昭和62(行コ)109 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成3年7月30日 東京高等裁判所 住民訴訟
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【DRY-RUN】○ 主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 控訴人ら 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人A、被控訴人B、被控訴人C及び被控訴人Dは、連帯

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判決文本文73,998 文字)

○ 主文本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一控訴人ら 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人A、被控訴人B、被控訴人C及び被控訴人Dは、連帯して被控訴人千葉市に対し、金三一九二万九六〇六円及びこれに対する昭和五五年三月三〇日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。 3 被控訴人千葉市は、控訴人らに対し、金三五〇万円を支払え。 4 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。 5 仮執行宣言二被控訴人ら主文と同旨第二当事者の主張双方ともに原審の主張を敷衍して次のとおり主張するほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決中「千葉中央卸売市場」とあるのをいずれも「千葉市中央卸売市場」と、原判決三枚目表一二行目の「○○」を「○○」と、同一〇枚目表四行目の「増してや」を「ましてや」と改める。)。 一控訴人ら 1 本件補助金支出の違法性について(一) 本件補助金の支出につき「公益上の必要」が認められないことについて(1) 千葉青果は、営利を目的として設立された法人であって、商人であるから、その事業を公益事業ということはできない。その事業における購買層は広汎であっても、それゆえに公益性を帯びることはない。 千葉青果は、農林水産大臣(以下「農水大臣」という。)の許可を受けて、市場において卸売業務を行うに当たり、卸売市場法に定める数々の公的規制を受けているが、それは、市場の継続的開設という、開設者たる被控訴人市にとっての公益目的を実現するためになされるものであり、公的規制を受けるからといって千葉青果の事業活動の公益性が肯定されるわけではない。 千葉青果は、市場において営利法人としての事業活動をすることにより、結果的に消費者への生鮮食料品の安定供 ものであり、公的規制を受けるからといって千葉青果の事業活動の公益性が肯定されるわけではない。 千葉青果は、市場において営利法人としての事業活動をすることにより、結果的に消費者への生鮮食料品の安定供給という公益目的の実現に寄与することになる。しかし、これは、被控訴人市が千葉青果の営利活動を通じて右公益目的を実現しようとすることによるのであり、千葉青果の事業活動自体が公益事業であるからではない。千葉青果が出荷業者に対し出荷要請を行うのは、営利事業者として経済的利益追求のための当然の日常業務であるから、それを目して消費者への安定供給のための公的責務の遂行ということはできない。 以上のとおり、千葉青果の存在自体及びその事業活動には公益性はないのであり、その事業活動に関する補助金の支出は「公益上の必要」を欠くものとして違法である。 (2) また、本件補助金の支出が「公益上の必要」があるといえるためには、それによって直接住民の利益に資する必要があると解される。 しかるところ、本件補助金は、入場交付金の名目で産地対策費補助として、すなわち産地からの販売委託の指定獲得に役立ち、ひいては消費者への安定供給に役立つものとして支出されたものであるが、本件補助金が実際に産地対策のための旅費日当等に充てられたとしても、それによって指定団体が増加した事実は認められないのであり、実態は千葉青果の赤字補填に使われたにすぎず、消費者への安定供給という公益目的とは無縁の支出であったといわざるを得ない。 したがって、この点からしても、本件補助金の支出は「公益上の必要」を欠き違法である。 (二) 本件補助金は違法な手続により支出されたことについて国が補助金を支出する場合については、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(以下「補助金適正化法」という。)により規制がなされて 。 (二) 本件補助金は違法な手続により支出されたことについて国が補助金を支出する場合については、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(以下「補助金適正化法」という。)により規制がなされているが、地方公共団体による補助金の支出についても、条理上、補助金適正化法と同様の規制が働き、国民の納めた税金が公共の利益を増進する事業を補助するための財源として適正に費やされるのにふさわしい手続を踏むことが要請されているものと解される。 本件補助金は、それによって達成しようとする公益目的、使途等が具体的に特定されて支出されたものではなく(補助金適正化法二条、六条参照)、補助金交付後の状況報告もさせておらず(同法一二条、一四条参照)、補助金の流用を防止する対策が何も講じられていない(同法一七条参照)など条理上要請される手続が全くとられていないのであり、このように手続的観点からも本件補助金の支出は違法というべきである。 2 本件補償金支出の違法性について(一) 千葉青果が旧市場施設を使用するに当たっては、農水大臣から卸売業者の許可を得たうえ、被控訴人市から業務規程六一条により、卸売業者が使用する市場施設の位置及び面積等の指定を受けていたものであるが、新市場への移転に際しても、千葉青果が中央卸売市場施設を使用し得る権限自体が消滅したわけではなく、原判決のいう使用許可の取消なるものはなされていない。 すなわち、新市場への移転に当たっては、被控訴人市は、業務規程二条で定められていた旧市場の位置及び面積を新市場のそれに変更する条例改正を行い、農水大臣の認可を得るとともに、新市場について、千葉青果及び新たに入場した他の卸売業者に対して新市場施設の使用指定をしただけであり、もともと農水大臣からの卸売業者の許可によって発生している市場施設についての使用権限と施設 ともに、新市場について、千葉青果及び新たに入場した他の卸売業者に対して新市場施設の使用指定をしただけであり、もともと農水大臣からの卸売業者の許可によって発生している市場施設についての使用権限と施設内での卸売営業の権限は引き続き存続しているのである。また、被控訴人市が業務規程六一条による指定をするについては、市場の移転計画が昭和四九年に決定され、昭和五四年に実行される経過の中で、使用期間を一年として更新してきたのであり、市場移転の直前に更新された使用期間については、市場の移転時期までに限定されていたものと解されるから、市場の移転時期の到来により右指定は当然に失効したものであり、その点からしても、使用許可の取消は存在する余地がなかったのである。したがって、使用許可の取消がなされたことを前提に、損失補償について国有財産法一九条、二四条の適用を認める余地はない。 (二) 仮に本件を使用許可の取消がなされた場合と同視するとしても、本件での市場施設の使用は、行政財産の目的内使用であるから、行政財産の目的外使用の許可取消の場合における損失補償を定めた国有財産法一九条、二四条は適用されない。 行政財産の目的内使用の許可取消の場合における損失補償の要否は、第一次的には当該個別法の規定により、第二次的には憲法二九条三項の趣旨により決せられるべきである。卸売市場法及び業務規程の定めを通覧すると、市場施設は開設者が設置して、これを卸売業者等に使用させることが基本となっており、市場施設の使用関係の実質は、使用許可を前提に卸売業者が自己の営業活動に必要な設備を設置することが予定されているものではなく、施設の使用料も公有財産たる土地及び建物そのものの使用料に比べて低廉になっているのであるから、市場施設に現状変更を加えることは、土地及び建物に対する使用権の行使として とが予定されているものではなく、施設の使用料も公有財産たる土地及び建物そのものの使用料に比べて低廉になっているのであるから、市場施設に現状変更を加えることは、土地及び建物に対する使用権の行使としてではなく、限定された市場施設の利用に付随して例外的に許容されるものにすぎないものと解される。したがって、そのような市場施設の現状変更については、卸売業者等の負担と責任においてなされるべきであって、使用関係が終了する際に、仮にそれにつき卸売業者等の責任がない場合であっても、現状に回復すべきことが当然の前提になっているものと解され(業務規程六三条二項、六四条参照)、現状変更に要した費用や物件の移転費用等については、特に卸売業者等の期待・信頼に反するといえる特別の事情のない限り、補償を要しないものと解すべきである。 これを実質的にみても、市場施設の使用については、入場を許可されているだけでも一種の特典を与えられているのであり、行政財産の管理運営上の必要からその使用が制約されることがあっても、一定の限度までは受忍すべき内在的制約が伴っているものといえ、市場の移転に際しても、卸売業者等は、独自に用地を確保したり廃業を余儀なくされたりするわけではなく、逆に移転によって営業利益の増大を見込むことができるのであって、市場の移転は卸売業者にとっても利益となるのであるから、移転に伴う損失が生じることがあるとしても、それは受忍の限度内にあるものであり、それをもって公益のための特別の犠牲ということはできず、憲法二九条三項の趣旨に基づき補償すべき損失には当たらないというべきである(公営住宅法二一条四項によると、入居者による模様替え又は増築は原則として禁止され、事業主体の長の承認を得たときに限り許されるとされているところ、公営住宅の建替えに伴う移転の際に、右模様替え又は る(公営住宅法二一条四項によると、入居者による模様替え又は増築は原則として禁止され、事業主体の長の承認を得たときに限り許されるとされているところ、公営住宅の建替えに伴う移転の際に、右模様替え又は増築に要した費用につき損失補償がなされないことは、移転料の補償のみを認める同法二三条の一〇の規定からして明らかであるが、それは、同法が右の程度の費用負担は内在的制約とみているからにほかならない。)。 (三) 被控訴人市の公有財産規則二二条一号によると、行政財産の目的外使用の場合には、使用許可の取消による損失につき一切補償しない旨の条件を付すると規定されているが、同規則が行政財産の目的外使用について定めているのは、行政財産につき使用許可が問題となる典型的ケースが目的外使用の場合であり、行政財産の目的内使用として第三者に使用を許可する事例は希有であるからにほかならないので、同規則が「目的外」と明文化していても、特に目的内使用の場合と区別する趣旨ではなく、本件のような行政財産の目的内使用の場合にも類推適用されるべきである。したがって、本件において使用許可の取消があったとしても、同規則の趣旨からして補償はなされるべきではないのである。 (四) 被控訴人市は、千葉青果に対する本件補償金を支出するに当たり、他市における補償事例を調査検討し、それをも参考にしなというけれども、それらの補償事例は、いずれも従前地方卸売業者であった者が新会社を設立して中央卸売業者として、新設された中央卸売市場に新規入場したというものである。このような場合、地方卸売業者として営業していた当時の財産は新規入場により無駄になる場合が多く、本件において千葉青果が新市場に移転した場合と比べ、被る損失は大きく、補償金支出の必要性が高いことは明らかである。したがって、右事例のような場合に補償 時の財産は新規入場により無駄になる場合が多く、本件において千葉青果が新市場に移転した場合と比べ、被る損失は大きく、補償金支出の必要性が高いことは明らかである。したがって、右事例のような場合に補償金を支出したとしても、一概に違法不当とはいえないのである。しかるに、本件においては、新規入場する地方卸売業者に対しては何の補償もしなかったのに対し、千葉青果に対し二一九二万円余の補償金を支出しているのであり、他市における補償の事例は、むしろ本件補償金支出の違法性を裏付けるものである。 また、平成元年五月に東京神田中央卸売市場が大田区内に移転した。本件と同様、既に入場している中央卸売業者が新市場に移転した事例であるが、移転に際しては、何らの補償もなされていない。 このように他市の事例と比較してみると、本件補償金の支出が違法であることが肯定される。 (五) 本件の各設置物件等について、補償が違法である個別的な理由を敷行すると、次のとおりである。 (1) 市場移転計画決定後の設置物件等について仲卸売場下屋、車庫等は、昭和四九年に市場移転計画が決定した後に本件使用許可を受けて設置されたものであり、その後、使用許可が更新されたものの、前記のとおりその使用期間は市場の移転時期までに限定されていたものと解され、したがって、その到来により使用許可は当然に失効しているものであり、使用関係を一方的に消滅させる処分は存在せず、千葉青果としては、必要な場合に原状回復が命ぜられるほか、市場を明け渡す義務が生じていたのであり、それに伴う損失補償を論じる余地は全くない。 (2) 市場移転計画決定前の設置物件等について冷房機、分類器、ゴミ集積場、事務所間仕切り、室内電話設備、冷暖房設備、サイバー防犯器は、いずれも昭和四九年の市場移転計画決定前に取得又は設置されたものであるが、 移転計画決定前の設置物件等について冷房機、分類器、ゴミ集積場、事務所間仕切り、室内電話設備、冷暖房設備、サイバー防犯器は、いずれも昭和四九年の市場移転計画決定前に取得又は設置されたものであるが、これらは、単なる動産の取得又は業務規程六三条一項による現状変更であって、それにより市場施設の使用料が増額されるものではない。そして、右取得又は設置当時、既に審議会において市場の移転が公に検討され始めていたことのほか、右動産類は、被控訴人市に何らの関係もなく千葉青果が取得したものであり、また、原状変更については、使用関係終了時の原状回復が条件とされていたことを考慮すると、移転に伴う右設置物件等の廃棄損を受忍せざるを得ないとしても、それをもって特別の犠牲とはいえない。 (3) 電話移設料、移転に伴う備品修繕科及び電算機リース解除補償についてこれらのものについては、市場施設の使用期間の消滅とは無関係であるが、前記のとおり市場の移転は千葉青果にとっても利益となる側面があり、それに伴うある程度の負担は受忍すべきであるところ、電話移設料は二六万五五〇〇円、移転に伴う備品修繕費は一六八万六六五〇円程度であるから、右受忍の限度内にとどまるものというべきである。また、電算機リース解除補償は、事業拡大のための設備更新に当たるものであり、補償の要件を欠く補助金的性格の支出というほかない。 3 本件各支出の目的の不当性について千葉青果は、昭和五二年以降多額の損失を出して経営悪化に陥り、昭和五四年六月時点において純資産額が六六〇万円となり、卸売市場法で要求されている純資産基準額二二〇〇万円を大きく下回った。千葉青果においでは、昭和五五年二月に四〇〇〇万円の増資を行い、遊休不動産を売却したほか、本件各支出を受けたことにより、昭和五五年三月三一日時点における純資産額が三一〇 二二〇〇万円を大きく下回った。千葉青果においでは、昭和五五年二月に四〇〇〇万円の増資を行い、遊休不動産を売却したほか、本件各支出を受けたことにより、昭和五五年三月三一日時点における純資産額が三一〇四万五〇六四円に回復した。本件各支出合計三一九二万九六〇六円の交付を受けていなければ、純資産基準額の維持どころか資産割れを招いていたことは明らかである。そして、本件各支出の経過をみると、千葉青果から被控訴人市に対し、市場移転に伴う補償要求が口頭でなされたほか、昭和五四年八月二七日付け書面で三億円の補償要求がなされたが、これを受けた被控訴人市は、同年九月初めころには、廃棄損補償及び移転補償をし、産地対策費補助をする旨の基本方針を決定した。以上のような事情からすると、本件各支出の実態は、被控訴人市において、監督官庁である農水省から、千葉青果が純資産基準額割れを起こしたことに対する監督責任を追及されることを回避するため、市場移転を口実に、支出の要件を検討することなく千葉青果に補償金及び補助金を支出し、純資産基準額の回復を企図したものであり、その目的の不当性は重大であり、支出を違法ならしめるものというべきである。 二被控訴人ら 1 控訴人らの右主張はいずれも争う。 2 同1(一)(1)に対する反論地方公共団体の補助金支出を規制する規定は、憲法八九条を除けば地方自治法二三二条の二のみであり、営利会社に対する補助金支出を禁止ないし制限する法令は存しないのである。当該補助金支出が住民に利益をもたらすものであれば、その直接の支出先が営利会社であっても、適法と解すべきである。 3 同1(一)(2)に対する反論住民に対する直接的利益、間接的利益といっても、相対的概念であって、明確に区別できるものではなく、間接的に住民に利益をもたらす場合でも、「公益上の必要」が である。 3 同1(一)(2)に対する反論住民に対する直接的利益、間接的利益といっても、相対的概念であって、明確に区別できるものではなく、間接的に住民に利益をもたらす場合でも、「公益上の必要」があると解すべきである。 そして、地方公共団体は、一定の公益目的を実現すべく補助金支出をなすものであるが、その支出に当たり、右公益目的達成に当該補助金が寄与するか否かの判断は、当然のことながら事前予測に基づいてせざるを得ないのであり、右事前予測が著しく不公正、不合理であれば格別、その判断に一応の合理性があれば、仮に結果的に公益目的に寄与することがなくても、遡って「公益上の必要」が否定されることにはならない。本件についてみると、産地対策費の補助をなせば、集荷が活発に行われ、市民に豊富に生鮮食料品を供給することになるとの判断には十分な合理性があり、しかも、現に昭和五五年度には千葉青果の産地対策費が増加し、産地指定団体も増加しているのであるから、結果的にも右公益目的に寄与したものというべきである。 4 同1(二)に対する反論補助金適正化法は、補助金支出の手続に法的規制を加える場合の一つの形態を示したものにすぎず、条理とは無関係である。仮に補助金支出の手続につき何らかの条理が存するとしても、その違反が直ちに補助金支出を違法又は無効ならしめるものとはいえない。 仮に控訴人らの主張を前提としても、被控訴人市は、千葉青果から産地対策費補助の要求を受けた後、他市の事例をも参考としつつ補助の必要性を検討し、千葉青果から提出させた最近三か月間の産地対策費の一覧表を基礎に補助額を算定し、支出しているものであって、使途は具体的に特定されていた。また、被控訴人市は、中央卸売市場開設者として、千葉青果の産地指定団体又は取扱数量の増減を当然に把握できる立場にあり、補助金支出 額を算定し、支出しているものであって、使途は具体的に特定されていた。また、被控訴人市は、中央卸売市場開設者として、千葉青果の産地指定団体又は取扱数量の増減を当然に把握できる立場にあり、補助金支出の行政上の効果を知ることができたのであるから、殊更状況報告をさせる必要もなかったのである、。更に本件補助金は、産地対策費として特定されて支出されており、流用のおそれはなく、現に産地対策費として使用されているのであるから、必要な手続を欠如していることはないというべきである。 5 同2(一)に対する反論本件において、旧市場につき明示的な使用許可の取消はなされていないとしても、旧市場の廃止という被控訴人市の一方的措置により千葉青果が旧市場の施設につき有していた使用権が一方的に消滅させられたことに変わりはなく、国有財産法一九条、二四条で定める行政財産の使用許可による使用権を明示的な許可取消により消滅させた場合と利益状況を同じくするから、法的評価としては使用許可の取消がなされたものと同視すべきである。 本件使用指定は、期間一年間とされ、右期間が経過するごとに更新されてきたものであろが、そもそも一年という使用期間は、使用目的等に照らし適合しないものであり、期限の到来によって当然に使用が終了するものではない。しかも、市場移転直前の更新の際も、従前どおり期間は一年間とされ、市場移転に伴う旧市場の廃止による使用期間の限定及びその後の更新はしない旨の条件は付されていなかったのである。したがって、千葉青果に対する使用指定が旧市場の廃止によって当然に失効したということはできない。 6 同2(二)に対する反論国有財産法一九条、二四条の規定は、行政財産の目的外使用の場合のみならず、行政財産の目的内使用の場合についても適用されるものである。すなわち、行政財産の目的外使用 ない。 6 同2(二)に対する反論国有財産法一九条、二四条の規定は、行政財産の目的外使用の場合のみならず、行政財産の目的内使用の場合についても適用されるものである。すなわち、行政財産の目的外使用の許可であれ、目的内使用の許可であれ、行政財産につき特許により設定された使用権であることに違いはなく、憲法二九条三項の趣旨である公平の原則からすると、行政上の理由により使用権が消滅させられたときには、いずれの場合にも補償の必要性があるものというべきである。行政財産の目的内使用許可の取消について、個別法に規定がなければ、国有財産法一九条、二四条の類推適用が肯定されるべきである。 