平成19(ワ)7490 損害賠償

裁判年月日・裁判所
平成20年2月18日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文21,313 文字)

平成20年2月18日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成19年(ワ)第7490号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成19年12月3日判決原告A同法定代理人後見人B原告B原告C原告D原告E同法定代理人親権者父B原告ら訴訟代理人弁護士谷直樹後藤真紀子被告浦安市市川市病院組合同代表者管理者F同訴訟代理人弁護士桑原博道蒔田覚岡部真勝主文 被告は,原告Aに対し,金9006万0920円及びこれに対する平成16年7月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告B,同C,同D及び同Eに対し,各金220万円及びこれに対する平成16年7月29日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告Aと被告との間に生じたものは,これを4分し,その1を原告Aの,その余を被告の各負担とし,原告Cと被告との間に生じたものは,これを5分し,その3を原告Cの,その余を被告の各負担とし,原告B,同D及び同Eと被告との間に生じたものは,これを5分し,その1を原告B,同D及び同Eの,その余を被告の各負担とする。 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 被告は,原告Aに対し,金1億1641万4226円及びこれに対する平成16年7月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告Bに対し,金275万円及びこれに対する平成16年7月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告Cに対し,金533万5774円及びこれに対する平成16年7月29日から支払済みまで年5分の割合による金 に対する平成16年7月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告Cに対し,金533万5774円及びこれに対する平成16年7月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告Dに対し,金275万円及びこれに対する平成16年7月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告Eに対し,金275万円及びこれに対する平成16年7月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,平成16年7月12日から被告の開設する病院に入院して診療を受けていた原告Aが,同月29日に,看護師の過誤により,尿を貯める蓄尿検査を行う際に防腐剤として使用されるアジ化ナトリウムを内服し,白質脳症となり,身の回りの動作に全面的な介護を要する状態(高次脳機能障害)となったことにつき,原告Aとその夫と子が,被告に対し,不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償を請求する事案である。 前提事実(証拠原因により認定した事実については,括弧書きで当該証拠原 因を掲記する。その余の事実は当事者間に争いがない)。 (1)当事者ア被告は,肩書地において「浦安市川市民病院」という名称の病院(以下「被告病院」という)を開設している。 。 イ原告Bは原告Aの夫,原告C,原告D及び原告Eは,原告Bと原告Aとの間の子である。 (2)本件事故前の原告Aの診療経過原告A(昭和26年6月9日生)は,平成14年7月8日以後,G医院に通院し,糖尿病の治療を受けていたところ,平成16年4月28日,上記医院の紹介で被告病院内科外来を受診した。原告Aは,同年6月2日及び同年7月7日に被告病院内科での外来診療を受けた後,同月12日,インスリンの投与による血糖コントロール及び食事療法の指導等の目的 記医院の紹介で被告病院内科外来を受診した。原告Aは,同年6月2日及び同年7月7日に被告病院内科での外来診療を受けた後,同月12日,インスリンの投与による血糖コントロール及び食事療法の指導等の目的で被告病院に入院した(乙A1・1,3,4,5,8,14頁,乙A2・1,2,4,44頁。 )(3)J看護師の原告Aに対するアジ化ナトリウム内服指示原告Aの主治医である内科医のH医師は,平成16年7月29日,看護師への指示簿に記載することにより,原告Aの蓄尿検査を行うよう指示した。 そこで,I看護師は,同日午後4時10分,蓄尿検査の際に防腐剤として使用するアジ化ナトリウムを検査科に取りに行き,午後4時25分ころ,J看護師に対し,原告Aの蓄尿検査を行うよう指示し,アジ化ナトリウムが入った薬包紙をJ看護師に渡した。J看護師は,その薬包紙の中身を内服薬であると思い込み,これを原告Aに渡して内服するように指示した。アジ化ナトリウムを内服した原告Aは,アジ化ナトリウム中毒を発症し,低酸素脳症となった(以下「本件事故」という(甲C7ないし9,乙A1・11,2。)4頁,乙A2・7,38,53頁,弁論の全趣旨。 )(4)アジ化ナトリウムについて アジ化ナトリウムは防腐剤,農薬原料などに用いられ,毒物及び劇物取締法において毒物に指定されている。アジ化ナトリウムを経口摂取することは非常に危険である。アジ化物イオンは細胞の呼吸を阻害する働きがあり,一酸化炭素と同様に,ヘモグロビンに対して不可逆的な結合を形成し,これにより細胞が死に至る。アジ化ナトリウムを大量に摂取すると,痙攣,血圧降下,意識不明,呼吸不全等を引き起こし死に至る。この中毒症状に対する根本的に有効な治療方法は確立されておらず,対症療法のみの治療となる。アジ化ナトリウム中毒から回復したとして 取すると,痙攣,血圧降下,意識不明,呼吸不全等を引き起こし死に至る。この中毒症状に対する根本的に有効な治療方法は確立されておらず,対症療法のみの治療となる。アジ化ナトリウム中毒から回復したとしても脳などに深刻な後遺症が残る。 