主文 被告人を懲役4年6か月に処する。 未決勾留日数中650日をその刑に算入する。 理由 【罪となるべき事実】第1(平成17年3月25日付け起訴)被告人は,A1,A2ことA3及びA4と共謀の上,金品窃取の目的で,平成15年10月30日午前零時45分ころ,甲地区陸運事業協同組合の購買部課長であるB1が看守する富山県新湊市(現在の地名射水市)ab番地の同協同組合乙店舗内に,A1及びA4が,その出入口から侵入し,同所において,B1の管理する現金12万8265円及び黒色トレー1個(時価1000円相当)を窃取した。 第2(平成17年5月23日付け起訴)被告人は,平成15年10月30日午前1時46分ころ,富山県新湊市(現在の地名射水市)cd番地のe付近道路において,法定の最高速度(60キロメートル毎時)を86キロメートル超える146キロメートル毎時の速度で普通乗用自動車を運転して進行した。 第3(平成17年6月15日付け起訴,平成17年6月27日付け訴因変更請求,平成18年8月28日付け訴因変更請求) 被告人は,C,D,E及びFが,共謀の上,平成16年11月28日午前6時30分ころ,名古屋市中川区f町g丁目h番i号の丙駐車場棟屋上駐車場において,G(当時25歳)に対し,Gの両手足等を引っ張るなどして同所に停車中の普通乗用自動車後部座席にGを引きずり込み,同車を発進させ,走行中の同車内において,Gの顔面及び両足首に粘着テープを巻き付け,両手首に手錠をかけるなどした上,Gを愛知県小牧市j町k番地の自動車修理加工工場丁及び同市lm丁目n番地戊o号のF方等に連行し,同月29日午後零時ころ, 名古屋市北区pq丁目r番地sの己ビル東側路上でGを同車両から降車させるまでの間,約29時間30分にわたり,Gを同車内等から脱出することを不能 地戊o号のF方等に連行し,同月29日午後零時ころ, 名古屋市北区pq丁目r番地sの己ビル東側路上でGを同車両から降車させるまでの間,約29時間30分にわたり,Gを同車内等から脱出することを不能にさせて不法に監禁するにあたり,同月28日午後5時ころ,同工場にオートバイを保管しているHが,同工場にオートバイを預けに来た際,同工場前において,Hよりオートバイを受け取り,Hが同工場内に入るのを阻止し,Cらの犯行の発覚を防ぎ,もって,Cらの犯行を容易にさせてこれを幇助した。 被告人は,Cと共謀の上,平成16年11月29日午後4時43分ころから同月30日午後1時37分ころまでの間,岐阜市及びその周辺において,多数回にわたり,Cらの暴行,脅迫,強姦等により畏怖したGに対し,電話で「I’の部屋にも見張りを置く。お前が警察に言ったら,I’はお前と同じ運命をたどるし,お前のこともまたさらってやるからな。警察に言ったら一生つきまとってやるからな。」などと言って脅迫し,Gの反抗を抑圧した上,Gから現金2000万円を強取しようとしたが,Gが警察に届け出たため,その目的を遂げなかったが,被告人は,恐喝の犯意を有するに留まっていた。 第4(平成17年9月30日付け起訴)被告人は,E,A5,A6,F,J及びA7と共謀の上,金品窃取の目的で, 平成16年12月21日午前3時24分ころ,庚辛t店の店長であるB2が看守する愛知県小牧市uq丁目v番地のeの同店事務所に,A5及びA6らが,その事務所出入口ドアのガラス破損部分から施錠を解いて侵入した上,同事務所内から据置金庫を運び出して窃取しようとしたが,同金庫が床に固定されていて運び出すことができなかったため,その目的を遂げなかった。 同日午前3時57分ころ,庚壬w店の店長であるB3が看守する愛知県西春日井郡x を運び出して窃取しようとしたが,同金庫が床に固定されていて運び出すことができなかったため,その目的を遂げなかった。 同日午前3時57分ころ,庚壬w店の店長であるB3が看守する愛知県西春日井郡x町大字y字zα番地の同店に,A5及びA6らが,その北側出入口自動ドアをこじ開けて侵入した上,同店東側事務室内から据置金庫を運び出して窃取しようとしたが,同金庫が鉄製の枠で固定されていて運び出すことができなかったため,その目的を遂げなかった。 第5(平成17年7月15日付け起訴)被告人は,A6,A5,E,C,D,A8,A9及びA10ほか3名と共謀の上,金品窃取の目的で, 平成16年12月22日午前1時52分ころ,前記庚辛t店の店長であるB2が看守する同店に,A6及びA5らが,その事務室出入口ドアから侵入した上,同所において,B2の管理する現金162万4693円及び印鑑1個ほか1点在中の金庫1個(時価合計11万円相当)を窃取した。 同日午前2時29分ころ,前記庚壬w店の店長であるB3が看守する同店に,A6及びA5らが,その北出入口ドアから侵入した上,同所において,B3の管理する現金134万7640円及び手提げ金庫13個ほか50点在中の金庫1個(時価合計13万7100円相当)を窃取した。 第6(平成17年11月17日付け起訴)被告人は,F,E,A5及びA1ほか2名と共謀の上,金品窃取の目的で,平成17年1月24日午前零時18分ころ,株式会社癸β店の店長であるB4が看守する名古屋市北区γδ丁目ε番地の同店に,E及びA5らが,その2階西側出入口ドアから侵入した上,同店の事務室において据置金庫を運び出して窃取しようとしたが,同金庫がスチール製の枠で固定され,運び出すことができなかったため,その目的を遂げなかった。 第7(平成17年4月28 アから侵入した上,同店の事務室において据置金庫を運び出して窃取しようとしたが,同金庫がスチール製の枠で固定され,運び出すことができなかったため,その目的を遂げなかった。 第7(平成17年4月28日付け起訴)被告人は,E,F,A5及び通称A11と共謀の上,金品窃取の目的で,平成17年2月25日午前4時ころ,有限会社子ζ店の店長であるB5が看守する愛知県春日井市ηθ丁目ι番地κの同店に,Eが,その休憩室の西側腰高窓から侵入した上,その事務所において,机等を物色したものの,金品を発見できなかったため,その目的を遂げなかった。 【証拠の標目】(略) 【争点に対する判断】第1 争点 公訴事実平成17年6月15日付け起訴,平成17年6月27日付け訴因変更請求,平成18年8月28日付け訴因変更請求にかかる公訴事実は,以下のとおりである。 「被告人は,C,D,E及びFと共謀の上,G(当時25年)を略取して自己らの支配下に置き,同人から金品を強取しようと企て 平成16年11月28日午前6時30分ころ,名古屋市中川区f町g丁目h番i号丙駐車場棟屋上駐車場において,上記Gに対し,上記D及び上記Fが,上記Gの両手足等を引っ張るなどして同所に停車中の普通乗用自動車後部座席に同女を引きずり込み,同車を発進させ,走行中の同車内において,同女の顔面及び両足首に粘着テープを巻き付け,両手首に手錠をかけ,その上半身を押さえつけるなどの暴行を加え,同女を逮捕して上記Cらの支配下に置き,もって上記Gを営利の目的で略取するとともに,同女を愛知県小牧市j町k番地自動車修理加工工場丁及び同市lm丁目n番地戊o号上記F方等に連行し,同月29日午後零時ころ,名古屋市北区pq丁目r番地s己ビル東側路上で同女を同車両から降車させるまでの間,約29時間30分にわたり,同 修理加工工場丁及び同市lm丁目n番地戊o号上記F方等に連行し,同月29日午後零時ころ,名古屋市北区pq丁目r番地s己ビル東側路上で同女を同車両から降車させるまでの間,約29時間30分にわたり,同女を同車内等から脱出することを不能にさせて不法に逮捕監禁し,その際,上記一連の暴行により同女に加療約3週間を要する両膝挫創,両手関節挫傷,右上腕打僕血腫等の傷害を負わせた 同月28日午前6時30分ころ,上記丙駐車場棟屋上駐車場から上記丁に至る走行中の上記車両内において,上記のとおり逮捕監禁し,上記暴行によって畏怖状態にある上記Gに対し,こもごも,「お前助からないよ。 もう諦めろ。金出せるか。いくら出しても助からないよ。無理だから。」などと申し向けて脅迫し,その反抗を抑圧した上,同女所有の現金約10 万円及び財布1個ほか36点在中の手提げかばん1個ほか8点(時価合計32万9,000円相当)を強取した 上記Gを強姦することを企て,同日午前7時ころから同日午後8時30分ころまでの間,上記丁工場内に駐車中の上記車両内において,上記のとおり両目付近を粘着テープで緊縛され,両手首に手錠をかけられて,逮捕監禁された上記Gに対し,上記Cが,「死ぬよりましだろう。」などと脅迫して更にその反抗を抑圧し,同人,上記D及び上記Eが,順次,上記Gを強いて姦淫し,被告人が口淫させた 上記3記載の日時ころ,上記丁工場内に駐車中の上記車両内において,上記Gに対し,こもごも,「3000万円用意できるか。俺たちは組織でやっている。俺たちは,2000万円で雇われている。ナンバーワンなんだから3000万円くらいはあるだろう。依頼人がお前をめちゃくちゃにしてやりたい,顔をぐちゃぐちゃにし,腕を切り落として,夜の世界では,仕事ができないようにしてやると言っているんだ。」,「 ワンなんだから3000万円くらいはあるだろう。依頼人がお前をめちゃくちゃにしてやりたい,顔をぐちゃぐちゃにし,腕を切り落として,夜の世界では,仕事ができないようにしてやると言っているんだ。」,「お前のことは全て知っているぞ。金を出さないのなら,お前を売って,家族や知り合いもさらうぞ。お前の家族,彼氏や友人たちがどうなってもいいのか。」,「何とか金を作る方法を考えろ。お前が金を作る方法を考えないと,何日もお前を監禁しておかなきゃいかなくなるぞ。