令和1(ワ)1429 著作権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和元年11月26日 福岡地方裁判所
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判決文本文7,342 文字)

主文 1 被告Aは,別紙店舗目録1記載の店舗において,別紙「楽曲リスト」及び「楽曲リスト(追録)」に記載の音楽著作物を,オーディオ装置(プレーヤー,携帯音楽プレーヤー,アンプ,スピーカー等の再生装置)を操作して録音物を再生する方法により使用してはならない。 2 被告Bは,別紙店舗目録2記載の店舗において,別紙「楽曲リスト」及び「楽曲リスト(追録)」に記載の音楽著作物を,オーディオ装置(プレーヤー,携帯音楽プレーヤー,アンプ,スピーカー等の再生装置)を操作して録音物を再生する方法により使用してはならない。 3 被告Cは,別紙店舗目録3ないし7記載の店舗において,別紙「楽曲リ スト」及び「楽曲リスト(追録)」に記載の音楽著作物を,オーディオ装置(プレーヤー,携帯音楽プレーヤー,アンプ,スピーカー等の再生装置)を操作して録音物を再生する方法により使用してはならない。 4 被告Dは,別紙店舗目録8及び9記載の店舗において,別紙「楽曲リスト」及び「楽曲リスト(追録)」に記載の音楽著作物を,オーディオ装置 (プレーヤー,携帯音楽プレーヤー,アンプ,スピーカー等の再生装置)を操作して録音物を再生する方法により使用してはならない。 5 被告らは,原告に対し,40万8240円,並びに,被告Cにつき上記金員に対する令和元年7月2日から,被告Aにつき上記金員に対する令和元年7月12日から,被告D及び被告Bにつき上記金員に対する令和元年 7月3日から,各支払済みまで年5分の割合による金員(それぞれ他の被告らの支払額と重なり合う範囲の金員について連帯する。)を支払え。 6 訴訟費用は被告らの負担とする。 7 この判決は,第5項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 原告の求めた り合う範囲の金員について連帯する。)を支払え。 6 訴訟費用は被告らの負担とする。 7 この判決は,第5項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 原告の求めた裁判 主文同旨第2 請求の原因 1 当事者⑴ 原告原告は,著作権等管理事業法に基づき,文化庁長官の登録を受けた音楽著 作権等管理事業者であり,内国著作物については,著作権者から著作権ないしその支分権(演奏権・上映権・録音権など)につき信託を受け,外国の著作物については,我が国が締結した著作権条約に加盟する諸外国の著作権仲介団体との間で相互管理契約を締結するなどして,これらを管理し,音楽利用者に対して音楽著作物の利用を許諾し,その対価として利用者から使用料 を徴収するとともに,これを内外の著作権者に分配することを主たる目的とする一般社団法人である。 ⑵ 被告ア被告C被告Cは,パブ及びバーの経営を目的とし,福岡市内において,複数の パブやバーを経営している。 イ被告A被告Aは,被告Cの代表取締役であり,被告Bの配偶者である。 ウ被告D被告Dは,パブ及びバーの経営を目的とする会社であり,福岡市内にお いて,複数の飲食店を経営している。 エ被告B被告Bは,被告Dの代表取締役であり,被告Aの配偶者である。 オ被告ら相互の関係被告らは,別紙店舗目録記載の各店舗(以下「本件各店舗」という。)に ついて,いずれもCとして同一のホームページ上に掲載し,被告Aを代表 とするCの屋号を用い,共同して本件各店舗を経営している。 2 管理著作物「楽曲リスト」及び「楽曲リスト(追録)」記載の音楽著作物は,いずれも原告が著作権 ージ上に掲載し,被告Aを代表 とするCの屋号を用い,共同して本件各店舗を経営している。 2 管理著作物「楽曲リスト」及び「楽曲リスト(追録)」記載の音楽著作物は,いずれも原告が著作権を管理する音楽著作物(以下「管理著作物」という。)である。 「楽曲リスト」記載の音楽著作物は,社交飲食店等において日常的に反復継 続して利用されている主要な楽曲である。また,「楽曲リスト(追録)」記載の音楽著作物は,被告らの経営するパブやバーにおいて利用された実績を有する音楽著作物,及び今後利用される可能性が高い音楽著作物である。 