平成25(行ウ)735 不動産取得税賦課処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年12月12日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文21,753 文字)

平成26年12月12日判決言渡平成25年(行ウ)第735号不動産取得税賦課処分取消請求事件 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求東京都港都税事務所長が原告に対して平成25年3月7日付けでした別紙物件目録記載2の土地の取得に係る不動産取得税賦課処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 原告は,αβ地区市街地再開発事業(以下「本件再開発事業」という。)の施行者であるαβ地区市街地再開発組合(以下「本件組合」という。)の参加組合員であったところ,東京都港都税事務所長(以下「処分行政庁」という。)は,原告に対し,原告が別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)のうち同目録記載2の共有持分(以下「本件共有持分」という。)を権利変換期日において取得したとして,平成25年3月7日付け不動産取得税賦課処分(以下「本件処分」という。)をした。 本件は,原告が,本件処分に先だって行われた権利変換計画の変更の認可により,原告は参加組合員としての地位を失い,新たに参加組合員となったA株式会社(以下「A社」という。)が権利変換期日において本件土地の共有持分を原始取得していたから,原告は当初より本件共有持分を取得していないと主張して,被告に対し,本件処分の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め別紙関係法令等の定めのとおり。 3 前提事実(当事者間に争いがないか,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実) (1) 本件再開発事業の権利変換計画と参加組合員の地位の承継等ア本件組合は,平成19年5月10日,設立を認可され,原告は,定款の定めにより,本件組合の参加組合員となった。(甲3,乙7)イ東京都知事は,平成20年6月 変換計画と参加組合員の地位の承継等ア本件組合は,平成19年5月10日,設立を認可され,原告は,定款の定めにより,本件組合の参加組合員となった。(甲3,乙7)イ東京都知事は,平成20年6月10日,本件組合に対し,本件再開発事業に係る権利変換計画を,都市再開発法72条1項に基づき認可した。上記権利変換計画では,本件組合の参加組合員である原告に対し,保留床(権利変換手続により,従前の関係権利者に従前有していた権利に対応する新たな「建築施設の部分」(都市再開発法2条10号。施設建築物の一部及び施設建築敷地の共有持分)を与えても,なお残る余剰の床をいう。以下同じ。)が付与されることとされ,原告に付与される保留床のうち施設建築敷地の共有持分は100万分の66万4244(本件共有持分)とされ,権利変換期日は,同法86条1項による権利変換計画の認可を受けた旨の公告の日から起算して15日目,すなわち平成20年6月24日とされた。 (甲4の1,乙12)ウ本件土地については,平成20年8月11日,同年6月24日都市再開発法による権利変換を原因として,共有者につき所有権保存登記が経由され,このうち,原告が取得する施設建築敷地については,本件土地の共有持分100万分の66万4244(本件共有持分)を原告が有する旨の登記がされた。(甲2・1,4頁)エ原告,A社,本件組合は,平成21年7月11日,停止条件付き参加組合員地位承継協定書(以下「本件協定書①」という。)を作成し,(ア)本件組合の事業資金の借入先が変更事業計画について同意すること,(イ)本件組合の総会が変更定款及び変更事業計画についての承認をすること,(ウ)東京都知事が変更定款及び変更事業計画について認可することを停止条件として,原告がA社に対し,本件再開発事業における本件組合の参加 組合の総会が変更定款及び変更事業計画についての承認をすること,(ウ)東京都知事が変更定款及び変更事業計画について認可することを停止条件として,原告がA社に対し,本件再開発事業における本件組合の参加組合員たる地位を承継する旨を合意した。(乙7) オ東京都知事は,平成21年10月29日,本件組合の定款及び本件再開発事業に係る事業計画の変更を,都市再開発法38条1項に基づき認可した。この事業計画の変更に際しては,本件再開発事業において建築が予定される施設建築物の設計がし直された。(甲4の2,6の2,乙4)カ東京都知事は,平成22年1月19日,本件再開発事業に係る権利変換計画の変更を,都市再開発法72条4項に基づき認可した。変更後の権利変換計画においては,施設建築敷地の共有持分を与えられる者の大多数についてその共有持分が変更されるとともに,本件組合の参加組合員であるA社に対し,保留床である施設建築物の一部及び施設建築敷地の共有持分(100万分の62万6944)を付与することとされたが,権利変換期日については,変更はなく,平成20年6月24日のままとされた。(甲6の1,乙12)キ本件土地については,平成22年2月1日,上記ウの所有権保存登記の付記登記として,同年1月19日都市再開発法による権利変換計画の変更を原因として,共有者につき所有権保存登記の更正登記が経由され,このうち,A社が取得する施設建築敷地については,本件土地の共有持分100万分の62万6944を同社が有する旨の登記がされた。(甲2・5,8頁)(2) 本件処分の経過等ア処分行政庁は,原告について上記(1)ウのとおり本件共有持分につき所有権保存登記が経由されたことを受け,原告に対し,平成25年3月7日,本件共有持分の取得につき,原告を納税義務者として 経過等ア処分行政庁は,原告について上記(1)ウのとおり本件共有持分につき所有権保存登記が経由されたことを受け,原告に対し,平成25年3月7日,本件共有持分の取得につき,原告を納税義務者として,次のとおり不動産取得税賦課処分(本件処分)をし,納税通知書を送付した。