- 1 -主文 宇都宮市長が申立人に対し,平成20年2月4日付け宮高福第○○号をもって通知した指定地域密着型サービス事業者の指定を取り消す旨の処分の効力を,本案に関する第一審判決の言渡しの日から1か月を経過する日まで停止する。 宇都宮市長が申立人に対し,平成20年2月4日付け宮高福第○○号をもって通知した指定地域密着型サービス事業者の指定を取り消す旨の処分の効力を,本案に関する第一審判決の言渡しの日から1か月を経過する日まで停止する。 その余の本件申立てを却下する。 申立費用は相手方の負担とする。 理由 第1本件申立ての趣旨及び主張本件申立ての趣旨及び申立人の主張は,別紙1「執行停止申立書」写し及び別紙3申立人主張書面1写しのとおりであり相手方の意見は別紙2意「」,,「見書」写し及び別紙4「相手方主張書面1」写しのとおりである。 第2事案の概要本件は,介護保険サービス事業者として複数の事業所で介護保険サービス事業を行う原告が,宇都宮市長から指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービス(以下「本件サービス」という)を行う事業者としての指。 定を受け開設していた2か所の事業所につきそれぞれ指定取消処分を受けたことについて,両処分の取消しを求める訴え(本案訴訟)を当庁に提起した上,両処分の効力により,申立人が開設している他の事業所でも早晩上記指定の更新を受けられなくなり,申立人の存立をも揺るがしかねず,重大な損害を避けるため緊急の必要があるなどと主張し,両処分の効力の停止を求める事案である。 - 2 -相手方は,重大な損害を避けるための緊急の必要性がない,本案について理由がないとみえる,公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるなどと主張して,本件申立てをいずれも却下すべきであると - 2 -相手方は,重大な損害を避けるための緊急の必要性がない,本案について理由がないとみえる,公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるなどと主張して,本件申立てをいずれも却下すべきであると主張している。 前提事実(当事者間に争いがない事実及び裁判所に顕著な事実)(1)申立人は,介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という)。 に基づき,居宅サービス事業,介護予防サービス事業,地域密着型介護サービス事業,地域密着型介護予防サービス事業等を行うことを目的として,平成11年10月25日に設立された株式会社であり,介護保険サービス事業者である。 申立人は,宇都宮市内において,平成15年1月1日に「A」を,平成18年3月1日に「B」を開設し,各事業所において,認知症対応型通所介護サービスを行っていた。 申立人は,その後,平成18年4月1日までの間に,介護保険法42条の2第1項及び同法54条の2第1項に基づき,宇都宮市から,A及びBについて,認知症対応型通所介護の地域密着型サービス及び介護予防認知症対応型通所介護の地域密着型介護予防サービスを行う事業者として,それぞれ指定を受けた。 (2)宇都宮市長は,平成19年4月27日,A及びBについて,行政監査を実施した。 (3)宇都宮市長は,申立人に対し,平成20年2月4日,同日付宮高福第○○号をもって,Aにつき,同月29日付けで指定地域密着型サービス事業者の指定を取り消す旨の処分をした(以下「本件処分1」という。 )本件処分1の理由は以下のとおりである。 ,,①当該事業所においては平成18年4月から平成19年11月において指定地域密着型サービスの事業の人員設備及び運営に関する基準平「,」(成18年厚生労働省令第34号。以下「本件基準」という)で必要とさ。 - 平成18年4月から平成19年11月において指定地域密着型サービスの事業の人員設備及び運営に関する基準平「,」(成18年厚生労働省令第34号。以下「本件基準」という)で必要とさ。 - 3 -れている機能訓練指導員を確保していない(法78条の9第1項4号及。 び115条の17第1項4号),,②当該事業所においては平成18年4月から平成19年11月において本件基準で必要とされている機能訓練指導員を確保していないにもかかわらず,減算せずに地域密着型介護サービス費を不正に請求して受領した。 また,個別機能訓練が提供されていないにもかかわらず,当該加算に係る地域密着型介護サービス費を不正に請求して受領した(法78条の9。 第1項8号及び115条の17第1項7号)③当該事業所においては,平成19年4月27日に宇都宮市が実施した監査の際に不正請求の事実を隠蔽(いんぺい)するために,機能訓練指導員の勤務に関する記録を改ざんし,虚偽の報告を行った(法78条の9第。 