令和5(行コ)237 各生活保護基準引下げ違憲処分取消等請求控訴事件、生活保護変更決定取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和7年3月28日 東京高等裁判所 さいたま地方裁判所 平成26(行ウ)34
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判決文本文63,230 文字)

-1-主文 1 本件各控訴人らの本件各控訴をいずれも棄却する。 2 本件訴訟のうち、別紙控訴審当事者目録記載の「6 控訴審第1事件被控訴人(原審第1事件原告)」の取消請求に関する部分は、令和5年9月20日に同被控訴人の死亡により、同目録記載の「29 控訴審第1事件被控訴人(原審第3事件原告兼第4事件原告)」の各取消請求に関する部分は、令和7年1月20日に同被控訴人の死亡により、それぞれ終了した。 3 控訴審第1事件原判決主文第5項が引用する同原判決別紙2処分一覧表4の「処分庁」欄に「埼玉県上尾福祉事務所長」とあるのを「埼玉県上尾市福祉事務所長」と更正する。 4 本件各控訴に係る控訴費用は、いずれも当該各控訴の各控訴人らの負担とする。 事実 及び理由 第1 控訴の趣旨 1 さいたま地方裁判所令和5年(行ヌ)第14号控訴提起事件(控訴審第1事件原審被告らの控訴。以下「控訴審第1事件原審被告ら控訴事件」という。)⑴ 原判決中、控訴審第1事件原審被告さいたま市、同上尾市、同新座市、同春日部市、同草加市、同川越市の各敗訴部分を取り消す。 ⑵ 控訴審第1事件原審原告番号29の原審原告(被控訴人。以下、控訴審第1事件の原審において原告番号が付された原審原告を指すときは、単に「原告番号29の原告」などと表記する。)の原審第3事件の訴えのうち、保護変更決定の取消請求に係る部分を却下する。 ⑶ 前記⑴の取消しに係る原告番号1ないし3、8ないし10、12、13、15、20ないし23、25、27、28、31ないし35の各原告の請求をいずれも棄却する。 (なお、原告番号6及び29の各原告については、後記第2の1⑵のとお - 2 -り。)⑷ 前記⑴の取消しに係る原告番号2 27、28、31ないし35の各原告の請求をいずれも棄却する。 (なお、原告番号6及び29の各原告については、後記第2の1⑵のとお - 2 -り。)⑷ 前記⑴の取消しに係る原告番号29の原告のその余の請求を棄却する。 2 さいたま地方裁判所令和5年(行ヌ)第16号控訴提起事件(控訴審第1事件原審原告らの控訴。以下「控訴審第1事件原審原告ら控訴事件」という。)⑴ 原判決を次のとおり変更する。 ⑵ 原判決主文第1ないし第7項と同じ。ただし、原審第1ないし第6事件原告らのうち、原告番号6、7、22、28、29及び31の各原告は控訴していないので、同人らに係る部分を除く。 ⑶ア控訴審第1事件原審原告ら控訴事件被控訴人国(以下、単に「被控訴人国」という。)は、原告番号1ないし3、8ないし10、12、13、15、16、20、21、23、25及び27の各原告に対し、それぞれ1万円及びこれに対する平成25年5月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ被控訴人国は、原告番号8、20、25及び32の各原告に対し、それぞれ1万円及びこれに対する平成26年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ウ被控訴人国は、原告番号8、9、20、25、33及び34の各原告に対し、それぞれ1万円及びこれに対する平成27年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (なお、原告番号35の原告については、後記第2の1⑵のとおり。) 3 控訴審第2事件⑴ 原判決を取り消す。 ⑵ 控訴審第2事件原審原告の請求を棄却する。 第2 事案の概要以下で使用する略称は、特に断らない限り、原判決の例による。 1 事案の要旨 - 3 -⑴ 本件は、生活保護法(以下、単に「法」とい 件原審原告の請求を棄却する。 第2 事案の概要以下で使用する略称は、特に断らない限り、原判決の例による。 1 事案の要旨 - 3 -⑴ 本件は、生活保護法(以下、単に「法」ということもある。)8条1項に基づいて厚生労働大臣が定めた保護基準の改定により、保護変更決定を受けた控訴審第1事件及び同第2事件原審原告らが、前記改定は、憲法25条並びに生活保護法3条及び8条に違反し、これに基づいてされた前記各決定は違法なものであると主張して、前記各決定の取消しを求めるとともに、控訴審第1事件原審原告らが、同人らに係る前記各決定が違法であるとして、被控訴人国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、前記各決定につき各1万円の慰謝料請求及びこれに対する各決定の日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 ⑵ 原審は、原審第1ないし第6事件判決主文第1項のとおり、原告番号7、8、16の各原告らの第1事件の請求のうち、前記各決定の処分取消請求に係る訴えは、出訴期間を経過して提起されたものであるから不適法であると判断していずれも却下し、その余の控訴審第1事件原審原告らの原審第1ないし第6事件の各決定取消請求及び控訴審第2事件原審原告の決定取消請求については、いずれも認容し、控訴審第1事件原審原告らの国家賠償請求については、いずれも棄却したところ、各決定取消請求部分の判断を不服とする控訴審第1事件原審被告ら控訴事件控訴人ら及び控訴審第2事件控訴人が、控訴審第1事件原審被告ら控訴事件及び控訴審第2事件に係る控訴を提起し、国家賠償請求部分の判断を不服とする控訴審第1事件原審原告ら控訴事件控訴人らが、控訴審第1事件原審原告ら控訴事件に係る控訴を提起した。 なお、控訴審 訴事件及び控訴審第2事件に係る控訴を提起し、国家賠償請求部分の判断を不服とする控訴審第1事件原審原告ら控訴事件控訴人らが、控訴審第1事件原審原告ら控訴事件に係る控訴を提起した。 なお、控訴審第1事件被控訴人A(原告番号6の原告)及び同B(原告番号29の原告)が被控訴人となっていた同人らの取消請求に関する部分は、同被控訴人らの各死亡(前者につき令和5年9月20日、後者につき令和7年1月20日)によりそれぞれ終了した。また、控訴審第1事件控訴人兼被控訴人であった原告番号35の原告は、控訴審において訴訟代理人委任後の - 4 -令和5年12月18日に死亡し、受継手続は行われていないものの、その後、前記訴訟代理人が訴訟追行を行い、前記原告に係る控訴を取り下げたところ、前記原告には、原判決別紙2処分一覧表6の同原告番号欄記載の処分日当時、前記原告に係る被保護世帯の構成員であった長男がいることから、前記原告が保護変更処分の取消請求訴訟係属中に死亡しても、これにより直ちに訴訟は終了しないと解する。 2 生活保護制度の概要等生活保護制度の概要等は、次のとおり控訴審第1事件原判決(以下、単に「原判決」といい、控訴審第2事件原判決をいう場合は、「控訴審第2事件原判決」と記載する。)の補正をするほかは、原判決の「事実及び理由」中の第2の2に記載のとおりであるから、これを引用する。 なお、以下、控訴審第1事件の証拠を挙げる場合は、単に「甲1」などと記載し、控訴審第2事件の証拠を挙げる場合は、「控訴審第2事件甲1」などと記載する。また、控訴審第1事件及び控訴審第2事件において、別紙証拠対照表のとおり、同じ証拠が異なる証拠番号で提出されているところ、前記証拠については、控訴審第1事件の証拠番号のみを挙げる。 ⑴ 原判決7頁11行目末尾の次に 件及び控訴審第2事件において、別紙証拠対照表のとおり、同じ証拠が異なる証拠番号で提出されているところ、前記証拠については、控訴審第1事件の証拠番号のみを挙げる。 ⑴ 原判決7頁11行目末尾の次に「(30条参照)」を加え、20行目の「保護基準(平成25年告示」を「生活保護法による保護の基準(平成25年5月16日厚生労働省告示第174号(甲1。以下「本件告示1」という。)」に、22行目、26行目の「乙4」をいずれも「甲2、乙4」にそれぞれ改め、8頁4行目の「、出産扶助」、5行目から6行目にかけての「、第6」をいずれも削り、11行目、12行目の「乙4」をいずれも「甲2、乙4」にそれぞれ改める。 ⑵ 原判決9頁3行目の「改定前保護基準」を「本件告示1による改定前の保護基準」に改め、13行目末尾の次、17行目末尾の次にいずれも「(甲2、乙4)」をそれぞれ加え、20行目の「級地区分」を「Ⅰ~Ⅵ区までの区分」 - 5 -に改め、22行目末尾の次に「(甲2、乙4)」を加える。 3 前提事実前提事実は、次のとおり原判決の補正をするほかは、原判決の「事実及び理由」中の第2の3に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、以下原判決引用部分中に「原告」とあるのは「控訴審第1事件原告」と、「別紙」とあるのは「原判決別紙」と読み替える。 ⑴ 原判決9頁26行目の「当事者」を「当事者等」に改め、同行目の末尾に改行して次のとおり加える。 「ア(原審原告らが受けた処分)原審第1事件ないし第3事件、第7事件原告らは、本件告示1による生活扶助基準の改定に伴い、平成25年8月1日以降の生活扶助費を変更する旨の、原審第1事件ないし第3事件原告らについては原判決別紙2処分一覧表1ないし3、第7事件原告についてはさいたま市浦和福祉事務所長の平成 の改定に伴い、平成25年8月1日以降の生活扶助費を変更する旨の、原審第1事件ないし第3事件原告らについては原判決別紙2処分一覧表1ないし3、第7事件原告についてはさいたま市浦和福祉事務所長の平成25年7月29日の各保護変更決定(以下、前記改定を「平成25年改定」、前記各変更決定を「平成25年各変更決定」とそれぞれいう。)を受けた。 原審第4事件原告らは、平成26年3月31日厚生労働省告示第136号(以下「本件告示2」という。)による生活扶助基準の改定に伴い、平成26年4月1日以降の生活扶助費を変更する旨の原判決別紙2処分一覧表4の各保護変更決定(以下、上記改定を「平成26年改定」、上記各変更決定を「平成26年各変更決定」とそれぞれいう。)を受けた。 原審第5事件及び第6事件原告らは、平成27年3月31日厚生労働省告示第227号(以下「本件告示3」という。)による生活扶助基準の改定に伴い、平成27年4月1日以降の生活扶助費を変更する旨の原判決別紙2処分一覧表5及び6の各保護変更決定(以下、上記 - 6 -改定を「平成27年改定」、上記各変更決定を「平成27年各変更決定」とそれぞれいう。)を受けた。 (争いがない。なお、以下、平成25年改定、平成26年改定及び平成27年改定を併せて「本件各改定」といい、平成25年各変更決定、平成26年各変更決定及び平成27年各変更決定を併せて「本件各変更決定」という。)」⑵ 原判決10頁1行目の冒頭に「イ」を加え、2行目の「当事者目録」を「原判決別紙当事者目録」に改め、3行目末尾の次に改行して次のとおり加える。 「 控訴審第2事件原告は、前記アの同人に係る保護変更決定の当時、さいたま市内に居住し、保護を受給していた(弁論の全趣旨)。」⑶ 原判決10頁8行目から9行目に 改行して次のとおり加える。 「 控訴審第2事件原告は、前記アの同人に係る保護変更決定の当時、さいたま市内に居住し、保護を受給していた(弁論の全趣旨)。」⑶ 原判決10頁8行目から9行目にかけての「基準」を「制度」に、11頁11行目の「8頁」を「6~9頁」に、13頁11行目の「乙A46」を「乙21」にそれぞれ改める。 ⑷ 原判決13頁22行目の「ア」から25行目の「原告ら」までを「ア控訴審第1事件原審原告ら」に改め、14頁2行目、3行目、4行目(2か所)の「原告ら」をいずれも「同原審原告ら」に、7行目の「ウ」を「」に、14行目の「エ」を「」にそれぞれ改め、15行目末尾の次に改行して次のとおり加える。 「イ控訴審第2事件原審原告は、自らが受けた前記保護変更決定につき、平成25年8月5日付けで、埼玉県知事に対して審査請求を行ったところ、埼玉県知事は、同年10月4日付けで、前記審査請求を棄却する旨の裁決を行い、その頃、同原審原告にその旨を通知した。 控訴審第2事件原審原告は、平成26年4月3日、原審第7事件に係る訴えを提起した(記録上明らかな事実)。」 4 争点及び争点に関する当事者の主張の要旨は、次のとおり原判決を補正し、後記5のとおり控訴審における当事者の主張の要旨を付加するほかは、原判決 - 7 -の「事実及び理由」中の第3の2及び3に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決15頁8行目の「2 争点2」を「1 争点1」に改める。 ⑵ 原判決15頁20行目の「厚生労働大臣が」を「厚生労働大臣の」に、16頁9行目の「10」を「19」に、22頁14行目の「であるOLS」を「(OLS)」にそれぞれ改める。 ⑶ 原判決33頁23行目の「82号」」を「75号」に改める。 ⑷ 原判決 労働大臣の」に、16頁9行目の「10」を「19」に、22頁14行目の「であるOLS」を「(OLS)」にそれぞれ改める。 ⑶ 原判決33頁23行目の「82号」」を「75号」に改める。 ⑷ 原判決54頁4行目の「3 国賠法1条1項の違法性等(争点3)」を「2争点2(国賠法1条1項の違法性等)」に、5行目、7行目、10行目、11行目、12行目、15行目の「原告ら」をいずれも「控訴審第1事件原告ら」に、17行目の「原告」を「控訴審第1事件原告」にそれぞれ改める。 5 控訴審における当事者の主張の要旨控訴審における原審原告ら(ただし、原告番号28の原告を除く。)及び原審被告らの各主張の要旨は、別紙「控訴審における原審原告ら(ただし、原告番号28の原告を除く。以下、本別紙において同じ。)の主張の要旨」(以下「控訴審における原審原告らの主張」という。)及び同「控訴審における原審被告らの主張の要旨」のとおりである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、原判決別紙2処分一覧表1の「処分庁」欄記載の各処分庁が原告番号1ないし3、9、10、12、13、15、20ないし23及び25の各原告に対して「処分日」欄記載の各年月日付けでした生活保護法25条2項に基づく保護変更決定、原判決別紙2処分一覧表2の「処分庁」欄記載の各処分庁が「原告番号」欄記載の各原告に対して「処分日」欄記載の各年月日付けでした生活保護法25条2項に基づく保護変更決定、原判決別紙2処分一覧表4の「処分庁」欄記載の各処分庁が原告番号31、8、28、20、32及び25の各原告に対して「処分日」欄記載の各年月日付けでした生活保護法25 - 8 -条2項に基づく保護変更決定、原判決別紙2処分一覧表5の「処分庁」欄記載の各処分庁が「原告番号」欄記載の各原告に対して「処分日」欄 処分日」欄記載の各年月日付けでした生活保護法25 - 8 -条2項に基づく保護変更決定、原判決別紙2処分一覧表5の「処分庁」欄記載の各処分庁が「原告番号」欄記載の各原告に対して「処分日」欄記載の各年月日付けでした生活保護法25条2項に基づく保護変更決定、原判決別紙2処分一覧表6の「処分庁」欄記載の各処分庁が「原告番号」欄記載の各原告に対して「処分日」欄記載の各年月日付けでした生活保護法25条2項に基づく保護変更決定、さいたま市浦和福祉事務所長が第7事件原告に対して平成25年7月29日付けでした生活保護法25条2項に基づく保護変更決定をいずれも取り消し、控訴審第1事件に係るその余の請求をいずれも棄却するのが相当であると判断するものであり、その理由は、次のとおり原判決の補正をするほかは、原判決の「事実及び理由」中の第4に記載のとおりである(当審において付加された当事者の主張に対する判断を含む。)から、これを引用する。なお、原告番号8及び16の各原告は、控訴状の控訴の趣旨において却下に係る主文の変更を求めておらず、原判決主文第1項に係る却下部分については、控訴の範囲に入っていない。 ⑴ 原判決54頁21行目末尾の次に改行して次のとおり加える。 「 前記前提事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。」⑵ 原判決55頁4行目の「較差」を「格差」に、10行目の「甲7」を「甲7の1」に、同行目の「10頁」を「10、13頁」に、26行目の「構造」を「実態」に、56頁16行目の「世帯構成」を「世帯構成など」に、21行目の「判定」を「反映」に、23行目の「較差」を「基準額の較差」に、26行目の「低い」を「低めの」にそれぞれ改め、57頁16行目の「(2頁以下)」を削り、59頁2行目の「2.75%」を「2.7%」に、6行 判定」を「反映」に、23行目の「較差」を「基準額の較差」に、26行目の「低い」を「低めの」にそれぞれ改め、57頁16行目の「(2頁以下)」を削り、59頁2行目の「2.75%」を「2.7%」に、6行目の「8頁」を「7~8頁」に、60頁15行目の「乙A46」を「乙21」にそれぞれ改める。 ⑶ 原判決60頁24行目冒頭から62頁21行目末尾までを削り、22行目 - 9 -の「3 争点2」を「2 争点1」に改める。 ⑷ 原判決62頁24行目の「本件各改定は、」の次に「平成16年報告書が必要であるとした」を加え、64頁8行目の「見て」を「みて」に改め、13行目の末尾の次に改行して「 そして、上記の生活扶助基準の改定後の基準の内容が被保護者の健康で文化的な生活水準を維持するに足りるものであるとした厚生労働大臣の判断について、その判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等を検討するについては、最終的な結論を導くにあたって検討され、あるいは検討されなかった個々の判断過程及び手続の過程における過誤、欠落の有無等を審査し、仮に過誤、欠落が存在するとすれば、その過誤、欠落が後続の判断の過程及び手続の過程において是正されたかどうかだけでなく、個々の判断過程及び手続の過程の各場面において過誤、欠落がないとしても、一連の判断の過程及び手続を俯瞰して検討することによっても、判断の過程及び手続における過誤、欠落と評価すべきものであるかどうかを審査することが相当である。」を、65頁10行目の末尾の次に「また、原審原告らは、生活保護基準の設定には、専門家によって構成された社会保障審議会や基準部会等の関与が必須である旨主張する。」をそれぞれ加え、16行目の「82号」を「75号」に、24行目冒頭から25行目の「そして」までを「ただし」に、26行目の「分科会」 成された社会保障審議会や基準部会等の関与が必須である旨主張する。」をそれぞれ加え、16行目の「82号」を「75号」に、24行目冒頭から25行目の「そして」までを「ただし」に、26行目の「分科会」を「部会」にそれぞれ改め、66頁1行目冒頭から同行目の「おいて、」まで、8行目の「しかしながら、」をそれぞれ削り、13行目の「見出せない。」