主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人中村健太郎、同中村健の上告理由について。株式会社の整理については、商法四〇三条一項により破産法一〇四条一号が準用されて、会社の整理開始前の原因に基づき会社に対し債権を取得した債権者は、会社の整理開始ののち会社に対して債務を負担しても、その債権をもつて会社の右債権と相殺することはできないとされているのであるが、その法意は、破産の場合におけると同様会社整理の場合においても、会社の債権者が会社に対しその整理開始後に債務を負担した場合、これと自己の有する債権とを相殺することにより会社の債権者間における平等的比例弁済の原則に反するような結果をもたらす弊害を防止しようとするにあると解される。このような法意から考えると、右にいう整理開始後債務を負担したときとは、その負担の原因または原因発生時期のいかんには関係がなく、債務を現実に負担するにいたつた時期が整理開始後である場合を意味し、たとえ停止条件付債務を内容とする契約が整理開始前に締結された場合であつても該契約締結によつて債務を負担したものということはできず、条件が成就することによつてはじめて債務を負担するにいたるものというべきであつて、整理開始後に条件が成就したときは、そのときに債務を負担したものとして相殺は禁止されるものと解すべきである。このことは、昭和四二年法律第八八号によつて追加された破産法一〇四条二号但書において、債務負担の原因またはその原因の発生時期による区別を設け、相殺の制限を除外する場合を明示しているのに対し、同条一号にはこのような規定がなされていないことからも理解できるのである。本件についてこれをみるに、昭和三九年二月二六日上告人と被上告人との間で、 、相殺の制限を除外する場合を明示しているのに対し、同条一号にはこのような規定がなされていないことからも理解できるのである。 法一〇四条二号但書において、債務負担の原因またはその原因の発生時期による区別を設け、相殺の制限を除外する場合を明示しているのに対し、同条一号にはこのような規定がなされていないことからも理解できるのである。本件についてこれをみるに、昭和三九年二月二六日上告人と被上告人との間で、 、相殺の制限を除外する場合を明示しているのに対し、同条一号にはこのような規定がなされていないことからも理解できるのである。本件についてこれをみるに、昭和三九年二月二六日上告人と被上告人との間で、- 1 -上告人の被上告人に対する貸金債権担保のため被上告人所有の本件物件につき譲渡担保契約をし、被上告人が右債務の履行を遅滞したときは、上告人が、本件物件を換価処分してその代金から優先的に右債務の弁済に充当し、剰余金が生じたときはこれを被上告人に返還する旨の合意がなされたが、被上告人において、履行期である同年七月三一日に右債務の履行を遅滞し、よつて、上告人が本件物件の引渡を受け、昭和四〇年八月一五日右約定による換価処分をして清算した結果、同日現在剰余金一一四万九五〇〇円の返還債務が発生したものであるところ、被上告人は、昭和三九年一一月ごろその営む毛織物類の製造販売等の業務の経営状態が悪化したため一般に支払を停止し、昭和四〇年七月七日大阪地方裁判所において会社整理開始決定を受けたが、上告人は、同年八月一六日ごろその主張の本件手形金債権(最終弁済期同年三月五日)を自働債権とし、右剰余金債務を受働債権として相殺する旨の意思表示をしたものである。これによれば、右剰余金返還債務は、貸金債務の不履行に基づく本件物件の換価処分清算による剰余金の発生を停止条件とする契約に基因するものであり、右契約は会社整理開始決定前に成立したけれども、右条件の成否確定前には剰余金返還債務はいまだ発生せず、整理開始決定後に条件が成就したときはじめて上告人は被上告人に対し右剰余金返還債務を負担するにいたつたものというべきであり、前記条項にいわゆる債権者が会社の整理開始後債務を負担したときに該当するものであつて、上告人の右相殺は許されないとした原審の事実の確定判断は、本件記 還債務を負担するにいたつたものというべきであり、前記条項にいわゆる債権者が会社の整理開始後債務を負担したときに該当するものであつて、上告人の右相殺は許されないとした原審の事実の確定判断は、本件記録および原判決挙示の証拠関係に照らし正当として是認することができる。 いわゆる債権者が会社の整理開始後債務を負担したときに該当するものであつて、上告人の右相殺は許されないとした原審の事実の確定判断は、本件記 還債務を負担するにいたつたものというべきであり、前記条項にいわゆる債権者が会社の整理開始後債務を負担したときに該当するものであつて、上告人の右相殺は許されないとした原審の事実の確定判断は、本件記録および原判決挙示の証拠関係に照らし正当として是認することができる。原判決に所論の違法は認められず、論旨は採用することができない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官岸盛一- 2 -裁判官岩田誠裁判官大隅健一郎裁判官藤林益三裁判官下田武三- 3 -
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