昭和23(れ)86 傷害致死

裁判年月日・裁判所
昭和23年5月1日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
ファイル
hanrei-pdf-55400.txt
🤖 AI生成要約2026/3/13

【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  弁護人西尾盛三郎上告趣意書第一点は「原判決ハ判決ニ示ス判断ヲ遺脱シテ居リ マス原判決理由ニヨレバ「Aガ相手方ニ対シ文句ヲ

タグ

キーワード(AI生成)

判決文本文2,698 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人西尾盛三郎上告趣意書第一点は「原判決ハ判決ニ示ス判断ヲ遺脱シテ居リマス原判決理由ニヨレバ「Aガ相手方ニ対シ文句ヲ云ヒタルニヨリ同人ハ相手方ノ為メ殴打セラレ其場ニ昏倒シタルトコロ更ニB事CガAニ襲ヒカカラントスル気勢ヲ示シタルヲ以テ被告人ハ之ヲ制止スル為メ」云々ト判示セラレ被告人ノ傷害行為ハ之レニ因ツテ生ジ死ノ結果ヲ招来シタモノト断定セラレマシタ、果シテ然ラバ本件傷害行為ノ原因デアル第一ノAガ相手方ニ殴打セラレテ昏倒シタコトニ対シ第二、Cが更ラニ昏倒者ニ襲ヒカカラントスル行為ハ当ニ人ヲ死ニ至ラシムベキ急迫不正ノ侵害ト云フ価値ガ充分ニアルモノト云ハネバナリマセヌ、而シテ被告人ノ傷害行為ハ此侵害ヲ排除スルタメ已ムコトヲ得ザルニ出テ他ニ如何ナル手段モナカツタコトが明カデアリマス然ラバ之レハ正当防衛トシテ刑法第三十六条ヲ適用セラル可キ事案デアルコトハ原判決ヲ一読スル者ニ於テ異論ナイ所デアロウト信ジマス、然ルニ原判決ハ事ココニ出デズ漫然傷害致死ノ刑ヲ言渡サレタルハ判断ヲ遺脱サレタモノト云ハネバナリマセヌ、又仮リニ此事案ガ正当防衛デナイモノト断定セラレルナラバ其依ツテ来ル理由ヲ説明セラレルノガ判決トシテ当然ノ事デハアリマセヌカ、然ルニ是又何等ノ説明ガナイノデアリマスガ、恐ラクハ原審及第一審ニ於テ弁護人ノ弁論ノ主要部分モ此点ニ在リ又被告が重ネテ原審判決ニ対シテ不服ヲ唱エルノモ此処ニアルノデハナイデシヨウカ、然ルニ原審ニ於テハ防衛カ否カニ付イテ一言ノ論議ナキコトハ是又判断ヲ遺脱シタ違法アルノミナラズ裁判トシテ甚ダ不親切デアリ斯クテハ被告人モ満足シテ処刑ニ就クコトガ出来ズ心カラノ改化遷善ヲ為サシメルコトハ到底出来ナイモノト云フ可キデアリマス、」というのである。 しかし、 シタ違法アルノミナラズ裁判トシテ甚ダ不親切デアリ斯クテハ被告人モ満足シテ処刑ニ就クコトガ出来ズ心カラノ改化遷善ヲ為サシメルコトハ到底出来ナイモノト云フ可キデアリマス、」というのである。 しかし、原判決の確定した事実は、之を要するに、被告人は判示A外一名と共に- 1 -判示C等数名と争闘をすることを企て、相手方が多人数のため万一の場合を予想して小劔を携帯し右C等を探し求めて判示場所に行き、判示のような経過で右小劔を以てCの右側胸部を突き剌し因て同人をして死亡するに至らしめたというのであつて、右に「万一の場合を予想して小劔を携帯し」というのは、場合によつてはそれで以て相手方に傷害を加えるつもりで小劔を携帯したという意味であること明白であり、所論のように、判示場所に於てAが突然相手方より殴打せられて昏倒したところえ更にCが同人に襲いかゝろうとしたので、これを制止するため被告人が判示傷害行為に及んだというに止まるものではないこと明らかである。