主文 一被告は、原告に対し、金二五万円及びこれに対する平成二年四月一日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。 二原告のその余の請求を棄却する。 三訴訟費用は被告の負担とする。 四この判決は仮に執行することができる。 事実及び理由 第一原告の請求被告は、原告に対し、金三〇万円及びこれに対する平成二年四月一日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要本件は、バスによる旅客運送等を業とする被告会社に運転係として勤務する原告が、被告から二年間にわたり四一日分の年次有給休暇(以下「年休」という)の行使を不法に妨げられたうえ、うち七日分について年休を取得する権利を失効させられたと主張して、被告に対し、労働契約上の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を請求している事案である。 一争いのない事実次の各事実は当事者間に争いがない。 1 当事者日本国有鉄道(以下「国鉄」という)の分割民営化に伴って、昭和六二年四月一日、西日本旅客鉄道株式会社が設立されたが、被告会社は、昭和六三年三月一日に右の西日本旅客鉄道株式会社から分離設立され、同年四月一日から営業を開始した株式会社であり、バスによる旅客運送等を業としている。 原告は、昭和四六年三月二九日、国鉄に雇用され、西日本旅客鉄道株式会社を経て、被告会社の設立に伴ってその従業員となり、バスの運転係として稼働している者である。 2 被告会社の年休制度等被告会社においては、就業規則により、勤続期間、前年度の出勤率等に応じて、各従業員に当該年度(四月一日から翌年の三月末日まで)中に付与される年休の日数が定められている(就業規則七一条)。右の年休は、二年を限度として繰り越しが認められているが、右期間を経過すれば失効する(同七三条)。 該年度(四月一日から翌年の三月末日まで)中に付与される年休の日数が定められている(就業規則七一条)。右の年休は、二年を限度として繰り越しが認められているが、右期間を経過すれば失効する(同七三条)。 原告は、右制度の下で、昭和六三年度には同年度に新たに付与された二〇日分と前年度からの繰り越し八日分との合計二八日分の年休を取得する権利を有し、平成元年度には同年度に新たに付与された二〇日分と前年度からの繰り越し一八日分の合計三八日分の年休を取得する権利を有していた。 3 年休の時季指定の方法及び時季変更権行使の方法被告会社では、年休の時季指定は、前月二〇日までに年次有給休暇申込簿(以下「年休申込簿」という)に所定事項を記入して届け出ることを原則とし、これによれない場合には前々日までに口頭で届け出ることとされていた。 二原告の主張原告は、被告には、次のとおり、原告に対する損害賠償義務があると主張する。 1 原告による年休の時季指定原告は、昭和六三年度及び平成元年度において、次の各日を年休として時季指定した。 (1) 年休申込簿への記載による時季指定原告は、当該日の前月の二〇日までに年休申込簿に記載して、次の各日を年休として時季指定した。ただし、平成元年七月一日及び同月二日については、原告が年休申込簿に記載した日は同年六月二一日である。 ア昭和六三年度昭和六三年六月一二日、同年一〇月二二日から二四日まで、同年一一月五日、同月一二日、同月一三日及び平成元年一月三〇日の各日イ平成元年度平成元年四月一日、同年五月一四日、同年七月一日、同月二日、同月二二日、同月二三日、同年八月二一日、同月二二日、同年九月一九日、同月二〇日、同年一〇月七日から一〇日まで、平成二年一月三日、同月四日、同年二月一日、同月二日、同年三月八日、同月九日及び 二日、同月二二日、同月二三日、同年八月二一日、同月二二日、同年九月一九日、同月二〇日、同年一〇月七日から一〇日まで、平成二年一月三日、同月四日、同年二月一日、同月二日、同年三月八日、同月九日及び同月一八日の各日(2) 口頭による時季指定原告は、右(1)のほかに、口頭で、昭和六三年一〇月一日、同年一二月一八日及び平成元年一一月一七日の各日を年休として時季指定した。 (3) 書面による時季指定原告は、平成二年三月一九日、文書で、同月二〇日から同月三一日までの各日を年休として時季指定した。 2 被告による年休行使の妨害右のとおり原告が時季指定した年休について、被告は、(イ)平成二年三月一九日に文書で行った時季指定のうち、同月二一日、二二日、二五日から三〇日までの各日については、時季変更権の行使さえしないまま原告に就労を余儀なくさせ、(ロ)その他の各日については、時季変更権行使の要件を備えていないにもかかわらず、時季変更権を行使する旨の意思を表示たうえで、昭和六三年一〇月二三日及び一一月一二日の両日は祝日の代休として、平成元年一月三〇日は年末休日の代休として、平成元年七月二三日及び平成二年三月一八日は特別休日として、それぞれ賃金算定上原告にとって年休を取得した場合より不利益な休日として指定し、その他の日については、いずれも勤務指定表(循環交番表)に従った勤務を命じて原告に就労を余儀なくさせ、平成元年度に繰り越された前年度の年休のうち七日分の年休を取得する権利を失効させた。 3 被告の責任被告は、同人との労働契約上、原告に対して年休の享受を妨げないのはもちろん、原告が指定した時季にできるだけ年休が取れるように配慮すべき義務があるにもかかわらず、これを怠り、労働基準法三九条四項の要件を満たさない違法な時季変更権の行使を行い、その結果 妨げないのはもちろん、原告が指定した時季にできるだけ年休が取れるように配慮すべき義務があるにもかかわらず、これを怠り、労働基準法三九条四項の要件を満たさない違法な時季変更権の行使を行い、その結果、原告の年休を取得する権利の行使を妨げたものである。したがって、被告の右の行為は、原告との労働契約上の債務の不履行であり、かつ、不法行為にも該当する。 4 損害原告は、合計四一日分の年休の行使を妨害されたうえ、七日分の年休を取得する権利を失効させられたことにより、多大な精神的損害を被ったが、これを金銭をもって慰謝するとすれば、その額は金三〇万円を下ることはない。 5 本件の損害賠償請求権よって、被告は、原告に対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として金三〇万円及びこれに対する平成二年四月一日から右支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。 三被告の主張これに対し、被告は次のとおり主張する。 1 原告の年休の時季指定について(1) 原告の口頭による時季指定の不存在原告が時季指定したと主張する各日のうち、年休申込簿への記載によって時季指定したと主張する各日と平成二年三月一九日に文書によって時季指定したと主張する各日については、その主張のとおりの時季指定がされたことは認めるが、原告が口頭で時季指定したと主張する各日については、原告が時季指定した事実はない。 (2) 平成元年七月一日及び二日の時季指定について平成元年七月一日及び二日の各日については、原告は年休申込簿の事由欄に「一日早番二日遅番でもよい」と付記しており、被告は、右付記されたとおりに同月一日については早番、同月二日については遅番として勤務指定したものであるから、これらの各日についての原告の時季指定は意味を失ったものである。 (3) と付記しており、被告は、右付記されたとおりに同月一日については早番、同月二日については遅番として勤務指定したものであるから、これらの各日についての原告の時季指定は意味を失ったものである。 (3) 平成元年七月二三日及び平成二年三月九日の時季指定について被告会社では、公休日とは別に、四週に二回の割合で特別休暇(以下「特休」という)を付与するものとされており、実際には、勤務指定表上二七日に二日の割合で右特休が予め予定されているが、平成元年七月二三日及び平成二年三月九日の両日も、勤務指定表上原告に特休が予定されていた日に当たり、このような日に原告が年休の時季指定を行う趣旨は、その日に特休が取り消されて出勤を命じられる事態が生じるのを避けることにある。 したがって、右の各日に当初の予定どおり特休が取得できた以上、これらの各日についての時季指定は意味を失ったものである。 (4) 昭和六三年一〇月二三日、同年一一月一二日及び平成元年一月三〇日の時季指定について被告会社では、国民の祝日及び年末年始(一二月三一日、翌年一月二日、三日)は、いずれも有給の休日とされているが、原告が年休の時季指定をした昭和六三年一〇月二三日、同年一一月一二日及び平成元年一月三〇日について、被告は、これらの各日を原告に対する祝日の代休ないし年末年始の代休に指定したので、これらの各日はいずれも原告が勤務すべき日でなくなった。したがって、これらの各日についてした原告の年休の時季指定は意味を失ったものである。 (5) 時季指定の撤回原告が時季指定をしたと主張する各日のうち、平成二年三月一八日以前の分については、原告は、何ら異議をとどめることもなく被告の指示に従って勤務に就いているのであるから、これらについては、原告はその年休時季指定を黙示に撤回したというべきである。 2 三月一八日以前の分については、原告は、何ら異議をとどめることもなく被告の指示に従って勤務に就いているのであるから、これらについては、原告はその年休時季指定を黙示に撤回したというべきである。 2 平成二年三月一九日付けの時季指定に対する時季変更権の行使の意思表示の存在被告は、原告が平成二年三月一九日に文書で行った時季指定に対しては、勤務予定表の記載及び同月二〇日付けで原告の代理人Aに対する電話連絡により、同月二一日、二二日、二五日から三〇日までの各日について、時季変更権を行使する旨の意思表示を行った。 3 被告の各時季変更権行使の適法性右2記載の各日はもちろん、仮に平成二年三月一八日以前の原告の時季指定に係る各日についても被告の時季変更権が行使されたものであるとしても、これらの各日には、原告の年休を認めれば、当日の業務量、人員状況からして欠行の発生など被告の事業の正常な運営を妨げる事情が存したのであるから、被告の時季変更権の行使はいずれも適法である。 4 損害等について原告は、前記のとおり、原告が時季指定をしたと主張する各日のうち、平成二年三月一八日以前の分については、被告の指示に従って勤務に就いていたのであるから、被告の時季変更権の行使を容認したというべきであり、当時何らの異議をもとどめずにおいて、その後になって、これらの被告の措置が違法であると主張して損害賠償を請求することは、権利濫用ないし信義則違反として許されない。 また、仮に原告に損害が発生したとしても、その額は三〇万円をはるかに下回る額にすぎない。 四争点したがって、本件の争点は、次のとおりである。 1 原告の主張する各時季指定の効力の有無(争点1)争いがある具体的な点は次のとおりである。 (1) 原告が口頭によって行ったと主張する各時季指定の存否(争点1①) 本件の争点は、次のとおりである。 1 原告の主張する各時季指定の効力の有無(争点1)争いがある具体的な点は次のとおりである。 (1) 原告が口頭によって行ったと主張する各時季指定の存否(争点1①)(2) 平成元年七月一日及び二日の各日について原告のした意思表示は、同月一日については早番、同月二日については遅番として勤務指定される場合には、年休の時季指定は行わない趣旨のものであるか否か。(争点1②)(3) 平成元年七月二三日及び平成二年三月九日について原告のした意思表示は、その日に特休が指定されずに出勤が命じられるときに限って年休の時季指定を行う趣旨のものであったか否か。(争点1③)(4) 昭和六三年一〇月二三日、同年一一月一二日及び平成元年一月三〇日について原告のした時季指定は、被告がこれらの各日を祝日等の代休に指定したことによって、その効力が失なわれるか否か。(争点1④)(5) 原告が被告の指示に従って勤務に就いた各日について、原告がその年休時季指定を黙示的に撤回したといえるか否か。(争点1⑤) 2 平成二年三月一九日付けの時季指定に対する時季変更権の行使の意思表示の有無(争点2) 3 被告の各時季変更権行使が適法であるか否か。(争点3) 4 原告の被った損害等(争点4)第三争点に対する判断一原告の主張する各時季指定の効力の有無について(争点1) 1 原告が口頭によって行ったと主張する時季指定の存否(争点1①)原告は、その本人尋問において、口頭によって時季指定したと主張する昭和六三年一〇月一日、同年一二月一八日及び平成元年一一月一七日の各日については、いずれも被告に対して時季指定の意思を表示した旨供述する。 しかし、このうち、平成元年一一月一七日の分の時季指定についての右供述部分は、当月に入ってから口頭で年休の申込みを行い、 の各日については、いずれも被告に対して時季指定の意思を表示した旨供述する。 しかし、このうち、平成元年一一月一七日の分の時季指定についての右供述部分は、当月に入ってから口頭で年休の申込みを行い、被告からこれを検討するとの回答を得た旨の内容で一貫しているのに対し、昭和六三年一〇月一日及び同年一二月一八日の両日についての供述は、原告の手帳にその旨の記載があることをその根拠として述べるものの、時季指定を行った時期や動機が明確でないうえ、時季指定が口頭によるものか年休申込簿へ記載してしたかの点についても供述が一定しない。 したがって、右原告本人尋問の結果から、平成元年一一月一七日の分の時季指定が口頭でなされたことは認められるけれども、その余の両日について口頭で時季指定がなされたことは認め難い。また、他に、昭和六三年一〇月一日、同年一二月一八日の両日について原告が時季指定の意思表示をしたことを認めるに足る証拠はない。 2 平成元年七月一日及び二日の各日について原告のした意思表示は、同月一日については早番、同月二日については遅番として勤務指定される場合には、年休の時季指定は行わない趣旨のものであるか否か(争点1②)原告が年休申込簿に記載して平成元年七月一日及び同月二日についての時季指定を行った際、その事由欄に「一日早番二日遅番でもよい」旨付記したこと、被告は、右付記された記載の内容に沿って原告を同月一日を早番、同月二日を遅番の勤務に指定したことは、いずれも当事者間に争いがない。 右の付記された記載は、その文言からして、平成元年七月一日及び同月二日の両日を年休とするか、同月一日を早番二日を遅番とする勤務指定をするかはいずれでも構わない旨を明らかにしたものと解するのが自然であり、実際に被告において付記された内容に沿った勤務内容の指定が行われる場 日を年休とするか、同月一日を早番二日を遅番とする勤務指定をするかはいずれでも構わない旨を明らかにしたものと解するのが自然であり、実際に被告において付記された内容に沿った勤務内容の指定が行われる場合にまで、右両日について年休の時季指定を行う意思を示したものとは解されない。 したがって、実際に被告が右両日について原告の付記した内容の勤務形態を指示した以上、これらの各日についての原告の年休の時季指定の効力は生じていないというべきである。 