蓄尿検査においては,尿の腐敗を防ぎ,成分を安定させておくためにアジ化ナトリウムを蓄尿するつぼに入れることとされている(訴状5頁,甲C4ないし6。 )(5)原告Aの転院経過と後遺障害ア転院経過原告Aは,平成16年7月30日に被告病院から千葉大学医学部附属病院に転院して診療を受けた。そして,同年8月16日に順天堂大学医学部附属順天堂浦安医院(以下「順天堂浦安医院」という)に,平成17年。 8月中旬に国立身体障害者リハビリテーションセンター病院に,同年9月13日に再度順天堂浦安医院に,平成18年3月30日に医療法人財団明理会行徳総合病院(以下「行徳総合病院」という)にそれぞれ転院し,。 現在も,行徳総合病院に入院して診療を受けている(乙A2・10頁,弁論の全趣旨。 )イ後遺障害原告Aは,本件事故後,血圧低下,全身硬直性痙攣,意識障害等の中毒症状に陥り,白質脳症(アジ化ナトリウム中毒)を発症し,平成17年8月29日,認知機能障害,脱抑制,無為が強く,認知症の状態であり,今後もその状態が継続すると考えられるとして症状固定の診断がされた甲,( C3乙A1・1114頁乙A2・256頁以下この症状を本,,,,。 ,「件後遺障害」という。白質脳症とは,主に大脳白質(放線冠,脳梁,。)内包等)が障害される病態である。初発症状としては,歩行時のふらつきが最も多く,次いで口のもつれ,物忘れが多い。進行すると,様々な程度の意識障害が起こり,昏睡状態になることもある(弁論の全趣旨。 )( 等)が障害される病態である。初発症状としては,歩行時のふらつきが最も多く,次いで口のもつれ,物忘れが多い。進行すると,様々な程度の意識障害が起こり,昏睡状態になることもある(弁論の全趣旨。 )(6)原告らの生活状況ア原告Aは,昭和49年4月10日に原告Bと婚姻し,昭和57年7月9日に原告Dを,昭和58年10月11日に原告Cを,昭和63年1月9日に原告Eをそれぞれ出産し,以後,平成16年7月に被告病院に入院するまでは,専業主婦として通常の家事をすべて問題なくこなしていた(甲C1,弁論の全趣旨。 )イ原告Bは高等学校の教師をしていたが平成18年3月に退職した甲,,(C13・6頁。 ),,ウ原告Dは本件事故当時教員免許を取るための教育実習を受けていたが結局,教員とはならず,平成19年5月27日からは,学童保育の指導教員をしている(甲C12・7頁。 )エ原告Cは,本件事故当時スーパーの食肉店で働いていたが,本件事故後は,仕事を辞め,ほぼ付きっきりで原告Aの介護に当たってきた。平成18年4月以降は原告Bと交替で原告Aの介護に当たってきた甲C11・,(10,11頁。 )オ原告Eは,平成18年4月に短期大学に進学し,栄養士の資格を取得することを考えている(甲C14・6頁。 )(7)糖尿病の治療の目標となる血糖コントロールの指標と評価についてア空腹時血糖値(BS,Glu)80ないし110mg/dl未満は血糖コントロールが「優,110ないし130mg/dl未満は「良,130ないし160」」mg/dl未満は可160mg/dl以上は不可とそれぞれ評価される甲「」,「」( B2(乙B1・19頁。 ))イHbAlc(ヘモグロビンエーワンシー)5.8%未満は血糖コントロールが「優,5.8ない mg/dl以上は不可とそれぞれ評価される甲「」,「」( B2(乙B1・19頁。 ))イHbAlc(ヘモグロビンエーワンシー)5.8%未満は血糖コントロールが「優,5.8ないし6.5%未満は「良,6.5ないし8.0%未」」満は「可(このうち,7.0%未満は「不十分,その他は「不良,」」」)8.0%以上は「不可」とそれぞれ評価される。 HbAlcとは,赤血球中の蛋白質(ヘモグロビンのアミノ基)とブドウ糖が非酵素反応により結合したものをいう。HbAlcでは,赤血球の寿命(120日)から,糖尿病患者の1ないし2か月前の血糖のコントロール状態(平均血糖値)を知ることができる。 なお,HbAlcは患者の過去の一定期間の平均血糖値を反映する指標であり,これによっては血糖日内変動など瞬時の糖代謝の状況は把握できないから,HbAlcと血糖値は血糖コントロールの指標として別々に評価されるべきである(甲B2(乙B1・19,21頁,乙B2。 )) 原告らの主張(1)被告の責任原因についてア被告病院のJ看護師は,蓄尿検査の際にアジ化ナトリウムが必要とされることは認識していたものの,防腐剤として用いられることを認識しておらず,誤って原告Aにアジ化ナトリウムの薬包紙を与え,これを内服させたものである。 イしたがって,被告の被用者であるJ看護師が,患者の病態を十分把握した上で適切な看護を行うべき注意義務に違反したことは明らかであるが,単にJ看護師一人の知識不足や注意不足の問題にとどまらず,被告にも,看護師に必要な知識を習得させるための態勢を整え,アジ化ナトリウムが毒物であり,取扱いに注意しなければならないことを徹底し,このような毒物の管理に万全を期する注意義務を怠った過失がある。 ウ以上のとおり,被告は,民法415条 るための態勢を整え,アジ化ナトリウムが毒物であり,取扱いに注意しなければならないことを徹底し,このような毒物の管理に万全を期する注意義務を怠った過失がある。 ウ以上のとおり,被告は,民法415条,709条,715条に基づき, 本件事故によって原告らに生じた損害を賠償する責任を負う。 (2)原告Aの逸失利益,将来の付添看護費用の算定についてア主位的主張原告Aの糖尿病性腎症は初期の段階で軽度であること,現在では,血糖コントロール等の治療を行うことにより,糖尿病性腎症の発症・進展が以前に比べて明らかに抑制されるようになり,加えて糖尿病性腎症の寛解,退縮が生じる(血管障害が回復する)ことが明らかにされていること,原告AのHbAlcの数値は,平成19年現在5.8%を下回っており,良好に血糖値をコントロールしていること,したがって,原告Aは,本来,健康人と同様な日常生活の質を保ち,健康人と変わらない寿命を全うすることが可能なはずであること,糖尿病治療は今後進歩が期待できること等を考慮すれば,原告Aの余命期間が日本人女性の平均余命と同じであることを前提に,その逸失利益,将来の付添看護費用を算定すべきである。 イ予備的主張オランダのロッテルダム大学と英国ユニリバーとの共同研究による最近の報告では,糖尿病と診断されることは,平均余命が平均8年短縮することを意味するとされているところ(甲B1,同研究は心臓病のリスクが)日本人よりはるかに高いアメリカ人を対象とするものであるから,日本人の糖尿病患者の場合には糖尿病の影響を最大に見積もったとしても平均余命よりも6年程度短命であるとしかいえない。