平成28年11月16日判決言渡平成25年(行ウ)第65号墓地経営不許可処分取消等請求事件 主文 1 本件訴えのうち,主位的請求のうちの墓地経営許可申請に対する許可処分の義務付けを求める部分を却下する。 2 原告のその余の主位的請求を棄却する。 3 被告は,原告に対し,7898万円及びこれに対する平成24年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の予備的請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用はこれを5分し,その3を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 6 この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求(主位的請求) 1 羽村市長が原告に対して平成24年9月27日付けでした墓地経営不許可処分を取り消す。 2 羽村市長は,原告に対し,原告が平成24年1月30日付けでした墓地経営許可申請に対する許可処分をせよ。 (予備的請求) 3 被告は,原告に対し,1億円及びこれに対する平成24年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (上記予備的請求は,国家賠償法1条1項に基づく異なる違法を理由とする2個の損害賠償請求が選択的に併合されたものである。)第2 事案の概要 本件は,宗教法人であり,東京都羽村市内の土地において墓地を設置することを計画していた原告が,「墓地,埋葬等に関する法律」(以下「墓埋法」という。)10条1項に基づき,申請当時の許可権限者であった東京都知事の権限の委任を受けた東京都西多摩保健所長に対して墓地経営許可の申請をしたところ,その後に法律の改正に伴ってその許可の権限を有することとなった羽村市長から,上記の申請について許可しない旨の処 都知事の権限の委任を受けた東京都西多摩保健所長に対して墓地経営許可の申請をしたところ,その後に法律の改正に伴ってその許可の権限を有することとなった羽村市長から,上記の申請について許可しない旨の処分(墓地経営不許可処分)を受けたことについて,ⅰ)主位的に,上記の処分には違法があるとしてその取消しを求めるとともに,上記の申請について許可する旨の処分をしないことは裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用となるとしてその義務付けを求める一方で,ⅱ)予備的に,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として,①被告が上記の申請について許可する旨の処分がされることを妨害する行為をしたために,原告は許可権限移譲前の東京都西多摩保健所長から同処分を受けられなかったことにより損害を生じたとして,被告に対し,損害金合計4億6308万円の内金1億円及びこれに対する上記の行為の後である平成24年4月1日から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(以下「予備的請求①」という。)とともに,これと選択的に,②被告が独自の審査基準を定めていたにもかかわらずこれを公表しなかったために,原告は上記の申請をして墓地経営不許可処分を受けたことにより損害を生じたとして,被告に対し,予備的請求①と同額の損害金及び遅延損害金の支払を求める(以下「予備的請求②」という。)事案である。 1 関係法令等の定め(1) 墓埋法10条1項は,墓地を経営しようとする者は,都道府県知事の許可を受けなければならないと定めるところ,「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成23年法律第105号。以下「整備法」という。)の施行により,墓埋法2条5項中「都道府県知事」の次に「(市又は特別区にあっては,市長又は区長。 以下同じ るための関係法律の整備に関する法律」(平成23年法律第105号。以下「整備法」という。)の施行により,墓埋法2条5項中「都道府県知事」の次に「(市又は特別区にあっては,市長又は区長。 以下同じ。)」を加える旨の改正がされ,その改正規定の施行日である平成24年4月1日以降においては,被告の区域内での墓地の経営の許可は,羽村市長が行うこととなった。 (2) 東京都の条例である「墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例」(昭和59年東京都条例第125号。平成24年東京都条例第50号による改正前のもの。以下「都墓地条例」という。)(甲1)は,3条において,墓地を経営しようとする者は,地方公共団体,都内又は当該墓地の存する特別区若しくは都内の市町村の区域に隣接する都外の市町村の区域内に主たる事務所又は従たる事務所を有する宗教法人,墓地の経営を行うことを目的とする公益社団法人又は公益財団法人のいずれかに該当する者でなければならないが,特別の理由がある場合であって,知事が,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるときは,その限りでない旨を定め,6条において墓地の設置場所の基準,7条において墓地の構造設備の基準をそれぞれ定めているほか,18条1項において,墓地の建設の計画について,隣接住民等から,所定の期間内に,一定の内容の意見の申出があった場合において,正当な理由があると認めるときは,知事は,当該墓地に係る経営許可の申請予定者に対し,隣接住民等との協議を行うよう指導することができる旨,同条2項において,申請予定者は,前項の規定による指導に基づき実施した隣接住民等との協議の結果を知事に報告しなければならない旨をそれぞれ定めている。 (3) 東京都の規則である「墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例施行規則」(昭和60年 導に基づき実施した隣接住民等との協議の結果を知事に報告しなければならない旨をそれぞれ定めている。 (3) 東京都の規則である「墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例施行規則」(昭和60年東京都規則第17号。平成24年東京都規則第37号による改正前のもの。以下「都墓地規則」という。)(甲2)は,1条2項において,都墓地条例に基づく墓地経営許可の申請書に添付すべき書類について定めているところ,これによれば,同申請書には,墓地の設置に係る資金等計画及び管理運営に係る書類等のほか,申請者が宗教法人である場合に は,財産目録,収支計算書その他当該法人の財務状況を確認できる書類,信者用の墓地等の経営の実績等を示す書類等を添付しなければならないこととされている。 (4) 被告の条例である「羽村市墓地等の経営の許可等に関する条例」(平成23年羽村市条例第22号。以下「市墓地条例」という。)(甲12)は,付則4項において,施行日(平成24年4月1日)前に東京都知事に対してなされている墓地経営許可の申請で被告の区域内の墓地に係るものは,市長に対してなされたものとみなす旨を定めるとともに,付則5項において,前項の規定により市長に対してなされたものとみなす申請に係る墓地について,経営の許可を行う場合の基準は,市墓地条例の規定にかかわらず,都墓地条例の例による旨を定めている。 2 前提事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,原告を包括する宗教団体を「法華宗本門流」として昭和28年に設立された宗教法人である。 イ被告は,東京都多摩北西部をその区域とする普通地方公共団体である。 (2) 墓地経営不許可処分に至る経緯ア原告は,平成23年6月頃から,東京都羽村市α×番●,同番●及び同番●●の各土地 イ被告は,東京都多摩北西部をその区域とする普通地方公共団体である。 (2) 墓地経営不許可処分に至る経緯ア原告は,平成23年6月頃から,東京都羽村市α×番●,同番●及び同番●●の各土地(以下,まとめて「本件土地」という。)において墓地を設置することを計画していた。 イ原告は,平成24年1月30日,東京都知事の権限の委任を受けた東京都西多摩保健所長(以下「西多摩保健所長」という。)に対し,墓埋法10条1項の規定に基づき,本件土地に設置することを計画していた墓地について,以下の内容での経営の許可を申請し(以下,この申請を「本件経営許可申請」といい,同申請に係る墓地を「本件墓地」という。),西多摩保健所長は,同日,本件経営許可申請を受理した。 (ア) 墓地の名称 A(イ) 墓地の敷地の面積 3371.85平方メートル(ウ) 墳墓を設ける区域の面積 1318.01平方メートル(エ) 墳墓の区画数 1135区画ウ本件墓地の計画に係る事業は,被告が定める羽村市宅地開発等指導要綱(以下「指導要綱」という。)