お前も早く帰りたいだろ。 じゃないと,ずっと俺たちに何日でも犯されるぞ。」などと,同月29日午前4時ころ,岐阜県大垣市λμ丁目ν番地付近に停車中の上記自動車内において,同女に対し,「店で仲が良いのは誰だ。そいつに電話しろ。お前の自宅から銀行の通帳と印鑑,金目のものを持ってくるように指示しろ。 普段ならナイフで切り刻みながら言うことを聞かせるんだぞ。なんなら,ここでやってやろうか。」などと語気鋭く申し向けて脅迫し,同女をしてI’ことIへ電話をかけさせ,情を知らない同女に上記丙ξ号当時の上記G方から同女所有の通帳3通等を持ち出させた上,同日午前6時50分こ ろ,名古屋市中村区πμ丁目ρ番丑中学校東側付近の公衆電話ボックス内において,上記Iが同所に遺留した上記G所有の腕時計1個及び通帳3通ほか2点(時価合計60万円相当)を持ち去って強取した 同日午前9時45分ころ,上記F方において,上記のとおり逮捕監禁された上,一連の暴行,脅迫,強姦等によりその反抗を抑圧された上記Gに対し,上記Eが口淫させ,上記Cが上記Gを強いて姦淫した そのころ,同所において,上記Gに対し,上記Cが,「I’を捕まえたから,お前を解放する。お前がやるのは,金を下ろすことと,周りに一切,余計なことを言わないことだ。約束を守れば Gを強いて姦淫した そのころ,同所において,上記Gに対し,上記Cが,「I’を捕まえたから,お前を解放する。お前がやるのは,金を下ろすことと,周りに一切,余計なことを言わないことだ。約束を守れば,お前に一切手出しをしないが,約束を破ったら,もう一回さらってやるからな。」などと語気鋭く申し向けて脅迫し,更に上記Gの反抗を抑圧して,同女に,銀行及び信用金庫に開設した同女名義の普通預金口座等から現金約3000万円を引き下ろして,被告人らに交付するよう申し向け,(1) 同日午後零時ころ,上記己ビル東側路上において,上記Gを上記自動車内から降車させ,同女をして,そのころ,名古屋市北区大曽根m丁目ρ番号寅銀行σ支店において,同行τ支店に開設された同女名義の普ü通預金口座から現金880万円を引き下ろさせた上,同日午後1時10分ころ,同区φδ丁目ψ番ω号卯駐車場付近路上において,上記現金中,870万円を遺留させ,そのころ,同所において,同現金を持ち去り強取した(2) 同日午後4時43分ころから同月30日午後1時37分ころまでの間,岐阜市及びその周辺において,多数回にわたり,被告人及び上記Cが,上記一連の暴行,脅迫,強姦等により畏怖した上記Gに対し,電話で「I’の部屋にも見張りを置く。お前が警察に言ったら,I’はお前と同じ運命をたどるし,お前のこともまたさらってやるからな。警察に言ったら一生つきまとってやるからな。」などと申し向けて脅迫し,同女 の反抗を抑圧した上,同女から現金2000万円を強取しようとしたが,同女が警察に届け出たため,その目的を遂げなかったものである。」 争点 以上の各公訴事実に関し,検察官は,①被告人は,謀議に加わり,犯行前に被害者方の下見に同行し,事前に共犯者から本件への加担を誘われていたこと,②被告人は,犯行当 げなかったものである。」 争点 以上の各公訴事実に関し,検察官は,①被告人は,謀議に加わり,犯行前に被害者方の下見に同行し,事前に共犯者から本件への加担を誘われていたこと,②被告人は,犯行当日,当初加担しなかったものの,明確に参加しない趣旨の言葉は述べず,他の共犯者らは,被告人が仲間であるとの認識を抱いていたこと,③被告人は,共犯者らが実行に着手した後,共犯者らに対し,度々電話連絡を取って状況を把握し,営利略取・逮捕監禁致傷・強盗強姦の事実を知っていたこと,④被告人は,共犯者らが被害者に対し,営利略取・逮捕監禁致傷・強盗強姦行為に及んだことを熟知しながら,監禁場所へ赴き,被害者に口淫させたこと,⑤被告人は,監禁場所へ偶然来た来訪者と対応し,その際,監禁場所内へ立ち入ることを制止したこと,⑥被告人は,共犯者らとともに犯行使用車両を処分したこと,⑦被害者が解放された後の平成16年11月30日に,被告人は,Cとともに被害者のいる岐阜県内まで行き,再度被害者を脅迫し,金員の支払を要求したこと,⑧被告人は,11月30日に被害者から金員を受け取る際,検挙を免れるために,第三者を利用することとし,その第三者を手配したこと,⑨被告人は,被害者の時計を質入れし,換金したことなどの各事実が証拠上認められると主張した上,上記各事実を前提とすれば,被告人には,営利略取・逮捕監禁致傷・強盗強姦の共同正犯が成立すると主張する。 これに対し,弁護人は,被告人が,C・D・E・Fと営利略取・逮捕監禁致傷・強盗強姦の共謀をした事実はなく,また,Cらの犯行を支援する何らの行動もとっておらず,上記各公訴事実のうち,6(2)に恐喝未遂の限度で関与したに過ぎないと主張し,被告人もそれに沿う公判供述を行っている。 当裁判所は,検察官の主張する各事実のうち,以下に指摘する点以外 動もとっておらず,上記各公訴事実のうち,6(2)に恐喝未遂の限度で関与したに過ぎないと主張し,被告人もそれに沿う公判供述を行っている。 当裁判所は,検察官の主張する各事実のうち,以下に指摘する点以外につい ては,おおむね認められるが,①のうち,被告人が謀議に加わったという点,②のうち,他の共犯者らが被告人を仲間であると認識していた点,④のうち,被告人が被害者に口淫させた点については,それを認めるには,合理的な疑いが残ると判断した。 また,上記各公訴事実のうち,1ないし6⑴(11月28日にCらが被害者を逮捕してから,29日に一旦解放し,870万円を遺留させるまで)に関しては,被告人と,C・D・E・Fとの共謀は認められず,検察官の指摘する⑤来訪者の立入りを制止した行為が,被害者の監禁についての幇助に当たり,他の事実については無罪であると判断した。 また,公訴事実6(2)(11月29日から30日にかけての岐阜県内での被害者への強盗未遂)については,被告人は共同正犯の責任を負うが,その故意は恐喝に留まると判断した。 以下,①当事者間に争いがなく,証拠から容易に認定できる事実を指摘し,②当事者間に争いがある事実について,適宜,証拠評価を加えながら,上記の認定をした理由を説明し,③以上の認定事実をもとに,上記の監禁幇助及び恐喝未遂の各犯罪が成立すると判断した理由を説明する。 第2前提事実C・D・E・Fが,上記各公訴事実の犯行(以下「本件犯行」ともいう。)に及んだことは,被告人との共謀の有無を除き,当事者間に争いがない。そして,関係各証拠から,以下の事実は明らかに認められる。 被告人と共犯者らとの関係被告人は,中学生のころ,暴走族グループ「辰」に所属しており,そこで,他の暴走族グループである「巳」に所属していたEと顔を合わせたことがあった。 は明らかに認められる。 被告人と共犯者らとの関係被告人は,中学生のころ,暴走族グループ「辰」に所属しており,そこで,他の暴走族グループである「巳」に所属していたEと顔を合わせたことがあった。その後,平成13年10月ころ,被告人は,Eと再会し,そのころから,頻繁に話をするようになった。 平成15年2月ころ,被告人は,Eの先輩であるCと知り合った。Eは, 「巳」が解散した後,自ら「午」という暴走族グループを新たに立ち上げ,「午」のいわゆるケツ持ちをしていたのが,暴力団員であるCであった。被告人は,Cがギャンブル好きであったことから意気投合し,Eも交えて,一緒にカジノに行くなどして,親しく付き合うようになった。 Eは,Cに誘われて,暴力団に入った。そのため,Eにとって,Cは組の兄貴分にあたり,EとCの間には,はっきりとした上下関係があった。それに対し,被告人は,Cより年下であったが,Cのことを「C’」と呼び,敬語を使わずに話すなど,被告人とCには,明確な上下関係はなかった。 平成16年2月ころ,被告人は,Eから,Eの後輩であるFを紹介された。 被告人は,Fが,自分よりも2歳年下で,Eの後輩ということから,使い走りのように扱っていた。 被告人は,平成16年11月初めころから,E・Cとともに,盗みをするようになった。そして,盗みの際に,CからDを紹介された。 11月28日の謀議に至る経緯(1) 認定事実Cは,キャバクラで接客している女性従業員であれば,高価な金品や多額の預貯金を有しているものと考え,そのような女性の中でもナンバーワンだと評されていた本件被害者を拉致し,金品を強奪することを計画し,平成16年11月上旬ころ,その計画をEに打ち明けた。Eは,分け前欲しさに,その計画に加担することにした。 一方,被告人は,Cと盗みに行った際,C いた本件被害者を拉致し,金品を強奪することを計画し,平成16年11月上旬ころ,その計画をEに打ち明けた。Eは,分け前欲しさに,その計画に加担することにした。 一方,被告人は,Cと盗みに行った際,Cから「金を持っている女がいる。 そいつをさらって,金を取る。」という話を聞いた。Cは,車を運転して,被害者方のマンションまで被告人を連れて行った。 Cは,Dに対しても,上記の計画を打ち明け,Dも参加する旨の返答をした。そして,Cは,犯行に使用するための手錠やガムテープを用意した上,通称「Pドコ」という発信装置を被害者の車に取り付けた。 Cが,被告人を被害者方のマンションに連れて行った数日後,被告人が,C・E・Dと盗みに行った際,Cが「再度,狙っている女のマンションを見に行く。」と言って,車を運転して,被害者方のマンションに行った。 