(甲1の1及び2,乙6)課税標準額 1,326,087,000円税額 39,782,600円 減税額 196,100円納付税額 39,586,500円納期限平成25年4月1日イまた,処分行政庁は,A社について上記(1)キのとおり本件土地の100万分の62万6944につき所有権保存登記の更正登記が経由されたことを受け,同社に対し,上記共有持分の取得につき,不動産取得税の賦課処分をした。(弁論の全趣旨(被告準備書面(2)))(3) 本件処分後の事情ア原告は,平成25年3月7日,本件処分及びこれに基づく納税通知を受けたため,納期限である平成25年4月1日,本件共有持分の取得に係る不動産取得税として3958万6500円を納付した。(甲1の1ないし3)イ原告は,平成25年4月22日,東京都知事に対し,本件処分につき審査請求をし,東京都知事は,同年9月30日,上記審査請求を棄却する旨の裁決をした。(甲8)ウ原告は,平成25年11月21日,本件訴訟を提起した。(顕著な事実) 4 争点及び争点についての当事者の主張地方税法73条の2第1項は,不動産取得税は,不動産の取得に対し,当該不動産所在の道府県において,当該不動産の取得者に課する旨規定している。 本件の争点は,原告が,本件共有持分について,同項の「不動産の取得者」に当たるかである。 (被告の主張の要旨)(1) 「不動産の 所在の道府県において,当該不動産の取得者に課する旨規定している。 本件の争点は,原告が,本件共有持分について,同項の「不動産の取得者」に当たるかである。 (被告の主張の要旨)(1) 「不動産の取得」の意義について不動産取得税は,いわゆる流通税に属し,不動産の移転という事実自体に着目して課せられるのをその本質とするものであり,地方税法73条の2第1項にいう「不動産の取得」とは,所有権の得喪に関する法律効果の側面か らではなく,その経過的事実に即してとらえた不動産所有権の取得の事実をいうものである(最高裁昭和48年11月2日判決・集民110号385頁)。 本件では,原告が平成20年6月24日の権利変換期日に本件共有持分を取得したという経過的事実があることは明らかであり,この事実は,権利変換計画の変更によって遡って存在しなかったことにはならない。 (2) 権利変換計画の変更の効果について権利変換による権利取得は原始取得であると解されているものの,権利変換がされた後に権利変換計画の変更がされた場合の権利関係については,都市再開発法上,これを明確に定めた規定はない。当初の権利変換計画の認可に係る法律効果を全て取り消し,改めて変更後の権利関係が当初の権利変換期日から生じていたものとする効果を生じさせるものであると解した場合,例えば権利変換期日後に設立された法人が新たな参加組合員になった場合等不都合が生じる事例が想定されるが,都市再開発法上,係る事例につき立法的手当はされていない。認可は,私人間で締結された契約,合同行為等の法律行為を補充してその法律効果を完成させる行為であるから,権利変換計画の変更の認可についても,当初の権利変換計画を全て取り消して改めて変更後の権利関係が当初の権利変換期日から生じていたとする効果を生じさせ を補充してその法律効果を完成させる行為であるから,権利変換計画の変更の認可についても,当初の権利変換計画を全て取り消して改めて変更後の権利関係が当初の権利変換期日から生じていたとする効果を生じさせるものではなく,当初の権利変換計画から変更された部分についてのみ新たに法律効果を完成させるものと解すべきである。 (3) 地位承継協定について参加組合員の地位を承継するという契約においては,従前の参加組合員が権利変換の結果取得した土地の所有権についても,新たな参加組合員に承継させることがその合意内容に当然に含まれているものと解される。本件では,原告が,権利変換期日(平成20年6月24日)において,本件共有持分を取得した後,A社が,原告から参加組合員の地位を承継し,権利変換計画の変更認可がされたことに伴い,原告から本件共有持分を承継取得したもので ある。これは,本件組合とA社との間の平成21年12月24日付け参加組合員契約(乙9)において,本件共有持分に係る原告の所有権をA社に移転(変更)すること等が停止条件とされていることからも明らかである。 仮に,都市再開発法の規定により,平成22年1月19日に本件再開発事業に係る権利変換計画の変更認可がされたことによって,同日,A社が本件共有持分を取得したとしても,原告が,権利変換期日(平成20年6月24日)において,本件共有持分を取得したという経過的事実が存在することには何ら変わりがない。 また,仮に,A社が本件共有持分を原始取得したとしても,その原始取得は,本件再開発事業に係る定款及び事業計画の変更認可により参加組合員の地位が原告からA社に承継され,権利変換計画の変更の認可がされたことによるものであり,原告が,権利変換期日(平成20年6月24日)において,本件共有持分を取得したとい 画の変更認可により参加組合員の地位が原告からA社に承継され,権利変換計画の変更の認可がされたことによるものであり,原告が,権利変換期日(平成20年6月24日)において,本件共有持分を取得したという経過的事実が覆滅されるものではない。原告は,平成21年7月11日を登記原因日として,本件共有持分につき,参加組合員負担金の不払の場合に本件共有持分を代物弁済する旨の代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権仮登記をしていることからも,同日時点において,本件共有持分の所有権が原告にあり,A社にはなかったことが明らかである。 (4) 原告の主張についてア原告は,不動産登記簿上,平成22年2月1日付けの更正登記により,原告の所有権保存登記が付記登記により抹消された上,A社の所有権保存登記がされている点から,原告が権利取得をしていない旨主張する。 しかしながら,不動産登記は,不動産所有権の得喪及び変更の対抗要件に過ぎず,不動産所有権取得の有無や実際の取得日については,登記を基準としてではなく,実際の契約等の法律関係に即して判断すべきである。 更正登記は,登記事項に錯誤又は遺漏があった場合に当該登記事項を訂 正する登記であるところ(不動産登記法2条16号),本件は,変更前の権利変換計画に錯誤又は遺漏があったわけではなく,事後的に生じた権利変換計画の変更によるものであることが明らかである。