主文 1(1) 1審被告尼崎税務署長の控訴に基づき,原判決主文第一項の1ないし4を取り消す。 (2) 1審原告株式会社サンヨーオートセンター及び同株式会社中央自動車鈑金工業所の1審被告尼崎税務署長に対する請求をいずれも棄却する。 2(1) 1審原告株式会社サンヨーオートセンターの,1審被告尼崎税務署長が平成7年7月24日付でした源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月31日付の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)の無効確認請求を棄却する。 (2) 1審原告株式会社サンヨーオートセンターの,1審被告尼崎税務署長が平成7年7月24日付でした源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月31日付の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)の取消しを求める訴えを却下する。 3(1) 1審原告株式会社中央自動車鈑金工業所の,1審被告尼崎税務署長が平成7年7月24日付でした源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月31日付の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)の無効確認請求を棄却する。 (2) 1審原告株式会社中央自動車鈑金工業所の,1審被告尼崎税務署長が平成7年7月24日付でした源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月31日付の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)の取消しを求める訴えを却下する。 4(1) 1審原告aの,1審被告西宮税務署長が同原告の平成5年分の所得税について平成7年7月24日付でした更正処分(ただし,平成9年3月11日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち,総所得金額807万3274円,納付すべ が同原告の平成5年分の所得税について平成7年7月24日付でした更正処分(ただし,平成9年3月11日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち,総所得金額807万3274円,納付すべき税額1億2693万8700円を超える部分及び平成7年7月24日付でした過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月11日付の加算税賦課決定処分変更決定処分により変更された後の部分)の無効確認請求を棄却する。 (2) 1審原告aの,1審被告西宮税務署長が同原告の平成5年分の所得税について平成7年7月24日付でした更正処分(ただし,平成9年3月11日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち,総所得金額807万3274円,納付すべき税額1億2693万8700円を超える部分及び平成7年7月24日付でした過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月11日付の加算税賦課決定処分変更決定処分により変更された後の部分)の取消しを求める訴えを却下する。 5(1) 1審原告bの,1審被告西宮税務署長が同原告の平成5年分の所得税について平成7年7月24日付でした更正処分(ただし,平成9年3月11日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち,総所得金額685万2968円,納付すべき税額1億2643万0400円を超える部分及び平成7年7月24日付でした過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月11日付の加算税賦課決定処分変更決定処分により変更された後の部分)の無効確認請求を棄却する。 (2) 1審原告bの,1審被告西宮税務署長が同原告の平成5年分の所得税について平成7年7月24日付でした更正処分(ただし,平成9年3月11日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち,総所得金額685万2968円,納付すべき税額 告の平成5年分の所得税について平成7年7月24日付でした更正処分(ただし,平成9年3月11日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち,総所得金額685万2968円,納付すべき税額1億2643万0400円を超える部分及び平成7年7月24日付でした過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月11日付の加算税賦課決定処分変更決定処分により変更された後の部分)の取消しを求める訴えを却下する。 6 1審原告株式会社サンヨーオートセンター及び同株式会社中央自動車鈑金工業所の1審被告国に対する本件控訴をいずれも棄却する。 7 訴訟費用は第1,2審を通じて,1審被告国との関係で生じた費用については1審原告株式会社サンヨーオートセンター及び同株式会社中央自動車鈑金工業所の,1審原告株式会社サンヨーオートセンター及び同株式会社中央自動車鈑金工業所と1審被告尼崎税務署長との関係で生じた費用については同1審原告らの,1審原告aと1審被告西宮税務署との関係で生じた費用については同1審原告の,1審原告bと被控訴人芦屋税務署長との関係で生じた費用については同1審原告の各負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 1審被告尼崎税務署長の控訴の趣旨上記主文第1項と同旨 2 1審原告らの控訴の趣旨(1) 1審原告らの控訴に基づき,原判決主文第二項の1ないし4及び第3項を取り消す。 (2)ア主位的請求(当審で追加)1審被告尼崎税務署長が1審原告株式会社サンヨーオートセンターに対し,平成7年7月24日付でした源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月31日付の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)が無効であることを確認する。 イ予備的請求(当審で引き下げ)1審被告尼崎税 不納付加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月31日付の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)が無効であることを確認する。 イ予備的請求(当審で引き下げ)1審被告尼崎税務署長が1審原告株式会社サンヨーオートセンターに対し,平成7年7月24日付でした源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月31日付の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)を取り消す。 (3) 1審被告国は,1審原告株式会社サンヨーオートセンターに対し,5億6787万1898円及び内金4350万1300円に対する平成7年6月24日から,内金500円に対する平成7年8月1日から,内金441万6600円に対する平成8年3月6日から,内金500万円に対する平成8年3月19日から,内金5億1495万3498円に対する平成9年2月1日から還付のための支払決定の日まで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。 (4)ア主位的請求(当審で追加)1審被告尼崎税務署長が1審原告株式会社中央自動車鈑金工業所に対し,平成7年7月24日付でした源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月31日付の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)が無効であることを確認する。 イ予備的請求(当審で引き下げ)1審被告尼崎税務署長が1審原告株式会社中央自動車鈑金工業所に対し,平成7年7月24日付でした源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月31日付の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)を取り消す。 (5) 1審被告国は,1審原告株式会社中央自動車鈑金工業所に対し,1億3282万6458円及び内金533万7800円に対 の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)を取り消す。 (5) 1審被告国は,1審原告株式会社中央自動車鈑金工業所に対し,1億3282万6458円及び内金533万7800円に対する平成7年6月1日から,内金54万4300円に対する平成8年8月1日から,内金1億2694万4358円に対する平成9年2月1日から還付のための支払決定の日まで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。 (6)ア主位的請求(当審で追加)1審被告西宮税務署長が1審原告aの平成5年分の所得税について,平成7年7月24日付でした更正処分(ただし,平成9年3月11日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち,総所得金額807万3274円,納付すべき税額1億2693万8700円を超える部分及び平成7年7月24日付でした過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月11日付の加算税賦課決定処分変更決定処分により変更された後の部分)が無効であることを確認する。 イ予備的請求(当審で引き下げ)1審被告西宮税務署長が1審原告aの平成5年分の所得税について,平成7年7月24日付でした更正処分(ただし,平成9年3月11日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち,総所得金額807万3274円,納付すべき税額1億2693万8700円を超える部分及び平成7年7月24日付でした過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月11日付の加算税賦課決定処分変更決定処分により変更された後の部分)を取り消す。 (7)ア主位的請求(当審で追加)1審被告西宮税務署長が1審原告bの平成5年分の所得税について,平成7年7月24日付でした更正処分(ただし,平成9年3月11日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち,総所得金額68 1審被告西宮税務署長が1審原告bの平成5年分の所得税について,平成7年7月24日付でした更正処分(ただし,平成9年3月11日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち,総所得金額685万2968円,納付すべき税額1億2643万0400円を超える部分及び平成7年7月24日付でした過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月11日付の加算税賦課決定処分変更決定処分により変更された後の部分)が無効であることを確認する。 イ予備的請求(当審で引き下げ)1審被告西宮税務署長が1審原告bの平成5年分の所得税について,平成7年7月24日付でした更正処分(ただし,平成9年3月11日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち,総所得金額685万2968円,納付すべき税額1億2643万0400円を超える部分及び平成7年7月24日付でした過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成9年3月11日付の加算税賦課決定処分変更決定処分により変更された後の部分)を取り消す。 第2 事案の概要本件は,阪急産業株式会社(以下「阪急産業」という。)に対して,1審原告株式会社サンヨーオートセンター及び1審原告株式会社中央自動車鈑金工業所が,各所有の土地建物(以下一括しては「本件不動産」といい,土地に関しては「本件各土地」という。)