3 平成元年七月二三日及び平成二年三月九日について原告のした意思表示は、その日に特休が指定されずに出勤が命じられるときに限って年休の時季指定を行う趣旨のものであったか否か(争点1③)原告が、平成元年七月二三日及び平成二年三月九日の各日について、年休の時季指定をしたこと、被告会社では、公休日とは別に、四週に二回の割合で特休を付与するものとされており(就業規則六四条)、勤務指定表上二七日に二日の割合で右特休があらかじめ予定されていることは、いずれも当事者間に争いがない。また、平成元年七月二三日及び平成二年三月九日の両日が、勤務指定表上原告に特休が予定されていた日に当たることは、甲四号証、同八号証、原告本人尋問の結果によって明らかである。 ところで、右各時季指定の当時、被告会社においては、特休の予定日についても出勤が命じられることがあったので、どうしても当該特休予定日を休日にしたい事情のある者は、当該日について年休の時季指定をするということがしばしば行われ、その場合、実際に勤務指定表のとおりに特休が指定される限りは、年休の時季指定はなかったものとして取り扱われていたことが認められる(証人B、弁論の全趣旨)。そして、原告が、右両日について年休の時季指定を行ったのも、右の理由に基づくものである(原告本人尋問の 、年休の時季指定はなかったものとして取り扱われていたことが認められる(証人B、弁論の全趣旨)。そして、原告が、右両日について年休の時季指定を行ったのも、右の理由に基づくものである(原告本人尋問の結果)。 そうだとすると、原告が平成元年七月二三日及び平成二年三月九日の各日についてした年休の時季指定は、特休と指定されない場合に限って各日について時季指定する意思を表示したものと解するのが相当であるから、実際に特休と指定された右各日については、時季指定が行われたものとは認められない。 4 昭和六三年一〇月二三日、同年一一月一二日及び平成元年一月三〇日について原告のした時季指定は、被告がこれらの各日を祝日等の代休に指定したことによって、その効力が失われるか否か(争点1④)被告会社において、国民の祝日及び年末年始(一二月三一日、翌年一月二日、三日)が有給の休日とされていること(就業規則六二条、六三条)、被告が、原告から年休の時季指定のあった昭和六三年一〇月二三日、同年一一月一二日及び平成元年一月三〇日の各日をそれまで指定されていなかった祝日の代休又は年末休日の代休として指定したことは、いずれも当事者間に争いがない。 また、甲一号証、証人Bの証言によれば、被告会社においては、国民の祝日等に勤務を要する者については、その日から三〇日以内に代休を与えることがある旨定められており(就業規則六五条)、被告は、祝日の代休を付与すべき者から年休の付与の請求があった場合には、できる限り代休を付与する取扱いをしていたこと、右の各日について原告に祝日の代休又は年末休日の代休が与えられたのも、被告の右の取扱いに従ったものであることがそれぞれ認められる。 しかし、これらについての原告の時季指定は、先の特休予定日の場合とは異なり、その意思表示の内容として、代休が付与 代休が与えられたのも、被告の右の取扱いに従ったものであることがそれぞれ認められる。 しかし、これらについての原告の時季指定は、先の特休予定日の場合とは異なり、その意思表示の内容として、代休が付与されるならばあえて年休の時季指定を行わないとの意思が包含されていると認めるべき事情は見出せない。 そうだとすると、原告が代休の指定より先にこのような年休の時季指定をしたときには、既に使用者において適法な時季変更権の行使がなされることを解除条件として時季指定の効果は発生していると解すべきであるから(最高裁判所昭和四八年三月二日第二小法廷判決・最高裁判所判例集二七巻二号一九一頁)、適法な時季変更権の行使によることなく、右の時季指定の効果を消滅させる余地はないと解すべきである。 したがって、原告が時季指定した昭和六三年一〇月二三日、同年一一月一二日及び平成元年一月三〇日の各日については、その後、被告がこれらの各日を祝日の代休等に指定したことによって原告の年休の時季指定の効果が消滅したとは認められない。 5 原告が被告の指示に従って勤務に就いた各日について、原告がその年休時季指定を黙示的に撤回したといえるか否か(争点1⑤)昭和六三年六月一二日から平成二年三月一八日までの間に原告が年休を時季指定した各日のうち、被告から勤務指定のあった日については、原告がいずれも指定された勤務に就いたことは当事者間に争いがなく、原告が、これらの時季指定したところに従って年休を認められなかったことについて、その都度、被告に異議をとどめるなど不服を表明する態度をとらなかったことは、弁論の全趣旨に照らして、明らかである。 しかし、本件被告会社のように予定勤務割制が採用されている事業所においてバス乗務を担当している原告としては、年休の時季指定をした日に使用者から代替要員 は、弁論の全趣旨に照らして、明らかである。 しかし、本件被告会社のように予定勤務割制が採用されている事業所においてバス乗務を担当している原告としては、年休の時季指定をした日に使用者から代替要員の確保のないままに就労を命じられた場合には、原告が勤務に就かない限り欠行が生ずることが予測され、また、右の就労拒否が懲戒処分の対象とされるおそれも発生することとなる。したがって、被告の行った時季変更権行使を容認するか否かにかかわらず、原告としては、被告の指示したところに従って当面指示された勤務に就くことを事実上余儀なくされているものというべきである。 そして、右時季変更権行使の有効性は、その場で何らかの形で異議をとどめない限り後日これが争い得なくなるという性格のものでもないのであるから、原告が何らの異議をとどめることなく被告の指示に従って就労したとしても、そのことから年休の時季指定を撤回したと解することができないことは明らかである。 6 まとめしたがって、原告主張の各日のうち時季指定の効果が生じているのは、昭和六三年一〇月一日、同年一二月一八日、平成元年七月一日、同月二日、同月二三日、平成二年三月九日を除いたその余の三五日ということとなる。 二平成二年三月一九日付けの時季指定に対する時季変更権の行使の意思表示の有無について(争点2)乙一六号証及び証人A、同Bの各証言によれば、原告が平成二年三月一九日付けで行った時季指定に対して、被告の金沢営業所長兼支店長(当時)Cは、同月二〇日、原告の代理人であるAに対し、電話で、年休を付与できない旨を述べて時季変更権を行使したことが認められる。 したがって、平成二年三月一九日付けの時季指定に対する時季変更権の行使の意思表示がなかったとする原告の主張は採用できない。 三被告の各時季変更権行使が適法であ 変更権を行使したことが認められる。 したがって、平成二年三月一九日付けの時季指定に対する時季変更権の行使の意思表示がなかったとする原告の主張は採用できない。 三被告の各時季変更権行使が適法であるか否かについて(争点3) 1 被告の主張の要旨被告は、前記の被告の時季変更権の行使はいずれも、当日の業務量、人員状況からして、原告の年休を認めれば、欠行の発生など被告の事業の正常な運営を妨げる事情が存したために行ったものであり、適法なものであったと主張する。 2 代休を指定した各日の時季変更権行使の適否そこでまず、原告からの年休の時季指定があったのを受け、当該日を代休に指定した昭和六三年一〇月二三日、同年一一月一二日及び平成元年一月三〇日の各日についての時季変更権行使の適否を検討する。 被告が、右の各日に時季変更権を行使したのは、祝日等の代休を付与すべき者から年休の付与の請求があった場合には、できる限り代休を付与するというそれまでの被告の取扱いに従ったものであることは前記認定のとおりである。 