平成26(行ウ)90 固定資産税等課税処分無効確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年12月19日 大阪地方裁判所 その他
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判決文本文46,249 文字)

- 1 -平成29年12月19日判決言渡平成26年(行ウ)第90号固定資産税等課税処分無効確認等請求事件(甲事件)平成26年(行ウ)第103号固定資産税等課税処分無効確認等請求事件(乙事件)平成28年(行ウ)第119号審査申出却下処分取消等請求事件(丙事件) 主文 1 被告は,原告Aに対し,184万2500円及びうち別紙1原告A認容一覧の過大額欄記載の各金額に対する同損害金起算日欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告Aのその余の請求及び原告株式会社Bの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,原告Aに生じた費用の3分の2及び被告に生じた費用の3分の1を原告Aの負担とし,原告Aに生じた費用の3分の1及び被告に生じた費用の6分の1を被告の負担とし,その余の全費用を原告株式会社Bの負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 甲事件被告は,原告Aに対し,400万8300円及びうち別紙2原告A請求一覧の過大額欄記載の各金額に対する同損害金起算日欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 乙事件被告は,原告株式会社Bに対し,216万6500円及びうち別紙3原告株式会社B請求一覧の過大徴収額欄記載の各金額に対する同起算日欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 丙事件 大阪市固定資産評価審査委員会が原告Aに対して平成28年4月14日付け - 2 -でした別紙4物件目録記載1及び2の各家屋の家屋課税台帳に登録された平成27年度の価格についての審査の申出に対する決定を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の 8年4月14日付け - 2 -でした別紙4物件目録記載1及び2の各家屋の家屋課税台帳に登録された平成27年度の価格についての審査の申出に対する決定を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨(1) 甲事件 甲事件は,別紙4物件目録記載1の建物(以下「原告A居宅」という。)及び同2の専有部分の建物(以下,「原告A共同住宅」といい,原告A居宅と併せて「本件家屋①」という。)並びに同2の附属建物(以下「原告A物置」といい,本件家屋①と併せて,「原告A各建物」という。)を所有し,その固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)を納付し てきた原告Aが,平成11年度から平成26年度までの各賦課決定の前提となる価格の決定には,原告A各建物の新築時の再建築費評点数の算出の誤りなどがあり,上記の評価の誤りは故意又は過失による違法行為であると主張して,被告を相手に,国家賠償法1条1項に基づき,上記各年度に係る固定資産税等の過納金400万8300円及びうち別紙2原告A請求一覧の過大 額欄記載の各金額に対する固定資産税等の納付後の日である同損害金起算日欄記載の各日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求(以下「本件国家賠償請求①」という。)をする事案である。 (2) 乙事件乙事件は,別紙4物件目録記載3の家屋(以下「本件家屋②」という。) を所有し,その固定資産税等を納付してきた原告株式会社Bが,平成6年度から平成26年度までの各賦課決定の前提となる価格の決定には本件家屋②の再建築費評点数の算出の誤りがあり,上記の評価の誤りは故意又は過失による違法行為であると主張して,被告を相手に,国家賠償法1条1項に基づき,上記各年度に係る固定資産税等の過納金216万6500円及びうち別 点数の算出の誤りがあり,上記の評価の誤りは故意又は過失による違法行為であると主張して,被告を相手に,国家賠償法1条1項に基づき,上記各年度に係る固定資産税等の過納金216万6500円及びうち別 紙3原告株式会社B請求一覧の過大徴収額欄記載の各金額に対する同起算日 - 3 -欄記載の各日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求(以下「本件国家賠償請求②」という。)をする事案である。 (3) 丙事件丙事件は,原告Aが,原告A各建物についての平成27年度固定資産税の課税標準として大阪市長が決定して固定資産課税台帳に登録した価格を不服 として,大阪市固定資産評価審査委員会に対して審査の申出(以下「本件審査申出」という。)をしたところ,同委員会が上記登録価格を1億2431万5000円とする旨の決定(以下「本件決定」という。)をしたことに対し,上記評価額は誤りであるし,審査の手続は違法であるなどと主張して,被告を相手に,同決定の取消しを求める事案である。 2 関係法令等の定め(1) 地方税法ア 341条固定資産税について,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。 1号から4号まで略5号価格適正な時価をいう。 6号基準年度昭和31年度及び昭和33年度並びに昭和33年度から起算して3年度又は3の倍数の年度を経過したごとの年度をいう。 7号第2年度基準年度の翌年度をいう。 8号第3年度第2年度の翌年度(昭和33年度を除く。)をいう。 9号から14号まで略イ 349条(ア) 1項基準年度に係る賦課期日に所在する家屋(以下「基準年度の家屋」と いう。)に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は,当該家屋 9号から14号まで略イ 349条(ア) 1項基準年度に係る賦課期日に所在する家屋(以下「基準年度の家屋」と いう。)に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は,当該家屋 - 4 -の基準年度に係る賦課期日における価格(以下「基準年度の価格」という。)で家屋課税台帳又は家屋補充課税台帳(以下「家屋課税台帳等」という。)に登録されたもの(以下「登録価格」という。)とする。 (イ) 2項基準年度の家屋に対して課する第2年度の固定資産税の課税標準は, 当該家屋に係る基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格で家屋課税台帳等に登録されたものとする。(ただし書略)(ウ) 3項基準年度の家屋に対して課する第3年度の固定資産税の課税標準は,当該家屋に係る基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格で 家屋課税台帳等に登録されたものとする。(ただし書略)ウ 388条1項総務大臣は,固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続(以下「評価基準」という。)を定め,これを告示しなければならない。 エ 403条1項 市町村長は,地方税法388条1項の評価基準によって,固定資産の価格を決定しなければならない。 オ 408条市町村長は,固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少なくとも1回実地に調査させなければならな い。 カ 409条(ア) 1項固定資産評価員は,地方税法408条の規定による実地調査の結果に基いて当該市町村に所在する家屋の評価をする場合においては,次の表 の上欄に掲げる家屋の区分に応じ,それぞれ,同表の中欄に掲げる年度 - 5 -において,同表の下欄に掲げる価格によって,当該家屋の評価をしなければな 屋の評価をする場合においては,次の表 の上欄に掲げる家屋の区分に応じ,それぞれ,同表の中欄に掲げる年度 - 5 -において,同表の下欄に掲げる価格によって,当該家屋の評価をしなければならない。(表省略)(イ) 4項固定資産評価員は,前3項の規定による評価をした場合においては,総務省令で定めるところによって,遅滞なく,評価調書を作成し,これ を市町村長に提出しなければならない。 キ 410条1項市町村長は,地方税法409条4項に規定する評価調書を受理した場合においては,これに基づいて固定資産の価格等を毎年3月31日(平成14年法律第17号による改正(平成15年1月1日施行)前は毎年2月末 日)までに決定しなければならない。(ただし書略)ク 417条1項市町村長は,地方税法411条2項の規定による公示の日以後において固定資産の価格等の登録がなされていないこと又は登録された価格等に重大な錯誤があることを発見した場合においては,直ちに固定資産課税台 帳に登録された類似の固定資産の価格と均衡を失しないように価格等を決定し,又は決定された価格等を修正して,これを固定資産課税台帳に登録しなければならない。この場合においては,市町村長は,遅滞なく,その旨を当該固定資産に対して課する固定資産税の納税義務者に通知しなければならない。 ケ 432条1項固定資産税の納税者は,その納付すべき当該年度の固定資産税に係る固定資産について固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合においては,地方税法411条2項の規定による公示の日から納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの間において,文書をもっ て,固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる。ただし, - 6 - 1条2項の規定による公示の日から納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの間において,文書をもっ て,固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる。ただし, - 6 -当該固定資産のうち同条3項の規定によって家屋課税台帳等に登録されたものとみなされる家屋の価格については,当該家屋について同法349条2項1号に掲げる事情があるため同条同項ただし書,3項ただし書又は5項ただし書の規定の適用を受けるべきものであることを申し立てる場合を除いては,審査の申出をすることができない。 コ 434条(ア) 1項固定資産税の納税者は,固定資産評価審査委員会の決定に不服があるときは,その取消しの訴えを提起することができる。 (イ) 2項 地方税法432条1項の規定により固定資産評価審査委員会に審査を申し出ることができる事項について不服がある固定資産税の納税者は,同項及び前項の規定によることによってのみ争うことができる。 (2) 平成9年度評価基準平成9年度において適用される評価基準(昭和38年12月25日自治省 告示第158号。以下,年度ごとに「平成9年度評価基準」などという。甲3,乙2,26,34)第2章は,家屋の評価について,以下のとおり定めている(なお,特に断りのない限り,平成3年度評価基準(甲7,乙1,33)も同様の定めである。)。 ア家屋の評価(第1節一) 家屋の評価は,木造家屋及び木造家屋以外の家屋(以下「非木造家屋」という。)の区分に従い,各個の家屋について評点数を付設し,当該評点数に評点1点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法によるものとする。 イ評点数の付設(第1節二) 各個の家屋の評点数は,当該家屋の再建築費評点数を基礎とし,これに 該評点数に評点1点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法によるものとする。 イ評点数の付設(第1節二) 各個の家屋の評点数は,当該家屋の再建築費評点数を基礎とし,これに - 7 -家屋の損耗の状況による減点を行って付設するものとする。 ウ再建築費評点基準表の補正等(第1節六)市町村長は,非木造家屋再建築費評点基準表(別表第12)を当該市町村に所在する家屋について適用する場合において,同基準表について所要の評点項目及び標準評点数がないとき,その他家屋の実態からみて特に必 要があるときは,同基準表について所要の補正を行い,これを適用することができるものとする。 なお,上記定めを受けて,大阪市財政局主税部固定資産税課は,「家屋再建築費評点基準表の解説(非木造家屋・事務所用建物)」(以下「本件評価要領」という。)を定めている(乙5。平成3年度評価基準を受けた ものにつき,乙4。)。 エ非木造家屋の評点数の算出方法(第3節一)非木造家屋の評点数は,次の算式によって求めるものとする。 〔算式〕評点数=再建築費評点数×非木造家屋経年減点補正率 (括弧書き略)オ非木造家屋の再建築費評点数の算出方法(第3節二)非木造家屋の再建築費評点数は,当該非木造家屋の構造の区分に応じ,当該非木造家屋について適用すべき非木造家屋評点基準表によって求めるものとする。 