判決平成13年11月2日神戸地方裁判所平成13年(行ウ)第10号損害賠償請求事件 主文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,神戸市に対して,206万円を支払え。 2 訴訟費用は,被告の負担とする。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,訴外株式会社システム総合研究インターナショナルが神戸市との間で平成7年6月13日に平成7年度神戸空港航空需要予測調査に関する委託契約を締結し,同契約に基づき提出した平成7年度神戸空港航空需要予測調査報告書の内容が科学的根拠のない虚偽の需要予測報告書であることを知りながら,同年度中に委託料として412万円の支払いをしたことが違法な公金支出であるとして,原告が,平成7年当時神戸市の市長であった被告に対し,地方自治法242条の2第1項第4号前段に基づき,神戸市に代位して,同委託料の半額である206万円の損害賠償を求めた事案である。 2 争点(原告適格の有無)及び争点に関する当事者の主張(1) 被告の主張地方自治法242条の2の住民訴訟を提起することができるのは,当該普通地方公共団体の住民だけである。そして,当該普通地方公共団体の住民とは,当該普通地方公共団体の区域内に住所を有するものであり,住所とは各人の生活の本拠である。 原告は,神戸市の市域内に生活の本拠を有しないので,被告に対する地方自治法242条の2に基づく住民訴訟である本件訴えは不適法であり却下を免れない。 (2) 原告の主張原告は神戸市で生まれ,平成10年10月まで神戸市に住所を有していた。 2条の2に基づく住民訴訟である本件訴えは不適法であり却下を免れない。 (2) 原告の主張原告は神戸市で生まれ,平成10年10月まで神戸市に住所を有していた。 原告は,平成13年3月18日まで宝塚市に住所を有していた。その時も,週3日程度は神戸市で旧友と会ったり,最大の関心事である神戸市政について勉強していた。 同年3月19日に住民票を神戸市に戻し,晴れて名実とも神戸市民となった。 現在の生活状態で,寝食は通常宝塚市で行っているが,仕事の関係で週2,3回は大阪市で仕事をしている。また,週3日ほどは神戸市内で旧友と会ったり,最大の関心事である神戸市政について勉強している。 月に2回ほどは住民票のあるA区で旧友と会い,寝食を共にしている。 第3 争点に対する判断 1 住民訴訟において原告適格を有するのは当該普通地方公共団体の「住民」であり(地方自治法242条の2第1項),「住民」とは,市町村の区域内に住所を有する者をいう(地方自治法10条1項)。 そして,「住所」とは,生活の本拠をいい,住所がどこであるかは,その人のその時における全生活を観察し,その生活及び活動の中心であると認められる場所をいうと解すべきである。 2 以上の観点から本件における原告の住所について検討すると,確かに,甲9によれば,原告が平成13年3月19日に兵庫県宝塚市B○丁目○番○号から兵庫県神戸市A区惣山町△丁目△番地の△(甲)方に住民票を移転している事実が認められる。 しかしながら,原告自身も認めるとおり,現在でも寝食は宝塚市内で行っており,原告の活動状況としても,週に3回ほど神戸市内で旧友に会ったり,月に2回ほどA区で旧友と寝食を共にするという程度であるこ しかしながら,原告自身も認めるとおり,現在でも寝食は宝塚市内で行っており,原告の活動状況としても,週に3回ほど神戸市内で旧友に会ったり,月に2回ほどA区で旧友と寝食を共にするという程度であることからすれば,前記住民票の住所地をもって原告の住所と解することはできず,原告の住所は宝塚市にあるというべきである。 3 そうすると,本件において原告は,訴訟提起時以降に神戸市の住民ではなかったのであるから,住民訴訟の原告適格を欠く。 第4 結語以上より,本件訴訟は不適法であるからこれを却下することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第5民事部裁判長裁判官前坂光雄 裁判官永田眞理 裁判官藤倉哲也・
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