昭和55(行ス)19 移送申立却下決定に対する即時抗告申立事件

裁判年月日・裁判所
昭和55年11月20日 東京高等裁判所 警察関係
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【DRY-RUN】○ 主文 本件抗告を棄却する。 ○ 理由 本件抗告の趣旨は、「原決定を取消す。本件を東京地方裁判所に移送する。」との 裁判を求めるにあり、抗告の理由は別紙二記載のとおりである。 まず本件抗告の適否につ

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判決文本文11,850 文字)

○ 主文本件抗告を棄却する。 ○ 理由本件抗告の趣旨は、「原決定を取消す。本件を東京地方裁判所に移送する。」との裁判を求めるにあり、抗告の理由は別紙二記載のとおりである。 まず本件抗告の適否について検討する。 本件の場合のように、管轄違いを理由として職権の発動を促すためになされた移送の申立てを却下した決定に対し、民事訴訟法三三条による即時抗告を申立て得るか否かについては、争いのあるところであるが、同条は、職権の発動を促すにすぎない申立てを却下した裁判を即時抗告の対象から除外する趣旨を明らかにしていないのみならず、実質的にこれをみても、裁判所が当事者の管轄違いを理由とする移送の申立てに対し何らかの判断を示した場合には、その判断に誤りがないという保障はないのであるから、これに対しては不服申立ての途を開き誤つた裁判についてはこれを是正すべき必要性がある。従つて、本件のような管轄違いを理由とする移送の申立てを却下した決定は、前記法条にいわゆる「移送ノ申立ヲ却下シタル裁判」に該当し、不服のある当事者は右裁判に対して即時抗告をなし得るものと解するのが相当である。 よつて、本件抗告は適法というべきである。 次に本件抗告の当否について判断する。 記録によれば、本件訴訟は、抗告人がいずれも昭和五五年一月二五日付で訴外日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)に対する東北新幹線東京都・盛岡市間工事実施計画の変更に関する認可及び訴外日本鉄道建設公団(以下「公団」という。)に対する上越新幹線東京都・新潟市間工事実施計画の変更に関する認可をなしたとして、右各工事実施計画による埼玉県南部(戸田市、浦和市、与野市)区間の予定線路敷地内及びその沿線に位置する肩書地に居住すると主張する相手方らが抗告人を被告として、行政事件訴訟法に基づき、右各認可(以下「本件認可」という。)の 埼玉県南部(戸田市、浦和市、与野市)区間の予定線路敷地内及びその沿線に位置する肩書地に居住すると主張する相手方らが抗告人を被告として、行政事件訴訟法に基づき、右各認可(以下「本件認可」という。)の取消を訴求するものであることが認められる。 行政庁を被告とする取消訴訟は、原則として当該行政庁所在地の裁判所の土地管轄に属するところ(行政事件訴訟法一二条一項)、本件の場合、行政庁たる抗告人の所在地は東京都内であるうえ、本件認可につき埼玉県内に抗告人の下級行政機関が存在したことを認めるに足る資料は全く存しないから、浦和地方裁判所が本件訴訟につき土地管轄を有するというためには、本件認可が同裁判所の管轄区域内に存する「不動産又は特定の場所に係る」ものであることを要することになる(同条二項)。そして、同条二項にいう「不動産に係る処分」とは、不動産に関する権利の設定、変便や権利行使の強制、制限、禁止等を目的とする処分を、「特定の場所に係る処分」とは、特定の地点又は区域において一定の行為をする権利、権限ないし自由を付与したり、これを制限、禁止する等の処分をそれぞれ指すと共に、右の各効果は当該処分から直接発生するものでなければならないと解すべきことは、原決定の説示するとおりである。 全国新幹線鉄道整備法九条、同法施行規則二条によれば、国鉄又は公団において抗告人の指示により新幹線鉄道の路線(建設線)の建設を行おうとするときは、同法七条所定の整備計画に基づいて、路線名、工事の区間、線路の位置、線路延長、工事方法及び工事予算その他の事項を記載した建設線の工事実施計画を作成して、抗告人の認可を受けるべきものとされ(同法九条一項前段)、工事実施計画を変更しようとする場合も同様とされている(同項後段)ところ、本件訴訟において、相手方らは同条一項後段の規定によつて本件 成して、抗告人の認可を受けるべきものとされ(同法九条一項前段)、工事実施計画を変更しようとする場合も同様とされている(同項後段)ところ、本件訴訟において、相手方らは同条一項後段の規定によつて本件認可がなされたとしてその取消を求めていることは記録上明らかである。 