非木造家屋評点基準表によって非木造家屋の再建築費評点数を求める場合においては,各個の非木造家屋の構造の区分に応じ,当該非木造家屋について適用すべき非木造家屋評点基準表によって当該非木造家屋の各部分別に標準評点数を求め,これに補正項目について定められている補正係数を乗じて得た数値に計算単位の数値を乗じて算出した部分別再建築費 ついて適用すべき非木造家屋評点基準表によって当該非木造家屋の各部分別に標準評点数を求め,これに補正項目について定められている補正係数を乗じて得た数値に計算単位の数値を乗じて算出した部分別再建築費 評点数を合計して求めるものとする。 - 8 -非木造家屋の再建築費評点数は,次の「非木造家屋再建築費評点数の算出要領」によって算出するものとする。 〔非木造家屋再建築費評点数の算出要領〕(ア) 非木造家屋評点基準表の適用(略)(イ) 床面積の算定(略) (ウ) 非木造家屋評点基準表の部分別区分非木造家屋評点基準表の部分別区分の内容は,次のとおりである。 a 主体構造部(鉄筋コンクリート造)骨組を鉄筋で組み,これを鉄筋で補強し,その外部に仮枠を構成し, これにコンクリートを打ち込んで硬化して構築した基礎,柱,梁,壁体,床板,小屋組,屋根版等の主体構造部分をいう。 b 基礎工事建物の荷重を支える地下構造部分を築造するための根切り工事,建物による荷重と地盤の状況に応じて施工する杭打地業,潜函地業及び 割栗地業等をいう。 c 外周壁骨組建物の外周壁の骨組で主体構造部を構成しないものをいう。 d 間仕切骨組内部の各部屋を区画する間仕切の骨組をいう。 e 外部仕上げ建物の外周壁の仕上げ部分とその下地部分をいう。 f 内部仕上げ建物の内周壁の仕上げ部分とその下地部分をいう。 g 床仕上げ 床の仕上げ部分とその下地部分をいう。 - 9 -h 天井仕上げ天井の仕上げ部分とその下地部分をいう。 i 屋根仕上げ建物の覆蓋を構成する屋根部分のうち,主体構造部に含まれる小屋組,屋根版等を除いた屋根葺下地,仕上げ部分,防水層等をいう。 j 建具窓,出入口 分とその下地部分をいう。 i 屋根仕上げ建物の覆蓋を構成する屋根部分のうち,主体構造部に含まれる小屋組,屋根版等を除いた屋根葺下地,仕上げ部分,防水層等をいう。 j 建具窓,出入口等の建具及びその建付枠並びにスケールシャッター等をいう。 k 特殊設備劇場及び映画館のステージ,銀行カウンター,金庫室等の特殊な設 備及び階段の手摺等に別に装飾を施したもの等をいう。 l 建築設備電気設備,ガス設備,衛生設備,給排水設備等家屋に付属して家屋の機能を発揮するための設備をいう。 m 仮設工事 敷地の仮囲,水盛り,遣方,足場等の建物の建築に必要な準備工事又は工事中の保安のための工事をいう。 n その他の工事上記aからmまでのいずれの部分にも含まれない木工事,金属工事等をいう。 (エ) 評点項目及び標準評点数a 「評点項目」は,非木造家屋の構造に応じ,非木造家屋評点基準表の各部分ごとに一般に使用されている資材の種別及び品等,施工の態様等の区分によって標準評点数を付設するための項目として設けられているものであり,「標準評点数」は,評点項目の区分に従い,「標 準量」(標準的な非木造家屋の各部分別の単位当たり施工量をいう。) - 10 -に対する工事費を基礎として算出した評点数である。再建築費評点数の付設に当たっては,非木造家屋の各部分を調査し,各部分の使用資材の種別,品等,施工の態様等に応じ,該当する評点項目について定められている標準評点数を求めるものとする。 b 各部分別に再建築費評点数を求める場合において,各部分の使用資 材等の数量が明確なときは,該当標準評点数及び当該数量を基礎として当該部分の再建築費評点数を求めるものとする。この場合において,後記(オ)に基づく補正係数に 求める場合において,各部分の使用資 材等の数量が明確なときは,該当標準評点数及び当該数量を基礎として当該部分の再建築費評点数を求めるものとする。この場合において,後記(オ)に基づく補正係数による補正は,施工の程度に応ずる必要な補正を行うものとする。 (オ) 補正項目及び補正係数 非木造家屋の各部分の工事の施工量等が「補正項目及び補正係数」欄の「標準」欄に定められている工事の施工量等と相違する場合においては,当該補正項目について定められている該当補正係数によって標準評点数を補正するものとする。この場合において,補正項目について定められている補正係数の限度内において処理することができないものにつ いては,その実情に応じ補正を必要とする範囲内において,その限度を超えて補正係数を決定するものとする。 (カ) 再建築費評点数再建築費評点数は,各部分別の標準評点数に当該部分の補正係数を乗じて得た数値に,その計算単位の数値を乗じて求めた各部分別の再建築 費評点数を合計して求めるものとする。 カ比準評価の方法による再建築費評点数の算出方法の特例(第3節二の二)市町村長は,当該市町村に所在する非木造家屋の状況に応じ,上記オによるほか,次によって各個の非木造家屋の再建築費評点数を付設することができるものとする。 (ア) 当該市町村に所在する非木造家屋を,その実態に応じ,構造,程度, - 11 -規模等の別に区分し,それぞれの区分ごとに標準とすべき非木造家屋を標準非木造家屋として選定するものとする。 (イ) 標準非木造家屋について,上記オによって再建築費評点数を付設するものとする。 (ウ) 標準非木造家屋以外の非木造家屋で当該標準非木造家屋の属する 区分と同一の区分に属するもの(以下「比準非木造家 準非木造家屋について,上記オによって再建築費評点数を付設するものとする。 (ウ) 標準非木造家屋以外の非木造家屋で当該標準非木造家屋の属する 区分と同一の区分に属するもの(以下「比準非木造家屋」という。)の再建築費評点数は,当該比準非木造家屋と当該標準非木造家屋の各部分別の使用資材,施工量等の相違を総合的に考慮し,当該標準非木造家屋の再建築評点数に比準して付設するものとする。 (3) 平成27年度評価基準 平成27年度評価基準第2章は,家屋の評価について,以下のとおり定めている(乙25)。 ア家屋の評価(第1節一)及び評点数の付設(第1節二)上記(2)ア及びイと同じイ非木造家屋の評点数の算出方法(第3節一) (ア) 上記(2)エと同じ(イ) 市町村長は,在来分の非木造家屋(当該年度において新たに課税の対象となる非木造家屋以外の非木造家屋をいう(第1節三2(4)参照)。 以下同じ。)に係る再建築費評点数は後記ウの方法により求めるものとする。 ウ在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数の算出方法(第3節四)在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数は,次の算式によって求めるものとする。(ただし書略)(算式)再建築費評点数 =基準年度の前年度における再建築費評点数×再建築費評点補正率 - 12 -エ損耗の状況による減点補正率の算出方法(第3節五)(ア) 非木造家屋の損耗の状況による減点補正率は,経過年数に応ずる減点補正率(以下「経年減点補正率」という。)によるものとする。 (イ) 経年減点補正率は,通常の維持管理を行うものとした場合において,その年数の経過に応じて通常生ずる減価を基礎として定めたもので あって,非木造家屋の構造区分に従い,「非木造家屋経年減点補正率 イ) 経年減点補正率は,通常の維持管理を行うものとした場合において,その年数の経過に応じて通常生ずる減価を基礎として定めたもので あって,非木造家屋の構造区分に従い,「非木造家屋経年減点補正率基準表」(別表第13)に示されている当該非木造家屋の経年減点補正率によって求めるものとする。 オ平成27年度における在来分の家屋の再建築費評点補正率(第4節一)固定資産税に係る平成27年度における在来分の家屋の評価に係る再建 築費評点補正率は,非木造家屋については,1.05とする。 カ平成27年度の家屋の評点1点当たりの価額(第4節二)平成27年度の家屋の評価における評点1点当たりの価額は,1円に物価水準による補正率(非木造家屋については1.00)と設計管理費等による補正率(非木造家屋については1.10)とを相乗した率を乗じて得 た額を基礎として市町村長が定めるものとする。 キ平成27年度における在来分の家屋の価額の決定(第4節三)固定資産税に係る平成27年度における在来分の家屋の評価に限り,上記アからカまでによって求めた価額か,当該家屋の平成26年度の家屋課税台帳等に登録された価額のいずれかの低い価額をもって,平成27年度 の価額とする。(ただし書略)(4) 大阪市税条例(昭和29年大阪市条例第16号。ただし,平成11年度において適用されていたもの。以下同じ。)大阪市税条例は,住宅に係る固定資産税等の軽減について,次のとおり規定している(乙31,32)。 ア 72条の2 - 13 -昭和39年1月2日から平成12年3月31日までの間に新築された中高層耐火建築物(かっこ内略)である住宅で政令で定めるものに対して課する固定資産税については,大阪市税条例72条の2の2,72条の2の4又は 年1月2日から平成12年3月31日までの間に新築された中高層耐火建築物(かっこ内略)である住宅で政令で定めるものに対して課する固定資産税については,大阪市税条例72条の2の2,72条の2の4又は72条の2の5の規定の適用がある場合を除き,当該住宅に対して新たに固定資産税が課されることとなった年度から5年度分の固定資産 税に限り,当該住宅に係る固定資産税額(かっこ内略)の2分の1に相当する額を当該住宅に係る固定資産税額から軽減する。 イ 72条の2の5大阪市税条例72条の2の規定は,平成6年1月2日から平成12年3月31日までの間に新築された特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する 法律6条に規定する特定優良賃貸住宅(以下「特優賃」という。)である貸家住宅(かっこ内略)に対して課する固定資産税について準用する。この場合において,72条の2中,「2分の1」とあるのは,「3分の2」と読み替えるものとする。 ウ 141条 (ア) 1項都市計画税の賦課徴収は,固定資産税の賦課徴収の例によるものし,固定資産税を賦課し,及び徴収する場合にあわせて賦課し,及び徴収する。 (イ) 3項 大阪市税条例70条,72条及び72条の2の規定は,都市計画税について準用する。 3 前提事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の各証拠(枝番のあるものは特記しない限り全枝番を含む。以下同じ。)又は弁論の全趣旨により容易に認 めることができる。 - 14 -(1) 原告A各建物の概要,評価及び課税等ア本件家屋①は,平成10年10月8日に新築された,大阪市所在の鉄筋コンクリート造ルーフィング葺8階建ての居宅及び共同住宅・車庫であり,原告A物置は鉄筋コンクリート造陸屋根平家建ての物置であり,登記記録の概要 は,平成10年10月8日に新築された,大阪市所在の鉄筋コンクリート造ルーフィング葺8階建ての居宅及び共同住宅・車庫であり,原告A物置は鉄筋コンクリート造陸屋根平家建ての物置であり,登記記録の概要は別紙4物件目録記載1及び2のとおりである。原告Aは,同日以 降,原告A各建物を所有しており,原告A共同住宅及び原告A物置(以下「本件賃貸部分」という。)について,特優賃であることの認定(以下「特優賃認定」という。)を受けている。(以上につき,甲47,48,乙23,弁論の全趣旨)イ大阪市長は,本件家屋①の新築時の再建築費評点数を1㎡当たり12万 3000点とし(甲1),原告A物置の新築時の再建築費評点数を1㎡当たり18万9800点とした(甲41)。 ウ大阪市長は,平成11年度以降,原告A居宅について別紙5-1原告A居宅評価額推移表のとおり評価し,原告A共同住宅について別紙6-1原告A共同住宅評価額推移表のとおり評価し,原告A物置について別紙7- 1原告A物置評価額推移表のとおり評価し,上記各評価に基づいて,別紙8原告A税額比較表の各年度の修正前の年税額欄記載の各固定資産税等の賦課決定をし,原告Aは,各賦課決定に係る課税金額を,別紙1原告A認容一覧の納付日欄記載のとおり,納付した。(以上につき,甲6,24~39,弁論の全趣旨)。 エ上記ウのうち,平成11年度から平成15年度までの各賦課決定では,本件賃貸部分について,新築中高層耐火建築物であることを理由とする都市計画税の減税措置は行われていない。 (2) 本件家屋②の概要,評価及び課税等ア本件家屋②は,平成2年11月19日に新築された,大阪市所在の鉄筋 コンクリート造陸屋根8階建ての店舗・共同住宅であり,登記記録の概要 - 15 -は別紙4物 の概要,評価及び課税等ア本件家屋②は,平成2年11月19日に新築された,大阪市所在の鉄筋 コンクリート造陸屋根8階建ての店舗・共同住宅であり,登記記録の概要 - 15 -は別紙4物件目録記載3のとおりである。原告株式会社Bは,同日以降,本件家屋②を所有している。(以上につき,甲49,乙24,弁論の全趣旨)イ大阪市長は,本件家屋②の新築時の再建築費評点数を12万8600点とした(甲2)。 ウ大阪市長は,平成3年度以降,本件家屋②について別紙9本件家屋②評価額推移表のとおり評価し,これに基づいて,別紙10原告株式会社B税額一覧表の各年度の年税額欄記載の各固定資産税等の賦課決定をし,原告株式会社Bは,各賦課決定に係る課税金額を所定の納期限内に納付した(甲7,弁論の全趣旨)。 (3) 甲事件及び乙事件の訴えの提起等原告らは,平成26年4月30日,甲事件及び乙事件に係る訴えを提起した(顕著な事実)。 (4) 丙事件の訴えの提起に至る経緯等ア大阪市長は,平成27年4月1日付けで,原告Aに対し,原告A各建物 の平成27年度の登録価格を1億3140万5000円とする旨を通知した(甲39)。 