主文 本件上告を棄却する。 当審における未決勾留日数中100日を第1審判決の懲役刑に算入する。 理由 弁護人隈井光の上告趣意は,違憲をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ職権により判断するに,国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律5条違反の罪(以下「本罪」という。)は,規制薬物を譲り渡すなどの行為をすることを業とし,又はこれらの行為と薬物犯罪を犯す意思をもって薬物その他の物品を規制薬物として譲り渡すなどの行為を併せてすることを業とすることをその構成要件とするものであり,専ら不正な利益の獲得を目的として反復継続して行われるこの種の薬物犯罪の特質にかんがみ,一定期間内に業として行われた一連の行為を総体として重く処罰することにより,薬物犯罪を広く禁圧することを目的としたものと解される。このような本罪の罪質等に照らせば,【要旨】4回の覚せい剤譲渡につき,譲渡年月日,譲渡場所,譲渡相手,譲渡量,譲渡代金を記載した別表を添付した上,「被告人は,平成14年6月ころから平成16年3月4日までの間,営利の目的で,みだりに,別表記載のとおり,4回にわたり,大阪市a区b町c丁目d番e号先路上に停車中の軽自動車内ほか4か所において,Aほか2名に対し,覚せい剤である塩酸フエニルメチルアミノプロパンの結晶合計約0. 5gを代金合計5万円で譲り渡すとともに,薬物犯罪を犯す意思をもって,多数回にわたり,同市内において,上記Aほか氏名不詳の多数人に対し,覚せい剤様の結晶を覚せい剤として有償で譲り渡し,もって,覚せい剤を譲り渡す行為と薬物そ り渡すとともに,薬物犯罪を犯す意思をもって,多数回にわたり,同市内において,上記Aほか氏名不詳の多数人に対し,覚せい剤様の結晶を覚せい剤として有償で譲り渡し,もって,覚せい剤を譲り渡す行為と薬物その- 1 -他の物品を規制薬物として譲り渡す行為を併せてすることを業としたものである。」旨を記載した本件公訴事実は,本罪の訴因の特定として欠けるところはないというべきである。 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官島田仁郎裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官泉徳治裁判官才口千晴)- 2 -
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