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判決平成13年12月4日判決言渡神戸地裁尼崎支部平成10年(ワ)第1045号損害賠償請求事件 主文 一被告らは,連帯して,原告に対し,金6425万0107円及びこれに対する平成7年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。二原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。三訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告らの連帯負担とする。四この判決の第一項は,仮に執行することができる。事実及び理由 第一当事者の求めた裁判一原告 1 被告らは,連帯して,原告に対し,金1億3867万7435円及びこれに対する平成7年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。2 仮執行の宣言二被告ら 1 原告の被告らに対する請求を棄却する。2(被告尼崎市)担保提供を条件とする仮執行免脱の宣言第二事案の概要本件は,工事中の道路を原動機付自転車を運転して走行中に転倒して負傷した原告が,事故原因は道路工事の管理の瑕疵にあったとして,道路の設置・管理者である被告尼崎市,同被告から工事を請け負った被告株式会社近畿道路資材(以下「被告近畿道路資材」という。)及び工事を施工したA建設こと被告Bに対して,治療費,休業損害,逸失利益,慰謝料等の損害の賠償を求めている事案である。一前提事実(証拠等を掲記した事項以外は,当事者間に争いがない。) 1 原告は,兵庫県尼崎市a町所在の丸徳運輸株式会社にトラック運転手として勤務していたものであるが(被告尼崎市の関係で甲31),以下の事故により受傷した(以下「本件事故」という。)(一) 日時平成 庫県尼崎市a町所在の丸徳運輸株式会社にトラック運転手として勤務していたものであるが(被告尼崎市の関係で甲31),以下の事故により受傷した(以下「本件事故」という。)(一) 日時平成7年12月21日午後8時40分ころ(二) 場所尼崎a町b丁目c番地先交差点(以下「本件事故現場」という。 いたものであるが(被告尼崎市の関係で甲31),以下の事故により受傷した(以下「本件事故」という。)(一) 日時平成 庫県尼崎市a町所在の丸徳運輸株式会社にトラック運転手として勤務していたものであるが(被告尼崎市の関係で甲31),以下の事故により受傷した(以下「本件事故」という。)(一) 日時平成7年12月21日午後8時40分ころ(二) 場所尼崎a町b丁目c番地先交差点(以下「本件事故現場」という。)(三) 事故態様原告が,原動機付自転車(豊中市に5119)を運転して,尼崎市道d線(通称「e線」。以下「本件道路」という。)を南から北に向かって走行し,本件事故現場に差し掛かったところ,進路上に存した消火栓(以下「本件消火栓」という。)が,工事のために切削されていたアスファルト路面から突出していることに気付かず,ハンドルを取られて路上に投げ出され,路面にたたきつけられて負傷した(被告尼崎市及び被告Bの関係で甲14,弁論の全趣旨)。2(一) 本件道路は,被告尼崎市が管理する道路であり,本件事故当時,尼崎市a町b丁目f番地のgから北方向に本件事故現場である同町b丁目c番地先交差点北端に至る約101メートルの区間(以下「本件工事区間」という。)では,車道のアスファルト舗装部分を切削し,新たにアスファルト舗装をし直す工事(尼崎市道d線道路災害復旧工事。以下「本件工事」という。)が行われていた。本件工事は,被告尼崎市が,平成7年11月15日,被告近畿道路資材に対して,本件道路のa橋北詰(尼崎市a町h丁目i番地のj)から北方向に同町b丁目f番地のgに至る約305メートルの区間(以下「前工事区間」という。)について,工事期間を同日から平成8年1月11日までとして工事(以下「前工事」という。)を発注したのに続いて,前工事の工事期間中の平成7年12月20日,同じく被告近畿道路資材に対し,前工事区間の北につながる本件工事 を同日から平成8年1月11日までとして工事(以下「前工事」という。)を発注したのに続いて,前工事の工事期間中の平成7年12月20日,同じく被告近畿道路資材に対し,前工事区間の北につながる本件工事区間について,工事期間を同日から平成8年1月18日までとして追加発注したものであり,A建設の名称で土木,舗装業を営む被告Bは,いずれの工事についても,被告近畿道路資材の受注当日の平成7年11月15日及び同年12月20日,これを同被告から下請けとして受注し(その関係が実質的にも請負契約であるかどうかについては,争いがある。 年12月20日,同じく被告近畿道路資材に対し,前工事区間の北につながる本件工事区間について,工事期間を同日から平成8年1月18日までとして追加発注したものであり,A建設の名称で土木,舗装業を営む被告Bは,いずれの工事についても,被告近畿道路資材の受注当日の平成7年11月15日及び同年12月20日,これを同被告から下請けとして受注し(その関係が実質的にも請負契約であるかどうかについては,争いがある。),施工していた。(二) 被告Bは,平成7年11月21日ころから,前工事区間の南端であるa橋北詰(尼崎市a町h丁目i番地のj)路上より工事を開始し,順次北方に工事を進め,本件事故当日である同年12月21日には,本件工事区間の工事に着手した。同日午後5時ころには,被告Bは,本件工事区間全体について,車道部分(街渠部分を除く。)全幅のアスファルト舗装の切削作業を終え,同日の作業を終了した(被告近畿道路資材の関係で甲25)。(三) 本件工事及び前工事に伴う尼崎北警察署長による本件道路の使用の許可に当たっては,工事中の路面の整備や事故防止に関して,掘削跡を復旧(仮復旧を含む。)する場合は路面に高低差のないようにすること,夜間は作業帯の周囲に照度の高い保安灯を設置するとともに照明をすることという条件が付されていた。しかし,本件事故当時,本件事故現場付近には,本件道路が工事中であることを示す保安灯や照明は設置されていなかった。3(一) なお,原告の本件事故の直前である同日午後6時15分ころにも,原動機付自転車を運転して本件道路を南進して本件事故現場の交差点に差し掛かったC(当時52歳)が,交差点東側部分にあった 。3(一) なお,原告の本件事故の直前である同日午後6時15分ころにも,原動機付自転車を運転して本件道路を南進して本件事故現場の交差点に差し掛かったC(当時52歳)が,交差点東側部分にあった制水弁(以下「本件制水弁」という。)の切削面からの突出部に同車前輪部を衝突させ,ハンドルを取られて転倒し,加療約1か月間を要する左足第一趾挫傷兼末節骨骨折等の傷害を負う事故も発生していた。