主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 控訴人は、被控訴人に対し、4477万8048円及びこれに対する平成6年1月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被控訴人のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は第1、2審を通じて、これを2分し、その1を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。 5 この判決は、主文2項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 2 被控訴人の請求を棄却する。 3 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は、控訴人運転車両(普通乗用車)と正面衝突した車両(普通貨物自動車)に同乗していた被控訴人が、控訴人に対して、民法709条、自賠法3条に基づき、交通事故により被った後遺障害等の損害賠償を求めた事案であり、原審が被控訴人の後遺障害は同等級8級2号に該当する等と認定して本訴請求の一部を認容したのに対して、控訴人が、被控訴人の後遺障害等級は12級にすぎない等として控訴したものである。 2 争いのない事実等、争点及び当事者の主張は、原判決の事実及び理由欄の「第二の一、二」に摘示のとおりであるから、これを引用する。 3 当審における控訴人の補足的主張(1) 「脊柱に運動障害を残すもの」の医学的意味と後遺障害等級① 後遺障害等級8級2号の「脊柱に運動障害を残すもの」とは、「背部軟部組織の明らかな器質的変化に基づく原因により、脊柱の運動可能領域が正常可動域のほぼ2分の1程度にまで制限されたもの」をも含むが、その器質的変化とは背部の筋、腱、靱帯等の広範な欠損又は挫滅をいう。そして、このような「脊柱に運動障害を残すもの」の例としては、(ア) レントゲン写真上明らかな脊柱圧迫骨折又は脱 もの」をも含むが、その器質的変化とは背部の筋、腱、靱帯等の広範な欠損又は挫滅をいう。そして、このような「脊柱に運動障害を残すもの」の例としては、(ア) レントゲン写真上明らかな脊柱圧迫骨折又は脱臼に基づく原因により、脊柱の運動可能領域が正常可動域のほぼ2分の1程度にまで制限されたもの、(イ) 脊柱の著名な変形・脱臼、又は高度の不安定性のため、常にコルセット等の装具を必要とするが、装具を装用していれば、起居に困難を生じない程度の荷重障害が存するものがある。 ② しかるに、被控訴人の頸椎に圧迫骨折や脱臼は認められないし、左第7/第8頸髄、第1胸髄脊髄前角に器質的損傷は存在しないのであるから、同人の頸部運動可能域制限が、第4/第5頸椎椎間板ヘルニアと第5/第6頸椎椎間板の狭小化に起因し、かつ本件事故と相当因果関係があるとしても、これをもって後遺障害等級8級2号の「背部軟部組織の明らかな器質的変化」に該当するということはできない。また、被控訴人は平成9年10月16日の原審第3回口頭弁論期日における本人尋問において、コルセット等の装具も着用せず正常に歩行、起立、着席をして供述しており、客観的外見的に前記①、(イ)の例にも当たらない。 (2) 通院交通費等のグリーン料金・宿泊費の負担被控訴人は平成6年6月28日から就労可能と診断されているのであるから、控訴人加入の保険会社が当初グリーン料金・宿泊費の負担について承認していたとしても、被控訴人宅から名古屋の附属病院までのグリーン料金・宿泊費を含む通院交通費等としては、平成6年4月4日から就労可能日の前日である同年6月27日までの分についてのみ相当因果関係が認められるにすぎず、平成7年12月25日までの分について損害と認めることは著しく不公平である。 (3) A神社のビデオ撮影収入と逸失利益 の前日である同年6月27日までの分についてのみ相当因果関係が認められるにすぎず、平成7年12月25日までの分について損害と認めることは著しく不公平である。 (3) A神社のビデオ撮影収入と逸失利益期間被控訴人の副業であるA神社での結婚式用ビデオ撮影収入について、25年間の長期にわたり逸失利益を算定するには、少なくとも本業の家庭用電気器具の販売業のみならず副業も25年間にわたり営業継続できる見込みとその収益性の蓋然性が必要である。