1項9号及び115条の17第1項8号)(4)宇都宮市長は,申立人に対し,平成20年2月4日,同日付宮高福第○○号をもって,Bにつき,同月29日付けで指定地域密着型サービス事業者の指定を取り消す旨の処分をした(以下「本件処分2」といい,本件処分1と併せて「本件両処分」ともいう。 。)本件処分2の理由は,上記(3)記載の本件処分1の理由と同様である。 (5)申立人は平成20年7月14日本件両処分の取消しを求める訴訟本,,(案訴訟を当庁に提起し同年8月24日に本件執行停止の申立てをした以),(下,本件処分1に関する申立てを「本件申立て1,本件処分2に関する申」立てを「本件申立て2」という。 。) 関係法令等(1)法78条の9市町村長は,次の 停止の申立てをした以),(下,本件処分1に関する申立てを「本件申立て1,本件処分2に関する申」立てを「本件申立て2」という。 。) 関係法令等(1)法78条の9市町村長は,次の各号のいずれかに該当する場合においては,当該指定地域密着型サービス事業者に係る42条の2第1項本文の指定を取り消し,又は期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止することができ- 4 -る。 4号指定地域密着型サービス事業者が,従業者の知識若しくは技能又は人員について,78条の4第1項の厚生労働省令で定める基準若しくは員数又は同条第4項に規定する従業者に関する基準を満たすことができなくなったとき。 8号地域密着型介護サービス費の請求に関し不正があったとき。 9号指定地域密着型サービス事業者が,78条の6第1項の規定により報告又は帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず,又は虚偽の報告をしたとき。 (2)法115条の17市町村長は,次の各号のいずれかに該当する場合においては,当該指定地域密着型介護予防サービス事業者に係る54条の2第1項本文の指定を取り消し,又は期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止することができる。 4号指定地域密着型介護予防サービス事業者が,従業者の知識若しくは技能又は人員について,115条の13第1項の厚生労働省令で定める基準若しくは員数又は同条第4項に規定する従業者に関する基準を満たすことができなくなったとき。 7号地域密着型介護予防サービス費の請求に関し不正があったとき。 8号指定地域密着型介護予防サービス事業者が,115条の15第1項の規定により報告又は帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず,又は虚偽の報告をしたとき。 (3)「指定地域密着型サービスの事業の人 域密着型介護予防サービス事業者が,115条の15第1項の規定により報告又は帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず,又は虚偽の報告をしたとき。 (3)「指定地域密着型サービスの事業の人員,設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第34号。法78条の4第1項及び第2項の規定に基づき,指定地域密着型サービスの事業の人員等に関する基準を定めるもの)42条。 - 5 -1項単独型・併設型指定認知症対応型通所介護の事業を行う者が当該事業を行う事業所ごとに置くべき従業員の員数は,次のとおりとする。 3号機能訓練指導員1以上3項1項3号の機能訓練指導員は,日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とし,当該単独型・併設型指定認知症対応型通所介護事業所の他の職務に従事することができるものとする。 第3当裁判所の判断 重大な損害を避けるための緊急の必要性について(1)前記前提事実,疎明資料(疎甲9,10,13ないし15,16の1・2,17の1・2,18の1~7,19,20の1~5,21)及び審尋の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア本件両処分により,申立人は,A及びBについて,本件サービスに係るサービス費を請求することができなくなり(法41条,53条参照,本)件サービスを停止した。A及びBのサービス停止に伴い,利用者は他のサービス事業者が分散して引き受け,職員は全員解雇し,施設は,Aにつき賃借していた建物の賃貸借契約を終了し,Bにつき申立人所有の建物を平成20年10月1日から月27万5000円で他のサービス事業者へ賃貸している。