(二) そして,被告Bは,Cの上記(一)の事故及び本件事故につき,平成8年9月11日,尼崎簡易裁判所から,業務上過失傷害罪(併合罪)により罰金15万円に処する旨の略式命令を受けた。その罪となるべき事実は,「平成7年12月21日の工事により切削した本件事故現場の交差点の東側部分にある本件制水弁が切削面から約7.5センチメートル,西側部分にある本件消火栓が切削面から約8センチメートル突出していて,特に夜間に同所を通行する二輪車に走行上の衝撃を与えて転倒させるおそれがあった上,工事発注先の尼崎市職員からもその補修等を指示されていたから,右路面の状況を確認して適切な補修をなすはもちろん,夜間,同所を通行する二輪車運転者に同所が工事中のところであること及びその路面の起伏状況などを知らしめるべく保安灯を設置してその同所の照明をなすべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,同日午後6時ころ,本件制水弁と道路切削面との段差を斜めに緩衝するために本件制水弁の周囲等にアスファルトを盛りつけるいわゆるすりつけが不十分であることを認識したものの,アスファルトを上塗るのみの不適切な補修を行い,本件消火栓突出部分については,その段差の有無,程度などについて十分に確認をせず,更に保安灯を設置しないで右危険状態を放置した過失により,」上記(一)のとおりCに傷害を,「同日午後8時40分こ 午後6時ころ,本件制水弁と道路切削面との段差を斜めに緩衝するために本件制水弁の周囲等にアスファルトを盛りつけるいわゆるすりつけが不十分であることを認識したものの,アスファルトを上塗るのみの不適切な補修を行い,本件消火栓突出部分については,その段差の有無,程度などについて十分に確認をせず,更に保安灯を設置しないで右危険状態を放置した過失により,」上記(一)のとおりCに傷害を,「同日午後8時40分こ 行い,本件消火栓突出部分については,その段差の有無,程度などについて十分に確認をせず,更に保安灯を設置しないで右危険状態を放置した過失により,」上記(一)のとおりCに傷害を,「同日午後8時40分ころ,原動機付自転車を運転して同道路を北進して同交差点に差し掛かった原告(当時32歳)をして同交差点内の本件消火栓の突出部に衝突させたことによりハンドルをとらしめて転倒させ,よって同人に加療約4週間を要する頭蓋底骨折等の傷害をそれぞれ負わせた」というものである(被告尼崎市の関係で甲33)。二争点 1 本件道路の安全性 2 本件事故についての各被告の責任の有無(一) 被告B(二) 被告近畿道路資材(三) 被告尼崎市 3 原告の過失の有無(過失相殺の当否) 4 原告の負った傷害及びその治療の状況,後遺障害の内容・程度 5 原告が賠償を受けるべき損害の額第三争点についての当事者の主張一争点1(本件道路の安全性)について 1 原告の主張(一) 本件事故現場付近の道路は,本件事故当時,段差が生じて危険な状態にあった上,保安灯や照明の設置などの事故防止のための措置が採られていなかったから,道路が通常有すべき安全性を欠いていた。(1) 本件工事により路面のアスファルト舗装が切削された結果,本件事故当時,本件消火栓は,切削された周囲の路面から8センチメートルの高さで突出した状態になっており,路面の高低差を解消するため突出部分の周囲になされる「すりつけ」も極めて不十分であった。(2) そして,本件事故現場付近は,夜間は暗いため,上記のような路面状態を認識することは不可能ないし困難であったにもかかわらず,工事中であることを示す保安灯や照明は設置されておらず,また,本件工事区間内には,北行( 件事故現場付近は,夜間は暗いため,上記のような路面状態を認識することは不可能ないし困難であったにもかかわらず,工事中であることを示す保安灯や照明は設置されておらず,また,本件工事区間内には,北行(原告の進行方向)車両に対して工事中であることや段差があることを注意する標示は存在しなかった。 であったにもかかわらず,工事中であることを示す保安灯や照明は設置されておらず,また,本件工事区間内には,北行( 件事故現場付近は,夜間は暗いため,上記のような路面状態を認識することは不可能ないし困難であったにもかかわらず,工事中であることを示す保安灯や照明は設置されておらず,また,本件工事区間内には,北行(原告の進行方向)車両に対して工事中であることや段差があることを注意する標示は存在しなかった。(二) 被告らは,本件事故は原告の自損事故というべきであると主張するが,本件事故につき原告に過失はない。(1) 本件事故現場付近の道路は,上記のとおり事故防止のための措置が何ら採られていなかったもので,本件消火栓と切削面との段差は,通常の注意をもってしては,事前に認識し,回避を図ることは不可能ないし困難であった。(2) 被告らは,本件事故当時,原告は原動機付自転車の法定の最高速度を大幅に超過する時速50キロメートル以上の速度で走行していたと主張するが,原告の原動機付自転車の走行速度は最大でも時速40キロメートル程度であったし,本件事故現場付近は,最高速度内であれ若干上回る程度であれ,運転手が走行状態において道路表面の異常に気が付くことができるような明るさはなかったのであって,速度違反と本件事故との間に因果関係はない。被告Bは,東京地方裁判所八王子支部平成10年1月21日判決(交民集31・1・27)の事案との対比から,原告は時速50キロメートル以上の速度で走行していたことが明らかである旨主張するが,その主張する「一般に,車両のスピードが速ければ速いほど,衝突・転倒した後も前方に進もうとする力が働き,道路上を滑走する距離は長く,衝突地点から遠方まで進んで停止する」との原理は,平面における物体と力の抽象的な原理にすぎず,現実の諸条件をすべて捨象した場合にのみ当てはまるにすぎない。現実には,原動機付自転車の速度のほか,道路面 突地点から遠方まで進んで停止する」との原理は,平面における物体と力の抽象的な原理にすぎず,現実の諸条件をすべて捨象した場合にのみ当てはまるにすぎない。現実には,原動機付自転車の速度のほか,道路面の状態,原動機付自転車の消火栓あるいはすりつけの段差との衝突の位置・角度などの態様,原動機付自転車の路面との接触の態様,滑走の態様など多くの条件に規定されるのであって,上記のような単純な原理の適用によって判断できるなどということはありえない。 の原理は,平面における物体と力の抽象的な原理にすぎず,現実の諸条件をすべて捨象した場合にのみ当てはまるにすぎない。現実には,原動機付自転車の速度のほか,道路面の状態,原動機付自転車の消火栓あるいはすりつけの段差との衝突の位置・角度などの態様,原動機付自転車の路面との接触の態様,滑走の態様など多くの条件に規定されるのであって,上記のような単純な原理の適用によって判断できるなどということはありえない。