところ,それによって,本件意匠と 引用意匠とでは,前記のア(ウ)のとおり,質的に異なる美感を看者に起こさせ,意匠的効果が大きく異なるに至っているから,本件意匠が創作される過程においては,独自性のある れによって,本件意匠と 引用意匠とでは,前記のア(ウ)のとおり,質的に異なる美感を看者に起こさせ,意匠的効果が大きく異なるに至っているから,本件意匠が創作される過程においては,独自性のある着想に基づく創意工夫が凝らされたものと認めることができる。 したがって,本件意匠を創作することは,家屋の設計を担当する当業 者において容易であったとまでは認められない。 (イ) この点,被告は,柱部及び梁部に形成される矩形が1つであるか,3つに分かれているかという差異は,材料が1本か2本かという単純な差異にすぎないとして,当業者にとって創作が容易であると主張する。 しかしながら,本件意匠のように略十字を構成する縦棒と横棒の意 匠を3つの矩形によって形成する形状については,直ちに単純であるとはいえない上,そのような形状が当業者によって容易に創作することができたといえるほどにありふれたものであることについては,これを認める足りる証拠がない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (ウ) 以上を総合すれば,本件意匠に関して,当業者において「容易に意匠の創作をすることができた」とは認められないから,本件意匠権に,意匠法3条2項の無効理由があるとは認められない。 (3) 争点1についての小括以上の次第で,被告が,組立て家屋である別紙被告製品目録1記載の建物 を製造,販売等する行為は,本件意匠権を侵害する。 2 争点2(不正競争行為の成否)について(1) 争点2-(1)(原告製品形態の「商品等表示」該当性)についてア認定事実前記前提事実,証拠(甲23ないし27,29,30ないし42,59 ないし94,164ないし180,189ないし195,213,218,243,244,乙 」該当性)についてア認定事実前記前提事実,証拠(甲23ないし27,29,30ないし42,59 ないし94,164ないし180,189ないし195,213,218,243,244,乙8ないし11,16,22)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 原告製品の形態前記前提事実(第2の2(3)イ)のとおり,原告製品1ないし同3 は,いずれも原告製品形態を有する。 (イ) 原告製品の販売及び宣伝広告の状況等a 販売状況前記前提事実(第2の2(3)ア)のとおり,原告は,原告製品1を平成20年4月から平成21年3月まで,原告製品2を同年4月から平成28年3月まで,原告製品3を同年4月から現在まで,それぞれ 製造,販売等している。 原告は,「BESS」のブランド名を用いて,原告製品をはじめとするログハウス調の木造家屋等の製造,販売等をしているところ,原告(原告の子会社及び「BESS地区販社」と呼ばれる関連会社を含む。以下この項において同じ。)は,岡山,広島,京都,滋賀及び兵 庫の各府県を始め,全国各地で,原告が製造,販売等する家屋のモデルハウスを展示する「暮らし体感展示場」又は「BESSLOGWAY」という名の販売拠点(展示場)を運営しており,平成30年10月現在,44か所の販売拠点が存在する。そのうち,原告製品形態を有する建物のモデルハウスが設置されている販売拠点は,広島県, 京都府及び滋賀県の販売拠点を始め,25か所存在し,原告製品形態を有する建物のモデルハウスが設置されている販売拠点の平成30年12月末日時点の新規来場者数は10万4441人を下らない。また,平成30年8月から令和元年7月までの販売拠点(原告製品形態を備える建物が展示されている拠点に限る。 置されている販売拠点の平成30年12月末日時点の新規来場者数は10万4441人を下らない。また,平成30年8月から令和元年7月までの販売拠点(原告製品形態を備える建物が展示されている拠点に限る。)への新規来場者数のう ち,被告各建物が所在する鳥取県の住民の来訪に係る数は,少なくとも7か所の拠点で合計25人であった。(甲29,166ないし168,213,218,243,244)そして,原告は,原告製品の販売を開始した平成20年4月から平成29年3月までの間に,原告製品を1727棟販売しており,その 売上高は320億7305円を下らない。また,原告は,同年4月か ら平成30年12月までの間に,原告製品を445棟販売し,その売上高は85億0767円を下らない。(甲30)b 原告製品に関する雑誌記事及び雑誌広告原告製品については,その特集記事が雑誌で組まれており,その記事の本数は,平成21年8月1日から,原告が周知性を獲得したと主 張する平成29年3月までの間,21本に及ぶ(甲32ないし42,171ないし180)。 また,原告は,原告製品形態を撮影した写真を見開き前面に乗せるなど,原告製品形態を強調した雑誌広告を雑誌に掲載した。原告製品の広告の掲載数は,平成26年4月11日から平成29年3月までの 間,50に及ぶ。(甲33ないし35,37,38,59ないし94,177,178,189ないし195)c 原告のホームページ及び製品カタログにおける広告原告は,少なくとも平成20年4月から平成29年3月までの間,「ワンダーデバイス」シリーズを紹介するウェブサイトを原告のホー ムページ内に設け,「フランクフェイス」を含む同シリーズの商品のコンセプトや外観,設備等について掲載している(甲164) の間,「ワンダーデバイス」シリーズを紹介するウェブサイトを原告のホー ムページ内に設け,「フランクフェイス」を含む同シリーズの商品のコンセプトや外観,設備等について掲載している(甲164)。 また,原告は,原告が製造,販売等する商品が掲載されたカタログを発行しており,その発行部数は,平成20年4月から平成29年3月までの間については22万3935部,平成29年4月から平成3 0年12月までの間については6万2409部であった(甲23ないし27,165)。 d 原告製品に関する顧客等の反応(a) 原告製品を購入した顧客は,Instagramにおいて,原告製品の正面視を含む外観を撮影した写真とともに,原告製品で過ご す日常に関する投稿をしている。この投稿は,平成29年2月から 平成30年8月までの間,少なくとも10件存在した。(甲31)(b) 原告は,平成30年7月11日,原告製品の居住者から,「鳥取市内で注文住宅を販売しているマキタホーム…がBESSのワンダーデバイスそっくりな家を売っています。加盟店でもなさそうなので,デザインの盗用かと思われますが,問題ありませんか?」