(乙6)の適用事業に該当し,指導要綱3条は,適用事業を実施しようとする事業主は,法令に定められた手続を行う前に,公共施設等の計画,管理,帰属及び費用負担並びにその他必要事項について,市長と事前の協議(以下「要綱事前協議」という。)をし,その承認を得るものとする旨を定めている。 エ原告は,平成24年2月23日,被告を相手に,本件墓地及びその付随施設等につき,被告が経営する水道事業による水の供給及び被告が管理する公共下水道の使用に係る仮の地位を定める仮処分命令の申立てをしたが(当庁同年(行ク)第▲号仮処分命令申立事件),同年3月7日,上記の申立てをいずれも却下する旨の決定がされた(甲46)。 オ原告は,平成2 道の使用に係る仮の地位を定める仮処分命令の申立てをしたが(当庁同年(行ク)第▲号仮処分命令申立事件),同年3月7日,上記の申立てをいずれも却下する旨の決定がされた(甲46)。 オ原告は,平成24年3月19日,被告を相手に,上記と同様の水の供給及び公共下水道の使用に係る仮の地位のほか,原告が本件経営許可申請につき施設の検査その他の必要な審査を受けることを被告が妨害することの禁止に係る仮の地位を定める仮処分命令の申立てをしたが(当庁同年(行ク)第▲号仮処分命令申立事件),同年4月4日,上記の申立てをいずれも却下する旨の決定がされた(甲47)。 カ平成24年4月1日,整備法中の墓埋法の改正規定及び市墓地条例が施行され,本件経営許可申請に係る許可の権限は同日から羽村市長が有することとなった。 キ原告は,本件墓地の造成及び管理棟の建築に係る工事(以下「本件工事」という。)を行い,平成24年9月10日,羽村市長に対し,市墓地条例 15条の規定に基づき,本件工事が完了したことを届け出た。 ク羽村市長は,平成24年9月27日付けで,原告に対し,本件経営許可申請について許可しない旨の処分(以下「本件不許可処分」という。)をした。本件不許可処分に係る通知書(甲17)には,本件不許可処分の「主たる理由」として,次の(ア)から(ウ)までの記載があった。 (ア) 「墓地経営は,永続性と非営利性を確保する趣旨及びその公共的性格から市町村等の地方公共団体により行うことが原則であり,これにより難い事情があっても,宗教法人又は公益法人に限られるところ,羽村市ではこの原則のとおり,昭和47年から都市計画墓苑である富士見霊園を開設して市民の利用に供しており,現在,拡張整備計画も進められており,来年度から公募を開始する予定となっているため,墓地経営を羽村 ではこの原則のとおり,昭和47年から都市計画墓苑である富士見霊園を開設して市民の利用に供しており,現在,拡張整備計画も進められており,来年度から公募を開始する予定となっているため,墓地経営を羽村市により難い事情はない。」(以下「本件不許可理由1」という。)(イ) 「また,羽村市では,『羽村市都市計画マスタープラン』を策定し,調和のとれたまちづくりを推進してきたが,当該墓地計画用地は,工業専用地域の中にあり,墓地の設置により産業集積地を空洞化させ,その価値を失わせるものであり,今後の羽村市のまちづくりに多大な影響を及ぼすものである。」(以下「本件不許可理由2」という。)(ウ) 「さらに,本件墓地経営の安定性の裏付けと経営責任主体の明確さの不十分,隣接住民との協議への対応や関係法令等に基づく手続を無視して施設の給排水工事を着工するなどの点に照らして,宗教法人Fは,墓地経営主体としての適格性に欠けており,墓地経営を許可する要件を具備していない。」(以下「本件不許可理由3」という。)(3) 本件訴えの提起等原告は,平成25年2月5日,前記第1の主位的請求及び予備的請求①に係る本件訴えを提起し,その後,予備的請求①と選択的なものとして予備的請求②を追加する訴えの変更をした(当裁判所に顕著な事実)。 3 争点及び当事者の主張(1) 本件不許可処分の適法性等(主位的請求関係)(原告の主張)ア本件における審査基準について(ア) 本件経営許可申請についての審査に当たっては,市墓地条例付則5項の規定により,都墓地条例及び都墓地規則並びにこれらの運用について定めた東京都保健所長宛ての東京都衛生局長通知(昭和60年3月28日59衛環環第964号。以下「都墓地運用通知」という。)(甲56)を審査基準とすべきである。そして,これ 並びにこれらの運用について定めた東京都保健所長宛ての東京都衛生局長通知(昭和60年3月28日59衛環環第964号。以下「都墓地運用通知」という。)(甲56)を審査基準とすべきである。そして,これらの審査基準は,詳細かつ網羅的な内容を定めているから,これを満たす墓地経営許可の申請は,許可されるべきである。 (イ) ところが,羽村市長は,被告において定めた独自の審査基準を適用して,本件不許可処分をした。これは,市墓地条例付則5項に違反するものである。 また,被告においては,本件経営許可申請について平成24年4月1日以降に羽村市長が許否の判断を行う可能性を認識していながら,本件経営許可申請の前に,上記独自の審査基準を公表しなかった。これは,行政手続法5条3項に違反するものである。 イ審査過程の承継について(ア) 東京都における墓地経営許可申請についての審査過程では,申請を受理するときまでに審査することが可能な事項については,申請を受理する前に,事前の相談等を通じて事前に審査することとされており,都墓地条例等の審査基準に適合していると判断されたものについてのみ,許可の申請を受理するものとされていた。 (イ) 原告は,本件経営許可申請が受理される前から,西多摩保健所長に対して申請書類一式を提出し,申請の内容について事前の審査を受けて いたものであり,西多摩保健所長は,原告の墓地の経営主体としての適格性などについて,関係部局に対する意見照会等を通じて審査を行い,こうした事前の審査を経て,本件経営許可申請の内容が,都墓地条例等の審査基準に適合していることを確認した上で,本件経営許可申請を許可すべきものとして受理したものである。 (ウ) 羽村市長は,上記(ア)の東京都における審査過程を認識していたことから,かかる審査過程及び上記( 適合していることを確認した上で,本件経営許可申請を許可すべきものとして受理したものである。 (ウ) 羽村市長は,上記(ア)の東京都における審査過程を認識していたことから,かかる審査過程及び上記(イ)の本件経営許可申請についての審査状況を承継して,申請の内容のとおりに工事が完了していれば,その他の要件については改めて審査を行うことなく,許可の処分をすべきであった。にもかかわらず,羽村市長において,これを承継せずに西多摩保健所長による審査過程を無視した結果,本件経営許可申請を許可しなかったことは,墓埋法等によって羽村市長に委ねられた裁量権の範囲を逸脱したものである。 ウ本件不許可処分の理由について(ア) 本件不許可理由1について本件不許可処分の当時,被告の区域を含む地域においては,被告が開設する富士見霊園及びその拡張整備計画を考慮に入れても,公立の墓地によっては墓地の需要に見合う供給がされていなかった。にもかかわらず,羽村市長においては,都墓地条例等の審査基準によらず,また,客観的な根拠に基づかず,極めて恣意的な判断によって,公立の墓地により墓地の需要に見合う供給がされているとして,本件不許可処分をしたものである。 (イ) 本件不許可理由2について墓地経営許可申請に対する審査において,都市計画やまちづくりとの整合性その他の影響を考慮要素とすることは,墓埋法及び都墓地条例の趣旨及び目的に違反するもので許されない。 また,本件不許可理由2は,本件墓地の設置により,被告の都市計画等にいかなる具体的・現実的な影響が生ずるのかについて,何ら客観的な資料に基づかずに検討及び判断がされた点において,本件不許可処分が恣意的に行われたことを裏付けるものであり,前提となる事実そのものも誤っている。 (ウ) 本件不許可理由3について て,何ら客観的な資料に基づかずに検討及び判断がされた点において,本件不許可処分が恣意的に行われたことを裏付けるものであり,前提となる事実そのものも誤っている。 (ウ) 本件不許可理由3について本件経営許可申請は,本件墓地の経営の安定性の裏付けと経営責任主体の明確さの点において,都墓地条例等の審査基準を満たしているところ,本件不許可理由3は,都墓地条例等の審査基準には存在しない基準を適用したか,審査基準の適用を誤ったものである。 また,隣接住民との協議への対応や関係法令等に基づく手続を無視して施設の給排水工事を着工したとの点については,事実の誤認があるか,又は後記エの被告の違法行為の結果を本件不許可処分の正当化に用いようとするものであり,本件不許可処分の理由とはならない。 (エ) その他の不許可理由について本件不許可処分の決裁文書(乙1)に添付された審査結果には,被告の担当者が,本件不許可理由1から3まで以外の事由についても審査し,全て不適合と判断したことが記載されている。