イ原告Aは,平成27年5月28日,大阪市固定資産評価審査委員会に対し,原告A各建物の登録価格を1億2093万3000円にするよう求める旨の本件審査申出をした(甲21)。 ウ原告Aは,平成28年4月11日,本件審査申出から30日が経過し,同申出を却下する旨の決定があったものとみなして(地方税法433条12項),同決定の取消しなどを求める旨の訴え(丙事件)を提起した(顕著な事実)。 エ大阪市固定資産評価審査委員会は,平成28年4月14日付けで,原告 A各建物の平成27年度の登録価格を1億 2項),同決定の取消しなどを求める旨の訴え(丙事件)を提起した(顕著な事実)。 エ大阪市固定資産評価審査委員会は,平成28年4月14日付けで,原告 A各建物の平成27年度の登録価格を1億2431万5000円とする旨 - 16 -の本件決定をした(甲41)。 オ原告Aは,平成28年7月20日,丙事件について,本件決定の取消しを求める旨請求の趣旨を補正した(顕著な事実)。 4 争点(1) 当事者の主張の骨子 ア原告Aは,原告A各建物の新築時の評価には,本件決定で補正されたもののほかにも再建築費評点数の算出に誤りがあり,本件決定に係る手続に違法がある旨主張して本件決定の取消しを求めるとともに(丙事件),上記誤りは国家賠償法上違法であるし,本件賃貸部分は新築中高層耐火建築住宅であるにもかかわらず都市計画税の減税措置を適用していない点も国 家賠償法上違法であるとし,上記各違法行為による固定資産税等の過納額が損害額であると主張する(甲事件)。他方,被告は,本件決定での再建築費評点数の算出に誤りはなく,手続上も適法である旨主張するとともに(丙事件),本件決定で誤りであると指摘された点を含めて,大阪市長がした原告A各建物の新築時の評価は国家賠償法上違法ではないし,原告A が主張する都市計画税の減税措置は本件賃貸部分には適用されない旨主張し,損害の発生及びその額を争っている(甲事件)。 イ原告株式会社Bは,本件家屋②の新築時の評価のうち再建築費評点数の算出には誤りがあり,これらはいずれも国家賠償法上違法であるとし,上記違法行為による固定資産税等の過納額が損害額であると主張している。 他方,被告は,本件家屋②の新築時の評価に国家賠償法上の違法はない旨主張し,損害の発生及びその額を争っているほか,乙事件 上記違法行為による固定資産税等の過納額が損害額であると主張している。 他方,被告は,本件家屋②の新築時の評価に国家賠償法上の違法はない旨主張し,損害の発生及びその額を争っているほか,乙事件の訴え提起は本件家屋②の新築時の評価から20年経過後にされたものであるから,本件国家賠償請求②に係る請求権(以下「本件国家賠償請求権②」という。)は除斥期間により消滅している旨主張している(乙事件)。 (2) 本件の争点 - 17 -上記(1)の当事者の主張を踏まえると,本件の争点は以下のとおりである。 ア甲事件(ア) 原告A各建物の新築時の評価に係る国家賠償法上の違法性及び故意又は過失の有無(争点①)(イ) 本件賃貸部分の都市計画税に新築中高層耐火建築住宅に係る減額 措置を適用しなかったことに係る国家賠償法上の違法性及び故意又は過失の有無(争点②)(ウ) 本件国家賠償請求①の損害額(争点③)イ丙事件本件決定の適法性(争点④) ウ乙事件(ア) 本件家屋②の新築時の評価に係る国家賠償法上の違法性及び故意又は過失の有無(争点⑤)(イ) 本件国家賠償請求②の損害額(争点⑥)(ウ) 本件国家賠償請求権②に係る除斥期間の成否(争点⑦) 5 争点に関する当事者の主張(1) 争点①(原告A各建物の新築時の評価に係る国家賠償法上の違法性及び故意又は過失の有無)ア本争点に係る当事者の主張の骨子原告Aは,本件家屋①の新築時の評価については,部分別「基礎工事」 の杭打地業のうち,遠心力成形の高強度プレストレストコンクリート杭(以下「PHC杭」という。)の標準評点数を過大に設定し(後記イ),評価基準上の上限を超えた補正係数による補正をした上で(後記ウ),誤った根切り土量の計算に 成形の高強度プレストレストコンクリート杭(以下「PHC杭」という。)の標準評点数を過大に設定し(後記イ),評価基準上の上限を超えた補正係数による補正をした上で(後記ウ),誤った根切り土量の計算に基づく補正をしたほか(後記エ),部分別「その他工事」についても,過大な補正係数による補正をした違法があり(後記 オ),また,原告A物置の新築時の評価については根切り土量の計算を誤 - 18 -った結果(後記エ),過大な評点数を付設した違法があり,これらの違法行為には少なくとも過失がある旨主張する。 これに対し,被告は,原告Aが挙げる点はいずれも国家賠償法上違法と評価される誤りではないし,過失もない旨主張する。 イ本件家屋①のPHC杭の標準評点数について (原告Aの主張)(ア) 大阪市長は,本件家屋①の新築時の評価では,部分別「基礎工事」の「杭打地業」のうち,PHC杭の標準評点数を2万8500点とした。 しかし,PHC杭は,既製杭と呼ばれる工場生産杭の一種であり,平成9年度評価基準(甲3)では「鉄筋コンクリート杭」に当たり,その 標準評点数は2万3300点である。 (イ) 平成9年度評価基準では,市町村長は,評点基準表に所要の評点項目及び標準評点数がないときは補正ができる旨を定めている(関係法令等の定め(2)ウ)。しかし,以下の点に照らせば,PHC杭は,平成9年度評価基準の評点基準表のうち「鉄筋コンクリート杭」に含まれるから, 上記の評点基準表の補正は許されない。 aPHC杭は昭和45年に開発され,昭和57年には日本工業規格(JIS)も制定され,その後は主要な既製杭とされていた。 b 総務省家屋評価室によれば,PHC杭の価格は,評点項目「鉄筋コンクリート杭」の標準評点数の積算根拠とされていた。 日本工業規格(JIS)も制定され,その後は主要な既製杭とされていた。 b 総務省家屋評価室によれば,PHC杭の価格は,評点項目「鉄筋コンクリート杭」の標準評点数の積算根拠とされていた。 c 自治省資産評価室編の「平成9年度固定資産評価基準解説(家屋篇)」(以下「平成9年度評価基準解説」といい,他の年度についても同様に略記する。乙15)では,PC杭については鉄筋コンクリート杭の補正項目及び補正係数によって処理して差し支えない旨の記載があるところ,PC杭とPHC杭は強度が異なるにすぎない。 (被告の主張) - 19 -(ア) 平成9年度評価基準は,非木造家屋評点基準表に所要の評点項目及び標準評点数がないときは,所要の補正をして適用することができるとしていた(関係法令等の定め(2)ウ)。そして,平成9年度評価基準(乙2)には,地階のない建物に係る杭打地業の評点項目にはPHC杭はなかった。そこで,大阪市長は,本件評価要領において,平成9年度の地 階のない建物の杭打地業に評点項目「プレストレストコンクリート杭(PC杭・PHC杭)」を設け,標準評点数を2万8500点と定めた(乙5)。したがって,本件家屋①の杭打地業のうちPHC杭に付した評点数に誤りはなく,適法である。 (イ) 以下の点に照らせば,PHC杭は,評価基準の評点基準表のうち「鉄 筋コンクリート杭」に含まれず,評点基準表の補正は許される。 a 原告Aは,評価基準の「鉄筋コンクリート杭」にPHC杭が含まれることの根拠として,昭和57年にPHC杭についてJISが制定されたことを主張する。しかし,JISとは,日本の工業製品に関する規格や測定法等について工業標準化法に基づき制定される国家規格で あるから,PHC杭についてJISが制定されることと,P が制定されたことを主張する。しかし,JISとは,日本の工業製品に関する規格や測定法等について工業標準化法に基づき制定される国家規格で あるから,PHC杭についてJISが制定されることと,PHC杭が評価基準の「鉄筋コンクリート杭」に含まれるか否かとの間には何ら関連がない。 b 原告Aは,総務省家屋評価室担当者が評点項目「鉄筋コンクリート杭」の標準評点数の積算根拠にPHC杭の価格を用いた旨回答したと 主張するが,否認する。 c 平成9年度評価基準解説(乙15)は,PC杭については鉄筋コンクリート杭の補正項目及び補正係数によって処理して差し支えないと記載しているにすぎない。したがって,同記載を理由に,PHC杭の補正項目及び補正係数を鉄筋コンクリート杭と同様にしなければなら ないとはいえない。 - 20 -ウ本件家屋①に用いられた直径60cmのPHC杭の補正係数について(原告Aの主張)(ア) 大阪市長は,本件家屋①の新築時の評価では,部分別「基礎工事」において,直径60cmのPHC杭の補正係数を8.64(602/302×12/5×0.9)とした。 しかし,平成9年度評価基準(甲3)及び平成9年度評価基準解説(甲4)によれば,杭の径及び長さに係る増点補正率は5であり,これを超えた上記評価は違法である。 (イ) 被告は,大阪市長は,平成9年度評価基準解説(甲4,乙7)の記載を踏まえ,PHC杭について,場所打コンクリート杭と同様に,杭の 本数に換算して処理したと主張する。しかし,平成9年度評価基準解説では,「杭打地業については,増点補正率は最高限を指すものであって,これを上回る補正係数の決定は禁止されている」との記載があるし,上記処理は場所打コンクリート杭にのみ許されており,それ以外に適用す では,「杭打地業については,増点補正率は最高限を指すものであって,これを上回る補正係数の決定は禁止されている」との記載があるし,上記処理は場所打コンクリート杭にのみ許されており,それ以外に適用することは認められていない。 (被告の主張)(ア) 平成9年度評価基準解説(甲4,乙7)では,「場所打コンクリート杭については,工事の場所的な制約から口径の太いもの,杭長の長いものがあって,増点補正率の範囲では処理できないものが往々に見受けられるので,杭打地業の増点補正率の限度は固守しつつ,これに該当す る杭については,本数に換算することによって処理する」こととされている。そして,大阪市長は,場所打コンクリート杭との負担の公平を考慮して,上記評価基準解説の記載の考え方に基づいて,本件評価要領(乙5)において,杭打地業の総評点数の計算式を定めたのであり,本件家屋①に用いられた直径60cmのPHC杭の評点数は,上記計算式によ って算出されたものである。 - 21 -(イ) 原告Aは,平成9年度評価基準及び平成9年度評価基準解説の記載を根拠に増点補正率5を超えることは違法である旨主張する。しかし,上記記載は補正項目に基づく補正における問題である。本件家屋①はPHC杭の本数に換算して処理しており,補正項目に基づく補正には該当しない。 エ原告A各建物に係る根切り工事の補正係数について(原告Aの主張)(ア) 本件家屋①の新築時の評価では,部分別「基礎」の根切り工事の評点数は,標準評点数(4650)×根切り土量(789㎥)×連乗補正率(3.456)との計算式により算出されたものと思われる。上記計 算式のうち,上記連乗補正率3.456は,根切り工事の深さ(2.88)×地盤の補正率(1.2)により算出されて ㎥)×連乗補正率(3.456)との計算式により算出されたものと思われる。上記計 算式のうち,上記連乗補正率3.456は,根切り工事の深さ(2.88)×地盤の補正率(1.2)により算出されている。しかし,根切り工事の深さは上記根切り土量(789㎥)に含まれている。したがって,上記計算式は,「連乗補正率(3.4560)」を「地盤の補正率(1. 2)」とすべきものを誤った違法なものである。 また,大阪市長は,原告A物置の新築時の評価でも本件家屋①と同様の誤りをしており,違法である。 (イ) 被告は,地方税法417条1項を根拠に,原告A各建物の根切り工事の計算式に原告Aの指摘する誤りがあったとしても,国家賠償法上違法ではない旨主張する。しかし,同条は評価額を増額する場合の規定で ある。したがって,違法な評価により減額すべき場合である本件とは無関係の規定である。 (被告の主張)(ア) 被告の手元には関係資料はなく,原告A各建物の新築時の評価のうち根切り工事の評点数の計算式の正誤はもはや明らかではない。したが って,上記計算に誤りがあったとは認められないから,適正な評価とい - 22 -わざるを得ない。 (イ) 仮に,原告A各建物の根切り工事の計算式に原告Aの指摘する誤りがあったとしても,評価額において4%程度の誤差にすぎず,地方税法417条1項所定の「重大な錯誤」に該当しないから,国家賠償法上違法とはいえない。 オ本件家屋①の部分別「その他の工事」の補正係数について(原告Aの主張)大阪市長は,本件家屋①の新築時の評価では,部分別「その他の工事」について,増点補正率が1.5であるにもかかわらず,補正係数を2.0としている。 しかし,平成9年度評価基準解説(甲5,乙7)には,「補正係 家屋①の新築時の評価では,部分別「その他の工事」について,増点補正率が1.5であるにもかかわらず,補正係数を2.0としている。 しかし,平成9年度評価基準解説(甲5,乙7)には,「補正係数の一般的な限度はあくまでも増点補正率に示されている率であり,増点補正率の範囲を超える補正率の適用は,当該家屋について,木工事か金属工事にかかる工事費が類似の家屋と比較して特に多いと認められる場合等に限られる」との記載がある。そして,本件家屋①における木工事や金属工事 は他の同様の家屋に比べて特に多くはない。 したがって,上記補正を行ったことは違法である。 (被告の主張)平成9年度評価基準解説(甲5,乙7)には,「その他の工事」における標準評点数は,「個々の建物について,具体的に「その他の工事」の内 容のすべてについて調査しその補正係数を決定することは極めて困難であるので,建物の普請の程度からその全体的な「その他の工事」の施工状況の多少とその程度を観察して適用すべき補正係数を決定して差し支えない」との記載がある。 