都市再開発事業に係る不動産登記は特殊登記として位置付けられており,通常の登記手続とは異なる構造を有するものであり,権利変換計画の変更に関する登記の記載方法については,法律上特段の規定が置かれていないことから,現に法律に規定のある登記方法のうちどの方法が最も便宜にかなうかという観点から,便宜的に更正登記が用いられたにすぎず,必ずしも実体関係と合致する ついては,法律上特段の規定が置かれていないことから,現に法律に規定のある登記方法のうちどの方法が最も便宜にかなうかという観点から,便宜的に更正登記が用いられたにすぎず,必ずしも実体関係と合致するものではない。 イ原告は,施設建築物が存在しない段階で,確定的に保留床(本件共有持分を含む)を取得しないこととなった以上,敷地となるべき本件共有持分の取得のみを有効として扱うのは相当でない旨主張する。 しかしながら,権利変換期日においては,施設建築物は未だ存在しないから,権利変換計画上の施設建築物の一部が与えられるように定められていた者は,施設建築物の一部に対応する土地の共有持分のみを現実に取得するにとどまるが,権利変換期日において取得した施設建築敷地の共有持分を施設建築物完成前に第三者に譲渡することは妨げられず,施設建築物は,完成の時点における施設建築敷地の共有持分を所有する者に対して与えられることになる(都市再開発法111条,88条2項)。また,原告は,A社に対して権利変換計画変更後の施設建築物を前提に権利床を譲渡しているから,保留床についてのみ施設建築敷地の共有持分の譲渡を否定するのは矛盾する。したがって,本件共有持分の取得を単独で不動産の取得として取り扱うことができない旨の上記原告の主張は理由がない。 ウ原告は,地上権設定型(将来建設される施設建築物を所有するための土地について,建物が完成するまでの間地上権が設定されたものとして扱う方法)では,不動産取得税が課税されないのに対し,地上権非設定型(本 件のように土地の共有持分を設定したものとして扱う方法)では,その課税があるとすると不均衡である旨主張する。 この点,地上権設定型は,従前の土地所有者について共有持分を設定しないことから権利の保持が不安定になるというデ 設定したものとして扱う方法)では,その課税があるとすると不均衡である旨主張する。 この点,地上権設定型は,従前の土地所有者について共有持分を設定しないことから権利の保持が不安定になるというデメリットがあるものの,不動産取得税が課税されないというメリットがある。これに対し,地上権非設定型は,従前の土地所有者について共有持分が設定されることにより権利の保持が重視され,リスクが軽減させるというメリットがあるものの,不動産取得税が課税されるというデメリットがあるものであり,都市再開発法上,どちらの手法を採用するかは再開発組合の判断に委ねられているのであるから,両者の課税上の差違をもって,課税要件の判断が左右されるものではない。 (5) 以上によれば,原告は,地方税法73条の2第1項の「不動産の取得者」に当たる。 (原告の主張の要旨)(1) 「不動産の取得」の意義について最高裁昭和48年11月2日判決・集民110号385頁は,不動産の所有権が移転した事案について,譲受人へ所有権が移転している以上,それが合意によるものであろうと解除に基づくものであろうと「不動産の取得」に当たると判断したものであるから,その射程は,本件のような原始取得の場合には及ばない。 (2) 権利変換計画の変更の効果について都市再開発法上,権利変換期日に,権利変換計画の定めるところに従って権利の得喪変更が生じるが(同法73条1項17号,87条1項),かかる権利変換は,従前の権利者から新たな権利者に対する権利の移転ではなく,原始取得である。原告は,本件組合の参加組合員として,一旦は,変更前の権利変換計画において建築される施設建築物の保留床(本件共有持分を含む) に関する権利を取得することとなったが,権利変換計画の変更の認可により,参加組合員 の参加組合員として,一旦は,変更前の権利変換計画において建築される施設建築物の保留床(本件共有持分を含む) に関する権利を取得することとなったが,権利変換計画の変更の認可により,参加組合員の地位を失い,新たな参加組合員であるA社が本件土地の共有持分を権利変換期日(平成20年6月24日)において原始取得した。 A社が平成20年6月24日付けで本件土地の共有持分を原始取得した以上,同一不動産につき同日付けで原告が所有権を取得することはない。権利変換計画の変更の認可は,変更前の権利変換計画の認可処分を取り消し,改めて変更後の権利変換計画について認可することであり,権利変換計画の変更の認可によって,変更前の権利変換計画は遡及的に効力を失い,変更後の権利変換計画の内容に従って権利変換期日に権利の得喪が生じることになるから,変更前の権利変更計画により原告が取得することとされた本件共有持分は,上書きされ,法的になかったものとみなされる。 (3) 地位承継協定について原告とA社との間では,本件組合の参加組合員の地位を承継する旨の合意をしたが,何らの対価の支払はなく,保留床(本件共有持分を含む)につき所有権移転の合意はしていないから,A社による本件共有持分の取得は,原告からの承継取得ではなく,原始取得である。 (4) 原告による不動産の取得を認めるべきではないその他の理由についてア不動産登記簿上,原告は,本件共有持分につき,所有権保存登記を経由したが,これは権利変換計画が認可された場合には土地についての必要な登記を遅滞なくすることが義務付けられているからであり(都市再開発法90条),これは,保留床取得予定者につき,施設建築物が完成するまでの間の権利保護を目的としたものにすぎない。そして,その後,上記所有権保存登記は,付記登記 務付けられているからであり(都市再開発法90条),これは,保留床取得予定者につき,施設建築物が完成するまでの間の権利保護を目的としたものにすぎない。そして,その後,上記所有権保存登記は,付記登記により,平成22年2月1日付け更正登記で抹消され,新たな参加組合員であるA社による所有権保存登記が経由されている。更正登記とは,原始的な実体との不一致を正すためのものであるとの特質に照らし,当初から更正された内容での有効な登記としてその効力を 有していたものと扱われるものであり,上記更正登記による所有権保存登記の抹消とA社による所有権保存登記は,平成22年2月1日時点での権利変動を登記したものではなく,当初の権利変換期日(平成20年6月24日)における権利の内容を遡及して更正したものである。 この登記の内容は,本件共有持分につき,A社が権利変換計画に基づき原始取得し,原告が権利取得をしていないことを示すものである。 