令和3(ネ)2608 商標権侵害差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和4年5月13日 大阪高等裁判所
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判決文本文9,798 文字)

- 1 -令和4年5月13日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官令和3年(ネ)第2608号 商標権侵害差止等請求控訴事件(原審 大阪地方裁判所令和2年(ワ)第3646号)口頭弁論終結日 令和4年3月2日判 決控訴人(一審原告) P 1同訴訟代理人弁護士 伊 原 友 己同 並 山 恭 子同 山 本 由 利 子同 橋 本 祐 太 被控訴人(一審被告) フジホーム株式会社(以下「被控訴人フジホーム」という。)同訴訟代理人弁護士 久 保 英 幸同 久 保 俊 之 被控訴人(一審被告) サンリビング株式会社(以下「被控訴人サンリビング」という。)同訴訟代理人弁護士 山 田 勝 重同 山 田 克 巳同 山 田 博 重同 上 岡 秀 行同 新 島 由 未 子同補佐人弁理士 山 田 智 重同 平 山 巌主 文- 2 -1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事 実 及 び 理 由第1 控訴の趣旨1 原判決 平 山 巌主 文- 2 -1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事 実 及 び 理 由第1 控訴の趣旨1 原判決を取り消す。 2 被控訴人らは、控訴人の製造販売する原判決別紙商品目録記載の商品を販売するに際し、「ハンドレールステッキ」なる商標を付してはならない。 3 被控訴人らは、控訴人に対し、連帯して300万円及びこれに対する令和2年4月1日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要以下で使用する略称は、特に断らない限り、原判決の例による。 1 控訴人の請求と訴訟の経過控訴人は、控訴人が製造している車輪付き杖である原判決別紙商品目録記載の商品(本件商品)を「ローラーステッカー」との商品名(以下「控訴人標章」という。)で販売し、控訴人標章につき令和元年12月6日に商標登録を得たものであるが、卸売業者又は小売業者である被控訴人らが、本件商品を「ハンドレールステッキ」(以下「被控訴人ら標章」という。)との名称で販売した行為が、上記登録商標に係る商標権(本件商標権)の侵害に該当するとして、被控訴人らに対し、本件商品に対する被控訴人ら標章の使用の差止めを求めるとともに、控訴人が被控訴人フジホームとの取引を停止した令和元年8月以降、上記登録商標の公報が発行されるまで(前半期間)の被控訴人らの上記行為が、控訴人標章に化体する信用及び出所表示機能を毀損する共同不法行為に該当し、また、上記登録商標の公報が発行された令和2年1月7日から同年3月31日まで(後半期間)の被控訴人らの行為は、本件商標権侵害の共同不法行為に該当するとして、損害賠償300万円及びこれに対する共同不法行為後である同年4月1日から支払済みまで民法(平成29年法 3月31日まで(後半期間)の被控訴人らの行為は、本件商標権侵害の共同不法行為に該当するとして、損害賠償300万円及びこれに対する共同不法行為後である同年4月1日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のも- 3 -の。)所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めている。 原審は、控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人は、これを不服として、本件控訴を提起した。 2 前提事実次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」第2の2に記載のとおりであるから、これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決2頁18行目の末尾に改行して次のとおり加える。 「控訴人から被控訴人フジホームに納入された本件商品本体には、原判決別紙商品目録のとおり、軸体(杖本体)部正面に「Roller Sticker」と金色の英文字(称呼及び観念において控訴人標章と同一の標章)が印字されている。控訴人が本件商品を販売する際には、通常、段ボール箱(以下「梱包箱」という。)