Cは,その車内で,狙う相手について,未というキャバクラの「G’」という女性であると具体的に説明した。 本件犯行の前日である11月27日,被告人とEが一緒にいたところ,被告人の先輩であるKから,被告人に連絡があり,被告人らは,Kと午後10時ころに合流した。同じころ,Eの先輩であるLからEに連絡があった。Eは,Lに呼ばれたため,被告人らは,Eを小牧市内にあるL方に送った。 被告人とKが,Eの用件が終わるのを車中で待っていると,CとDがグランビアに乗ってやって来た。しばらくして,EもL方から戻ってきた。 Cは,被告人に対し,「今日,G’,行くで。」と言ったが,被告人は断り,被告人とKは,その場から離れた。その際,被告人は,Eに対し,「明日電話するわ。」と言った。 (2) C供述の信用性なお,以上の事実について,Cは,首謀者は自分ではなく,Eであり,手錠・ガムテープの準備をしたり,「Pドコ」を取り付けたのは,Eだと思うと供 「明日電話するわ。」と言った。 (2) C供述の信用性なお,以上の事実について,Cは,首謀者は自分ではなく,Eであり,手錠・ガムテープの準備をしたり,「Pドコ」を取り付けたのは,Eだと思うと供述しているが,以下の理由で信用できない。 すなわち,Dは,Cが首謀者であり,DとCにおいて,本件犯行後に,全ての責任をEにかぶせることを口裏合わせしたと供述している。Dは,本件犯行の共犯者ではあるが,自らが被害者に強姦した点も含め,自己に不利益になる事実についても進んで供述しており,その信用性は高いものがある。 そして,Cらは,本件犯行の後,すぐに逮捕されたわけではなく,その後も,共犯者同士で窃盗を行うなどしており,口裏合わせをする機会は十分にあった。そうすると,Eが首謀者だとするC供述は,DとCとの間の口裏合わせにCが従っているものと考えられ,信用することができない。 また,手錠・ガムテープの準備や「Pドコ」を取り付けたりする行為が,本件犯行の準備行為にあたることからすると,準備行為をEが率先して行ったとのC供述は,Eを首謀者とし,責任を転嫁しようとするCの供述態度からして,信用することができない。 よって,上記2⑴の事実が認定できる。 Cらの営利略取・逮捕監禁致傷・強盗強姦の状況(1) 認定事実被告人と別れたC・E・Dは,Fと合流し,4人で被害者を拉致することを決めた。 Cらは,11月28日午前6時ころ,グランビアに乗って,被害者のマンションの屋上駐車場に来た。午前6時30分ころに,被害者の乗っている車が駐車場に止まり,被害者が車から降りた。DとFが,グランビアから降り,被害者を羽交い締めにして,グランビアに連れ込んだ。 Dが,被害者の両眼にビニールテープを巻き,その上からタオルを巻き付け,さらに,ニット帽2枚を被害者の頭の上からか 。DとFが,グランビアから降り,被害者を羽交い締めにして,グランビアに連れ込んだ。 Dが,被害者の両眼にビニールテープを巻き,その上からタオルを巻き付け,さらに,ニット帽2枚を被害者の頭の上からかぶせた。さらに,Fが,両足のブーツを脱がせ,足首付近をビニールテープでグルグル巻きにした。 その後,Dが被害者の両手に手錠をかけた。 午前7時ころに,小牧市内にある丁という工場に到着した。Cらは,その工場内にグランビアを入れ,駐車した。 その後,Fが,Cの使用車両であるセプターを,Cの自宅に取りに行き,セプターに乗って戻ってきた。 次に,Cから,E・Fに被害者の車両に付けたままになっている「Pドコ」の回収と,コンドームと弁当を買うように指示があった。午前8時ころ,F・Eが,セプターに乗って,被害者のマンションに「Pドコ」などを取りに行った。 午前8時30分ころ,Hが,丁に預けてあったオートバイを取りに来た。 Cが対応し,丁の中からHのオートバイを持ってきて,Hに渡した。 午前9時8分ころ,F・Eが,コンドームと弁当を買った。 Cは,被害者に対し「これから,おれたちにまわされる。」と言った。その後,C,D,Eの順で,グランビアに交替で入り,被害者を強姦した。その際,DとEは,コンドームを使用した。 (2)C供述・E供述の信用性以上の事実に対し,C・Eは,被害者に対する強姦は行っていないと供述しているが,以下の理由で信用できない。 ア被害者供述が信用できること被害者は,丁に移動してから,リーダー格の男,がっちりした感じの男,E’と呼ばせた男の3人に順番に強姦され,口淫されたと供述している。 被害者は,本件以外にCらとの関係はなく,虚偽供述を行う動機は認められない。そして,被害者の上記供述は,捜査段階から一貫しており,各犯人の体格の違いや声の特徴 に強姦され,口淫されたと供述している。 被害者は,本件以外にCらとの関係はなく,虚偽供述を行う動機は認められない。そして,被害者の上記供述は,捜査段階から一貫しており,各犯人の体格の違いや声の特徴などをもとに,リーダー格の男がC,がっちりした感じの男がD,E’と呼ばせた男がE,他にF’と呼んでいた男がFであることを,具体的な根拠とともに識別している。 また,被害者は,3人に順番に強姦された状況について,詳細かつ具体的に供述している。そして,被害者は,Eがコンドームを使用したと供述しているが,Dも,Eがコンドームを持ってグランビアに入ったと供述しており,D供述と矛盾しない内容となっている。さらに,Cが強姦のことを言い出したという点も,被害者供述は,信用できるD供述と一致している。 そうすると,3人に順番に強姦された状況に関する被害者供述は,信用することができる。 イC供述・E供述が不自然なことこれに対し,Cは,Eが強姦することを言い出したが,Eから最初にグ ランビアに入るように言われたため,それに従ってグランビアに入ったが,強姦はしなかったと供述している。Eが強姦を提案したのなら,なぜ,Cに対して,最初にグランビアに入るように言ったのか,不自然である。さらに,強姦する気のないCが,Eの言うことに従ってグランビアに入ったというのも,CがEの先輩であり,両者に明確な上下関係があったことからすれば,不可解である。 また,Eについては,捜査段階では,姦淫行為をしたことを認めているが,公判になって,姦淫行為をしていないと供述を変遷した理由については,明らかではない。 さらに,上記のC供述とE供述は,信用できる被害者供述・D供述と,明らかに矛盾する内容になっている。 ウ 結論 そうすると,上記のC供述とE供述は信用できず,上記3⑴のとおりの は,明らかではない。 さらに,上記のC供述とE供述は,信用できる被害者供述・D供述と,明らかに矛盾する内容になっている。 ウ 結論 そうすると,上記のC供述とE供述は信用できず,上記3⑴のとおりの事実が認定できる。 Cらと別れてからの被告人の行動被告人は,11月28日未明,Cらと別れ,車でKを自宅まで送った後,交際相手のMを,実家まで迎えに行った。被告人は,Mとともに,午前4時過ぎころ,名古屋市内のラブホテルに行き,宿泊した。 被告人は,昼過ぎころ,目が覚めた。被告人は,Cらが女性をさらったのか,気になり,午後1時46分,ホテルの部屋から,Eに携帯電話で連絡した。Eは,C・D・Fとともに,G’をさらい,強姦したことを被告人に話した。被告人は,F・Dにも,携帯電話で連絡し,犯行の状況を確認した。 被告人は,午後3時過ぎころ,Mと一緒にホテルを出て,Mと別れた。そして,午後3時54分,Eに電話し,Eから「待っとるわ。」と言われた。 被告人は,丁に向かい,午後4時41分,丁前からEに携帯電話で連絡をした。その後の状況については争いがあるため,後に検討する。 被告人と再び別れてからのCらの行動11月28日の午後8時30分ころ,Cは,被害者の友人から金を持って来させるという計画を被告人らに言った。被告人は,これ以上の関与を嫌い,Cらと別れた。 その後,Cらは,被害者の友人であるI’に連絡を取り,前記公訴事実4記載のとおり,I’に被害者所有の腕時計や銀行通帳・印鑑などを遺留させ,Cらは,それを入手した。 そして,Cらは,遺留させた通帳と印鑑を使って,被害者の銀行口座から金を引き下ろすことを計画し,そのために,被害者を解放することとした。その準備として,F方に被害者を連行し,シャワーを浴びさせ,身なりを整えさせた。そして,F方において,前 て,被害者の銀行口座から金を引き下ろすことを計画し,そのために,被害者を解放することとした。その準備として,F方に被害者を連行し,シャワーを浴びさせ,身なりを整えさせた。そして,F方において,前記公訴事実5記載のとおり,Cが被害者を強姦した。 Cらは,被害者に対し,I’を拉致しているかのように装い,被害者がCらの言うことを聞かなければ,I’を被害者と同じ目に遭わせると信じ込ませた。 そして,Cらは,被害者に携帯電話を渡し,指示どおりに動くように命じ,前記公訴事実6(1)記載のとおり,被害者を一旦解放し,寅銀行σ支店に行かせ,同行τ支店に開設された被害者名義の口座から,880万円を引き下ろさせた上,そのうち870万円を遺留させ,Cらが手に入れた。 Cは,上記の口座以外からも現金を引き下ろすように被害者に指示したが,被害者の所持していた印鑑が,銀行に登録されていた印鑑と違ったため,現金を引き下ろすことができなかった。そこで,被害者を,岐阜県内の被害者の実家に帰し,翌日,銀行印を持って来させて,改めて,現金を引き下ろさせることを計画した。 被告人は,小牧市内の戌の駐車場において,Cらと合流した。Cらは,上記の870万円をその駐車場で山分けしたが,被告人が分け前を得たかについては,供述に食い違いがあるため,後に検討する。 