を「見出せないし、」に、17行目の「できない。」を「できないが、厚生労働大臣が、専門家合議体による審議検討の結果に基づいて生活扶助基準の改定を行った場合には、改定に至る最終的な判断に際して政府部内における政策的な見地からの考慮が加えられたとしても、かかる審議検討を経た上で、その結果に沿っていることが厚生労働大臣の判断の客観的な合理性を担保するものといえることからすれば、審議検討の結果につき統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専 - 10 -門的知見との整合性を欠くものと認められない場合には、他に特段の事情がない限り、厚生労働大臣の判断についても、その判断の過程及び手続に過誤欠落があるとはいえないと判断すべきものと解するのが相当である。他方で、厚生労働大臣が、専門家合議体による審議検討を経ず、生活扶助基準の改定を行った場合には、当該判断については専門家合議体による審議検討という客観的かつ透明性の高い担保は存しないのであるから、審理判断の中心となるのは厚生労働大臣が当該判断に至った経過及び根拠であると解するのが相当であり、厚生労働大臣の判断が統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠くものでないか否かを判断すべきこととなり、専門家合議体による審議検討を経ているか否かによって審理判断の対象に相違が生ずるものと解されるが、いずれの場合においても、主として統計等の客観的な数値等 欠くものでないか否かを判断すべきこととなり、専門家合議体による審議検討を経ているか否かによって審理判断の対象に相違が生ずるものと解されるが、いずれの場合においても、主として統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等の観点からその判断等の当否を判断すべきであるから、厚生労働大臣の判断に係る裁量権の広狭に直ちに影響が生ずるものではないものというべきである。」にそれぞれ改める。 ⑸ 原判決66頁17行目末尾の次に改行して次のとおり加える。 「⑸ また、原審原告らは、別紙控訴審における原審原告らの主張の要旨⑴アのとおり、司法審査の対象となる厚生労働大臣の判断部分を限定し、同、同ウのとおり、最低生活保障を画する判断場面と激変緩和に関する判断場面における判断枠組みを区別すべきである旨主張するが、本件において裁量権の範囲の逸脱又はその濫用の有無が問題になる厚生労働大臣の判断は、激変緩和措置も含めて本件各改定に至る一連のものであって、前記⑵の判断枠組みを採用した場合において、その審査対象を一連の判断の一部分に限定すべき合理性は見出し難く、また、激変緩和措置についてのみ判断の過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点から見た判断の対象外とすべき合理性も見出し難いから、原審原告ら - 11 -の前記主張は採用しない。 さらに、原審原告らは、原判決第3の1(原告らの主張の要旨)⑴イ及び別紙控訴審における原審原告らの主張の要旨⑴ウ、⑵アa、イのとおり、生活保護基準の改定に当たっては、「要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情」(生活保護法8条2項)をすべて考慮し、かつそれらのみを考慮すべきであって、上記に列挙されていない財政事情等を考慮することは禁じられている旨主 構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情」(生活保護法8条2項)をすべて考慮し、かつそれらのみを考慮すべきであって、上記に列挙されていない財政事情等を考慮することは禁じられている旨主張する。 しかしながら、生活保護法によって保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるもの(生活保護法3条)であって、生命を維持するのに最低限度の生活水準ではなく、「健康で文化的な生活水準」が抽象的かつ相対的な概念であって、その具体的な内容は、その時々における経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであり(前記⑴)、最低限度の生活の需要に係る評価や被保護者の期待的利益についての可及的な配慮は、専門技術的考察に基づいた政策的判断であること(前記⑵)からすれば、生活扶助基準が生活保護法が保障する最低限度の生活の需要を超えることが客観的に明らかであった場合に、厚生労働大臣が、被保護者が従前の保護基準によって具体化されていた期待的利益を喪失する側面を考慮して、財政事情がこれを許容するとみて保護基準を引き下げなかった場合に、これが直ちに最低限度の生活をこえるものであるとして生活保護法8条2項に反するとみるのは相当ではなく、これを許容するとすれば、財政事情等も、厚生労働大臣の定める基準は、生活保護法8条2項(「要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければな - 12 -らない。」)がいうところの「その他保護の種類に応じて必要な事情」に該当し得るものと解されるから、原審原告らの前記主張は、採用しない。 ⑹ 生活扶助基準が生活保護法が保障する - 12 -らない。」)がいうところの「その他保護の種類に応じて必要な事情」に該当し得るものと解されるから、原審原告らの前記主張は、採用しない。 ⑹ 生活扶助基準が生活保護法が保障する最低限度の生活の需要を充たす限界にあるときに、財政事情を理由に生活扶助基準を引き下げることは、当然のことながら生活保護法8条2項の規定に違反することになる。 一方、原審被告らは、別紙控訴審における原審被告らの主張の要旨⑴アのとおり、厚生労働大臣の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法になるのは、当該判断が最低限度の生活の具体化として著しく合理性を欠くことが明らかな場合に限られる旨主張するが、厚生労働大臣が有する裁量権は、いわゆる羈束裁量であり、憲法25条1項を具体化する生活保護法が制定され、生活保護の在り方について前記第2の2のとおり生活保護法3条、8条1項・2項、9条、11条ないし18条により羈束されているのであるから、厚生労働大臣の裁量判断は生活保護法の上記諸規定の趣旨及び内容に適合するものであるか否かをそれぞれの条項の要件に照らし審査されるべきものといえるところ、「健康で文化的な生活水準」(生活保護法3条)が抽象的かつ相対的な概念であって、その具体的な内容は、その時々における経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであり(前記⑴)、最低限度の生活の需要に係る評価や被保護者の期待的利益についての可及的な配慮は、専門技術的考察に基づいた政策的判断であること(前記⑵)からすれば、生活保護法の上記諸規定の趣旨及び内容に照らしながら、前記⑵のとおり、厚生労働大臣の判断過程を審査するのが相当であって、本件各改定が従前の保護基準を改定するものであり、厚生労働大臣が、本件各改定 、生活保護法の上記諸規定の趣旨及び内容に照らしながら、前記⑵のとおり、厚生労働大臣の判断過程を審査するのが相当であって、本件各改定が従前の保護基準を改定するものであり、厚生労働大臣が、本件各改定前の保護基準が「健康で文化的な生活水準」を充足するものであることを前提に、これに修 - 13 -正を加える態様で本件各改定を行ったこととも整合するものであるから、原審被告らの前記主張は採用しない。 また、原審被告らは、別紙控訴審における原審被告らの主張の要旨⑴イのとおり、判断過程審査の手法を用いるとしても、本件各改定が違法となるのは、厚生労働大臣の判断過程に何らかの過誤、欠落があるというだけでは足りず、当該過誤、欠落が「最低限度の生活の具体化」に関するものであり、かつ、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著しく低いものとなりかねないような重大なものである場合に限られる旨も主張するが、前記主張は、実質的には、厚生労働大臣の判断が違法と評価されるのは最低限度の生活の具体化として著しく合理性を欠くことが明らかな場合に限られるとの主張と同旨であると解されるものであって、前記と同じ理由で、採用しない。 さらに、原審被告らは、別紙控訴審における原審被告らの主張の要旨⑴イ、⑵ウのとおり、改定された保護基準が事後的に最低限度の生活の需要を満たすものであったような場合まで裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったとすることはできない旨主張するが、「健康で文化的な生活水準」が抽象的かつ相対的な概念であって、その具体的な内容は、その時々における経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであり(前記⑴)、最低限度の生活の需要に係る評価や被保護者の期待的利益についての可及的な配慮は、専門技術的考察 済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであり(前記⑴)、最低限度の生活の需要に係る評価や被保護者の期待的利益についての可及的な配慮は、専門技術的考察に基づいた政策的判断であること(前記⑵)からすれば、事後の検証も、当該判断が行われた時点での経済的・社会的条件を基にして行われるべきものであって、事後の検証がその検証の時点での経済的・社会的条件を基にして行われたものであるならば、事後の検証によるその検証時において最低限度の生活の需要を満たすものであったとしても、そのことから当該判断の時点における適法性という帰結 - 14 -を直ちに導き出し得るものとは解されず、前記⑵の判断過程及び手続における過誤、欠落の有無等の観点から行う審査は、その本質からして、直接的にはその判断過程において考慮された内容のみを基礎に行われるべきであるから、原審被告らの前記主張は採用しない。」⑺ 原判決68頁16行目の「生活扶助基準の地域差に関し、級地別にみると」を「平成16年の消費実態を比較すると」に改める。 ⑻ 原判決70頁21行目の「ものであり、」の次に「生活扶助基準との比較対象となる一般低所得世帯につき、可能な限り実態に合致した十分な数の基礎データを抽出して用いる必要があったといえ、生活保護受給世帯も含めた第1・十分位世帯という実態に即したサンプルを比較対象とし、」を、71頁11行目の「下では、」の次に「クロス・セクション・データ(ある時点における場所・グループ別などに記録した複数の項目を集めたデータ)の分析の場合は、」をそれぞれ加え、15行目から16行目にかけての「50頁」を「3頁(C委員発言)」に、同行目の「基準部会」を「本件基準部会」に改める。 ⑼ 原判決72頁5行目冒頭から6行 )の分析の場合は、」をそれぞれ加え、15行目から16行目にかけての「50頁」を「3頁(C委員発言)」に、同行目の「基準部会」を「本件基準部会」に改める。 ⑼ 原判決72頁5行目冒頭から6行目末尾までを次のとおりに改める。 「⑾ア次に、原審原告らは、前記第3の1(原告らの主張の要旨)⑵エ及び別紙控訴審における原審原告らの主張の要旨⑵イb、cのとおり、2分の1処理が、生活扶助基準額が増額した場合にも適用されるものであり、実際の効果をみても、子供のいる2人世帯の4割以上・同3人世帯の3割程度の世帯類型の生活扶助基準額の減額又は不変の効果を生じさせており、生活扶助基準額が減額となる世帯の負担を軽減することを目的とする激変緩和措置ではなく、これに係る厚生労働大臣の判断過程に過誤がある旨主張する。 これに対し、原審被告らは、前記第3の1(被告らの主張の要旨)⑵カ、⑷ア、イ及び別紙控訴審における原審被告らの主張の要旨⑵ - 15 -イ、のとおり、ゆがみ調整をした場合の影響は、世帯員の年齢、世帯人員別、居住する地域の組合せによって様々であると見込まれ、平成25年検証の結果をそのまま反映させた場合には、子供のいる世帯への影響が大きくなることが予想されたことから、激変緩和措置の一環として、2分の1処理をしたものであって、平成25年検証の結果得られた生活扶助基準は、生活扶助基準の適正化という目的との関係で当該手法が唯一のものということはできないこと、生活扶助基準については、展開部分についても、平成25年検証の結果等を前提に更なる検証が行われる予定であったこと、サンプル世帯が極めて少数になるといった統計上の限界も認められたこと(乙9(9頁))や、公平の見地から、厚生労働大臣が、一律に一定の割合で平成25年検証の結果得られた適 が行われる予定であったこと、サンプル世帯が極めて少数になるといった統計上の限界も認められたこと(乙9(9頁))や、公平の見地から、厚生労働大臣が、一律に一定の割合で平成25年検証の結果得られた適正な生活扶助基準における展開のための指数による調整の影響を反映させることが合理的な措置であると考えて、2分の1処理を講じたことには、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない旨主張する。 イ保護基準の改定は、前記3⑴、⑷及び⑸のとおり、厚生労働大臣の専門的政策的裁量に基づいて行われるものであるから、厚生労働大臣は、検討部会等の専門機関の検証結果に拘束されると解すべき法的根拠は見出せない。また、本件基準部会でも、事務局から、平成25年検証は、消費の実態と基準との間にかい離があるのではないかという事実関係を合理的に説明できるかということを検証したものであり、それを踏まえて、基準を具体的にどうするかというところで本件基準部会の判断を受けているわけではない旨の説明がされており(乙28(31頁))、平成25年報告書(乙9)においても、そのゆがみ調整にかかる検討結果を生活扶助基準の展開部分にそのまま反映させると、例として、夫婦と18歳未満の子1人世帯は-8.5%、夫婦と - 16 -18歳未満の子2人世帯は-14.2%、母親と18歳未満の子1人の母子世帯は-5.2%のそれぞれ減額となる旨示されており、世帯員の年齢、世帯人員、居住する地域の組合せにより各世帯への影響は様々であると断りつつ(乙9(7~8頁))、留意事項として「今般、生活扶助基準の見直しを具体的に検討する際には、現在生活保護を受給している世帯及び一般低所得世帯、とりわけ貧困の世代間連鎖を防止する観点から、子どものいる世帯への影響にも配慮する必要がある。」と記載 活扶助基準の見直しを具体的に検討する際には、現在生活保護を受給している世帯及び一般低所得世帯、とりわけ貧困の世代間連鎖を防止する観点から、子どものいる世帯への影響にも配慮する必要がある。」と記載されていたことが認められる(乙9(9~10頁))。 以上によれば、厚生労働大臣において、平成25年検証の結果である指数をそのまま採用した場合に大きな減額があり得る子どものいる生活保護受給世帯に可及的に配慮するために、2分の1処理を行うこととした判断自体は、それだけで不合理なものであるとはいえない。 ウ原審原告らは、前記アのとおり、2分の1処理が激変緩和措置ではない旨主張するところ、いわゆる激変緩和措置を、不利益を受ける者の負担等に配慮して、その不利益を緩和することを目的とするものであると解した場合、平成25年検証の結果の採用により、従前の生活扶助基準による保護よりも少ない保護を受けることになる被保護者にとっては、2分の1処理は不利益を緩和することになるが、逆に従前の生活扶助基準による保護よりも多い保護を受けることになる被保護者にとっては、平成25年検証の結果の採用によれば受けられるはずの増額分が2分の1処理によって減少することになるから、2分の1処理は、前記の意味での激変緩和措置には該当しないといえる。しかしながら、単に最終的に大きな変更が予定される場合にその変更の程度を緩和することを激変緩和措置と表現するのであれば、2分の1処理は、激変緩和措置に該当すると解されるのであって、2分の1処理が言葉としての「激変緩和措置」に該当するか否かのみを取り上げて - 17 -議論する実益はなく、その実質を検討する必要がある。 そこで検討するに、平成25年検証の結果をそのまま適用した場合、前記イのとおり、夫婦と18歳未満の子1 否かのみを取り上げて - 17 -議論する実益はなく、その実質を検討する必要がある。 そこで検討するに、平成25年検証の結果をそのまま適用した場合、前記イのとおり、夫婦と18歳未満の子1人世帯は-8.5%、夫婦と18歳未満の子2人世帯は-14.2%、母親と18歳未満の子1人の母子世帯は-5.2%のそれぞれ相当の減額となることから、これを直ちに単年度で行えば、その生活への影響は大きいとものといえ、平成25年検証において子どものいる世帯への影響への配慮の必要性が指摘されていることからしても、ゆがみを単年度で解消するために、厚生労働大臣が、平成25年検証の結果をそのまま採用する内容の生活扶助基準の改定を直ちに単年度で行わなければ、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったと評価すべきであるとは解されない。 そして、従前の生活扶助基準による保護よりも少ない保護を受けることになる生活保護受給世帯に限り2分の1処理を行い、逆に多い保護を受けることになる生活保護受給世帯には2分の1処理を行わないとすれば、そのような部分的な2分の1処理を行うことにより、生活保護受給世帯間における新たな不均衡が生ずることとなり、ゆがみ調整の趣旨に反することになる。他方、全生活保護受給世帯について2分の1処理を行う場合、改定前の保護基準における指数と平成25年検証の結果の指数とのかい離の程度を2分の1に限り解消し、その限度で生活保護受給世帯間の格差を解消することになる。将来の見直しの際に、その時点での新たな事情を検討した上、漸次平成25年検証で指摘されたゆがみ調整の観点に基づく改定を行うことも不合理なものとはいえないのであって、原審原告らの主張を踏まえても、ゆがみ調整に際して2分の1処理をした厚生労働大臣の判断過程及び手続には、それだけで過誤、欠落がある の観点に基づく改定を行うことも不合理なものとはいえないのであって、原審原告らの主張を踏まえても、ゆがみ調整に際して2分の1処理をした厚生労働大臣の判断過程及び手続には、それだけで過誤、欠落があるとはいえない。 エ原審原告らは、別紙控訴審における原審原告らの主張の要旨⑵イ - 18 -のとおり、2分の1処理は、生活保護法8条2項所定の事情を考慮することなく生活扶助費の増減を行ったものであるから、同項の文言に一義的に反する旨主張する。 