と記 載されたメールを受信した(甲169)。 また,同月12日,ユーザー名を「(ユーザー名は省略)」とする氏名不詳者が,被告が販売する家屋が「ワンダーデバイス」シリーズの「ファントムマスク」に「酷似」している旨を述べる投稿及びコメントをInstagram上で行った(甲170)。 (ウ) 他の住宅の形態a 原告製品形態①ないし⑤の全部又は一部の形態を備える建物として,原告製品及び被告各建物の他に,以下の住宅が存在する。なお,その外観は,別紙他の住宅目録記載のとおりである。 (a) たけひろ建築工房が建築した「遊べ いし⑤の全部又は一部の形態を備える建物として,原告製品及び被告各建物の他に,以下の住宅が存在する。なお,その外観は,別紙他の住宅目録記載のとおりである。 (a) たけひろ建築工房が建築した「遊べる家」と称される注文住宅が 遅くとも平成24年4月には存在しており,その建物の正面部の形態は,原告製品形態①,③,④,⑤を備えていた(乙8,22)。 (b) 株式会社世文が建築した「デザイナーズ住宅:太陽光発電を設置したエコ住宅」と称される建物が遅くとも平成25年12月10日には存在しており,その建物の正面部の形態は,原告製品形態①な いし⑤を全て備えていた(乙9)。 (c) 株式会社トキワホームデザインが「デザイナーズハウス」と称して商品ラインナップのウェブページに掲げる建物の正面部の形態は,原告製品形態①,③,④,⑤を備えている。なお,当該ウェブページは,遅くとも平成25年12月10日には公開されていた。 (乙10) (d) 有限会社アーキ・フロンティアホームが建築した「キュービックハウス施工例 H邸」と称される建物が遅くとも平成26年3月13日には存在しており,その建物の正面部の形態は,原告製品形態①,③,④を備えていた(乙11)。 (e) ロケーションハウス株式会社が建築した「森林浴」と称される住 宅の建物が遅くとも平成26年3月13日には存在しており,その建物の正面部の形態は原告製品形態②ないし④を備えていた(乙16)。 b 以上の認定に対し,原告は,前記a(a)ないし(d)の建物について,縦長ないし横長の矩形の長さや太さを根拠として,変形「田」の字が 形成されていないことから,原告製品形態①を備えないと主張するとともに,原告製品形態①の変形「田」の字を形成していない以上,前記a( いし横長の矩形の長さや太さを根拠として,変形「田」の字が 形成されていないことから,原告製品形態①を備えないと主張するとともに,原告製品形態①の変形「田」の字を形成していない以上,前記a(b)及び(e)が原告製品形態②及び同⑤を,前記a(a)及び(c)が原告製品形態⑤を備えるものではないと主張する。 しかしながら,原告製品形態①は,「正面視において,左右の壁が 形成する2つの縦長の矩形,2階天井部が形成する1つの横長の矩形,地面と垂直に設けられた柱部,及び,地面と平行に設けられた梁部によって,変形『田』の字(『田』の字の4画目まで)が形成されている。」というものであって,縦長ないし横長の矩形の長さや太さについて具体的に特定するものではない。したがって,矩形の長 さや太さを根拠として原告製品形態①を備えるか否かを論じる原告の主張は,前記a(a)ないし(d)の建物が原告製品形態①を備えるとの認定を左右するものではない。 そうすると,原告製品形態①を備えないことを理由として前記a(a)ないし(c)及び(e)の建物が原告製品形態②,⑤を備えないとする 原告の上記主張も,前提を欠くものであって,採用することができ ない。 c なお,被告は,前記a(a)ないし(e)で認定した建物以外にも原告製品形態の全部又は一部を備える建物が存在すると主張する。しかしながら,前記a(a)ないし(e)の他に被告が指摘する建物は,柱部が2本存在するものや(乙12ないし15,乙20),正面視が変形 「田」の字のみで形成されたものではないものなど(乙17,18),いずれも原告製品形態とは明らかに異なる正面視の形状を有するものといわざるを得ず,これらの建物の存在を根拠とする被告の主張には理由がない。 イ原告製品の形態の商 はないものなど(乙17,18),いずれも原告製品形態とは明らかに異なる正面視の形状を有するものといわざるを得ず,これらの建物の存在を根拠とする被告の主張には理由がない。 イ原告製品の形態の商品等表示該当性 (ア) 商品の形態と商品等表示性不競法2条1項1号は,他人の周知な商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用することをもって「不正競争」に該当すると定めたものであるところ,その趣旨は,周知な商品等表示の有する出所表示機能を保護するため,周知な商品等表示に化体された他人の営業上の信用を自 己のものと誤認混同させて顧客を獲得する行為を防止することにより,事業者間の公正な競争を確保することにある。 同号にいう「商品等表示」とは,「人の業務に係る氏名,商号,商標,標章,商品の容器若しくは包装その他の商品または営業を表示するもの」をいうところ,商品の形態は,「商標」等と異なり,本来的には商品の 出所を表示する目的を有するものではないが,商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有するに至る場合がある。そして,このように商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有し,不競法2条1項1号にいう「商品等表示」に該当するためには,①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著 性),かつ,②その形態が特定の事業者によって長期間独占的に利用さ れ,又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により(周知性),需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていることを要すると解するのが相当である。 前記1(1)ウ(イ)bと同様に,ここでいう需要者についても,木造戸建て住宅の購入に関心がある一般消費者と認めるのが相当である。 ものとして周知になっていることを要すると解するのが相当である。 前記1(1)ウ(イ)bと同様に,ここでいう需要者についても,木造戸建て住宅の購入に関心がある一般消費者と認めるのが相当である。 (イ) 原告製品形態の特定性について被告は,原告製品形態の記載では,建物の正面の一部分のみが特定されているにすぎず,一般住宅の特定に必要な建物全体の形態や,屋根,柱等の建物の構成要素が具体的に明らかにされていないから,商品の形態が特定されていないと主張する。 