その後,C・E・F・被告人は,本件犯行に使用したグランビアをб町内の人気のない路上で焼却した。 11月30日の脅迫被告人は,Cらと別れ,11月30日午前10時ころまで,交際相手のMとホテルに宿泊していた。Cから被告人に電話があったので,被告人はホテルを出て,Cと合流した。 Cは,被害者に対して,脅迫の電話を何度もかけ,被害者に銀行口座から現金を引き下ろさせようとしていた。しかし,被害者は,前日のうちに,職場の上司や あったので,被告人はホテルを出て,Cと合流した。 Cは,被害者に対して,脅迫の電話を何度もかけ,被害者に銀行口座から現金を引き下ろさせようとしていた。しかし,被害者は,前日のうちに,職場の上司や交際相手に連絡をし,I’の無事を確認した上,警察に届け出ていた。 被害者は,警察の指示のもと,犯人らを捕まえるために,Cからの電話に応対していた。 Cと被告人は,警察に捕まることをおそれ,パチンコ店で見付けた見ず知らずの男性2名に,被害者から現金を受け取る役目を依頼した。しかし,依頼された男性2名は,被害者の所に現金を受け取りに来た際,警察に連行され,Cと被告人は,金を得られなかった。 また,被告人は,Cが被害者へかけていた電話を,一度だけ交替したことがあった。 第3争いある事実 被告人が被害者に口淫させたか検察官は,被害者・F・Eの公判供述によれば,被告人が,11月28日に丁に到着した後,被害者に口淫させたことは優に認定できると主張する。 そこで,各証人の公判供述及び被告人供述の信用性を検討する。 (1)被害者供述についてア供述の要旨私は,11月28日から30日にかけて,何人かの男に拉致された。被害に遭っている間,目隠しをされていたので,犯人たちの顔は分からない。 しかし,犯人には,リーダー格の男,「E’」と呼ばせた男,「F’」と名付けた男,一番最後に怒鳴った男,がっちりした感じの男の5人がいたと思う。 それぞれの犯人の特徴について言うと,リーダー格の男は,大きくて太っている感じで,声がちょっと高めだった。E’は,性器に真珠のようなものを入れていた。F’は,強姦もせず,口淫もさせなかった。一番最後に怒鳴った男は,解放後,11月30日にリーダー格の男と電話でやりとりしているときに,突然,電話を替わり,怒鳴って脅してきた。がっちり を入れていた。F’は,強姦もせず,口淫もさせなかった。一番最後に怒鳴った男は,解放後,11月30日にリーダー格の男と電話でやりとりしているときに,突然,電話を替わり,怒鳴って脅してきた。がっちりした感じの男は,余りしゃべらなかった。 私が,丁に駐車中の車内に監禁されていた時,右手が車の後部座席の手すりに手錠でつながれていたことがあった。左手がタオルで手すりにくくりつけられていたか,自由になっていたかは,覚えていない。 その状態の時に,F’が私にすり寄ってきた。そこに,一番最後に怒鳴った男が,「どけ。」と言いながら入ってきた。そして,私の頭をつかんで,「しっかりやれよ。」と言いながら,私に口淫をさせた。 5分ほど経って,その犯人は,私の口の中に射精した。 射精された精液を口の中にためていたところ,F’からティッシュをもらって出した。その後,お茶か何かで口の中をゆすいだ。 その犯人は,F’に,「なんで,下着を履いてないの。」と言って,私が下着を履いていないことを,F’に質問していた。そして,その犯人は,「僕が下着を買ってきてあげるよ。」と言って,車から降りた。 私に口淫させた犯人は,性器がすごくフニャフニャで,勃起しきっていない状態で,ちょっと生臭いようなゴムっぽい臭いがした。その犯人は,一番最後に怒鳴った犯人と同一人物であった。その理由は,私を脅したときの声が同じだったからである。 イ供述の証明力 (ア)利害関係,認識状況等被害者は,本件以外に被告人や他の犯人との関係は認められず,故意に,虚偽供述を行う動機は考えられない。しかし,被害者は,監禁中,目隠しをされ,視覚以外に頼って犯人らを識別していたのであり,その供述からどのような事実が認定できるかは,慎重に検討しなければならない。 (イ)被害者供述から,被告人が犯人と直接認定でき 監禁中,目隠しをされ,視覚以外に頼って犯人らを識別していたのであり,その供述からどのような事実が認定できるかは,慎重に検討しなければならない。 (イ)被害者供述から,被告人が犯人と直接認定できるか被害者は,被告人が口淫させた犯人であると断定している。そこで,この被害者供述により,被告人を犯人と直接認定することができるかを検討する。 まず,被害者が,被告人が口淫させた犯人であるとする根拠は,口淫させた犯人が脅した声と,被告人が電話で脅した声が同じだからというものである。 しかし,被害者は,口淫された際の声にしろ,電話越しの声にしろ,短いフレーズを聞いただけに過ぎず,ある程度の時間にわたって会話したわけではない。そして,電話越しの声は,肉声とは異なる印象で聞こえることもあり得るものであるし,また,脅す際の声というのは,他人の声であっても,ある程度,似るものと考えられる。さらに,被害者は,被告人や口淫させた犯人の声の特徴について,質問されても,具体的な特徴を挙げ得ていない。 そうすると,被害者が聞いたとする声が同一である旨の供述だけを根拠に,被告人と口淫させた犯人が同一であると断言するには,その証明が十分に尽くされたとは言い難いところがある。 (ウ)被害者供述に表れた,その他の犯人の特徴被害者供述では,口淫させた犯人の特徴として,犯人の性器が,ちょっと生臭いようなゴムっぽい臭いがしたことが挙げられている。しかし, 被告人は,グランビア内で被害者を強姦していないと認められるから,被告人はコンドームを使用していないと考えられる。そうすると,被害者の供述する犯人は,被告人以外ではないかとの疑いが生じる。 また,被害者は,口淫させた犯人が,Fに対し,「なんで,下着履いてないの。」と聞いたと供述している。被告人は,被害者が監禁されている 被害者の供述する犯人は,被告人以外ではないかとの疑いが生じる。 また,被害者は,口淫させた犯人が,Fに対し,「なんで,下着履いてないの。」と聞いたと供述している。被告人は,被害者が監禁されているグランビアに乗り込んだ際に,被害者が下着を履いていないことに気付き,グランビアの車内を探したが,見付からなかったと供述している。両供述を総合すると,被告人と口淫させた犯人とが結びつくとも考えられる。 しかし,被害者は,捜査段階において,強姦された3人くらいまでは特徴を覚えるようにしていたが,それ以降は,相手のことを覚えるのをやめたと供述している。被害者の供述は,突如,本件犯行に巻き込まれ,数人の男から強姦された被害者の心情として,十分に理解できるものである。現に,被害者は,C・D・Eに順番に強姦されたことについては,その状況や,犯人の特徴について,詳細に供述しているが,それ以降に強姦をされた状況などについては,捜査段階・公判においても,詳細な供述はされていない。そうすると,被害者がC・D・Eに順番に強姦された状況を供述する部分は,前記のとおり,信用することができるが,グランビア内で口淫された状況を供述する部分の証明力は,それと区別して考えることができる。 そして,被告人が被害者に口淫させたとすると,11月28日の午後5時以降と考えられ,被害者が監禁されてから,すでに10時間以上が経過していたことになる。そうすると,上記のような心情の被害者が,口淫させた犯人の特徴や,その直後の会話を正確に記憶できているかについては,疑問が残る。被告人以外の別の犯人が被害者に口淫させた後,多少の時間が過ぎてから,被告人が車内を訪れ,下着の話をした可能性 は否定できず,被告人が,被害者に口淫させたとするには,やはり,合理的な疑いが残る。 そうすると,被害者 被害者に口淫させた後,多少の時間が過ぎてから,被告人が車内を訪れ,下着の話をした可能性 は否定できず,被告人が,被害者に口淫させたとするには,やはり,合理的な疑いが残る。 そうすると,被害者供述から,被告人が口淫させた犯人であると認定することはできない。 (2)E供述についてア供述の要旨11月28日に被害者を拉致し,丁に連れてきた。被告人が丁に来たのは,28日の夕方であった。そのとき,私は丁工場内のベンチに座っていた。 被害者を閉じこめているグランビアに被告人が入っていったことがあった。ベンチから見ていると,サンルーフから,被告人の頭が出ているのが見えた。 グランビアの後部の窓ガラス越しに,被告人と被害者のシルエットが見えた。立っている被告人の股間の辺りに,被害者の顔があり,被害者は膝をついて立っていた。 その後,Fが,ティッシュを持って,車に入って行き,ティッシュを持って出てきた。窓ガラス越しには,Fが被害者を介護しているように見えた。 被告人は,28日の夕方,暗くなるまで丁にいた。 イ供述の信用性(ア)利害関係・供述態度等Eは,本件犯行の共犯者であり,被告人に罪責を負わせることで,自らの罪責を軽くしうる立場にあり,虚偽供述の動機がないとはいえない。 さらに,本件犯行の共犯者は,本件犯行が行われた後,すぐに逮捕されたわけではなく,その後も,同じメンバーで窃盗を行っていたのであり,口裏合わせを行う機会が,十分にあったことにも,留意すべきである。 また,Eの供述態度には,以下のような重大な問題がある。すなわち,Eは,証人として第7回公判に召喚されながら,留置場で柱にしがみつくなどして出頭を拒否し,第9回公判に証人として出頭したものの宣誓を拒否した上,その理由について,一切明らかにしなかった。