果して相手方らの主張するとおり本件認可がなされたとするならば、右認可がその性質上抗告訴訟の対象となる行政処分にあたるか否かの点はさて措き、本件認可にかかる工事実施(変更)計画によつて建設線の路線名、工事区間、線路の位置、工事方法等工事の実施に関する基本的事項がその線路の敷地となるべき場所との関係においてもかなり具体的に定められたことになり(例えば、線路の位置についてみると、前記施行規則二条一項三号によれば、工事実施計画における「線路の位置」は、縮尺二〇万分の一の平面図及び縮尺横二〇万分の一、縦四〇〇〇分の一の縦断面図をもつて表示すべきものとされているから、仮に線路の位置が縮尺二〇万分の一の平面図上に一ミリメートル程度の線をもつて表示されたとしても、これを現地に引き直せば約二〇〇メートルの幅をもつた帯状の範囲内で線路位置が示されたことになる。)、しかも、その認可によつて国鉄又は公団は、該工事実施(変更)計画に基づいて建設線の工事を実施していくことのできる一種の権限を直接的に付与されるものということができる。従つて、仮に本件認可が抗告訴訟の対象となる行政処分にあたるとするならば、右は行政事件訴訟法にいわゆる「特定の場所に係る処分」と解することができ、又本件認可が相手方らの主張するとおり崎玉県南部(戸田市、浦和市、与野市)の区間についてなされたとするならば、同所を管轄区域とする浦和地方裁判所が該認可の取消訴訟につきその管轄を有することになる。 以上説示のとおり、本件認可の存否及びその 県南部(戸田市、浦和市、与野市)の区間についてなされたとするならば、同所を管轄区域とする浦和地方裁判所が該認可の取消訴訟につきその管轄を有することになる。 以上説示のとおり、本件認可の存否及びその行政処分性の有無の点につき、本件訴訟の原告である相手方らの主張を前提とする限り、本件訴訟について浦和地方裁判所がその管轄を有することは明らかであり、従つて、管轄違いを理由とする本件移送の申立を却下した原決定は相当であつて、本件抗告は理由がない。 よつて、本件抗告を棄却することとし、主文のとおり決定する。 (裁判官杉田洋一中村修三松岡登)相手方目録(省略)第一本件即時抗告の適法性管轄違いを理由とする移送の申立てを却下した原決定に対し、民訴法三三条に基づいて即時抗告を申し立てうるか否かについては争いがあり、管轄違いを理由とする移送の申し立ては、単に職権の発動を促す申立てであつて申立権に基づくものではないことを理由として、これを却下した決定は同条の「移送ノ申立ヲ却下シタル裁判」に該当しないとする見解も存する。 しかしながら、民訴法上管轄違いを理由とする移送の申立権について明文がないからといつて、被告に移送の申立権を否定する趣旨と解すべきではない。被告が管轄権のある裁判所で審判を受けたいという利益は法律上認められた利益なのであるから(裁判所の裁量によつて左右される利益ではない。)、被告に対して、その利益を享受するための申立てをし、かつ、それについての裁判所の応答を求める権能を認めるのは当然というべきである。民訴法は、管轄違いでないのに他の裁判所への移送を求める申立権(同法三一条、三一条ノ二)、管轄違いの裁判所でもそこで審判をしてくれと求める申立権(同法三〇条二項)-いずれも裁判所の裁量にかかる申立人の利益のための申立権-を認め、即時抗告の道 移送を求める申立権(同法三一条、三一条ノ二)、管轄違いの裁判所でもそこで審判をしてくれと求める申立権(同法三〇条二項)-いずれも裁判所の裁量にかかる申立人の利益のための申立権-を認め、即時抗告の道を開いているのであつて、これとの均衡からしても、管轄のある裁判所で裁判を受けたいとの、より重大な被告の法定の利益保護のために、その申立権を認めるべきである。