(3) 被告らは,原告が交通法規を遵守して道路左側を通行していれば,本件消火栓に接触して本件事故を起こすことはなかったはずであると主張するが,机上の空論である。まず,道路交通法18条1項は,車両通行帯の設けられていない道路を通行する場合,自動車及び原動機付自転車は「道路の左側に寄って」通行しなければならない旨規定するが,道路状況,交通状況などに鑑み,常にその厳守を期待することは実情に沿わないことから,同規定の違反に対して罰則を設けず,努力義務として規定したものである。原動機付自転車が,道路の状況,交通状況によって適切な選択をすることは禁止されていないのである。まして,本件の場合のように,路面が道路端まで全面的に切削されているような場合には,安全を考慮して道路端を避け,中央付近を走行するのはむしろ適切なのである。(4) 被告らは,原告は本件事故当時,相当高濃度のアルコールを体内に保有し,かなり飲酒酩酊していたと主張するが,仮に,原告がアルコールを摂取していたとしても,その量が相当量に達していたということはないし,まして,本件事故現場の状況認識や事故回避の能力に影響があったということはない。(5) 被告らは,原告はヘルメットの装着の仕方が極めて不十分であったと主張するが, ていたということはないし,まして,本件事故現場の状況認識や事故回避の能力に影響があったということはない。(5) 被告らは,原告はヘルメットの装着の仕方が極めて不十分であったと主張するが,一般に原動機付自転車等を運転する者にとってヘルメットを装着することはほとんど例外のないほどの常識であり,特に,原告は,トラックの職業運転手であり,事故の危険を熟知していたから,日頃からヘルメットを適切に装着する習慣が身についており,本件事故当時においてもヘルメットを装着していたものと推認される。ヘルメットは強い衝撃のために留め金が壊れあるいは外れるなどの可能性もあるのであるから,本件事故直後に頭から外れていたからといって,その装着が不十分であったとする合理的根拠はない。 ど例外のないほどの常識であり,特に,原告は,トラックの職業運転手であり,事故の危険を熟知していたから,日頃からヘルメットを適切に装着する習慣が身についており,本件事故当時においてもヘルメットを装着していたものと推認される。ヘルメットは強い衝撃のために留め金が壊れあるいは外れるなどの可能性もあるのであるから,本件事故直後に頭から外れていたからといって,その装着が不十分であったとする合理的根拠はない。なお,原告がヘルメットを適切に装着していたとすれば本件事故を免れた,あるいは受傷の程度がより小さかったという証拠はない。2 被告らの主張(一) 本件道路は,道路として通常有すべき安全性を十分備えていた。(1) 本件工事におけるアスファルトの計画切削高は5センチメートルであり,本件消火栓と切削面との高低差は5センチメートル以内にとどまっていた。また,本件消火栓の周囲にはアスファルトで十分な「すりつけ」がなされて,緩やかな斜面となり,段差は解消されていた。建設事務次官通達「建設工事公衆災害防止対策要綱(土木編)」では,「やむを得ない理由で段差が生じた場合は,5パーセント以内の勾配ですりつける」ものとされているところ,本件消火栓の周囲の勾配は消火栓南側の南北方向で6.25パーセントであり,上記通達の基準値である5パーセントはわずかに超えるものの,ほぼ同程度の勾配となっていた。したがって,本件道路は,道路の構造としては,自動二輪車等の車両の通 で6.25パーセントであり,上記通達の基準値である5パーセントはわずかに超えるものの,ほぼ同程度の勾配となっていた。したがって,本件道路は,道路の構造としては,自動二輪車等の車両の通常の運転方法による走行にとって必要な安全性を具備していた。(2) 本件工事区間内には,工事中であることや段差があることを注意する内容の標示板が各所に設置されており,通行車両に対する注意喚起は十分になされていた。乙7の35[被告B撮影の本件工事区間の写真]の中央やや右より上部に背面が写っている看板が,北行車両に対して「工事中につき徐行」又は「この先段差あり」という内容の注意を喚起する標示である。また,本件事故現場付近には,工事中であることを示す保安灯や照明は設置されていなかったものの,街灯やスーパーマーケットの照明があり,これらの照明により本件事故現場付近は十分な照度が得られていた。 は十分になされていた。乙7の35[被告B撮影の本件工事区間の写真]の中央やや右より上部に背面が写っている看板が,北行車両に対して「工事中につき徐行」又は「この先段差あり」という内容の注意を喚起する標示である。また,本件事故現場付近には,工事中であることを示す保安灯や照明は設置されていなかったものの,街灯やスーパーマーケットの照明があり,これらの照明により本件事故現場付近は十分な照度が得られていた。したがって,仮に,本件消火栓と切削面との間に段差が生じていたとしても,前照灯を点けて通常の注意を払って走行していれば,設置されている標示板と相俟って,本件消火栓を発見し,これを回避することは容易であった。(二) 本件事故は,原告の前方不注視,交通法規不遵守に起因する自損事故というべきであって,被告らは,損害賠償責任を負わない。(1) 上記(一)(2)のとおり,本件工事区間内には工事中であることや段差があることを注意する内容の標示板が各所に設置されていた上,原告は,本件事故現場に至るまでアスファルト路面が切削された区間を100メートル以上走行していたのであるから,路面が切削されていることを認識し得たはずである。(2) したがって,原告は,段差が生じていることを予測し,減速した上で,前方を注視して走行すべきであった。にもかかわ していたのであるから,路面が切削されていることを認識し得たはずである。(2) したがって,原告は,段差が生じていることを予測し,減速した上で,前方を注視して走行すべきであった。にもかかわらず,原告は,漫然と法定の最高速度(道路交通法施行令11条所定の時速30キロメートル)を大幅に超過する時速50キロメートル以上の速度で走行し,後記(4)のとおり飲酒酩酊していたことも相俟って,本件消火栓を看過した結果,本件消火栓にハンドルを取られて転倒したものである。仮に,原告主張のとおり時速40キロメートルで走行していたとしても,最高速度違反の過失があることに変わりがない。(被告B)原告が時速50キロメートル以上の速度で走行していたことは,以下の事実から明らかである。