そして,第10回公判に して第7回公判に召喚されながら,留置場で柱にしがみつくなどして出頭を拒否し,第9回公判に証人として出頭したものの宣誓を拒否した上,その理由について,一切明らかにしなかった。そして,第10回公判において,ようやく証言するに至ったが,気に入らない質問があると,理由なく供述を拒否するなどしており,真剣に供述しようとする態度は全く認めることができない。 以上のような被告人との関係や供述態度からすると,E供述の信用性は,そもそも低く考えざるを得ない。 (イ)他の証拠との符合aサンルーフの位置次に,E供述の内容を見ると,Eは,被告人の頭がサンルーフから出ているのを見たと供述している。しかし,Cは,グランビアのサンルーフのあった位置について,運転席と助手席の上であると供述している。前記のとおり,Cは,自己の罪責を軽減するような供述に終始しているが,サンルーフの位置にかかる供述は,Cの罪責と無関係であり,その信用性を区別して考えることができる。もっとも,Cが,グランビアのサンルーフの位置を正確に覚えている根拠なども明らかになっておらず,直ちに,C供述のとおりのサンルーフの位置が認定できるとまではいえない。焼却後のグランビアの写真を見ても,後部座席にサンルーフがあるかどうかは定かではない。 しかし,C供述が虚偽又は勘違いであるとする根拠もないため,後部座席にサンルーフが設けられていない疑いは排除しきれない。 後部座席にサンルーフが設けられていないとすると,被告人が到着したときには,被害者は後部座席の背もたれにもたれる体勢で,右手を手錠で後部座席の手すりにつながれていたのであるから,その被害 者に口淫させた被告人の頭がサンルーフから出るとは考えられず,E供述は客観的状況に合致しない疑いがある。 bグランビアの後部窓ガラスの状況さらに,Eは につながれていたのであるから,その被害 者に口淫させた被告人の頭がサンルーフから出るとは考えられず,E供述は客観的状況に合致しない疑いがある。 bグランビアの後部窓ガラスの状況さらに,Eは,被告人と被害者のシルエットが後部窓ガラス越しに見えたと供述している。しかし,グランビアの所有者であるQの捜査段階の供述によれば,グランビアの後部の窓ガラスには,スモークが貼られていたことが認められる。丁内の照明の程度は定かではないが,11月28日の午後5時ころという屋外が暗い時間帯で,室内において,スモーク越しにシルエットが見えるかどうかについては,疑いが残る。 それに加え,同供述によれば,グランビアの後部窓ガラスには,電動式のベージュ色のカーテンが備え付けられていたことが認められる。 被害者は,捜査段階において,グランビアが丁に着いた後,被害者が犯人の隙をついて目隠しを外した際,後部の窓ガラスにベージュ色のカーテンが掛かっていたのが見えたと思うと供述している。Eも,公判廷において,後部のカーテンは閉まっていたと思うと供述しているし,他の共犯者の供述を見ても,閉まっているカーテンを開けたとの供述はない。さらに,被害者が,目隠しを外して外の状況を見ようとしたことがあったことからしても,犯人達が,監禁している車のカーテンをわざわざ開けることは不自然であり,グランビアの後部のカーテンは閉まっていたと考えるのが合理的である。 すると,被告人と被害者のシルエットが後部窓ガラス越しに見えたというE供述は,客観的状況に矛盾し,信用することができない。 (ウ)検察官の主張についてなお,検察官は,上記のE供述が,「被告人が口でやらしたけど,早く出した。」という話をEから聞いたとするD供述によって補完されて いるため,信用性が高いと主張する。確かに,先 察官の主張についてなお,検察官は,上記のE供述が,「被告人が口でやらしたけど,早く出した。」という話をEから聞いたとするD供述によって補完されて いるため,信用性が高いと主張する。確かに,先に検討したとおり,D供述は,全体において信用性が高い。しかし,検察官の主張するD供述は,Eからの伝聞に過ぎず,上記のとおり原供述であるE供述が信用できない以上,これを補完する関係にはない。 (エ) 結論以上からすれば,E供述を信用することはできない。 (3)F供述についてア供述の要旨11月28日に被害者を拉致し,丁に連れてきた。午後くらいに,被告人がやってきたことがあった。被告人が来た時,私は,被害者のいるグランビアの中で寝ていた。 すると,被告人が車の中にやってきて,私に,「出てろ。」と言った。 私は,車内から出て,事務所に行った。5分ほどして,被告人が事務所にやってきて,私に対し,「ティッシュを持って行ってやれ。」と言った。 私は,数枚のティッシュをつかみ,グランビアに戻った。被害者が,口から精液を吐き出し,それをティッシュで受けた。 被告人が来て,被害者の口から精液を受けるまで,丁内にはEもいた。 被害者のパンティーを買ってきたのは,Cだと思うが,Cが,パンティーを買ってきたいきさつについては,知らない。 イ供述の信用性(ア)利害関係Fは,本件犯行の共犯者であるため,抽象的には,共犯者の行為について虚偽を述べて自らの罪責を軽くしうる立場にあり,虚偽供述の動機がないとはいえない。それに加え,Fは,Eの直接の後輩であるため,Eをかばう目的で,虚偽供述をするおそれも考えられる。 また,Eと同様,本件犯行後,すぐに逮捕されたわけではなく,その 後も,本件犯行の共犯者と窃盗を行っており,口裏合わせを行う機会も十分にあった。 以上からす ,虚偽供述をするおそれも考えられる。 また,Eと同様,本件犯行後,すぐに逮捕されたわけではなく,その 後も,本件犯行の共犯者と窃盗を行っており,口裏合わせを行う機会も十分にあった。 以上からすると,F供述の信用性は,慎重に検討しなければならない。 (イ)他の証拠との符合a被害者供述との符合次に,F供述の内容について見ると,F供述は,被告人が車内に入ってきて,Fにどくように指示し,その後,Fがティッシュで被害者から精液を受けたとする点において,被害者供述とほぼ一致している。 しかし,被害者は,車内で,被告人がFに対し,被害者がなぜ下着を履いていないかを尋ね,被告人が下着を買ってくると言ったと供述している。これに対し,Fは,パンティーを買ってきたのは,Cであるが,Cがパンティーを買ってきたいきさつは知らないと供述している。 先に検討したとおり,被害者供述において,被告人が口淫させた犯人であることと結びつきうる点は,口淫させた犯人が,Fとの間で被害者の下着について会話をしたという点である。 このような重要な部分について,被害者供述と齟齬のあるF供述については,信用性を低く見ざるを得ない。 bE供述との符合また,Fは,「数枚のティッシュをつかみ,グランビアに行った。 被害者が,口から精液を吐き出し,それをティッシュで受けた。」と供述し,Eは,「丁内のベンチに座っていると,Fが,ティッシュを持って,車に入って行き,ティッシュを持って出て来るのが見えた。 窓ガラス越しには,Fが被害者を介護しているように見えた。」と供述している。 両供述は,Fが,ティッシュをつかんで乗車し,被害者の口から精 液を受け取ったという点について,合致している。しかし,前記のとおり,E供述には問題が多いため,E供述を信用することはできない。 そうすると,そのよ ティッシュをつかんで乗車し,被害者の口から精 液を受け取ったという点について,合致している。しかし,前記のとおり,E供述には問題が多いため,E供述を信用することはできない。 そうすると,そのようなE供述と合致しているF供述についても,信用性に疑問が生じることになる。 (ウ)供述内容の自然性a丁到着までの被告人の行動との関係加えて,F供述を前提とすると,被告人は,被害者が監禁されているグランビアに乗り込み,Fと特段の会話もすることなく,直ちにFをどかした上,被害者に口淫させたことになる。 被告人は,本件犯行の計画をCから聞いた際の心情について,警察官調書では,「女をさらって金を取るというのは,盗みをするのとは話が違う。女をさらうということ自体に抵抗を感じるから,自分は関わらないようにしようと思った。」と供述し,検察官調書では,「被害者であるG’が勤めている未というキャバクラは,私が元々所属していた暴力団が面倒を見ているキャバクラであった。G’に手を出すと,私のヤクザ関係からして,えらいことになると思い,身をかわさなきゃと思った。」と供述している。 両調書の内容は,詳細には一致しないが,要するに,被告人は,本件犯行への参加について,消極的に考えていたという点では,一致している。被告人の実際の行動を見ても,11月28日に,Cから,本件犯行への参加を打診されながら,犯行には参加せず,その後も,E・F・Dと電話連絡を取り,本件犯行の状況を聞いているが,直ちに犯行現場に駆け付けたわけでもない。被告人の実際の行動からしても,被告人が本件犯行への参加を消極的に考えていたことは,十分認められる。 そうすると,F供述を前提とした被告人の行動は,グランビアに入 って来るなり,その場の状況について現場にいた者たちに確認することもなく,突然, 参加を消極的に考えていたことは,十分認められる。 そうすると,F供述を前提とした被告人の行動は,グランビアに入 って来るなり,その場の状況について現場にいた者たちに確認することもなく,突然,被害者に口淫させたというものであり,それまでの被告人の行動などからして,余りにかけ離れており,不自然な行動と考えざるを得ない。 