これらの事由は,全て本件不許可処分の際に考慮されているところ,その旨が処分通知書に記載されていないことは,理由提示の不備として,本件不許可処分の取消事由となる。 上記の点をおいたとしても,上記審査結果において,利用者保護への配慮及び市民生活等への影響の面での不適合をいう点については,前提となる事実の誤認に基づくものか,墓埋法の下での都墓地条例等の審査基準において考慮すべきでないものである。 エ被告による妨害について 被告は,羽村市内の工業専用地域には墓地を設置させないとの恣意的な方針を有しており,これを実現するための具体的な手段として,西多摩保健所長が本件経営許可申請について許可する旨の処分をする上で必要となる工事完了検査をさせないため,被 墓地を設置させないとの恣意的な方針を有しており,これを実現するための具体的な手段として,西多摩保健所長が本件経営許可申請について許可する旨の処分をする上で必要となる工事完了検査をさせないため,被告が管理権限を有する上水道及び公共下水道に本件墓地の給排水設備を接続するのに必要な法令上の工事承認の申込み及び適合確認の申請が,原告から被告に到達したにもかかわらず,これらの承認及び確認に係る手続を正当な理由なく留保し続け,原告に上記接続に係る工事をさせず(以下,これを「本件接続拒否」という。),もって,西多摩保健所長が本件経営許可申請について許可する旨の処分をすることを故意に妨害した。 本件接続拒否がなければ,本件工事は平成24年3月13日までに完了して,同月31日までに西多摩保健所長により本件経営許可申請について許可する旨の処分がされていた。 したがって,この点をもってしても,本件不許可処分が違法であることは明らかである。 オ以上によれば,本件不許可処分は違法であって取り消されるべきものである。 そして,本件経営許可申請は,都墓地条例等の審査基準を全て満たしており,これを不許可とすべき事情は一切存在せず,これを許可する旨の処分をしないことは裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用となることが明らかであるから,本件経営許可申請について許可する旨の処分を義務付ける判決がされるべきである。 (被告の主張)ア本件における審査基準について(ア) 本件経営許可申請についての審査は,墓埋法の下で,都墓地条例,都墓地規則及び都墓地運用通知のほか,「墓地経営・管理の指針等につ いて」と題する都道府県知事等宛ての厚生省生活衛生局長通知(平成12年12月6日生衛発第1764号。以下「厚生省指針」という。)(乙2)を審査基準として行ったものであ 地経営・管理の指針等につ いて」と題する都道府県知事等宛ての厚生省生活衛生局長通知(平成12年12月6日生衛発第1764号。以下「厚生省指針」という。)(乙2)を審査基準として行ったものである。 これらの審査基準は,客観的に一義的に許可又は不許可が定まる内容とはなっていない。これは,墓埋法が,墓地の経営が高度の公益性を有するとともに国民の風俗慣習,宗教活動,各地方の地理的条件等,国による一律的な基準になじみにくく,各地方自治体の責任と判断に委ねるのが妥当であると考えたために,墓地経営許可に関する要件を何ら具体的に定めていないことによるものであり,同法の趣旨(同法1条)にかなったものというべきである。したがって,これらの審査基準だけで審査ができるという原告の理解には誤りがある。 (イ) また,原告は,被告が独自の審査基準を定めていた旨の主張をするが,そのようなことはない。 イ審査過程の承継について墓地経営許可申請の手続において,申請書を受理した時までに交付された書類に記載された事項については問題がないと判断することを,申請書を受理する条件とする法令上の根拠は何もない。 反対に,いかに問題のある内容であっても,形式上の要件に適合していれば,行政庁は申請書の受理を拒むことは許されないと解されているから,申請書を受理したことから認められるのは,申請書が形式上の要件に適合していたという事実だけであって,申請書の内容につき一定の審査が実質的にされた事実を認めることはできない。 したがって,羽村市長が西多摩保健所長の審査過程を承継すべきである旨の原告の主張は失当である。 ウ本件不許可処分の理由について本件不許可処分の理由の概要は,処分通知書に「主たる理由」として記 載された本件不許可理由1から3までのとおりである。 ある旨の原告の主張は失当である。 ウ本件不許可処分の理由について本件不許可処分の理由の概要は,処分通知書に「主たる理由」として記 載された本件不許可理由1から3までのとおりである。 なお,墓埋法の趣旨について定めた同法1条にいう「公共の福祉の見地」には,墓地等の管理及び埋葬等が支障なく行われるために関係する周辺の生活環境との調和等を含むものと解されるから,「まちづくり」への影響を本件不許可処分の理由とすることは,同法の趣旨に合致している。 エ被告による妨害について(ア) 原告が主張する給排水設備の接続については,要綱事前協議の上で被告が処理すべき事柄であるところ,被告は,原告に対し,要綱事前協議の開始は墓地の開発に関する原告と近隣の住民との協議が終了した後にしたい旨の説明をしており,原告も,平成24年2月2日まではこの被告の意向に応じる姿勢を見せていた。 そして,原告は,同日,都市計画課を除く被告の関係各課に対し,要綱事前協議における提出書類を提出しており,被告は,原告は要綱事前協議を行う前提であるという理解をしていた。 その後,同月13日,原告から,要綱事前協議を行われたいとの被告の要求は行政指導であるところ,それに従う意思がない旨が明らかにされた。 そこで,被告は対応を検討していたところ,その7日後の同月20日,再度原告から要綱事前協議の開始が申し入れられた。 (イ) 上記(ア)のとおりの経緯からすると,被告が平成24年3月31日までに要綱事前協議を行わず,給排水設備の接続の手続を進めなかったことには相当な理由があるといえる。 オ以上のとおり,本件不許可処分は適法である。仮に本件不許可処分が取り消されることがあったとしても,羽村市長が本件経営許可申請について許可する旨の処分をすべきであることが法令の規 あるといえる。 オ以上のとおり,本件不許可処分は適法である。仮に本件不許可処分が取り消されることがあったとしても,羽村市長が本件経営許可申請について許可する旨の処分をすべきであることが法令の規定から明らかであるとはいえないし,同市長が上記の処分をしないことがその裁量権の範囲を逸脱 し又はその濫用となるとも認められない。 (2) 本件接続拒否に基づく損害賠償請求の可否(予備的請求①関係)(原告の主張)前記(1)エに述べたとおり,被告の職員による本件接続拒否は違法であるといえるところ,本件接続拒否について,当該職員には故意又は過失があった。 本件接続拒否がなければ,原告は,平成24年3月13日までに本件工事を全て完成させ,西多摩保健所長に対して工事完了届を提出し,同保健所長は,これを受理して,本件墓地の施設の検査を行い,本件経営許可申請のとおりに工事がされていることを確認した上で,同月31日までに,本件経営許可申請について許可する旨の処分をしていたはずであるところ,本件接続拒否がされたために,原告は上記の処分を得ることができなかった。これによって原告に生じた損害は,①本件工事に要した工事費用7180万円,②土地転売損3億5000万円(既に墓地としての工事が完了している本件土地を他に転売することができないことによる損害であり,原告が本件土地を前所有者から取得したときの取得金額の全額が損害となる。),③弁護士費用4128万円の合計4億6308万円である。 (被告の主張)前記(1)エに述べたとおり,被告が平成24年3月31日までに要綱事前協議を行わず,給排水設備の接続の手続を進めなかったことには相当な理由があり,被告には国家賠償法上の責任はない。 なお,要綱事前協議の手順(乙4)からすると,原告が本件土地の所有権を取得 要綱事前協議を行わず,給排水設備の接続の手続を進めなかったことには相当な理由があり,被告には国家賠償法上の責任はない。 なお,要綱事前協議の手順(乙4)からすると,原告が本件土地の所有権を取得した直後に要綱事前協議を開始したとしても,同日までに本件工事を完了することは到底できないことであった。 また,原告は,被告に対して,給排水設備の接続を可能と判断するに足りる資料を同年4月1日以前には提出しておらず,給排水設備として基準に適 合した設備が設置されることを確認できる状態にはなかったから,同年3月31日までに給排水設備の接続がされなかったことについて被告には責任がない。 (3) 被告独自の審査基準の不公表に基づく損害賠償請求の可否(予備的請求②関係)(原告の主張)前記(1)アに述べたとおり,被告は独自の審査基準を定めており,原告が本件経営許可申請をする前に,被告の職員においてこれを公表していなかったことは,行政手続法5条3項に違反し,また,制度の変更の前後やその移行期において私人の地位を不当に害することがないように配慮する義務にも違反するものであり,このことについて,当該職員には故意又は過失があった。 