平成22(行コ)113 軽油引取税更正,決定処分取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成22年11月25日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文19,473 文字)

- 1 - 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 訴訟費用は,第1審,差戻し前の控訴審,上告審及び当審とも,控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴の趣旨(1) 原判決を取り消す。 (2) 被控訴人が控訴人に対し平成16年6月25日付けでした軽油引取税更正・決定処分を取り消す。 (3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 2 控訴の趣旨に対する答弁(1) 主文第1項と同旨(2) 控訴費用は控訴人の負担とする。 第2 事案の概要等 1 事案の概要(1) 本件は,被控訴人が,控訴人に対し,控訴人が平成13年7月1日から平成14年10月31日までの間軽油の製造をしてこれを他の者に譲渡したとして(以下,これを「本件軽油取引」という。),地方税法(平成16年法律第17号による改正前のもの。以下「法」という。)700条の4第1項5号(以下「本件規定」という。)に基づき,軽油引取税に係る課税標準量,税額及び不申告加算金額を決定する処分(以下「本件処分」という。)をしたのに対し,控訴人が,軽油の製造をして他の者に譲渡したことはなく,本件処分は課税要件を欠く違法な処分であると主張して,その取消しを求めた事案である。 (2) 原審は,「控訴人が,本件軽油取引に関し,軽油の製造の関係では重要な - 2 -役割を担い,軽油の販売に関しても主体的な役割を果たしているから,これらを総合的に考慮すれば,本件軽油取引全般にわたって主体的な関与をしたものと評価すべきであり,これらの関与の対価として多額の利得を得たものというべきである。そうすると,このような控訴人の行為を単なる手足としての行為にすぎな 件軽油取引全般にわたって主体的な関与をしたものと評価すべきであり,これらの関与の対価として多額の利得を得たものというべきである。そうすると,このような控訴人の行為を単なる手足としての行為にすぎないということはできず,むしろ,控訴人は少なくとも共同経営者として主体的に関与したものと評価するほかない。控訴人は本件規定による納税義務は免れることはできない。」旨を判示して,控訴人の請求を棄却し,控訴人がこれを不服として控訴した。 (3) 差戻し前の控訴審は,本件規定における「軽油の製造をして」という課税要件について,「本件規定にいう「製造」とは,造り出された軽油の所有権を原始的に取得することを意味するものと解すべきであり,平成16年法律第17号によって創設された法700条の4の2第1項にいう「軽油の製造を行った者」とは実際上軽油の製造を行ったがその所有権を原始取得していない者と解することで両者の区別をすることができる。」とした上,「有限会社A(以下「A」という。)は,あらかじめ重油等の原料を加工して軽油を製造しておき,その中から,新たに原料である重油と灯油を持ち込んだ顧客に対し,その合計量と同量の軽油を引換えに渡し,この数量に応じた金額を加工賃と称して取得するという取引をしていた可能性が高い。したがって,特段の事情がない限り,本件軽油取引においても,Aが製造した軽油はいったんはAの所有物になると考えられ,控訴人が当該軽油を原始取得したと認めることは困難である。」旨を判示して,控訴人が軽油の製造をしてこれを他の者に譲渡したということはできないとし,本件処分を取り消した。被控訴人はこれを不服として上告した。 (4) 上告審は,「(ア) 本件規定を始めとする法の文言や趣旨からは,本件規定にいう「製造」が軽油の所有権を原始取得する場合に し,本件処分を取り消した。被控訴人はこれを不服として上告した。 (4) 上告審は,「(ア) 本件規定を始めとする法の文言や趣旨からは,本件規定にいう「製造」が軽油の所有権を原始取得する場合に限られると解すべき根拠を見いだすことはできない。(イ) 軽油の製造及び譲渡に関与した行為者 - 3 -が複数存在する場合において,造り出された軽油の原始的所有権の帰属に加え,軽油の製造及び譲渡に係る全過程における各行為者の行為態様及びその意図,各行為者間における利益及びリスクの帰属等の諸要素を総合的に勘案した結果,上記過程において実質的に果たしていた役割からみて,ある者が当該軽油を製造してこれを他に譲渡していたものと評価することができるときは,その者が法的にみて当該軽油の所有権を原始的に取得したとはいえないというだけの理由で,本件規定に基づく納税義務者に当たらないということはできない。(ウ) 差戻し前の控訴審が認定した事実関係等によれば,控訴人は,本件軽油取引に関し,Aとの協議や連絡,原料の調達,保管,運搬に関する手配,手数料の支払等に関して重要な役割を担い,販売先への働き掛けを行っているほか,控訴人が管理する会社の名義を使用し,同社や控訴人名義の口座を利用して,販売代金の徴収,各種経費の支払等に関して主導的な役割を果たし,これらの関与の対価として多額の利得を得ており,本件軽油取引にかかわった関係者も,控訴人を単なる連絡役ではなく主体的に取引を行う立場の者とみなしていたことがうかがわれる。