bFへの電話との関係さらに,被告人は,「11月28日昼ころ,EからC・D・Fとともに,G’をさらったことを聞いたので,Fが心配になった。そして,Fに電話をして,強姦に参加していないことを確認し,これ以上罪が重くならないように『やるなよ。』と念を押した。」と供述している。 Fは,被告人からの電話の中で,「やるなよ。」と言われたかについては,記憶がないと供述している。しかし,被告人供述と矛盾するわけでもなく,他に,被告人の上記供述の信用性を弾劾する証拠もないため,その旨の供述を直ちに排斥することはできない。 そうすると,Fに対して,心配し,罪が重くならないように助言していた被告人が,Fと会ったにもかかわらず,何も会話をしていないというのは不自然である。また,Fに対して,強姦するなと言っていた被告人が,丁に到着するなり,被害者への口淫に及ぶというのも,不自然である。 (エ)供述の変遷さらに,Fは,主尋問では,被告人が丁に来たのに気付いたのは,車内で寝ていた時だと供述しながら,反対尋問においては,被告人が丁へ来たときに,Eとともに事務所の中で雑談をしたと供述しており,変遷が見られる。 このような供述部分は,Fが,丁に到着した被告人を,初めて認識したときの状況に関するものであり,その直後に口淫行為がなされたとされていることからすると,重要な部分についての供述である。 このような重要部分について,なぜ変遷が起きたのか 告人を,初めて認識したときの状況に関するものであり,その直後に口淫行為がなされたとされていることからすると,重要な部分についての供述である。 このような重要部分について,なぜ変遷が起きたのか,合理的な説明はなされていない。 (オ) 結論以上からすると,F供述は,被害者供述との齟齬を十分に説明できない上,その供述内容に表れている被告人の行動は不自然であり,F供述の信用性を肯定することはできない。 (4)被告人供述についてア被告人供述の要旨私は,11月28日の未明に,Cらと別れた後,交際相手であるMと合流し,ホテルに宿泊した。 11月28日の昼にホテルの中から携帯電話でE・D・Fに連絡を取り,Cらが被害者を拉致し,丁に監禁していることを知った。また,Eから携帯電話に連絡があり,「ゴムが破れた。」と突然言ってきたことがあった。 午後4時ころ,Mと別れ,Eと連絡を取った。Eから,丁に来てほしいと言われたので,丁に向かった。丁に着いて,Eの携帯電話に連絡したところ,Eが中から迎えてくれた。 Eに連れられて,丁内に駐車してあるグランビアの所まで行った。グランビアの車内には,最後尾の座席に,目隠しをされた被害者がいた。被害者は,手すりに,右手を手錠でつながれていた。被害者の横には,Fがいた。 イ被告人供述の信用性被告人の供述は,丁に到着し,グランビアの車内の様子を見るまでの状況についても,唐突な印象を受けるところはなく,自然な流れであり,特段,不自然な点は認められない。 (5) 結論 以上からすれば,被告人が被害者に口淫させたと認めるには,合理的な疑 いが残り,その旨の認定はできない。 被告人が丁前でオートバイを受け取った状況被告人は,11月28日に丁に行った際,丁前でオートバイを受け取ったことを認めている。しかし,オートバ 理的な疑 いが残り,その旨の認定はできない。 被告人が丁前でオートバイを受け取った状況被告人は,11月28日に丁に行った際,丁前でオートバイを受け取ったことを認めている。しかし,オートバイを預けたHの供述と,被告人の公判供述では,若干違いが見られるので,それぞれの供述の信用性を検討する。 (1) 供述の要旨アH供述の要旨私は,11月28日午前8時30分ころ,ツーリングに出掛けようとして,丁まで自分の車で行った。丁に着くと,Cが出てきて,「取り込んでますから。オートバイは僕が出します。」と言って,私を工場内に入れさせようとせず,Cがオートバイを持ってきた。 その後,ツーリングに出掛けたが,Cから,何時に帰ってくるかを確認する電話が何度かかかってきた。 午後5時ころ,丁に戻ると,初めて見る男が事務所から出て来て,「ちょっと待って下さい。オートバイは入れておきます。」と言って,再び,丁内に私を立ち入れさせようとしなかった。 丁内に人の気配がしたが,Cがヤクザであるため,意識的に関わりたくないとの思いから,丁内は見なかった。 警察で写真を見せられ,オートバイを受け取った男が被告人であることが分かった。 イ被告人供述の要旨11月28日に,丁に行った後,Eに車を貸した。 丁の外にいると,たまたまオートバイを持ってきた人がいたので,私が対応した。オートバイを置いておいてと頼まれたので,そのとおりにした。 (2)供述の信用性Hは,被告人とは全く面識がない上,Cとの関わり合いを避ける行動をと っている。そうすると,Hには虚偽供述をする動機はない。 そして,関係者の携帯電話の使用状況に関する捜査報告書によれば,11月28日には,Cの使用する携帯電話からHに3回の架電があり,H供述の内容と符合する。 しかし,H供述は,被告人が事務所から出 い。 そして,関係者の携帯電話の使用状況に関する捜査報告書によれば,11月28日には,Cの使用する携帯電話からHに3回の架電があり,H供述の内容と符合する。 しかし,H供述は,被告人が事務所から出てきたとする部分は,被告人供述と齟齬がある。H供述は,反対尋問にさらされていない上,その調書の記載から,Cの行動に焦点を当てて聴取したものと考えられる。そうすると,Hが丁に到着したときに,被告人が外にいたか,中から出てきたかについては,記載されているとおりの事実を認定できるかは,疑問が残る。 そうすると,H供述については,全体的に信用できるが,被告人が事務所内から出てきたかどうかについては,被告人供述を排斥することができない。 被告人が戌駐車場で金を受け取ったかEは,11月29日に,被害者を解放した後,小牧市内の戌の駐車場で,被害者に遺留させた870万円をC・D・E・F・被告人で山分けし,被告人も30万円くらいを受け取ったと供述している。 しかし,先に検討し,信用できると判断したD供述では,CがDにお金の分配をして,それが終わったときに被告人が来たと述べられており,この供述と矛盾する。 さらに,Cは,被告人に金を渡していないと供述し,Fは,捜査段階でグランビア内で金を分けたが,グランビアに被告人はいなかったと供述しており,E供述は,いずれの供述とも矛盾する。 さらに,E供述については,その供述態度などからして,全体的に信用性を低く考えざるを得ない点を合わせて考えれば,上記のE供述を信用することはできない。 第4成立する犯罪 共同正犯の成立について 以上の事実をもとに,被告人に共同正犯が成立するかを判断する。 検察官の指摘するとおり,被告人は,Cらと頻繁に携帯電話で連絡を取り,Cらの行っている犯行について,状況を把握していたことが認め て 以上の事実をもとに,被告人に共同正犯が成立するかを判断する。 検察官の指摘するとおり,被告人は,Cらと頻繁に携帯電話で連絡を取り,Cらの行っている犯行について,状況を把握していたことが認められる。そして,被告人が,丁内で監禁されている被害者の状況を見に行った際にも,その場にいたE・Fや,後から合流したC・Dに,その場から立ち去るように言われておらず,また,被告人は,Cらの本件犯行を把握しながら,被害者を解放したり,警察に通報したりもしていない。 以上の点は,Cらが,被告人を仲間であると考えていた表れとも見ることができる。しかし,Cらと被告人は,窃盗の仲間として,度重なる窃盗行為を行ってきた関係にあり,被告人は,本件犯行当時,別の窃盗事件で警察に追われていた。そうすると,被告人が,本件犯行の状況を把握したとしても,警察に通報するなどということは,考えにくく,警察に通報していないことや,Cらが被告人の丁内への立入りを制止していないことをもって,被告人との間で本件犯行についての共謀関係が成立していたと認めることはできない。 さらに,窃盗と本件犯行のような営利略取等では,罪質などが全く異なり,窃盗については,何度も共謀して実行してきており,容易に共謀が成立する被告人とCらにおいても,本件犯行について,直ちに共謀が成立するとは考えられない。 そして,被告人は,Cらが戌において,被害者から得た870万円を山分けする場面に遭遇しながら,金員を一切受け取っていない。このことも,Cらが,被告人を本件犯行の仲間として扱っていなかったことの表れである。 さらに,手錠やガムテープを用意したり,「Pドコ」を設置したりするという本件犯行の準備行為は,主にCによって行われており,被告人は,関与していない。Cらとともに,被害者方のマンションへの下見を行ってはい に,手錠やガムテープを用意したり,「Pドコ」を設置したりするという本件犯行の準備行為は,主にCによって行われており,被告人は,関与していない。Cらとともに,被害者方のマンションへの下見を行ってはいるが,車から降りて,被害者方周辺の状況を確認したわけでもなく,Cが,計画を説明する上で,被害者方のマンションを見せたとも考えられ,本件犯行の準備とし て,一緒に下見をしたとまでは言えない。 そして,被告人は,本件公訴事実の1ないし6(1)について,オートバイを丁前で受け取った行為以外については,Cらの犯行を容易にする何らの行為も行っておらず,逆に,前記のとおり,本件犯行への関与を避けるように行動している。 