また,Bの事業については,約3661万円の借入債務が残存しており,申立人は,月30万円ずつ弁済を行う必要があるため,賃料収入以上の支出を負担 月27万5000円で他のサービス事業者へ賃貸している。また,Bの事業については,約3661万円の借入債務が残存しており,申立人は,月30万円ずつ弁済を行う必要があるため,賃料収入以上の支出を負担している。 イ申立人は,平成20年5月末及び同年7月末に「C」及び「D」につ,いて,本件サービスを行う事業者としての指定の更新時期を迎えたが,本件両処分により,いわゆる連座制の規定(法78条の11,42条の2第,,,,,1項70条の278条の2第4項6号115条の1978条の9115条の11第2項6号)の適用を受けて指定の更新を受けられなかっ- 6 -たため,本件サービスを停止した。C及びDのサービス停止に伴い,利用者と職員はそれぞれ別事業者が引き受け,施設については,Dにつき申立人所有の建物等を引受事業者へ4500万円で売却し,Cにつき申立人所有の建物を引受事業者へ月40万円で賃貸している。申立人は,上記建物等売却の後,Dの事業につき残存していた約4500万円の借入債務の弁済を終了した。 ウ申立人は,平成21年5月には「E」についても指定の更新時期を迎,えるが,連座制の規定により更新を受けられず,本件サービスを行い得なくなることが予期されている。 ,,,申立人は現在本社のほかEを含めて6事業所で営業を行っているが平成19年度の経常利益をみると,Eが上記6事業所中最高の約1600万円の利益を上げており,他の事業所分は,それぞれ,約950万円,約270万円,約260万円,約680万円及び約690万円であり,申立,。 人全体としては本社経費等の負担から約3700万円にとどまっていたまた,同年度において,Cは約1900万円の経常利益を上げていた。 Eの事業については金融機関からの借入債務が約5662万円残存してお 人全体としては本社経費等の負担から約3700万円にとどまっていたまた,同年度において,Cは約1900万円の経常利益を上げていた。 Eの事業については金融機関からの借入債務が約5662万円残存しており,申立人は,Eにおけるサービスを停止しても,今後も月54万円ずつ弁済を行う必要がある。また,Eの施設の取引価格は2000万円程度であるため,施設を売却あるいは賃貸してもなお,申立人は,多大な債務弁済の負担を負い続けることとなる。 エ申立人は,本件両処分以降,金融機関から融資を拒まれるようになり,資金的に行き詰まってきた状態にある。 また,従業員の求人の際には,求人票に雇用期間を明記する必要があるが,連座制の適用可能性がある状況下ではこれを明記することができないため,求人への応募申し込みがほとんどない状況が続いている。 (2)上記認定事実によれば,本件両処分後,申立人は,約1900万円の経- 7 -常利益を上げていたCを含む4事業所を閉鎖し,約9300万円以上の債務を抱えながら,金融機関からの融資も制限されており,その収支状況はEの利益に大きく依存する状態にあるものといえる。そうすると,申立人においてEを閉鎖することとなれば,財政状態が大きく悪化し,ひいては介護保険サービス事業を継続し得なくなり,申立人の存続自体が困難な事態に陥るおそれもあるというべきである。 また,申立人において,Eの指定の更新ができず閉鎖することになると,利用者の信頼も低下し,その後運営を再開しても,いったん利用を停止して他の業者の施設へ流れるなどした被介護者が利用を再開しないことも容易に想定される。 以上によれば,本件両処分により,申立人には,重大な損害が生じるおそれがあり,これを避けるために,本件両処分の効力を停止する緊急の必要性があるといえる。 相手方は,申立人 ことも容易に想定される。 以上によれば,本件両処分により,申立人には,重大な損害が生じるおそれがあり,これを避けるために,本件両処分の効力を停止する緊急の必要性があるといえる。 相手方は,申立人の他の事業所が指定更新を受けられないことは,取消処分の反射的結果として当然かつ通常に発生する範囲の経済的自由の制限や不利益であり,重大な損害には当たらない旨主張するが,執行停止のより柔軟かつ適切な運用により行政訴訟における仮の救済の充実を図るという平成16年法律第84号による行政事件訴訟法25条2項の改正の趣旨に照らしても疑問であり,採用し得ない。 本案について理由がないとみえるかについて(1)本件申立て1について,,本件処分1の処分理由は前記第2の1(3)記載のとおりであり相手方は各処分理由の存在及びこれを前提とした宇都宮市長の判断に裁量権の逸脱又は濫用がないことが疎明されているとして,本件申立て1は,本案について理由がないとみえるときに該当すると主張する。 そこで,以下,前記第2の1(3)記載の各処分理由があること及び裁量権- 8 -の逸脱又は濫用がないことにつき疎明があるか検討する。 