被告独自の審査基準が公表されていれば,原告は,本件土地を購入することはなく,本件経営許可申請をして本件工事を開始することもなかった。したがって,被告独自の審査基準が公表されなかったことにより原告に生じた損害は,前記(2)と同額の4億6308万円である。 (被告の主張)本件経営許可申請の前に被告が独自の審査基準を有していたことはない。 第3 当裁判所の判断 1 前提事実に証拠(甲27,44,127~129,乙50,51,証人B,証人C,原告代表者のほか,後掲のもの)及び弁論の全趣旨を併せると,次の事実が認められる とはない。 第3 当裁判所の判断 1 前提事実に証拠(甲27,44,127~129,乙50,51,証人B,証人C,原告代表者のほか,後掲のもの)及び弁論の全趣旨を併せると,次の事実が認められる。 (1) 本件経営許可申請に至る経緯等ア原告は,平成23年6月頃から,本件土地において墓地を設置することを計画し,同年8月,都墓地条例16条1項の規定による本件墓地の計画の概要を示した標識を現地に設置し(甲3),同年11月8日までに同条 例17条1項の規定による隣接住民等に対する説明を実施し,同月21日までにその経過の概要等を西多摩保健所長に報告した(甲4)。 その後,原告は,西多摩保健所長から,都墓地条例18条1項の規定に基づき,意見申出をした隣接住民等との間での協議(以下「条例住民協議」という。)を行うべき旨の行政指導を受けた。 イ東京都における墓地経営許可申請についての審査過程では,許可の申請を受理するときまでに審査することが可能な事項については,許可の申請を受理する前に,事前の相談等を通じて事前に審査することとされており,都墓地条例等の審査基準に定められた要件ないし基準に適合していると判断されたものについてのみ,許可の申請を受理し,その後に申請者が工事に着手し,工事が完了したときは工事完了届を提出し,これを受けた許可権者において,施設検査により墓地が計画どおりに建設されていることを確認した上で,許可の処分をするものとされていた。 そのため,原告は,平成24年1月頃から,墓地経営許可申請書類の準備を始め,西多摩保健所長に対し,申請書類一式を提出して,事前の審査を受けていた。 ウ原告は,平成24年1月23日,本件土地の購入代金3億5000万円の残金(3億1500万円)を全て決済し,本件土地について所有権移転登記の手 申請書類一式を提出して,事前の審査を受けていた。 ウ原告は,平成24年1月23日,本件土地の購入代金3億5000万円の残金(3億1500万円)を全て決済し,本件土地について所有権移転登記の手続をした(甲6,125の2)。 エ西多摩保健所長は,原告に対し,平成24年1月27日付けの書面により,本件経営許可申請について,①条例住民協議の終了を同保健所長が判断した後とすること,②被告との要綱事前協議の後とすることを強く指導する旨の行政指導をした(乙19)。 これを受けた原告は,平成24年1月30日,西多摩保健所長に対し,条例住民協議の結果報告書(甲5)を提出するとともに,上記の行政指導に従わず,同日付けで本件経営許可申請をすることを真摯かつ明確に意思 表示する旨の書面(甲106)を提出した上で,本件経営許可申請をした。 西多摩保健所長は,上記結果報告書により条例住民協議の終了を判断し(乙43),同日,本件経営許可申請を受理した。その際,西多摩保健所長は,申請を受理しても必ず許可になるとは限らず,この時点で工事を始めることは不許可になった場合リスクを伴う旨を原告に告げた(乙43)。 オ原告は,上記申請の受理を受けて,本件工事に着手した。 本件経営許可申請に係る申請書(甲6)においては,「墓地等の工事の着手及び完了の予定年月日」として,「着手平成24年1月31日」「完了平成24年3月14日」と記載されていた。 (2) 本件経営許可申請に係る許可の権限が羽村市長に移る前の原告と被告とのやり取りの経緯等ア本件墓地の計画においては,被告の水道から給水を受けることが予定され,また,被告の設置する公共下水道に排水設備を接続する必要があった(下水道法10条1項)。 そして,羽村市給水条例(昭和35年羽村市条例第14号)(甲40 ,被告の水道から給水を受けることが予定され,また,被告の設置する公共下水道に排水設備を接続する必要があった(下水道法10条1項)。 そして,羽村市給水条例(昭和35年羽村市条例第14号)(甲40)5条1項の規定により,被告の水道からの給水装置を新設しようとする者は,あらかじめ羽村市水道事業管理者に申し込み,その承認を受けなければならず,また,羽村市下水道条例(昭和53年羽村市条例第23条)(甲42)4条1項の規定により,排水設備の新設を行おうとする者は,あらかじめ,その計画が排水設備の設置及び構造に関する法令の規定に適合するものであることについて,羽村市長の確認を受けなければならないこととされていた。 イ原告の代理人弁護士丸山健及び同木下祐介(以下,それぞれ「丸山弁護士」及び「木下弁護士」といい,両名を併せて「原告代理人2名」という。)は,平成24年1月16日,被告の土木課及び下水道課を訪問し,事前に送付していた関係図書に係る本件墓地における雨水排水処理計画に ついて,被告の定める基準上,特に問題はないとの回答を得た(甲29)。 また,原告代理人2名は,同日,要綱事前協議の窓口である被告の都市計画課を訪問し,課長のC(以下「C課長」という。)から,西多摩保健所長が本件経営許可申請を正式に受理できる条件が全て整い,被告が同保健所長からその旨の連絡を受けた後に,要綱事前協議に応じる旨を告げられた(甲30,乙16)。 ウ原告代理人2名は,平成24年1月30日,被告の都市計画課を訪れ,職員に対し,本件経営許可申請をし,これが受理されたとして,要綱事前協議の開始を申し入れ,要綱事前協議のための訪問日時の調整を要請した。 これに対し,C課長は,同日,丸山弁護士に宛てて,被告としては,条例住民協議の完了を待って,本件墓地の計画に係 として,要綱事前協議の開始を申し入れ,要綱事前協議のための訪問日時の調整を要請した。 これに対し,C課長は,同日,丸山弁護士に宛てて,被告としては,条例住民協議の完了を待って,本件墓地の計画に係る事業についての要綱事前協議を進めることが合理的であると考えており,条例住民協議の完了の確認がとれた段階で,要綱事前協議について連絡を取り合いたい旨を記載した書面をファクシミリにより送信した(甲32,乙20)。 これを受けた原告は,平成24年2月1日,C課長に対し,本件墓地の計画に係る事業についての要綱事前協議は,条例住民協議が終了しなければ行えないものでないことなどから,速やかに要綱事前協議を開始するよう求める旨を記載した書面を送付し,この書面は,同月2日に被告に到達した(甲33の1・2,乙22)。 エ原告から依頼を受けて本件墓地の設計関係業務を行っていた株式会社大東設計の担当者であるEは,平成24年2月2日,被告の都市計画課を除く関係各課(下水道課及び水道課を含む。)に対し,要綱事前協議としての各課協議をしたい旨を記載した書面と共に,関係図面一式を送付し,これらは,同月3日に被告に到達した(甲34の1~3,乙23)。 Eは,平成24年2月6日,被告を訪問したところ,C課長から,要綱事前協議については,まず被告の都市計画課に相談すべきこと,羽村市給 水条例及び羽村市下水道条例に基づく手続については,要綱事前協議が完了し,被告との間で協議書を作成した後でなければ行うべきではないことなどを告げられた。 オ原告は,被告の水道課に対し,羽村市水道事業管理者宛ての平成24年2月9日付け「給水装置工事申込書」(甲35)を,被告の下水道課に対し,羽村市長宛ての同日付け「排水設備計画確認申請書」(甲36)を送付し,これらはいずれも同月10日 水道事業管理者宛ての平成24年2月9日付け「給水装置工事申込書」(甲35)を,被告の下水道課に対し,羽村市長宛ての同日付け「排水設備計画確認申請書」(甲36)を送付し,これらはいずれも同月10日に到達した(甲37の1・2)。 また,原告は,羽村市水道事業管理者に対し,平成24年2月10日付け「ご通知」と題する書面(甲38の1,乙27の2)を,羽村市長に対し,同日付け「ご通知」と題する書面(甲39の1,乙27の1)を送付し,前者は同月13日,後者は同月11日にそれぞれ到達した(甲38の2,39の2)。これらの各書面にはそれぞれ,要綱事前協議を行われたいとの行政指導に従う意思がないことを真摯かつ明確に表明する旨とともに,上記のとおり原告が送付した申込書又は申請書について,速やかに審査をすることを求める旨が記載されていた。 