(エ) 以上によれば,本件軽油取引における控訴人の役割について何ら検討することなく,控訴人が軽油の所有権を原始取得していなかった疑いがあることのみを理由として,控訴人が本件規定に基づく軽油引取税の納税義務者であると解する余地はないとした差戻し前の控訴 ついて何ら検討することなく,控訴人が軽油の所有権を原始取得していなかった疑いがあることのみを理由として,控訴人が本件規定に基づく軽油引取税の納税義務者であると解する余地はないとした差戻し前の控訴審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。」旨を判示して,差戻し前の控訴審判決を破棄し,本件を東京高等裁判所に差し戻した。 2 法令等の定め及び前提事実は,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1及び2に記載(原判決2頁6行目から5頁11行目まで)のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決4頁5行目の次に行を変えて次のとおり加える。 「 原告は,平成13年7月から平成14年10月までの間において,軽油 - 4 -引取税に係る特約業者又は元売業者になったことはなく,また,製造軽油の販売について直接関係を有する事務所・事業所を有さず,上記の期間における製造軽油の譲渡について別紙2に記載の申告期限までに課税標準量や税額等を記載した軽油引取税の申告書を提出しなかった。」 3 争点及び争点に関する当事者の主張は,原判決の「事実及び理由」欄の「第 2 事案の概要」の3及び4に記載(原判決5頁12行目から24頁14行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 ただし,原判決9頁15行目の「ものである。」の次に「軽油販売先も原告本人が関わっていることを承知していた。」を加え,15頁24行目の「ならないが,」から同行末尾の「立証されていない。」までを「ならない。」に改める。 4 差戻し前の控訴審における控訴人の主張(1) 課税要件(本件規定にいう「製造」に係る要件)が充足されていない。 ア軽油製造依頼について控訴人がAに軽油の製造を委託したことはなく,また,Aとの ける控訴人の主張(1) 課税要件(本件規定にいう「製造」に係る要件)が充足されていない。 ア軽油製造依頼について控訴人がAに軽油の製造を委託したことはなく,また,Aとの間で製造された軽油の所有権が原始的に控訴人に帰属する旨の合意をしたこともない。Aの軽油製造過程において,Aが控訴人の持ち込んだ原料を用いて製造を行ったかは不明であり,Aと控訴人とが結んだとされる契約が請負契約であるのかについてすら疑問が生じる。本件は,製作物供給契約における代替物取引であった可能性があり,その場合には,控訴人とAとの契約は軽油の売買契約となり,Aはその製造した軽油の所有権を原始取得した上でこれを控訴人に譲渡したことになる。 また,控訴人は,Aの工場で油がどのように処理されるかは全然分からない旨を供述しており(乙23・8頁),これは,控訴人が主体的に軽油の製造依頼を行っていたのではなくBらの主導の下に副次的に関わっていたにすぎない事実を示すものである。控訴人が主体的に軽油の製造依頼を - 5 -行っていた事実はない。 イ原料の調達について控訴人は,どういう状態で油を持ち込んだのか分からない旨を供述しているところ(乙23・25頁),一般に,自らが行った取引において自らが仕入れた商品の状態を知らずに仕入れることは考え難く,この供述は,Bらの主導の下で控訴人が副次的に関わったにすぎない事実を示すものであり,控訴人が軽油製造に必要な原料の調達をしたということはできない。 ウ原料の運搬(製造委託先への持込み)について控訴人は,製造工場に原料がどのようにしてどのような状態で持ち込まれたのか知らず,製造されて引き渡された軽油が自分の持ち込んだものかどうかも知らず,それが最終的にどこ の持込み)について控訴人は,製造工場に原料がどのようにしてどのような状態で持ち込まれたのか知らず,製造されて引き渡された軽油が自分の持ち込んだものかどうかも知らず,それが最終的にどこに持ち出されるのかも知らなかった。 控訴人は,Bらの主導の下に軽油運搬の手配及び連絡役を務めていたにすぎず,控訴人が軽油の原料を製造委託先へ運搬していたということはできない。 エ製造委託先への製造数量・製造時期の指示について控訴人は,軽油を実際に運搬したCに対して,指定された時刻に行くよう指示していただけであり,軽油製造委託先とされるD(A)に対して指示をした事実はない。むしろ,D又はBらの指示どおりに運搬することをCに連絡していたにすぎず,控訴人が軽油製造委託先に対して製造数量・製造時期を指示したということはできない。 オ軽油の引取りについて控訴人は,タンクローリーの手配及びタンク使用料の支払をしたが,運搬する油の中身が何であるかを知らないままBらの指示に従って手配及び支払をしたにすぎず,控訴人が製造された軽油を引き取ったということはできない。 カ軽油製造に対する報酬の支払について - 6 -控訴人がDに対する支払が加工賃であると認識していたことは事実であるが,控訴人は,控訴人が自ら行った取引に関する支払として支払ったのではなく,E又はFの仕事でもあると認識していた本件軽油取引に係る支払として支払ったにすぎない。本件軽油取引に関し控訴人名義の口座が使用されているが,これは,Eの名義を含めBらに名義を貸したためであり,このことは,GことHがBらに名義を貸した(GH名義の口座もBらが使用していた。)事実と何ら変わりがない。控訴人が軽油製造に対する報酬を支払ったということはで 義を含めBらに名義を貸したためであり,このことは,GことHがBらに名義を貸した(GH名義の口座もBらが使用していた。)事実と何ら変わりがない。控訴人が軽油製造に対する報酬を支払ったということはできない。 