ア処分理由①について相手方は,Aには,平成18年4月1日から平成19年11月までの間機能訓練指導員が配置されていなかったと主張し,これに対して,申立人は,平成18年4月1日から平成19年5月21日までは,准看護師としての資格を持つFを機能訓練指導員として配置してきたし,同日以降の機能訓練指導員の不在を取消理由とすることは不当であると主張する。 まず,平成18年4月1日から平成19年5月21日までについて検討すると,本件基準42条1項及び3項によれば,Aには機能訓練指導員として「日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行, ,平成18年4月1日から平成19年5月21日までについて検討すると,本件基準42条1項及び3項によれば,Aには機能訓練指導員として「日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行,う能力を有する者」を1名以上配置する必要があるところ,看護職員であるF(疎甲9)は上記「能力を有する者」に該当すると解され,他方で,Fが機能訓練指導員としてではなく看護職員としてのみ配置されていたことについての疎明はない。また,相手方は,Fが実際には機能訓練指導業務を行っていなかったことを機能訓練指導員不在の理由として主張するようであるが,機能訓練指導業務の内容やFが実際に行っていた業務内容の詳細は明らかでなく,相手方の主張はその前提を欠くというべきである。 以上によれば,処分理由①のうち,平成18年4月1日から平成19年5月21日までの間の機能訓練指導員の不在については,処分理由の存在について疎明があったとはいえない。 次に,同月22日以降の機能訓練指導員の不在については,これを認める趣旨の疎甲第9号証によれば,処分理由の存在について疎明があったといえる。 イ処分理由②について地域密着型介護サービス費の不正請求及び受領については,上記アと同様であり,平成18年4月1日から平成19年5月21日までの間につい- 9 -,,。 ては疎明がなく他方同月22日以降については疎明があったといえる,,個別機能訓練加算に係るサービス費の請求及び受領について相手方は平成18年4月から平成19年11月までの間,個別機能訓練が提供されていないにもかかわらず,当該加算に係るサービス費を不正に請求して受領したと主張し,これに対して,申立人は,平成18年4月から平成19年5月21日までの間はFが個別機能訓練を提供していたし,同年4月分以降は個別機能訓練加 当該加算に係るサービス費を不正に請求して受領したと主張し,これに対して,申立人は,平成18年4月から平成19年5月21日までの間はFが個別機能訓練を提供していたし,同年4月分以降は個別機能訓練加算に係る報酬を請求しておらず,また,平成18年4月分から平成19年3月分についても,個別機能訓練加算に係る報酬を返還したと主張する。 まず,平成18年4月から平成19年5月21日までの間について検討すると,上記アで検討したとおり,Fが実際に行っていた業務内容の詳細は明らかでないから,個別機能訓練が実際には行われず,同訓練の加算に係るサービス費の請求及び受領が不正なものであったことについて疎明があったとはいえない。 次に,同月22日以降については,疎甲第9号証によれば,申立人は,平成19年4月分以降は個別機能訓練加算に係る報酬を請求していないと認められるから,処分理由について疎明があったとはいえない。 ウ処分理由③について相手方は,平成19年4月27日の監査の際に,申立人が,不正請求の事実を隠蔽するために,機能訓練指導員の勤務に関する記録を改ざんし,虚偽の報告を行ったと主張し,申立人はこれを否定する。 疎明資料(疎乙1の1の4,1の5の3・7,2の5の1~12,2の6の1~3,2の7の1~4,2の12の1・2)によれば,A及びBにおいては,上記監査の前に,日誌,Fの勤務表及びタイムカードの記載について,当時申立人専務であったG(現申立人代表取締役)が関与する形で,訂正や加筆作業が行われたこと,その中には,FがBから手伝いとし- 10 -てAに勤務に来たことをうかがわせる記載の抹消や,Aの勤務者欄へのFの名前の加筆,Fが勤務表で休みとされている日時についてのタイムカードへの勤務時間の加筆等が含まれているものと認められる。 しかし,その内容の詳 来たことをうかがわせる記載の抹消や,Aの勤務者欄へのFの名前の加筆,Fが勤務表で休みとされている日時についてのタイムカードへの勤務時間の加筆等が含まれているものと認められる。 