昭和58(行ウ)14 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成3年8月6日 広島地方裁判所 住民訴訟
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【DRY-RUN】○ 主文 一 原告らの被告A、同B、同C、同D、同Eに対する各訴えを却下する。 二 原告らのその余の請求を棄却する。 三 訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の

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○ 主文一原告らの被告A、同B、同C、同D、同Eに対する各訴えを却下する。 二原告らのその余の請求を棄却する。 三訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告らは福山市に対し、各自、金一一億三二七四万〇四三四円及びこれに対する被告F、同C、同D、同Eは昭和五八年一二月三日から、被告Aは同月四日から、被告Bは同月六日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告らの連帯負担とする。 3 仮執行宣言二請求の趣旨に対する答弁 1 本案前の答弁(一) 原告らの請求を却下する。 (二) 訴訟費用は原告らの負担とする。 2 本案の答弁(一) 原告らの請求を棄却する。 (二) 訴訟費用は原告らの負担とする。 第二当事者の主張一請求原因 1 当事者(一) 原告らは、いずれも福山市の住民である。 (二) 被告らは、昭和五七年八月二七日、福山市の次の役職に就任していた。 被告 F  市長被告 A  助役被告 B  収入役被告 C  建設局長被告 D  都市部長被告 E  都市開発課長 2 本訴の対象となる行為(一) 福山市は、昭和五六年九月五日、備後圏都市計画事業東部土地区画整理事業の事業施行者の保留地として別紙物件目録記載一の土地(以下「本件保留地」という。)を取得した。 (二) 福山市は、昭和五七年八月二七日、株式会社天満屋に対し、本件保留地のうち、別紙物件目録二及び三の土地(以下「本件土地」という。)を随意契約によって売買代金二二億七三三九万九五六六円で売却し(以下「本件売却処分」という。)、昭和五八年九月六日所有権移転登記手続を了した。 3 被告らの責任(一) 被告Fは市長として右契約を締結し、同Aは助役として、同Bは収入役として、同Cは建設局長として、同Dは都 却処分」という。)、昭和五八年九月六日所有権移転登記手続を了した。 3 被告らの責任(一) 被告Fは市長として右契約を締結し、同Aは助役として、同Bは収入役として、同Cは建設局長として、同Dは都市部長として、同Eは都市開発課長として、それぞれ右契約案に賛成するなどして本件売却処分に関与した。 (二) 本件売却処分には、次のとおり法令違反が存する。 (1) 処分方法の違法本件売却処分は、随意契約によることができる場合を定めた備後圏都市計画事業東部土地区画整理事業施行規程七条二項の規程する要件に該当せず、違法な財産の処分である。 被告らは、(一)記載のとおり本件売却処分に関与したが、その際、本件売却処分が右のとおり手続上違法であることを知りながら、あるいは知るべきであったにもかかわらず、不注意にもこれに気づかず本件売却処分をし、福山市に対し後記損害を与えたものである。 (2) 売買価額決定の違法本件契約の売買価格は二二億七三三九万九五六六円(一平方メートルあたり約四万〇〇四六円)であるが、右契約当時その時価は三四億〇六一四万円(一平方メートルあたり六万円)を下らないので、本件売買価格は少なくとも時価より一一億三二七四万〇四三四円も低かった。 被告らは、(一)記載のとおり本件売却処分に関与したが、その際、売買価額が異常に低額であって、これによって福山市が莫大な損害を受けることを知りながらこれを売却し、福山市に対し後記損害を与えたものである。 4 損害福山市は、本件売却処分により、時価(三四億〇六一四万円)と売買価額(二二億七三三九万九五六六円)との差額(一一億三二七四万〇四三四円)の損害を被った。 