3 被告らの著作権侵害行為⑴ 別紙店舗目録1記載の店舗において,平成27年4月7日,原告の職員が 同店舗を訪れた際,管理著作物をBGMとして利用していることを確認した。平成31年1月9日,原告の職員が同店舗の管理著作物の利用状況について実態調査を行ったところ,1時間50分の間に36曲をBGMとして利用し,そのうち35曲が管理著作物であることを確認した。 ⑵ 別紙店舗目録2記載の店舗において,平成27年4月7日,原告の職員が 同店舗を訪れた際,管理著作物をBGMとして利用していることを確認した。平成31年1月29日,原告の職員が同店舗の管理著作物の利用状況について実態調査を行ったところ,2時間の間に28曲をBGMとして利用し,それらの曲全てが管理著作物であることを確認した。 ⑶ 別紙店舗目録3記載の店舗において,平成27年4月7日,原告の職員が 同店舗を訪れた際,管理著作物をBGMとして利用していることを確認した。平成31年1月21日,原告の職員が同店舗の管理著作物の利用状況について実態調査を行ったところ,約1時間30分の間に27曲をBGMとして利用し,それらの曲全てが管理著作物であるこ ることを確認した。平成31年1月21日,原告の職員が同店舗の管理著作物の利用状況について実態調査を行ったところ,約1時間30分の間に27曲をBGMとして利用し,それらの曲全てが管理著作物であることを確認した。 ⑷ 別紙店舗目録4記載の店舗において,平成27年4月7日,原告の職員が 同店舗を訪れた際,管理著作物をBGMとして利用していることを確認し た。平成31年1月9日,原告の職員が同店舗の管理著作物の利用状況について実態調査を行ったところ,約1時間30分の間に25曲をBGMとして利用し,それらの曲全てが管理著作物であることを確認した。 ⑸ 別紙店舗目録5記載の店舗において,平成27年4月7日,原告の職員が同店舗を訪れた際,管理著作物をBGMとして利用していることを確認し た。平成31年2月14日,原告の職員が同店舗の管理著作物の利用状況について実態調査を行ったところ,2時間20分の間に27曲をBGMとして利用し,それらの曲全てが管理著作物であることを確認した。 ⑹ 別紙店舗目録6記載の店舗において,平成27年4月7日,原告の職員が同店舗を訪れた際,管理著作物をBGMとして利用していることを確認し た。平成31年3月11日,原告の職員が同店舗の管理著作物の利用状況について実態調査を行ったところ,約2時間30分の間に24曲をBGMとして利用し,それらの曲全てが管理著作物であることを確認した。 ⑺ 別紙店舗目録7記載の店舗において,平成27年4月7日,原告の職員が同店舗を訪れた際,管理著作物をBGMとして利用していることを確認し た。平成31年2月14日,原告の職員が同店舗の管理著作物の利用状況について実態調査を行ったところ,1時間30分の間に27曲をBGMとして利用し,そのうち25曲が管理著作物であるこ を確認し た。平成31年2月14日,原告の職員が同店舗の管理著作物の利用状況について実態調査を行ったところ,1時間30分の間に27曲をBGMとして利用し,そのうち25曲が管理著作物であることを確認した。 ⑻ 別紙店舗目録8記載の店舗において,平成27年4月7日,原告の職員が同店舗を訪れた際,管理著作物をBGMとして利用していることを確認し た。平成30年12月18日,原告の職員が同店舗の管理著作物の利用状況について実態調査を行ったところ,約2時間20分の間に26曲をBGMとして利用し,そのうち23曲が管理著作物であることを確認した。 ⑼ 別紙店舗目録9記載の店舗において,平成27年4月7日,原告の職員が同店舗を訪れた際,管理著作物をBGMとして利用していることを確認し た。平成31年1月29日,原告の職員が同店舗の管理著作物の利用状況に ついて実態調査を行ったところ,約2時間20分の間に27曲をBGMとして利用し,そのうち21曲が管理著作物であることを確認した。 4 被告らの故意,過失及び差止めの必要性原告は,被告らに対し,平成10年4月以降,著作権や利用許諾手続について説明した案内文書や著作権管理手続に関する督促文書を送付し,職員を直接 本件各店舗に派遣するなどして,飲食店などでBGMを利用する場合の著作権手続きについて詳しく説明し,管理著作物を無断利用することは著作権法で禁止されている著作権侵害行為であるので原告の許諾を受けて適法に利用するよう警告した。 