を,c,d,1審原告a及び1審原告bが,各保有の株式会社キャンベルゴヒャク(以下「キャンベルゴヒャク」という,同社は本件不動産を使用して,中古車販売業を営んでいた。)の全株式20株(以下「本件株式」という。)をそれぞれ売却したことに関連してなされた課税処分等についての税金訴訟である。 (以下,1審原告株式会社サンヨーオートセンターを「1審原告サンヨーオート」と,1審原告株式会社中央自動車鈑金工業所を「1審原告中央 却したことに関連してなされた課税処分等についての税金訴訟である。 (以下,1審原告株式会社サンヨーオートセンターを「1審原告サンヨーオート」と,1審原告株式会社中央自動車鈑金工業所を「1審原告中央自動車」とこの両1審原告を一括して呼称するときは「1審原告両法人」といい,1審原告aを「1審原告a」と,1審原告bを「1審原告b」といい,この両1審原告を一括して呼称するときは「1審原告両個人」という。) 1 概要は次のとおり整理できる。 (1) 1審原告らは,阪急産業に本件不動産を総額18億円で,本件株式を総額42億円でそれぞれ売却したとして,法人税等及び所得税の確定申告及び1審原告両個人は所得税についての修正申告をしたところ,1審被告尼崎税務署長(1審原告両法人関係)及び1審被告西宮税務署長(1審原告両個人関係)は,本件株式の真実の譲渡価格は8772万6440円であり,本件不動産の真実の譲渡価格は60億円から8772万6440円を差し引いた金額であるとした上,本件株式の譲渡価格が実質の価格を大きくかけ離れた高額であるのは,本件各土地の真実の譲渡価格を本件株式の譲渡価格に付け替えたものだとして,更正処分等をした。 すなわち,1審被告各税務署長は,本件株式の譲渡価格は上記のとおり8772万6440円で,本件不動産の譲渡価格は60億円からこの金額を差し引いた金額であることを前提に,1審原告両法人に対して,法人税及び法人特別税について更正処分及び重加算税賦課決定処分を,また,株式の売主であるc,d及び1審原告両個人について,株式の実質的価値を超えて受け取った部分は,1審原告両個人に関しては,法人税法37条6項所定の1審原告両法人からの寄付金(一時所得)に該当し,c,dに関しては同法35条所定の賞与に該当するとして,これら所得について1審原告両個人 た部分は,1審原告両個人に関しては,法人税法37条6項所定の1審原告両法人からの寄付金(一時所得)に該当し,c,dに関しては同法35条所定の賞与に該当するとして,これら所得について1審原告両個人に対しては所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を,1審原告両法人に対しては役員であるc,dの賞与分の所得について源泉所得税の不納付があるとして,納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分をした。 (2) 後記のとおり,税務署長による更正決定あるいは処分理由の変更があって錯綜しているが,本訴において対象とされている各処分は以下のとおりである。 ア 1審原告両法人関係(1審被告尼崎税務署長による各処分)① 法人税及び法人特別税についての平成7年7月24日付の更正処分及び同日付重加算税賦課決定処分1審原告サンヨーオートについては,本件法人税更正処分,本件法人特別税更正処分,本件法人税加算税賦課決定処分,本件法人特別税加算税賦課決定処分のそれぞれ「一」と,1審原告中央自動車については,同各処分のそれぞれ「二」と,原審が呼称しているもの。 ② 源泉所得税の平成7年7月24日付納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分1審原告サンヨーオートについては,本件納税告知処分及び本件不納付加算税賦課決定処分のそれぞれ「一」と,1審原告中央自動車については,同各処分のそれぞれ「二」と,原審が呼称しているもの。 イ 1審原告両個人(西宮税務署長による各処分)所得税についての平成7年7月24日付の更正処分及び同日付過少申告加算税賦課決定処分1審原告aについては,本件所得税更正処分,本件所得税過少申告加算税賦課決定処分のそれぞれ「一」と,1審原告bについては,同各処分のそれぞれ「二」と,原審が呼称しているもの。 (3) 本訴の対象となっている上記各処分は, 本件所得税更正処分,本件所得税過少申告加算税賦課決定処分のそれぞれ「一」と,1審原告bについては,同各処分のそれぞれ「二」と,原審が呼称しているもの。 (3) 本訴の対象となっている上記各処分は,1審原告両法人に対する法人税及び法人特別税関係の更正処分等と,株式売却に伴う1審原告両個人の所得及び1審原告両法人の役員であるc,dの役員としての所得に関連する処分であって,1審原告両法人に対する納税告知処分等と1審原告両個人に対する所得税更正処分等に分類でき,後記のとおり株式売却に基づく所得に関連する1審原告らに対する各処分については審査請求が取り下げられている。 そこで,法人税及び法人特別税関係の更正決定処分等を「本件法人税等関連各処分」と株式売却に伴う所得に関連する1審原告両法人に対する納税告知処分等と1審原告両個人に対する所得税更正処分等を,それぞれ,「本件納税告知処分等」,「本件所得税更正処分等」と,そして,この所得に関連する処分を一括するときは「株式売却に伴う所得関連各処分」とそれぞれ呼称することとし,さらに,「株式売却に伴う所得関連各処分」について関連を明確にするために「(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)」と括弧書きを付加することとする。 (4) 1審原告らは,上記各処分について異議申立てをしたが,この申立ては国税不服審判所長に対する審査請求とみなされた。 この審査請求手続において,1審原告らは,本件不動産の譲渡価格が35億円,本件株式の譲渡価格が25億円であるとの前提での主張もした上,株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)については,審査請求をいずれも取り下げた。 国税不服審判所長は,本件不動産譲渡代金は1審原告両 却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)については,審査請求をいずれも取り下げた。 国税不服審判所長は,本件不動産譲渡代金は1審原告両法人が審査手続で主張した35億円を上回ることはないとした上,1審原告両法人に対する本件法人税等関連処分等を一部取り消す旨の裁決(本件裁決)をした。 本件裁決に基づき1審被告尼崎税務署長,同西宮税務署長は,株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)を変更した。 (5) 1審原告らは,阪急産業との間で作成されている契約書どおりの売買(本件不動産譲渡価格が18億円,本件株式譲渡価格が42億円)であるとして,1審原告両法人は本件法人税等関連各処分と本件納税告知処分等の取消しを,1審原告両個人は本件所得税更正処分等の取消しを求めるとともに,1審原告両法人は1審被告国に対し,既に納付した源泉徴収税額及び延滞税額相当額分につき不当利得があるとして返還を求めて訴えを提起した。 (なお,本件裁決により,取消の範囲について変更があったことになるが,煩雑なので,処分の呼称等については,必要のない限り,そのままとする。)(6) 原審は,1審原告両法人の本件法人税等関連各処分の取消し請求を認容し,1審原告らが審査を取り下げた株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)の各取消し請求を却下し,1審原告両法人の1審被告国に対する不当利得返還請求を棄却した。 1審原告ら及び1審被告尼崎税務署長の双方から控訴がなされ,当審で,1審原告らは,審査請求を取り下げた株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得 1審原告ら及び1審被告尼崎税務署長の双方から控訴がなされ,当審で,1審原告らは,審査請求を取り下げた株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)について,無効確認の訴えを主位的請求として追加し,他方,1審被告らは,当審において,本件法人税等関連各処分について,予備的に国税通則法132条に基づく行為・計算否認の主張を追加した。 (7) 本件紛争の背景は,不動産と株式の売買代金の総額についての内訳によって税額が変動することにある。すなわち,株式の売買益は分離課税であること,土地代金を付け替えれば土地の売買に伴う譲渡益はその分減少し,譲渡所得税が減少すること,その結果,株主の所得は生じないか,減少し,所得税についても同様の結果となる。 2 前提となる事実原判決「事実及び理由」の「第二事案の概要」の冒頭及び一(17頁4行目以下36頁10行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 争点次のとおり原判決37頁1行目から9行目を改め,9行目の次に行を改めて付加する。 「1 株式売却に伴う所得関連各処分(本件納税告知処分一・二,本件不納付加算税賦課決定処分一・二,本件所得税更正処分一・二,本件所得税過少申告加算税賦課決定処分一・二)の無効原因の存否及び審査請求の取下げにより国税不服審判所の裁決を経ていないこれら各処分の各取消しを求める訴えの適法性。 2 株式売却に伴う所得関連各処分(本件納税告知処分一・二,本件不納付加算税賦課決定処分一・二,本件所得税更正処分一・二,本件所得税過少申告加算税賦課決定処分一・二)及び本件法人税等関連各処分(本件法人税更正処分一・二,本件法人特別税更正処分一・二,本件法人税加算税賦課決定処分一・二,本件法人特別税加算税賦課決定処分一・二 税過少申告加算税賦課決定処分一・二)及び本件法人税等関連各処分(本件法人税更正処分一・二,本件法人特別税更正処分一・二,本件法人税加算税賦課決定処分一・二,本件法人特別税加算税賦課決定処分一・二)の適法性(取消し事由の存否)。 3 本件不動産売買の当事者の合意についての法人税法132条1項(同族会社の行為又は計算の否認規定)適用の当否。 4 1審原告両法人の不当利得返還請求権の存否」。 4 争点1についての当事者の主張争点1は,審査請求の取下げのあった株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)に関しての争点であるところ,当事者の主張は,以下のとおり,原判決「事実及び理由」の「第二事案の概要」の「三当事者の主張」の37頁末行から44頁5行目まで(1,(一)及び(二))を引用,補充した上,1審原告らの追加請求であるこれら各処分の無効原因の存否についての主張を付加する。 (1) 1審原告らの主張ア無効原因について1審原告両法人代表者のc及び同役員のd並びに1審原告両個人は,本件裁決において本件不動産の代金価格が35億円,本件株式の譲渡価格が25億円との認定がなされた場合,その認定額と本件株式との譲渡価格42億円との差額を1審原告両法人に返還する意思であった。 現に本件裁決及びe審判官の教示を受けて,1審原告両法人は1審原告aと,変更後の本件不動産売却代金の返還を受ける旨の合意をし,平成9年4月25日,そのための会計処理を行っている(甲90ないし94)。 1審被告税務署長らが,1審原告らのこのような意思及び会計処理に反して,上記差額部分を寄付金あるいは賞与と認定する課税上の根拠は全くない。とりわけ差額部分を認定賞与として源泉所得税を課すことは税額算出の過程が一義的に明 ,1審原告らのこのような意思及び会計処理に反して,上記差額部分を寄付金あるいは賞与と認定する課税上の根拠は全くない。とりわけ差額部分を認定賞与として源泉所得税を課すことは税額算出の過程が一義的に明白であることを要する源泉徴収制度の前提を無視する不当なものであって,本件納税告知処分等は課税の根拠に欠け,源泉徴収制度の前提を無視する違法な処分であって無効である。 イ取消し請求に関する訴えの適法性について① 1審原告両法人代表者のcは,原審での尋問で,国税不服審判所の審判官から,「二重課税は関係ない。」とか「(本件裁決の結論のように,本件不動産と本件株式の各譲渡価格を35億円と25億円に変えるとして)それに応じたお金の動きをすれば,元々の源泉の問題とか,寄付金の問題は起こらない。」との教示を受けた旨の供述をしているところ,この供述にある審判官の教示は,1審原告らからの「本件株式から本件不動産の譲渡価格へ振り替えた所得が認定賞与あるいは寄付金とされているのは,結果的に二重課税となる。」との不服を受けてなされたものであることからすると,cの上記供述の趣旨は容易に理解することができ,1審原告らの上記主張は立証されたというべきである。 