主文 本件訴え中,生野税務署長が平成17年2月28日付けで原告に対してした原告の平成15年6月1日から平成16年5月31日までの事業年度の法人税に係る更正処分のうち所得金額1262万9329円,差引所得に対する法人税額304万6200円を超えない部分の取消しを求める部分を却下する。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求生野税務署長が平成17年2月28日付けで原告に対してした原告の平成15年6月1日から平成16年5月31日までの事業年度の法人税に係る更正処分のうち所得金額1259万2369円,差引所得に対する法人税額303万5100円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。 第2事案の概要 本件は,原告が,平成16年7月16日に原告の使用人に対して支払った賞与を平成15年6月1日から平成16年5月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の損金の額に算入して確定申告を行ったところ,生野税務署長が,上記賞与の損金算入を否定するなどして原告に対して更正処分を行うとともに,過少申告加算税の賦課決定処分を行ったため,原告が,これら各処分の取消しを求めた抗告訴訟である。 法令の定め(1)平成18年法律第10号による改正前の法人税法(以下「法」という。)法22条1項は,内国法人の事業年度の所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする旨規定し,同条3項は,内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,同項1号ないし3号に掲げる額とする旨規定し,同 項1号は,当該事業年度の収益に係る売上原価,完成工事原価その他これらに準ずる原価(こ 度の損金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,同項1号ないし3号に掲げる額とする旨規定し,同 項1号は,当該事業年度の収益に係る売上原価,完成工事原価その他これらに準ずる原価(これらを以下「売上原価等」という。)の額を掲げ,同項2号は,同項1号に掲げるもののほか,当該事業年度の販売費,一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額を掲げ,同項3号は,当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るものを掲げ,同条4項は,同条3項各号に掲げる額は,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする旨規定する。 法65条は,法2編1章1節2款から同節7款まで(所得の金額の計算)に定めるもののほか,各事業年度の所得の金額の計算に関し必要な事項は,政令で定める旨規定する。 (2)平成18年政令第125号による改正前の法人税法施行令(以下「令」という。)令134条の2は,内国法人が各事業年度においてその使用人に対して支給する賞与(法35条4項に規定する賞与(使用人に対する臨時的な給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含む。)のうち,他に定期の給与を受けていない者に対し継続して毎年所定の時期に定額(利益に一定の割合を乗ずる方法により算定されることとなっているものを除く。)を支給する旨の定めに基づいて支給されるもの及び退職給与以外のもの。)をいう。)の額は,同条各号に掲げる賞与の区分に応じ,当該各号に定める事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する旨規定し,同条1号は,労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額の通知がされているもので,かつ,当該支給予定日又は当該通知をした日の属する事業年度におい 旨規定し,同条1号は,労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額の通知がされているもので,かつ,当該支給予定日又は当該通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理をしているものに限る。)につき,当該支給予定日又は当該通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度と定め,同条2号は,イその支給額を,各人別に,かつ,同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること,ロ同通知をした金額を当該通知をしたすべての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度 終了の日の翌日から1月以内に支払っていること,及び,ハその支給額につき前記通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること,以上のすべての要件を満たす賞与につき,使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度と定め,同条3号は,同条1号及び2号に掲げる賞与以外の賞与(法35条3項に規定する経理がされているものを除く。)につき,その支給をした日の属する事業年度と定めている。 前提事実以下の事実は当事者間に争いがないか,掲記各証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる。なお,争いがない事実には認定根拠を付記しない。 (1)本件給与規程の定め(甲2)原告において平成14年7月16日から実施されている給与規程(以下「本件給与規程」という。)は,賞与に関し,次のとおり規定している。 ア賞与額の決定(17条)賞与の額は,会社の営業成績及び社員各個人の業績に応じて決定し(1項),業績の都合・業界の不況・事業の特別の不振・その他やむを得ない事由がある場合は支給しないことがある(2項)。 イ支給時期(18条)賞与の支給時期は,原則として毎年8月・12月の2回とするが,ただし,会社の都合により他の時期に変更するこ ・その他やむを得ない事由がある場合は支給しないことがある(2項)。 イ支給時期(18条)賞与の支給時期は,原則として毎年8月・12月の2回とするが,ただし,会社の都合により他の時期に変更することがある(1項)。本項のほか,臨時賞与を支給することがある(2項)。 ウ計算期間(19条)賞与の計算期間は,次のとおりとする。 (ア)8月支給賞与自11月16日~至5月15日(1号)(イ)12月支給賞与自5月16日~至11月15日(2号)エ受給資格(20条)受給資格は,各々第19条の賞与計算期間中勤務し,且つ賞与の支払日に在籍す る者とし(1項),本項において賞与計算期間中の一部について勤務した者については,日割計算した額を支給する(2項)。 オ査定(21条)賞与は,人事考課規程に基づき,社員各人の計算期間中における勤務成績その他を勘案してその都度これを決める。 カ賞与支給が不適当と認められる者については,原則として支給しない(22条)。 (2)本件賞与の支給原告は,平成16年5月31日までに,その従業員に対する各人別の賞与支給額を決定し,同年7月16日,同従業員に対し,本件給与規程に基づき,平成15年11月16日から平成16年5月15日までを計算期間とする賞与合計919万3500円(以下「本件賞与」という。)を支給した。なお,原告においては,本件賞与のうち,424万3500円については製造原価の一つである労務費として経理し,本件賞与のうち,495万円については販売管理費として経理している。また,原告は,本件賞与の上記支給前には,本件賞与の各人別の支給金額について,各人別に,かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していなかった(乙1,弁論の全趣旨)。 (3)本件各処分に至る経緯ア原告は,平成16年7 には,本件賞与の各人別の支給金額について,各人別に,かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していなかった(乙1,弁論の全趣旨)。 (3)本件各処分に至る経緯ア原告は,平成16年7月30日,生野税務署長に対し,別紙「課税の経緯」の「確定申告」欄記載のとおり,本件事業年度の法人税に係る確定申告を青色申告書により行った。 イ生野税務署長は,本件賞与の額は,令134条の2第3号により,その支給した日である平成16年7月16日の属する事業年度の損金の額に算入され,本件事業年度の損金の額には算入することはできないとして,本件賞与額919万3500円を本件事業年度の所得金額に加算する一方,原告が確定申告において損金に算入しなかった消耗品費3万0300円及び前事業年度の更正に伴い増加した繰越 欠損金の損金算入額6700円の合計3万7000円を本件事業年度の所得金額から減算し,平成17年2月28日付けで,原告に対し,別紙「課税の経緯」の「更正処分等」欄記載のとおり更正をするとともに(以下「本件更正処分」という。),本件事業年度の過少申告加算税の賦課決定をした(以下「本件賦課決定処分」といい,本件更正処分と併せて以下「本件各処分」という。)(甲1)。 ウ原告は,上記アの申告につき,更正の請求をしていない(弁論の全趣旨)。 (4)不服申立て及び本件訴えア原告は,平成17年4月11日,国税不服審判所長に対し,本件各処分を不服として審査請求をしたところ,国税不服審判所長は,同年9月1日付けで,原告の審査請求を棄却する旨の裁決をし,同月10日,同裁決に係る裁決書謄本を,原告に対して送達した(弁論の全趣旨)。 イ原告は,平成18年3月8日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 争点 (1)本件更正処分のうち,申告額を超えない部分の取消請 裁決に係る裁決書謄本を,原告に対して送達した(弁論の全趣旨)。 イ原告は,平成18年3月8日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 争点 (1)本件更正処分のうち,申告額を超えない部分の取消請求に係る訴えの適法性(本案前の争点,争点①)(2)本件各処分の適法性(本案の争点)ア令134条の2の有効性(争点②)イ令134条の2が無効である場合,本件賞与を本件事業年度の損金の額に算入することができるか(争点③) 当事者の主張(1)争点①(本件更正処分のうち,申告額を超えない部分の取消請求に係る訴えの適法性)について【被告の主張】一般に,確定処分に対する争訟の対象は,それによって確定された税額(租税債権の内容)の適否であり,更正処分取消訴訟における審理対象も,更正処分により確定された税額の適否であって,更正処分の理由として付記された個々の加算,減 算の理由との関係における税額の適否は審理の対象とはならない。これを本件について見れば,本件更正処分においては,その通知書(甲1)において,更正の理由として加算要素及び減算要素が複数記載されているが,結局は,所得金額を915万6500円,法人税額を274万6800円それぞれ増額させる増額更正処分であるから,本件更正処分の取消訴訟においては,上記増額差税額に係る課税標準・税額に,原告の確定申告により確定していた課税標準・税額を併せた所得金額2178万5829円,法人税額579万3000円の税額の適否が審理の対象となる。 そして,原告の確定申告により確定していた所得金額及び法人税額を超えない部分については,原告が自ら確定申告により納税義務を確定したものであるから,更正の請求という法の求める特別の手続を経由せずにその取消しを請求することは原則として不適法であり,ただ,申告の無効を主張 部分については,原告が自ら確定申告により納税義務を確定したものであるから,更正の請求という法の求める特別の手続を経由せずにその取消しを請求することは原則として不適法であり,ただ,申告の無効を主張することのできる例外的な場合にのみ,更正の請求を経ずに同部分の取消しを請求することも許されるところ,本件がそのような例外的な場合に当たらず,更正の請求手続もとられていないことは明らかである。したがって,本件更正処分のうち,上記申告額を超えない部分の取消請求に係る訴えは,不適法である。 【原告の主張】国税通則法(以下「通則法」という。)は,租税法律関係を早期に安定させるため,納税者が誤って税額を過大に申告した場合につき,その是正手段を期間制限を付した上で更正の請求に限るという制度(更正の請求の原則的排他性)を採用しているところ,租税法律主義(憲法84条)の下においては,法律上根拠を有しない課税は許されず,上記のような場合には,本来,租税債権者である被告(国税の場合)がこれを保持することは許されないはずである。そうであるとすれば,更正の請求の原則的排他性の適用を広く認めることは許されず,申告が錯誤に基づく場合のほか,更正の請求の手続を経ないで申告に係る課税標準・税額の減額の請求を認めることが,租税債務の安定的かつ可及的速やかな確定の要請を害さない場合には,当該請求をすることも認められるべきである。そして,本件のように,課税庁によ り増額更正がされ,その内容が,①申告に係る課税標準の一部取消しと②新たに認定された課税要件事実に基づく課税標準の加算から成り立っている場合に,②の加算部分の取消しを求めて争う場合は,判決等によって当該訴訟が終了するまでの間は,当該納税者の租税債務は確定しないのであるから,①の更正の請求を経ていない申告に係る課税標 成り立っている場合に,②の加算部分の取消しを求めて争う場合は,判決等によって当該訴訟が終了するまでの間は,当該納税者の租税債務は確定しないのであるから,①の更正の請求を経ていない申告に係る課税標準の一部取消しを求めることを認めても,租税債務の早期確定を害さず,更正の請求の原則的排他性の趣旨には抵触しない。