大阪市長は,本件家屋①の評価について,比準評価の方法(関係法令等 の定め(2)カ)を採用している。そして,大阪市長は,その他の工事の使用 - 23 -資材,施工量,建物の普請の程度,建物の仕上がりの状態等について,標準家屋と本件家屋①を比較したところ,同程度であると判断した。したがって,大阪市長は,本件家屋①のその他の工事の補正係数を,標準家屋と同じ2.00とした。 (2) 争点②(本件賃貸部分の都市計画税に新築中高層耐火建築住宅に係る減 額措置を適用しなかったことに係る国家賠償法上の違法性及び故意又は過失の有無)(原告Aの主張)原告A共同住宅及び原告A物置(本件賃貸部分)は,固定資産税の 新築中高層耐火建築住宅に係る減 額措置を適用しなかったことに係る国家賠償法上の違法性及び故意又は過失の有無)(原告Aの主張)原告A共同住宅及び原告A物置(本件賃貸部分)は,固定資産税の軽減措置について定める大阪市税条例72条の2(新築中高層耐火建築住宅)及び 同条例72条の2の5(特優賃である貸家住宅)の各要件をいずれも満たす。 そして,都市計画税の軽減措置について定める同条例141条3項は,同条例72条の2の5は準用していないが,同条例72条の2は準用している。 したがって,本件賃貸部分の都市計画税には,同条例141条3項により準用される同条例72条の2により,初年度から5年間,2分の1の軽減措 置が適用される。 (被告の主張)本件賃貸部分は特優賃であるところ,都市計画税の軽減措置について定める大阪市税条例141条3項により準用される同条例72条の2(新築中高層耐火建築住宅)は,同条例72条の2の5(特優賃である貸家住宅)が適 用される場合を適用除外としている。 したがって,本件賃貸部分の都市計画税には,同条例72条の2所定の軽減措置は適用されない。 (3) 争点③(本件国家賠償請求①の損害額)(原告Aの主張) 平成11年度から平成26年度までの原告A各建物に係る評価額の推移及 - 24 -び原告Aが納付した固定資産税等の金額は別紙11原告A主張損害の別表1(修正前)のとおりであり,上記(1),(2)(原告Aの主張)を踏まえた適正な税額は同別表2(修正後)のとおりである。したがって,上記期間に係る原告Aの過納額は366万3200円であり,同額が本件国家賠償請求①の損害額である。 なお,本件国家賠償請求①の請求額は,別紙2原告A請求一覧のとおりであり,主張額に減縮していない 間に係る原告Aの過納額は366万3200円であり,同額が本件国家賠償請求①の損害額である。 なお,本件国家賠償請求①の請求額は,別紙2原告A請求一覧のとおりであり,主張額に減縮していない。 (被告の主張)争う。 (4) 争点④(本件決定の適法性) (原告Aの主張)ア課税根拠の主張立証責任は被告が負う。したがって,被告は,基準年度の前年度の再建築費評点数がその当時の評価基準に適合していることについても,主張立証責任を負っていると解すべきである。 イ本件決定は,本件家屋①の新築時の評価について,部分別「基礎工事」 の「杭打地業」のうち,PHC杭の標準評点数を,鉄筋コンクリート杭の標準評点数(2万3300点)を上回る2万8500点とし,部分別「その他の工事」の補正係数を,増点補正率に示されている率(1.5)を上回る2.0とした。しかし,上記(1)(原告Aの主張)で主張したとおり,これらは誤りである。 ウ大阪市固定資産評価審査委員会は,本件審査申出を受けて,以下に挙げた必要な調査検討を怠っており,本件決定は手続上違法である。 (ア) 大阪市固定資産評価審査委員会は,部分別「基礎工事」の杭打地業の標準評点数の当否について,本件家屋①の新築時の評点基準表の評点項目「鉄筋コンクリート杭」の標準評点数の積算根拠がPHC杭であっ たことについて総務省に聞き取り調査を行わなければならなかった。 - 25 -(イ) 大阪市固定資産評価審査委員会は,部分別「その他工事」の補正係数について,本件家屋①の現地調査をしなければならなかった。 (被告の主張)ア評価基準は,在来分の非木造家屋について,当該基準年度の前年度の再建築費評点数を前提として当該基準年度の価格を定めるという仕組み(関 係 地調査をしなければならなかった。 (被告の主張)ア評価基準は,在来分の非木造家屋について,当該基準年度の前年度の再建築費評点数を前提として当該基準年度の価格を定めるという仕組み(関 係法令等の定め(3)ウ)を採用している一方,登録価格に対する審査の申出をすることができる場合を限定し,登録価格を早期に確定させることにしている。したがって,当該基準年度の前年度までに行われた再建築費評点数等の算定等は,特段の事情がない限り,その当時の評価基準に適合したものであることが推認され,納税者は,当該前年度までに行われた再建築 費評点数等の算定等がその当時の評価基準に適合したものではなかったという特段の事情を主張立証することによって,当該基準年度の登録価格を争うことができるものと解すべきである。 イ本件決定による原告A各建物の評価額は,別紙12本件決定による原告A各建物の評価額記載のとおりである。上記(1)(被告の主張)において主 張したとおり,本件家屋①の新築時の評価のうち,部分別「基礎工事」の杭打地業の標準評点数及び部分別「その他工事」の補正係数のいずれについても誤りはないし,他の部分にも誤りはない。 ウ以下のとおり,本件決定手続に違法な点はない。 (ア) 固定資産の価格は評価基準によって決定されるものであるから,本 件家屋①の新築時の評点基準表の評点項目「鉄筋コンクリート杭」の標準評点数の積算根拠がPHC杭であったことについて,総務省に聞き取り調査を行う必要はない。 (イ) 原告Aは,部分別「その他工事」の補正係数に係る判断のために,本件家屋①の現地調査をする必要があると主張する。しかし,本件家屋 ①は平成10年新築であるところ,本件審査申出を受けて同家屋の平成 - 26 -27年度現在の状況に に係る判断のために,本件家屋①の現地調査をする必要があると主張する。しかし,本件家屋 ①は平成10年新築であるところ,本件審査申出を受けて同家屋の平成 - 26 -27年度現在の状況について実地調査をしても,新築時の状況を十分に把握することはできない。 (5) 争点⑤(本件家屋②の新築時の評価に係る国家賠償法上の違法性及び故意又は過失の有無)ア本争点に係る当事者の主張の骨子 原告株式会社Bは,本件家屋②の新築時の評価には,部分別「基礎工事」の杭打地業のうちPHC杭の標準評点数を過大に設定し(後記イ),評価基準上の上限を超えた補正係数による補正をした結果(後記ウ),過大な評点数を付設した違法がある旨主張する。 これに対し,被告は,原告株式会社Bが挙げる点はいずれも国家賠償法 上違法と評価される誤りではない旨主張する。 イ PHC杭の標準評点数について(原告株式会社Bの主張)(ア) 大阪市長は,本件家屋②の新築時の評価では,部分別「基礎工事」において,PHC杭の標準評点数を2万4400点とした。 しかし,PHC杭は,既製杭と呼ばれる工場生産杭の一種であり,平成3年度評価基準(甲7)では「鉄筋コンクリート杭」に当たり,その標準評点数は2万1600点である。 (イ) 平成3年度評価基準では,市町村長は,評点基準表に所要の評点項目及び標準評点数がないときは補正ができる旨を定めている(関係法令 等の定め(2)ウ)。しかし,以下の点に照らせば,PHC杭は,平成3年度評価基準の評点基準表のうち「鉄筋コンクリート杭」に含まれるから,上記の評点基準表の補正は許されない。 aPHC杭は昭和45年に開発され,昭和57年にはJISも制定され,その後は主要な既製杭とされていた。 b 総務省家屋 クリート杭」に含まれるから,上記の評点基準表の補正は許されない。 aPHC杭は昭和45年に開発され,昭和57年にはJISも制定され,その後は主要な既製杭とされていた。 b 総務省家屋評価室によれば,PHC杭の価格は,評点項目「鉄筋コ - 27 -ンクリート杭」の標準評点数の積算根拠とされていた。 c 自治省固定資産税課編の平成3年度評価基準解説(乙14)では,PC杭については鉄筋コンクリート杭の補正項目及び補正係数によって処理して差し支えないとされているところ,PC杭とPHC杭は強度が異なるにすぎない。 (被告の主張)(ア) 平成3年度評価基準は,非木造家屋評点基準表に所要の評点項目及び標準評点数がないときは,所要の補正をして適用することができるとしていた(関係法令等の定め(2)ウ)。そして,平成3年度評価基準(乙1)には,地階のない建物に係る杭打地業の評点項目にはPHC杭を用 いたものはなかった。そこで,大阪市長は,本件評価要領において,平成3年度の地階のない建物の杭打地業に評点項目「プレストレストコンクリート杭(PC杭・PHC杭)」を設け,標準評点数を2万4400点と定めた(乙4)。したがって,本件家屋②の杭打地業のうちPHC杭に付した評点数に誤りはなく,適法である。 (イ) 以下の点に照らせば,PHC杭は,評価基準の評点基準表のうち「鉄筋コンクリート杭」に含まれず,評点基準表の補正は許される。 a 原告株式会社Bは,評価基準の「鉄筋コンクリート杭」にPHCが含まれることの根拠として,昭和57年にPHC杭についてJISが制定されたことを主張する。しかし,JISとは,日本の工業製品に 関する規格や測定法等について工業標準化法に基づき制定される国家規格であるから,PHC杭についてJ 年にPHC杭についてJISが制定されたことを主張する。しかし,JISとは,日本の工業製品に 関する規格や測定法等について工業標準化法に基づき制定される国家規格であるから,PHC杭についてJISが制定されることと,PHC杭が評価基準の「鉄筋コンクリート杭」に含まれるか否かとの間には何ら関連がない。 b 原告株式会社Bは,総務省家屋評価室担当者が評点項目「鉄筋コン クリート杭」の標準評点数の積算根拠にPHC杭の価格を用いた旨回 - 28 -答したと主張するが,否認する。 c 平成3年度評価基準解説(乙14)は,PC杭については鉄筋コンクリート杭の補正項目及び補正係数によって処理して差し支えないと記載しているにすぎない。したがって,同記載を理由に,PHC杭の補正項目及び補正係数を鉄筋コンクリート杭と同様にしなければなら ないとはいえない。 ウ本件家屋②に用いられた直径60cmのPHC杭の補正係数について(原告株式会社Bの主張)(ア) 大阪市長は,本件家屋②の新築時の評価では,部分別「基礎工事」において,直径60cmのPHC杭の補正係数を10.548(602/ 302×14.65/5×0.9)とした。 しかし,平成3年度評価基準(甲7)によれば,杭の径及び長さに係る増点補正率は5であり,これを超えた上記評価は違法である。 (イ) 被告は,大阪市長が,平成3年度評価基準解説(乙6)の記載を踏まえ,PHC杭について,場所打コンクリート杭と同様に,杭の本数に 換算して処理したと主張する。しかし,平成3年度評価基準解説では,「杭打地業については,増点補正率は最高限を指すものであって,これを上回る補正係数の決定は禁止されている」との記載があるし,上記処理は場所打コンクリート杭にのみ許されており,それ以外 基準解説では,「杭打地業については,増点補正率は最高限を指すものであって,これを上回る補正係数の決定は禁止されている」との記載があるし,上記処理は場所打コンクリート杭にのみ許されており,それ以外に適用することは認められていない。 (被告の主張)(ア) 平成3年度評価基準解説(乙6)では,「場所打コンクリート杭は,工事の場所的な制約から口径の太いもの,杭長の長いものがあって,増点補正率の範囲では処理できないものが往々に見受けられるので,杭打地業の増点補正率の限度は固守しつつ,これに該当する杭については, 本数に換算することによって処理する」こととされている。そして,大 - 29 -阪市長は,場所打コンクリート杭との負担の公平を考慮して,上記評価基準解説の記載の考え方に基づいて,本件評価要領(乙4)において,杭打地業の総評点数の計算式を定めたのであり,本件家屋②に用いられた直径60cmのPHC杭の評点数は,上記計算式によって算出されたものである。 (イ) 原告株式会社Bは,平成3年度評価基準の記載を根拠に増点補正率5を超えることは違法である旨主張する。しかし,同記載は補正項目に基づく補正における問題である。本件家屋②は杭の本数に換算して処理しており,補正項目に基づく補正には該当しない。 (6) 争点⑥(本件国家賠償請求②の損害額) (原告株式会社Bの主張)平成3年度から平成26年度までの本件家屋②に係る評価額の推移及び原告株式会社Bが納付した固定資産税等の金額は別紙13原告株式会社B主張損害別表1(修正前)のとおりであり,上記(5)(原告株式会社Bの主張)を踏まえた適正な税額は同別表2(修正後)のとおりである。上記期間のうち, 平成6年度から平成26年度までの原告株式会社Bの過納額は, 修正前)のとおりであり,上記(5)(原告株式会社Bの主張)を踏まえた適正な税額は同別表2(修正後)のとおりである。上記期間のうち, 平成6年度から平成26年度までの原告株式会社Bの過納額は,上記納付額と上記適正な税額の差額であり,その金額は216万6500円である。したがって,同額が本件国家賠償請求②の損害額である。 (被告の主張)争う。 (7) 争点⑦(本件国家賠償請求権②に係る除斥期間の成否)(被告の主張)地方税法上,固定資産の価格等は,平成14年までは毎年2月末日までに決定しなければならないとされていたから,大阪市長は,遅くとも平成3年2月28日には本件家屋②の新築時の価格等を決定した。そうすると,新築 時の本件家屋②の評価行為を違法行為とする本件国家賠償請求権②は,同日 - 30 -から20年を経過した平成23年2月28日には除斥期間の経過により消滅した。 (原告株式会社Bの主張)新築時の家屋の評価行為を違法行為とする場合であっても,損害が生じるのは誤った評価額に基づいて課税をした時点である。したがって,除斥期間 の起算点である「不法行為の時」とは,各年度の賦課決定の時である。そのため,平成6年度分以降の過納金に係る損害賠償請求権は,20年の除斥期間内に乙事件に係る訴えを提起したから,除斥期間の経過によって消滅していない。 第3 当裁判所の判断 1 争点①(原告A各建物の新築時の評価に係る国家賠償法上の違法性及び故意又は過失の有無)について(1) 判断枠組み等ア地方税法は,固定資産税の課税標準に係る固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を総務大臣の告示に係る評価基準に委ね(同法 388条1項),市町村長は,評価基準によって,固定資産の価格を決定 は,固定資産税の課税標準に係る固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を総務大臣の告示に係る評価基準に委ね(同法 388条1項),市町村長は,評価基準によって,固定資産の価格を決定しなければならないと定めている(同法403条1項)。これらの地方税法の規定及びその趣旨等に鑑みれば,家屋の基準年度に係る賦課期日における登録価格が評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該家屋の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否 かにかかわらず,その登録価格の決定は地方税法に違反するものと解するのが相当である(最高裁判所平成25年7月12日第二小法廷判決・民集67巻6号1255頁参照)。 イそして,市町村長やその補助職員が職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該家屋の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定し たときは,これによって損害を被った上記固定資産税等の納税者は,同決 - 31 -定が国家賠償法1条1項にいう違法に当たるとして,地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく,国家賠償請求を行い得るものと解するのが相当である(最高裁判所平成22年6月3日第一小法廷判決・民集64巻4号1010頁,最高裁判所平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号 2863頁参照)。 ウ原告Aは,原告A各建物の新築時の評価額が評価基準の定める評価方法によって決定される価格を上回っており,同決定は国家賠償法上も違法である旨主張する。そこで,以下では,まず,PHC杭の標準評点数(後記(2)),PHC杭の補正係数(同(3)),根切り工事の補正係数(同(4))及 び部分別「その他の工事」の補正係数(同(5))について,評 る。そこで,以下では,まず,PHC杭の標準評点数(後記(2)),PHC杭の補正係数(同(3)),根切り工事の補正係数(同(4))及 び部分別「その他の工事」の補正係数(同(5))について,評価基準に照らして誤りが認められるか否かを検討し,その上で,国家賠償法上の違法の有無(同(6))について検討する。 (2) 本件家屋①のPHC杭の標準評点数についてア平成9年度評価基準の定め 平成9年度評価基準は,非木造家屋再建築費評点基準表(別表第12)の部分別「基礎工事」のうち,地階のない建物の杭打地業に係る評点項目として,「木杭」及び「鉄筋コンクリート杭」を定めている(甲3,乙2)。 イ本件評価要領の定め本件評価要領は,部分別「基礎」のうち,地階のない建物の杭打地業に ついて,評点項目「木杭」及び「鉄筋コンクリート杭」のほかに,評点項目「プレストレストコンクリート杭(PC杭・PHC杭)」を設け,同項目の標準評点数を2万8500点とした(乙5)。 ウ検討(ア) 平成9年度評価基準(関係法令等の定め(2)ウ)及び平成9年度評価 基準解説(乙7)によれば,市町村長は,評価基準の再建築費評点基準 - 32 -表に家屋に使用されている資材についての評点項目及び標準評点数がないときには,同基準表を補正することができる。そして,同基準表にはPHC杭やPC杭という評点項目は存在しない(上記ア)。そうすると,大阪市長が同基準表を補正して本件評価要領にPHC杭に係る評点項目及び標準評点数を設けたこと(上記イ)は,評価基準に沿うものといえ る。 (イ) これに対して,原告Aは,被告が本件評価要領の「鉄筋コンクリート杭」の標準評点数の積算根拠について資料を提出しないことなどを挙げて,大阪市長が設定したPHC杭の 沿うものといえ る。 (イ) これに対して,原告Aは,被告が本件評価要領の「鉄筋コンクリート杭」の標準評点数の積算根拠について資料を提出しないことなどを挙げて,大阪市長が設定したPHC杭の標準評点数が違法である旨主張する。しかし,国家賠償法上の違法性の主張立証責任は原告Aにあると解 されるところ,本件評価要領は約20年前(平成8年)のものであるから(乙5),被告が現在上記積算根拠に関する資料を提出しないからといって,当時,被告が的確な積算根拠に基づいて標準評点数を設定しなかったことが推認されるものとはいえない。したがって,原告Aの上記主張は採用することができない。 また,原告Aは,①昭和57年にPHC杭に係るJISが制定されたこと(甲11),②平成9年度評価基準解説ではPC杭は評点項目「鉄筋コンクリート杭」に含まれると想定されていたこと及び③総務省担当者の回答を挙げて,PHC杭は評点項目「鉄筋コンクリート杭」に含まれるから,PHC杭は評価基準に評点項目がない場合に当たらない旨主 張する。 しかし,まず,①については,JISが制定されてから相当期間が経過したからといって,当該資材が特定の評点項目に含まれるとはいえない。次に,②については,平成9年度評価基準解説では,PC杭については評点項目「鉄筋コンクリート杭」を使用して差し支えないと記載さ れているにとどまるから(乙15),同記載によって,PC杭は上記評 - 33 -点項目によって評価しなければならないとはいえない。そして,③について,原告Aは,同原告が総務省家屋評価室担当者から得た回答によれば,評点項目「鉄筋コンクリート杭」の標準評点数の積算根拠にはPHC杭が含まれているから,PHC杭の標準評点数は鉄筋コンクリート杭の標準評点数によるべき 告が総務省家屋評価室担当者から得た回答によれば,評点項目「鉄筋コンクリート杭」の標準評点数の積算根拠にはPHC杭が含まれているから,PHC杭の標準評点数は鉄筋コンクリート杭の標準評点数によるべきである旨主張するが,上記回答の時期,相手方 及び内容を認めるに足りる証拠はない。したがって,原告Aの上記主張は採用することができない。 (ウ) 以上のとおりであるから,大阪市長が本件評価要領において評点項目にPHC杭を加えてその標準評点数を2万8500点とし,本件家屋①の新築時の評価において上記評点数を用いたことは,平成9年度評価 基準に照らして誤りであるとはいえない。 (3) 本件家屋①に用いられた直径60cmのPHC杭の補正係数についてア平成9年度評価基準の定め平成9年度評価基準の非木造家屋再建築費評点基準表(別表第12)は,部分別「基礎工事」の評点項目「地階のない建物」の「杭打地業」につい て,計算単位を本数と定め,「(注)杭打地業の増点補正率は,最高限を示すものである。」と定めている(甲3,乙2,26)。 イ本件評価要領の定め本件評価要領は,部分別「基礎」の評点項目「杭打地業」について,以下のとおり定めている(乙5)。 (ア) 杭打地業の増点補正率は最高限を示す。 (イ) 「地階のない建物」の評点項目「鉄筋コンクリート杭」の標準評点数は2万3300点,「プレストレストコンクリート杭(PC杭・PHC杭)」の標準評点数は2万8500点であり,補正項目「杭の径及び長さ」に係る増点補正率5.00は,杭の末口径50cm,長さ12m のものであり,標準1.00は,末口径30cm,長さ5mのものであ - 34 -る。 (ウ) 杭打地業で,杭の径が太いものや長さが長いものについては,次の計算式( 50cm,長さ12m のものであり,標準1.00は,末口径30cm,長さ5mのものであ - 34 -る。 (ウ) 杭打地業で,杭の径が太いものや長さが長いものについては,次の計算式(以下「本数換算」という。)によってその総評点数を求めることとする。ただし,使用杭の長さは,増点補正率の最高のものでとめること。 〔計算式〕標準杭の評点数×{(使用杭の直径)2/(標準杭の直径)2}×(使用杭の長さ/標準杭の長さ)×使用杭の本数×0.9ウ平成9年度評価基準解説の計算式平成9年度評価基準解説は,非木造家屋再建築費評点基準表上に示され ている口径及び長さに合致しない杭のうち,標準とされた体積より大きいものの補正率については,次の計算式によるのが適当であるとしている(甲4,乙7)。 〔計算式〕{(使用杭の直径)2×長さ-(標準杭の直径)2×長さ} /{(増点補正杭の直径)2×長さ-(標準杭の直径)2×長さ}×(5.00-1.0)+1エ大阪市長がした直径60cmのPHC杭の総評点数の計算大阪市長は,本件評価要領の計算式(上記イ(ウ))に沿って,本件家屋①の新築時の評価では,直径60cmのPHC杭41本の総評点数を,次 の計算式のとおり,1009万5840点とした(甲1。以下,同計算式のうち,8.64(602/302×12/5×0.9)の部分を「本件補正」という。)。 〔計算式〕2万8500×41×602/302×12/5×0.9 =2万8500点×41本×8.64 - 35 -=1009万5840点オ検討(ア) 以上のとおり,大阪市長は,本件評価要領の定める計算式(本数換算)に沿って,本件家屋①の直径60cmのPHC杭の総評点数算出に当たり,使用した杭 -=1009万5840点オ検討(ア) 以上のとおり,大阪市長は,本件評価要領の定める計算式(本数換算)に沿って,本件家屋①の直径60cmのPHC杭の総評点数算出に当たり,使用した杭の標準評点数と本数の積に8.64(本件補正)を 乗じている(上記エ)。しかし,平成9年度評価基準及び本件評価要領は,増点補正率は最高限を示す旨を定めており(上記ア,イ(ア)),本件評価要領が定めるPHC杭の増点補正率は5.0である(上記イ(イ))。 そうすると,本件補正(8.64)は評価基準が最高限として定める増点補正率の値(5.0)を上回る。 (イ) これについて,被告は,平成9年度評価基準解説には,場所打コンクリート杭について増点補正率の範囲で処理できない場合には,杭打地業の増点補正率の限度は固守しつつ,本数に換算して処理する旨の記載があるところ(甲4,乙7),場所打コンクリート杭と既製杭との間で公平な評価をするためには,既製杭であるPHC杭に対しても,本数換 算によって換算された本数による補正をすべきであり,その補正には増点補正率の制限は適用されない旨主張する。 しかし,平成9年度評価基準解説(甲4,乙7)によれば,場所打コンクリート杭は,工事の場所的な制約から口径の太いものや杭長の長いものがあり,増点補正率の範囲では処理できないことが往々にして見受 けられることから,増点補正率の限度を固守しつつ本数に換算して処理することが許容されているものと解される。他方,既製杭については,上記の場所打コンクリート杭のように,増点補正率の範囲で処理できないほどに口径の太いものや杭長の長いものが往々にして見られるという事情はうかがわれない。そうすると,既製杭について場所打コンクリー ト杭と同様に,本数換算によって処理を 正率の範囲で処理できないほどに口径の太いものや杭長の長いものが往々にして見られるという事情はうかがわれない。そうすると,既製杭について場所打コンクリー ト杭と同様に,本数換算によって処理をする必要があるとは認められな - 36 -いから,被告の上記主張は採用することができない。 (ウ) また,被告は,同じ資材の使用量であるにもかかわらず,太い杭で本数が少ないものと細い杭で本数が多いものとの間で評点数が異なることは不公平であるから,上記の各場合の間で公平な評価をするためには,既製杭であるPHC杭に対しても,本数換算によって換算された本数に よる補正をすべきであり,その補正には増点補正率の制限は適用されるべきではない旨主張する。 しかし,平成9年度評価基準において,杭打地業の増点補正率は最高限を示すものと定めているのは,杭打地業は家屋の建築に必要なものである一方で地盤の改良に当たるものでもあるため,家屋の価格への影響 を一定程度にとどめるとの考え方に基づくものである(昭和57年度評価基準解説(甲16)参照)。そうすると,増点補正率を上回る太さの杭を使用した場合は,それは地盤の改良として評価すべき場合に当たるものといえるから,細い杭が用いられた場合に比べて不公平であるとはいえない。したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (エ) そして,自治省固定資産税課係長は,昭和47年4月14日に開催された都道府県税務担当者会議において,杭打地業について基準に示されなかった工法等(鋼管杭,アースドリル等)の杭打地業評点数の算出方法についての質問に対し,「使用杭の本数×{(使用杭の直径)2/(標準杭の直径)2}×標準杭の評点数×α(価額調整係数0.9程度)」と の計算式によって処理し,その際,杭の長さ 評点数の算出方法についての質問に対し,「使用杭の本数×{(使用杭の直径)2/(標準杭の直径)2}×標準杭の評点数×α(価額調整係数0.9程度)」と の計算式によって処理し,その際,杭の長さは標準杭の長さとするよう回答したところ(乙8),被告は,大阪市長は上記回答に基づいて本件評価要領において本数換算を採用したのであるから,計算式に誤りはない旨主張する。 