本件事故後6か月で就労可能となり、ビデオ撮影機器は500万円を要し、6、7年で使用できなくなること、現に不採算を理由にA神社でのビデオ撮影を平成11年に止めていること、ハンディビデオ機器が普及している現在、今後ビデオ撮影が25年間にわたり営業継続できるか疑わしいことからすると、このビデオ撮影収入に関する逸失利益について症状固定後7年間を超えて認めることは相当性を欠き不公平である。 4 被控訴人の反論控訴人の前記補足的主張はすべて否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件事故による被控訴人の傷害、後遺障害)について)この点に関する判断は、次のとおり付加訂正するほか原判決の事実及び理由欄の「第三の一」に説示のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決23頁5行目冒頭から8行目末尾までを次のとおり改める。 「2 前記認定によると、被控訴人は左母指の知覚異常、頸部の可動域制限の後遺障害を負っているところ、この後遺障害の原因は、主に第4/第5頸椎椎間板ヘルニアに起因するものと認めるのが相当である。そして、本件事故前、被控訴人は日常生活に支障を生じるような頸部障害を有していた形跡はないこと、正面衝突という本件事故により被控訴人はフロントガラスから4、5メートル前方の道路へ投げ出され、約 。そして、本件事故前、被控訴人は日常生活に支障を生じるような頸部障害を有していた形跡はないこと、正面衝突という本件事故により被控訴人はフロントガラスから4、5メートル前方の道路へ投げ出され、約5分間意識消失状態にあり、相当強い外力が被控訴人の身体に加わったことが容易に推察されるところ、被控訴人は本件事故により第1胸椎圧迫骨折の傷害をも負ったと考えられる旨の医師の意見もあり(乙11号証)、本件事故後、被控訴人は頸の痛みや手のしびれ、左肩甲間部痛、肩の凝り及び痛みを伴う頸椎の可動域制限等の主症状を呈しており、第4/第5頸椎間に中央部椎間板の後方突出が認められ、脊髄は腹側よりの圧迫によりブーメラン状の変形を示すという脊髄の形態的異常所見が認められるのであるから、被控訴人の第4/第5頸椎椎間板ヘルニアは本件事故によるものと認められる。 この点に関して、同ヘルニアの器質的原因は加齢性退行性変化であって外傷によるものではないとの意見(乙11号証)は他の証拠(甲16、17、22号証、鑑定人Bの鑑定結果)に照らして採用することはできない。また被控訴人に発育性脊柱管狭窄所見が認められるところ、これが前記ヘルニアの発現に影響を与えたとみる余地があるとしても前記判断を左右するものではない(前掲甲16、17、22号証、鑑定人Bの鑑定結果)。」(2) 同25頁6行目から7行目の「進行していること」を「進行しており、C医師は除圧術の手術適応を認めたうえ、同術後に頸椎の可動域制限が出現する旨診断していること」と改める。 (3) 同27頁11行目の「できない」の後に「し、乙11号証も同様に採用することができない」を加える。 2 争点2(本件事故による被控訴人の損害)についてこの点に関する判断は、次のとおり加除訂正するほか原判決の事実及び理由欄の「第三の二 「し、乙11号証も同様に採用することができない」を加える。 2 争点2(本件事故による被控訴人の損害)についてこの点に関する判断は、次のとおり加除訂正するほか原判決の事実及び理由欄の「第三の二」に説示のとおりであるから、これを引用する。 (1) 原判決35頁3行目の「また、」から5行目の「顕著である。」までを削除し、同行目の「したがって、」から9行目末尾までを次のとおり改める。 「そして、被控訴人は、入院中の2か月間は全く働くことができなかったが、退院後の平成6年3月20日から同年9月末頃までは3割程度、同年10月初めから同年12月末頃までは5割程度、平成7年1月初めから同年6月末頃までは6割程度、同年7月初めから現在まで8割程度働くことができるようになったことが認められる(被控訴人本人[原審])。」と改める。 (2) 同36頁8行目冒頭から同37頁2行目末尾までを次のとおり改める。 