むしろ,この場合において,①の申告に係る課税標準・税額の一部取消しの請求を認めないとすれば,当該増額更正が違法な処分であっても,これによる税額が当初申告のそれを上回らない部分については取り消されないことになり,違法な行政処分の結果の一部が是認されることになってしまうが,このような結論は許されない。したがって,このような場合には,納税者が申告に係る課税標準・税額につき更正の請求を経ていなくとも,加算部分の取消しを求める訴訟において,申告に係る課税標準・税額の一部取消しを求める訴えの利益が認められるべきである。 さらに,確定申告と増額更正との関係について,一般的に吸収説が採られているところ,吸収説においては,増額更正がされることにより申告を白紙に戻して税額を全体として確定し直されることになるから,増額更正によって更正の請求の対象となるべき確定申告は消滅するのであり,そうである以上,更正の請求によって課税標準や税額の軽減等を求めることはできず,論理的にも更正の請求の原則的排他性も消滅するのである。 したがって,本件更正処分のうち,申告額を超えない部分の取消しを求める訴えも適法である。 (2)争点②(令134条の2の有効性)について【被告の主張】ア法65条における政令への委任は租税法律主義に反しないこと(ア)憲法は,租税法について,複雑多岐にわたり急速に推移変遷する経済状況に有効適切に対処し,課税の公平を達成するため,一定の範囲で課税 ア法65条における政令への委任は租税法律主義に反しないこと(ア)憲法は,租税法について,複雑多岐にわたり急速に推移変遷する経済状況に有効適切に対処し,課税の公平を達成するため,一定の範囲で課税要件及び租税 の賦課徴収に関する手続を下位の法形式に委任することも許容しているというべきである。もっとも,委任が認められるといっても,それは具体的個別的な委任に限られ,概括的な白地的な委任は許されないと解され,具体的個別的な委任であるといい得るためには,①委任を認める法律自体から委任の目的,内容,程度などが明確にされていることが必要とされ,また,租税法律主義の趣旨及び委任が必要とされる上記根拠に照らせば,②課税要件のうち基本的事項は法律で定めることが求められ,委任の対象は専門的技術的かつ細目的な事項であることが必要である。 (イ)以上の観点から法65条による政令への委任が租税法律主義に反しないか検討するに,法65条における政令への委任の趣旨(委任の目的)は,税の計算については,それが各種の法律と関連するほか,具体的な経済の内容に関連し,さらに技術的な会計の処理に関連するところが大きく,その内容が極めて複雑であり,また技術的にも子細にわたるもので,その大綱を法律で定め,この細目を政令で補うことが必要であること,加えて,経済は常に動いており,税に関連する新しい問題がいくつか常に生起しているから,直ちに法律によってその内容を規定するまでもなく,既に法律によって規定された事項から明らかに法律の趣旨が推定できる場合には,その技術的な内容について一般的な委任が許されてしかるべきであり,また,それが客観的には必要であることにあると解され,これらは,同条が,大綱的な所得の金額の計算に関する「第2款から前款まで(所得の金額の計算)」の諸規定に加えて,さ 任が許されてしかるべきであり,また,それが客観的には必要であることにあると解され,これらは,同条が,大綱的な所得の金額の計算に関する「第2款から前款まで(所得の金額の計算)」の諸規定に加えて,さらにその「細目」について,「必要な事項」を定める旨規定していること及び同条が,法22条2項及び3項に規定する益金及び損金に関する「別段の定め」に位置づけられていることにより明確にされている。以上によれば,法65条は,法22条から64条までにおいては直接規定されていない事項について,あえて政令において定めることを予定しているものと解されるのであって,その委任の内容及び程度という点についても,法65条自体から,各事業年度の所得の金額の計算に関し,法に直接的な規定がなくても,大綱を定める法の規定から明らかに法の趣旨が推定できる事項について,専門的技術的な細目の定めを政令にゆだね たものであることが明確にされているといえる。このように,法65条における委任の目的,内容,程度は同条の委任規定自体から明確にされており,同条は各事業年度の所得の金額の計算に関し,概括的白地的な委任をしたものではなく,具体的個別的な委任をしたものであって,上記(ア)①の要件を満たしている。 また,法は,納税義務者,課税物件,課税標準及び税率をそれぞれ規定した上で,税額控除等税額計算に関する事項や,申告,納付及び還付等の手続などを定めており,通則法等の他の法律とともに,法人税の課税上,基本的な重要事項は法律中に規定されているといえる。そして,上記課税標準である各事業年度の所得の金額の計算については,法22条において原則的事項が定められ,さらに法23条ないし64条に相当具体的かつ詳細な定めが置かれた上で,上記のとおり,法に直接的な規定がなくても,大綱を定める法の規定から明らかに法 算については,法22条において原則的事項が定められ,さらに法23条ないし64条に相当具体的かつ詳細な定めが置かれた上で,上記のとおり,法に直接的な規定がなくても,大綱を定める法の規定から明らかに法の趣旨が推定できる事項について,専門的技術的な細目の定めを政令にゆだねる必要があるという観点から,法65条において法22条2項及び3項に規定する益金及び損金に関する「別段の定め」として,法23条ないし64条に定めるもののほか,各事業年度の所得の金額の計算に関し必要な事項の定めを政令にゆだねたものである。したがって,法人税の課税要件のうち基本的事項は,法その他の法律に定められており,法65条は,そのうちの課税標準たる各事業年度の所得の金額の計算に関し,法に直接的な規定がなくても,大綱を定める法の規定から明らかに法の趣旨が推定できる事項について専門的技術的な細目の定めを政令に委任したものということができ,上記(ア)②の要件を満たしている。 よって,法65条における政令への委任は租税法律主義に反しない。 イ令134条の2が法65条による委任の範囲内であること以上の検討を踏まえれば,令134条の2が法65条の委任の範囲内にあるか否かは,賞与の特質を踏まえた上で,令134条の2が,法の規定から推定される使用人賞与の損金算入時期に関する法の趣旨に基づいてその専門的技術的な細目を定めたものといえるか否かによって判断されるべきである。 (ア)賞与引当金制度が廃止された経緯平成10年法律第24号による改正前の法人税法54条1項は,賞与引当金の損金の額への算入を規定していたが,賞与は,一般に,支給される金額が前もって決まっているものではないため,実際に支給された賞与がどの期間に対応する費用であるかという点が必ずしも明確ではないとの視点から,上記改正前の賞 規定していたが,賞与は,一般に,支給される金額が前もって決まっているものではないため,実際に支給された賞与がどの期間に対応する費用であるかという点が必ずしも明確ではないとの視点から,上記改正前の賞与引当金の制度につき種々の問題点が指摘され,このような費用は,たとい賃金の後払い的な性格を有しているとしても,課税の公平性,明確性を期する観点から,引当金の繰入れによるのではなく,実際に支払った日の属する事業年度の損金の額とする取扱いに改めることが考えられるとして,賞与引当金制度の廃止と,使用人賞与をそれを実際に支払った日の属する事業年度の損金の額とすることが提案されていた。 以上のような議論を受け,平成10年度税制改正で,課税の明確性・統一性を図る観点から,賞与については,原則として実際に支給した日の属する事業年度の損金の額に算入することとされ,賞与引当金は廃止されることとなった。すなわち,平成10年法律第24号により,従前の法人税法54条(賞与引当金)の規定が削除される一方,同法22条3項に規定する「別段の定め」に当たる同法65条の委任に基づき,平成10年政令第105号により,令134条の2において,使用人賞与の損金算入時期は,原則としてそれを実際に支給した日の属する事業年度とされることになった。 (イ)以上のような賞与引当金制度廃止の経緯及び平成10年法律第24号の立法趣旨等に照らせば,法及び平成10年法律第24号の規定から推定される使用人賞与の損金算入時期についての現行法の趣旨は,それが売上原価等の1号費用に該当するのか,販売管理費等の2号費用に該当するのか問うことなく,一律に,法22条3項各号の適用を排除し,課税の明確性・統一性を図るため,原則として,それを実際に支払った日の属する事業年度の損金の額とするという点にあることは明らか 用に該当するのか問うことなく,一律に,法22条3項各号の適用を排除し,課税の明確性・統一性を図るため,原則として,それを実際に支払った日の属する事業年度の損金の額とするという点にあることは明らかである。したがって,令134条の2の規定は使用人賞与の損金算入時期に関する法の上記趣旨に基づいて,実際に支払った日の属する事業年度の損金の額とす るという原則を明文化するとともに,上記趣旨を害しない限度においてその例外に当たる場合をも規定し,もって専門的技術的な細目を定めたものということができる。 (ウ)以上によれば,令134条の2は,法65条による委任の範囲内であり,有効である。 【原告の主張】ア令134条の2は,法65条の委任に基づく規定であるところ,法65条は,その見出しの文言等に照らして,損金の算入不算入という課税要件について政令に一般的・白紙的に委任するものではなく,あくまで法が定める損金算入の原則の下で所得金額の計算方法を具体的に定めることに限定して委任するものである。しかるに,令134条の2は,債務確定基準等を定めた法22条3項とは明らかに異なる基準によって賞与の損金算入時期を定めているから,同条は,法65条の委任の範囲を超え違法であり,また,課税要件法定主義にも反し,違憲無効である。 イ法65条は法22条の「別段の定め」には該当しないこと上記アの原告の主張に対し,被告は,法65条の趣旨が既に法律によって規定された事項から明らかに法律の趣旨が推定できる場合には,その技術的な内容を,あたかも個々のものについて政令に委任したと同様な意味において一般的な委任を行うことが許されてしかるべきことにあることを前提として,同条は法22条3項柱書の「別段の定め」に該当するので,法65条から委任を受けて規定された令134条の2が法22条 意味において一般的な委任を行うことが許されてしかるべきことにあることを前提として,同条は法22条3項柱書の「別段の定め」に該当するので,法65条から委任を受けて規定された令134条の2が法22条3項と異なる基準を定めることに何ら問題はないと主張する。 しかし,被告が上記法65条の趣旨に関する主張の根拠とする,税の計算が専門技術的事項であることや社会経済の変化に即応する必要性等は,いずれも租税立法における委任立法の必要性として一般的にあげられるものにすぎないのであって,これらを根拠に既に法律によって規定された事項から明らかに法律の趣旨が推定できる場合であれば法律自体では委任の目的等が明確にされていなくてもよいという被告の主張は,独自の理論である。また,被告は,賞与引当金制度を廃止した平成 10年法律第24号の立法趣旨等からすると,使用人賞与の損金算入時期についての現行法の趣旨は,それを実際に支払った日の属する事業年度の損金の額とするという点にあると主張するが,平成10年法律第24号は,賞与引当金制度の廃止を含んでいるものの,廃止後の使用人賞与の取扱いについて何も定めておらず,法も22条3項を除き使用人賞与の損金算入時期について定めた規定は存在しないのであって,明らかに法律の趣旨が推定できるとは到底解されない。したがって,被告が法65条の趣旨として主張するところは,その前提を誤るものである。 また,法65条は,同条が法2編1章1節2款すなわち法22条に関する必要な定めについての政令委任の根拠ともなっていることから考えると,法65条は,原則的な益金,損金計算規定である法22条及び同条2項,3項の定める「別段の定め」である法23条ないし64条の規定について,各条項に反しない限りにおいて具体的な所得金額の計算に関する必要事項の委任を許容した規 金,損金計算規定である法22条及び同条2項,3項の定める「別段の定め」である法23条ないし64条の規定について,各条項に反しない限りにおいて具体的な所得金額の計算に関する必要事項の委任を許容した規定であると解するのが素直であって,法65条が法22条3項の「別段の定め」であるという解釈は到底成り立ち得ない。仮に,法65条が法22条3項の「別段の定め」に該当するとすれば,法65条は法が定める損金算入基準とは異なる損金算入基準を政令に一般的白紙的に委任する規定であるといわざるを得ず,損金算入基準が法人税課税の基本的事項であることからすれば,同条は租税法律主義に反する違憲無効な規定であるというほかなく,同条の委任に基づく令134条の2も無効であると解される。 ウ令134条の2は法22条3項に反すること上記イにおいて述べたことからすると,令134条の2は,法22条3項の細目を定め具体化したものであるといえない限り,法の委任の範囲を超え無効となる。 そして,使用人賞与には,会計上,原価(法22条3項1号)に該当するものと販売管理費(同項2号)に該当するものがあるが,令134条の2は,原価及び販売管理費等の損金算入基準を定めた法22条3項に反し無効である。 (ア)販売管理費に該当する使用人賞与について施行令134条の2は,使用人に対する賞与の損金算入時期を,原則として賞与 を支給した日の属する事業年度とし(3号),例外的に,支給額を各人別にすべて使用人に対して通知すること等の要件を満たす場合のみ支給日の属する事業年度より前の事業年度において損金算入することを認めるものである(1号,2号)。 しかしながら,法22条3項2号は,費用の損金算入時期につき,債務確定主義を採用しており,法人税基本通達2-2-12が一般的に認められた債務確定基準を示してい ことを認めるものである(1号,2号)。 しかしながら,法22条3項2号は,費用の損金算入時期につき,債務確定主義を採用しており,法人税基本通達2-2-12が一般的に認められた債務確定基準を示しているところ,これによれば,賞与については,使用人に対する通知がなくとも,賞与の対象となる期間が経過していれば,使用者が使用人に対する賞与の額を決定した時点で,その使用人に対する賞与の支払債務は実体的に確定することになる。特に,就業規則等において,使用人賞与の支給が抽象的にでも定められている場合,使用者が具体的な金額を決定した時点で,使用人は,この決定により具体化された賞与の支払いを求める権利を有することになり,使用者はその支払義務を負うのであり,支給額の通知は,定まった具体的な賞与の額を支給対象者に知らしめる手続にすぎないのである。以上のとおり,令134条の2の基準は,支給額の通知を損金算入の要件としている点で,法22条3項2号の債務確定基準とは異質のものといわざるを得ない。また,仮に,使用人に対する賞与の支払義務が実体的に確定する要件として使用人に対する支給額の通知が必要であると解した場合であっても,賞与が使用人ごとに格別に支払われるものであることからすると,各使用人ごとの支給額の決定及び通知の有無によって債務確定時期を判断すべきである。 しかるに,令134条の2第2号イは,同時期に賞与の支給を受ける使用人が複数いる場合には,同時期に支給を受ける「すべての」使用人に対して支給額の通知をしたときのみ当該通知をした日の属する事業年度の損金に算入することを認め,たとい一部でも通知していない使用人がいる場合には,すべての使用人に対する賞与を当該事業年度の損金に算入することを認めないとしており,上記債務確定基準の考え方とは相いれない。さらに,令134条の ,たとい一部でも通知していない使用人がいる場合には,すべての使用人に対する賞与を当該事業年度の損金に算入することを認めないとしており,上記債務確定基準の考え方とは相いれない。さらに,令134条の2第2号ロは,同号イの通知がされたすべての使用人に対して,当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に賞与を支払わなければ,同号イの通知をしていても,通知日の属する 事業年度の損金として認めないとしているが,債務確定基準によれば,確定した債務をいつ支払うことにしようと,損金算入時期に影響はないはずである。したがって,この令134条の2が定める「1月以内」という要件も,債務確定基準の考え方とは到底相いれないものである。 以上のとおり,令134条の2は,使用人賞与の損金算入時期について,法22条3項2号の債務確定基準とは異質な基準を導入していることは明白であり,この点は,学説等においても指摘されているところである。したがって,令134条の2は,販売管理費に該当する使用人賞与との関係において違憲・違法の規定であって,無効である。 (イ)売上原価等に該当する使用人賞与について使用人に対する賞与には,売上原価等(法22条3項1号)に該当するものも存在する。そして,法22条3項1号は,当該事業年度の収益に係る売上原価等の額については,別段の定めがない限り,当該事業年度の損金の額に算入すべきものとして,いわゆる個別対応の原則を定めており,債務の確定を損金算入の要件とはしていない。この点,法人税基本通達2-2-1においても,売上原価等に当たるべき費用の全部又は一部が確定していないときは,適正にその額を見積もって損金に算入すべきものとしており,判例(最判平成12年(あ)第1714号同16年10月29日第二小法廷判決・刑集58巻7号697頁 き費用の全部又は一部が確定していないときは,適正にその額を見積もって損金に算入すべきものとしており,判例(最判平成12年(あ)第1714号同16年10月29日第二小法廷判決・刑集58巻7号697頁)も,債務の確定を売上原価の損金算入の要件とはしていない。このように,売上原価等に係る費用は,債務として確定していない場合であっても,すなわち確定したといえるより前の段階で,一定の場合には当該費用の損金算入が認められるのである。したがって,債務確定基準とも整合しない令134条の2第3号が,債務確定基準より早期の段階での損金算入を認める上記法22条3項1号と整合するはずがなく,令134条の2第3号は,賞与の損金算入時期について,売上原価等に関する法22条3項1号と異なる(より厳しい)損金算入基準を定めるものであって,明らかに法内容に反するものである。よって,令134条の2は,法の委任の範囲を超えた違法な規定であり, 租税法律主義にも反し,違憲・違法であって無効である。 (3)争点③(令134条の2が無効である場合,本件賞与を本件事業年度の損金の額に算入することができるか)について【被告の主張】ア仮に,令134条の2が無効であって,本件賞与につき法22条3項1号及び2号の規定によってその帰属年度を判断するとしても,本件賞与を本件事業年度の損金の額に算入する余地はない。 (ア)法22条3項2号に該当する賞与について本件給与規程は,その20条1項において,受給資格は,賞与の支払日に在籍する者とする旨規定していることから,本件賞与は,支給日当日まで,使用人に対する賞与の支払債務が発生する余地がない。さらにいえば,本件給与規程には,賞与支給時期,支給額の計算根拠等が明示されていない上,原告は,本件賞与の支給前に,その支給額を使用人側に通知して 使用人に対する賞与の支払債務が発生する余地がない。さらにいえば,本件給与規程には,賞与支給時期,支給額の計算根拠等が明示されていない上,原告は,本件賞与の支給前に,その支給額を使用人側に通知していないから,本件賞与の支給日に本件賞与の支払債務が発生する前提に欠ける。したがって,本件事業年度の次の事業年度に属する日を支給日とする本件賞与は,本件事業年度において債務が確定した費用といえないことは明らかであるから,本件賞与のうち,販売管理費等の2号費用に該当する賞与については,法22条3項2号に基づき本件事業年度の損金の額に算入することはできない。なお,企業が賞与につき支給日在籍要件を就業規則等に規定することの合理性については,裁判例において,任意退職者は退職時期を自由に選ぶことができることに加え,勤務継続の期待ないし確保,労働意欲の向上や確保,労務提供の褒賞と将来の労務提供の奨励などを私企業が賞与支給に期待することは不合理でないからとされている。そうすると,支給日の在籍を要件としている場合には,単に過去の労働の対価というにとどまらず,勤務継続の期待ないし確保,労働意欲の向上や確保,労務提供の褒賞と将来の労務提供の奨励といった将来に向けた期待を企業自身が賞与支給の理由にしているのであり,この支給日在籍要件の合理性を支える根拠となる,私企業の賞与支給に対する将来に向けた期待を保護する意 味でも,賞与の支給日まで債務が確定しないとするのが合理的である。 (イ)法22条3項1号に該当する賞与について法人税法22条3項1号にいう売上原価等とは,当期における売上高に直接対応する費用をいうところ,同号の文言等に照らすと,売上原価等の1号費用については,当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が確定していない場合であっても,近い将来にこれを支 おける売上高に直接対応する費用をいうところ,同号の文言等に照らすと,売上原価等の1号費用については,当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が確定していない場合であっても,近い将来にこれを支出することが相当程度の確実性をもって見込まれており,かつ,同日の現況によりその金額を適正に見積もることが可能であれば,その見積金額を同号にいう売上原価の額として当該事業年度の損金の額に算入することができるものと解される。したがって,未払賞与を当該事業年度の収益に係る売上原価等の額に計上できるか否かについても,上記の観点から検討する必要がある。そして,賞与については,就業規則等において,会社の業績等によって支給を延期したり支給しないことがあるとも定められ,特に,支給日在職要件が設けられている場合には,支給日にならなければ,支払債務が発生するどうかも分からない費用であって,その性質上,使用人が支給日に在職していることが相当程度の確実性をもって見込まれる具体的な事情がない限り,近い将来にこれを支出することが相当程度の確実性をもって見込まれるとは到底いえない。また,賞与の支払債務は,就業規則等において抽象的に定められるだけではその請求権(債務)の発生が何ら保障されておらず,一般的には,使用者側が各人別の支給額を決定し,これを使用人側に通知したときに発生するものである。したがって,就業規則等において賞与の支給時期や支給額の計算根拠等が明示されておらず,使用人側に対して各人別の支給額の通知がされていない場合には,近い将来に賞与を支給することが相当程度の確実性をもって見込まれており,かつ,同日の現況によりその金額を適正に見積もることが可能であるとは到底いえない。そして,本件においても,本件給与規程20条1項により,支給日在籍要件が設けられており,本件事業年 って見込まれており,かつ,同日の現況によりその金額を適正に見積もることが可能であるとは到底いえない。そして,本件においても,本件給与規程20条1項により,支給日在籍要件が設けられており,本件事業年度終了の日において,原告の使用人が支給日当日に在職していることが相当程度の確実性をもって見込まれるような具体的事情は見当たらない。のみならず,本件給与規程は,賞与支給時 期や支給額の計算根拠等は明示せず,かえって,会社の一方的な都合により,支給日,集金額等はもとより,支給の有無すら自由に決定し得ることとされている。したがって,本件事業年度終了の日において,近い将来に賞与を支出することが相当程度の確実性をもって見込まれており,かつ,同日の現況によりその金額を適正に見積もることが可能であったといえないことは明らかであるから,本件賞与のうち,1号費用に該当する賞与について,法22条3項1号に基づき本件事業年度の損金の額に算入することはできない。 イ以上のとおり,仮に令134条の2が無効であるとしても,本件賞与を本件事業年度の損金の額に算入することはできず,令134条の2の有効性は原告の権利義務に影響を与えないことになる。そうすると,原告は,結局,具体的紛争を離れて法令自体の効力の裁判を求めていることになるが,このような具体的紛争を離れた法令自体を裁判の対象とすることは裁判所の権限に属しないから,原告は令134条の2の無効を主張する適格を有しない。 【原告の主張】賞与に係る債務が確定するためには,使用人に対する通知が不要であることは,前記争点②において述べたとおりであるところ,原告は,平成16年5月31日,各使用人に対する同年の夏期賞与(本件賞与)の額を定め,本件賞与一覧表を作成し,同日,このようにして決定した本件賞与の金額について仕訳伝票(甲 述べたとおりであるところ,原告は,平成16年5月31日,各使用人に対する同年の夏期賞与(本件賞与)の額を定め,本件賞与一覧表を作成し,同日,このようにして決定した本件賞与の金額について仕訳伝票(甲14)を作成し,金額の確定した未払金として記帳処理していた。以上のとおり,本件賞与の支払債務は,平成16年5月31日の本件事業年度の終了の日に確定していたのであり,この点は本件各処分に係る税務調査において担当調査官も認めていたところである。したがって,令134条の2が無効であれば,本件賞与のうち,販売管理費に該当するものついては法22条3項2号によって,売上原価に該当するものについては同項1号によって,いずれも本件事業年度の損金の額に算入することができる。また,本件では原告は青色申告書により確定申告をしており,令134条の2が無効である場合に,法22条3項1号,2号を根拠に本件賞与の本件事業年 度の損金への算入を否定することは,理由の差し替えとして許されない。 (4)本件各処分の適法性について【被告の主張】本件訴訟において,被告が主張する本件事業年度における原告の法人税に係る所得金額及び納付すべき法人税額並びに過少申告加算税の額は,別紙「本件各処分の適法性」記載1ないし3のとおりであるところ,本件更正処分における原告の法人税に係る所得金額及び法人税額並びに本件賦課決定処分における過少申告加算税の額は,これらの金額と同額であるから,本件各処分は適法である。 【原告の主張】争う。 