平成24年3月26日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成21年(ワ)第17848号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成23年12月21日判決東京都千代田区<以下略>原告株式会社AZE同訴訟代理人弁護士永島賢也同尾関孝彰同鰺坂和浩同補佐人弁理士池田正人同城戸博兒同大森鉄平東京都港区<以下略>被告富士フイルム株式会社東京都港区<以下略>被告富士フイルムメディカル株式会社上記2名訴訟代理人弁護士吉田和彦同奥村直樹同訴訟代理人弁理士越柴絵里同復代理人弁護士小林正和 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告らは,別紙被告方法目録記載の方法を使用してはならない。 2 被告らは,別紙被告製品目録記載の物件を生産してはならない。 3 被告らは,別紙被告製品目録記載の物件を譲渡し,又は,貸し渡してはならない。 4 被告らは,別紙被告製品目録記載の物件の譲渡の申出をし,又は貸渡しの申出をしてはならない。 5 被告らは,別紙被告製品 は,別紙被告製品目録記載の物件を譲渡し,又は,貸し渡してはならない。 4 被告らは,別紙被告製品目録記載の物件の譲渡の申出をし,又は貸渡しの申出をしてはならない。 5 被告らは,別紙被告製品目録記載の物件の譲渡の申出のための展示をし,または貸渡しの申出のための展示をしてはならない。 6 被告らは,別紙被告製品目録記載の物件を廃棄せよ。 7 被告らは,原告に対し,連帯して4000万円及びこれに対する平成21年7月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 8 訴訟費用は被告らの負担とする。 9 仮執行宣言第2 事案の概要本件は,「医療用可視画像の生成方法」との名称の特許権の専用実施権者である原告が,被告らが製造又は製造販売する別紙被告製品目録記載の製品(以下「被告製品」という。)は上記特許発明に係る方法の使用に用いられるものであるところ,①被告らは,被告製品を用いて,上記特許発明に係る方法を実施していると主張し,特許法100条1項に基づき,上記特許発明に係る方法の使用の差止めを求めるとともに,②被告製品は,上記特許発明による課題の解決に不可欠なものであり,被告らは,いずれも,被告製品が本件発明の実施に用いられることを知りながら,業として,上記製造,販売等の行為に及んでいるから,上記特許権を侵害するものとみなされる(特許法101条5号)と主張して,同法100条1項,2項に基づき,被告製品の製造,販売等の差止め及び廃棄を求め,かつ,③原告は,上記特許権の特許権者から,被告らに対する平成21年4月28日までの特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条,特許法102条1項)を譲り受けたと主張して,被告らに 対し,連帯して,上記損害合計4000万円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成 侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条,特許法102条1項)を譲り受けたと主張して,被告らに 対し,連帯して,上記損害合計4000万円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成21年7月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(争いのない事実以外は,証拠等を末尾に記載する。)(1) 当事者等ア原告は,医療用画像解析ソフトウェアの開発業務等を目的とする株式会社である。 イ被告富士フイルム株式会社は,写真用感光材料並びに写真諸原料の製造及び販売等を目的とする株式会社であり,被告富士フイルムメディカル株式会社は,医療用,工業用レントゲンフィルム及びその処理薬品ならびに周辺機材の輸入及び販売等を目的とする株式会社である。 (2) 本件特許権ア原告は,下記特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)の特許権者として登録されているX(以下「原告代表者」という。)から専用実施権の設定を受け,平成21年4月28日,上記専用実施権の設定登録を受けた(甲2)。 (ア) 特許番号第4122463号(イ) 発明の名称 医療用可視画像の生成方法(ウ) 出願日 平成14年7月26日(エ) 登録日 平成20年5月16日(オ) 発明者 Y,原告代表者イ本件特許に係る明細書(以下「本件明細書」といい,本判決末尾に添付する。)の「特許請求の範囲」請求項1の記載は下記(ア)のとおりであり,請求項2の記載は下記(イ)のとおりである(以下,請求項1記載の発明を「本件発明1」,請求項2記載の発明を「本件発明2」といい,上記各発明を併せて「本件各発明」という。)。 記(ア)のとおりであり,請求項2の記載は下記(イ)のとおりである(以下,請求項1記載の発明を「本件発明1」,請求項2記載の発明を「本件発明2」といい,上記各発明を併せて「本件各発明」という。)。 (ア) 本件発明1「複数種の生体組織が含まれた被観察領域を放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた,3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し,この設定された前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観察領域が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する医療用可視画像の生成方法において,前記2次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する全ての前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算し,該積算値を該各視線上の前記平面座標点に反映させると共に,前記小区間内に補間区間を設定し,該小区間において設定される前記色度および前記不透明度を,該補間区間において前記画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させることを特徴とする医療用可視画像の生成方法。」(イ) 本件発明2「前記補間区間における前記不透明度の変化状態を調整するための調整感度を,該不透明度が小さい範囲の方が大きい範囲よりも大としたことを特徴とする請求項1記載の医療用可視画像の生成方法。」ウ本件各発明の構成要件の分説本件各発明を構成要件に分説すると,下記のとおりである(以下,各構成要件を「構成要件1-A」などという。)。 (ア) 本件発明11-A 複数種の生体組織が含まれた被観察領 分説本件各発明を構成要件に分説すると,下記のとおりである(以下,各構成要件を「構成要件1-A」などという。)。 (ア) 本件発明11-A 複数種の生体組織が含まれた被観察領域を放射線医療診断シス テムにより断層撮影して得られた,3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し,この設定された前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観察領域が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する医療用可視画像の生成方法において,1-B 前記2次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する全ての前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算し,該積算値を該各視線上の前記平面座標点に反映させると共に,1-C 前記小区間内に補間区間を設定し,該小区間において設定される前記色度および前記不透明度を,該補間区間において前記画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させることを特徴とする医療用可視画像の生成方法。 (イ) 本件発明22-Aないし2-C構成要件1-Aないし1-Cと同じ2-D 前記補間区間における前記不透明度の変化状態を調整するための調整感度を,該不透明度が小さい範囲の方が大きい範囲よりも大としたことを特徴とする請求項1記載の医療用可視画像の生成方法。 (3) 被告らの行為等ア被告製品の内容等被告製品は,ディスプレイ,コンピュータ,マウス,キーボード等によって構成されるワークステーションであり,上記ワークステーション中に含まれるコンピュ ) 被告らの行為等ア被告製品の内容等被告製品は,ディスプレイ,コンピュータ,マウス,キーボード等によって構成されるワークステーションであり,上記ワークステーション中に含まれるコンピュータには,「SYNAPSEVINCENT」(以下 「被告ソフトウェア」という。)との名称のソフトウェアがインストールされている。 被告ソフトウェアは,CT装置等により撮影された二次元画像から医療用疑似三次元画像を生成する動作をコンピュータに実行させ,上記画像をディスプレイに表示させることができるものである(以下,被告製品を用いた上記医療用疑似三次元画像生成方法を「被告方法」という。)。 イ被告富士フイルムは,業として,被告製品を製造販売し,被告富士フイルムメディカル株式会社は,被告製品を販売している。 ウ被告製品の譲渡を受けた医療機関等は,被告製品を用いて,医療用疑似三次元画像を生成し,利用している。 2 争点(1) 被告製品による本件特許権の間接侵害(特許法101条5号)の成否ア被告方法は,本件発明1の技術的範囲に属するか。 (ア) 被告方法は構成要件1-Aを文言充足するか。 (イ) 被告方法は構成要件1-Bを文言充足するか。 (ウ) 被告方法は構成要件1-Cを文言充足するか。 イ被告方法は均等論により本件特許発明1の技術的範囲に属するか。 ウ被告方法は,本件発明2の技術的範囲に属するか。 エ被告製品は,本件各発明による課題の解決に不可欠なもの(特許法101条5号)に該当するか。 オ被告らの主観的要件の充足性(2) 本件各発明の直接侵害の成否(3) 本件各発明は特許無効審判により無効とされるべきものか。 ア無効理由①(本件特許が冒認出願に当たり,かつ,共同出願要件に違 告らの主観的要件の充足性(2) 本件各発明の直接侵害の成否(3) 本件各発明は特許無効審判により無効とされるべきものか。 ア無効理由①(本件特許が冒認出願に当たり,かつ,共同出願要件に違反するものか。)イ無効理由②(本件各特許発明は公然実施されたものに当たるか。) ウ無効理由③(本件特許が進歩性欠如の無効理由を有するか。)(4) 原告による損害賠償請求の可否及び損害額第3 争点に対する当事者の主張 1 争点(1)ア(ア)(被告方法は構成要件1-Aを文言充足するか。)(原告の主張)(1) 構成要件1-Aの解釈ア 「画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し」について「画像データ値の分布」とはCT等のモダリティから人体を断層撮影することによって得られた画像データ値の頻度分布をグラフ化したもの(ヒストグラム)を指す(本件明細書【0004】)から,「画像データ値の分布に基づき…分割し」とは,ヒストグラムに基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割することをいう。本件明細書には,上記分割の方法を,機械的・自動的に行われるものと手動により行われるものに分け,後者を排除していると解すべきような記載はない上,「基づき」という語句が通常有する意味として,手動によるものを除外しているとみるのは相当ではないから,「画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し」には,ヒストグラムを参照しながら手動により分割する場合も含むと解するのが相当である。 イ 「該小区間毎に,該小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し」について大辞泉(甲32)において,「およ 相当である。 イ 「該小区間毎に,該小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し」について大辞泉(甲32)において,「および」とは,「漢文訓読で接続詞に使う『及』の字を『および』と読んだところから,複数の事物・事柄を並列して挙げたり,別の物・事柄を付け加えて言ったりするのに用いられる語」とされているのみであるから,「および」の語の意義 は,本件明細書の記載を考慮して解釈されるべきであるところ,本件明細書には,「まず,小区間A1,A2の基準色度C1,C2と基準不透明度D1,D2とをそれぞれ設定する。」(【0013】)として,色度と不透明度が,それぞれ別作業で設定される例が説明されている上,実施形態として,色度関数や不透明度関数を表す曲線又は直線を,CT値に対する色度及び不透明度の数値とともに表示して,医師等のユーザー側が表示された関数曲線をペンタッチ等で変化させ,これらの調整を行うことができる形態が開示されており,色度と不透明度が医師等のユーザーにより別々に設定されることについても触れられている。 したがって,本件明細書の上記記載を考慮すると,「色度および不透明度を設定し」とは,色度と不透明度を別々に設定する場合も含む記載であると解するのが相当である。 (2) 被告方法の構成要件1-A充足性ア(ア) 被告製品は,別紙「被告製品等説明書(被告)」の【図3】(6頁)のテンプレート詳細設定画面(以下「本件設定画面」という。)において,画像データの信号値を横軸とし,上記信号値の出現頻度及び不透明度を縦軸としたグラフ(以下「グラフ」という。)を表示し,同グラフ上にマウスで縦線を引くことによって「色境界線」を設定し,上記色境界線で挟まれ ータの信号値を横軸とし,上記信号値の出現頻度及び不透明度を縦軸としたグラフ(以下「グラフ」という。)を表示し,同グラフ上にマウスで縦線を引くことによって「色境界線」を設定し,上記色境界線で挟まれた区間(「色境界領域」)の色を指定することができ,また,グラフの色境界線上に「オパシティライン」の制御点を置き,これを移動させることにより,オパシティラインの形状を決定することができるものであり,上記グラフ上には,被観察領域をCT等の放射線医療診断システムにより撮影して得られたヒストグラムが白色線で表示されている。 (イ) 被告製品において,グラフに色境界線を設定することは,本件 特許発明1の「該画像データ値の値域を複数の小区間に分割」することに相当し,色境界線によって挟まれた色境界領域は,本件特許発明1の「小区間」に相当する。また,上記「色境界領域」における色の指定は,本件特許発明1の「色度」の「設定」に相当し,色境界線上に「オパシティライン」の制御点を設定してオパシティラインの形状を決定することは,本件特許発明1の「不透明度」の「設定」に相当する。 上記色境界線の設定は,ヒストグラムが表示されたグラフ上で行われるものである上,ヒストグラムのパターンと無関係に色境界線を設定しても有意義な画像は得られないから,被告製品において,色境界線の設定は,当然にヒストグラムに基づいて行われるものと考えられ,被告製品において,「小区間への分割」は,「画像データ値の分布に基づき」されているものである。 (ウ) 被告製品において,色境界線の設定は,デフォルト設定(想定されるヒストグラムのパターンに対応してプリセットされた設定)によりなされるほか,医師等のユーザーが手動で設定することもできるものであるが,構成要件1- いて,色境界線の設定は,デフォルト設定(想定されるヒストグラムのパターンに対応してプリセットされた設定)によりなされるほか,医師等のユーザーが手動で設定することもできるものであるが,構成要件1-Aが手動による設定を除外するものとは解されないことは前記(1)アで主張したとおりである。また,医師等のユーザーがマニュアルにより色境界領域を設定する場合,グラフ上に表示されたヒストグラムを参照して上記設定を行うと考えられることは上記(2)ア(イ)で主張したとおりである。 (エ) 被告ソフトウェアは,上記(2)ア(ア)及び(イ)のとおり設定された色度及び不透明度に基づき,複数の生体組織が含まれた被観察領域を2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する医療用可視画像の生成を行うものである。 (オ) したがって,被告方法は構成要件1-Aを文言充足する。 イ被告の主張について(ア) 被告は,被告製品において,ユーザーは実際の疑似三次元画像を見ながら色境界線を調整するのが通常であり,この場合,本件設定画面におけるグラフ上のヒストグラムを参照しないから,色境界線の設定は「画像データ値の分布に基づき」行われるものではないと主張するが,否認する。被告製品において,色境界線は,グラフ上をマウスでダブルクリックすることにより設定されるものであり,グラフが表示されない状態で,どのように色境界線を設定することができるのか全く不明であり,被告の主張は合理性を欠く。 また,CT値の場合と異なり,MRIの信号値は,撮影方法,被写体によって数値の変化する相対値であるから,初期状態でプリセットされているテンプレートを使用しても臨床レベルに耐えられる可視画像を生成することはできず,ヒストグラムを参照してテンプレートを編集する必要が って数値の変化する相対値であるから,初期状態でプリセットされているテンプレートを使用しても臨床レベルに耐えられる可視画像を生成することはできず,ヒストグラムを参照してテンプレートを編集する必要があるから,ユーザーがヒストグラムを参照して色境界線を設定するのが例外的な場合であるとの被告の主張も正確性を欠くものである。 なお,被告は,グラフを表示しない状態における色及び不透明度の変更の実例として,動画(乙47)を提出するが,上記動画はウィンドウレベルの調整(色境界領域の平行移動)を行っている様子を撮影したものにすぎず,色境界領域の設定の状況を撮影したものではない。 (イ) また,グラフを表示せずに色境界線を設定することが可能であるとしても,被告製品において色境界線を設定する(すなわち,信号値について,ある値からある値までを区切り,色境界領域を設定する)ことができるのは,人体を断層撮影することによって得られたデータを,各データ値が現れる頻度に従ってヒストグラム化して いるからであり,被告ソフトウェアが,色境界線の設定に当たり,ヒストグラムに基づき計算を行っていることは明らかであるから,グラフ画面の表示の有無に関わりなく,被告製品において,色境界領域の設定(小区間への分割)は,「画像データ値の分布に基づき」されているものである。 (被告らの主張)(1) 原告の主張は争う。 (2) 構成要件1-Aの解釈についてア 「3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し」について(ア) 「3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し」とは,対象となる複数種の生体組 値域を複数の小区間に分割し」について(ア) 「3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し」とは,対象となる複数種の生体組織の画像データ値の値域について,画像データ値の分布に基づき,CT装置等の機械によって,生体組織毎に小区間へと自動的に分割されることを意味し,少なくとも「画像データ値の分布」と「小区間に分割」とが何らかの形で連動又は関連づけられていることを要し,かつ,ユーザー(人間)が手動で小区間を任意に設定する場合を含まないものと解される。 (イ) このことは,上記要件が画像データ値の分布と関連なくユーザーが任意に小区間に分割することができる構成も含むものであるとすれば,「画像データ値の分布に基づき」との文言は不要であるはずにもかかわらず,特許請求の範囲の記載に上記文言が含まれていることや,補間区間の設定に関しては,「画像データ値の分布に基づき」という要件が付されていないこととの均衡を考慮しても明らかである。 (ウ) また,本件明細書には,「画像データ値が,生体組織毎に特有 の分布状態を有することを利用して,…画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,各小区間内の画像データ値を有する各空間座標点に対して小区間毎に,各小区間内で一定の値をとる一定値の色度および不透明度を設定」(【0004】)との記載があり,同記載は,従来技術では,画像データ値が臓器や血管および腫瘍等(【0001】参照)の生体組織毎に特有の分布状況を有することを利用して,画像データ値の値域を生体組織毎に複数の小区間に分割していたために本件発明の課題が生じたことを示すものであるから,本件発明においても,当然,「複数の小区間に分割」(構成要件1-A)とは,CT値等の分布に応じ,生体 域を生体組織毎に複数の小区間に分割していたために本件発明の課題が生じたことを示すものであるから,本件発明においても,当然,「複数の小区間に分割」(構成要件1-A)とは,CT値等の分布に応じ,生体組織毎に小区間へ分割されることを意味すると解するべきである。これは,本件明細書に,「…画像データ値の分布に基づき,…複数の小区間に分割」することに関し,「骨と軟組織のように,画像データ値(CT値)の差が互いに大きい生体組織間の場合は,CT値の違いによって両者を完全に分断することができる」(【0005】),「軟組織と血管のように,CT値の差が互いに小さい生体組織間の場合は,CT値の違いによって両者を完全に分別することができない。このため,…両者の分布が互いに重なる位置において両者を分別するような小区間を設定し…」(【0005】)との記載があり,CT値の差に連動又は関連づけて,生体組織毎に小区間への分割が行われることが当然の前提とされていることからも裏付けられる。 そうすると,CT値等の画像データ値の値域を,人間の目で完全に正確に生体組織毎に分割することは技術的に不可能であるから,上記分割は,当然に機械的自動的分割を想定しているものと解するのが合理的であり,上記(2)ア(ア)の解釈の合理性が裏付けられる。 (エ) また,コンピュータ・ソフトウェア関連発明に関する特許庁審 査基準には,「ソフトウエア関連発明が『自然法則を利用した技術的思想の創作』になる基本的考え方は以下のとおり。(1)『ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている』場合,当該ソフトウエアは『自然法則を利用した技術的思想の創作』である。」と記載されているから,ソフトウエア関連発明である本件特許発明において,「画像データ値の分布に 用いて具体的に実現されている』場合,当該ソフトウエアは『自然法則を利用した技術的思想の創作』である。」と記載されているから,ソフトウエア関連発明である本件特許発明において,「画像データ値の分布に基づき…小区間に分割し」との要件が人間の手動(マニュアル)による分割も含むとすれば,本来,上記動作が人間の手動によるものである旨が明示されるべきであり,本件特許請求の範囲に上記記載がない以上,上記要件が人間の手動によるものを含むと解する余地はない。もし,上記要件が人間の手動によるものを含むと解するとすれば,本件発明において,各動作を行う主体の記載がない以上,本件発明の要件全てが人間の動作によって実現されるものと解する余地も出てくることになるが,このように解すると,本件発明はハードウエア資源を用いて具体的に実現されているものに当たらなくなり,上記審査基準に照らし,特許性を欠くことになるのであって,このような解釈が失当であることは明らかである。 イ 「該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し」について(ア) 「色度および不透明度を設定し」について本件明細書の【発明が解決しようとする課題】欄には,従来の医療用可視画像生成方法について,「従来の医療用可視画像の生成方法では,…画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,各小区間内の画像データ値を有する各空間座標点に対して小区間毎に,各小区間内で一定の値をとる一定値の色度および不透明度を設定していた。」(【0004】),「両者の分布が互いに重なる位置におい て両者を分別するような小区間を設定した上で,各小区間にそれぞれ一定値の色度および不透明度を設定していたが… 」(【0005】)との記載があり,従来方法 両者の分布が互いに重なる位置におい て両者を分別するような小区間を設定した上で,各小区間にそれぞれ一定値の色度および不透明度を設定していたが… 」(【0005】)との記載があり,従来方法における「小区間」は,各区間内において一定値の色度および不透明度の両者を設定するものであることが示されているところ,本件明細書には,小区間内に補間区間を設けて課題を解決することが記載されているものの,その前提となる各小区間における色度および不透明度の設定が,従来方法におけるものと異なることを示唆する記載は何ら存在しない。 また,本件明細書の【発明の実施の形態】欄には,「…小区間毎に,各小区間内のCT値に対応する色度(R,G,Bそれぞれ0~255の範囲内の値をとる)および不透明度(0~1の範囲内の値をとる)を設定する。このとき従来方法では,小区間毎に各区間内で一定の値をとる一定値の色度および不透明度を設定するが,本実施形態方法では,以下の手順により色度および不透明度を設定する。」(【0012】),「図2に示すようにCT値の値域内に,境界線Lによって互いに隔てられた小区間A1と小区間A2が設定された場合を例にとって説明する。まず,小区間A1,A2の基準色度C1,C2と基準不透明度D1,D2とをそれぞれ設定する。図2に示す例では,小区間A1の基準不透明度D1を0に,小区間A2の基準不透明度D2を1に設定した場合を示している。」(【0013】)との記載があり,実施例においても,小区間毎に一定値の色度及び不透明度が設定されることが示されている。 これらの本件明細書の記載内容を考慮すると,「該小区間毎に…色度および不透明度を設定し」とは,小区間毎に,色度及び不透明度の両者をいずれも一定値をとるように設定することを意味するも 。 これらの本件明細書の記載内容を考慮すると,「該小区間毎に…色度および不透明度を設定し」とは,小区間毎に,色度及び不透明度の両者をいずれも一定値をとるように設定することを意味するものと解するべきである。 (イ) 「前記画像データ値に基づき…色度および不透明度を設定し」について「前記画像データ値に基づき…色度および不透明度を設定し」とは,前記被告らの主張(2)ア(ア)でみた「画像データ値の分布に基づき…分割し」の解釈と同様に,色度および不透明度が画像データ値と連動又は関連づけられていることを要すると解すべきであり,色度および不透明度が画像データ値と関係なく任意に設定できる場合を含まないと解するべきである。 ウ 「複数種の生体組織が含まれた被観察領域…が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する」について「複数種の生体組織が含まれた被観察領域…が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する」とは,CT装置等で撮影された被観察領域(例えば頭部)に含まれる複数の生体組織領域(例えば頭蓋骨,脳,目玉,舌)の全てを可視化した「可視画像」を生成することを意味すると解すべきである。また,「3次元空間」とは,被観察領域及びその外の空気領域を含むものである。 (3) 被告方法の充足性についてア被告方法の内容被告方法の内容は別紙「被告製品等説明書(被告)」のとおりであるが,構成要件1-Aとの関係で,特に,以下の点を指摘することができる。 (ア) 色境界線の設定及び配色編集被告製品において,ユーザーがディスプレイ上に表示された「カラー編集」タブをクリックすると,画面上に本件設定画面が表示され,同画面上には,白色でヒストグラム(信号値及び信号 界線の設定及び配色編集被告製品において,ユーザーがディスプレイ上に表示された「カラー編集」タブをクリックすると,画面上に本件設定画面が表示され,同画面上には,白色でヒストグラム(信号値及び信号値に対する出現頻度をプロットしたもの。)を表示したグラフが表示される ところ,ユーザーは,上記グラフ上にポインタを置いた状態でマウス操作を行う(ダブルクリックするか,又は右クリックでメニューを表示し「境界線新規」等を選択する)ことによって,上記グラフ上に「色境界線」を設定(新規追加),移動,削除することができる。また,上記色境界線で区切られた区間(「色境界領域」)をクリックすることにより,「色変更ダイアログ」を表示し,これにより,各色境界領域に割り当てる色を決定することができる。 (イ) オパシティラインの設定被告製品において,本件設定画面を表示すると,グラフ表示右側に「オパシティライン」の形状を表した6つのボタンが表示され,ユーザーは,いずれかのボタンを選択することで,グラフ上に設定するオパシティラインの形状を選択することができる。 なお,オパシティラインとは,当該信号値の不透明度(オパシティ値)を示すラインを指し,各ボタンにより選択されるオパシティラインの形状は,各ボタンを一番上から順に①~⑥とすれば,それぞれ次のとおりである。 ① ユーザーがマニュアルで任意の形状のオパシティラインを作成する。 ② 色境界線上にオパシティの制御点が配置され,ユーザーが制御点を操作することによってオパシティラインを作成する。 ③ 右肩上がりの形状のオパシティラインを作成する。 ④ 右肩下がりの形状のオパシティラインを作成する。 ⑤ 凸型の形状のオパシティラインを作成する。 。 ③ 右肩上がりの形状のオパシティラインを作成する。 ④ 右肩下がりの形状のオパシティラインを作成する。 ⑤ 凸型の形状のオパシティラインを作成する。 ⑥ 凹型の形状のオパシティラインを作成する。 (ウ) なお,被告製品において,ユーザーは,疑似三次元画像上で直接マウスをドラッグすることにより,疑似三次元画像の色及びオパ シティ値を調整するのが通常であり(乙47),上記(ア)及び(イ)のように,カラーテンプレートを表示して色境界線等の設定を行うのは例外的な場合である。 また,上記(ア)及び(イ)のように,カラーテンプレート設定画面を表示して色境界線等の設定を行う場合でも,ユーザーである医師らは,表示しようとする臓器等のCT値等を熟知しているから,ヒストグラムを参照して色境界線等の設定を行うことはなく,ただ,同一画面上にヒストグラムが表示されているため,同ヒストグラムが目に見えてしまうにすぎない。被告製品において,本件設定画面にヒストグラムが表示されているのは,製品の見栄えを良くすることが主たる理由であり,ユーザーがこれを参照して色境界線等の設定を行うためではない。 イ被告方法の充足性(ア) 「3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し」についてa 前記(3)ア(ア)のとおり,被告製品における色境界領域の設定は,ユーザーが手動で行うものであって,機械的自動的に行われるものではないから,被告方法は,「複数の小区間に分割」するものに当たらない。 b 前記(3)ア(ウ)のとおり,ユーザーが本件設定画面を表示せず,疑似三次元画像を見ながら色及びオパシティ値の調整を行う場合,ユーザーは 告方法は,「複数の小区間に分割」するものに当たらない。 b 前記(3)ア(ウ)のとおり,ユーザーが本件設定画面を表示せず,疑似三次元画像を見ながら色及びオパシティ値の調整を行う場合,ユーザーは,ヒストグラムとは無関係に色及びオパシティ値の設定を行うのであって,「画像データ値の分布に基づき」小区間の分割を行うものではない。また,ユーザーが上記(3)ア(ア)及び(イ)のとおり本件設定画面を表示して色境界線の設定を行うとい う例外的な場合においても,ユーザーは,ヒストグラムに注目することなく,かつ,これに制約されることもなく,任意に色境界領域を設定するものであって,ヒストグラムに基づき,生体組織毎に信号値を小区間へ分割するものではないから,やはり,「画像データ値の分布に基づき」小区間への分割を行うものではない。 c したがって,被告方法は,「3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割」するものに当たらない。 (イ) 「該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し」についてa 前記(3)ア(ア)及び(イ)のとおり,被告製品における色境界領域の設定及び同領域における色の設定は,オパシティラインの設定とは無関係にされるものであり,かつ,オパシティラインは,色境界領域毎に一定値に設定されるものではないから,被告方法は,色境界領域毎に,色度及び不透明度の両者をいずれも一定値をとるように設定するものではない。 b また,被告製品における色及びオパシティラインの設定は,前記(3)ア(ア)及び(イ)のとおり,CT値とは関係なく,ユーザーが任意に設定するものであるから,色度及び不透明度は「画像データ値に基づき また,被告製品における色及びオパシティラインの設定は,前記(3)ア(ア)及び(イ)のとおり,CT値とは関係なく,ユーザーが任意に設定するものであるから,色度及び不透明度は「画像データ値に基づき」設定されるものではない。 c したがって,被告方法は,「該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定」するものに当たらない。 (ウ) 「複数種の生体組織が含まれた被観察領域…が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する」について 被告製品は,CT装置等によって撮影された生体組織領域の全てを可視化するものではなく,争点(1)ア(イ)に関する被告らの主張で詳述するアダプティブブロック処理により,ユーザーが観察したいと考える特定又は単一の生体組織領域のみを疑似三次元画像とするものであるから,「複数種の生体組織が含まれた被観察領域…が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する」ものに当たらない。 (4) したがって,被告方法は構成要件1-Aを文言充足しない。 2 争点(1)ア(イ)(被告方法は構成要件1-Bを文言充足するか。)(原告の主張)(1) 「各視線上に位置する全ての前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算し」(構成要件1-B)の解釈ア本件明細書には,「従来方法では,各視線上に位置するボクセル毎の色度および不透明度を互いに積算する演算過程の高速化を図るため,一部のボクセルに関するデータを間引いて演算を行なっていた。このため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかった。」(【0006】)との記載がある。 なお,従来技術としては,放射線画像形成 なっていた。このため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかった。」(【0006】)との記載がある。 なお,従来技術としては,放射線画像形成装置(甲37)や再構成面設定方法…X線CT装置(甲38)に関する技術が挙げられるところ,前者については当該明細書の【0012】,【0027】に,後者については【0010】に,いずれも間引きの技術として説明されている。 イ本件明細書における上記アの記載内容を参酌すると,本件発明1における「全ての」との文言は,「間引くことなく」との意味であると解釈すべきことになるところ,上記(ア)でみた本件明細書の【0006】の記載は,可視化画像を生成する際に生体組織間の微妙な色感や 不透明感の表現を犠牲にすることをもって「間引く」と表現しているものであるから,「全て」とは,結局,「生体組織間の微妙な色感や不透明感の表現を犠牲にすることなく」を意味し,本件発明1が医療用可視画像を生成する方法に関するものであることにもかんがみ,医師又は技師の目に可視化された画像において,色感や不透明感の表現に影響しないボクセルの計算を省略することがあっても,なお,「全ての…互いに積算し」に当たると解するべきである。 (2) 被告方法の構成要件1-B充足性ア被告製品において,被告ソフトウェアは①視線上のすべてのボクセル(3次元空間の各空間座標点を構成する単位。本件明細書の【0003】参照)について色度及び不透明度の積算を行うものではなく,画像として飽和している状態(変化のない状態)となった時点で計算打ち切り処理を行うものであり,かつ,②ある特定の視線については完全に計算を省略するというアダプティブブロック処理を行っているものであるが,①に 飽和している状態(変化のない状態)となった時点で計算打ち切り処理を行うものであり,かつ,②ある特定の視線については完全に計算を省略するというアダプティブブロック処理を行っているものであるが,①については,画素に対して影響を与えない部分について計算を行わないというものであって,生体組織間の微妙な色感や不透明感の表現に影響のない部分について計算していないというものにすぎない。また,②については,可視化の対象とならない領域について計算を省略するというものにすぎないのであって,上記処理が,可視化部分の画像表現に影響しないものであることは明らかである。 したがって,被告製品における上記①及び②の処理は,いずれも,上記(1)イでみた「間引き」に当たるものではなく,被告製品が,当該可視画像の生成に必要な空間座標点の全てについて積算計算を行っている以上,被告の用いる技術は,本件特許発明1と課題解決原理を共通にしており,全く同一の技術思想に属するものであって,「全ての」空間座標点毎の色度及び不透明度を積算しているものというべき である。 したがって,被告方法は構成要件1-Bを充足する。 イ被告らの主張について(ア) 被告らは,被告製品において,ユーザーは,カラーテンプレートを選択することにより,観察したいと考える対象以外のボクセルを計算の対象から除外することができ,この場合,可視化対象領域についても計算が省略されることになるから,被告方法は,「全ての…積算し」を充足しないと主張する。しかし,本件特許発明1において,データの積算処理は,「被観察領域」(構成要件1-A)についてされるものであり,被観察領域外の空間座標点について積算処理を行わないことは,構成要件1-Bの充足性に影響しないものと解される上,被告らの主張に 積算処理は,「被観察領域」(構成要件1-A)についてされるものであり,被観察領域外の空間座標点について積算処理を行わないことは,構成要件1-Bの充足性に影響しないものと解される上,被告らの主張によっても,ユーザーが上記のような選択をしなければ上記の計算省略処理はされず,この場合,被告方法は構成要件1-Bを充足することになるから,被告らの主張は当たらない。 (イ) 公知技術除外の主張について被告らは,構成要件1-Bは本件明細書の「従来の方法」(【0006】)を含まないものとして解釈すべきであり,被告方法は上記従来方法(公知技術)と同一のものであるから,被告方法は構成要件1-Bを充足しないと主張するが,争う。本件明細書の「従来の方法」に,被告方法における計算打ち切り処理やアダプティブブロック処理は含まれない。 すなわち,本件明細書の「従来の方法」とは,コンピュータの演算能力が乏しい時代に,たとえ描出される画像の精度が低下することになっても,演算過程の高速化を図るため,データの一部を間引いてデータ量を削っていたことがあり,そのような技術を指して, 「従来の方法」と記載したものであって,上記従来技術としては,平成12年5月23日公開の特開2000-139901号公報(甲37)や,平成10年2月17日公開の特開平10-43178号公報(甲38)に各記載されている技術が挙げられる。 これに対し,被告方法は,計算しなくとも問題のない部分を判断した上で,その部分について計算をしないという処理をするもの(計算打ち切り処理)や,表示されない領域を定義・探索した上,その領域を通過する視線についての計算を省略するというもの(アダプティブブロック処理)であり,計算対象を少なくしてコンピュ 理をするもの(計算打ち切り処理)や,表示されない領域を定義・探索した上,その領域を通過する視線についての計算を省略するというもの(アダプティブブロック処理)であり,計算対象を少なくしてコンピュータの処理時間の短縮化を図るという従来技術が発展して,間引きせずに全てのボクセルに対応した色度及び不透明度を計算するという本件特許発明に係る方法に至り,さらに,被告方法のように,可視化に影響しない部分を抽出して計算から除外し,計算の高速化を図るという方法に至ったというものであるから,被告方法が従来技術に含まれないことは明らかである。 なお,本件特許出願の代理人弁理士は,本件特許発明の発明者であるY(以下「Y」という。)から,「従来の方法」(【0006】)に,アーリーレイターミネーションやスペースリーピングの技術が含まれる旨の説明を受けたことはなく,この点に関するYの陳述書(乙39)の内容は虚偽である。 (被告らの主張)(1) 原告の主張は争う。 (2) 「各視線上に位置する全ての前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算し」(構成要件1-B)の解釈ア上記要件中,「全ての」との文言は,一般的に,「ことごとく。みな。全部」(乙8),「あらゆる(たくさん有る)ものが一つの例外 も無く,それに当てはまる(ようにする)ことを表わす。」(乙9,「新明解国語辞典第5版」)との意義を有するものであるところ,本件明細書において,「【発明が解決しようとする課題】」として,従来方法が一部のボクセルに関するデータを省略した上で演算を行っていたため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかったことが挙げられており(【0006】),このような課題を解決す に関するデータを省略した上で演算を行っていたため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかったことが挙げられており(【0006】),このような課題を解決するために,本件特許発明1が「…各視線上に位置する全ての前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算」する構成を採用したことが明らかにされているのであって(【0008】),これにより,本件発明1が,「…本発明の医療用可視画像の生成方法によれば,…可視画像を生成する2次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する全ての空間座標点毎の色度および不透明度を視線毎に互いに積算し,この積算値を各視線上の平面座標点に反映させるようにしている。このような構成をとることにより,被観察領域内の生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別し得る可視画像を生成することが可能となる。」(【0025】)との作用効果を奏するものであることが記載されているのであるから,このような明細書の記載を参酌すれば,「全ての」とは,視線上に位置するボクセル全てについて一つの例外もなく演算を行うことを意味すると解するべきであり,一部のボクセルに関するデータ演算を省略する場合には,上記要件を充足しないと解するのが相当である。 イまた,上記(2)アでみた本件明細書の【0025】欄の記載から明らかなとおり,視線のうち一部についてのみ積算処理を行う場合,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することはできず,本件発明1の解決しようとする上記課題は解決できないこととなるから,上記 要件中,「各視線」「該視線毎に」とは,全ての視線について積算処理を行うことを意味するものと解するべきである。 ウ本件明細書の【 うとする上記課題は解決できないこととなるから,上記 要件中,「各視線」「該視線毎に」とは,全ての視線について積算処理を行うことを意味するものと解するべきである。 ウ本件明細書の【発明の実施の形態】欄の記載も,上記(2)ア及びイの解釈を裏付けている。 すなわち,本件明細書の【発明の実施の形態】欄においては,「…肝臓等の臓器や血管,骨等の複数種の生体組織を含んだ腹部を,CT装置により断層撮影して得られたCT値に基づいて,その可視画像を生成する場合を例にとって説明する。」(【0010】)として,「被観察領域」として「腹部」を例として選択することを明らかにした後,「本実施形態方法では,まず,断層撮影領域に対応した3次元空間K3の各空間座標点を構成するボクセルを用いて,CT装置により得られた腹部のCT値(画像データ値)の空間分布を表す。」(【0011】)として,「3次元空間K3」のボクセルを用いてヒストグラムを表すことを明らかにし,次に,3次元空間K3中の各ボクセルについて,色度及び不透明度を決定することを開示している(【0012】~【0015】)。その上で,本件明細書は,「各ボクセルの色度および不透明度を決定した後,図1に示すように,投影用の2次元平面(可視化面)K2(例えば,CCD等の撮像平面やディスプレイ等の画像平面)の各平面座標点を表す画素(ピクセル)と視点(投影中心)10とを結ぶ視線12を想定する。そして,各視線12上に位置する全ボクセルの各々の色度および不透明度を,アルファブレンディングルールと称される下式(1)の計算式に基づき視線12毎に互いに積算し,ボリュームレンダリング法により,この積算値を各視線12上に位置する2次元平面K2の各画素に反映させて,被観察領域としての腹部の2次元可視画像を生成 (1)の計算式に基づき視線12毎に互いに積算し,ボリュームレンダリング法により,この積算値を各視線12上に位置する2次元平面K2の各画素に反映させて,被観察領域としての腹部の2次元可視画像を生成する」(【0016】)として,全ボクセルについて積算を行うことを明らかにし,さらに,上記「アルファブレ ンディングルール」として,次の数式を開示している(【0017】)。 上記数式におけるnが視線12上に位置する全ボクセルの数を意味することは当業者の技術常識から当然のことであり,同数式においては,Σi=1からnまでとして,視線上の全てのボクセルについて上記計算を行うことが示されている。 以上によれば,本件明細書には,複数の生体組織領域からなる「被観察領域」を撮影し,「被観察領域」及びその外の空気領域を含む「3次元空間」上に存在する全ボクセルについて,その色度及び不透明度をアルファブレンディングルールに基づき積算し,被観察領域としての腹部の2次元可視画像を生成する例のみが実施例として開示されているものであり,上記積算は,全ての視線について行われているものである。これに対し,一部ボクセルのデータを間引いて残りのデータについてのみ積算を行うことを許容する開示や,全視線のうち一部の視線についてのみ積算が行われればよいとする開示は本件明細書中に存在しない。 このような本件明細書の記載からも,構成要件1-Bに関し,前記(2)ア及びイの解釈が相当であることが裏付けられるというべきである。 (3) 被告方法の充足性について ア被告ソフトウェアは,別紙「被告製品等説明書(被告)」2頁ないし4頁記載のとおり,被写体である生体組織を撮像して得られたボクセルデータを使用し, ) 被告方法の充足性について ア被告ソフトウェアは,別紙「被告製品等説明書(被告)」2頁ないし4頁記載のとおり,被写体である生体組織を撮像して得られたボクセルデータを使用し,下記(ア)(【数式1】)及び(イ)(【数式2】)で示されるボリュームレンダリング処理の計算を実行することにより,疑似三次元画像を被告製品のディスプレイに表示させるものである。 (ア) 【数式1】 ( )( )( )()( )( )∑=−=××−+×=TiiiijjVCVVVcV PαααC (イ) 【数式2】 ( )()epsVTjj≥−−=C 1 α なお,【数式1】は,アルファブレンディングルールと呼ばれるボリュームレンダリング処理の計算の一般的数式であり,【数式1】中の「T」は,視線上に位置する全ボクセル数(N)のうち,【数式2】の条件を満たすN以下の最大の整数であり,【数式2】中の「eps」は計算打ち切り用の閾値である。 イ計算打ち切り処理について被告ソフトウェアでは,ボリュームレンダリング処理に当たり,上記【数式2】のとおり閾値による条件が設定されていることから,上記閾値による条件を満たすデータのみがボリュームレンダリング処理の計算に用いられる。すなわち,被告方法において,ボクセルの色度及び不透明度の積算は,全ボクセル(視線上の1からNまで)につい て行われるものではなく,【数式2】を満たすN以下の最大の整数Tまでで計算が打ち切られるものである(以下,上記処理を「計算打ち切り処 明度の積算は,全ボクセル(視線上の1からNまで)につい て行われるものではなく,【数式2】を満たすN以下の最大の整数Tまでで計算が打ち切られるものである(以下,上記処理を「計算打ち切り処理」という。)。 ウアダプティブブロック処理について被告ソフトウェアでは,ボリュームレンダリング処理を実行するに当たり,三次元画像のうち非表示領域として定義・探索された領域を通過する視線については,同領域内のボクセルに関し完全に計算を省略するアダプティブブロック処理が実行されている。 すなわち,被告ソフトウェアは,CT装置等によって撮影された生体の三次元画像を各ブロックに分割化し,分割化された各ブロック内に可視化対象(生体組織領域のうち,ユーザーが観察したいと考え観察対象として選択した特定又は単一の生体組織領域)が含まれているか否かを判定し,これにより,可視化対象が含まれていないブロック(非表示対象ブロック)であると判定されたブロック同士を結合化処理して,視線が同ブロック内を通るときは,当該ブロックにおける計算を省略する処理を行っている(以下,上記処理を「アダプティブブロック処理」という。)。 エ以上のとおり,被告方法は,計算打ち切り処理を行うことにより,計算打ち切り後のボクセルについて積算を行わないものである上,アダプティブブロック処理を行うことにより,計算を全く行わない視線や,計算を開始された視線であっても,非表示対象ブロック内に入ると計算をやめる視線が生じるものであるから,「各視線…を該視線毎に互いに積算」するものではなく,かつ,「全ての」空間座標点毎に積算を行うものでもない。 したがって,被告方法は,構成要件1-Bを充足しない。 (4) 公知技術の除外について ア に積算」するものではなく,かつ,「全ての」空間座標点毎に積算を行うものでもない。 したがって,被告方法は,構成要件1-Bを充足しない。 (4) 公知技術の除外について ア本件明細書には,「従来方法では,各視線上に位置するボクセル毎の色度および不透明度を互いに積算する演算過程の高速化を図るため,一部のボクセルに関するデータを間引いて演算を行なっていた。」(【0006】)との記載があるところ,被告方法における計算打ち切り処理及びアダプティブブロック処理は,本件特許の出願日以前において,本件明細書の上記記載に係る「演算過程の高速化を図る」ための「従来方法」として公知であった下記イの技術と同一のものである。 特許請求の範囲の文言解釈に当たっては,特許出願当時に客観的に存在する公知技術を勘案すべきであるから,本件特許発明の構成要件1-Bの文言を解釈するに当たっては,上記公知技術について勘案し,これを含まないような解釈を採るべきであるところ,被告方法が上記のとおり公知技術と同一のものである以上,被告方法は当該文言の技術的範囲に属しないと解するべきであって,被告方法は,この点でも,構成要件1-Bを充足しない。 イ従来技術(ア) アーリーレイターミネーション「アーリーレイターミネーション」とは,レイに沿ったサンプルにおける不透明度の蓄積が,所定の値を超えたときに,計算を行わない最適化手法である。 (イ) スペースリーピング「スペースリーピング」とは,分割した領域において「空」と判定される領域内でサンプルについて計算を行わない最適化手法であり,「空」と判定される条件は,領域内の不透明度が一定の閾値以下をとることである。 (ウ) 平成10年発行の「 いて「空」と判定される領域内でサンプルについて計算を行わない最適化手法であり,「空」と判定される条件は,領域内の不透明度が一定の閾値以下をとることである。 (ウ) 平成10年発行の「IntroductionToVolumerendering」(乙 30)及び平成14年6月28日公開の特開2002-183746号公報(乙31)には,上記「アーリーレイターミネーション」及び「スペースリーピング」の各技術内容について詳細な開示がされている。また,平成7年10月27日公開の特開平7-282293号公報(乙32)には,「一般的に,3次元画像の生成には,そのデータ量の多さ等より,多くの処理時間を要する。そこで,従来,3次元画像の生成処理を高速化する様々な技術が提案されている。」(【0007】),「たとえば,M.Levoy, “EfficientRayTracingofVolumeData”, ACMTrans. onGraphics”, Vol.9, No.3,pp245-261(1990)記載の技術では,2次元画像の生成に影響を与えない,不透明度が0,すなわち透明なボクセルを階層的に構造化しておき,これらのボクセルについては処理を省略することにより3次元画像の生成処理を高速化している。」(【0008】)との記載があるところ,上記記載中で従来技術として紹介されている論文(乙33,M.Levoy, “EfficientRayTracingofVolumeData”,ACMTrans. onGraphics”, Vol.9, No.3)には,上記「アーリーレイターミネーション」及び「スペースリーピング」の技術が紹介されている。 ウ被告方法が公知技術と同一のものであること hics”, Vol.9, No.3)には,上記「アーリーレイターミネーション」及び「スペースリーピング」の技術が紹介されている。 ウ被告方法が公知技術と同一のものであること被告方法における計算打ち切り処理は,上記「アーリーレイターミネーション」と同一のものであり,被告方法におけるアダプティブブロック処理は,上記「スペースリーピング」と同一のものである。なお,アダプティブブロック処理が本件特許発明出願当時の公知技術に当たることは,「FastVolumeRenderingusingAdaptiveBlockSubdivision,FifthPacificConferenceonComputerGraphicsandApplications,1997」(乙41)においてアダプティブブロック処理 の技術が説明されていることからも明らかである。 エしたがって,被告方法は,構成要件1-Bを充足しない。 3 争点(1)ア(ウ)(被告方法は構成要件1-Cを文言充足するか。)(原告の主張)(1) 構成要件1-Cの解釈についてア 「前記小区間内に補間区間を設定し,該小区間において設定される前記色度および前記不透明度を,該補間区間において前記画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」について(ア) 上記要件は,色度と不透明度の両者に共通する単一の補間区間を設定することを必ずしも意味せず,小区間内に色度に関する補間区間を設定し,色度を該補間区間において連続的に変化させる一方,小区間内に不透明度に関する補間区間を設定し,不透明度を該補間区間において連続的に変化させるなど,色度と不透明度につき別々に補間区間を設定し,各補間区間において色度又は不透明度 的に変化させる一方,小区間内に不透明度に関する補間区間を設定し,不透明度を該補間区間において連続的に変化させるなど,色度と不透明度につき別々に補間区間を設定し,各補間区間において色度又は不透明度を連続的に変化させることも含むものと解するのが相当である。 (イ) また,本件明細書には,従来方法として,小区間毎に色度及び不透明度を段階的(非連続的)に変化させる方法が開示されているところ(【0018】参照),本件発明1は,データ値の大きさに応じて色度又は不透明度を連続的に変化させることに特徴があるものであるから,「画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」とは,本件明細書の【図2】に示されているように,色度がC1からC2に向かって連続的に変化し,オパシティラインがD1のレベルからD2のレベルに向かって連続的に変化(上昇)することを意味するものと解するのが相当である。 イ被告らの主張について被告らは,色度と不透明度が補間区間の設定によって自動的に変化 することを要すると主張するが,本件特許請求の範囲に「補間区間の設定に基づき」色度及び不透明度が変化する旨の記載はないのであって,補間区間の設定に基づき,色度と不透明度の両方が連続的に変化することを意味すると限定解釈すべき合理的な理由はなく,被告らの主張は,特許請求の範囲に記載のないものをあるものとして特許請求の範囲を限定解釈しようとするものであり,認められない。 (2) 被告方法の充足性ア被告製品においては,0.00から1.00の値をとる「色混合率」を設定することができ,0.00を超える値の色混合率を設定した場合,本件設定画面上,隣接する色境界領域の色同士が混合した領域(「色混合領域」)を設定することができる。 また, 混合率」を設定することができ,0.00を超える値の色混合率を設定した場合,本件設定画面上,隣接する色境界領域の色同士が混合した領域(「色混合領域」)を設定することができる。 また,被告製品においては,上記色境界線上にオパシティラインの制御点を配置し,上記制御点を上下にドラッグすることによりオパシティラインの形状を変更することができる。 したがって,被告製品において,色混合率を,0.00を超える値に設定し,かつ,色境界線上に制御点を置いてオパシティラインの形状を変化させることとした場合,色混合率を画している小区間毎に(したがって,これに対応する当該補間区間毎に),不透明度が連続的に変化することになり,このような使用方法は,構成要件1-Cを充足するものである。 なお,この場合,被告製品において,色度の補間区間と不透明度の補間区間が同一ではないことになるが,本件発明1において,色度と不透明度の補間区間が同一でなければならないと限定解釈される理由はないことは前記(1)ア(ア)で主張したとおりである。 イ被告らは,被告製品における色混合率の設定はオパシティラインの形状に影響を及ぼさず,オパシティラインと色混合率は互いに影響す ることなく別々に設定されるものであって,「連続的に変化する」ものではないと主張する。 確かに,本件明細書の【発明の実施の形態】欄には,補間区間の設定に当たり,まず,補間の対象となる区間(対象区間)を設定し(【0014】),上記対象区間内の補間範囲を算出するために対象区間の幅に乗ずる数値(0~1の値をとるもの。)を鮮明度と称し(【0015】),上記鮮明度を対象区間の幅に乗じて,対象区間の補間範囲を算出し,同範囲において色度と不透明度の線形補間を行う ために対象区間の幅に乗ずる数値(0~1の値をとるもの。)を鮮明度と称し(【0015】),上記鮮明度を対象区間の幅に乗じて,対象区間の補間範囲を算出し,同範囲において色度と不透明度の線形補間を行うことが開示されているのに対し(【0015】,【図2】),被告方法は,「色混合率」の設定により,色境界線付近の補間率の設定(鮮明度の設定に相当する。)と色度の設定を同時に行った上で,オパシティラインの形状変更により,色混合率とは別に不透明度を設定できるようになっているものということができる。 しかし,そもそも,鮮明度により補間区間の範囲を設定し,その中で色度及び不透明度を連続的に変化させることと,鮮明度(補間率)と色度を合体させた色混合率を設定し,次に不透明度を設定することは,結果として全く同じ効果を発生させるものであり,色度,不透明度,鮮明度という処理の仕方につき,まず色度と鮮明度を結合させ,これに不透明度を加えるという操作によって,「前記色度および前記不透明度を」(構成要件1-C)の「および」の要件を迂回することなどできず,結果として色度と不透明度を連続的に変化させている以上,被告方法は構成要件1-Cを充足するものというべきである。 (被告らの主張)(1) 原告の主張は争う。 (2) 構成要件1-Cの解釈ア 「補間区間」について (ア) 構成要件1-Aに関する被告らの主張(2)イ(ア)のとおり,本件発明における「小区間」とは,色度及び不透明度の両者がいずれも一定値をとるように設定される区間であると解すべきであるところ,構成要件1-Cには,「補間区間を設定し,…前記色度および前記不透明度を… 変化させる」と記載されているのであるから,「補間区間」とは,色度及び不透明度の両者が,小区間における一 きであるところ,構成要件1-Cには,「補間区間を設定し,…前記色度および前記不透明度を… 変化させる」と記載されているのであるから,「補間区間」とは,色度及び不透明度の両者が,小区間における一定値から異なる値を取るようになる(すなわち「変化」する)区間を意味し,かつ,両者について共通する単一の区間でなければならないと解すべきである。 (イ) 「補間区間」に関し上記解釈が相当であることは,本件特許請求の範囲において,「および」が一貫して「or」ではなく「and」の意味で使われているから,「前記色度および前記不透明度」(構成要件1-C)の「および」も同様に「and」の意味であると解すべきことや,構成要件1-Cが,「該」補間区間において色度及び不透明度を変化させるものと記載していることから,一義的に明確であるというべきである。 (ウ) 補間区間が色度及び不透明度について共通する単一のものであると解すべきことは,本件明細書の実施例において,「境界線Lと重なる位置に補間区間Bを設定し,この補間区間B内における色度および不透明度を決定する…」(【0013】),「補間区間Bの設定に際しては,まず,境界線Lから左右方向に,それぞれどの程度離れた位置まで補間の対象区間とするかを決める。図2に示す例では,小区間A1の区間幅の約半分に相当する距離d1と,小区間A2の区間幅の約半分に相当する距離d2との分,それぞれの側に離れた区間を補間の対象区間とした場合を示している。次に,この対象区間のうちのどの範囲で補間するのかを決定する。なお,補間 の対象区間および対象区間内の補間範囲の決定は,小区間A1,A2内のCT値の分布E1,E2等を参考にして行なう。」(【0014】)として,補間区間が色度及び不透明度について共通する単一のものである例のみ 区間および対象区間内の補間範囲の決定は,小区間A1,A2内のCT値の分布E1,E2等を参考にして行なう。」(【0014】)として,補間区間が色度及び不透明度について共通する単一のものである例のみが開示され,色度及び不透明度のそれぞれについて補間区間が存在することの記載も示唆も存在しないことからも明らかである。 イ 「前記小区間内に補間区間を設定し…前記色度および前記不透明度を,…連続的に変化させる」について(ア) 「前記小区間内に補間区間を設定し…前記色度および前記不透明度を,…連続的に変化させる」とは,小区間毎に一定値であった色度及び不透明度が,「補間区間」を「設定」されることにより,経時的に,かつ,連続して,色度については,一定値(小区間毎に明確に異なる色)からグラデーション状態に,不透明度については,一定値(鉤型の線で表現されていたもの)が斜線で表現される状態に,それぞれ変化することをいうものと解すべきである。 (イ) これは,「補間区間を設定し…前記色度および前記不透明度を…連続的に変化させる」という文言について,色度及び不透明度について共通の特定の「補間区間」が設定され,このような「補間区間」内で,色度及び不透明度が,補間区間設定前の時点から変化することを意味するものと読むのが文言上自然であることに加え,本件各発明が,一定目的に向けられた系列的に関連ある数個の行為又は現象によって成立する方法の発明である(東京高判昭和32年5月21日行集8巻8号1463頁参照)ことや,構成要件1-Cが,「変化させる」という使役(他人に動作を行わせたり自体を引き起こさせたりする意を表す形式)を意味する助動詞を使用しており,それまで変化していなかったものが変化する状態になることを示唆 していることにかん という使役(他人に動作を行わせたり自体を引き起こさせたりする意を表す形式)を意味する助動詞を使用しており,それまで変化していなかったものが変化する状態になることを示唆 していることにかんがみても,自然な解釈であるというべきである。 (ウ) 上記解釈が相当であることは,本件明細書に下記の記載があることからも明らかである。 すなわち,本件明細書において,従来方法における「小区間」に関し,各区間内において一定値の色度および不透明度を設定するものであることが開示されていることは争点(1)ア(ア)に関する被告らの主張(2) イ( ア) のとおりであるところ,本件発明の実施例(【0013】)も,小区間A1及びA2が設定された場合,まず,一定値の基準色度(C1及びC2)及び基準不透明度(D1及びD2)を設定することを開示している。 本件明細書は,上記記載に続けて,「次に,境界線Lと重なる位置に補間区間Bを設定し,この補間区間B内における色度および不透明度を決定するための,CT値と色度との関係を定める色度関数およびCT値と不透明度との関係を定める不透明度関数とを設定する。図2に示す例では,色度関数に関しては基準色度C1とC2との間を線形的に補間する比例関数が設定され,不透明度関数に関しては基準不透明度D1とD2との間を線形的に補間する比例関数が設定された場合を示している。」(【0013】)と記載しており,「補間区間B」の設定は,小区間A1及び小区間A2の設定がされた後(時間的に後)に起きる出来事であることを示している。 (エ) したがって,上記要件は,前述のとおり,補間区間の設定に基づき色度及び不透明度が経時的に連続して変化することを意味するものと解するのが相当であり,①「補間区間」の設定に基づくことなく,色度及び ) したがって,上記要件は,前述のとおり,補間区間の設定に基づき色度及び不透明度が経時的に連続して変化することを意味するものと解するのが相当であり,①「補間区間」の設定に基づくことなく,色度及び不透明度が変化する場合や,②色度の変化する区間と不透明度の変化する区間が一致せず,両者について共通する「補間区間」が存在しない場合には,「前記小区間内に補間区間を設定 し…前記色度および前記不透明度を…連続的に変化させる」に相当しないと解するべきである。 ウ 「画像データ値の大きさに応じて」について構成要件1-Cは,連続的変化が「画像データ値の大きさに応じて」なされることもその要件とするものであるところ,「応じる」とは,通常,「外からの働きかけを受け入れる。従う。適合する。かなう。あてはまる。」との意義を有するとされているから(乙49,広辞苑),本件発明1において,色度及び不透明度の連続的変化は,「画像データ値の大きさ」という外からの働きかけを受け入れ,それに適合するような変化であることを要するものと解するべきである。 エ原告の主張について(ア) 原告は,本件明細書において,色度関数と不透明度関数とを別々に設定することが許容されていると主張するが,色度関数と不透明度関数が別々に設定されることと,上記各変化関数が適用される区間が同一であることとは無関係であり,被告らは,各変化関数が別異に設定されるものであっても,その適用区間(補間区間)は両者にとって単一かつ共通のものでなければならないと主張するものであるから,原告の主張は反論として当を得ないものである。 (イ) また,原告は,本件発明1を,補間区間の設定により,自動的に色度及び不透明度が連続的変化する内容に限定解釈する理由はないと主 あるから,原告の主張は反論として当を得ないものである。 (イ) また,原告は,本件発明1を,補間区間の設定により,自動的に色度及び不透明度が連続的変化する内容に限定解釈する理由はないと主張するが,補間区間の設定と色度及び不透明度の連続的変化が無関係でもよいということであれば,本件発明1がわざわざ「補間区間を設定」することを要件としているにもかかわらず,単に色度と不透明度を好きな区間でそれぞれ変化させればよいということになってしまい,補間区間の設定はおよそ無意味となってしまうのであって,このような解釈は採り得ないことが明らかである。 (3) 被告方法の充足性についてアそもそも,被告製品において,色境界領域の設定及び同領域における色の設定は,オパシティラインの設定とは無関係になされるものであり,色境界領域において,色度及び不透明度が一定値に設定されるものではない(すなわち,色境界領域は「小区間」に当たらず,被告方法において小区間の設定がない)ことは,前記争点(1)ア(ア)に関する被告らの主張(3)イ(イ)で主張したとおりであるから,被告方法が,小区間の設定を前提に,小区間内に補間区間を設定することを規定する構成要件1-Cを充足することはない。 イこの点を措くとしても,被告製品において,ユーザーが「補間区間」に相当する区間を設定することはなく,かつ,色度及び不透明度は,「補間区間」の「設定」に基づき,「画像データ値の大きさに応じて」「連続的に変化する」ものでもないから,被告方法は,構成要件1-Cを充足しない。 ウすなわち,別紙「被告製品等説明書(被告)」のとおり,被告製品において,ユーザーは,カラー属性タブの「カラー属性」ボタンをクリックすることにより,カラー属性ダイアログを表示し,同ダイアログ ウすなわち,別紙「被告製品等説明書(被告)」のとおり,被告製品において,ユーザーは,カラー属性タブの「カラー属性」ボタンをクリックすることにより,カラー属性ダイアログを表示し,同ダイアログ中の「色混合」を0.00から1.00までの範囲で設定することができるところ,本件設定画面上,色混合率を0.00に設定した場合,各色境界領域に各設定色が画然と区別されて表示されることになり,色混合率を0.00より大きい値に設定した場合,隣接する色境界領域の設定色相互が色境界線を挟んで混合し,色合いが徐々に変化する状態となる(以下,上記のとおり色合いが徐々に変化し,滑らかな色表現となる部分を「色混合領域」という。)。 また,被告製品において,オパシティラインの形状の設定に関し,6種類のモードを選択することができることは,争点(1)ア(ア)に関 する被告らの主張(3)ア(イ)のとおりであり,上記6種類のモードのうち,上から二番目に表示されているモード(争点(1)ア(ア)に関する被告の主張(3)ア(イ)において,②として表示したもの。以下「制御点モード」という。)を採用した場合,色境界線上にオパシティラインの制御点(小さな正四角形のポインタ)が設定され,ユーザーは,上記制御点を上下にドラッグすることにより,オパシティラインの形状を変更することができる。 しかし,被告製品において,制御点モードを採り,かつ,色混合率を0.00より大きい値に設定した場合に,色混合領域は色境界領域と一致せず,したがって,色混合領域とオパシティラインの変化する区間は一致しないから,被告方法において,色度と不透明度が変化する単一かつ共通の区間は存在せず,「補間区間」に当たる区間は設定されない。 また,原告が,色混合率の設定をもって「補間区間の設定 区間は一致しないから,被告方法において,色度と不透明度が変化する単一かつ共通の区間は存在せず,「補間区間」に当たる区間は設定されない。 また,原告が,色混合率の設定をもって「補間区間の設定」に相当すると主張するものであるとしても,被告製品において,色混合率を0.00より大きい値に設定した場合,これにより,色度の変化(色混合領域の設定)が生じるのみで,オパシティラインの形状は何ら変化しないから,被告方法は,「補間区間を設定」することにより,色度及び不透明度を「連続的に変化」させるものに当たらない。 加えて,被告製品における色混合領域の幅は,色混合率及び色境界領域の幅に基づき,所定のアルゴリズムで決定されるものであり,上記アルゴリズム中にCT値は含まれていないから,被告製品における色度の変化は,「画像データ値の大きさに応じて」なされるものでもない。なお,被告製品において,ユーザーは,CT値とは関係なく色混合率を手動で任意に決定するものであるから,この点においても,色度の変化は「画像データ値の大きさに応じて」なされるものではな いというべきである。 エしたがって,被告方法は構成要件1-Cを充足しない。 4 争点(1)イ(被告方法は均等論により本件発明1の技術的範囲に属するか。)(原告の主張)(1) 仮に,被告方法につき,構成要件1-B又は構成要件1-Cの文言充足性が認められないとしても,被告方法は,均等論の適用により,本件発明1の技術的範囲に属する。 (2) 構成要件1-Bに係る相違点についてア被告方法は,可視画像の生成に必ずしも必要ではない空間座標点に関し,計算打ち切り処理を行ったり,アダプティブブロック処理により計算を省略したりすることによって,演算処理の数を縮減して,演算時間を 被告方法は,可視画像の生成に必ずしも必要ではない空間座標点に関し,計算打ち切り処理を行ったり,アダプティブブロック処理により計算を省略したりすることによって,演算処理の数を縮減して,演算時間を短縮するものであるところ,被告方法が,この点で,本件発明1の構成要件1-Bにおける「各視線上に位置する全ての前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算し」と相違するとしても,被告方法は,本件発明1に係る方法と均等なものとして,その技術的範囲に属する。 イすなわち,①本件発明1は,相異なる生体組織の微妙な色感や不透明感を表現し,各生体組織を明確に区別することが可能な医療用可視画像の生成を目的とするものであるから,人間の目の識別能力を超える部分や非表示領域部分など,可視画像の生成のために必ずしも必要ではない空間座標点について計算を行うか否かという点は,本件発明1の課題解決のための重要部分ではなく,この点は本件発明の本質的部分とはいえない(均等論の第1要件)。また,②全ての空間座標点について例外なく計算を行う方法を,被告方法におけるもの(可視画像の生成に必ずしも必要ではない空間座標点について,計算打ち切り 処理やアダプティブブロック処理を行う方法)に置き換えても,各生体組織を明確に区別することが可能な医療用可視画像を生成するという本件発明1の目的を達成することができ,同一の作用効果を得ることができる(均等論の第2要件)。そして,③可視画像の生成に必ずしも必要ではない空間座標点に関する計算を打ち切ったり,アダプティブブロック処理により計算を省略したりすることによって,演算処理の数を縮減して,演算時間を短縮することは,被告製品の開発製造時点において,当業者であれば容易に想到可能なものである(均等論の第3要件)。 ロック処理により計算を省略したりすることによって,演算処理の数を縮減して,演算時間を短縮することは,被告製品の開発製造時点において,当業者であれば容易に想到可能なものである(均等論の第3要件)。さらに,④被告方法を含む請求項(可視画像の生成に不必要な空間座標点に関する計算を打ち切ったり,計算を省略したりする処理を含む請求項)を仮想するとしても,上記請求項は本件特許出願時点において特許権を取得することができたと考えられるのであって,被告方法は,本件特許出願時における公知技術と同一または当業者が公知技術から容易に推考できたものに当たらない(均等論の第4要件)。加えて,⑤本件特許に係る早期審査に関する事情説明書(乙13)には,「全ての空間座標点毎の色度および不透明度を該視線毎に互いに積算し…ております。このような構成をとることにより,被観察領域内の生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別し得る可視画像を生成することが可能となります。」との記載があるが,上記説明書の記載は,「被観察領域」に関して全ての空間座標点の計算を行う旨を説明したものにすぎず,撮影対象のない視線上の空間座標点や,投影面における画像に影響を与えない視線上の空間座標点について必ず積算すべきものとし,そのような空間座標点についての計算の省略又は打ち切りを,本件特許発明の技術思想から除外しているものではなく,被告方法は,本件特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに 当たらない(均等論の第5要件)。 ウ被告らの主張について被告らは,被告方法(計算打ち切り処理やアダプティブブロック処理を含む積算方法)は本件明細書に記載された「従来の方法」(【0006】)に当たるものであり,公知技術と同一のものであると主 ついて被告らは,被告方法(計算打ち切り処理やアダプティブブロック処理を含む積算方法)は本件明細書に記載された「従来の方法」(【0006】)に当たるものであり,公知技術と同一のものであると主張するが,被告方法が上記「従来の方法」には含まれないものであることは,争点(1)ア(イ)に関する原告の主張のとおりである。 エしたがって,被告方法は,構成要件1-Bに係る相違点について均等侵害の要件を満たし,かつ,構成要件1-A及び1-Cについて充足し又は均等なものであるから,本件発明1の技術的範囲に属する。 (3) 構成要件1-Cに関する相違点についてア被告方法は,色境界線で区切られた隣接色の補間率の設定によって,小区間毎に色度を連続的に変化させつつ,これとは別個に,小区間を超えて,不透明度を連続的に変化させることができるものであり,まず,不透明度を設定し,補間率と色度を一体化させたものをこれに加えることによって,色度と不透明度を連続的に変化させるものである点で,本件発明1の構成(鮮明度により補間区間を設定し,補間区間内で色度と不透明度を連続的に変化させる構成)と相違する。しかし,①鮮明度により補間区間を設定し,色度と不透明度とを連続的に変化させるか,設定された不透明度に補間率(鮮明度)と色度を一体化させた色混合率を付加するかのいずれの処理方法によっても,結果として補間区間において色度と不透明度を連続的に変化させることに変わりなく,上記相違点は本件発明1の本質的部分ではない(均等の第1要件)。また,②本件発明1に係る方法を被告方法に置き換えても,生体組織間の微妙な色感や不透明度を表現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別することが可能な可視画像を生成するという本件発明1 の目的を達成することは可能であり(均等の第2要 置き換えても,生体組織間の微妙な色感や不透明度を表現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別することが可能な可視画像を生成するという本件発明1 の目的を達成することは可能であり(均等の第2要件),③当業者であれば,被告製品の製造時において,上記置き換えに容易に想到することが可能であった(均等の第3要件)ものであるから,被告方法は,本件発明1に係る方法と均等なものとして,その技術的範囲に属する。 イしたがって,被告方法は,構成要件1-Cに係る相違点について均等侵害の要件を満たし,かつ,構成要件1-A及び1-Bについて充足し又は均等なものであるから,本件発明1の技術的範囲に属する。 (被告らの主張)(1) 原告の主張は争う。被告方法について均等侵害は成立しない。 (2) 構成要件1-Bに関する相違点についてア被告方法は,計算打ち切り処理やアダプティブブロック処理を採用している点で,構成要件1-Bと相違するものであるところ,被告方法は,本件発明1に係る方法と均等なものに当たらない。 イすなわち,本件明細書は,構成要件1-Bに対応する課題が,演算過程の高速化のためデータを間引いて演算することで,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかった点にあることを明記しており(【0006】),本件発明1は,上記課題を解決するため,「各視線上に位置する」「全ての」空間座標点毎の色度及び不透明度を積算する構成を採用し,「生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現」したものであるから,「各視線上に位置する」「全ての」データを積算するという要件に係る被告方法の相違点は,本件発明1の本質的部分に関するものである(均等の第1要件)。 また,本件明細書は,「各視線上に位置 「各視線上に位置する」「全ての」データを積算するという要件に係る被告方法の相違点は,本件発明1の本質的部分に関するものである(均等の第1要件)。 また,本件明細書は,「各視線上に位置する」「全ての」データを積算することが,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現するという効果を奏するための必須の要件としており,被告方法が上記要件を 満たさない以上,被告方法により,本件発明1と同一の作用効果を奏することはできない(均等の第2要件)。 さらに,争点(1)ア(イ)に関する被告の主張で主張したとおり,被告方法は本件特許出願当時における公知技術と同一のものである(均等の第4要件)。 加えて,構成要件1-Bの「全て」の要件については,特許出願当時の明細書(乙12)の段階から,従来技術の課題を克服し,本件発明の特徴を基礎付ける構成として明確に示されているものであり,本件特許の審査経過において出願人が提出した「早期審査に関する事情説明書」(乙13)においても,先行技術との対比において,「…また,可視画像を生成する2次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する全ての空間座標点毎の色度および不透明度を視線毎に互いに積算し,この積算値を各視線上の平面座標点に反映させるようにしております。このような構成をとることにより,被観察領域内の生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別し得る可視画像を生成することが可能となります。」と記載されており,本件発明1は,この点を強調することにより,特許査定(乙14)に至ったものであるから,被告方法のように,「全ての」データについて積算を行わない構成は,本件特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものであり,均等による り,特許査定(乙14)に至ったものであるから,被告方法のように,「全ての」データについて積算を行わない構成は,本件特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものであり,均等による侵害を成立させるべきでない特段の事情があるというべきである(均等の第5要件)。 米国の均等論では,「オールエレメントルール」又は「オールリミテーションルール」があり,もし,均等論の主張が,特許請求の範囲のある要件を完全に無視してしまうものであれば,均等論は適用されず,法律問題として,非侵害の判決をしなければならないとされてい る。本件でも,「全て」は「全て」を意味するのであり,原告のように,恣意的に均等を主張することは許されない。また,米国では,従来技術との区別のために,ある用語を選択した場合には,均等の範囲を非常に狭く解さなければならないとされているところ,本件で,原告が,従来技術との区別のために「全て」との用語を選択した以上,その均等の範囲は極めて狭く解されるべきである。 ウ以上のとおり,被告方法は構成要件1-Bに関する相違点につき均等侵害の要件を充足しない。 (3) 構成要件1-Cに関する相違点についてア争点(1)ア(ウ)に関する被告らの主張で主張したとおり,本件発明1と被告方法の相違点は,前記原告の主張(3)アの点にとどまるものではなく,①本件特許発明1が「該小区間毎に」「色度および不透明度を設定」するものであるのに対し,被告方法において,「色境界領域」では「色」を設定するのみで,オパシティ値は設定しないこと,②本件発明1が「小区間内に補間区間を設定し,…前記色度および不透明度を,該補間区間において…連続的に変化させる」ものであるのに対し,被告方法は,色混合率の設定により,滑らかな色表現 定しないこと,②本件発明1が「小区間内に補間区間を設定し,…前記色度および不透明度を,該補間区間において…連続的に変化させる」ものであるのに対し,被告方法は,色混合率の設定により,滑らかな色表現になる部分(色混合領域)が生じるものの,オパシティラインは上記色混合率の設定による影響を受けず,色度及び不透明度を連続的に変化させるものではないことも相違点に当たるものであり,原告の均等侵害の主張はその前提を欠く。 イまた,原告の主張する相違点について検討しても,被告方法は,本件発明1に係る方法と均等なものに当たらない。 すなわち,本件発明1は,従来技術(各小区間毎に,各小区間内で一定の値をとる一定値の色度および不透明度を設定する。)における課題を解決するための手段として,構成要件1-Cに係る方法を採用 したものであり,小区間毎に色度および不透明度を設定すること及び補間区間を設定し,該補間区間において色度及び不透明度を連続的に変化させることは,いずれも,本件発明1の本質的部分に当たる。原告の主張する被告方法は,本件発明1の本質的部分において相違するから,均等の第1要件を充足しない。 また,本件発明1は,構成要件1-Cに係る方法を採用することによって,「相異なる生体組織を明確に区別することが可能な可視画像を生成し得る」(【0007】)ものであるところ,被告方法によった場合,相異なる生体組織を明確に区別することが可能な可視画像を生成することはできず,本件発明1と同一の作用効果を達成することはできないから,構成要件1-Cの方法を,被告方法に置き換えることはできず,均等の第2要件を充足しない。 加えて,本件明細書中に,上記(3)アでみた相違点①及び②に係る被告方法についての開示や示唆は存在せず,当業者が被告製品の製造時において被 に置き換えることはできず,均等の第2要件を充足しない。 加えて,本件明細書中に,上記(3)アでみた相違点①及び②に係る被告方法についての開示や示唆は存在せず,当業者が被告製品の製造時において被告方法に想到することが容易であったとはいえないから,均等の第3要件を充足しない。 ウ以上のとおり,被告方法は構成要件1-Cに関する相違点につき均等侵害の要件を充足しない。 (4) したがって,本件発明1と被告方法は均等ではなく,被告方法が均等論の適用により本件発明1の技術的範囲に属することはない。 5 争点(1)ウ(被告方法は,本件発明2の技術的範囲に属するか。)(原告の主張)(1) 被告方法が構成要件2-AないしCを充足し,またはこれと均等なものであることは,争点(1)ア(ア)ないし(ウ)に関する原告の主張のとおりである。 (2) 別紙「被告製品等説明書(被告)」中の【図7】及び【図8】には, 被告製品のディスプレイ画面において,オパシティ(不透明度)が縦軸(Y軸)にとられ,その軸に沿って0.1から1.0まで等間隔で目盛りが刻まれているように見えるが,上記軸の左側に,上下に動くスライダーが設置されており,これにより,目盛りの幅を変更できる可能性がある。また,スクリーンに表示される目盛りの間隔とは別途にコンピュータによる内部的計算処理がされている可能性も排除できない。また,当該構成については,被告ソフトウェアのコード変更によって,極めて容易に実現可能な技術思想であるから,被告らがこれを実施する可能性が高い。 したがって,被告方法は,本件発明2の技術的範囲に属する。 (被告らの主張)(1) 原告の主張は否認する。 (2) 被告方法が構成要件2-AないしCを充足しないことは,争点( い。 したがって,被告方法は,本件発明2の技術的範囲に属する。 (被告らの主張)(1) 原告の主張は否認する。 (2) 被告方法が構成要件2-AないしCを充足しないことは,争点(1)ア(ア)ないし(ウ)に関する被告らの主張のとおりである。 被告製品においては,そもそも構成要件2-Dに相当する構成が存在しないから,被告方法が構成要件2-Dを充足しないことは明らかである。なお,原告は,被告らが構成要件2-Dに係る方法を実施する可能性が高いと主張するが,これは,被告製品が現状において構成要件2-Dを充足していないことを自認するものである。 したがって,被告方法は,本件発明2の技術的範囲に属しない。 6 争点(1)エ(被告製品は,本件各発明による課題の解決に不可欠なもの(特許法101条5号)に該当するか。)(原告の主張)被告製品は,本件各発明に係る方法である被告方法の使用に用いるための被告プログラムをインストールしたワークステーションであり,そのような方法による使用以外に用途を有するものであっても,「その方法の使 用に用いる物であって,その発明による課題の解決に不可欠なもの」(特許法101条5号)に該当する。 (被告らの主張)原告の主張は争う。 7 争点(1)オ(被告らの主観的要件の充足性)(原告の主張)原告は,被告らに対し,平成20年9月26日付け内容証明郵便により,本件各発明を登録番号で,被告製品を薬事商品名,型番及び薬事承認番号で各特定した通知書(甲15,16)を送付しており,上記通知書は同月29日に被告らに到達しているのであるから,被告らは,同日時点で,本件各発明が特許発明であること及び被告製品が本件各特許発明の実施に用いられるこ 知書(甲15,16)を送付しており,上記通知書は同月29日に被告らに到達しているのであるから,被告らは,同日時点で,本件各発明が特許発明であること及び被告製品が本件各特許発明の実施に用いられることについて悪意となったというべきであり,被告らは特許法101条5号の主観的要件を充足する。 (被告らの主張)原告の主張は争う。 8 争点(2)(本件各発明の直接侵害の成否)(原告の主張)(1) 被告らは,被告製品及び被告ソフトウェアを開発し,これを製造販売しているところ,上記開発に当たり,被告らが,被告方法によって医療用可視画像を生成してみることなく被告製品の販売に至ったとは考え難い。被告らが被告方法を実施していることは,被告製品のパンフレット(甲3)に,被告製品を使用して実際に生成した医療用可視画像が表示されていることや,被告らが,被告製品を使用して生成したサンプル画像を用いてプレゼンテーションを行っていることからも明らかである。 (2) 被告らは,被告製品の出荷時点では被告製品の色混合率の設定を0. 00にしておき,ユーザーが上記設定を変更した時点で本件特許侵害に 当たる方法の使用がされる仕様としている可能性があり,被告らは,この点をもって,本件特許侵害に当たる行為はユーザーの下で行われているものであり,被告らに本件特許侵害に当たる行為はないと主張しているものと解されるが,被告製品に色混合率及び不透明度を変化させられる機能が設けられており,上記機能を用いなければ,ユーザーは,被告製品を購入した目的を達することができないのであるから,ユーザーが上記機能を利用しないことなどあり得ないのであり,ユーザーが当該製品の通常の用法に従った使用をすることによって本件特許侵害に当たる行為が必然的に行われる以上 ることができないのであるから,ユーザーが上記機能を利用しないことなどあり得ないのであり,ユーザーが当該製品の通常の用法に従った使用をすることによって本件特許侵害に当たる行為が必然的に行われる以上,被告らの行為は,ユーザーを道具として利用した間接正犯又は共犯的行為というべきであり,このような製品を販売している被告らの行為は,本件特許の直接侵害に当たるというべきである。 (3) したがって,被告らの行為は本件各特許発明の直接侵害に当たる。 (被告らの主張)(1) 原告の主張は否認する。 (2) 被告製品を使用して実際に医療用可視画像の生成を行っている主体は技師や医師らであり,被告ら自身が主体となって画像形成を行っているものではないから,被告らに本件各特許発明の直接侵害に当たる行為はない。 9 争点(3)ア(無効理由①〔本件特許が冒認出願に当たり,かつ,共同出願要件に違反するものか。〕)(被告らの主張)(1) 本件各発明に至る経緯Z(以下「Z」という。)及びY(以下「Y」という。)は,平成13年6月当時,株式会社医用画像研究所に所属し,医用画像解析ソフトウェア「Mview」をインストールしたワークステーションにおける ユーザーインターフェイスの改良を行っていたところ,上記改良に当たり,当時日本国内で販売されていたVoxar社製ソフトウェア「Plug’nView 3D」における色度及び不透明度の設定方法等を取り入れ,本件各発明を完成させた。本件各発明が上記経過で完成されたことは,上記「Plug’nView 3D」において用いられている「鮮明度」が,本件明細書の実施例において用いられている「鮮明度」と,その機能及び名称において同一であることによっても裏付けられる。 Z及 ug’nView 3D」において用いられている「鮮明度」が,本件明細書の実施例において用いられている「鮮明度」と,その機能及び名称において同一であることによっても裏付けられる。 Z及びYは,本件各発明に係る技術はVoxar社の既存技術におけるインターフェイスとほぼ同一であり,目新しい技術ではないと考えていたが,平成14年5月ころ,原告代表者からYに対し,ボリュームレンダリングに関する技術を何でもいいから特許出願したいという強い要望が出されたため,原告代表者の関与の下,本件各発明につき特許出願を行うこととなった。 (2) 以上の経緯からすれば,本件各発明の発明者がZ及びYであり,原告代表者が本件各発明の発明者ではないことは明らかである。 なお,原告代表者は,上記出願時に,Yが所属する組織(医用画像研究所)の代表者として関与したにすぎず,本件各発明の創作に当たり何らかの関与をしたことはない。原告が,原告代表者が本件各発明の発明者であることの根拠として主張する点(原告代表者が放射線技師としての資格を有することから,三次元画像生成技術により,医療現場で発生している画像読影における課題を解決できる可能性に思い至り,本件各発明に想到したとする点など)は,本件各発明の解決課題及び内容とは関連がなく,原告代表者が本件各発明の発明者であることを裏付けるものではない。 (3) したがって,本件特許は,Z及びYを共同発明者とするものである にもかかわらず,同人らの共同で特許出願されたものではないから,特許法38条,123条1項2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものに当たる。 (4) また,Zは,本件特許出願から相当期間が経過し,原告を退職した後まで,本件特許の発明者として誰が記載されているのかを知らなかっ 該当し,特許無効審判により無効とされるべきものに当たる。 (4) また,Zは,本件特許出願から相当期間が経過し,原告を退職した後まで,本件特許の発明者として誰が記載されているのかを知らなかったのであり,本件各発明につき特許を受ける権利を原告代表者に譲渡したことはないから,本件特許は,発明者でない者であってその発明について特許を受ける権利を承継しないものの特許出願に対してされたもの(同法123条1項6号)に当たり,この点でも,特許無効審判により無効とされるべきものに当たる。 (原告の主張)(1) 被告らの主張は否認する。 (2) 原告代表者は,放射線技師としての経験を有する医用コンピュータ技術の専門家であり,現在も,医療の現場とコンピュータという二つの専門領域におけるスペシャリストとして先駆的活動を続けている。 原告代表者は,人間の目がグレースケールのゼロの位置付近(黒から白へ次第に移り変わっていく場合のグレーの中間部分)の微妙な識別は得意であるが,周辺領域(黒に近い領域での黒さの微妙な差異や,白に近い領域での白さの微妙な差異)の識別は苦手であるという特徴から,放射線技師をやっていたころの苦労や工夫を背景に,わずかな濃度差をうまく画像化することができればデータ値の近い生体組織間の差異について人間の目で識別できるようになり,画像の読影という医療現場で発生している課題を解決できるのではないかと考え,Yと共に,上記課題の具体的解決手段である本件各発明に想到した。本件各発明は,医療用可視画像の生成方法に係るものであり,医療従事者の「目」に耐え得るものであり,かつ,診断に役立つものでなければならないところ,この ような発明に関し,放射線技師としての教養,訓練,医療現場での経験を有する原告代表者 のであり,医療従事者の「目」に耐え得るものであり,かつ,診断に役立つものでなければならないところ,この ような発明に関し,放射線技師としての教養,訓練,医療現場での経験を有する原告代表者の存在が必要不可欠であったことは明らかというべきである。 したがって,原告代表者は,本件各発明の発明者に当たる。 (3) Zは,本件各発明が完成した平成13年6月ころ,肝臓領域の抽出ソフトウェアの開発に集中しており,本件各発明を含む三次元画像生成技術に係るソフトウェア開発に全くといっていいほど興味を示していなかったから,Zは本件各発明の発明者ではない。Zが,原告を退社するに当たり,技術上の一切の権利が原告に帰属することを確認し,自己に帰属する旨の主張をしないことを誓約する書面(甲28)を提出していることや,本件各発明につき米国で特許出願する際に,Yが,発明者欄にZの氏名の記載のない譲渡証書(甲25)に署名していること,ZがYから本件特許出願について聞いたと考えられるにもかかわらず,現在までZがクレームを付けたことがないことも,Zが本件各発明の発明者ではないことを裏付けるものというべきである。 (4) したがって,本件特許は,本件発明の共同発明者である原告代表者とYにより共同出願されたものであり,かつ,冒認出願されたものにも当たらない。 10 争点(3)イ(無効理由②〔本件各特許発明は公然実施されたものに当たるか。〕)(被告らの主張)(1) 原告は,ワークステーションである「VirtualPlace」において本件各発明が実施されていることを認めているところ,平成13年6月時点で,上記製品は,有限会社オフィス・アゼモト(以下「アゼモト」という。)により,既に様々な医療施設に納入され,同医療施設において利 件各発明が実施されていることを認めているところ,平成13年6月時点で,上記製品は,有限会社オフィス・アゼモト(以下「アゼモト」という。)により,既に様々な医療施設に納入され,同医療施設において利用可能であったものであり,上記製品の納入に当たり, アゼモトと医療施設との間で秘密保持契約等が締結された事実はないから,本件各発明は,本件特許出願前に公然実施されたものに当たる。 (2) また,アゼモトは,平成14年4月に開催された「国際医用画像総合展」において,上記「VirtualPlace」を出展しており,上記展示会において,「瞬間的な処理を可能にするためのノウハウ」を含む「透過度グラフ」がデモンストレーションされているのであって,上記「透過度グラフ」の写真は,同展示会参加者のホームページ上で一般公衆に対し公開されていたものであるから,この点においても,本件各発明は,本件特許出願前に公然実施されたものに当たる。 (3) この点に関し,原告は,平成13年6月時点で種々の医療施設に納入され,また,上記展示会で展示された「VirtualPlace」は「VirtualPlace-M」であるところ,同製品には本件各発明に係る技術は利用されていないと主張するが,上記主張は,「VirtualPlace」に本件各発明が利用されている旨の原告の主張と矛盾するものであり,信用できない。 (4) したがって,本件特許は,その出願前に国内において公然と実施された発明として,特許法29条1項2号及び123条1項2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものに当たる。 (原告の主張)(1) 被告らの主張のうち,事実に関する点は否認し,法的主張は争う。 (2) 被告らが公然実施を主張する製品は「VirtualPl り無効とされるべきものに当たる。 (原告の主張)(1) 被告らの主張のうち,事実に関する点は否認し,法的主張は争う。 (2) 被告らが公然実施を主張する製品は「VirtualPlace-M」であるが,上記製品には本件各発明に係る技術は利用されておらず,かつ,上記製品の納入を受けた医療機関においては,医用画像処理ソフトウェア又はシステムの技術情報を第三者に開示しない取扱慣習が確立していた。また,平成14年4月に開催された「国際医用画像総合展」におけるデモンストレーション等は,本件各発明に係る技術内容を 明らかにする情報その他重要な技術情報を一切開示しない態様で行われたから,上記展示会への出展をもって,本件各発明が公然実施された発明に当たることはない。 11 争点(3)ウ(無効理由③〔本件特許が進歩性欠如の無効理由を有するか。〕)(被告らの主張)(1) 特開平10-244013号公報(乙5)及び「VoxarPlugnView3DTMVer.3.0 ユーザーガイド」(乙6,40)による本件発明1の進歩性欠如の主張についてア本件特許出願日(平成14年7月26日)より前に頒布された刊行物である特開平10-244013号公報(乙5。以下「乙5文献」という。)には,以下の発明(以下「乙5発明」という。)が記載されている。 A 複数種の人体組織が含まれた被観察領域をX線CT装置により断層撮影して得られた,3次元空間上の各空間座標点に対応した画像濃度値を生成し,前記画像濃度値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し,この設定された前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観察領域が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する放射線治 ,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し,この設定された前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観察領域が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する放射線治療システムにおける三次元画像処理の方法において,B 前記2次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する全ての前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算し,該積算値を該各視線上の前記平面座標点に反映させると共に,C 前記不透明度を,前記画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させることを特徴とする放射線治療システムにおける三次元画像 処理方法。 イ(ア) 乙5発明の「人体組織」,「X線CT装置」,「画像濃度値」及び「放射線治療システムにおける三次元画像」は,本件発明1における「生体組織」,「放射線医療診断システム」,「画像データ値」及び「医療用可視画像」に各相当する。また,乙5発明の「不透明度と画像濃度値とを直線で関係付ける関数を与え,画像濃度値から不透明度を設定し,かつ,色度につき,RBG三原色の各色の濃度値を指定することで,任意の色を設定可能とする」ことは,本件発明1の「前記色度および前記不透明度を,…画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」ことに相当する。 (イ) したがって,乙5発明と本件発明1は,A 複数種の生体組織が含まれた被観察領域を放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた,3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値を生成し,前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し,この設定された前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観察領域が2次元平面上に投影さ を生成し,前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し,この設定された前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観察領域が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する医療用可視画像の生成方法において,B 前記2次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する全ての前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算し,該積算値を該各視線上の前記平面座標点に反映させると共に,C 前記色度および前記不透明度を,前記画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させることを特徴とする医療用可視画像の生成方法。 である点で一致し,以下の点で相違する。 〔相違点1〕本件発明1は,「画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき」色度及び不透明度を設定するのに対し,乙5文献には,色度及び不透明度の設定が小区間毎に行われることについての記載がない点。 〔相違点2〕本件発明1は,「前記小区間内に補間区間を設定」した上で,色度及び不透明度を,「該補間区間において」連続的に変化させるものであるのに対し,乙5文献には,補間区間の設定並びに色度及び不透明度の連続的変化が上記補間区間において行われることについての記載がない点。 ウ相違点の検討「VoxarPlugnView3DTMVer.3.0 ユーザーガイド」(乙6,40。 以下「乙6文献」という。)は,医療関係機関における放射線画像検査を支援する医療画像ソフトウェア(「VoxarPlugnView3D」。以下「乙6ソフトウ .0 ユーザーガイド」(乙6,40。 以下「乙6文献」という。)は,医療関係機関における放射線画像検査を支援する医療画像ソフトウェア(「VoxarPlugnView3D」。以下「乙6ソフトウェア」という。)のためのユーザーガイドであり,下記エのとおり,本件特許出願前に日本国内で頒布された刊行物に当たるところ,乙6文献には,上記相違点1及び2に係る構成が全て開示されているから,乙5発明に対し,乙6文献記載の技術を適用することで,当業者であれば,本件特許出願時において,本件発明1を容易に想到することができた。 エ乙6文献が本件特許出願前に日本国内で頒布された刊行物に当たること(ア) 乙6文献は,「VoxarPlugnView3DTMVer.3.0」のユーザーガイドであるところ,「PlugnView3D ユーザーガイド」(乙7。以下 「乙7文献」という。)は,「このガイドについて」と題する項目に「このガイドでは PlugnView3D バージョン3.0とバージョン3.2の間で向上した点について記載されています。そして,PlugnView3DVer.3.0 ユーザーガイドでどのような変更があったか概説されています。」(7頁1~5行)と記載されているとおり,乙6文献の更新版に当たるものである。乙7文献の2頁には,「バージョン3.2更新D113/VLREV01 2002年2月」と記載されているから,乙7文献は,平成14年2月に発行されたものであるところ,乙6文献は,乙7文献が乙6文献の更新版である以上,乙7文献よりも前に発行されたものと解されるから,乙6文献が,本件特許出願日(平成14年7月)より前に頒布されていたことは容易に推認されるところである。乙6文献が本件特許出願日前に確実にリリ 以上,乙7文献よりも前に発行されたものと解されるから,乙6文献が,本件特許出願日(平成14年7月)より前に頒布されていたことは容易に推認されるところである。乙6文献が本件特許出願日前に確実にリリースされていたことは,英国Voxar社の過去のニュースリリース記事(平成13年4月14日付けの乙6ソフトウェア発表に関する記事〔乙24〕,同年11月24日付けの乙6ソフトウェア更新版(PlugnView 3DTMのversion3.2)発表に関する記事〔乙25〕),医用画像専門家向けウェブサイト「AuntMinnie.com」の記事(平成13年4月17日付けの乙6ソフトウェア発表に関する記事〔乙28〕,平成14年5月3日付けの乙6ソフトウェア更新版(PlugnView 3DTMのversion3.2)展示に関する記事〔乙29〕)からも裏付けられる。 (イ) 乙6文献が本件特許出願前に日本国内で頒布された刊行物であることは,原告提出証拠(甲34)及び証拠説明書の記載からも裏付けられる。 すなわち,原告は,ソフトウェア使用許諾契約書(甲34)の証拠説明において,同契約書の作成年月日を「平成12年6月頃」とし,かつ,その立証趣旨につき,乙6ソフトウェア(PlugnView 3D)及びその付属書類(乙6文献及び乙7文献を含む。)を使用(ソフトウェアのハードキーを用いた起動・操作,付属書類の閲覧)できる者が乙6ソフトウェアのライセンシー(購入者)本人に限られており,かつ当該ソフトウェア及び付属書類の第三者への譲渡及び貸与が禁じられていた事実である旨記載しているところ,これは,平成12年6月ころ,乙6文献が既に日本国内で頒布されていたことを原告自身が認めていることにほかならない。 (ウ) 加えて,「INNER じられていた事実である旨記載しているところ,これは,平成12年6月ころ,乙6文献が既に日本国内で頒布されていたことを原告自身が認めていることにほかならない。 (ウ) 加えて,「INNERVISION」平成13年10月号(乙42)には,大阪大学医学部附属病院放射線部で「Plug’nViewZEUSVer.3.0」が使用されていることが記載されているところ,上記ソフトウェアは,「ソフトウェア使用許諾契約書」(甲34)及び「共同開発及び販売契約書」(甲35)から明らかなとおり,乙6ソフトウェアと同一のものであるから,遅くとも,乙6ソフトウェアは,上記雑誌発行時点である平成13年10月の時点で公然と実施されていたものであり,乙6ソフトウェアのマニュアルである乙6文献も,上記時点で頒布されていたものである。 (エ) なお,原告は,医療機関における取扱慣習等を根拠に,乙6ソフトウェアの使用許諾を受けた医療機関は,同ソフトウェアの使用に当たり,乙6文献の秘密保持義務を負っていたと主張するが,本件特許出願当時に医療機関においてそのような慣習が存在したことを示す証拠はなく,乙6ソフトウェアの使用許諾契約(甲34)上も,乙6文献の開示等を禁止する条項は存在しない。なお,被告らは,実際に,乙6ソフトウェアの納入を受けた医療機関から乙6文献及び乙6ソフトウェアの開示を受けている。また,原告は,「PlugnView 3D のエンドユーザーライセンス」との書面を準備書面に添付して,乙6ソフトウェアの購入者には乙6文献の秘密保持 義務が課されていた旨も主張するが,上記書面は乙6文献の開示を禁止する内容のものではない上,乙6ソフトウェアは,エンドユーザーのみならず,販売代理店にも頒布されていたものであり,販売代理店らが秘密保持義 課されていた旨も主張するが,上記書面は乙6文献の開示を禁止する内容のものではない上,乙6ソフトウェアは,エンドユーザーのみならず,販売代理店にも頒布されていたものであり,販売代理店らが秘密保持義務を課されていたことを示す証拠はない。 (オ) したがって,乙6文献は,本件特許出願前に日本国内で頒布された刊行物に該当する。 オ(ア) 乙6文献に相違点1に係る構成が開示されていること乙6文献は,医療関係機関における放射線画像検査を支援するソフトウェア(PlugnView3D)のためのユーザーガイドであり,乙6文献の88頁以下には,上記ソフトウェアが,別紙「乙6文献抜粋」に表示されているカラー/不透明度設定ボックスを表示することにより, 表示装置上に描画される生体組織の3D画像の色度及び不透明度を下記aないしcのとおりコントロールする機能を有することが開示されている。 