また、通常の訴訟要件の欠缺の問題は、訴えという申立てに対する応答の形で必ず裁判所の判断が出されるし、上訴という方法で被告もその判断に対して不服申立てをする機会を与えられているが、訴訟要件の中でも管轄違いは、起訴の時を標準にして判断され、しかも終局判決に対する上訴の理由とならないから、特にその主張に対する裁判所の応答を終局判決以前にこれと別に求める地位を被告に与え、その応答に対して上訴とは別に不服申立ての道を認める必要があるのである(新堂幸司著「民事訴訟法」七九ページ)。 また、民訴法三三条は、即時抗告に服する裁判を定めるにあたり、単に「移送ノ裁判及移送ノ申立ヲ却下シタル裁判」とのみ規定し、管轄違いを理由とする移送の申立てを却下した場合を除外する趣旨を明らかにしていないのみならず、裁判所が移送の申立てに対しこれを排斥する裁判をした場合には、これに誤りがないという保障はないのであるから、これに対して不服申立ての道を開き、右裁判が誤つている場合にはこれを是正すべき必要性があるといわなければならない(裁判所が誤つて移送の決定をした場合、この決定に対して即時抗告をなしうることは異論はないであろうから、このこととの均衡上も、即時抗告を認める必要があるのである。)(東京高裁昭和四一年二月一日決定・判例時報四四六号四五ページ、仙台高裁秋田支部昭和四七年九月六日決定・同六八四号六三ページ)。 第二原判決は ととの均衡上も、即時抗告を認める必要があるのである。)(東京高裁昭和四一年二月一日決定・判例時報四四六号四五ページ、仙台高裁秋田支部昭和四七年九月六日決定・同六八四号六三ページ)。 第二原判決は、以下に述べる理由により失当であつて、取り消されるべきである。 一原判決は、運輸大臣が、日本国有鉄道又は日本鉄道建設公団(以下「国鉄等」という。)に対してなす新幹線鉄道建設の工事実施計画及びその変更に対する認可の法的性質につき、抗告人主張のように、いわば上級行政機関としての運輸大臣が下級行政機関としての国鉄等に対し、運輸大臣の方針の適合性等を審査してなす監督手段としての承認の性質を有するもので、行政機関相互の行為と同視すべきものとして、「判例、学説において確定されているとは直ちにいい難い」と説示している。 しかしながら、工事実施計画及びその変更に対する認可の法的性質については、学説上多様な論議があるとしても、判例上は確定されているというべきである。すなわち、右認可の法的性質については、いわゆる成田新幹線訴訟が唯一の先例であるところ、最高裁判所は、昭和五三年一二月八日という最近において、前記のような抗告人主張の見解を採用しているのみならず、第一審である東京地裁昭和四七年一二月一三日判決も、控訴審である東京高裁昭和四八年一〇月二四日判決もいずれも同様の見解を採つているのであつて、裁判例のうえからは、右認可の法的性質につき抗告人主張の見解以外のものを見い出すことは出来ないのである。 また原決定は、右のように、認可の法的性質について、「判例、学説において確定されているとは直ちにいい難い」としながら、「本件記録及び当裁判所に顕著な資料に基づき相当な調査の結果によつて」、「本件認可は一応右講学上の行政行為としての認可に当ると解するのが相当である」との結論 されているとは直ちにいい難い」としながら、「本件記録及び当裁判所に顕著な資料に基づき相当な調査の結果によつて」、「本件認可は一応右講学上の行政行為としての認可に当ると解するのが相当である」との結論を導いている。そして、右の結論を導いた理由は、認可の相手方である国鉄等が「国と法主体を別にする」ことと、認可が「一種の具体的権限付与の効果を伴う意思表示」であることの二つの点にあるところ、後者は後述の如く失当であるし、前者もこれのみでは本件認可が講学上の行政行為としての認可に当たることの理由になり得ないのである。 二仮りに本件認可が「一応右講学上の行政行為としての認可」に当たるとしても「不動産又は特定の場所に係る」ものではない。 原決定は、本件認可が国鉄等に対し、工事実施計画に基づき、特定の地域に本件新幹線鉄道建設の工事を実施して行くことのできる一種の権限を付与する行為である旨説示している。 しかしながら、工事実施計画及びその変更に対する認可が、国鉄等に対し新幹線鉄道の建設工事につき次の段階に進みうる地位を付与するということはあるにせよ、原決定が、その三項1の前半において、行訴法一二条二項の「不動産又は特定の場所に係る処分」の解釈で示した「特定の場所において一定の行為をする権利や利益の付与」と同一であるとは到底言えないのである。