原告は,平成27年4月7日,改めて職員を本件各店舗に派遣し,被告の従 業員に対し,飲食店などでBGMを利用する場合の著作権手続について説明し,被告らに速やかに対応するよう求めた。 原告は,平成27年6月9日,被告C及び被告Aに対し,本件 舗に派遣し,被告の従 業員に対し,飲食店などでBGMを利用する場合の著作権手続について説明し,被告らに速やかに対応するよう求めた。 原告は,平成27年6月9日,被告C及び被告Aに対し,本件各店舗における被告らの著作権侵害に係る使用料相当額と遅延損害金の支払及び演奏の差止めを求め,福岡簡易裁判所に民事調停を申し立てたが,被告らは,何の連絡も なく同年7月17日の第1回期日を欠席し,同調停は不成立となった。 原告は,被告らに対し,平成29年7月20日付けで文書を送付し,指定期限(同月31日)までに,本件各店舗における管理著作物の無断利用に係る使用料相当額の清算と今後の管理著作物の利用に係る利用許諾手続を完了するよう通知したが,被告らからは何の反応もなかった。 原告は,平成30年12月14日,被告A及び被告Bの自宅兼被告Dの法人事務所に職員を派遣し,被告Aに対し,本件各店舗の使用料相当額の支払と併せ今後の管理著作物の利用について音楽著作物利用許諾契約を締結するよう求めたが,被告Aは,「手続をするつもりはない。」などと答えた。 原告は,被告らに対し平成31年2月27日付けで文書を送付し,指定期限 (同年3月8日)までに,本件各店舗における管理著作物の無断利用に係る使 用料相当額の清算と今後の管理著作物の利用に係る利用許諾手続を完了するよう通知した。 原告は,平成31年4月8日付で被告らに対し,警告書を送付し,指定期限(同月17日)までに,本件各店舗における管理著作物の無断利用に係る使用料相当額の清算と今後の管理著作物の利用に係る利用許諾手続を完了しない場 合は,法的措置を執らざるを得ないことを警告した。 5 原告の損害⑴ 被告らが,本件各店舗の開業時から無許諾でBGMとして原告の管理著作物を利用 作物の利用に係る利用許諾手続を完了しない場 合は,法的措置を執らざるを得ないことを警告した。 5 原告の損害⑴ 被告らが,本件各店舗の開業時から無許諾でBGMとして原告の管理著作物を利用しており,原告は,被告らの著作権侵害行為により,管理著作物の利用許諾の対価として徴収し得る使用料に相当する損害を被った(著作権法 114条4項)。 ⑵ BGMに関する原告の使用料規程は,平成28年4月30日までに適用される規程(以下「旧規程」という。)と,同年5月1日から適用される規程(以下「新規程」という。)がある。 旧規程は,「1施設における使用料」として,「年間の包括的利用許諾契約 を結ぶ場合の使用料」(以下「年額使用料」という。)のみを定めている。 新規程は,「1施設における使用料」として,「年額使用料」と「1か月の使用料」(以下「月額使用料」という。)を定めている。 年額使用料は,旧規程も新規程も同一の定めをしており,「一般の店舗等の場合」には,「店舗等の面積」が「500㎡まで」の場合,6000円である。 新規程の定める月額使用料は,「一般の店舗等の場合」には,「店舗等の面積」が「500㎡まで」の場合,1200円である。 新規程における年額使用料は,音楽著作物の利用開始前に「年間の包括的利用許諾契約」を締結した適法な利用者に対して適用されるものであり,無許諾利用者に対しては適用されない。 ⑶ 本件各店舗は「一般の店舗等」で,「店舗等の面積」は「500㎡まで」に 該当するので,使用料相当損害金は以下のとおり算定される。 ア平成27年4月1日から平成29年3月31日までの2年間6000円(年額使用料)×9店舗×2年×1.08(消費税相当額)=11万6640 当損害金は以下のとおり算定される。 ア平成27年4月1日から平成29年3月31日までの2年間6000円(年額使用料)×9店舗×2年×1.08(消費税相当額)=11万6640円イ平成29年4月1日から平成31年4月30日までの25か月 1200円(月額使用料)×9店舗×25か月×1.08(消費税相当額)=29万1600円ウ合計 40万8240円 6 不当利得 被告らは,原告の著作権を侵害し,法律上の原因なくして管理著作物の使用料相当額の利益を得た悪意の受益者であり,これにより原告は,上記5の損害額と同額の損失を被った。 