a 上記「カラー/不透明度設定ボックス」には,点線によって表示されたインターフェースによって区切られた,「データ範囲のサブセットをそれぞれカバーする5つのバンド」(88頁10~11行目)が表示されているところ,乙6文献には「バンドのサイズとそのデータの範囲を横切る位置は点線のインターフェースの位置によって決まります。」(89頁8~9行目)と記載されており,上記「カラー/不透明度設定ボックス」の「位置」入力欄(上記ボックスの右側の各表示のうち,「位置」の記載の右側・「⑧」の記載の左側に表示された4つの数値入力フィールド)に位置パラメータとして4つの値を入力することにより,上記点線インターフェイスの位置が決定される。 b 上記「カラー/不透明度設定ボックス」の「不透明度値」入力 欄(上記ボックスの右側の各表示のうち,「不透 値を入力することにより,上記点線インターフェイスの位置が決定される。 b 上記「カラー/不透明度設定ボックス」の「不透明度値」入力 欄(上記ボックスの右側の各表示のうち,「不透明度」の記載の右側・「⑥」の左側に表示された5つの数値入力フィールド)に数値を入力することにより,バンド内の不透明度を設定することができる。 c 乙6文献に,「組織の色を変えるには,要求されるバンドに相当するカラーバー区分をクリックしてください。カラー・ボックスから色を選択するか,または自分で色を定めてください。」(89頁5~7行目)と記載されているとおり,上記「カラー/不透明度設定ボックス」の「カラーバー」(上記ボックスの右側の各表示のうち,「⑦」の記載の左側に表示されたバー)はバンドの長さで区分されており,上記カラーバー区分をクリックすることで,上記カラーバー区分毎にそのデータ範囲にある生体組織を着色する色を表示し,任意の色に変更できる。 以上のとおり,乙6文献には,データ範囲のサブセットをそれぞれカバーする5つのバンドを設定し(上記a),各バンド区間について色度及び不透明度を設定する構成(上記b及びc)が開示されているところ,乙6文献の「バンド」を設定することは本件特許発明1の「画像データ値の値域を複数の小区間に分割」することに相当し,バンド区間について色度及び不透明度を設定することは,本件特許発明1の「該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき,前記色度および前記不透明度を設定」することに各相当する。 したがって,乙6文献には,相違点1に係る構成が開示されている。 (イ) 乙6文献に相違点2に係る構成が開示されていることa 乙6文献の89頁には,「インターフェース 。 したがって,乙6文献には,相違点1に係る構成が開示されている。 (イ) 乙6文献に相違点2に係る構成が開示されていることa 乙6文献の89頁には,「インターフェースの彩度を決めるこ とでバンド間の変化を修正することができます。インターフェースに対応する『彩度』ボックスに数値を入力してください。彩度値が低い場合は重要なレンジに渡って2つの色が混合され,バンド間の推移がゆるやかになります。彩度値が高いときにはカラーの混合はほとんど見られず,推移が急になります。」(89頁13~17行目)と記載されており,前記「カラー/不透明度設定ボックス」の「鮮明度」入力欄(上記ボックスの右側の各表示のうち,「鮮明度」の記載の右側・「⑨」の左側に表示された4つの数値入力フィールド)に数値を入力することにより,上記数値に応じて,隣接するバンド区間で色度の変化が「重要なレンジ」に渡って制御されること及び上記「重要なレンジ」がバンド区間内に設定されることが開示されている(乙6は,「彩度値」と「鮮明度」という異なる用語を用いているが,「鮮明度」フィールドの右横に符号⑨が付され,かつ,⑨の説明として「バンドインターフェイスの彩度値」とされていることから,「彩度値」と「鮮明度」は同一の意義を有するものである。)。 上記のとおり,バンド区間内に「重要なレンジ」を設定することは,本件発明1における「前記小区間内に補間区間を設定」することに相当する。また,「重要なレンジに渡って2つの色が混合され,バンド間の推移がゆるやかに」なる状態とするための画像処理は,本件発明1の「該補間区間において」色度を連続的に変化させることに相当する。 b また,乙6文献には,「彩度値はまたそれぞれのインターフェースで不透明度の傾斜を限定しま 態とするための画像処理は,本件発明1の「該補間区間において」色度を連続的に変化させることに相当する。 b また,乙6文献には,「彩度値はまたそれぞれのインターフェースで不透明度の傾斜を限定します。」(89頁右側「注」)と記載されており,彩度は各インターフェース(各バンド間の境界線部分)で不透明度にも変化を与えることが理解されるところ, 上記「カラー/不透明度設定ボックス」上,色度及び不透明度について別個の鮮明度を設定できるようになっていないことにかんがみれば,当業者であれば,上記「彩度値」は,色度と不透明度のために共通に設定される値であり,彩度値の大小により,「重要なレンジ」に渡って色度のみならず不透明度の推移が制御されるものであることを当然に理解可能であるというべきである。 c したがって,乙6文献には,彩度値(鮮明度)を設定することにより,色度及び不透明度を「重要なレンジ」に渡って連続的に変化させる構成が実質的に開示されているものであり,これは,本件発明1の「前記色度及び前記不透明度を,該補間区間において前記画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」ことに相当し,乙6文献には,相違点2に係る構成が開示されている。 カ以上のとおり,本件発明1と乙5発明との相違点に係る構成は,乙6文献に全て開示されている。 乙5発明及び乙6文献に開示された技術は,いずれも,医療用画像診断において,ボリュームレンダリング手法を用いて人体等の生体組織を三次元表示する画像処理に関するものであって,共通の技術分野に属し,かつ,課題を共通にするものであり,また,いずれも色及び不透明度の設定処理に係る機能である点で,機能及び作用を共通にするものである。 なお,乙6文献には「カラーボリューム・スクリーンはとくに異なる組織によっ 共通にするものであり,また,いずれも色及び不透明度の設定処理に係る機能である点で,機能及び作用を共通にするものである。 なお,乙6文献には「カラーボリューム・スクリーンはとくに異なる組織によって構成される人体構造の特徴を識別するために使用されます」(88頁)との記載があるところ,原告は,上記記載に関し,人体を構成する組織のうち異なる組織であっても,そのデータ値が互いに小さい組織間の分別可視化という課題には触れられていないと主張するが,当業者であれば,データ値の差が互いに小さい組織間の違 いを可視化することは,上記記載から自明な課題というべきであり,データ値の差が互いに小さい組織間の分別可視化という課題についても,乙6文献に実質的に記載又は示唆されているものである。 したがって,本件発明1と乙5発明及び乙6文献に開示された技術は,解決課題も共通にするものである。なお,特開2000-287964号公報(乙19。以下「乙19文献」という。)及び特開2001-95795号公報(乙20。以下「乙20文献」という。)の記載内容にかんがみれば,本件特許出願時点で,画像データ値の差が互いに小さい生体組織間で色度及び不透明度を一定値に設定してしまうと3次元画像を正確に作成できなくなってしまうという課題があり,画像データ値の差が小さい組織間の違いを可視化させる必要があったことは当事者に既知の事項であって,当該課題設定が新規なものに当たることもない。 以上によれば,乙5文献に記載された三次元画像処理方法に乙6文献に開示された色度及び不透明度の設定又は変更のための機能を適用することは,本件特許出願当時における当業者であれば容易になし得たものである。 また,本件発明1の効果も,乙5発明及び乙6文献から予測できる効果以上のものはな 又は変更のための機能を適用することは,本件特許出願当時における当業者であれば容易になし得たものである。 また,本件発明1の効果も,乙5発明及び乙6文献から予測できる効果以上のものはない。 したがって,本件発明1は,乙5発明及び乙6文献に記載された技術に基づいて,本件特許出願時に当業者が容易に発明することができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであって,無効審判により無効とされるべきものに当たる。 (2) 乙6文献及び周知技術に基づく本件発明1の進歩性欠如の無効主張についてア本件発明1は,乙6文献に記載された発明(以下「乙6発明」とい う。)に周知技術を適用することにより,当業者が容易に発明することができたものである。 イすなわち,乙6文献に,データ範囲のサブセットをそれぞれカバーする5つのバンドを設定し,各バンド区間について色度及び不透明度を設定すること及びバンド区間内に「重要なレンジ」を設定し,彩度値(鮮明度)を設定することにより,色度及び不透明度を「重要なレンジ」に渡って連続的に変化させることが開示されていることは前記(1)オで主張したとおりである。 ウ(ア) 本件発明1の構成要件1-Aに係る構成は,放射線医療診断システムにより生体組織を撮影して得られた画像データから可視画像を生成する際に,小区間毎に色度や不透明度を設定して被観察領域を見やすく可視化する従来の医療用可視画像の生成を規定しているにすぎないものである。本件明細書に,「【発明が解決しようとする課題】」として,「従来の医療用可視画像の生成方法では,…画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,各小区間内の画像データ値を有する各空間座標点に対して小区間毎に,各小区間内で一定の値 ようとする課題】」として,「従来の医療用可視画像の生成方法では,…画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,各小区間内の画像データ値を有する各空間座標点に対して小区間毎に,各小区間内で一定の値をとる一定値の色度および不透明度を設定していた」(【0004】欄)と記載されていることからも,構成要件1-Aに係る構成が,本件特許出願当時の公知技術に当たることは明らかである。 また,乙6発明には,データ範囲のサブセットをそれぞれカバーする5つのバンドを設定し,各バンド区間について色度及び不透明度を設定することが開示されているのであって,構成要件1-Aに係る構成が開示されている。 (イ) 乙6文献では,ボリュームレンダリングで医療用画像を生成していることが認識できるが,設定した色度及び不透明度をどのように用いてボクセルを通過する光を画面上に投影させるかに関する具 体的な処理内容については明示的に記載していない。 しかし,本件明細書の【0003】には,従来技術として,「各視線上に位置する各ボクセルに対して決められた色度および不透明度を視線毎に互いに積算し,この積算値を各視線上に位置する2次元平面の画素に反映させて,被観察領域の2次元可視画像に反映させて,被観察領域の2次元可視画像を生成する」との記載があり,かつ,本件発明1の「各視線12上に位置する全ボクセルの各々の色度および不透明度を,アルファブレンディングルールと称される下記(1)の計算式に基づき視線12毎に互いに積算し」(本件明細書【0016】)の記載からみても,アルファブレンディングルールは,少なくとも本件特許出願当時において知られていたものである。このように,本件発明1の構成要件1-Bに係る構成(設定した色度及び不透明度を用いてボクセルを通過する光を画面上に投影する具体 ルールは,少なくとも本件特許出願当時において知られていたものである。このように,本件発明1の構成要件1-Bに係る構成(設定した色度及び不透明度を用いてボクセルを通過する光を画面上に投影する具体的処理内容)は,本件特許出願当時の当業者の周知・慣用技術である。 (ウ) 乙6発明の,データ範囲のサブセットをそれぞれカバーする5つのバンド区間内に「重要なレンジ」を設定し,彩度値(鮮明度)を設定することにより,色度及び不透明度を「重要なレンジ」に渡って連続的に変化させる構成が,本件発明1の構成要件1-Cに係る構成に相当することは,前記(1)オで主張したとおりである。 エしたがって,本件発明1は,乙6発明に周知技術を適用することにより,本件特許出願前に当業者が容易に発明することができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないものであって,無効審判により無効とされるべきものに当たる。 (3) 「VoxarCalscreenTM ユーザーガイド」(乙37)に基づく本件発明1の進歩性欠如の無効主張について ア本件特許出願日前である平成14年4月発行の「VoxarCalscreenTMユーザーガイド」(乙37。以下「乙37文献」という。)には,以下の発明(以下「乙37発明」という。)が開示されている。 A 心臓や冠動脈等の複数種の生体組織が含まれた被観察領域を放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた,3次元空間上の各ボクセルに対応した信号値の分布に基づき,該信号値の値域を5つのバンドに分割し,該バンド毎に,該バンド内の前記信号値に基づき,対応する前記ボクセル毎の色度および不透明度を設定し,この設定された前記ボクセル毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観 つのバンドに分割し,該バンド毎に,該バンド内の前記信号値に基づき,対応する前記ボクセル毎の色度および不透明度を設定し,この設定された前記ボクセル毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観察領域が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する医療用可視画像の生成方法において,C バンドの両側に色度および不透明度が遷移する区間を設定し,該バンドにおいて設定される前記色度および前記不透明度を,該遷移区間においてシャープネスボックス内のパーセンテージの値に応じて遷移させることを特徴とする医療用可視画像の生成方法。 イ乙37発明と本件発明1の対比(ア) 乙37発明の「ボクセル」,「信号値」,「5つのバンド」,「色度および不透明度が遷移する区間」,「前記色度および不透明度を,該遷移区間においてシャープネスボックス内のパーセンテージの値に応じて遷移させる」は,本件発明1の「空間座標点」,「画像データ値」,「複数の小区間」,「補間区間」,「前記色度および前記不透明度を,該補間区間において前記画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」に各相当する。 (イ) そうすると,乙37発明と本件発明1は,本件発明の構成要件1-A及び1-Cに係る構成において同一であり,乙37発明が,本件発明の構成要件1-Bに係る構成(「2次元平面上の各平面座 標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する全ての前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算し,該積算値を該各視線上の前記平面座標点に反映させる」)を有するものかどうか明らかではない点において相違する。 ウ相違点の検討(ア) 本件特許出願当時,ボリュームレンダリングにおけるスペースリーピング及びアーリーレイターミネーション 有するものかどうか明らかではない点において相違する。 ウ相違点の検討(ア) 本件特許出願当時,ボリュームレンダリングにおけるスペースリーピング及びアーリーレイターミネーションの技術が存在したことは争点(1)ア(イ)に関する被告らの主張(4)のとおりであるところ,上記技術は,全ての空間座標点毎の色度及び不透明度を積算する構成が周知技術として存在することを前提とするものであるから,上記相違点に係る構成は本件特許出願当時の周知技術であった。 (イ) 乙5文献には,「垂線上の全ボクセルに対してこの処理を行い,全ボクセルの反射光量の総和を求める」(明細書【0005】)との記載があり,全ての空間座標点毎の色度及び不透明度を積算する構成が開示されており,このことからも,同技術が本件特許出願当時の周知技術であったことが裏付けられる。 (ウ) 当業者が乙37発明に対し上記周知技術を適用することについて阻害事由は何ら存在しないから,本件発明1は,乙37発明及び周知技術によって,当業者が容易に想到することができたものであり,特許法29条2項に違反するものとして,特許無効審判により無効とされるべきものに当たる。 (4) 本件発明2の無効理由についてア本件発明2は本件発明1の従属請求項であり,本件発明1の構成(構成要件2-Aないし2-C)に構成要件2-Dに係る構成を追加したものであるところ,構成要件2-Aないし2-Cについては,前記(1)ないし(3)の主張がそのまま妥当する。 イ構成要件2-Dについて(ア) 特定の生体組織にとって最適な不透明度値(オパシティライン)の設定は,医療従事者等のユーザの経験や勘に依存するところが大きく,特に複数の生体組織が重なり合う部分では,不 Dについて(ア) 特定の生体組織にとって最適な不透明度値(オパシティライン)の設定は,医療従事者等のユーザの経験や勘に依存するところが大きく,特に複数の生体組織が重なり合う部分では,不透明度の設定を複数の生体組織の色度との関係も考慮しながら微妙に調整することが要求されるものである。 したがって,複数の生体組織が重なり合う部分に相当する補間区間の不透明度の設定が試行錯誤を重ねながら調整されることは,当業者であれば容易に想像し得るものであり,このことは,本件特許出願前であっても何ら変わりはない。この場合,不透明度を調整するための調整感度を補間区間で一定にせず,不透明度の大きさに応じて変化可能に構成することは当業者の設計事項又は容易に考え出せる事項である。 (イ) 構成要件2-Dは,不透明度が小さい範囲の調整感度を大きい範囲の調整感度より大きくするものであるが,不透明度が大きいということは,生体組織を通過する光線が生体組織の奥部に到達する前に減衰してしまうことを意味するので,視点から見た生体組織の表面部分が強調されて出力画面に描画されることとなり,調整感度を変えても,出力画面上は大きな変化として現れない。これに対し,不透明度が小さいということは,生体組織の奥部まで光線が通過し,いわゆる透き通った生体組織として描画されることを意味することから,不透明度のわずかな調整がこの透き通った生体内部の見え方に大きく影響を及ぼすことは当業者であれば容易に理解できる事項である。 (ウ) したがって,生体組織の三次元画像の見え方に大きく影響を及ぼしやすい不透明度の小さな範囲の調整感度を比較的大きくするこ とによって調整を行いやすくし,微妙な色の変化を表現した見やすい画像を生成できるよう構成することは,当業者にと に大きく影響を及ぼしやすい不透明度の小さな範囲の調整感度を比較的大きくするこ とによって調整を行いやすくし,微妙な色の変化を表現した見やすい画像を生成できるよう構成することは,当業者にとって設計事項にすぎず,かつ,容易に想到できるものである。 また,構成要件2-Dに係る構成により奏される効果は,従来技術から予測不能な固有のものではない。 ウしたがって,本件発明2は,当業者が容易に想到することができたものであり,特許法29条2項に違反するものとして,特許無効審判により無効とされるべきものに当たる。 (原告の主張)(1) 被告らの主張のうち,事実に関する点は否認し,法的主張は争う。 (2) 乙6文献,乙7文献及び乙37文献が本件特許出願前に頒布された刊行物に当たらないことア被告らは,乙7文献に「2002年2月」との記載があることをもって,乙7文献の更新前のユーザーガイドである乙6文献が同月以前に頒布されたことが裏付けられると主張するが,「2002年2月」との記載から,直ちに,乙7文献が同月に発行された事実は導かれず,同文献の頒布時期は不明である。 イまた,原告は,日本国内における乙6ソフトウェアの共同開発・販売者であり,乙6ソフトウェアを医療機関に販売するに当たって,乙6ソフトウェア及びその付属資料(ユーザーガイドである乙6文献も含む。)に含まれる技術情報を第三者に開示しないことを要請していたところ,本件特許出願当時,医用画像処理ソフトウェア又はシステムを取り扱う医療機関の間では,ライセンスを受けた医用画像処理ソフトウェア又はシステムを第三者に開示しない取扱慣習が確立しており,原告が信頼できる医療機関を厳選して乙6ソフトウェアを販売していたこともあって,乙6ソフト 間では,ライセンスを受けた医用画像処理ソフトウェア又はシステムを第三者に開示しない取扱慣習が確立しており,原告が信頼できる医療機関を厳選して乙6ソフトウェアを販売していたこともあって,乙6ソフトウェアの販売を受けた医療機関は, 少なくとも暗黙に,当該技術情報を開示してはならないことを認識していた。また,乙6ソフトウェアをインストールしたワークステーションはスタンドアロン型のもののみで,乙6文献もワークステーションとともに常にCT操作室・読影室に置かれていたことや,原告が,ライセンス契約を締結した医療機関のみに乙6ソフトウェアを販売しており,ライセンス契約上,他の者に付属書類の閲覧等をさせることが禁じられていたこと,乙6文献に複製を禁ずる旨の記載があるところ,医療機関が,あえて乙6文献を第三者に開示したり貸与したりするメリットはないことからも,本件特許出願当時,乙6文献の秘密性が保たれていたことが裏付けられる。 ウ乙37文献は,「VoxarCalscreenTM」との名称のソフトウェア(以下「乙37ソフトウェア」という。)のユーザーガイドであり,乙374頁目の記述は,乙63頁目の記述の「PlugnView 3D 」をCalscreen」に置き換えたものにすぎないから,乙6のユーザーガイドと同様に,本件特許の出願前に頒布されたとはいえない。また,仮にそうでないとしても,乙37ソフトウェアは,乙6ソフトウェアと同一の環境・形態で使用され,同一内容のライセンス契約を締結することを条件に購入者による使用が許諾されるものであったから,乙6文献と同様に,本件特許出願当時,秘密性が保たれた状態にあった。 エしたがって,乙6文献,乙7文献及び乙37文献は,いずれも,本件特許出願前に頒布された刊行物に当たらない。 たから,乙6文献と同様に,本件特許出願当時,秘密性が保たれた状態にあった。 エしたがって,乙6文献,乙7文献及び乙37文献は,いずれも,本件特許出願前に頒布された刊行物に当たらない。 (3) 進歩性欠如の主張についてア乙5文献を主引例とする本件発明1の無効主張について(ア) 特許法29条2項が定める要件(当業者が先行技術に基づいて当該出願に係る発明を容易に想到することができたか否か)は,先行技術から出発して,出願に係る発明の先行技術に対する特徴点 (先行技術と相違する構成)に到達することが容易であったか否かを基準として判断されるものであるところ,出願に係る発明の特徴点(先行技術と相違する構成)は当該発明が目的とした課題を解決するためのものであるから,容易想到性の客観的判断のためには,当該発明が目的とする課題を的確に把握することが必要不可欠であり,上記把握に当たって,その中に解決手段又は解決結果の要素が入り込むことがないよう留意することが必須である。また,先行技術の内容の検討に当たっても,当該発明の特徴点に到達できる試みをしたであろうという推測が成り立つのみでは十分ではなく,当該発明の特徴点に到達するためにしたはずであるという示唆が存在する必用がある(知財高判平成21年1月28日参照)。 (イ) 本件明細書によれば,軟組織と血管のように,CT値の差が互いに小さい生体組織間の場合,CT値の違いによって両者を完全に分別することができず,両組織の違いを明確に認識できるような可視化が困難という問題があったところ(【0005】),本件発明1が分割された小区間内に補間区間を設け,色度及び不透明度を画像データ値に応じて連続的に変化させるという構成を採用したのは,上記課題を解決し,生体組織間の 題があったところ(【0005】),本件発明1が分割された小区間内に補間区間を設け,色度及び不透明度を画像データ値に応じて連続的に変化させるという構成を採用したのは,上記課題を解決し,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現しつつ相異なる生体組織を明確に区別可能にするという結果を達成するためのものである。 (ウ) 乙5文献には,そもそも画像濃度値を小区間に分割するという記載がなく,補間区間の記載もないのであって,この点について示唆等がされているとは認められない。また,乙5文献には,人体,注目組織及び線量分布を重ね合わせて三次元表示する技術文献における画像濃度値と不透明度の一次線形関係を示す図6が掲載されているのみであり,本件発明1の技術課題が示されているものではな い。 また,乙6文献には,「カラーボリューム・スクリーンはとくに異なる組織によって構成される人体構造の特徴を識別するために使用されます。」(88頁)と記載されているが,これは,異なる組織によって構成される人体構造の特徴を識別することを述べるにとどまり,人体を構成する組織であっても,そのデータ値の差が互いに小さい組織間の分別可視化という課題に触れるものではない。また,乙6文献には,「適切な色を選択し,それぞれのバンドの不透明度を変えることによって目に見える組織のバランスをとることができます。」(90頁)との記載があるが,これも,単に,目に見える組織のバランスをとることに触れているだけで,データ値の差が互いに小さい生体組織間の違いを明確に認識できるように可視化させるという本件発明1の課題に触れるものではない。加えて,乙6文献に「3Dでの映像化セッティングは,ほかの部分を完全に透明にする事があり,その場合目に見えなくなります。ユーザーは目的に応じて必要な せるという本件発明1の課題に触れるものではない。加えて,乙6文献に「3Dでの映像化セッティングは,ほかの部分を完全に透明にする事があり,その場合目に見えなくなります。ユーザーは目的に応じて必要な部分が表示されるよう,その都度セッティングを確認して下さい。」,「…人体の必要な部分を露出させるためにデータのその他の部分を隠す機能があります。この作業を行った場合には,表示された画像を読みとる際に必ずそれを考慮して下さい。」(いずれも4頁)との記載があることからすれば,乙6ソフトウェアが,本件発明1の課題とは異なる目的の製品であることが推認される。 なお,被告らは,乙19文献及び乙20文献を挙げて,色度及び不透明度を一定に設定した場合に,CT値がオーバーラップする対象物間の識別が困難であったことは既知の事項であったと主張するが,乙19文献には上記問題点を小区間への分割及び補間区間の設 定により解決することについての示唆がなく,乙20文献には従来技術では透明率・色調等の値が画一的であることが記述されているのみであって,いずれも,本件発明に至る動機付けを示していない。 したがって,乙6文献は,本件発明1の課題に触れるものでなく,乙6文献から,当業者が小区間への分割,補間区間の設定,色度及び不透明度の連続的変化という本件発明の特徴点に到達できる試みをしたであろうことは推測できず,かつ,当該特徴点に到達するためにしたはずであるという示唆等も認められないから,乙5発明に乙6文献に開示された技術を組み合わせて本件発明1に容易に想到できたものとは考えられない。 イ乙6文献を主引例とする本件発明1の無効主張について乙6文献に本件発明1の課題が触れられておらず,乙6文献から,当業者が本件発明1の特徴点に到達できる試みをし 考えられない。 イ乙6文献を主引例とする本件発明1の無効主張について乙6文献に本件発明1の課題が触れられておらず,乙6文献から,当業者が本件発明1の特徴点に到達できる試みをしたであろうことが推測できず,かつ,当該特徴点に到達するためにしたはずであるという示唆等も認められないことは前記アのとおりであるから,乙6発明に周知技術を組み合わせて本件発明1に容易に想到できたものとは考えられない。 