業務規程六三条二項、六四条の各規定は、使用資格消滅の際の原状回復義務を定めたものにすぎず、損失補償の要否を定めたものではない。原状回復義務の存在が損失補償の必要性を否定するものでないことは、道路法七一条二項と同法七二条との関係に照らしても明らかであるが、仮に業務規程六三条二項、六四条が、使用権消滅の際の補償不要の趣旨を含むとしても、憲法二九条三項、国有財産法一九条、二四条の趣旨に照らし、使用者に帰貴事由がある場合に限定され、本件のように市場の移転により一方的に使用権を消滅させた場合には適用されないものと解すべきである。 7 同2(三)に対する反論公有財産規則二二条の規定は、その文言どおり、行政財産の目的外使用の場合にのみ適用されるものであり、目的内使用である本件の場合に適用される余地はない。 仮に本件についても適用されるとしても、同規定は、一号の補償をしないとの条件を付し得るとしているにすぎず、右条件の付されていない本件の場合に、同規定を根拠として補償を拒否することはできない。なお、本件使用許可について、千葉青果の帰責事由の有無を問わず一切の補償を要しないとの条件が付され ているにすぎず、右条件の付されていない本件の場合に、同規定を根拠として補償を拒否することはできない。なお、本件使用許可について、千葉青果の帰責事由の有無を問わず一切の補償を要しないとの条件が付されたと仮定すると、同条件は、憲法二九条三項、国有財産法一九条、二四条の趣旨に反して無効といわなければならない。 8 同2(四)に対する反論他市の補償の事例のように地方卸売業者が新規に中央卸売市場に入場する場合、その入場は、当該地方卸売業者の自発的意思によるものであり、中央卸売市場開設者の強制によるものではない。各地方卸売業者は、中央卸売市場入場に伴って一定の経済的負担が生じる場合にも、将来的な採算を見込み経営上有利と判断して自主的判断に基づき中央卸売市場に入場するのであって、そこには中央卸売市場開設者による一方的な公権力行使としての措置は存在しない。したがって、そのような場合には、もともと損失補償の余地はないのである。他市の補償の事例は、そのような場合においてすら補償がなされていることを示すのであり、本件のように被控訴人市の事情により一方的に旧市場施設に対する使用権が消滅させられた千葉青果に対し補償をすることが適法であることを一層補強するものといわなければならない。 9 同2(五)(1)に対する反論新市場への移転計画は昭和五〇年に確定したものであるが、それは、あくまでも行政上の計画としてであり、法的に確定したといえるのは、昭和五四年の千葉市中央卸売市場設置条例及び業務規程の改正並びに農水大臣の認可の時点である。千葉青果は、旧市場施設に対する使用権を有していたものであり、新市場への移転が法的に確定するまでの間、日々の卸売業務継続のために旧市場施設の増改築等を必要とすることは当然あり得るのであり、かかる事情からなされた設置物件等については補償がな ていたものであり、新市場への移転が法的に確定するまでの間、日々の卸売業務継続のために旧市場施設の増改築等を必要とすることは当然あり得るのであり、かかる事情からなされた設置物件等については補償がなされるべきである。 10 同3に対する反論千葉青果が昭和五四年九月三〇日決算において純資産基準額を下回ったのは事実であるけれども、被控訴人市は、右事実を農水省に報告し、同省の指導のもと千葉青果に再建計画を建てさせており、右再建計画によると、昭和五五年九月決算時までに純資産基準額の回復をするというものであり、これについては農水省も了承済みであったのであるから、被控訴人市としては、昭和五五年三月決算時点において法令に違反してまで純資産基準額の回復のための支出をする必要などなかったのである。 被控訴人市は、補償金については、旧市場に入場していた仲卸売業者に対しても、千葉青果に対すると同じ時期に同じ補償額算定方式により支出することを決定し、支出しているのであり、また、補助金である入場交付金については、新市場に入場する他の卸売業者二社に対しても、千葉青果に対する支出を決めたと同じ時期に、千葉青果との資本金、取扱高との比較により各五〇〇万円を支出することを決定し、事後支出しているものである。 千葉青果は、昭和五四年六、七月ころから被控訴人市に対して補償要求をしていたものであり、同年八月二七日に三億円の補償要求書を提出したのは、補償要求のうち最大のものである営業補償の要求を文書で強く要求するためのものにすぎず、したがって、同年九月に被控訴人市において補償方針を決定したからといって検討もなく急ぎ決定したということはできない。 以上のとおり、被控訴人市は、控訴人ら主張のように千葉青果の純資産基準額を回復させる目的で支出したものではない。 第三証拠関係(省略) たからといって検討もなく急ぎ決定したということはできない。 以上のとおり、被控訴人市は、控訴人ら主張のように千葉青果の純資産基準額を回復させる目的で支出したものではない。 第三証拠関係(省略)○ 理由第一本案前の主張について一不真正連帝債務を前提にする請求が不適法であるとの主張について控訴人らは、被控訴人A及び被控訴人Dに対しては、地方自治法二四三条の二の規定による損害賠償義務と民法上の損害賠償義務を主張し、被控訴人C及び被控訴人Bに対しては、民法上の損害賠償義務を主張して、地方自治法二四二条の二第一項四号の規定による損害補填の代位請求訴訟を提起しているものである。そして、原審における訴訟経過にかんがみれば、右民法上の損害賠償義務の主張が時機に後れた攻撃防御方法として却下すべきものとは認められないし、また、右訴訟において職員の民法上の損害賠償義務の履行を請求することが許されないと解すべき理由もない。右訴訟において複数の職員が被告とされている場合に、請求にかかる各自の損害賠償義務が不真正連帯の関係に立つか否かは本案の問題である。 この点に関する被控訴人らの本案前の主張は採用できない。 二被告適格を欠くとの主張について当裁判所も、被控訴人A、被控訴人D、被控訴人C、被控訴人B(以下「被控訴人四名」という。)の被告適格に欠けるところはないと判断する。その理由は、原判決理由一2(原判決三八枚目表一行目から同三九枚目裏五行目までの説示と同一であるから、これを引用する。 第二被控訴人四名の地位、千葉市中央卸売市場の移転及び本件各支出について請求原因1(本件各支出当時における被控訴人四名の地位)、2(千葉市中央卸売市場の移転と新市場への入場)及び3(本件各支出)の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。 第三本件各支出に至る経過につい 求原因1(本件各支出当時における被控訴人四名の地位)、2(千葉市中央卸売市場の移転と新市場への入場)及び3(本件各支出)の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。 第三本件各支出に至る経過について本件各支出に至る経過については、次のとおり付加訂正するほかは、原判決理由三(原判決四〇枚目表五行目から同四五枚目表八行目までの認定と同一であるから、これを引用する。 1 原判決四〇枚目表九行目から同一〇行目までの「第一〇八号証の三ないし六、同号証の一三」を「第一〇八号証の三、五、六、一〇、一三」と改める。 2 同四〇枚目表一一行目の「同E」の次に「、同F」を加える。 3 同四〇枚目表一二行目の「G」の次に「、当審証人H及び同I」を加える。 4 同四二枚目表六行目の「正式に要求した。」を「正式に要求し、同年八月末には三億円の補償を要求する書面を提出した。」と改める。 5 同四二枚目表六行目の「このため」から同一二行目の「基本方針」までを「被控訴人市の経済部は、前記他県の事例なども参考として検討を重ね、最終的に「(1)営業補償については、新市場で営業を継続できるのであるから不要である。(2)産地対策費補助については、市民への安定供給を確保するために必要であり、地方自治法二三二条の二の規定による補助金として支出する。(3)廃棄損補償及び移転補償については、被控訴人市の都合により市場を移転するのであるから、同法二三八条の五第四項が普通財産の貸付を解除したときに地方公共団体の損失補償義務を定めている趣旨にかんがみて、補償するのはやむをえない。」との基本方針」と改める。 6 同四三枚目裏一二行目の次に行を改めて以下を加える。 「 そして、新市場に新たに入場する千果千葉中央青果株式会社と株式会社京葉中央青果市場の二社に対する産地対策費については、右二社と千葉青果 る。 6 同四三枚目裏一二行目の次に行を改めて以下を加える。 「 そして、新市場に新たに入場する千果千葉中央青果株式会社と株式会社京葉中央青果市場の二社に対する産地対策費については、右二社と千葉青果との資本金、取扱量の比を考慮するなどして、それぞれに対し五〇〇万円を支出することを決めた。」 7 同四四枚目表六行目の「被告市は、」から同裏二行目の「としている。」までを「被控訴人市においては、前記のとおり、決裁規程により、工事費等を除く五〇〇万円を超える支出命令の事務は、助役の専決事項とされ、助役が専決により支出命令をすることができることになっていた。」と改める。 8 同四五枚目表八行目の次に行を改めて以下を加える。 「9 なお、旧市場においては、千葉青果の卸売業務に関連して仲卸業者が営業し、その際、旧市場施設に右営業に必要な物件を設置していたが、被控訴人市は、市場の移転により廃棄損が生じるとして、千葉青果に対してと同様の手続により、昭和五五年三月二九日、右仲卸売業者である千葉青果卸売協同組合に対し、仲卸売場下屋廃棄損(千葉青果との共有の物件であり、同協同組合の共有持分に対するもの)として一五〇万八七五〇円を、同じく長塚青果株式会社に対し、冷暖房設備等の廃棄損として五〇万〇〇二二円を各支出した。」第四入場交付金の支出の違法性について一本件入場交付金は、前記認定のとおり、産地対策費補助のために支出されたものであるところ、控訴人らは、補助金であるとすれば、決裁規程別表第1の3(2)(20)に基づき財政部長の専決によりその支出負担行為及び支出命令の決裁がなされるはずであるのに、本件入場交付金については助役である被控訴人Dの決裁による支出命令により支出されているのであるから、本件入場交付金を補助金とみることはできず、結局、本件入場交付金は法的根 裁がなされるはずであるのに、本件入場交付金については助役である被控訴人Dの決裁による支出命令により支出されているのであるから、本件入場交付金を補助金とみることはできず、結局、本件入場交付金は法的根拠のないまま支出された旨主張する。 しかし、右主張は採用することができない。その理由は、原判決理由四1(原判決四五枚目裏二行目から同四六枚目表三行目までの説示と同一であるから、これを引用する。 二控訴人らは、本件入場交付金の支出は予算流用措置によってなされたものであって違法である旨主張し、これに対し、被控訴人らは、右主張が時機に後れた攻撃防御方法の提出であり、訴訟上の信義則に反する旨主張する。 しかし、右主張はいずれも採用することができない。その理由は、原判決理由四2(原判決四六枚目表四行目から同四八枚目表四行目までの説示と同一であるから、これを引用する。 三控訴人らは、本件入場交付金が補助金として支出されたものであれば、地方自治法二三二条の二にいう「公益上の必要」が認められなければならないのに、本件入場交付金の支出についてはこれが認められないから違法である旨主張する。 地方自治法二条三項一一号及び一七号の規定によると、地方公共団体は、市場の経営その他公共の福祉を増進するために適当と認められる収益事業を行い、また、消費者の保護に関する事務を行うこととなっている。そして、卸売市場法によると、一定の要件を満たす地方公共団体は、農水大臣の認可を受けて中央卸売市場を開設することができること(八条)、中央卸売市場は、一般消費者が日常生活の用に供する生鮮食品等の流通及び消費上特に重要な都市及びその周辺の地域における生鮮食料品等の円滑な流通を確保するための生鮮食料品等の卸売の中核的拠点となるとともに、当該地域外の広域にわたる生鮮食料品等の流通の改善にも資す 流通及び消費上特に重要な都市及びその周辺の地域における生鮮食料品等の円滑な流通を確保するための生鮮食料品等の卸売の中核的拠点となるとともに、当該地域外の広域にわたる生鮮食料品等の流通の改善にも資するものとして開設される卸売市場であること二一条一項、三項)、中央卸売市場において卸売の業務を行おうとする者は、農水大臣の許可を受けなければならず(一五条)、右許可を受けた卸売業者は、農水大臣及び市場開設者たる地方公共団体の監督及び規制に服する(一七条以下)ほか、中央卸売市場において行う卸売の方法等についても厳しい制限を受けること(三四条以下)などが定められており、これによって生鮮食料品等の取引の適正化とその生産及び流通の円滑化を図り、もって国民の生活安定に資する(一条)という公益目的を達成するものとされている。このような中央卸売市場設営の公益目的を達成するためには、何よりもまず、卸売業者が、消費者の需要に応じ得る生鮮食料品等を産地から集荷し、これを安定供給することが求められる。卸売業者が営利を目的とする商人であることは、控訴人ら指摘のとおりであるけれども、前記の公的規制の下に右集荷・供給の卸売業務を適切に遂行することを通じて、公益目的の実現に寄与する関係にあるといえる。 したがって、中央卸売市場を開設した地方公共団体が、諸般の事情を総合的に勘案したうえで、卸売業者に課せられた右役割を適切に遂行させるための必要性に基づいて、卸売業者に対し相応の補助を行うことは、地方自治法二三二条の二の規定にいう「公益上の必要」があるものと認めるべきである。 ところで、前掲乙第六号証、原審証人Gの証言によって成立の認められる甲第一一三号証、原審証人J、同E、同Gの各証言、当審証人H及び同Iの各証言、原審における被控訴人C及び同Bの各本人尋問によると、千葉青果におい 掲乙第六号証、原審証人Gの証言によって成立の認められる甲第一一三号証、原審証人J、同E、同Gの各証言、当審証人H及び同Iの各証言、原審における被控訴人C及び同Bの各本人尋問によると、千葉青果においては、千葉市中央卸売市場に生鮮食料品を安定して多く提供するためには、全国各地の経済連等の出荷団体から、その産地の生産品の販売を委託するとの指定を受け、この指定を維持することが必要であり、そのために、職員を各地に出張させ、産地の出荷団体に指定及び出荷の要請をしており、旅費日当等の費用が必要であったこと、昭和五四年一〇月に開場した新市場は、被控訴人市の人口急増等に対応するものであり、千葉青果にとっても、以前より多くの産地からの集荷を得ることが要請されており、当然、産地の販売委託の指定を受け、指定を維持するための出張旅費日当その他の経費の増加が予想されたこと、被控訴人市は、新市場においては、急増した人口に対応する集荷が必要であり、そのためには卸売業者が産地対策を十分に行い、活発な集荷活動をすることが重要であると考え、新市場に入場する千葉青果はかの卸売業者に対し右のような趣旨の産地対策費を補助することにしたこと、その具体的金額については、千葉青果において昭和五四年七月末から同年一〇月までの約三か月間に産地対策のために要した旅費等の合計額(約一七六万円)を基礎として、移転後三年間の分を計算し、その約半分の一〇〇〇万円を補助することにしたこと、千葉青果は、本件入場交付金の交付を受けて、産地対策を行い、その結果、昭和五五年度には指定を受けた団体が四つ増えて三六団体となり、取扱量も、昭和五四年度約九六億円であったものが、昭和五五年度約九七億円、昭和五六年度約一〇八億円、昭和五七年度約一一一億円と漸増したこと、以上の各事実が認められる。控訴人らは、本件入場交 となり、取扱量も、昭和五四年度約九六億円であったものが、昭和五五年度約九七億円、昭和五六年度約一〇八億円、昭和五七年度約一一一億円と漸増したこと、以上の各事実が認められる。控訴人らは、本件入場交付金が千葉青果の赤字補填に使われたと主張するが、そのように認めることはできない。 してみると、産地対策費の補助として支出された本件入場交付金は、その支出の趣旨及び金額において、公益上必要な補助金であったと認めるべきであり、これを違法ということはできない。この点に関する控訴人らの主張は採用することができない。 四控訴人らは、本件入場交付金の支出は、一切の補償をしないとの控訴人市の行政施策に違反し、信義誠実の原則にもとるものである旨主張する。 しかし、右主張は採用することができない。その理由は、原判決理由四5(原判決五〇枚目裏四行目から同五一枚目裏三行目までの説示と同一であるから、これを引用する。 五控訴人らは、本件入場交付金の支出については、補助金の支出として条理上要求される補助金適正化法所定の手続が全くとられていないので違法である旨主張する。 前記認定事実及び弁論の全趣旨によると、被控訴人市は、本件入場交付金について、通常の支出と異ならない手続で支出したものであり、補助金適正化法で要求されている事後報告をさせたり、流用防止の措置をとったりはしていないことが認められるけれども、そのことだけで右支出を違法とすることは法律上の根拠を欠くというほかない。 したがって、控訴人らの主張は採用することができない。 六控訴人らは、新市場に入場した千果千葉中央青果株式会社と株式会社京葉中央青果市場に対しても同時に入場交付金を支出しなかったのは、不公平かつ恣意的な運用であるから、本件入場交付金の支出は違法である旨主張する。 しかし、右主張も採用することができない 会社と株式会社京葉中央青果市場に対しても同時に入場交付金を支出しなかったのは、不公平かつ恣意的な運用であるから、本件入場交付金の支出は違法である旨主張する。 しかし、右主張も採用することができない。その理由は、原判決理由四7(原判決五二枚目表五行目から同裏一二行目までの説示と同一であるから、これを引用する。 第五本件補償金の支出の違法性について一控訴人らは、本件補償金についても、予算流用措置によって支出したものであり、また、一切の補償をしないとの行政施策に反して支出したものであるから、いずれの理由からも違法である旨主張する。 しかし、右主張は採用することができない。その理由は、原判決理由五1(原判決五一二枚目表二行目から同一二行目までの説示と同一であるから、これを引用する。 二控訴人らは、本件補償金の支出については議会の議決(地方自治法九六条一項一二号の準用)を経ていないから違法である旨主張する。 しかし、右主張も採用することができない。その理由は、原判決理由五6(原判決六七枚目裏四行目から同六八枚目表二行目まで)と同一であるから、これを引用する。 三控訴人らは、本件補償金の支出は、損失補償の要件を欠き違法である旨主張するので、以下検討する。 1 千葉市中央卸売市場業務規程六一条一項によると、卸売業者は、当該業者が使用する市場施設(市場内の用地及び建物その他の施設)の位置、面積、使用期間その他の使用条件について市長の指定を受けて市場施設を使用できるものとされ、同六三条一項によると、市場施設の使用者は、市長の承認を受けずに市場施設に建築、造作若しくは模様替えを加え、又は市場施設の原状に変更を加えてはならないと定められている。 そして、前記引用にかかる認定事実と成立に争いのない甲第一〇五号証の一ないし九、原審における被控訴人C及び同 造作若しくは模様替えを加え、又は市場施設の原状に変更を加えてはならないと定められている。 そして、前記引用にかかる認定事実と成立に争いのない甲第一〇五号証の一ないし九、原審における被控訴人C及び同Bの各本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によると、千葉青果は、昭和三六年七月の旧市場の開場以来、市場施設の使用について右市長の指定を受け、一年ごとにその更新を繰り返してこれを使用してきたこと(右一年の期間は、その経過により当然に使用を終了させるという趣旨のものではなかった。)、その間、千葉青果において市場内に新たな設備等を設置する必要が生じたときは、必要に応じて新たな指定を受け又は原状変更の承認を受けて、自己の費用負担でこれを設置してきたほか、必要な備品、器具類も自費で取得して使用してきたこと、昭和五四年一〇月の市場の移転に際しては、千葉市中央卸売市場設置条例の改正により市場の位置等が変更されたことに伴い、千葉青果に対して新市場の市場施設についての使用指定がなされたが、千葉青果が旧市場施設に設置した設備類や旧市場で使用していた備品、器具類のうち新市場に移転できないもの又は新市場では使用できないものについては、廃棄又は処分するはかなくなったこと、そこで、被控訴人市は、市場の移転が公益上の必要性に基づき被控訴人市により一方的に行われるものであることを考慮し、地方自治法二三八条の五第四項の規定の趣旨にかんがみ、右設備、備品等の廃棄又は処分により生じる千葉青果の損失を補償することとし、一部の移転補償を含めて本件補償金を支出したものであることが認められる。 2 ところで、本件のように地方公共団体が中央卸売市場を移転した場合に、旧市場施設の使用指定を受けていた卸売業者が自己の費用で設置し又は取得した設備、備品等のうち新市場に移転ができないものに対する補償の ところで、本件のように地方公共団体が中央卸売市場を移転した場合に、旧市場施設の使用指定を受けていた卸売業者が自己の費用で設置し又は取得した設備、備品等のうち新市場に移転ができないものに対する補償の要否に関し、卸売市場法及びその付属法令は明文の規定を設けていない。 もっとも、業務規程六三条二項は、「使用者が市長の承認を受けて、市場施設に建築、造作若しくは模様替えを加え、又は市場施設の原状に変更を加えたときは、市長は、使用者に対し返還の際原状回復を命じ、又はこれに代わる費用の弁償を命ずることができる。」