1審原告両法人に対して行った平成7年1月17日付けの法人税等の更正処分において,1審被告尼崎税務署長は上記振替部分を貸付金と認定していることからも明らかなとおり,振替部分が認定賞与等に当たるか否かは課税当局でさえ判断に迷うものであって,素人である1審原告らが上記の教示によって二重課税がないと信じたことに過失はない。 ② 仮に上記事情は,国税通則法15条1項3号所定の「正当理由」として認められないとしても,国税不服審判所長が国税局に付置され組織的には国税庁の一部とされており,1審被告の各税務署長と国税不服審判所長と 仮に上記事情は,国税通則法15条1項3号所定の「正当理由」として認められないとしても,国税不服審判所長が国税局に付置され組織的には国税庁の一部とされており,1審被告の各税務署長と国税不服審判所長との行政上の上下関係に照らすならば,上記事情があるのに,1審被告らが,裁決を経ていないことを理由として,処分取消しの訴えを不適法であると主張することは信義則に反し,この主張は却下されるべきである。 (2) 1審被告らの反論ア無効原因について審査請求の取下げのあった株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)は,いずれも行政処分であるから,無効原因があるというためには処分それ自体に重大かつ明白な瑕疵が存在することが必要である。 本件において,仮に本件各契約を精査した結果,1審原告両法人から役員のcらに対する賞与が認められないとしても,その賞与認定の瑕疵は,処分時において,処分の外形上客観的に明白な瑕疵であるとは認められず,したがって,1審原告両法人に対する本件納税告知処分一及び二には無効原因に該当する事由は存在しない。そうである以上,本件不納付加算税賦課決定処分一及び二にも無効原因はない。 1審原告両個人に対する本件所得税更正処分一及び二についても,仮に1審原告両個人が取得した金員を寄付金(一時所得)と認定したことに誤認があるとしても,その瑕疵は,処分当時,処分の外形上,客観的に明白であるとはいえない(最高裁昭和33年6月14日第1小法廷判決・税務訴訟資料26号545頁)ので,無効原因はない。また,そうである以上,本件過少申告加算税賦課決定処分一及び二にも無効原因はない。 よって,1審原告らが当審で追加した本件納税告知処分等の無効確認請求(主位的請求)は,その余の点を検討す 因はない。また,そうである以上,本件過少申告加算税賦課決定処分一及び二にも無効原因はない。 よって,1審原告らが当審で追加した本件納税告知処分等の無効確認請求(主位的請求)は,その余の点を検討するまでもなく棄却されるべきである。 イ取消し請求に関する訴えの適法性について① 1審原告らが主張する審判官の教示は,税法上あり得ない処分を前提としており,審判官がそのような教示を行うはずはないが,国税当局が誤った更正処分を是正するのは当然のことで,そのことと1審原告らに過失があるか否かの問題は全く次元の異なる問題である。 そもそも,1審原告らは,税に関する専門的知識を備えた公認会計士や税理士等の補助者を有し,国税不服審判所長の教示内容を十分に吟味できる立場にあったから,本件裁決に係る教示について1審原告らが主張するような誤信が生じるはずはなく,行政庁の責に帰すべき事由が一方的に大きい場合に該当しない。 いずれにしてもcの上記供述は,具体性に欠け,趣旨が不明確であって到底信用するに足りないもので,国税通則法15条1項3号所定の「正当理由」の有無に関する原判決の認定判断は正当である。 ② 国税不服審判所は,国税の課税・徴収等の執行系統から分離され,第三者として審査請求の審理裁決を行う独立した機関であって,1審被告各税務署長とは別の組織であるから,1審被告らが上記で主張するところが信義則に反するとはいえない。 5 争点2ついての当事者の主張本件各処分の取消し事由の存否が争点であるところ,双方の主張は,原判決「事実及び理由」の「第二事案の概要」の「三当事者の主張」の44頁7行目以下から107頁7行目まで(2,(一)及び(二))を引用した上,本件各処分は前記のとおり1審原告両法人にのみ関係する本件法人税等関連各処分と1審原告ら全員が関係する株 当事者の主張」の44頁7行目以下から107頁7行目まで(2,(一)及び(二))を引用した上,本件各処分は前記のとおり1審原告両法人にのみ関係する本件法人税等関連各処分と1審原告ら全員が関係する株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)とに分類できるので,この分類に従って,主張を付加,補充することとする。 (本件法人税等関連各処分について)原判決「事実及び理由」の「第二事案の概要」の「三当事者の主張」の,1審原告サンヨーオートについては,51頁8行目以下から61頁8行目までと66頁9行目から69頁5行目まで(2,(一)の(2),(3)及び(5))を,1審原告中央自動車については同69頁6行目から79頁2行目までと83頁6行目から85頁1行目まで(2,(一)の(5)ないし(7)及び(9))を引用した上,以下のとおり,付加,補充する。 (1) 1審被告らの主張ア本件法人税等関連各処分の適法性は,結局のところ本件法人税更正処分一及び二の適法性にかかるところ,課税処分の取消訴訟における実体上の審理の対象は,当該課税処分によって確定された税額の適否であり,課税行政庁の課税処分における認定等に誤りがあっても,確定された税額が総額において処分時に租税法規によって客観的に定まっている税額を上回らなければ当該課税処分は適法と解される(いわゆる「総額主義」。最高裁昭和36年12月1日第2小法廷判決・集民57号17頁,同昭和42年9月12日第3小法廷判決・訟務月報13巻11号1418頁,同昭和49年4月18日第1小法廷判決・訟務月報20巻11号175頁,同昭和50年6月12日第1小法廷判決・訟務月報21巻7号1547頁,同平成4年2月18日第3小法廷判決・民集46巻2号77頁等)。 49年4月18日第1小法廷判決・訟務月報20巻11号175頁,同昭和50年6月12日第1小法廷判決・訟務月報21巻7号1547頁,同平成4年2月18日第3小法廷判決・民集46巻2号77頁等)。 本件において国税不服審判所は,本件不動産の売買価格を35億円,本件株式の譲渡価格を25億円との前提のもとに,本件法人税等関連各処分を一部取り消した。したがって,本件法人税等関連各処分の取消訴訟における審理の対象は,上記一部取消後の税額を基礎付ける事実の存否ということになり,本件の課税行政庁たる1審被告尼崎税務署長は,本件不動産の売買価格が35億円を下らないことを主張・立証することを要し,かつ,それで足りることになる。 1審原告両法人は,裁決の拘束力を主張するが,国税通則法102条1項は「裁決は,関係行政庁を拘束する。」と規定するにとどまるところ,行政処分の審査請求手続と行政処分の取消訴訟手続とは全く別個の手続であり,裁決を経た後の課税処分の取消訴訟において,課税庁が裁決で認定された金額と異なる主張をすることも,また,裁決理由中の判断と異なる主張を行うことも許される(大阪地裁昭和48年12月5日判決・税務訴訟資料71号1105頁,大阪地裁昭和48年5月14日判決・税務訴訟資料70号66頁,東京地裁昭和63年4月20日判決・税務訴訟資料164号87頁)。1審原告らの上記主張は失当である。 イところで,当事者が選択した法形式を前提とした場合,私法上の取引関係が仮装のもので当事者の合意の実質と異なるか否かの判断は,当該契約内容が既に履行された後の状態を前提としてではなく,当該取引の当事者が選択した異常で不自然な法律構成と自然な法律構成を比較し,その間で法的効果に相違が生じる場合に,当事者がいずれの構成に基づく法的効果を意図していたかを検討すべきである してではなく,当該取引の当事者が選択した異常で不自然な法律構成と自然な法律構成を比較し,その間で法的効果に相違が生じる場合に,当事者がいずれの構成に基づく法的効果を意図していたかを検討すべきである(同様の考え方に立脚する裁判例として大阪地裁平成10年10月16日判決・訟務月報45巻6号1153頁,大阪高裁平成10年10月16日判決・訟務月報47巻12号3767頁〈乙48〉)。 本件不動産と本件株式についての本件各契約書には,本件不動産の代金額は18億円,本件株式の譲渡額は42億円と記載されているものの,本件各売買契約書に記載されたこれら代金額は本件不動産,本件株式いずれについても著しく対価的均衡を欠くものであった。 すなわち,本件株式売買契約の実行時には既にキャンベルゴヒャクの資産は殆どなく,上記42億円という代金額は本件株式の合理的,客観的価格から甚だしく乖離し,著しく不合理であった。他方,本件不動産も,土地の売買実例(坪150万円=総額42億4000万円)や阪急産業から強烈な買い進みのある状況下での取引であったことに照らすと,上記18億円という代金額は余りに低額に過ぎ,結局,本件不動産,本件株式いずれについても上記各契約書記載の代金額は対価的均衡性を著しく欠くものであった。 ウ本件各売買契約は個別に代金額が決定されたものではなく,最初に代金総額を60億円と決定した上,租税回避の目的を達成すべく本件不動産の売買と本件株式の譲渡を抱き合せ,それぞれの代金額を1審原告らが強引に決定したものである。 現に,阪急産業は本件株式は値打ちのない株式と考えており,阪急電鉄の連結対象会社となり金融商品会計基準が適用されたことを機に作成された平成13年3月31日決算期の財務諸表上,本件各土地について57億3575万円余りが土地勘定に計上されたの と考えており,阪急電鉄の連結対象会社となり金融商品会計基準が適用されたことを機に作成された平成13年3月31日決算期の財務諸表上,本件各土地について57億3575万円余りが土地勘定に計上されたのに対し,本件株式は投資有価証券勘定として1億42万円余りが計上されるにとどまっている。このほか,本件株式の譲渡代金は株主名義人らの口座から1審原告サンヨーオートの口座に還流しており,これらの事情は本件各売買契約書上の代金額が当事者の真意に沿うものでないことを表している。 仮に本件不動産売買契約にのみ無効取消事由が存在した場合,阪急産業に本件株式売買42億円の代金支払に応じる意思がないことも,また本件株式譲渡契約にのみ無効取消事由が存した場合にも,本件不動産売買代金18億円のみをもって1審原告両法人に本件不動産の引渡し等に応じる意思がないことも明らかで,結局,本件各契約の当事者には上記代金記載額に拘束される意思はないのである。 よって,本件各契約書に記載された代金額は仮装のもので,本件各契約の当事者が真に合意した代金額は,上記代金記載額とは異なる。 エそこで本件各契約の当事者が真に合意した代金額いかんが問題となるところ,本件で当事者間において明確に合意されていたのは,本件不動産と本件株式の代金総額を60億円とすることのみであるが,だからといって,本件各契約が代金額が不特定であるという理由で全部無効と解されるものでないことは当然である。 経済実体を考慮し,客観的,合理的に当事者双方の意思を解釈すれば,当事者間に成立したと認められる合意は,本件不動産及び本件株式についてその合計額を60億円とし,その内訳は,それぞれ相当額として成立したものと解するよりほかはないところ,本件不動産の代金相当額の認定は,本件不動産が著しい買い進みの状況の下で取引された 件株式についてその合計額を60億円とし,その内訳は,それぞれ相当額として成立したものと解するよりほかはないところ,本件不動産の代金相当額の認定は,本件不動産が著しい買い進みの状況の下で取引されたことからみて,通常の不動産鑑定等の方法によって直接認定するのは相当ではなく,上記代金総額60億円から本件株式の代金相当額を控除した金額をもって本件不動産の代金相当額であるとみるのが最も妥当である。 本件株式全株(20株)の代金相当評価額,すなわち時価は,f公認会計士作成の鑑定意見書(乙53の2,以下「f鑑定意見書」という。)によれば4億9245万4600円(1株当たり2462万2730円)であるとされている。この評価額は,合理的な計算の範囲内で最大限高価に本件株式を評価したものであるから,どのように本件株式の評価額を算定しようとも,国税不服審判所が認定した上記譲渡価格25億円を上回ることはあり得ない。また経済的合理性を有する本件不動産の代金相当額も,35億円を大きく上回り,この金額を下らないことは明らかである。 オこのように,本件不動産売買契約において当事者が合意した本件不動産の譲渡価格が35億円を下らないことは明らかであるから,本件法人税各更正処分はいずれも適法である。 