に本件商品本体と「ローラーステッカー使用説明書」(以下「控訴人説明書」という。)を入れて梱包しており、梱包箱外側には控訴人標章は表示されていなかった。なお、控訴人説明書は本件商品に貼付等はされておらず、同梱されているのみである(控訴人本人)。」を加える。 (2) 原判決2頁20行目の「梱包箱の」から21行目の「シール」までを「梱包箱側面に「P1’」との控訴人の屋号が記載された箇所(乙20、丙1)の上に、「ハンドレールステッキ 発売元フジホーム株式会社」と印字されたシール(以下「被控訴人らシール①」という。)」に改める。 (3) 原判決2頁24行目末尾に「もっとも、本件商品本体に英文字で印字された控訴人標章には変更は加えられず、本件商品自体の品質にも変更はな シール(以下「被控訴人らシール①」という。)」に改める。 (3) 原判決2頁24行目末尾に「もっとも、本件商品本体に英文字で印字された控訴人標章には変更は加えられず、本件商品自体の品質にも変更はなかった。」を加える。 (4) 原判決2頁26行目の「サンビリング」を「サンリビング」に改める。 (5) 原判決3頁13行目の「納入」を「卸売」に改める。 (6) 原判決3頁22行目の「梱包箱」から23行目の「シール」までを「梱- 4 -包箱上面に、被控訴人ら標章を商品名として印字したシール(以下「被控訴人らシール②」といい、被控訴人らシール①と併せて「被控訴人らシール」という。)」に改める。 (7) 原判決3頁24行目の「販売した」の次に「(丙1)。その際、被控訴人らシール②で、梱包箱の控訴人の屋号が記載された箇所が隠れることはなかった。また、本件商品本体に英文字で印字された標章(称呼及び観念において控訴人標章と同一のもの)には変更は加えられず、本件商品自体の品質にも変更はなかった」を加える。 (8) 原判決4頁10、11行目の各「納入」をいずれも「卸売」に改める。 3 争点前記2のとおり、被控訴人らの行為は、大要、令和元年8月から同年11月までの被控訴人フジホームによる被控訴人サンリビングへの、被控訴人サンリビングによる株式会社ダイワ(ダイワ)への本件商品の各卸売(被控訴人ら行為①)、令和元年8月から令和2年3月までの被控訴人フジホームによる本件商品の個別販売(被控訴人ら行為②)、令和元年8月から令和2年3月までの、被控訴人サンリビングが控訴人から直接仕入れた本件商品をダイワに卸売した行為(被控訴人ら行為③)に区別される。これらの行為について、次のとおり、前半期間と後半期間における不法行為の成否等が争点となる。 (1) 前 ングが控訴人から直接仕入れた本件商品をダイワに卸売した行為(被控訴人ら行為③)に区別される。これらの行為について、次のとおり、前半期間と後半期間における不法行為の成否等が争点となる。 (1) 前半期間における被控訴人らの共同不法行為の成否(被控訴人ら行為①ないし③)(2) 後半期間における被控訴人らによる商標権侵害の成否(被控訴人ら行為②及び③)(3) 損害の発生及び額4 争点に関する当事者の主張原判決「事実及び理由」第2の4に記載のとおりであるから、これを引用する。 - 5 -(原判決の補正)(1) 原判決6頁19行目の「法的保護された」を「法的に保護された」に改める。 (2) 原判決7頁6行目の「していなった」を「していなかった」に改める。 (3) 原判決7頁13行目の「被告らの行為には関連共同性がある。」を「前半期間における被控訴人らの行為には関連共同性があり、共同不法行為を構成する。」に改める。 (4) 原判決10頁14行目末尾に「なお、被控訴人サンリビングは、ダイワとの取引契約を交わすに際して、ダイワに対して、本件商品を被控訴人ら標章で販売することを申し出、さらに取引資料として、被控訴人フジホームが作成した被控訴人ら説明書を提示していた。」を加える。 (5) 原判決10頁15行目の「被告らに」を「後半期間における被控訴人らの行為について」に改める。 (6) 原判決10頁24行目末尾に「また、被控訴人フジホームの行為が、控訴人が本件商品に付した控訴人標章を剥離するのと同価値の行為であるとの控訴人の主張は、否認ないし争う。」を加える。 (7) 原判決10頁26行目末尾に「仮に被控訴人フジホームの行為が形式的に本件商標権侵害に当たり得るとしても、前記(1)(被控訴人フジホームの主張)ウのとおり、控 、否認ないし争う。」を加える。 (7) 原判決10頁26行目末尾に「仮に被控訴人フジホームの行為が形式的に本件商標権侵害に当たり得るとしても、前記(1)(被控訴人フジホームの主張)ウのとおり、控訴人は、当初から被控訴人フジホームが本件商品を被控訴人ら標章で販売することを承諾していたから、上記行為について不法行為は成立しない。」