5 原告らは、地方自治法二四二条に基づき、本件売却処分につき、昭和五八年八月二六日に福山市監査委員に対し、監査請求をなしたところ、同委員から同年 差額(一一億三二七四万〇四三四円)の損害を被った。 5 原告らは、地方自治法二四二条に基づき、本件売却処分につき、昭和五八年八月二六日に福山市監査委員に対し、監査請求をなしたところ、同委員から同年一〇月二四日付で、違法又は不当はないとの監査結果の通知を受けた。 6 よって、原告らは、地方自治法二四二条の二に基づき、福山市に代位して、被告ら各自に対し、福山市の受けた損害金一一億三二七四万〇四三四円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告F、同C、同D、同Eについては昭和五八年一二月三日、同Aについては昭和五八年一二月四日、同Bについては昭和五八年一二月六日)から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。 二被告らの本案前の主張 1 非財務的行為(被告ら)本件売却処分は、住民訴訟の対象とはならず、原告らの本件訴えは不適法である。 すなわち、地方自治法二四二条の二に定める住民訴訟の制度は、地方公共団体の財政の運営上の不正を事前に抑制し、あるいは事後に是正することを目的とするものであり、その対象となる行為は同法二四二条一項所定の地方公共団体の執行機関または職員による一定の財政財務会計上の違法な行為または怠る事実に限られる。右財政財務会計上の行為とは地方公共団体の有する自治財政権に基づいて地方公共団体の機関または職員のなす行為を指称するものである。 しかるに、本件売却処分は、被告Fが土地区画整理法一〇八条一項に基づき土地区画整理事業の施行者である福山市の機関として行ったものであって、その事業に要する費用の負担等は全て同法に規定され、これに基づいて運営されるもので、たまたま福山市の財政に形式的に得喪変更を生じるとしても、かかる効果は同法に定める施行者たる地位に基づく行為により生じるものであって、地方公共団体の自治財政権に基づく財産の処 いて運営されるもので、たまたま福山市の財政に形式的に得喪変更を生じるとしても、かかる効果は同法に定める施行者たる地位に基づく行為により生じるものであって、地方公共団体の自治財政権に基づく財産の処分にはあたらない。 2 被告適格(被告A、同B、同C、同D、同E)被告A、同B、同C、同D、同Eは、本件訴訟につき被告適格を有しない。 すなわち、本件訴訟は、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づく住民である原告らが福山市に代位して被告らに損害賠償の請求をするものである。右損害賠償請求の制度は、同法二四二条一項所定の地方公共団体の執行機関または職員が同項所定の財務会計上の事務を自己固有の職務権限に基づき違法に処理したため、これにより当該地方公共団体が損害を被った場合、その事務を処理した当該執行機関または職員をして、当該地方公共団体に対し、その損害填補の責に任ぜしめることによって違法な財務会計上の行為または怠る事実を予防または是正し、もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とするものであるから、損害填補の責に任ずる者は、当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う職務権限を法令上本来的に有するものとされている者およびこれらの者から権限の委任を受けるなどして右権限を有するに至ったものであって、職務権限のある者を職務上補助する者は該当しないというべきである。 本件土地の処分権限は、本件土地区画整理事業の施行者である福山市の機関としての福山市長(被告F)に帰属し、同人を除くその余の被告らはいずれも本件売買契約の締結につき自己固有の職務権限を何ら有しないものであるから、同法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」に該当しない。 三請求原因に対する認否 1 請求原因1、2及び5の各事実は認める。 2 請求原因3のうち、(一)は認 務権限を何ら有しないものであるから、同法二四二条の二第一項四号にいう「当該職員」に該当しない。 