そして「アンケート調査,による日本人糖尿病の死因(乙B4)では,血糖コントロールが良好な」,. 。 糖尿病性腎症の女性は全糖尿病患者に比べて11年 命よりも6年程度短命であるとしかいえない。そして「アンケート調査,による日本人糖尿病の死因(乙B4)では,血糖コントロールが良好な」,. 。 糖尿病性腎症の女性は全糖尿病患者に比べて11年長命とされていたそうすると,仮に糖尿病の影響を考慮するとしても,原告Aの余命は日本人女性の平均余命より5年短いと見るべきである。 (3)原告Aの損害ア治療関係費2億2730万7535円 (ア)原告Aは,症状が固定した平成17年8月までの治療関係費として計2148万2575円を支出した。 ,,,(イ)本件後遺障害の内容に照らすと原告Aは症状固定後も医療行為医療サービスの提供を受けなければならず将来も現在の治療関係費月,(),額約110万円と同程度の治療関係費を支出しなければならないから口頭弁論終結時における原告Aの平均余命期間である3125年間ラ. (イプニッツ係数15.5928)に,治療関係費として少なくとも2億0582万4960円(110万円×12×15.5928)を支出することを余儀なくされる。 (ウ)したがって,原告Aの治療関係費は,2億2730万7535円を下らない。 (エ)なお,被告は,差額室料につき,少なくとも平成17年1月以降の分は本件事故と相当因果関係のある損害ではないと主張しているが,原告Aは,大きな声を上げるなどにより他の入院患者に迷惑をかける状態であり,差額室料が発生する病室に入室することが必要であるから,平成17年1月以降の差額室料も本件事故と相当因果関係のある損害である。 イ入院付添費964万円原告Aには,白質脳症による重度の認知障害があり,通り一遍の介護で,,は到底その症状は改善できず家族による介護が必要不可欠であったこと被告病院その他原告Aがこれまでに入院してきた上記1 64万円原告Aには,白質脳症による重度の認知障害があり,通り一遍の介護で,,は到底その症状は改善できず家族による介護が必要不可欠であったこと被告病院その他原告Aがこれまでに入院してきた上記1(5)アの各病院では,一応完全看護体制が採られていたが,常に看護師が付き添っているわけではなく,実際には原告Cが付き添ってきたこと等を考慮すると,順天堂浦安医院に転院した平成16年8月16日から口頭弁論終結時までの全期間(計1205日)について近親者による付添いが必要不可欠であったというべきである。 そこで,1日当たり8000円として,上記期間の入院付添費を算出すると,964万円(8000円×1205)となる。 ウ将来の付添看護費用4534万7016円上記1(5)イのとおり,原告Aの認知機能障害,脱抑制,無為の状態は今後も継続すると考えられるところ,1日当たり8000円として,口頭弁論終結時における原告Aの平均余命期間である31.25年間(ライプニッツ係数15.5298)の付添看護費用を算出すると,4534万7016円(8000円×365×15.5298)となる。 エ入院雑費1037万1558円(ア)原告Aは,口頭弁論終結時まで計1223日入院した。その入院雑費は,1日当たり1500円として183万4500円となる。 (イ)また,本件後遺障害の内容に照らすと,原告Aは,生涯病院で過ご,,さなければならないと考えられるところ1日当たり1500円として口頭弁論終結時における原告Aの平均余命期間である3125年間ラ. (イプニッツ係数15.5928)の将来の入院雑費を算出すると,853万7058円(1500円×365×15.5928)となる。 (ウ)したがって,入院雑費は合計1037万1558円となる。 オ休業損害379万 15.5928)の将来の入院雑費を算出すると,853万7058円(1500円×365×15.5928)となる。 (ウ)したがって,入院雑費は合計1037万1558円となる。 オ休業損害379万9647円原告Aは,専業主婦であったが,本件事故に遭った平成16年7月29日から症状固定日の前日(平成17年8月28日)までの396日間,家事を全くすることができなかった。平成16年賃金センサス女子学歴計全年齢の平均賃金である350万2200円を基礎収入として,原告Aの休業損害を算出すると,379万9647円(350万2200円÷365×396)となる。 カ逸失利益4082万5442円本件後遺障害は,自動車損害賠償保障法施行令2条関係の別表第一所定 の後遺障害等級(以下,単に「後遺障害等級」という)1級に相当する。 (労働能力喪失率は100%。すなわち,原告Aは,上記ウのとおりの)状態であり「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を,要するもの」に該当する。 そして,本件事故がなければ,原告Aは,67歳までの11年間(ライプニッツ係数8.3064)専業主婦として稼働することが可能であったから,原告Aの逸失利益は,次の(ア)と(イ)を合計した4082万5442円となる。 (ア)口頭弁論終結時までの逸失利益基礎年収350万2200円(平成16年賃金センサス女子学歴計全年齢の平均賃金)÷365×1223日(平成16年8月16日から口頭弁論終結時までの期間)=1173万4768円(イ)口頭弁論終結後67歳までの逸失利益基礎年収350万2200円×8.3064=2909万0674円キ後遺症慰謝料2800万円原告Aの後遺障害の内容が他者との意思疎通の能力を完全に奪うものであり,後遺障害等級1級に相当すること,本件事 収350万2200円×8.3064=2909万0674円キ後遺症慰謝料2800万円原告Aの後遺障害の内容が他者との意思疎通の能力を完全に奪うものであり,後遺障害等級1級に相当すること,本件事故に遭い,急激に気分が悪くなった原告Aの苦痛が極めて大きかったこと,被告に極めて初歩的かつ重大な過失があったこと,被告病院の医師らがほとんど謝罪をせず,全く誠意の見られない対応に終始していること等の事情を考慮すれば,原告Aに対する後遺症慰謝料の額は2800万円を下らない。 ク入院慰謝料1612万6816円(ア)原告Aは,本件事故から口頭弁論終結時までに40か月間入院しており,この期間の入院慰謝料としては490万円が相当である。 (イ)また,原告Aは上記エ(イ)のとおり生涯を病院で過ごさなければならないと考えられるところ,口頭弁論終結時における原告Aの平均余命 期間である31.25年間(ライプニッツ係数15.5928)の入院,(。 . 慰謝料としては1122万6816円月額6万円72万円×155928)が相当である。 (ウ)したがって,本件事故と相当因果関係のある入院慰謝料の額は,1 12万6816円である。 ケ弁護士費用3313万2872円本件事故と相当因果関係のある原告Aの弁護士費用の額としては,上記アないしクの合計額3億8141万8014円から既払額5008万9286円(後記3(5)参照)を控除した残額(3億3132万8728円)の10パーセントとするのが相当である。 コ以上のとおり,原告Aの主張する損害の合計額は,4億1455万0886円となる。 (4)原告Cの損害ア固有の慰謝料250万円母である原告Aが,本件事故により突然意識不明となり,本件後遺障害を負い意思疎通を図ることができなくなったこと, 4億1455万0886円となる。 (4)原告Cの損害ア固有の慰謝料250万円母である原告Aが,本件事故により突然意識不明となり,本件後遺障害を負い意思疎通を図ることができなくなったこと,そのために通院介護を余儀なくされ同世代の青年と同様の就職の機会を奪われたこと,被告に極めて初歩的かつ重大な過失があること,被告病院の医師らがほとんど謝罪をせず,全く誠意の見られない対応に終始していることを考慮すれば,原告Cに対する慰謝料の額は250万円を下らない。 イ付添交通費240万8119円(ア)原告Cは,順天堂浦安医院に入院中(平成16年8月16日から平成18年3月30日までの592日間)の原告Aの付添看護に当たるため,交通費として計39万0720円(1日当たり660円)を支出した。 (イ)また,原告Cは,行徳総合病院に入院中(平成18年3月31日か ),ら口頭弁論終結時までの613日間の原告Aの付添看護に当たるため交通費として計19万6160円(1日当たり320円)を支出した。 (ウ)上記(3)エ(イ)のとおり原告Aが生涯を病院で過ごさなければならなくなったため,原告Cは,口頭弁論終結時から原告Aの平均寿命までの3125年間ライプニッツ係数155928の付添交通費 . (. )(日当たり320円)として,182万1239円(320円×365×15.5928)の支出を余儀なくされることになる。 (エ)したがって本件事故と相当因果関係のある付添交通費の額は(ア),,ないし(ウ)を合計した240万8119円となる。 ウ弁護士費用49万0811円本件事故と相当因果関係のある原告Cの弁護士費用の額としては,上記ア及びイの合計額の10パーセントとするのが相当である。 (5)原告B,同D及び同Eの損害ア る。 ウ弁護士費用49万0811円本件事故と相当因果関係のある原告Cの弁護士費用の額としては,上記ア及びイの合計額の10パーセントとするのが相当である。 (5)原告B,同D及び同Eの損害ア固有の慰謝料各250万円原告Bは,妻である原告Aが,本件事故により突然意識不明となったこと,本件後遺障害を負い意思疎通を図ることができなくなったこと,そのために通院介護を余儀なくされていること,原告Aとの時間を楽しむ生活を定年退職後に送ることができなくなったこと,被告に極めて初歩的かつ重大な過失があること,被告病院の医師らがほとんど謝罪をせず,全く誠意の見られない対応に終始していること,これらによって精神的苦痛を受け,また,原告D及び原告Eも,母である原告Aが上記の状態になったこと,母親が家にいて家族を支えてくれるという当たり前の状態を突然失ったこと,突然訪れたこの現実をいまだ受け入れることができないまま原告Aに代わって家庭を支えていかなければならなくなったこと,被告に上記の過失があること,被告病院の医師らが上記の対応に終始していること,これらによって精神的苦痛を受けた。これに対する慰謝料の額は,各25 0万円を下らない。 イ弁護士費用各25万円本件事故と相当因果関係のある原告B,同D及び同Eの弁護士費用の額としては,上記アの金額の10パーセントとするのが相当である。 被告の認否及び主張(1)本件事故の発生について被告病院のJ看護師が,蓄尿検査に防腐剤として使用するアジ化ナトリウムを誤って原告Aに投与し,これにより原告Aがアジ化ナトリウム中毒による低酸素脳症を発症したことは認める。 (2)原告Aの逸失利益,将来の付添看護費用の算定についてア原告Aの血糖コントロールは極めて不良であり,平成16年7月時点のHbAlcは ナトリウム中毒による低酸素脳症を発症したことは認める。 (2)原告Aの逸失利益,将来の付添看護費用の算定についてア原告Aの血糖コントロールは極めて不良であり,平成16年7月時点のHbAlcは11.5%に達しており,血糖コントロール値「不良(HbAlcが」7.0%以上8.0%未満)の限界を超えていた。また,原告Aは,糖尿病の三大合併症(トリオパシー)である糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症,糖尿病性神経症をいずれも発症していた。 糖尿病に腎疾患を合併している場合には,死亡原因に結びつきやすいとされ,血糖コントロールが不良で,糖尿病性腎症のある女性の平均寿命は 9歳にとどまるというデータがある乙B4・227頁このデー. ()。 タは原告Aの病状に近い母集団を対象としたデータであるから,これに基づいて同原告の余命を推測することには十分合理性がある。 イそうすると,原告Aの逸失利益及び将来の付添看護費用を算定するに当たっては,算定の対象となる期間を症状固定時(当時54歳)から9年としてこれを算定すべきである。 ウなお,糖尿病のトリオパシーの特徴は,長時間にわたって高血糖が持続することで様々な問題が発生して網膜,腎,神経等の細小血管に障害が発生することであり,このような慢性合併症を発症している以上は,血糖コ ントロール値が改善されても血管障害が回復する理由はないから,原告Aの余命を考える上で,原告Aの現在のHbAlcの数値を参考にすることはできない。 (3)原告Aの損害額についてア治療関係費について(ア)平成17年8月の症状固定時までの治療関係費は1299万195 円であるまた同年9月以降の治療関係費は介護費用の問題であっ。 ,,て,本件事故と相当因果関係のある損害には含まれない。 ,,(イ)原告Aは差額室 定時までの治療関係費は1299万195 円であるまた同年9月以降の治療関係費は介護費用の問題であっ。 ,,て,本件事故と相当因果関係のある損害には含まれない。 ,,(イ)原告Aは差額室料が発生する病室に入室しているが原告Aにつき差額室料が発生する病室における治療を続ける必要があるとは考え難く,少なくとも平成17年1月以降の差額室料は,本件事故と相当因果関係のある損害とはいえない。 イ付添看護費用について(ア)原告Aは,認知症の状態であるとはいえ,日常生活動作が全く不能というわけではない(乙A3。このような状況に照らすと,付添看護)費用は1日当たり6000円が相当である。 (イ)上記(2)イのとおり,原告Aの将来の付添看護費用の算定の対象となる期間は症状固定時から9年(ライプニッツ係数7.108)とすべきであるから,原告Aの将来の付添看護費用は,1566万6520円(6000円×365×7.108)となる。 ウ入院雑費について原告Aは平成16年8月7日に退院する予定であったから(乙A2・6頁,本件事故と相当因果関係のある入院雑費の算定の対象となるのは退)院予定日の翌日である同月8日から症状固定日(平成17年8月29日),(。)までの387日間であり入院雑費の額1日当たり1500円とするは,58万0500円(1500円×387)となる。 エ休業損害について原告Aは平成16年8月7日に退院する予定であったから,本件事故と相当因果関係のある入院雑費の算定の対象となるのは退院予定日の翌日である平成16年8月8日から症状固定日(平成17年8月29日)の前日までの386日間であり,平成16年の女子労働者の平均賃金(学歴計全年齢の平均賃金は年額350万2200円)を基に平成16年8月8日から症状固定時の前 日から症状固定日(平成17年8月29日)の前日までの386日間であり,平成16年の女子労働者の平均賃金(学歴計全年齢の平均賃金は年額350万2200円)を基に平成16年8月8日から症状固定時の前日である平成17年8月28日までの386日間の休業損害の額を算出すると,370万3696円(350万2200円÷365×386)となる。 オ逸失利益について上記(2)イのとおり,原告Aの逸失利益の算定の対象となる期間は症状固定時から9年(ライプニッツ係数7.108)とすべきであるから,原,(. 告Aの逸失利益の額は2489万3638円350万2200円×7108)となる。 カ慰謝料について(ア)入院慰謝料の算定の対象となる期間は本件事故の起きた平成16年7月29日から症状固定の日の前日(平成17年8月28日)までの13か月間とすべきであるから,入院慰謝料の額は328万円となる。 (イ)症状が固定した平成17年8月29日以降の慰謝料(後遺症慰謝料)については,原告Aの分と近親者の分を合わせた額を2800万円とすべきである。 (4)原告C,原告B,原告D及び原告Eの損害額について後遺症の慰謝料については,原告Aの分と近親者の分を合わせた額を2800万円とすべきである。 (5)弁済の抗弁被告は,平成19年11月までに,原告らに対し,上記(3)ないし(4)の債 ,()。 務の弁済として合計5008万9286円を支払った乙C1ないし9第3当裁判所の判断 被告の損害賠償責任被告病院に勤務するJ看護師は,蓄尿検査に防腐剤として使用するアジ化ナトリウムを誤って入院患者である原告Aに投与し,これにより原告Aがアジ化ナトリウム中毒による低酸素脳症を発症したものであるから,被告は,民法715条に基づき,J看護師がアジ化ナトリウ 用するアジ化ナトリウムを誤って入院患者である原告Aに投与し,これにより原告Aがアジ化ナトリウム中毒による低酸素脳症を発症したものであるから,被告は,民法715条に基づき,J看護師がアジ化ナトリウムを誤って原告Aに投与したことによって原告らに生じた損害を賠償すべき責任を負うと解すべきである。 原告Aの後遺障害(1)証拠(各項に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア後遺障害診断書(甲C3)中の「精神・神経の障害他覚症状及び検査結果」欄の記載認知機能障害,脱抑制,無為が強く,認知症の状態である。HDS-R(改訂長谷川式簡易知的機能評価スケール)等は評価不能である。四肢の固縮はあるが,明らかな運動麻痺はない。頭部MRIでは広範な白質の障害を認める。原告Aの協力が得られないため,聴力,視力等の検査は不可能である。 イ原告Aの現在の日常生活(ア)食事については,家族がスプーンを持たせれば食物を口に運ぶことは可能である(甲C11・6,12頁。しかし,箸を使用することは)できない(乙A3)。 (イ)更衣,洗髪,入浴,排泄,歯磨きについては,独力で行うことは不()。 ()。 可能である乙A3常時おむつを着用している甲C11・12頁(ウ)坂道を上ること及び坂道を降りることはできない(乙A3。 )(エ)会話はできない(甲C11・9,10頁,甲C12・8頁,甲C1 3・6頁,甲C14・5,6頁。また,一日中奇声を発するというこ)とがあった(甲C11・5頁。 )(オ)原告Cは,現在,週に3,4日,行徳総合病院に行き,原告Aに付。 ,,,き添っているその余の日については原告Bが行徳総合病院に行き原告Aに付き添っている(甲C11・9,10頁,甲C12・6頁)。 (2)そこ 4日,行徳総合病院に行き,原告Aに付。 ,,,き添っているその余の日については原告Bが行徳総合病院に行き原告Aに付き添っている(甲C11・9,10頁,甲C12・6頁)。 (2)そこで,本件後遺障害等級について検討するに,上記(1)で認定したとおり,更衣,入浴,排泄等の日常生活の維持に必要な身の回り動作について独力で行うことができないこと,食事についても家族がスプーンを持たせることなしには行うことができないこと等を考慮すると,生命維持に必要な身辺動作について,常時介護が必要であるといえるから,本件後遺障害は,後遺障害等級1級(神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,常に介護を「要するもの)に該当するというべきである(労働能力喪失率は100%。 」) 原告Aの逸失利益,将来の付添看護費用の算定について(1)原告Aの糖尿病の症状について前記第2の1の事実に証拠(乙A1,2のほか,各項に掲記したもの)及び弁論の全趣旨を併せると,以下の事実が認められる。 