しかしながら,そもそも,原告は,建物全体の形態が「商品等表示」(不競法2条1項1号)に当たると主張するものではなく,原告製品形態①ないし⑤の構成を有する建物の正面の形態が「商品等表示」に当たると主張するものである。 そして,原告製品形態の記載によって商品の形態が特定されているか を検討すると,まず,原告製品形態①ないし⑤によって,原告が「商品等表示」に当たるとする建物の形態が建物のうち正面の部分であると限定された上で,建物の正面の必須の構成要素をなす2階の天井部や左右の壁,正面側壁面等が存在することのみならず,上記天井部及び壁が矩形を形成するとともに,柱部(「田」の字の3画目の縦棒)及び梁部 (同4画目の横棒)が配置され,これらの矩形並びに縦棒及び横棒により変形「田」の字を形成することが明らかにされている。加えて,原告製品形態②は,上記柱部が家屋の中央からやや外れた位置に,上記梁部が上記柱部の略中央の高さにそれぞれ形成されることが示され,これによって,上記変形「田」の字が具体的にいかなる形態をなすものである かがより明確に表されている。以上のほか,原告製品形態③及び④によ って上記柱部及び上記梁部と家屋の正面側壁面等との位置関係が,原告 田」の字が具体的にいかなる形態をなすものである かがより明確に表されている。以上のほか,原告製品形態③及び④によ って上記柱部及び上記梁部と家屋の正面側壁面等との位置関係が,原告製品形態⑤によって家屋正面の構成要素の配色が,それぞれ明らかにされている。 このように,原告製品形態は,正面側壁面のほか,家屋の正面を構成する左右の壁,正面の壁面,天井部,柱部及び梁部等の構成要素並びに それらの配置等について記載されており,これによって,家屋の正面の形態は具体的に特定されているといえる。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (ウ) 原告製品形態の特別顕著性についてa 仮に,正面視が四角形をなす家屋がありふれたものであるとしても, 前記ア(ア)の原告製品形態を有する原告製品は,原告製品形態①及び②のとおり,正面視が四角形をなすものであることに加え,矩形の天井部及び左右の壁並びに縦棒の柱部及び横棒の梁部が配置されることによって,四角形をなす家屋の正面に変形「田」の字が構成されている。そして,原告製品形態③及び④のとおり,柱部及び梁部が正面側 壁面と離れて配置される結果,上記変形「田」の字が正面側壁面から浮き上がるように見える。さらに,原告製品形態⑤のとおり,上記変形「田」の字の部分は,背面に存在する壁面の色と異なる色が配されることとされる結果,上記変形「田」の字の部分と,正面側壁面の部分とが,色彩によっても区別できるようになる。 原告製品のこうした形態が組み合わされることにより,原告製品の正面を見る者において,原告製品の正面に変形「田」の字が配置されていることが容易に把握できるといえるところ,一般的な家屋において,四角形をなす家屋の正面に上記のような変形「田」の字が配置される の正面を見る者において,原告製品の正面に変形「田」の字が配置されていることが容易に把握できるといえるところ,一般的な家屋において,四角形をなす家屋の正面に上記のような変形「田」の字が配置されるとは限らないと考えられる。そうすると,原告製品の正面の形態 は,上記のような変形「田」の字の部分によって特徴づけられている ということができる。 b しかしながら,他方,前記ア(ウ)のとおり,原告製品の正面の形態に見られる前記aの特徴の全部又は一部を備えた家屋は,原告以外の者によっても製造,販売等されていることが認められる。 すなわち,原告において原告製品形態が商品等表示性を獲得したと 主張する平成29年3月までの時点において,Ⓐ原告製品形態全てを備える建物が少なくとも1棟(乙9),Ⓑ原告製品形態①,③,④,⑤を満たす建物が少なくとも2棟(乙8,乙10),Ⓒ原告製品形態②ないし④を満たす建物が少なくとも1棟(乙16),Ⓓ原告製品形態①,③,④を満たす建物が少なくとも1棟(乙11)存在する。 この点,上記Ⓑについては,原告製品の柱部に相当する縦棒が家屋の中央に存在するために,原告製品形態②を満たさないものの,正面に「田」の字を形成しているという点において,家屋の正面を見る者に同種の印象を与えるといえるのであって,他の原告製品形態を全て備えていることを併せ考えれば,いずれの家屋の正面視も原告製品形 態と類似するものといえる。 また,上記Ⓒについては,右の壁が縦長の矩形を形成していないこと等から前記①を満たさないほか,左の壁及び天井部と,変形「田」の字を構成するその余の辺の色とが異なるため,原告製品形態⑤を満たさないものの,右辺に配置された柱と,天井部,左の壁,縦長及び 横長の各矩形並びにこれらの配色 ,左の壁及び天井部と,変形「田」の字を構成するその余の辺の色とが異なるため,原告製品形態⑤を満たさないものの,右辺に配置された柱と,天井部,左の壁,縦長及び 横長の各矩形並びにこれらの配色により,需要者が正面視において変形「田」を感得することは比較的容易であって,その余の原告製品形態を全て備えることを併せ考えれば,原告製品形態と類似する正面視を有する家屋であるといえる。 そして,上記Ⓓについては,原告製品形態②及び⑤を満たさないも のではあるが,その余の原告製品形態により,原告製品と同様,正面 に「田」の字を感得させ得る構造を有しているのであって,原告製品形態と比較的類似したものといえる。 c このように,原告製品形態を有する建物を特徴づける構成,すなわち,その正面視の形態が「田」の字あるいは変形「田」の字を構成する建物は,従前,他にもみられたものであって,原告製品形態が商品 等表示性を獲得したと主張する時点より前の時点において,原告製品と類似する建物が前記bの数存在したことが認められる。そして,家屋という性質上,その数は決して少数ではないというべきである。 以上のような原告製品形態と同一又は類似の形態を有する建物が存在する状況に照らせば,原告製品形態は,その形態を個別にみても, これらの形態の組合せとしてみても,家屋の正面視に関する形態として,客観的に他の同種製品とは異なる顕著な特徴を有しているとまでは認められない。 (2) 争点2についての小括以上の次第で,争点2に関するその余の点について判断するまでもなく, 不競法に基づく原告の請求にはいずれも理由がない。 3 争点3(損害の発生及びその額)について(1) 侵害の行為により被告が受けた「利益」の額についてア認定事実 するまでもなく, 不競法に基づく原告の請求にはいずれも理由がない。 