しかしながら、2分の1処理は、平成25年検証の結果を本件各改定に反映させるに際して行われたものであって、ゆがみ調整の具体化として採用されたものであるから、厚生労働大臣の判断の全過程のなかからそれだけを取り上げて評価するのは相当ではなく、平成25年検証は、年齢階級別、世帯人員別、級地別の観点から、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地別の検討を行ったものと評価できること(乙9)、保護基準は、「要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない」(生活保護法8条2項)とされており、ここでいう「最低限度の生活の需要を満たすのに十分」かつ「これをこえない」ものというのも、「健康で文化的な生活水準」と同様、抽象的かつ相対的な概念であって、その具体的な内容は、その時々における経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるから、被保護者の改定前基準に基づく受給額についての期待的利益についての可及的な配慮も前記「必要な事情」に該当するものと解すべきであって、原審原告らの前記主張は採用しない。 オ原審原告らは、別 から、被保護者の改定前基準に基づく受給額についての期待的利益についての可及的な配慮も前記「必要な事情」に該当するものと解すべきであって、原審原告らの前記主張は採用しない。 オ原審原告らは、別紙控訴審における原審原告らの主張の要旨⑵イb、cのとおり、2分の1処理が子のいる世帯に与える増額効果は限定的であり、生活保護受給世帯の53.4%を占める高齢単身世帯の生活扶助基準を大幅に引き下げ、最低限度の生活の需要を下回る結果をもたらした旨主張する。 - 19 -しかしながら、改定前基準による高齢単身者世帯の生活扶助基準が最低限度の生活の需要を満たすのに十分な水準であったとすれば、ゆがみ調整につき2分の1処理を行っても、ゆがみ調整によって増額となる高齢者単身世帯の生活扶助基準は改定前基準より増額されるはずである。改定前基準による高齢単身者世帯の保護基準がその最低限度の生活の需要を満たすものではなかったことを認めるに足りる証拠はなく、ゆがみ調整につき2分の1処理を行うことのみによって、直ちに高齢単身世帯の生活扶助基準がその最低限度の生活の需要を下回る結果をもたらすとは認められない。したがって、原審原告らの前記主張は、それのみでは、前記認定判断を左右するに足りるものではない。 ⑿ 以上によれば、本件各改定につき、ゆがみ調整に見合う最低限度の生活の需要のばらつきを指数化した平成25年検証の結果を2分の1処理をした上で適用した厚生労働大臣の裁量判断については、それのみにおいて、客観的数値との合理的関連性等の観点から、その判断の過程及び手続に過誤、欠落があったとは認められない。」⑽ 原判決72頁9行目の「前記」を「前記1⑵ウ」に、15行目の「用いて、」を「用いて算出した」に、24行目の「基準部会」を「本件基準部会」にそ 手続に過誤、欠落があったとは認められない。」⑽ 原判決72頁9行目の「前記」を「前記1⑵ウ」に、15行目の「用いて、」を「用いて算出した」に、24行目の「基準部会」を「本件基準部会」にそれぞれ改め、25行目の「事務局から、」の次に「「」を、73頁2行目の「示されたい」の次に「」」を、同行目の「文言」の次に「(乙9(8頁)参照)」をそれぞれ加え、4行目の「経済的指数」を「経済指標」に、5行目の「8頁」を「23~25頁」に、6行目の「消費が地域ごとに異なるのに」を「全国レベルの物価指数もあるが、実は地域、世帯類型、所得階級によっても異なっている可能性があり、消費品目によって物価指数が全く変わることに留意する必要があり」に、6行目から7行目にかけて「を基準として改定することは相当でない」を「指数を当てはめるのは非常に慎重に考えなければならない」に、9行目の「9頁」を「25~26頁」にそれぞれ改 - 20 -め、10行目の「⑶」の次に「ア」を、16行目の「そして、」の次に「平成15年12月16日付けの」を、17行目の「乙16」の次に「(2頁)」を、21行目の「注」の次に「3」を、26行目冒頭に「(乙10の1、乙18、61(4頁))」を、74頁2行目末尾の次に改行して次のとおりそれぞれ加える。 「イ原審原告らは、別紙控訴審における原審原告らの主張の要旨⑵アaのとおり、「物価」は、生活保護法8条2項の規定文言に記載がないから、これを考慮してデフレ調整を行うことは、生活保護法8条2項の文言に一義的に反する旨主張するが、保護基準が保護として給付される金員について定めるものである以上、厚生労働大臣が生活保護法8条2項における「最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえない」基準を定めるに当たり、被 が保護として給付される金員について定めるものである以上、厚生労働大臣が生活保護法8条2項における「最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえない」基準を定めるに当たり、被保護者の生活に必要な物品及びサービス等とその価格を考慮するのは当然必要なことであって、厚生労働大臣が保護基準を定めるに当たり物価そのものを考慮すること自体を生活保護法8条2項違反とする理由はなく、原審原告らの前記主張は採用しない。 また、原審原告らは、前記第3の1(原告らの主張の要旨)⑶ア及び別紙控訴審における原審原告らの主張の要旨⑵アdのとおり、物価を考慮した生活扶助基準の調整を行うには、専門家による専門的知見に基づく適切な分析及び検証を行う必要があり、昭和58年の意見具申や平成16年専門委員会報告書、平成25年検証の結果によれば、物価を指標として生活扶助基準を改定することはできない旨主張する。 しかしながら、前記3⑴、⑷及び⑸のとおり、保護基準の改定は、厚生労働大臣の専門的政策的裁量に基づいて行われるものであり、厚生労働大臣が、専門機関の分析ないし検証結果によらなければ物価を考慮した生活扶助基準の改定を行うことはできないと解すべき理由はない。ま - 21 -た、昭和58年12月23日付け中央社会福祉審議会「生活扶助基準及び加算のあり方について(意見具申)」(乙11)において、賃金や物価は、そのままでは消費水準を示すものではないので、その伸びは、参考資料にとどめるべきである旨指摘されていること(乙11(2頁))、平成15年12月16日付け本件専門委員会「生活保護制度の在り方についての中間とりまとめ」(乙16)において、生活保護において保障すべき最低生活の水準は、年間収入階級第1・十分位の世帯の消費水準に着目することが適 16日付け本件専門委員会「生活保護制度の在り方についての中間とりまとめ」(乙16)において、生活保護において保障すべき最低生活の水準は、年間収入階級第1・十分位の世帯の消費水準に着目することが適当である旨指摘した上で、定期的な検証を行うまでの毎年の改定については、民間最終消費支出の伸びの見通しがプラス、実績がマイナスとなるなど安定しておらず、実績の確定も遅いため、改定の指標の在り方についても検討が必要であり、国民にとってわかりやすいものとすることが必要なので、例えば、年金の改定と同じように消費者物価指数の伸びも改定の指標の一つとして用いることなども考えられる旨が指摘されていること(乙16(1~2頁))、平成16年報告書(乙7)には、前記中間とりまとめを受けた記載がある(乙7(3頁))が、物価に基づく改定を行うべきではない旨の記載は見当たらないこと、平成25年検証の結果において、「厚生労働省において生活扶助基準の見直しを検討する際には、本報告書(判決注:乙9)の評価・検証の結果を考慮し、その上で合理的説明が可能な経済指標などを総合的に勘案する場合は、それらの根拠についても明確に示されたい。」とされていること(乙9(8頁))からすれば、平成25年検証において、物価指数については議論されておらず、物価指数は、地域、世帯類型、所得階級によって異なる可能性があることから非常に慎重に考えなければいけない旨の指摘がされていたこと(甲15の1(9~13頁)、乙28(23~25頁))を考慮に入れても、物価を考慮要素として生活扶助基準を改定すること自体を否定するものであったとは認められず、昭和58 - 22 -年の意見具申や平成16年専門委員会報告書、平成25年検証の結果を理由に、物価を考慮要素として生活扶助基準を改定することはできないと 定するものであったとは認められず、昭和58 - 22 -年の意見具申や平成16年専門委員会報告書、平成25年検証の結果を理由に、物価を考慮要素として生活扶助基準を改定することはできないと解すべき根拠はなく、原審原告らの前記主張は、採用しない。 ウただし、消費実態は、世帯員の年齢、世帯人数、地域、季節及び社会経済情勢の変化等、物価以外の様々な要素の影響を受けることなどからすれば、物価に変動が生じたからといって直ちに同程度の消費実態の変動が各人に均等に生ずるものではない(昭和58年12月23日付け中央社会福祉審議会「生活扶助基準及び加算のあり方について(意見具申)」(乙11)や本件基準部会議事録においても、前記イのとおり指摘されている(乙11(2頁)、乙28(23~25頁))。)。 平成15年12月16日付け本件専門委員会「生活保護制度の在り方についての中間とりまとめ」(乙16)の前記イの指摘(乙16(1~2頁))は、毎年の改定につき民間最終消費支出を指標とすることの難点を回避するために消費者物価指数の伸びを改定の指標の一つとすることが提案されているものと解されること、平成25年検証の結果における前記イの記載(乙9(8頁))の存在も考慮に入れれば、消費と物価とは異なる性質を有する別個の経済指標であり、物価変動が直ちに同程度の消費実態の変動をもたらすものではないことについて、生活扶助基準の改定に当たって慎重に考慮すべき事情であるといえる。」⑾ 原判決74頁3行目の「原告らは」から83頁2行目の「⑺」までを削り、同行目の「ア 」の次に「前記1⑵ウのとおり、デフレ調整は、生活扶助相当CPIの変化率を勘案して行われたものであるところ、」を加え、同行目の「生活扶助相当CPIの算出に当たっては」を「別紙控訴審における原審原告らの主 に「前記1⑵ウのとおり、デフレ調整は、生活扶助相当CPIの変化率を勘案して行われたものであるところ、」を加え、同行目の「生活扶助相当CPIの算出に当たっては」を「別紙控訴審における原審原告らの主張の要旨⑵アaのとおり、デフレにより実質的に増額された生活扶助基準の水準(高さ)について適正化を図ることにより、一般国民との間の不均衡の是正を図るというデフレ調整の目的からすれば」に改め、6行 - 23 -目の「を反映していない」を「に影響するとはいえない」に 、9行目及び16行目から17行目にかけての「25」をいずれも「25~26」に、10行目の「最も多い」を「多く、品目別の消費支出の内訳が調査されている」にそれぞれ改め、11行目の「調査は、」の次に「保護受給世帯を対象とする調査である点で、家計調査より保護受給世帯の消費の実態を把握するために適したデータであるものの、」を、同行目の「限られており、」の次に「品目別の詳細な支出内容を把握することができないものであり、」をそれぞれ加え、17行目の「5」を「5~26」に改め、22行目の「62、」を削り、同行目の「65」の次に「(29頁)」を加え、25行目から26行目にかけての「中所得世帯の」を削り、84頁2行目の「9」の次に「(4頁)」を加える。 ⑿ 原判決84頁7行目冒頭から90頁11行目末尾までを次のとおりに改める。 「⑸ 生活扶助相当CPIを用いたことについてア総務省CPIは、家計の消費構造を一定のものに固定した上で、これに要する費用が物価変動によってどのように変化するかを指数値で示した消費者物価指数であり(乙30)、総務省統計局が作成する客観的な経済指標の一つとして広く用いられている信頼性の高いデータであるといえる。また、総務省CPIの指数品目には生活扶助費 かを指数値で示した消費者物価指数であり(乙30)、総務省統計局が作成する客観的な経済指標の一つとして広く用いられている信頼性の高いデータであるといえる。また、総務省CPIの指数品目には生活扶助費として支出することが想定されていない除外品目が含まれているところ(乙21(29頁)、30(39~54頁))、これらを除いて物価変動率を算定することは、総務省CPIに比して、物価の下落による生活保護受給世帯における可処分所得の実質的増加の程度をより正確に把握することができる手法であるといえるから、生活保護受給世帯と一般低所得世帯の消費実態との間に生じた不均衡の是正というデフレ調整の目的(別紙控訴審における原審被告らの主張の要旨⑵ウa) - 24 -に沿うものということができる。そして、除外品目は、生活扶助費として支出することが想定されていない品目という客観的な基準に基づいて定められるものである(乙21(29頁))から、総務省CPIの指数品目から除外品目を除外する際に恣意的な判断が入る余地はないと考えられる。 これらの事情を考慮すると、物価変動率の算定において生活扶助相当CPIを用いることとした厚生労働大臣の判断には相応の合理性があるものというべきである。 イ原審原告らは、前記第3の1(原告らの主張の要旨)⑶イ及び別紙控訴審における原審原告らの主張の要旨⑵アbのとおり、生活扶助相当CPIにおいて、生活保護受給世帯がほとんど購入しないテレビなどの教養娯楽用耐久財のウエイトが過大に反映された平成22年のウエイトを用いたことには統計上の正当性がない旨主張する。 証拠(乙30(49頁)、31(102頁)、32(17枚目))及び弁論の全趣旨によれば、平成22年を100とした場合の総務省CPIによるテレビ、パソコンの価格指数及び 正当性がない旨主張する。 証拠(乙30(49頁)、31(102頁)、32(17枚目))及び弁論の全趣旨によれば、平成22年を100とした場合の総務省CPIによるテレビ、パソコンの価格指数及び平成22年基準消費者物価指数ウエイト(1万分比・全国)は以下のないしのとおりであり、殊に、テレビのウエイトは、ほかの教養娯楽用耐久財(電子辞書(5)、ビデオレコーダー(13)、カメラ(7)、ビデオカメラ(3)等)と比べても大きく、また、テレビ、パソコン(デスクトップ型)及びパソコン(ノート型)の平成20年からの下落幅は、ビデオレコーダー(平成20年及び平成24年の指数はそれぞれ191. 6と60.0)、カメラ(同224.7と72)等と並んで大きかったことが認められる。 これに対し、ほかの品目の平成20年及び平成23年の物価指数は、総合でそれぞれ102.1と99.7、食料(ウエイト2525)で - 25 -それぞれ100.1と99.6、光熱・水道(ウエイト704)がそれぞれ104.5と103.3、家具・家事用品(ウエイト345)がそれぞれ107.1と94.4、被服及び履物(ウエイト405)がそれぞれ102.1と99.7等であり、教養娯楽用耐久財より変動幅は小さく、また、教養娯楽(教養娯楽用耐久財を含む。ウエイト1145)がそれぞれ104.3と96.0等であったことが認められる(乙30(40頁)、乙32(1、9、11、17枚目))。 教養娯楽用耐久財(ウエイト 171)平成19年 196.5平成20年 160.3平成22年 100平成23年 72.5テレビ(ウエイト 97)平成19年 260.3平成20年 205.8平成22年 100平成23年 69.1パソコン(デスクトップ)型(ウエイ 平成23年 72.5テレビ(ウエイト 97)平成19年 260.3平成20年 205.8平成22年 100平成23年 69.1パソコン(デスクトップ)型(ウエイト 10)平成19年 306.3平成20年 237.2平成22年 100平成23年 60.1パソコン(ノート)型(ウエイト 20)平成19年 459.2平成20年 281.6平成22年 100 - 26 -平成23年 76.0また、証拠(甲A68ないし74)及び弁論の全趣旨によれば、平成21年5月から平成23年3月まで、家電エコポイント制度が実施されたところ、同制度の対象となるテレビ、冷蔵庫、エアコン等の国内出荷台数は、平成21年度が15847千台、平成22年度が25681千台であったが、同制度がなかった場合の国内出荷台数見込みは平成21年度が10573千台、平成22年度が11167千台であり、推計すると、平成22年度の薄型テレビの国内販売台数の半数以上が家電エコポイントを利用した販売であったこと(甲A74)が認められる。このことからすると、平成22年基準消費者物価指数に占めるテレビのウエイトが上記のとおり大きくなったのは、家電エコポイント制度の影響もあると考えられなくない。 さらに、証拠(甲A67の1~3)及び弁論の全趣旨によれば、平成23年の地上デジタル波放送への移行に向けて、NHK受信料全額免除世帯(災害被害者を除く。)のうち、地上アナログ波放送を視聴している者に対し、各世帯のアナログテレビ1台で地上デジタル波放送を視聴するために新たに必要な最低限度の機器の無償提供等(簡易なチューナーの無償給付、室内アンテナの無償給付又はアンテナ等の無償改修等)を行うものとされ、その対象者は、 レビ1台で地上デジタル波放送を視聴するために新たに必要な最低限度の機器の無償提供等(簡易なチューナーの無償給付、室内アンテナの無償給付又はアンテナ等の無償改修等)を行うものとされ、その対象者は、NHK受信料全額免除世帯(公的扶助受給世帯、市町村民税非課税の障害者世帯、社会福祉事業施設入所者)であったことが認められる。 これらの事実によれば、平成20年から平成23年にかけて、テレビ、パソコン(デスクトップ型)、パソコン(ノート型)等の教養娯楽用耐久財の物価指数が大きく下落し、また、平成22年基準消費者物価指数に占めるテレビのウエイトがほかの教養娯楽用耐久財に比べ大きかったこと、このことは、平成23年の地上デジタル波放送への - 27 -移行や家電エコポイント制度の実施と整合性があるということができること、他方、生活保護受給世帯に対し、地上デジタル波放送への移行の際、必要な最低限度の機器の無償提供等が行われたことが認められ、この時期における生活保護受給世帯におけるテレビの買替えの需要は、一般の世帯に比べ、限られていたと考えることはできる。 しかしながら、国民の消費の内容は、経時的に変化することから、現実の消費実態を反映した物価指数を算定するためには、算定時点(平成23年)に近接した時点(平成22年)の消費の構造を示すデータを用いること自体に合理性がないということはできない。 また、平成19年報告書には、第1・十分位に属する世帯における必需的な耐久消費財の普及状況は、平均的な世帯と比べて大きな差はなく、必需的な消費品目の購入頻度は、平均的な世帯と比較しても概ねそん色ない状況にある旨の記載があり(乙8(5頁))、平成25年検証においても同旨の記載がある(乙9(4頁))。