すなわち、全国新幹線鉄道整備法、同法施行令及び同法施行規則によると、工事実施計画には、路線名、工事の区間、工事方法等を記載することが要求され、その前段階である整備計画(同法七条)に比し工事実施についてある程度具体性を帯びるものの、工事実施計画に記載される諸事項は基本的、根幹的事項のみであり、線路の位置も具体的に確定されておらず、いわば新幹線鉄道建設事業の青写真たる性質を有するにすぎないのであつて、これに対する認可もまた 、工事実施計画に記載される諸事項は基本的、根幹的事項のみであり、線路の位置も具体的に確定されておらず、いわば新幹線鉄道建設事業の青写真たる性質を有するにすぎないのであつて、これに対する認可もまた抽象的な性質を帯有するにすぎないものであり、道路運送法による運輸大臣の特定路線における自動車運送事業の免許などにみられるような具体的権利、利益の付与ではないのである。 また、抗告人が移送申立書及び補充意見書において繰り返し主張したとおり、本件認可によつて直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定する効果を伴うものではないのである。これを国鉄等の立場からみると、本件認可によつては、その直接の効果として新幹線鉄道建設予定区域について何らの権利、利益をも取得することはなく、一般的、抽象的な工事を実施しうる地位を与えられたにすぎないのである。このように青写真たるにすぎない計画に対する認可によつて得た一般的、抽象的な地位をもつて、原決定が行訴法一二条二項の解釈で示した「特定の場所において一定の行為をする権利」に該当するとは到底いえないのである。 三以上のとおりであつて、抗告人のした移送の申立てを却下した原決定は失当であるので、原決定を取り消したうえ、本件訴えを東京地方裁判所に移送されるよう、本件即時抗告に及んだ次第である。 (原裁判等の表示)○ 主文被告の移送申立を却下する。 ○ 理由一原告らの請求の趣旨は、「一被告が、昭和五五年一月二五日付で訴外日本国有鉄道に対してなした東北新幹線、東京都・盛岡市間工事実施計画の変更に関する認可処分は、これを取り消す。二被告が、右同日付で訴外日本鉄道建設公団に対してなした上越新幹線、東京都・新潟市間工事実施計画の変更に関する認可処分は、これを取り消す。三訴訟費用は、被告の負担とする。」というのであり、そ す。二被告が、右同日付で訴外日本鉄道建設公団に対してなした上越新幹線、東京都・新潟市間工事実施計画の変更に関する認可処分は、これを取り消す。三訴訟費用は、被告の負担とする。」というのであり、その請求原因の要旨は、次のとおりである。「一被告は、いずれも昭和四六年一〇月一四日、日本国有鉄道に対し、東京都・盛岡市間の東北新幹線鉄道路線建設工事実施計画を、日本鉄道建設公団に対し、東京都・新潟市間の上越新幹線鉄道路線建設工事実施計画を、それぞれ認可したが、右各工事実施計画のもとでは、右両新幹線鉄道(以下「本件新幹線鉄道」という。)の建設路線は、原告らが居住する戸田市、浦和市、与野市においては、地下方式によつて建設されるという計画であつた。ところが、被告は、昭和五五年一月二五日、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団が作成した右地域における本件新幹線鉄道路線を地下方式から高架方式に変更する旨の工事実施計画を認可(以下「本件認可」という。)した。そして、大宮・盛岡、大宮・新潟、及び上野・赤羽の各区間では、目下、本件新幹線鉄道路線建設の用地買収及び工事が進められ、残る赤羽・大宮間でも、用地買収交渉が始められている。二しかし、原告ら沿線住民は、本件認可に基づき建設される新幹線鉄道がもたらす公害によつて、その生活と健康並びに沿線の環境を著しく破壊される。ところが、被告は、本件新幹線鉄道が原告ら地域住民に与える影響を詳細に調査して沿線住民らの被害を防止するための総合的措置を検討するとともに、それを原告らに説明し、かつ原告らの意見を十分に聴取すべき義務があるのにかかわらず、これを怠り、ただ単に形式的な手続を押し進めただけで本件新幹線鉄道路線の工事実施計画を認可した。