しかし,その内容の詳細に加え,訂正や加筆の経緯や動機は未だ明らかでないというほかないから,これらの訂正や加筆が「監査の際に不正請,求の事実を隠蔽するために,機能訓練指導員の勤務に関する記録を改ざんし,虚偽の報告をした」事実に該当すると認めるには足りないというべきである。 したがって,処分理由③については疎明があるとはいえない。 エ以上によれば,本件処分1については,その処分理由①及び②の一部である,平成19年5月22日から同年11月までの間,機能訓練指導員が欠けていた点及び減算せずに不正に地域密着型介護サービス費を請求して受領した点については疎明があるが,これが,処分理由①及び②の対象期,,,間の3分の1程度の期間にとどまることや本件処分1に先立って勧告命令等が行われていないことなど本件処分1に至る経緯にも照らすと,上記疎明がある事由だけでは,比例原則に照らして,直ちに,指定の取消しという厳重な処分を相当とした宇都宮市長の判断に,裁量権の逸脱又は濫用がないとまで断ずることはできない。 オよって,本件処分1に係る本件申立て1については「本案について理,由がないとみえるとき」には該当しない。 (2)本件申立て2について,,本件処分2の処分理由は前記第2の1(4)記載のとおりであり相手方は前記(1)同様に,本件申立て2は,本案について理由がないとみえるときに該当すると主張する。そこで,以下,前記第2の1(4)記載の各処分理由があること及びこれを前提とした宇都宮市長の判断に裁量権の逸脱又は濫用がないことについて疎明があるか検討する。 - 11 - に該当すると主張する。そこで,以下,前記第2の1(4)記載の各処分理由があること及びこれを前提とした宇都宮市長の判断に裁量権の逸脱又は濫用がないことについて疎明があるか検討する。 - 11 -ア処分理由①について相手方は,Bには,平成18年4月1日から平成19年11月までの間,,,機能訓練指導員が配置されていなかったと主張しこれに対し申立人は平成19年6月16日から8月15日まではFを機能訓練指導員として配置してきた,同年6月16日以前については,申立人としては機能訓練指導員を確保する措置をとっていたが結果として不在となった,同年8月15日以降については,本件処分1と同様に,同日以降の機能訓練指導員の不在を取消理由とすることは不当であると主張する。 そこで検討するに,まず,平成18年4月1日から平成19年4月26日までの間の機能訓練指導員の不在については,これを認める趣旨の疎甲第9号証によれば,処分理由の存在について疎明があったといえる。申立,,,人は機能訓練指導員を確保する措置をとっていた旨主張するがこれは前記(1)アと同様に,取消理由の存否ではなく,裁量権の逸脱又は濫用に関する主張とみるべきであり,この点については下記エで検討することとする。 他方,平成19年4月26日以降の機能訓練指導員の不在については,相手方において,明確な主張もなく疎明もない。 イ処分理由②について地域密着型介護サービス費の請求及び受領については,上記アと同様であり,平成18年4月1日から平成19年5月21日までの間については疎明があったとはいえず,同月22日以降については疎明があったといえる。 ,,個別機能訓練加算に係るサービス費の請求及び受領について相手方は平成18年4月から平成19年11月までの間において,個別機能訓練が提供 えず,同月22日以降については疎明があったといえる。 ,,個別機能訓練加算に係るサービス費の請求及び受領について相手方は平成18年4月から平成19年11月までの間において,個別機能訓練が提供されていないにもかかわらず,当該加算に係るサービス費を不正に請求して受領したと主張し,これに対して,申立人は,平成19年4月分以- 12 -降は個別機能訓練加算に係る報酬を請求していない,また,平成18年4月分から平成19年3月分についても,個別機能訓練加算に係る報酬を返還したと主張する。 まず,平成19年4月分以降については,疎甲第9号証によれば,申立人は,個別機能訓練加算に係る報酬を請求していないと認められるから,処分理由について疎明があったとはいえない。 次に,平成18年4月分から平成19年3月分については,機能訓練指導員が配置されていないことを認める趣旨の疎甲第9号証によれば,個別機能訓練加算に係るサービス費の請求及び受領が理由のないものであったことが認められるから,処分理由の存在自体については疎明があったといえる。申立人は,同期間中の個別機能訓練加算に係る報酬を返還したと主張するが,これは,前記(1)アと同様に,取消理由の存否ではなく,裁量権の逸脱又は濫用に関する主張とみるべきであり,この点については下記エで検討することとする。 ウ処分理由③について上記(1)ウと同様に,疎明があるとはいえない。 