主文 被告人を懲役4年6月に処する。 未決勾留日数中70日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、自動車販売等を目的とするA株式会社(以下「A」という。)の従業員として法人営業等を担当していたところ、第1 かねてより、有限会社B(以下「B」という。)等に対して架空の自動車取引を持ち掛け、自動車売買代金の名目で金銭を得ることを繰り返していたものであるが、従前の取引が架空のものであることの発覚を防ぐために、Bに対して自動車売買代金の名目で金銭を支払う必要があったことから、株式会社C(以下「C」という。)から自動車売買代金の名目で金銭をだまし取り、これをBに対する支払に充てようと考え、令和5年11月21日頃、名古屋市(以下、住所省略)当時のC事務所において、同社代表取締役D(当時44歳)に対し、真実は、A、B、有限会社E(以下「E」という。)及びF株式会社(以下「F」という。)が、AからBに、BからE及びFに、順次自動車を売却することの合意をしている事実はなく、この商流にCを入れて、AからBに、BからCに、CからE及びFに、順次自動車を売却するという取引にすることができる事実もなく、CがBに自動車売買代金として金銭を支払っても、後日、これを上回る金銭をCがE及びFから自動車売買代金として受領できる事実もないのに、これらがあるかのように装い、「A、B、E及びFは、AからBに、BからE及びFに、順次自動車合計21台を売却することの合意をしているが、この商流にCを入れ、AからBに、BからCに、CからE及びFに、順次自動車合計21台を売却するという取引にすることができる。CがBに対して自動車売買代金として8555万円を支払えば、後日、E及 が、この商流にCを入れ、AからBに、BからCに、CからE及びFに、順次自動車合計21台を売却するという取引にすることができる。CがBに対して自動車売買代金として8555万円を支払えば、後日、E及びFからCに対して自動車売買代金として合計9185万円が支払われる。」旨のうそを言い、前記Dをそ の旨誤信させ、よって、同月22日及び同月24日、3回にわたって、前記C事務所において、同人に、インターネットバンキングを利用して株式会社G銀行H支店に開設されたC名義の普通預金口座からI信用金庫J支店に開設されたB名義の普通預金口座に現金合計8555万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させた。 第2 かねてより、C等に対して架空の自動車取引を持ち掛け、自動車売買代金の名目で金銭を得ることを繰り返していたものであるが、従前の取引が架空のものであることの発覚を防ぐために、Cに対して自動車売買代金の名目で金銭を支払う必要があったことから、Bから自動車売買代金の名目で金銭をだまし取り、これをCに対する支払に充てようと考え、令和5年11月24日頃、名古屋市(以下、住所省略)B事務所において、同社代表取締役K(当時45歳)に対し、真実は、A、C及びEが、AからCに、CからEに、順次自動車を売却することの合意をしている事実はなく、この商流にBを入れて、AからCに、CからBに、BからEに、順次自動車を売却するという取引にすることができる事実もなく、BがCに自動車売買代金として金銭を支払っても、後日、これを上回る金銭をBがEから自動車売買代金として受領できる事実もないのに、これらがあるかのように装い、「A、C及びEは、AからCに、CからEに、順次自動車23台を売却することの合意をしているが、この商流にBを入れ、AからCに、CからBに、Bから 領できる事実もないのに、これらがあるかのように装い、「A、C及びEは、AからCに、CからEに、順次自動車23台を売却することの合意をしているが、この商流にBを入れ、AからCに、CからBに、BからEに、順次自動車23台を売却するという取引にすることができる。BがCに対して自動車売買代金として9920万円を支払えば、後日、EからBに対して自動車売買代金として1億990万円が支払われる。」旨のうそを言い、前記Kをその旨誤信させ、よって、同月24日、前記B事務所において、同人の指示を受けた同社従業員に、インターネットバンキングを利用してI信用金庫J支店に開設されたB名義の普通預金口座からL銀行株式会社M支店に開設されたC名義の普通預金口座に現金9920万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させた。 (量刑の理由)本件は、自動車販売会社で法人営業等を担当していた被告人が、自己の発注ミスによる損害を補填するために自動車販売代金を無断で値引きするなどしたことを発端に、複数の取引先会社及び関係会社に架空の取引を持ち掛けて多額の金銭を詐取して未払金に充てることを繰り返していたところ、その発覚を免れるために架空取引を持ち掛けて2社から合計1億8475万円を交付させたという事案である。 被告人は業界大手の自動車販売会社や同社の上司の名前を悪用し、相当期間にわたって偽装が発覚しないように被告人なりに工夫をした上で本件各犯行に至っているのであって、常習的で巧妙な犯行である。被告人は自らのミスを正直に申告するのではなく、会社に隠して損害を補填しようとしたことを発端に、偽装取引を繰り返していたものであり、自己保身の動機を酌量することはできない。被害金額も相当高額であり、関係会社に多大な損額を与えている。 以上によれば、被告人の刑事 填しようとしたことを発端に、偽装取引を繰り返していたものであり、自己保身の動機を酌量することはできない。被害金額も相当高額であり、関係会社に多大な損額を与えている。 以上によれば、被告人の刑事責任は相当に重く、被告人が被害弁償に努めているとはいえ、現時点での弁償は2000万円弱相当であり、それ自体は考慮に値する金額であるが、被害額の大きさからすると一部にとどまるといわざるを得ないことを踏まえると、長期間の実刑は免れない。そこで、被害弁償の点に加え、被告人が事実を素直に認め、知人が提供する住居や仕事によって少しずつでも被害弁償を続けていきたいとの意向を示していることなども考慮し、刑期を主文のとおり定めることとした。 (求刑懲役7年)令和7年2月28日名古屋地方裁判所刑事第1部 裁判官平手健太郎
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