カ木下弁護士は,平成24年2月16日,被告の水道課及び下水道課を訪問し,上記オのとおり原告が送付した申込書及び申請書についての審査の結果を尋ねたところ,いずれからも,いまだ審査を開始しておらず,審査を開始するかどうかの検討結果を回答する時期を明示することもできない旨の回答がされた。そのため,木下弁護士は,各課の担当者に対し,同月20日に再度連絡して被告の回答を求める旨を伝えた。 その後,原告は,C課長に対し,平成24年2月17日付け「ご通知」と題する書面(甲45の1,乙29)を送付し,この書面は,同月18日に配達され(甲45の2),同月20日,C課長に届いた。この書面には,本件墓地の計画に関し,西多摩保健所長が,原告に対し,同月16日,条例住民協議が同年1月30日付けの協議結果報告書の提出をもって終了し たとの判断を示したことを通知するとともに,これにより,被告が述べていた要綱事前協議を開始し進めるための要 し,同月16日,条例住民協議が同年1月30日付けの協議結果報告書の提出をもって終了し たとの判断を示したことを通知するとともに,これにより,被告が述べていた要綱事前協議を開始し進めるための要件が全て整ったことになるので,直ちに,原告との要綱事前協議を開始するよう申し入れる旨が記載されていた。 一方で,木下弁護士は,平成24年2月20日,被告の水道課及び下水道課に電話をして,上記オのとおり原告が送付した申込書及び申請書についての審査の結果を再度問い合わせたところ,いずれからも,上記と同様の回答がされた。 キ平成24年3月13日,本件墓地の施設である建築物について,建築基準法7条の2第1項の規定による完了検査が行われたが,「ゴミ置場面積(寸法)変更有り」及び「給水及び排水設備接続未完」を理由として,原告は,検査済証の交付を受けることができなかった(甲8)。 原告は,平成24年3月15日,上記の建築物について,「計画変更の概要」を「ゴミ保管場所の形状及び配置の変更」として,建築基準法6条の2第1項の規定による建築物の計画の変更の確認を申請し,同月24日,その確認を受けて確認済証の交付を受けた(甲9の1・2)。 ク原告は,西多摩保健所長に対し,本件工事が完了したとして,都墓地条例20条の規定によりその旨を届け出る旨の平成24年3月13日付け「工事完了届」(甲10の1)を送付し,この書面は,同月15日に到達した(甲10の2)。 西多摩保健所長は,原告に対し,本件工事について,「給水及び排水設備接続未完」との検査結果が示されていることから工事が完了したとは認められなかった旨を記載した平成24年3月26日付けの「工事完了届について」と題する書面(甲11)を交付した。 (3) 本件経営許可申請に係る許可の権限が羽村市長に移った後, ら工事が完了したとは認められなかった旨を記載した平成24年3月26日付けの「工事完了届について」と題する書面(甲11)を交付した。 (3) 本件経営許可申請に係る許可の権限が羽村市長に移った後,本件不許可処分がされるまでの経緯 ア被告が,原告に対し,本件墓地の計画に係る事業について,要綱事前協議をする意思があるか否かを問う旨の平成24年4月20日付けの照会書(甲48,乙35)を送付したことを契機として,原告と被告との間で要綱事前協議が行われ,原告及び被告は,同年7月13日付けの「協議書」(甲13)を作成した。 これにより,原告は,本件墓地の計画に係る事業について指導要綱に基づく羽村市長の承認が得られたことから,平成24年7月25日,上記承認に係る工事に着手し,同年8月27日,これを完了した(甲15)。 羽村市長は,平成24年9月4日,上記工事について検査を実施し,同月10日付けで,上記のとおり羽村市長が承認した事業計画のとおりに工事が完了していることを確認する旨の「検査済証」(甲15)を作成し,原告に交付した。 イ他方,この間,被告は,原告に対し,本件経営許可申請の審査に必要であるとして,追加の資料を提出するよう求め,原告は,これに応じて,被告に対し,墓所使用規則,墓地経営実績,取引銀行の残高証明書,決算報告書,使用契約約款及び誓約書を追加の資料として提出した(甲22~26,乙36~38,40)。 そして,原告は,平成24年9月10日,羽村市長に対し,市墓地条例15条の規定に基づき,本件工事が完了したことを届け出,また,本件墓地の施設である建築物について,建築基準法7条の2第1項の規定による検査の結果,同月18日付け検査済証(甲18)の交付を受けたが,同月27日,羽村市長から本件不許可処分を受けた。 2 争点( 件墓地の施設である建築物について,建築基準法7条の2第1項の規定による検査の結果,同月18日付け検査済証(甲18)の交付を受けたが,同月27日,羽村市長から本件不許可処分を受けた。 2 争点(1)(本件不許可処分の適法性等)について(1) 墓地の経営の許可をする権限を有する者の裁量について墓埋法10条1項は,墓地を経営しようとする者は,都道府県知事等の許可を受けなければならない旨を定めるのみで,許可の要件について特に規定 していない。これは,墓地の経営が,高度の公益性を有するとともに,国民の風俗習慣,宗教活動,各地方の地理的条件等に依存する面を有し,一律的な基準による規制になじみ難いことに鑑み,墓地の経営に関する許否の判断を都道府県知事等の広範な裁量に委ねる趣旨に出たものであって,同法は,墓地の管理等が国民の宗教的感情に適合し,かつ,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的とする同法の趣旨に従い,都道府県知事等が,公益的見地から,墓地の経営の許可に関する許否の判断を行うことを予定しているものと解される(最高裁平成10年(行ツ)第10号同12年3月17日第二小法廷判決・裁判集民事197号661頁参照)。 そして,上記に述べたところからすれば,墓地の経営の許可の申請者がこれを許可しない旨の処分の取消しを求める場合にあっては,上記の者は,当該処分をした行政庁につきその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があることを立証する必要があるものというべきである。 (2) 本件における審査基準及び審査過程の承継についてア本件経営許可申請の審査において,都墓地条例(甲1),都墓地規則(甲2)及び都墓地運用通知(甲56)が審査基準となるべきものであることは当事者間に争いがなく,許可権限移譲前の申請に係る墓地の ア本件経営許可申請の審査において,都墓地条例(甲1),都墓地規則(甲2)及び都墓地運用通知(甲56)が審査基準となるべきものであることは当事者間に争いがなく,許可権限移譲前の申請に係る墓地の経営の許可の基準は都墓地条例の例による旨を定めた市墓地条例付則5項の解釈としても相当であると解される。 しかしながら,これらの審査基準は,墓地の経営の許可に関する許否の判断に当たり審査の対象とする事項等を網羅的又は確定的に示したものとはいい難く,これらが定める墓地の経営主体の要件,墓地の設置場所の基準,墓地の構造設備の基準等を満たした場合に必ず許可をすべきものとしては定められていないから,これらの要件ないし基準を満たす墓地の経営の許可の申請につき必ず許可をすべきであるということはできない。 したがって,同じ本件経営許可申請の審査において,これらの同じ審査 基準を用いたとしても,許可権限移譲前の西多摩保健所長の裁量判断と,許可権限移譲後の羽村市長の裁量判断とが結論を違えることは何ら異とするには足りず,後記のとおり,本件経営許可申請を受理した西多摩保健所長において,本件工事が計画どおりに完了したことを確認した後に許可処分をする腹積もりであったことが認められるからといって,羽村市長がこれを承継して許可処分をすべきであったということにはならないものというべきである。 また,弁論の全趣旨によれば,羽村市長は,本件経営許可申請の審査において,厚生省指針(乙2)をも参酌したことが認められるが,厚生省指針は,都墓地条例等の上記審査基準と明らかに矛盾抵触するものではないから,羽村市長において厚生省指針を参酌することが,市墓地条例付則5項違反となるということはできないものというべきである。 以上のとおりであるから,都墓地条例等の上記審査基準を満たす墓 ものではないから,羽村市長において厚生省指針を参酌することが,市墓地条例付則5項違反となるということはできないものというべきである。 以上のとおりであるから,都墓地条例等の上記審査基準を満たす墓地経営許可の申請は許可されるべきであるとする原告の主張並びに羽村市長が東京都における審査過程及び審査状況を承継すべきであったとする原告の主張は,いずれも採用することができない。 イなお,原告は,被告が都墓地条例等の審査基準とは異なる独自の審査基準を定めており,しかもこれを公表しなかった旨の主張をし,その根拠として,羽村市長が西多摩保健所長等に宛てて作成した平成23年12月8日付け「墓地計画に係る意見について(回答)」と題する書面(乙47)の記載を挙げる。 