を加える。 (8) 原判決11頁4行目末尾に「なお、ダイワと本件商品の取引契約を交わすに際して、被控訴人サンリビングが、被控訴人ら標章で販売することを申し出たこと、取引資料として被控訴人ら説明書を提示したことは否認する。」を加える。 - 6 -5 当審における控訴人の補充主張(1) 商標権侵害の成否についてア 権原を有する者により商品等に付された商標は、取引社会においてそのまま表示され続けることにより、商標自体に信用が化体して蓄積され、知的財産としての価値が増大していくものである。商標権者によって商標を付された商品が卸売業者等に第一譲渡された後も、商標の出所表示機能及び品質保証機能は、当該商品が市場を流通する過程においてなお発揮されるべきものである。そのような商標の性質に鑑みれば、ある商品に適正に商標が付された場合、業務上その商品の同一性が維持されて流通されている限りにおいて、当該商標がそのままその商品に使用され(付され)続けることは、商標法が当然に予定している法的に保護される権利・利益である。第一譲渡によって商標権がその役割を終えて消尽するとみるべきではなく、第一譲渡後もなお商標権侵害は成立し得ると考えるべきである。 イ そして、流通過程において、上記のような卸売業者等が、商標権者が付した商標を剥離抹消して自身の標章を新たに付す行為については、商標の出所表示機能や品質保証機能を害するもの えるべきである。 イ そして、流通過程において、上記のような卸売業者等が、商標権者が付した商標を剥離抹消して自身の標章を新たに付す行為については、商標の出所表示機能や品質保証機能を害するものとして、商標権侵害が成立する。 商標法37条は、商標権者以外の者による登録商標と同一又は類似の商標使用という典型的に商標権侵害が成立する場合を説明したにすぎず、商標権侵害をこのような場合に限定すべきではない。 ウ 本件において、被控訴人らは、商標権者である控訴人が控訴人標章を付した本件商品について、梱包箱に被控訴人らシールを貼付し、本件商品とともに梱包されていた控訴人説明書を「ハンドレールステッキ取扱説明書」(以下「被控訴人ら説明書」という。)に差し替えており、これらの行為は、控訴人標章の出所表示機能等を積極的に毀損するものとして、商標の剥離抹消行為と評価することができ、本件商標権の侵害に当たる。 なお、被控訴人サンリビングが、控訴人から直接仕入れた本件商品につ- 7 -き、本件商品と同梱されていた控訴人説明書を被控訴人ら説明書に差し替えて販売していた事実は、証拠により認められる。 (2) 未登録商標(標章)侵害による不法行為の成否について前記のような商標の性質に鑑みれば、未登録商標(標章)であっても、標章が当初適正に付されたままの態様で使用され続けることは、法律上保護される利益に当たる。したがって、商品の流通過程の各段階において、標章の剥離抹消を行う行為は、標章への信用の化体を妨害する行為であり、また、剥離抹消にとどまらず無断で自己の標章を使用する行為は、本来的な商標に帰せられるべき信用を自己の標章に化体させる行為であるから、いずれも原則として不法行為に該当し、これら剥離抹消行為について、適正に標章を付した者の承諾がある場合 標章を使用する行為は、本来的な商標に帰せられるべき信用を自己の標章に化体させる行為であるから、いずれも原則として不法行為に該当し、これら剥離抹消行為について、適正に標章を付した者の承諾がある場合に限って、例外的に違法性が阻却されると考えるべきである。 第3 当裁判所の判断1 当裁判所も、控訴人の請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、次のとおりである。 2 認定事実次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」第3の1に記載のとおりであるから、これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決13頁16行目の「梱包箱」の次に「側面」を加える。 (2) 原判決14頁9行目の「販売価格」を「販売価格を」に改める。 (3) 原判決14頁12行目の「ねじを締め」を「ねじを緩め」に改める。 (4) 原判決14頁24行目の「原告に送付した」を「被控訴人フジホームに送付した」に改める。 (5) 原判決16頁10行目の「改定する共に」を「改定すると共に」に改める。 - 8 -(6) 原判決16頁16行目の「7100円」を「7110円」に改める。 (7) 原判決18頁13行目の「同社」を「被控訴人フジホーム」に改める。 (8) 原判決18頁15行目の「同年9月6日」を「同年8月又は9月」に改める。 (9) 原判決19頁9行目末尾に「(なお、控訴人は、ダイワに発注して令和2年3月に配達された本件商品には、梱包箱側面に被控訴人フジホームを発売元とする被控訴人らシール①が貼られていないにもかかわらず、被控訴人ら説明書が同梱されていたとの写真撮影報告書等(甲5、16)を提出し、被控訴人サンリビングは控訴人から直接仕入れた本件商品の取扱説明書を自ら差し替えていた旨主張する。上記写真撮影報告書等の正確性は措くとしても、被控訴 いたとの写真撮影報告書等(甲5、16)を提出し、被控訴人サンリビングは控訴人から直接仕入れた本件商品の取扱説明書を自ら差し替えていた旨主張する。上記写真撮影報告書等の正確性は措くとしても、被控訴人ら説明書には「発売元 フジホーム株式会社」との記載しかなく(甲10)、被控訴人サンリビングが販売主体である旨の記載はないところ、被控訴人サンリビングが、被控訴人フジホームを介さずに控訴人から直接仕入れた本件商品の取扱説明書を上記のとおりの被控訴人ら説明書にわざわざ差し替えて販売することは考え難く、被控訴人フジホームが本件商品とは別に被控訴人ら説明書を被控訴人サンリビングに提供したことを窺わせる事情もないから、控訴人の上記主張は採用できない。他方、被控訴人フジホームが、控訴人との取引停止後に在庫として有していた本件商品を被控訴人サンリビングに販売した際に、被控訴人らシール①の梱包箱への貼付を失念等したとしても不自然とはいえない。)」を加える。 3 前半期間における被控訴人らの共同不法行為の成否(争点1)について次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」第3の2に記載のとおりであるから、これを引用する。 (原判決の補正)(1) 原判決20頁8行目の「しかしながら」から10行目の「考えられるから」までを「しかしながら、前半期間においては、控訴人標章は商標登録が- 9 -されていないから、およそ商標法の問題とはなり得ず、また、控訴人から、前半期間における被控訴人らの行為が不正競争防止法の規律に抵触するとの主張もされていない。そうすると、卸売業者又は小売業者が製造者から商品名を付した商品の譲渡を受けた場合」に改める。 (2) 原判決22頁23行目末尾に「等」を加える。 (3) 原判決22頁26行目の「前記(2)によれば」を「以上 卸売業者又は小売業者が製造者から商品名を付した商品の譲渡を受けた場合」に改める。 (2) 原判決22頁23行目末尾に「等」を加える。 (3) 原判決22頁26行目の「前記(2)によれば」を「以上によれば」に改める。 (4) 原判決23頁5行目の「被告ら標章による」を「被控訴人ら標章により」に改める。 (5) 原判決23頁11行目末尾に「そして、控訴人が、令和元年8月1日、被控訴人フジホームに対し、最初に本件商品の出荷停止を通告した際の直接の原因は、同被控訴人による本件商品販売価格の是正がされないことにあった。」を加える。 (6) 原判決23頁17行目の「納入」を「卸売」に改める。 4 後半期間における被控訴人らによる商標権侵害の成否(争点2)について(1) 控訴人は、商標権者である控訴人が控訴人標章を付した本件商品について、その譲渡を受けた卸売業者等である被控訴人らが、梱包箱に被控訴人らシールを貼付し、本件商品とともに梱包されていた控訴人説明書を被控訴人ら説明書に差し替えた行為は、本件商標の出所表示機能及び品質保証機能を積極的に毀損するものとして、商標の剥離抹消行為と評価し得る本件商標権侵害に当たる旨主張するとともに、上記譲渡によって本件商標権が消尽するとみるべきではないとして原審の判断を非難する(前記第2の5(1))。 (2) 商標法の目的は、信用化体の対象となる商標が登録された場合に、その登録商標を使用できる権利を商標権者に排他的に与え、商品又は役務の出所の誤認ないし混同を抑止することにあり、商標権侵害は、指定商品又は指定役務の同一類似の範囲内で、商標権者以外の者が、登録商標と同一又は類似- 10 -の商標を使用する場合に成立することが基本である(商標法25条、37条)。すなわち、商標法は、登録商標の付された商品又 の同一類似の範囲内で、商標権者以外の者が、登録商標と同一又は類似- 10 -の商標を使用する場合に成立することが基本である(商標法25条、37条)。すなわち、商標法は、登録商標の付された商品又は役務の出所が当該商標権者であると特定できる関係を確立することによって当該商標の保護を図っているということができる。 