「(三) 以上によると、被控訴人の入院時である平成6年1月16日から症状固定日である平成7年12月25日までの休業損害は、以下のとおり697万7128円となる(円未満切り捨て、以下同じ)。 ① 平成6年1月16日から同年3月19日まで63日間 124万3448円(7,204,109÷365×63)② 同年3月20日から同年9月30日まで195日間 269万4139円(7,204,109÷365×195×0.7)③ 同年10月1日から同年12月31日まで92日間 90万7915円(7,204,109÷365×92×0.5)④ 平成7年1月1日から同年6月30日まで181日間 142万8979円(7,204,109÷365×181×0.4 (7,204,109÷365×92×0.5)④ 平成7年1月1日から同年6月30日まで181日間 142万8979円(7,204,109÷365×181×0.4)⑤ 同年7月1日から同年12月25日まで178日間 70万2647円(7,204,109÷365×178×0.2)⑥ 計 697万7128円」(3) 同37頁8行目冒頭から同38頁8行目末尾までを次のとおり改める。 「後遺障害による逸失利益について検討するに、被控訴人の後遺障害等級は8級に相当するところ、その労働能力喪失率は45パーセントであるが、前記のとおり被控訴人は症状固定時には本件事故前の8割程度働くことができるようになっており、その後遺障害の内容、程度その他本件記録に顕れた一切の事情に鑑みると、被控訴人の後遺障害による労働能力喪失率は40パーセントと認めるのが相当である。また、証拠(甲21号証、乙10号証、被控訴人本人[原審])によると、A神社でのビデオ撮影は被控訴人の副業であって、税務申告もしていないこと、本件事故後A神社はこれを他の業者に依頼したこと、その後再び被控訴人がこれを依頼されるようになったが、採算が合わないということから平成11年頃から取り止めたこと、ビデオ撮影機器は6、7年で更新されることが認められるから、前記ビデオ撮影収入については7年間の逸失利益を認めるをもって相当とする。 以上を前提に逸失利益を算定するに、まず、家庭用電気販売業収入に関する分については、症状固定時被控訴人は42歳であり(甲1号証)、その就労可能年数は25年であるから、年5分の割合によるライプニッツ方式により中間利息を控除すると、2566万9903円(4,553,339×14.094×0 時被控訴人は42歳であり(甲1号証)、その就労可能年数は25年であるから、年5分の割合によるライプニッツ方式により中間利息を控除すると、2566万9903円(4,553,339×14.094×0.4=25,669,903)となる。次にビデオ撮影収入に関する分について同様に算定すると、622万8249円(2,650,770×5.874×0.4=6,228,249)となる。よって、逸失利益合計は3189万8152円となる。」(4) 同39頁2行目の「六二九三万九八〇七円」を「4865万0284円」と改める。 (5) 同頁7行目の「落ちたこと」の後に「、このシートベルトの不装着が被控訴人自身に等級8級という前記後遺障害にまで損害を拡大させた可能性は否定できないこと」を加え、9行目の「五九七九万二八一六円」を「4621万7769円」と改める。 (6) 同40頁2行目から3行目の「五四三五万三〇九五円」を「4077万8048円」と改める。 (7) 同頁6行目の「五五〇万円」を「400万円」と、8行目の「五九八五万三〇九五円」を「4477万8048円」とそれぞれ改める。 2 以上の次第で、被控訴人の本訴請求は、4477万8048円及びこれに対する本件事故の日である平成6年1月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるところ、これと一部異なる原判決は相当でないから、本件控訴に基づきこれを変更することとし、主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第4部裁判長裁判官小川克介裁判官黒岩巳敏裁判官永野圧彦 介裁判官 黒岩巳敏 裁判官 永野圧彦
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