しかしながら,上記の書面は,その作成当時に,本件墓地の計画について許可の権限を有していた西多摩保健所長からの照会に対する被告の意見を記載したものにすぎず,本件墓地の計画について否定的な意見が記載されており,また,近い将来において許可の権限が羽村市長に移ることに触れられてはいるものの,本件墓地の計画に対する個別的な意見を超えて, 墓地の経営の許可の権限を有することとなる羽村市長が従うべき独自の審査基準を定めていたことを認めることができるものではない。 そして,他の全ての証拠によっても,被告が独自の審査基準を定めていたことを認めることはできないから,この点に関する原告の主張はいずれも採用することができない。 (3) 本件不許可処分の理由についてア本件不許可理由1について都墓地運用通知(甲56)によれば,墓地の経営は,住民に対する基礎的なサービスとして,市町村等の地方公共団体が行うことが原則であり,これにより難い場合には宗教法人又は公益法人とするとされているところ,墓地に求 知(甲56)によれば,墓地の経営は,住民に対する基礎的なサービスとして,市町村等の地方公共団体が行うことが原則であり,これにより難い場合には宗教法人又は公益法人とするとされているところ,墓地に求められる永続性及び非営利性の確保等の観点からすると,墓地の経営主体に関する上記の基準は,相応の合理性を有するものと認められる。 そして,本件不許可理由1は,本件不許可処分時においては,地方公共団体である被告が,その開設する都市計画墓園である富士見霊園の拡張整備計画を進めており,翌年度から公募を開始する予定であったことから,墓地の経営は地方公共団体が行うという上記原則により難い場合に当たらないため,宗教法人である原告による本件墓地の経営を許可すべき理由がないとするものと解される。 そこで,検討すると,証拠(甲20,137,乙10,11,47,50,証人B)によれば,被告においては,昭和47年頃から,都市計画墓園である富士見霊園を自ら開設し,本件不許可処分がされた平成24年9月27日当時においては,一般公募向けの墓地として908区画の墓地を提供していたところ,墓地の供給を増やすことを要望する被告への陳情や議会の意見はなかったものの,東京都福祉保健局の推計により,被告の区域内の墓地需要数が,平成22年から26年までの5年間で1年当たり106件,平成27年から31年までの5年間で1年当たり118件などと 報告されていたことや,平成13年,16年,21年及び23年に実施した富士見霊園の追加公募において,5区画程度の空き区画に対し5~7倍程度の応募があったことなどの事情を踏まえ,従前から富士見霊園の拡張のための用地を確保し,平成25年度に再整備を含めた全整備面積3193平方メートルの拡張等整備工事を実施して,同年度から公募を開始し,最終的には区 たことなどの事情を踏まえ,従前から富士見霊園の拡張のための用地を確保し,平成25年度に再整備を含めた全整備面積3193平方メートルの拡張等整備工事を実施して,同年度から公募を開始し,最終的には区画墓地・合葬式墓地を合わせて2000区画以上の墓地を羽村市民に提供することを計画していたことが認められるから,本件不許可理由1に係る羽村市長の判断については,重要な事実の基礎を欠くとは認められないし,判断の内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くということもできない。 なお,原告は,都墓地条例等の審査基準の下では,公立墓地によって墓地の需要に見合う供給がされているか否かを個別の市町村単位で判断すべきものではない旨の主張をする。この点に関し,証拠(乙46)によれば,西多摩保健所長は,被告の都市整備部長に宛てた書面において,「東京都の許可については,都の一部の地域内だけで判断するものではありません。」との見解を示していたことが認められるが,都墓地条例等の本件経営許可申請に適用される前記審査基準には,墓地の需要と供給に関して,個別の市町村単位で判断してはならない旨の定めは見当たらず,西多摩保健所長の上記見解は上記審査基準の下での東京都としての裁量判断というべきであって,羽村市長がこれに従わなければならない理由はなく,被告の区域内での需要と供給を考慮すれば足りるものというべきである。 また,原告は,富士見霊園の墓地経営許可申請に先立って被告(当時は羽村町)が実施した需要調査では住民のうち約3000世帯が墓地の取得を希望するという結果が出ていたのであるから,富士見霊園では一般住民の墓地需要を満たすことができない旨の主張をする。しかしながら,上記の調査結果(乙11)は,本件不許可処分時から40年以上も前のもので あり,本件不許可処分時における羽 ,富士見霊園では一般住民の墓地需要を満たすことができない旨の主張をする。しかしながら,上記の調査結果(乙11)は,本件不許可処分時から40年以上も前のもので あり,本件不許可処分時における羽村市民の墓地需要状況を的確に表したものということはできないから,原告の上記主張も採用することができない。 イ本件不許可理由2について本件不許可理由2は,本件土地が工業専用地域(工業の利便を増進するため都市計画に定める地域。都市計画法9条12項)の中にあり,今後の被告のまちづくりに多大な影響を及ぼすものであるため,本件墓地の経営を許可するのは好ましくないとするものと解されるところ,墓埋法は,墓地の経営の許否の判断をするに当たり,国民の宗教的感情や公衆衛生のほか,その他の「公共の福祉」に係る事情を考慮することを予定していると解され(同法1条参照),その際考慮すべき「公共の福祉」の内容については,同法の法文上特段の限定は付されておらず,他方,墓地は,都市計画法上「墓園」として都市計画において定められるべき都市施設と位置付けられており(同法4条5項,11条1項2号),土地利用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要な位置に配置することにより,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように都市計画に定めるべきものとされていること(同法13条1項11号)からすると,墓地の経営の許否の判断をするに当たっては,都市計画やまちづくりとの整合性及びこれらへの影響を考慮することも許されるというべきである。 そして,証拠(乙1,47,証人B)及び弁論の全趣旨によれば,本件土地は,東京都の都市計画決定において工業専用地域と定められ,かつ,被告においても第一種特別工業地区に指定した地域内にある土地であり,工業団地の一部を形成してい 人B)及び弁論の全趣旨によれば,本件土地は,東京都の都市計画決定において工業専用地域と定められ,かつ,被告においても第一種特別工業地区に指定した地域内にある土地であり,工業団地の一部を形成していることが認められるから,本件土地が3000平方メートルを超える広大なものである上(甲6),一般に墓地は永続性のあるものとして設置されることなども考慮すると,本件不許可理由2 に係る羽村市長の判断についても,重要な事実の基礎を欠き,又は判断の内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くということはできない。 ウ本件不許可理由3について本件不許可理由3は,原告の墓地の経営主体としての適格性を欠くことをいうものであるところ,その根拠として本件不許可理由3に掲げられている内容及び証拠(乙1,50,証人B)によれば,羽村市長は,大要,①ⅰ条例住民協議に関する行政指導に従わなかったこと,ⅱ施設内の下水道の配管工事を無届けで行い,許可なく浄化槽を設置したこと,②ⅰ本件墓地の交通の便と駐車場用地の確保の少なさ,ⅱ原告の本拠地が遠方にあること,ⅲ資金に関し不明朗な点があること,ⅳ墓地使用権の販売等による収益を当該墓地の経営に充てるのではなく,他の墓地の経営のための資金としていること等の事情を基にして上記の判断に至ったものであると認められる。 これらの事情のうち,①ⅰの事情については,前記認定のとおり,許可権限移譲前の西多摩保健所長による事前審査において,条例住民協議が終了したとの判断がされ,本件経営許可申請が受理されていたことから,②ⅰの事情については,本件墓地の駐車台数は23台と計画されており(甲6),都墓地運用通知(甲56)が定める基準(墳墓の区画数の2%程度)に適合していること,本件土地の近くには系統の異なる複数のバス停留所があり,羽村駅から 墓地の駐車台数は23台と計画されており(甲6),都墓地運用通知(甲56)が定める基準(墳墓の区画数の2%程度)に適合していること,本件土地の近くには系統の異なる複数のバス停留所があり,羽村駅からこれらのバス停留所までの所要時間はいずれも10分前後であること(甲122の1・2)から,②ⅲの事情については,原告が,平成23年12月30日現在において,株式会社三菱東京UFJ銀行及び株式会社りそな銀行にそれぞれ相応の普通預金を有していたこと(甲6,25,乙38,39の2),その他,原告の財務状況に問題があることをうかがわせるような事情は見当たらないことから,いずれも原告の経営主体としての適格性を否定すべき事情というのは困難であり,また,② ⅱの事情及び②ⅳの事情についても,これらを直ちに原告の経営主体としての適格性を否定すべき事情とまでいうことには疑問がある。 