しかし、被告は、原告の年休の時季指定について時季変更権を行使する一方で、当該日を原告の代休として指定し、原告を就労させていないのであるから、当該日に原告の就労を必要とする事情が存しなかったことは明らかである。 また、被告は、原告から年休の時季指定がなされるまでは、自ら積極的に当該代休の指定をしていないにもかかわらず、原告から年休の時季指定がなされたのを機会に、この日を代休として指定していることからすれば、祝日等に勤務させたことによって支払うべき原告に対する割増賃金の支払額を軽減することを目的として右のような措置をとったものと解するのが自然であって、原告の代休を当該日に指定しなければ被告の事業の正常な運営が妨げられるというような事情も見出せない。 割増賃金の支払額を軽減することを目的として右のような措置をとったものと解するのが自然であって、原告の代休を当該日に指定しなければ被告の事業の正常な運営が妨げられるというような事情も見出せない。 したがって、代休を指定した前記の三日分についての被告の時季変更権の行使は、労働基準法三九条四項ただし書所定の要件を備えたものとは認められない。 3 その余の各日の時季変更権行使の適否次に、その余の各日における被告の時季変更権行使の適否を検討する。 (1) 甲二号証ないし四号証、同七号証、同八号証、同一三号証、乙一号証、同五号証、同六号証の一ないし一〇、同七号証の一、二、同一一号証、同一二号証及び証人Bの証言並びに弁論の全趣旨によれば、右の各日における被告の金沢営業所の運転係の人員及びその業務の状況並びに被告の時季変更権行使の理由は、別紙「人員状況等一覧表」記載のとおりであることが認められる。 (2) そして、右の別紙「人員状況等一覧表」記載の各事実によれば、被告が各日に時季変更権を行使したのは、原告の時季指定に係る各日に原告が年休を取得した場合には、被告の定期路線バス、貸切バス等の乗務員の員数に不足が生じ、これらの運行業務の一部ができなくなるおそれがあったためであると解される。 (3) しかし、労働基準法三九条の趣旨に照らせば、使用者にはできるだけ労働者が指定した時季に休暇を取れるように状況に応じて配慮することが要請されているというべきであるから、使用者が、代替要員の確保努力や勤務割りの変更など使用者として尽くすべき通常の配慮を行えば時季変更権の行使を回避できる余地があるにもかかわらず、これを行わない場合や、恒常的な要員不足により常時代替要員の確保が困難であるというような場合には、右(2)記載の事由が存したとしても労働基準法三九条四項ただし書にい できる余地があるにもかかわらず、これを行わない場合や、恒常的な要員不足により常時代替要員の確保が困難であるというような場合には、右(2)記載の事由が存したとしても労働基準法三九条四項ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」に当たらないと解すべきである。 (4) そこで、本件についても、これらの前提が満たされているか否かを検討することとする。 ア被告の運転係においては、各日に年休の時季指定を行う者の数は、通常の日は一日当たり零名から四、五名間である甲二号証、乙六号証。 また、右の時季指定は、原則的には前月の二〇日までに年休申込簿に記載して行われることから、このような方法によった時季指定については、当該日までに少なくとも一〇日程度の時間的な猶予が存在する。 他方、被告の運転係が担当する主な業務は、一般路線又は高速路線の所定行路を運行する定期路線バス、貸切バス、臨時バスの運行であり、そのほかに、他の営業所への助勤、研修等にも要員を割かなければならない(証人Bの証言)。これらのうち、定期路線バスの所定行路の運行に必要な人員数は一定である。また、そのほかの貸切バス、臨時バスについても、事業計画、過去の実績、車両の保有台数などからある程度業務量を予想することができると考えられ、少なくとも、人員的な面で被告の業務能力の限度を超えると判断される場合には、貸切バス等の受注を制限するなどの方法によって、被告自身による業務量の調節が可能なものである。また、助勤、研修などについても、右と同様に、事前の予測がある程度可能であると考えられ、その実施時期、人数等の調整についても被告自身による調節が可能であると考えられる。 しかし、証人Bの証言及び弁論の全趣旨によれば、被告は、営業上の必要から、貸切バスの運行など業務の受注については、人員の状況等を特に勘 の調整についても被告自身による調節が可能であると考えられる。 しかし、証人Bの証言及び弁論の全趣旨によれば、被告は、営業上の必要から、貸切バスの運行など業務の受注については、人員の状況等を特に勘案することなくこれを引き受け、その結果、当該日に要員が不足すると見込まれる場合には、年休の時季指定のある日について時季変更権を行使してその要員を確保し、それでも足りない場合には、特休予定者や公休予定者に出勤を求めてこれに対処していたが、一方で、年休申込簿によって時季指定された日に通常の人員配置のままでは労働者が年休を取得できないことがあらかじめ明らかな場合については、時間的な余裕があっても、病気など特別の場合を除けば、他の休日予定者との調整を行うなどのことによって代替要員を確保して労働者に時季指定の日に年休を取得させようとする努力は一切試みようとせず、漫然と時季変更権を行使して乗務員を就労させたことが認められる。 イまた、昭和六三年度及び平成元年度における被告の金沢営業所の運転係の業務量と要員の状況とを検討すると次のようなこととなる。 すなわち、被告の定期行路数は、昭和六三年四月一日時点では三二であったものが、同年八月三〇日には三五、平成元年七月一六日には三八、平成二年三月一〇日には三八と変化しているが、右の各期における業務量とこれの期間における助勤、貸切、研修等の各要員数、運休行路数の各実績値をもとにして、これを支障なく遂行するために運転係(この中には、運転管理業務の補助等の日勤を兼務する者及び助役を兼務する者も含めるが、右以外の他職からの応援は含めないものとする。)一名に求められる年間必要稼働日数を算出すると別紙計算書記載のとおりとなる。 他方、就業規則において定められている休日は、公休日が年間五二日、特休日が年間二六日、国民の祝日及 含めないものとする。)一名に求められる年間必要稼働日数を算出すると別紙計算書記載のとおりとなる。 他方、就業規則において定められている休日は、公休日が年間五二日、特休日が年間二六日、国民の祝日及び年末年始の休日が一六日(昭和六三年)ないし一七日(平成元年)であり、その合計は九四日(昭和六三年)ないし九五日(平成元年)である。 そこで、年間日数三六五日から前記の各期ごとに求めた年間必要稼働日数を控除した日数から、さらにこれらの休日を差し引くと、昭和六三年四月一日から同年八月二九日までは、三三・六日となるが、同月三〇日から平成元年三月三一日までは九・八日、同月一日から同年七月一五日までは一八・七日、同年七月一六日から平成二年三月九日まではマイナス一〇・九日、同月一一日から同月三一日まではマイナス六・八日となる。 右は他職からの応援を除いたものであるので、現実には他職からある程度の応援があるものとしても、他方において、日勤との兼務者や助役との兼務者が一般の運転係と同程度の運転業務を行うことは期待できないことも考慮に入れれば、被告の金沢営業所の運転係として勤務する者は、昭和六三年八月三〇日以降は、要員状況の面からも年休がとりにくくなり、特に平成元年七月一六日から平成二年三月三一日までの間は、その傾向が著しく、要員の不足が常態化しているものと認めることができる。 