3 争点3(損害の発生及びその額)について(1) 侵害の行為により被告が受けた「利益」の額についてア認定事実前記前提事実,証拠(甲225,229の1,乙26ないし104) 及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) H物件の売買代金等被告は,H物件を2047万6652円(税抜)で顧客に販売した。 その際,H物件の販売価格のうち,H建物部分は1279万1852円(税抜)と,H土地部分は768万4800円と定められた。 被告は,H物件の販売に先立ち,H土地を293万7979円で購入 し,H建物の建築等費用として1266万9357円を支出した(乙26ないし104)。 (イ) I物件の売買代金等被告は,I物件を2448万3400円(税抜)で顧客に販売した。 その際,I物件の販売価格のうち,I建物部分は1270万7500 円(税抜)と,I土地部分は1177万5900円と定められた。 被告は,I物件の販売に先立ち,I土地を733万0599円で購入し,I建物の建築等費用として1272万2326円を支出した。 (ウ) 被告の事業形態被告は,土地を取得した上で,同土地上に建物を建築し,いわゆる 建売住宅として,土地と建物を一体として顧客に販売することがある一方,いわゆる注文住宅の販売も行っている(甲229の1)。 (エ) 固定資産評価額,公示価格及び実勢価格の関係一般に,固定資産評価額は公示価格の7割といわれ,また,不動産の実勢価格は,公示価格の1.1ないし1.2倍といわれている(甲 225)。 イ検討(ア) 意匠法39条2項の「利益」の意義についてa 意匠法39条2項は,意匠権者又は意 た,不動産の実勢価格は,公示価格の1.1ないし1.2倍といわれている(甲 225)。 イ検討(ア) 意匠法39条2項の「利益」の意義についてa 意匠法39条2項は,意匠権者又は意匠権の専用実施権者が,意匠権侵害によって被った損害の賠償を求めるに当たり,侵害者が侵害行 為によって利益を受けているときは,その利益の額を意匠権者又は意匠権の専用実施権者の損害額と推定するとして,立証の困難性の軽減を図った規定である。こうした趣旨に照らすと,同項所定の侵害行為により侵害者が受けた利益の額とは,原則として,侵害者が得た利益全額であると解するのが相当であって,このような利益全額について 同項による推定が及ぶと解すべきである。そして,同項の「利益」の 額は,侵害品の売上高から,侵害者において侵害品を製造販売することによりその製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利益の額であり,その主張立証責任は意匠権者側にあるものと解すべきである。 b 本件についてこれをみるに,本件意匠権の物品は組立て家屋である から,本件意匠権を侵害する行為は,組立て家屋の譲渡等であり,侵害品は組立て家屋である。したがって,被告が本件意匠権を侵害することによって受けた「利益」を算定する際には,組立て家屋を製造,販売するなどしたことにより被告が受けた限界利益の額と認めるのが相当である。 これに対し,原告は,H物件及びI物件の製造,販売による,意匠法39条2項の「利益」を算定するに当たっては,建物のみならずこれと一体として売却された土地の販売利益をも考慮に入れるべきであると主張する。 しかしながら,土地及び建物は常に一体として販売されるとは限ら ず,いわゆる注文住宅を建築する場合のように,施主が と一体として売却された土地の販売利益をも考慮に入れるべきであると主張する。 しかしながら,土地及び建物は常に一体として販売されるとは限ら ず,いわゆる注文住宅を建築する場合のように,施主がまず土地に係る売買契約を締結し,その後,同土地上の建物の建築請負契約を締結するなど,土地と建物が個別に取引の対象とされることも広く行われているから,土地と建物が類型的に見て一体として取引されるとまではいえない。本件において,H物件及びI物件は,いずれも土地と建 物が一体として販売されているものの,前記ア(ウ)のとおり,被告は,必ずしも建売住宅の販売に特化した事業を行っていたものではなく,注文住宅の建築を請け負ってもいたものであり,被告において土地と建物を一体として取引することが常態であったとまでは認められない。 そうすると,本件意匠権の侵害について,意匠法39条2項の 「利益」を算定するに当たっては,H建物及びI建物の販売利益の みを対象として算定すべきであり,これらに加えてH土地とI土地の販売利益をも対象として「利益」の額を算定することは相当でないというべきである。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 (イ) H建物及びI建物の販売利益の額について 以上説示したところを前提に,被告が受けた「利益」の額について検討する。 a 被告による意匠権侵害行為により被告が受けた「利益」は,H建物及びI建物を販売したことにより被告が受けた限界利益の額と認められる。 b(a) ところで,意匠権の侵害品とそうでない物品が同時に譲渡等された場合において,そのうち侵害品の売上高を認定するに当たっては,第一次的には上記譲渡等の当事者間で合意された販売額の内訳によるとしても,侵害者が侵害品に付した価 品とそうでない物品が同時に譲渡等された場合において,そのうち侵害品の売上高を認定するに当たっては,第一次的には上記譲渡等の当事者間で合意された販売額の内訳によるとしても,侵害者が侵害品に付した価格が不当に低い場合には,侵害者が付した価格によらず,客観的価格によって被告の受けた利 益を算定すべきである。これに対し,被告は,当事者が販売価格の内訳を定めている以上,係る合意に基づき販売価格が認定されるべきである旨を主張する。しかしながら,侵害品と非侵害品が同時に取引される場合において,常に,当事者間で合意された販売価格の内訳に従って侵害品の売上高を認定することとすると,侵害者にお いて,侵害品と非侵害品の価格の内訳を変更することにより,意匠法39条2項により推定される「利益」を恣意的に減額することが可能となり,立証の負担を軽減して権利者の保護を図るという同項の立法趣旨を没却することとなり,相当ではない。したがって,被告の上記主張を採用することはできない。 (b) 本件においては,前記ア(ア)及び(イ)のとおり,H物件の販売価格 計2047万6652円(税抜)のうち,H建物部分は1279万1852円(税抜)と,H土地部分は768万4800円と定められ,I物件の販売価格計2448万3400円(税抜)のうち,I建物部分は1270万7500円(税抜)と,I土地部分は1177万5900円と定められた。