三請求原因に対する認否 1 請求原因1、2及び5の各事実は認める。 2 請求原因3のうち、(一)は認める。同(二)(1)の事実は否認する。同(2)の事実中本件契約の売買価格が二二億七三三九万九五六六円(一平方メートルあたり約四万〇〇四六円)であることは認めるが、その余の事実は否認する。 3 請求原因4の事実は否認する。 第三証拠(省略)○ 理由第一本件訴えの適法性一被告らは、本案前の抗弁として、本件売却処分は住民訴訟の対象とはならないと主張するので、この点について判断する。 地方自治法二四二条の二に定める住民訴訟の対象となる行為は、同法二四二条一項所定の地方公共団体の執行機関または職員による一定の財政財務会計上の違法な行為または怠る事実に限られる。 本件売却処分は、福山市が土地区画整理法三条三項により土地区画整理事業を施行し、その施行者として保留地を処分したものであるが、換地計画において定められた保留地は換地処分の公告があった日の翌日において施行者たる市が取得し、同市に帰属した財産となること(同法一〇四条一一項)、右保留地の売却は通常の売買契約たる性質を持つこと、右土地区画整理事業に要する費用は同市が負担するものであり(同法一一八条一項)、右保留地の処分の価格如何は同市の財産に直接影響を及ぼすものであることを考えると、土地区画整理事業の施行者たる市による保留地の売却は地方自治法二四二条一項にいう財産の処分ないし契約の締結に該当すると解するべきである。 そうだとすれば、本件売却処分が住民訴訟の対象となるものであることは明らかであるから、被告らの右本案前の抗弁は理由がない。 二被告A、同B、同C、同D、同E(以下「被告Aら五名」という。) である。 そうだとすれば、本件売却処分が住民訴訟の対象となるものであることは明らかであるから、被告らの右本案前の抗弁は理由がない。 二被告A、同B、同C、同D、同E(以下「被告Aら五名」という。)は、本案前の抗弁として、同人らは被告適格を有しないと主張するので、この点について判断する。 本件訴えは、地方自治法二四二条の二第一項四号所定の代位請求住民訴訟の一類型である「当該職員」に対する損害賠償の請求であるが、その訴訟において被告とされている者が、右条項にいう「当該職員」たる地位ないし職にある者に該当しないとすれば、かかる訴えは、法により特に出訴が認められた住民訴訟の類型に該当しないものであるから不適法といわざるを得ない。そして右「当該職員」とは、当該訴訟においてその適否が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するものとされている者及びこれらの者から権限の委任を受けるなどして右権限を有するに至った者を広く意味し、反面およそ右のような権限を有する地位ないし職にあると認められない者はこれに該当しないと解するのが相当である(最高裁昭和六二年四月一〇日第二小法廷判決・民集四一巻三号二三九頁)。 本件において原告らが違法な財務会計上の行為として主張しているものは本件売却処分であるが、福山市の財産を処分する権限は同市の長である被告Fに帰属するものであるところ(地方自治法一四九条六号)、被告Aら五名が被告Fから本件売却処分について権限の委任を受けた事実を認めうる証拠はないから、被告Aら五名は右「当該職員」なる地位ないし職にある者に該当しないというべきである。 したがって、本件訴えのうち被告Aら五名に対するものは不適法であるといわざるをえない。 第二本案について判断する。 一請求原因1、2及び5の各事実は、当事者間に争いがない。 いというべきである。 したがって、本件訴えのうち被告Aら五名に対するものは不適法であるといわざるをえない。 第二本案について判断する。 一請求原因1、2及び5の各事実は、当事者間に争いがない。 二請求原因3のうち、(一)の事実は、当事者間に争いがない。 三同(二)出の事実について判断する。 土地区画整理法一〇八条一項は、土地区画整理事業の施行者が市であるときは、保留地を施行規程で定める方法に従って処分しなければならないとし、この場合、市の財産の処分に関する法令の規定は適用しない旨定め、地方自治法二三四条、地方自治法施行令一六七条の二の適用を排除している。