イ都市再開発法に基づく第一種再開発事業における保留床取得予定者の施設建築物の敷地となるべき土地の共有持分の取得(同法87条,111条)は,保留床を取得する権利と一体のものであるから,本来,施設建築物の建築後に当該施設建築物の区分所有権と同時に取得すべき権利である。しかし,本件においては,権利変換計画の変更により,施設建築物が存在しない段階で,原告は,確定的に保留床(本件共有持分を含む)を取得しないこととなった以上,敷地となるべき本件共有持分の権利取得のみを有効として扱うのは相当ではない。 ウ都市再開発法上,地上権設定型と地上権非設定型とがあり,実際の運用では,地上権非設定型が用いられることが多いが,両者は法技術の違いしかないにもかかわらず,本件において,地上権設定型であれば土地の共有持分を取得したとして不動産取得 上権非設定型とがあり,実際の運用では,地上権非設定型が用いられることが多いが,両者は法技術の違いしかないにもかかわらず,本件において,地上権設定型であれば土地の共有持分を取得したとして不動産取得税を課税されないのに対し,地上権非設定型であれば不動産取得税を課税されるというのは不均衡である。 (5) 以上によれば,原告は,地方税法73条の2第1項の「不動産の取得者」に当たらない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実,争いのない事実,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 原告の本件再開発事業への参加 ア本件再開発事業は,平成14年頃から計画が開始され,原告は,本件組合の定款により,本件組合に参加組合員となることが定められた(甲3,10)。 イ本件組合及び原告は,平成20年2月28日,本件再開発事業において,本件組合の定款10条により原告に与えられる建築施設の部分(保留床)等に関し,参加組合員契約書を作成し,参加組合員契約(以下「本件参加組合員契約」という。)を締結した。 上記契約書では,原告が取得する保留床等の概要が定められるとともに(1条),原告が本件組合に納付すべき負担金の概算額は合計150億8140万1000円(消費税込み)であること,負担金の納付時期及び納付額は,都市再開発法96条に定める土地の明け渡し完了後,施設建築物工事着工日までの間で,本件組合からの請求に基づく2週間以内に総額の約32%を支払い,同法101条に規定する施設建築物に関する登記申請時までに残額を支払うこと等が合意された。(甲11)ウ東京都知事は,平成20年6月10日,本件組合に対し,本件再開発事業に係る権利変換計画を,都市再開発法72条の1項に基づき認可した。 上記権利変換計画では,① 払うこと等が合意された。(甲11)ウ東京都知事は,平成20年6月10日,本件組合に対し,本件再開発事業に係る権利変換計画を,都市再開発法72条の1項に基づき認可した。 上記権利変換計画では,①施設建築物は,延床面積約35,100㎡,地下3階地上28階(塔屋1階)とされ,②本件組合の参加組合員である原告に対し,保留床である施設建築物の一部及び施設建築敷地の共有持分(100万分の66万4244。本件共有持分)が付与することとされ,③権利変換期日は同法86条1項による権利変換計画の認可を受けた旨の公告の日から起算して15日目,すなわち平成20年6月24日とされた。(甲4の1及び2,乙12)エ平成20年8月11日,同年6月24日都市再開発法による権利変換を原因として,本件土地につき,本件組合ほかの共有者につき所有権保存登記が経由され,本件土地の共有持分100万分の66万4244(本件共 有持分)につき原告名義で所有権保存登記が経由された。(前提事実(1)ウ)(2) 参加組合員の地位の承継等ア原告は,本件再開発事業において,高級でデザイン性に優れた賃貸事業のノウハウを生かし,取得予定の権利床や保留床を高級賃貸マンションとして長期保有して運営する計画であったが,平成20年9月のいわゆるリーマン・ショック以降,本件再開発事業を巡る環境が激変し,市況が冷え込み,その回復の見込みが立たない中で,本件再開発事業への参加を継続することは困難であると判断し,原告が本件組合の参加組合員の地位を脱退し,A社にその後の本件再開発事業の推進を委ねることとした。(甲10,弁論の全趣旨(原告準備書面(6)))イ本件組合,原告,A社は,平成21年7月11日,停止条件付き参加組合員地位承継協定書(本件協定書①)を作成し,(ア)本件組合の事業 ることとした。(甲10,弁論の全趣旨(原告準備書面(6)))イ本件組合,原告,A社は,平成21年7月11日,停止条件付き参加組合員地位承継協定書(本件協定書①)を作成し,(ア)本件組合の事業資金の借入先が変更事業計画について同意すること,(イ)本件組合の総会が変更定款及び変更事業計画についての承認をすること,(ウ)東京都知事が変更定款及び変更事業計画について認可することを停止条件として,原告がA社に対し,本件再開発事業における本件組合の参加組合員たる地位を承継することを合意した。 また,本件協定書①においては,(a)本件組合と原告は,原告の取得床に対応する土地持分に対し,参加組合員負担金の不払につき,土地持分を代物弁済する旨の代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権仮登記をすること(3条2項),(b)本件組合,原告及びA社は,変更事業計画案を作成し,その内容が決定した後,本件組合とA社は,A社が原告の地位を承継したことを前提として参加組合員契約を締結すること(5条1項,3項),(c)本件組合は,権利変換計画の変更認可後速やかに権利変換計画の変更を原因とした都市再開発法90条の登記を行い,保留床部分にかかる 土地の名義をA社のものとすること(6条)等が合意された。(乙7)ウその後,本件協定書①の(ア)及び(イ)の条件が成就したため,本件組合,原告,A社は,平成21年9月5日,停止条件付き参加協定書(以下「本件協定書②」という。)を作成し,本件協定書①の(ウ)を停止条件として,A社が原告の参加組合員としての地位を承継し,本件組合の新たな参加組合員として参加することを合意した。 また,本件協定書②においては,(a)本件組合からA社が取得する施設建築敷地の共有持分及び施設建築物の一部に関する権利(A社の保留床)の概要 組合の新たな参加組合員として参加することを合意した。 