しかしながら,係る内訳に基づき, 土地取得費用ないし建物建築等費用を差し引いて販売利益(限界利益)の額を算定すると,H土地の販売利益が474万6821円であるのに対し,H建物の販売利益は12万2495円となり,I土地の販売利益が444万5301円であるのに対し,I建物については1万4826円の損失が生じることと 土地の販売利益が474万6821円であるのに対し,H建物の販売利益は12万2495円となり,I土地の販売利益が444万5301円であるのに対し,I建物については1万4826円の損失が生じることとなる。このように,被告 がH物件及びI物件で付した内訳額によれば,建物については販売利益が生じないか,むしろ損失が生じるのに対し,土地についてはいずれも400万円を超える利益を生じることとなり,土地の販売利益と建物の販売利益の額には大きな差がある。 また,後記のように,H土地の客観的価格は460万8484円, I土地の客観的価格は724万7500円と認められるところ,被告が主張する内訳に基づくH土地及びI土地の価格は客観的価格から大きくかい離している。 それのみならず,上記内訳によれば,H建物からはほとんど販売利益が生じず,I建物に至っては,建築によってかえって損失が生 じることとなり,販売利益がほとんど生じないか,赤字が生じるような価格による建物建築の請負契約を締結したという結果となるが,そのような内訳としたことについて,被告は,何ら合理的な説明をしない。 以上に照らせば,被告がH建物及びI建物に付した販売価格は不 当に低いというべきであるから,被告が受けた「利益」を算定する に当たっては,被告が付した価格によらず,客観的価格によるのが相当である。 c そこで,H建物及びI建物の客観的価格について検討する。 (a) この点,H建物の客観的価格は,H物件の販売価格の合計から,H土地の客観的価格(実勢価格と同義である。以下,土地につき同 じ。)を控除することによって求めることができ,かかる額からさらにH建物の建築等費用を控除することによって,被告がH建物の譲渡等により受けた限界利益,すなわち意匠 義である。以下,土地につき同 じ。)を控除することによって求めることができ,かかる額からさらにH建物の建築等費用を控除することによって,被告がH建物の譲渡等により受けた限界利益,すなわち意匠法39条2項にいう「利益」の額を算出することができる。I建物の「利益」の額も,同様である。 (b) まず,H土地の客観的価格を算出するに,証拠(甲223,224)及び弁論の全趣旨によれば,H土地の地番は(地番は省略),地積は159.07平方メートルと認められるところ,同地番の土地の固定資産評価証明書(甲222)によれば,同土地の1平方メートル当たりの固定資産評価額は1万6900円であるから,これ にH土地の地積(159.07平方メートル)を掛けて求めた固定資産評価額は268万8283円となる。そして,同額から公示価格を算定する(前記ア(エ)に照らし,同額を0.7で割り戻す。)と,384万0404円となり,公示価格から客観的価格を算定する(前記ア(エ)に照らし,同額に1.2を掛ける。)と,460万84 84円となる。よって,H土地の客観的価格は,同額と認められる。 そして,H物件の販売価格(税抜)である2047万6652円から,460万8484円及びH建物の建築等費用である1266万9357円(税抜)を控除すると,319万8811円となるから,同額がH建物の譲渡等により被告が受けた「利益」の額と認め られる。 (c) 次に,I土地の客観的価格を算出する。I土地は,I1の土地の一部とI2の土地の一部から構成され,その敷地面積は114.51平方メートルである(甲233)。I土地の一部を構成するI1の土地に係る固定資産評価証明書(甲232)によれば,I1の土地の1平方メートル当たりの固定資産評価額は3万 れ,その敷地面積は114.51平方メートルである(甲233)。I土地の一部を構成するI1の土地に係る固定資産評価証明書(甲232)によれば,I1の土地の1平方メートル当たりの固定資産評価額は3万6920円であ り,弁論の全趣旨によれば,I1の土地とI2の土地は隣接し,かつ,証拠(甲232,乙68の1)によれば,いずれも地目が宅地であって同一であるから,I2の1平方メートル当たりの固定資産評価額も同額であることが推認される。したがって,I土地(114.51平方メートル)の固定資産評価額は,422万7709円 となる。そして,同額から公示価格を算定すると,603万9584円となり,公示価格から客観的価格を算定すると,724万7500円となる。 そして,I物件の販売価格(税抜)である2448万3400円から,724万7500円及びI建物の建築等費用である1272 万2326円を控除すると,451万3574円となるから,同額がI建物の譲渡等により被告が受けた「利益」の額と認められる。 なお,以上の認定によると,被告はI土地の取得費用として733万0599円を要しており,これは,同土地の客観的価格である724万7500円を8万3099円上回る。しかしながら,I土 地の取得費用として被告が挙げる内訳をみると,土地の分筆・合筆登記等費用(乙71)として23万6713円を要していること,被告が固定資産税の精算金を支出していることが認められるから,算出されたI土地の客観的価格が,被告が主張するI土地の取得費用をわずかに上回ったとしても,その一事をもって,I土地の客観 的価格の算定に関する上記計算過程の合理性が否定されるものでは ない。 ウ小括以上の次第で,被告が本件意匠権に関する意匠権侵害行為によ しても,その一事をもって,I土地の客観 的価格の算定に関する上記計算過程の合理性が否定されるものでは ない。 ウ小括以上の次第で,被告が本件意匠権に関する意匠権侵害行為により得た「利益」の額は,H物件の限界利益の額(319万8811円)と,I物件の限界利益の額(451万3574円)の合計額である771万2 385円であると認められる。 (2) 推定の覆滅事由の存否についてア販売地域及び需要者の競合について前記2(1)ア(イ)のとおり,原告は,岡山,広島,京都,滋賀及び兵庫に販売拠点を設置・運営しているところ,鳥取市からこれらの販売拠点を訪 れることは,公共交通機関ないし自家用車を利用することにより,十分に可能であるといえる。