7 共同不法行為原告の職員が被告らの各店舗を訪れ,著作権利用許諾契約を締結するよう申 し入れた際の対応は,いずれも,オーナーに伝えます,と言ったきり,積極的な対応を行わないというもので共通している。被告らの従業員がいうオーナーは被告Aまたは被告Bのことであり,原告から著作権侵害行為を指摘された際は,被告Aと被告Bが情報を共有したうえで,原告の指摘を無視し,著作権侵害行為を継続するという意思の連絡があったことは明らかである。 また,被告らは,被告Aを代表とするチェーンとして本件各店舗を経営しており,被告らが開設する本件各店舗のホームページにおいても,被告Aを代表とする全10店舗のチェーンと表示されている。加えて,利益は最終的には被告A及び被告B夫婦に帰属し,各店舗内で従業員の異動が行われるなど各経営主体としての区別も形骸化している。 被告らは,本件各店舗において著作権を侵害していることを認識しているこ とも明らかである。 8 結論よって,原告は,被告らに対し,著作権に基づき,本件各店舗において,別 いる。 被告らは,本件各店舗において著作権を侵害していることを認識しているこ とも明らかである。 8 結論よって,原告は,被告らに対し,著作権に基づき,本件各店舗において,別紙「楽曲リスト」及び「楽曲リスト(追録)」に記載の音楽著作物を,オーディオ装置(再生装置)を操作して録音物を再生する方法により使用することの差 止め,並びに,主位的に不法行為による損害賠償請求権に基づき,予備的に不当利得返還請求権に基づき,連帯して,原告が被告らから管理著作物の利用許諾の対価として徴収し得る使用料に相当する金額のうち平成27年4月1日から平成31年4月30日までの使用料相当額である40万8240円及びこれに対する不法行為の日の後である本訴状送達の日の翌日(被告Cについて令和 元年7月2日,被告Aについて令和元年7月12日,被告D及び被告Bについて令和元年7月3日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 第3 当裁判所の判断 1 被告らは,適式の呼出しを受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず,被告D 及び被告Bは答弁書その他の準備書面を提出しないから,請求原因事実を争わないものとして,これを自白したものとみなす。 また,被告C及び被告Aは,答弁書を提出するものの,請求原因事実に対する認否を明らかにしないから,請求原因事実を争うことを明らかにしないものとして,これを自白したものとみなす。 そうすると,前記第2,3及び4の事実関係によれば,被告らは,本件各店舗において,遅くとも平成27年4月7日以降,再生装置を用いて原告の管理著作物をBGMとして利用し,原告の管理する著作権を侵害していたことが認められ,被告らが,原告との間で利用許諾契約を締結することを拒否し,使用料 も平成27年4月7日以降,再生装置を用いて原告の管理著作物をBGMとして利用し,原告の管理する著作権を侵害していたことが認められ,被告らが,原告との間で利用許諾契約を締結することを拒否し,使用料相当額の支払の求めにも応じないことからすると,今後も,再生装置を用い ることにより,本件各店舗のBGMとして原告の管理著作物を再生し,原告の 著作権を侵害するおそれはあると認められ,差止めの必要性が認められる。 なお,被告C及び被告Aは,その答弁書において,CとDは同じ会社ではない旨述べるが,これを共同不法行為の成立を争う趣旨であると善解しても,被告Cの代表取締役たる被告Aと被告Dの代表取締役たる被告Bは夫婦であること,被告らがそのホームページにおいて本件各店舗を福岡市内に展開する同系 列の店舗として宣伝していること(甲7),本件各店舗内で従業員の異動が行われていること(甲13,19)などに照らせば,本件各店舗は,実質的に被告らが共同して経営していたものと認めるのが相当であるから,本件各著作権侵害行為につき,被告らは共同不法行為責任を負うものというべきである。 2 以上によれば,原告の本訴請求はいずれも理由があるから,認容すべきであ る。 よって,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官鈴木 博 裁判官酒井直樹 裁判官細田裕司

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