なお,このように本件不動産の譲渡代金額を認定すると,本件不動産売買は国土法の規制に違反する取引ということになるが,課税庁の認定が国土法の規制内の価格に限定されるものではなく(東京地裁平成10年5月13日判決・税務訴訟資料232号7頁),国土法の規制との関係は,上記結論を左右しない。 (2) 1審原告らの反論ア一般に裁決の拘束力(国税通則法102条1項)は主文と不可分一体となる理由について生じるものと解されるところ,本件裁決は,1審被告尼崎税務署長の主張を斥け,本件不動 。 (2) 1審原告らの反論ア一般に裁決の拘束力(国税通則法102条1項)は主文と不可分一体となる理由について生じるものと解されるところ,本件裁決は,1審被告尼崎税務署長の主張を斥け,本件不動産の価格を18億円,本件株式の価格を42億円とする確定的な合意があったものと認定している(乙5,6)。 よって,1審被告らは,本件訴訟で,もはや本件不動産の譲渡価格について当事者間に18億円とする合意があったことを前提とした主張しかできず,総額主義の主張は本件裁決の拘束力に抵触し,この主張は行政事件訴訟法7条,民事訴訟法157条を準用して排斥されるべきである。 なお1審被告らが先例として挙げる裁判例は,いずれも事案を異にしており,本件裁決の拘束力に関する先例とはならない。 イ 1審被告らは,代金額は1審原告らがその有利な立場を利用して強引に決定したもので,対価的均衡性を著しく欠いており,本件各契約は不可分一体の取引として,各当事者には契約書上の代金額に拘束される意思はなく,本件各契約は仮装行為である旨主張するようである。 しかし,実質課税を原則するとしても,真実に存在する法律関係から遊離して,その経済的成果なり目的に即して法律要件の存否を判断することまで許容されるものではない。本件各契約の締結に至る経緯について1審原告らが主張するとおり(原判決「事実及び理由」の「第二事案の概要」の「三当事者の主張」の2,(二),(1),97頁2行目から101頁9行目まで),本件各契約の当事者間において,平成5年2月20日以降終始一貫して本件不動産の代金は18億円,本件株式の代金は42億円とする合意を前提に,実務的処理及び本件各売買契約書の作成が行われており,本件各契約が当事者の真意に基づき締結されたことに疑いを入れる余地はない。これを仮装行為であると断 ,本件株式の代金は42億円とする合意を前提に,実務的処理及び本件各売買契約書の作成が行われており,本件各契約が当事者の真意に基づき締結されたことに疑いを入れる余地はない。これを仮装行為であると断じる1審被告らの主張は,真実に存在する法律関係から遊離して法律要件の存否を判断するもので失当である。 ウ本件各契約書上の代金額が経済的対価性を欠くものでないことに関しての原審での主張(原判決「事実及び理由」の「第二事案の概要」の「三当事者の主張」の2,(二),(2),101頁以下)を補足すると,1審原告両法人の代表者であるcにとって最大の問題は本件各契約によって本件不動産の所有権を失うことではなく,キャンベルゴヒャクの営業が継続できなくなり,その結果,グループ全体の収益力が大きく失われる点にあり,他方,阪急産業にとっても,本件不動産の所有権を取得することではなく,本件各土地を駐車場として利用することにこそ意味があった。 この双方の思惑を達成する方法として,cは本件株式の売買という手段を選択するとともに,キャンベルゴヒャクの収益力を考慮して42億円という代金額を提示したのに対し,阪急産業は,本件各土地を駐車場として速やかに利用を開始するためにはキャンベルゴヒャクという会社を自由に支配することが最も簡便な方法であるため本件株式の売買に応じるとともに,場外馬券売場開設のため既に費やした費用や将来の上記事業による収益力等にかんがみ,本件株式の代金を42億円とすることに同意したのである。 このような双方の思惑のもとに本件各契約成立に至ったもので,本件株式の上記譲渡代金には経済的合理性が認められ,そうである以上,本件各契約の代金額を上記のとおり決定した理由として,租税負担の回避や国土法の規制潜脱目的を指摘するのは筋違いというもので,1審原告らには の上記譲渡代金には経済的合理性が認められ,そうである以上,本件各契約の代金額を上記のとおり決定した理由として,租税負担の回避や国土法の規制潜脱目的を指摘するのは筋違いというもので,1審原告らにはそのような意図ないし目的はない。 1審被告らは,平成5年3月30日に,約5億円の価値を有する西宮市α町の507平方メートル余りの宅地(以下「西宮土地」という。)の所有名義をキャンベルゴヒャクからc及びdに変更したことをもって,本件株式の価値を低下させたのは不自然である旨主張するが,cらが西宮土地について上記名義変更を行ったのは,阪急産業からキャンベルゴヒャクの負債を無くすように求められたからで,現に,この名義変更により同土地の実勢価格以上の価格に見合うキャンベルゴヒャクの負債を減少させている。 また本件株式の代金の相当部分が1審原告両個人の口座から1審原告両法人の口座に入金されているのも,上記株主らは,1審原告両法人に金員あるいは土地等を貸付け,利息,賃料を受領していたからで,このようなことは資金繰りの方法として中小企業において通常行われていることで,不自然というには当たらない。 なお,平成13年度3月31日決算期の阪急産業の財務諸表上,本件各土地について57億3575万円余りが土地勘定に計上され,本件株式は投資有価証券勘定として1億42万円余りが計上されるにとどまったとしても,その原因は阪急産業が阪急電鉄の連結対象会社となり金融商品会計基準が適用され,これに従う本件株式については時価評価をせざるを得なくなったことにある。 そもそも,本件株式の売買が多額の損失を生じさせる取引であったかどうかは契約時を基準に判断されるべきもので,契約締結後7年間も経過した後に生じた事情が本件株式の代金額が経済的合理性に欠け,取引が仮装であることを裏付けること が多額の損失を生じさせる取引であったかどうかは契約時を基準に判断されるべきもので,契約締結後7年間も経過した後に生じた事情が本件株式の代金額が経済的合理性に欠け,取引が仮装であることを裏付けることなどあり得ない。 6 争点3についての当事者の主張争点3の法人税法132条1項(同族会社の行為又は計算の否認規定)の適用についての当事者の主張は,つぎのとおりである。 (1) 1審被告らの主張ア法人税法132条1項所定の同族会社の行為・計算否認規定の適用要件は,①同族会社の行為・計算で行われたこと,②これを容認した場合にはその同族会社の法人税,あるいは株主等の所得税,相続税を不当に減少させる結果となると認められることで,この「不当に減少させる結果となると認められる」とは,純経済人の行為として不合理・不自然な行為・計算がこれに該当するものと解されるところ,1審原告両法人は代表者であるc及びその親族らが発行済株式総数の50パーセント以上を保有する同族会社で,本件各契約は,それぞれ別個の当事者間で締結された契約であるとはいえ,本件各契約締結の経緯,動機・目的,対象物件の時価等に照らすと本件不動産の所有者が1審原告両法人であること及び本件株式の保有者がcとその親族であることを利用して対価性を著しく欠く異常な配分価格が設定されたもので,純経済人の行為として不合理・不自然な行為であることは明らかであるから,上記各適用要件を充足し,本件には法人税法132条の適用が認められる(なお類似事案の判例として最高裁昭和48年12月14日第2小法廷判決(訟務月報20巻6号146頁))。 イそうすると,本件各契約の当事者の合意いかんにかかわらず,1審被告尼崎税務署長は,本件取引によって生じた収益を経済的に合理性のある収益額に引き直し法人税の課税標準等又は法人税の 号146頁))。 イそうすると,本件各契約の当事者の合意いかんにかかわらず,1審被告尼崎税務署長は,本件取引によって生じた収益を経済的に合理性のある収益額に引き直し法人税の課税標準等又は法人税の額を計算することが可能となるところ,本件各契約の代金総額60億円から本件不動産と本件株式の時価合計額を差し引いた,いわゆるプレミアム部分を本件不動産と本件株式の時価による比率をもって按分して,本件不動産と本件株式の時価にそれぞれ上乗せした金額が上記の経済的合理性のある収益額となる。そこで本件不動産については1審原告ら提出の三誠不動産鑑定所作成に係る「不動産鑑定評価書」(甲79,以下「不動産鑑定評価書」という。)に記載された価格(16億3700万円)を,他方,本件株式については類似業種比準方式又は純資産方式による評価額の上限(4億6270万7631円)ないしはf鑑定意見書による評価額(4億9245万4600円)に基づき上記按分計算を行うと,本件不動産の経済的合理性のある代金額は35億円を下ることはないのである。よって,1審被告尼崎税務署長は,法人税法132条1項(同族会社の行為又は計算の否認規定)の適用により,本件不動産について35億円を下らない譲渡価格を認定することができ,結局,本件法人税等関連各処分は適法である。 ウ 1審被告らの上記予備的主張は,訴訟の段階で法人税法132条1項所定の同族会社の行為・計算否認規定の適用を主張するものであるが,いわゆる処分理由の差替えとして当然許される(最高裁昭和56年7月14日第3小法廷判決・民集35巻5号901頁,最高裁平成11年1月29日第3小法廷判決及びその下級審判決〈乙51,52〉,那覇地裁平成7年7月19日判決・税務訴訟資料213号163頁)。なお同条は新たな処分を行うものではないから(東京高裁昭和 最高裁平成11年1月29日第3小法廷判決及びその下級審判決〈乙51,52〉,那覇地裁平成7年7月19日判決・税務訴訟資料213号163頁)。なお同条は新たな処分を行うものではないから(東京高裁昭和48年3月14日判決・税務訴訟資料69号845頁),期間制限の問題は生じない。また,その適用の基礎となるべき事実関係については殆ど主張・立証済みであるから上記予備的主張は民事訴訟法157条1項所定の時機に後れた攻撃防禦方法の提出には当たらず,もとより本件裁決の拘束力にも抵触しない。 (2) 1審原告らの反論ア 1審被告らは原審の争点整理手続で法人税法132条1項の適用による否認は主張しないと明言していたことなどに照らすと,その上記予備的主張は時機に後れた攻撃防御方法の提出に該当することはもとより,訴訟上の信義則にも反する。 ところで法人税法132条1項は,あくまで課税処分時において行使されることが予定されているものと解される上,更正処分を行う期間も経過しており,本件訴訟において原課税処分の適法性を維持するため法人税法132条1項の適用を主張することは許されない(なお後記最高裁平成11年1月29日第3小法廷判決及びその下級審判決〈乙51,52〉は,本件と事案を異にし,先例としての価値を有しない。)。更に総額主義を前提としても本件法人税等関連各処分は法人税法132条1項所定の否認によるものではなく,したがって当該処分時には同条項の否認による課税標準及び税額が客観的に存在しないことになり,これにより本件法人税等関連各処分の適法性を基礎付けることはできない。また1審原告両法人はいずれも青色申告を行ったものである上,1審被告らの上記主位的主張と予備的主張とでは基本的課税要件事実の同一性を欠いている。したがって1審被告らの上記予備的主張はいわゆる処分理 また1審原告両法人はいずれも青色申告を行ったものである上,1審被告らの上記主位的主張と予備的主張とでは基本的課税要件事実の同一性を欠いている。したがって1審被告らの上記予備的主張はいわゆる処分理由の差替えとはいえないし,仮にそういえたとしても上記処分理由の差替えは許されない。また本件裁決の拘束力にも抵触する(以上につき甲95の1及び2)。 イところで法人税法132条1項所定の同族会社の行為・計算否認規定の適用要件は,①否認しようとする当該行為または計算が「同族会社」の行為または計算であり,②当該行為または計算を容認すれば,法人税の負担を「不当に」減少させる結果となるもの,すなわち当該行為または計算が経済的合理性を欠くものであって,③当該行為または計算につき,税務署長の「認めるところ」によって,当該行為または計算に置き換えられるべき通常の行為または計算が存在することが必要であると解されるところ,本件株式の取引は1審原告両個人の行為であって,法人税法132条1項の否認の対象とはならない上(ちなみに相続税法64条につき浦和地裁昭和56年2月25日判決・訟務月報27巻5号1005頁),本件不動産の譲渡代金額は1審原告両法人とは何ら資本関係のない阪急産業との間における自由な交渉によって決せられたもので,その価格も国土法による規制に違反しておらず,本件不動産売買はその譲渡代金価格の決定方法や金額の点からみても合理的なものである。