主文 被告人を懲役1年6月に処する。 未決勾留日数中130日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,分離前相被告人A及び同B並びにC,D,E,F及びGと共謀の上,平成15年6月21日午前2時30分ころ,福岡県豊前市大字Ha番地のb所在のH港G建物上屋南方の岸壁において,ドラム缶の中にコンクリート詰めされたJの死体を海中に投棄し,もって死体を遺棄したものである。 (法令の適用)罰条刑法60条,190条未決勾留日数算入刑法21条訴訟費用刑訴法181条1項ただし書(不負担)(量刑の理由) 1 本件は,被告人ら8名が共謀の上,被告人を除く分離前相被告人Aら7名の共犯者によって殺害された被害者の死体をドラム缶にコンクリート詰めした状態で海中に投棄したという死体遺棄の事案である。 2(1) Aら共犯者は,被害者の殺害に当たり,その発覚を免れるため,被害者の死体をコンクリート詰めにしてダムに遺棄するなどと証拠の隠滅方法まで事前に謀議している上,被害者宅を襲撃する際,すでに袋入りセメントやスコップを持参するなどし,被害者を殺害した後,こうした共犯者らの意思を受けた被告人を含めた8名が協力して,深夜人気のない港において,周囲に人がいなくなるのを見計らい,岸壁から海中に死体をコンクリート詰めしたドラム缶ごと投棄して犯行に及んでいる。このように本件犯行は,罪証隠滅目的で周到に計画された犯行である上,死者に向けた冷酷で非情な犯行である。しかも,被告人らは,死体を投棄するに先立ち,各自作業を分担し合って,大分県北部の山中に埋められていた死体を掘り出すなどしてドラム缶の中に入れ,用意したセメントを流し込んだ上,そのドラム缶を同所から福岡県豊前市内の上記の港まで車で搬送して 分担し合って,大分県北部の山中に埋められていた死体を掘り出すなどしてドラム缶の中に入れ,用意したセメントを流し込んだ上,そのドラム缶を同所から福岡県豊前市内の上記の港まで車で搬送しているもので,犯行態様等は,組織的かつ強固な犯意に基づく合目的的なものであって,犯情は相当に悪質である。 被害者の遺族は,身内を無惨にも殺害されたのみならず,死体まで海中に遺棄されたもので,本件犯行により受けた精神的苦痛は甚大である。にもかかわらず,被告人らから何ら慰謝の措置は講じられておらず,遺族の処罰感情が極めて厳しいのはもっともである。 また,本件犯行後,捜査をかく乱するため,被害者の殺害に伴い,一緒に連れて来ていた被告人の元妻に対し,中国人に連れ去られたと虚偽の説明をするよう言い含めた上,同女を北九州市内まで連れて行って解放するなどしており,犯行後の情状も良くない。 (2) 被告人は,Aから被害者及び元妻を殺害すると打ち明けられた際,元妻は殺さないように依頼する一方,被害者に関しては,同人が元妻との離婚の一因であり,同女に手を出すななどと電話で脅してきたこともあったため,被害者に対し嫌な思いを抱いていた上,被害者がいなくなれば,同女が被告人のもとに戻ってくるのではないかという思いや,被害者の脅しから解放されるとの考えから,これを容認していたものである。そして被害者が殺害された後,Aから死体の処理を手伝うよう依頼され,自分も殺人の共犯になったと思ったこともあって,その依頼を引き受け,自らの持つコンクリートに関する知識を悪用して本件犯行に及んでいる。このように被告人の本件犯行の動機等は身勝手かつ自己中心的なものであり,酌量の余地はない。 共犯者間でセメントの取 け,自らの持つコンクリートに関する知識を悪用して本件犯行に及んでいる。このように被告人の本件犯行の動機等は身勝手かつ自己中心的なものであり,酌量の余地はない。 共犯者間でセメントの取扱いに詳しいのは被告人だけであり,コンクリートの作成方法やそれが速く固まる方法を助言するなどしたほか,被告人は,死体を掘り起こすとともに,コンクリートを作り,これを死体を入れたドラム缶に流し込む一連の作業に加わり,死体を遺棄する場所として本件の港を提案し,被害者を詰めたドラム缶を乗せた車を運転して岸壁に近づけるなど,本件犯行において不可欠かつ重要な役割を果たしたものである。 (3) 以上によれば,被告人の刑事責任は重いといわざるを得ない。 3 そうすると,被告人は,Aの依頼を受けて本件犯行に加担したという面では従属的立場にあったこと,本件に至った経緯においては,被害者において,Aらに対し暴力団に追い込みをかけさせるなどといった挑発的あるいは不用意な電話をしたことが犯行の契機となった一面があることは否定できないこと,被告人は,本件犯行を認めて反省の態度を示していること,被告人にはこれまで前科はなく,養育すべき幼い二人の子供がいること,勤務先の社長が雇用の継続と監督を約束していることなど,被告人のために酌むべき事情も認められるが,これらの事情を最大限に考慮しても,被告人の刑事責任の重さにかんがみると,本件は刑の執行を猶予すべき事案とは認め難く,主文のとおり刑の量定をした。 (求刑懲役2年6月)平成16年1月16日大分地方裁判所刑事部裁判長裁判官鈴木浩美裁判官瀧岡俊文裁判官駒田 大分地方裁判所刑事部裁判長裁判官鈴木浩美裁判官瀧岡俊文裁判官駒田秀和
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