令和7(わ)102 傷害被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年5月22日 福岡地方裁判所
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判決文本文1,677 文字)

主文 被告人を懲役3年6月に処する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和4年11月19日午後3時58分頃から同日午後4時16分頃までの間に、福岡県嘉麻市ab番地cの当時の被告人方において、実子であるA(当時生後2か月)に対し、その両脇を両手でつかんで、その身体を激しく揺さぶった上、同人をベッド上に落下させるなどし、その頭部等に強い外力を加える暴行を加え、よって、同人に回復の見込みのない重症脳機能障害、重度の精神運動発達遅滞の後遺症を伴う両側急性硬膜下血腫、左眼底出血、延髄及び第2頸髄から第7頸髄損傷、低酸素性虚血性脳症並びにびまん性脳腫脹の傷害を負わせた。 (証拠の標目)省略(法令の適用)省略(量刑の理由)被告人は、父として被害者を監護養育すべき立場にありながら、首が据わっておらず、抵抗することもできない生後わずか2か月の乳児である被害者に対し、その両脇を両手でつかんで、重い脳損傷や眼底出血等を生じさせるほど、その身体を少なくとも10回程度揺さぶるという強度の暴行を一方的に加えた上、およそ50cmほどの高さから被害者をベッド上に落下させた。未成熟で脆弱な被害者の身体に重大な影響を及ぼす危険性が高い行為であって、被告人がそこまでの危険性を十分認識していなかった可能性があることを踏まえても、悪質な態様というほかない。 被害者は、被告人の暴行により、回復の見込みのない重い傷害を負い、意識が戻ることはなく、人工呼吸器を外して生活することができず、胃ろう等による栄養補給に頼らざるを得ない状態となった。発育状況に特段の問題がなかった被害者に取り 返しのつかない深刻な影響を与え、その未来を奪っており、生じた結果は極めて重い。 被告人は、仕事や育児に対するストレスを抱えていた ない状態となった。発育状況に特段の問題がなかった被害者に取り 返しのつかない深刻な影響を与え、その未来を奪っており、生じた結果は極めて重い。 被告人は、仕事や育児に対するストレスを抱えていた中で、同居する妻が不在の際、眠っている被害者を見て妬ましく思うなどし、被害者の足の裏を指で押して被害者を起こし、被告人から起こされたことで泣き止まずにいた被害者に対して立腹し、突発的、衝動的に犯行に及んだ。計画性はなく、日常的に被害者を虐待していたなどの事情もうかがわれないが、自らのストレスを適切に解消することなく、何ら落ち度のない被害者に対して理不尽に苛立ちを募らせ、感情を爆発させて暴行に及ぶことは許されるものではなく、厳しい非難を免れない。 以上によれば、被告人の刑事責任は重い。 他方で、被告人に前科前歴はなく、捜査段階の途中から事実を認め、当公判廷においても、後悔や反省の弁を述べた上で被害者や家族に対する償いを一生続けていきたい旨述べている。被害者の母でもある被告人の妻は、被告人のことを許せないと述べる一方で、被告人に対する刑事処分までは望んでおらず、家族のためにも被告人との関係を再構築し、被告人を監督する旨述べている。また、被告人は、本件犯行の数分後に、妻に促されてではあるものの、119番通報をした上で被害者の救命に向けた行動に出ている。加えて、被告人が警察官として真面目に勤務してきたこと、本件により停職処分を受けて依願退職しており、自業自得ながら一定の社会的制裁を受けていることなどの事情も認められる。もっとも、これらの事情はいずれも一般情状であり、量刑上考慮し得る程度にも限りがある。先に述べた犯情、とりわけ被害結果の重大性に照らせば、本件が刑の執行を猶予するのが相当な事案ということはできず、被告人に対しては、主文の実刑をもって臨 情状であり、量刑上考慮し得る程度にも限りがある。先に述べた犯情、とりわけ被害結果の重大性に照らせば、本件が刑の執行を猶予するのが相当な事案ということはできず、被告人に対しては、主文の実刑をもって臨むのが相当と判断した。 (求刑懲役5年)令和7年5月22日福岡地方裁判所第1刑事部 裁判官西木文香

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