しかしながら,①ⅱの事情については,証拠(乙1,33)及び弁論の全趣旨によれば,原告が羽村市下水道条例(甲42)4条1項(排水設備の適合確認を受ける義務)に違反して施設内の配管工事を行い,下水道法10条1項(公共下水道への接続義務)に違反して浄化槽を設置した事実が認められるところ,これらの原告の行為は,後記3(1)のとおり違法というべき本件接続拒否がなければおよそ問題とはならず又は行う必要のなかった行為であるとはいえ,当時の状況の下では,法令に違反する行為であることは明らかであって,原告の経営主体としての適格性に懸念を生じさせるものといわざるを得ず,本件不許可理由3に係る羽村市長の判断についても,その限りでは,明らかに合理性のないものとまでいうことはできない。 エ以上を総合すると,本件不許可処分には,墓地の経営は地方公共団体が行うとの原則により難い事情の不存在,本件墓地の についても,その限りでは,明らかに合理性のないものとまでいうことはできない。 エ以上を総合すると,本件不許可処分には,墓地の経営は地方公共団体が行うとの原則により難い事情の不存在,本件墓地の計画と都市計画との不整合等の重要な点において,相当の理由があるものと認められるから,本件不許可処分をもって,羽村市長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法な処分ということはできない。 (4) 理由提示の適法性について原告は,本件不許可処分の決裁文書(乙1)に添付された審査結果に記載されている本件不許可理由1から3まで以外の事由が本件不許可処分の通知書(甲17)に記載されていないことは,理由提示の不備として,本件不許可処分の取消事由となる旨の主張をする。 しかしながら,上記審査結果に記載された内容はいずれも本件不許可理由1から3までのいずれかの具体的な内容とみることができるものであって,本件不許可理由1から3までのとおり要約された形で理由が示されていると いえることに加え,行政手続法8条の規定が,申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合に理由の提示を求めているのは,申請者に利益を付与する許認可等をしないという上記処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を申請者に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解されるところ,このような同条の趣旨に照らせば,本件の通知書程度の要約された理由の記載であっても,同条の要求する理由提示としては十分であるといえるから,本件不許可処分に理由提示の不備があるということはできない。 (5) 被告による妨害について原告は,被告が本件接続拒否をしたことをもって,本件不許可処分が違法である旨の主張をする。 しかしながら,本件接続 分に理由提示の不備があるということはできない。 (5) 被告による妨害について原告は,被告が本件接続拒否をしたことをもって,本件不許可処分が違法である旨の主張をする。 しかしながら,本件接続拒否は,本件経営許可申請の手続とは区別された別の手続における行為であるから,その行為の違法があったとして国家賠償請求の問題が生じ得ることは後記3において別に検討すべきであるとしても,本件不許可処分の違法を基礎付けるものということはできない。 (6) 小括以上によれば,本件不許可処分は適法であるから,主位的請求のうち,本件不許可処分の取消しを求める部分については理由がなく棄却すべきである。 そして,これによれば,本件訴えのうち,主位的請求のうちの本件経営許可申請に対する許可処分の義務付けを求める部分については,行政事件訴訟法37条の3第1項2号の要件を欠くから,不適法であり却下すべきである。 3 争点(2)(本件接続拒否に基づく損害賠償請求の可否)について(1) 本件接続拒否の違法等ア本件墓地の計画に係る事業は指導要綱の適用があり,指導要綱(乙6)には要綱事前協議をするものとする旨が定められているが,指導要綱の適用がある事業を行う者に要綱事前協議をする法令上の義務まではなく,被 告の職員が原告に対して要綱事前協議をするよう求めたことは行政指導に当たる。 前記事実関係によれば,原告は,平成24年2月1日までは,要綱事前協議を行う意向があり,その意向が同月2日に被告に伝えられていたが,遅くとも同月10日の時点では,被告が管理権限を有する上水道及び公共下水道に本件墓地の給排水設備を接続するのに必要な工事に関しては,要綱事前協議を経ることなく申込み又は申請についての審査がされることを望むに至っており,上水道については同月13日に,公 水道及び公共下水道に本件墓地の給排水設備を接続するのに必要な工事に関しては,要綱事前協議を経ることなく申込み又は申請についての審査がされることを望むに至っており,上水道については同月13日に,公共下水道については同月11日に,被告に対し,要綱事前協議をするよう求める行政指導に従う意思がないことが真摯かつ明確に表明されていた。 したがって,被告の職員は,遅くとも上記の意思表明が到達した各日には上記の審査を開始し,速やかにその結果を示すべきであったにもかかわらず,審査を開始することすらしなかったものであり,この行為(本件接続拒否)は,原告に対して負う職務上の法的義務に違背するものであって,国家賠償法1条1項の適用上違法であるといわざるを得ず,また,この行為については少なくとも過失があるというべきである。 イ被告は,原告から要綱事前協議をするよう求める行政指導に従う意思がない旨が明らかにされた後の平成24年2月20日,再度原告から要綱事前協議の開始が申し入れられたとして,給排水設備の接続の手続を進めなかったことには相当な理由があると主張する。 この点に関し,原告は,同月20日にC課長に届いた同月17日付けの「ご通知」と題する書面の中で,一見,要綱事前協議を開始することを求めるような意向を示しているが,他方,木下弁護士は,同月16日及び同月20日の2度にわたって,被告の水道課及び下水道課に対し,給排水設備を接続するのに必要な工事に関する申込み又は申請についての審査の結果を問い合わせてもいるのであり,このことからすれば,被告の職員は, 少なくとも給排水設備の接続の手続については,原告が上記の行政指導に従う意思がなく,要綱事前協議とは無関係に速やかに手続を進めることを求めていることに変わりがないことを認識することができたというべきで なくとも給排水設備の接続の手続については,原告が上記の行政指導に従う意思がなく,要綱事前協議とは無関係に速やかに手続を進めることを求めていることに変わりがないことを認識することができたというべきであるし,仮にこの点に疑問が生じたとしても,原告又は原告代理人2名らに問い合わせることで,容易に認識することができたというべきである。 したがって,被告の主張は採用することができない。 (2) 因果関係ア本件において,原告がした本件墓地の給排水設備の接続に関する申込み又は申請に不備があったことを認めるに足りる証拠はなく(なお,前記事実関係によれば,下水道については,平成24年1月16日の時点において雨水排水処理計画について特に問題はない旨の回答が得られており,また,本件経営許可申請に係る許可の権限が羽村市長に移った後の経緯等をみても,給排水設備の接続に関して,原告がしようとする工事に何らかの問題があったことはうかがわれない。),仮に不備があったとしても,原告が申込み及び申請をしたのが同年2月10日であり,前記の行政指導に従わない旨の意思表明が到達したのがそれぞれ同月13日,同月11日であったのであるから,被告の職員が速やかに審査をしてその結果が明らかにされれば(なお,「羽村市の窓口事務に係る標準処理期間に関する要綱」(甲124)においては,羽村市下水道条例4条1項の規定による排水設備の新設の確認通知に係る標準処理期間は7日とされている。),補正をしたり改めて申込み又は申請をしたりして,再び審査を受けることにより,速やかに給排水設備を接続するのに必要な工事をすることができたと考えられる。そして,前記事実関係によれば,本件経営許可申請に係る許可権限の移譲後に羽村市長が指導要綱に基づいて原告に対して行った承認に係る工事が,着工から約1か月 に必要な工事をすることができたと考えられる。