ウ本件発明2の無効主張について構成要件2-Aないし2-Cについては上記ア及びイと同様の点が指摘できるところ,構成要件2-Aないし2-Cに示される技術を前提に事後分析的な思考を排除すれば,本件発明2が容易想到であったものとは認められない。 12 争点(4)(原告による損害賠償請求の可否及び損害額)(原告の主張)(1) 原告代表者による損害賠償請求権の譲渡原告代表者は,平成21年6月3日,原告に対し,原告代表者の被告 らに対する本件特許権侵害に基づく損害賠償請求権(平成21年4月28日までのもの)を譲渡した。 (2) 損害額(特許法102条1項)ア被告製品の譲渡数量被告製品は平成20年7月に販売が開始されたものであるが,被告らは,平成21年3月時点で,医療用画像データを相互にやり取りすることを可能とする「SYNAPSE」との名称のシステムを全国1080施設に導入したとのことであり(甲4),上記時点までに,上記システムの一部として,被告製品を相当数販売したものと考えられる。また,被告らの営業担当従業員は,医療機関に対し,平成21年4月までに被告製品を50台以上販売した旨話している上,大阪医科大学附属病院は,被告製品を4台(ワークステーションタイプ2台,サーバタイプ また,被告らの営業担当従業員は,医療機関に対し,平成21年4月までに被告製品を50台以上販売した旨話している上,大阪医科大学附属病院は,被告製品を4台(ワークステーションタイプ2台,サーバタイプ2台)導入しており(甲5),被告は,平成21年2月までに,上記大阪医科大学附属病院を含めた計19施設に被告製品を導入したとのことであり(甲27),大阪医科大学附属病院以外の各施設における被告製品導入台数が各1台にとどまるとしても,被告製品の販売台数は合計23台となる。これらの事情を考慮すると,被告らは,平成21年4月28日までに,被告製品を少なくとも20台販売したものと考えられる。 イ原告は,「アゼバーチャルプレイス」との名称で,医療用画像解析システムに用いるワークステーションを製造販売しており,上記製品は,被告らによる本件特許権侵害がなければ販売することができた物に当たるところ,上記製品の1台当たりの利益は200万円である。 ウしたがって,平成21年4月28日までの本件特許権侵害による損害額は4000万円となる(特許法102条1項)。 (被告らの主張) (1) 原告の主張のうち,事実に関するものは否認し,法的主張は争う。 (2) 原告代表者から原告に対する損害賠償請求権の債権譲渡について,被告らに通知はされていないから,原告は,債権譲渡の対抗要件を備えていない。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)ア(ア)(被告方法は構成要件1-Aを文言充足するか。)について(1) 構成要件1-Aの解釈ア本件発明1のうち,構成要件1-Aに関する本件明細書の記載は次のとおりである。 (ア) 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,CT(computedtomogr 解釈ア本件発明1のうち,構成要件1-Aに関する本件明細書の記載は次のとおりである。 (ア) 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,CT(computedtomography),MRI(magneticresonanceimaging),核医学,CR(computedradiography),DSA(digitalsubtractionangiography),DR(real-timeradiography)等の放射線診断システムを用いて断層撮影された医療用画像から得られたCT値等の画像データ値に基づき,肝臓,膵臓などの臓器や血管および腫瘍等の複数種の生体組織を含む腹部や頭部等の被観察領域の可視画像を,CG(computergraphics)処理等を用いて生成する医療用可視画像の生成方法に関するものである。 (イ)【0002】【従来の技術】近年,腹部等の被観察領域をCT等の放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた医療用画像から,被観察領域を見やすく可視化した可視画像を生成して,この可視画像を対患者や学術用としての説明に使用したり,手術計画を 立てたりするなどの様々な目的で使用したいという需要が高まっている。 (ウ) 【0003】従来,CG処理により,このような可視画像を生成するための手法として,ボリュームレンダリング(volumerendering)法と称される手法が知られている。このボリュームレンダリング法を用いた医療用可視画像の生成方法では,まず,断層撮影領域に対応した3次元空間の各空間座標点を構成するボクセルを用いて,被観察領域を断層撮影して得られたCT値等の画像データ値の空間分布を表す。次に,投影用の2次元平面の各平面座標点を構成する画素(ピクセル)と視 た3次元空間の各空間座標点を構成するボクセルを用いて,被観察領域を断層撮影して得られたCT値等の画像データ値の空間分布を表す。次に,投影用の2次元平面の各平面座標点を構成する画素(ピクセル)と視点(投影中心)とを結ぶ視線を想定し,各視線上に位置する各ボクセルの画像データ値に基づき,ボクセル毎にその色度(どのような色を持たせるかの度合)および不透明度(どの程度透けて見えるかの度合)を決める。そして,各視線上に位置する各ボクセルに対して決められた色度および不透明度を視線毎に互いに積算し,この積算値を各視線上に位置する2次元平面の画素に反映させて,被観察領域の2次元可視画像を生成する。 (エ) 【0004】【発明が解決しようとする課題】ところで,上述した従来の医療用可視画像の生成方法では,断層撮影により得られた画像データ値が,生体組織毎に特有の分布状態を有することを利用して,得られた全画像データ値の分布(ヒストグラム)に基づき,画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,各小区間内の画像データ値を有する各空間座標点に対して小区間毎に,各小区間内で一定の値をとる一定値の色度および不透明度を設定していた。 (オ) 【0005】しかし,このような色度および不透明度の設定方法には,次のような問題がある。すなわち,図5(A)に示す骨と軟組織のように,画像データ値(CT値)の差が互いに大きい生体 組織間の場合には,CT値の違いによって両者を完全に分割することができるので,同図(B)に示すように,各小区間毎に一定値の色度および不透明度を設定しても,両組織の違いを認識できるような可視化が可能であるが,図6(A)に示す軟組織と血管のように,CT値の差が互いに小さい生体組織間の場合は,CT値の違いによって両者を完全に分別することができない ても,両組織の違いを認識できるような可視化が可能であるが,図6(A)に示す軟組織と血管のように,CT値の差が互いに小さい生体組織間の場合は,CT値の違いによって両者を完全に分別することができない。このため,例えば同図(B)に示すように,両者の分布が互いに重なる位置において両者を分別するような小区間を設定した上で,各小区間にそれぞれ一定値の色度および不透明度を設定していたが,このような方法では両組織の違いを明確に認識できるような可視化が困難であった。 (カ) 【0007】本発明は,このような事情に鑑みてなされたものであり,放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた画像データ値に基づき,…相異なる生体組織を明確に区別することが可能な可視画像を生成し得る医療用可視画像の生成方法を提供することを目的とする。 (キ)【0009】上記生体組織とは,肝臓,肺等の内容や,心臓,血管等の循環器,脳等の神経系などの動物の器官,骨組織および腫瘍等の病変部等を指す。…(ク) 【0010】【発明の実施の形態】以下,本発明の実施形態について,図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る医療用可視画像の生成方法における画像データ値の処理手順の概要を示す図,図2は画像データ値の値域内に設定された小区間における色度と不透明度の設定手順の概要を示す図である。なお,以下の説明では,肝臓等の臓器や血管,骨等の複数種の生体組織を含んだ腹部を,CT装置により断層撮影して得られたCT値に基づいて,その可視画像を生成する場合を例にとって説明する。 (ケ) 【0011】図1に示すように本実施形態方法では,まず,断層撮影領域に対応した3次元空間K3の各空間座標点を構成するボクセルを用いて,CT装置により得られた腹部のCT値(画像デー (ケ) 【0011】図1に示すように本実施形態方法では,まず,断層撮影領域に対応した3次元空間K3の各空間座標点を構成するボクセルを用いて,CT装置により得られた腹部のCT値(画像データ値)の空間分布を表す。 (コ)【0012】次に,得られたCT値の値域を,CT値の頻度分布(2次元ヒストグラム)を参考にして複数の小区間に分割し,この小区間毎に,各小区間内のCT値に対応する色度(R,G,Bそれぞれ0~255の範囲内の値をとる)および不透明度(0~1の範囲内の値をとる)を設定する。このとき従来方法では,小区間毎に各区間内で一定の値をとる一定値の色度および不透明度を設定するが,本実施形態方法では,以下の手順により色度および不透明度を設定する。 (サ) 【0013】図2に示すようにCT値の値域内に,境界線Lによって互いに隔てられた小区間A1と小区間A2が設定された場合を例にとって説明する。まず,小区間A1,A2の基準色度C1,C2と基準不透明度D1,D2とをそれぞれ設定する。図2に示す例では,小区間A1の基準不透明度D1を0に,小区間A2の基準不透明度D2を1に設定した場合を示している。次に,境界線Lと重なる位置に補間区間Bを設定し,この補間区間B内における色度および不透明度を決定するための,CT値と色度との関係を定める色度関数およびCT値と不透明度との関係を定める不透明度関数とを設定する。 図2に示す例では,色度関数に関しては基準色度C1,C2との間を線形的に補間する比例関数が設定され,不透明度関数に関しては基準不透明度D1,D2との間を線形的に補間する比例関数が設定された場合を示している。 (シ) 【0018】図3に本実施形態方法により生成された腹部の可 視画像の一例を比較例と共に示す。同図( 明度D1,D2との間を線形的に補間する比例関数が設定された場合を示している。 (シ) 【0018】図3に本実施形態方法により生成された腹部の可 視画像の一例を比較例と共に示す。同図(A)に示されているのが,本実施形態方法により生成された可視画像であり,同図(B)に示されているのが,従来方法と同様に,各小区間の境界において段階的に色度および不透明度を変化させ,各小区間内においては色度および不透明度を一定の値に設定するようにして生成された可視画像である。 (ス) 【0019】図3に示すように,本実施形態方法により生成された可視画像においては,肝臓領域を薄く可視化しながら,内部の血管も描写しつつ両者を明確に分別して認識することが可能であり,また比較例と比べて微妙な色変化を表現できているなど,高品質な画像が得られることが確かめられた。 (セ) 【図2】(本件明細書6頁の【図2】のとおり。)イ(ア) 本件明細書の上記記載によれば,従来技術として,次の記載がある。CT,MRI等の放射線診断システムによる生体組織の断層撮影結果を3次元画像処理し,医療用可視画像を生成するための方法として,ボリュームレンダリング法と呼ばれる方法が知られており,これは,画像データ値によって示されるCT,MRI等の断層撮影結果(断層撮影方法により,CT値,MRI信号値等をそれぞれ指すことになる。)の空間分布を空間座標点(「ボクセル」ともいう。)を用いて表した上で,上記ボクセル毎に色度及び不透明度を設定し,上記色度及び不透明度につき積算処理を行い,その結果を2次元平面の画素に反映させて行われるものである(上記ア(ウ))。そして,従来は,ボリュームレンダリング処理のための各ボクセルへの色度及び不透明度の設定につき,画像データ値が生体組 い,その結果を2次元平面の画素に反映させて行われるものである(上記ア(ウ))。そして,従来は,ボリュームレンダリング処理のための各ボクセルへの色度及び不透明度の設定につき,画像データ値が生体組織毎に特有の分布状態を有することを利用し,得られた全画像データ値の分布(ヒストグラム)に基づき,画像データ値の値域を複 数の小区間に分割し,該小区間毎に,各小区間内で一定値をとる色度及び不透明度を設定する方法によってなされていた(上記ア(エ))。当該方法では,画像データ値の差が互いに小さい生体組織間の場合に,両組織の違いを明確に認識できるような可視化が困難であるという問題点があった(上記ア(オ))。 (イ) 上記従来技術に関する本件明細書の記載に照らせば,構成要件1-Aは,上記従来技術の内容を構成要件化したものと認められる。 以下,構成要件1-Aを「複数種の生体組織が含まれた被観察領域を放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた,」の部分(以下「構成要件1-A前段」という。),「3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し」の部分(以下「構成要件1-A中段」という。),「この設定された前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観察領域が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する医療用可視画像の生成方法において」の部分(以下「構成要件1-A後段」という。)に分けて検討する。 ウ構成要件1-A前段の意義(ア) 構成要件1-A前段は,「複数種の生体組織が含まれた被観察領域を放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた,」 1-A後段」という。)に分けて検討する。 ウ構成要件1-A前段の意義(ア) 構成要件1-A前段は,「複数種の生体組織が含まれた被観察領域を放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた,」である。 (イ) 上記本件明細書(特に【0001】,【0002】,【0007】,【0009】)の記載に照らせば,構成要件1-A前段の「複数種の生体組織が含まれた被観察領域を放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた,」とは,「複数の相異なる生体組織が含まれた放射線診断の対象となる領域を,CT等の放射線医療 診断システムにより断層撮影して得られた,診断対象領域の」を意味するものと解するべきである。 (ウ) 被告らは,構成要件1-Aの「被観察領域」とは,例えば頭部についていえば,複数の生体組織領域(頭蓋骨,脳,目玉,舌)の全てを意味するものであると主張する。 しかし,本件明細書の【発明の詳細な説明】によれば,本件発明1は,「複数種の生体組織を含む腹部や頭部等の被観察領域」(【0001】)について,従来技術と同様,「被観察領域を見やすく可視化した可視画像を生成して,この可視画像を対患者や学術用としての説明として使用したり,手術計画を立てたりするなどの様々な目的に使用したいという需要」(【0002】)に応える技術であると解される。そして,本件発明1は「CT等の放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた医療用画像から,被観察領域を見やすく可視化した可視画像を生成」(【0002】)するに当たり,「生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別することが可能な可視画像を生成し得る医療用可視画像の生成方法を提供することを目的とする」(【0007】)ものであり,可視画像を生成すべき「生体組織」と 感を表現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別することが可能な可視画像を生成し得る医療用可視画像の生成方法を提供することを目的とする」(【0007】)ものであり,可視画像を生成すべき「生体組織」として「肝臓,肺等の内臓や,心臓,血管等の循環器,脳等の神経系などの動物の器官,骨組織および腫瘍等の病変部等」(【0009】)の様々な生体組織が挙げられている。そうすると,このような様々な需要及び目的に照らせば,生体組織領域全体を「被観察領域」として観察する場合もあれば,生体組織の一部を「被観察領域」として観察する場合もあると解するのが相当である。 したがって,構成要件1-A前段の上記文言が,被観察領域に含まれる種々の生体組織の全てを可視化することを意味するものとは 解することができず,被告らの主張を採用することはできない。 なお,被告らは,上記と同様の理由から,「3次元空間」についても,上記被告らが主張する意味での「被観察領域」を含み,さらには,「被観察領域」及びその外の空気領域を含むと主張するが,上記「被観察領域」についての判断と同様の理由により,被告らの主張を採用することはできない。 エ構成要件1-A中段の意義(ア) 構成要件1-A中段は,「3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し」である。 (イ) 前記本件明細書の記載(特に【0004】,【0007】)に照らせば,構成要件1-A中段の「3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間毎に,該小区間内の前記画像デー 【0007】)に照らせば,構成要件1-A中段の「3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間毎に,該小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を設定し」とは,ボリュームレンダリング処理を行うための各ボクセルへの色度及び不透明度の設定方法のうち,従来技術における方法,すなわち,3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値が生体組織毎に特有の分布状態を有することを利用し,得られた全画像データ値の分布(ヒストグラム)に基づき,画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間毎に,各小区間内で一定値をとる色度及び不透明度を設定することを示したものであり,「小区間」とは,画像データ値の値域を分割した区間であって,当該区間毎に一定値の色度及び不透明度の設定を行うことができる区 間を意味するものと解するのが相当である。 (ウ) 上記のうち,「3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し」の部分についてふえんすると,本件明細書には,前記ア(エ)及び(オ)のとおり,従来技術において,断層撮影によって得られた画像データ値が生体組織毎に特有の分布状態を有することを利用し,得られた全画像データ値の分布に基づき小区間への分割を行い,小区間毎に一定値の色度及び不透明度を設定することで,CT値の差が互いに大きい生体組織については,両者の違いを認識できるような可視化が可能であったことが示されている。したがって,上記文言の技術的意義は,小区間への分割を当該生体組織特有の画像データ値の分布に関連付けて行うことで,少なくとも画像データ値の差が互いに大きい生体組織間におい あったことが示されている。したがって,上記文言の技術的意義は,小区間への分割を当該生体組織特有の画像データ値の分布に関連付けて行うことで,少なくとも画像データ値の差が互いに大きい生体組織間においては,その違いを認識できるような可視化を可能とすることにあるものと解されるのであって,上記文言は,小区間への分割が,当該生体組織の断層撮影結果に係る画像データ値の分布(「ヒストグラム」)を利用し,これと関連付けて行われることを意味するものと解するのが相当である。また,本件明細書に,本件発明の実施例として,「得られたCT値の値域を,CT値の頻度分布(2次元ヒストグラム)を参考にして複数の小区間に分割し」との記載(上記ア(コ))があることにかんがみれば,上記関連付け及び分割は,機械的自動的に行われるものに限定されるものではなく,人がヒストグラムを参考にして分割を行うことも含むものと解される。 以上の点に関し,被告らは,本件発明1の特許請求の範囲の記載において,上記関連付け及び小区間への分割を行う主体を特定する記載がないことなどを挙げ,「画像データ値の分布に基づき,該画 像データ値の値域を複数の小区間に分割し」との文言は,機械的自動的に行われるものに限定して解釈されるべきであると主張し,上記のように解さない限り,本件発明は,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されるものに当たらず,特許性を欠くものとなると主張する。 しかし,本件明細書の記載上,構成要件1-Aが,画像データ値の分布との関連付け及び分割が人間の動作によって行われる場合を除外するものとは解されないことは前記エ(ウ)のとおりである。また,前記エ(イ)でみたとおり,構成要件1-Aは,画像データ値が生体組織毎に特有の分布状況を有することを機械的に把握し,それに基づい 除外するものとは解されないことは前記エ(ウ)のとおりである。また,前記エ(イ)でみたとおり,構成要件1-Aは,画像データ値が生体組織毎に特有の分布状況を有することを機械的に把握し,それに基づいて小区間の分割を行い,その結果,ボリュームレンダリング処理の前提となる色度及び不透明度の設定に当たり,この機械的に把握された画像データ値を利用することになることを記載したものであり,これは,生体組織の物理的性質を情報処理に当たり利用するものに当たるから,「複数の小区間に分割し」自体が機械的自動的に行われない場合を含むと解したとしても,本件発明が特許性を欠くものとなるとは解されない。 (エ) 上記のうち「該小区間毎に,該小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し」の意義についてふえんする。本件明細書には,前記ア(エ)のとおり,該小区間毎に,各小区間内で一定値をとる色度及び不透明度を設定することが開示されており,また,本件発明の実施例として,CT値の値域を複数の区間に分割し,各区間内で一定の値をとる基準色度及び基準不透明度を設定する方法(上記ア(コ),(サ))が開示されているから,「該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を 設定し」とは,上記のとおり小区間毎に一定値の色度及び不透明度を設定することで,当該小区間によって区切られた値域内の画像データ値を有するボクセルにつき,当該色度及び不透明度を設定することを意味すると解することができる。この点について,原告は,「色度および不透明度を設定し」に関し,色度及び不透明度を別々に設定する場合も含むと主張しているところ,上記主張の趣旨が,「小区間」とは色度のみ若しくは不透明度のみが各別に この点について,原告は,「色度および不透明度を設定し」に関し,色度及び不透明度を別々に設定する場合も含むと主張しているところ,上記主張の趣旨が,「小区間」とは色度のみ若しくは不透明度のみが各別に設定される区間であってもよく,色度若しくは不透明度について共通の区間である必要はないと主張し,又は,小区間内で設定される色度及び不透明度が一定値のものでなくともよいと主張するものであれば,上記エ(イ)でみた,構成要件1-Aの文言,同文言と構成要件1-Cの文言との対比並びに従来技術及び実施例に関する本件明細書の上記記載から理解される構成要件1-Aの意義と整合しないものであり,採用することができない。 オ構成要件1-A後段の意義(ア) 構成要件1-A後段は「この設定された前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観察領域が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する医療用可視画像の生成方法において」である。 (イ) 本件明細書の記載(特に【0001】ないし【0004】)によれば,構成要件1-A後段の「この設定された前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観察領域が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する医療用可視画像の生成方法において」とは,構成要件1-A中段のとおりの従来技術と同様の方法,すなわち画像データ値の分布(ヒストグラム)に基づき,画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間で一定値を とる色度及び不透明度を設定して,ボリュームレンダリング処理を行うための各ボクセルへの色度及び不透明度を設定する方法に基づき設定された各ボクセルの空間座標点毎の色度及び不透明度に基づいて,これを,ボリュームレンダリング法により積算処理を行い,その結果を2次元平面の画素に反映させて可 度及び不透明度を設定する方法に基づき設定された各ボクセルの空間座標点毎の色度及び不透明度に基づいて,これを,ボリュームレンダリング法により積算処理を行い,その結果を2次元平面の画素に反映させて可視画像を生成する方法を意味すると解するのが相当である。 (2) 被告方法の構成要件1-A充足性ア被告方法の内容等証拠(乙3)及び弁論の全趣旨によれば,被告方法は以下のとおりであると認められる。 (ア) 被告方法は,被写体である生体(内臓,骨,神経等の複数の相互に異なる生体組織)をCT装置等により撮像した二次元画像を積層することにより構成される三次元空間の各座標点のデータ(ボクセルデータ)を使用し,このボクセルデータに対し,ボリュームレンダリング処理を実行することにより,医療用の疑似三次元画像(物体を立体的に見えるよう表現した二次元画像)をディスプレイ上に表示させるものである。 (イ) 被告製品においては,下記の方法により,色及びオパシティの設定を行うことができる。 a 被告製品のディスプレイ画面に表示される「カラー編集」タブをクリックすると,テンプレートフレームに別紙「被告製品等説明書(被告)」記載の【図3】の画面(「本件設定画面」)が表示される。 本件設定画面に表示されたグラフ中には,被写体である生体の撮影結果に係る信号値(ボクセルデータ)とその信号値に対する出現頻度をプロットしたヒストグラムが白色線で表示されている。 なお,グラフの横軸は信号値の大きさを表し,グラフの縦軸は,ヒストグラムに関しては出現頻度,後述のオパシティラインに関してはオパシティ値の大きさを表している。 b 色の設定本件設定画面のグラフの下には,棒状の領域(「色指定領域」)が表示されている。上記色指定領 は出現頻度,後述のオパシティラインに関してはオパシティ値の大きさを表している。 b 色の設定本件設定画面のグラフの下には,棒状の領域(「色指定領域」)が表示されている。上記色指定領域は,グラフの横軸に記載された信号値に対応し,当該信号値がボリュームレンダリングにおいて何色で描画されるかを決定するものである。 ユーザーは,グラフ上でマウスをダブルクリックするか,右クリックによりメニューを表示し,メニュー中から「境界線の新規追加」を選択することで,グラフ上の任意の位置に,グラフ縦軸と平行な色境界線を作成することができる。上記色境界線は,色指定領域にも反映され,色境界線を設定することで,色指定領域には,色境界線で区切られた領域(「色境界領域」)が生じることになる。