そればかりか本件不動産の譲渡価格を1審被告らの価格に置き換えると当然に国土法の規制に抵触することになり,そのような取引が「通常の」行為または計算といえないことは明らかで,本件では置き換えられるべき「通常の」行為または計算は存在しないといってよい(なお以上につき甲95の1及び2)。よって,本件各契約に基づく取引は,法人税 の」行為または計算といえないことは明らかで,本件では置き換えられるべき「通常の」行為または計算は存在しないといってよい(なお以上につき甲95の1及び2)。よって,本件各契約に基づく取引は,法人税法132条1項の適用要件を全く充足せず,同条項による否認が認められる余地はない(なお1審被告らが類似事案に関する裁判例として挙げる上記最高裁昭和48年12月14日第2小法廷判決等は本件と事案を異にし,先例としての価値を有しない。)。 (1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等について)(1) 1審被告らの主張(補充)本件法人税等関連各処分はいずれも適法であり,そうであれば,その範囲でなされた賞与ないし寄付金の認定は適正なものであることは,原判決「事実及び理由」の「第二事案の概要」の「三当事者の主張」の,1審原告サンヨーオートについては,61頁9行目以下から66頁8行目まで(2,(一)の(4)の①ないし⑤)を,1審原告中央自動車については同79頁3行目から83頁5行目まで(2,(一)の(8)の①ないし④),1審原告aに関しては同85頁2行目から90頁7行目まで(2,(一)の(10)の①ないし④,(11)),1審原告bについては同90頁8行目から96頁3行目まで(2,(一)の(12)の①ないし④,(13))のとおりである。 (2) 1審原告らの反論(補充)本件納税告知処分等には,争点1についてにおいて主張したとおり課税の根拠に欠けるものであって違法である。 また仮に法人税法132条1項により本件不動産の譲渡価格が35億円を下らないとしても,それは法人税の課税関係においてだけ,現実に行われていない行為・計算が存在するものとみなされるだけのことで,いわゆる対応調整が自動的に行われるわけではない。したがって が35億円を下らないとしても,それは法人税の課税関係においてだけ,現実に行われていない行為・計算が存在するものとみなされるだけのことで,いわゆる対応調整が自動的に行われるわけではない。したがって,c,d,1審原告両個人に対する所得課税の関係において,法人税法132条1項の効果は及ばないものと解され,1審原告両法人代表者のc及び役員のdに対し役員賞与を支給した事実も,1審原告a及び同dに対し金員を贈与した事実も存しないことになる。よって,本件において万が一法人税法132条1項の行為・計算否認が認められるとしても,本件納税告知処分等の適法性まで基礎付けることはできない。 本件各売買の譲渡価格に合理性があることは,原判決「事実及び理由」の「第二事案の概要」の「三当事者の主張」の96頁4行目から107頁6行目(2,(二))までと上記で主張したとおりである。 7 不当利得返還請求の存否について当事者の主張この争点は,1審原告両法人は,納付義務の存否・範囲等実体的な関係について争うことができるかとの点と1審被告国に誤納金に関する不当利得が存在するかにあるが,双方の主張は次のとおりである。 (1) 1審原告両法人の主張ア源泉徴収に係る所得税については,その税額が法令の定めるところに従って当然に,いわば自動的に確定するものであり,公定力を有する課税処分が介在することにより確定するものではない(最高裁昭和45年12月24日判決・民集24巻13号2243頁)。他方,納税告知処分は徴収処分にとどまり,その告知に対して納税義務の不存在を理由とした不服審査や抗告訴訟が許容されてはいるものの,これはあくまで過誤徴収を防止するためのものに過ぎない。したがって,徴収義務者(支払者)は,納税義務の存在を主張する国に対し,納税義務不存在確認の訴えを提起するこ 抗告訴訟が許容されてはいるものの,これはあくまで過誤徴収を防止するためのものに過ぎない。したがって,徴収義務者(支払者)は,納税義務の存在を主張する国に対し,納税義務不存在確認の訴えを提起することができ,また,源泉所得税が納付された後は,誤納金として不当利得返還請求訴訟を提起することができるのであって,これに反する1審被告国の主張は失当である。 イ 1審原告両法人が,源泉所得税について,原判決「事実及び理由」の「第二事案の概要」の「一前提となる事実」(括弧内は省略)の13の(一)及び(二)(34頁以下)に記載のとおり,法人税及び法人特別税の還付金等を充当され,または現金納付したことは当事者間に争いはないところ,本件納税告知処分一及び二及び本件不納付加算税賦課決定処分一及び二は違法な処分であり,1審原告両法人からc及びdに対する役員賞与の支払いはないから,1審原告両法人に源泉支払義務は発生していない。そうすると,1審被告国は,上記アの金員を法律上の原因なく利得し,他方,1審原告両法人は,同金員相当額の損害を被ったことになり,よって,1審原告両法人は,1審被告国に対し,不当利得返還請求権に基づき,上記金員の支払いを求める。 (2) 1審被告国の主張一般に納税申告書の提出または更正,決定等により適法に確定した国税については,たとえ取消事由が存在したとしても,これらの行為または処分に重大かつ明白な瑕疵がない限り,既に納付された税額について過誤納金が発生する余地はなく,更正の請求等がされて初めて過誤納金が発生するものと解されるから,これについて遅延利息や加算金が生じる余地はなく,したがって,1審原告両法人の本件不当利得返還請求は失当である。 本件法人税等関連各処分は,いずれも適法であり,そうである以上,その範囲内で行われた本件納税告知 遅延利息や加算金が生じる余地はなく,したがって,1審原告両法人の本件不当利得返還請求は失当である。 本件法人税等関連各処分は,いずれも適法であり,そうである以上,その範囲内で行われた本件納税告知処分等も適法であるから,1審被告国に不当利得は発生せず,1審原告両法人の上記主張は理由がない。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,(1) 株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)の無効確認請求(主位的請求)は,いずれも理由がないから棄却し,(2) 同処分等の各取消しを求める訴えは(予備的請求),いずれも不適法却下を免れず,そして,本件不動産売買契約において当事者が合意した本件不動産の譲渡価格は35億円を下回らないことは明らかであるとの1審被告らの主張は理由があると認められ,よって,本件法人税等関連各処分は適法であるから,その取消しを求める1審原告両法人の請求も理由がなく,棄却されるものであると判断する。以下,判断の基礎となる事実を確定した上,その理由を詳説する。 1 基礎的事実阪急産業と1審原告両法人との本件不動産についての及び1審原告両個人との本件株式についての,各売買契約締結の経過及びその後の事情は,基本的には,原判決「事実及び理由」の「第三当裁判所の判断」の113頁8行目から140頁2行目(二,1)までに記載のとおりである。そこで,これを引用した上,付加的認定事実を補足して以下のとおり整理する(なお。原判決113頁8ないし11行目にて摘示の証拠に,乙56,57を加える。)。 (本件取引経過)(1) キャンベルゴヒャクは,平成元年12月1日,dを代表取締役として,発行済株式の総数20株,資本金100万円として設立されたが,その実質的な経営者はcであった。 キャンベル (本件取引経過)(1) キャンベルゴヒャクは,平成元年12月1日,dを代表取締役として,発行済株式の総数20株,資本金100万円として設立されたが,その実質的な経営者はcであった。 キャンベルゴヒャクの営業には3000坪以上の展示場を必要としたため,1審原告両法人は平成元年(一部は平成3年)合計約2800坪の本件各土地を合計13億1102万4305円で購入し,本件各土地の一部に事務所兼店舗,修理工場等として本件各建物を建築して,本件各土地及び本件各建物(本件不動産)をキャンベルゴヒャクに賃貸した。こうして,キャンベルゴヒャクは,1審原告サンヨーオートが所有者から賃借した隣接土地と本件各土地を合わせた約3300坪の展示場において,平成2年2月から,1審原告サンヨーオートから仕入れた中古車を販売する営業を開始した。 キャンベルゴヒャクは平成元年4月1日から始まる第1期事業年度以降,第4期事業年度までの間に下記のとおりの金額の税引前純利益を計上し,また,中古車の仕入先である1審原告サンヨーオートに対して,仕入手数料を支払ったことから,これに上記地代,家賃収入を加えたものを修正税引前純利益(第1期につき4124万円余り,第2期につき3億3378万円余り,第3期につき2億6344万円余り,第4期につき1億6687万円余り)として計上している(乙5)。 記(千円未満は切り捨て)〈税引前純利益〉 〈仕入手数料〉 〈賃料〉第1期 1392万円 1280万円 1452万円第2期 1億3247万円 1億1419万円 8712万円第3期 8345万円 9287万円 8712万円第4期 646万円 7328万円 8712万円(2) 日本中央競馬会は,高松市に阪神競馬場の場外勝馬投票券発売所「β」の建設 円第3期 8345万円 9287万円 8712万円第4期 646万円 7328万円 8712万円(2) 日本中央競馬会は,高松市に阪神競馬場の場外勝馬投票券発売所「β」の建設を計画し,これを請け負った阪急産業は,平成5年春のオープンを目指して建設工事を開始したところ,基礎工事が終わりかけた平成4年4月8日に,建設に反対する付近住民から高松地方裁判所に建設禁止の仮処分が申し立てられた。 そこで,日本中央競馬会は,上記仮処分対策として,阪急産業に,β近辺に駐車場用地を確保することを要請し,阪急産業は,大丸ハウスの代表取締役gに駐車場用地確保の仲介を依頼したが,その候補地の1つがキャンベルゴヒャクの中古展示場である本件各土地であった。 親会社から上記情報を得たアドックの当時の代表者hは,平成5年2月6日,本件各土地売却の仲介を申し出る意図でキャンベルゴヒャクに赴き,cにその旨申し入れた。 cは,当初,適当な代替地がないことなどから売却に難色を示したが,hは本件各土地の売却を求め続けた。 (3) 日本中央競馬会は,地域住民との仮処分裁判を少しでも有利に進めるため駐車場用地の確保を進めている証拠として裁判所に提出できるよう,阪急産業に,アドックへの本件各土地の譲渡に関する1審原告両法人の委任状をもらうよう指示し,これが発展して,阪急産業が本件各土地と本件株式を購入するに至ったのであるが,関係書類をもとに,この経過を要約すると次のとおりとなる。 ア平成5年2月14日,1審原告サンヨーオート作成のアドック宛の「キャンベルゴヒャクと阪急産業の土地交渉」に関する委任状(甲86)が作成された。 その際,cは,キャンベルゴヒャクの買収,すなわち本件株式の譲渡(M&A契約)も希望する旨申し添えた(乙11)。 イ hは,cの本件株式の譲 急産業の土地交渉」に関する委任状(甲86)が作成された。 その際,cは,キャンベルゴヒャクの買収,すなわち本件株式の譲渡(M&A契約)も希望する旨申し添えた(乙11)。 イ hは,cの本件株式の譲渡の申出を阪急産業側に伝えたが,同人は本件各土地の売買価格は,35億円から40億円位と踏んでいた(乙8,9)。 同月20日,hは,大丸ハウスのgと共に,キャンベルゴヒャクの事務所を訪れ,本件不動産の売却代金を打診したところ,cから「株式会社(キャンベルゴヒャク)を一括して60億円で売り渡す。明渡しは同年4月20日とする。ただし,今日中に回答が得られなければこの話は打切りにする。」という強硬な態度を示された。 その旨の連絡を受けた日本中央競馬会は,上記仮処分対策の必要上,これを受入れるよりほかないものと考え,阪急産業にその旨指示した。 日本中央競馬会からの回答を聞いたcは,本件不動産に18億円の,また本件株式に42億円の各譲渡代金額を付し,両者を一括して代金総額60億円で売却する旨を申し出た。 cの上記意向は,国土法の規制を免れるとともに,短期所有に係る本件各土地を譲渡することによる税負担の増大を避けるためであった(乙11別添手帳の「平成5年2月10日」欄,c代表者本人・第8回調書8頁,なお第7回調書69頁,なお平成8年法第17号による改正前の租税特別措置法63条)。 ウ阪急産業は,本件株式は値打ちのないものと認識しており,また,本件不動産を日本中央競馬会に賃貸する関係から,本件不動産の価格の方が低額であることに不満を感じたが,本件各土地の取得はβ建設計画の遂行に必要不可欠なことから,上記60億円の内訳に拘るのは得策ではないと考え,cの上記申入れにそのまま応じることとした(乙8,なお乙17別添3)。 