また,本件協定書②においては,(a)本件組合からA社が取得する施設建築敷地の共有持分及び施設建築物の一部に関する権利(A社の保留床)の概要は,施設建築敷地の共有持分は,対象面積約3199㎡であるが,後日策定される権利変換計画に定めるところによること(2条),(b)A社が取得する保留床に係る負担金の概算額は約123億円(消費税込み)を予定すること,A社は本件組合に対して負担金を支払うこと,本件組合はA社に対して都市再開発法100条の公告後速やかに保留床を引き渡すこと(3条),(c)本件組合は,本件協定書①の3条2項等に基づき,原告の参加組合員としての取得床に対応する土地持分に対し,原告の参加組合員負担金を不払の場合に同土地持分を代物弁済する旨の代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権仮登記を行うこと(5条)等が合意された。 (乙8)エ平成21年10月8日,原告は本件組合に対し,同年7月11日代物弁済予約を原因として,本件共有持分につき,持分一部移転請求権仮登記を経由した。(甲2・11頁)オ東京都知事は,平成21年10月29日,本件組合の定款及び本件再開発事業に係る事業計画の変更を,都市再開発法38条1項に基づき認可し,これにより,本件協定書②の停止条件が成就した。(乙4,8)カ本件組合及びA社は,平成21年12月24日,参加組合員契約書を作成し,変更後の権利変換計画によりA社に与えられる施設建築物の一部及 びそれに対応する施設建築敷地の持分に関し,本件組合が当該施設建築敷地の持分の原告の所有権をA社名義に移転(変更)すること及び同土地の持分の所有権移転請求権仮登記を抹消することを停止条件として,A社が本件組合の参加組合員となることを合意した。 また,同契 建築敷地の持分の原告の所有権をA社名義に移転(変更)すること及び同土地の持分の所有権移転請求権仮登記を抹消することを停止条件として,A社が本件組合の参加組合員となることを合意した。 また,同契約書においては,(a)A社の取得床の概要として,施設建築敷地の共有持分は100万分の62万6593であること(1条),(b)A社が本件組合に納付すべき負担金の概算額は120億5954万5000円(消費税込み)であること(2条),(c)本件組合は,都市再開発法100条の工事完了公告の後,保留床をA社に引き渡すこと(6条),(d)保留床にかかわる所有権の保存登記手続は,本件組合が都市再開発法90条1項,101条1項により行うこと(7条)等が合意された。(乙9)キ原告は,保留床のほか,権利床(施設建築敷地たる本件土地の共有持分100万分の13万8725を含む)を有していたところ,A社に対し,平成21年12月24日,上記権利床を代金合計45億8695万9438円(消費税込み)として原告がA社に対して譲渡する旨の合意をした。 (乙11)ク東京都知事は,平成22年1月19日,本件再開発事業に係る権利変換計画の変更を,都市再開発法72条4項に基づき認可した。変更後の権利変換計画においては,①施設建築物は,延床面積約33,750㎡,地下2階地上27階(塔屋1階)とされ,②本件組合の参加組合員であるA社に対し,保留床である施設建築物の一部及び施設建築敷地の共有持分(100万分の62万6944)を付与することとされたが,③権利変換期日については,変更はなく,平成20年6月24日のままとされた。(甲6の1及び2,乙12)(3) 平成22年2月1日の登記ア平成22年2月1日,上記(1)エの所有権保存登記の付記登記として,同 年1月19日 平成20年6月24日のままとされた。(甲6の1及び2,乙12)(3) 平成22年2月1日の登記ア平成22年2月1日,上記(1)エの所有権保存登記の付記登記として,同 年1月19日都市再開発法による権利変換計画の変更を原因として,本件土地につき本件組合ほかの共有者につき所有権保存登記の更正登記が経由され,本件土地の共有持分100万分の62万6944につきA社名義で所有権保存登記の更正登記が経由された。(前提事実(1)キ)イ平成22年2月1日,本件組合は,同日合意解除を原因として,上記(2)ウの持分一部移転請求権仮登記につき抹消登記を経由した。(甲2・12頁)ウ平成22年2月1日,原告は,A社に対し,同日売買を原因として,本件土地の100万分の28802及び100万分の109923(権利床)につき,所有権移転登記を経由した。(甲2・12頁)(4) A社に対する不動産取得税の課税上記(3)アのとおり,平成22年1月19日都市再開発法による権利変換計画の変更を原因として本件土地の100万分の62万6944につきA社名義で所有権保存登記の更正登記が経由されたことを受け,処分行政庁は,A社に対し,上記共有持分の取得につき,取得年月日を平成22年1月19日として不動産取得税を課税した。(弁論の全趣旨(被告準備書面(2))) 2 争点(原告は,地方税法73条の2第1項の「不動産の取得者」に当たるか)について(1) 地方税法73条の2第1項の「不動産の取得」について地方税法73条の2第1項にいう「不動産の取得」とは,他に特段の規定がない以上,不動産所有権の取得を意味するものと解するのが相当であり,その取得が認められる以上,取得原因のいかんを問わないものと解すべきである(最高裁昭和45年10月23日・集民101号 特段の規定がない以上,不動産所有権の取得を意味するものと解するのが相当であり,その取得が認められる以上,取得原因のいかんを問わないものと解すべきである(最高裁昭和45年10月23日・集民101号163頁参照)。 また,不動産取得税は,不動産の取得者が当該不動産により取得しあるいは将来取得するであろう利益に着目して課されるものではなく,不動産の移転という事実自体に着目して課せられるのをその本質とするものであること に照らすと,同項にいう「不動産の取得」とは,所有権の得喪に関する法律効果の側面からではなく,その経過的事実に則してとらえた不動産所有権取得の事実をいうと解され(最高裁昭和48年11月2日・集民110号399頁参照),取得の原因となった法律行為が取消し,解除等によって覆されたかどうかにかかわりがないと解するのが相当である(最高裁平成14年12月17日判決・集民208号581頁参照)。 上記と異なる原告の主張は,採用することができない。 (2) 権利変換計画及びその変更による共有持分の取得態様ア市街地再開発事業の施行者は,権利変換計画を定める(都市再開発法72条1項)。