すなわち,原告は,本件消火栓に接触し転倒した後,本件消火栓から26.1メートル北(乙2[平成7年12月22日付実況見分調書]添付の交通事故現場見取図の血痕付着位置)ないし12.9メートル北(乙5[平成8年1月9日付実況見分調書]添付の交通事故現場見取図)の地点まで滑走して停止し,原告が運転していた原動機付自転車は,本件消火栓から21.2メートル北の地点に停止した(乙5)ところ,本件事故と同態様の交通事故に関する東京地方裁判所八王子支部平成10年1月21日判決(交民集31・1・27)の事案では,時速50キロメートルの速度で自動二輪車を運転していた被害者は,マンホールに接触して,マンホールから約6.4メートル前方の位置に転倒し,自動二輪車はマンホールから約8.3メートル前方の位置に止まったというのであるが,一般に,車両のスピードが速ければ速いほど,衝突・転倒した後も前方に進もうとする力が働き,道路上を滑走する距離は長く,衝突地点から遠方まで進んで停止するから,原 1・1・27)の事案では,時速50キロメートルの速度で自動二輪車を運転していた被害者は,マンホールに接触して,マンホールから約6.4メートル前方の位置に転倒し,自動二輪車はマンホールから約8.3メートル前方の位置に止まったというのであるが,一般に,車両のスピードが速ければ速いほど,衝突・転倒した後も前方に進もうとする力が働き,道路上を滑走する距離は長く,衝突地点から遠方まで進んで停止するから,原 前方の位置に止まったというのであるが,一般に,車両のスピードが速ければ速いほど,衝突・転倒した後も前方に進もうとする力が働き,道路上を滑走する距離は長く,衝突地点から遠方まで進んで停止するから,原告は,上記事案の被害者(時速50キロメートル)よりも高速度で走行していたことになる。(3) 本来,原動機自転車は,道路の左側に寄って通行しなければならないところ(道路交通法18条1項),本件消火栓は,本件道路の北行車線の中央線寄りに位置し,本件消火栓西端から道路左端まで1.575メートルの距離があったから,原告が上記交通法規を遵守して道路左側を通行していれば,本件消火栓に接触して本件事故を起こすことはなかったはずである。(4) 原告は,本件事故の後病院に搬送された午後10時36分の時点(事故から約2時間後)においても,なおアルコール臭をさせていた(乙21)というのであるから,本件事故当時,相当高濃度のアルコールを体内に保有し,かなり飲酒酩酊していた。(5) 本件事故直後,ヘルメットが原告の頭から外れていたというのであるから,その装着の仕方が極めて不十分であった。二争点2(本件事故についての各被告の責任の有無)について 1 原告の主張(一) 被告B被告Bは,本件工事に伴う本件道路の使用の許可を受けるに当たって,工事中の路面の整備や事故防止に関し,掘削跡を復旧(仮復旧)する場合は,路面に高低差のないようにすること,夜間は作業帯の周囲に照度の高い保安灯を設置するとともに照明をすることという条件が付されていたにもかかわらず,これを遵守せず,前記一1(一)のような危険な状態を放置した点で,道路工事上及び管理上の過失があるから,本件事故につき,民法709条に基づき損害賠償責任を負う。現に,被告 にもかかわらず,これを遵守せず,前記一1(一)のような危険な状態を放置した点で,道路工事上及び管理上の過失があるから,本件事故につき,民法709条に基づき損害賠償責任を負う。 に照明をすることという条件が付されていたにもかかわらず,これを遵守せず,前記一1(一)のような危険な状態を放置した点で,道路工事上及び管理上の過失があるから,本件事故につき,民法709条に基づき損害賠償責任を負う。現に,被告 にもかかわらず,これを遵守せず,前記一1(一)のような危険な状態を放置した点で,道路工事上及び管理上の過失があるから,本件事故につき,民法709条に基づき損害賠償責任を負う。現に,被告Bは,警察及び検察庁において,本件事故につき過失のあることを自認し,前記第二の一3(二)のとおり略式命令を受けている。(二) 被告近畿道路資材(1) 被告近畿道路資材と被告Bとの関係が,内部的処理において元請けと下請けという請負契約関係であったかどうかはともかくとして,対外的には,被告Bは,被告近畿道路資材の従業員であり,庶務係長という従業員の身分において,本件工事における被告近畿道路資材の現場代理人,工程管理係,写真管理係,測量係,安全巡視係とされており,また,緊急時の体制においては,対策部長の任にあるとともに,材料調達避難誘導を担当していたものであるから,被告近畿道路資材は,民法715条に基づき,被告Bの使用者として,同被告が原告に加えた損害につき賠償責任を負う。(2) 仮に被告近畿道路資材と被告Bとの関係が(実質的にも)請負(下請け)契約関係であったとしても,被告近畿道路資材は,本件工事の施工責任者として,本件工事によって損害を被った第三者に対して,被告Bとともに,民法709条に基づき,直接に損害賠償責任を負う。(3) さらに,被告近畿道路資材は,被告Bに対する注文者として,同被告による本件工事の施工について適切な指示・監督を行わなかった結果,同被告の不法行為によって原告に損害を加えたのであるから,民法716条に基づき,損害賠償責任を負う。なお,被告近畿道路資材と被告Bとの関係は,単なる注文者と請負人との関係とは異なり,民法715条における使用者と被用者の関係に準ずると解すべきものである。(三) 被 づき,損害賠償責任を負う。なお,被告近畿道路資材と被告Bとの関係は,単なる注文者と請負人との関係とは異なり,民法715条における使用者と被用者の関係に準ずると解すべきものである。(三) 被告尼崎市前記一1(一)のとおり,本件事故当時,本件道路は本来有すべき安全性を客観的に欠いていたから,本件道路の設置,管理者である被告尼崎市は,国家賠償法2条1項により,原告の被った損害を賠償する責任を負う。 被 づき,損害賠償責任を負う。なお,被告近畿道路資材と被告Bとの関係は,単なる注文者と請負人との関係とは異なり,民法715条における使用者と被用者の関係に準ずると解すべきものである。(三) 被告尼崎市前記一1(一)のとおり,本件事故当時,本件道路は本来有すべき安全性を客観的に欠いていたから,本件道路の設置,管理者である被告尼崎市は,国家賠償法2条1項により,原告の被った損害を賠償する責任を負う。2 各被告の主張(一) 被告B本件事故現場付近の道路は,前記のとおり道路として通常有すべき安全性を十分に有しており,被告Bには道路工事上及び管理上の過失はないから,民法709条の損害賠償責任を負わない。(二) 被告近畿道路資材(1) 被告Bは,被告近畿道路資材の従業員ではないから,被告近畿道路資材は,民法715条の使用者責任は負わない。(2) 前記のとおり,被告Bの行った本件工事は適正であり,瑕疵はなかったし,被告Bに対する指示・監督につき被告近畿道路資材に過失はなかったから,民法716条の責任も負わない。(3) また,被告近畿道路資材が,民法709条の特別規定である同法716条の責任以上に,同法709条の責任を負うべき理由はない。