さらに、証拠(乙40)によれば、平成22年における 度は、平均的な世帯と比較しても概ねそん色ない状況にある旨の記載があり(乙8(5頁))、平成25年検証においても同旨の記載がある(乙9(4頁))。さらに、証拠(乙40)によれば、平成22年におけるカラーテレビの普及率は、被保護世帯が98.0%であったのに対し、第1・十分位世帯は96. 5%であり、第3・5分位世帯は98.7%であったことが認められる。このような事情からすると、生活保護受給世帯においても、カラーテレビ等の教養娯楽用耐久財について第1・十分位世帯と同程度の需要があったと考えられる。 これに対し、前記のとおり、地上デジタル波放送への移行に伴って、生活保護受給世帯に対し、アナログテレビで地上デジタル波放送を視聴するために必要な最小限度の機器の無償提供等が行われたことが認められる。しかしながら、前記のとおり、市町村民税非課税の障害者世帯、社会福祉事業施設入所者も、同様の機器の提供を受けたことが認められ、同機器の提供が生活保護受給世帯特有の事情であったとい - 28 -うことはできない。 また、前記のとおり、平成22年基準消費者物価指数に占めるテレビのウエイトが上記のとおり大きくなったのは、家電エコポイント制度の影響もあると考えられなくないが、家電エコポイント制度によって付与されるエコポイントは、商品券や電子マネーなどに交換することができるものであり(甲A68(45頁))、生活保護受給者等前記機器の無償提供等の対象者の中にも、同制度を利用せず、家電エコポイントや地上デジタル波放送への移行を契機に、地上デジタル波放送対応テレビを購入した者がいた可能性が否定できない。 このような事情に鑑みると、前記のとおり、地上波放送をアナログテレビで視聴するのに必要な最小限の機器が無償提供等されたことを考慮しても、テレビの物価下落の を購入した者がいた可能性が否定できない。 このような事情に鑑みると、前記のとおり、地上波放送をアナログテレビで視聴するのに必要な最小限の機器が無償提供等されたことを考慮しても、テレビの物価下落の影響が、生活保護受給世帯に及ばないとまで断定することは困難である。 このことに加え、一般に、物価が、当年に生じた様々な事象の影響を受けることはやむを得ないと考えられ、平成19年報告書にも、耐久消費財の普及状況については、一時点のみではなく、時系列でも見る必要があるのではないかとの意見があったこと(乙8(4頁(注4))、家計調査によって得られるウエイトのデータのうち平成25年当時に用いることが可能であったのは、平成22年を基準年とするものが直近であったこと(乙30(7頁)、31(まえがき)、弁論の全趣旨)を考慮すると、厚生労働大臣が、生活扶助相当CPIの算定に当り、平成22年のウエイトを用いたことについては、相応の合理性があるというべきであり、この点に係る厚生労働大臣の判断に、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということまではできない。 また、テレビ等が含まれる教養娯楽に係る品目には、生活扶助費として支出され得る品目が含まれるところ、特定の品目を物価変動率が - 29 -高いという理由で生活扶助相当品目から除外することは、かえって恣意的な取扱いによる統計的処理を招きかねないものであることも考慮すれば、厚生労働大臣が、生活扶助相当CPIから、テレビ、パソコン等を除外しなかったことについて、厚生労働大臣の判断に、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということまではできない。 ウ原審原告らは、前記第3の1(原告らの主張の要旨)⑶ウ及び別紙控訴審における原審原告らの主張の要旨⑵アdのとおり、生活扶助相当CPIは、平成20年から平成 用があるということまではできない。 ウ原審原告らは、前記第3の1(原告らの主張の要旨)⑶ウ及び別紙控訴審における原審原告らの主張の要旨⑵アdのとおり、生活扶助相当CPIは、平成20年から平成22年までの間をパーシェ方式で、平成22年から平成23年までの間をラスパイレス方式でそれぞれ算出し、これを接続係数を用いた新旧接続方式を用いて接続しているところ、これは独自の方式によるものであり、物価下落局面において下落率が過大に算出される計算方法であって、統計学上の正当性がない旨主張する。 そして、証拠(甲13、甲A62、乙94(5頁))及び弁論の全趣旨によれば、生活扶助相当CPIは、平成22年のウエイトを用いて、かつ、同年を基準時点、平成20年を参照時点として、平成20年から平成22年までの間の物価変動を算出し、平成22年のウエイトを用いて、かつ同年を基準時点とし、平成23年を参照時点として、平成22年から平成23年までの間の物価変動を算出しており、これによって得られた物価変動を合わせて平成20年から平成23年までの物価変動指数としたものであり、平成20年から平成22年までの間の物価変動の算出方法はパーシェ方式に類似しており、平成22年から平成23年までの間の物価変動の算出方法はラスパイレス方式に類似していることが認められる。 しかしながら、証拠(乙66(3~6頁)、94)及び弁論の全趣旨によれば、国際労働機関(ILO)等の消費者物価指数マニュアル - 30 -においては、代表的な消費者物価指数としては、基準時をウエイト参照時として算出されるラスパイレス指数及び比較時をウエイト参照時として算出されるパーシェ指数が存在するほか、基準時と比較時との間の任意の時点をウエイト参照時として算出されるロウ指数も一般的な物価指数の一つ て算出されるラスパイレス指数及び比較時をウエイト参照時として算出されるパーシェ指数が存在するほか、基準時と比較時との間の任意の時点をウエイト参照時として算出されるロウ指数も一般的な物価指数の一つであると紹介されているなど、一定期間の物価変動率を算定するに当たっていずれの時点をウエイト参照時とするかについては様々な考え方があり得るところであり、そのいずれかが誤りであるものとはいえない。また、平成22年ウエイトを用いて算定された指数は、ロウ指数として説明できるものであるが、実際の生活扶助相当CPIでは、平成22年総務省CPIに含まれる品目のうち平成20年時点で存在しなかった32品目(乙31(7、120~140、171頁))が算入されておらず、除外されたこれら32品目の価格が、除外しなかった品目と同じように変化したであろうという仮定に基づくものである(乙94(6頁))ことが認められる。 原審原告らは、前記第3の1(原告らの主張の要旨)⑶ウaのとおり、ロウ指数は、物価指数の算出に当たり、各対象品目のウエイトを考慮すべきであるとの立場から提唱されたウエイト固定型の指数の総称にすぎず、その算式を検証することなくして、統計上の正当性を取得するわけではない旨主張し、証拠(甲A62(6頁)、65(14~15頁))には、これに沿う部分がある。 しかしながら、日本のCPIは、ILOによる国際的な基準に沿って作成されている(甲A65(8頁))ところ、証拠(乙66(4~6頁)、94(1、4頁))及び弁論の全趣旨によれば、ロウ指数は、ILOで認められた指数計算の方式の一つであることが認められる。 そして、物価指数は現在も発展途上の統計であるとされており(乙29(1、31頁))、正しい指数計算の方式とされるものが一義的に - 31 -決められてい の方式の一つであることが認められる。 そして、物価指数は現在も発展途上の統計であるとされており(乙29(1、31頁))、正しい指数計算の方式とされるものが一義的に - 31 -決められているわけではないと考えられる。このことに照らすと、上記各証拠やロウ指数よりも精度が高いとされる指数算式が提唱されていることを考慮してもなお、生活扶助相当CPIがロウ指数と同視できるのであれば、当該方式を採用した厚生労働大臣の判断に、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということはできない。 また、ロウ指数は、基準時点から比較時点までの間にウエイト参照時点がある場合、中間年指数(中間年バスケット方式)になる(乙66(459~460頁))ところ、原審原告らは、前記第3の1(原告らの主張の要旨)⑶ウb、cのとおり、平成22年は、基準時点と参照時点の中間の年ではなく、かつ、平成22年のウエイトは平成20年から平成23年の消費構造等からかけ離れていたから、生活扶助相当CPIは、中間年バスケット方式ではなく、その統計学上の正当性を基礎付けることはできない旨主張し、証拠(甲A62(6頁)、証人D(1-2、1-6~10頁)にはこれに沿う部分がある。 しかしながら、証拠(乙31(34、92頁))及び弁論の全趣旨によれば、基準年と比較年の中間に当たる年の消費構造を用いて指数を算出する中間年バスケット方式の指数は、ラスパイレス連鎖基準方式よりもウエイトの参照年が古くなるが、消費構造が円滑に変化しているとみなせる通常の状況では、消費構造の変化により適切に対応している可能性が高く、通常、基準年から比較年までバスケットが滑らかに変化しているとみられることから、基準年と比較年の中間に当たる年のバスケットを用いることで、近似した指数を得ることができるとする見解もある 能性が高く、通常、基準年から比較年までバスケットが滑らかに変化しているとみられることから、基準年と比較年の中間に当たる年のバスケットを用いることで、近似した指数を得ることができるとする見解もあることが認められ、このことに照らすと、原審原告らの上記主張を直ちに採用することはできない。 原審原告らは、前記第3の1(原告らの主張の要旨)⑶ウbのとおり、ロウ指数においては、品目バスケットの中身が、基準時点から - 32 -比較時点までの間、同一でなければならないが、生活扶助相当CPIでは、平成20年から平成22年までの間の品目バスケットと平成23年までの品目バスケットが32品目にわたり異なっており、ロウ指数に当たらない旨主張する。 証拠(乙29(6頁))及び弁論の全趣旨によれば、一般に、物価指数は、品目と呼ばれる最小単位の価格指数を、各品目のウエイトで加重平均することから成り立っており、具体的には、互いに性質の似通った商品ないしサービスを品目としてグルーピングし、その取引金額シェアから加重ウエイトを計算し、各品目に属する商品ないしサービスの価格の動きを代表するような商品をピックアップして、その価格を継続的に調査し、品目指数を作成した上で、個々の品目指数を当該品目のウエイトで加重平均して総平均を算出するという計算手続をとっているが、同一の商品について、継続的に価格調査を行うことが困難な場合もあり、このような場合の対応方法としては、①品質が異なる商品ないしサービスの中で、品質が一定の部分を抜き出して価格を調査する方法、②継続的な価格調査が可能な他の類似商品と価格の動きが似ているものとみなして、ウエイトを当該類似商品のウエイトに上乗せする方法、③価格調査を行わず、ウエイトもゼロとして、指数計算の枠外とする(すなわち、その品目の指 が可能な他の類似商品と価格の動きが似ているものとみなして、ウエイトを当該類似商品のウエイトに上乗せする方法、③価格調査を行わず、ウエイトもゼロとして、指数計算の枠外とする(すなわち、その品目の指数及びウエイトは除外して計算する。この場合には、結果として、類内のほかの品目により求められたロウ指数によって、欠品となった品目の指数が代替されることになる(乙31(27頁)))方法等があるとされている(乙29(10頁・注16))ことが認められる。 このように、指数の算定においては、同一の商品について継続的に価格調査を行うことが困難な場合があることが一般的に想定されており、このような場合の対処方法の一つとして、当該品目の指数及びウ - 33 -エイトを除外して計算する方法があることからすると、生活扶助相当CPIにおける指数算式も、上記両品目バスケットの違いを上記の方法で処理したものと考えられる。また、証拠(乙31(7、120~140、171頁)、32)及び弁論の全趣旨によれば、平成22年に追加されたドレッシング、焼き魚等の32品目の平成22年から平成23年の価格指数(全国)は、同じ中分類のほかの品目と大きく異なるところがないことが認められ、このことからすると、上記の処理に合理性があったと考えられる。そうすると、生活扶助相当CPIにおける前記の仮定も、合理的なものであったというべきであり、これを覆すに足りる証拠はない。 エまた、消費者物価指数の算定に当たり、ウエイト参照時をいつに設定するかによって一定のバイアスが生ずることが計算上あり得るからといって、当該算定方式が統計学その他の理論上誤りであるということはできないのであって、消費者物価指数にはそれぞれ一長一短があり、そうであるからこそ複数の指数が併存しているものと考えられるこ からといって、当該算定方式が統計学その他の理論上誤りであるということはできないのであって、消費者物価指数にはそれぞれ一長一短があり、そうであるからこそ複数の指数が併存しているものと考えられることからすると、消費者物価指数の算定において、特定の品目の影響により物価変動率が大きくなる結果が生じたからといって、当該算定方式が直ちに不合理であるということもできない。 したがって、この点に係る原審原告らの主張は、採用しない。 ⑹ 生活扶助相当CPIの変化率の算定期間(始期及び終期)についてア本件各改定において考慮された生活扶助相当CPIの変動率は、平成20年を始期、平成23年を終期として算出されたマイナス4.78%である(乙21(29頁))ところ、原審原告らは、前記第3の1(原告らの主張の要旨)⑶エ、オ及び別紙控訴審における原審原告らの主張の要旨⑵アcのとおり、生活扶助基準が一般低所得世帯の消費実態からかい離したのは、平成19年以前であったはずであり、 - 34 -平成20年を基準時点(始期)とする根拠はなく、平成20年は一時的に物価が高騰した年であり、この年を始期とすることで、平成19年から平成20年にかけての特異な物価上昇を無視することになるから、同年を始期とすることに統計上の正当性はなく、また、生活扶助相当CPIの検証作業中に平成24年の総務省CPIが公表されたのであるから、デフレ調整を行うのであれば、平成24年を終期とすべきであった旨主張し、これに対し、原審被告らは、前記第3の1(被告らの主張の要旨)⑶イ及び別紙控訴審における原審被告らの主張の要旨⑵ア、ウのとおり、厚生労働大臣は、平成19年報告書において生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との不均衡が確認されたこと、平成20年以降、物価 及び別紙控訴審における原審被告らの主張の要旨⑵ア、ウのとおり、厚生労働大臣は、平成19年報告書において生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との不均衡が確認されたこと、平成20年以降、物価、賃金や消費等の経済指標が大きく下落していたこと等に照らし、生活扶助相当CPIの変動率の算定の始期を平成20年とし、また、デフレ調整を決定した当時の最新の総務省CPIのデータが平成23年のものであったため、同終期を平成23年とした旨主張する。 イ平成19年報告書(乙8)において、夫婦子1人(有業者あり)世帯及び単身世帯(60歳以上の場合)の生活扶助基準額が第1・十分位に属するそれら世帯の生活扶助相当支出額(一般低所得世帯の消費実態)と比較してそれぞれ「やや高め」及び「高め」であるという見解が示されていたこと(乙8(5頁))、平成19年9月以降の世界的な金融危機(乙86)による消費の停滞が指摘され(乙90の1)平成21年全国消費実態調査において、二人以上の世帯の消費支出状況は、平成16年と比べて減少していることが指摘されていたこと(乙123)等からすれば、厚生労働大臣が、平成19年以前の生活扶助基準はその当時における一般低所得世帯の生活扶助相当支出額を充足する水準にあったものと判断し、平成25年検証の結果を受けて、本 - 35 -件各改定の内容を検討するに当たり、物価変動率の算定期間の始期(基準時)を平成20年とするのが相当であると判断したことには、相応の合理性があるものということができる。 平成19年から平成20年にかけては、総務省CPI(総合指数)が前年比1.4%上昇した(甲A33)から、同年を算定期間の始期とすると算出される物価変動率の下落幅が大きくなる。しかしながら、平成19年報告書(乙8)においては、夫婦子1人(有業 PI(総合指数)が前年比1.4%上昇した(甲A33)から、同年を算定期間の始期とすると算出される物価変動率の下落幅が大きくなる。しかしながら、平成19年報告書(乙8)においては、夫婦子1人(有業者あり)世帯の生活扶助基準額(15万0408円)が当該世帯の第1・十分位の生活扶助相当支出額(14万8781円)よりも約1.1%高く、単身世帯(60歳以上の場合)の生活扶助基準額(7万1209円)が当該世帯の第1・十分位の生活扶助相当支出額(6万2831円)よりも約13.3%高いとされていたこと(乙8(5頁))からすれば、平成19年当時において上記の総務省CPIの上昇と同程度の不均衡が既に生じていたが、前記1の認定事実⑴オのとおり、政策的な配慮から生活扶助基準が据え置かれていたこと、平成11年から平成17年までの間、総務省CPI総合指数は103.4から100. 4まで下落しており(平成15年から平成16年にかけては不変だが、それ以外の前記期間は一貫して下落している。)、平成18年に100.7に上昇し、平成19年も100.7と不変で、平成20年には102.1に上昇したものの、平成21年100.7、平成22年が100.0、平成23年が99.7と下落したとされており(甲A33)、長期的には下落傾向にあったと評価できることを考慮すれば、平成20年を始期とする生活扶助相当CPIの変動率を採用することが、そのことのみによって不合理なものとなるとはいえないのであって、平成19年検証の存在を前提に、その翌年である平成20年を生活扶助相当CPIの変動率の始期とした厚生労働大臣の判断が、統計 - 36 -等の客観的な数値等との合理的関連性を欠くものであったということはできない。 また、総務省CPIのデータは、平成23年のものが平成24年1月27 た厚生労働大臣の判断が、統計 - 36 -等の客観的な数値等との合理的関連性を欠くものであったということはできない。 また、総務省CPIのデータは、平成23年のものが平成24年1月27日に、平成24年のものが平成25年1月25日にそれぞれ公表され(乙41、43)、他方で、平成25年度予算の政府案は平成25年1月29日に閣議決定されたものであって(乙42)、生活扶助相当CPIの算出のためには総務省CPIから除外品目を除外する等の作業が必要であったことも併せ考えれば、本件各改定に当たって平成24年の総務省CPIのデータを用いることは実際上不可能であったといえるから、厚生労働大臣が当時利用することが可能な最新のデータであった平成23年の総務省CPIのデータを用いることとし、同年を物価変動率の算定期間の終期とした判断には相応の合理性があるものということができる。 ⑺ 一連の判断としての検討についてア前記⑴ないし⑹において検討したとおり、厚生労働大臣が、デフレ調整を実施することとしたこと、生活扶助基準の改定率の算定に当たって物価を指標としたこと、生活扶助相当CPIを採用し、家計調査による平成22年ウエイトを用い、生活扶助相当CPIの変動率の算定に当たって算定期間を平成20年から平成23年までとしたことは、それぞれそれ自体としては不合理であるとまではいえない。 しかしながら、消費実態は、世帯員の年齢、世帯人数、地域、季節及び社会経済情勢の変化等、物価以外の様々な要素の影響を受けることなどからすれば、物価に変動が生じたからといって直ちに同程度の消費実態の変動が各人に均等に生ずるものではなく(昭和58年12月23日付け中央社会福祉審議会「生活扶助基準及び加算のあり方について(意見具申)」(乙11)、平 動が生じたからといって直ちに同程度の消費実態の変動が各人に均等に生ずるものではなく(昭和58年12月23日付け中央社会福祉審議会「生活扶助基準及び加算のあり方について(意見具申)」(乙11)、平成25年検証においても、物価 - 37 -指数は、地域、世帯類型、所得階級によって異なる可能性があることから非常に慎重に考えなければいけない旨の指摘がされていた(甲15の1(9~13頁)、乙28(23頁以下)。)ことからすると、厚生労働大臣の本件各改定に係る判断過程は、個々の裁量的判断が複合的、重畳的に累積され、最終的な結論に至った一連のものであって、前記のような個々の裁量的判断の一つ一つを取り上げれば、それ自体では裁量権の範囲の逸脱、その濫用は認められないとしても、当該裁量的判断において選択した客観的数値や専門的知見が前提とする事情を捨象して個々の裁量的判断を積み重ねた結果、一連の判断としてみれば、当該判断過程が統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠くものとなる場合もあり得ると解される。 そこで、前記第4の3⑵で説示したところに従って、厚生労働大臣の本件各改定に至った一連の判断の過程についても検討する。 イ生活扶助CPIと生活保護受給世帯の消費実態とのかい離の可能性について 一般に、低所得者世帯においては、それ以外の世帯よりも食費や光熱水費等の日常生活の維持に必要不可欠な品目に係る消費支出額が消費支出総額に占める割合が大きく、他方で、日常生活の維持に必要不可欠とはいえない教養娯楽費等の品目に係る消費支出額の割合が小さくなるものと考えられる(乙40、93、100、126、弁論の全趣旨)。 証拠(甲A26、乙32、126)及び弁論の全趣旨によれば、テレビ等又はこ 教養娯楽費等の品目に係る消費支出額の割合が小さくなるものと考えられる(乙40、93、100、126、弁論の全趣旨)。 証拠(甲A26、乙32、126)及び弁論の全趣旨によれば、テレビ等又はこれを含む品目類(「教養娯楽」又は「教養娯楽用耐久財」)の支出が消費支出総額に占める割合につき、平成22年の社会保障生計調査の結果(生活保護受給世帯における消費構造)と同年の総務省CPIにおけるウエイト(一般世帯における消費構造) - 38 -とを比較すると、以下のaないしcのとおり、両者の間には、テレビ等を含む品目において大きなかい離があるものと認められる。なお、社会保障生計調査における消費支出総額には除外品目に係る消費支出も含まれるため、以下の検討においては、一般世帯に係るウエイト総数についても除外品目に係るウエイトを除外せず、総務省CPIにおけるウエイト総数(1万)をそのまま用いた。 a 教養娯楽に係る支出生活保護受給世帯における教養娯楽に係る支出額が消費支出総額に対して占める割合は、2人以上の世帯(総数)が6.4%、単身世帯(総数)が5.6%である(乙126)。これに対し、一般世帯においては、教養娯楽のウエイト(1145)がウエイト総数(1万)に対して占める割合は約11.5%である(乙32(17枚目))。このように、生活保護受給世帯における消費支出総額のうち教養娯楽に係る支出額が占める割合は、一般世帯の約半分にすぎない。 b 教養娯楽用耐久財に係る支出生活保護受給世帯(2人以上)における教養娯楽用耐久財に係る支出額(1か月当たり1110円)が消費支出総額(同17万3266円)に対して占める割合は0.64%である(甲A26(2、10頁))。 これに対し、一般世帯においては、教養娯楽 娯楽用耐久財に係る支出額(1か月当たり1110円)が消費支出総額(同17万3266円)に対して占める割合は0.64%である(甲A26(2、10頁))。 これに対し、一般世帯においては、教養娯楽用耐久財のウエイト(171)がウエイト総数(1万)に対して占める割合は1. 71%である(乙32(17枚目))。このように、生活保護受給世帯における消費支出総額のうち教養娯楽用耐久財に係る支出額が占める割合は、一般世帯の4割未満にすぎない。 c テレビ等に係る支出等 - 39 -社会保障生計調査における教育娯楽の品目分類は、家計調査とは異なるところ、社会保障生計調査における「PC・AV機器」は、家計調査におけるテレビ等(テレビ、ビデオレコーダー、パソコン(デスクトップ型)、パソコン(ノート型)及びカメラ)に対応するものと考える(甲A26(10頁・注6)、乙32(17枚目))と、生活保護受給世帯(2人以上)におけるPC・AV機器に係る支出額(1か月当たり737円)が消費支出総額(同17万3266円)に対して占める割合は0.42%である(甲A26(2、10頁))のに対し、一般世帯においては、テレビ等のウエイト(147)がウエイト総数(1万)に対して占める割合は1.47%である(乙32(17枚目))。このように、生活保護受給世帯における消費支出総額のうちテレビ等に係る支出額が占める割合は、一般世帯の3割未満にすぎないものと推認される。 そして、平成22年における生活扶助相当品目の価格指数を100とした場合における平成20年及び平成23年の各価格指数を対比すると、教養娯楽用耐久財、特にテレビ等に係る価格指数につき顕著な下落がみられたこと(乙32(17枚目))からすれば、平成20年を始期とし、平成23年を終期とする生 及び平成23年の各価格指数を対比すると、教養娯楽用耐久財、特にテレビ等に係る価格指数につき顕著な下落がみられたこと(乙32(17枚目))からすれば、平成20年を始期とし、平成23年を終期とする生活扶助相当CPIの変動にはテレビ等に係る価格の下落が相当程度の影響を及ぼしたものとうかがわれる。また、前記期間における総務省CPIの下落率が-2.4%であった(乙32(1枚目))のに対し、同期間における生活扶助相当CPIの下落率(本件下落率)が-4.78%と高くなっていることからすれば、生活扶助相当CPIを用いたことにより、前記のテレビ等に係る価格の下落による影響が、算出される物価変動率に相対的に大きく反映される結果となったも - 40 -のと考えられる。 テレビ等に係る価格の下落による消費実態への影響の程度は、本来、一般世帯よりも生活保護受給世帯における方が小さいものと解されるが、本件下落率の算定にはテレビ等の価格の下落が相当程度の影響を及ぼしたものと考えられることを併せ考慮すると、本件下落率の数値は、物価の下落による生活保護受給世帯における実際の生活扶助相当支出額の減少よりも下落幅が大きく算出されている可能性があるものというべきである。 ウ物価変動率の算定において採用された指標の妥当性等について本件下落率は、家計調査によって得られた一般世帯のウエイトを用いて算出されたところ、消費実態は、世帯員の年齢、世帯人数、地域、季節及び社会経済情勢の変化等、物価以外の様々な要素の影響を受けることなどからすれば、物価に変動が生じたからといって直ちに同程度の消費実態の変動が各人に均等に生ずるものではなく(昭和58年12月23日付け中央社会福祉審議会「生活扶助基準及び加算のあり方について(意見具申)」(乙11)、平成25年 たからといって直ちに同程度の消費実態の変動が各人に均等に生ずるものではなく(昭和58年12月23日付け中央社会福祉審議会「生活扶助基準及び加算のあり方について(意見具申)」(乙11)、平成25年検証においても、物価指数は、消費品目によって変わるものであって、地域、世帯類型、所得階級によって異なる可能性があることから非常に慎重に考えなければいけない旨の指摘がされていた(甲15の1(9~13頁)、乙28(23頁以下)。)、前記ウエイトを用いたことにより、生活扶助相当CPIが生活保護受給世帯の消費生活を取り巻く実際の物価変動率を反映していない疑いが存するものといわざるを得ない。 また、生活扶助相当CPIにおいて、平成20年から平成22年までの間についてはパーシェ式に基づく算定と同様の結果となることから、算定される物価変動率に下方バイアス(乙66(459頁))が生じた可能性も否定することができない。 - 41 -さらに、平成19年から平成20年にかけて、その前後の年にはみられない急激な物価上昇があったことから、生活扶助相当CPIの平成20年から平成23年までの変動率は、長期的な変動率よりも、大きく下落している(甲A33)。 エ以上の各事情を重畳的、累積的に考慮すると、本件下落率は、その算定方法については相応の合理性があるといえるものの、平成20年から平成23年までの間の生活保護受給世帯の消費実態を踏まえてその可処分所得の相対的、実質的な増加を正確に表したものであるとはいい難く、生活保護受給世帯の消費実態に影響した実際の物価変動率よりも下落幅が大きく算出されている可能性が無視し得ない程度に高いものというべきである。 そうすると、厚生労働大臣は、本件下落率をそのまま生活扶助基準の改定率とすることについて 物価変動率よりも下落幅が大きく算出されている可能性が無視し得ない程度に高いものというべきである。 そうすると、厚生労働大臣は、本件下落率をそのまま生活扶助基準の改定率とすることについては慎重になる必要があったものというべきである。 また、前記のとおり、ゆがみ調整において2分の1処理が行われるだけであれば、ゆがみ調整において増額となる生活保護受給世帯は、いずれにしろ増額された生活保護を受給することになり、改定前基準による生活扶助基準がその最低限度の生活の需要を満たすものであったとすれば、2分の1処理により当該需要を満たさないことになるものではないし、また、2分の1処理を行わないゆがみ調整と本件下落率によるデフレ調整が併せて行われるのであれば、ゆがみ調整により増額となるはずの生活保護受給世帯は、デフレ調整により全体としては減額となるとしても、デフレ調整の影響が反映されたものであるというにすぎず、改定前基準によるものと同レベルの最低限度の生活の需要を満たす生活保護を受給できるはずであるということができるものと解されるが、ゆがみ調整について2分の1処理を行って増額分を - 42 -減らし、かつ、本件下落率をそのまま生活扶助基準の改定率として本件各改定を行えば、ゆがみ調整により増額となるはずの生活保護受給世帯において、改定前基準と同レベルの生活の需要を満たす水準の生活保護を受給できない場合が生じ得ると解される。全国厚生労働関係部局長会議資料(乙21(27頁))においては、デフレ調整を全生活保護受給世帯に行っても、ゆがみ調整により70%の世帯の見直し幅は物価の下落幅を下回る旨記載されているところ、これは、生活保護受給世帯の70%がゆがみ調整においては増額になることを示しているものとみられるが、これらの世帯には、世帯員の り70%の世帯の見直し幅は物価の下落幅を下回る旨記載されているところ、これは、生活保護受給世帯の70%がゆがみ調整においては増額になることを示しているものとみられるが、これらの世帯には、世帯員の年齢、世帯人員、居住する地域において様々な世帯が含まれているものと解され、ゆがみ調整にかかる検討結果を生活扶助基準の展開部分にそのまま反映させた場合の各生活保護受給世帯への影響は、世帯員の年齢、世帯人員、居住する地域の組合せにより様々である(乙9(7~9頁))とされていることからしても、2分の1処理を含むゆがみ調整及び一律-4. 78%のデフレ調整を行うことで、前記のゆがみ調整により増額となるはずの全生活保護受給世帯において、改定前基準と同レベルの生活の需要を満たす水準の生活保護を受給できることになるかにつき、確認されていなかったものと解される。 デフレ調整による改定率である-4.78%は、昭和59年以降採用されている水準均衡方式の下において過去に減額された平成15年度(-0.9%)及び平成16年度(-0.2%)の2例と比較しても、前例のない突出した減額率であったといえる(乙13)。一律-4.78%のデフレ調整が2分の1処理を含むゆがみ調整と併せて行われたことにより、約96%の世帯について生活扶助費が減額され、9%から10%の減額となる世帯は2%で、加算分を除いた生活扶助基準の本体部分につき減額幅が10%を超える世帯は6%と想定され - 43 -ていたこと(乙21(27頁))からすれば、2分の1処理を含むゆがみ調整と併せて一律-4.78%のデフレ調整が実施されたことにより、ほぼ全ての生活保護受給世帯の生計の維持に大きな影響が及ぶものであったといえる。このように、本件下落率をそのままデフレ調整分の改定率とした場合には、生活保護受給 のデフレ調整が実施されたことにより、ほぼ全ての生活保護受給世帯の生計の維持に大きな影響が及ぶものであったといえる。このように、本件下落率をそのままデフレ調整分の改定率とした場合には、生活保護受給世帯の生計の維持に重大な影響を及ぼし得ることとなるところ、厚生労働大臣は、その専門的知見に基づき、かかる結果が生じ得ることを認識し得たものといえるのであり、「消費者物価指数の動向」(甲A33)においては、財・サービス分類指数、品目別価格指数、地域別指数、世帯属性別指数、品目特性別指数の分析も含まれていたこと、ゆがみ調整については年齢階級別、世帯人員別、級地別に基準額と消費実態のかい離を分析したこと(乙9(2頁))からすれば、2分の1処理を含むゆがみ調整と併せてデフレ調整を実施するに当たって、少なくとも一定の世帯員の年齢、世帯人員、級地の組合せの生活保護受給世帯において、改定前基準と同レベルの生活の需要を満たす水準の生活保護を受給できることになるかについて検討するか、全生活保護受給世帯が改定前基準と同レベルの生活の需要を満たす水準の生活保護を受給できるようにすべく、また、被保護者の期待的利益に配慮するため、本件下落率をそのまま一律に採用しないなどの具体的な措置を検討することが求められていたものといえる。 しかるに、厚生労働大臣が、2分の1処理を含むゆがみ調整と併せてデフレ調整を実施し、デフレ調整分の改定率を定めるに当たって、これらの点について何らかの検討をした形跡は見当たらない。そうすると、デフレ調整においては、厚生労働大臣が上記の考慮ないし検討をしなかった結果として、平成20年から平成23年までの間の生活保護受給世帯の可処分所得の相対的、実質的な増加を正確に表すもの - 44 -とはいい難く、また、生活保護受給世帯の消 いし検討をしなかった結果として、平成20年から平成23年までの間の生活保護受給世帯の可処分所得の相対的、実質的な増加を正確に表すもの - 44 -とはいい難く、また、生活保護受給世帯の消費生活を取り巻く実際の物価変動率よりも下落幅が大きく算出されている可能性を否定することができない本件下落率が、そのままデフレ調整分の改定率とされたものということができる。 また、厚生労働大臣が、2分の1処理を含むゆがみ調整と併せて一律-4.78%のデフレ調整を実施するに当たって、被保護者の期待的利益に配慮するための具体的な措置につき、後記の10%を超える減額があった場合に適用される激変緩和措置や段階的実施以外に何らかの措置を採ることを検討したものとも認められない。 そうすると、厚生労働大臣は、専門部会による審議検討を経たゆがみ調整においてすら、統計上の限界があることを一つの理由として2分の1処理を行ったにもかかわらず、専門家合議体による審議検討を経ずに算出され、しかも上記のとおり平成20年から平成23年までの生活保護受給世帯の可処分所得の相対的、実質的な増加を正確に表すものとはいい難い本件下落率につき、何らの措置も採らずにそのままデフレ調整分の改定率としたものというほかはない。 オ以上によれば、本件下落率をそのままデフレ調整分の改定率とした厚生労働大臣の判断は、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠くものといわざるを得ない。 ⑻ 10%を超える減額があった場合に適用される激変緩和措置や段階的実施についてア本件各改定においては、減額幅の上限を10%とするという内容の激変緩和措置が採られた(乙21(27頁))ところ、この措置の対象となる世帯は6%と想定されていたものと解される(乙21(27頁 ア本件各改定においては、減額幅の上限を10%とするという内容の激変緩和措置が採られた(乙21(27頁))ところ、この措置の対象となる世帯は6%と想定されていたものと解される(乙21(27頁))。かかる激変緩和措置の対象になった生活保護受給世帯において、当該措置により、改定前基準と同レベルの生活の需要を満たす水準 - 45 -の生活保護を受給できることになることを的確に裏付けるに足りる証拠はない上、前記措置は、当該措置の対象外の生活保護受給世帯には影響がないものであるから、当該措置が採られたからといって、厚生労働大臣が本件下落率をそのままデフレ調整分の改定率としたことの適否に係る前記⑺の判断が直ちに左右されるものではないといわざるを得ない。 イまた、本件各改定が3年間かけて段階的に行われることとされたことも、激変を緩和する作用は認められるものの、3年間経過後の受給額自体を変更するものではないから、前記ア同様、前記⑺の判断を左右するに足りるものではない。 ⑼ 原審被告らのその余の主張についてア原審被告らは、別紙控訴審における原審被告らの主張の要旨⑵ウのとおり、平成29年検証において、本件各改定後の生活扶助基準の水準額と一般低所得世帯(第1・十分位世帯)の消費水準が概ね均衡することが確認されたから、厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない旨主張する。 