令和1(わ)2055 窃盗

裁判年月日・裁判所
令和2年2月14日 名古屋地方裁判所
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判決文本文2,615 文字)

令和元年(わ)第2055号,同第2427号 主文 被告人を懲役3年に処する。 未決勾留日数中40日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,Aと共謀の上,第1 警察官になりすまして高齢者からキャッシュカードを窃取しようと考え,令和元年9月17日,警察官になりすましたAが,名古屋市a区b町c丁目d番e号B方を訪れ,同所において,同人(当時73歳)に対し,同人名義の口座が差し押さえられているため,同口座のキャッシュカードを封筒に入れて保管する必要がある旨言い,同人に同人名義のキャッシュカード1枚を封筒に入れさせた上,同人が目を離した隙に,同封筒をあらかじめ用意していた別の封筒とすり替えて,同人管理の前記キャッシュカード1枚を持ち去り,これを窃取した。 第2 別表1記載のとおり,Aが,同日午後4時24分頃から同日午後4時25分頃までの間,3回にわたり,同市f区g町h丁目i番j号C店において,同所に設置されていた現金自動預払機に,前記第1記載のとおり窃取した株式会社D銀行発行の前記B名義のキャッシュカード1枚を挿入して同機を作動させ,株式会社E銀行執行役員ATM事業統括F管理の現金合計49万9000円を引き出して窃取した。 第3 警察官になりすまして高齢者からキャッシュカードを窃取しようと考え,同月18日,警察官になりすましたAが,同市k区l町m丁目n番o号G方を訪れ,同所において,同人(当時73歳)に対し,キャッシュカードで現金を引き出す犯罪があるため,キャッシュカードを封筒に入れておく必要がある旨言い,同人に同人名義のキャッシュカード2枚を封筒に入れさせた上,同人が目を離した 隙に,同封筒をあらかじめ 現金を引き出す犯罪があるため,キャッシュカードを封筒に入れておく必要がある旨言い,同人に同人名義のキャッシュカード2枚を封筒に入れさせた上,同人が目を離した 隙に,同封筒をあらかじめ用意していた別の封筒とすり替えて,同人管理の前記キャッシュカード2枚を持ち去り,これを窃取した。 第4 別表2記載のとおり,Aが,同日午後4時17分頃から同月19日午前零時18分頃までの間,13回にわたり,同市p区q町r丁目s番t号H店ほか3か所において,各所に設置されていた現金自動預払機に前記第3記載のとおり窃取した前記G名義のキャッシュカード2枚をそれぞれ挿入して同各機を作動させ,株式会社I銀行J統括支店支店長Kほか3名管理の現金合計200万円を引き出して窃取した。 第5 警察官になりすまして高齢者からキャッシュカードを窃取しようと考え,同月27日,警察官になりすましたAが,愛知県春日井市u町v丁目w番x号L方を訪れ,同所において,同人(当時82歳)に対し,同人名義の口座から現金が引き落とされている可能性があるため,同口座のキャッシュカードを封筒に入れて保管する必要がある旨言い,同人に同人名義のキャッシュカード1枚を封筒に入れさせた上,同人が目を離した隙に,同封筒をあらかじめ用意していた別の封筒とすり替えて,同人管理の前記キャッシュカード1枚を持ち去り,これを窃取した。 (量刑の理由) 1 本件は,被告人が,共犯者と共謀の上,被害者3名からそれぞれキャッシュカードを窃取し,窃取した被害者2名のキャッシュカードを用いてATMから現金を窃取した窃盗5件の事案である。 被告人は,本件各犯行当時,Mから業務委託を受けて放送受信料の契約・収納業務を行う会社の代表者であったが,共犯者から,「特殊詐欺の『受け子』をしていたが,取り分が少なかっ 窃盗5件の事案である。 被告人は,本件各犯行当時,Mから業務委託を受けて放送受信料の契約・収納業務を行う会社の代表者であったが,共犯者から,「特殊詐欺の『受け子』をしていたが,取り分が少なかったので,同人のみで同様の手口の窃盗をしたい。高齢者の住所等の情報を教えてくれたら報酬を渡す。」などと誘われた。被告人は,報酬欲しさから同誘いに応じ,前記委託業務のために貸与されていた端末を用いて,Mの契約者情報を入手した上,高齢女性と思われる契約者の氏名や住所,銀行口座等の 個人情報を共犯者に伝えた。共犯者は,同個人情報を用いて,判示第1,第3及び第5のとおり,各被害者からキャッシュカード合計4枚を窃取し,さらに,判示第2及び第4のとおり,判示第1及び第3で窃取したキャッシュカードを用いて,当日及び翌日のうちにATMから現金合計249万9000円を窃取したものである。 本件各犯行を計画し主導したのは共犯者であるが,前記のとおり,本件各犯行は被告人の情報提供がなければ生じ得なかったものであり,被告人の果たした役割は重大である。業務委託元及び契約者の信頼を裏切り,前記委託業務においてのみ使用を許された重要な個人情報を犯罪に利用した点においても,強い非難を免れない。 本件各犯行は,高齢女性を狙い,警察官になりすましてキャッシュカードを入れさせた封筒をすり替えるなど,特殊詐欺を模した手口により敢行されており,その悪質性はいうまでもなく,被害金額も非常に高額に上っている。短期間で犯行を重ねていることによれば,規範意識の低下も認められる。 以上によれば,被告人の刑事責任は相応に重いといわざるを得ない。 2 もっとも,他方で,被告人が本件各犯行を認めて反省の態度を示していること,共犯者と共に,判示第1及び第3の各被害者との間で,ATMから窃取し ば,被告人の刑事責任は相応に重いといわざるを得ない。 2 もっとも,他方で,被告人が本件各犯行を認めて反省の態度を示していること,共犯者と共に,判示第1及び第3の各被害者との間で,ATMから窃取した金額に相当する額の被害弁償を行う旨の示談を行い,被告人負担分(合計45万円)を支払ったこと,母親が被告人を監督する旨述べていること,前科がないことなど,被告人のために酌むべき事情も認められる。 3 そこで,同事情も考慮の上,被告人に対しては,直ちに実刑に処するのではなく,主文の刑を科した上で,今回に限り社会内で更生する機会を与えるのが相当であると判断した。 (求刑懲役3年)令和2年2月17日名古屋地方裁判所刑事第6部裁判官岩田澄江

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