なお,被告人は,本件犯行に使用した車両の処分をCらとともに行い,被害品の時計の質入れを行っているが,これらは,犯行後の行為であり,上記の被告人の本件犯行への関与の程度を考えると,これらの行為をしたことをもって,共謀が成立していたとは考えられない。 そうすると,被告人とCらの間において,共謀が成立していたとは認められず,ましてや,被告人に正犯意思があったとも認められない。 よって,Cらとの共同正犯は成立しない。 幇助の成立について(1) 認定事実と評価前記のとおり,被告人が丁の外にいた際,Hがツーリングから帰ってきて,オートバイを預けた事実が認められる。 被告人がオートバイを預からず,H自らが丁内にオートバイを預けることを許せば,被害者から強取した物品が丁内の机に並べられていたことなどからすれば,Hが,丁内に駐車しているグランビアに被害者が監禁されていることに気付いた可能性も認められる。Hは,Cらと窃盗などを一緒に行ってきた被告人とは違い,丁内の異変に気付いた場合,警察への通報などの行動に出る可能性が十分に認められる。 そうすると,被 されていることに気付いた可能性も認められる。Hは,Cらと窃盗などを一緒に行ってきた被告人とは違い,丁内の異変に気付いた場合,警察への通報などの行動に出る可能性が十分に認められる。 そうすると,被告人の行為は,客観的にCらの監禁の発覚を防ぐ行為として,それ以降のCらの監禁行為の継続を容易にするものと認められる。 次に,被告人がオートバイを預かった行為について,Cらの本件犯行を容易にするものであるという認識(幇助の故意)があったかについて,検討す る。 被告人は,丁に到着する以前に,D・E・Fから,被害者を拉致したことや,被害者への強姦がなされたことなどについての情報を得ている。そして,丁到着後,グランビア内に監禁されている被害者の様子を見ており,Cらが被害者を監禁している状況について,十分,認識している。 そして,被告人が丁前にいたところ,Hがオートバイを持って現れたというのであり,Hを丁内に入れれば,監禁の状況が発覚してしまうかもしれないことは,被告人が十分に認識したと認められる。 そうすると,被告人がオートバイを預かる行為が,Cらの本件犯行の発覚を防ぎ,Cらの本件犯行を容易にすることについて,少なくとも,そのような可能性は認識していたと見るのが自然であり,未必的な幇助の故意は認められる。 なお,被告人は,外にいるときに,オートバイを持ってきた人がいたので,受け取っただけであり,中に入られるとまずいという気持ちはなかったと供述している。被告人が,オートバイを預かった状況は,被告人が外にいるときにHがオートバイを預けに来たので,受け取ったというものであり,積極的に,Hを追い返そうとしたとまでは認められない。しかし,上記のとおり,被告人には,未必的な幇助の故意は認められ,その意思は,他の意思と併存していても構わないのであるから,上記の うものであり,積極的に,Hを追い返そうとしたとまでは認められない。しかし,上記のとおり,被告人には,未必的な幇助の故意は認められ,その意思は,他の意思と併存していても構わないのであるから,上記の状況は,幇助の成立を妨げるものではない。 次に,被告人の行為が,Cらのいかなる犯行を幇助したかを検討する。 本件の監禁は,Cらの営利略取・逮捕監禁致傷・強盗強姦の犯行の一環として行われたものであるが,営利略取,逮捕については,既に実行行為は終了しており,事後的にこれらの犯行を幇助することはできない。また,致傷の点については,逮捕の際に生じたものである可能性が高く,監禁中に生じたものであるとは言い切れない。そうすると,幇助行為以前に発生した結果 について,幇助犯がその責任を負わなければならないとは解されず,致傷の結果についての責任を肯定することはできない。 さらに,強盗強姦については,被告人の幇助行為後,前記公訴事実4ないし6(1)の各犯行がなされている。しかし,被告人の幇助行為時点で,被告人が,これらの犯行が今後行われるであろうことを認識していたかについては,これを認定する証拠がない。そうすると,強盗強姦を幇助するとの故意に欠けるものといわざるを得ない。 また,被告人の幇助行為後,丁内で,Cらのいずれかによって,被害者への強姦がなされた可能性も否定できないが,認定するだけの証拠がない。そうすると,被告人の行為が,前記公訴事実3記載の強姦を幇助したものともいえない。 結局,被告人の行為は,前記公訴事実1のうち,監禁を幇助したものに留まる。 (2) 手続の検討なお,当裁判所が認定した幇助の実行行為は,被告人が丁前でオートバイを預かったというもの(以下,この事実を「本件事実」という。)であるが,公訴事実には明記されていない。 しかし,以下に述べ 続の検討なお,当裁判所が認定した幇助の実行行為は,被告人が丁前でオートバイを預かったというもの(以下,この事実を「本件事実」という。)であるが,公訴事実には明記されていない。 しかし,以下に述べる本件の訴訟の進行状況からすれば,本件事実を幇助として認定することは,訴因逸脱認定にはならず,また,被告人の防御権を不当に侵害するものでもない。 すなわち,第3回公判において,弁護人から,被告人には共謀を支える実行行為に近いどのような支援関係があったのか,具体的にされたいとの釈明要求がなされ,検察官は,立証段階で明らかにすると釈明している上,同公判で行われた検察官の冒頭陳述において,被告人の共謀を根拠付ける間接事実又は共謀に基づいて被告人が分担した行為として,本件事実が具体的に述べられている。 そうすると,本件事実は,訴因である共謀の補足又は訴因に準じたものとして,実質的に審判の対象になっていると考えられ,本件事実を幇助として認定することは,すでに争点になっている事実について,法的評価が異なるに過ぎないといえる。 さらに,弁護人は,本件事実について,Hが供述した捜査段階の調書に同意するなどしており,本件事実については,おおむね争っていない。また,第18回公判において,弁護人は,本件事実などがCらを支援するものではないと釈明している。 そうすると,本件訴訟において,本件事実の存在自体には,おおむね争いがなく,それが共謀を根拠付ける事実といえるかが争点となっている。すると,本件事実が幇助に当たるかどうかについては,本件事実が共謀を根拠付ける事実といえるかどうかを主張する中で,あわせて防御できるものであり,上記認定が,被告人の防御にとって,不意打ちになるとはいえない。 強盗未遂の成否次に,被告人が前記公訴事実6(2)の強盗未遂に関与した点 えるかどうかを主張する中で,あわせて防御できるものであり,上記認定が,被告人の防御にとって,不意打ちになるとはいえない。 強盗未遂の成否次に,被告人が前記公訴事実6(2)の強盗未遂に関与した点については,弁護人は恐喝未遂の責任に留まると主張するため,これを検討する。 11月29日に被害者が解放される段階で,被害者は,約29時間30分にわたり監禁された上,その間に少なくとも3人の男から強姦の被害を受けている。そして,Cらは,被害者を解放する際,I’を拉致した旨を告げ,言うとおりにしなければ,I’を被害者と同じ目に遭わせ,被害者をもう1回さらうと脅迫した上,銀行及び信用金庫から現金を引き下ろすように指示している。 なお,Cらは,I’を現実には拉致していなかった。 上記の状況は,Cらの支配下から被害者を解放しているものの,被害者が他の人に助けを求めれば,I’を被害者と同様の目に遭わせると信じ込ませたというものであり,被害者が他の人に助けを求めることは,到底,不可能である。 そうすると,被害者は解放されてはいるが,なお,反抗抑圧状態にあったと認 められる。 そして,Cらは,被害者に現金を引き下ろしに行かせた銀行において,銀行印が合わなかったため,被害者に銀行印を取りに行かせることとし,被害者を岐阜県内にある被害者の実家に帰している。 被害者が,単に一人でいる状態から,実家に帰り,家族とともにいる状態になったことにより,被害者は,家族などに救援を求めることが可能になったとも考えられる。現に,被害者は,実家に帰ってから,勤務先の上司や交際相手と相談し,警察へ届け出ている。そうすると,この段階で,被害者は,単に畏怖していたに留まり,反抗を抑圧されていたとは言い難い。 しかし,被害者が警察などに相談できたのは,現実には,I’が監禁されていなかったか 警察へ届け出ている。そうすると,この段階で,被害者は,単に畏怖していたに留まり,反抗を抑圧されていたとは言い難い。 しかし,被害者が警察などに相談できたのは,現実には,I’が監禁されていなかったからであると考えられ,被害者が,I’が監禁されていると信じ込んでいれば,たとえ被害者が家族と一緒にいたとしても,救援を求めることができたかは疑わしい。 そうすると,被害者が実家に帰った11月29日の段階においても,Cらの行った脅迫は,なお,被害者を反抗抑圧状態に至らせる程度のものであったといえる。強盗罪の成否については,脅迫の程度が一般人を反抗抑圧状態に至らせる程度のものであれば足り,実際に被害者が反抗抑圧状態にあったかどうかは,無関係であり,客観的には,本件において,強盗未遂罪が成立している。 しかし,被害者は,Cから電話を替わった被告人から,「さっさと金出せばいいんだよ。これから一生つきまとってやる,警察は24時間守ってくれない,I’も同じような目に遭わせてやる。」などと言われたと供述している。以上の被告人の言葉からすると,Cらが被害者に,I’を誘拐したと信じ込ませていた点を,被告人が認識していたかには疑問が残る。また,他の証拠によっても,被告人が上記認識を有していたと認めることはできない。 