そして、右のように、数名の者が最初から争闘をする目的で兇器を携帯し相手方のいる所に出掛けて行つて争闘を始めた場合には、右争闘最中におけるその中の一人の相手方に対する傷害行為は、味方の一人が相手方の攻撃を受けて危険に瀕したのでその相手方の攻撃を反撃するために行われたものであつても、それは要するに最初から予定していた傷害行為に及んだ迄のことで、自己又は他人の生命身体等を防衛するためやむを得ずしてしたものとはいえないから、正当防衛行為ということはできないのである。従つて、原判決が被告人の判示行為に対し刑法第三十六条を適用しなかつたのは正当であり、論旨は理由がない。次に弁護人は原判決には被告人の判示行為が正当防衛になるかならぬかについて判断を示していない違法があると主張するのであるが、裁判所が判決においてこの 適用しなかつたのは正当であり、論旨は理由がない。次に弁護人は原判決には被告人の判示行為が正当防衛になるかならぬかについて判断を示していない違法があると主張するのであるが、裁判所が判決においてこの点に関する判断を示す必要があるのは、訴訟関係人より特にこの点についての主張があつた場合に限ることは、刑事訴訟法第三百六十条第二頂の明定するところである。ところが本件においては、原審において弁護人Dは被告人の行為が正当防衛に類する行為であることを情状として述べたにとどまり特に正当防衛の主張をせず、被告人自身もその主張をしなかつたことは原審第三回公判調書により明らかである。従つて原審が判決において特にこの点に関する判断を示さなかつたのは少しも違法ではなく、原判決には示すべき判断を遺脱した- 2 -違法はない。論旨は理由のないものである。 同第二点は「原判決ハ被告人ノ供述ノミヲ以テ証拠トシ他ノ証拠ヲ援用セラレナイ違法ガアリマス原判決ハ一、被告人ガ判示ノ如クCヲ突刺シタル点ハ被告人ノ当公廷ニ於ケル判示趣旨ノ供述ニヨリト説明セラレ此突刺シタル行為即チ死ノ原因タル行為ニ付テハ被告人ノ供述ノミヲ証拠トシ他ノ証拠ヲ援用セラレタ形跡ガアリマセヌ之レハ明カニ憲法第三十八条三項及刑事訴訟法応急措置ニ関スル法律第十条三項ニ反スルモノト云ハネバナリマセヌ即チ被告人ノ自白ヲ唯一ノ証拠トシテ断罪ノ用ニ供セラフレタコトガ明カデアリマス若シ夫レ刀劔ヲ用意シタ事ヤ医師ノ死体検案書ノ如キハ本件犯罪行為ノ事前事後ノ事デアリ直接ニ傷害行為ヲ立証スルモノデナイト云ウベキデアリマス右弁明致シマシタ依ツテ無罪ノ御裁判アランコトヲ御願致シマス」というのである。 しかし、原審は、所論の被告人が判示Cを突き刺した事実を被告人の原審公判廷における同趣旨の供述と押収に係る小劔一本の存在とにより認 シタ依ツテ無罪ノ御裁判アランコトヲ御願致シマス」というのである。 しかし、原審は、所論の被告人が判示Cを突き刺した事実を被告人の原審公判廷における同趣旨の供述と押収に係る小劔一本の存在とにより認めたもので、所論のように被告人の原審公判廷における供述のみによつてこれを認めたものでないことは、原判決の記載により明白である。従つて、原判決には日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十条第三項に違反し被告人の自白のみを以て有罪とし刑罰を科した違法はなく、論旨は理由がない。 以上の次第であるから刑事訴訟法第四百四十六条により主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見によるものである。 検察官柳川真文関与昭和二十三年五月一日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官霜山精一裁判官栗山茂- 3 -裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎- 4 -

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る