キ軽油購入の勧誘について控訴人がE代表者という立場で販売先に挨拶に行かされたことは何度かあったが,Iに行ったのは,JやBが取引先として開拓し軽油を納めるようになった後に,Bらから挨拶に行くように指示されたからにすぎない。 控訴人が軽油購入を勧誘したものとはいえない。 ク軽油購入の申込みを受けたことについて控訴人は,Bらの主導の下に連絡役を務めていたのであるから,控訴人がその携帯電話やFの事務所を連絡場所としていたことは当然である。 ケ軽油の販売について控訴人は,本件軽油取引の連絡を個人で行ったとの認識はあったが,事業として本件軽油取引を行ったのは法人としてのE又はFであったと供述しており,控訴人自身の取引であったと自認したことはない。販売先を自分で探すこともなく,販売先について何も知らないまま取引を行うことは考えられない。控訴人は,Bらの主導の下に副次的に本件軽油取引に関わっただけである。 コ軽油販売代金の受領について本件決済口座に軽油販売代金が入金されている事実は認めるが,本件軽油取引は,控訴人個人の取引としてされたものではなく,Bらが主導的な - 7 -立場でE及びGの名義を使用して行ったものであるから,上記の入金の事実から直ちに控訴人の取引であると認めるべきではない。 (2) 納税義務者の誤認ア本件処分の前提となる事実関係は,次に述べるように,E及びGの名義で行われている。課税対象とされる行為は,原則として名 取引であると認めるべきではない。 (2) 納税義務者の誤認ア本件処分の前提となる事実関係は,次に述べるように,E及びGの名義で行われている。課税対象とされる行為は,原則として名義を前提に判断されるべきであるから,本件軽油取引に係る納税義務者はE又はGであり,控訴人ではない。 (ア) Aに対する軽油製造委託手数料の支払は,E又はG名義の口座から送金されている。 (イ) 株式会社Kからの重油や灯油等の買付け代金の請求はE又はG宛てにされ,株式会社Kに対する支払がE又はG名義の口座から送金されている。 (ウ) Cに対する運送料及びタンク使用料の支払やLに対する運送料の支払は,いずれもE又はG名義の口座から送金されている。Cの取引の相手方がEであった事実は,C代表者の陳述書及びその原審証人尋問の結果からも明らかである。 (エ) 株式会社Kほか3社からの販売代金の請求がE又はG宛てにされ,株式会社Kほか3社に対する買付代金の支払がE又はG名義の口座から送金されている。株式会社Kの取引の相手方がEであった事実は,株式会社Kの代表者の陳述書及びその原審証人尋問の結果からも明らかである。 (オ) Iの専務取締役は,被控訴人担当者による事情聴取に対して,軽油の購入先はEである旨を述べている。また,M事業協同組合やNの担当者も,軽油の購入先はEである旨を述べている。 (カ) Dに販売された重油及び灯油の代金の請求者はE又はGであり,Dからの送金はE又はG名義の口座にされている。 - 8 -イ本件軽油取引に係る納税義務者を,課税対象行為の名義人であるE又はGではなく,控訴人であるとするには,法人格否認の法理,実質帰属者課税の原則又は第二次納税義務者のいずれかによる必要があるが,被控訴人は必要な主 に係る納税義務者を,課税対象行為の名義人であるE又はGではなく,控訴人であるとするには,法人格否認の法理,実質帰属者課税の原則又は第二次納税義務者のいずれかによる必要があるが,被控訴人は必要な主張立証をしていない。 (3) 課税要件明確主義違反課税要件明確主義の趣旨からすれば,課税要件を充足するとするための評価の対象となる事実関係は明確なものが必要となるというべきであるが,本件処分はその前提とする事実関係が説得的でない。 (4) 地方税法の遡及適用の疑い本件軽油取引後の平成16年に法700条の22の3の罰則規定が創設された。控訴人は,審査請求の段階から一貫して単なる連絡役にすぎないことを主張しており,本件軽油取引の時点でこの地方税法の改正が行われていたとすれば,同規定が適用されていたと考えられる。そうだとすれば,被控訴人の本件処分は,同規定を遡及適用したもので,違法である。 (5) 連帯納税義務者控訴人が本件軽油取引に共同経営者として関与したものであるとするのであれば,控訴人は,Bらと連帯して一つの納税義務を負担する連帯納税義務者であるところ,本件処分は,この点を看過し,控訴人を単独の納税義務者であるとしている。しかし,共同して製造,販売をした者の中の一人のみに対して課税することを許容する税法上の規定は存在しない。控訴人の財産が滞納処分で執行されても,控訴人はBらに対する求償権を保証されないという不当な結果を生じさせるものであり,租税法律主義の趣旨を逸脱するものである。この点においても本件処分は違法である。 (6) 調査方法の不備,刑事告発等との整合性本件処分は,事実誤認と思い込みにより適切な調査がなされないまま,不十分な調査に基づき,収集すべき証拠を揃えないままされた不当な処分であ - 9 -る。 本件 法の不備,刑事告発等との整合性本件処分は,事実誤認と思い込みにより適切な調査がなされないまま,不十分な調査に基づき,収集すべき証拠を揃えないままされた不当な処分であ - 9 -る。 本件は,被控訴人らの主張によれば,3億5000万円もの脱税事件であるにもかかわらず,刑事告発が行われておらず,重加算税も課されていない。 これは税務調査の過程で不十分な調査しか行われなかったためであると考えられる。この点からも課税要件が充足しているとは認められないというべきである。 5 差戻し前の控訴審における被控訴人の主張(1) 控訴人が製造された軽油の所有権を原始取得したことについてア控訴人は,Aに軽油の製造を依頼し,Aは,控訴人の依頼に応じて軽油の製造をしたものであり,控訴人とAは軽油の製造の請負契約を締結したものである。