と定め、同六四条は、「使用者の死亡、解散若しくは廃業又は業務許可の取消しその他の理由により使用資格が消滅したときは、相続人、清算人、代理人又は本人は、市長の指定する期間内に自己の費用で当該施設を原状に復して返還しなければならない。ただし、市長の承認を受けた場合は、この限りでない。」と定めている。しかし、右六三条二項の規定は、市場施設を返還することとなった場合に原状回復を命ずることができることを定めたにすぎないものであって、公物の使用終了に当たり原状回復を命じ得るからといって直ちに損失補償の義務がないといえないことは、例えば道路法七一条二項、七二条、河川法七五条二項、七六条一項、海岸法一二条二、三項、都市公園法一一条二項、一二条等が帰責事由のない使用者に対しても原状回復命令を発し得るとする一方で、これによる損失補償の義務を認めていることに照らしても肯定されるところである。また、業務規程六四条の規定は、市場施設の使用資格が消滅した場合の返還義務を定めたものである。したがって、これらの規定を根拠として、行政上の必要から市場施設の使用が終了した場合にも一切損失補償を要しないと解することはできない。 また、千葉市公有財産規則二二条は、「行政財産の目的外 のである。したがって、これらの規定を根拠として、行政上の必要から市場施設の使用が終了した場合にも一切損失補償を要しないと解することはできない。 また、千葉市公有財産規則二二条は、「行政財産の目的外使用の許可は、使用目的、使用期間、使用料並びに使用料納付の方法及び時期のほか、次の各号に掲げる事項をその条件として付するものとする。ただし、特にその使用の目的により必要でないと認めるものについては、省略することができる。」と定め、各号の中の一号で、「許可の取消しをした場合において生じた損失については、一切補償をしないこと。」を規定している。これは、市長の制定した行政規則であるから、法律に反しない限りにおいて有効であることはいうまでもないところ、地方自治法によると、地方公共団体の普通財産の貸付及び一定の場合(同法施行令一六九条、一六九条の二)に許される行政財産たる土地についての貸付又は地上権の設定については、その貸付期間中に公用又は公共用に供するための必要により貸付契約を解除したときに、使用者に対する損失補償を認めている(二三八条の五第四項、二三八条の四第二項)が、行政財産の目的外使用許可の取消(二三八条の四第四項、六項)について補償を認めた規定はない。しかし、国有財産法は、普通財産の貸付について地方自治法二三八条の五第四項と同旨の規定を設けて損失補償を認めている(二四条二項)一方、行政財産の目的外使用許可(一八条三項)による使用についても右規定を準用しているのであり(一九条)、損失補償の要否について、国有の行政財産の使用許可の場合と公有の行政財産の使用許可の場合とを別異に取り扱うべき合理的理由は見出し難いから、公有の行政財産の目的外使用許可の取消の場合にも、国有財産法の右規定の類推適用により損失補償を求めることができる場合があると解するのが 用許可の場合とを別異に取り扱うべき合理的理由は見出し難いから、公有の行政財産の目的外使用許可の取消の場合にも、国有財産法の右規定の類推適用により損失補償を求めることができる場合があると解するのが相当である(最高裁昭和四九年二月五日判決・民集二八巻一号一頁参照)。したがって、右公有財産規則の規定は、これに抵触しないように限定して解釈され運用されるべきであり、右規定のゆえに行政財産の使用が一切損失補償の対象たり得ないとは到底いえない。 3 卸売市場法及び業務規程の下において、農水大臣の許可を受けた卸売業者に対して市長が市場施設の使用指定をするのは、行政財産たる市場施設をその本来の目的及び用途に従って公の用に供するためであり、これによって卸売業者に私法上の使用権を付与するものではないから、その法的性質は、行政財産の目的外使用の許可と同じではない。また、卸売業者は、農水大臣の許可により中央卸売市場において卸売業務を行う資格を取得するのであり、市場の移転に伴い市長の使用指定の対象施設が旧市場から新市場の市場施設に変更されたとしても、形式上は、旧市場の市場施設の使用許可の取消がなされたものとみる余地はない。 しかし、前記1で判示した経過からすると、市長の使用指定を受けた千葉青果が旧市場の市場施設内において適法に設置し又は取得して卸売業務に使用していた設備、備品等が、市場の移転という被控訴人市の公益上の行政措置により、新市場に移転するか廃棄又は処分するほかなくなったことは明らかである。 この点に着目すれば、行政財産の使用を許可された者が公益上の必要に基づいて許可を取り消されたことにより、当該使用権自体の喪失とは別に、投下資本を失うこと等によるいわゆる付随損失を被ることになった場合と異ならないということができる。 たしかに、市場施設を使用する卸売行者は 可を取り消されたことにより、当該使用権自体の喪失とは別に、投下資本を失うこと等によるいわゆる付随損失を被ることになった場合と異ならないということができる。 たしかに、市場施設を使用する卸売行者は、前記のように、各種の公的規制の下で生鮮食料品等の集荷・供給等の業務を遂行することを通じて、地方公共団体が設置した中央卸売市場の公益目的の実現に寄与するものであり、その限りにおいて、卸売業者は地方公共団体に属する公的機能の一部を実質的に分担するものであるといってよい。一般に、私人による行政財産の使用が通常は目的外使用の形式で許されるのに対し、卸売業者による市場施設の使用について同じ形式が用いられていないのは、このためでもあると解される。しかしながら、卸売業者の地位が、行政財産の目的外使用を行う私人と同一ではないにしても、そのことから更に進んで、卸売業者をあたかも公務に従事する公務組織の構成員であるかのように目して、その市場施設の使用関係を地方公共団体から単なる便宜供与ないし恩恵を受けるのと同視することは適切ではない。卸売業者はもともと商人であり、自己の負担と危険において卸売業務に参入するものであって、地方公共団体が設置した市場施設以外の業務上必要な設備、備品等は自らの費用により設置し又は取得するものであることを考慮すると、卸売業者が市場施設を使用する地位自体について施設に内在する公益上の制約を免れないことはともかくとして、少なくとも自らの経済的負担において設置し又は取得した設備、備品等の財産権の保護に関しては、特段の事情がない限り、行政財産の目的外使用を許された一般私人の立場と特に区別して取り扱うべき実質的、合理的な理由はないと考えられる。 したがって、公益上の必要に基づく市場の移転に伴い卸売業者が使用する市場施設の指定が変更された結果、旧市 用を許された一般私人の立場と特に区別して取り扱うべき実質的、合理的な理由はないと考えられる。 したがって、公益上の必要に基づく市場の移転に伴い卸売業者が使用する市場施設の指定が変更された結果、旧市場において卸売業者が設置し又は取得した設備、備品等に生じたいわゆる付随損失については、憲法二九条の趣旨と公平の原則に照らし、前記国有財産法一九条、二四条により行政財産の目的外使用の許可が取り消された場合に認められる損失補償と同様の補償を求めろことができるものと解するのが相当である。 4 控訴人らは、市場施設は開設者が設置して卸売業者等に使用させることが基本となっており、卸売業者が市場施設を原状変更して自己の営業に必要な物件等を設置することは、市場施設の利用に付随して例外的に卸売業者等の負担と責任においてなされるものであり、その廃棄損等に対する補償を請求できる権利はない旨主張し、また、卸売業者は、市場に入場を許可されているだけでも一種の特典を与えられているから、行政上の必要からその使用が制約されることがあっても、一定の限度まではこれを受忍すべき内在的制約があり、市場の移転は卸売業者にとっても利益になるのであって、移転に伴う廃棄損等の損失をもって、公益のための特別の犠牲ということはできず、損失補償を要しない旨主張する。 卸売市場法及び業務規程の定めを通覧すると、市場施設の使用については、開設者が卸売業務に必要な基本的市場施設を設置し、卸売業者等にこれを使用させて使用料を徴収するという関係になっている。しかしながら、実際に市場において卸売の業務を行うに当たっては、開設者の設置したもの以外の設備、備品等を必要とすることは明らかであり、そのために市場施設の原状変更の承認手続等が認められており、本件において千葉青果が設置した物件等の内容からも窺えるように、 ては、開設者の設置したもの以外の設備、備品等を必要とすることは明らかであり、そのために市場施設の原状変更の承認手続等が認められており、本件において千葉青果が設置した物件等の内容からも窺えるように、卸売業者がその設置又は取得のために相当の経費を投下する実例もあり得るものと考えられる。したがって、卸売業者による設備、備品等の設置又は取得について、これを専ら卸売業者の個人的都合のみによる例外的なもの(控訴人の言及する公営住宅の入居者による模様替え又は増築はこれに近い。)とみて、卸売業者に責任のない使用関係の終了の際にも損失補償を求める権利がないとする考え方は採り得ないものというべきである。また、卸売業者は、中央卸売市場に入場し、市場施設を使用して卸売業務を行うことができるのであるが、その反面、使用料を負担し、数々の公的規制にも従わなければならず、市場の移転によって利益を受けるといっても、他方で使用料の増額を伴い、あるいは新たな設備、備品等の投資もしなければならない。控訴人らの主張する卸売業者の地位の特典あるいは市場移転による受益なるものをもって、前記の付随損失に対する損失補償を否定することはできない。 5 控訴人らは、市場移転計画が発表された後に千葉青果が設置し又は取得した設備、備品等は、もともと移転を知りながら設置又は取得したものであり、旧市場施設の廃止により失われる設備等のほとんどは新市場において完備されており、千葉青果が回復困難な実害を被ることはないうえ、右設備等の設置の前提となる市場施設に対する使用指定は、その期間が市場移転時までに限定されていたものであるから、右設備、備品等に対する補償は要しないものというべきである旨主張する。 前記認定のとおり、千葉市中央卸売市場の移転は、昭和四三年ころから検討が始まり、昭和四八年から昭和四九年にか いたものであるから、右設備、備品等に対する補償は要しないものというべきである旨主張する。 前記認定のとおり、千葉市中央卸売市場の移転は、昭和四三年ころから検討が始まり、昭和四八年から昭和四九年にかけて移転計画が決定され、以後これに基づき工事が実施され、昭和五四年一〇月に新市場が開場したものであるが、本件補償金の対象となった設備等は、原判決添付の別表「千葉青果(株)廃棄損等補償内訳」(以下「補償内訳表」という。)から明らかなとおり、その大部分が移転計画の決定後に設置又は取得されたものである。 ところで、既に述べたとおり、卸売市場法による中央卸売市場開設者と卸売業者との基本的な関係は、開設者が卸売業務に必要な市場施設を設置し、卸売業者の使用する市場施設を指定して使用させ、使用料を徴収するというものであるが、右市場施設以外にも卸売業務に必要な設備、備品等が卸売業者によって設置又は取得されることもあり得る。そして、そのように卸売業者によって設置又は取得されるのは、通常業務上の必要性が高いからであり、中には、市場の移転計画が確定していることを知っていても、設置しなければ当面の卸売業務に著しい支障が生じるものがあることが考えられる(設置者が卸売業者からの右設備等の設置のための原状変更申請等を承認したことは、特別の反対事情がない限り、右必要性が存したことを推認させるものである。)。したがって、そのような設備等については、移転時期が到来すれば使用できなくなることが予測できたとしても、それだけで他の設備等と区別すべき理由はなく、市場の移転に伴う廃棄損等に対する補償を要するものと解するのが相当である。新市場においては、卸売業者が旧市場に設置した設備等のほとんどが完備されているとしても、それに対応する使用科が徴収されることを考えると、そのことをもって、損失 償を要するものと解するのが相当である。新市場においては、卸売業者が旧市場に設置した設備等のほとんどが完備されているとしても、それに対応する使用科が徴収されることを考えると、そのことをもって、損失補償不要の理由とすることはできない。 これを本件についてみると、前掲甲第一〇五号証の一ないし九、原審Gの証言によると、補償内訳表記載の各物件等は、いずれも千葉青果が卸売業務を遂行する過程で必要が生じて設置し又は取得したものであることが認められる。もっとも、右証人Gは、右各物件等の設置に当たっては、被控訴人市から来たるべき市場移転を理由に難色を示されたが、千葉青果側のたっての希望をいれてもらって原状変更承認等を受けたものであり、その際、市場移転時には原状回復する旨の誓約書を差し入れたから、当時、千葉青果の代表者であった同人としては、市場移転時に右各物件等の廃棄損等の補償をしてもらえるどころか、千葉青果の費用でこれらを除去しなければならないと考えていた旨供述するけれども、右誓約書差入れの事実を認めるに足りる証拠はなく、また、前掲甲第一〇五号証の一ないし九に照らし、各物件等の設置のための原状変更承認等がなされた際に、市場の移転に関連して特別の条例が付されたような形跡もなく、かえって後記認定のとおり、千葉青果が昭和五〇年八月に被控訴人市の承認を得て建設した青果部仲卸売場建物につき昭和五四年三月に所有権を放棄する代償として被控訴人市から補償を受けている事実が存することなどにか人がみると、右供述のうち、損失補償に関する自己の認識を表した部分はともかく、それ以外の部分は採用できないものというべきである。 6 控訴人らは、他の地方公共団体等における市場移転の際の補償事例からみても、千葉青果に対する補償は必要でないことが肯定される旨主張する。 被控訴人市が、市場の 分は採用できないものというべきである。 6 控訴人らは、他の地方公共団体等における市場移転の際の補償事例からみても、千葉青果に対する補償は必要でないことが肯定される旨主張する。 被控訴人市が、市場の移転に伴う補償問題に備えるため、他地における補償事例の調査を行ったことは前記認定のとおりであるところ、前掲乙第三、第四号証、成立に争いのない甲第一三八号証の一ないし四によると、調査した事例は、いずれも中央卸売市場を新たに設置し、地方卸売市場で営業していた業者を整理統合して卸売業者として入場させたという事案であり、五例のうち一例を除き、卸売業者に対し、補償金又は補助金を支出したものであることが認められる。本件は、既に存在した中央卸売市場を移転する場合の補償が問題となっている事例であり、移転に際し入場した新規業者は、あくまでも任意の選択によったものであるから、右認定の事例とは事案を異にする。また、成立に争いのない甲第一三九号証によると、平成元年五月に東京都中央卸売市場神田市場が同大田市場に移転した際には、卸売業者から一切の補償の要求がなく、何らの補償もしなかったことが認められるが、同中央卸売市場における卸売業者の使用関係の実態は明らかにされておらず、本件における補償の要否を判断する根拠とすることはできない。 7 以上述べたとおりであって、他に特段の事情は認められないから、本件補償金の支出が損失補償の要件を欠くとはいい難く、控訴人らの主張は採用することができない。 四控訴人らは、補償内訳表記載の各物件等を個々的にみると、損失補償をすべきでないものが含まれている旨主張する。 これに対する当裁判所の認定、判断は、以下に訂正付加するほかは、原判決理由五5(原判決五六枚目裏九行目から同六七枚目表三行目まで)の説示と同一であるから、これを引用する。 1 原判 いる旨主張する。 これに対する当裁判所の認定、判断は、以下に訂正付加するほかは、原判決理由五5(原判決五六枚目裏九行目から同六七枚目表三行目まで)の説示と同一であるから、これを引用する。 1 原判決五八枚目表一〇行目の「前掲甲第一〇五号証の一ないし八」から同裏四行目までを次のとおり改める。 「 前掲甲第一〇五号証の一ないし九によると、右物件等の中には、設置の際の市場施設の使用指定又は原状変更承認において、業務規程六三条二項、六四条の規程に基づく原状回復義務を履行することの条件が付されていたもののあることが認められるが、右各規定は、前記のとおり市場移転のような場合に損失補償が不要であることを定めたものとは解されないのであり、右指定又は承認の際に右規定に従うことが条件とされたとしても、それによって千葉青果が本件の損失補償請求権を放棄したと認めることもできない。」 2 原判決五九枚目表一一行目の「約一九〇万円」を「一九五万円」と改める。 3 原判決六〇枚目裏七行目の「原則として、」、同八行目から九行目までの「、特段の事情のない限り」、同一一行目の「補償について」をいずれも削除し、同六一枚目表二、三行目以下の「千葉青果ら」から同五行目の「至極当然の理である。」までを「本件下屋の構造、規模をもあわせ考えると、右補償の際に、千葉青果らが無償で下屋の所有権を枚棄するなどしたものとはたやすく認め難く、また、下屋に対する補償問題を解決済みとしたと認めるべき事情もないから、被控訴人市としては、市場移転の際に、右下屋についての廃棄損を補償すべきであったといえる。」と改める。 4 原判決六二枚目表六行目から同裏七行目までを以下のとおり訂正する。 「 以上によると、原審証人Jの証言どおり、昭和五四年三月の補償の際には、仲卸売場建物本件は千葉青果の所有であるが、下屋は める。 4 原判決六二枚目表六行目から同裏七行目までを以下のとおり訂正する。 「 以上によると、原審証人Jの証言どおり、昭和五四年三月の補償の際には、仲卸売場建物本件は千葉青果の所有であるが、下屋は、その建築費用を支出した千葉青果と千葉青果卸売協同組合との共有であるため、本体についてのみ補償したものと認めるのが相当であり、したがって、本件補償により下屋につき二重の補償がなされたとはいえない。 なお、右認定のとおり、下屋に対する補償額算定においては、千葉青果の取得額が二五万円、千葉青果卸売協同組合の取得額が一七〇万円とされていて、建築費用支出額の割合とは異っているものの、その合計額は建築費用総額に一致しており、原審証人Jの証言によると、下屋の補償につき千葉青果及び千葉青果卸売協同組合の両名から特段の異論は出なかったことが認められるから、市場の移転までの間に、両者間において下屋の持分を右取得額の比率とする旨の合意ができていて、被控訴人市は、これに基づき廃棄損補償をしたものと推認されるのであり、この点についても違法はないというべきである。」 5 原判決六三枚目表八行目の「石油ストーブ」から同九行目の「こと」までを「昭和五六年四月二三日の検証時において、石油ストーブは室内に設置され、サイバー防犯器は青果業者事務所内の金庫上に置かれており、これらの物件が昭和五四年一〇月の市場移転時に使用されていなかったことを疑うような状況ではなかったことが認められる。」と改める。 6 原判決六三枚目裏八行目の「するに、」の次に「成立に争いのない甲第九五号証、」を加える。 7 原判決六六枚目裏四行目の「被告市から」から同五行目までを「被控訴人市は、これにつき、市場の移転に伴い卸売業務の遂行上の必要な負担であると判断し、電算機リース解除補償の名目で、実質的には、千葉青 7 原判決六六枚目裏四行目の「被告市から」から同五行目までを「被控訴人市は、これにつき、市場の移転に伴い卸売業務の遂行上の必要な負担であると判断し、電算機リース解除補償の名目で、実質的には、千葉青果が負担することになった右損害金相当額を補助することにした。」と改め、同六七枚目表二行目の「ことからすれば、」の次に「もしリース契約を解除しない場合には、被控訴人市としては、その移転経費を補償しなければならないので、電算機リース解除補償の中には、」を加える。 五控訴人らは、補償金額の算定に当たっては、当該物件の正常な取引価格を基準として定められるべきであるのに、本件においては、千葉青果の資産台帳上の簿価を算出して定められており違法である旨主張する。 本件補償のうち、廃棄損補償の対象となったものは、市場の移転により廃棄せざるを得なくなった旧市場施設の設置物件等なのであり、仮に売却するとなれば、旧市場施設から取り外し又は解体しなければならないものであって、通常の譲渡性があるものとは考え難く、これについて取引価格を求めることは困難といわなければならない。むしろ、取得価格を基準とし、減価償却の方法により現存価格を求める方が合理的である。現に、原審における各鑑定の結果によると、本件物件のうち、バナナ加工室機械、車庫について、昭和五四年一〇月末日当時の適正な価格を求めた各鑑定においては、いずれも取引価格を求める方法によらず、設置ないし建築当時の取得価格を基準に定率法により減価償却して適正価格を求め、あるいは、右時点での再調達価格を算出し定額法により減価修正して適正価格を求めていることが認められるのである。 なお、右鑑定の結果、前掲甲九八号証、成立に争いのない甲第一〇八号証の二四によると、バナナ加工室機械についての右鑑定は、被控訴人市の算定方法と同じ方法 正価格を求めていることが認められるのである。 