第3当裁判所の判断 争点①(本件更正処分のうち,申告額を超えない部分の取消請求に係る訴えの適法性)について(1)法は,法人税につき,申告納税制度を採用しているところ(法74条,通則法16条2項1号),通則法は,申告納税制度の下においては,納付すべき税額は い部分の取消請求に係る訴えの適法性)について(1)法は,法人税につき,申告納税制度を採用しているところ(法74条,通則法16条2項1号),通則法は,申告納税制度の下においては,納付すべき税額は,納税者のする申告により確定することを原則とし(16条1項1号),同法24条又は26条の規定による更正で既に確定した納付すべき税額を増加させるものは,既に確定した納付すべき税額に係る部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさないと規定する(29条1項)一方,納税申告書を提出した者は,当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことにより当該申請書の提出により納付すべき税額が過大であるとき等,一定の場合には,一定の期間内に限り,その申告に係る課税標準等又は税額等(これらにつき更正があった場合には,当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正の請求をすることができる旨規定している(23条)。 以上のとおり,法及び通則法は,法人税につき申告納税制度を採用し,納税者が 申告内容を自己に有利に是正する手段として,更正の請求という特別の方法を設ける一方,当該更正の請求につき期間制限を設けているのであるが,その趣旨は,法人税の課税標準等の決定については,最もその間の事情に通じている納税義務者自身の申告に基づくものとして,その過誤の是正は,期間制限を設けた上で法律が特に認めた場合に限るという建前とすることにより,租税債務の可及的速やかな確定という要請に応じる一方,納税義務者に対しても過当な不利益を強いることのないよう配慮することにあるものと解される。以上のような法及び通則法の趣旨に照らせば,納税者が,申告内容を自己に有利に是正するためには,更正の請求という法律が特に認めた手段 当な不利益を強いることのないよう配慮することにあるものと解される。以上のような法及び通則法の趣旨に照らせば,納税者が,申告内容を自己に有利に是正するためには,更正の請求という法律が特に認めた手段によるべきであって,更正の請求の方法以外にその是正を許さないならば納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がない限り,更正の請求の手続を経ることなく,更正処分の取消訴訟において,申告に係る課税標準等又は税額等を超えない部分の取消しを請求することは許されないものというべきである。 (2)これに対し,原告は,租税法律主義の下においては,更正の請求の原則的排他性の適用を広く認めることは許されず,申告が錯誤に基づく場合のほか,更正の請求の手続を経ないで申告に係る課税標準・税額の減額の請求を認めることが,租税債務の安定的かつ可及的速やかな確定の要請を害さない場合には,当該請求をすることも認められるべきであるとした上で,課税庁により増額更正がされ,その内容が,①申告に係る課税標準の一部取消しと,②新たに認定された課税要件事実に基づく課税標準の加算から成り立っている場合において,②の加算部分の取消しを求めて争うときは,判決等によって当該訴訟が終了するまでの間は,当該納税者の租税債務は確定しないのであるから,①の更正の請求を経ていない申告に係る課税標準の一部取消しを求めることを認めても,租税債務の早期確定を害さず,更正の請求の原則的排他性の趣旨には抵触しないのであり,他方,このような場合に①の申告に係る課税標準・税額の一部取消しの請求を認めないとすれば,当該増額更正が違法な処分であっても,これによる税額が当初申告のそれを上回らない部分 については取り消されないことになって,違法な行政処分の結果の一部が是認されることになってしまい,不当で ば,当該増額更正が違法な処分であっても,これによる税額が当初申告のそれを上回らない部分 については取り消されないことになって,違法な行政処分の結果の一部が是認されることになってしまい,不当であるから,当該課税標準・税額の一部取消しの請求を認めるべきであると主張する。しかしながら,通則法が,過大な申告の是正手段を更正の請求に限定していることは前記(1)のとおりであるし,上記のような場合に,納税者が上記①の申告に係る課税標準・税額の一部取消しによる利益を享受できないとしても,それは,当該納税者が更正の請求をしなかったことによる結果にほかならないということができる。そして,このような結果は,ひとり課税標準・税額の一部取消しと加算から成る増額更正がされた場合のみに限らず,過大な申告がされたが更正の請求がその期間内にされなかった場合一般に生じ得るものであり,こうした結果も納税者にとって過当に不利益であるとまではいえないことからすると,通則法はそのような結果が生じることも当然予定しているものと解されるのであって,原告の上記主張を採用することはできない。 また,原告は,確定申告と増額更正との関係についてのいわゆる吸収説を前提とすると,増額更正処分は,申告を白紙に戻して税額を全体として確定し直す行為であるから,増額更正処分がされることにより,更正の請求の対象となるべき確定申告は消滅し,更正の請求によっては課税標準や税額の軽減等を求めることはできず,論理的にみて,更正の請求の原則的排他性も消滅する旨主張する。しかしながら,訴訟の段階における申告と増額更正との関係をいかに解するにせよ,申告に係る課税標準等又は税額等が過大である場合には,当該申告後に増額更正がされた場合であっても,所定の期間内である限りいまだ更正の請求によってその是正を求めることがで の関係をいかに解するにせよ,申告に係る課税標準等又は税額等が過大である場合には,当該申告後に増額更正がされた場合であっても,所定の期間内である限りいまだ更正の請求によってその是正を求めることができることは通則法の規定するところであるから(通則法23条1項柱書括弧書参照),この点において原告の上記主張はその前提を欠くといわざるを得ない。 また,前記のとおり,法及び通則法は,法人税につき申告納税制度を採用して,納付すべき税額は納税者のする申告により確定することとし,増額更正は,この申告によって既に確定した納付すべき税額に係る部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない旨規定しているのであって(通則法29条1項),原告の上記主張は これらの規定にも反するといわざるを得ない。 以上のとおりであるから,原告の上記主張を採用することはできない。 (3)以上によれば,更正の請求の方法以外にその是正を許さないならば納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がない限り,更正の請求の手続を経ることなく,更正処分の取消訴訟において申告に係る課税標準等又は税額等を超えない部分の取消しを請求することは許されないところ,前記前提事実によると,原告は,平成16年7月30日に原告の本件事業年度の法人税につき所得金額を1262万9329円,差引所得に対する法人税額を304万6200円とする確定申告を行い,その後,平成17年2月28日に生野税務署長から本件更正処分を受けたが,上記確定申告については,法定の期間内に更正の請求をしていないというのであり,証拠上,更正の請求の方法以外にその是正を許さないならば原告の利益を著しく害すると認められる特段の事情もうかがわれない。そうすると,本件訴え中,本件更正処分のうち申告額を超えない部分,すなわち,本件更正処分のうち 請求の方法以外にその是正を許さないならば原告の利益を著しく害すると認められる特段の事情もうかがわれない。そうすると,本件訴え中,本件更正処分のうち申告額を超えない部分,すなわち,本件更正処分のうち,所得金額1262万9329円,差引所得に対する法人税額304万6200円を超えない部分の取消しを求める部分については不適法であるといわざるを得ず,同部分は却下を免れない。 争点②(令134条の2の有効性)について(1)法65条についてアおよそ民主主義国家にあっては,国家の維持及び活動に必要な経費は,主権者たる国民が共同の費用として代表者を通じて定めるところにより自ら負担すべきところ,憲法は,上記のような見地から,その30条において,国民は,法律の定めるところにより,納税の義務を負う旨規定し,84条において,あらたに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,法律又は法律の定める条件によることを必要とする旨規定し,いわゆる租税法律主義を定めている。そして,前記のような租税法律主義の趣旨に照らせば,租税を創設し,改廃するのはもとより,納税義務者,課税標準及び税率等の課税要件並びに租税の賦課徴収の手続についても,法律にお いて明確に定めることが必要であると解される(最高裁昭和28年(オ)第616号同30年3月23日大法廷判決・民集9巻3号336頁,最高裁昭和55年(行ツ)第15号同60年3月27日大法廷判決・民集39巻2号247頁参照)。 もっとも,租税法規は,複雑かつ多様な経済事象をその規律の対象とするものであり,課税の公平及び徴税の適正等の観点から専門的,技術的かつ細目的な規定を設ける必要があるとともに,上記のような経済事象の変動に即応する必要があるところ,このような租税法規の性格に照らせば,課税要件等の細部についてまですべて法律 観点から専門的,技術的かつ細目的な規定を設ける必要があるとともに,上記のような経済事象の変動に即応する必要があるところ,このような租税法規の性格に照らせば,課税要件等の細部についてまですべて法律において規定することは実際上困難であって,憲法も,課税要件等の規定について,一定範囲において政令に委任することも許容しているものと解される。しかしながら,このように,課税要件等の規定について政令に委任すること自体は許されるとしても,憲法が定める前記租税法律主義の趣旨からすれば,課税要件の具体的内容の定めを包括的に委任するようないわゆる一般的白紙的委任は許されないと解され,課税要件等に係る基本的事項については法律において定めることを要し,政令その他の下位法令に委任することが許されるのはその技術的細目的事項に限られるものというべきであり,また,委任を認める法律自体から委任の範囲が明確に読み取れることを要するものというべきである。 イ以上の観点から法65条による委任について検討するに,法は,課税標準及びその計算について,21条において,内国法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は,各事業年度の所得の金額とする旨規定して法人税の課税標準を定め,22条1項において,内国法人の各事業年度の所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする旨規定し,同条2項において,内国法人の各事業年度の益金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資本等取引を除く取引に係る当該事業年度の収益の額とする旨規定して,益金の内容及び帰属年度に関する基本原則を明らかにし,同条3項において,内国法人の各事業年度の損金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,①当該事業年度の収益に係る売上原価,完成工事原価そ の内容及び帰属年度に関する基本原則を明らかにし,同条3項において,内国法人の各事業年度の損金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,①当該事業年度の収益に係る売上原価,完成工事原価その他これ らに準ずる原価(売上原価等)の額,②①のほか,当該事業年度の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。),及び,③当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るものとする旨規定して,損金の内容及びその帰属年度についての基本原則を明らかにし,同条4項において,同条2項に規定する当該事業年度の収益の額及び同条3項各号に掲げる額は,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする旨規定し,法2編1章1節3款ないし7款(23条ないし64条)において,個別具体的な経済事象ごとに,各事業年度の益金又は損金の額への算入の可否,範囲及びその帰属年度等について詳細に規定し,65条において,「各事業年度の所得の金額の計算の細目」との見出しの下に,法2編1節2款から同節7款まで(所得の金額の計算)に定めるもののほか,各事業年度の所得の金額の計算に関し必要な事項は,政令で,定める旨規定している。 以上のように,法は,22条1項において,課税標準である各事業年度の所得の金額が当該事業年度の益金の額と損金の額から算定されることを定めて,益金及び損金の各額が課税標準の基礎となることを定めているところ,このように課税標準の要素を成す益金と損金については,22条2項及び3項においてその内容及び帰属年度についての基本原則を定め,23条ないし64条において各経済事象に応じた益金及び損金の内容及び帰属年度について個別に詳細に定めているのである。このような法の規定内容に加えて,法人税については租税特別措置法 ての基本原則を定め,23条ないし64条において各経済事象に応じた益金及び損金の内容及び帰属年度について個別に詳細に定めているのである。このような法の規定内容に加えて,法人税については租税特別措置法その他の法律においても個別の経済事象に応じて益金及び損金の内容及び帰属年度等について具体的に規定していることなどに照らせば,法は,益金及び損金の内容及びその帰属年度に関しては,法22条ないし64条その他の法律においてこれを規律して,政令その他の下位法令においてこれらとは異なった益金又は損金の内容又は帰属年度に関する定めを置くことを予定していないものと解するのが素直である。