(三) 被告尼崎市国家賠償法2条1項にいう「営造物の設置又は管理の瑕疵」とは,営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいうところ,ここでいう通常有すべき安全性を欠いているとは,事故の発生につき,①当該道路ないし施設に危険が存することのみならず,設置管理者において,②危険の予測可能性があり,かつ,③危険の回避可能性があるにもかかわらず,回避措置を採っていないことをいうが,本件においては,以下のとおり,これらのいずれの要件も欠い みならず,設置管理者において,②危険の予測可能性があり,かつ,③危険の回避可能性があるにもかかわらず,回避措置を採っていないことをいうが,本件においては,以下のとおり,これらのいずれの要件も欠いているから,被告尼崎市が同条項の責任を負うことはない。まず,前記一2(一)のとおり,本件道路は,道路として通常有すべき安全性を十分備えており,危険は存しなかった。また,同(二)のとおり,本件事故は原告の前方不注視,交通法規不遵守に起因する自損事故というべきであって,被告尼崎市においては,本件事故現場につき社会通念上合理的に期待されるべき管理体制の下にあって結果発生につき予見可能であったとはいい難い。 いるから,被告尼崎市が同条項の責任を負うことはない。まず,前記一2(一)のとおり,本件道路は,道路として通常有すべき安全性を十分備えており,危険は存しなかった。また,同(二)のとおり,本件事故は原告の前方不注視,交通法規不遵守に起因する自損事故というべきであって,被告尼崎市においては,本件事故現場につき社会通念上合理的に期待されるべき管理体制の下にあって結果発生につき予見可能であったとはいい難い。さらに,被告尼崎市は,被告近畿道路資材との間の請負契約(甲16)において,請負人である同被告が工事の施工に伴い,第三者に損害を与えることのないよう細心の注意を尽くすべき旨を定めたほか,被告尼崎市の担当者は,本件事故当日においても,被告近畿道路資材等に対し,本件消火栓付近のすりつけの手直しや工事看板の設置についての具体的指示を行っており,道路管理者として要求される危険回避措置はすべて完了したのであるから,被告尼崎市にとって,本件事故の回避可能性はなかった。三争点3(原告の過失の有無[過失相殺の当否])について 1 被告らの主張仮に,被告らに何らかの損害賠償責任があるとしても,上記一2(二)のとおり,本件事故の発生につき原告の前方不注視,交通法規不遵守の過失は大きく,また,特に飲酒・高速度運転,ヘルメット装着不十分は,本件事故による損害を拡大させたから,大幅に過失相殺がなされるべきである。2 原告の主張仮に,原告に何らかの過失があるとしても,前記一1(一)(1)のような段差を適切な事故防止の は,本件事故による損害を拡大させたから,大幅に過失相殺がなされるべきである。2 原告の主張仮に,原告に何らかの過失があるとしても,前記一1(一)(1)のような段差を適切な事故防止のための措置を全く採らずに放置したという被告らの重大な過失との対比においては,過失相殺の対象とするに値するような程度・性質の過失には当たらないというべきである。四争点4(原告の負った傷害及びその治療の状況,後遺障害の内容・程度)について 1 原告の主張(一) 原告の負った傷害及びその治療の状況原告は,本件事故により,右鎖骨骨折,右側頭骨骨折,脳挫傷,硬膜外血腫,硬膜下血腫,気脳症,難聴,顔面神経麻痺,器質性人格障害兼症候性てんかんなどの傷害・障害を負い,これらの傷害等の治療のため,以下のとおり加療を余儀なくされた。 質の過失には当たらないというべきである。四争点4(原告の負った傷害及びその治療の状況,後遺障害の内容・程度)について 1 原告の主張(一) 原告の負った傷害及びその治療の状況原告は,本件事故により,右鎖骨骨折,右側頭骨骨折,脳挫傷,硬膜外血腫,硬膜下血腫,気脳症,難聴,顔面神経麻痺,器質性人格障害兼症候性てんかんなどの傷害・障害を負い,これらの傷害等の治療のため,以下のとおり加療を余儀なくされた。(1) 入院治療(合計472日。正しくは,473日)ⅰ 兵庫医科大学病院(以下「兵庫医大病院」という。)救急部平成7年12月21日から平成8年1月30日まで(41日)ⅱ 医療法人純徳会田中病院(整形外科。以下,単に田中病院」という。)平成8年2月3日から同月28日まで(26日)平成8年3月21日から同年7月27日まで(129日)ⅲ 兵庫医大病院耳鼻咽喉科平成8年2月28日から同年3月21日まで(23日)ⅳ 兵庫医大病院精神科・神経科平成10年2月27日から同年7月30日まで(154日)平成11年6月14日から同年9月21日まで(100日)(2) 通院治療(実通院日数合計584日)ⅰ 兵庫医大病院耳鼻咽喉科平成8年1月9日から平成11年7月27日 平成11年6月14日から同年9月21日まで(100日)(2) 通院治療(実通院日数合計584日)ⅰ 兵庫医大病院耳鼻咽喉科平成8年1月9日から平成11年7月27日まで(実通院日数181日)ⅱ 兵庫医大病院脳神経外科平成8年1月11日から平成11年7月31日まで(実通院日数136日)ⅲ 田中病院(整形外科)平成8年2月2日から平成9年7月8日まで(実通院日数177日)ⅳ 兵庫医大病院精神科・神経科平成9年6月20日から平成12年12月15日まで(実通院日数90日)(二) 原告の後遺障害の内容・程度(1) 原告の現在の症状については,各診療科において,以下のとおり診断されている。ⅰ 耳鼻咽喉科関係(平成11年7月27日症状固定)右側頭骨骨折に起因して,右外傷性顔面神経麻痺が残存し,病的共同運動が存在している。また,難聴,耳鳴り,眩暈(ふらつき),平衡障害等が残存している。ⅱ 脳神経外科関係(平成11年7月31日症状固定)難聴,顔面神経麻痺,記銘力障害,言語障害,歩行障害等が残存している。ⅲ 整形外科関係(平成12年1月27日症状固定)右上肢の挙上時疼痛・痺れ感,項部緊張感,右鎖骨部・両側胸部の疼痛,右肩関節の運動障害が残存している。 に起因して,右外傷性顔面神経麻痺が残存し,病的共同運動が存在している。また,難聴,耳鳴り,眩暈(ふらつき),平衡障害等が残存している。ⅱ 脳神経外科関係(平成11年7月31日症状固定)難聴,顔面神経麻痺,記銘力障害,言語障害,歩行障害等が残存している。ⅲ 整形外科関係(平成12年1月27日症状固定)右上肢の挙上時疼痛・痺れ感,項部緊張感,右鎖骨部・両側胸部の疼痛,右肩関節の運動障害が残存している。ⅳ 精神科・神経科関係(平成12年12月15日症状固定)器質性人格障害兼症候性てんかんの後遺障害があり,具体的には,記銘力障害,全般的知能低下,情動が不安定で些細な刺激に興奮しやすいなどの人格変化が認められる。(2) 原告は,以上のような本件事故に起因する後遺障害により,相当時間安定 あり,具体的には,記銘力障害,全般的知能低下,情動が不安定で些細な刺激に興奮しやすいなどの人格変化が認められる。