ウそのため、現実に、年休申込簿に記載して行われた時季指定についてだけをみても、平成元年度において原告が時季指定した二五日分(条件付きの指定は除く。)のうちの一七日について時季変更権が行使されているだけでなく、昭和六三年度においても原告が時季指定した一三日中の八日分という高い割合で時季変更権が行使されており(甲二号証ないし同四号証、同一一号証、同一五号証、乙五号証、同一〇号証、証 されているだけでなく、昭和六三年度においても原告が時季指定した一三日中の八日分という高い割合で時季変更権が行使されており(甲二号証ないし同四号証、同一一号証、同一五号証、乙五号証、同一〇号証、証人Bの証言、原告本人尋問の結果)、このような状況が、原告についてだけの特殊なものでなかったことは、別紙「人員状況等一覧表」記載の時季変更権行使の状況からも明らかなところである。 エそこでこれらの事実に照らせば、別紙「人員状況等一覧表」記載の被告の時季変更権の行使は、そのいずれについても、使用者として年休の時季指定がなされた場合に行うべき通常の配慮が尽くされておらず、また、平成元年七月一六日から平成二年三月三一日までの間になされた時季変更権の行使については、運転係の要員の不足が常態化したまま行われたものであるというべきであるから、いずれにしても、これらの時季変更権の行使は労働基準法三九条四項ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」との要件を満たさない違法なものであると解すべきである。 四原告の被った損害等(争点4)以上によれば、被告は、原告の時季指定にかかる年休権の行使を合計三五日にわたって違法に侵害し、原告の七日分の年休を取得できる権利を失効させたものであり、右は、労働契約上の債務の不履行に当たるというべきである。そして、前記認定の経緯、時季変更権行使の回数その他諸般の事情を勘案すれば、これによって原告が被った精神的損害を慰謝するには金二五万円をもって相当と認められる(ちなみに、右の所為が不法行為に該当するとしても、その損害額は右の債務不履行による損害の額を超えることはない)。 なお、被告は、本訴請求は権利の濫用又は信義則違反であると主張するが、被告の時季変更権行使の意思表示があれば、代替要員の手当もない当時の状況下においては、 行による損害の額を超えることはない)。 なお、被告は、本訴請求は権利の濫用又は信義則違反であると主張するが、被告の時季変更権行使の意思表示があれば、代替要員の手当もない当時の状況下においては、労働者としては、欠行等を避けるために自らが就労せざるを得ないと考えるのは無理からぬところであり、こうした原告の対応をとらえて、被告の時季変更権行使を容認したものであると解することは許されないし、また、本件の訴えが右各時季変更権行使の時から著しく遅れて提起されたものともいえないから、被告の右主張は採用できない。 第四よって、原告の本訴請求は、主文の限度で理由があり、その余は理由がないから、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条ただし書を、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官市村陽典増田隆久柳本つとむ)(別紙)人員状況等一覧表 1 昭和六三年度ア昭和六三年六月一二日①人員状況人員五六名(全て運転係)必要人員三六名内訳所定行路三一名貸切三名臨時一名日勤等一名年休を除く非稼働人員非番一名内訳公休七名特休五名非番一名②時季変更権を行使した理由この日について先月二〇日までに年休申し込み、(以下、これを「事前の年休申込」という。)をした者は一一名であり、原告の申込順位は七位であるが、原告より申込順位が下位の者の中には病気の者が二名あった他方、この日の人員状況は①のとおりであり、この日年休を付与できる限度人員は七名であった。 そこで病気の者と原告より先順位の申込者に優先的に年休を付与することとしたため、原告については時季変更権を行使したものである。 イ同年一〇月二二日①人員状況人員五五名(全て運転係)必要人員四一名内訳所定行路三五名貸 に優先的に年休を付与することとしたため、原告については時季変更権を行使したものである。 イ同年一〇月二二日①人員状況人員五五名(全て運転係)必要人員四一名内訳所定行路三五名貸切四名臨時等一名日勤一名年休を除く非稼働人員一四名内訳公休八名特休三名代休三名②時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は原告を含めて二名であり、原告の申込順位は二位であったが、この日の人員状況は①のとおりであり、この日は何人に対しても年休を付与できる余裕はなく、原告についても時季変更権を行使した者である。 ウ同年一〇月二四日① 人員状況人員五五名(全て運転係)必要人員四三名内訳所定行路三五名貸切五名日勤等二名年休を除く非稼働人員一三名内訳公休一〇名特休三名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は原告一名であったが、この日の人員状況は①のとおりであり、何人に対しても年休を付与できる余裕はなく、時季変更権を行使したものである。ちなみに、この日は貸切が多く入っていたため、特休が予定されていた者一名についても、出勤を求めたほどであった。 エ同年一一月五日① 人員状況人員五六名(全て運転係)必要人員四六名内訳所定行路三五名貸切六名臨時等四名日勤等一名年休を除く非稼働人員九名内訳公休五名特休二名代休一名、非番一名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込み者は三名で、原告の申込順位は二位であった。しかし、この日の人員状況は①のとおりであり、この日年休を付与できる限度人員は一名であったので、原告については時季変更権を行使した者である。 オ同年一一月一三日① 人員状況人員五五名(全て運転係)必要人員四五名 おりであり、この日年休を付与できる限度人員は一名であったので、原告については時季変更権を行使した者である。 オ同年一一月一三日① 人員状況人員五五名(全て運転係)必要人員四五名内訳所定行路三四名貸切四名臨時等五名日勤等二名年休を除く非稼働人員八名内訳公休三名特休五名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は四名であり、原告の申込順位は三位であったが、事前に年休の申込みをしていなかつたDに対しても子供の病気のために年休を付与する必要があった。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、年休を付与できる限度人員は二名であったため、D及び原告より先順位の申込者一名に優先的に年休を付与したが、原告については時季変更権を行使したものである。 2 平成元年度ア平成元年四月一日① 人員状況人員五四名(全て運転係)必要人員四三名内訳所定行路三四名貸切五名臨時等四名年休を除く非稼働人員九名内訳公休七名特休二名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は二名であり、原告の申込順位は二位であったが、当日、胃潰瘍を患っていたE及び交通事故の後遺症による頭痛を訴えたFの両名に年休を与える必要が生じた。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、年休を付与できる限度人員は二名であったため、健康上優先的に年休を取得させる必要のある右両名のほかには年休を付与することができず、原告についても時季変更権を行使したものである。 