平成15年(行ケ)第356号特許取消決定取消請求事件(平成15年12月10日口頭弁論終結)判決原告インペリアルケミカルインダストリーズピーエルシー訴訟代理人弁護士上谷清同宇井正一同笹本摂同山口健司同弁理士永坂友康被告特許庁長官今井康夫指定代理人山口由木同六車江一同一色由美子同伊藤三男 主文 特許庁が異議2001-70383号事件について平成15年3月31日にした決定を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は,名称を「熱転写プリントレシーバーシート」とする特許第3074321号発明(平成3年5月31日特許出願,パリ条約による優先権主張日1990年〔平成2年〕6月1日・英国,平成12年6月9日設定登録,以下「本件発明」といい,この特許を「本件特許」という。)の特許権者である。 その後,本件特許につき特許異議の申立てがされ,同申立ては,異議2001-70383号事件として特許庁に係属したところ,原告は,平成13年12月11日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等を訂正する旨の訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)をし 係属したところ,原告は,平成13年12月11日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等を訂正する旨の訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)をし,平成15年1月17日付けで本件訂正請求に係る請求書の補正(以下「本件補正」という。)をした。 特許庁は,同特許異議事件について審理し,平成15年3月31日,本件補正は,訂正請求書の要旨を変更するものに該当し,特許法120条の4第3項において準用する同法131条2項の規定に適合しないから認められず,本件訂正請求は,同法120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条1項ただし書の規定に適合しないから認められないとした上,「特許第3074321号の請求項1,2に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その謄本は,同年4月19日,原告に送達された。 (2) 原告は,本件決定の取消しを求める本訴を提起した後,平成15年8月15日,本件明細書の特許請求の範囲の記載等を訂正する旨の訂正審判の請求をしたところ,特許庁は,同請求を訂正2003-39168号事件として審理した上,同年11月18日,上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,その謄本は,同年11月28日,原告に送達された。 2 特許請求の範囲の記載(1) 設定登録時の特許請求の範囲の記載【請求項1】相溶性ドナーシートと共に用いるための熱転写プリントレシーバーシートであって,その少なくとも一面上にドナーシートから熱転写された染料を受け取るための染料受容性受容層を有する支持基材を含み,この受容層が炭素原子数が15~45である分枝炭素鎖を含む炭化水素基を40重量%以下含むポリエステル樹脂 上にドナーシートから熱転写された染料を受け取るための染料受容性受容層を有する支持基材を含み,この受容層が炭素原子数が15~45である分枝炭素鎖を含む炭化水素基を40重量%以下含むポリエステル樹脂を含むことを特徴とするレシーバーシート。 【請求項2】その少なくとも一面にドナーシートから熱転写された染料を受け取るための染料受容性受容層を有する支持基材を形成することを含む,相溶性ドナーシートと共に用いるための熱転写プリントレシーバーシートの製造方法であって,受容層が炭素原子数が15~45である分枝炭素鎖を含む炭化水素基を40重量%以下含むポリエステル樹脂を含むことを特徴とする方法。 (2) 本件訂正審決に係る訂正後の特許請求の範囲の記載(注,訂正部分を下線で示す。)【請求項1】相溶性ドナーシートと共に用いるための熱転写プリントレシーバーシートであって,その少なくとも一面上にドナーシートから熱転写された染料を受け取るための染料受容性受容層を有する支持基材を含み,この受容層がエチレンテレフタレート,エチレンイソフタレート,及びエチレンオレエートの二量体のコポリエステル樹脂を含み,前記エチレンオレエートの二量体がコポリエステル樹脂中に40重量%以下の量で存在することを特徴とするレシーバーシート。 【請求項2】その少なくとも一面にドナーシートから熱転写された染料を受け取るための染料受容性受容層を有する支持基材を形成することを含む,相溶性ドナーシートと共に用いるための熱転写プリントレシーバーシートの製造方法であって,受容層がエチレンテレフタレート,エチレンイソフタレート,及びエチレンオレエートの二量体のコポリエステル樹脂を含み,前記エチレンオレエートの二量体がコポリエステル樹脂中に40重量%以下の量で存在すること 層がエチレンテレフタレート,エチレンイソフタレート,及びエチレンオレエートの二量体のコポリエステル樹脂を含み,前記エチレンオレエートの二量体がコポリエステル樹脂中に40重量%以下の量で存在することを特徴とする方法。 3 本件決定の理由本件決定は,本件発明の要旨を設定登録時の特許請求の範囲の記載(上記2(1))のとおり認定した上,本件発明は,特開平1-269589号公報に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件特許は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,拒絶の査定をしなけらばならない特許出願に対してされたものであり,特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則14条の規定に基づく特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過規定を定める政令(平成7年政令第205号)4条2項の規定により,取り消されるべきものであるとした。 第3 当事者の主張 1 原告本件決定が,本件発明の要旨を設定登録時の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(1))のとおり認定した点は,本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになる。そして,この瑕疵は本件決定の結論に影響を及ぼすものであるから,本件決定は違法として取り消されるべきである。 2 被告本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたことは認める。 第4 当裁判所の判断本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって,特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。 そうすると,本件決定が,本件発明の要旨を,設定登録時の特許請求の範囲 の2(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって,特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。 そうすると,本件決定が,本件発明の要旨を,設定登録時の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(1))のとおり認定したことは,結果的に誤りであったことに帰し,これが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,本件決定は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第13民事部裁判長裁判官篠原勝美裁判官岡本岳裁判官早田尚貴
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