これは、機会均等、公正、価格の有利性等の要請を一歩退かせ、施行者が適宜適切に必要な事業費を取得することを可能ならしめようという趣旨に出るものである。 これを受けて、備後圏都市計画事業東部土地区画整理事業施行規程七条一項は、「法第九六条第二項の規定により定めた保留地の処分は、施行者があらかじめ予定価格を定め、一般競争入札によるものとする。」とし、同条二項は、「前項の規定にかかわらず、次の各号の一に掲げる理由に該当するときは、随意契約によることができる。山入札希望者がないとき。(2)落札者が契約を結ばないとき。(3)国又は地方公共団体が公用又は公共の用に供するため必要とするとき。(4)その他特に施行者が必要と認めたとき。」として随意契約による場合を定めている。 そして、同項(4)にいう「その他特に施行者が必要と認めたとき」とは、地方公共団体が保留地を処分するにあたり一般競争入札の方法によることが困難というべき場合に限定されるものではなく、一般競争入札の方法によることが困難とはいえないが、不特定多数の者の参加を求め競争原理に基づいて契約の相手方を決定することが必ずしも適当ではなく、当該契約自 というべき場合に限定されるものではなく、一般競争入札の方法によることが困難とはいえないが、不特定多数の者の参加を求め競争原理に基づいて契約の相手方を決定することが必ずしも適当ではなく、当該契約自体では多少とも価格の有利性を犠牲にする結果となるとしても、地方公共団体において当該契約の目的・内容に相応する資力、信用、性質等を有する相手方を選定してその者との間で契約を締結するという方法をとるのが、当該保留地処分の目的を達成する上でより妥当であると合理的に判断される場合を意味するものと解するのが相当である。そして、右のような場合に該当するか否かは、契約の公正、価格の有利性等の要請と、適宜適切な事業費の取得の要請との調和をはかることを目的として施行者たる市の保留地処分の方法を定めている前記法令の趣旨を勘案し、個々具体的な保留地の処分ごとに、当該保留地処分の目的、内容等諸般の事情を考慮して当該施行者の合理的な裁量判断により決定されるべきものと解するのが相当である。そこで、本件売却処分にいたる経緯等についてみるに、原本の存在及びその成立に争いのない甲第一、第六、第一〇、第一一、第二四、第二五号証、成立に争いのない甲第二七号証、証人G、同H、同Iの各証言、被告D、同F、同A各本人尋問の結果を総合すれば、次の事実が認められる。 本件保留地は、事業施行者としての福山市が、備後圏都市計画事業東部土地区画整理審議会(以下、単に「審議会」という。)の同意を得て保留地と定めたものであり、当初企業誘致の用地として位置づけていたが、企業誘致が諸般の事情で断念せざるをえなくなったため、昭和四八年一〇月ころからは、東部副都心構想の核として位置づけ、昭和四九年九月には、公園とショッピングセンターの建設計画用地として構想された。 ところで、福山市は、当時元町地区再開発事業 なったため、昭和四八年一〇月ころからは、東部副都心構想の核として位置づけ、昭和四九年九月には、公園とショッピングセンターの建設計画用地として構想された。 ところで、福山市は、当時元町地区再開発事業に取り組んでいたが、昭和五三年五月二五日、同事業の促進協議会から本件保留地を仮店舗用地として使用させてほしいとの要望が出されたので、昭和五四年七月二〇日、元町再開発組合に対し、期限を昭和五七年七月一九日までとして一時使用することの許可を与えた。 元町再開発組合は右保留地の一部に軽量鉄骨造二階建の建物を建て、ここに天満屋を含も右開発対象地区内の商店が入店したが、これらの仮店舗は再開発ビルが完成した後はそちらに移転することが前提とされていた。 前記審議会は、昭和五六年九月四日の備後圏都市計画事業東部土地区画整理事業の換地処分公告に伴って廃止されたが、保留地の利用計画の諮問機関として元審議会の委員による協議会が設けられ、さらにその代表者からなる小委員会も設置された。昭和五六年一〇月ころには、本件保留地は右小委員会からの要請により福山市の市庁舎用地の候補の一つになるなどしていた。 