また,前記のとおり,課税要件等の規定について政令に委任することが許容されるとしても,当該課税要件等の基本的事項については法律において定めることを要するところ, 益金及び損金の内容及び帰属年度は上記のとおり正に課税要件の一つである課税標準の要素を成す基本的事項というべきであるから,これらにつき法とは異なる定めを置くことを法が政令に委任しているとは解し難い。これらに加え,法65条は,その見出しが「各事業年度の所得の金額の計算の細目」とされていることなども併せ考えると,法65条は,法2編1章1節2款ないし7款(22条ないし64条)が規定する内容について,その技術的,細目的事項を定めることを政令に委任した規定であると解するのが相当である。そして,法65条について上記のように解する限りにおいて,同条は,法律において基本的事項を定めた上で政令にその細目的事項を規定することを委任するものということができ,また,法22条ないし64条の各規定と併せれば,その委任の範囲が明確に読み取れるから,租税法律主義に反するものではないというべきである。 ウこれに対し,被告は,法65条による委任の趣旨 ことができ,また,法22条ないし64条の各規定と併せれば,その委任の範囲が明確に読み取れるから,租税法律主義に反するものではないというべきである。 ウこれに対し,被告は,法65条による委任の趣旨目的は,税の計算については,それが各種の法律と関連するほか,具体的な経済の内容に関連し,さらに技術的な会計の処理に関連するところが大きく,その内容が極めて複雑であり,また技術的にも子細にわたるもので,その大綱を法律をもって定め,この細目を政令で補うことが必要であること,加えて,経済は常に動いているものであって,税に関連する新しい問題がいくつか常に生起しているから,直ちに法律によってその内容を規定するまでもなく,既に法律によって規定された事項から明らかに法律の趣旨が推定できる場合には,その技術的な内容について,一般的な委任を行うことが許されてしかるべきであり,また,それが客観的には必要であることにあり,このことは,同条が,大綱的な所得の金額の計算に関する「第2款から前款まで(所得の金額の計算)」の諸規定に加えて,さらにその「細目」について「必要な事項」を定める旨を規定していること,同条が法22条2項及び3項の「別段の定め」に位置付けられていることにより明確にされている旨主張する。 しかしながら,被告の上記主張が,法人税の課税標準についての法2編1節2款から7款までに規定する事項と異なる事項であっても既に法律によって規定された 事項から法律の趣旨が推定できる場合にはその技術的な内容を定めるものとして法65条を根拠に政令でもって当該事項を定めることができ,その内容が法22条が各事業年度の所得の金額の計算の通則として定める内容と異なるものとなっても,同条2項ないし3項にいう「別段の定め」として許されるという趣旨のものであるとすれば,それはすなわち ,その内容が法22条が各事業年度の所得の金額の計算の通則として定める内容と異なるものとなっても,同条2項ないし3項にいう「別段の定め」として許されるという趣旨のものであるとすれば,それはすなわち法の明文の規定を欠く課税要件の基本的事項について法の趣旨のみを根拠に政令でもってこれを定めることを許容するものにほかならないから,課税標準及び税率等の課税要件については法律において明確に定めなければならないとする前記租税法律主義(課税要件明確主義)の要請に反するものといわざるを得ないところ,法65条が上記のような憲法の定める租税法律主義に明確に反する趣旨を定めた規定であると解するのは不合理である上,その文言等に照らしても,被告の主張するような趣旨を読み取るのは困難というほかない。 この点,被告は,平成10年法律第24号による改正前の法人税法54条1項は,賞与引当金の損金の額への算入を規定していたが,平成10年度税制改正に当たり,課税の明確性,統一性を図る観点から,賞与については,原則として実際に支給した日の属する事業年度の損金の額に算入するものとし,賞与引当金を廃止することとして,上記平成10年法律第24号により改正前の法人税法54条(賞与引当金)の規定が削除されたのであり,このような賞与引当金制度廃止の経緯及び平成10年法律第24号の規定からは,上記改正後の法人税法(法)の趣旨は,使用人に対する賞与が売上原価等の1号費用に該当するのか,販売管理費等の2号費用に該当するのかを問うことなく,一律に,法22条3項各号の規定の適用を排除し,課税の明確性,統一性を図るため,原則として,それを実際に支払った日の属する事業年度の損金の額とするという点にあることは明らかであり,令134条の2は,法の上記趣旨に基づいて,使用人賞与について,実際に支払った日の属 性を図るため,原則として,それを実際に支払った日の属する事業年度の損金の額とするという点にあることは明らかであり,令134条の2は,法の上記趣旨に基づいて,使用人賞与について,実際に支払った日の属する事業年度の損金の額とするという原則を明文化し,その専門技術的な細目を定めたものであるから,法65条による委任の範囲内である旨主張する。 平成10年法律第24号による改正前の法人税法54条1項は,「賞与引当金」 として,「内国法人が,その使用人及び第35条第5項(役員賞与等の損金不算入)に規定する使用人としての職務を有する役員に対して支給する同条第4項に規定する賞与(以下この項において「賞与」という。)に充てるため,各事業年度において損金経理により賞与引当金勘定に繰り入れた金額については,当該金額のうち,これらの者につき当該事業年度終了の日の属する年において同日までに支給された賞与の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額は,当該事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する。」と規定していたところ,当該規定内容は,法22条3項が法人税の課税標準の要素を成す損金の金額の計算について通則として定める規定内容とはその基本的考え方を異にするものであって,課税標準の基本的事項に係るものであり,そうであるからこそ,同項にいう「別段の定め」として法人税法(平成10年法律第24号による改正前のもの)中に明文の規定が置かれていたものということができる。そうすると,平成10年法律第24号により当該規定が削除された経緯からは,使用人賞与に係る損金の額の計算については法22条3項の通則的規定に従うという趣旨が読み取れるにすぎず,それを超えて,使用人賞与に係る損金の額の計算について法22条3項の規定内容とその基本的考え方を異にする に係る損金の額の計算については法22条3項の通則的規定に従うという趣旨が読み取れるにすぎず,それを超えて,使用人賞与に係る損金の額の計算について法22条3項の規定内容とその基本的考え方を異にする取扱いを政令でもって定めることを許容する趣旨を読み取るのは困難というべきである。のみならず,令134条の2の規定内容が使用人賞与の性格に即して法22条3項の規定内容を具体化したものでああって,同項の規定内容とその基本的考え方を異にする内容を定めたものではないと合理的に解することができることは,後に説示するとおりである。 以上のとおりであるから,被告の前記主張を採用することはできない。 (2)令134条の2についてア上記(1)において説示したとおり,法65条は,法2編1章1節2款ないし7款(22条ないし64条)に規定する内容について,その技術的,細目的事項を定めることを政令に委任した規定であって,法22条2項及び3項の「別段の定め」には該当しないものと解される。したがって,令134条の2が法律の委任の範囲 内にあるといえるためには,同条が,法22条ないし64条の規定内容についての技術的,細目的事項を定めたものといえることが必要である。そして,法23条ないし法64条においては,法35条3項が,内国法人が,各事業年度においてその使用人に対し賞与を支給する場合において,その賞与の額につきその確定した決算において利益又は剰余金の処分による経理(利益積立金額をその支給する賞与に充てる経理を含む。)をしたときは,その経理をした金額は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない旨規定するほか,使用人に対する賞与に係る損金の額の計算について定めた規定は存しないから,結局,同項に規定する経理がされていない使用人に対する賞与の損金算入 の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない旨規定するほか,使用人に対する賞与に係る損金の額の計算について定めた規定は存しないから,結局,同項に規定する経理がされていない使用人に対する賞与の損金算入時期につき規定する令134条の2が法律の委任の範囲内であるか否かは,同条が,損金の額の計算についての基本原則を定める法22条3項の技術的,細目的事項を定めたものといえるか否かによって決せられることになる。 イそこで検討するに,証拠(乙2ないし4,6,7,11)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 (ア)賞与は,通常,就業規則等において,夏期賞与と年末賞与の2回に分けて,おおよその支給時期と,組合があれば組合と交渉して額を定める旨,そうでなければ,会社の業績等を勘案して(使用者が)定める旨記載される。また,会社の業績の著しい低下などがある場合には支給を延期したり支給しないことがあると定められる。そして,賞与の額は,基本給にその時々の状況で決まる係数(何か月分)を乗じ,さらに支給対象期間の出勤率及び成績係数(成績査定によるもの)を乗じて算定するというのが典型であり,このような賞与は,基本的には支給対象期間の勤務に対応する賃金ではあるが,そこには,功労報償的意味のみならず,生活補填的意味及び将来の労働への意欲向上策としての意味が込められているとされる。 賞与の請求権は,就業規則によって保障されているわけではなく,労使の交渉又は使用者の決定により算定基準,方法が定まり,算定に必要な成績査定もされて初めて発生するが,算定基準,方法が決定されている場合には,それに従って成績査 定を実施するように請求することができるし,査定を行わない場合には当該労働者にとって確実に得られるはずの査定点による請求もすることができるとされている(乙 れている場合には,それに従って成績査 定を実施するように請求することができるし,査定を行わない場合には当該労働者にとって確実に得られるはずの査定点による請求もすることができるとされている(乙11)。 また,賞与については,就業規則等において,支給日又は一定の基準日に在籍する者にのみ支給するといった扱いがされることも多く(このような賞与支給の要件を以下「支給日在籍要件」という。),このような場合には,当該支給日等に在籍しない者に対しては賞与は支給されないこととなる。そして,少なくとも,自発的退職者については,就業規則においてこのような支給日在籍要件を設けることも不合理であるとまではいえず有効であると解されている(最高裁昭和56年(オ)第661号同57年10月7日第一小法廷判決・判例時報1061号118頁参照)。 (イ)前記のとおり,平成10年法律第24号による改正前の法人税法においては,使用人賞与について,損金経理により賞与引当金勘定に繰り入れた金額のうち政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額を当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入するものとされていた。この賞与引当金は,決算期末において具体的に債務は確定していないが,当期中の勤務に対する賞与は,当期の収益に負担させるべきであるとの考え方から設けられていたものであるところ,税制調査会法人課税小委員会の平成8年11月付け法人課税小委員会報告(乙4。 以下「法人課税小委員会報告」という。)において,賞与については,賃金そのものではなく,利益分配としての性格を有するといった見方があり,また,我が国における安定的な賞与の支給慣行からみると,賃金の後払い的な性格も否定することができないが,賞与は,一般に,支給される金額が前もって決まっているものではないことから,実際に支 方があり,また,我が国における安定的な賞与の支給慣行からみると,賃金の後払い的な性格も否定することができないが,賞与は,一般に,支給される金額が前もって決まっているものではないことから,実際に支給された賞与がどの期間に対応する費用であるかという点は必ずしも明確ではなく,こうした視点からみると,上記改正前の法人税法の下における制度については,次のような問題があるとされていた。 ①賞与の支給規程がなく,その時々の状況に応じて,一定額の賞与を支給しているような場合には,支給する賞与の額とそれを負担すべき期間との関係が極めて あいまいであるところ,このような場合にも,暦年基準による引当てが可能となっている。 ②支給対象期間が定められている場合であっても,賞与は,通常,支給対象期間に在職していたというだけでは支払われず,賞与支給日等に在職して初めて支払われ,また,実際に支給される賞与の額は,過去の支給実績を基に,支給対象期間の業績だけでなく,法人の財政状態や将来の業績見通し,さらには他社の支給状況等を総合的に勘案し,多くは年1回の労使交渉等を経て決定されており,費用(賞与)の期間配分という観点からみて,実際に支給する賞与の額と支給対象者の選択基準である支給対象期間とは,不可分の関係にあるとはいい難く,特に,支給対象期間と実際の賞与支給日とが大きく離れている場合には,支給する賞与とそれを負担すべき期間との関係がさらにあいまいとなる。 ③支給対象期間基準については,同じ決算期で同じ時期に賞与を支給することとしている場合であっても,賞与の支給対象期間をどう定めるかによって引当金の計上額に差が生じるという問題がある。一方,決算期が異なっていても支給対象期間を事業年度の上期と下期に合わせると,各法人とも,6か月分に相当する引当金を計上することが をどう定めるかによって引当金の計上額に差が生じるという問題がある。一方,決算期が異なっていても支給対象期間を事業年度の上期と下期に合わせると,各法人とも,6か月分に相当する引当金を計上することができることになる。現に2月決算法人であっても,夏季の賞与として,6か月分を計上している例が見受けられる。 その上で,上記報告においては,賞与は,一般的にあらかじめ支給する金額が定まっておらず,また,それを費用として負担すべき期間も必ずしも明確でないことから,このような費用は,たとい賃金の後払い的な性格を有するとしても,課税の公平性,明確性を期する観点から,引当金の繰入れによるのではなく,実際に支払った日の属する事業年度の損金の額とする取扱いに改めることが考えられ,その旨を法令で明確にすれば,未払費用としての計上が可能か否かといった実務上の混乱も避けられると考えられるが,この点については,法人税の課税所得計算の基本的な考え方からして,賞与についてのみ未払費用の計上を認めないのは適当ではないとの意見,多くの企業は,労働協約において支給時期,支給額の算定方法等を具体 的に定め,たとい赤字であっても支払うこととしている等賞与を賃金の後払い的なものとして認識しているのが実態であり,課税上もこうした実態に即した取扱いとすべきであって,長年にわたり定着してきた賞与引当金は今後とも維持すべきであるとの意見,賞与を賃金の後払いとみる考え方は維持しつつ現行の支給対象期間基準を廃止する等の見直しを行うことにより実質的な公平を確保することとしてはどうかとの意見があったとされる。 (ウ)平成10年法律第24号による法人税法の改正(平成10年度税制改正)は,前記法人課税小委員会報告において示された基本的方向を受けて行われたものであるとされ,課税ベースの見直しの視点と れる。 (ウ)平成10年法律第24号による法人税法の改正(平成10年度税制改正)は,前記法人課税小委員会報告において示された基本的方向を受けて行われたものであるとされ,課税ベースの見直しの視点として,費用又は収益の計上時期の適正化,保守的な会計処理の抑制等と並んで,債務確定主義の徹底が挙げられており,債務確定主義の徹底として,引当金については,利益の有無等によって必ずしも計上されていない例もみられるほか,支出額を適切に見積もることが容易ではなかったり,支出が見込まれるとしても相当長期間経過後に発生するもの,費用計上時期の特定が明確でないものなど,当期に損金算入することが必ずしも適当とはいい難いものも見受けられ,課税の適正化の観点からは,支払が不確実な費用や長期間経過後に発生する費用の見積計上は,これを極力抑制することが適当と考えられるといった基本的考え方が示されている(国税庁「平成10年改正税法のすべて」。乙6)。そして,平成10年法律第24号による法人税法54条1項の削除の趣旨については,賞与については,所得計算上これを賃金と同様に取り扱うのがよいのかどうか,企業が賞与の支給対象期間を定めているとしても,別途支給基準日を定めているのが通例であり,支給対象期間が賞与という費用を負担させるべき期間として妥当なのかどうかといった問題の指摘があることから,課税の明確性,統一性を図る観点から,賞与については,原則として,実際に支給をした日の属する事業年度の損金の額に算入することとされたと説明されている(国税庁「平成10年改正税法のすべて」。乙3)。 ウ令134条の2が規律の対象とする賞与は,法35条4項に規定する賞与, すなわち,役員又は使用人に対する臨時的な給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含む。)のうち,他に定期の給 ウ令134条の2が規律の対象とする賞与は,法35条4項に規定する賞与, すなわち,役員又は使用人に対する臨時的な給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含む。)のうち,他に定期の給与を受けていない者に対し継続して毎年所定の時期に定額(利益に一定の割合を乗ずる方法により算定されることとなっているものを除く。)を支給する旨の定めに基づいて支給されるもの及び退職給与以外のものをいうところ,以上認定説示したところによれば,令134条の2にいう使用人に対して支給する賞与に該当するもの(以下「使用人賞与」という。)の多くは法22条3項2号に掲げる当該事業年度の販売費,一般管理費その他の費用に該当すると考えられるが,同項1号に掲げる当該事業年度の収益に係る売上原価,完成工事原価その他これらに準ずる原価(売上原価等)に該当するものもあり得ると考えられるので,以下,令134条の2の規定内容が法22条3項1号又は2号の規定内容に係る技術的,細目的事項を定めたものとして法の委任の範囲内といえるか否かについて順に検討する。 エ法22条3項2号との関係について(ア)法22条3項2号は,各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額として,同項1号に掲げるもののほか,当該事業年度の販売費,一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額を掲げ,費用の帰属年度についてのいわゆる債務確定基準を定めている。このように,同号が債務確定基準を採用しているのは,債務として確定していない費用については,その発生の見込み及びその金額が明確ではなく,このような費用を損金の額に算入することを認めると,所得の金額の計算が不明確となることから,課税の公平を確保するために,このような費用の損金 用については,その発生の見込み及びその金額が明確ではなく,このような費用を損金の額に算入することを認めると,所得の金額の計算が不明確となることから,課税の公平を確保するために,このような費用の損金の額への算入を否定したものであると解される。この点,法人税基本通達2-2-12は,法22条3項2号の償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは,別に定めるものを除き,(1)当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること,(2)当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること,及び (3)当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること,以上の要件のすべてに該当するものとする旨規定しているが,前記債務確定基準の趣旨に照らして,同通達の定める基準は合理的なものであるということができる。 他方,令134条の2は,内国法人が各事業年度においてその使用人に対して支給する賞与(使用人賞与)の額は,同条各号に掲げる賞与の区分に応じ,当該各号に定める事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する旨規定し,同条1号は,労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額の通知がされているもので,かつ,当該支給予定日又は当該通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理をしているものに限る。)につき,当該支給予定日又は当該通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度と定め,同条2号は,イその支給額を,各人別に,かつ,同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること,ロ同通知をした金額を当該通知をしたすべての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1 支給額を,各人別に,かつ,同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること,ロ同通知をした金額を当該通知をしたすべての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払っていること,及び,ハその支給額につき前記通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること,以上のすべての要件を満たす賞与につき,使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度と定め,同条3号は,同条1号及び2号に掲げる賞与以外の賞与(法35条3項に規定する経理がされているものを除く。)につき,その支給をした日の属する事業年度と定めている。この規定は,使用人賞与については,原則として,実際に支給をした日の属する事業年度の損金の額に算入する(同条3号)こととしつつ,その例外として,内国法人が資金繰りが悪化している等の事情で賞与が未払状態になっている場合には,たとい未払であっても損金の額に算入することとし(同条1号),また,一般に,賞与はその支給額を通知するのとほぼ同時に支給されるのが慣行となっているものの,事業年度末において各人別に支給額が通知され,たまたま支給が遅れているような場合にまで一切損金算入を認めないのは適当でないことから,一定範囲で通知 をした日の属する事業年度においても損金の額に算入することを認めた上で,取扱いの統一性を確保し恣意性を排除する観点から,各人別に,かつ,同時期に支給を受けるすべての使用人に対して支給額を通知していること,1月以内の支給及び損金経理を要件として規定した(同条2号)ものと解される。 ところで,使用人賞与は,使用者である法人との間の法律関係に基づいて支給される給与の一種ではあるが,これを支給するか否か,どの範囲の者に対し(支給対象者)どのような要件の下に(支給要件)支給するか,そ ころで,使用人賞与は,使用者である法人との間の法律関係に基づいて支給される給与の一種ではあるが,これを支給するか否か,どの範囲の者に対し(支給対象者)どのような要件の下に(支給要件)支給するか,その具体的な金額をどのように決定するか(具体的な金額の決定基準)等の事項は,労働契約等支給当事者間を規律する法律関係の定めにゆだねられており,就業規則や労働協約においてその基本的事項が定められていることが多いと考えられるものの,成文の規定を欠いたまま慣行によって規律されているものも少なくないと考えられ,具体的な賞与の性格及び賞与に係る当事者の権利義務関係には多様なものが存在し,これを一律に把握することはその性質上できないものである。しかしながら,前記認定事実によれば,多くの場合,就業規則等において,賞与は,臨時的な給与として位置づけられ,支給対象期間,これと異なる支給時期(支給日ないし支給基準日),支給日在籍要件等が定められた上,その支給の有無ないし具体的な支給金額は,当該法人の支給対象期間等に係る業績ないし支給当時の財務状況等に連動させられるとともに,支給対象者の支給対象期間における勤務実績等が反映されるものとされ,基本的にその決定は使用者である法人の経営上,人事上の裁量判断にゆだねる仕組みが取られており,各使用人に対する具体的な賞与の支給額はその支給時に同時に通知されているのが実情であるということができ,使用人賞与の性質については,賃金の後払い的性格を含むものであることは否定することができないものの,利益配分的性格,生活保障的性格ないし功労報償的性格等をも含むものということができる。令134条の2の規定も,現存する法人の使用人賞与に関する制度及びその運用の実情並びに賞与の性格を以上のようなものととらえた上で所定の規律を定めていることは,同 格等をも含むものということができる。令134条の2の規定も,現存する法人の使用人賞与に関する制度及びその運用の実情並びに賞与の性格を以上のようなものととらえた上で所定の規律を定めていることは,同条及び法35条4項の規定の文言並びに前記認定の使用人賞与の損金算入に係る 平成10年度税制改正の経緯等から明らかである。このような賞与の仕組み等にかんがみると,具体的な賞与の支給に係る法人とその使用人との間の権利義務関係(債権債務関係)は,少なくとも当該法人において個々の使用人ごとの具体的な賞与の支給額を最終的,確定的に決定した上これを外部に表示した時点で初めて成立すると解され,前記のとおり,多くの場合,賞与の支給要件として支給日在籍要件が定められるとともに,各使用人に対する具体的な賞与の支給額はその支給時に同時に通知されているという実情の下においては,具体的な賞与の支給に係る法人の債務(使用人の債権)は,当該賞与の支給時に成立するとともに,法人税基本通達2-2-12の定める基準をすべて満たすものとして,確定するものと解される。 もっとも,前記認定のとおり,就業規則,労働協約等において賞与の支給時期,支給額の算定方法等を具体的に定めた上,たとい赤字であってもこれを支給している法人も多いと考えられるほか,そのような具体的な成文の定めを欠く法人であっても,賞与の支給時期,支給額の算定方法等についての具体的な基準が慣行として確立し,これに従った支給が行われている場合も少なくないと考えられる。