そして,前記事実関係によれば,本件経営許可申請に係る許可権限の移譲後に羽村市長が指導要綱に基づいて原告に対して行った承認に係る工事が,着工から約1か月で完了しており,この工事に含まれるものと推認される給排水設備の接続工事に限っていえば,これよりも相当の短期 間で工事を完了することができていた蓋然性が高い(なお,平成24年2月29日現在の本件工事に係る「最終工程・工程表」(甲7)によれば,「各水道管接続・附帯工事」は,1日の行程により完了するものであったことが認められる。)。 そうすると,本件接続拒否がなければ,原告が西多摩保健所長に対して工事完了の届出をした平成24年3月15日又はこれに近接する日までに,本件墓地の給排水設備を接続するのに必要な工事を完了することができていた蓋然性が高いものと認められる。 イ前記認定のとおり,東京都における墓地経営許可申請についての審査過程では,事前の審査において都墓地条例等の審査基準に定められた要件ないし基準に適合していると判断されたものについてのみ,許可の申請を受理し,その後に申請者が工事に着手し,許可権者において工事が計画どおりに完了したことを確認した上で,許可の処分をするものとされていた。 これは,都墓地条例等の審査基準に定められた要件ないし基準が多岐にわたっており,事前の審査を経ることなく要件等を満たした申請をすることが容易ではなく,また,工事に着手した後で要件等を満たさないことが判明した場合には,申請者及び許可権者双方にとって非効率であり,かつ,結果として負担が大きくなることから,このような不都合を回避するために採られている運用であると解される(なお,厚生省指針(乙2)にも,このような運用を推奨する趣旨の記載がある。)。このような運用の 結果として負担が大きくなることから,このような不都合を回避するために採られている運用であると解される(なお,厚生省指針(乙2)にも,このような運用を推奨する趣旨の記載がある。)。このような運用の趣旨に鑑みれば,東京都における許可権者が墓地経営許可申請を正式に受理するときには,工事が計画どおりに完了したことを確認した上で,特段の事情のない限り許可の処分をすることが前提となっているものと認めるのが相当であり,このことは,東京都が墓地経営許可申請を受理した申請者に対し不許可の処分をした事例が見当たらないこと(甲67の1~92の2,弁論の全趣旨)からも裏付けられるというべきである。 したがって,本件の西多摩保健所長においても,上記の運用に従った結果,本件経営許可申請を受理した時点においては,本件工事が計画どおりに完了したことを確認した後に,特段の事情がなければ許可処分をする腹積もりであったものと認められる。この点,前記事実関係によれば,西多摩保健所長が,条例住民協議及び要綱事前協議の終了後に本件経営許可申請をすべき旨を原告に対して強く指導したのに対し,原告がこれに従わなかったという事情が認められるが,条例住民協議については,結局,同保健所長自身が本件経営許可申請を受理する際にその終了を判断し,また,要綱事前協議については,これを原告に義務付ける法的権限を同保健所長が有していないことから,上記の事情をもって,同保健所長が本件経営許可申請について許可しない旨の処分をすべき特段の事情に当たると解することは困難である。また,前記事実関係によれば,西多摩保健所長が,本件経営許可申請の受理に際し,申請を受理しても必ず許可になるとは限らず,この時点で工事を始めることは不許可となった場合リスクを伴う旨を原告に告げたという事情も認められるが,これ 西多摩保健所長が,本件経営許可申請の受理に際し,申請を受理しても必ず許可になるとは限らず,この時点で工事を始めることは不許可となった場合リスクを伴う旨を原告に告げたという事情も認められるが,これは,上記特段の事情があった場合の万が一に備えて念のために原告に注意したものと理解することが可能なものであり,同保健所長の腹積もりを上記のとおり認定することを妨げるに足りるものではない。 そして,原告からの工事完了の届出を平成24年3月15日に受けた西多摩保健所長は,同月26日付けの書面により,本件工事が完了したとは認められなかったとの見解を示したところ,その理由は,「給水及び排水設備接続未完」との検査結果が示されていることによるのであって,給排水設備を接続するのに必要な工事のほかに,本件工事が完了したと認めることについて障害となる事柄があったことはうかがわれない。 そうすると,原告が上記アのとおり本件墓地の給排水設備を接続するのに必要な工事を完了することができていれば,西多摩保健所長が平成24 年3月31日までに本件経営許可申請について許可する旨の処分をした高度の蓋然性が認められるものといえる。 ウ被告は,要綱事前協議の手順からすると,平成24年3月31日までに本件工事を完了することはできなかった旨の主張をするが,前記(1)に述べたとおり,指導要綱の適用がある事業を行う者に要綱事前協議をする法令上の義務まではなく,また,現に,原告は要綱事前協議とは無関係に給排水設備の接続の手続を進めるよう求めていたのであるから,本件工事について要綱事前協議がされるべきことを前提として因果関係について検討することは相当ではない。 また,被告は,原告が給排水設備の接続を可能と判断するに足りる資料を提出していなかった旨の主張をするが,仮にそうであった 議がされるべきことを前提として因果関係について検討することは相当ではない。 また,被告は,原告が給排水設備の接続を可能と判断するに足りる資料を提出していなかった旨の主張をするが,仮にそうであったとしても,上記アに述べたとおり,被告の職員が速やかに審査をしてその結果が明らかにされれば,原告はその結果を踏まえて補正をしたり再度の申込み又は申請をしたりすることができたというべきであり,上記の主張は因果関係を否定するに十分なものとはいえない。 エしたがって,本件接続拒否がなければ,原告は,平成24年3月31日までに,西多摩保健所長により,本件経営許可申請について許可する旨の処分を得ることができたと認められる。 (3) 損害ア証拠(甲6)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本件工事の請負代金として,7180万円を支出したと認められるところ,原告は,西多摩保健所長から本件経営許可申請について許可する旨の処分を得ることができなかったことにより,本件墓地を経営することができなくなったといえるから,上記のとおり支出した金員は,本件接続拒否により生じた損害と認められる。 イ他方,原告は,「土地転売損」として,本件土地の取得金額が本件接続 拒否により生じた損害である旨の主張をするが,本件接続拒否によっても原告は本件土地そのものを失ってはおらず,また,本件土地が転売できないことを認めるに足りる証拠もないから,本件土地の取得金額を損害と認めることはできない(なお,実際に本件土地を転売する場合には原状回復費用が生じるものと解されるが,この点についての的確な主張・立証はされていない。)。 ウ原告が弁護士を代理人として本件訴えを提起して訴訟を追行してきたことは当裁判所に顕著であるところ,諸般の事情を考慮して,本件接続拒否と相当因果関係のある 的確な主張・立証はされていない。)。 ウ原告が弁護士を代理人として本件訴えを提起して訴訟を追行してきたことは当裁判所に顕著であるところ,諸般の事情を考慮して,本件接続拒否と相当因果関係のある弁護士費用は,718万円と認める。 エしたがって,本件接続拒否により生じた損害は,上記ア及びウの合計である7898万円と認められる。 (4) 小括以上によれば,予備的請求①は,原告が,被告に対し,国家賠償法1条1項の規定に基づき,7898万円及びこれに対する本件接続拒否の日の後であり,西多摩保健所長から本件経営許可申請について許可する旨の処分を受けられないこととなった日である平成24年4月1日から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。 4 争点(3)(被告独自の審査基準の不公表に基づく損害賠償請求の可否)について前記2(2)イのとおり,被告が独自の審査基準を定めていたことを認めることはできないから,これを前提とする損害賠償請求(予備的請求②)は理由がないというべきである。 5 結論以上の次第で,本件訴えのうち,主位的請求のうちの墓地経営許可申請に対する許可処分の義務付けを求める部分は不適法であるから却下し,原告のその 余の主位的請求は理由がないから棄却し,原告の予備的請求①は,主文第3項の限度で理由があるからその限度で認容し,原告のその余の予備的請求①及び予備的請求②はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官古田孝夫 裁判官大竹敬人 裁判官大畠崇史 部 裁判長 裁判官 古田孝夫 裁判官 大竹敬人 裁判官 大畠崇史
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