昭和五七年六月の福山市の市議会において、元町再開発組合が本件保留地の仮店舗を前記使用期限である同年七月一九日までに撤去して再開発ビルに移転することが可能か否かが問題となったが、元町再開発事業の進行が遅延していたためこれは不可能であることが明確となり、また、東部土地区画整理事業は昭和五六年度においてすでに赤字であって、事業費の捻出をしなければならない状況にあった。 当時福山市の都市部長であった被告Dは、以上のような事情と本件保留地の前記のような位置づけをも考慮し、同年六月下旬ころ、別紙物件目録記載三の土地(以下「本件三の土地」という。)を天満屋に売却することを頭におき、天満屋に打診 った被告Dは、以上のような事情と本件保留地の前記のような位置づけをも考慮し、同年六月下旬ころ、別紙物件目録記載三の土地(以下「本件三の土地」という。)を天満屋に売却することを頭におき、天満屋に打診したところ、同年七月六日、天満屋は右土地買入れ希望がある旨を表明してきた。当時、天満屋は、地元の商店街の代表との話し合いが難しく、本件土地上で店舗を設けることのできる可能性は当面少なかったが、それができないとしても右土地周辺の地域発展に寄与する施設を設けることを考えていた。被告Dは、小委員会に対し、右売却案を提案したところ、同年七月一五日、小委員会から、本件三の土地の外別紙物件目録記載二の土地(以下「本件二の土地」という。)も一括して処分すること、適正な価格で処分することの要請があった。そこで、福山市は、右要請に沿い、本件土地を一括して売却することとし、価格については市の職員による路線価方式による評価額よりも、不動産鑑定評価額の方がより適正であると考えられたことから不動産鑑定評価額で売却することを交渉する旨約した。 以上の経過を踏まえ、福山市は、同年七月一七日ころ、天満屋に対し、本件土地を約二二億円で売却する旨の申入れをし、天満屋は代金を分割納入する条件でこれを内諾しな。福山市は、右売却案を協議会ないし小委員会に諮ったところ、右協議会ないし小委員会は天満屋への売却後の本件土地の具体的な利用計画が提示されないことに当初不満を示したが、結局、昭和五七年八月二四日、本件土地を副都心商業地域の核とする構想で努力すること、その具体的事項についてはできるだけ事前に協議することという条件の下に、本件売却処分の同意をした。 被告Fは、被告Aから、本件土地の売却に関する従前の経過についての報告を受け、前記協議会の要望に沿う形で本件土地を利用するという条件付の売買 協議することという条件の下に、本件売却処分の同意をした。 被告Fは、被告Aから、本件土地の売却に関する従前の経過についての報告を受け、前記協議会の要望に沿う形で本件土地を利用するという条件付の売買であるにもかかわらず、天満屋が鑑定評価額で買い受ける意向を示していることに満足し、財政的な理由から早期に処分する必要があることを勘案の上、備後圏都市計画事業東部土地区画整理事業施行規定七条二項(4)を適用して本件土地を随意契約で処分する決定をし、天満屋に本件土地を地域の発展振興に寄与する施設等の用途に供することを誓約させたうえ、同年八月二七日、本件売却処分をなした。 以上のとおり認められる。 右事実関係によると、本件土地は、本件売却処分当時、副都心商業地域の核たる位置づけを与えられていたのであるから、本件土地を売却する相手方は右目的に沿うものに限定する必要があったことが認められ、この点に鑑みると、一般競争入札の方法を排し、当該保留地処分の目的、内容、契約の相手方の資力、信用、種類等を考慮して特定の相手方を選定し、その者に対し保留地を処分するのが妥当であるとする考えも十分首肯することができるものであり、他方、本件にあって随意契約の方法を採ることについて公正を妨げる事情は窺うことはできないから、結局、被告Fにおいて本件売却処分をもって備後圏都市計画事業東部土地区画整理事業施行規定七条二項(4)に該当すると判断したことに合理性を欠く点があるということはできず、したがって、随意契約の方法によって本件売却処分をなしたことに違法はないというべきである。 