しかし,上記回答は自治省固定資産税課が昭和47年に出したもので あるところ,同課がその後に編集した昭和57年度評価基準解説(甲1 - 37 -6)では,本数に換算することによって処理する方法は場所打コンクリート杭について認められる旨の記載がある一方,既製杭についてそのような計算方法が許容される旨の記載はない(なお,平成3年度評価基準解説(乙6),平成9年度評価基準解説(甲4,乙7)も同様である。)。 そうすると,上記回答に沿って本件評価要領において本数換算を採用し たからといって,その計算式が本件家屋①の新築時の評価の際には評価基準に従った評価方法であるとはいえない。したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (オ) 以上のとおり,本数換算によって算出された本件補正は評価基準の定める増点補正率の値を上回るものであり,これを許容する根拠を見出 すことはできないから,本件補正は評価基準の定める評価方法に反し,誤りであることは明らかである。 カ評価基準の定める評価方法による本件家屋①の杭打地業の評点数以上を踏まえ,評価基準の定める評価方法に従って非木造家屋比準調書(甲1)を基に算出した,本件家屋①の新築時の部分別「基礎」のうち杭 打地業の評点数は,以下のとおりである。 (ア) 径35cm,長さ20mの杭4本の評点数a 補正係数は,平成 屋比準調書(甲1)を基に算出した,本件家屋①の新築時の部分別「基礎」のうち杭 打地業の評点数は,以下のとおりである。 (ア) 径35cm,長さ20mの杭4本の評点数a 補正係数は,平成9年度評価基準解説の計算式(上記ウ)に沿って,次の計算式のとおり,4.13となる。 〔計算式〕 {(35cm)2×20m-(30cm)2×5m}/{(50cm)2×12m-(30cm)2×5m}×(5.00-1.0)+1=4.13…b 評点数は,以下の計算式により,258点となる。 〔計算式〕 - 38 -4本(杭の本数)×2万8500点(標準評点数。上記(2)参照)×4.13(補正係数)/1818.08㎡(建床面積)=258.96…(イ) 径60cm,長さ20mの杭41本の評点数a 補正係数は,平成9年度評価基準解説の計算式(上記ウ)に沿うと, 次の計算式のとおり11.58となるが,5.0が上限とされているから,5.0となる。 〔計算式〕{(60cm)2×20m-(30cm)2×5m}/{(50cm)2×12m-(30cm)2×5m} ×(5.00-1.0)+1=11.58…b 評点数は,以下の計算式により,3213点となる。 〔計算式〕41本(杭の本数)×2万8500点(標準評点数。上記(2)参照) ×5.00(補正係数)/1818.08㎡(建床面積)=3213. 55…(ウ) 杭打地業の評点数杭打地業の評点数は,3471点(上記(ア)及び(イ)の和)となる。 (4) 原告A各建物の根切り工事の補正係数について ア平成9年度評価基準の定め平成9年度評価基準(乙34)には,以下の定めがある(なお,本件評価要領の定めも同様である。)。 (ア (4) 原告A各建物の根切り工事の補正係数について ア平成9年度評価基準の定め平成9年度評価基準(乙34)には,以下の定めがある(なお,本件評価要領の定めも同様である。)。 (ア) 部分別「基礎工事」の評点項目「地階のない建物」の「根切り工事(割栗地業を含む。)」の標準評点数は4650点である。 (イ) 上記(ア)の評点項目中の補正項目「根切り土量」のうち,増点補正 - 39 -率1.20の適用対象は「深いもの」であり,標準1.0の適用対象は「普通のもの」である。 (ウ) 上記(ア)の評点項目中の補正項目「地盤」のうち,増点補正率1. 50の適用対象は「埋立地等のように軟弱な地盤又は低地で湧水多量の地盤」であり,標準1.00の適用対象は「普通の地盤」である。 (エ) 上記(ア)の評点項目中の補正項目「敷地」のうち,増点補正率1. 30の適用対象は「商店街等のように建物が密集し作業不便な場所」であり,標準1.0の適用対象は「普通のもの」である。 イ非木造家屋比準調書の記載内容及び1㎡当たりの根切り工事の評点数(ア) 非木造家屋比準調書の記載内容 本件家屋①に係る非木造家屋比準調書(甲1)の部分別「基礎」欄には,「根切り工事 4650×789m※×3.4560×273.62/1818.08」,「根切り土量2.88 やや軟弱1.2 連乗3.4560」との記載がある(上記※印は「3」であることがうかがわれるものの,判読できない。)。また,上記調書によれば,本件家 屋①の建床面積は273.62㎡であり,延床面積は1818.08㎡であることが認められる。 (イ) 新築時の1㎡当たりの根切り工事の評点数他方,上記(ア)の調書の部分別「基礎」欄の他の記載を踏まえると,同調書において算出され あり,延床面積は1818.08㎡であることが認められる。 (イ) 新築時の1㎡当たりの根切り工事の評点数他方,上記(ア)の調書の部分別「基礎」欄の他の記載を踏まえると,同調書において算出された本件家屋①の新築時の1㎡当たりの根切り工 事の評点数(1万2711点)は,以下の計算式(小数点以下は切捨て)によって算出されたものと認められ,上記(ア)は計算には用いられていないことが明らかである。 a 直径35cm,長さ20mのPHC杭4本の評点数4×28500×(352/302)×(12/5)×0.9=33 万5160点 - 40 -b 直径60cm,長さ20mのPHC杭41本の評点数41×28500×(602/302)×(12/5)×0.9=1009万5840点c 根切り工事の評点数4650×789×3.456=1267万9545点 d 上記aからcまでの和33万5160点+1009万5840点+1267万9545点=2311万0545点e 本件家屋①の1㎡当たりの評点数2311万0545点/1818.08=1万2711点 ウ検討(ア) 平成9年度評価基準の定める評価方法によれば,本件家屋①の1㎡当たりの根切り工事の評点数は,標準評点数(上記ア(ア))に連乗補正率(根切り土量,地盤及び敷地の各補正係数を乗じたもの。上記ア(イ)~(エ))を乗じる計算式によらなければならない。そこで,本件家屋① の新築時の評価が上記計算式に沿うものか否かを検討する。 上記イ(イ)cのとおり,本件家屋①の非木造家屋比準調書では,標準評点数(4650)以外に「3.456」と「789」という二つの数値が乗じられている。このうち「3.456」は,同調書の記載(上記イ(ア))に照らせば,補正 件家屋①の非木造家屋比準調書では,標準評点数(4650)以外に「3.456」と「789」という二つの数値が乗じられている。このうち「3.456」は,同調書の記載(上記イ(ア))に照らせば,補正項目「根切り土量」の補正係数2.88と 補正項目「地盤」の補正係数1.2の積であると認められる。他方,「789」については,その数値自体は「敷地」(増点補正率1.30)やその他の補正項目に係る補正係数であるとは考え難い。そして,「789m※」(上記イ(ア)の※印の値は3であることがうかがわれるところ,上記「根切り土量」の補正係数2.88に本件家屋①の建床面積2 73.62㎡を乗じた積は788.0256であって,789に近い値 - 41 -である。以上によれば,上記「789」は「根切り土量」の補正係数及び本件家屋①の建床面積の積であることが強くうかがわれ,この推認を妨げる事情はない。 そうすると,同調書における本件家屋①の1㎡当たりの根切り工事の評点数の計算は,同家屋の根切り土量の補正係数を誤って2度乗じたも のと認められる。 (イ) これに対し,被告は,根切り工事の計算式の正誤はもはや不明であり,誤りがあったとはいえない旨主張する。しかし,上記(ア)に説示したところに照らせば,上記計算式は非木造家屋比準調書(甲1)と平成9年度評価基準(上記ア)の内容を対照することのみによって判明する 計算上の誤りというほかない。なお,本件家屋①建築時の見積書(甲15)には,「根切 780㎥」「鋤取 9.0㎥」の記載があるところ,これは根切り土量そのものであり,この和(789㎥)を建床面積273.62㎡で除した値は2.8835…となる。そうすると,上記イ(ア)の※印の値は3であり,補正項目「根切り土量」の補正係数2.88 は根切り土量そのものであり,この和(789㎥)を建床面積273.62㎡で除した値は2.8835…となる。そうすると,上記イ(ア)の※印の値は3であり,補正項目「根切り土量」の補正係数2.88 は実際の根切り土量を建床面積で除した値と認められ,これらは上記(ア)で説示した内容を裏付けるものといえる。したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (ウ) 以上のとおり,本件家屋①の新築時の評価のうち根切り工事の評点数には計算の誤りが認められる。そして,評価基準の定める評価方法に よる本件家屋①の1㎡当たりの根切り工事の評点数は,4650点(標準評点数)×3.4560(連乗補正率)×273.62㎡(建床面積)/1818.08㎡(延床面積)≒2418点となる。そうすると,大阪市長は,本件家屋①の新築時の評価のうち,根切り工事の評点数を6974点としたが(上記イ(イ)cの値を上記延床面積で除した値を小数 点以下切捨て),2418点を上回る部分は同家屋に適用される評価基 - 42 -準の定める評価方法に反し,誤りである。 また,甲第41号証によれば,原告A物置(部分別「基礎工事」のうち根切り工事以外の工事は行われていない。)にも上記同様の誤りが認められ,評価基準の定める評価方法による根切り工事の1㎡当たりの評点数は,4650点(標準評点数)×2.868(連乗補正率)/5. 18㎡(床面積)≒2574点となる。これに対して,大阪市長は,原告A物置の新築時の評価のうち,根切り工事の1㎡当たりの評点数を3万1924点としたが,2574点を上回る部分は同家屋に適用される評価基準の定める評価方法に反し,誤りである。 (5) 本件家屋①の部分別「その他の工事」の補正係数について ア平成9年度評価基準の定め が,2574点を上回る部分は同家屋に適用される評価基準の定める評価方法に反し,誤りである。 (5) 本件家屋①の部分別「その他の工事」の補正係数について ア平成9年度評価基準の定め平成9年度評価基準の別表第12「非木造家屋再建築費評点基準表」の「住宅,アパート用建物」における部分別「その他の工事」の標準評点数は2150点と定められ,補正項目「その他の工事の多少」には,増点補正率1.50の適用対象として「多いもの」,標準1.0の適用対象とし て「普通のもの」との定めがある(甲3)。 イ非木造家屋比準調書の記載内容本件家屋①の非木造家屋比準調書(甲1)の部分別「その他の工事」欄には,「2150 多い 2.0 4300」との記載がある。 ウ検討 (ア) 上記ア,イによれば,大阪市長は,本件家屋①の新築時の評価のうち部分別「その他の工事」については,標準評点数2150点に,工事が多いことを理由として増点補正率(1.5)を0.5上回る2.0を乗じた4300点を評点数としたことが認められる。そして,平成9年度評価基準解説(甲5,乙7)には,増点補正率の範囲を超える補正率 の適用は,当該家屋について,木工事か金属工事に係る工事費が類似の - 43 -家屋と比較して特に多いと認められる場合等に限られる旨の記載がある。 (イ) 以上を踏まえ,原告Aは,平成28年1月17日に実施した本件家屋①の調査結果をまとめた家屋調査書(甲40)に基づき,本件家屋①の「その他の工事」の内容は増点補正率を超える場合に該当しない旨主 張する。しかし,本件家屋①は平成10年10月に新築されたものであるところ(前記前提事実(1)ア),上記家屋調査は新築後約17年を経過して実施されたものであるから,上記家屋調査書によって 旨主 張する。しかし,本件家屋①は平成10年10月に新築されたものであるところ(前記前提事実(1)ア),上記家屋調査は新築後約17年を経過して実施されたものであるから,上記家屋調査書によって新築時の「その他の工事」の内容を認定することはできず,他に同内容を明らかにする的確な証拠は見当たらない。 また,原告Aは,被告は当時の資料がないとして本件家屋①の建物の普請の程度を何ら立証しないのであるから,本件家屋①の「その他の工事」の内容は増点補正率を超える場合に該当しない旨主張する。しかし,国家賠償法上の違法性を基礎付ける事情に係る立証責任は原告Aにあるから,上記主張は採用することができない。 (ウ) 以上のとおりであるから,本件家屋①の新築時の評価のうち部分別「その他の工事」について,誤りは認められない。 (6) 国家賠償法上の違法及び故意又は過失の有無についてア本件家屋①に用いられた直径60cmのPHC杭の補正係数について上記(3)で説示したとおり,大阪市長は,本件家屋①の新築時の評価では, 本件評価要領の定める計算式に沿って直径60cmのPHC杭の補正係数を8.64としたが,上記評価のうち,増点補正率5.00を超えて適用した部分は,同家屋に適用される評価基準の定める評価方法に反し,誤りである。 