イ同年五月一四日① 人員状況人員五三名(運転係五一名他職からの応援及び福光派出所からの助勤各一名)必要人員四五名内訳所定行路三四名貸切一〇名臨時等一名年休を除く非稼働人員八名内訳公休六名特休二名② 時季変更権 係五一名他職からの応援及び福光派出所からの助勤各一名)必要人員四五名内訳所定行路三四名貸切一〇名臨時等一名年休を除く非稼働人員八名内訳公休六名特休二名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は三名であり、原告の申込順位は二位であった。しかし、この日の人員状況は①のとおりであり、年休を付与できる限度人員は二名であったため、健康上優先的に年休を取得させる必要のある右両名のほかには年休を付与することができず、原告についても時季変更権を行使したものである。 ウ同年七月二二日① 人員状況人員五四名(運転係五三名福光派出所からの助勤各一名)必要人員四三名内訳所定行路三八名貸切五名年休を除く非稼働人員一〇名内訳公休七名特休三名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は三名であり、原告の申込順位は三位であったが、事前の申込みをしなかったGに葬儀参列の必要が生じたため同人に優先的に年休を付与する必要があった。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、年休を付与できる限度人員は一名であったので、原告を含めた事前の年休申込者については時季変更権を行使したものである。 エ同年八月二一日① 人員状況人員五四名(運転係五三名他職からの応援一名)必要人員四〇名内訳所定行路三八名日勤二名年休を除く非稼働人員一三名内訳公休九名特休四名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は三名であり、原告の申込順位は三位であったが、この日の人員状況は①のとおりであり、その何人に対しても年休を付与する余裕はなかった。そのような中で、事前の申込みをしなかったHに歯痛が生じ、就労不能となったため、運輸係から一名の応援を得て、Hに年休を付与した 状況は①のとおりであり、その何人に対しても年休を付与する余裕はなかった。そのような中で、事前の申込みをしなかったHに歯痛が生じ、就労不能となったため、運輸係から一名の応援を得て、Hに年休を付与したが、原告を含めた事前の年休申込者については時季変更権を行使したものである。 オ同年八月二二日① 人員状況人員五四名(運転係五三名他職からの応援一名)必要人員四一名内訳所定行路三八名日勤三名年休を除く非稼働人員一二名内訳公休七名特休四名非番一名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は四名であり、原告の申込順位は四位であったが、この日の人員状況は①のとおりであり、その何人に対しても年休を付与する余裕はなかった。そのような中で、事前の申込みをしなかったIに葬儀参列の必要が生じたため、運転係を兼務する助役が乗務することで、Iに年休を付与したが、原告を含めた事前の年休申込者については時季変更権を行使したものである。 カ同年九月一九日① 人員状況人員五四名(運転係五三名他職からの応援一名)必要人員四三名内訳所定行路三八名貸切二名臨時等一名日勤二名年休を除く非稼働人員一〇名内訳公休七名特休一名出勤停止一名、非番一名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は三名であり、原告の申込順位は三位であった。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、年休を付与できる限度人員は一名であったので、原告に優先する順位の年休申込者一名については年休が付与できたが、原告については時季変更権を行使したものである。ちなみに、この日は、特休予定者二名の予定を変更して勤務に就いてもらわなければならないほど、乗務人員が不足していた。 キ同年九月二〇日① 人員状況人員五三 は時季変更権を行使したものである。ちなみに、この日は、特休予定者二名の予定を変更して勤務に就いてもらわなければならないほど、乗務人員が不足していた。 キ同年九月二〇日① 人員状況人員五三名(すべて運転係)必要人員四一名内訳所定行路三八名貸切一名日勤二名年休を除く非稼働人員一二名内訳公休七名特休三名出勤停止一名、非番一名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は二名であり、原告の申込順位は二位であったが、この日の人員状況は①のとおりであり、何人に対しても年休を付与する余裕はなく、原告についても時季変更権を行使したものである。ちなみに、この日の年休申込順位一位の者は特休予定者でもあったが、貸切の乗務が必要となったので、特休の予定を変更して就労している。 ク同年一〇月七日① 人員状況人員五四名(運転係五三名他職からの応援一名)必要人員四四名内訳所定行路三八名貸切五名臨時等一名年休を除く非稼働人員一〇名内訳公休八名特休二名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は三名であり、原告の申込順位は三位であったが、この日の人員状況は①のとおりであり、何人に対しても年休を付与する余裕はなく、原告についても時季変更権を行使したものである。ちなみに、この日は、多くの人員が必要であり、特休予定者一名が予定を変更して就労したほか、運輸係からも一名応援が出たほどであった。 ケ同年一〇月八日① 人員状況人員五四名(運転係五三名他職からの応援一名)必要人員四四名内訳所定行路三七名貸切七名臨時等一名年休を除く非稼働人員八名内訳公休六名特休一名忌引一名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は四名であり、原告の 四四名内訳所定行路三七名貸切七名臨時等一名年休を除く非稼働人員八名内訳公休六名特休一名忌引一名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は四名であり、原告の申込順位は四位であったが、この日の人員状況は①のとおりであり、特休予定者二名が予定を変更して就労したほか、助役のBも乗務するほど人員が不足していた。そこで、姪の結婚式への出席を予定していたJ(申込順位三位)については年休が付与されたが、原告を含めた残りの申込者については時季変更権を行使したものである。 コ同年一〇月九日① 人員状況人員五五名(運転係五三名他職からの応援二名)必要人員四二名内訳所定行路三八名貸切四名年休を除く非稼働人員一二名内訳公休七名特休四名忌引一名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は二名であり、原告の申込順位は一位であったが、事前に申込のなかったKについて父親が危篤のために年休を付与すべき状況が生じた。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、何人に対しても年休を付与する余裕はなく、公休予定者一名が就労し、運輸係から一名の応援を得ることで、Kについては年休が付与されたが、原告を含めた事前の申込者全員については時季変更権を行使したものである。