ア被告病院を受診する前の状況原告Aは,平成7年ころから糖尿病の症状が現れ,平成14年7月8日以後,G医院に通院してその治療を受けていた。平成16年2月3日に実,,. 施された原告Aの血液検査の結果は血糖値が267mg/dlHbAlcが149%であった(乙A1・5,8頁。 )イ被告病院内科外来での診療(ア)平成16年4月28日,原告Aは,糖尿病の三大合併症(トリオパシー)である糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症,糖尿病性神経障害をいずれも併発しているとの診断を受けた。また,同日に実施された原告Aの生化学検査の結果は,血糖値(Glu)が220mg/dl,HbAlcが11.5 %であった。原告Aは,当日,食事量が過剰であるとの指摘を受け,食事量を適正化するよ また,同日に実施された原告Aの生化学検査の結果は,血糖値(Glu)が220mg/dl,HbAlcが11.5 %であった。原告Aは,当日,食事量が過剰であるとの指摘を受け,食事量を適正化するよう指導を受けた乙A1・3 27頁乙A2・(,,,4頁。 )(イ)平成16年6月2日に実施された原告Aの生化学検査の結果は,血糖値(Glu)が235mg/dl,HbAlcが10.7%であった(乙A1・27頁。 )原告Aは,同日,食事量を少なくするなどの努力は見られるが小さな間食がまだ多くあるとの指摘を受けた(乙A1・9頁。 )(ウ)平成16年7月7日に実施された原告Aの生化学検査の結果は,血糖値(Glu)が216mg/dl,HbAlcが10.4%であった(乙A1・27頁。 )原告Aは,同日,過食の改善が見られないため一度病院食を体験して食事量のバランスを理解する必要があるとの指導を受けた(乙A1・10頁。 )ウ被告病院入院中(本件事故前日まで)の血糖値平成16年7月12日,原告Aの血糖値は,昼食前が266mg/dl,夕,(,)。 食前が209mg/dl 就寝前が281mg/dlであった乙A2・363頁その後も各食前及び就寝前における血糖値の測定が継続されたが,同月18日の昼食前に147mg/dl,同月24日の朝食前に145mg/dlであったほかは,同月26日の就寝前(153mg/dl)に至るまで血糖値が160mg/dl未満となることはなかった。同月27日の血糖値は朝食前が164mg/dl,昼食前が143mg/dl,夕食前が139mg/dl,就寝前が260mg/dlであり,同月28日の血糖値は朝食前が150mg/dl,昼食前が164mg/dl,夕食前が250mg/dl,就寝前が181mg/dlであった(乙A2・ 食前が139mg/dl,就寝前が260mg/dlであり,同月28日の血糖値は朝食前が150mg/dl,昼食前が164mg/dl,夕食前が250mg/dl,就寝前が181mg/dlであった(乙A2・6。 3ないし65頁)エ平成19年におけるHbAlc値 行徳総合病院において平成19年に実施された原告AのHbAlc値の検査結果は次のとおりである甲A2以下本項においては1月5日を ,(。 ,「/5」と表示し,その他の日付についても同様に表示する。 。)記1/52/23/54/25/26/1HbAlc(%)5.65.25.25.25.15.2(2)糖尿病に関する医学的知見等ア糖尿病の慢性合併症糖尿病の慢性合併症は,長期間持続する高血糖に起因する種々の臓器障害であり,血管障害に基づくものとそれ以外に分けられる。狭義の慢性合併症は,前者を指し,細小血管症と大血管症に大別される。細小血管症は糖尿病に特異的な病態で,代表的な腎症・神経障害・網膜症は三大合併症(トリオパシー)と呼ばれる(乙B3・1011,1012頁。 )イ糖尿病性腎症患者の予後糖尿病患者の予後については,糖尿病の死因に関する委員会が行った報告(アンケート調査による日本人糖尿病の死因-1981~1990年「の10年間,11,648名での検討-,乙B4)がある。そのうち糖」尿病性腎症に罹患している女性患者の平均死亡時年齢をみると,全症例では65.0歳,血糖コントロール良好群では67.6歳,血糖コントロール不良群では63.9歳であり,糖尿病性腎症の発症・進展に血糖コントロール状況の良否が及ぼす影響が大きいことがうかがわれた。もっとも,同時代の日本人女性一般の平均寿命は81.9歳(女性糖尿病患者の平均死亡時年齢68.4歳+ り,糖尿病性腎症の発症・進展に血糖コントロール状況の良否が及ぼす影響が大きいことがうかがわれた。もっとも,同時代の日本人女性一般の平均寿命は81.9歳(女性糖尿病患者の平均死亡時年齢68.4歳+13.5)であり,本件事故時における日本人女(. ()). 性一般の平均寿命 59歳平成16年簡易生命表に比して369歳短い(乙B4・221,222,227頁。 )糖尿病性腎症は,平成10年に新規に血液透析が導入される原因疾患の ,,,第1位となりまた透析後の5年生存率が50%以下といわれてきたが腎不全保存期の治療と透析器械や透析技術の進歩とがあいまって予後は改善しつつある(甲B9・76,78,79頁,乙B3・1014頁。 )なお,平成19年に,米国人男女5200人以上のデータを解析したオランダのロッテルダム大学と英国ユニリバーとの共同研究の成果として,,,糖尿病と診断されることは平均余命が平均8年短縮することを意味するとの知見が報告されている(甲B1。 )(3)原告Aの余命についてア上記(1),(2)によれば,原告Aは単に糖尿病に罹患しているのみならずその三大合併症をいずれも併発していたこと(原告Aの余命に血糖コントロール状況の良否が及ぼす影響が大きいこと,被告病院に入院するまで)は,原告Aに過食の改善が見られず,HbAlcも8.0%以上が続いていた(血糖コントロールが「不可」の領域であった)こと,昭和56年から平成2年までの10年間の検討結果によれば,糖尿病性腎症に罹患している女性患者のうち血糖コントロール不良群の平均死亡時年齢は63.9歳,(). 糖尿病性腎症に罹患している女性患者全症例の平均死亡時年齢が650歳であり,同時代の日本人女性一般に比べて15歳以上も短命であったことが認められる。 不良群の平均死亡時年齢は63.9歳,(). 糖尿病性腎症に罹患している女性患者全症例の平均死亡時年齢が650歳であり,同時代の日本人女性一般に比べて15歳以上も短命であったことが認められる。 