ユーザーは,上記色境界領域をマウスでクリックすることで,「色変更ダイアログ」(別紙「被告製品等説明書(被告)」の【図6】)を表示し,当該色境界領域に割り当てる色を設定・変更することができる。 c オパシティ値(オパシティライン)の設定本件設定画面のグラフ上には,信号値と,その信号値に対するオパシティを示したオパシティラインを黄色の線で表示することができる。なお,オパシティとは,その信号値がどれくらい不透明であるかを意味するものであり,例えば,オパシティが低いほど,当該信号値を持つボクセルはボリュームレンダリングにおいて透明に近くなり,0とすると完全に透明となり(すなわち,ボリュームレンダリング結果において表示されなくなり),1とす ると完全に不透明となり,1から0の間に設定すると半透明となる。 本件設定画面の右側には,上下に合計6個のボタンが表示されており,ユーザーは,ボタンをクリックすることで,オパシティラインの設定モードを選択す 透明となり,1から0の間に設定すると半透明となる。 本件設定画面の右側には,上下に合計6個のボタンが表示されており,ユーザーは,ボタンをクリックすることで,オパシティラインの設定モードを選択することができる。上記設定モードの内容は,ボタンの並びの上から順に,①ユーザーがグラフ上でマウスをドラッグすることにより,任意の形状のラインを設定できるもの,②グラフの色境界線上にオパシティの制御点を配置し,ユーザーが制御点を上下にマウスでドラッグすることにより,オパシティラインの形状を変更できるもの,③グラフ横軸の「0」及び「1」のラインに各1個の制御点を配置し,右肩上がりのオパシティラインを作成できるもの,④グラフ横軸の「0」及び「1」のラインに各1個の制御点を配置し,右肩下がりのオパシティラインを作成できるもの,⑤グラフ横軸の「0」及び「1」のラインに各2個の制御点を配置し,凸型のオパシティラインを作成できるもの,⑥グラフ横軸の「0」及び「1」のラインに各2個の制御点を配置し,凹型のオパシティラインを作成できるものである。 イ被告方法の構成要件1-A前段充足性前記ア(ア)のとおり,被告方法は,被写体である生体(内臓,骨,神経等の複数の相互に異なる生体組織)をCT装置等により撮像して得られた2次元画像を積層することにより構成されるデータを使用し,医療用の疑似三次元画像を表示する方法であり,CT装置等により撮像して得られた,放射線医療診断の対象となる領域についてのものである。このことは,前記ア(イ)aのとおり,被告方法において,本件設定画面上のグラフには,ヒストグラムが白色線で表示さ れるものであり,上記ヒストグラムは,被写体である生体をCT装置等により撮影した結果に基づき,各ボクセルの信号値及びその において,本件設定画面上のグラフには,ヒストグラムが白色線で表示さ れるものであり,上記ヒストグラムは,被写体である生体をCT装置等により撮影した結果に基づき,各ボクセルの信号値及びその出現頻度をプロットしたものであることから明らかである。 そして,前記構成要件1-Aの意義である「複数の相異なる生体組織が含まれた放射線診断の対象となる領域をCT等の放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた,診断対象領域の」に照らせば,被告方法は,構成要件1-A前段の「複数種の生体組織が含まれた被観察領域を放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた,」を充足する。 ウ被告方法の構成要件1-A中段充足性(ア) 被告方法が,構成要件1-A中段「3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度および不透明度を設定し」を充足するかについて検討する。 (イ) 前記のとおり,構成要件1-A中段の意義は,ボリュームレンダリング処理を行うための各ボクセルへの色度及び不透明度の設定方法のうち,従来技術における方法,すなわち,画像データ値が生体組織毎に特有の分布状態を示すことを利用し,得られた全画像データの分布(ヒストグラム)に基づき,画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間毎に,各小区間で一定値をとる色度及び不透明度を設定することであり,小区間とは,画像データ値の値域を分割した区間であって,一定値の色度及び不透明度の設定を行うことができる区間である。 (ウ)a 上記ア(イ)bのとおり,被告製品において,ユーザーは,本件設定画面のグラフ上に,グラフ横 を分割した区間であって,一定値の色度及び不透明度の設定を行うことができる区間である。 (ウ)a 上記ア(イ)bのとおり,被告製品において,ユーザーは,本件設定画面のグラフ上に,グラフ横軸に対し垂直に色境界線 を設定することで,グラフ及び色指定領域内に色境界領域を設定することができるものであるところ,グラフの横軸は信号値データの分布(ヒストグラム)を示すものであるから,被告方法において,色境界線の設定により,信号値の値域が色境界領域毎に分割されることになる。 そして,被告方法における「信号値」は本件発明の「各空間座標点に対応した画像データ値」に相当するものと解されるから,被告方法は,全画像データの分布(ヒストグラム)に基づき,色境界線の設定により,信号値(画像データ値)を色境界領域毎に分割するものである。 したがって,被告方法は「各空間座標点に対応した画像データ値に基づき」「画像データ値の値域」を「分割」することに相当する。 被告製品において設定される色及びオパシティ値は,本件発明1における「色度」及び「不透明度」に各相当するものと認められるところ,ユーザーが,上記のとおり色境界線の設定により分割された色境界領域毎に一定値の色を設定することができるものであることは上記ア(イ)bでみたとおりである。また,ユーザーは,上記ア(イ)cのとおり,6通りのオパシティライン設定モードの中から所望のモードを選択し,上記のとおり選択した設定モードにより,グラフ上にオパシティラインを設定することができるものであるところ,上記ア(イ)cでみた各設定モードのうち,②のボタンによるモード(「制御点モード」)を選択した場合,オパシティラインの制御点は,色境界線上に設定されるものであり,また,その他のモードを選択し ころ,上記ア(イ)cでみた各設定モードのうち,②のボタンによるモード(「制御点モード」)を選択した場合,オパシティラインの制御点は,色境界線上に設定されるものであり,また,その他のモードを選択した場合であっても,ユーザーが任意の数の色境界線を任意の位 置に設定できるものである以上,色境界領域とオパシティラインの設定される領域を一致させることは可能であると解されるから,このような場合,オパシティ値は,色境界領域毎に設定されるものであるということができる。 なお,被告らが,制御点モードにおいて色境界線が新規に設定された場合について,「隣の色境界線上の制御点と同一のオパシティ値を持つ新たな制御点が新たな色境界線上に便宜上暫定的に与えられる。」(平成22年5月26日付け被告ら準備書面(5)の26頁)と主張していることにかんがみれば,制御点モードを選択した場合,制御点は,当初,隣接する色境界線上の制御点と同一のオパシティ値に設定されるものであり,その結果,色境界領域内でオパシティ値は一定値をとることになることがうかがわれる。また,その他の場合においても,ユーザーは,制御点を動かし,またはマニュアルで任意の形状のラインを引くことにより,色境界領域内でオパシティ値を一定値のものとすることが可能であると解されるところである。 そうすると,被告方法における「色境界領域」は,画像データ値の値域を分割した区間であって,当該区間毎に一定値の色度及び不透明度を設定することが可能な区間であると認められるから,本件発明の「小区間」に相当するものであり,グラフ上に色境界線を設定して色境界領域へと分割することは,「画像データ値の値域を複数の小区間に分割」することに相当する。 b 前記(2)ア(イ)のとおり,被告製品において,色境界線の設定を行う グラフ上に色境界線を設定して色境界領域へと分割することは,「画像データ値の値域を複数の小区間に分割」することに相当する。 b 前記(2)ア(イ)のとおり,被告製品において,色境界線の設定を行うグラフ上にヒストグラムが表示されており,色境界線の設定に当たり,ヒストグラムを参照することが動作として自然であると解されることも考慮すれば,被告製品を利用して医 療用可視画像を生成しようとするユーザーは,所望の可視画像を生成するため,通常の場合,ヒストグラムを参照して色境界線の設定を行うものと認められる。 ⅰ この点に関し,被告らは,ヒストグラムは本件設定画面の見栄えを良くするために表示されているものにすぎず,ユーザーがヒストグラムを参照して色境界線の設定を行うことはないと主張し,ヒストグラムが本件設定画面に表示されている理由に関し,被告らの主張に沿う証拠(乙60)を提出するが,被告製品が医療機関において診療等に用いるための医療用可視画像を生成するためのものであって,画面の見栄えが問題となる性質のものではないことなどに照らし,合理性を欠き信用することができない。 ⅱ また,被告らは,そもそも被告製品においてユーザーは本件設定画面を表示せず,ディスプレイ画面上に表示される疑似三次元画像を見ながらマウス操作を行うことにより色及びオパシティ値の調整を行うものであり,本件設定画面上のグラフを表示して色境界線の設定を行うのは例外的な場合であるとも主張する。 しかし,被告らの主張する,マウス操作による色及びオパシティ値の調整とは,色境界線が既に設定されている場合に,これをマウス操作によって移動させて調整する動作であると解されるところ,証拠(乙3,47,60)によっても,被告製品において,本件設定画面を表示することなく色境界線 線が既に設定されている場合に,これをマウス操作によって移動させて調整する動作であると解されるところ,証拠(乙3,47,60)によっても,被告製品において,本件設定画面を表示することなく色境界線を設定することが可能であるとは認められず,むしろ,本件各証拠によれば,被告製品において,色境界線を新規に設定する場合,本件設定画面を表示するほかないことがうかがわ れるのであって,この場合に,通常の場合ユーザーがヒストグラムを参照して色境界線の設定を行うものと解されることは前述のとおりである。 なお,被告らは,被告製品において,ユーザーの便宜のため,被告製品出荷前に,個別の患者のデータとは関係なく,人体の部位の通常のCT値を踏まえて色境界領域,色及びオパシティをテンプレートとしてプリセットしており,ユーザーは,プリセットされた設定を微調整する際にヒストグラムを参照することはないとも主張しており(平成22年5月20日付け被告準備書面(2)の3頁),「ユーザーは本件設定画面を表示せず,ディスプレイ画面上に表示される疑似三次元画像を見ながらマウス操作を行うことにより色及びオパシティ値の調整を行うものである」との被告らの前記主張の趣旨が,プリセットされた色境界線,色及びオパシティをユーザーが調整する場合を想定したものであるとも解される。 確かに,この場合,色境界線の設定は,被告製品の出荷前に行われるものであり,被観察領域である被写体を撮影することにより得られたヒストグラムを参照して行われるものではないと認められるから,ユーザーが上記のとおりプリセットされた色境界線等の設定を利用し,調整を行って疑似三次元画像を生成する場合は,「…画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し」を充足しない。 上記のとおりプリセットされた色境界線等の設定を利用し,調整を行って疑似三次元画像を生成する場合は,「…画像データ値の分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し」を充足しない。 しかし,被告製品において本件設定画面が設けられ,ユーザーが色境界線を新規に設定することができる構成となっている以上,被告方法において,ユーザーが色境界線を設定す るという方法が行われないものとは考えることができず,被告方法において,上記文言を充足する使用態様はあり得るものと解されるところである。 そうすると,上記使用態様以外の使用態様(プリセットされた色境界線等の設定を利用して疑似三次元画像を生成するもの)が存在することは,ユーザーが新規に色境界線を設定する方法に関する本件発明1の充足性を左右するものではないというべきである。 ⅲ さらに,被告らは,仮に,被告方法において,色及びオパシティ値は信号値と関係なく任意に設定されるものであるから,「画像データ値に基づき」設定されるものに当たらないと主張する。 しかし,前記(2)ア(イ)でみたとおり,被告方法において,色及びオパシティ値は,本件設定画面のグラフ上で設定されるものであり,上記グラフの横軸は信号値の大きさを表したものであるから,被告方法における色及びオパシティ値の設定は,信号値の存在する領域において,信号値に対し行われるものであると認められる。また,被告方法における色及びオパシティ値の設定は,ボリュームレンダリング処理に当たり,ボクセルデータに対し色及びオパシティ値を割り当てるために行われるものであるところ,ボクセルデータとは,被写体である生体をCT装置等により撮像された二次元画像を積層することにより構成される三次元空間の各座標点のデータすなわち信号値 値を割り当てるために行われるものであるところ,ボクセルデータとは,被写体である生体をCT装置等により撮像された二次元画像を積層することにより構成される三次元空間の各座標点のデータすなわち信号値を指すものであるから,被告方法における色及びオパシティ値の設定が「画像データ値に基づき」行われるものであることは,この点からも明らかというべきである。 したがって,この点に関する被告らの主張を採用することはできない。 c また,前記(2)ア(ア)のとおり,被告方法は,ボクセルデータに対し,ボリュームレンダリング処理を実行することにより,疑似三次元画像をディスプレイ上に表示させるものであるから,被告方法において本件設定画面上で色及びオパシティ値を設定することは,上記ボリュームレンダリング処理のため,各ボクセルデータに対し色及びオパシティ値を割り当てる作業に当たるものと認められ,色境界領域毎に一定値の色及びオパシティ値を設定することは,本件発明1の「該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度及び不透明度を設定」に相当する。 d 以上によれば,被告方法において,本件設定画面上で色境界線を設定し,これにより分割された色境界領域内において,一定値の色及びオパシティ値を設定することは,構成要件1-A中段の「3次元空間上の各空間座標点に対応した画像データの分布に基づき,該画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間毎に,該各小区間内の前記画像データ値に基づき,対応する前記空間座標点毎の色度及び不透明度を設定し」を充足する。 エ被告製品の構成要件1-A後段充足性(ア) 構成要件1-A後段は「この設定された前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観察領域が2次元 透明度を設定し」を充足する。 エ被告製品の構成要件1-A後段充足性(ア) 構成要件1-A後段は「この設定された前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度に基づき,前記被観察領域が2次元平面上に投影されてなる可視画像を生成する医療用可視画像の生成方法において」である。 (イ) 前記のとおり,構成要件1-A後段の意義は,構成要件1 -A中段のとおりの従来技術と同様の方法,すなわち画像データ値の分布(ヒストグラム)に基づき,画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間で一定値をとる色度及び不透明度を設定して,ボリュームレンダリング処理を行うための各ボクセルへの色度及び不透明度を設定する方法に基づき設定された各ボクセルの空間座標点毎の色度及び不透明度に基づいて,これを,ボリュームレンダリング法により積算処理を行い,その結果を2次元平面の画素に反映させて可視画像を生成する方法を意味すると解するのが相当である。 (ウ) 前記ア(ア)のとおり,被告方法は,被写体である生体をCT装置等により撮像された二次元画像を積層することにより構成される三次元空間の各座標点の画像データ(ボクセルデータ)を使用し,このボクセルデータに対し,ボリュームレンダリング処理を実行することにより,医療用の疑似三次元画像(物体を立体的に見えるよう表現した二次元画像)をディスプレイ上に表示させるものであるところ,被告方法は,上記ウのとおり,ユーザーが色境界線を設定し,色及びオパシティの設定を行う場合であり,かつ,色境界領域内において一定値のオパシティ値を設定する場合において,各ボクセルへの色度及び不透明度を設定するにつき,画像データ値の分布(ヒストグラム)に基づき,画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間で一定値をとる色度及び不透明 設定する場合において,各ボクセルへの色度及び不透明度を設定するにつき,画像データ値の分布(ヒストグラム)に基づき,画像データ値の値域を複数の小区間に分割し,該小区間で一定値をとる色度及び不透明度を設定して,ボリュームレンダリング処理を行うための各ボクセルへの色度及び不透明度を設定する方法を採用しているものと認められるから,被告方法は上記文言を充足する。 (エ) したがって,被告方法は,ユーザーが色境界線を設定し,色及び オパシティの設定を行う場合であり,かつ,色境界領域内において一定値のオパシティ値を設定する場合において,構成要件1-A後段を文言充足する。 2 争点(1)ア(イ)(被告方法は構成要件1-Bを文言充足するか。)について(1) 構成要件1-Bの解釈「全ての前記空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算し」の意義ア 「全ての」とは,一般に,「ことごとく。みな。全部」(広辞苑第5版,乙8)との意味を有するところ,本件発明1の技術的特徴に照らし,技術的見地から上記文言の有する技術的意味につき検討するに,本件明細書には次のとおりの記載がある。 イ(ア) 「【0006】…従来方法では,各視線上に位置するボクセル毎の色度および不透明度を互いに積算する演算過程の高速化を図るため,一部のボクセルに関するデータを間引いて演算を行なっていた。 このため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかった。 (イ) 【0007】本発明は,このような事情に鑑みてなされたものであり,放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた画像データ値に基づき,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現しつつ,相異なる生体組織を明確に 】本発明は,このような事情に鑑みてなされたものであり,放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた画像データ値に基づき,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別することが可能な可視画像を生成し得る医療用可視画像の生成方法を提供することを目的とする。 (ウ) 【0008】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため,本発明の医療用可視画像の生成方法は,…前記2次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する全ての前記平面座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算し,該積 算値を該各視線上の前記平面座標点に反映させる…ことを特徴とするものである。 (エ) 【本発明の実施の形態】【0016】各ボクセルの色度および不透明度を決定した後,図1に示すように,投影用の2次元平面(可視化面)K2(例えば,CCD等の撮像平面やディスプレイ等の画像平面)の各平面座標点を表す画素(ピクセル)と視点(投影中心)10とを結ぶ視線12を想定する。そして,各視線12上に位置する全ボクセルの各々の色度および不透明度を,アルファブレンディングルールと称される下式(1)の計算式に基づき視線12毎に互いに積算し,ボリュームレンダリング法により,この積算値を各視線12毎に互いに積算し,ボリュームレンダリング法により,この積算値を各視線12に位置する2次元平面K2の各画素に反映させて,被観察領域としての腹部の2次元可視画像を生成する。 (オ) 【0017】【数1】 (カ) 【0025】【発明の効果】…可視画像を生成する2次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する全ての空間座標点毎の色度および不透明度を視線毎に互い (カ) 【0025】【発明の効果】…可視画像を生成する2次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する全ての空間座標点毎の色度および不透明度を視線毎に互いに積算し,この積算値を各視線上の平面座標点に反映させるようにしている。このような構成をとることにより,被観察領域内の生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別し得る可視画像を生成することが可能となる。 (キ) 【図1】(本件明細書の【図1】のとおり)」ウ本件明細書の上記各記載によれば,従来技術においては,各視線上に位置するボクセル毎の色度および不透明度を互いに積算する演算過程の高速化を図るため,一部のボクセルに関するデータを間引いて演算を行なっていたため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかったという問題があったところ(上記イ(ア)),本件発明は,2次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する全ての空間座標点毎の色度および不透明度を互いに積算するという方法を採用することで(上記イ(ウ)),被観察領域内の生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現した可視画像を生成することを可能としたもの(上記イ(イ)及び(キ))であるから,本件発明の技術的特徴は,積算処理において視線上のボクセルに関するデータの一部を積算対象から除くことなく,全てのボクセルデータにつき積算処理を行うことにあるというべきである。そうすると,本件発明の技術的意義を技術的見地から検討しても,「全ての」の意義は「ことごとく。みな。 全部」を指すものと解すべきであるということとなるから,「全ての…積算し」とは,視線上のボクセルデータのうち,積算処理から除くもの 技術的見地から検討しても,「全ての」の意義は「ことごとく。みな。 全部」を指すものと解すべきであるということとなるから,「全ての…積算し」とは,視線上のボクセルデータのうち,積算処理から除くものが存在しないことを意味するものと解するのが相当である。上記解釈は,本件発明の実施例において開示された数式(上記イ(オ))が,視線上の全ボクセルの色度及び不透明度を積算の対象とするものであることとも整合するものということができる。 エこの点に関し,原告は,「全ての…積算し」とは,生体組織間の微妙な色感や不透明感の表現を犠牲にすることなく」を意味し,可視化された画像において色感や不透明感の表現に影響しないボクセルの計算を省略することがあっても,なお,「全ての…積算し」に当たると解すべきであると主張するが,上記ウでみた本件発明の技術的意義に沿わず,採 用することができない。 (2) 被告方法の構成要件1-B充足性ア被告方法の内容等証拠(乙3,弁論の全趣旨)によれば,被告方法において,被告ソフトウェアは,ボクセルデータに対しボリュームレンダリング処理を実行することにより,被告製品のディスプレイ画面上に画像を表示させるものであるところ,上記ボリュームレンダリング処理は,下記(ア)及び(イ)の数式により行われるものと認められる。 (ア) 数式1 ( )( )( )()( )( )∑=−=××−+×=TiiiijjVCVVVcV PαααC (イ) 数式2 ( )()epsVT TiiiijjVCVVVcV PαααC (イ) 数式2 ( )()epsVTjj≥−−=C 1 α (ウ) 上記(ア)の数式1の「T」は,上記(イ)の数式2の条件を満たすN(視線上に位置する全ボクセルの数)以下の最大の整数を指し,「eps」は計算打ち切り用の閾値を指す。 イ被告方法の構成要件1-B充足性(ア) 前記(2)ア(ア)ないし(ウ)のとおり,被告方法において,被告ソフトウェアは上記数式1及び2によりボリュームレンダリング処理を実行するものであるところ,上記ア(ア)の数式1の「V」は視線上の各ボクセルのCT値を,αは不透明度関数を,cは色関数を表すものであり,数式1は,視線上のボクセルにつき設定された色及びオパシ ティ値につき積算処理を行うものと認められるから,上記ア(ア)の数式1を用いて行う処理は,本件発明1の「空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算」するものに相当する。 (イ) しかし,前記ア(イ)のとおり,被告方法においては,数式1の積算処理に関し,数式2による閾値の設定がされており,数式1の積算処理は,数式2で設定された閾値に達した時点で打ち切られるものと認められるところ,被告方法においては,上記計算打ち切り処理により,視線上のボクセルデータ中に,積算処理の対象とされないものが存在することが認められる。 そうすると,被告方法は,「全ての」空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算するものに当たらないこととなる。 (ウ) したがって,その余の点について検討 そうすると,被告方法は,「全ての」空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算するものに当たらないこととなる。 (ウ) したがって,その余の点について検討するまでもなく,被告方法は,構成要件1-Bを文言充足しない。これに反する原告の主張は採用しない。 3 争点(1)ア(ウ)(被告方法は構成要件1-Cを文言充足するか。)について(1) 構成要件1-Cの解釈ア 「前記小区間内に補間区間を設定し,該小区間において設定される前記色度および前記不透明度を,該補間区間において前記画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」の解釈構成要件1-Cの上記文言によれば,「補間区間」とは,小区間内に設定される区間であり,かつ,同区間内において色度及び不透明度を画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる区間であると解されるので,まず,「色度および不透明度を,…画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」の意義について検討すると,本件明細書には, 前記第4の1(1)アでみた各記載に加え,構成要件1-Cに関し,以下の記載がある。 (ア) 「【発明の実施の形態】【0013】図2に示すようにCT値の値域内に,境界線Lによって互いに隔てられた小区間A1と小区間A2が設定された場合を例にとって説明する。まず,小区間A1,A2の基準色度C1,C2と基準透明度D1,D2とをそれぞれ設定する。図2に示す例では,小区間A1の基準不透明度D1を0に,小区間A2の基準不透明度D2を1に設定した場合を示している。