しかしながら、前記3⑴、⑵のとおり、生活扶助基準の改定に係る厚生労働大臣の判断の過程又は手続に過誤、欠落が認められる場合には、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認めざるを得ないのであり、事後的な検証によって当該改定時における一般低所得世帯の消費水準と当該改定後の生活扶助基準との相対的な均衡の存在が確認されたとし は、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認めざるを得ないのであり、事後的な検証によって当該改定時における一般低所得世帯の消費水準と当該改定後の生活扶助基準との相対的な均衡の存在が確認されたとしても、そのことのみによって直ちに前記の過誤、欠落が治癒されることとなるものではない。その点を措くとしても、平成29年12月14日付け本件基準部会報告書(乙93)においても、夫婦子一人世帯(親の年齢65歳未満、子の年齢18歳以下(18歳は高校生に限る。))と高齢者世帯(65歳以上の夫婦世帯)の2つの世帯 - 46 -類型をモデル世帯として設定し、前者を基軸に、後者を展開し(乙93(8~9、17頁))、夫婦子一人世帯の年収階級第1・十分位世帯の生活扶助相当支出と生活扶助基準額が概ね均衡することを確認しただけであって、そこから展開した様々な世帯類型における生活扶助基準額と一般低所得世帯の生活水準の均衡を確認するまでには至らなかった(乙93(24頁))というのであるから、本件各改定の適法性を裏付けるには不十分であるといわざるを得ない(なお、前記報告書も指摘するとおり、生活保護受給世帯の約8割が単身世帯であり、標準世帯はむしろ少数派である(乙93(25頁))。 したがって、原審被告らの前記主張は、前記⑺の判断を左右しない。 イ原審被告らは、別紙控訴審における原審被告らの主張の要旨⑵ウaのとおり、平成19年検証等において生活扶助基準額と比較すべきとされた夫婦子1人の一般低所得世帯(年間収入階級第1・十分位)の消費水準(生活扶助相当支出額)は、平成16年(全国消費実態調査)から平成21年にかけて約11.6%下落しており、平成19年検証時点における同世帯の生活扶助基準額を約12.6%下回るものとなっており、かつ、平成21年から本件各改定時ま 16年(全国消費実態調査)から平成21年にかけて約11.6%下落しており、平成19年検証時点における同世帯の生活扶助基準額を約12.6%下回るものとなっており、かつ、平成21年から本件各改定時までに同支出額が増加する社会経済情勢にはなかったから、デフレ調整を行う必要性があった旨主張する。 しかしながら、原審被告ら自身が主張しているように、原審被告らは、従前は、平成16年から平成21年にかけて夫婦子1人の一般低所得世帯の消費支出が約11.6%低下していたことについては、本件各改定後に判明した事情であると説明していたにもかかわらず、令和5年3月16日に名古屋高等裁判所において行われた平成22年7月に社会・援護局保護課に配属された厚生労働省職員の証人尋問(乙128)において、厚生労働省が平成16年全国消費実態調査及び平 - 47 -成16年から平成21年にかけての夫婦子1人の一般低所得世帯(年間収入階級第1・十分位)の消費支出の動向を把握しており、これをデフレ調整の検討に当たって考慮していた事実が明らかになったとして、デフレ調整の判断過程に関する説明を修正している(原審被告ら控訴審第6準備書面6~7頁、乙127~129)。しかし、同職員の陳述書(乙127(9頁))の記載は、「なお、現在でも、同様の方法で生活扶助基準の定型的な検証がなされています。そうした中で、平成30年に厚生労働省から示された算定結果では、平成21年全国消費実態調査に基づく夫婦子一人世帯の年収階級第1・十分位の生活扶助相当消費支出額は13万1500円となっています。これは、平成19年検証の時点の生活扶助相当消費支出額14万8781円から11.6%程度の低下に当たります。」というものであり、約11. 6%という数値は事後的な検討における算定結果であると解さ す。これは、平成19年検証の時点の生活扶助相当消費支出額14万8781円から11.6%程度の低下に当たります。」というものであり、約11. 6%という数値は事後的な検討における算定結果であると解される内容であり、同職員の証言は、約12.6%という数値は事後的に算出されたものであると明言する一方、平成25年改定の検討の準備段階の作業として、平成21年全国消費実態調査のデータを確認し、平成19年検証と同様に基準額を比べたところ、正確な計算結果を覚えていないが、11.6%と同程度に消費と基準額のずれがあったと記憶している(乙128(10~11頁))というあいまいなものである。 全国厚生労働関係部局長会議資料(乙21(27頁))には、デフレ調整の記載はあるものの、前記数値に係る特段の説明はなく、平成25年検証の結果(乙9)にも特段の記載はなく、本件部会議事録(乙28)においても、物価指数、すなわちデフレ調整に関わる経済指標についての言及はある(乙28(25~27頁))ものの、前記各数値については特段の記載はないのであって、少なくとも対外的に本件各改定に至る検討過程において前記数値が算出され、厚生労働大臣が - 48 -本件各改定に係る判断過程において前記数値を考慮したことを裏付けるに足りる客観的証拠はなく、また、そのような数値を算出しながら、厚生労働大臣が本件下落率(-4.78%)を採用してデフレ調整を行うに至った判断過程の具体的内容を裏付けるに足りる証拠も見当たらない。この点において原審被告らが主張するところを前提とするとしても、前記数値は平成16年から平成21年にかけてのものであって、厚生労働大臣がデフレ調整を行うことをしたという判断の合理性を裏付けることはできても、厚生労働省が本件各改定に当たって前提としたのが平成20年か 値は平成16年から平成21年にかけてのものであって、厚生労働大臣がデフレ調整を行うことをしたという判断の合理性を裏付けることはできても、厚生労働省が本件各改定に当たって前提としたのが平成20年から平成23年までの生活扶助相当CPIの変動率であること(乙21(29頁))からすれば、更に進んで、前記各数値は、厚生労働大臣の-4.78%を一律に適用してデフレ調整を行うという判断過程の合理性を裏付け得るに足りるものではない。 したがって、原審被告らの前記主張は、前記⑺の判断を左右するに足りるものではない。 ウこのほか、原審被告らは、厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はないとして種々の主張をするが、いずれも前記の結論を左右するものではない。 ⑽ 小括以上によれば、厚生労働大臣がデフレ調整をすること自体には合理性が認められるとしても、本件下落率をそのまま一律にデフレ調整分の改定率としたその判断は、統計等の客観的な数値等との合理的関連性又は専門的知見との整合性を欠くものといわざるを得ず、同判断には生活保護法が定める最低限度の生活の具体化に係る判断の過程に過誤、欠落があるものと認めるほかはない。 そうすると、デフレ調整として生活扶助基準を一律に4.78%引き下げることとした厚生労働大臣の判断は、その裁量権の範囲を逸脱し又 - 49 -はこれを濫用するものとして違法というべきであるから、デフレ調整をその内容として含む本件各改定は、生活保護法3条及び8条2項に違反し、違法であり、これに基づく保護変更決定はいずれも違法である。」⑿ 原判決90頁12行目の「争点3」を「争点2」に、13行目の「本件各改定のうち」から16行目の「違法がある」までを「本件各改定は違法であり、これに基づく保護変更決定はいずれ れも違法である。」⑿ 原判決90頁12行目の「争点3」を「争点2」に、13行目の「本件各改定のうち」から16行目の「違法がある」までを「本件各改定は違法であり、これに基づく保護変更決定はいずれも違法であって、番号8、16の各原告の原審第1事件に係る訴えのうち保護変更決定の取消請求に係る部分、番号29の原告の原審第3事件に係る訴えのうち保護変更決定の取消請求に係る部分を除き、原審原告らの各保護変更決定の取消請求に係る部分はいずれも理由があり、本件各改定を行った国は、当該各保護変更決定を受けた各原審原告らに対し、国家賠償法上、違法な行為を行ったものといえる」に、18行目から19行目にかけての「慰謝されると考えられ、これを覆すに足りる証拠はないから」を「損害の回復が図られるものであるから、本件各改定、これに基づく各保護変更決定及びこれらによる受給額の減少という一連の状況や、証拠(甲E1~20、原告番号9、12、20及び21の各原告の本人尋問)並びに原告番号9及び20の各原告の当事者意見陳述書から窺われる諸事情を併せ考慮するとしても」に、19行目の「原告ら」を「控訴審第1事件原審原告ら控訴事件控訴人ら」にそれぞれ改める。 2 結論以上によれば、控訴審第1事件については、⒜保護変更決定取消請求はいずれも認容すべきであり、⒝国家賠償請求はいずれも棄却すべきであるところ、控訴審第1事件原審被告ら控訴事件の控訴及び控訴審第1事件原審原告ら控訴事件の控訴はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、控訴審第2事件については、当該事件に係る請求は認容すべきであるから、これと同旨の控訴審第2事件原判決は相当であり、控訴審第2事件控訴人の控訴は理由がないからこれを棄却することとし、本件訴訟のうち、控訴審第1事件被控訴人 - 50 - 認容すべきであるから、これと同旨の控訴審第2事件原判決は相当であり、控訴審第2事件控訴人の控訴は理由がないからこれを棄却することとし、本件訴訟のうち、控訴審第1事件被控訴人 - 50 -Aの請求に関する部分は、令和5年9月20日に同被控訴人の死亡により、控訴審第1事件被控訴人Bに関する部分は、令和7年1月20日に同被控訴人の死亡により、それぞれ終了したため、その旨を宣言することとし、控訴審第1事件原判決主文第5項が引用する同原判決別紙2処分一覧表4の「処分庁」欄に「埼玉県上尾福祉事務所長」とあるのは「埼玉県上尾市福祉事務所長」の誤りであることが控訴審第1事件原判決の理由自体から明白であるから、前記の「埼玉県上尾福祉事務所長」とある部分を「埼玉県上尾市福祉事務所長」と更正し、その旨を明らかにすることとし、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第16民事部 裁判長裁判官佐 々 木宗啓 裁判官古谷健二郎 裁判官森岡礼子 別紙控訴審当事者目録添付省略(51ページ〜59ページ)-60--61--62--63--64--65-(別紙) 控訴審における原審原告ら(ただし、原審原告番号28の原告を除く。以下、本別紙及び本別紙を引用する本文の部分において同じ。)の主張の要旨 原審原告らは、要旨、次のとおり主張するところ、その骨子は、別 紙原審原告ら代理人意見陳述書及び「一審原告ら代理人意見陳述書の要旨」のとおりである。 ⑴ 本件各改定の適法性に係る判断枠組みについてア本件における判断枠組みは、本件各改定 紙原審原告ら代理人意見陳述書及び「一審原告ら代理人意見陳述書の要旨」のとおりである。 ⑴ 本件各改定の適法性に係る判断枠組みについてア本件における判断枠組みは、本件各改定が生活保護費の減額 を伴う行政処分であるという点において、老齢加算の廃止と共通点を有していることを踏まえ、生活保護費の減額を伴う老齢加算の廃止を内容とする行政処分に関する司法審査を行った老齢加算最高裁判所判決(最高裁平成22年(行ツ)第392号、同(行ヒ)第416号同24年2月28日第三小法廷判決・ 民集66巻3号1240頁、最高裁平成22年(行ヒ)第367号同24年4月2日第二小法廷判決・民集66巻6号2367頁)が示した規範に基づくべきであり、「その判断の過程及び手続に過誤、欠落があるか否かの観点から、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無」に ついて審査し判断されるべきである。 また、生活保護法8条2項は、生活保護基準の基礎となる「最低限度の生活の需要」について、「要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮」すべきであると規定し、生活扶助基準の改定の際には、上記 - 66 - の諸事情を考慮することが不可欠となっているから、本件は、上記の諸事情の考慮の有無、要するに「需要充足原則」に照らして、判断されるべきである。 本件において、司法審査の対象となる厚生労働大臣の判断は、本件各改定の時点において生活保護利用世帯には引下げに見 合う需要が認められないとした判断(引下げに見合う需要減少に係る判断)と、当該各改定後の生活扶助基準の内容が要保護者の健康で文化的な生活水準を維持するに足りるものであるとした には引下げに見 合う需要が認められないとした判断(引下げに見合う需要減少に係る判断)と、当該各改定後の生活扶助基準の内容が要保護者の健康で文化的な生活水準を維持するに足りるものであるとした判断(改定後の水準維持に係る判断)の2点に限定されるべきである。 本件各改定の適法性を審査するに当たっては、Ⓐ最低生活保障を画する判断場面とⒷ激変緩和に関する判断場面とを区別しなければならない。 Ⓐの最低生活保障を画する判断場面においては、生活保護費の減額を伴う行政処分であるという点において、本件各改定と老齢 加算の廃止は共通点を有しているから、老齢加算訴訟最高裁判決における「その判断過程及び手続に過誤、欠落があるか否かの観点から、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無」について審査する判断枠組みによりその適法性が判断されるべきである。 具体的には、㋐改定当時において引下げに見合う需要の減少が認められない場合㋑改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な生活水準を維持するに足りるものとはいえない場合 - 67 - には、本件各改定は、生活保護法3条、8条2項、憲法25条1項に違反する。 また、前記㋐及び㋑を判断するに当たっては、厚生労働大臣の最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続につき審査をし、次のⓐ~ⓗに該当する場合には、違法と判断すべきである。 ⓐ 基礎とされた重要な事実に誤認があること等により全く事実の基礎を欠くか、重要な事実の基礎を欠く場合ⓑ 事実に対する評価が明白に又は明らかに合理性を欠く場合ⓒ 基準の改定において法8条2項が定める法定事項の考慮をしていない等、考慮すべき事項を考慮していない場合 実の基礎を欠く場合ⓑ 事実に対する評価が明白に又は明らかに合理性を欠く場合ⓒ 基準の改定において法8条2項が定める法定事項の考慮をしていない等、考慮すべき事項を考慮していない場合 ⓓ 基準の改定において要保護者(生活保護受給世帯)の「需要」や法定事項以外の事項を考慮する等、考慮すべきでない事項を考慮した場合ⓔ 総合考慮するにあたって考慮要素の「重みづけ」の評価を誤った場合 ⓕ 判断の過程及び手続における過誤、欠落がある場合ⓖ 統計等の客観的な数値等との合理的関連性を欠く場合ⓗ 専門的知見との整合性を欠く場合Ⓑの激変緩和措置などの適法性の場面においては、判断過程審査は適用されないものの、被保護者の期待的利益の喪失によ り、被保護者の生活に看過し難い影響を及ぼす場合には違法となり、改定の適法性の場面と同じく、客観的な数値との合理的関連性等の審査がされるべきである。 イ堀木訴訟最高裁判決(最高裁昭和51年(行ツ)第30号同57年7月7日大法廷判決・民集36巻7号1235頁)は、憲法25 - 68 - 条2項の規定を具体化する立法措置の憲法適合性が問題となった事案であるから、厚生労働大臣による保護基準の改定が憲法25条1項の権利を具体化している生活保護法の授権の範囲内といえるかが問題となっている本件に射程が及ばない。 ウ生活扶助基準改定の際には、生活保護法8条2項所定の諸事 情を考慮することが不可欠であるから、前記諸事情の考慮の有無、すなわち、需要充足原則に照らして、その適法性が判断されるべきである。 2分の1処理は、ゆがみ調整によって増額となる70%の世帯について不利益な結果をもたらしており、子供のいる世帯に 対する緩和効果は、世帯類型により て、その適法性が判断されるべきである。 2分の1処理は、ゆがみ調整によって増額となる70%の世帯について不利益な結果をもたらしており、子供のいる世帯に 対する緩和効果は、世帯類型により一切ないか、あっても極めて限定的であるから、被保護者の期待的利益を保護する激変緩和措置ではなく、2分の1処理には改定の適法性に関する判断枠組みが適用されなければならない(仮に激変緩和措置といえるとしても、2分の1処理の判断過程は、統計等の客観的数値との 合理的関連性、専門的知見との整合性を欠くから、過誤ないしは欠落があることになる。)。 ⑵ 本件各改定の判断過程とその評価についてアデフレ調整について 物価の考慮について a 厚生労働大臣は、「デフレ調整」として、生活保護法8条2項に記載された「要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地別その他保護の種類に応じて必要な事情」を考慮することなく、同項に記載のない「物価」を考慮し、生活扶助相当CPIの下落率を用いて、すべての世帯類型について一律に4.8% - 69 - の生活扶助費の減額を行ったものであるから、デフレ調整は、生活保護法8条2項の文言に一義的に反する。 b ゆがみ調整においては、「年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別」の事情は、生活保護受給世帯間の相対的な較差を是正するために考慮されたのであって、「要保護者」の「最低限度 の生活の需要」を測定するために「必要な事情」として考慮されたわけではないから、生活扶助基準の絶対水準の調整に当たって物価を考慮するのであれば、生活保護法8条2項が求める「年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別」等の要保護者の属性に応じた必要な事情の考慮は、デフレ調整の中で行われなけ ればならなかった。ゆ て物価を考慮するのであれば、生活保護法8条2項が求める「年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別」等の要保護者の属性に応じた必要な事情の考慮は、デフレ調整の中で行われなけ ればならなかった。ゆがみ調整によってこれらの考慮が尽くされていたとは評価できない。 c 平成25年検証は、平成21年の全国消費実態調査のデータ(名目値)を用いているから、そのデータには平成20年から平成21年にかけてのデフレによる物価変動の影響が反映さ れている。このような平成25年検証の結果に基づく「ゆがみ調整」に加えて、更に「デフレ調整」を行うことは、平成20年以降のデフレの影響を二重評価していることになる。 