他方で,前記第2の1(2),上記(1),(2)によれば,原告Aは,インスリン導入による血糖コントロールと糖尿病についての食事療法を行う目的で被告病院に入院したこと,被告病院に入院するまでは160mg/dl未満となることのなかった原告Aの空腹時血糖値が,被告病院入院期間中に何回か160mg/dl未満となった(血糖コントロールが「可」と評価される領域に入った)こと,平成19年1月ないし6月における原告AのHbAlcはいずれも58%未満であった血糖コントロールが優の領域であっ. (「」),。 たこと糖尿病性腎症患者の予後は改善されつつあることが認められる もっとも,上記の血糖コントロールの変化はいずれも入院中における変,,化であり原告Aは本件事故後自ら血糖コントロールを行っていないから原告Aが死亡時までに自ら行ったであろう血糖コントロールが全体として不良であったか良好であったかを推認することは困難というほかない。また,本件事故時における糖尿病性腎症患者の平均死亡時年齢を具体的に認めるに足りる的確な証拠はない。 イそこで,当裁判所は,上記(1),(2)で認定した原告Aの糖尿病の症状,昭和56年から平成2年までの10年間の糖尿病性腎症患者の予後に関する報告や米国人を対象とする糖尿病患者の余命に関する最近の報告の内容,糖尿病性腎症患者の予後が改善しつつあることその他本件に顕れた一切の事情を考慮し,症状固定時における原告A(当時54歳)の余命期間を20年(ライプニッツ係数12.4622)と想定して原告Aの将来の付添看護費用を 者の予後が改善しつつあることその他本件に顕れた一切の事情を考慮し,症状固定時における原告A(当時54歳)の余命期間を20年(ライプニッツ係数12.4622)と想定して原告Aの将来の付添看護費用を算定し,67歳までは専業主婦として家事労働に従事することが可能であったことを前提に,原告Aの逸失利益を算出することが相当であると判断する。 損害(特記しない限り,原告Aの損害である)。 (1)治療関係費と付添費用の請求について原告らは,原告Aは,生涯にわたって病院に入院して治療を受けなければならず,月額約110万円の治療関係費と日額8000円の付添看護費用の支出を余儀なくされる旨主張している。これに対し,被告は,症状固定後の平成17年9月以降の治療関係費及び平成17年1月以降の差額室料については,本件事故と相当因果関係のある損害に含まれない,と主張している。 前記第2の1(3),(5)のとおり,原告Aは,本件事故によりアジ化ナトリウム中毒を発症し,重い後遺障害を負ったものであるところ,被告病院以外の病院においてどのような治療がなされたかは明らかではなく,かえって,証拠(甲C11・7ないし9頁)によれば,平成17年8月に症状固定の診 断がされる前から原告Aに対する積極的な治療は行われなくなり,同原告は病院から退院を求められるようになっていたことが認められるから,同原告の請求に係る治療関係費をすべて本件事故と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 そこで,当裁判所は,差額室料も含め,症状固定日までの治療関係費については本件事故と相当因果関係のある損害と認めるが,症状固定日以降の治療関係費については本件事故と相当因果関係のある損害とは認めず,1日当たり8000円(付添交通費を含む)の割合による付添看護費用のみを本。 件事故と相当 関係のある損害と認めるが,症状固定日以降の治療関係費については本件事故と相当因果関係のある損害とは認めず,1日当たり8000円(付添交通費を含む)の割合による付添看護費用のみを本。 件事故と相当因果関係のある損害と認めることとする。 (2)症状固定までの治療関係費1969万7971円前記第2の1(5)のとおり,原告Aは,本件事故後,白質脳症(アジ化ナトリウム中毒)による重度の認知障害を負い,症状が固定した平成17年8月に至るまで,千葉大学医学部附属病院,順天堂浦安医院及び国立身体障害者リハビリテーションセンター病院に入院して診療を受けたところ証拠乙,(C5ないし7,乙C9)によれば,上記の平成17年8月までに,千葉大学医学部附属病院の診療費として計287万4540円(乙C5の1及び同2の合計)を,順天堂浦安医院の診療費として計1650万5971円(乙C6の1から同13までの合計。平成17年1月以降の差額室料531万4050円(乙C6の6から同13までに記載された室料負担金の合計506万1000円×1.05)を含む)を,国立身体障害者リハビリテーション。 センター病院の診療費として計10万4600円(乙C7の1から同4・1枚目までの合計を救急搬送料金として計21万2860円乙C9の1・),(1枚目及び同2・4枚目の合計)をそれぞれ支払ったことが認められる。 上記の合計1969万7971円は,本件事故と相当因果関係のある損害であると認められる。 (3)入院付添費258万0500円 証拠(甲C11ないし14)によれば,本件事故後,原告C,原告B,原,,,告D原告Eが入院中の原告Aの付添看護に当たったことが認められまた前記第2の1(5)イで認定した本件事故後の原告Aの症状や本件後遺障害の内容,程度に照らせば,原告A ,原告C,原告B,原,,,告D原告Eが入院中の原告Aの付添看護に当たったことが認められまた前記第2の1(5)イで認定した本件事故後の原告Aの症状や本件後遺障害の内容,程度に照らせば,原告Aは,本件事故後症状固定日まで近親者の付添看護を要したものと認められる。もっとも,各病院において完全看護の体制がとられていたこと等を考慮すれば,この間の入院付添費は,原告の請求額とは異なり,近親者が支出する交通費を含め,1日当たり6500円とするのが相当である。そして,原告Aが本件事故に遭った平成16年7月29日から症状固定日である平成17年8月29日までの397日間の入院付添費を算出すると,次のとおり,258万0500円となる。 6500円×397=258万0500円(4)将来の付添看護費用3638万9624円上記(1)で認定したとおり,原告Aの将来の付添看護費用としては,近親者が支出する交通費を含め,1日当たり8000円とするのが相当である。 そして,上記3(3)イで認定したとおり,症状固定時における原告Aの余命期間を20年と想定して原告Aの将来(症状固定時以降)の付添看護費用を算出すると,次のとおり3638万9624円となる。 