権利変換計画においては,参加組合員に与えられることとなる建築施設の部分(同法2条10号)の明細等を定めるほか,権利変換期日などを定める(同法73条1項13号,17号,111条)。そして,施行地区内の土地は,権利変換期日において,権利変換計画の定めるところに従い,新たな所有者となるべき者に帰属するとされる(同法87条1項)。また,この権利変換によって,従前の土地は,物理的に滅失するわけではないが,従前の土地と施設建築敷地などの再開発後の土地とは,不動産登記簿上は全く別の土地となると観念されている(同法90条1項参照)。以上のような規定等に照らすと, 土地は,物理的に滅失するわけではないが,従前の土地と施設建築敷地などの再開発後の土地とは,不動産登記簿上は全く別の土地となると観念されている(同法90条1項参照)。以上のような規定等に照らすと,参加組合員は,同法87条1項に基づき,施設建築敷地の共有持分を,権利変換期日において原始取得するものと解するのが相当である。 イまた,施行者は,一旦作成して都道府県知事の認可を得た権利変換計画を,事後的に変更することができる(同法72条4項)。この変更において,施設建築敷地の共有持分を与えられる者(参加組合員を含む)やその共有持分割合が変更された場合,その者の共有持分の取得態様がいかなるものとなるかについては,明文の準用規定はないが(なお,同法72条4項,83条5項,86条1項,86条の2参照),少なくとも,施設建築 物の設計変更がされて施設建築敷地の共有持分を与えられる者の大多数についてその共有持分が変更されるような場合においては,権利変換手続が既存の錯綜した権利関係を整序して新しい権利関係を創造するという性格を有し,権利関係について集団的な処理を行うことが簡明であると考えられるから,同法87条1項の規定が準用され,変更後の権利変換計画の定めるところに従い,新たに所有者となるべき者が施設建築敷地の共有持分を権利変換期日において原始取得するものと解するのが相当である。 (3) 本件における検討ア上記前提事実(1)によれば,本件再開発事業における変更前の権利変換計画では,原告は,本件組合の参加組合員として,建築施設の部分(本件共有持分を含む)を与えられることとされ,平成20年6月10日に上記変更前の権利変換計画が認可されたことが認められ,これにより,原告は,権利変換期日(平成20年6月24日)において,本件共有持分を原始取 分を含む)を与えられることとされ,平成20年6月10日に上記変更前の権利変換計画が認可されたことが認められ,これにより,原告は,権利変換期日(平成20年6月24日)において,本件共有持分を原始取得したものということができる。 もっとも,上記前提事実(1)によれば,その後,事業計画が変更され,施設建築物の設計変更がされるとともに,権利変換計画も変更されて,施設建築敷地の共有持分を与えられる者の大多数についてその共有持分が変更されるとともに,A社が本件組合の参加組合員として,建築施設の部分(本件土地の共有持分100万分の62万6944を含む)を与えられることとされ,平成22年1月29日に上記の権利変換計画の変更が認可されたことが認められるところ,このような事実関係の下においては,同社は,都市再開発法87条1項の準用により,権利変換期日(平成20年6月24日)において,本件土地の上記持分を原始取得したということができる。 そうすると,法律効果の側面からいえば,原告は,権利変換計画の変更が認可されたことにより,権利変換期日の時点では本件共有持分を取得していなかったと評価すべきこととなる。 イ他方,上記認定事実(2)によれば,原告は,経済環境の変化等により,参加組合員として本件再開発事業への参加を継続することが困難となったことから,本件組合,原告,A社は,本件協定書①及び本件協定書②を締結し,所定の条件が成就すれば,原告の本件再開発事業における本件組合の参加組合員たる地位をA社が承継することを合意するとともに,権利変換計画の変更によりA社が取得する施設建築敷地の共有持分等の概要について合意したことが認められる。 このような三者間の合意の存在とその成立の経緯に照らすと,原告は,本件共有持分を取得した後,主として自らの都合に A社が取得する施設建築敷地の共有持分等の概要について合意したことが認められる。 このような三者間の合意の存在とその成立の経緯に照らすと,原告は,本件共有持分を取得した後,主として自らの都合により,本件組合における参加組合員の地位から離脱することとし,本件協定書①及び本件協定書②を締結することにより,本件参加組合員契約(認定事実(1)イ)を黙示的に合意解除し,これに伴い,施行者は,定款や権利変換計画を変更するに至ったものということができる。また,本件における権利変換計画の変更とそれに伴うA社における本件土地の共有持分の取得は,原告と無関係にされたものではなく,原告がそれまで有していた本件組合の参加組合員の地位を,上記三者間の合意に基づき,A社に対して承継させることに伴って生じたものということができる。 さらに,上記認定事実(2)イによれば,原告は,本件協定書①において,参加組合員負担金の不払につき,本件共有持分を代物弁済する旨の代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権仮登記をすることを承諾しており,原告が本件共有持分を保有することを前提とする契約関係にあったことが認められる。 以上の諸点に照らせば,①所有権の得喪に関する法律効果の側面からみると,上記アのとおり,原告は,権利変換計画の変更が認可されたことにより,権利変換期日において本件共有持分を取得していなかったとの評価を受けるものの,②経過的事実に則してみると,原告による本件共有持分 の取得の基礎となった定款,本件参加組合員契約及び権利変換計画は,当初,有効であったが,後発的な事情によりその効力を失うに至ったものであって,原告は,権利変換期日(平成20年6月24日)から権利変換計画の変更の認可がされる平成22年1月19日までの間,本件共有持分を保有していたという事 的な事情によりその効力を失うに至ったものであって,原告は,権利変換期日(平成20年6月24日)から権利変換計画の変更の認可がされる平成22年1月19日までの間,本件共有持分を保有していたという事実関係があったことが明らかである。