d 物価は、消費に大きな影響を持つが、消費そのものではなく、専門委員会では、水準均衡方式の下物価を考慮することに否定 的な見解が一貫して示されており(平成16年専門委員会報告書)、平成25年検証においても、物価を用いることは容認されていなかった。 物価指数を用いた生活扶助基準の改定は、過去に採られたことがなく、平成16年報告書及び平成25年報告書を通じて専 - 70 - 門家から否定的、消極的な見解が示されていたことからしても、物価を計測するためにどのような指標を用いて、どのように考慮すべきかなどの諸点について、基準部会等の専門家による慎重な検討、検証を経るべきであった。デフレ調整は、そのような検討、検証を全く経ることなく、むしろ専門家の意見を無視 して実施されたものであって、専門的知見との整合性を欠いている。 統計等の客観的数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の欠缺a 生活扶助相当CPIを用いたことについて デフレにより実質的に増額された生活扶助基準の水準(高さ)について適正化を 統計等の客観的数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の欠缺a 生活扶助相当CPIを用いたことについて デフレにより実質的に増額された生活扶助基準の水準(高さ)について適正化を図ることにより、一般国民との間の不均衡の是正を図るというデフレ調整の目的からすれば、生活扶助相当CPIは、デフレによる生活保護世帯の可処分所得の実質的増加分を適切に測定できるものでなければならない。生活扶助相 当CPIは、一般世帯を対象とした家計調査の消費データを用いて算出されたものであるが、生活保護世帯と一般世帯の消費構造は大きく異なるから、生活保護世帯の可処分所得の実質的な増加を把握するために、一般世帯を対象とした家計調査の消費データを用いてはならず、生活保護世帯を調査対象とした社 会保障生計調査を用いるべきである。 社会保障生計調査は、「被保護世帯の家計収支の実態を明らかにすることによって、生活保護基準の改定等生活保護制度の企画運営のために必要な基礎資料を得るとともに、厚生労働行政の企画運営のために必要な基礎資料を得る」ために実施され - 71 - ているものであり(甲B83)、現に、平成29年報告書は、本件各改定による生活扶助基準の見直しの影響について、「平成24年度から平成26年度の社会保障生計調査」の個票データを用いて検証をしている(甲B84(2頁)、甲12(2頁))のであるから、社会保障生計調査が統計資料としての適格性に 欠けるとは認められない。 b 生活扶助相当CPIの変化率の算出(ウェイト)についてデフレ調整は、平成22年のウェイトを用いて生活扶助相当CPIの変化率を算出したものであるが、平成22年は、教養娯楽用耐久財、特にテレビの価格下落と購入数量の異常な増加 とい )についてデフレ調整は、平成22年のウェイトを用いて生活扶助相当CPIの変化率を算出したものであるが、平成22年は、教養娯楽用耐久財、特にテレビの価格下落と購入数量の異常な増加 という特殊事情があった年であり、テレビのウェイトが異常なまでに大きくなったことから、生活扶助相当CPIの下落率が過大に算出された。 生活保護受給世帯がほとんど購入しないテレビやノートパソコンなどの教養娯楽用耐久財のウェイトが過大に反映され た平成22年のウェイトを用いたことには統計上の正当性がない。 c 生活扶助相当CPIの変化率の算出(始期)について⒜ デフレ調整は、平成20年を始期として生活扶助相当CPIを算出したものであるが、平成20年は、原油価格の上昇 等により物価が一時的に高騰した年であり、この年を起点とすることで、平成19年から平成20年にかけての特異な物価上昇を無視することになったのであって、平成20年を始期とすることに統計上の正当性はない。 ⒝ 原審被告らは、平成19年検証の結果を根拠として平成2 - 72 - 0年を起点とした旨主張するが、平成19年検証は平成20年の消費実態を何ら示していないから、前記主張は論理的に破綻している。 d 生活扶助相当CPIを算出する計算方法について物価統計を管轄する総務省統計局は、過去において、物価指 数について、ラスパイレス指数を採用し、接続係数を用いた新旧接続方式を用いているところ、統計の継続性・一貫性の見地からは、生活扶助相当CPIの算出の際にも、ラスパイレス接続方式が採用されるべきである。 生活扶助相当CPIは、これによらずに物価下落局面におい て下落率が過大に算出される計算方法を用いたことにより、過大に算出されたもので 際にも、ラスパイレス接続方式が採用されるべきである。 生活扶助相当CPIは、これによらずに物価下落局面におい て下落率が過大に算出される計算方法を用いたことにより、過大に算出されたものであり、統計上の正当性がない。 e 別紙控訴審における原審被告らの主張の要旨⑵ウaの主張について⒜ 原審被告らの前記主張が根拠とする「平成21年全国消費 実態調査における一般低所得世帯の夫婦子1人世帯の生活扶助相当支出額が約13万5000円であったという事実」は、客観的証拠により裏付けられていない。 ⒝ 原審被告らの前記主張は、生活保護世帯全体の中で統計上3~4%程度である夫婦子1人世帯のみを対象とするもの であり、残りの96~97%程度の世帯類型については当てはまらない。 ⒞ 原審被告らの前記主張の前提事実は、「年間収入階級第1・五分位世帯・二人以上勤労世帯」と「低所得世帯、単身勤労世帯」に関する平成16年と平成21年の各全国消費実態調 - 73 - 査の各統計数値に照らして、不合理である。 f 一般国民の生活水準の低下について民間最終消費支出(甲A44(2頁))や平成22年基準のウエイトで一般消費者物価の変動を計算したもの(甲A34(38頁、表11の「系列C」))も加えて、平成20年 から平成23年までの変化率を計算した結果によれば、平成20年必ずしも平成20年から平成23年までの間に一般国民の生活水準が低下していたとはいえない。 イゆがみ調整(2分の1処理を含む。)について 生活保護法8条2項(文言)違反 ゆがみ調整は、年齢別・級地別の第1類費、世帯人員別の1類費の逓減率、及び世帯人員別・級地別の第2類費の各類型の生活 (2分の1処理を含む。)について 生活保護法8条2項(文言)違反 ゆがみ調整は、年齢別・級地別の第1類費、世帯人員別の1類費の逓減率、及び世帯人員別・級地別の第2類費の各類型の生活扶助費について、第1・十分位世帯の消費実態に合致するように金額の増減を行うことが当初の前提となっていたのであり、これを前提にするからこそ、展開としての正当性が図られるものであ った。しかるに、本件各改定においては、ゆがみ調整の際に2分の1処理が行われたため、各生活保護世帯の「最低限度の生活の需要」について、第1・十分位世帯の消費実態から大きく乖離する内容の金額の増減が行われることになったのであって、2分の1処理は、「要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別 その他保護の種類に応じて必要な事情」を考慮することなく、第1・十分位世帯の消費実態を大きく歪めたうえで、生活扶助費の増減を行ったものであるから、生活保護法8条2項の文言に一義的に反する。 統計等の客観的数値等との合理的関連性や専門的知見との整 - 74 - 合性の欠缺a ゆがみ調整が展開としての正当性を有するためには、少なくとも、年齢別・世帯人員別・級地別の消費実態の較差を用いて各世帯の生活扶助基準額を決定したことが必要である。 2分の1処理は、年齢別・世帯人員別・級地別の各類型の消 費支出額と生活扶助基準額との間の反映比率を2分の1にしたものであり、これにより、展開のための消費実態の較差は大きく歪められ、ゆがみ調整の本質と反する結果になった。 b 2分の1処理が子のいる世帯に与える増額効果は限定的であり、これが子のいる世帯に対する激変緩和措置ということは できない。 c 2分の1処理は、生活保護受給世帯の53.4%を占 った。 b 2分の1処理が子のいる世帯に与える増額効果は限定的であり、これが子のいる世帯に対する激変緩和措置ということは できない。 c 2分の1処理は、生活保護受給世帯の53.4%を占める高齢単身世帯の生活扶助基準を大幅に引き下げ、最低限度の生活の需要を下回る結果をもたらした。 d 2分の1処理は、平成25年度の生活扶助費の大幅な追加的 削減効果を目的としてされたものであると推認すべきであるところ、このような国の財政事情を考慮することは、生活保護法8条2項の法定事項を考慮するものでなく、最低限度の需要への合致を考慮するものでもないから、厚生労働大臣の裁量権の行使を正当化するものではない。 原審被告らが説明する「ゆがみ調整」によれば、生活扶助費全体の削減効果は生じることはあり得ず、年間約90億円の財政削減効果は、専ら2分の1処理の結果として生じたものである。 ウ専門的検証の欠缺について - 75 - デフレ調整やゆがみ調整における2分の1処理は、本件基準部会などでの専門的な検証に基づくものではない。 本件基準部会等の専門機関に対する諮問をしたにもかかわらず、諮問結果と異なる判断をする場合には、諮問結果が諮問の目的との関係で唯一の手法でないとしても、諮問結果と異なる判断 をしたことについて十分な根拠が求められるというべきである。 エ事後的検証について 判断過程における過誤・欠落については、そのことによって裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があると認めざるを得ないのであって、これを事後的な検証によって正当化することがで きない。 原審被告らが本件各改定後の生活扶助基準の水準が最低限度の生活を下回るものではないことを明ら 用があると認めざるを得ないのであって、これを事後的な検証によって正当化することがで きない。 原審被告らが本件各改定後の生活扶助基準の水準が最低限度の生活を下回るものではないことを明らかにすると主張する平成29年検証は、全ての世帯類型について、第1・十分位世帯の消費実態と生活扶助基準の間の比較検証を行ったものではなく、 生活保護世帯の75%程度を占める単身世帯について検証が行われていないから、平成29年検証の結果は、本件各改定を正当化するものではない。 平成29年検証自体が、夫婦子1人世帯を基軸として展開した後の高齢単身世帯の生活扶助基準が低すぎることを問題視して いたことからしても、平成29年検証の結果をもって、平成25年改定による生活扶助基準が適切であることが裏付けられるとはいえない。 ⑶ 国家賠償請求について本件各改定は、生活扶助基準を最大で10%、平均で6.5%引き - 76 - 下げたものであり、従前から最低限度の需要を下回る生活を強いられてきた生活保護利用者に対して更なる著しい被害や苦痛を10年以上の長期間にわたってもたらしたものであって、本件各改定を伴う処分が取り消されるだけでは回復できないものであるから、原審被告国に対し、国家賠償法に基づく損害賠償が命じられるべきであ る。 本別紙の別紙添付省略(77ページ~123ページ)-124-(別紙) 控訴審における原審被告らの主張の要旨 原審被告らは、要旨、次のとおり主張するところ、その骨子は、別紙原審被告ら意見陳述要旨及び「本件改定の適法性とその判断枠組み」のとおりである。 ⑴ 本件各改定の適 の要旨 原審被告らは、要旨、次のとおり主張するところ、その骨子は、別紙原審被告ら意見陳述要旨及び「本件改定の適法性とその判断枠組み」のとおりである。 ⑴ 本件各改定の適法性に係る判断枠組みについてア保護基準の改定に係る厚生労働大臣の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法になるのは、朝日訴訟最高裁判決(最高裁昭和39年(行ツ)第14号同42年 5月24日大法廷判決・民集21巻5号1043頁)及び堀木訴訟最高裁判決(最高裁昭和51年(行ツ)第30号同57年7月7日大法廷判決・民集36巻7号1235頁)によって形成されている現在の確定した判例法理によれば、当該判断が最低限度の生活の具体化として著しく合理性を欠くことが明ら かな場合、すなわち、現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定するなど憲法及び生活保護法の趣旨、目的に反することが明らかな場合に限られる。 いわゆる判断過程審査を採用した老齢加算訴訟最高裁判決(最高裁平成22年(行ツ)第392号、同(行ヒ)第416 号同24年2月28日第三小法廷判決・民集66巻3号1240頁、最高裁平成22年(行ヒ)第367号同24年4月2日第二小法廷判決・民集66巻6号2367頁)は、老齢加算という特殊の既得権的性質を有するものを永続的に廃止する事案についての事例判断を示したものにとどまり、生活扶助費の - 125 - うち基準生活費の額を改定するもので毎年度変動が生じることが予定されている本件とは事案を異にするから、同判決の射程は本件には及ばないのであって、本件各改定の適法性の判断枠組みについて判断過程審査の枠組みを用いるべきではない。 イ仮に本件各改定の適法性判断に れている本件とは事案を異にするから、同判決の射程は本件には及ばないのであって、本件各改定の適法性の判断枠組みについて判断過程審査の枠組みを用いるべきではない。 イ仮に本件各改定の適法性判断に判断過程審査の手法を用いる としても、厚生労働大臣には専門技術的かつ政策的な見地から極めて広範な裁量権があるから、本件各改定が違法となるのは、厚生労働大臣の判断過程に何らかの過誤、欠落があるというだけでは足りず、当該過誤、欠落が「最低限度の生活の具体化」に関するものであり、かつ、改定後の保護基準が現実の生活条件 を無視した著しく低いものとなりかねないような重大なものである場合に限られる。 保護基準の改定に当たり基準部会等の専門機関による審議検討を経ていないことが直ちに保護基準の改定に係る厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があることを意味するも のではない。 改定された保護基準が、最低限度の生活の需要を満たすものであったような場合まで裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったとする考え方は、手続的な瑕疵を理由として生活保護法3条、8条2項違反を肯定するもので、行政庁の判断の実体上の違法 の有無を審査するためにその判断の過程に着目するという判断過程審査の実質についての理解を誤っている。 ⑵ 本件各改定の判断過程とその評価についてア本件各改定について本件各改定は、 - 126 - ① 本件基準部会が取りまとめた平成25年検証の結果を踏まえ、一般低所得世帯(年間収入階級第1・十分位世帯)の年齢階級別、世帯人員別、級地別の消費実態の相対的な較差を生活扶助基準の「展開のための指数」に反映することで、生活扶助基準の展開部分(生活保護受給世帯間における相対的な較差)の適正化を行 世帯)の年齢階級別、世帯人員別、級地別の消費実態の相対的な較差を生活扶助基準の「展開のための指数」に反映することで、生活扶助基準の展開部分(生活保護受給世帯間における相対的な較差)の適正化を行 う「ゆがみ調整」(その際、平成25年報告書には、検証結果を踏まえて生活扶助基準の見直しを具体的に検討する際の留意点として、「検証方法について一定の限界があることに留意する必要がある」ことや「とりわけ貧困の世代間連鎖を防止する観点から、子どものいる世帯への影響にも配慮する必要がある」ことが 指摘されていたことから、こうした留意点も踏まえ、一律に、平成25年検証において算出されたかい離幅の2分の1を生活扶助基準に反映することとされた(2分の1処理) 。)を行うこと、② 前回の専門機関による検証を踏まえた生活扶助基準の改定 (据置き)が行われた平成20年以降、賃金、物価及び家計消費等がいずれも下落する経済情勢にありながら生活扶助基準が据え置かれており、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)と一般国民の生活水準との均衡が大きく崩れた状態にあると評価すべき状況にあった中で、従前用いられてきた手法により消費を 基礎として生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)を検証し、それに基づいた改定を行う場合に、減額幅が必要以上に大きくなることが想定されたことから、消費実態そのものではなく、消費の構成要素の一つである物価を指標として改定を行うこととし、平成20年から平成23年までの間の生活扶助費で支出さ - 127 - れる品目の物価変動率を算定して、当該数値に基づき生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)について適正化を図る「デフレ調整」を行うこと、③ さらに、その際、ⅰ ゆがみ調整とデフレ調整を併せて行う る品目の物価変動率を算定して、当該数値に基づき生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)について適正化を図る「デフレ調整」を行うこと、③ さらに、その際、ⅰ ゆがみ調整とデフレ調整を併せて行うことによって大幅な 減額となる世帯に配慮する観点から、保護基準改定による減額幅の上限を10%とした上で、ⅱ 生活保護受給世帯に及ぼす影響を考慮して、保護基準改定を平成25年8月から3年間にわたって段階的に実施するという内容の激変緩和措置を講じること を主な内容とするものである。 イゆがみ調整(2分の1処理を含む。)について2分の1処理は、平成25年検証において統計上の限界や子どものいる世帯に対する配慮の必要性について指摘されたこと、平成25年検証後も生活扶助基準の展開部分に関する専門 機関による検証が予定されていたことなどを踏まえ、「生活扶助基準の展開部分の適正化」というゆがみ調整の本質的部分を維持しつつ、子どものいる世帯への貧困の世代間連鎖の防止という配慮や次回の検証を見据えた措置として、平成25年検証の結果を反映する比率を一律2分の1としたものであり、2分の 1処理を行うこととした厚生労働大臣の上記判断過程について、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠くところはないから、その判断の過程及び手続に過誤、欠落があるとはいえない。 a 2分の1処理は、生活保護受給世帯への配慮として、検証 - 128 - とその結果の反映という作業を数次にわたり繰り返すことにより、漸次、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態とのかい離の是正を図っていくという考え方に基づく措置である。 