サ同年一〇月一〇日① 人員状況人員五三名(すべてが運転係)必要人員四一名内訳所定行路三七名貸切四名年休を除く非稼働人員一二名内訳公休八名特休一名忌引一名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は三名であり、原告の申込順位は二位であったが、この日の人員状況は①のとおりであって、特休予定者二名を変更して就労させたほど人員が不足しており、何人に対しても年休を付与する余裕はなく、原告を含め 込者は三名であり、原告の申込順位は二位であったが、この日の人員状況は①のとおりであって、特休予定者二名を変更して就労させたほど人員が不足しており、何人に対しても年休を付与する余裕はなく、原告を含めた事前の申込者全員については時季変更権を行使したものである。なお、Kについては、前日と同様の理由で乗務から休日に変更された。 シ同年一一月一七日① 人員状況人員五四名(運転係五三名他職からの応援一名)必要人員四一名内訳所定行路三八名貸切三名年休を除く非稼働人員一一名内訳公休八名特休二名欠勤一名② 時季変更権を行使した理由この日について、原告のほか、事前の申込者が一名あり、また、この日急に退職を申し出て欠勤した者が二名存在した。この日の人員状況は①のとおりであって、運転係兼務の助役一名が乗務したほか、特休予定者二名を変更して就労をさせたほど人員が不足しており、年休を付与できる限度人員は一名であったので、原告に優先する順位の年休申込者一名については年休が付与できたが、原告については時季変更権を行使した。 ス平成二年一月三日① 人員状況人員五三名(運転係五二名他職からの応援一名)必要人員四一名内訳所定行路三六名貸切一名臨時等四名年休を除く非稼働人員一二名内訳公休八名特休三名忌引一名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は三名であり、原告の申込順位は三位であったが、この日の人員状況は①のとおりであって、公休予定者一名、特休予定者二名が就労したほか、運転係兼務の助役一名が応援のため乗務するほど人員が不足しており、何人に対しても年休を付与する余裕はなく、原告を含めた事前の申込者全員については時季変更権を行使したものである。 セ同年一月四日① 人員状況人 一名が応援のため乗務するほど人員が不足しており、何人に対しても年休を付与する余裕はなく、原告を含めた事前の申込者全員については時季変更権を行使したものである。 セ同年一月四日① 人員状況人員五二名(すべて運転係)必要人員四〇名内訳所定行路三六名臨時等三名日勤等一名年休を除く非稼働人員一二名内訳公休八名特休二名忌引一名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は二名であり、原告の申込順位は二位であった。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、年始のため高速線の臨時便の乗務のために二名、大阪営業所のスキーバスツアーの助勤のために二名を要するなどの事情があったため、特休予定者一名、休日予定者一名が予定を取り消して就労したほど人員が不足しており、何人に対しても年休を付与する余裕はなかった。そこで、原告を含め事前の申込者全員については時季変更権を行使せざるを得なかった。(ただし、申込順位一位の者は、特休予定者であったが、特休は、予定どおり付与された。)ソ同年二月一日① 人員状況人員五三名(運転係五二名他職からの応援一名)必要人員四三名内訳所定行路三八名臨時等二名日勤等三名年休を除く非稼働人員九名内訳公休六名特休二名非番一名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は二名であり、原告の申込順位は二位であったが、そのほかに事前に申込のなかったLについて病気のため就労できない事情が生じた。他方、この日の人員状況は①のとおりであって、特休予定者二名が就労したほか、運転係兼務の助役一名が応援のため乗務するほど人員が不足しており、Lに対して年休を付与したほかには、年休を付与する余裕はなく、原告を含めた事前の申込者両名については時季変更権を行使したもので ほか、運転係兼務の助役一名が応援のため乗務するほど人員が不足しており、Lに対して年休を付与したほかには、年休を付与する余裕はなく、原告を含めた事前の申込者両名については時季変更権を行使したものである。 タ同年二月二日① 人員状況人員五三名(運転係五二名他職からの応援一名)必要人員四四名内訳所定行路三八名貸切四名臨時等二名年休を除く非稼働人員八名内訳公休六名特休一名非番一名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は四名であり、原告の申込順位は三位であったが、そのほかに、前日と同様、事前に申込のなかったLについて病気のため就労できない事情があった。他方、この日の人員状況は①のとおりであって、特休予定者二名が就労したほか、運輸係から一名が応援のため乗務するほど人員が不足しており、Lに対して年休を付与したほかには、年休を付与する余裕はなく、原告を含めた事前の申込者全員については時季変更権を行使したものである。 チ同年三月八日① 人員状況人員五二名(すべて運転係)必要人員四二名内訳所定行路三八名貸切二名日勤等二名年休を除く非稼働人員一〇名内訳公休六名年休四名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は原告一名であったが、この日、事前に申込のなかったMには健康上就労ができない理由があり。また、この日に公休調整の必要な者が三名存在した。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、特休予定者四名が予定を変更して就労しなければならないほど人員に余裕がなく、この日は四名を超えて年休を付与する余裕はなかった。そこで、被告においては、健康上の理由によるものと古くから通常の年休に優先する職場慣行のあった特休、年休の調整を優先した結果、事前に申込のなかった右の四名 四名を超えて年休を付与する余裕はなかった。そこで、被告においては、健康上の理由によるものと古くから通常の年休に優先する職場慣行のあった特休、年休の調整を優先した結果、事前に申込のなかった右の四名に年休を付与することとしたため、原告については時季変更権を行使したものである。 ツ同年三月一八日① 人員状況人員五四名(運転係五二名他職からの応援及び福光派出所からの助勤各一名)必要人員四〇名内訳所定行路三四名貸切四名臨時等二名年休を除く非稼働人員四名内訳公休二名特休二名② 時季変更権を行使した理由この日の事前の年休申込者は六名であり、原告の申込順位は六位であった。しかし、そのほかに、この日、事前に申込をしていないNについては葬儀への参列をしなければならない事情が生じたほか、この日に公休調整の必要な者が七名存在した。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、運転係兼務の助役の応援と福光派出所からの応援を含めた結果、この日年休を付与できる限度人員は一〇名であった。そこで、被告は、公休調整の必要があった七名及び葬儀へ参加する必要があったNのほか、原告より申込順位の優先する二名の年休申込者については年休を付与することとしたが、原告を含めたその余の年休申込者については時季変更権を行使したものである。 テ同年三月二〇日① 人員状況人員五二名(全て運転係)必要人員四一名内訳所定行路三七名貸切二名日勤等二名年休を除く非稼働人員四名内訳公休三名非番一名② 時季変更権を行使した理由この日について、原告のほか、事前の年休申込者が四名あり、また、この日に公休調整又は特休調整が必要な者が五名存在した。