そうすると,被告人には,被害者が反抗抑圧状態にあると認識しうるために最も重要なI’の監禁という認識が欠けていたことになり,強盗未遂の故意が 欠けるものといわなければならない。 結論 以上のとおり,前記各公訴事実については,監禁の幇助と6(2)について恐喝未遂が成立し,その他の点については,無罪である。 なお,前記各公訴事実について,有罪であるとした場合にそれらは科刑上一罪になると考えられるため,主文で無罪の言渡はしない。 【法令の適用】罰条判示 遂が成立し,その他の点については,無罪である。 なお,前記各公訴事実について,有罪であるとした場合にそれらは科刑上一罪になると考えられるため,主文で無罪の言渡はしない。 【法令の適用】罰条判示第1,第5の1,2の各事実のうち建造物侵入の点いずれも刑法60条,130条前段窃盗の点いずれも刑法60条,平成18年法律第36号による改正後の刑法235条(行為時においては前記改正前の刑法235条に,裁判時においてはその改正後の刑法235条に該当するが,これは犯罪後の法令によって刑の変更があったときに当たるから刑法6条,10条により軽い裁判時法の刑による。)判示第2の事実道路交通法118条1項1号,22条1項,同法施行令11条判示第3の1の事実刑法62条1項,平成17年法律第66号附則10条,同法律による改正前の刑法220条判示第3の2の事実刑法60条,250条,249条1項判示第4の1,2,第6,第7の各事実のうち建造物侵入の点いずれも刑法60条,130条前段窃盗未遂の点いずれも刑法60条,243条,平成18年法律第36号による改正後の刑法235条(行為時においては前記改正前の刑法235条に,裁判時においてはその 改正後の刑法235条に該当するが,これは犯罪後の法令によって刑の変更があったときに当たるから刑法6条,10条により軽い裁判時法の刑による。)科刑上一罪の処理判示第1,第5の1,2の各事実いずれも刑法54条1項後段,10条(各建造物侵入と各窃盗との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので,いずれも一罪として重い窃盗罪の刑で処断)判示第4の1,2,第6,第7の各事実いずれも刑法54条1項後段,10条(各建造物侵入と各窃盗未遂との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので,いずれも一罪として重い窃盗未遂 重い窃盗罪の刑で処断)判示第4の1,2,第6,第7の各事実いずれも刑法54条1項後段,10条(各建造物侵入と各窃盗未遂との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので,いずれも一罪として重い窃盗未遂罪の刑で処断)刑種の選択判示第1,第2,第4の1,2,第5の1,2,第6,第7の各罪いずれも懲役刑法律上の減軽判示第3の1の罪刑法63条,68条3号併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条により刑及び犯情の最も重い判示第5の1の罪の刑に法定の加重(ただし,短期は判示第3の1の罪の刑のそれによる)未決勾留日数刑法21条(650日算入)訴訟費用刑事訴訟法181条1項ただし書(被告人に負担させない。)【量刑の理由】 事案の概要 本件は,被告人が共犯者3名ないし11名と共謀の上,夜間,店舗などに侵入して起こした建造物侵入・窃盗3件(判示第1,第5の1,2の各事実),同様の建造物侵入・窃盗未遂4件(判示第4の1,2,第6,第7の各事実),窃盗の現場から逃走する際に法定の最高速度を超過して車両を運転した道路交通法違反1件(第2の事実),Cら4名が被害者を監禁するに際し,無関係な人間の監禁場所への立入りを阻止した監禁幇助(第3の1),Cと共謀の上,同被害者に対して行った恐喝未遂(第3の2)の事案である。 2⑴建造物侵入,窃盗,窃盗未遂について判示の建造物侵入,窃盗,窃盗未遂についてみると,被害は,現金合計310万0598円,物品時価合計24万8100円に及んでいる。被害額は多額であり,発生した結果は重大である。 被告人らは,侵入に必要な懐中電灯やバール,発覚を防ぐための目出し帽,手袋などの道具をそろえ,夜間,人気のない店舗などに侵入しており,計画的な犯行である。そして,見張り役の者と,侵入した者との間で,携帯電話 は,侵入に必要な懐中電灯やバール,発覚を防ぐための目出し帽,手袋などの道具をそろえ,夜間,人気のない店舗などに侵入しており,計画的な犯行である。そして,見張り役の者と,侵入した者との間で,携帯電話で密接に連絡を取った上,侵入したことによる警報装置が作動し,警備員が駆けつけるまでの数分間の間に各犯行を行っており,犯行の手口は,巧妙かつ手慣れたものである。さらに,被告人らは,バールで扉をこじ開けた上,固定されている据置金庫の接続部分を破壊し,据置金庫を外に運び出しており,大胆な手口である。 そして,判示第5の1,2については,設置された金庫を取り外すことができず,未遂に終わった各店舗に対し,その翌日,さらに仲間を集め,犯行を遂行しており,悪質である。 また,各犯行における被告人の役割を見ると,被告人は,共犯者に連絡を取り,窃盗に参加するように声をかけるなど重要な役割を果たし,各犯行においては,直接の実行行為を行っていないが,逃走用の車両に残り,周囲の見張りをするなどしており,犯行に必須の役割を果たしている。 さらに,被告人は,生活費や遊興費を稼ぐ手段として,一連の侵入窃盗を行っていたのであり,常習的・職業的犯行の一環として,各犯行がなされたものである。 ⑵道路交通法違反について被告人は,一般道において,時速146キロメートルという高速度で車両を運転しており,重大事故につながる可能性も考えられ,非常に危険である。 さらに,被告人は,警察車両から逃走する際に同犯行を敢行しており,悪質である。 ⑶監禁幇助について被告人が幇助した監禁は,Cら4名が行った営利略取・逮捕監禁致傷・強盗強姦の一環として行われたものである。 Cらの行った犯行は,被害者が多額の貯蓄を有しているとの情報を得たCが,被害者を拉致し,金銭を奪うことを計画し,その計画通 名が行った営利略取・逮捕監禁致傷・強盗強姦の一環として行われたものである。 Cらの行った犯行は,被害者が多額の貯蓄を有しているとの情報を得たCが,被害者を拉致し,金銭を奪うことを計画し,その計画通りに被害者を拉致し,被害者の両手首に手錠をかけ,目隠しをし,両足首を緊縛するなどして,被害者の行動の自由を奪い,約29時間30分にわたって監禁した上,C・D・Eにおいて被害者を強姦し,さらに,被害者の生命身体のみならず,近親者に対しても,被害者同様に拉致をし,同じ目に遭わせるという脅迫を行い,被害者から金品を強取したというものである。 このような卑劣かつ悪質極まりないCらの行為に対し,被告人は,未必的とはいえ,その犯行の一部を幇助したものであり,被告人の行為は,厳しく非難されるべきものである。 ⑷恐喝未遂について恐喝未遂については,上記⑶のCらの営利略取・逮捕監禁致傷・強盗強姦により畏怖している被害者に対し,現金2000万円を要求したというものである。 被害者が警察に届け出ていたため,結果は発生しなかったものの,要求し ている金額は,2000万円と非常に高額である。 そして,被告人は,丁内において,被害者の監禁されている様子を実際に目にし,被害者がC・D・Eから強姦を受けたことを聞き知った上,脅迫行為に及んでいる。さらに,被告人らは,警察の逮捕を免れるため,無関係な者に声をかけ,金銭の受け取り役を依頼するなどしており,犯情は悪質である。 また,被告人は,Cと電話を替わり,脅迫行為の一部を行ったほか,上記の無関係な者への金銭の受け取り役をCとともに依頼するなどしており,犯行に必須の役割を果たしている。 そして,被告人から,被害者に対する慰謝の措置は何ら取られていない。 ⑸以上からすると,被告人の刑事責任は重い。 一方,被告人から,窃盗 に依頼するなどしており,犯行に必須の役割を果たしている。 そして,被告人から,被害者に対する慰謝の措置は何ら取られていない。 ⑸以上からすると,被告人の刑事責任は重い。 一方,被告人から,窃盗・窃盗未遂の各被害者に対し,合計34万2000円の被害弁償がなされていること,建造物侵入,窃盗,窃盗未遂,道路交通法違反については,捜査段階から事実を認め,反省の態度を示していること,監禁幇助,恐喝未遂についても,客観的事実はおおむね認めていること,被告人の母及びNが被告人の更生への助力を公判廷で誓約していること,監禁幇助については,被告人は,自ら積極的にCらの犯行を幇助しようとしたとまでは認められないこと,恐喝未遂については,被告人は,当初から犯行に参加する意思ではなく,また,被告人が犯行への関与を始めた時点では,既に被害者が警察に届け出ており,結果が発生する可能性は低かったこと,被告人は,各犯行当時,21歳又は22歳と年が若く,前科がないことなど,被告人にとって酌むことのできる事情も認められる。 そこで,以上の事情を総合考慮し,主文の刑を定める。 (検察官児玉陽介,弁護人平野曜二(私選)各出席)(求刑懲役10年)平成19年3月12日 名古屋地方裁判所刑事第2部裁判長裁判官伊藤納裁判官大村泰平裁判官棚村治邦
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