この請負契約において,控訴人が自ら原料である重油と灯油を持ち込み,出来上がった軽油を控訴人が持ち出し,Aは加工賃のみを日々受け取ることとしていたのであり,出来上がった軽油は出来上がったと同時に所有権を控訴人に取得させるとの黙示の合意があったものである。 イこの黙示の合意が認められないとしても,次のとおり,控訴人が製造された軽油の所有権を原始取得する。 (ア) Aに持ち込まれた原料の重油及び灯油はいずれも控訴人の所有であり,重油と灯油の比率が10対6で軽油ができるというのであり,重油は1リットル当たり30円,灯油は31円であるから,軽油1リットルを製造するのに必要な材料費は,30.375円となる。 (イ) これに対し,軽油1リットル当たりの加工賃は11円ないし11円50銭であり(乙23),販売価格は53円ないし55円であった(乙25)。 (ウ) そうすると,控訴人が1 。 (イ) これに対し,軽油1リットル当たりの加工賃は11円ないし11円50銭であり(乙23),販売価格は53円ないし55円であった(乙25)。 (ウ) そうすると,控訴人が1リットル当たり30.375円の材料を供給し,Aがこれに工作を加え,それによって生じた価格は22.625円ないし24.625円程度ということになり,民法246条1項本文を適用 - 10 -しても,工作によって生じた価格は材料の価格を著しく超えることはないから,出来上がった軽油の所有者は材料の重油と灯油の所有者である控訴人というべきことになる(なお,軽油製造に必要な硫酸,活性炭,活性白土及び消石灰は軽油の原料ではなく,材料に当たらない。)。 (2) 控訴人が納税義務者であることについて本件軽油取引は,次に述べるとおり,E及びGという実体のないダミー会社の名義やFの名義を利用した仮装のものであって,これらの名義による取引は,それを実質的かつ主体的に行った者すなわち控訴人の取引にほかならないのであり,控訴人の行為として課税要件の充足が検討されるべきである。 そして,その結果,課税要件を充たすから,控訴人が納税義務者となる。 ア E及びGH名義の各銀行口座は控訴人が管理・支配していたこと(ア) 本件軽油取引においては,発注者,納品者及び請求者の宛先としてE及びGの名義が使用され,取引代金の振込元や入金口座としてこれらの名義の銀行口座が使用された。 (イ) E及びG名義の銀行口座は,本件軽油取引における決済口座として使用されており,Aへの加工賃の振込み,軽油の販売代金の振込みが行われているほか,E名義の銀行口座からは合計2500万円が引き出され,それと同時にその全額が控訴人の個人名義の銀行口座に入金され, 使用されており,Aへの加工賃の振込み,軽油の販売代金の振込みが行われているほか,E名義の銀行口座からは合計2500万円が引き出され,それと同時にその全額が控訴人の個人名義の銀行口座に入金され,G名義の銀行口座からは,少なくとも3826万円が引き出された後直ちに控訴人の個人名義の口座に入金されており(乙11),さらに,G名義の銀行口座からEの借入金の返済が行われている(乙13)。 (ウ) 控訴人名義の口座には本件軽油取引による約9500万円の入金があり,これから原料費の支払や製造委託手数料の支払を除くと,控訴人は,本件軽油取引によって,少なくとも約6700万円の利得を得ていると認められる(乙12)。 (エ) 控訴人は,Gの口座を動かしていたのは控訴人本人であると認めて - 11 -おり(乙25),Gのカードを預かり,Gの口座から出金して報酬を受領したことを認めている(乙14)。 (オ) 控訴人は,これらの銀行口座の入出金について,Bへの貸付金の相殺であるとか支払代行であるとかなどと説明するが,いずれも何ら証拠がないものであり,具体性も合理性も見出せないものであって,到底信用できるものではない。 (カ) 以上からすれば,控訴人がE及びGH名義の銀行口座を管理・支配していたものと認められる。 イ E及びGは実体を伴わないものであり,本件軽油取引を行うに当たり控訴人が利用した名義であること(ア) EについてaEは,控訴人が代表取締役を務めていた株式会社であり,昭和61年に控訴人が設立したが,経営が悪化し,平成13年当時は休業状態となっており,平成14年12月3日に休眠法人としてみなし解散の登記がされている。 Eは,平成9年以降決算を行っておら 年に控訴人が設立したが,経営が悪化し,平成13年当時は休業状態となっており,平成14年12月3日に休眠法人としてみなし解散の登記がされている。 Eは,平成9年以降決算を行っておらず,税務署長への法人税の申告も行っていない。会計帳簿も存在しない。株主総会も開催されておらず,形骸化した法人格のみが残っている状態であった。 b 本件軽油取引において,Eの名義及び銀行口座が使用されているが,いずれも単に名義が使用されたにとどまり,Eの行為として会社の会計帳簿に記帳され,法人税等の申告が行われ,Eの役員・従業員に報酬・給与が支払われるなどしたことはなかった。 c Eの名義については,名義貸しが行われたとされるが,控訴人が本件軽油取引を行うに当たり,控訴人の取引をEの取引と仮装するために,その名義を利用したというべきである。 (イ) Gについて - 12 -a Gは,法人格はなく,Hが行っていた個人事業である。平成13年12月ころより,Eに代わって本件軽油取引にGの名義が使用されるようになった。 b Hは本件軽油取引に無関係であり,Hが個人事業主であるGが本件軽油取引に関与した事実は認められない。 c 控訴人は,Gは誰がやっていたのかとの質問に対し,「私がやっていました。(Gの)O銀行P支店の口座を動かしていたのも私です。」と回答している(乙25)。GH名義の銀行口座の入出金状況をみれば(乙11,13),控訴人の関与なしには説明できないから,G名義の取引も控訴人が行ったものと認められる。 