よつて、本件認可には手続及び内容の両面において明白かつ重大な違法が存することが明らかであ かかわらず、これを怠り、ただ単に形式的な手続を押し進めただけで本件新幹線鉄道路線の工事実施計画を認可した。よつて、本件認可には手続及び内容の両面において明白かつ重大な違法が存することが明らかであるから、原告らは本件認可処分の取消を求める。」更に、原告らは、本件訴訟の土地管轄が、浦和地方裁判所にあるとして、次のとおり主張する。「全国新幹線鉄道整備法によれば、本件認可処分によつて、直接、あるいは少なくとも本件認可処分を前提として、付随的に、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団は、『他人の土地の立入り又は一時使用』が可能となり(同法一二条)、被告は、必要と認めるとき、新幹線鉄道路線の建設に必要な一定の土地について、一定の行為を制限するための『行為制限区域の指定』をすることができる(同法一〇条、一一条)こととなる。仮に、右の『他人の土地の立入り又は一時使用』及び『行為制限区域の指定』が本件認可の効果でないにしても、本件認可が、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対し、変更された工事実施計画に基づき本件新幹線鉄道路線の建設工事を実施していく権限を付与していることは明らかである。そうすると、右の『他人の土地の立入り又は一時使用』及び『行為制限区域の指定』あるいは右工事実施権限の付与が行政事件訴訟法一二条二項の『不動産又は特定の場所に係る処分』に該当することは、明らかであるから、本件訴訟は、本件認可に関する不動産所在地又は特定の場所を管轄する浦和地方裁判所の管轄に属する。」二被告は、「本件を東京地方裁判所に移送する」旨申し立て、その理由の要旨は、「行政事件訴訟法一二条二項にいう『不動産又は特定の場所に係る処分』とは、ただ、不動産又は特定の場所に関係のある処分というが如き無限定な概念ではなく、その行政目的が不動産又は特定の場所と直接結び付けられている 訴訟法一二条二項にいう『不動産又は特定の場所に係る処分』とは、ただ、不動産又は特定の場所に関係のある処分というが如き無限定な概念ではなく、その行政目的が不動産又は特定の場所と直接結び付けられている処分をいうものであるところ、全国新幹線鉄道整備法一一条一項の『行為制限区域の指定』は、同法一〇条による被告の指定によつて生じる効果であり、又同法一二条の『他人の土地の立入り又は一時使用』は、同法が日本国有鉄道もしくは日本鉄道建設公団又はその委任を受けた者に対し、独自に与えた権限であつて、いずれも本件認可によつて生じる効果ではないし、本件認可は、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団が作成した本件新幹線鉄道路線の建設に関する基本的、根幹的事項について定めた建設工事実施計画を承認したにすぎない(最高裁判所昭和五三年一二月八日判決)のであつて、被告が、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対し、何らの権限も付与する性質を有するものではないから、講学士の行政行為としての認可に当らない。したがつて、本件認可は、行政事件訴訟法一二条二項の『不動産又は特定の場所に係る処分』ではないから、本件は、同条一項により、被告の所在地を管轄する東京地方裁判所のみの管轄に属する。」というにある。 三そこで、本件訴訟が浦和地方裁判所の管轄に属するか否かにつき検討する。 1 行政庁を被告とする取消訴訟は、その行政庁の所在地を管轄する裁判所へ提訴するのが原則である(行政事件訴訟法一二条一項)。したがつて、本件訴訟が当裁判所の土地管轄にも属するか否かは、専ら、本件認可が、行政事件訴訟法一二条二項の「不動産又は特定の場所に係る処分」に当るか否かによるものと解される。 行政事件訴訟法一二条二項は、右の処分の例として「土地の収用」、「土地の収用に係る処分」、「鉱業権の設定に係る処分」を明示してい の「不動産又は特定の場所に係る処分」に当るか否かによるものと解される。 