そうすると,原告については,本件共有持分につき,地方税法73条の2第1項にいう「不動産の取得」が認められるというべきである。 (4) 原告の主張について原告は,①不動産登記簿上,平成22年2月1日付けの更正登記により,原告の所有権保存登記が付記登記により抹消された上,A社の所有権保存登記がされており,この登記の内容は,本件共有持分につき,A社が権利変換計画に基づき原始取得し,原告が権利取得をしていないことを示すものである,②第一種再開発事業における保留床取得予定者の施設建築物の敷地となるべき土地の共有持分の取得は,保留床を取得する権利と一体のものであり,本来施設建築物の建築後にその区分所有権と同時に取得すべき権利であるところ,原告は,未だ施設建築物が存在しない段階で,確定的に保留床(本件共有持分を含む)を取得しないこととなった以上,敷地となるべき本件共有持分の権利取得のみを有効として扱うのは相当ではない,③都市再開発法上,地上権設定型と地上権非設定型とは,地上権の設定の有無という法技術の違いしかないにもかかわらず,後者の場合のみ不動産取得税を課税されるのは不均衡である旨主張する。 ア上記①について上記1(3)の認定事実によれば,本件土地の第1順位の所有権保存登記の付記登記として平成22年2月1日付けでされた更正登記は,平成22年1月19日都市再開発法による権利変換計画の変更を登記原因とするものであることが認められるところ,これは,上記(2)イ及び(3)アで判示した 本件再開発事業 けでされた更正登記は,平成22年1月19日都市再開発法による権利変換計画の変更を登記原因とするものであることが認められるところ,これは,上記(2)イ及び(3)アで判示した 本件再開発事業に係る権利変換計画の変更の法的効果を表記したものであるといえるが,当初の権利変換計画に基づく所有権保存登記につき,それを全体として抹消する抹消登記の形式とせず,その付記登記として更正登記によるという形式としていることからすると,原告が本件共有持分を原始取得したことがあるという経過的な事実関係が表現されているとみることもできる。そうすると,原告が指摘する登記の点については,経過的事実に則してみると原告による本件共有持分の取得があったとする上記(3)イの判断を覆すに足りるまでの事情に当たるとはいえないと解されるところである。 イ上記②について権利変換計画において施設建築物の一部及び施設建築敷地の共有部分を取得する旨定められた者は,権利変換期日においては,施設建築物が未だ存在しないから,施設建築敷地の共有持分のみを現実に取得するにとどまるが,その段階においても,当該敷地の共有持分を譲渡することは可能であるとされている(都市再開発法111条,88条2項参照)。そして,上記1(2)及び(3)の認定事実によれば,原告自身も,平成21年10月8日,本件共有持分につき,同年7月11日代物弁済予約を原因として持分一部移転請求権仮登記を経由しており,権利変換期日以降で施設建築物が未だ存在しない段階においても,本件共有持分を有効に取得しており,本件共有持分の譲渡が可能であることを前提として法律行為を行っていたというべきである。以上の点に照らすと,施設建築敷地の共有持分に係る権利取得のみを有効として扱うのは相当ではないとする原告の主張は採用することが 譲渡が可能であることを前提として法律行為を行っていたというべきである。以上の点に照らすと,施設建築敷地の共有持分に係る権利取得のみを有効として扱うのは相当ではないとする原告の主張は採用することができない。 ウ上記③について都市再開発法75条2項は,施設建築敷地に施設建築物の所有を目的とする地上権が設定されるものとして権利変換計画を定めるものと規定する が(地上権設定型),同法111条は,施設建築敷地に地上権が設定されるものとして権利変換計画を定めることが適当でないと認められる特別の事情がある場合には,施設建築敷地に地上権が設定されないものとして権利変換計画を定めることができる(地上権非設定型)と規定している。そして,地上権非設定型を採用した場合には,直接に土地の所有権に基づいて施設建築物が建築され,施設建築敷地は施設建築物の一部を所有する区分所有者の全員によって共有されることになるため,権利変換期日において,施設建築物の一部の所有権に対応する施設建築敷地の共有持分を現実に取得し,当該施設建築敷地の共有持分を譲渡することも可能なのであるから,権利変換期日において施設建築物の一部に対応する地上権の共有持分を取得するにとどまる地上権設定型を採用した場合との比較において,地方税法上,不動産取得税の賦課の有無という差違が生じたとしても不合理であるということはできない。 したがって,上記③に関する原告の主張は採用することができない。 3 本件処分の適法性以上によれば,原告は,権利変換期日(平成20年6月24日)において,本件共有持分を取得したことから,本件共有持分に関し,地方税法73条の2第1項の「不動産の取得者」に当たるものと認められ,このことを前提としてされた本件処分は適法であるというべきである。 4 結論よ 有持分を取得したことから,本件共有持分に関し,地方税法73条の2第1項の「不動産の取得者」に当たるものと認められ,このことを前提としてされた本件処分は適法であるというべきである。 4 結論よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口豊 裁判官横田典子 裁判官下和弘 (別紙)関係法令等の定め第1 地方税法 1 1条2項(用語)この法律中道府県に関する規定は都に,市町村に関する規定は特別区に準用する。(以下省略) 2 73条の2第1項(不動産取得税の納税義務者等)不動産取得税は,不動産の取得に対し,当該不動産所在の道府県において,当該不動産の取得者に課する。 3 73条の13第1項(不動産取得税の課税標準)不動産取得税の課税標準は,不動産を取得した時における不動産の価格とする。 4 73条の15(不動産取得税の税率)不動産取得税の標準税率は,100分の4とする。 第2 都市再開発法 1 38条1項(定款又は事業計画若しくは事業基本方針の変更)組合は、定款又は事業計画若しくは事業基本方針を変更しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けなければならない。 2 72条(権利変換計画の決定及び認可)(1) 1項施行者は,前条の規定による手続に必要な期間の経過後,遅滞なく,施行地区ごとに権利変換計画を定めなければならない。