なお、右鑑定の結果、前掲甲九八号証、成立に争いのない甲第一〇八号証の二四によると、バナナ加工室機械についての右鑑定は、被控訴人市の算定方法と同じ方法を用いながら、本件の補償金額(六二九万四八九一円と一四〇万四五九〇円の合計七六九万九四八一円)よりかなり低額の五一八万一〇〇〇円という価格を算定しているが、その差異は、被控訴人市が千葉青果の経理において耐用年数が八年とされているのに従って算定したのに対し、右鑑定が耐用年数を六年としたために生じたことが認められるところ、前掲甲第九五号証、原審における検証の結果及び弁論の全趣旨によると、バナナ加工室機械というのは、機械部分のみならず、加工室の外壁、床、天井等の施設を含むものであることが認められるので、バナナ加工室機械については、前記減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第二の「三六九前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」が適用され(なお、耐用年数の適用等に関する取扱通達一-一-六参照)、耐用年数は八年とすべきであるから、本件補償の算定は相当と判断される。 したがって、控訴人らの主張は採用することができない。 第六本件各支出の目的について控訴人らは、本件各支出は、千葉青果が純資産基準額割れを起こしたことについて、被控訴人市が、監督官庁である農水省から監督責任を追及されることを回避するため、市場移転を口実に、支出の要件を検討することなく千葉青果に対し補助金及び補償金を支出し、純資産基準額の回復を企図したものであって、その目的の不当性が重大であって違法である旨主張する。 まず、千葉青果が純資産基準額割れを起こした経緯と本件各支出による純資産基準額の回復についての事実関係についてみると、原判決理由六1(原判決六九枚目表一一行目か が重大であって違法である旨主張する。 まず、千葉青果が純資産基準額割れを起こした経緯と本件各支出による純資産基準額の回復についての事実関係についてみると、原判決理由六1(原判決六九枚目表一一行目から同七二枚目裏三行目までで説示するとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決六九枚目表一一、一二行目の「第一〇八号証の三ないし六、同号証の一三」を「第一〇八号証の三、五、六、一〇、一三」と、同裏四、五行目の「七ないし一二、一四ないし一八、二〇ないし二三、二五ないし三八」を「四、七ないし九、一一、一二、一四ないし二三、二五ないし三八」と改め、同一〇行目の「G」の次に「、当審証人I」を加え、同七二枚目表八行目の「仲介手数料七八〇万七一三一円」を「仲介手数料等」と改める。)。 右認定事実によると、被控訴人市は、本件各支出によって千葉青果の純資産が法令による純資産基準額まで回復することを十分に認識しながら本件各支出を行ったことが認められるけれども、既に述べたとおり、被控訴人市は、本件保証金(電算機リース解除補償を除く。)については損失補償の要件があるとして、入場交付金及び電算機リース解除補償については補助金を交付する公益上の必要があるとして各支出したものであるところ、いずれについても客観的にそれぞれの要件を満たすものであることが認められるのであるから、被控訴人市において支出の要件を検討することなく千葉青果の純資産基準額の回復を目的として本件各支出をしたと認めることはできない。してみると、その支出により千葉青果の純資産基準額が回復することを認識していたとの一事により、右支出が違法になるものとは解されない。 したがって、控訴人らの主張は採用することができない。 第七結論以上のとおり、本件各支出は違法といえないので、控訴人らの被控訴人四名に対する請求 一事により、右支出が違法になるものとは解されない。 したがって、控訴人らの主張は採用することができない。 第七結論以上のとおり、本件各支出は違法といえないので、控訴人らの被控訴人四名に対する請求はいずれも理由がなく、したがって、被控訴人四名に対する勝訴を前提とする被控訴人市に対する請求も理由がない。 よって、控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。 (裁判官佐藤繁岩井俊坂井満)(原裁判等の表示)○ 主文一原告らの被告らに対する請求をいずれも棄却する。 二訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実第一申立て一原告ら 1 被告A、被告B、被告C及び被告Dは連帯して被告千葉市に対し金三一九二万九六〇六円及びこれに対する昭和五五年三月三〇日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。 2 被告千葉市は原告らに対し金三五〇万円を支払え。 3 訴訟費用は被告らの負担とする。 4 仮執行宣言。 二被告ら 1 本案前の答弁原告らの本件訴えをいずれも却下する。 2 本案に対する答弁主文と同旨第二主張一原告らの請求原因 1 原告らは、いずれも被告千葉市(以下「被告市」という。)の住民である。 被告Aは、昭和五二年以降千葉市長(以下「市長」という。)の職にあり、被告Bは、昭和五五年三月二九日当時、千葉中央卸売市場長の職に、被告Cは、右当時、被告市経済部長の職に、被告Dは、右当時、被告市助役の職にそれぞれあったものである。 2 千葉中央卸売市場は、従前千葉市問屋町に置かれていたが、手狭となったために、昭和四八年八月から千葉市高浜で新市場施設の建設が着手された。新市場の施設は昭和五四年三月に完或したが、入場する卸売業者との間で調整がつかず、 、従前千葉市問屋町に置かれていたが、手狭となったために、昭和四八年八月から千葉市高浜で新市場施設の建設が着手された。新市場の施設は昭和五四年三月に完或したが、入場する卸売業者との間で調整がつかず、同年一〇月、青果部門と水産部門のうち、まず青果部門のみ三社(千葉青果株式会社、株式会社京葉中央青果市場、千果千葉中央青果株式会社)を入場させた。 3 被告Dは、昭和五五年一二月二八日、被告市の収入役に対し、「千葉青果株式会社(以下「千葉青果」という。)に対して、中央卸売市場事業特別会計(以下「特別会計」という。)の目、節に係る予算流用措置により、入場交付金として一〇〇〇万円、補償金として二一九二万九六〇六円を支出すべきこと」を命令し、収入役をして同月二九日右金員を千葉青果に支払わせた(以下「本件支出」という。)。 4 本件支出は、以下に述べる理由によって、違法な支出というべきである。 (一) 入場交付金の違法性(1) 法的根拠のない支出入場交付金は、何ら法的根拠がないのに、支払われた。 監査結果及び被告らによると、入場交付金は補助金として支出したものであるというが、千葉市決裁規程(以下「決裁規程」という。)別表第一の3の(2)の(20)によれば、補助金支出は財政部長の専決事項とされているとごろ、本件では、助役の決裁でなされており、入場交付金は補助金として支出されたものではない。 (2) 予算外支出による違法前記3記載のとおり、入場交付金の支出は、予算の流用措置によったものであるが、地方自治法(以下「法」という。)二一〇条によれば、「一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなくてはならない」。 と規定されており、その予算は款、項、目、節と区分されている。このうち、款、項については議会の議決を経なくてはならないが、目、 切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなくてはならない」。 と規定されており、その予算は款、項、目、節と区分されている。このうち、款、項については議会の議決を経なくてはならないが、目、節については、その内容を決定することが長に委ねられているとも解することができる。しかしながら、その流用は安易になされるべきではなく、予算成立時には予想しえない事情変更があり、予算の円滑迅速な執行のために必要であって、補正予算を組んで対処する時間がないといった事情があるときに限って許されるべきである。 本件にあっては、旧市場から新市場への移転が昭和五四年一〇月に完了し、千葉青果へ補償することの決定もその当時既になされていたのであるから、少なくとも、昭和五四年度の昭和五五年三月議会では入場交付金について予算措置を講ずることができたはずであり、仮にそれができなかったとしても、昭和五五年度の昭和五五年六月議会において補正予算を組むことが可能であった。かかる予算措置を講ずることなく、予算流用措置によってなされた入場交付金の支出は、違法な支出というべきである。 (3) 補助金支出の違法性仮に入場交付金の支出が、補助金としての支出であるとしても、この支出は、被告市の行政施策に違反するとともに、法二三二条の二の規定による要件である公益上の必要性がない。 すなわち、被告らは、入場交付金は、新市場移転に当たっての経費の一部補助と、出荷団体の確保のための産地対策費として支出されたものであると主張するが、被告市は市の行政施策として、新市場入場に際しては、どの業者に対しても一切の補助はしないと明言していたから、これに違反して補助金を交付することは、被告市の行政施策に違反し、信義誠実の法理に悖るものである。 また、産地対策費といっても、その金額の決定に当たっては恣意的で、 の補助はしないと明言していたから、これに違反して補助金を交付することは、被告市の行政施策に違反し、信義誠実の法理に悖るものである。 また、産地対策費といっても、その金額の決定に当たっては恣意的で、何ら合理的な説明がなされないなどその内容が不明確であり、補助金を交付したからといって、直接的に集荷の増加等の効果があるものでもないから、その目的を遂げることはできない。 それに、このような交付金は、出荷団体への接待費等不正な目的のために流用されるおそれもあるから、それを防止する手段を取るべきであるのに、本件では何らの対策も講じられていない。 そして、新市場は、旧市場と比較して設備が完備しており、入場する卸売業者が調達すべき備品等は机等の比較的安価な動産に限られており、しかも、被告市は千葉青果が新市場に入場する際には、別途引越費用を支出している。 したがって、補助金の支出に、被告らが主張するような公益上の必要性を認めることはできない。 仮に公益上の必要性があるとしても、新市場に同時に入場した千果千葉中央青果株式会社、株式会社京葉中央青果市場の二社にも平等に支払われるべきところ、右二社には支出しなかったのであるから、行政として極めて不公平かつ恣意的な運用で適法性が認められない。 (二) 保障金支出の違法性被告市が補償金の対象としたものは、別表記載のとおりであるが、この補償金の支出には、以下に述べる違法がある。 (1) 行政施策違反被告市は、新市場に入場する卸売業者に対して一切の補償等は行わないと明言していた。また、昭和五四年度当初予算はもとより同年九月の補正予算でも本件支出についての予算措置は取られていなかった。かかる状況のもとでは、千葉市民が本件支出のような無用な支出をしないであろうという期待を持つことも当然である。それなのに、かかる期待を裏切 正予算でも本件支出についての予算措置は取られていなかった。かかる状況のもとでは、千葉市民が本件支出のような無用な支出をしないであろうという期待を持つことも当然である。それなのに、かかる期待を裏切り、千葉青果に対して補償金を支出することは、被告市の行政施策に違反し、信義誠実の原則に悖る。 (2) 補償要件の不存在補償金支出の根拠として、憲法二九条三項の規定が考えられるとしても、補償金の支出は、以下のとおり、この憲法の条項によるべき要件すなわち、「公権力の行使によって、私人に生ぜしめられた財産上の損失が、その財産権に内在する社会的制約の範囲を超えて、特定の者に特別の財産上の損失を与えた場合に必要となる正当な補償」を満たしていない。 (I) 新市場の開設は、私人に対する公権力の行使ではない。 (II) 本件補償の対象となったものは、新市場への移転に伴って千葉青果が使用し得なくなった附属設備等である。旧市場施設の利用関係は行政財産の使用許可であると解されるところ、千葉市公有財産規則(以下「公有財産規則」という。)二二条は、一号で、「行政財産の使用許可を取り消した場合に生じた損失について一切の補償をしないこと」、三号で、「市長の許可を得た場合のほか、使用財産を許可を受けた目的以外の使用に供したり使用財産の原形を変更してはならないこと」及び「市長の許可を受けて使用財産の原形を変更した場合には、必要に応じ、当該使用者に対して使用期間の終了又は許可取消しのときにおいて原形に復させることができること」、六号で、「使用者が使用財産を返還する場合において、当該使用財産に投じた改良、修繕その他の費用は、被告市に対して請求することができないこと」が規定されている。これを受けて、千葉市中央卸売市場業務規程(昭和四六年市条例第七一号。以下「業務規程」という。)六三 財産に投じた改良、修繕その他の費用は、被告市に対して請求することができないこと」が規定されている。これを受けて、千葉市中央卸売市場業務規程(昭和四六年市条例第七一号。以下「業務規程」という。)六三条一項は、使用者が、市場施設に造作等の原状変更を加えることを原則として禁止している。例外として市長の承認を得て原状変更をする場合には、業務規程六三条二項によって、使用者は、返還の際に原状回復又は費用の弁償を覚悟しなくてはならない。そうすると、業務規程六三条一、二項、公有財産規則二二条一号、三号は、行政財産本来の目的を尊重し、使用者に対して、市場の移転というような被告市の都合による場合も含めて、市場施設を被告市に返還する場合には一切の補償が受けられないばかりか、原状回復業務若しくはこれに代わる費用の弁償を命ぜられうる内在的制約を伴うものであったと解すべきである。 したがって、かような内在的制約のもとに設置した附属設備については、公有財産規則が規定する使用許可取消しと同視できる行政側の都合によって施設の返還を求める場合であっても、その補償を求めることはできないというべきである。 (III) また、千葉青果は、旧市場内での車庫の建築、事務所の改装等について市長の承認を得るに際し、何らの対価を支払ったことはなく、増してや承認されたことにより市場使用料を憎額されたものでもないから、本件においては、使用許可を受けるに当たっての対価の支払はない。 (IV) 旧市場から新市場への移転が計画されたのは、旧市場建設後七年を経た昭和四三年ころからであり、昭和四八年から昭和四九年にはその計画が確定し、昭和五四年一〇月には計画が実行された。本件で補償の対象となっている建物その他の附属設備は、そのほとんどが新市場への移転計画が発表された後に設置されたものである。千葉青果は 年にはその計画が確定し、昭和五四年一〇月には計画が実行された。本件で補償の対象となっている建物その他の附属設備は、そのほとんどが新市場への移転計画が発表された後に設置されたものである。千葉青果は、これを知りながら、後記(3)のとおり、移転の際に補償を求めないことを被告市に約して、これらの設備を敢えて設置したものであり、また、千葉青果が旧市場の廃止によって失う設備のほとんどは、新市場において市の設備として完備されているのであるから、千葉青果に回復困難な実害を生じることはなく、これらの設備に補償金を支出することは許されない。 (3) 個々の補償について補償の対象となった個々の設備をみると、後記のとおり、千葉青果がその使用を廃止していたもの、千葉青果の所有ではなかったもの、千葉青果が被告市に対して移転の際補償を求めない旨書面若しくは口頭で確約していたもの、既に被告市が千葉青果に設置費用として補助を与えていたもの及び移転との間に因果関係がないものに補償がなされており、適法な公金の支出とはいえない。 (1) 千葉青果がその使用を廃止していたもの軽量鉄筋果実事務所(昭和五二年以降使用廃止)、給食室設備(昭和五四年八月以降使用廃止)(2) 千葉青果の所有でなかったものゴミ集積場、ゴミ焼却炉耐火レンガ、プレハブ冷蔵庫(3) 千葉青果が被告市に対して移転の際補償を求めない旨書面若しくは口頭で確約していたものバナナ加工室機械、仲卸売場下屋、果実事務所間仕切、車庫、給食室設備、プレハブ冷蔵庫、電話移設料補償(4) 既に被告氏が千葉青果に設置費用として補助を与えていたもの仲卸売場下屋(昭和五四年三月末に被告市から一〇一六万四七〇〇円が交付されていた。)(5) 移転との間に因果関係がないもの(ア)工具、器具、備品及び機械これらの動産のうち、石油スト えていたもの仲卸売場下屋(昭和五四年三月末に被告市から一〇一六万四七〇〇円が交付されていた。)(5) 移転との間に因果関係がないもの(ア)工具、器具、備品及び機械これらの動産のうち、石油ストーブ、クーラー、温風暖房器、分類機は完全に使用不可能なものであり、サイバー防犯器は故障していた。 これらの動産については、移転によりたとえ実際上不用となるものであっても、搬出可能である以上、千葉青果において任意に売却して自己の資産に組み入れれば足りるものである。仮に売却価格が簿価より低いものであったとしても、それは、もともと時価より高い額を簿価として計上していたためである。 (イ) 電算機リース解除補償千葉青果が電算機リース契約を解除したのは、東京中央青果株式会社との業務提携のため同社の電算機と同機種のものにするためであったから、新市場入場に当たって必要なものではなかった。 被告らは、右解除補償の実質的性格が補助金であるというのであるが、補助金であるのであれば、決裁規程によって財政部長決裁で支出されるべきであり、また、予算中の「負担金補助及び交付金」の節から支出されるべきである。 しかるに、本件では、助役決裁により「補償補填及び賠償金」の節から支出されている。よって、その支出は、予算によらない違法な支出である。 (ウ) 備品修繕料補償この支出は、新築の市場に移るのに古びた備品では美観を損うということでなされたが、このようなことが移転により通常生じる損害といえないことは明らかである。 (4) 手続違背法九六条一項一二号によれば、「法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること」は、議会の議決事項と定められている。損失補償につき、法令によって補償金額が一義的に確定されない場合の補償金額の決定についても、法九六条一項一二号に準じて議会の議決が必要と解 賠償の額を定めること」は、議会の議決事項と定められている。損失補償につき、法令によって補償金額が一義的に確定されない場合の補償金額の決定についても、法九六条一項一二号に準じて議会の議決が必要と解すべきである。しかし、本件補償金の支出にはこのような手続が取られていない。これは法の解釈を誤った違法なものである。 (5) 仮に補償金の支出が違法でなかったとしても、補償金支出は、正常な取引価格を基準とするべきところ、本件にあっては千葉青果の資産台帳上の簿価を基準とし、これに減価償却資産の耐用年数等に関する大蔵省令による償却をした額を補償している。しかし、この金額は税法上損金経理をするための計算上算出された金額であって、正常な取引価格とはいえないから違法である。 5 本件支出の目的被告市は、千葉中央卸売市場の開設者であるとともに、千葉青果の株主である。 千葉青果の経営状況は、昭和五二年度(一七期、昭和五二年四月一日から昭和五三年三月三一日までの期間)から昭和五四年度(一九期、昭和五四年四月一日から昭和五五年三月三一日までの期間)にかけて毎年三〇〇〇万円から五〇〇〇万円強の営業損失を生じていた。そして、昭和五四年九月期には純資産額が六六四万円となり、市場法一九条、農林省告示「卸売業者の純資産基準額」の基準額である二二〇〇万円を下回る状況にあった。これは、農林水産大臣による業務の全部又は一部の訂正若しくは許可の取消しがありうる重大な事態であった。 このため、農林水産省(以下「農水省」という。)は、被告市に対して、千葉青果の経営改善について指導し、その結果、昭和五五年二月には四〇〇〇万円の増資と遊休不動産の売却(売却利益三二一九万二八六九円)とがなされたが、それでも純資産額はマイナス八八万四五三六円であった。農水省は、昭和五五年三月一七日、市長に対して 五五年二月には四〇〇〇万円の増資と遊休不動産の売却(売却利益三二一九万二八六九円)とがなされたが、それでも純資産額はマイナス八八万四五三六円であった。農水省は、昭和五五年三月一七日、市長に対して、千葉青果の前記純資産基準額を可及的速やかに確保するよう特段の指導、監督をなすことを指導した。 かかる状況と千葉青果の決算期が昭和五五年三月三一日であったこと、本件支出が同月二九日に行われ、その結果、千葉青果の純資産額が三一〇四万五〇六四円となったこととを考えると、本件支出は千葉青果の赤字経営を隠蔽し、被告市の監督責任を免れるために行われたものであることが明らかである。 6 被告らの責任(一) 被告A被告Aは、本件支出に係る金員の贈与を千葉青果に対して申し込み、千葉青果は、この申込みを承諾した。このため被告市は、本件支出に係る金員の支払義務を負うこととなった。被告Aは、この支出負担行為が法令の規定に違反していることを知りながら、若しくは、知るべき立場にありながら、敢えてこれを行った。したがって、被告Aは、法二四三条の二第一項後段の規定により、被告市に与えた損害を賠償すべき責任がある。 また、被告Aは、決裁規程により、支出命令の専決者となっている助役に対する指揮監督の責任を負っていたのに、その責任を果たさず、助役の本件支出を放置した。したがって、被告Aは、被告市に対し民法上の債務不履行責任若しくは不法行為に基づく損害賠償の責任を負うべきである。 (二) 被告D被告Dは、法二四三条の二第一項後段及び決裁規程によって、本件支出の支出命令権限を有していたところ、本件各支出命令が違法であることを知りながら、若しくは、本件各支出命令を抑止すべき立場にありながら、違法な本件各支出命令をなし、被告市に対して損害を与えた。 また、被告Dは、本件支出の原因となっ ろ、本件各支出命令が違法であることを知りながら、若しくは、本件各支出命令を抑止すべき立場にありながら、違法な本件各支出命令をなし、被告市に対して損害を与えた。 