そこで,上記評価が国家賠償法上違法か否かについて検討するに,市町 村長は,評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならないとこ - 44 -ろ(地方税法403条1項),平成9年度評価基準には杭打地業の増点補正率は最高限である旨の定めがあり(上記(3)ア),平成9年度評価基準解説には増点補正率を上回る補正係数の決定は許されない旨の記載(甲4,乙7)及び杭の計算式の記載(上記(3)ウ)があるか の増点補正率は最高限である旨の定めがあり(上記(3)ア),平成9年度評価基準解説には増点補正率を上回る補正係数の決定は許されない旨の記載(甲4,乙7)及び杭の計算式の記載(上記(3)ウ)があるから,大阪市長が本件評価要領において杭打地業のうち杭の径が太いものや長さが長いものの総 評点数の算出方法を定めるに当たって,その計算式及び補正係数の値を上記評価基準の定め及び評価基準解説の記載に沿うものとすることは,可能かつ容易であったといえる。これに対して,被告は,平成9年度評価基準解説の記載,昭和47年の自治省固定資産税課係長の回答等を挙げて,本数換算が許容される旨やその場合の補正係数に増点補正率の制限が適用 されない旨を主張する。しかし,上記(3)オで説示したとおり,上記主張は昭和57年度評価基準解説及び平成9年度評価基準解説の記載に照らし採用することができないし,他の証拠に照らしても,これらの記載に沿って大阪市長が評価基準に沿う評価要領を定めて評価をすることが困難であった事情を見出すこともできない。 以上によれば,大阪市長及び補助職員が,本件評価要領において杭打地業のうち杭の径が太いものや長さが長いものについて本数換算を採用し,増点補正率5.00を上回る補正係数を付設して評点数を算出した点は,合理的な根拠なく評価基準によらずに固定資産の価格を決定したものであるから,職務上の法的義務に反したものといわざるを得ず,国家賠償法 上違法である。そして,以上に説示したところに照らせば,大阪市長及び補助職員には,上記違法行為について少なくとも過失が認められる。 イ根切り工事の補正係数について(ア) 上記(4)で説示したとおり,大阪市長がした原告A各建物の新築時の根切り工事の評点数は,評価基準の定める評価方法に従って いて少なくとも過失が認められる。 イ根切り工事の補正係数について(ア) 上記(4)で説示したとおり,大阪市長がした原告A各建物の新築時の根切り工事の評点数は,評価基準の定める評価方法に従って決定され る評点数を上回る。 - 45 -そこで,上記評価が国家賠償法上違法か否かについて検討するに,大阪市長は,評価基準によって固定資産の価格を決定すべき職務上の注意義務を負い(地方税法403条1項),補助職員も同様の義務を負うと解されるところ,上記(4)ウで説示したとおり,上記根切り工事の評点数の誤りは,非木造家屋比準調書(甲1)と平成9年度評価基準(乙34) の内容を対照することのみによって判明する計算上の誤りであり,他に大阪市長及び補助職員において職務上参照する資料等に上記評価を妨げるものは見当たらない。したがって,上記根切り工事の評価の誤りは国家賠償法上も違法であり,以上に説示したところに照らせば,補助職員には,上記評価の誤りについて少なくとも過失があると認められる。 (イ) これに対して,被告は,上記評価上の誤りは,地方税法417条1項所定の「重大な錯誤」に当たらず,国家賠償法上違法ではない旨主張する。しかし,同項は,市町村長が登録価格の公示後に,登録価格等に重大な錯誤があることを発見した場合における修正についての定めであり,国家賠償法上の違法性について規定したものではない。重大な錯誤 がなければ国家賠償法上の違法性が認められないものではなく,被告の上記主張は採用することができない。 ウ小括以上のとおり,本件家屋①の新築時の評価のうち直径60cmのPHC杭の補正係数の決定,及び原告A各建物の新築時の評価のうち根切り工事 の評点数の付設は,いずれも国家賠償法上違法であり,これらの評価の とおり,本件家屋①の新築時の評価のうち直径60cmのPHC杭の補正係数の決定,及び原告A各建物の新築時の評価のうち根切り工事 の評点数の付設は,いずれも国家賠償法上違法であり,これらの評価の誤りについて,大阪市長又は補助職員に過失があると認められる。 2 争点②(本件賃貸部分の都市計画税に新築中高層耐火建築住宅に係る減額措置を適用しなかったことに係る国家賠償法上の違法性及び故意又は過失の有無)について (1) 原告Aは,本件賃貸部分は,大阪市税条例141条3項により準用される - 46 -同条例72条の2の要件を満たすから,初年度から5年間,都市計画税の2分の1が減額されるべきである旨主張する。 そこで検討するに,同条例141条3項により準用される同条例72条の2(準用による読み替え後のもの)は,「…までの間に新築された中高層耐火建築物…に対して課する都市計画税については,次条,第72条の2の4 又は第72条の2の5の規定の適用がある場合を除き,当該住宅に対して新たに都市計画税が課されることとなった年度から5年度分の都市計画税に限り,当該住宅に係る都市計画税額…の2分の1に相当する額を当該住宅に係る都市計画税額から軽減する。」と定め,同条例72条の2の5は「第72条の2の規定は,…までの間に新築された特定優良賃貸住宅の供給の促進に 関する法律第6条に規定する特定優良賃貸住宅である貸家住宅…に対して課する固定資産税について準用する。」と定めている。以上によれば,新築された特優賃である貸家住宅には同条例72条の2の5が適用されるから,同条例141条3項により準用される同条例72条の2は適用されない。 したがって,本件賃貸部分には同条例141条3項により準用される同条 例72条の2は適用されないから, 5が適用されるから,同条例141条3項により準用される同条例72条の2は適用されない。 したがって,本件賃貸部分には同条例141条3項により準用される同条 例72条の2は適用されないから,同条の定める都市計画税の減税措置は適用されない。 (2) 以上に対し,原告Aは以下のとおり主張するが,いずれも採用することができない。 ア原告Aは,まず,本件賃貸部分は特優賃及び新築中高層耐火建築住宅の いずれの要件も満たしているから,大阪市税条例141条3項により準用される同条例72条の2が適用されるべきである旨主張する。しかし,上記(1)で説示したとおり,同条例の文言に照らせば,本件賃貸部分は特優賃である以上,新築中高層耐火建築住宅であるか否かにかかわらず,新築時には同条例72条の2の5が適用されるから,同条例141条3項により 準用される同条例72条の2が適用される余地はない。したがって,原告 - 47 -Aの上記主張は採用することができない。 イ次に,原告Aは,本件賃貸部分に新築中高層耐火建築住宅による都市計画税の減額措置が適用されないと,原告Aは本件賃貸部分について特優賃認定を受けたことによって新築中高層耐火建築住宅による都市計画税の減額措置の適用を受ける機会を失ったことになるため,同措置の適用を否定 する解釈は誤りである旨主張する。しかし,特優賃認定による優遇措置は,本件家屋①の新築当時,固定資産税の減額措置のほかに,建設に要する費用の補助(特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律12条),建設費用借入れの際の利子補給(同法14条),家賃の減額に要する費用補助(同法15条)等もあった。また,弁論の全趣旨によれば,特優賃による固定 資産税の減額措置後の固定資産税等の合計は,新築中高層耐火建築住宅に の利子補給(同法14条),家賃の減額に要する費用補助(同法15条)等もあった。また,弁論の全趣旨によれば,特優賃による固定 資産税の減額措置後の固定資産税等の合計は,新築中高層耐火建築住宅による固定資産税等の各減額措置後の固定資産税等の合計よりも低くなることが認められる。以上のとおり,新築された特優賃である貸家住宅が新築中高層耐火建築住宅の要件を満たす場合,同法所定の減税措置以外の優遇措置を受けるほか,新築中高層耐火建築住宅よりも固定資産税等の合計は 低くなるから,新築中高層耐火建築住宅による都市計画税の減額措置が適用されないことによって不合理な結果が生じるとはいえない。したがって,原告Aの上記主張は採用することができない。 ウまた,原告Aは,本件賃貸部分に新築中高層耐火建築住宅による都市計画税の減額措置が適用されないと,同じ新築中高層耐火建築住宅であるに もかかわらず都市計画税の減税措置の適用の有無が分かれることになり,租税公平主義に反する旨主張する。しかし,本件賃貸部分は特優賃認定を受けたものであり,同認定を受けていない新築中高層耐火建築住宅とは異なるから,これらの間に税負担について適用される法令が異なるところがあるとしても,平等原則には反しない。したがって,原告Aの上記主張は 採用することができない。 - 48 -エそして,原告Aは,新築中高層耐火建築住宅に課す固定資産税等の軽減措置に係る被告の通達(甲50,51)には,当該住宅が特優賃認定を受けた場合に都市計画税の軽減措置を行わない旨の定めはないから,同通達によれば,特優賃認定を受けた新築中高層耐火建築住宅についても都市計画税の減税措置が行われるべきである旨主張する。しかし,同通達は特定 優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律成立時(平 ら,同通達によれば,特優賃認定を受けた新築中高層耐火建築住宅についても都市計画税の減税措置が行われるべきである旨主張する。しかし,同通達は特定 優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律成立時(平成5年5月21日)よりも前に発出されたものである。そのため,同通達によって,特優賃認定を受けた新築中高層耐火建築住宅に対して同住宅であることを理由とする都市計画税の減税措置が適用されていたのか否かをうかがい知ることはできない。したがって,原告Aの上記主張は採用することができない。 (3) 以上のとおりであるから,本件賃貸部分は,大阪市税条例141条3項により準用される同条例72条の2の適用を受けないから,同条所定の都市計画税の減税措置を受けることはできない。したがって,本件賃貸部分の都市計画税の賦課決定に際して,上記減税措置を適用しなかった点に国家賠償法上の違法は認められない。 3 争点③(本件国家賠償請求①の損害額)について(1) 原告A各建物の新築時の評価額についてア本件家屋①について(ア) 上記1のとおり,本件家屋①の新築時の評価額のうち部分別「基礎」(1万2711点)は,直径60cmのPHC杭の補正係数及び根切り 工事の補正係数について誤りがあり,国家賠償法上違法であると認められる。そして,上記誤りを補正した部分別「基礎」の評点数は,杭打地業3471点(上記1(3)カ(ウ))及び根切り工事2418点(上記1(4)ウ(ウ))の和である5889点である。 (イ) また,非木造家屋比準調書(甲1)の部分別「建築設備」及び「仮 設工事」に係る「乗じるべき率」欄には「28796/33203」と - 49 -の記載がある。上記記載の分子である「28796」は,比準家屋の評点数であるから,部分別「建築 備」及び「仮 設工事」に係る「乗じるべき率」欄には「28796/33203」と - 49 -の記載がある。上記記載の分子である「28796」は,比準家屋の評点数であるから,部分別「建築設備」及び「仮設工事」に係る「主な仕上げ資材等」欄の各項目の評点数の合計と一致しなければならないところ,同合計値は2万9381点である。したがって,上記「乗じるべき率」欄の値は正しくは「29381/33203」である。 イ原告A物置についてまた,原告A物置の新築時の評価額のうち部分別「基礎」(3万1924点)は,根切り工事の補正係数について誤りがあり,国家賠償法上違法であると認められる。そして,上記誤りを補正した部分別「基礎」の評点数は,2574点である(上記1(4)ウ(ウ))。 ウ新築時の評価額について以上を踏まえた原告A各建物の新築時の再建築費評点数は,別紙12本件決定による原告A各建物の評価額の第1記載のとおりであり,これによる新築時の評価額は,同別紙第2及び第3各記載の平成11年度の評価額であって,本件決定の評価額と同じである。 (2) 原告A各建物の新築時の評価によって生じた過納金について原告A各建物の新築時の評価額を踏まえた基準年度ごとの評価額の推移は,原告A居宅については別紙5-2原告A居宅評価額(修正後)のとおりであり,原告A同住宅については別紙6-2原告A共同住宅評価額(修正後)のとおりであり,原告A物置については別紙7-2原告A物置評価額(修正 後)のとおりである。その上で,上記各評価額の推移を前提とした平成11年度から平成26年度までの原告A各建物に係る固定資産税等の税額は,別紙8原告A税額比較表の各年度の修正後の年税額欄記載のとおりであり,実際の評価額を前提とした税額との差 の推移を前提とした平成11年度から平成26年度までの原告A各建物に係る固定資産税等の税額は,別紙8原告A税額比較表の各年度の修正後の年税額欄記載のとおりであり,実際の評価額を前提とした税額との差額は,同差額欄記載のとおり,合計184万2500円である。 (3) 損害の算定について - 50 -そして,証拠(甲24~38)及び弁論の全趣旨によれば,原告A各建物に係る固定資産税等は,原告A所有の他の固定資産と併せて税額が算定され,地方税法の規定により各納期の納付額が算定されているところ,原告Aが,別紙1原告A認容一覧の納付日欄記載の各日に,原告A各建物に係る部分を含む平成12年度から平成26年度までの固定資産税等を納付したこと,原 告Aの平成11年度の固定資産税等は,納付日を特定することができないものの,納期限を徒過せずに納付されていること,平成13年度から平成16年度までの固定資産税等の一括納付の際には,報奨金を差し引いて納付していることが認められる。 