また,本件意匠の構成態様は原告製品形態に包摂される内容であること,前記第2の2(3)のとおり,原告は,平成28年4月に「フランクフェイス」モデルを原告製品3へモデルチェンジしたこと,原告製品形態を有する建物のモデルハウスが設置されている販売拠点のう ち少なくともBESS広島及びBESS久御山については,本件意匠の構成態様を備えた建物がモデルハウスとして設置されていること(甲166,167)に照らすと,モデルハウスに設置された原告製品形態を有する建物は,本件意匠の構成態様をすべて備えていることが推認されるところ,前記2(1)ア(イ)のとおり,原告製品形態を有する建物,すなわち本件意匠 権が実施されている建物のモデルハウスが設置されている販売拠点を訪れた鳥取県の住民が少なくとも25人存在する。さらに,鳥取市内には,本件意匠権が実施された建物か否かは判然としないものの,原告の製品である建物を購入した顧客が令和2年3月16日の時点で8名存在する(甲241)。これら なくとも25人存在する。さらに,鳥取市内には,本件意匠権が実施された建物か否かは判然としないものの,原告の製品である建物を購入した顧客が令和2年3月16日の時点で8名存在する(甲241)。これらの事情を総合すれば,原告と被告の製品(建物)の販売が, 鳥取市内で競合していないとまでは認められない。 この点,被告は,原告がターゲットとしているのは,セカンドハウスを所有したり,生活上の必要に駆られずとも住宅を購入したりする余裕のある,自然派志向の富裕層であると主張する。 しかしながら,本件証拠上,原告製品を購入した顧客がインスタグラムに投稿した記事や原告製品のパンフレット等での紹介事例のうち,セカン ドハウスである購入事例は認められず,かえって,原告製品が,福岡県北九州市など,都市部において販売された事例が存在すること(甲247),原告が販売する製品の93ないし94パーセントは自宅保有目的であること(甲243,244)が認められる。加えて,被告は,J物件を紹介するブログの記事において,「アウトドア風」という用語を用いて物件の魅 力を宣伝していることから(甲248),被告が販売する建物の中には,自然に近い住環境が実現できることが長所であるものが存在することが認められる。しかも,原告が販売する「フランクフェイス」の鳥取市内における標準価格(本体価格)は,平成28年4月から平成30年10月まで1703万円ないし1971万円であるところ(甲30),H土地の客観 的価値から算定されるH建物の販売価格が1586万8166円(H建物の建築等費用1266万9357円と限界利益の額319万8809円の合計額)と,I物件の同販売価格が1723万5900円(I建物の建築等費用1272万2326円と限界利益の額451万357 (H建物の建築等費用1266万9357円と限界利益の額319万8809円の合計額)と,I物件の同販売価格が1723万5900円(I建物の建築等費用1272万2326円と限界利益の額451万3574円の合計額)とそれぞれ認められることと比較すれば,原告の製品と被告の製品の需要 者が異なるほどの価格の差が存在するとはいい難い。これらの事情を総合すれば,原告と被告の製品の需要者の層に相違があるとはいえず,被告の上記主張は,採用することができない。 したがって,販売地域及び需要者が競合していないことを意匠法39条2項の推定覆滅事情として考慮することはできない。 イ本件意匠の寄与度について前記(1)イのとおり,意匠法32条2項の「利益」は,H建物及びI建物の建物全体に係る販売利益が原告の損害と推定されるものの,本件意匠は部分意匠であり,意匠の対象となっているのは,建物の外観のうち,正面視に係る部分であるから(別紙本件意匠公報の【正面図】参照),本 件意匠の上記販売利益に対して寄与していない部分については,上記の推定が覆滅される。 そこで,本件意匠の特徴を検討すると,本件意匠は,建物の正面視を構成する柱部及び梁部によって形成される略十字部分であって,本件意匠が建物の正面視を占める面積は少なく,建物の外観全体に占める面積は より一層少ない。他方,木造戸建て住宅の外観のうち,看者が最も注目するのは正面視の外観であり,このことは,販売する建物を宣伝ないし広告する際には,主として当該建物の正面の写真ないし画像が使用されることからもうかがわれるところである。現に,住宅の購入の理由にはデザインも相当程度寄与している旨の調査結果も存在する(甲251)。 そして,原告は,原告製品のうち正面視を大写しにした写 されることからもうかがわれるところである。現に,住宅の購入の理由にはデザインも相当程度寄与している旨の調査結果も存在する(甲251)。 そして,原告は,原告製品のうち正面視を大写しにした写真を用いた雑誌広告を数多く掲載したり,製品カタログにおいて,本件意匠の実施部分を「クロスしたトリムラインが印象的な,来る者拒まずのオープンなフェイス」などと表現していることからも明らかなとおり(甲26,27),本件意匠の実施部分を特に注記して,原告製品の宣伝広告活動をし たりしていることが認められる。加えて,原告製品の購入者は,原告製品の正面視を映した写真とともに,インスタグラムに記事を投稿している。以上からすれば,原告が販売する「フランクフェイス」の販売に対しては,その外観,とりわけ正面視の形状が一定程度寄与していると認められ,かつ,当該正面視の形状を特徴づけているのが本件意匠である ことからすると,本件意匠自体もまた,上記販売に寄与する面があると 認められる。 もっとも,上記のとおり,本件意匠は,原告製品全体を占めるものではなく,このことは,侵害品であるH建物及びI建物も同様である。そうすると,本件意匠の侵害部分がH建物及びI建物の販売に寄与しているとしても,その寄与の度合いを認定するに当たっては,同部分がH建物 及びI建物の外観の一部を占めるにすぎないことをしん酌するのが相当である。加えて,需要者は,住宅を購入することを,建物の外観のデザインのみによって決定するものではなく,立地,間取り,価格,屋内設備等の仕様などを総合的に考慮して決定するものであると認められる(甲251)。以上に加え,H物件及びI物件の購入者が,被告の申出に 応じて,柱部を撤去する工事に同意したことをも併せ考えると,本件意匠が, どを総合的に考慮して決定するものであると認められる(甲251)。以上に加え,H物件及びI物件の購入者が,被告の申出に 応じて,柱部を撤去する工事に同意したことをも併せ考えると,本件意匠が,被告が受けた利益の全額に寄与したとは認められないから,当該寄与をしていない部分については,意匠法39条2項の推定覆滅事情として認めるのが相当である。 そして,以上の諸事情を総合すれば,本件意匠が被告の利益に与えた寄 与度は10パーセントと認めるのが相当であり,その余の90パーセントについて上記の推定が覆滅されるというべきである。 ウ小括したがって,被告の意匠権侵害行為により,被告が受けた「利益」の額は,77万1238円と認められるから,意匠法39条2項により,同 額が,原告が受けた損害の額と推定される。 (3) 弁護士費用について原告は,本件訴訟の追行等を弁護士に依頼したところ,被告の意匠権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は8万円と認めるのが相当である。 (4) 争点3についての小括 以上の次第で,原告の損害の発生の有無及びその額に関する原告の主張 は,被告の受けた「利益」の額である77万1238円と弁護士費用8万円の合計額である85万1238円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限りにおいて,理由がある。 4 争点4(差止め等の必要性)について(1) 差止めの必要性について 証拠(乙1ないし3)によれば,被告は,被告各建物を製造,販売等する行為が意匠権侵害及び不正競争に当たる行為である旨などが記載された原告の平成30年7月25日付け通知書を受領したことを受けて,遅くとも平成30年10月5日までには,被告各建物について,建物の正面視に位置する柱部を撤去する工事を完了したことが る旨などが記載された原告の平成30年7月25日付け通知書を受領したことを受けて,遅くとも平成30年10月5日までには,被告各建物について,建物の正面視に位置する柱部を撤去する工事を完了したことが認められる。 しかしながら,前記1(1)イ(イ)のとおり,被告製品1は,枠組壁工法により,工場において量産が可能な建材を用いて建築される組立て家屋であるから,いったん製造,販売等を中止したとしても,その再開はさほど困難ではないと推認される。また,被告は,本件において,本件意匠と被告製品1の意匠との類否を争うとともに,本件意匠権は無効であると主張して,本件意 匠権の侵害を争っている。そうすると,上記のとおり,被告が,被告各建物の柱部を除却する工事を完了したことを考慮しても,現時点において,被告において再び被告製品1を製造,販売等し,もって本件意匠権を侵害するおそれがあると認められる。 そして,本件意匠権は組立て家屋である建物の正面視に関する部分意匠で はあるが,当該部分意匠の実施部分を含む建物の正面は,建物の全体と一体をなすものであるから,本件意匠権を侵害する建物の全体について,製造,販売等の差止めをする必要性があるというべきである。 したがって,本件においては,原告が被告に対して被告製品1の製造,販売等の差止めを求める必要性があるものと認められる。 (2) 建物の除去の必要性について原告による別紙被告製品目録1記載の建物の除去請求は,意匠法37条2項に基づき,「侵害の行為を組成した物品」の廃棄を請求するものと解される。 この点,被告各建物を製造,販売等する行為は本件意匠権を侵害するもの であるところ,そのうち,H建物及びI建物は既に顧客に販売されたから,それらの所有権は当該各顧客に移転した のと解される。 この点,被告各建物を製造,販売等する行為は本件意匠権を侵害するもの であるところ,そのうち,H建物及びI建物は既に顧客に販売されたから,それらの所有権は当該各顧客に移転したと認められる。 また,J建物については,前記(1)のとおり,被告がその正面視の柱部に当たる構成部分を除去する工事を完了したことにより,J建物に係る意匠は,本件意匠と同一であるとも,類似であるともいえなくなったと認められる。 そして,本件全証拠によっても,現時点において,被告が所有及び占有する被告製品1が存在することは認められない。 以上によれば,被告製品1の除去に係る原告の請求は理由がないというべきである。 (3) 争点4についての小括 以上の次第で,意匠法37条1項及び2項に基づく差止め等の請求については,同条1項に基づき被告製品1の製造,販売等の差止めを求める部分の限りにおいて,理由がある。 5 結論よって,原告の請求のうち,意匠法37条1項に基づき,別紙被告製品目録 1記載の建物の製造,販売等の差止めを求める部分は理由があるから認容し,民法709条,意匠法38条2項に基づき損害賠償を求める部分は85万1238円及びこれに対する平成30年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからその限度で認容し,その余は理由がないからいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 國分隆文 裁判官 矢野紀夫 裁判官 佐 々 木亮 別紙一覧 被告製品目録1被告製品目録2原告製品目録本件意匠公報本件意匠目録原告製品形態目録引用意匠目録被告各建物目録他の住宅目録 以上(別紙被告各建物目録及び別紙他の住宅目録は省略) (別紙)被告製品目録 1 次の基本的構成態様及び具体的構成態様を有する建物(一例として,正面視において後記参考画像甲又は乙の形状を示すもの)。 1 基本的構成態様A’家屋の正面視において,地面と垂直に設けられた柱部及び地面と平行に設けられた梁部によって,略十字の模様が形成されている。 2 具体的構成態様a’正面視において,柱部は,地面と垂直に,かつ,家屋の1階床部から2階天井部の間に形成されている。 b’正面視において,梁部は,地面と平行に,かつ,家屋の左右両側の壁の間に形成されている。 c1’正面視において,前記柱部は,家屋の中心からやや右又は左に外れた位置に形成され,前記梁部は,前記柱部の略中央の高さにおいて,前記柱部を左右から挟むように形成されており,c2’正面視において,前記柱部と前記梁部によって,縦棒が横棒の中心からやや右又は左に外れた位置にあり,かつ,前記縦棒が前記横棒を貫通する において,前記柱部を左右から挟むように形成されており,c2’正面視において,前記柱部と前記梁部によって,縦棒が横棒の中心からやや右又は左に外れた位置にあり,かつ,前記縦棒が前記横棒を貫通するような略十字の模様が形成されている。 d’正面視において,前記柱部により(前記縦棒に相当する)縦長の矩形が形成されるとともに,当該縦長の矩形は,(横方向に)順に接する(当該縦長の矩形と高さが同一の)3つの矩形からなり,かつ,これら3つの矩形のうち左右の2つの矩形の横幅は,(左右の2つの矩形に挟まれた)中央の矩形の横幅より長い。 e’正面視において,前記梁部により,前記柱部の左右に,それぞれ(前記横 棒に相当する)横長の矩形が1つずつ形成されるとともに,当該横長の矩形はいずれも,(縦方向に)順に接する(当該横長の矩形と横幅が同一の)3つの矩形からなり,かつ,これら3つの矩形のうち上下の2つの矩形の縦幅は,(上下の2つの矩形に挟まれた)中央の矩形の縦幅より長い。 f’前記柱部は,家屋の正面側壁面の前方(正面側)に,当該壁面から離れて形成されている。 g’前記梁部は,前記柱部と家屋の正面側壁面との間に設けられた2階床部と接している。 