2分の1処理にはこのような意味での「激変緩和措置」としての側面があり、これは とにより、漸次、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態とのかい離の是正を図っていくという考え方に基づく措置である。 2分の1処理にはこのような意味での「激変緩和措置」としての側面があり、これは、本件各改定におけるゆがみ調整によ って増額になるか減額になるかを問わず当てはまるものである。 b 厚生労働大臣は、2分の1処理がされた場合には平成25年検証において明らかになった生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態のかい離(ゆがみ)が残るおそれがあること は踏まえつつも、平成25年報告書において統計上の限界や子どものいる世帯への配慮の必要性が指摘されていたこと等を踏まえ、子どものいる世帯への貧困の世代間連鎖の防止という配慮や次回の検証を見据えた措置の必要性等も考慮し、これらの各事情を総合的に比較考量した上で2分の1処 理を行うこととしたものである。 さらに、2分の1処理は、平成25年検証の結果の反映の程度を減額か増額かを問わず一律に2分の1としたものであり、検証結果の取扱いという面においては生活保護受給者間の公平性が図られている(減額幅については2分の1と し、増額幅についてはそのまま反映させるといったように、反映の程度を部分的に変えることは、理論的にはあり得るが、このような反映方法は、保護基準の年齢階級別、世帯人員別、級地別の「展開のための指数」(生活保護受給世帯間における相対的な較差)について評価・検証を行うという平 - 129 - 成25年検証の目的と相いれず、同検証の本質的な趣旨を改変することになる。)。 したがって、仮に2分の1処理により平成25年検証で明らかにされたゆがみが残ることになったとしても、このことをもって、2分の1処理の結果が不公平な結果になる、ゆが 趣旨を改変することになる。)。 したがって、仮に2分の1処理により平成25年検証で明らかにされたゆがみが残ることになったとしても、このことをもって、2分の1処理の結果が不公平な結果になる、ゆが み調整の趣旨と相容れないなどとはいえない。 生活保護法が、保護基準の制定及び改定について、同法8条において抽象的に規定するのみで、基準部会等の専門機関の意見を聴取することを求めていないのは、高度に専門技術的かつ政策的な判断を要する保護基準の制定及び改定については、厚 生労働大臣(補助の職員を含む。)が専門技術的知見を有することを前提に、最終的には厚生労働大臣の裁量判断に委ねる趣旨であると解されるから、厚生労働大臣が保護基準の改定につき基準部会等の専門機関による検討を経ないことをもって裁量権の逸脱となるものではないし、専門機関による検討結果と異な る判断をする場合にその裁量権の範囲が制約されると解すべき根拠もない。 ウデフレ調整についてデフレ調整を行うことについてa 厚生労働大臣は、平成24年8月に成立した社会保障制度改 革推進法(平成24年法律第64号)附則2条1号において、政府は、「生活扶助、医療扶助等の給付水準の適正化、保護を受けている世帯に属する者の就労の促進その他の必要な見直しを早急に行うこと」と明記され(乙9(2頁))、平成24年10月22日に開催された「財政について聴く会」(財務省 - 130 - 財政制度等審議会財政制度分科会)において、生活扶助基準が高止まりしており、近年の改定を見送ってきたことに伴う乖離幅を確実に解消する必要があるとされ、内閣府行政刷新会議によって実施された同年11月17日の「新仕分け」の評価結果でも、生活扶助基準について、就労インセンテ 、近年の改定を見送ってきたことに伴う乖離幅を確実に解消する必要があるとされ、内閣府行政刷新会議によって実施された同年11月17日の「新仕分け」の評価結果でも、生活扶助基準について、就労インセンティブを削がない 水準とすべきなどとされており、本件各改定前における生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)と一般国民の生活水準との間の均衡が大きく崩れた状態(平成19年検証等において生活扶助基準額と比較すべきとされた夫婦子1人の一般低所得世帯(年間収入階級第1・十分位)の消費水準(生活扶助相当支 出額)は、平成21年には約13万1500円であり、平成16年(全国消費実態調査)から平成21年にかけて約11.6%下落し、平成19年検証時点における同世帯の生活扶助基準額を約12.6%下回るものとなっており、かつ、平成21年から本件各改定時までに同支出額が増加する社会経済情勢には なかった。)が確認されたことから、平成25年検証では生活扶助基準の水準(絶対的な高さ)についての検証が行われなかったものの、これについても改定する必要があると判断した。 b 本件基準部会は、水準(絶対的な高さ)につき保護基準の改定を実施するか、改定の指標にいかなる経済指標を用いるかに ついて、政府の判断に委ねる旨の意向を示していた(乙9(8頁)、乙130(3頁))。 物価を指標とするデフレ調整を行ったことについて毎年度の生活扶助基準の改定は、従前、消費を基礎とする水準均衡方式に基づいて行われてきたが、水準均衡方式に基づくこと - 131 - は、厚生労働大臣が昭和58年意見具申以降採用している事実上の改定指針にすぎないものであり、法令上定められたものではなく、保護基準の改定に係る同大臣の判断を拘束するものではない。 本件 1 - は、厚生労働大臣が昭和58年意見具申以降採用している事実上の改定指針にすぎないものであり、法令上定められたものではなく、保護基準の改定に係る同大臣の判断を拘束するものではない。 本件各改定に際し、平成16年から平成21年にかけての夫婦子1人世帯(年収階級第1・十分位)の消費支出が大きく下落して おり、消費を基礎とする改定を行った場合には減額幅が必要以上に大きくなることが想定されたこと、専門委員会の平成15年中間取りまとめでは消費者物価指数を指標として用いることが提案されており、過去に物価の変動に着目した改定を行ったこともあった上、物価を改定の指標とすることは、基準部会が平成25 年報告書において生活扶助基準の改定をする場合には合理的説明が可能な経済的指標を用いるよう指摘していたことにも沿うものであったことから、厚生労働大臣は、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)の改定について、それまで行われてきた消費を基礎とする水準均衡方式の考え方(一般国民の生活水準との均衡 を図る観点)を堅持しつつも、被保護者の生活への影響に対する政策的配慮から、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)の改定の減額幅が大きくなることがないようにするため、消費そのものではなく、消費の構成要素の一つである物価を指標として改定を行うこととしたものである。 生活保護において保障すべき最低限度の生活の水準は、一般国民の生活水準との関連において捉えられるべき相対的なものであるとの考え方を前提とすれば、一般国民の生活水準の変化を示す統計等が最低限度の生活の水準の変化を示す指標ともなり得るのであって、生活扶助基準の毎年度の改定において採用されて - 132 - いる水準均衡方式においても、一般国民全体を対象集団とし 最低限度の生活の水準の変化を示す指標ともなり得るのであって、生活扶助基準の毎年度の改定において採用されて - 132 - いる水準均衡方式においても、一般国民全体を対象集団とした平均的な消費の動向(民間最終消費支出の伸び)が改定の指標とされているから、消費者物価指数が消費者全体を対象とした平均的(総合的)なものであることは、生活扶助基準の水準を改定するに当たり物価変動を指標とすることとした厚生労働大臣の判断 過程の合理性を左右するものではなく、また、平成19年検証における生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)の検証において指標として用いられた夫婦子1人の一般低所得世帯(年間収入階級第1・十分位)の消費水準(生活扶助相当支出額)が平成16年の全国消費実態調査よりも約11.6%下落し、平成19年検 証時点における夫婦子1人世帯の生活扶助基準額を約12.6%下回るものとなっていたこと等の事実に徴すれば、消費を基礎として生活扶助基準を改定した場合の試算値等が具体的に説明されていないことなどの事情も、前記判断過程の合理性を左右するものではない。 物価変動率を算定する期間を平成20年から平成23年までとしたことについてa 厚生労働大臣は、平成25年検証の直前の検証は平成19年検証であり、これを踏まえた平成20年度の改定の判断が直前のものであったことから、平成20年度の生活扶助基準 が生活保護法8条2項に適合する妥当なものであることを前提として、平成20年以降の経済情勢によって生じた生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)と一般国民の生活水準との間の不均衡を是正するというデフレ調整の目的を踏まえて、物価変動率の算定の始期を平成20年とした。 - 133 - 平 の「水準」(絶対的な高さ)と一般国民の生活水準との間の不均衡を是正するというデフレ調整の目的を踏まえて、物価変動率の算定の始期を平成20年とした。 - 133 - 平成20年までの生活扶助基準の改定において、同年前の社会経済情勢等(平成19年から平成20年にかけての物価上昇)は既に斟酌されていたから、平成20年を始期とすることには合理性が認められる。仮に平成19年を始期として生活扶助相当CPIの変動率を算定しても-4.60%となる から、平成20年を始期とした場合の-4.78%と比較して有意な差はない。 b 厚生労働大臣は、本件各改定が検討された当時において最新の総務省CPIのデータは平成23年のものであったため(平成24年1月27日公表。乙41)、物価変動率の算定の 終期を平成23年とした。 物価変動率の算定方法(生活扶助相当CPIの設定)についてa 厚生労働大臣は、昭和59年度以降の毎年度の改定において水準均衡方式が採用され、一般国民の消費の動向が改定の指 標とされていたことから、水準均衡方式による毎年度の改定の手法や平成16年検証、平成19年検証、平成25年検証における検証手法との整合性、総務省CPIの家計調査の統計資料としての精度や適格性を勘案し、家計調査により算出された総務省CPIの指数品目のうち生活扶助費で支出される品目(生 活扶助費で支出されない品目を除いた品目)の価格指数及びウエイトのデータを用いて、物価変動率を算定することとしたものであって、一般国民全体の消費実態を表す家計調査により算出されたウエイトを用いることには合理性がある。 b 物価指数の算定時点とウエイト参照時点とは、できるだけ - 134 - 近接させることが相 の消費実態を表す家計調査により算出されたウエイトを用いることには合理性がある。 b 物価指数の算定時点とウエイト参照時点とは、できるだけ - 134 - 近接させることが相当であり、平成22年をウエイト参照時点とする生活扶助相当CPIの変化率の算出方法は、消費者物価指数マニュアルにおいて「中間年指数」として紹介されている方法であって、専門的知見との整合性が認められる。 c 仮に、多数ある指定品目のうち教養娯楽費等の特定の品目に 限って生活扶助相当CPIの算定から除外し又はウエイトを調整することを検討したとしても、生活扶助費で支出される品目以外を機械的に除外するという専門機関による検証において用いられている方法と比べて、かえって恣意的な方法となるおそれがある。生活扶助相当CPIの判断過程審査においては、 恣意的判断が介在しないという意味での合理性や国民に対する説明可能性(説明のわかりやすさという意味での簡便さ)も考慮要素となり得るのであって、物価変動率の正確性の問題を殊更に強調することは判断過程審査の枠組みを逸脱するものである。 d 厚生労働省が、生活扶助相当CPIの算定に当たり総務省統計局の公表する平成22年の「類」単位の指数を用い、その結果、算出過程の一部に平成17年ウエイトが用いられることになったのは、当該各類の指数に係るウエイトは平成22年基準のものを用いていることもあって、総務省統計局の公表する平 成22年基準の「類」単位の指数を用いて計算することの影響が極めて小さいと考えられたことから、算出作業の効率化を図ったことによる。現に、平成20年の生活扶助相当CPIについて、算出過程の一部に平成17年基準のウエイトが用いられている上記「類」単位の指数を用いず、品目単位の指数 たことから、算出作業の効率化を図ったことによる。現に、平成20年の生活扶助相当CPIについて、算出過程の一部に平成17年基準のウエイトが用いられている上記「類」単位の指数を用いず、品目単位の指数から算 - 135 - 出作業を行った場合でも、生活扶助相当の指数は104.5であり(乙143)、デフレ調整の改定率の設定に用いられた平成20年の生活扶助相当CPIの数値と等しくなることが確認された。 したがって、平成17年基準と平成22年基準のウエイトが 併用されていることをもって不合理とはいえない。 e デフレ調整においては、平成22年の基準改定による新規採用品目(32品目)については平成20年の価格指数に関するデータが存在しないことから、これら新規採用品目の価格指数を除外して平成20年の生活扶助相当CPIを算定している ところ、このような処理は、新規採用品目の価格動向について「他のすべての品目の価格動向」と同じと仮定したことになる。 上記処理方法は、上記新規採用品目が32品目のみであり、支出ウエイトにして約3%にすぎず、その影響は限定的と予想されることなどから、実務上の妥当な処理と評価できるものであ り(乙94(8頁))、指数品目の相違をもって、生活扶助相当CPIの算定方法に問題点があるということはできない。 専門機関に意見を求めなかったことについて平成25年検証においては、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)についての検証は行われなかったこと、厚生労働大臣 は生活保護基準改定に係る専門技術的知見を有していること、デフレ調整に関して厚生労働大臣が行った判断は、専門機関の示した見解や従前の取扱いに整合する内容であったこと、物価変動の算出方法も専門的見地から認められた方法に 係る専門技術的知見を有していること、デフレ調整に関して厚生労働大臣が行った判断は、専門機関の示した見解や従前の取扱いに整合する内容であったこと、物価変動の算出方法も専門的見地から認められた方法によるものであること、社会保障制度改革推進法の附則等により、生活扶助基準につ - 136 - いて必要な見直しを早急に行うことが求められていたこと、厚生労働大臣は、法令上、専門機関に意見を求めなければ保護基準の改定が行えないものではないこと、厚生労働大臣が行おうとする保護基準の改定の当否等について意見を述べることは、基準部会の設置の趣旨及び審議事項ではないことから、デフレ調整が専門 機関による審議検討を経ずに行われたことをもって専門的知見との整合性に欠けるとはいえず、本件各改定に係る厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があることを意味するものではない。 事後的検証について 本件各改定後の生活扶助基準の水準が最低限度の生活を下回るものでないことが事後的に検証で明らかにされたのであれば、本件各改定について、改定の判断過程に重大な過誤、欠落がないことが裏付けられたといえるし、また、実体法上の違法が問題となるはずの判断過程審査において、その判断の過程等における過 誤、欠落を、いわば手続上の違法(手続的瑕疵)として取り扱うに等しい事態を避けるべく、本件各改定は憲法25条及び生活保護法8条2項、3条に違反しないというべきところ、平成29年検証では、夫婦子一人世帯の生活扶助基準額と一般低所得世帯(年間収入階級第1・十分位)の消費水準(生活扶助相当支出額) が概ね均衡することが確認されたから、厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない。 エゆがみ調整とデフレ 間収入階級第1・十分位)の消費水準(生活扶助相当支出額) が概ね均衡することが確認されたから、厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない。 エゆがみ調整とデフレ調整を併せて行ったことについてゆがみ調整とデフレ調整は、その趣旨や目的を異にしていることから、改正内容が重なるものとはいえない。 - 137 - ゆがみ調整は、理論上、生活扶助基準の「水準」(絶対的な高さ)に影響を及ぼすものではなく、生活扶助費が90億円削減される財政削減効果が生じたのは、平成25年検証に用いられた一般低所得世帯における世帯の構成割合が実際の生活保護受給世帯における世帯の構成割合と異なっていたためである。 平成25年検証においては、前記世帯の構成割合の相違についてさほど重要なものであるとは考えられておらず、厚生労働大臣がゆがみ調整が生活扶助基準の「水準」に影響を及ぼすものではないと判断したことが不合理であるとはいえない。 オ激変緩和措置 厚生労働大臣は、本件各改定における激変緩和措置として、①ゆがみ調整とデフレ調整を併せて行うことによって大幅な減額となる世帯に配慮する観点から、ゆがみ調整とデフレ調整を併せて行うことによる減額幅の上限を10%とした上で、②その結果の反映を3年にわたる期間で段階的に実施することとした。 カ小括前記のとおり、前記⑴アの判断枠組みにおいて、厚生労働大臣の判断が最低限度の生活の具体化として著しく合理性を欠くことが明らかであるとはいえない。 また、前記⑴イの判断枠組みにおいても、厚生労働大臣の判 断過程には、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著しく低いものとなりかねないような重大な過誤、欠落があるとは認められず、十分な た、前記⑴イの判断枠組みにおいても、厚生労働大臣の判 断過程には、改定後の保護基準が現実の生活条件を無視した著しく低いものとなりかねないような重大な過誤、欠落があるとは認められず、十分な合理性が認められるから、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとは認められない。 ⑶ 国家賠償請求について(原審被告国) - 138 - 前記のとおり、本件各改定は適法であるから、本件各改定につき国家賠償法1条1項の違法性が認められる余地はない。 本別紙の別紙添付省略(139ページ~147ページ)

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