行政事件訴訟法一二条二項は、右の処分の例として「土地の収用」、「土地の収用に係る処分」、「鉱業権の設定に係る処分」を明示しているところからみると、「不動産に係る処分」とは、不動産に関する権利の設定、変更や権利行使の制限、禁止等を目的とする処分を、「特定の場所に係る処分」とは、特定の場所において一定の行為をする権利や利益を付与したり、これを制限、禁止する等の処分を指すとともに、右の効果は、当該取消訴訟の対象となつている処分から直接発生するものでなければならないと解するのが相当である。 ところで、本件訴訟は、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対する本件認可によつて、本件各新幹線鉄道路線の建設が具体的に開始され、その結果右鉄道路線沿線住民となる原告が、新幹線鉄道のもたらす環境破壊及び公害等によつて、原告らの権利が侵害されるので、本件認可の取消を求める利益があると主張して提起したものであるから、本件訴訟の基本となる具体的、実質的対象は結局名宛人である日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対してなされた被告の本件認可であると解される。したがつて、右行政行為の名宛人でない原告らが提起した本件取消訴訟について、行政事件訴訟法第一二条第二項に基づく管轄が肯定されるためには、必ずしも本件認可が名宛人である日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対する関係において「不動産又は特定の場所に係る処分」であるのみならず、非名宛人である当事者たる原告らに対する関係においても「不動産又は特定の場所に係る処分」であることが肯定されねばならないとまで考える必要はなく、前者またはそのいずれかについてこれが肯定されれば右管轄が肯定されてよいものと解される。 そこで、この点を検討するに、全国新幹線鉄道整備法、同法施行 ことが肯定されねばならないとまで考える必要はなく、前者またはそのいずれかについてこれが肯定されれば右管轄が肯定されてよいものと解される。 そこで、この点を検討するに、全国新幹線鉄道整備法、同法施行令及び同法施行規則によれば本件認可が日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対し、既に認可された工事方式の一部を変更した建設工事実施計画に基いて具体的に鉄道建設工事を実施して行く一種の具体的権限を付与する効果を伴うものであることが肯認されるところ、これが、講学上の行政行為としての認可に当るかどうかについては、右認可は、被告の指示にもとづいて、新幹線鉄道の建設に当る日本国有鉄道または日本鉄道建設公団が工事実施に当り作成した工事実施計画の整備計画との整合性その他当該建設線の建設に関する運輸大臣の方針との適合性等について監督官庁としての運輸大臣が審査のうえなす「承認」、いわば下級行政機関に対する上級行政機関の監督行為としての行政機関相互間の内部的行為と同視すべき行政行為である「承認」にすぎないとする見解のあることは被告引用の最高裁判所昭和五三年一二月八日言渡判決等によつてうかがわれる。しかし、他方日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団の法的地位一般、更にこれと国の行政機関との関係など法律上の性質は講学上未だ十分論ぜられておらず、未確定なものであり、日本国有鉄道法及び日本鉄道建設公団法の規定自体からの論定も必ずしも明確でないとし、むしろ、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団の法主体としての独立性(または、行政主体としての性格を持つか否かにかかわらず)、右認可が運輸大臣の日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対する意思表示であり、これによつて日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団は具体的な鉄道建設工事を進めてゆくことができるなどの理由から、右認可が行政組織の内部問題ではなく、 国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対する意思表示であり、これによつて日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団は具体的な鉄道建設工事を進めてゆくことができるなどの理由から、右認可が行政組織の内部問題ではなく、具体的処分であり、講学上の行政行為としての認可に当るとする見解もみられるところであつて、この点については、その法的性質が前者のようなものとして、判例、学説において確定されているとは直ちにいい難い。 