なお、被告Fが本件売却処分の相手方として天満屋を選択したことの適法性についてみるに、天満屋が本件土地上で店舗を設けることのできる可能性は少なくとも当面は乏しかったことに照らすと、地域の発展に寄与するという見 Fが本件売却処分の相手方として天満屋を選択したことの適法性についてみるに、天満屋が本件土地上で店舗を設けることのできる可能性は少なくとも当面は乏しかったことに照らすと、地域の発展に寄与するという見地からは、その妥当性に疑問の余地がないわけではないが、地方財務行政の適正な運営を確保するという地方自治法二四二条の二の目的からすれば、処分の相手方選択の適法性を判断するにあたっては、処分価格の相当性、代価を相手方から回収しうる可能性等地方公共団体の財政に著しく影響を及ぼす限度においてその観点から検討すれば足り、いずれの相手方が地域の発展により資するかというような点について判断する必要はないものと解するのが相当である。 本件では、処分価格が相当であることは後記認定のとおりであり、また、前記認定事実によれば代価を相手方から回収しうる可能性があったと認められ、他に地方公共団体の財政に著しく影響を及ぼす事情は認められないから、被告Fが本件売却処分の相手方として天満屋を選択したことに違法はない。 四同(二)(2)の事実について判断する。 1 本件契約の売買価格が二二億七三三九万九五六六円であったことは、当事者間に争いがない。 2 そこで右の売買価格が決定された経緯について検討する。 原本の存在及びその成立に争いのない甲第二、第四の一ないし四、第五、第八、第一二号証、成立に争いのない乙第三号証、証人I、同Gの各証言、被告D本人尋問の結果を総合すれば、以下の(一)ないし(三)の事実が認められる。 (一) 福山市は、昭和五七年七月六日、不動産鑑定士Iに対し、本件三の土地の昭和五七年六月三〇日時点における正常価格の鑑定を依頼したところ、Iはこれを一四億一八一八万五八六〇円(一平方メートルあたり三万九〇〇〇円)と評価した。右の価格算出の根拠としてIの述べるところは、 昭和五七年六月三〇日時点における正常価格の鑑定を依頼したところ、Iはこれを一四億一八一八万五八六〇円(一平方メートルあたり三万九〇〇〇円)と評価した。右の価格算出の根拠としてIの述べるところは、次のようなものである。 本件三の土地は、行政的にも、また実態としても準工業地域であるが、その最有効利用は住宅地である(すなわち住宅地として開発するのが理想であり、最も価値の出る方法である。)と判断し、これを前提として、通常の手法(取引事例比較法・原価法・収益還元法の三方式を併用)で評価し、標準画地価格を一平方メートルあたり七万二八〇〇円と判断した。そのうえで、宅地としての素地価格を控除方式により計算し(本件土地は広大地であるため、道路等の潰地を控除する。)、有効宅地比率七六バーセントとして、前記標準画地価格に〇・七六を乗じ、これから造成工事費、公共施設負担費、付帯費、販売費、一般管理費等を控除し、対投下資本収益等控除、熟成度補正を施し、素地価格を一平方メートルあたり四万三三〇〇円と判断した。さらに天満屋の店舗がなくなることによるバス路線の減少、鉄道高架の北側であること等を勘案し、右価格に一〇パーセントの減価補正をし、本件三の土地の鑑定評価額を一四億一八一八万五八六〇円(一平方メートルあたり三万九〇〇〇円)と判断した。 本件三の土地についてのIの評価額算出の根拠は以上のとおりであった。 (二) ところで、Iは、昭和五七年七月上旬、福山市からひきつづいて本件二の土地の価格についての意見を求められ、同土地と本件三の土地との個別的諸要因を比較検討のうえ、総合的に大差ないと判断し、その評価額を七億九五八二万六九八〇円一一平方メートルあたり三万九〇〇〇円)と判断し、その旨記載した意見書を福山市に提出した。 (三) その後、福山市の職員であるGは、本件土地の右 大差ないと判断し、その評価額を七億九五八二万六九八〇円一一平方メートルあたり三万九〇〇〇円)と判断し、その旨記載した意見書を福山市に提出した。 (三) その後、福山市の職員であるGは、本件土地の右評価額の妥当性を確認するため、昭和五七年の地価公示価格を検討したが、手城東土地区画整理区域内の住宅地の公示価格が一平方メートルあたり六万三〇〇〇円であるのに対し、東部土地区画整理区域内の住宅地の公示価格が一平方メートルあたり六万四八〇〇円であったので、地価としては両区画整理区域内はほぼ同じ水準であると考え、手城東土地区画整理区域内の広大地の公示価格が四万円であったことから東部土地区画整理区域内の広大地の価格は前記鑑定ないし意見書の評価額で妥当であると判断し、前記Iによる本件土地の一平方メートルあたりの評価額に基づいて算出した同土地の価格に代金の分割納入に伴う利息分を加え、同土地の処分価格を二二億七三三九万九五六六円とする伺書を作成して、被告Fの決裁を受けた。