参考画像甲 参考画像乙(甲を左右反転したもの) 以上 (別紙)被告製品目録 2 次の形態を有する建物(一例として,正面視において後記参考画像甲又は乙の形態を示すもの)。 ①’正面視において,左右の壁が形成する2つの縦長の矩形,2階天井部が形成する1つの横長の矩形,地面と垂直に設けられた柱部,及び,地面と平行に設けられた梁部によって,変形「田」の字(「田」の字の4画目まで)が形成されている。 ②’正面視において,前記柱部は, 部が形成する1つの横長の矩形,地面と垂直に設けられた柱部,及び,地面と平行に設けられた梁部によって,変形「田」の字(「田」の字の4画目まで)が形成されている。 ②’正面視において,前記柱部は,家屋の中心からやや右又は左に外れた位置に形成され,前記梁部は,前記柱部の略中央の高さに形成され,これによって,変形「田」の字の縦棒(「田」の字の3画目)が横棒(同4画目)の中心からやや右又は左に外れた位置にある。 ③’前記柱部は,家屋の正面側壁面の前面(正面側)に,当該壁面から離れて形成されている。 ④’前記梁部は,前記柱部と家屋の正面側壁面との間に設けられた2階床部と接している。 ⑤’前記変形「田」の字を形成する3つの矩形,柱部及び梁部は,いずれも同一色であり,かつ,家屋の正面側壁面の色とは異なる。 参考画像甲 参考画像乙(甲を左右反転したもの) 以上 (別紙)原告製品目録 1 モデル名:トリムフェイス販売時期:平成20年4月から平成21年3月まで 2 モデル名:フランクフェイス販売時期:平成21年4月から平成28年3月まで 3 モデル名:フランクフェイス販売時期:平成28年4月から現在まで 以上 (別紙)本件意匠公報 以上 (別紙)本件意匠目録 1 基本的構成態様A 家屋の正面視において,地面と垂直に設けられた柱部及び地面と平行 以上 (別紙)本件意匠目録 1 基本的構成態様A 家屋の正面視において,地面と垂直に設けられた柱部及び地面と平行に設けられた梁部によって,略十字の模様が形成されている。 2 具体的構成態様a 正面視において,柱部は,地面と垂直に,かつ,家屋の1階床部から2階天井部の間に形成されている。 b 正面視において,梁部は,地面と平行に,かつ,家屋の左右両側の壁の間に形成されている。 c1 正面視において,前記柱部は,家屋の中心からやや左に外れた位置に形成され,前記梁部は,前記柱部の略中央の高さにおいて,前記柱部を左右から挟むように形成されており,c2 正面視において,前記柱部と前記梁部によって,縦棒が横棒の中心からやや左に外れた位置にあり,かつ,前記縦棒が前記横棒を貫通するような略十字の模様が形成されている。 d 正面視において,前記柱部により(前記縦棒に相当する)縦長の矩形が形成されるとともに,当該縦長の矩形は,(横方向に)順に接する(当該縦長の矩形と高さが同一の)3つの矩形からなり,かつ,これら3つの矩形のうち左右の2つの矩形の横幅は,(左右の2つの矩形に挟まれた)中央の矩形の横幅より長い。 e 正面視において,前記梁部により,前記柱部の左右に,それぞれ(前記横棒に相当する)横長の矩形が1つずつ形成されるとともに,当該横長の矩形はいずれも,(縦方向に)順に接する(当該横長の矩形と横幅が同一の)3つの矩形からなり,かつ,これら3つの矩形のうち上下の2つの矩形の縦幅 は,(上下の2つの矩形に挟まれた)中央の矩形の縦幅より長い。 f 前記柱部は,家屋の正面側壁面の前面(正面側)に,当該壁面から離れて形成されている。 g 前記梁部は,前 の矩形の縦幅 は,(上下の2つの矩形に挟まれた)中央の矩形の縦幅より長い。 f 前記柱部は,家屋の正面側壁面の前面(正面側)に,当該壁面から離れて形成されている。 g 前記梁部は,前記柱部と家屋の正面側壁面との間に設けられた2階床部と接している。 以上 (別紙)原告製品形態目録 ① 正面視において,左右の壁が形成する2つの縦長の矩形,2階天井部が形成する1つの横長の矩形,地面と垂直に設けられた柱部,及び,地面と平行に設けられた梁部によって,変形「田」の字(「田」の字の4画目まで)が形成されている。 ② 正面視において,前記柱部は,家屋の中心からやや外れた位置に形成され,前記梁部は,前記柱部の略中央の高さに形成され,これによって,変形「田」の字の縦棒(「田」の字の3画目)が横棒(同4画目)の中心からやや外れた位置にある。 ③ 前記柱部は,家屋の正面側壁面の前面(正面側)に,当該壁面から離れて形成されている。 ④ 前記梁部は,前記柱部と家屋の正面側壁面との間に設けられた2階床部と接している。 ⑤ 前記変形「田」の字を形成する3つの矩形,柱部及び梁部は,いずれも同一色であり,かつ,家屋の正面側壁面の色とは異なる。 以上 (別紙)引用意匠目録 第1 外観 第2 構成態様 1 基本的構成態様A”家屋の正面視において,地面と垂直に設けられた柱部及び地面と平行に設けられた梁部によって,略十字の模様が形成されている。 2 具体的構成態様a”正面視において,柱部は,地面と垂直に,かつ,家屋の1階床部から2階天井部の間に形成されている。 b”正面視において,梁部は,地面と平行に,かつ,家屋の左右両側の壁の間に 成態様a”正面視において,柱部は,地面と垂直に,かつ,家屋の1階床部から2階天井部の間に形成されている。 b”正面視において,梁部は,地面と平行に,かつ,家屋の左右両側の壁の間に形成されている。 c1”正面視において,前記柱部は,家屋の中心からやや左に外れた位置に形成され,前記梁部は,前記柱部の略中央の高さにおいて,前記柱部と交差するように形成されており,c2”正面視において,前記柱部と前記梁部によって,縦棒が横棒の中心からやや左に外れた位置にあり,かつ,前記縦棒が前記横棒と一体となった略十字の模様が形成されている。 d”正面視において,前記柱部により(前記縦棒に相当する)縦長の矩形が1つ形成されているが,前記梁部により形成される横長の矩形と一体となっているため,独立した矩形を観念できない。 e”正面視において,前記梁部により,(前記横棒に相当する)横長の矩形が1つ形成されているが,前記柱部により形成される縦長の矩形と一体となっているため,独立した矩形を観念できない。 f”前記柱部は,家屋の正面側壁面の前方(正面側)に,当該壁面から離れて形成されている。 g”前記梁部は,前記柱部と家屋の正面側壁面との間に設けられた2階床部と接している。 h”前記梁部から,家屋の正面側壁面の前方(正面側)に向かって,ひさし様の板がせり出しており,梁部と当該板の長さの比は約7対4である。 以上
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