エ以上によれば,本件処分2については,その処分理由①及び②の一部である,平成19年5月22日から同年11月までの間,機能訓練指導員が欠けていた点及び減算せずに不正に地域密着型介護サービス費を請求して受領した点並びに平成18年4月分から平成19年3月分について不正に個別機能訓練加算に係るサービス費を請求して受領した点については疎明があ た点及び減算せずに不正に地域密着型介護サービス費を請求して受領した点並びに平成18年4月分から平成19年3月分について不正に個別機能訓練加算に係るサービス費を請求して受領した点については疎明があるが,機能訓練指導員の不在及び地域密着介護サービス費の不正請求及び受領については,処分理由①及び②の対象期間の3分の1程度の期間にとどまること,個別機能訓練加算に係るサービス費の不正請求及び受領については,処分理由②の対象期間の3分の2程度であるが,申立人がこれを返還していること,本件処分2に先立って,勧告,命令等が行われて- 13 -いないことなど本件処分に至る経緯にも照らすと,上記疎明がある事由だけでは,比例原則に照らして,直ちに,指定の取消しという厳重な処分を相当とした宇都宮市長の判断に,裁量権の逸脱又は濫用がないとまで断ずることはできない。 オよって,本件処分2に係る本件申立て2については「本案について理,由がないとみえるとき」には該当しない。 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれについて相手方は,本件両処分は,地域密着型介護サービス費等の不正請求及び受領等とともに,介護保険サービスの適正な水準を確保し,被介護者の安全を確保するために最低限必要とされる人員基準すら守っていないという極めて悪質かつ重大な違法行為を内容とする事案であり,このような事案について行政処分の執行停止が認められれば,介護保険サービスの適正な水準及び地域の被介護者の安全を確保できず,さらには,地域の被介護者を含む国民の介護保険制度に対する信頼を失わせることになると主張する。 しかし,申立人が本件サービスを行っているA及びB以外の事業所については,人員の不足等の問題が生じていることをうかがわせる事実は認められないし,人員不足という取消事由が,連座制が適用され 主張する。 しかし,申立人が本件サービスを行っているA及びB以外の事業所については,人員の不足等の問題が生じていることをうかがわせる事実は認められないし,人員不足という取消事由が,連座制が適用される取消事由から除外されていることにも照らすと(法78条の2第4項6号及び115条の11第2号6号,その改善の見込みが明らかにない場合等特段の事情のない限り,その事)業者の悪質性及び違法性が高いことを特に基礎づけるということもできない。 そして,本件両処分の他の取消事由であるサービス費の不正請求及び受領並,,びに虚偽報告については本件サービスの内容自体にかかわるものではないし申立人はこれまで地域介護分野で社会的貢献をしてきたことがうかがわれ(疎甲8の1~4,9,社会福祉法人Hあるいは特定非営利活動法人Iの外部評)価においても,申立人の事業所について肯定的な評価がされている(疎甲12の1~6)のであり,これらの事情に照らせば,相手方の主張を考慮しても,- 14 -下記4の期間に限って本件両処分の執行停止をすることが,公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとまでいうことはできない。 執行停止の期間について上記2の「本案について理由がないとみえるとき」に当たるかどうかの判断は,本案に関する第一審判決の結論によって影響を受けるものであるから,執行停止をすべき期間については,本案に関する第一審判決を待って改めて判断すべきものといわざるを得ない。 そうすると,本件両処分の執行停止の期間は,本案に関する第一審判決の言渡しの日から1か月を経過する日までとするのが相当である。 よって,本件申立ては,主文の限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから却下することとし,申立費用につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,64条ただし書を適 とするのが相当である。 よって,本件申立ては,主文の限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから却下することとし,申立費用につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,64条ただし書を適用して,主文のとおり決定する。 平成21年1月5日宇都宮地方裁判所第一民事部裁判長裁判官今泉秀和裁判官原道子裁判官田端理恵子
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