更に詳しく述べると,Hは,自分は何もやっていない,Qという人物から口座を作ってくれと依頼され,O銀行P支店で口座を開設し,控訴人のFの事務所にQと 控訴人が行ったものと認められる。 更に詳しく述べると,Hは,自分は何もやっていない,Qという人物から口座を作ってくれと依頼され,O銀行P支店で口座を開設し,控訴人のFの事務所にQと一緒に行って開設した預金通帳を渡したと述べるにとどまり,その後の預金調査や関係者の事情聴取によっても本件軽油取引への関与はまったくみられなかった(原審証人R)。これに対し,控訴人がGの名義を使用して本件軽油取引に関与していたことは疑いがない。すなわち,GH名義の口座から合計3826万円が引き出され,直ちに控訴人名義の口座に入金されており(乙11),さらに,GH名義の口座からEの借入金の返済が行われており(乙13),G宛ての請求書が控訴人の会社であるFに送られるなど,控訴人がG及びGHの名義を使用し,Gの取引であると仮装して本件軽油取引を行っていたことは明らかである。 (ウ) Fについてa Fは,控訴人が設立した有限会社であり(甲8,原審控訴人本人),本件軽油取引が行われた当時の控訴人の勤務先であり,本件軽油取引において,控訴人への連絡先,請求書の宛先及び振込名義人として使 - 13 -用された。また,Fの事務所がGH名義の預金通帳の受渡場所として使われるなど,控訴人が実際に本件軽油取引に係る連絡を行った場所として重要な役割を果たしている。しかし,いずれも連絡先等の場所として使用されたにとどまり,Fが本件軽油取引において具体的な取引行為を行ったとは認められない。 bFは,本件軽油取引が行われた当時,法人として営業を行っており,実体があったが,F宛てに請求が行われ,F名義でGの銀行口座から振込みが行われたCへの運送料及びタンク料についてF名義の銀行口座から支払が行われた事実はない。 c て営業を行っており,実体があったが,F宛てに請求が行われ,F名義でGの銀行口座から振込みが行われたCへの運送料及びタンク料についてF名義の銀行口座から支払が行われた事実はない。 c Cが発行した運送料及びタンク料の請求書の宛先は,19件中4件がE,15件がFとなっているのに対し,支払は,F宛ての15件の請求のうち,3件がF名で,残りはGH名であり,E又はGHの銀行口座から送金されている(乙5)。 通常,請求先と異なる振込先から入金があれば,請求元としては,それがどの請求に対する入金であるかを確かめる必要があるが,本件においては,関係者からそのような説明は一切なく,Cとの間では,E,G,Fの名義による行為がいずれも控訴人の行為であるとの了解があったとみるほかない。Fを含め,これらの仮装された会社や商号を使用し,実際に請求書等のやり取りをし,電話連絡を行い,振込み等を行うことができたのは,控訴人以外には存在しない。 dFが,運送料及びタンク料の請求書の宛先となり,控訴人及びEへの連絡先の電話番号としてFの事務所の電話番号が控訴人個人の携帯電話の番号とともに使用されたことは,控訴人が軽油取引先と連絡を取るためであって,控訴人が本件軽油取引の主体としてこれらの取引を実際に行っていたことを示すものにほかならない。控訴人がEの仕事でもありFの仕事でもあったと述べたことは(乙23),まさしく - 14 -控訴人の認識として,控訴人が会社の名義という外形を利用して自らの商売として本件軽油取引を行っていたことを表したものにほかならない。 ウ控訴人に本件軽油取引を行うことについての積極的な動機及び意思並びにE及びGの名義を利用する意思が認められること(ア) 控訴人は,Eに係る多額 表したものにほかならない。 ウ控訴人に本件軽油取引を行うことについての積極的な動機及び意思並びにE及びGの名義を利用する意思が認められること(ア) 控訴人は,Eに係る多額の借入金を抱えており,本件軽油取引によって少しでも収入を得たいという意図から,これを行うこととした。 (イ) 控訴人は,すべて自分で分かってやっている,自分の名前で軽油を売ったなどと,自ら本件軽油取引に主体的に関与していたことを認めており,E及びGという名前で自分が商売をしていたことを認めていた(乙23,25)。 (ウ) 控訴人は,当初から本件軽油が不正軽油であることを認識しており,軽油引取税を脱税することにより安価に軽油を製造・譲渡できると認識していた。 (エ) 控訴人は,自らDと連絡を取って本件軽油製造の段取りを行い,自ら原料となる重油と灯油を仕入れ,タンクローリーの手配を行い,自ら需要家への積極的売込みを行っている。 (オ) 控訴人は,E及びG名義の銀行口座を管理・支配し,控訴人名義の銀行口座に資金を移動し,少なくとも約6700万円にも及ぶ利得を得るなど,積極的に利得を確保しようとし,現に利得を得た。 エ取引先が控訴人を取引の主体と認識していたこと(ア) C及び株式会社Kは,E,G及びFが控訴人の関与する会社及び屋号であることを承知しており,本件軽油取引が控訴人本人との取引であると認識していた。 (イ) Nの担当者は,Fの事務所又は控訴人の携帯電話に連絡をし,控訴人に対して軽油購入の注文を行っており,Sの専務取締役は,Fの事務 - 15 -所に連絡をし,控訴人に対して軽油購入の注文を行っていたから,控訴人が主体的に取引を行う立場にありE及びGの実質的な行 に対して軽油購入の注文を行っており,Sの専務取締役は,Fの事務 - 15 -所に連絡をし,控訴人に対して軽油購入の注文を行っていたから,控訴人が主体的に取引を行う立場にありE及びGの実質的な行為者であると考えていたことは疑いがないところである。 (3) 控訴人は,課税要件明確主義に反するというが,いかなる根拠に基づく主張であるか明らかでなく,失当である。 (4) 控訴人は,本件軽油取引後の平成16年に法700条の22の3の罰則規定が創設されたことをもって,本件処分が同規定の遡及適用であると主張するが,同規定は不正軽油の運搬や保管等の行為が不正軽油の製造やほ脱行為を助成し又は誘発するものであることから,これらの関与者に対して秩序罰を科すものであり,同規定はそもそも課税規定ではないから,控訴人の主張は失当である。 (5) 控訴人は,仮に本件処分が控訴人に関係するものであるとしても,控訴人はEの第二次納税義務者に当たると主張するようであるが,第二次納税義務とは,本来の納税義務者等が地方公共団体の徴収金を滞納している場合に,主たる納税義務者等の財産に滞納処分をしてもなお徴収すべき徴収金が不足すると認められるときに,その者と一定の関係がある者に対し第二次的にその納税義務を負わせることにより,徴税の確保ないし合理化を図ろうとする徴収手続に係る規定であり,本件において,徴収手続の適用可能性を論じることは適切ではなく,控訴人の主張は失当である。 (6) 控訴人は,本件処分が事実関係についての十分な調査を尽くさないで事実を誤認したまま推計で行われたものであると主張するようであるが,十分な調査を尽くして行われているから,控訴人の主張は失当である。 控訴人は,本件軽油取引が刑事告発されなかったことをもって,本件処分に疑問 推計で行われたものであると主張するようであるが,十分な調査を尽くして行われているから,控訴人の主張は失当である。 控訴人は,本件軽油取引が刑事告発されなかったことをもって,本件処分に疑問を呈しているが,刑事告発されたか否かにより課税処分の適法性が左右されることはないから,この主張も失当である。 6 当審における控訴人の主張 - 16 -(ア) Aとの協議や連絡,原料の調達・保管・運搬に関する手配,手数料の支払等に関して果たした控訴人の役割は補充的なものであって重要なものとはいえない(Bらの主導の下に副次的に関わったにすぎない。Bは関西方面の暴力団と親しい人物であり,Tはこの混和石油の業界では名の売れた人物である。 控訴人が行った具体的な役割は,タンクローリーの手配,Aとの連絡,販売先からの変更の受付け,等の補助的なものにすぎなかった。なお,控訴人は仕入代金や運送代金の支払については一切関与していない。)。(イ) 控訴人は販売先への働きかけを行っておらず,具体的な交渉に関する権限はなかった。控訴人がIを訪問した目的は,軽油の売込みではなく,IとBとのトラブルの事後処理のためであった。(ウ) Eの名義の使用は,Bから「Eの預金通帳と銀行印,キャッシュカードを貸してくれ。口銭はリッター1円50銭出す。」と言われ,報酬が欲しかったために承諾したにすぎない。Bが「営業上のリスクはすべて自分たちが負担する。仕事のお膳立てもすべて自分たちがやる。Uさんは仕事の具体的な内容には一切タッチしなくていい。連絡役という決められた範囲の仕事をするだけでいい。」と言ったので,Eの口座をBらに貸し渡した。Eの預金通帳と銀行印は平成13年11月下旬か12月初めころに返してもらった。新たにG名義の口座を利用できることになったからである。Bらは するだけでいい。」と言ったので,Eの口座をBらに貸し渡した。Eの預金通帳と銀行印は平成13年11月下旬か12月初めころに返してもらった。新たにG名義の口座を利用できることになったからである。Bらはその後はGの口座を使用して軽油取引を行っていた。Gの口座を使用して軽油取引を行うようになってからは,控訴人に対する報酬は減額された。(エ) E名義の口座や控訴人名義の口座を利用して販売代金の徴収がなされたこと,各種代金の支払がなされたこと,については控訴人は何ら関与していない。(オ) 控訴人が本件軽油取引における名義貸しやタンクローリーの手配等によって得た報酬は,1年4か月間で約1500万円にすぎず,軽油の末端販売価格の約2%にしかすぎない。(カ) 本件軽油取引にかかわった関係者が控訴人を単なる連絡役ではなく主体的に取引を行う立場の者とみていたことを認め得る証拠はない。 (キ) そして,控訴人は造り出された軽油の所有権を原始取得していない。 - 17 - 7 当審における被控訴人の主張造り出された軽油の原始的所有権は控訴人に帰属するものと解するのが相当である。そして,本件における軽油の製造及び譲渡に係る全過程における各行為者の行為態様及びその意図,各行為者間における利益及びリスクの帰属等の諸要素を総合的に勘案すると,控訴人が上記の過程において実質的に果たしていた役割からみて,控訴人が軽油を製造してこれを他に譲渡していたものと評価するに十分である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の本件処分取消しの請求を棄却すべきものと判断する。 その理由は,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の1ないし3に記載(原判決24頁16行目から35頁22行目まで)のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決26頁2 断する。 その理由は,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の1ないし3に記載(原判決24頁16行目から35頁22行目まで)のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決26頁22行目の「なお」の前に「乙9,乙24,乙29。」を加え,29頁13行目の「乙14」の次に「・第21項」を加える。 2 引用にかかる原判決が認定した事実すなわち当裁判所が認定した事実の概要は,次のとおりである。 (1) 控訴人は,魚介類の輸出入及び国内販売を主な業務とするEの代表取締役であったが,同社は平成13年当時には多額の負債を抱え,休業状態となっていた。