したがつて、できるだけ一義的に決するのが望ましい管轄の有無の判断としての「不動産又は特定の場所に係る処分」に当るかどうかの判断としては、必ずしも厳密に本件認可の法的性格を、職権により調査して論定しなければならないものではなく(これに適する資料の提出もない)、本件記録及び当裁判所に顕著な資料に基づぎ相当な調査の結果によつて決することができると解するところ、右調査の結果によつては、国と法主体を別にする日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対する前記のような一種の具体的権限付与の効果を伴う意思表示の外形を有する本件認可が講学上の行政行為としての認可に当らないとは未だ直ちに結論し得ず、その意味において、本件認可は一応右講学上の行政行為としての認可に当ると解するのが相当である。 2 それならば、これを前提とした場合、本件認可(処分)が「不動産又は特定の場所に係る」ものであるかどうかについて検討する。 全国新幹線鉄道整備法、同法施行令及び同法施行規則によれば、新幹線鉄道路線の建設工事が実施されるためには、基本的には、次の手続が履践されることになつている。すなわち、まず、被告が鉄道建設審議会の諮問を経て、建設するべき新幹線鉄道の路線名、起点、終点及び主要な経過地等を定めた基本計画を決定するとともにこれを公示し(法五条、施行令一条)、次いで、鉄道建設審議会の諮問を経て、 鉄道建設審議会の諮問を経て、建設するべき新幹線鉄道の路線名、起点、終点及び主要な経過地等を定めた基本計画を決定するとともにこれを公示し(法五条、施行令一条)、次いで、鉄道建設審議会の諮問を経て、右基本計画で定められた新幹線鉄道路線の建設に関して走行方式、最高設計速度、建設に要する費用の概算額、建設主体等の事項を含む整備計画を決定した後、日本国有鉄道又は日本鉄道建設公団に対し、右整備計画に基づき、新幹線鉄道の建設を行うように指示する(法七条、八条、施行令三条)。 日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団は、右整備計画に基づいて路線名、工事区間、線路の位置、線路延長、停車場の位置、車庫施設、検査修繕施設の位置、工事方法、工事予算、工事の着手及び完了の予定時期等を記載した工事実施計画を作成し、被告の認可を受けたうえ、建設路線の工事を行なうことになる(法九条、施行規則二条)。そして、右の手続は、各段階における計画が変更された場合でも同様である。 右の如き法律上の手続を経て定められる工事実施計画の内容に照らすと、本件認可(処分)も、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対して、工事実施計画に基づき、特定の地域(記録上明らかな戸田市、浦和市及び与野市)に、本件新幹線鉄道路線建設の工事を実施していくことのできる一種の権限を付与する行為(処分)であると解される。 そうすると、本件認可は、行政事件訴訟法一二条二項にいう「不動産又は特定の場所に係る処分」にあたるというべきである。 以上のとおり、本件認可は、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に対する特定の場所に係る処分であることが肯定される以上前記のとおり本件認可が原告らに対する関係で行政事件訴訟法第一二条第二項の処分に当るか否かを判断するまでもなく本件訴訟につき当裁判所が管轄を有することは明らかである。 四よつて、被 が肯定される以上前記のとおり本件認可が原告らに対する関係で行政事件訴訟法第一二条第二項の処分に当るか否かを判断するまでもなく本件訴訟につき当裁判所が管轄を有することは明らかである。 四よつて、被告の移送申立は理由がないのでこれを却下し、主文のとおり決定する。 当事者目録(省略)

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