8000円×365×12.4622=3638万9624円(5)入院雑費58万0500円前記第2の1(3),(5)のとおり,原告Aは,本件事故後にアジ化ナトリウム中毒を発症し,平成17年8月29日に至るまで,被告病院,千葉大学医学部附属病院,順天堂浦安医院及び国立身体障害者リハビリテーションセンター病院に入院したが,他方,証拠(乙A2・6頁)によれば,原告Aは,本件事故に遭わなければ,平成16年8月7日に被告病院を退院する予定であったことが認められる。 そこで,1日当たり1500円として,原告Aの退院予定日の 他方,証拠(乙A2・6頁)によれば,原告Aは,本件事故に遭わなければ,平成16年8月7日に被告病院を退院する予定であったことが認められる。 そこで,1日当たり1500円として,原告Aの退院予定日の翌日であっ た平成16年8月8日から症状固定日である平成17年8月29日までの387日分の入院雑費を算定すると,次のとおり,58万0500円となる。 1500円×387=58万0500円(6)休業損害370万3696円前記第2の1(6)アのとおり,原告Aは,平成16年7月に被告病院に入院するまでは,専業主婦として通常の家事をすべて問題なくこなしていたも,,のであるところ本件事故後にアジ化ナトリウム中毒が生じたことによって家事労働に従事することができなくなった。 そして,上記(5)のとおり,原告Aは平成16年8月7日まで被告病院に入院する予定であったことが認められるから,平成16年の女子労働者の平均賃金(学歴計全年齢の平均賃金は年額350万2200円)を基に同月8日から症状固定日の前日である平成17年8月28日までの386日間の休業損害の額を算出すると,次のとおり370万3696円となる。 350万2200円÷365×386日=370万3696円(7)逸失利益3289万7915円上記2のとおり,原告Aは,本件事故の後遺障害により,労働能力喪失率。 ,,を100パーセント喪失したと認められるそして上記3(3)イのとおり原告Aは,本件後遺障害がなければ,症状固定日(当時54歳)から少なくとも67歳に至るまでの13年間(ライプニッツ係数9.3935,専業)主婦として稼働することが可能であったと想定し,平成16年の女子労働者の平均賃金を基に原告Aの逸失利益を算出すると,次のとおり3289万7915円となる。 350万2200 数9.3935,専業)主婦として稼働することが可能であったと想定し,平成16年の女子労働者の平均賃金を基に原告Aの逸失利益を算出すると,次のとおり3289万7915円となる。 350万2200円×9.3935=3289万7915円(8)後遺症慰謝料計3600万円上記2のような内容,程度の本件後遺障害が残ったことによって原告Aが多大な精神的苦痛を受けたであろうことは容易に推察されるし,原告B,原 告D,原告C及び原告Eについても,妻ないし母が本件後遺障害のために意思疎通能力を失い生命維持に必要な身辺動作について常時介護を必要とするようになったことによって,原告Aが死亡した場合にも比肩すべき精神的苦痛を受けたであろうことが推察される。 そして,本件に顕れた一切の事情を総合考慮すると,上記精神的苦痛に対する慰謝料の額は,原告Aにつき2800万円,原告B,原告D,原告C及び原告Eにつき各200万円とするのが相当である。 (9)入院慰謝料330万円前記第2の1(3),(5)のとおり,原告Aは,本件事故に遭った平成16年,,7月29日から症状が固定した平成17年8月29日に至るまで被告病院千葉大学医学部附属病院,順天堂浦安医院及び国立身体障害者リハビリテーションセンター病院に合計397日間入院したことが認められる。そして,このような入院の経過のほか,本件に顕れた一切の事情を考慮すると,入院慰謝料の額は,330万円とするのが相当である。 (10)弁護士費用,,,以上の損害の合計額は原告Aにつき1億2715万0206円原告B原告D,原告C及び原告Eにつき各200万円となるところ,原告Aが本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は,原告Aにつき1300万円,原告B,原告D,原告C及び原告Eにつき各20万円と認める。 損害 D,原告C及び原告Eにつき各200万円となるところ,原告Aが本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は,原告Aにつき1300万円,原告B,原告D,原告C及び原告Eにつき各20万円と認める。 損害の填補証拠(乙C1ないし9)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,原告Aの治療((。)関係費として4607万6910円乙C5ないし9いずれも枝番を含むの合計)を,付添看護費及び入院雑費として401万2376円(乙C1ない(。))。 し4いずれも枝番を含むの合計をそれぞれ支払ったことが認められる上記の合計5008万9286円は,被告の原告Aに対する上記4の損害を填補するために支出されたものと認めるのが相当である。 結論 以上によれば,被告は,民法715条に基づき,原告Aに対し9006万0920円,原告B,原告D,原告C及び原告Eに対し各220万円及びこれらの金員に対する本件事故発生の日である平成16年7月29日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負うと解すべきである。 そうすると,原告らの本訴請求については,被告に対し,原告Aが9006万0920円,原告B,同C,同D及び同Eが各220万円及びこれらに対する平成16年7月29日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるから,その限度で認容し,その余は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民訴法64条本文,61条,65条1項本文を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第14部孝橋宏裁判長裁判官坂田大吾裁判官宮川広臣裁判官 東京地方裁判所民事第14部孝橋宏裁判長裁判官坂田大吾裁判官宮川広臣裁判官

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