この場合においては,国土交通省令で定めるところにより,都道府県(第2条の2第4項の規定により市街地再開発事業を施行する な期間の経過後,遅滞なく,施行地区ごとに権利変換計画を定めなければならない。この場合においては,国土交通省令で定めるところにより,都道府県(第2条の2第4項の規定により市街地再開発事業を施行する場合に限る。以下同じ。)又は機構等(市のみが設立した地方住宅供給公社を除く。)にあつては国土交通大臣の,個人施行者,組合,再開発会社,市町村(同項の規定により市街地再開発事業 を施行する場合に限る。第109条を除き,以下同じ。)又は市のみが設立した地方住宅供給公社(第2条の2第6項の規定により市街地再開発事業を施行する場合に限る。以下同じ。)にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。 (2) 4項第1項後段及び前2項の規定は,権利変換計画を変更する場合(政令で定める軽微な変更をする場合を除く。)に準用する。 3 75条(施設建築敷地)(1) 1項権利変換計画は,一個の施設建築物の敷地は一筆の土地となるものとして定めなければならない。 (2) 2項権利変換計画は,施設建築敷地には施設建築物の所有を目的とする地上権が設定されるものとして定めなければならない。 (3) 3項第73条第1項第2号に掲げる者が取得することとなる施設建築物の所有を目的とする地上権の共有持分及び当該施設建築物の共用部分の共有持分の割合は,政令で定めるところにより,その者が取得することとなる施設建築物の一部の位置及び床面積を勘案して定めなければならない。 4 86条(権利変換の処分)(1) 1項施行者は,権利変換計画若しくはその変更の認可を受けたとき,又は権利変換計画について第72条第4項の政令で定める軽微な変更をしたときは,遅滞なく,国土交通省令で定めるところにより,その旨を公告し,及び関係権利者に関係事項を書面で通知しなければならな とき,又は権利変換計画について第72条第4項の政令で定める軽微な変更をしたときは,遅滞なく,国土交通省令で定めるところにより,その旨を公告し,及び関係権利者に関係事項を書面で通知しなければならない。 (2) 2項権利変換に関する処分は,前項の通知をすることによつて行なう。 (3) 3項権利変換に関する処分については,行政手続法(平成5年法律第88号)第3章の規定は,適用しない。 5 87条(権利変換期日における権利の変換)(1) 1項施行地区内の土地は,権利変換期日において,権利変換計画の定めるところに従い,新たに所有者となるべき者に帰属する。この場合において, 従前の土地を目的とする所有権以外の権利は,この法律に別段の定めがあるものを除き,消滅する(2) 2項権利変換期日において,施行地区内の土地に権原に基づき建築物を所有する者の当該建築物は,施行者に帰属し,当該建築物を目的とする所有権以外の権利は,この法律に別段の定めがあるものを除き,消滅する。ただし,第66条第7項の承認を受けないで新築された建築物及び他に移転すべき旨の第71条第1項の申出があつた建築物については,この限りでない。 6 88条(1) 1項施設建築物の敷地となるべき土地には,権利変換期日において,権利変換計画の定めるところに従い,施設建築物の所有を目的とする地上権が設定されたものとみなす。ただし,権利変換期日以後第100条の公告の日までの間は,権利変換計画の定めるところに従い,施行者がその地代の概算額を支払うものとする。 (2) 2項施設建築物の一部は,権利変換計画において,これとあわせて与えられることと定められていた地上権の共有持分を有する者が取得する。 7 111条施行者は,第75条第2項の規定により権利変換計画を定める 設建築物の一部は,権利変換計画において,これとあわせて与えられることと定められていた地上権の共有持分を有する者が取得する。 7 111条施行者は,第75条第2項の規定により権利変換計画を定めることが適当でないと認められる特別の事情があるときは,同項の規定にかかわらず,施設建築敷地に地上権(第109条の2第3項に規定する地上権を除く。)が設定されないものとして権利変換計画を定めることができる。この場合においては,第76条,第77条第2項後段及び第3項並びに第88条第1項の規定は適用せず,次の表の上欄に掲げる規定の同表中欄に掲げる字句は,同表下欄に掲げる字句に読み替えて,これらの規定を適用する(以下省略)。 第3 東京都都税条例(昭和25年東京都条例第56号) 1 1条(課税の根拠)東京都都税(以下「都税」という。)及びその賦課徴収については,法令その 他に別に定があるものの外,この条例の定めるところによる。 2 4条の3第1項(都税事務所長等及び都税総合事務センター所長に対する知事の権限の委任)知事は,徴収金の賦課徴収に関する事項及び都税に係る過料の徴収に関する事項を都税の納税地所管の都税事務所長又は支庁長(以下「都税事務所長等」という。)に委任する。ただし,次に掲げる事項については,この限りでない。 (1号ないし6号省略) 3 41条(不動産取得税の納税義務者等)不動産取得税は,不動産の取得に対し,不動産を取得した時における不動産の価格(法第73条の14又は法附則第11条の規定の適用がある不動産の取得にあつては,それぞれこれらの規定により算定して得た額)を課税標準として,当該不動産の取得者に課する。 第4 東京都都税事務所設置条例(昭和25年東京都条例第49号) 1 1条1項地方自治法(昭和22年法律第 ぞれこれらの規定により算定して得た額)を課税標準として,当該不動産の取得者に課する。 第4 東京都都税事務所設置条例(昭和25年東京都条例第49号) 1 1条1項地方自治法(昭和22年法律第67号)第156条第1項の規定に基き,東京都都税を賦課徴収するため,必要の地に東京都都税事務所(以下「都税事務所」という。)を置く。 2 2条1項都税事務所の名称,位置及び所管区域は別表第1の,都税支所の名称及び位置は別表第1の2のとおりとする。 別表第1(2条関係抜粋)名称位置所管区域東京都港都税事務所港区港区の区域以上 (別紙)物件目録 1 本件土地所在港区α地番 ×番2地目宅地地積 3199.03㎡ 2 本件共有持分本件土地の共有持分100万分の66万4244以上

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