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、この日年休を付与できる限度人員は七名であった。 ついて、原告のほか、事前の年休申込者が四名あり、また、この日に公休調整又は特休調整が必要な者が五名存在した。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、この日年休を付与できる限度人員は七名であった。そこで、被告は、公休調整又は特休調整が必要であった五名及び原告より申込順位の優先する二名について年休を付与することとし、原告を含めたその余の年休申込者については時季変更権を行使したのである。 ト同年三月二一日① 人員状況人員五二名(全て運転係)必要人員四二名内訳所定行路三四名貸切五名日勤等三名年休を除く非稼働人員一〇名内訳公休七名特休二名休日一名② 時季変更権を行使した理由この日について、原告のほか、事前の年休申込者が二名あった。この日の人員状況は①のとおりであって、何人に対しても年休を付与する余裕はなく、原告及び事前の申込者全員について時季変更権を行使したものである。 ナ同年三月二二日① 人員状況人員五三名(運転係五二名他職からの応援一名)必要人員四一名内訳所定行路三七名貸切四名年休を除く非稼働人員八名内訳公休五名特休一名非番一名② 時季変更権を行使した理由この日について、原告のほか、この日に公休調整又は特休調整が必要な者が四名存在した。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、特休予定者一名が予定を変更して就労し、運輸係からも一名応援を得たが、この日年休を付与できる限度人員は四名であった。そこで、被告は、公休調整又は特休調整が必要な四名について年休を付与することとし、原告については時季変更権を行使したものである。 ニ同年三月に五日① 人員状況人員五五名(運転係五二名他職からの応援二名福光派出所からの助勤一名)必要人員四一名内訳所定行路 、原告については時季変更権を行使したものである。 ニ同年三月に五日① 人員状況人員五五名(運転係五二名他職からの応援二名福光派出所からの助勤一名)必要人員四一名内訳所定行路三四名貸切三名臨時等三名、日勤等一名年休を除く非稼働人員八名内訳公休六名特休一名非番一名② 時季変更権を行使した理由この日について、原告のほか、事前の年休申込者が一名あった。また、この日、事前の申込みをしていないOについて葬儀参列の必要が生じたほか、この日に公休調整又は特休調整の必要な者が四名存在した。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、特休予定者一名が予定を変更して就労し、運輸係から二名の、福光派出所から一名の応援を得たが、この日年休を付与できる限度人員は六名であった。そこで、被告は、公休調整又は特休調整が必要な四名と葬儀参列の必要があったOのほか、原告に優先する年休申込順位の者一名について年休を付与することとし、原告については時季変更権を行使したものである。 ヌ同年三月二六日① 人員状況人員五三名(運転係五二名他職からの応援一名)必要人員三九名内訳所定行路三五名貸切及び臨時等各二名年休を除く非稼働人員一〇名内訳公休四名特休三名代休三名② 時季変更権を行使した理由この日について、原告のほかに、事前の年休申込者が一名あったが、そのほかに、この日に公休調整又は特休調整の必要な者が四名存在した。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、運転係兼務の助役が乗務したが、この日年休を付与できる限度人員は四名であった。そこで、被告は、公休調整又は特休調整が必要な四名について年休を付与することとし、原告については時季変更権を行使したものである。 ネ同年三月二七日① 人員状況人員五 限度人員は四名であった。そこで、被告は、公休調整又は特休調整が必要な四名について年休を付与することとし、原告については時季変更権を行使したものである。 ネ同年三月二七日① 人員状況人員五三名(運転係五二名他職からの応援一名)必要人員三九名内訳所定行路三五名貸切及び臨時等各二名年休を除く非稼働人員一〇名内訳公休四名特休三名代休三名② 時季変更権を行使した理由この日については、原告のほか、この日に公休調整又は特休調整の必要な者が二名存在した。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、特休予定者一名が予定を変更して就労したが、この日年休を付与できる限度人員は二名であった。そこで、被告は、公休調整又は特休調整が必要な二名について年休を付与することとし、原告については時季変更権を行使したものである。 ノ同年三月二八日① 人員状況人員五三名(運転係五二名他職からの応援一名)必要人員三九名内訳所定行路三五名貸切及び臨時等各二名年休を除く非稼働人員一〇名内訳公休四名特休三名代休三名② 時季変更権を行使した理由この日について、原告のほかに事前の年休申込者が一名あったがそのほかに、この日に公休調整が必要な者が三名存在した。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、公休予定者一名が予定を変更して就労したが、この日年休を付与できる限度人員は四名であった。そこで、被告は、公休調整が必要な者三名及び原告に優先する事前の年休申込者一名について年休を付与することとし、原告については時季変更権を行使したものである。 ハ同年三月二九日① 人員状況人員五三名(運転係五二名他職からの応援一名)必要人員四一名内訳所定行路三五名貸切一名臨時等二名日勤等三名年休を除く 行使したものである。 ハ同年三月二九日① 人員状況人員五三名(運転係五二名他職からの応援一名)必要人員四一名内訳所定行路三五名貸切一名臨時等二名日勤等三名年休を除く非稼働人員一一名内訳公休六名特休四名非番一名② 時季変更権を行使した理由この日について、原告のほかに、事前の年休申込者が一名あった。 他方、この日の人員状況は①のとおりであり、公休予定者一名が予定を変更して就労したが、この日年休を付与できる限度人員は一名であった。そこで、被告は、原告に優先する事前の年休申込者一名について年休を付与することとし、原告については時季変更権を行使したものである。ヒ同年三月三〇日① 人員状況人員五四名(運転係五二名他職からの応援二名)必要人員四一名内訳所定行路三五名貸切及び臨時等各三名年休を除く非稼働人員一一名内訳公休六名特休四名非番一名② 時季変更権を行使した理由この日について、原告のほかに、事前の年休申込者が二名あったほか、この日、事前の申込みをしていないFについて健康上の理由から就労できない事情が生じた。他方、この日の人員状況は①のとおりであり、公休予定者一名が予定を変更して就労したほか、運転係兼務の助役一名及び運輸係一名が応援したが、この日年休を付与できる限度人員は二名であった。そこで、被告は、原告に優先する事前の年休申込者一名及び健康上の理由から年休を付与する必要のあるFについて年休を付与することとし、原告については時季変更権を行使したものである。 (別紙)<31166-001> 主文 原告の請求を棄却する。 理由 原告は被告に対し、損害賠償を求める訴えを提起した。 事実 原告は被告との間で契約を締結し、商品を購入した。 争点 契約の有効性及び損害の発生について。 判断 契約は有効であり、損害は発生していない。
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