商標権者が指定商品に付した登録商標を、商標権者から譲渡を受けた卸売業者等が流通過程で剥離抹消し、さらには異なる自己の標章を付して流通させる行為は、登録商標の付された商品に接した取引者や需要者がその商品の出所を誤認混同するおそれを生ぜしめるものではなく、上記行為を抑止することは商標法の予定する保護の態様とは異なるといわざるを得ない。したがって、上記のような登録商標の剥離抹消行為等が、それ自体で商標権侵害を構成するとは認められないというべきである。 (3) また、その点を措くとしても、後半期間における被控訴人らの行為(被控訴人らの行為②及び③に関する。)は、以下のとおり、控訴人標章の剥離抹消行為と評価し得る行為には当たらないと解される。 ア 前記第2の2で補正した上で引用した前提事実によれば、控訴人が被控訴人らに納入した本件商品の梱包箱の外側にはそもそも控訴人標章は表示されていないから、被控訴人らが仕入れ後に貼付した被控訴人らシールによって控訴人標章が覆い隠されたという事実はない。控訴人が被控訴人らシール①によって覆い隠されたのを問題としているのは、控訴人の屋号であって、控訴人標章ではない。また、被控訴人らの行為によって、本件商品本体に英文字で印字された「Roller Sticker」という標章(称呼及び観念において控訴人標章と同一のもの)に何らかの変更が加えられたという事実もない(本件商品の品質にも変更はない。)。 本体に英文字で印字された「Roller Sticker」という標章(称呼及び観念において控訴人標章と同一のもの)に何らかの変更が加えられたという事実もない(本件商品の品質にも変更はない。)。 イ そうすると、控訴人標章の剥離抹消行為として問題となり得る行為は、被控訴人フジホームが、控訴人から本件商品を仕入れた際に梱包箱に同梱されていた控訴人説明書を被控訴人説明書に差し替えた行為のみ(被控訴- 11 -人ら行為②に関する。)であるが、控訴人説明書は、取引によって納入された本件商品の梱包箱の中に、本件商品の使用方法を説明する書面として、本件商品に貼付等されずに単に同梱されていたものにすぎないから、本件商品に標章を付した(商標法2条3項1号)とはいえず、控訴人説明書が取引書類(同項8号)に当たると認めるに足りる事情も窺われない。したがって、控訴人説明書に「ローラーステッカー使用説明書」との記載があるのは、控訴人標章を商標として使用したものとは認められず、控訴人説明書を差し替えたことが控訴人標章の剥離抹消行為と評価すべきものとは認められない。 ウ 以上のとおり、後半期間における被控訴人らの行為は、そもそも控訴人標章の剥離抹消行為と評価される行為には当たらないから、その余の点を判断するまでもなく、商標の剥離抹消を理由として商標権侵害をいう控訴人の主張は採用できない。 なお、被控訴人らの行為②及び③における本件商品について、控訴人が本件商品本体に付した標章(称呼及び観念において控訴人標章と同一のもの)と、被控訴人らが梱包箱に付した被控訴人ら標章とが併存しているとしても、控訴人から適法に本件商品を仕入れた被控訴人らが、再販売業者としての出所を明らかにするため本件商品に併存して自らの標章を付すことが一般的に禁止される理由もない。 人ら標章とが併存しているとしても、控訴人から適法に本件商品を仕入れた被控訴人らが、再販売業者としての出所を明らかにするため本件商品に併存して自らの標章を付すことが一般的に禁止される理由もない。 (4) したがって、後半期間における被控訴人らの行為について、本件商標権侵害は成立しないから、商標権侵害の不法行為は成立しない。 5 未登録商標(標章)に関する当審における控訴人の補充主張について控訴人は、前半期間における未登録の控訴人標章について、被控訴人らが、控訴人標章を剥離抹消した上で自己の標章を使用した行為が不法行為に当たる旨主張するが、被控訴人ら行為①に関する行為を含め、前半期間における被控訴人らの行為が、そもそも控訴人標章を剥離抹消したと評価される行為に当た- 12 -らないことは、前記4(3)で述べたところと同様であるから、上記主張も採用することはできない。 第4 結論以上のとおり、控訴人の請求はいずれも理由がないからこれを棄却すべきであり、これと同旨の原判決は相当である。よって、本件控訴を棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第8民事部 裁判長裁判官 山 田 陽 三 裁判官 池 町 知 佐 子 裁判官 渡 部 佳 寿 子

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