なお,G(Hの個人事業)も軽油取引には無関係であった。 (2) A(業務統括者取締役D)は,茨城県岩井市(当時)に石油製品の精製工場を設けていた。同工場においては,重油と灯油の混合油に硫酸を加えてかくはんし,硫酸ピッチを沈殿させた上,混合油槽に活性炭,活性白土雄消石灰を加えてかくはん及びろ過する,という工程で軽油が造られていた。 なお,Aの上記工場においては,同時期に複数の者から重油及び灯油が持ち込まれて軽油にすることが委託されていたため,それらの重油及び灯油を分別管理することができず,委託者が持ち帰った軽油はその委託者が持ち込 - 18 -んだ重油及び灯油を原料とするものではない可能性がある(持ち込んだ重油及び灯油の合計量と同量の軽油を持ち帰っていた。)。 (3) 控訴人は,平成13年7月ころ,Bらから軽油取引(石油類販売会社から重油及び灯油を仕入れ,運送会社に委託してこれらをAの上記工場に持ち込み,Aに委託してこれらを軽油にし,Aから受け取った軽油を販売先に譲渡するという取引)の話を持ちかけられ,Eの名義でこれを行うことを承諾し,E名義の預金通帳,銀行印 してこれらをAの上記工場に持ち込み,Aに委託してこれらを軽油にし,Aから受け取った軽油を販売先に譲渡するという取引)の話を持ちかけられ,Eの名義でこれを行うことを承諾し,E名義の預金通帳,銀行印,キャッシュカードをBらに貸し渡した。 (4) 平成13年7月1日から平成14年10月31日までの間に行われた上記の軽油取引は,EとGの名義を用いて,石油類販売会社である株式会社Kから重油及び灯油を仕入れ,運送会社であるC及び有限会社Lに委託して仕入れた重油及び灯油を油槽所からAの上記工場まで運ばせ,Aに委託してこれらを軽油にさせ,造り出された軽油をAから受け取り,これをC及び有限会社Lに運ばせてCの油槽所にいったん保管させ,その後販売先に売却譲渡するという方法で行われた(本件軽油取引)。 (5) 本件軽油取引においては,本件決済口座(E名義の口座やG名義の口座)等が原料の仕入代金の支払,運送代金や保管料の支払,軽油製造委託手数料の支払,販売代金の入金,等のために使用され,控訴人は,原料である重油及び灯油を運搬するためのタンクローリーの手配(C及び有限会社Lに対する連絡),Aとの間でする重油と灯油が運び込まれる時刻等についての協議や連絡,造り出された軽油をCの油槽所まで運搬して保管するためのタンクローリーの手配(C及び有限会社Lに対する連絡),軽油の販売先からなされる納入数量や納入日の変更の受付け,軽油の販売先に対する挨拶,主要販売先であるIに対する訪問,等を自ら行った。 (6) 平成13年7月から平成14年10月までの間に本件決済口座から控訴人名義の口座に少なくとも6326万円が入金されており,また,この間に本件軽油取引によって合計9510万7650円が控訴人名義の口座に入金 - 19 -されており,控訴人名義の口座から から控訴人名義の口座に少なくとも6326万円が入金されており,また,この間に本件軽油取引によって合計9510万7650円が控訴人名義の口座に入金 - 19 -されており,控訴人名義の口座から株式会社Kに対して2365万9950円が出金され,Aに対して358万6530円が出金されている。 (7) 控訴人が本件軽油取引によって取得した利得は6700万円を下らないものと認められる。 3 判断本件において,控訴人が軽油の製造をして他の者に譲渡したといえるか否かは,「造り出された軽油の原始的所有権の帰属に加え,軽油の製造及び譲渡に係る全過程における各行為者の行為態様及びその意図,各行為者間における利益及びリスクの帰属等の諸要素」を総合的に勘案して判断すべきである。 そこでこれについて検討するに,前記認定のとおり,① 控訴人は,Eが多額の負債を抱えていたことから,Bらより軽油取引の話を持ちかけられ,Eの名義で軽油取引を行うことを承諾し,E名義の預金通帳,銀行印,キャッシュカードをBらに貸し渡したこと,② 控訴人は,本件軽油取引に係る原料仕入代金の支払や軽油製造委託手数料の支払等の各種決済がE名義の預金口座で行われることを了承したこと,③ 控訴人は,自ら,原料である重油及び灯油を運搬するためのタンクローリーの手配(C及び有限会社Lに対する連絡),Aとの間でする重油と灯油が運び込まれる時刻等についての協議や連絡,造り出された軽油をCの油槽所まで運搬して保管するためのタンクローリーの手配(C及び有限会社Lに対する連絡),軽油の販売先からなされる納入数量や納入日の変更の受付け,軽油の販売先に対する挨拶,主要販売先であるIに対する訪問,等を行ったこと,④ 本件軽油取引の期間である平成13年7月から平成14年10月までの間に本 先からなされる納入数量や納入日の変更の受付け,軽油の販売先に対する挨拶,主要販売先であるIに対する訪問,等を行ったこと,④ 本件軽油取引の期間である平成13年7月から平成14年10月までの間に本件決済口座から控訴人名義の口座に少なくとも6326万円が入金され,また,この間に本件軽油取引により合計9510万7650円が控訴人名義の口座に入金されていること,⑤ そして,控訴人名義の口座から株式会社Kに対する原料代金の支払やAに対する軽油製造委託手数料の支払もなされていること,⑥ 控訴人はGの口座についてキャッシュカードを預かり出 - 20 -金していたこと,⑦ 控訴人は本件軽油取引によって少なくとも6700万円もの多額の利得を得ていること(本件軽油取引によって得た報酬は約1500万円にすぎない旨の控訴人の主張は,採用することができない。),以上の諸点を総合的に勘案すると,仮に造り出された軽油の原始的所有権が控訴人に帰属するものではなかったとしても,控訴人が本件軽油取引において果たした実質的役割からみれば,控訴人は軽油の製造をしてこれを他の者に譲渡していたものと評価することができるものというべきである。 