また、被告Dは、本件支出の原因となった支出負担行為について、被告Aと共謀して、被告Aにその意思決定をさせた。したがって、被告Dは、被告市に対し民法上の損害賠償責任を負う。 更に、被告Dは、入場交付金について助役として支出命令を行う権限がなかったことを知っていたか、若しくは十分な注意を払ってこれを知るべきであったのに、これを怠って支出命令をなし、入場交付金と同額の損害を被告市.に与えた。 (三) 被告C、同B被告C、同Bの両名は、本件支出が違法であることを知り、若しくは十分な注意を払ってこれを知るべきであったのに、これを怠り、むしろ積極的に被告Aに働きかけて、本件支出をさせたものであって、これにより被告市に本件支出と同額の損害を被らせた。したがって、被告C、同Bの両名は、被告市に対して民法上の損害賠償の責任を負う。 7 被告市は、本件支出と同額の損害を被っている。 8 原告らは、法二四二条に基づき千葉市監査委員に対して監査請求をしたところ、同監査委員は、昭和五五年一二月二六日、原告らに対して本件支出は違法不当な公金の支出とは認められないとの監査結果を通知した。 9 原告らは、被告市の被った損害を放置することができないので、原告代理人らに委任して本訴を提起するに至ったものであるが、原告代理人らに本訴の手数料及び報酬として三五〇万円を支払うことを約束した。 10 よって、原告らは、法二四二条の二第一項四号に基づき被告市に代位して本件支出による損害賠償として、被告A、同B、同C、同Dに対し、連帯して三一九二万九六〇六円及びこれに対する昭和五五年三月三〇日から支払済みに至るまで民法所定の年五 一項四号に基づき被告市に代位して本件支出による損害賠償として、被告A、同B、同C、同Dに対し、連帯して三一九二万九六〇六円及びこれに対する昭和五五年三月三〇日から支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を被告市に支払うことを求め、被告市に対し、法二四二条の二第七項により弁護士費用として三五〇万円を原告らに支払うことを求める。 二被告らの本案前の主張及びこれに対する原告らの反論 1 被告らの本案前の主張(一) 法二四三条の二第九項によれば、職員の地方公共団体に対する損害賠償責任については、民法の規定が適用されないのであるから、仮に原告ら主張のように違法な公金の支出が被告らの共謀によってなされたとしても、民法七一九条の適用はなく、不真正連帯債務は成立しない。原告らは、被告らの共謀を主張するについて、被告各人ごとに損害賠償の金額を主張、請求すべきものであるが、本件において原告らは、不真正連帯債務の成立を前提にした請求をしており、これは、法律の規定に基づかない不適法な請求というべきである。 (二) 法二四二条の二第一項四号の規定にいう「当該職員」とは、地方公共団体が被った損害の発生原因となった違法な支出行為を行った職員を意味する。同号にいう当該職員について、当該地方公共団体で内部委任があったときは、委任によって委任庁は権限を失い、受任庁のみが権限を行使することとなるので、当該処理事務について実質的に権限を行使した受任専決者が責めに任ずべきである。 本件において、原告らは、法二四三条の二第一項後段二号所定の法二三二条の四第一項の命令(支出命令)をする職務を担当する職員の公金支出の違法を主張するが、被告市にあっては、法一五三条の規定に基づき決裁規程によって、五〇〇万円を超える支出命令を決裁する権限は市長から助役である被告Dに委任さ 出命令)をする職務を担当する職員の公金支出の違法を主張するが、被告市にあっては、法一五三条の規定に基づき決裁規程によって、五〇〇万円を超える支出命令を決裁する権限は市長から助役である被告Dに委任されている。 したがって、本件にあって支出命令をする権限を有する職員とは被告Dに限られ、その余の被告らは、法二四二条の二第一項四号にいう当該職員ではないから、被告適格を有しない。 原告らは、昭和五六年三月三一日付け求釈明回答書二1において、被告市を除くその余の被告らに対する損害賠償請求の実体法上の根拠として、法二四三条の二第一項後段二号によると明言しておきながら、昭和六〇年一〇月一日付け準備書面においては、同項後段一号、民法上の債務不履行、不法行為を主張しているが、この主張は、時機に遅れた攻撃防御方法であり、失当というべきである。 原告らは、被告Aの被告Dに対する指揮監督権限の過怠による損害賠償請求権の代位行使を主張するけれども、このような指揮監督権限の行使は、法二四二条所定の財務会計上の行為に該当しないから、法二四二条の二第一項四号の代位請求の対象とすることはできない。 また、法の立法趣旨からすると、違法な公金支出についての住民訴訟の相手方となるのは、その支出等を担当した職員のうちの最高責任者に限られるべきであって、法二四三条の二第一項所定の職員等を補助する職員については、相手方になりえないと解すべきである。したがって、被告Dの、本件支出に関する被告Aの支出負担行為に対する事務上の補佐、被告C、同Bの、本件支出に関する支出命令若しくは支出負担行為に対する事務上の補佐については、住民訴訟の対象たりえない。 2 被告らの本案前の主張に対する原告らの反論(一) 被告らが市長から助役への権限の委任の根拠としている決裁規程は、その五条で、「市長は、助役に五 事務上の補佐については、住民訴訟の対象たりえない。 2 被告らの本案前の主張に対する原告らの反論(一) 被告らが市長から助役への権限の委任の根拠としている決裁規程は、その五条で、「市長は、助役に五〇〇万円を超えるものの支出命令につき、専決させることができる」と規定しているのであって、これは、当該事務処理の内部的意思決定者を定めたにすぎないものであり、支出命令権限そのものを助役ら補助者に委任する規定ではない。 (二) 被告らは、住民訴訟上の損害賠償に関しては、民法の適用がないと主張しているが、法二四三条の二に定める以外の原因による損害賠償については、民法の規定に従うべきである。原告らは、本訴において、民法の規定の適用も主張しているのであるから、原告らの本訴請求はなんら不適法なものではない。 三請求原因に対する被告らの答弁 1 1、2、3の各事実をいずれも認める。 2 4(一)(1)は争う。 法二三二条の二によれば、普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合には、寄付又は補助をすることができるとされており、入場交付金の支出は、卸売業者が生産者からの集荷を増加するための補助金として支出されたものである。原告らが挙げる決裁規程別表第一の3の(2)の専決事項(20)の規定は、企業会計に関するもの、すなわち、一般会計から企業会計への補助金等の支出に係るものであり、企業会計とは地方公営企業法の適用される事業の会計であるが、同法二条は同法の適用対象事業を限定しているところ、本件の中央卸売市場業務は同法二条所定の事業に該当せず、また、これに同法を適用する旨の条例も被告市では制定されていない。したがって、中央卸売市場業務に関する補助金支出に、原告ら主張の財政部長の専決事項が適用される余地はない。 決裁規程別表第一の3の(2)の専決事項(3)によれば、五〇〇 も被告市では制定されていない。したがって、中央卸売市場業務に関する補助金支出に、原告ら主張の財政部長の専決事項が適用される余地はない。 決裁規程別表第一の3の(2)の専決事項(3)によれば、五〇〇万円を超えるものの支出命令については、工場費等を除き助役専決とされているから、補助金たる入場交付金の支出は助役専決によってなされた。 3 4(一)(2)の事実のうち、入場交付金の支出が予算流用措置でなされたことは認め、その余の主張を争う。 原告らは、昭和五六年三月三一日付け求釈明回答書二2において、入場交付金の支出について訴状請求原因四2で主張した予算措置を講じなかったことは違法事由として主張しないことを明言したにもかかわらず、審理終結段階の昭和六〇年一〇月一日付け準備書面で、入場交付金の支出が予算流用によりなされた点が違法であると主張しているが、かかる主張は、明らかに時機に遅れた攻撃防御方法であり、また、訴訟上の信義則に反して失当である。 また、本件支出につきなされた予算流用措置は、同一の款、項の中の目、節間の流用であるが、議会の予算議決の対象となるのは款、項のみであり、項の中で各自間の流用は可能である(法二二〇条二項)。目、節の区分は長が行う執行科目にすぎないのであり(法二一六条、同法施行令一五〇条三項)、同一の款、項の中の目、節間においては、執行の必要がある限り長の裁量において自由に流用を行いうる。 本件の入場交付金及び補償金は、昭和五四年度特別会計予算のうち「市場事業費」(款)、「市場管理費」(項)、「事業費」(目)の中の「委託料」及び「使用料及び賃借料」(節)を「負担金補助及び交付金」及び「補償補填及び賠償金」(節)に流用して支出されたものであって、もとより適法な流用である(千葉市予算会計規則一四条)。 4 4一(3)の事実のうち、新市 び賃借料」(節)を「負担金補助及び交付金」及び「補償補填及び賠償金」(節)に流用して支出されたものであって、もとより適法な流用である(千葉市予算会計規則一四条)。 4 4一(3)の事実のうち、新市場が旧市場と比較して設備が完備していることを認め、その余の事実を否認し、その主張を争う。 法二三二条の二に規定されている公益上の必要性の判断については、その判断につき著しい不公正若しくは法令違背が伴わない限り、当該地方公共団体の判断を尊重すべきである。 法二条三項一七号、同項一一号の規定により、地方公共団体は、消費者の保護を行い、市場の経営その他公共の福祉を増進するために適当な収益事業を行う。中央卸売市場及び地方卸売市場は、この事業を行うための市場であって、地方公共団体は、これらの卸売市場を設置、経営し、中央卸売市場においては農林水産大臣の許可を受けた卸売業者をして、卸売業務をさせることにより、野菜、果実、魚類等を全国から集荷し、それを仲買人、小売商の手を経て消費者に供給する。したがって、市場の経営は公益性を有するものであり、卸売業者の活動は、直接消費者の保護に寄与するものである。このため、一般に、地方公共団体が卸売業者に対して補助をすることには、公益上の必要性があるというべきである。 新市場は、被告市の急激な人口の増加に伴い、急増した消費者に対し、豊富な生産物の供給を確保するために開設されたものである。新市場における豊富な出荷を確保するためには、卸売業者が活発な集荷をする必要があり、そのためには、卸売業者が生産地に出向いて出荷の要請、勧誘を重ねることが必要不可欠である。入場交付金の支出は、この産地対策経費の補助として交付されたものであるから、その目的の公益性、有用性は明らかである。また、入場交付金の支出は、過去の実績を調査した上でなされており 必要不可欠である。入場交付金の支出は、この産地対策経費の補助として交付されたものであるから、その目的の公益性、有用性は明らかである。また、入場交付金の支出は、過去の実績を調査した上でなされており、推定必要経費の一部を補助したものであるから、流用の危険性もない。 本件産地対策費の額は、新市場開設後三年間を対象期間とし、千葉青果の最近三か月間の産地対策経費を基礎として決定された。 また、被告市が市場移転に際して一切の補償を行わないとの行政施策を明言した事実はない。すなわち、被告市の経済部では、昭和五一年ころから市場移転に伴う補償問題を検討したが、昭和五四年九月上旬ころには、「(1)営業補償はしない。 (2)廃棄損補償はする。(3)産地対策費の補助は一定の範囲でする、、(4)移転経費の補助はする。」との基本方針を内部決定し、昭和五五年一月末ころには、市長、助役の了承を受けた。したがって、入場交付金の支出が被告市の行政施策に違反してなされたということはない。 普通地方公共団体の行政施策は、公益目的実現のため、当該公共団体をとりまく具体的状況を基礎として当該公共団体の長あるいは権限を有する職員の自由な裁量において決定されるものである。したがって、一旦決定された行政施策であっても、その後公益目的実現のため必要であると判断されれば、これと異なる行政上の措置を取ることは何ら差し支えないから、原告ら主張の行政施策違反が信義則違反となる余地はない。 原告らは、また、千葉青果のみに補償金等を支出したのは行政として不公平かつ恣意的であると主張するが、住民訴訟上の違法は、普通地方公共団体の職員が当該公共団体に対して負担する義務に違反する場合をいうのであって、関係業者を平等に扱うべきであるとする義務は、当該業者に対する義務であるから、住民訴訟上の違法事由には該当し 普通地方公共団体の職員が当該公共団体に対して負担する義務に違反する場合をいうのであって、関係業者を平等に扱うべきであるとする義務は、当該業者に対する義務であるから、住民訴訟上の違法事由には該当しない。 本件においては、新市場に入場した業者にも必要に応じて補助金を交付することを決定していたのであるから、業者を不平等に取り扱ったということもない。千葉青果を除く二社への補助の時期が遅れたのは、この二社が新規入場業者で、産地対策費の補助を同時に提示すると、その交渉が難航すると予測されたからである。 5 4(二)冒頭の、被告市が補償金の対象とした物件が原告主張のとおりであることは認める。 6 4(二)(1)のうち、昭和五四年度予算において、本件支出についての予算措置が取られていなかったことは認めるが、その余は否認し、争う。 原告らの主張する行政施策違反についての反論は、前記4記載のとおりである。なお、被告市と千葉青果との間で補償等の具体的金額について話し合いがつき、具体的な補償金等の支出が決定されたのは、昭和五五年二月であり、昭和五四年度予算議決の段階では具体的な補償金等の額は決まっておらず、予算措置が講じられていなかったに過ぎないもので、被告市が市場移転に関連して一切の補償金等の支出をしないことを決定していたために予算措置をしなかったのではない。 7 4(二)(2)は争う。 普通地方公共団体が私人に受忍限度を超える損失を与えた場合には、たとえそれが適法行為であっても、公平の原則に照らして、いわゆる損失補償として補償義務が生じるものである。 すなわち、旧市場を新市場に移転するについて、被告市は、昭和五四年三月一五日条例第一六号で千葉市中央卸売市場設置条例二条所定の中央卸売市場の位置を改正し、昭和五四年三月一五日条例第一七号で業務規程二条所定の市場の位 を新市場に移転するについて、被告市は、昭和五四年三月一五日条例第一六号で千葉市中央卸売市場設置条例二条所定の中央卸売市場の位置を改正し、昭和五四年三月一五日条例第一七号で業務規程二条所定の市場の位置・面積を改正し、昭和五四年一〇月五日、卸売市場法一一条の規定に基づき、千葉市中央卸売市場(青果部)の位置、面積変更について農林水産大臣の認可を申請し、同月二七日その認可を得、これによって、旧市場を廃止し、新市場に移転することにした。 千葉青果は、被告市から旧市場の市場施設使用許可を得て、旧市場において卸売業務を営んでいたが、被告市による新市場移転施策とこれに基づく新市場使用許可によって、旧市場の使用許可が自動的に失効し、卸売業務継続のためには、新市場への移転を余儀なくされた。 被告市の前記市場の移転は、法令に基づく適法なものであるが、このような一般的な公益上の理由によって、千葉青果が旧市場において資本投下した設備等を廃止せざるを得ないというような客観的損失を受けたときは、その損失は明らかに受忍限度を超えており、これを補償するのは被告市の法的義務である。 原告らは、業務規程六三条二項を根拠に、千葉青果が旧市場の設置許可を受けるに際して、旧市場の使用資格を失ったときには旧市場に設置した詣設備を原状回復するべきであったから、本件支出により補償すべきではなかったと主張するけれども、被告市は、旧市場施設の原状変更承認をなすに当たり、定型的な様式として業務規程六三条二項を許可条件として付してはいるものの、特に新市場移転に際して千葉青果に原状回復を約束させたことはない。 また、業務規程六三条二項は市場の存続を前提とする規定であって、本件のように旧市場を廃止して新市場に移転する場合には適用がない。 更にこの規定は法令に優先する効力を有するものではなく、その性質 ない。 また、業務規程六三条二項は市場の存続を前提とする規定であって、本件のように旧市場を廃止して新市場に移転する場合には適用がない。 更にこの規定は法令に優先する効力を有するものではなく、その性質は被告市の行政執行のための定めであり、訓示規定にすぎないのであるから、被告市が損失補償をすべきであるとの義務に優先してまで適用される規定ではない。そして、業務規程六三条二項の原状回復義務を許可条件とした場合でも、当該業者の資格喪失事由の理由の如何を問わず、一切設置物の補償をしないというものではない。行政財産の目的外使用許可を当該行政財産の本来の目的に供するため取り消す場合においてすら、国有財産法二四条、一九条により損失補償を要するとされているのであるから、本件のように、市場設置を卸売業者に市場業務という本来の設置目的のため使用許可している場合にこれを取り消すには、当然損失補償を要するのである。したがって、業務規程六三条二項は、業者の責めに帰すべき事由により使用資格を喪失した場合に限って原状回復義務を課した規定であると限定的に解されなければならず、本件のように被告市の一方的な行政上の都合によって使用資格を喪失させた場合には適用がない。 原告らはまた、補償金不要の根拠として公有財産規則を援用しているが、この規定は、その文言からも明らかなように行政財産の目的外使用許可に関する規定であり、市場施設を卸売業務という本来の目的に使用許可している場合に適用されるものではない。 仮に原告ら主張のとおり公有財産規則の適用があるとしても、右規則は、行政財産の目的外使用許可について一切の補償をしない等の条件を付しうるとしているのであって、条件が付されているか否かを問わず補償不要としているわけではない。したがって、公有財産規則を根拠にして補償を拒否することはできない 可について一切の補償をしない等の条件を付しうるとしているのであって、条件が付されているか否かを問わず補償不要としているわけではない。したがって、公有財産規則を根拠にして補償を拒否することはできない。 8 4(二)(3)の事実のうち、千葉青果が昭和五四年八月以降給食を一時中止していたことは認めるが、その余は否認し争う。 被告市は、千葉青果が旧市場に設置した設備、備品のうちで新市場への移転によって使用不能となるもの、物理的、経費的にみて移転不能なものを廃棄損の対象としたものである。 4(二)(3)(1)のうち、軽量鉄骨果実事務所は、千葉青果が新市場に移転するまでの間、ロッカー置場、商品保管場所等に使用していた。また、千葉青果が昭和五四年八月に給食を一時中止した後も、給食室設備は千葉青果職員の自炊のために使用されていた。これらは、市場を移転するには除却、解体するほかなく、結局再使用不能のため廃棄損の対象となった。 4(二)(3)(2)は、いずれも千葉青果の所有物であり、資産台帳に記載されている。このうち、ゴミ集積場、ゴミ焼却炉耐火レンガは、旧市場の土地上に固定的に設置されていたものであり、物理的に移転不能として廃棄損の対象となった。 プレハブ冷蔵庫は、移転経費が簿価以上となるため廃棄損の対象となった。 4(二)(3)(3)のうち、車庫、バナナ加工室機械について、千葉青果が新市場に移転するとき、これらの物件を撤去して現状に復する旨の文書を被告市に差し入れたことはない。これらの物件は、新市場への移転不能、移転により使用不能として廃棄損の対象となった。 4(二)(3)(4)のうち、被告市が昭和五四年三月末に千葉青果に交付金として一〇一六万四七〇〇円を支出したことは認めるが、この交付金は、仲卸売場建設に対するものである。仲卸売場下屋はその後に築造されたもの (3)(4)のうち、被告市が昭和五四年三月末に千葉青果に交付金として一〇一六万四七〇〇円を支出したことは認めるが、この交付金は、仲卸売場建設に対するものである。仲卸売場下屋はその後に築造されたもので、この建設費は右交付金に含まれていない。 4(二)(3)(5)(ア)に原告らが主張する石油ストーブ、クーラー、温風暖房器、分類機、サイバー防犯器は、いずれも使用可能な物件であった。これらの物件は、いずれも移転により使用不能となるため、廃棄損の対象となった。 同(イ)電算機リース解除補償については、補償という名が付いているけれども、その実質的性格は補助である。すなわち、千葉青果が従来使用していた電算機の機種は、オンライン使用のできないものであったため、産地団体から、オンライン方式を導入するよう強い要請があり、新市場移転と同時に従来の電算機リース契約を解除して、産地団体とのオンライン化を実施する必要に迫られた。そこで被告市は、産地対策の一環として新機種への変更の必要を認め、その経費の一部である旧機種電算機リース解約による違約金分について補助したものである。 したがって、電算機リース解除の補償は、集荷促進のために支出された補助金であり、公益上の必要性があることも明らかである。 また、その補償金が「負担金補助及び交付金」から支出されたのでなく、「補償補填及び賠償金」から支出されたのであったとしても、電算機補償については、新市場移転によってその必要が生じ、千葉青果が旧機種のリース解約料を支出せざるを得なかったという補償金としての側面も否定できなかったのであるから、形式上補償金として支出されても何ら差し支えないというべきである。 