しかしながら,当該法人の業績ないし財務状況や当該使用人の勤務実績等とは一切無関係に所定の基準により算定される額の賞与を支給するものとするなど賞与の支給の有無及び具体的な支給額の決定における法人の経営上,人事上の裁量の余地をおよそ認めないような賞与は,前記説示の とは一切無関係に所定の基準により算定される額の賞与を支給するものとするなど賞与の支給の有無及び具体的な支給額の決定における法人の経営上,人事上の裁量の余地をおよそ認めないような賞与は,前記説示の一般的な賞与の性格とは基本的に相いれないものといわざるを得ないのであって,そのような賞与の定め方をしている法人は現実には極めてまれであると考えられる。他方で,就業規則,労働協約等において賞与の支給額の算定基準等が具体的に定められ,当該基準等に基づいて算定された額の賞与が当該法人の業績の多少の変動のいかんにかかわらず所定の時期に慣行的に支給されているような場合であっても,賞与の支給の有無及び具体的な支給額の決定における当該法人の経営上,人事上の裁量の余地が残されている限り,上記のとおり,当該法人において個々の使用人ごとの具体的な賞与の支給額を最終的,確定的に決定した上これを外部に表示した時点で初めて具体的な賞与の支給に係る法人と その使用人との間の債権債務関係が成立するものと解されるのである。 そうすると,使用人賞与の損金算入時期について原則としてその支給をした日の属する事業年度の損金の額に算入すべきものとする令134条の2の規定は,多くの場合において個々の使用人賞与の支給に係る法人の具体的な債務が当該賞与の当該使用人への支給と同時にされる通知をもって(当該法人による当該賞与の支給についての最終的,確定的意思決定の外部への表示として)成立し確定するという我が国の実情に即して,債務確定基準に従ってその損金算入時期を当該賞与に係る債務の確定する支給日の属する事業年度と定めたものであって,正に法22条3項2号の規定内容を使用人賞与に即して具体的に明らかにしたものということができる(賞与についてのこのような取扱いは,費用等の計上時期の適正化,保守的な する事業年度と定めたものであって,正に法22条3項2号の規定内容を使用人賞与に即して具体的に明らかにしたものということができる(賞与についてのこのような取扱いは,費用等の計上時期の適正化,保守的な会計処理の抑制,債務確定主義の徹底等の見地から使用人賞与について引当金制度を廃止した前記平成10年度税制改正の趣旨に沿うものということができる。)。また,令134条の2第1号に掲げる賞与については,労働協約又は就業規則により定められた支給予定日が到来し,かつ,使用人にその支給額が通知されている場合は,現実にその支給がされていなくても,当該支給予定日又は当該通知をした日のいずれかの時点(多くの場合はその遅い日)をもって,当該法人による当該賞与の支給についての最終的,確定的意思決定が外部に表示されたものとして,当該賞与の支給に係る当該法人の債務が成立し確定すると解され,同条2号に掲げる賞与についても,その支給額が各使用人別に,かつ,同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知され,当該通知に係る金額が当該通知をしたすべての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払われている場合は,当該通知の時点において当該法人による当該賞与の支給についての最終的,確定的意思決定が外部に表示されたものとして,当該賞与の支給に係る当該法人の債務が成立し確定すると解されるから,これらの規定も,債務確定基準に従ってこれらの要件に該当する賞与についての損金算入時期を定めたものであって,同様に法22条3項2号の規定内容をこれらの賞与に即して具体的に明らかにしたものとい うことができる。 そうであるとすれば,令134条の2の規定は,法22条3項2号の定める債務確定基準と基本的に異なる考え方に立脚した規定ではなく,我が国における使用人賞 に明らかにしたものとい うことができる。 そうであるとすれば,令134条の2の規定は,法22条3項2号の定める債務確定基準と基本的に異なる考え方に立脚した規定ではなく,我が国における使用人賞与支給の実情を踏まえた上で,正に同号の定める債務確定基準に従って,我が国に多くみられる使用人賞与の支給態様に即してその損金算入時期を具体的に定めたものということができ,その意味において,同号の規定内容を使用人賞与について具体的に明らかにした技術的,細目的規定ということができる。 もっとも,前記のとおり,現実に存在する法人の使用人賞与に関する具体的な制度は多様であって,これを一律に把握することはその性質上不可能である上,賞与の支給に係る法人の具体的な債務の成立及び確定の時期は,あくまでも使用人賞与に関する個別具体的な制度に則して認定されるべきものであり,我が国の実情に照らして多くの場合賞与の支給に係る法人の具体的な債務はその支給の日に成立し確定すると解されるものの,そのように解することのできない場合も少なからず存在していると考えられるのであり,令134条の2第1号及び第2号がそのような場合のすべてを網羅する規定になっていないことは,その規定内容等からも明らかである(労働協約又は就業規則により定められた支給予定日が到来する前に使用人にその支給額が通知されている場合であっても,当該通知の時点で当該賞与の支給に係る法人の具体的な債務が成立し確定していると解される場合も考えられ,また,賞与の支給額が各使用人別に,かつ,同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知されている場合において,当該通知に係る金額が当該通知をしたすべての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月を超えて支払われているときであっても,当該通知の時点で当該賞与 知されている場合において,当該通知に係る金額が当該通知をしたすべての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月を超えて支払われているときであっても,当該通知の時点で当該賞与の支給に係る法人の具体的な債務が成立し確定していると解される場合も考えらるところである。)。しかるに,令134条の2は,同条にいう使用人賞与について一律にその損金算入時期を規律する趣旨のものであることが明らかであるから,同条の規定は,その1号から3号までに掲げる日以外の時点で当該賞与の支給に係る法人の具体的な債務が確 定する賞与に適用される限りにおいて,法22条3項2号の定める債務確定基準と異なる基準を定めるものということになる。 しかしながら,前記のとおり,憲法は,複雑かつ多様な経済事象をその規律の対象としつつ,課税の公平及び徴税の適正等を確保するという租税法規の専門技術的性格にかんがみ,課税要件等の細部についてまですべて法律において規定することを要求するものではなく,課税要件等に係る基本的事項については法律において定めることを要するものの,その技術的,細目的事項については政令その他の下位法令において定めることを許容していると解されるのであり,その趣旨からすれば,法律において課税要件等の基本的事項を定めた趣旨を損なわない範囲において,課税の公平及び徴税の適正等の確保の見地から,これと異なる規律を設け,もって,課税の明確性,統一性を図ることも,当該基本的事項についての技術的,細目的な定めとして,租税法律主義の要請に抵触せず,許容される場合があると解される。 前記のとおり,令134条の2は,平成10年法律第24号による法人税法の改正により使用人賞与の損金算入についての賞与引当金制度が廃止されたのを受けて,我が国における使用人賞与支給の実情を踏 される。 前記のとおり,令134条の2は,平成10年法律第24号による法人税法の改正により使用人賞与の損金算入についての賞与引当金制度が廃止されたのを受けて,我が国における使用人賞与支給の実情を踏まえた上で,法22条3項2号の定める債務確定基準に従って,我が国に多くみられる使用人賞与の支給態様に即してその損金算入時期を具体的に定めるとともに,これを使用人賞与一般についての統一的な基準として規定することにより,課税の明確性,統一性を図ったものということができるから,その限りにおいて,法22条3項2号の規定内容の技術的,細目的事項を定めたものとして,法65条による委任の範囲を逸脱するものではないというべきである。 (イ)これに対し,原告は,令134条の2第2号イは,未払賞与を損金の額に算入するための要件の一つとして,同時期に支給を受けるすべての使用人に対しその支給額を通知することを定めているが,このような支払額の通知は賞与の支払請求権が確定するための要件とはいえないし,少なくとも,すべての使用人に対して通知することは,賞与の支払債務の確定とは無関係であって,上記のような要件は 法22条3項2号の規定する債務確定基準からは説明することができない旨主張する。しかしながら,賞与については,同時期に支給を受けるすべての使用人に対して同一時期に通知されるとともに支給されるのが通常であることからすると,令134条の2第2号イは,そのような賞与支給の実情に即して,賞与の支給額が各使用人別に,かつ,同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知されている場合には,その時点において現実に賞与の支給がされていない場合であっても,当該法人による当該賞与の支給についての最終的,確定的意思決定が外部に表示され,当該賞与の支給に係る当該法人の債務が成立し確定し 合には,その時点において現実に賞与の支給がされていない場合であっても,当該法人による当該賞与の支給についての最終的,確定的意思決定が外部に表示され,当該賞与の支給に係る当該法人の債務が成立し確定したものとして,法22条3項2号の定める債務確定基準に従い,その損金算入時期を当該通知をした日の属する事業年度と定めたものであるから,以上説示したところに照らしても,法22条3項2号の規定内容の技術的,細目的事項を定めたものとして,法65条による委任の範囲を逸脱するものではないというべきである。よって,原告の上記主張は採用することができない。 また,原告は,令134条の2第2号ロは,未払賞与を損金の額に算入するための要件として,同号イの通知をした金額を当該通知をしたすべての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払っていることを定めているが,債務確定基準によれば確定した債務をいつ支払うことにしようと,損金算入時期に影響はないはずであるとして,上記のような要件は債務確定基準の考え方と相いれない旨主張する。しかしながら,令134条の2は,労働協約又は就業規則により定められている支給予定日が到来している賞与については,当該支給予定日又は当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払っていない場合であっても,使用人にその支給額の通知がされていれば,損金経理がされていることを要件として,当該事業年度の損金の額に算入することを認めているのであって(1号),通知をした金額を当該通知をしたすべての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払っていることが,未払賞与を損金の額に算入するための要件となるのは,労働協約又は就業 規則において支給予定日が定められていない場合というこ をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払っていることが,未払賞与を損金の額に算入するための要件となるのは,労働協約又は就業 規則において支給予定日が定められていない場合ということになる。そして,前記のとおり,使用人賞与はその支給額を使用人に通知するのとほぼ同時に支給されるのが実情であり,同条2号が想定する場合のように,事業年度末までに各人別に支給額が通知されたものの,何らかの事情でその支給が遅れているような場合については,当該事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払われるのが通常であり,1月を超えて支払われないような賞与については,労働協約又は就業規則において支給予定日が定められていないことと相まって,これが後に支払われることが確実であるとはいい難いのであって,当該賞与に係る法人の債務が当該賞与の支給対象期間を含む事業年度の終了の日において成立し,確定していたということはできない場合も少なくないと考えられる。そうであるとすれば,同条2号の規定は,事業年度末までに使用人に対し支給額の通知がされたものの,その支給がされない使用人賞与について,その実情を踏まえた上で,法22条3項2号の定める債務確定基準に従ってその損金算入時期を具体的に明らかにしたものということができるから,令134条の2第2号ロの要件が債務確定基準の考え方と相いれないとする原告の主張は,その前提を欠くものというべきである。もっとも,前記のとおり,同号イ及びハの各要件を満たす場合において,当該通知に係る金額が当該通知をしたすべての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月を超えて支払われているときであっても,当該通知の時点で当該賞与の支給に係る法人の具体的な債務が成立し確定していると解される場合もあり得るところであり,同号の規定 する事業年度終了の日の翌日から1月を超えて支払われているときであっても,当該通知の時点で当該賞与の支給に係る法人の具体的な債務が成立し確定していると解される場合もあり得るところであり,同号の規定は,そのような賞与に適用される限りにおいて,法22条3項2号の定める債務確定基準と異なる基準を定めるものということになるが,課税の明確性,統一性を図る観点から上記のような一律的な要件を規定することも,法22条3項2号の規定内容の技術的,細目的事項に関する定めとして,法65条による委任の範囲を逸脱するものでないことは,既に説示したとおりである。