以上のとおり認められる。 3 ところで、鑑定の結果によれば本件土地の昭和五七年八月二七日当時の時価は二四億五〇〇〇万円(一平方メートルあたり四万三二〇〇円)ということである。 証人Jの証言及び鑑定の結果によれば、Jは本件土地の最有効利用は大規模地を必要とする郊外型の小売店舗等の用地であると考え、類似地域内の大規模地の取引事例に直接比準して対象地の価格を求める方法と、標準的な規模を有する一般住宅地等として開発する場合を想定して控除方式を採用して対象地の価格を求める方法とを併用してその価格を算出したが、前者では取引事例が三件しかなく、それぞれ難点もあったが、一応これらのうち一例を重視し、他の二例をも参考にして二六億一〇〇〇万円(一平方メートルあたり四万六〇〇〇円)と査定した。また、後者では、取 前者では取引事例が三件しかなく、それぞれ難点もあったが、一応これらのうち一例を重視し、他の二例をも参考にして二六億一〇〇〇万円(一平方メートルあたり四万六〇〇〇円)と査定した。また、後者では、取引事例比較法及び収益還元法を採用し、公示価格、基準地の標準価格との均衡をも考えあわせ、価格時点時における造成後の更地価格を一平方メートルあたり八万三〇〇〇円とし、更に価格時点後地域が発展することに伴う増加率を一一パーセントとみて販売時における造成後の更地価格を一平方メートルあたり九万二一〇〇円とし、本件土地全体から道路、公園等に提供すべき土地があるから有効宅地比率を七一パーセントとし、更に造成工事費、販売費、一般管理費等を控除し、本件土地の鑑定評価額を二二億九〇〇〇万円(一平方メートルあたり四万〇三〇〇円)と評価した。そして両価格間に相当の格差を生じたので、それぞれの価格の特性及び精度について再検討を加えたうえ、最終的に両価格の平均値である二四億五〇〇〇万円(一平方メートルあたり四万三二〇〇円)をもって、本件土地の鑑定評価額としたものである。 4 以上を前提に本件売却処分の違法性について判断する。 前記鑑定の結果とIによる評価とを比較してみるに、確定の結果は一平方メートルあたり四万三二〇〇円であるのに対し、Iによる評価は一平方メートルあたり三万九〇〇〇円であること、証人Jの証言によれば、本件土地の最有効利用の判断は困難であることが認められるし、当時の現地の状況は、天満屋等の仮店舗を除けば商店もなかったことに鑑みると、Iが本件三の土地の最有効利用を住宅地と判断したことには特に問題がないと思われ、前記認定のとおりJの鑑定によっても本件土地を標準的な規模を有する一般住宅地等として開発する場合を想定して控除方式を採用して価格を求めると本件土地の鑑定評価 判断したことには特に問題がないと思われ、前記認定のとおりJの鑑定によっても本件土地を標準的な規模を有する一般住宅地等として開発する場合を想定して控除方式を採用して価格を求めると本件土地の鑑定評価額は一平方メートルあたり四万〇三〇〇円とされていること、前記認定のとおりJは、価格時点後地域が発展することに伴う増加率を一一パーセントとみているが、これは鑑定が本件売却処分の四年以上後になされたから可能であったこと等の諸点を併せ考えれば、Iによる本件土地の評価額とJの鑑定による評価額との差は鑑定に伴う通常の判断の差として処理される程度のものであると認められ、右Iによる評価には明白な誤りは存しなかったものと認めることができる。 そして、前記認定のとおり、福山市は右評価額の妥当性について検討を経た上、右評価額に基づいて被告Fが本件処分価格を決定したのであるから、右価格による本件売却処分には違法な点はないものというべきである。 第三結論以上のとおりであるから、本訴のうち被告Aら五名に対するものはいずれも不適法であるからこれを却下することとし、被告Fに対する請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官浅田登美子山口浩司山田俊雄)別紙(省略)

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