仮に形式上も「負担金補助及び交付金」の節から支出されるべきであったとしても、電算機リース解除補償の支出については、議会の議決対象た 形式上補償金として支出されても何ら差し支えないというべきである。 仮に形式上も「負担金補助及び交付金」の節から支出されるべきであったとしても、電算機リース解除補償の支出については、議会の議決対象たる「市場事業費」(款)、「市場管理費」(項)中に支出に必要な予算残が存していたのであり、更に、単なる執行科目にすぎない「事業費」(目)、「負担金補助及び交付金」(節)中にも支出に必要な予算が存していた。 「補償補填及び賠償金」と「負担金補助及び交付金」とは同一の款、項、目の中の節である。したがって、電算機リース解除補償金が「負担金補助及び交付金」の節から支出されるべきものであったとしても、議会の議決対象たる款、項はもとより、執行科目たる目、節にも必要な予算があったから、予算外支出には当ならない。 仮に違法な予算外支出に当たるとすれば、当該支出は無効となり、被告市は千葉青果に対して不当利得返還請求権を取得するのであるから被告市にはなんらの損害を生じていないというべきである。 同(ウ)備品修繕料補償は、千葉青果が旧市場で使用していた備品を新市場の売場に合うように改造するための費用を補償したものである。 電話移設料補償は、千葉青果が旧市場で使っていた電話を新市場に移設するに要した費用を補償したものである。これらは、いずれも移転経費であり、損失補償の対象となる。 9 4(二)(4)は争う。 法九六条一項は、議会の権限を限定的に規定したものであって、いたずらな拡張解釈は許されない。損害賠償と損失補償とは法律上の性質を異にしており、後者は予算に計上されれば足りるものである。 10 4(二)(5)のうち、本件補償金支出が、千葉青果の資産台帳上の簿価を基準として、大蔵省令による償却をした額によりなされたことは認め、その余は争う。 被告市は、廃棄損補償の額を決定す である。 10 4(二)(5)のうち、本件補償金支出が、千葉青果の資産台帳上の簿価を基準として、大蔵省令による償却をした額によりなされたことは認め、その余は争う。 被告市は、廃棄損補償の額を決定するに当たって、各物件の資産台帳上の取得価格、取得年月日を基礎として、大蔵省令によって定められている耐用年数表を使用し、不動産については定額法、その他の物件については定率法で減価償却して、新市場開設時の昭和五四年一〇月当時における簿価を算定し、これを補償額とした。 廃棄損補償の額を算定する方法としては、原告らが主張するように、市場取引価格を基礎として算定する方法も考えられるが、すべての物件に市場価格があるわけではなく、被告市の採用した簿価による補償の方式も合理的なものである。しかも、一般に取得価格を基礎として算定する簿価は市場取引価格よりも低額になるものであり、この点からしても簿価による算定の方法は妥当なものである。また、耐用年数を経過した物件については取得価格の一割を補償したが、この点も、資産の減価償却上、耐用年数を経過したものにつき取得価格の一割を簿価とすることは法令(減価償却資産の耐用年数等に関する省令五条一項)上許されているものであって、この額を補償額としたことについても、何ら違法な点はない。 11 5の事実のうち、被告市が千葉中央卸売市場の開設者であるとともに、千葉青果の株主であること、千葉青果は、経営状態が悪く赤字が続いており、昭和五四年九月三〇日当時において純資産割れを生じていた事実は認めるが、その余の事実は否認する。 千葉青果は、昭和五四年九月三〇日当時において純資産割れを生じていたが、被告市は、この状態を農水省に報告し、同省の指導のもとに千葉青果に再建計画を立てさせた。この再建計画の内容は、昭和五五年三月段階では純資産割れの回復は 九月三〇日当時において純資産割れを生じていたが、被告市は、この状態を農水省に報告し、同省の指導のもとに千葉青果に再建計画を立てさせた。この再建計画の内容は、昭和五五年三月段階では純資産割れの回復はできないが、同年九月には純資産割れを回復するというものであって、この再建計画については、昭和五五年二月中旬に農水省の了承も得て、同年三月には純資産割れに関する卸売市場法の適用の猶予について同省の承諾を得た。したがって、本件支出のなされた同年三月段階では、千葉青果の純資産割れの問題は決着しており、千葉青果の赤字の補填のために公金を支出する必要などなかったものである。 また、本件支出のうちで中心をなす廃棄損補償については、千葉青果の資産を簿価で補償したものであって、純資産の計算上では、資産総額に何の変動ももたらさないし、被告市は、千葉青果以外の業者にも新市場移転に際して、必要に応じて補償金等の支出をなしているのであるから、本件支出が、千葉青果の純資産割れを回復するためになされたものでないことは明らかである。 12 6は争う。 原告らの主張によれば、被告市を除くその余の被告らに対する実体法上の請求権は法二四三条の二であるというのであるから、被告市を除くその余の被告らには、本件支出行為に関与するに当たって、故意又は重大な過失がなければ損害賠償義務を負わないと解すべきである。 これを本件支出についてみるに、廃棄損補償を支出した点については、損失補償の要件、範囲をいかに解すべきかが行政法学上の難問であり、仮に廃棄損補償が不要であったとしても、これを必要と判断した被告らに故意又は重過失はない。また、廃棄損補償の額を決定するについても、市場管理係が対象物件を取り上げて、減価償却計算をして算出したものであり、これを決裁する上級管理職が各物件の償却率の適用や償却計 らに故意又は重過失はない。また、廃棄損補償の額を決定するについても、市場管理係が対象物件を取り上げて、減価償却計算をして算出したものであり、これを決裁する上級管理職が各物件の償却率の適用や償却計算を再度見直すべき法的義務はないのであるから、仮に額の算定に誤りがあったとしても、被告らに重過失ありとすることはできない。 入場交付金と電算機リース解除補償(補助金)についても、支出の要件たる「公益上の必要性」についでは当該普通地方公共団体の裁量に委ねられているのであり、これらの支出については、前記のとおり「公益上の必要性」に該当すると判断すべき理由が存するのであって、仮にこの判断に誤りがあったとしても、被告らに重過失はない。 13 7は争う。 14 8は認める。 15 9は知らない。 第三証拠一原告ら 1 甲第一ないし第九一号証、第九二号証の一ないし四、第九三、第九四号証、第九五号証(ただし、廃棄損物件の写真である。)、第九六、第九七号証の各一、二、第九八号証、第九九、第一〇〇号証の各一、二、第一〇一ないし第一〇四号証、第一〇五号証の一ないし九、第一〇六号証の一ないし三、第一〇七号証、第一〇八号証の一ないし三八、第一〇九号証、第一一〇号証の一ないし一〇、第一一一ないし第一二九号証、第一三〇、第一三一号証の各一、二、第一三二号証、第一三三号証の一ないし三。 2 証人G、同K、同L、同E、同J、同F、被告B本人、同C本人、同A本人、原告M本人。 3 検証の結果。 4 鑑定の結果。 5 乙第一三号証の原本の存在と成立を認める。その余の乙号各証の成立をいずれも認める。 二被告ら 1 乙第一ないし第一三号証。 2 被告C本人。 3 甲第一、第二号証、第一〇八号証の一ないし三八の原本の存在と成立を認める。甲第八六ないし第八八号証、第九一号証、第九四号証 も認める。 二被告ら 1 乙第一ないし第一三号証。 2 被告C本人。 3 甲第一、第二号証、第一〇八号証の一ないし三八の原本の存在と成立を認める。甲第八六ないし第八八号証、第九一号証、第九四号証、第一〇〇号証の一、二、第一〇七号証、第一〇九号証、第一一〇号証の一ないし一〇、第一一一ないし第一一三号証、第一一六ないし第一一八号証、第一二三号証、第一二六、第一二七号証、第一三一号証の二の成立はいずれも知らない。 その余の甲号各証の成立はいずれも認める。 ○ 理由一被告らの本案前の主張について 1 不真正連帯債務の主張について被告らは、原告らの請求が不真正連帯債務の成立を前提とした不適法なものであり、かつ、原告らが民法上の不法行為の主張をするのは、時機に遅れた攻撃防御方法の提出であると主張する。しかしながら、原告らの不法行為の主張の提出が仮に時機に遅れたものであるとしても、これがために、訴訟の完結を遅延せしむべきものであり、かつ、この点について原告らに故意又は重大な過失があったことについては、未だこれを認めることができないから、被告らのこの主張を採用することはできない。原告らは、被告市を除くその余の被告らに対しては法二四三条の二第二項、民法七〇九条、同法七一九条の規定を実体法上の請求権の根拠として、法二四二条の二第一項四号の規定に基づく代位請求訴訟を提起しているものであり、被告市に対しては法二四二条の二第七項を実体法上の請求権の根拠として本訴請求をしているものであるから、その請求に法律上の根拠がないとする被告らの主張は失当である、、また、かかる請求をするに当たって原告らの主張がその要件事実を満たしているかどうか、その請求する債務が不真正連帯の関係にあるのかどうかは、原告らの請求の当否の問題であって、その請求の適格の問題ということはできな 請求をするに当たって原告らの主張がその要件事実を満たしているかどうか、その請求する債務が不真正連帯の関係にあるのかどうかは、原告らの請求の当否の問題であって、その請求の適格の問題ということはできない。 したがって、被告らの右主張は理由がない。 2 被告適格(被告市を除くその余の被告ら)の主張について前記のとおり、原告らは、被告市を除くその余の被告らに対して、法二四二条の二第一項四号に基づき「当該職員」に対する損害賠償のいわゆる代位請求訴訟を提起しているものであるところ、右「当該職員」は、当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するものとされている者及びこれらの者から権限の委任を受けるなどして右権限を有するに至った者を広く意味すると解するのが相当である。 本件においでは、千葉青果に対する特別会計上の支出行為に関するものであるところ、地方公共団体の長は、法上、予算の調製、執行、会計の監督、財産の管理、処分、支出命令をなす権限を有する者であるから、本件支出当時、被告市の市長であった被告Aは、本件において、当該財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有する者であり、被告なりうるものである。 確かに、被告らがいうように、被告市にあっては、決裁規定により、五〇〇万円を超える支出命令を決裁する権限は市町から助役に委任されているが、かかる委任により、市長の本件訴訟の被告適格が失われるという被告らの主張は採用しない。 そして、千葉市助役事務分担規則(昭和五四年六月二〇日規則第二三号)によれば、本件支出当時助役であった被告Dは、経済部に属する事務を担任させられており、被告C本人尋問の結果によれば、本件支出は被告市の経済部に属する事務であったと認められる。 また、本件支出は五〇〇万円を超えるので、決裁規定により、 被告Dは、経済部に属する事務を担任させられており、被告C本人尋問の結果によれば、本件支出は被告市の経済部に属する事務であったと認められる。 また、本件支出は五〇〇万円を超えるので、決裁規定により、本件支出の支出命令決裁権限は、被告Dに委任されていたから、被告Dの被告適格にも欠けるところはない。 被告Cは、本件支出当時、被告市の経済部長、被告Bは、右当時、千葉中央卸売市場長の各地位にあった者で、いずれもその職責上、特別会計上の支出行為である本件支出に関し、その支出命令をなす権限を有する被告Dを補佐していたのであるが、前記趣旨の「当該職員」に該当する者ということはできない。しかし、原告らは、被告C及び被告Bに対しては被告市が有する、民法上の損害賠償責任を代位して訴求するというのであるから、被告C及び被告Bも、怠る事実に係る相手方として被告適格に欠けるところがないものというべきである。 なお、被告らは、原告らがその主張する法律上の根拠を変更したことに関し、異議を唱えるが、原告らがいう法律上の根拠は、すべて、本件においては法律の適用に関し裁判所の判断事項であるので、弁論主義の適用のある攻撃防御方法とはいえない。それゆえ、被告らが述べる異議は失当である。 二請求原因1、2、3、8の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。 請求原因4の事実のうち、入場交付金の支出が予算流用の措置によってなされたこと、被告市が補償金の対象としたものは別表記載のとおりであることは、当事者間に争いがない。 三本件支出に至る経緯右争いのない事実及びいずれも成立に争いのない甲第九六、第九七号証の各一、二、第九八号証、第一〇三号証、乙第一ないし第六号証、いずれも原本の存在及び成立に争いのない甲第一、第二号証、第一〇八号証の三ないし六、同号証の一三、証人Gの証言によっていず 六、第九七号証の各一、二、第九八号証、第一〇三号証、乙第一ないし第六号証、いずれも原本の存在及び成立に争いのない甲第一、第二号証、第一〇八号証の三ないし六、同号証の一三、証人Gの証言によっていずれも成立を認める甲第一一七、第一一八号証、証人J、同E及び同Gの各証言、被告B、同A及び同C各本人尋問の結果によれば以下の事実が認められ、これに反する証拠はない。 1 被告市は、生鮮食料品の安定した供給を図るため、昭和三六年七月、千葉市間屋町の五〇〇〇坪の敷地に千葉市中央卸売市場(旧市場)を設置した。 旧市場は、昭和四三年ころから被告市の人口増加などの原因によって狭益となり、その施設も老朽化してきたため、被告市は、そのころ、市場を移転することとし、同市経済部を中心として、千葉市中央卸売市場計画審議会を設置し、移転計画の基本的事項について検討を行った。昭和四五年には、旧市場の敷地が一万坪に拡張されたが、その後も移転計画の検討が続けられ、昭和四七年には、千葉市中央卸売市場建設準備事務局が設置され、農水省の指導を受けながら、昭和四八年から昭和四九年にかけて、千葉市高浜に敷地面積一九万平方メートルの新市場を建設し、これに卸売業者として青果部門二社、水産部門二社を入場させるという移転計画を確定した。この計画に基づいて、昭和五〇年には移転先土地の地盤改良工事が行われ、昭和五一年一〇月には建物建設工事が着手され、昭和五四年一〇月二〇日には新市場開場式が挙行され、同月二八日には千葉青果を含む青果部門の卸売業者三社が入場した。 2 当初の計画では、新市場に入場させる卸売業者は二社で、旧市場で卸売業務を営んでいた千葉青果と、従来千葉市内で地方卸売市場を開設していた千葉辰青果株式会社、千葉食品市場株式会社及び株式会社京葉中央青果市場の三社によって設立される新会社一社 者は二社で、旧市場で卸売業務を営んでいた千葉青果と、従来千葉市内で地方卸売市場を開設していた千葉辰青果株式会社、千葉食品市場株式会社及び株式会社京葉中央青果市場の三社によって設立される新会社一社の予定であった。ところが、この新会社設立については、資本金、役員等の問題について右三社間に合意が成立せず、千葉辰青果株式会社と千葉食品市場株式会社とが設立した千果千葉中央青果株式会社と、株式会社京葉中央青果市場が同一商号をもって設立した株式会社京葉中央青果市場との二社が、千葉青果とともご新市場に入場することとなった。 3 被告市の経済部では、昭和五二年一月から二月にかけて、市場移転に伴う補償問題に備えるため、福井、富山、広島、静岡、栃木の各県の中央卸売市場へ職員を派遣して、補償事例の調査を行った。この結果、被告市は、新市場への移転に当たって、千葉青果に移転費用を支出することはやむをえないと考えたものの、その他の補償についてどのような態度をとるか、明確な決定はしていなかった。 4 千葉青果は、昭和五四年六月ころ被告市に対し、新市場への移転に当たって営業補償、産地対策費補助、廃棄損補償、移転補償をするよう正式に要求した。このため、被告市の経済部は、前記他県の事例なども参考として、「(1)営業補償については、新市場で営業を継続できるのであるから不要である。(2)産地対策費補助については、市民への安定供給を確保するために必要である。(3)廃棄損補償及び移転補償についても、補償することはやむをえない。」との基本方針を決定するに至り、市長、助役の了承を得たうえ、同年九月ころ千葉青果にこの基本方針を伝えた。 千果千葉中央青果株式会社と株式会社京葉中央青果市場からは、この当時補償の要求はなかったが、被告市は、右二社に対する補償についても検討をし、「右二社に対し 九月ころ千葉青果にこの基本方針を伝えた。 千果千葉中央青果株式会社と株式会社京葉中央青果市場からは、この当時補償の要求はなかったが、被告市は、右二社に対する補償についても検討をし、「右二社に対しては、産地対策費の補助はするが、新会社としての新規入場であるので、廃棄損補償はしない。」との基本方針を決定した。しかし、千葉青果と右二社とでは、既存卸売業者の移転と新規卸売業者の入場ということでその立場が異なるとの判断から、被告市は、千葉青果の補償問題の決着がついてから、前記二社との補償問題の交渉に入ることとした。 5 千葉青果は、営業補償をしないという被告市の基本方針に不満であり、被告市と千葉青果との間で新市場への移転後も継続して補償に関する交渉が行われた。被告市は、昭和五五年の一月末に前記基本方針に基づいて、千葉青果に対する具体的な補償金額を決定するに至った。すなわち、廃棄損補償については千葉青果の資産台帳に基づいて、千葉青果所有の資産のうち、物理的に移転不能な物件及び移転に多額の費用を要する物件について補償をすることとし、被告市の中央卸売市場管理係が補償対象物件を抽出して、これにつき大蔵省令に基づく資産の減価償却の方法により簿価を算出し、同中央卸売市場計画係が補償対象物件を確認の上、この価格を補償するという方法を採用した。電算機のリース契約解除補償については、リース会社による約定損害金の計算に依拠して金額を算出した。電話移設料補償については、日本電信電話公社からの資料に基づいて移転に要する費用を算出した。移転に伴う備品修繕料補償については、新市場への移転に対応して必要な費用を、千葉青果からの各種の資料に基づいて算出した。これらの金額の詳細は、別表記載のとおりであり、その合計額は、二一九二万九六〇六円となった。 6 また、被告市は、新市場開 への移転に対応して必要な費用を、千葉青果からの各種の資料に基づいて算出した。これらの金額の詳細は、別表記載のとおりであり、その合計額は、二一九二万九六〇六円となった。 6 また、被告市は、新市場開設が、急増する消費者に対応する施策であることに鑑み、新市場入場卸売業者の集荷対策に必要な費用を補助することとし、千葉青果提出の産地対策費に関する資料を参考に、必要経費を算出して、千葉青果に対し、一〇〇〇万円を入場交付金としで支出することとした。 7 このように具体的な金額が確定したため、被告市は、市長(被告A)及び助役(被告D)の了承を得た上、昭和五五年二月上旬、千葉青果に右金額を提示した。 千葉青果は、この金額が低すぎるということで、なかなか了承しなかったが、同月末に右金額を了承した。 8 被告市は、決裁規程二条に、専決として、市長がその権限に属する特定の事務の処理について常時市長に代って決裁させることを規定しており、同規程五条によれば、市長が決裁すべき事項のうちで特に重要なもの以外の事項については、助役が専決すべきこととなっている88そして、同規程別表第一によれば、歳入歳出予算の執行に関する事項のうち歳出予算の執行につき、助役の専決事項として、工事費等一定の事項を除き、五〇〇万円を超えるものの支出命令を助役の専決事項としている。また、千葉市助役事務分担規則によれば、経済部に属する事務は、助役の被告Dがその事務を担任することとなっていた。そこで、助役の被告Dは、千葉青果の昭和五五年三月二七日付け請求に基づいて、同月二八日、新市場への移転に伴う廃棄損外として二一九二万九六〇六円、入場交付金として一〇〇〇万円の各支出命令を出し、被告市の収入役は、同月二九日、右の各支出命令に係る各金員を千葉青果に支払った。 被告市は、本件支出について、昭和五四年度予 して二一九二万九六〇六円、入場交付金として一〇〇〇万円の各支出命令を出し、被告市の収入役は、同月二九日、右の各支出命令に係る各金員を千葉青果に支払った。 被告市は、本件支出について、昭和五四年度予算においては、被告市と千葉青果との間の補償についての交渉が未だまとまっていなかったために予算措置を講ずることができなかった。そこで、被告市は、廃棄損外の補償については、「市場事業費」(款)、「市場管理費」(項9、「事業費」(目)の中の「委託料」(節)及び「使用料及び賃借料」(節)を「補償補填及び賠償金」(節)に流用して支出し、入場交付金については、「市場事業費」(款)、「市場管理費」(項)、「事業費」(目)の中の「委託料」(節)を「負担金補助及び交付金」(節)に流用して支出した。 四入場交付金について原告らは、まず、入場交付金の支出が法的に根拠のない違法なものであると主張し、被告らは、入場交付金の支出が補助金としてなされたものであると主張するので、この点について検討する。 1 原告らは、決裁規程別表第一3(2)(20)を根拠として、入場交付金が補助金であるならば、財政部長の決裁でなされるべきであるのに、本件では、助役決裁でなされているから、それは補助金でないと主張する。 