4 控訴人の主張について(1) 控訴人は,前記のとおり,「控訴人が軽油の製造をしてこれを他の者に譲渡していたことはなく,軽油の製造をしてこれを他の者に譲渡していたのはBらであり,控訴人はBらの主導の下に副次的に関わったにすぎない。」旨,すなわち,「(ア) Aとの協議や連絡,原料の調達・保管・運搬に関する手配,手数料の支払等に関して果たした控訴人の役割は補充的なものであって重要なものとはいえない。(イ) 控訴人は販売先への働きかけを行っておらず,具体的な交渉に関する権限はなかった。控訴人がIを訪問した目的は,軽油の売込みでは たした控訴人の役割は補充的なものであって重要なものとはいえない。(イ) 控訴人は販売先への働きかけを行っておらず,具体的な交渉に関する権限はなかった。控訴人がIを訪問した目的は,軽油の売込みではなく,IとBとのトラブルの事後処理のためであった。(ウ) Eの名義の使用は,Bから「Eの預金通帳と銀行印,キャッシュカードを貸してくれ。口銭はリッター1円50銭出す。」と言われ,報酬が欲しかったために承諾したにすぎない。(エ) E名義の口座や控訴人名義の口座を利用して販売代金の徴収がなされたこと,各種代金の支払がなされたこと,については控訴人は何ら関与していない。(オ) 控訴人が本件軽油取引における名義貸しやタンクローリーの手配等によって得た報酬は,1年4か月間で約1500万円にすぎず,軽油の末端販売価格の約2%にしかすぎない。(カ) 本件軽油取引にかかわった関係者が控訴人を単なる連絡役ではなく主体的に取引を行う立場の者とみていたことを認め得る証拠はない。(キ) そして,控訴人は造り出された軽油の所有権を原始取得していない。」旨を主張する。 - 21 -(2) しかし,前記認定事実(引用に係る原判決認定の事実)に反する証拠(甲6ないし13,17,18,20,22,25,26,原審証人V,同W)は,控訴人のDに対する地方税法違反被告事件における証言(乙23)に照らしてにわかに措信し難く,他に上記認定を覆すに足りる証拠はない。控訴人は,上記の証言はDの処罰に協力する気持から事実とは異なることを述べてしまった旨,耳がよく聞こえなかったため質問の意味を理解しないままに答えてしまった旨を主張するが,問答の内容に徴して,採用することができない。 (3) そして,前記認定事実によれば控訴人が軽油の製造をしてこれを他の者に譲渡していたものと 味を理解しないままに答えてしまった旨を主張するが,問答の内容に徴して,採用することができない。 (3) そして,前記認定事実によれば控訴人が軽油の製造をしてこれを他の者に譲渡していたものと評価することができることは,上記3に述べたとおりである。 控訴人の上記主張を考慮しても,上記の判断は変わらない。 5 控訴人のその他の主張についてその他,控訴人は,(1) 被控訴人は納税義務者を誤認している(本件軽油取引はE及びGの名義で行われているから,E及びGが納税義務者である。納税義務者を課税対象行為の名義人であるE又はGではなく控訴人であるとするには,法人格否認の法理,実質帰属者課税の原則又は第二次納税義務者のいずれかによる必要があるが,被控訴人はそれに必要な主張立証をしていない。),(2) 課税要件明確主義の趣旨に反する,(3) 本件処分は実質的に平成16年に創設された法700条の22の3の罰則規定を遡及適用した疑いがある,(4)控訴人は本件軽油取引についてBらと連帯して一つの納税義務を負担する連帯納税義務者であるというべきところ,本件処分は,この点を看過して,控訴人を単独の納税義務者であるとしている点で誤っている,(5) 本件処分は,事実誤認と思い込みにより適切な調査がなされないまま,不十分な調査に基づき,収集すべき証拠を揃えないままされた不当な処分である,と主張する。 しかし,(1) Bら及び控訴人は,上記のとおり,Eという実体のない休業中 - 22 -の会社を使用してあるいはG(Hの個人事業)という軽油取引を行ったことのない者の名義を借用して本件軽油取引を行っていたのであって,本件軽油取引の実質的行為者はBら及び控訴人であり,そして,控訴人は軽油の製造をして他の者に譲渡していたと評価することが 取引を行ったことのない者の名義を借用して本件軽油取引を行っていたのであって,本件軽油取引の実質的行為者はBら及び控訴人であり,そして,控訴人は軽油の製造をして他の者に譲渡していたと評価することができるのであるから,本件軽油取引を実質的に行っていた控訴人を納税義務者とするに何ら差支えなく,(2) 本件において,課税要件を充足するとするための評価の対象となる事実関係は明確なものであるから,課税要件明確主義に反するものではなく,(3) 法700条の22の3の罰則規定を遡及適用した疑いがあるとは認められず,(4) 本件処分が控訴人を単独の納税義務者であることを前提としているわけではなく,控訴人がBらに対して事実上求償することができないとしても,そのことは控訴人の納税義務に何ら消長を来すものではなく,(5) 本件処分が,事実誤認と思い込みにより適切な調査がなされないままになされた不当な処分であるとも認められないから,控訴人の上記主張も採用することができないものである。 6 まとめ以上のとおりであり,控訴人の本件請求はこれを認容することができないものである。 第4 結論よって,控訴人の本件請求を棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第8民事部 裁判長裁判官原田敏章 裁判官加藤謙一 - 23 - 裁判官増森珠美

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