【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 被告人Aの弁護人石川芳雄の上告趣意第一点について 所論は、憲法三一条違反をいう点もあるが、その実質は単なる法令違反、事
主文本件上告を棄却する。 理由被告人Aの弁護人石川芳雄の上告趣意第一点について所論は、憲法三一条違反をいう点もあるが、その実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。 同第二点について所論は、判例違反をいうが、被告人が第一審判決判示のような言行に及んだのは、慰藉料要求のために出でたのではなく、むしろ姦通の被害者としてもつともな憤怒の情に駆られてした違法性のないものであるとの第一審判決ないし原判決の認定しない事実を前提とし、原審が昭和三〇年一〇月一四日の最高裁判所の判例を引用したのは事案を異にし適切でないというに止まり、何ら原判決が判例と相反する判断をしたことを主張するものではないから、論旨は、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。 被告人Aの弁護人塚本重頼、同菅沼隆志の上告趣意第一点について所論は、原判決は、大正二年一二月二三日付大審院刑事連合部判決の判例に反する判断をした。もつとも原判決はこの大審院判例は昭和三〇年一〇月一四日最高裁判所第二小法廷判決(昭和二七年(あ)第六五九六号、刑集九巻一一号二一七三頁)により変更されたというが、裁判所法一〇条三号の適用については、大審院のした判決は前に最高裁判所のした裁判とみなされるから(裁判所法施行令五条)、大審院の判例を変更するためには裁判所法一〇条三号の規定により最高裁判所大法廷の裁判によることを要し、同裁判所小法廷の裁判によつては変更できない。したがつて、大審院の前記判例は未だ変更されていないのであるから、原判決は右大審院判決に反する判断をしたものであるというのである。 - 1 -なるほど、裁判所法施行当初においては、裁判所法施行令(裁判所法施行法第七条に基づき発せられ、昭和二二年五月三 るから、原判決は右大審院判決に反する判断をしたものであるというのである。 - 1 -なるほど、裁判所法施行当初においては、裁判所法施行令(裁判所法施行法第七条に基づき発せられ、昭和二二年五月三日施行された昭和二二年政令二四号)五条に、「裁判所法第一〇条第三号の規定の適用については、大審院のした判決は、これを前に最高裁判所のした裁判とみなす。」と規定されていたので、大審院の判例を変更するには最高裁判所大法廷の裁判によることを要したけれども、その後、昭和二三年四月一日最高裁判所規則三号(即日施行)をもつて、最高裁判所裁判事務処理規則九条に六項として「法令の解釈適用について、意見が大審院のした判決に反するときも、また前項と同様とする。」との規定を加え、大審院の判例を変更する場合は、同規則九条五項に規定する「意見が前にその法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するとした大法廷の裁判と同じであるとき」と同様、小法廷で裁判することができることと改められたのである(右規則九条参照)。論旨は、右裁判事務処理規則九条六項の規定は、裁判所法一〇条三号の法意に反し、無効であると主張するけれども、裁判所法一〇条三号は、何ら最高裁判所の意見が前に大審院のした裁判と異なる場合について規定していないのであるから、右規則の規定は、裁判所法一〇条三号の規定に改廃を加えるものでもなく、またその法意に反するものでもない。したがつて、所論大審院判例は既に最高裁判所判決により変更されたとした原審の判断は、正当であり、所論判例違反の主張は、刑訴法四〇五条三号の要件を欠き、不適法である。 同第三点について所論のうち共犯者である相被告人Bの自白だけで被告人を有罪とした原判決は、憲法三八条三項に違反するという点に関しては、共犯者である相被告人の自白は、被告人本人との関係におい 。 同第三点について所論のうち共犯者である相被告人Bの自白だけで被告人を有罪とした原判決は、憲法三八条三項に違反するという点に関しては、共犯者である相被告人の自白は、被告人本人との関係においては、憲法三八条三項にいう[本人の自白」にあたらないことは当裁判所大法廷の判例とするところであつて(昭和二九年(あ)第一〇五六号同三三年五月二八日大法廷判決、刑集一二巻八号一七一八頁)、これを改むべ- 2 -きものとは認められないから所論は理由がなく、その余は、単なる法令違反の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。 同第二点、第四点ないし第六点について所論は、違憲をいう点もあるが、その実質はいずれも単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、同法四〇五条の上告理由にあたらない。 同第七点について所論は、量刑不当の主張であつて、同法四〇五条の上告理由にあたらない。 被告人Aの上告趣意について所論は、違憲をいう点もあるが、その実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、同法四〇五条の上告理由にあたらない。 被告人Bの弁護人日野久三郎の上告趣意について所論は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、同法四〇五条の上告理由にあたらない。 よつて、同法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 昭和四三年一〇月一七日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官岩田誠裁判官入江俊郎裁判官長部謹吾裁判官松田二郎裁判官大隅健一郎- 3 - 部謹吾裁判官松田二郎裁判官大隅健一郎- 3 -
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