よって,原告の上記主張は採用することができない。 (ウ)以上によれば,令134条の2は,法22条3項2号の規定内容の技術的, 細目的事項を定めたるものとして,法65条による委任の範囲を逸脱するものではない。 オ法22条3項1号との関係について法22条3項1号は,各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき額として,当該事業年度の収益に係る売上原価,完成工事原価その他これに準ずる原価(売上原価等)の額を掲げている。このように,同号は,特定の収益との個別的対応関係を明らかにすることができる売上原価等の帰属年度については,適正な期間損益計算を確保する観点から,収益との対応関係のみを規定し,同項2号のような債務確定基準を採用していないのであって,売上原価等を損金の額に算入するためには,当該売上原価等に該当する費用に係る債務が確定していることは要しないものと解される。もっとも,このように売上原価等に該当する費用は当該費用に係る債務が確定していない場合でも損金の額に算入することが可能であるとしても,当該費用に係る債務の額を適正に見積もることができなければこれを損金の額に算入することは困難で に該当する費用は当該費用に係る債務が確定していない場合でも損金の額に算入することが可能であるとしても,当該費用に係る債務の額を適正に見積もることができなければこれを損金の額に算入することは困難であるし,当該費用が結局支出されない可能性が大きい場合にまでこれを損金の額に算入することを認めると,当該法人の財務状況の適正な把握が困難となることなどに照らせば,売上原価等に該当する費用のうち,当該費用に係る債務が当該事業年度終了の日までに確定していないものについては,近い将来にこれを支出することが相当程度の確実性をもって見込まれており,かつ,同日の現況によりその金額を適正に見積もることが可能である場合に限り,その見積金額を当該事業年度の損金の額に算入することができると解される(前掲最高裁平成16年10月29日第二小法廷判決参照)。そして,法人税基本通達2-2-1は,法22条3項1号(損金の額に算入される売上原価等)に規定する売上原価等となるべき費用の額の全部又は一部が当該事業年度終了の日までに確定していない場合には,同日の現況によりその金額を適正に見積もるものとする,この場合において,その確定していない費用が売上原価等となるべき費用かどうかは,当該売上原価等に係る資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供に関する契約の内容,当該 費用の性質等を勘案して合理的に判断するのであるが,たとえその販売,譲渡又は提供に関連して発生する費用であっても,単なる事後的費用の性格を有するものはこれに含まれないことに留意する旨規定しており,同通達も,法22条3項1号に掲げる売上原価等の損金計上時期に関する上記解釈を前提とするものと解される。 ところで,賞与については,前記のとおり,現実に存在する法人の使用人賞与に関する具体的な制度は多様であって,これを一律に把握する る売上原価等の損金計上時期に関する上記解釈を前提とするものと解される。 ところで,賞与については,前記のとおり,現実に存在する法人の使用人賞与に関する具体的な制度は多様であって,これを一律に把握することはその性質上不可能であるが,多くの場合,就業規則等において,賞与は,臨時的な給与として位置づけられ,支給対象期間,これと異なる支給時期(支給日ないし支給基準日),支給日在籍要件等が定められた上,その支給の有無ないし具体的な支給金額は,当該法人の支給対象期間等に係る業績ないし支給当時の財務状況等に連動させられるとともに,支給対象者の支給対象期間における勤務実績等が反映されるものとされ,基本的にその決定は使用者である法人の経営上,人事上の裁量判断にゆだねる仕組みが取られており,各使用人に対する具体的な賞与の支給額はその支給時に同時に通知されているのが実情であり,そのような使用人賞与については,その支給に係る当該法人の具体的な債務は,当該賞与の使用人に対する支給と同時にされる通知をもって初めて,当該法人による当該賞与の支給についての最終的,確定的意思決定が外部に表示されたものとして,成立すると解される。そして,上記のような使用人賞与の基本的性格等にかんがみると,上記のような使用人賞与については,その支給に係る当該法人の具体的な債務が成立した時点で初めて,近い将来これを支出することが相当程度の確実性をもって見込まれ,かつ,その現況によりその金額を適正に見積もることが可能になるということができるのであって,それ以前の時点においては,近い将来にこれを支出することが相当程度の確実性をもって見込まれるとはいえず,また,その金額を適正に見積もることもできないというべきである。しかるところ,使用人賞与の損金算入時期について原則としてその支給をした日の属する ことが相当程度の確実性をもって見込まれるとはいえず,また,その金額を適正に見積もることもできないというべきである。しかるところ,使用人賞与の損金算入時期について原則としてその支給をした日の属する事業年度の損金の額に算入すべきものとする令134条の2の規定は,上記のとおり,多くの場合において個々の使用人賞与の支給に係る法人の具体的な 債務が当該賞与の当該使用人への支給と同時にされる通知をもって(当該法人による当該賞与の支給についての最終的,確定的意思決定の外部への表示として)初めて成立するものであるという実情を踏まえた上で,そのような使用人賞与については,それ以前の時点においては,近い将来にこれを支出することが相当程度の確実性をもって見込まれるとはいえず,また,その金額を適正に見積もることもできないことにかんがみ,その損金算入時期をその支給日の属する事業年度と定めたものであって,正に法22条3項1号の規定内容を使用人賞与に即して具体的に明らかにしたものであるということができる。また,令134条の2第1号及び第2号に掲げる賞与についても,それぞれ,これらの賞与に即して法22条3項1号の規定内容を具体的に明らかにしたものということができる。そうであるとすれば,令134条の2の規定は,法22条3項1号の定める基準と基本的に異なる考え方に立脚した規定ではなく,我が国における使用人賞与支給の実情を踏まえた上で,正に同号の定める基準に従って,我が国に多くみられる使用人賞与の支給態様に即してその損金算入時期を具体的に定めたものということができ,その意味において,同号の規定内容を使用人賞与について具体的に明らかにした技術的,細目的規定ということができる。 以上によれば,令134条の2は,法22条3項1号の規定内容の技術的,細目的事項を定めたものと おいて,同号の規定内容を使用人賞与について具体的に明らかにした技術的,細目的規定ということができる。 以上によれば,令134条の2は,法22条3項1号の規定内容の技術的,細目的事項を定めたものとして,法65条による委任の範囲を逸脱するものではない。 カ小括以上によれば,令134条の2は,法65条による委任の範囲内であると認められるから,同条が無効であるということはできない。 本件各処分の適法性について以上のとおり,令134条の2は法の委任の範囲を逸脱するものではなく有効であるから,原告のその使用人に対する賞与を本件事業年度の損金の額に算入することができるか否かは同条によって判断すべきところ,前記前提事実によれば,原告は,平成16年5月31日までにその使用人に対する各人別の賞与支給額を決定し てはいたものの,実際に本件賞与を支給したのは本件事業年度終了後の同年7月16日であり,しかも,原告は,本件賞与の支給前には,本件賞与の各人別の支給金額について,各人別に,かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知してはいなかったというのであるから,本件賞与を本件事業年度の損金の額に算入することはできないことになる。したがって,本件賞与の額を本件事業年度の損金の額に算入することができないものとしてした本件更正処分は令134条の2の解釈適用を誤ったものということはできず,他に本件更正処分が違法であることをうかがわせる事情は本件記録上認められないから,本件更正処分は適法である。 また,本件賦課決定処分は,本件更正処分を前提としているところ,本件更正処分が適法であることは前記のとおりであって,過少申告加算税の額の計算にも違法な点は認められないから,本件賦課決定処分も適法である。 結論 以上によれば,本件訴え中,本件更正処分のうち所得金額 正処分が適法であることは前記のとおりであって,過少申告加算税の額の計算にも違法な点は認められないから,本件賦課決定処分も適法である。 結論 以上によれば,本件訴え中,本件更正処分のうち所得金額1262万9329円,差引所得に対する法人税額304万6200円を超えない部分の取消しを求める部分は,不適法であるから,これを却下すべきであり,その余の部分に係る原告の請求は,いずれも理由がないから,これを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎裁判官徳地淳 裁判官釜村健太 本件各処分の適法性 所得金額(1)申告所得金額1262万9329円原告が平成16年7月30日,生野税務署長に対して申告した本件事業年度の法人税の所得金額である。 (2)使用人賞与の損金不算入額919万3500円原告が本件事業年度の損金の額に算入した本件賞与の額は,本件事業年度の損金の額に算入されない。 (3)消耗品費の損金算入額3万0300円原告は,軽油取引税について消費税法上の課税仕入れとして,消費税及び地方消費税の計算を行っているところ,軽油取引税は消費税法上の課税仕入れに該当せず,軽油取引税に係るものとして仮払消費税等に計上された3万0300円は,消耗品費として本件事業年度の損金の額に算入される。 (4)欠損金の当期控除額の増加額6700円生野税務署長が平成17年2月28日付けでした平成14年6月1日から平成15年5月31日までの事業年度の法人税の更正処分により増加した欠損金額に相当する金額6700円は,本件事業年度の損金の額に算入される。 (5)所得金額2178万5829円原告の本件事業年度の所得金額は,申告所得金額1262万9329円(上記(1 増加した欠損金額に相当する金額6700円は,本件事業年度の損金の額に算入される。 (5)所得金額2178万5829円原告の本件事業年度の所得金額は,申告所得金額1262万9329円(上記(1))に,使用人賞与の損金不算入額919万3500円(上記(2))を加算し,消耗品費の損金算入額3万0300円(上記(3))及び欠損金の当期控除額の増加額6700円(上記(4))を減算した金額である2178万5829円となる。 納付すべき法人税額(1)所得金額に対する法人税額589万5500円原告の本件事業年度の所得金額は,上記1(5)のとおりであるから,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた金額2178万5000円(別紙) に,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成11年法律第8号)16条1項1号に規定する税率を乗じて計算する(すなわち,年800万円以下の金額に税率100分の22を乗じて計算した金額に,年800万円を超過した金額に100分の30を乗じて計算した金額を加算する。)と,上記所得金額に対する法人税額は,589万5500円となる。 (2)所得税額の控除額10万2442円原告が平成16年7月30日,生野税務署長に対して申告した本件事業年度の法人税の確定申告書に記載した控除税額10万2442円である。 (3)差引所得に対する法人税額579万3000円所得金額に対する法人税額589万5500円(上記(1))から,所得税額の控除額10万2442円(上記(2))を控除した金額(通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てたもの)579万3000円である。 (4)確定申告に係る法人税額304万6200円原告が平成16年7月30日,生野税 )を控除した金額(通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てたもの)579万3000円である。 (4)確定申告に係る法人税額304万6200円原告が平成16年7月30日,生野税務署長に対して申告した本件事業年度の法人税の確定申告書に記載した法人税額である。 (5)差引納付すべき法人税額274万6800円差引所得に対する法人税額579万3000円(上記(3))から,確定申告に係る法人税額304万6200円(上記(4))を控除した274万6800円である。 過少申告加算税期限内申告書の提出があった場合において,修正申告ないし更正(以下「更正等」という。)がされ,当初の申告税額が結果的に過少となったときには,その更正等により納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課することとされているところ(通則法65条1項),納付すべき税額274万6800円(上記2(5)。ただし,通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てる。)に100分の10の割合を乗じて計算した金額27万4000円が過少申告加算税の額となる。
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