ところで、決裁規程別表第一3(2)(20)は、企業会計に対する負担金、補助金及び出資金に係る支出負担行為及び支出命令について規定するものであるが、ここにいう企業会計とは、地方公営企業法の適用される事業の会計のことをいうのであり、同法二条では、同法の適用を受ける企業の範囲を限定しているところ、中央卸売市場は同法の適用を受ける企業に含まれていないのであるから、決裁規程別表第一3(2)(20)の規定が適用される余地はなく、助役決裁でなされているから補助金ではないとする原告らの主張 ところ、中央卸売市場は同法の適用を受ける企業に含まれていないのであるから、決裁規程別表第一3(2)(20)の規定が適用される余地はなく、助役決裁でなされているから補助金ではないとする原告らの主張は採用できない。 2 原告らは、入場交付金の支出について予算措置が講ぜられず、予算流用措置によってなされたことを違法であるとも主張する。 被告らは、原告らのこの主張が、時機に遅れた攻撃防御方法の提出であり、訴訟上の信義則に反すると主張する。 しかし、原告らのこの主張の提出が、仮に時機に遅れたものであるとしても、そのために訴訟の完結が遅延し、かつ、原告らに故意又は重大な過失があったとの点については、これを認めることができない。また、この主張の提出が訴訟上の信義則に反するということも認めるに足りないので、原告らの右主張を却下すべきということはできない。 前記三8に認定のとおり、入場交付金の支出は予算の流用措置によってなされたものであるが、法二一〇条、二一一条、二一六条によれば、地方公共団体の一会計年度における収入支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなくてはならず、歳入歳出予算は、これを款、項に区分して、年度開始前に議会の議決を経なくてはならないことになっており、法二二〇条、地方自治法施行令一五〇条によれば、地方公共団体の長は、歳入歳出予算の各項を目、節に区分して、これを執行することとなっている。そうすると、予算の執行に当たって、歳入歳出予算の目、節をどのように区分するかは、地方公共団体の長の裁量に任されていると解すべきである。もっとも、目、節は議会が予算審議をするに当たっての重要な基礎資料であるから、その流用は、地方公共団体の長が、その裁量の範囲を逸脱したり、濫用するなどして議会の判断を誤らせるようなことがない限りにおいて許されていると解さなくて 審議をするに当たっての重要な基礎資料であるから、その流用は、地方公共団体の長が、その裁量の範囲を逸脱したり、濫用するなどして議会の判断を誤らせるようなことがない限りにおいて許されていると解さなくてはならない。被告市は、前記三8に認定のとおり、歳出予算の執行のうち、五〇〇万円を超えるものの支出命令については、原則として助役の専決としているのであるから、助役による目、節間の流用による歳出予算の執行は、助役がその裁量の範囲を逸脱したり、濫用したりすることがなければ許されるものと解することができる。本件においては、前記三4に認定のとおり、昭和五四年度予算の予算措置の段階においては、被告市と千葉青果との間の交渉がまとまっていなかったので、当初予算には計上できなかったが、昭和五四年九月ころには、千葉青果に対し、具体的金額は決めていなかったものの、千葉青果の補償要求に対して何らかの補償をするとの意思を表示していたのであるから、この時点で、被告市の千葉青果に対する支出内示行為があったものとみることができる。そして、前記三7に認定のとおり、入場交付金の具体的な金額が決定されたのは昭和五五年二月であり、被告A本人尋問の結果によれば、被告市は、昭和五四年度分の支出負担行為による公金の支出は当該年度中に支出するという方針で、予算流用の措置をとり、入場交付金を支出した事実を認めることができ、この間の経緯には、予算流用の措置により入場交付金の支出がなされたことに裁量の範囲の逸脱や濫用があったと認められるような事情は何ら存在しない。 3 前記三6ないし8に認定のとおり、入場交付金の支出は、豊富な生鮮食料品を消費者に供給するため卸売業者が活発な集荷を行うのに必要な産地対策費用の一部を補助するためになされたものであり、その支出科目は、「市場事業費」(款)、「市場管理 場交付金の支出は、豊富な生鮮食料品を消費者に供給するため卸売業者が活発な集荷を行うのに必要な産地対策費用の一部を補助するためになされたものであり、その支出科目は、「市場事業費」(款)、「市場管理費」(項)、「事業費」(目)、「負担金補助及び交付金」(節)としてなされた。被告らは、入場交付金が補助金であると主張するところ、補助金であるならば、法二三二条の二の規定により、公益上の必要があって、支出されたことが要件となるので、次にこれを検討する。 4 法二条三項一一号及び一七号の規定によれば、普通地方公共団体は、消費者の保護を図り、市場の経営その他の公共の福祉を増進するために適当と認められる収益事業を行うこととなっており、卸売市場法二条三項の規定によれば、中央卸売市場とは、生鮮食料品等の流通及び消費上特に重要な都市及びその周辺の地域における生鮮食料品等の円滑な流通を確保するための生鮮食料品等の卸売の中核的拠点となるとともに、当該地域外の広域にわたる生鮮食料品等の流通の改善にも資するものとして、農林水産大臣の認可を受けて開設される卸売市場をいう。同法八条の規定によれば、中央卸売市場は、都道府県又は政令で定める数以上の人口を有する市が、農林水産大臣の認可を受けて、これを開設することができる。また、同法一五条、一九条、二八条、三四条及び四八条等の各規定によれば、中央卸売市場において卸売の業務を行おうとする者(卸売業者)は、農林水産大臣の許可を受けなければならず、許可を受けた卸売業者は、中央卸売市場に入場後も農林水産大臣の定めた純資産額の維持や農林水産大臣への事業報告書の提出、売買取引における方法の規制あるいは開設者による監督を受けるなど様々な規制を受ける。同法がこのように中央卸売市場や卸売業者に対して農林水産大臣や開設者の監督規制の制度を設けて への事業報告書の提出、売買取引における方法の規制あるいは開設者による監督を受けるなど様々な規制を受ける。同法がこのように中央卸売市場や卸売業者に対して農林水産大臣や開設者の監督規制の制度を設けているのは、中央卸売市場あるいは卸売業者が国民の消費生活等の安定に役立つという公益的色彩が強いからにほかならない。 そうすると、中央卸売市場における卸売業者は、その地方公共団体の住民を消費者として保護するために、産地から新鮮な野菜、果実、魚類等の生鮮食料品等を集荷し、仲買人、小売商の手を経て、これを消費者に安定して供給するという公的な責務を負っているといわなくてはならない。証人J、同E、同Gの各証言、被告C、同Bの各本人尋問の結果によれば、生鮮食料品を市民に安定供給するためには、卸売業者が、全国各地の産地の出荷団体から、その産地の生産品の販売を委託するとの指定を受けることが必要となり、そのためには卸売業者が、その職員を全国各地に出張させて、産地の出荷団体に出荷の懇請をすることが必要であり、そのための旅費、日当が必要となる事実を認めることができる。また、前掲乙第六号証、被告C本人尋問の結果によれば、千葉青果の昭和五四年七月から一〇月にかけての産地対策旅費の合計額は、一七六万七〇二〇円であり、被告市は、これを基準として新市場への移転後三年間を補償の対象とし、移転後の経営の安定等経費の減額要素も考慮に入れて、前記一〇〇〇万円という金額を決めた事実を認めることができる。 したがって、産地対策費補助としてなされた入場交付金の支出は、被告市の公益上必要な補助金としての支出であったということができ、その金額の決定についても、原告らが主張するように恣意的なものであると評することができない。 5 原告らは、被告市が、市の行政施策として、新市場入場に際してはどの業者に 支出であったということができ、その金額の決定についても、原告らが主張するように恣意的なものであると評することができない。 5 原告らは、被告市が、市の行政施策として、新市場入場に際してはどの業者に対しても一切の補償はしないと明言していたから、これに違反して補助金を交付することは被告市の行政施策に違反し、信義誠実の原則に悖るものであると主張する。しかし、本件において、被告市が新市場入場に際してはどの業者に対しても一切の補償はしないと明言していたとの事実を認めるに足りる証拠はない。すなわち、証人Gは、昭和五二年ころから、被告市の経済部長や市場長から一切の補償はしないと聞かされていたと証言するが、同証人は、また、被告市とGとは、補償の問題については正式に話し合ったことがなく、右の話は市場内で接触しているときにたまたま話題として出てきたにすぎないものであるとも証言し、前記三3、4で認定したとおり、被告市として本件補償等の問題について正式に態度を決定したのは昭和五四年九月ころのことであるから、それ以前に経済部長や市場長がGに対して前記のような口吻をもらしたとしても、これは、何ら被告市の行政施策が決定したことに基づく発言とはいえない。そうすると、前記証人Gの証言により、原告らの主張する、被告市が新市場入場に際し、一切の補償をしないとの施策を取っていたとの事実を認めることはできないし、他にこれを認めるに足りる証拠はない。 したがって、原告らの前記主張はその余の点について検討するまでもなく、採用することができない。 6 原告らは、入場交付金のような金員は、不正な目的に流用されるおそれがあるから、これを防止する手段を取るべきであったとも主張する。前記4で認定したとおり、入場交付金は、卸売業者が、全国各地に出向いて産地の出荷団体に対して出荷の懇請をすること 目的に流用されるおそれがあるから、これを防止する手段を取るべきであったとも主張する。前記4で認定したとおり、入場交付金は、卸売業者が、全国各地に出向いて産地の出荷団体に対して出荷の懇請をすることが必要であり、そのため卸売業者の職員に必要となる旅費、日当等を基準として算出されているところ、証人Eの証言によれば、その経費の中には産地の出荷関係者に対する接待費用も含まれることが認められ、これに反する証拠はない。しかし、このような接待費用に使用されることを把えて、不正目的に流用というのはにわかに肯認し難いし、増してや流用防止手段を講じないからといって直ちに違法な支出となるとの見解は到底採用することができない。 7 原告らは、新市場に入場した、千果千葉中央青果株式会社、株式会社京葉中央青果市場の二社にも、同時に入場交付金を支出されるべきであったのに、これを支出しなかったのは行政として不公平かつ恣意的な運用であるから適法性が認められないと主張する。しかし、前記三4で認定したとおり、被告市は、千葉青果に対すると同一の時期に、右二社へも産地対策費の補助をするとの決定をしていたというのであり、また、前掲甲第九八号証、証人F、同Jの各証言及び被告C本人尋問の結果によれば、被告市は、昭和五五年二月下旬には、前記二社への入場交付金を各五〇〇万円と定め、その支給も千葉青果と同一時期である昭和五五年三月末に行うことと決定し、その金額は、千葉青果の取扱高及び資本金の額と前記二社のそれらとを比較して定めていたが、前記二社がその金額が少ないことに不満を示し、また、受領手続等に若干混乱があったため、その支給が千葉青果と同時には行われなかった事実を認めることができる。この事実によれば、被告市が入場交付金を交付するに当たって、千葉青果と前記二社とを不公平に取り扱ったというこ 若干混乱があったため、その支給が千葉青果と同時には行われなかった事実を認めることができる。この事実によれば、被告市が入場交付金を交付するに当たって、千葉青果と前記二社とを不公平に取り扱ったということはできず、原告らの主張は採用できない。 五補償金について 1 原告らは、補償金(廃棄損補償、移転補償を含も。以下同じ。)の支出が被告市の行政施策に違反し、信義誠実の原則に悖るものであると主張するけれども、被告市が原告ら主張の行政施策を取っていたとの事実を認めることができないことについては前記四5に判示したとおりであり、昭和五四年度の予算に補償金の予算措置が講じられておらず、補償金の支出は目、節間の流用措置によって行われたが、それが支出命令権者の予算執行の権限を濫用しているとはいえないことについては前記三8に判示したとおりである。したがって、補償金の支出が被告市の行政施策に違反し、信義誠実の原則に悖るものであるとの原告らの主張は理由がない。 2 原告らは、補償金の支出について、補償の要件が欠けていたと主張する。 前記三1で認定した事実によれば、中央卸売市場の旧市場施設及び新市場施設は、いずれも被告市の行政財産に属するものであったと認めることができる。もっとも、その附属施設の一部に卸売業者の所有に属する物があったことは後記認定のとおりである。 その利用関係について、被告C本人尋問の結果によれば、被告市は、千葉青果に対して、昭和三六年七月ころ旧市場施設の使用許可をしたが、市場の移転に当たっては、新市場施設の使用許可をしたものの、旧市場施設の使用許可取消しの手続をとらなかった事実を認めることかできる。 しかし、右の事実によれば、旧市場施設及び新市場施設の利用関係は、行政処分である使用許可に基づく公法上のものであるところ、被告市は、市場の移転という事情 続をとらなかった事実を認めることかできる。 しかし、右の事実によれば、旧市場施設及び新市場施設の利用関係は、行政処分である使用許可に基づく公法上のものであるところ、被告市は、市場の移転という事情変更に基づく新市場施設の使用許可によって、千葉青果に対する旧市場施設の使用許可を黙示的に取り消したと認めるのが相当である。 国有財産法一九条、二四条の各規定によれば、国有の行政財産について使用許可を得た者は、その許可が所定の事由により取り消された場合、これによる損失の補償を求めることができる。このことに照らせば、被告市の行政財産の利用関係についても、右の規定を類推して適用するのが相当であり、旧市場施設の使用許可を得ていた千葉青果は、被告市に対して損失の補償を請求することができるものということができる。 したがって、補償金の支出について根拠がないという原告らの主張は採用できない。 原告らは、公有財産規則二二条、業務規程六三条を根拠に、千葉青果が旧市場施設を被告市に返還する場合には一切の補償を受けることができず、原状回復義務若しくはこれに代わる費用の弁償という内在的制約を伴っているから、被告市の都合によって施設を返還する場合でもその補償を求めることはできないとも主張する。 しかしながら、公有財産規則二二条は、その規定中の文言から明らかなように、行政財産の目的外使用の許可について規定したものであって、本件のように行政財産をその目的に沿って使用する場合には適用がないと解するのが相当である。また、業務規程六三条二項は、その条文の規定から見ても、任意規定であって、市場施設の存続を前提として、それまでの使用者が市場施設の返還をする際に後続の使用者が円滑に市場施設の使用を継続できるように定めた規定であると解するのが相当であり、本件のように市場の移転に伴い、旧市場 施設の存続を前提として、それまでの使用者が市場施設の返還をする際に後続の使用者が円滑に市場施設の使用を継続できるように定めた規定であると解するのが相当であり、本件のように市場の移転に伴い、旧市場施設の使用を廃止するような場合にも損失補償を不要とすることまで定めた規定であるとは解することができない。 4 また、原告らは、補償の対象となっている物件のほとんどが、新市場への移転計画が発表された後に、千葉青果がこれを知りながら設置した設備等であり、また、千葉青果が旧市場施設の廃止によって失う設備のほとんどは新市場において完備されているから、千葉青果に回復困難な実害を生ずることもなく、これらの設備等に補償金を支出することは許されないと主張する。 前記二によれば、被告市が補償の対象とした物件は別表記載のとおりであり、この事実と、いずれも成立に争いのない甲第一〇五号証の一ないし九、証人Gの証言、被告C本人尋問の結果によれば、旧市場から新市場への移転が確定したのは昭和四八年から同四九年にかけてのことであり、その後も別表記載の各取得年月日のとおり、多くの物件が設置されているが、これらの物件は、千葉青果が日々の卸売業務の遂行に当たって特に必要なものを、被告市の許可を得た上で設置した事実を認めることができる。 また、証人Gの証言によれば、これらの設置に際しては、被告市は、来るべき市場移転を指摘して難色を示したのに対し、千葉青果側のたっての希望で許可を得たこと、それゆえ、当時千葉青果の代表者であったGとしては、これらの物件は、市場移転時被告市から補償して貰えるどころか、千葉青果の費用でこれらを除却しなければならないと考えていたことが認められる。 しかしながら、右のような事情が存在したことにより、これらの物件に対する補償が直ちに不要となり、ひいてはその補償をなす 、千葉青果の費用でこれらを除却しなければならないと考えていたことが認められる。 しかしながら、右のような事情が存在したことにより、これらの物件に対する補償が直ちに不要となり、ひいてはその補償をなすことが違法となるということはできない。 また、原告らがいうように、新市場に被告市備付けの新しい設備が整っていることを理由に、旧市場に設置した千葉青果所有の設備に対する補償が全く不必要であるとも言い切れないのであって、これらをすべて否定する原告らの主張は採用できないところである。 5 個々の補償について前記三5で認定した事実及び証人Jの証言によれば、被告市は、千葉青果の廃棄損補償額を算出するに当たって、中央卸売市場管理係が、千葉青果の資産台帳によって補償対象物件を抽出し、中央卸売市場計画係が、対象物件の存否、対象物件の使用可能性の有無等を調査の上、別表記載のとおりの物件を補償の対象としたこと、別表記載の取得年月日、取得価格及び耐用年数は千葉青果の資産台帳記載のとおりに従い、償却率、償却額及び残存価格については、管理係が減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和四〇年三月三一日蔵令第一五号)に従い、定率法(設備関係)及び定額法(建物関係)を用いて、その残存価格を算出した事実を認めることができる。そこで、別表記載の各対象物件について検討する。 (一) 軽量鉄筋果実事務所、給食室設備について原告らは、これらの物件が千葉青果において既に使用を廃止していたと主張する。 証人Jの証言によると、給食室設備については、昭和五四年八月ころ給食の賄婦が辞めたことらあって、給食は中止したが、その後、同年一〇月までは千葉青果の職員が自炊用に使用を継続していたこと、果実事務所については、千葉青果が同年一〇月ころまでバナナの人出庫を管理するために使用していた事実を認めること 食は中止したが、その後、同年一〇月までは千葉青果の職員が自炊用に使用を継続していたこと、果実事務所については、千葉青果が同年一〇月ころまでバナナの人出庫を管理するために使用していた事実を認めることができ、右事実によれば原告らがいうように使用を廃止していたということはできない。 (二) ゴミ集積場、ゴミ焼却炉耐火レンガ、プレハブ冷蔵庫について原告らは、これらの物件が千葉青果の所有物でなかったと主張するが、前記認定のとおり、これらの物件は、千葉青果の資産台帳に記載されていたのであって、千葉青果の所有物であると推認するのが相当で、これを覆すに足りる事情はない。 (三) バナナ加工室機械、仲卸売場下屋、果実事務所間仕切、車庫、給食室設備、プレハブ冷蔵庫、電話移設料補償について原告らは、これらの物件について、千葉青果が被告市に対して移転の際に補償を求めない旨書面若しくは口頭で確約していたと主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。前掲甲第一〇五号証の一ないし八によれば、右物件の建設設置の許可には、前記業務規程による原状回復の条件が付されていたことが認められるが、これらの条件は、前記3に判示したように市場施設を変更したものについては、市場を返還の際、原状に復するというに留まるものであって、移転の際の補償を求めないことまで約束した書面であるとみることはできない。 (四) 仲卸売場下屋について原告らは、これにつき、千葉青果が過去において既に補償を得ていると主張するので、仲卸売場下屋建設の経緯について概観する。 前掲甲第九八号証、第一〇五号証の一、いずれも成立に争いのない甲第八五号証、乙第七号証、第九、第一〇号証、原本の存在及び成立に争いのない甲第一〇八号証の一九、証人G、同Jの各証言、被告C本人尋問の結果によれば、以下の事実を認めることができ、これ に争いのない甲第八五号証、乙第七号証、第九、第一〇号証、原本の存在及び成立に争いのない甲第一〇八号証の一九、証人G、同Jの各証言、被告C本人尋問の結果によれば、以下の事実を認めることができ、これを左右するに足りる証拠はない。 (1) 昭和五〇年八月、千葉青果は、被告市と協議の上、その許可を得て、建設費一一一七万円を投じて旧市場内に青果部仲卸売場を建設した。 (2) 次いで、同年九月、右仲卸売場を利用する仲卸業者の団体である千葉青果卸売協同組合から、被告市の市長宛、仲卸売場前に、鉄骨造、波型スレート葺一五〇平方メートルの下屋を設置したいとの申請がなされ、同月二三日、被告市の市長の許可を得た。 右下屋の建築費は約一九〇万円であったが、千葉青果がそのうち一〇〇万円を負担し、その余は千葉青果卸売協同組合が負担した。 (3) その後、千葉青果が前記仲卸売場建物を自己所有に保存登記を了して被告市との間で問題となり、昭和五四年三月、右仲卸売場建物の所有権を千葉青果が放棄し、これに対し、千葉市は、建設費一一一七万円から経過年数の減価償却をした残存価額一〇一六万四七〇〇円を千葉青果に支払って補償するということで解決した。 右補償契約の補償物件の表示は、千葉市間屋町一番二八号、鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺平家建店舗二五一・一六平方メートルとされた。 (4) 本件支出のうち、廃棄損補償として、仲卸売場下屋は、千葉青果が昭和五〇年一〇月二二百二五万円で取得したものとして定額法で減価償却した残額二二万一八七五円が支出された。 (5) 本件支出と同時に、被告市は、千葉青果卸売協同組合に対し、仲卸売場下屋廃棄損として、取得日昭和五〇年九月二〇日、取得価格一七〇万円として減価償却を行った残額一五〇万八七五〇円を支出した。 以上の経緯において、昭和五四年三月の一〇一六万四七〇〇円 合に対し、仲卸売場下屋廃棄損として、取得日昭和五〇年九月二〇日、取得価格一七〇万円として減価償却を行った残額一五〇万八七五〇円を支出した。 以上の経緯において、昭和五四年三月の一〇一六万四七〇〇円の補償金が、本件下屋部分も含も建物を対象としていなか否かというのが論点である。 一般的に下屋なるものは、建物本体のひさし部分であって、建物の従物以上に一体性を有する一構成部分といわざるをえず、本件においても、前記認定(2)、小林吉善が昭和五六年一月三〇日に本件下屋を撮影した写真であることに争いのない甲第九五号証(一六、一七)、検証の結果によれば、本件下屋は、一五〇平方メートルに及ぶかなりの規模のものではあるが、構築物としては、売場のひさしという評価以上に出るものではない。そうすると、原則としては、仲卸売場建物の所有権の帰属を千葉青果と被告市との間で合意した昭和五四年三月に、特段の事情のない限り本件下屋の所有権も被告市に帰属したということも考えられないではない。 しかしながら、補償については、前記認定(1)ないし(3)のとおり昭和五四年三月支出の補償金算定方法は、仲卸売場建物の建設費を基準に算定されており、そこには下屋部分の建設費は何ら考慮されていないのであって、千葉青果らが無償で下屋の所有権を放棄する等の事情のない限り、市場移転に際して、下屋の補償は未解決であったとして、これを清算することは、至極当然の理である。 証人Gは「昭和五四年三月の補償において、下屋も含んで解決済みと考えていた。」と証言し、甲第九四号証にも、かかる発言の記載がある。そして、同証人の証言及び甲第九四号証中の発言は、その前提として、「前記認定(2)の千葉青果からの一〇〇万円の支出をもって、下屋の所有権が全部千葉青果に移った。仲卸売場本体と下屋との所有権者である千葉青果と被告市 証言及び甲第九四号証中の発言は、その前提として、「前記認定(2)の千葉青果からの一〇〇万円の支出をもって、下屋の所有権が全部千葉青果に移った。仲卸売場本体と下屋との所有権者である千葉青果と被告市との所有権交渉において補償金が支払われた。」というのであって、いわば、当時千葉青果の代表者であったGにおいて、本件下屋は被告市に所有権を取得させる意思であったかのようである。 ところで、前記認定(2)のように、千葉青果卸売協同組合が、下屋建築費約一九〇万円のうち九〇万円余を負担したことは事実であり、その精算をいかなる形にして千葉青果に所有権を帰属させたのかは前記Gの証言では不分明のままであり、そうすると、下屋の完全な処分権限を千葉青果が得たという前記G証言はにわかに信用することができない。 また、被告市に対する下屋の所有権放棄に関しても、証人Gは、その部分は無償の意思であったというのではなく、「被告市からの補償金が下屋部分も対象としていると思っていた。」というに止まるのであるから、本件下屋の千葉青果の持分を被告市に無償で放棄したり、贈与する意思であったとすることもできない。 以上をまとめると、本件にあっては、昭和五四年三月以前において、下屋の所有権についてその建築費出捐者である千葉青果と千葉青果卸売協同組合との間に何らかの合意が認められないから、いまだ、その出捐の割合でもって共有し、また、昭和五四年三月の被告市と千葉青果との合意では、千葉青果がその共有持分を無償で放棄したとも解することができないところである。 そうすると、証人Jの、「(被告市としては、)本体は千葉青果のものであるが、下屋は共有であるとのことで、まず本体だけを補償した。」との証言を信用して、昭和五四年三月の被告市からの補償金は、本件下屋を含まない仲卸売場本体に対するものであったと認 体は千葉青果のものであるが、下屋は共有であるとのことで、まず本体だけを補償した。」との証言を信用して、昭和五四年三月の被告市からの補償金は、本件下屋を含まない仲卸売場本体に対するものであったと認めるのが相当である。それゆえ、原告らの当該主張は失当である。 (五) 工具、器具、備品及び機械について(1) 原告らは、これらの動産のうち、石油ストーブ、クーラー、温風暖房器、分類機は、新市場移転当時全く使用不可能であり、サイバー防犯器は故障していた、と主張し、甲第九四号証には、「石油ストーブ、サンヨークーラー、温風機械はみな壊れており、使用不能であった。」との趣旨の発言の記載がある。 しかし、前記5冒頭に認定した事実、証人Jの証言及び被告C本人尋問の結果によれば、右対象物件についてはいずれも調査のうえ、耐用年数を経過してはいるが、現実に使用可能との判断をして補償をしたことが認められ、これに反する証拠はない。 また、検証の結果によれば、石油ストーブは一応本来の使用に供する状態で設置されていたことが認められる。 これらの事情を考慮すると、前記甲第九四号証の記載はそのまま信用することができず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。 原告らの主張のうち、分類機が使用不可能であったとの点、サイバー防犯器が故障していたとの点は、いずれもこれを認めるに足りる証拠がない。 (2) 原告らは、前記対象物件は、使用可能であるなら新市場においても使用可能であるから、移転すればよいというようである。 そこで検討するに、証人Jの証言及び検証の結果によれば、以下の事実が認められ、これに反する証拠はない。 (1) 冷暖房設備、サンヨークーラー、温風暖房器及び冷房器については、いずれも、屋外器と室内器とを配管する設備が必要であるところ、新市場では、躯体に穴をあけることが禁止されて に反する証拠はない。 (1) 冷暖房設備、サンヨークーラー、温風暖房器及び冷房器については、いずれも、屋外器と室内器とを配管する設備が必要であるところ、新市場では、躯体に穴をあけることが禁止されており、配管が不能となるので、新市場では使用することができないと判断された。 (2) プレハブ冷蔵庫、サイバー防犯器については、いずれも移転のための経費が簿価以上の価額となり、サイバー防犯器は配管設備を必要とするところ、(1)記載と同様新市場では躯体に穴があけられないため使用できないと判断された。 (3) 石油ストーブについては、煙突を屋外に出す構造であり、前記同様、新市場では躯体に穴をあけることが禁止されているため、煙突配管ができず、新市場では使用できないと判断された。 (4) 分類機は、日報作成のための集計機であるところ、新市場においては、取扱う産地、数量、品目等が増加して現実に使用ができなくなるために、新市場では使用できないと判断された。 (5) 看板は、被告市において、新市場での卸売業者三社の看板について規格を統一したため、不要と判断された。 (6) 荷受ボックスは、搬出するためには、除却、解体しなければならず、そのため結局のところ廃材となるので、移転により使用不可能となると判断された。 (7) バナナ加工室機械は、新市場内に移転設置する場所がなく、また移転するには移転経費が簿価以上となるため、移転により使用不可能と判断された。 右認定によれば、これらの対象物件は、いずれも新市場移転により使用不可能なものとなったと評価して差し支えない。 (3) 原告らは、そうとはいえ千葉青果において任意売却すれば足りるというが、被告市の施策としての新市場移転によって使用不可能な事態が生じたのであるから、被告市において廃棄損を評価して、その損失を補償し、被告市に所 、そうとはいえ千葉青果において任意売却すれば足りるというが、被告市の施策としての新市場移転によって使用不可能な事態が生じたのであるから、被告市において廃棄損を評価して、その損失を補償し、被告市に所有権を移転したうえで、売却使用可能なものは被告市において処分するのが、行政手法としても妥当な方法として是認できるところであると考える。 そうすると、これらについて違法という原告らの主張も理由がない。 (六) 電算機リース解除補償について前記三5の、事実、前掲甲第九八号証、乙第五号証、原本の存在及び成立に争いのない甲第一〇八号証の三、証人J、同Eの各証言及び被告C本人尋問の結果によれば、次の事実が認められ、他にこの認定を妨げるに足りる証拠はない。 千葉青果は、訴外住商リース株式会社からDECS650Mバースター一台、SRセパレーター 1803一台、メールーシーラー一台を、昭和五三年四月一日から、一か月のり-ス料七万円、リース期間六〇か月の約定で借り受けた。しかし、この機械では全国各地の出荷団体が利用している電算機との間でいわゆるオンライン化することが不可能であったため、千葉青果では電話あるいは郵便で産地との連絡をするという状況にあり、産地の出荷団体から千葉青果に対して電算機をオンライン化して欲しいとの要求が出されていた。このため千葉青果は、集荷の増加を図るため早急に電算機をオンライン化する必要があり、検討中であったところ、昭和五四年七月二六日の取締役会において、従来の電算機にMT処理機をつけると月にリース料に加え二〇万円の経費増となるため、新市場への移転を機会に、従来の電算機リース契約を解除し、東京中央青果株式会社と業務提携をして同社の電算機本体を利用すれば、経費は月に二〇万円と安く済むこともあって、これに対応する端末機を置くこととした。そこで住 機会に、従来の電算機リース契約を解除し、東京中央青果株式会社と業務提携をして同社の電算機本体を利用すれば、経費は月に二〇万円と安く済むこともあって、これに対応する端末機を置くこととした。そこで住商リースとのリース契約で約定された損害金が算出され、被告市から、補償金の一内容として電算機リース解除補償が行われた。 右事実によれば、電算機リース契約の解除は、産地団体の要請に応じて集荷の増加を図るためになされたものであり、前記四4に判示したとおり、千葉青果が産地からの集荷の増加を図ることには公益上の必要性が認められるのであるから、電算機リース解除補償は、補助金として支出されたものと認めるのが相当である。また、電算機リース解除補償は、新市場への移転を機会になされたもので、旧電算機のリース期間が前記のとおり六〇か月(昭和五八年三月三一日まで)であることからすれば、その市場移転に伴う移転経費の補償という側面も認められるのであるから、その支出が前記三8に判示したとおり「補償補填及び賠償金」の節からなされても、違法ではないというべきである。 (七) 備品修繕料補償について前掲甲第九八号証、証人Jの証言及び被告C本人尋問の結果によると、備品修繕料として補償されたものは、旧市場から新市場への移転に当たって、新市場の規模が旧市場より拡大したことによって必要となった備品等の改造費用であることが認められ、原告らがいうように、単に美観の点からの改装に過ぎないとはいえないので、これを移転についての損失補償の対象としたことも違法ではない。 6 手続違背の主張について原告らは、補償金の支出については法九六条一項一二号に準じて議会の議決が必要であると主張する。しかし、法九六条は、普通地方公共団体の議会が議決すべき事件を制限的に列挙したものと解釈すべきである。また、法九六条 補償金の支出については法九六条一項一二号に準じて議会の議決が必要であると主張する。しかし、法九六条は、普通地方公共団体の議会が議決すべき事件を制限的に列挙したものと解釈すべきである。また、法九六条一項一二号には、「法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること」と規定されているところ、損害賠償と損失補償との間における法的性質の差異に照らせば、右の規定を「損失補償の額を定めること」についても準用すべきであると解するのは相当でない。 したがって、原告らの右の主張は採用できない。 7 補償額の決定について原告らは、補償金の額は正常な取引価格を基準として定められるべきであるところ、本件にあっては千葉青果の資産台帳上の簿価が基準とされているので違法であると主張する。 前記三5、五5に判示したとおり、被告市は、補償金の額を決定するに当たって、千葉青果の資産台帳の記載に基づき取得価格と耐用年数を定めた上、減価償却資産の耐用年数等に関する省令に従い減価償却をして、その残存価格を算出し、その合計額をもって補償金の額と決定したものである。ところで、鑑定人千葉弥千雄の鑑定の結果によれば、取引価格を基準として補償対象物件の価格を評価する方法は、その根拠が買主の必要度などによって大きく左右されるため合理的なものということはできず、むしろ、取得価格を基準とし、定率法を用いた減価償却の方法による方が、物件の客観的価格を評価する方法としては合理性のある方法であると認めることができる。また、鑑定の結果によれば、バナナ加工室機械の評価額は、耐用年数を六年、償却率を〇・三一九として計算した場合、被告市が算出した評価額を下回ることが認められるが、、原本の存在及び成立に争いのない甲第一〇八号証の二四によれば、千葉青果は、この物件の耐用年数を八年と評価していたことを認めることが 計算した場合、被告市が算出した評価額を下回ることが認められるが、、原本の存在及び成立に争いのない甲第一〇八号証の二四によれば、千葉青果は、この物件の耐用年数を八年と評価していたことを認めることができ、耐用年数を八年とすれば、定率法による償却率が〇・二五〇となり、成立に争いない乙第一二号証によれば、このように評価する方法も前記大蔵省令の解釈としては許されていることが認められるので、右のような差が出たことをもって被告市の評価を違法であるということはできない。 したがって、簿価を基準として補償対象物件を評価した被告市の評価の手法に違法な点はなかったというべきである。 六本件支出の目的について 1 前掲甲第九七号証の二、第一〇八号証の三ないし六、同号証の一三、一九、二四、いずれも成立に争いのない甲第九二号証の一ないし四、第九三号証、第九九号証の一、二、第一〇一、第一〇二号証、第一一四、第一一五号証、いずれも原本の存在及び成立に争いのない甲第一〇八号証の一、二、七ないし一二、一四ないし一八、二〇ないし二三、二五ないし三八、証人Lの証言によって成立を認める甲第一〇九号証、弁論の全趣旨によっていずれも成立を認める甲第一一〇号証の一ないし一〇、証人Gの証言によっていずれも成立を認める甲第一一三号証、第一一六号証、原告M本人尋問の結果によって成立を認める甲第一二六号証、証人L、同E、同Gの各証言、被告C、同B、同Aの各本人尋問の結果によれば、次の事実が認められ、他にこの認定を妨げるに足りる証拠はない。 (一) 千葉青果は、昭和五〇年度に七七四万七二四五円の損失を出し、昭和五一年度には一二四万七四六一円の利益を出したものの、昭和五二年度には五二五八万三一九八円、昭和五三年度には四七八一万六一四二円、昭和五四年度には三四九〇万六五五二円の各損失を出していた 出し、昭和五一年度には一二四万七四六一円の利益を出したものの、昭和五二年度には五二五八万三一九八円、昭和五三年度には四七八一万六一四二円、昭和五四年度には三四九〇万六五五二円の各損失を出していた。 (二) 被告市は、中央卸売市場が市民生活に密着し、公益性の極めて強いものであったため、卸売業者の経営の安定を図り、産地に対する信用度を確保すべく、昭和三六年七月千葉青果に出資してその株主となり、昭和五八年三月三一日現在では発行済株式総数三二万株のうち、四万株を有する株主であって、被告市の収入役を順次千葉青果の監査役に就任させていたほか、中央卸売市場の開設者として、中央卸売市場長を通じて千葉青果の経営状況について報告を受け、取扱数量については月例報告を受けるなどして、その経営上の指導監督をしていた。 (三) 千葉青果は、昭和五〇年三月ころはその取扱高が、中央卸売市場の卸売業者としては全国でも最低であったため、新市場へ移転して旧来より高額の市場手数料を支払うためには取扱高の増加を図らなくてはならない状況にあった。そのため、千葉青果は、設備投資をしなり、産地対策として、産地の出荷団体から青果物販売委託の指定を増やすことなどに努めたが、それだけでは未だ十分でなく、昭和五三年四月には東京中央青果株式会社との間で技術提携をして、産地の出荷団体からの販売委託指定を増やし、取扱高の増加を図った結果、取扱高が昭和五三年度には九一億六一一二万七〇〇〇円、昭和五四年度には九六億七三二五万三〇〇〇円となり、昭和五二年度の七一億四七五二万三八六〇円に比較して約二〇億円増加するに至った。 しかしながら、この提携に伴い、役員が増えたことによる役員手当の増加、運搬費の増加、売上値引、雑損失の増加等によって、経費もまた急増した。そして、野菜価格の低迷、売れ残り品による損金の に至った。 しかしながら、この提携に伴い、役員が増えたことによる役員手当の増加、運搬費の増加、売上値引、雑損失の増加等によって、経費もまた急増した。そして、野菜価格の低迷、売れ残り品による損金の発生、引取運賃の増加等を主な原因として、昭和五四年六月末に、千葉青果では純資産が六六〇万円となって卸売市場法所定の純資産基準額二二〇〇万円を下回る事態となった。被告市は、この事実を同年七月に同社からの報告によって知り、純資産基準額への回復のために企業努カをするよう指導したが、同年九月末日には純資産額が六六四万円となって卸売市場法所走の純資産基準額を下回ってしまったため、そのころ農水省から経営改善に留意するようにとの改善命令を口頭で受けた。そのため、千葉青果は、改善計画を策定して、被告市にその計画書を提出し、被告市は、昭和五五年二月千葉青果の改善計画書に基づいて、その旨を農水省に報告した。その改善内容は、(1)資本金の増加(2)固定資産の売却による売却収入の獲得 (3)取扱高の増加 (4)諸経費の節減を骨子とし、昭和五五年九月末日までには純資産基準額を確保するように努めるというものであった。農水省は、同年三月一七日付けの書面で、千葉青果の策定に係る右の改善計画を了承した。 (四) この改善計画に基づいて、千葉青果は、昭和五五年二月二六日増資に係る四〇〇〇万円の新株払込を受け、同月二七日その登記を完了した。また、千葉青果は、同月二〇〇千葉市<地名略>所在の土地建物を四〇〇〇万円で売却し、仲介手数料七八〇万七一三一円を控除した三二一九万二八六九円を売却利益として同年三月二二日までに取得した。 (五) そして、千葉青果は、同月二九日被告市から、本件支出に当たる入場交付金、補償金として合計三一九二万九六〇六円の支払を受けた。 その結果、昭和五五年三月三 として同年三月二二日までに取得した。 (五) そして、千葉青果は、同月二九日被告市から、本件支出に当たる入場交付金、補償金として合計三一九二万九六〇六円の支払を受けた。 その結果、昭和五五年三月三一日における千葉青果の純資産額は、三一〇四万五〇六四円となった。 2 前記三3、4で確認した事実及び前項で認定した事実によれば、被告市が千葉青果から卸売市場法所定の純資産基準額割れの事実について報告を受けた時期と、千葉青果が被告市に対して補償の請求をした時期とがほぼ一致し、被告市が千葉青果に対して補償の基本方針を決定した時期と、被告市が農水省から改善命令を受けた時期とがほぼ一致している。そして、卸売市場規則六条の規定によれば、千葉青果が農林水産大臣に対して純資産額を報告すべき期限は昭和五五年三月三一日であったところ、この直前である同年二月から三月にかけて、千葉青果が増資と固定資産の売却を行い、被告市が本件支出をして、同年三月三一日における千葉青果の純資産額が三一〇四万五〇六四円となった。 したがって、右のような事情に照らせば、本件支出は、千葉青果の純資産基準額を回復することを目的として行われたという側面を有するものであったと認めるのが相当であり、また、被告市は、千葉青果の株主及び千葉市中央卸売市場の開設者として、右のような目的の下に本件支出を行うものであることを知っていたものと推認することができる。 しかしながら、前項(三)ないし(五)に判示したとおり、本件支出は、いずれも千葉青果が新市場へ移転する上で必要なものであり、かつ、法律上の根拠を持つものであって、その主たる目的は新市場への移転のためになされたものというべきである。本件においては、千葉青果が新市場へ移転する時期と千葉青果が卸売市場法所定の純資産基準額を割った時期とがたまたま一致したため って、その主たる目的は新市場への移転のためになされたものというべきである。本件においては、千葉青果が新市場へ移転する時期と千葉青果が卸売市場法所定の純資産基準額を割った時期とがたまたま一致したために、新市場への移転に際して支払われた本件支出が卸売市場法所定の純資産基準額の回復のために利用されることになったものとみるのが相当であり、被告市が、前記のような目的を知りながら本件支出をしたのであっても、これをもって違法と評価することはできないものというべきである。 七そうすると、原告らの被告市を除くその余の被告らに対する請求は、その他の点につき判断するまでもなく、いずれも理由がない。また、原告らの被告市に対する請求も、法二四二条の二第七項所定の「訴訟を提起した者が勝訴した場合」との要件を充たしていないから、いまだ請求権を取得するに至っていないものというべきであり、理由がない。 よって、原告らの被告らに対する請求をいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

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