(2) 原告は,以上のような本件事故に起因する後遺障害により,相当時間安定した佇立,歩行,作業をすることができず,記銘力の欠如とも相俟って,従前従事していたトラック運転手としての就業はもとより,その他の労働への従事も事実上不可能であって,労働能力を完全に(100パーセント)喪失した。原告の通勤途上の労働災害を理由とする障害給付請求に対して尼崎労働基準監督署長が平成13年5月10日付でした支給決定においても,原告の障害は,身体障害等級の第3級第3号(神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し終身労務に服することができないもの)と認定されている。(3) なお,原告は,被告ら主張のとおり,本件事故の後,2回にわたって自動車の運転免許の更新を受け,主張の交通違反で3回検挙されたことは認める。2 被告らの主張(一) 原告の負った傷害及びその治療の状況については不知。(二) 原告の後遺障害の内容・程度については争う。(1) 原告は,本件事故の後,2回にわたって自動車の運転免許の更新を受け,日常的に自動車を運転している(平成8年4月16日に通行禁止違反,同年10月9日及び平成9年7月30日に各速度違反で検挙された。)のであるから,中枢神経に障害が残存しているとは認められず,原告主張の,労働能力を完全に(100パーセント)喪失するような後遺障害が残存しているとは考えられないだけでなく,労働能力を大幅に喪失したとも考えられない。 ,本件事故の後,2回にわたって自動車の運転免許の更新を受け,日常的に自動車を運転している(平成8年4月16日に通行禁止違反,同年10月9日及び平成9年7月30日に各速度違反で検挙された。)のであるから,中枢神経に障害が残存しているとは認められず,原告主張の,労働能力を完全に(100パーセント)喪失するような後遺障害が残存しているとは考えられないだけでなく,労働能力を大幅に喪失したとも考えられない。また,原告の易怒性,衝動性は,必ずしも脳損傷に伴う器質的障害による人格的変化とはいえず,原告が本来有する性格的素因と事故後の心因的要因に基づくものというべきである とも考えられない。また,原告の易怒性,衝動性は,必ずしも脳損傷に伴う器質的障害による人格的変化とはいえず,原告が本来有する性格的素因と事故後の心因的要因に基づくものというべきである。(被告近畿道路資材)仮に,原告に後遺障害が残存しているとしても,その後遺障害の程度は,せいぜい自動車損害賠償保障法施行令別表所定の後遺障害等級12級であって,これを上回るとは認められない。(2)(被告近畿道路資材)平成11年9月4日の原告の行動調査の結果(丁4[ビデオテープ],丁5[同日実施の行動調査報告書],丁6[ビデオテープの8場面をプリントアウトしたもの])によれば,原告は,通常人と同様に佇立,歩行し,書類に署名するなどしており,歩行障害等の動作の障害は認められない。また,同証拠によれば,原告は,自己の氏名を何ら問題なく記載し,さらに自動車を運転して帰宅することができているのであるから,記銘力障害は認め難い。(3)(被告B)原告が主張する後遺障害のすべてが本件事故と因果関係のあるものなのかどうか不明である。特に,原告が神経科関係の後遺障害として主張する「記銘力障害,全般的知能低下,情動が不安定で些細な刺激に興奮しやすいなどの人格変化」というものが,そもそも後遺障害といえるものであるのか,また,本件事故と因果関係があるのか,全く明らかでない。五争点5(原告が賠償を受けるべき損害の額)について 1 原告の主張(一) 原告の被った損害の総額 1億7003万9707円(1) 治療費合計 307万1580円ⅰ 平成10年 9月13日現在 262万4500円 1億7003万9707円(1) 治療費合計 307万1580円ⅰ 平成10年 9月13日現在 262万4500円ⅱ 平成12年12月15日現在 44万7080円(2) 診断書等文書代 5万1950円(3) 入院経費 70万8000円1日つき1500円の472日分(4) 交通費 165万8560円原告は単独では行動できず,常に妻の付き添いを要し,また,妻の運転する自動車を使用し,又は頻繁にタクシーを利用せざるを得なかったものであり,支出は多額に上るが,証拠の関係で,自宅から各病院所在の阪神電鉄k駅までの公共交通機関による交通費(1人片道710円)に基づき計算すると,165万8560円となる(710円×2[往復]×2[原告と妻の2人分]×584回)。 72日分(4) 交通費 165万8560円原告は単独では行動できず,常に妻の付き添いを要し,また,妻の運転する自動車を使用し,又は頻繁にタクシーを利用せざるを得なかったものであり,支出は多額に上るが,証拠の関係で,自宅から各病院所在の阪神電鉄k駅までの公共交通機関による交通費(1人片道710円)に基づき計算すると,165万8560円となる(710円×2[往復]×2[原告と妻の2人分]×584回)。(5) 休業損害合計 2681万9908円原告は,本件事故前,丸徳運輸株式会社においてトラック運転手として稼働し,賃金及び一時金の支払いを受けていたが,本件事故のため,事故翌日である平成7年12月22日から症状固定をみた平成12年12月15日までの1819日間(平成8年及び同12年はうるう年なので,正しくは1821日間),賃金収入及び一時金収入を得ることができなかった。ⅰ 原告は,本件事故前,1日当たり平均1万4332円の賃金収入を得ていたところ,上記1819日間で合計2606万9908円の賃金収入を得ることができなかった。ⅱ 原告は,本件事故がなく,正常に就労してい 事故前,1日当たり平均1万4332円の賃金収入を得ていたところ,上記1819日間で合計2606万9908円の賃金収入を得ることができなかった。ⅱ 原告は,本件事故がなく,正常に就労していたとすれば,毎月の賃金の外に一時金として,毎年少なくとも15万円の支払いを受けることができたはずである。ところが,本件事故により,平成8年から症状固定をみた平成12年までの5年間で合計75万円の一時金の支払いを受けることができなかった。(6) 後遺障害による逸失利益合計 8271万9499円原告は,前記のとおり,本件事故前,トラック運転手として稼働し,賃金及び一時金の支払いを受けていたが,前記四1(二)のとおり,本件事故の後遺障害により労働能力を完全に喪失するに至った。ⅰ 症状固定をみた平成12年12月15日時点における原告(昭和38年6月5日生の37歳)の就労可能年数は30年,そのライプニッツ係数は15.372であるから,前記(5)ⅰの1日当たりの平均賃金1万4332円に基づき,賃金分の逸失利益の現価(中間利息の控除)を計算すると,8041万3699円となる(1万4332円×365[日]×15.372)。ⅱ また,原告は,本件事故がなければ,前記30年の就労可能期間にわたり,賃金の外に一時金として,毎年少なくとも15万円の支払いを受けることができたから,一時金分の逸失利益の現価を同様に計算すると,230万5800円となる。 )ⅰの1日当たりの平均賃金1万4332円に基づき,賃金分の逸失利益の現価(中間利息の控除)を計算すると,8041万3699円となる(1万4332円×365[日]×15.372)。ⅱ また,原告は,本件事故がなければ,前記30年の就労可能期間にわたり,賃金の外に一時金として,毎年少なくとも15万円の支払いを受けることができたから,一時金分の逸失利益の現価を同様に計算すると,230万5800円となる。(7) 通常慰謝料 1000万円原告は,本件事故により前記のような重大な損傷を被り,その治療のため5年間にわたって入通院を余儀なくされ,また,その間傷病に伴う苦痛並びに回復の可能性や自己及び家族の生活,将来に対す 円原告は,本件事故により前記のような重大な損傷を被り,その治療のため5年間にわたって入通院を余儀なくされ,また,その間傷病に伴う苦痛並びに回復の可能性や自己及び家族の生活,将来に対する絶えざる不安に苛まれてきたもので,その精神的苦痛に対する慰謝料は1000万円を下らない。(8) 後遺障害慰謝料 3000万円原告は,本件事故の後遺障害により,従来の療養生活に引き続き,生涯にわたり甚大な苦痛を余儀なくされるだけでなく,完全に労働能力を失い,自己及び家族の生活上の困難を強いられるとともに,正常な社会生活を送ることを完全に絶たれた。これらの苦痛に対する慰謝料の額は,3000万円を下らない。(9) 本件損害賠償請求のための刑事事件記録謄写代 1万0210円(10) 弁護士費用 1500万円本件損害賠償の請求について原告訴訟代理人に支払うべき弁護士費用は,弁護士会所定の基準に従い,着手金500万円,報酬1000万円の合計1500万円が相当であり,原告は,同金額を原告訴訟代理人に支払うことを約した。(二) 損害の填補合計 3136万2272円(正しくは3176万2272円)(1) 原告は,被告近畿道路資材及び被告Bから本件事故による治療費,休業補償として,合計1687万2900円の支払いを受けた。(2) 原告は,労災保険給付として,次のⅰないしⅲの合計1448万9372円の支給を受けた(正しくは1488万9372円)。ⅰ 休業補償給付 961万9022円ⅱ 後遺障害給付 て,次のⅰないしⅲの合計1448万9372円の支給を受けた(正しくは1488万9372円)。ⅰ 休業補償給付 961万9022円ⅱ 後遺障害給付一時金 300万円ⅲ 年金給付 227万0350円(三) 請求額 1億3867万7435円よって,原告は,上記(一)の損害の総額1億7003万9707円から,上記(二)の損害填補額3136万2272円を控除した残額1億3867万7435円及びこれに対する不法行為の日である平成7年12月21日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払いを求める。 961万9022円ⅱ 後遺障害給付一時金 300万円ⅲ 年金給付 227万0350円(三) 請求額 1億3867万7435円よって,原告は,上記(一)の損害の総額1億7003万9707円から,上記(二)の損害填補額3136万2272円を控除した残額1億3867万7435円及びこれに対する不法行為の日である平成7年12月21日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払いを求める。2 被告らの主張(一) 原告の損害についての主張は,いずれも争う。入通院期間,付添人の交通費及び刑事事件記録謄写代については,本件事故との相当因果関係を争う。(被告尼崎市及び被告近畿道路資材)なお,逸失利益について,中間利息を控除するに当たっては,事故時(32歳)から67歳までの35年間の中間利息(ライプニッツ係数16.374)から,事故時から症状固定時までの5年間の中間利息(ライプニッツ係数4.329)を控除する方式(ライプニッツ係数12. 045)によるべきである。(二)(1) 被告近畿道路資材及び被告Bから原告に支払った額は,1734万3020円である。(2) 原告が原告主張の労災保険給付として,ⅰ休業補償給付961万9022円,ⅱ後遺障害給付一時金300万円,ⅲ年金給付227万0350円の支給を受けたことは認める。第四当裁判所の判断一争点1(本件道路の安全性)について 1 証拠(各事項の末尾 61万9022円,ⅱ後遺障害給付一時金300万円,ⅲ年金給付227万0350円の支給を受けたことは認める。第四当裁判所の判断一争点1(本件道路の安全性)について 1 証拠(各事項の末尾に掲記したもの)によれば,次の(一)ないし(八)のとおり認められる。(一) 本件事故現場付近の状況本件事故現場は,尼崎市a町を南北に抜ける主要市道d線(通称e線)上,阪急電鉄l駅の東約1キロメートルに位置する交差点である。本件事故現場付近では,本件道路は,片側1車線の両側に歩道のあるアスファルト舗装された道路で,幅員は,車道部分が北行車線3.5メートル(西端の街渠部分0.65メートルを含む。),南行車線3.6メートル(東端の街渠部分0.65メートルを含む。)の計7.1メートル,歩道部分が片側2.4メートルずつの計4.8メートルであり,最高速度は時速40キロメートルに規制されている。また,交差点は,信号機により交通整理が行われており,本件事故当時,本件道路方向(南北)が黄色点滅,交差方向(東西)が赤色点滅の信号規制がなされていた(甲2,3,5,6,乙1,2,4,5)。 5メートルを含む。),南行車線3.6メートル(東端の街渠部分0.65メートルを含む。)の計7.1メートル,歩道部分が片側2.4メートルずつの計4.8メートルであり,最高速度は時速40キロメートルに規制されている。また,交差点は,信号機により交通整理が行われており,本件事故当時,本件道路方向(南北)が黄色点滅,交差方向(東西)が赤色点滅の信号規制がなされていた(甲2,3,5,6,乙1,2,4,5)。本件事故現場付近は民家の建ち並ぶ住宅街であり,本件事故当時,本件事故現場の交差点の北西角はマンション,北東角は民家,南東角は空き地,南西角は駐車場で,同マンションの1階はスーパー「グリーンガーデンa店」であった。また,交差点付近には,同マンション前に街灯が設置されていたほかには,照明設備はなかった(甲2,3,5,7,13,乙1,2,4,6,7の36・37,9の10~17,10の1)。(二) 本件工事の内容等(1) 被告尼崎市は,阪神・淡路大震災の影響などで本件道路のアスファルト舗装が傷み凸凹が生じていたことなどから,古いアスファルト面を切削 ~17,10の1)。