そして,本件全証拠によっても原告A各建物を除く原告Aの固定資産の評 価額は不明で,原告Aの納付した固定資産税等のうち,原告A各建物に係る金額又は原告A各建物の評価が過大なために過大となった金額は明らかではないものの,上記原告A各建物の評価額を前提にこれに係る各年度の固定資産税等が過大となった差額を損害と認めることができる。また,報奨金は納期限前に納付した場合に交付されるものであり(地方税法365条2項,7 02条の8第1項),実質的に各納期限に納付した場合と同一の経済的負担をするものといえることからすれば,各年度の原告A建物に係る固定資産税等の過大額分を地方税法の規定に準じて各納期に割り当て,その納期限又は納付日の遅い方の日の翌日からの遅延損害金の発 一の経済的負担をするものといえることからすれば,各年度の原告A建物に係る固定資産税等の過大額分を地方税法の規定に準じて各納期に割り当て,その納期限又は納付日の遅い方の日の翌日からの遅延損害金の発生を認める原告Aの損害及びその発生の算定方法も合理的ということができる。したがって,原告Aの 損害及び遅延損害金について,上記に従い,別紙1原告A認容一覧のとおり,184万2500円及びうち同別紙過大額欄記載の各金額に対する同損害金起算日欄記載の各日からの遅延損害金の発生を認めることができる。 4 本件国家賠償請求①についてのまとめ以上のとおり,本件国家賠償請求①については,原告Aが被告に対して国家 賠償法1条1項に基づき損害金184万2500円及びこれに対する別紙1原 - 51 -告A認容一覧の過大額欄記載の各金額に対する同損害金起算日欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による民法所定の遅延損害金を求める限度で理由がある。 5 争点④(本件決定の適法性)について(1) 判断枠組み等 ア上記1(1)アで説示したとおり,家屋の基準年度に係る賦課期日における登録価格が,当該家屋に適用される評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回るときには,当該登録価格の決定が違法となると解するのが相当である(上記最高裁判所平成25年7月12日判決)。 イもっとも,原告Aは,原告A各建物の新築時の評価の誤りを主張してい るところ,固定資産評価審査委員会の決定に対する取消訴訟における基準年度よりも前の年度の登録価格の適法性に関する主張立証責任の対象及び所在等については,当事者間に争いがある。 そこで検討するに,平成27年度評価基準は,在来家屋の評価の前提となる再建築費評点数につき,基準年度の前年度における再 適法性に関する主張立証責任の対象及び所在等については,当事者間に争いがある。 そこで検討するに,平成27年度評価基準は,在来家屋の評価の前提となる再建築費評点数につき,基準年度の前年度における再建築費評点数に 再建築費評点補正率を乗じて算出する方法を採用しているものの(関係法令等の定め(3)ウ),地方税法上,固定資産評価審査委員会の決定に対する取消訴訟において,当該基準年度における固定資産の価格に関し,争うことができる範囲について条文上の制限はない(同法432条1項本文)。 しかし,同法は,固定資産税の課税標準である登録価格について不服が あるときは,原則として基準年度の価格について所定の審査申出期間内に固定資産評価審査委員会に対して審査の申出をすべきものとし(同項),第二年度及び第三年度における価格は原則として基準年度の価格とされ(同法349条2項,3項),これに係る審査の申出をすることができる場合を限定し(同法432条1項ただし書),これらの方法及び固定資産 評価審査委員会の決定に対する取消訴訟(同法434条)によらなければ - 52 -価格を争うことができないという仕組みを採用している。上記内容に照らせば,上記仕組みの趣旨は,年度ごとに争う機会を保障しつつ,固定資産税の賦課決定の前提問題である課税標準(登録価格)を確定していくことによって,固定資産税に関連する事項に係る法的安定性を確保する点にあると解される。 以上によれば,基準年度の再建築費評点数が基準年度の前年度における再建築費評点数を基礎として算定される場合,その前年度に至るまでの再建築費評点数の算出は,各年度における固定資産評価基準に適合するものであったと推認できるというべきであり,基準年度において,その前年度に至るまでの再建築費評点数 される場合,その前年度に至るまでの再建築費評点数の算出は,各年度における固定資産評価基準に適合するものであったと推認できるというべきであり,基準年度において,その前年度に至るまでの再建築費評点数を争う者は,その推認を覆すに足りる具体的 事情,すなわち,基準年度の前年度に至るまでの再建築費評点数を基準に基準年度の再建築費評点数を算出することが不当であり,かかる方法によっては適正な時価を求めることができないような具体的事情を主張立証しなければならないと解するのが相当である。 (2) PHC杭の標準評点数について ア原告Aは,大阪市長が設けたPHC杭の標準評点数は誤りであり,これに依拠した本件決定も違法である旨主張する。しかし,上記1(2)で説示したとおり,大阪市長がPHC杭の補正項目及び標準評点数(2万8500点)を設けたことは評価基準に沿うものであるから,本件決定のうち上記評点数を用いた点に誤りがあるとは認められない。 イ原告Aは,手続上の違法として,大阪市固定資産評価審査委員会は大阪市長が設けたPHC杭の標準評点数の適否を審査するために総務省に対して調査等をすべき義務を怠った旨主張する。しかし,上記(1)で説示したとおり,原告Aは本件家屋①の評価が誤りであることを具体的に主張立証すべきであることからすると,大阪市固定資産評価審査委員会において上記 調査義務があったとは認められない。したがって,原告Aの上記主張は採 - 53 -用することができない。 (3) 部分別「その他の工事」の補正係数について原告Aは,手続上の違法として,大阪市固定資産評価審査委員会は,本件審査申出を受けて,部分別「その他の工事」の補正係数について認定判断するために,本件家屋①の現地調査をすべき義務を怠った旨主張する。 原告Aは,手続上の違法として,大阪市固定資産評価審査委員会は,本件審査申出を受けて,部分別「その他の工事」の補正係数について認定判断するために,本件家屋①の現地調査をすべき義務を怠った旨主張する。しかし, 上記(1)で説示したとおり,原告Aは本件家屋①の評価が誤りであることを具体的に主張立証すべきであるところ,本件家屋①は平成10年10月に新築されたものであるから,そこから16年余りが経過した平成27年5月28日(本件審査申出日)以降に本件家屋①の現地調査をすることによって同家屋の新築時のその他の工事の内容が明らかになるとは認め難い。以上によれ ば,大阪市固定資産評価審査委員会において上記調査義務があったとは認められず,原告Aの上記主張は採用することができない。 (4) 小括以上のとおり,本件決定の評価額には誤りはなく,手続上も適法である。 したがって,本件決定は適法である。 6 争点⑦(本件国家賠償請求権②に係る除斥期間の成否)について(1) 国家賠償法4条により適用される民法724条後段は,「不法行為の時から20年を経過した時」には時効によって消滅する旨を定め,これは除斥期間を定めたものと解するのが相当である(最高裁判所平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2209頁参照)。 これを本件についてみると,原告株式会社Bは大阪市長又はその補助職員の違法行為として本件家屋②の新築時の評価を挙げ,同評価に基づく過納金相当額の損害が生じた旨主張するところ(上記第2の4(1)イ,5(6)),大阪市長は平成2年に作成された本件家屋②の評価調書(甲2)に基づいて同家屋の平成3年度登録価格を決定し(地方税法403条1項,410条1項), 同年度中には原告株式会社Bに対して同価格及びこれに基づく税 成2年に作成された本件家屋②の評価調書(甲2)に基づいて同家屋の平成3年度登録価格を決定し(地方税法403条1項,410条1項), 同年度中には原告株式会社Bに対して同価格及びこれに基づく税額等を記載 - 54 -した納税通知書を交付し(地方税法1条1項6号,364条2項,702条の8第1項),原告株式会社Bは遅くとも同交付を受けた時には同価格を知り,同年度中には上記税額を納付した(前記前提事実(2)ウ)。 以上によれば,原告株式会社Bが挙げる違法行為としての本件家屋②の新築時の評価は,初年度の固定資産税等の賦課に向けられた行為であって,遅 くとも上記納税通知書を交付した時,すなわち平成3年度中には一連の行為として終了し,原告株式会社Bが納付したことにより損害も発生したものと認められる。そして,原告株式会社Bは,同年度末から20年以上経過した後の平成26年4月30日に乙事件に係る訴えを提起した(前記前提事実(3))。したがって,本件国家賠償請求権②は,除斥期間の起算点である「不 法行為の時」から20年を経過したものと認められる。 (2) これに対し,原告株式会社Bは,新築時の家屋の評価行為が違法行為である場合においても,上記「不法行為の時」は各年度の賦課決定の時であるから,平成6年度以降の賦課決定による過納金に係る損害賠償請求権は除斥期間を経過していない旨主張する。 しかし,各年度における固定資産税等の賦課及び徴収は,新築時の家屋の評価額を前提としても,これとは異なる賦課決定等に向けられた別個の行為であるから,新築時の評価を違法行為とする場合の除斥期間の起算点を各年度の納税通知書の交付時とすることはできない。したがって,原告株式会社Bの上記主張は採用することができない。 (3) また,原告株式 新築時の評価を違法行為とする場合の除斥期間の起算点を各年度の納税通知書の交付時とすることはできない。したがって,原告株式会社Bの上記主張は採用することができない。 (3) また,原告株式会社Bは,新築時の家屋の評価行為が違法行為であるとしても,同行為による損害が生じたのは各年度の納税時であるから,同時点が除斥期間の起算点である旨主張する。 しかし,上記(1)で説示したとおり,原告株式会社Bは,平成3年度中には,本件家屋②の新築時の評価額及びこれに基づく納付すべき税額が記載された 納税通知書の交付を受け,同通知書記載の固定資産税等を納付したことが認 - 55 -められる。そうすると,損害発生時である納税時を除斥期間の起算点と解するとしても,平成3年度中に上記違法行為による損害の一部が発生した以上,同時点が本件国家賠償請求権②全体に係る除斥期間の起算点となり,同時点から20年を経過した後に訴え提起があった以上,本件国家賠償請求②に係る損害賠償請求権は除斥期間を経過したものと認められる。 以上のとおりであるから,原告株式会社Bの上記主張は採用することができない。 (4) 以上によれば,本件国家賠償請求②に係る損害賠償請求権は,訴え提起日前に除斥期間の経過により消滅した。 7 本件家屋②の新築時の評価以外を違法行為とする損害賠償請求権について (1) なお,原告株式会社Bの主張は,大阪市長が本件家屋②の平成4年度以降の評価の際に職務上尽くすべき注意義務に違反した結果,違法な賦課決定をし続けたとの主張とも解し得る。しかし,原告株式会社Bが主張する誤りは,部分別「基礎工事」の杭打地業の標準評点数及び補正係数が新築時の評価基準の定める評価方法に反しているか否かであるところ,これらは,原告株式 会社Bから しかし,原告株式会社Bが主張する誤りは,部分別「基礎工事」の杭打地業の標準評点数及び補正係数が新築時の評価基準の定める評価方法に反しているか否かであるところ,これらは,原告株式 会社Bから何ら異義等のない中,地方税法408条所定の実地調査において確認できるものではないし,その余の同法所定の登録価格の決定及び登録手続において確認することが予定されている点でもない。したがって,原告株式会社Bの主張を上記のように解しても,国家賠償法上の違法は認められない。 (2) 以上のとおりであるから,本件家屋②の新築時の評価以外を違法行為とする損害賠償請求権は認められない。 8 本件国家賠償請求②についてのまとめ以上によれば,本件家屋②の新築時の評価を理由とする本件国家賠償請求権②は除斥期間により消滅し,本件家屋②の新築時の評価以外を違法行為とする 損害賠償請求権は認められないから,その余の争点について判断するまでもな - 56 -く,原告株式会社Bの請求は理由がない。 9 結論よって,原告Aの請求は主文第1項記載の限度で理由があるからその限度で認容し,原告Aのその余の請求及び原告株式会社Bの請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事 訴訟法61条,64条を適用し,なお仮執行宣言は相当でないから付さないこととして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官山田 明 裁判官岩佐圭祐 裁判官小 林 真由美(別紙1省略)(別紙2省略)(別紙3省略)(別紙4省略) 裁判官岩佐圭祐 裁判官小林真由美 (別紙1省略) (別紙2省略) (別紙3省略) (別紙4省略) (別紙5省略) (別紙6省略) (別紙7省略) (別紙8省略) (別紙9省略) (別紙10省略) (別紙11省略) (別紙12省略) (別紙13省略)

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