次に,境界線Lと重なる位置に補間区間Bを設定し,この補間区間B内における色度および不透明度を決定するための,CT値と色度との関係を定める色度関数およびCT値と D2を1に設定した場合を示している。次に,境界線Lと重なる位置に補間区間Bを設定し,この補間区間B内における色度および不透明度を決定するための,CT値と色度との関係を定める色度関数およびCT値と不透明度との関係を定める不透明度関数とを設定する。図2に示す例では,色度関数に関しては基準色度C1,C2との間を線形的に補間する比例関数が設定され,不透明度関数に関しては不透明度D1とD2との間を線形的に補間する比例関数が設定された場合を示している。 (イ) 【0014】この補間区間Bの設定に際しては,まず,境界線Lから左右方向に,それぞれどの程度離れた位置まで補間の対象区間とするかを決める。図2に示す例では,小区間A1の区間幅の約半分に相当する距離d1と,小区間A2の区間幅の約半分に相当する距離d2との分,それぞれの側に離れた区間を補間の対象区間とした場合を示している。次に,この対象区間のうちのどの範囲で補間するのかを決定する。なお,補間の対象区間および対象区間内の補間区間の範囲の決定は,小区間A1,A2内のCT値の分布E1,E2等を参考にして行なう。 (ウ) 【0015】この対象区間内の補間区間を算出するために,対象区間の幅に乗ずる数値のことを鮮明度(0~1の値をとる)と称する ことにすると,この鮮明度を0にした場合は,小区間内で色度と不透明度が変化しない従来方法と同様の設定となる。一方,この鮮明度を1に設定した場合には,上記対象区間の全区間において線形補間を行なうことになり,さらに上記対象区間を小区間A1と小区間A2の全区間に設定した場合には,小区間A1と小区間A2の全区間において補間が行われることになる。なお,図2では,鮮明度を0.8に設定した例を示している。このような色度および不透明度の設定手順を, A2の全区間に設定した場合には,小区間A1と小区間A2の全区間において補間が行われることになる。なお,図2では,鮮明度を0.8に設定した例を示している。このような色度および不透明度の設定手順を,得られたCT値の値域全体において実施して,小区間毎に,CT値に対応するボクセルの色度および不透明度を決定する。 (エ) 【0018】図3に本実施形態方法により生成された腹部の可視画像の一例を比較例と共に示す。同図(A)に示されているのが,本実施形態方法により生成された可視画像であり,同図(B)に示されているのが,従来方法と同様に,各小区間の境界において段階的に色度および不透明度を変化させ,各小区間内においては色度および不透明度を一定の値に設定するようにして生成された可視画像である。 (オ) 【0019】図3に示すように,本実施形態方法により生成された可視画像においては,肝臓領域を薄く可視化しながら,内部の血管も描出しつつ両者を明確に分別して認識することが可能であり,また比較例と比べて微妙な色変化を表現できているなど,高品質な画像が得られることが確かめられた。 (カ) 【0023】なお,本発明の医療用可視画像の生成方法は,上記実施形態のものに限られるものではなく,種々の態様の変更が可能である。例えば,上記実施形態では,補間区間における色度関数および不透明度関数を直線的なものとして説明しているが,これらの関数には対数関数等の種々の関数を適宜用いることが可能である。 (キ) 【図2】(本件明細書の【図2】のとおり) (ク) 【図3】(本件明細書の【図3】のとおり)イ上記ア(ア)ないし(ウ)のとおり,本件明細書には,【発明の実施の形態】として,①小区間内で一定値をとる基準色度 (ク) 【図3】(本件明細書の【図3】のとおり)イ上記ア(ア)ないし(ウ)のとおり,本件明細書には,【発明の実施の形態】として,①小区間内で一定値をとる基準色度及び基準不透明度を設定し,②色度関数(CT値と色度との関係を定めたものであり,かつ,基準色度相互を線形的に補間するもの)及び不透明度関数(CT値と不透明度との関係を定めたものであり,かつ,基準不透明度相互を線形的に補間するもの)をそれぞれ設定し,③小区間内において補間の対象となる区間(対象区間)を決め,さらに,対象区間の幅に乗ずる0~1の値をとる数値(鮮明度)を設定することで,対象区間内において補間を行う区間(補間区間)を決め,同区間内で上記色度関数及び不透明度関数を適用することで線形補間を行うことが各記載されているものであって,上記③のとおり設定された補間区間において色度関数及び不透明度関数を適用し,基準色度相互及び基準不透明度相互をそれぞれ線形的に補間することが,「色度および不透明度を,…画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」ことの具体例として示されているものということができる。 また,本件明細書の【図2】(上記ア(キ))は,基準色度相互又は基準不透明度相互をそれぞれ線形的に補間する比例関数が設定された場合を示したもの(上記ア(ア))であるところ,上記【図2】を見ると,上記線形補間の結果,従前,色度に関しては,境界線Lを境に基準色度(C1,C2)相互が截然と分かれていた(本件明細書の【図5】の(B)及び【図6】の(B)参照)ものが,CT値を横軸とするグラフ上で,C1からC2へ徐々に色合いが変化する状態となり,また,不透明度に関しては,従前,境界線Lを境にして基準不透明度がD1(0)とD2(1)に分かれる階 B)参照)ものが,CT値を横軸とするグラフ上で,C1からC2へ徐々に色合いが変化する状態となり,また,不透明度に関しては,従前,境界線Lを境にして基準不透明度がD1(0)とD2(1)に分かれる階段状の形状をとっていた(本件明細書の【図5】の(B)及び【図6】の(B)参照)ものが,CT値を横軸とする グラフ上で,D1(0)からD2(1)へ数値が徐々に変化する状態(グラフ上は斜線状の状態)となっていることを看取することができる。 これに加え,前記第4の1(1)イ(ア)でみたとおり,本件発明1は,従来,ボリュームレンダリング処理のための各ボクセルへの色度及び不透明度の設定を,各小区間内で一定値をとる色度及び不透明度を設定する方法によっていたことによる問題点を,構成要件1-Cに係る方法によることにより解決したものであるところ,本件明細書の【0018】欄には,従来技術は「各小区間の境界において段階的に色度および不透明度を変化させ」るものである旨の記載があるので(上記ア(エ)),構成要件1-Cの「連続的に変化させる」との文言は,上記の「段階的」変化と対置して解釈されるべきものと解されるところ,本件明細書には,上記「段階的に色度および不透明度を変化」させる場合の具体例として,【図3】,【図5】及び【図6】のとおり,色度に関しては境界線Lを境に基準色度(C1,C2)相互が截然と分かれた状態,不透明度に関しては境界線Lを境にして基準不透明度がD1(0)とD2(1)に階段状に分かれた状態が各示されている(上記ア(エ),(キ)及び(ク))ことを指摘することができる。 以上によれば,「色度および不透明度を,…画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」とは,小区間内に設定された補間区間内で,小区間相互で相異なる値をとる ク))ことを指摘することができる。 以上によれば,「色度および不透明度を,…画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」とは,小区間内に設定された補間区間内で,小区間相互で相異なる値をとる色度及び不透明度につき,相互を線形的に補間する色度関数・不透明度関数を適用することにより,色度及び不透明度がそれぞれ一定値をとることなく,画像データ値の大きさに応じてその数値が徐々に変化する状態となることを意味するものと解するのが相当である。 なお,前記ア(カ)のとおり,本件明細書には,小区間相互で相異な る値をとる色度及び不透明度相互を線形的に補間する色度関数・不透明度関数としては,直線的なもののほか,対数関数等の種々の関数を適宜用いることが可能であると記載されているのであるから,線形補間を行うために適用される関数としては,それが色度及び不透明度がそれぞれ一定値をとる結果をもたらすものでない限り,種々のものを用いることが許容されていると解されるのであって,「連続的に変化」の態様も,上記関数に応じ,種々のものがあり得るものと解される。 ウそうすると,「前記小区間内に補間区間を設定し」とは,小区間内において,色度及び不透明度がいずれも一定値をとることなく,画像データ値の大きさに応じてその数値が徐々に変化する状態となる区間を設けることを意味するものと解するべきこととなる。そして,「小区間」とは,色度及び不透明度が一定値をとる区間を意味するものであることは構成要件1-Aに関する当裁判所の判断(前記第4の1(1)エ(エ))でみたとおりである上,「補間区間」においては,「色度及び不透明度」が上記のとおり一定値をとることなく連続的に変化するものと解されるのであるから,色度及び不透明度が一定値をとらず,その数値が徐々に変化 たとおりである上,「補間区間」においては,「色度及び不透明度」が上記のとおり一定値をとることなく連続的に変化するものと解されるのであるから,色度及び不透明度が一定値をとらず,その数値が徐々に変化する状態となる区間(補間区間)は,色度及び不透明度につき共通のものであると解するのが相当であり,「補間区間」外では色度及び不透明度はいずれも一定値をとるべきものであって,色度又は不透明度のいずれか一方のみが徐々に変化する区間が存在する場合には,「前記小区間内に補間区間を設定し,該小区間内において設定される前記色度および前記不透明度を,該補間区間において前記画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」を充足しないものと解するのが相当である。 エこの点に関し,原告は,補間区間が色度及び不透明度に共通のものである必要はなく,色度に関する補間区間と不透明度に関する補間区間が 別異に存在する場合も上記文言を充足すると解すべきであると主張するが,上記イ及びウでみた本件明細書の記載内容等に照らし,採用することはできない。 オまた,この点に関し,被告らは,「前記色度および前記不透明度を…連続的に変化させる」とは,補間区間の設定に基づき,小区間内で一定値をとっていた色度及び不透明度が,経時的に連続して変化することを意味すると解すべきであると主張する。 しかし,被告らの主張のうち,補間区間の設定に基づき色度及び不透明度の連続的変化が生じるものと解すべきとする点については,本件明細書上,小区間内に補間の対象とする区間を設定し,当該対象区間の幅に鮮明度を乗ずることで補間範囲を算出し,同補間範囲で色度及び不透明度の線形補間を行う方法が開示されているものの(【0014】,【0015】),上記鮮明度と色度関数及び不透明度関数が関連付けて設定 に鮮明度を乗ずることで補間範囲を算出し,同補間範囲で色度及び不透明度の線形補間を行う方法が開示されているものの(【0014】,【0015】),上記鮮明度と色度関数及び不透明度関数が関連付けて設定されるものである旨の開示はないことにかんがみ,採用することができない。なお,前記イでみたとおり,本件明細書の各記載に加え,「連続的に変化させる」との文言が,従来方法における「段階的変化」と対置して解釈されるべきものと解されることによれば,上記「前記色度および前記不透明度を,画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」との文言は,色度及び不透明度の数値の大きさが,CT値の大きさに応じて線形的に変化すること,すなわち数値が一定値をとらず徐々に変化することを意味するものと解すべきものであり,色度及び不透明度が一定値から線形的補間が行われた状態へと経時的に変化することを意味するものではないことは明らかである。 したがって,この点に関する被告らの主張を採用することはできない。 (2) 被告方法の構成要件1-C充足性ア証拠(乙3)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品において,ユーザ ーは,「カラー属性」タブの「カラー属性」ボタンをクリックすることにより,「カラー属性」ダイアログ(別紙「被告製品等説明書(被告)」の【図9】)を表示し,同ダイアログ中の「色混合」のスライダーを0.00から1.00までの間で動かすことで,本件設定画面上の色境界線で区切られた隣接する色相互の補間率(色混合率)を設定することができ,上記色混合率の設定により,色混合率が1.00に近付くにつれて,隣接色相互が,境界線付近において補間されて滑らかな色表現となることが認められる。 また,被告製品におけるオパシティラインの設定方法は前記第4の1 ,色混合率が1.00に近付くにつれて,隣接色相互が,境界線付近において補間されて滑らかな色表現となることが認められる。 また,被告製品におけるオパシティラインの設定方法は前記第4の1(2)ア(イ)cのとおりであり,ユーザーは,オパシティラインの設定モードのうち,制御点モードを選択した場合,色境界線上に設定される制御点をマウスで上下にドラッグすることにより,オパシティラインを斜線状に変更できることが認められる。 イ被告製品において,色混合率を設定し,色混合を生じさせた状態及び制御点を利用してオパシティラインが斜線を描くよう設定した状態は,構成要件1-Cのうちの「前記色度および前記不透明度を」「画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる」ことに相当する。 ウしかしながら,以下の理由により,被告方法は,構成要件1-Cのうちの,前記色度および不透明度を「該補間区間において」「連続的に変化させる」とする部分を充足しない。 (ア) 原告は,ユーザーが色混合率につき0.00を超える値に設定し,かつ,オパシティラインの設定につき制御点モードを選択した場合,被告方法は構成要件1-Cを文言充足すると主張する。 被告製品において色混合率を設定した場合に色混合が生ずる範囲については,被告らが「被告製品では,色混合率及び色境界領域の幅に基づき,所定のアルゴリズムで色混合領域の幅が決定されている。」 (平成23年4月8日付け被告ら準備書面(11)の4頁)と主張するのみであり,それ以上明らかでない。 しかし,被告製品のマニュアル(乙3の添付資料)9頁に,「色境界線で区切られた隣接する色の補間率を設定します。数値は0.00~1.00の範囲で設定でき,数値が“1.00”に近づくにつれて境界線付近が補間さ 被告製品のマニュアル(乙3の添付資料)9頁に,「色境界線で区切られた隣接する色の補間率を設定します。数値は0.00~1.00の範囲で設定でき,数値が“1.00”に近づくにつれて境界線付近が補間され,滑らかな色表現になります。」と記載されていることや,別紙「被告製品説明書(被告)」において,「色混合率を1.00に設定した場合」として表示されている図(同説明書の【図11】)において,緑と赤が混合している領域等については,色境界領域の全体において色が混合しているように見えることからすれば,色混合率を1.00に設定した場合,少なくとも両端部分以外の色境界領域においては,その全域において色混合が生じる一方,色混合率を1.00に満たない数字に設定した場合には,色境界領域内に,色混合が生じない領域が残るものと推認することができる。そうすると,色混合率を1.00に満たない数字に設定した場合で,かつ,制御点モードを選択した場合には,オパシティラインの制御点が色境界線上に設定されるものである以上,色混合が生じている区間とオパシティ値が徐々に変化している(オパシティラインが斜線状となっている)区間は一致せず,色又はオパシティ値のいずれか一方のみが変化する区間が生ずるものと認められ,被告方法は,「前記小区間内に補間区間を設定し,」前記色度および前記不透明度を,「該補間区間において」「連続的に変化させる」ものに当たらず,構成要件1-Cを文言充足しない。 (イ) また,被告製品において,ユーザーが色混合率を1.00に設定し,かつ,オパシティラインの設定につき制御点モードを選択した場合について検討すると,前記のとおり,被告製品において色混合率を 設定した場合に色混合の生ずる範囲は必ずしも明らかでない。すなわち,別紙「被告製品説明書(被告)」の【 点モードを選択した場合について検討すると,前記のとおり,被告製品において色混合率を 設定した場合に色混合の生ずる範囲は必ずしも明らかでない。すなわち,別紙「被告製品説明書(被告)」の【図11】を見ると,色境界線で挟まれた各色境界領域のうち,右端のもの及び左端のものについては,色混合率を1.00に設定した場合であっても,同領域内に色混合が生じない区間が残るように見られるから,本件各証拠上,色混合率を1.00に設定し,かつ,制御点モードを選択した場合においても,色混合が生じている区間とオパシティ値が徐々に変化する(オパシティラインが斜線状となる)区間が一致すると認めるに足りないというべきである。したがって,この場合においても,被告方法が構成要件1-Cを文言充足するとは認められない。 エ原告は,上記ウでみた方法以外の被告方法につき,構成要件1-Cを充足する旨の主張をしていないものであるところ,被告製品において,オパシティラインの設定に関し,制御点モード以外のモードを選択した場合について検討しても,色混合の生ずる区間とオパシティ値が徐々に変化する区間が一致する場合を直ちに見出すことはできない。加えて,前記アのとおり,色混合率を設定した場合に色混合が生ずる範囲が明らかではないこと,オパシティラインの設定モードのうち,制御点モード以外のモードを選択した場合に,グラフ上のどの範囲でオパシティラインを設定することができ,ユーザーがその形状をどのように変更することができるものかが明らかではないことなども考慮すると,被告方法において,構成要件1-Cを文言充足するような使用方法があるものと認めるに足りる立証はないものというべきである。 オしたがって,被告方法は,構成要件1-Cを文言充足しない。 (3) 小括 構成要件1-Cを文言充足するような使用方法があるものと認めるに足りる立証はないものというべきである。 オしたがって,被告方法は,構成要件1-Cを文言充足しない。 (3) 小括以上によれば,被告方法は構成要件1-B及び1-Cを文言充足しないものであるところ,原告は,被告方法につき,構成要件1-B及び構成要 件1-Cの文言充足性が認められないとしても,均等論の適用により,被告方法は本件発明1の技術的範囲に属すると主張する。 しかし,原告は,構成要件1-Cの文言解釈に関し,色度及び不透明度の変化する区間が一致しない場合でも「補間区間を設定し,…前記色度および前記不透明度を,該補間区間において…連続的に変化させる」に当たると解した上で,本件発明1が鮮明度により補間区間を設定し,補間区間内で色度と不透明度を連続的に変化させる構成であるのに対し,被告方法は,まず,不透明度を設定し,補間率と色度を一体化させたもの(色混合率)をこれに加えることによって,色度と不透明度を連続的に変化させるものである点で相違するものとして,この相違する点に関する均等侵害の成立を主張するものである。しかし,前記のとおり,当裁判所の判断が構成要件1-Cの解釈において,補間区間は色度及び不透明度において共通の区間であるとするものであるのに対し,原告の主張は,補間区間は色度及び不透明度に共通のものでなくてもよいとするものであって,前提となる構成要件1-Cの解釈において異なっており,原告の構成要件1-Cに関する均等論の主張は,構成要件1-Cに関する原告の主張を前提とするものであって,当裁判所の見解に立った場合には,構成要件1-Cに関し,原告の主張する均等論の適用により被告方法が本件発明1の技術的範囲に属する余地はないものという -Cに関する原告の主張を前提とするものであって,当裁判所の見解に立った場合には,構成要件1-Cに関し,原告の主張する均等論の適用により被告方法が本件発明1の技術的範囲に属する余地はないものというべきである。 したがって,その余の点について検討するまでもなく,被告方法は,本件発明1の技術的範囲に属しない。 4 争点(1)ウ(被告方法は本件発明2の技術的範囲に属するか。)(1) 被告方法が構成要件1-B及び1-Cを文言充足せず,この点について均等侵害が成立する余地もないものであることは前記3(3)のとおりであるところ,本件発明2は,構成要件2-B及び2-Cを構 成要件1-B及び1-Cと共通にするものであるから,被告方法は,本件発明1と同様の理由により,本件発明2の技術的範囲に属しない。 (2) 加えて,原告は,被告方法の構成要件2-D充足性に関し,①本件設定画面上,オパシティ値の目盛りの幅は等間隔に見えるが,スライダーを動かすことにより上記目盛り幅を変更できる可能性があること,②スクリーンに表示される目盛りの間隔とは別途にコンピュータによる内部的計算処理がされている可能性も排除できないこと,③被告ソフトウェアのコード変更によって,極めて容易に構成要件2-Dに係る技術思想を実現することができることを主張するのみで,構成要件2-Dに相当するような被告方法の具体的構成を何ら主張立証するものではないから,この点でも,被告方法が本件発明2の技術的範囲に属するものとは認められない。 5 以上のとおり,被告方法は本件発明1及び2の技術的範囲に属するものと認められないから,その余の点について検討するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないことに帰着する。 もっとも,被告製品において 方法は本件発明1及び2の技術的範囲に属するものと認められないから,その余の点について検討するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないことに帰着する。 もっとも,被告製品において,色混合の生ずる区間とオパシティ値が徐々に変化する区間が一致する場合には,構成要件1-Cを文言充足するものと解されるところ,被告製品において,色混合率を設定した場合における色混合の生ずる領域やオパシティラインの設定方法には種々のものがあり得ること,構成要件1-Bに係る相違点については均等侵害の主張があることを考慮し,なお念のため,本件発明1に関する直接侵害及び間接侵害の成否について検討する。 6 本件発明1の直接侵害の成否について(1) 前記第2の1(3)アのとおり,被告製品は医療用疑似三次元画像の生成のために用いられるものであるところ,被告らは,前記第2の1(3)イのとおり,業として,被告製品を医療機関等に生産,譲渡等し,ま たはその譲渡等の申し出(譲渡等のための展示を含む。)を行っているものであり,被告製品を医療用疑似三次元画像の生成のために用いているものではないから,被告らが被告方法を実施しているものとは認められない。 (2)アなお,この点につき,原告は,被告らが被告製品の開発段階において被告方法を実施したことがあるものと考えられることや,被告製品のパンフレット(甲3)に,被告製品を使用して実際に生成した医療用可視画像が表示されていること,被告らが,被告製品を使用して生成したサンプル画像を用いてプレゼンテーションを行っていることなどを挙げて,被告らが被告方法を実施しているものと主張する。 イこの点,被告製品において,制御点モードを選択した場合に構成要件1-Cを充足する使用方法がされるものとは認め を行っていることなどを挙げて,被告らが被告方法を実施しているものと主張する。 イこの点,被告製品において,制御点モードを選択した場合に構成要件1-Cを充足する使用方法がされるものとは認め難く,また,その他のモードを選択した場合にも,構成要件1-Cを充足するような使用方法を直ちに見出し難いことは前記3(2)エのとおりであるから,被告製品の通常の使用方法は本件発明1の技術的範囲に属しないものであり,仮に本件発明1の技術的範囲に属するような使用方法があり得るとしても,当該使用方法は極めて例外的なものであるとみることができる。 また,原告が,被告らによる直接使用の機会として主張するものは上記アのとおりであるところ,被告らの直接使用の機会は,あり得るとしてもごく少数回にとどまるものと解される。 ウそうすると,被告らによる当該少数回の使用の際に,本件発明1の技術的範囲に属するような極めて例外的な使用態様が実施されるということにつき,立証があるとはいうことができない。 また,原告は,被告らによる被告製品の製造販売等がユーザーを 道具として利用した間接正犯又は共犯的行為であるとも主張しているが,前記のとおり,本件発明1の技術的範囲に属するような使用態様が極めて例外的なものと解される以上,被告らによる被告製品の製造販売等を直接侵害と同視することが相当であるとも認めることができない。 (3) したがって,仮に,被告製品において,本件発明1を充足するような使用態様があり得るとしても,被告らに本件発明1の直接侵害が成立する余地はない。 7 本件発明1の間接侵害の成否について(1) 原告は,被告製品につき,特許法101条5号の間接侵害が成立すると主張しているところ,同号にいう「その発明による課題の解決に不可欠な はない。 7 本件発明1の間接侵害の成否について(1) 原告は,被告製品につき,特許法101条5号の間接侵害が成立すると主張しているところ,同号にいう「その発明による課題の解決に不可欠なもの」とは,それを用いることにより初めて当該発明の解決しようとする課題が解決されるような部品,道具,原料等をいうものであり,従来技術の問題点を解決するための方法として,当該発明が新たに開示する,従来技術に見られない特徴的技術手段について,当該手段を特徴付けている特有の構成ないし成分を直接もたらす,特徴的な部材,原料,道具等がこれに該当するものと解するのが相当である。 そこで,本件発明における特徴的技術手段についてみると,前記第4の1(1)アでみた本件明細書の記載内容にかんがみ,本件発明は,従来技術において,小区間内で色度及び不透明度を一定値に設定した場合,画像データ値(CT値)の差が互いに小さい生体組織間の違いを明確に認識できるような可視化が困難であるという問題点があったことにつき,これを解決するための方法として,小区間内に補間区間を設定し,該補間区間内で色度及び不透明度を画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させるという方法を採用したものであり,この 点に本件発明における技術的特徴があるものというべきである。 これに対し被告製品は,本件各証拠上,上記技術的特徴に係る方法(補間区間を設定し,該補間区間内で色度及び不透明度を画像データ値の大きさに応じて連続的に変化させる方法)を実現するような使用方法があるものと認めるに足りず,仮にそのような使用方法があり得るとしても,極めて例外的な使用方法であるというべきものであるから,本件発明1の技術的特徴を基礎付ける方法をもたらすことを予定しているものではないというべきであり,これが,上 ような使用方法があり得るとしても,極めて例外的な使用方法であるというべきものであるから,本件発明1の技術的特徴を基礎付ける方法をもたらすことを予定しているものではないというべきであり,これが,上記技術的特徴を基礎付ける構成を直接もたらす道具に当たると評価することは相当ではないものというべきである。 (2) したがって,仮に,被告製品において,本件発明1の技術的範囲に属するような使用態様があり得るとしても,被告製品は,本件発明による課題の解決に不可欠なもの(特許法101条5号)に該当せず,被告製品につき,同号所定の間接侵害が成立する余地はない。 第5 結論したがって,原告の請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官大須賀滋 裁判官菊池絵理 裁判官森川さつき (別紙)被告方法目録 別紙被告製品目録記載の製品を使用する医療用可視画像の生成方法 (別紙) 被告製品目録 ソフトウェア「SYNAPSEVINCENT」がインストールされたワークステーション薬事商品名:富士画像診断ワークステーション薬事承認番号:22000BZX00238000以上
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