cの上記意向を踏まえ,hと阪急産業の担 建設計画の遂行に必要不可欠なことから,上記60億円の内訳に拘るのは得策ではないと考え,cの上記申入れにそのまま応じることとした(乙8,なお乙17別添3)。 cの上記意向を踏まえ,hと阪急産業の担当取締役iとの打ち合わせ結果が,同月22日付「打合せ記録(乙28)」として残されているが,その内容は,譲渡価格の総額は60億円,譲渡の対象物件として本件株式及び資産,本件不動産,1審原告サンヨーオートの借地権等が含まれていること,譲渡する資産のうち在庫商品(中古車),可動性のある備品は除くこと,「キャンベル500」という商標は1審原告サンヨーオートに返すことなどを合意条件とするというものである。 同月26日,阪急産業が顧問弁護士に作成させた「商号,営業,不動産等譲渡契約書」に,キャンベルゴヒャク(代表者d),1審原告サンヨーオート(代表者c),1審原告中央自動車(代表者c)及びcとの間で,同契約書の表題に「予約」の二文字を挿入訂正の上,当事者が記名押印して「商号,営業,不動産等譲渡予約契約書」(甲47,以下「本件予約契約書①」という。)2通が作成された。 この本件予約契約書①は,阪急産業がキャンベルゴヒャクの商号,営業を譲り受ける契約でありながら,キャンベルゴヒャク自身が発行済みの株式全部を阪急産業に譲渡し(第1条),また,阪急産業は,同年4月14日,譲渡代金のほか,譲渡に要する一切の費用として,60億円を土地建物の明渡しと引換えに,cに支払う(5条は)との内容となっている。 ところで,上記総額60億円の内訳について記載がなかったため,1審原告両法人の顧問会計士であるj公認会計士は,本件予約契約書①の末尾に上記60億円の内訳は本件株式42億円で,本件不動産が18億円である旨を付記し,関係者全員の了解を得たが,阪急産業の側は,自己が保管する本 人の顧問会計士であるj公認会計士は,本件予約契約書①の末尾に上記60億円の内訳は本件株式42億円で,本件不動産が18億円である旨を付記し,関係者全員の了解を得たが,阪急産業の側は,自己が保管する本件予約契約書①に上記60億円の内訳を付記しなかった(乙27)。 エその後,国土法の手続が完了していなかったが,同年4月6日,とりあえず,「株式及び土地,建物等の売買予約契約書」(甲48,以下「本件予約契約書②」という。)が作成され,上記関係当事者がこれに記名押印した。 本件予約契約書②の末尾には,売買代金総額60億円の内訳として,譲渡価格は,本件株式が42億円,本件不動産が18億円である旨記載されており,そして,第2条に基づき阪急産業から本件不動産及び本件株式の各売買の手付金9億円(以下「本件手付金」という。)が支払われた。 本件予約契約書②において,cがキャンベルゴヒャクの株主代表である旨付記されているものの,その記載は対象となる株式欄になされており,また,阪急産業は,キャンベルゴヒャクの株式全部を買い受けながら,キャンベルゴヒャクの本件不動産についての賃借権等も買い受ける内容となっており,そして,賃貸借契約書等はこの契約書に添付されていない。 オ同月7日,1審原告サンヨーオートは,キャンベルゴヒャクの主たる資産及び負債を引き継ぎ,同社に対する未払金として6851万円余りが計上された。 その後,本件不動産に本件株式を抱き合わせて総額60億円で売買することについて,双方の顧問会計士から,税法上の問題が指摘され,書面のやり取りがあったが,これら書面のやり取りから,1審原告ら側は,本件不動産の売買と本件株式の売買とが本来一体の取引であることが表面化しないことを,阪急産業側は,本件株式は値打ちのない株式であるとの認識を前提に,これを抱き合わされ のやり取りから,1審原告ら側は,本件不動産の売買と本件株式の売買とが本来一体の取引であることが表面化しないことを,阪急産業側は,本件株式は値打ちのない株式であるとの認識を前提に,これを抱き合わされたことにより,本来の目的である本件不動産売買に低廉譲渡の問題が生じ,本件株式の売買だけが実行されてしまうことをおそれていたことが窺われるのである。 すなわち,1審原告両法人のj顧問会計士は,cと面談した結果を踏まえ,同月17日,阪急産業の顧問会計士であるk公認会計士に,「キャンベル社のM&Aの決済を4月30日迄にお願いしたい。」,「M&A契約とサンヨー社,中央社の土地売買契約の時点は従来より同時期とはしない旨意見を伝えてあるので誤解ないよう,再度御回答申します。」との文書(乙17別添1)を送付し,同月30日には,本件不動産の明渡しには本件株式の代金の手当が必要であるとして,「i氏の話では,値うちのない株の売買は速刻には応じられないとのことでしたが,本件の契約の当初より,株売却の先行を申し入れてあり,・・・・その点を踏えお願いする次第です。」との文書(乙17別添3)も送付した。 阪急産業の顧問会計士のk公認会計士は,同月20日,「株式の側のリスクを極力減少させるために,土地については,国土法の上限金額いっぱいの金額配分を検討しております。」との文書(乙17別添2)を送付し,上記税法上の問題について注意を喚起している。 カ同年5月7日,1審原告両法人と阪急産業は,香川県知事に対し,本件各土地のうち1審原告サンヨーオート所有分の売買予定対価の額を13億3455万1541円,1審原告中央自動車所有分のそれを3億1563万6544円として,国土法上の届出を行った。 同月31日,同知事から不勧告通知(甲81,82)があったが,その各通知には,それぞ 455万1541円,1審原告中央自動車所有分のそれを3億1563万6544円として,国土法上の届出を行った。 同月31日,同知事から不勧告通知(甲81,82)があったが,その各通知には,それぞれの土地につき隣接地との一体利用を前提とした限定価格であるとの付記がなされていた。 これを受け同年7月8日,日本長期信用銀行γ支店に,c,d,阪急産業代表取締役のl,双方の顧問会計士が一同に会し,1審原告両法人と阪急産業は,本件不動産を合計18億円(サンヨーオート所有の土地につき13億3455万1541円,建物につき1億4325万7698円,中央自動車所有の土地につき3億1563万6544円,建物につき655万4217円)で売買する旨記載された平成5年7月8日付け本件不動産売買契約書(甲50)に記名・押印し,c,dらは阪急産業に,本件株式20株(c8株,d6株,1審原告a3株,同b3株)を1株2億1000万円,合計42億円で譲渡する旨記載された平成5年4月6日付け本件株式譲渡契約書(甲49)に記名・押印した。 本件株式譲渡契約書の日付は,本件不動産売買との一体性を秘匿するため上記手付金支払いの日に遡らせたものであり,本件株式譲渡契約書上,本件手付金9億円は,本件株式の譲渡代金に充当されるものとされた(約定1条2項,乙8,17別添1,18)。 キ同日,本件株式の譲渡代金が上記cらの各個人名義の普通預金口座に入金された。そのうち1審原告両個人の分(合計12億6000万円)については,同日付けで日本長期信用銀行に新規開設された同原告ら名義の口座に入金され,その翌日から同月14日にかけ全額が出金され,うち9億円は,一旦,1審原告両個人の別の普通預金口座を経由して,同6年3月31日までの間に1審原告サンヨーオート名義の当座預金口座に振り返られた(乙 ,その翌日から同月14日にかけ全額が出金され,うち9億円は,一旦,1審原告両個人の別の普通預金口座を経由して,同6年3月31日までの間に1審原告サンヨーオート名義の当座預金口座に振り返られた(乙41,甲56,57)。 なお,1審原告両個人は,自己がキャンベルゴヒャクの本件株式を保有していたことも,それが売却されたことも全く知らされていなかった(乙23,24)。 (その後の事情)(1) cは,阪急産業の要請に従い,本件株式の譲渡に際して,キャンベルゴヒャクの従業員を解雇した。そして,阪急産業はキャンベルゴヒャクの営業を引き継がず,キャンベルゴヒャクは休業状態とされ,中古車販売に必要な古物商の許可も返上したが,ただ,資本金額だけは平成8年3月6日400万円に,同月23日1000万円に順次増額された。 (2) 阪急産業は,当初,本件不動産の取得原価を18億円,また本件株式の取得原価を42億円として会計処理を行った。しかし平成12年4月1日から始まる事業年度から親会社の阪急電鉄の連結対象会社となり金融商品会計基準が適用されたことから,取得した株式の時価が取得原価の50パーセントを下回る場合,その時価まで評価減を行う必要が生じ,上記事業年度の決算期の財務諸表に,自主的に本件各土地の土地勘定として収用による減額部分を控除した57億3575万8903円を計上し,他方,本件株式を1億42万4495円として投資有価証券勘定に計上した(乙56,57)。 1審原告サンヨーオートは,平成6年4月までの1年間,本件各土地から約500メートルの場所に仮設店舗を設け,キャンベルゴヒャクが販売した中古車の所有権留保解除手続やクレームの処理を行った。同年5月からは,本件各土地から約4キロメートル離れた約1400坪の土地で,「ファーレン高松」を開設し,解雇したキャン ャンベルゴヒャクが販売した中古車の所有権留保解除手続やクレームの処理を行った。同年5月からは,本件各土地から約4キロメートル離れた約1400坪の土地で,「ファーレン高松」を開設し,解雇したキャンベルゴヒャクの従業員を再雇用した上,中古車の販売を含む営業を再開したが,営業の形態は変えているものの,自社の「経歴書」と題する書面(乙24)には,同社の沿革として,「平成5年5月サービス体制向上のため,「株式会社キャンベルゴヒャク」を吸収合併「株式会社サンヨーオートセンター高松支店」とする」旨を記載した。 しかし阪急産業から本件株式譲渡契約書第11条(競業避止義務)に基づくクレームが出された経緯はない。 (3) 大丸ハウスは,本件不動産の売買契約及びこれと一体をなす本件株式の売買契約に関する媒介委託契約に基づきアドックが有する報酬債権を譲り受けたとして,c,d及び本件訴訟における1審原告らを被告として,1億8000万円の連帯支払を求める訴えを高松地方裁判所に提起(同裁判所平成5年(ワ)第420号事件)し,この訴訟は,大丸ハウスに対し,1審原告両法人は本件不動産売買契約の仲介手数料として,連帯して5400万円を支払い,c,d及び1審原告両個人は,本件株式売買契約の仲介手数料として,連帯して3050万円を支払う,という内容の和解により終了した(甲88,乙12)。 この和解において,1審原告両法人が本件不動産を阪急産業に合計18億円で売り渡す契約,並びにc,d及び1審原告両個人が本件株式を合計42億円で売り渡す契約がそれぞれ有効に成立したことが確認されている。 2 本件不動産価格について(1) 一般的に,私人間の取引において,格別の事由のない限り,各契約書記載のとおりの合意が当事者間で成立したものと認めるべきである。 本件にあっては,本件裁決に いる。 2 本件不動産価格について(1) 一般的に,私人間の取引において,格別の事由のない限り,各契約書記載のとおりの合意が当事者間で成立したものと認めるべきである。 本件にあっては,本件裁決においても,平成5年4月6日付「株式及び土地,建物等の売買予約契約書」(本件予約契約書②)において,本件不動産,本件株式の売買価格は確定していたものと認めている(乙5,6。もっとも,本件裁決は,1審原告両法人が,本件各土地については,買い進みがあったこと,利用目的が駐車場であることを考慮し,他方,本件株式については,キャンベルゴヒャクの将来性,収益力を考慮の上評価して,本件不動産の価格を35億円,本件株式の価格を25億円である旨主張しているのは,請求人(1審原告両法人)自身,本件予約契約書②記載の価格がいわゆる時価を適切に反映したものではないことを承認したものとした上,請求人(1審原告両法人)が主張している本件各土地の合計価格33億円余は,適切な価格32億円余を上回っているとして,本件法人税等関連各処分を一部取り消したのである。)。 また,本件各土地は13億円余りで購入した土地であり,その時価は16億3700万円(ただし,原判決別紙物件目録一1末尾記載の高松市δ302番4公衆用道路51平方メートルを除く。)程度で,本件不動産契約書に記載された代金額(18億円)との間に不均衡はなく,しかも,その18億円という代金記載額は国土法の規制を踏まえた金額であるといえなくもない。 (2) しかし,上記のとおり,1審原告両法人は,本件裁決の審査請求手続で,本件不動産の価格を35億円,本件株式の価格を25億円であると主張した経緯があることに加え,下記指摘の各事情からすると,本件各契約書に記載された各譲渡代金額(本件不動産18億円,本件株式42億円)は,それぞれ の価格を35億円,本件株式の価格を25億円であると主張した経緯があることに加え,下記指摘の各事情からすると,本件各契約書に記載された各譲渡代金額(本件不動産18億円,本件株式42億円)は,それぞれ別個・独立に,その経済的実体を踏まえ決定された金額ではなく,代金総額を60億円にするということを前提に,この金額を上記目的(国土法の適用除外と租税回避)に沿うよう適当に配分・割り付けて得られた金額に過ぎないものであって,本件各契約は一体不可分の関係にあると認めざるを得ない。 アまず,上記の基礎的事実の「(本件取引経過)」の本件予約契約書①,②に関して指摘したとおり,売買の目的物について各別にその価格等が検討された様子はないことが窺え,このことは,総額を60億円とすることが主たる確定事項であったことを示しているといえる。 次に,原判決が,本件不動産の売買契約及び本件株式の譲渡契約においては,本件不動産と本件株式を併せて譲渡することにより,本件各土地の譲渡価格の一部を本件株式の譲渡価格に「付け替えた」もので,本件株式の実質価格は8772万6440円を限度とするものであったことを窺わせるものとして挙げている(原判決142頁4行目から147頁3行目)事情がある。 すなわち,阪急産業が必要としたのは本件各土地だけで,cが本件不動産を18億円,本件株式を42億円として合計60億円ですべてを売却したいと申し入れたのは,国土法の規制をクリアーでき,税金が安くなるという理由からであること,キャンベルゴヒャクは阪急産業の要請により従業員を解雇し,中古車販売に必要な古物商の許可も返上して休業状態である一方,その営業は阪急産業に引き継がれず,1審原告サンヨーオートは,「ファーレン高松」を開設し,中古車の販売を含む営業をしており,解雇したキャンベルゴヒャクの従業員 物商の許可も返上して休業状態である一方,その営業は阪急産業に引き継がれず,1審原告サンヨーオートは,「ファーレン高松」を開設し,中古車の販売を含む営業をしており,解雇したキャンベルゴヒャクの従業員を再雇用していること,株式譲渡契約書における競業避止義務を定めた条項にもかかわらず阪急産業から1審原告らに対して何らかの異議もあった形跡がないこと等の本件株式の譲渡によって阪急産業とのM&A契約が実行された形跡が全くないという事情である。 イ f鑑定意見書(乙53の2)は,本件株式20株の時価を合計4億9245万4600円(1株2462万2730円)相当としているところ,この鑑定価格は充分根拠があると認められる。 すなわち,平成5年4月,キャンベルゴヒャクの資産(在庫中古車,可動性を有する備品等)は1審原告サンヨーオートに引き継がれ,本件各契約が締結されたとされる同年7月8日の時点では本件不動産に対する利用権以外には残存していなかったのであり,本件不動産及び本件株式の譲渡によりキャンベルゴヒャクの従業員は全員解雇され,また,同社の有利な立地条件,1審原告サンヨーオートからの仕入ルート等も当然失われていたのである。 もっとも,キャンベルゴヒャクは本件各土地で営業を開始後,過去3事業年度平均すると7000万円を超える税引前純利益を計上していたことなどからみて,本件株式の時価評価を行うに当たっては,やはり純資産だけではなく,本件不動産からの立退補償を含む所得補償の点も十分に考慮する必要があることは否定できないが,f鑑定意見書は,本件株式の譲渡は実質的にはキャンベルゴヒャクが保有する純資産及び形式的な法人格の譲渡でしかないことを指摘しつつも,本件不動産からの立退補償を含む所得補償の必要性も考慮に入れ,簿価純資産法だけではなく収益還元価格法も加えて本 ャンベルゴヒャクが保有する純資産及び形式的な法人格の譲渡でしかないことを指摘しつつも,本件不動産からの立退補償を含む所得補償の必要性も考慮に入れ,簿価純資産法だけではなく収益還元価格法も加えて本件株式の時価評価を行っており,その算出手法は客観的かつ合理的なものと解される。 これに加え,f鑑定意見書は,収益還元価格法の適用に当たっても,上記事実のとおり将来の予想利益は逓減傾向(とくに直前の第4期の税引前純利益は僅か600万円台にまで落ち込み,1審原告らがいう修正税引前純利益も前年度と比較して1億円近く減少している。)を示しているのに,敢えて過去3年間の純利益の平均値を採り,かつ危険率も最小限の値である3パーセントを採用するなどして本件株式の時価を合理的な範囲内で最大限高く評価することにより1審原告らの利益にも十分に配慮していることなどのほか本件訴訟に顕れた一切の事情を総合勘案するならば,f鑑定意見書の証拠価値は高いものといわざるを得ず,本件株式の時価を上記のとおり認定するよりほかはない。 1審原告らは,キャンベルゴヒャクの収益力は,各事業年度ごとの税引前純利益に,グループ企業である1審原告両法人に対する仕入手数料や賃料をも加えて把握されるべきであるところ,キャンベルゴヒャクの実質純利益は,上記事実のとおり年間2億円を超えるものとして,cが本件株式の実質的価値を42億円と定めたのは相当である旨主張する。しかし,そもそも上記2億円という純利益は,税引前の価格であって,これを直ちに株式の時価評価の基礎価格とすることには疑問があるほか,本来,キャンベルゴヒャクから1審原告両法人に支払われる仕入手数料等は,1審原告法人らの株式価値を高めることはあっても,キャンベルゴヒャクの本件株式それ自体の実質的価値を高めるものではないと考えるのが合理的であ ベルゴヒャクから1審原告両法人に支払われる仕入手数料等は,1審原告法人らの株式価値を高めることはあっても,キャンベルゴヒャクの本件株式それ自体の実質的価値を高めるものではないと考えるのが合理的である上,仮に,これら仕入手数料をキャンベルゴヒャクの収益力の中に加えるとしても,上記のとおり将来の予想利益は逓減する傾向にあったのである。その他,将来の危険率等を考慮に入れるならば,本件株式の客観的な時価評価として42億円もの株式評価が成り立つ余地があるとは到底認められず,また,そうした株式評価を裏付けるに足る客観的な証拠も提出されていない。1審原告らの上記主張採用の限りではない。 ウ本件各土地の時価評価につき,不動産鑑定評価書(甲79)は,合計16億3700万円(ただし,原判決別紙物件目録一1末尾記載の高松市δ302番4公衆用道路51平方メートルを除く。)としている。 1審被告らは,当時の建設省が本件各土地の一部を1平方メートル当たり45万9600円で収用した経緯があり(乙58),これによれば本件各土地の時価は42億8000万円余りである旨主張するが,この主張評価額を客観的に裏付けるに足る証拠は提出されていない。もっとも本件各土地の取引は阪急産業からの激しい買い進みのある状況下で行われたのであるが,その点を考慮に入れても,上記不動産鑑定評価書の時価評価が現実の時価とまったくかけ離れた価格でないことは明らかである。 エ上記判断を左右するに足る主張・立証はないばかりか,阪急産業は,当初,本件不動産の取得原価を18億円,また本件株式の取得原価を42億円として会計処理を行ったものの,平成12年4月1日から始まる事業年度から親会社の連結対象会社となり金融商品会計基準が適用されたことから,上記事業年度の決算期の財務諸表に本件各土地の土地勘定として収 として会計処理を行ったものの,平成12年4月1日から始まる事業年度から親会社の連結対象会社となり金融商品会計基準が適用されたことから,上記事業年度の決算期の財務諸表に本件各土地の土地勘定として収用による減額部分を控除した57億3575万8903円を計上し,他方,本件株式を1億42万4495円として投資有価証券勘定に計上して評価の見直しを行っていることによっても,裏付けられるところである。 (3) 以上指摘した事情,すなわち本件各売買契約の締結に当たって,その目的物の価格が各別に検討された形跡はなく,代金総額を60億円とすることが主たる確定事項であったこと,本件各契約書に記載の上記価格は国土法の規制をクリアーし,かつ税負担の増大を避けることを目的として付されたものであること,そして本件株式の譲渡によってM&A契約が実行された形跡は全くなく,本件株式の時価はどれだけ高く見積もっても5億円余りに過ぎないことなどの事情を総合すると,本件各契約書に記載された譲渡代金額(本件不動産18億円,本件株式42億円)は,いずれも国土法の規制を免れ,かつ,本件各土地の譲渡に伴う税負担の増大を回避するという目的に沿うよう上記60億円を適当に配分・割り付けただけの金額に過ぎないものであることは明らかである。 そして,このように本件各土地の譲渡に伴う税負担の増大を回避するという目的に沿うよう上記60億円を適当に配分・割り付けられた金額に過ぎない以上,本件株式譲渡契約書に記載の譲渡代金額(42億円)は上記目的を達成するための仮装の金額であって,当事者間には別途真実の売買代金額が存在していたと認めるよりほかはない。 3 本件法人税等関連各処分の適法性について(1) 課税処分の取消訴訟における実体上の審理の対象は,当該課税処分によって確定された税額の適否であり,課 代金額が存在していたと認めるよりほかはない。 3 本件法人税等関連各処分の適法性について(1) 課税処分の取消訴訟における実体上の審理の対象は,当該課税処分によって確定された税額の適否であり,課税処分における課税行政庁の認定等に誤りがあっても,これにより確定された税額が総額において処分時に租税法規によって客観的に定まっている税額を上回らなければ当該課税処分は適法と解される(総額主義)。そして,国税不服審判所は,上記のとおり,1審原告両法人の主張する本件不動産の売買価格を35億円,本件株式の譲渡価格を25億円と認定し,本件法人税各更正処分を一部取り消している。 したがって,本件法人税等関連各処分の取消訴訟における審理の対象は,上記取消後の税額を基礎付ける事実の存否いかんということになるから,結局,本件の課税行政庁たる1審被告尼崎税務署長は,本件法人税各更正処分の適法性を基礎付けるためには,本件不動産の売買価格が35億円を下らないことを主張・立証することを要し,かつ,それで足りることになる。 そこで,以上の観点から,本件各土地の価格について検討することとする。 (2) 本件株式20株の時価評価は,最大限高く評価しても合計4億9245万円余りであるから,結局のところ本件株式譲渡契約において,cらは,上記のとおり合計5億円に満たない株式に42億円もの代金を付したことになる。もとより株式の取引価格をいくらにするかは当事者の交渉により自由に決定することができる事柄ではあるが,時価相当額を基準として売買するというのが一般の株取引の通例であって,このことは本件のごとく億を超える株の高額取引の場合には,なおさらのことである。 そうすると本件株式の譲渡のように,契約書に記載された譲渡価格と時価が著しく懸絶している売買は,たとえ,その契約書作成に至る関 本件のごとく億を超える株の高額取引の場合には,なおさらのことである。 そうすると本件株式の譲渡のように,契約書に記載された譲渡価格と時価が著しく懸絶している売買は,たとえ,その契約書作成に至る関係書類が残され,その記載価格が真実のものであることを当事者が力説しているとしても,契約書記載どおりの売買の存在を是認し難いというほかない(ちなみに最高裁昭和38年8月8日第3小法廷判決・民集15巻7号2005頁)。 なるほど,本件各土地は13億円余りで購入した土地であり,しかも,その時価は16億3700万円(ただし,原判決別紙物件目録一1末尾記載の高松市δ302番4公衆用道路51平方メートルを除く。)程度で,本件不動産契約書に記載された代金額(18億円)との間に不均衡はなく,しかも,その18億円という代金記載額は国土法の規制を踏まえた金額である。しかし上記で指摘したとおり,本件各契約書に記載された各譲渡代金額(本件不動産18億円,本件株式42億円)は,それぞれ別個・独立に,その経済的実体を踏まえ決定された金額ではなく,代金総額を60億円にするということを前提に,この金額を上記目的(国土法の適用除外と租税回避)に沿うよう適当に配分・割り付けて得られた金額に過ぎず,それ自体に特段の意味があるわけではなく,上記記載金額が当事者の真実の意思ではなかったものというよりほかない。 とりわけ本件株式の譲渡金額に対する配分・割付額42億円は,上記の目的を達成するうえで要ともいうべき重要な意味を有しており,この配分・割付額が仮装の金額に過ぎないというよりほかない以上,これと一体不可分の関係にある本件不動産の売買代金額が当事者の真意に基づくものであるとは認められないのである。 (3) このように,本件各売買における代金の配分・割付は仮装の金額に過ぎないとすると ,これと一体不可分の関係にある本件不動産の売買代金額が当事者の真意に基づくものであるとは認められないのである。 (3) このように,本件各売買における代金の配分・割付は仮装の金額に過ぎないとすると,次に本件不動産について当事者が合意した真の譲渡価格はいくらであるかが問題となる。その点は,売買の目的物の市場価格,取引当事者の必要性等を考慮して当事者の合理的な意思を探索するよりほかはないとしても,その正確かつ具体的な価格を明らかにすることは相当の困難を伴う。ただ上記総額主義の立場を前提とする限り,本件不動産の真の譲渡価格を具体的に認定し,確定する必要まではなく,少なくとも本件法人税等関連各処分の適法性を基礎付けるに足る譲渡価格の合意が成立していたこと,すなわち本件不動産についていうと当事者間に35億円を下らない譲渡価格の合意が成立していたか否かを検討すれば足りるものというべきである。 本件株式の譲渡は,本件不動産について国土法の規制をクリアーするとともに,その譲渡に伴う税負担の増大を回避するための便法として採用されたものに過ぎず,それ自体の価格としては,買い進みによる価格のつり上げを最大限考慮したとしても,本来,時価相当額の数倍を超える対価を要求できる筋合いのものではなく,他方,阪急産業においても本件株式の譲渡には興味がなく,本件各土地の取得によりβの駐車場を確保することにだけ関心があり,本件株式それ自体に対し時価相当額の数倍を超える対価を支払う意思など全くなかったことは上記の検討からも明らかである。 そうすると,本件株式20株の時価相当額は合計4億9245万円余りであるところ,仮に本件株式に買い進みがあったとしても,通常はその時価相当額を数倍(20億円)も上回る価格で売買されることは考えられず,結局,本件不動産の真の譲渡価格は,本件 計4億9245万円余りであるところ,仮に本件株式に買い進みがあったとしても,通常はその時価相当額を数倍(20億円)も上回る価格で売買されることは考えられず,結局,本件不動産の真の譲渡価格は,本件株式の取引価格を最大限高く認定しても,40億円を下回ることはないことに帰着する。 もっとも,このように本件不動産の譲渡価格を認定すると,本件各土地に対する国土法の規制を超えることになるが,一般の土地取引においても,時として,いわゆる裏契約などの方法を用いることにより,国土法の規制を超える価格での取引が行われることが,ままあることは周知の事実であり,本件にあっても,税負担回避の目的とも相俟って,本件株式の譲渡を一種の隠れ蓑としつつ,国土法上の規制を超える取引が行われたものとみられ,本件における上記国土法の規制の存在は,上記認定判断に対し何ら影響を与えない。 (4) 上記のとおり本件不動産の価格は,本件裁決が前提とした35億円を下回ることはない。そして本件法人税更正処分一及び二で採用された本件各土地についての1審原告両法人の各譲渡価格割合(1審原告サンヨーオート80.9パーセント,同中央自動車19.1パーセント,原判決53及び71頁参照)は合理的なものと認められ,結局,上記総額主義の立場から,本件法人税等関連各処分は,いずれも適法であり,この点に関する1審原告両法人の請求は棄却されるべきである。 なお,1審原告らは,1審被告らが本件訴訟で総額主義を前提とした上,本件不動産の譲渡価格が35億円を下らないことを主張することは本件裁決の拘束力(国税通則法102条2項)に抵触し許されないものと主張する。しかし,同法102条1項は「裁決は,関係行政庁を拘束する。」と規定するにとどまる上,行政処分の審査請求手続と行政処分の取消訴訟手続とは全く異なる手続である 条2項)に抵触し許されないものと主張する。しかし,同法102条1項は「裁決は,関係行政庁を拘束する。」と規定するにとどまる上,行政処分の審査請求手続と行政処分の取消訴訟手続とは全く異なる手続であるから,1審被告らが,本件訴訟において,本件裁決の認定判断と異なる主張を行ったとしても,本件裁決の拘束力には何ら抵触しない。よって,1審原告らの上記主張は失当というほかはない。 以上のとおり,本件不動産売買契約において当事者が合意した本件不動産の譲渡価格が35億円を下回らないので,本件法人税等関連各処分についての取消請求は理由がないことに帰着する。 4 株式売却に伴う所得関連各処分の適法性について当裁判所は,以下のとおり,株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)についての,無効確認請求(主位的請求)はいずれも理由がないからこれを棄却し,また,その各取消しを求める訴えは(予備的請求),いずれも不適法却下を免れないものと判断する。 (1) 主位的無効確認請求についてア株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)は,いずれも行政処分(行政事件訴訟法3条2項)に該当するので,無効確認を求めるには,1審原告らにおいて,無効原因として,これらの処分に重大かつ明白な瑕疵が存在していることを主張・立証する必要がある(最高裁昭和30年12月26日第3小法廷判決・民集9巻14号2070頁)。 イ 1審原告らは,c,d,1審原告a及び同bには,本件裁決で認定された本件株式の譲渡価格(25億円)と実際の譲渡価格(42億円)の差額を1審原告両法人に返還する意思があり,現に,そのための会計処理まで行っているのであるから,かかるcらの意思及 ,本件裁決で認定された本件株式の譲渡価格(25億円)と実際の譲渡価格(42億円)の差額を1審原告両法人に返還する意思があり,現に,そのための会計処理まで行っているのであるから,かかるcらの意思及び会計処理に反して上記差額部分を賞与ないし寄付金として認定する本件納税告知処分等は,いずれも課税の根拠を欠き,かつ一義的に明確であることが求められる源泉徴収制度の建前をも無視する違法無効な処分である旨主張するのみである。 これらの主張は,いずれも株式売却に伴う所得関連各処分の後に生じた事情に基づくものである上,その内容も1審原告らの単なる意向や内部的な会計処理を理由とするものに過ぎず,上記各処分の根拠を失わせるような性質のものでないことは明らかである。 したがって,1審原告らが主張する事由は,株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)の「瑕疵」とさえ評価することができないもので,その余の点を検討するまでもなく,株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)の無効確認請求は理由がないことに帰着する。 ウなお念のため付言するに,f鑑定意見書が指摘するとおり,本件株式の実質的価値の把握は容易でない以上,上記認定賞与ないし寄付金の誤認を理由する瑕疵の主張は「重大かつ明白な瑕疵」とは到底いい難く,よって仮に1審原告らの上記主張が,上記瑕疵の主張を含むものであったとしても,結論は何ら異ならない。 (2) 予備的請求についてア 1審原告らは,平成8年6月27日,株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)の審査請求を取り下げ,上記の各処分につき裁決を経ていないことは当事 は,平成8年6月27日,株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)の審査請求を取り下げ,上記の各処分につき裁決を経ていないことは当事者間に争いはない。よって,本件納税告知処分等につき裁決を経ていないことにつき通則法115条1項3号の「正当な理由」があるか否かが問題となる。 イ 1審原告らは,国税不服審判所の審判官から,本件法人税更正処分等及び本件納税告知処分等の審査請求の全部又は一部の取下げに応じれば,全ての重加算税賦課決定処分が取り消され,源泉所得税及び所得税も賦課されなくなることを内々に教示されたことなどから,上記審査請求を取り下げたものであるとして,本件納税告知処分等につき裁決を経ていないことについて「正当な理由」がある旨主張するところ,そもそも,通則法115条1項3号にいう「正当の理由があるとき」とは,二重に不服申立てを経させる必要性と合理性に乏しい場合をいうのであって,上記のような国税不服審判所からの教示に基づき審査請求を取り下げたような場合が,これに含まれるかは甚だ疑問である。 のみならず,1審原告両法人代表者であるcは,審判官から上記のような教示があった旨供述するが,1審原告両法人は,審査請求において,本件各土地を35億円,本件株式を25億円の価格での売買であるとも主張していたのであるから,この対価を前提として本件法人税等関連各処分等についての裁決があれば,これに基づき株式売却に伴う所得関連各処分(1審原告両法人に対する告知処分等及び1審原告両個人に対する所得税更正処分等)は変更されることになるとのことが話題となっていたことは当然推測される(現に,本件裁決に基づき変更された。)ものの,審判官から1審原告らが主張し,cが供述するような法に反した教示があったと 処分等)は変更されることになるとのことが話題となっていたことは当然推測される(現に,本件裁決に基づき変更された。)ものの,審判官から1審原告らが主張し,cが供述するような法に反した教示があったとは到底認め難いところで,1審原告らの上記主張事実を認めるに足る証拠がなく,1審原告らの上記主張は採用の限りではない。 なお,1審原告らは,1審被告らが,本件納税告知処分等の取消しを求める訴えの不適法を主張することは信義則に反するとも主張するが,この主張を基礎付ける事実の立証はなく,したがって,1審原告らの上記主張も採用の限りではない。 ウよって,本件納税告知処分等の各取消しを求める訴え(予備的請求)は,いずれも不適法であるから却下を免れない。 5 本件不当利得返還請求について当裁判所は,以下のとおり1審原告両法人の1審被告国に対する不当利得(誤納金)返還請求は理由がないものと判断する。 (1) 上記のとおり,株式売却に伴う所得関連各処分には重大かつ明白な瑕疵は認められず無効原因は存在せず,また,上記各処分の取消しを求める訴えは裁決を経ておらず,不適法却下を免れないことから,結局,本件納税告知処分一及び二は有効に存続していることになるが,そもそも納税告知処分は,源泉所得税の徴収の第1段階として,税務署長において支払者に対し,すでに自動的に確定している税額のほか,納期限・納付場所等を示して納税を告知するものであって(通則法15条2,3項,36条),課税処分ではなく徴収処分にとどまるものと解される(最高裁昭和45年12月24日・民集24巻13号2243頁)。そうすると,納税告知処分が所定の期間内に行政上の不服申立て及び抗告訴訟(取消訴訟)が提起されないまま確定したとしても,その前提となる納税義務(源泉徴収義務)の存否・範囲等実体的な関係についてま 。そうすると,納税告知処分が所定の期間内に行政上の不服申立て及び抗告訴訟(取消訴訟)が提起されないまま確定したとしても,その前提となる納税義務(源泉徴収義務)の存否・範囲等実体的な関係についてまで不可争性(確定力)が生じるものとはいえず(最高裁昭和53年2月10日判決・訟務月報24巻10号2108頁),したがって,1審原告両法人は,本件不当利得返還請求訴訟において,本件納税告知の前提となった納付義務の存否・範囲等実体的な関係について争うことができるものと解される。 (2) ところで,1審原告両法人が,源泉所得税について,原判決「事実及び理由」の「第二事案の概要」の「一前提となる事実」の13の(一)及び(二)(34頁以下)に記載のとおり,法人税及び法人特別税の還付金等を充当され,または現金納付したことは当事者間に争いはないところ,この1審原告両法人が現金納付等を行った金額は,原判決の同12の(一)(32頁以下)及び同別表7,8に記載のとおり,本件裁決に基づき本件納税告知処分一及び二を変更した後の各納税告知処分に従ったものである。 上記のとおり本件各土地は35億円を下回らない価格で売却されたと認められるので,本件裁決に従って変更された後の納税告知処分は適法であると解され,したがって,この変更により1審原告両法人に対する上記誤納金は発生していないこととなる。 (3) よって,1審原告両法人の1審被告国に対する不当利得返還請求は理由がないことに帰着する。 第4 結語以上のとおり,当裁判所の上記結論と異なる原判決はその限度で取り消しを免れず,よって,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第3民事部裁判長裁判官岡部崇明裁判官白井博文裁判官伊良原恵吾 よって,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第3民事部裁判長裁判官岡部崇明 裁判官白井博文 裁判官伊良原恵吾
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