(二) 本件工事の内容等(1) 被告尼崎市は,阪神・淡路大震災の影響などで本件道路のアスファルト舗装が傷み凸凹が生じていたことなどから,古いアスファルト面を切削して新たにアスファルト舗装をすることにし(弁論の全趣旨),前記第二の一2(一)のとおり,平成7年11月15日,被告近畿道路資材に対して,前工事区間(本件道路のa橋北詰[尼崎市a町h丁目i番地のj]から北方向に同町b丁目f番地のgに至る約305メートルの区間)について,工事期間を同日から平成8年1月11日までとして前工事を発注し,被告Bは,平成7年11月15日,前工事を被告近畿道路資材から下請けとして受注した。その後,被告尼崎市は,付近住民の要望により工事区間を延長することとし(甲24),同じく前記第二の一2(一)のとおり,前工事の工事期間中である平成7年12月20日,被告近畿道路資材に対し,前工事区間の北につながる本件工事区間(尼崎市a町b丁目f番地のgから北方向に本件事故現場である同町b丁目c地先交差点北端に至る約101メートルの区間)について,工事期間を同日から平成8年1月18日までとして,本件工事を追加発注し,被告Bは,平成7年12月20日,被告近畿道路資材からこれを下請けとして受注した(その関係が実質的にも請負契約であるかとうかは,しばらくおく。 0日,被告近畿道路資材に対し,前工事区間の北につながる本件工事区間(尼崎市a町b丁目f番地のgから北方向に本件事故現場である同町b丁目c地先交差点北端に至る約101メートルの区間)について,工事期間を同日から平成8年1月18日までとして,本件工事を追加発注し,被告Bは,平成7年12月20日,被告近畿道路資材からこれを下請けとして受注した(その関係が実質的にも請負契約であるかとうかは,しばらくおく。)。本件工事及び前工事の施工方法は,10ないし15センチメートルの厚みで舗装されている路面アスファルトを,計画切削高を5センチメートルとして,切削機で切削し,新たにアスファルトで舗装を施すというもので,標準作業時間は,原則として午前9時から午後5時までの間(昼間作業)とされていた(甲19,乙14,15の1)。(2) 被告Bは,前記第二の一2(二)のとおり,平成7年11月21日 いうもので,標準作業時間は,原則として午前9時から午後5時までの間(昼間作業)とされていた(甲19,乙14,15の1)。(2) 被告Bは,前記第二の一2(二)のとおり,平成7年11月21日ころから,前工事区間の南端であるa橋北詰(尼崎市a町h丁目i番地のj)路上より工事を開始し,順次北方に工事を進め,本件事故当日である同年12月21日には,本件工事区間の工事に着手し,同日午後5時ころには,本件工事区間全体について,車道部分(街渠部分を除く。)全幅5.8メートル(甲3,乙2)のアスファルト舗装の切削作業を終え,同日の作業を終了した。その結果,本件事故当時,本件道路は,前工事区間内の尼崎市a町b丁目m番地のbから本件事故現場の交差点北端(本件工事区間の北端)までの約300メートルにわたって,車道部分(街渠部分を除く。)全幅のアスファルト舗装が約5センチメートルの深さで切削され,路面が粗目状に削られた状態になっていた。なお,路面が切削された上記約300メートルの区間内には,14個のマンホール等が存し,切削面との間に段差が生じていたが,そのうち本件工事区間内に存したものは,本件事故現場の交差点内にある本件消火栓及び本件制水弁のほか,マンホール1個及び制水弁1個であった(甲3,5,7,乙2,4,6)。(三) 本件事故当時の本件事故現場付近の状況(1) 路面の状況本件事故当時,本件事故現場の交差点北端(本件工事区間の北端)には,本件工事により車道部分(街渠部分を除く。 は,14個のマンホール等が存し,切削面との間に段差が生じていたが,そのうち本件工事区間内に存したものは,本件事故現場の交差点内にある本件消火栓及び本件制水弁のほか,マンホール1個及び制水弁1個であった(甲3,5,7,乙2,4,6)。(三) 本件事故当時の本件事故現場付近の状況(1) 路面の状況本件事故当時,本件事故現場の交差点北端(本件工事区間の北端)には,本件工事により車道部分(街渠部分を除く。)全幅のアスファルト舗装が切削された路面とその北側の切削されていない路面との間で段差(以下「本件段差」という。)が生じていた。そして,アスファルト舗装が切削された本件段差南側の路面と切削されていない本件段差北側の路面との高低差は5センチ その北側の切削されていない路面との間で段差(以下「本件段差」という。)が生じていた。そして,アスファルト舗装が切削された本件段差南側の路面と切削されていない本件段差北側の路面との高低差は5センチメートルであり,本件段差から南側40センチメートルの範囲にわたって,アスファルトですりつけ舗装がなされていた(甲5,乙4)。(2) 本件消火栓の切削面からの突出状況本件消火栓は,本件事故現場の交差点西側部分の北行車線上に,その中心が本件段差から4.9メートル南,車道西端(西側歩道の縁石東端)から2.3メートル東(街渠部分の東端から1.65メートル東)の位置に埋設されたもので,縦(南北)35センチメートル,横(東西)45センチメートルの大きさの長方形であり(甲3,5,乙2,4),本件事故当時,アスファルト舗装が切削された周囲の路面から,約5センチメートルの高さで突出していた(弁論の全趣旨)。そして,本件消火栓の周囲には,南北1.95メートル(本件消火栓の北側,南側ともに0.8メートル),東西2.7メートルの長方形に,アスファルトですりつけ舗装がなされており(甲5,乙4),すりつけ部分の勾配は,本件消火栓南側で6.25パーセントであった(本件消火栓南端の高さ0.05メートル÷本件消火栓南側のすりつけ舗装の長さ0.8メートル×100)。( この点について,原告は,本件消火栓は切削された周囲の路面から8センチメートルの高さで突出した状態になっていた旨主張するところ,尼崎北警察署員が作成した実況見分調書(四)[甲5,乙4]には,本件消火栓の切削面からの高低差が8センチメートルであった旨の記載がある。 火栓南側で6.25パーセントであった(本件消火栓南端の高さ0.05メートル÷本件消火栓南側のすりつけ舗装の長さ0.8メートル×100)。( この点について,原告は,本件消火栓は切削された周囲の路面から8センチメートルの高さで突出した状態になっていた旨主張するところ,尼崎北警察署員が作成した実況見分調書(四)[甲5,乙4]には,本件消火栓の切削面からの高低差が8センチメートルであった旨の記載がある。しかしながら,上記警察署員による実況見分の際の本件消火栓と切削面との高低差の測定方法は,角材を本件消火栓の天板の表面に当てて南 件消火栓の切削面からの高低差が8センチメートルであった旨の記載がある。しかしながら,上記警察署員による実況見分の際の本件消火栓と切削面との高低差の測定方法は,角材を本件消火栓の天板の表面に当てて南北方向にわたし,本件消火栓南側のすりつけ部分の南端[本件消火栓の南端から南へ0.8メートルの地点]よりもさらに南へ数十センチメートルの地点において,切削面と角材の下面との高低差を測定したところ,その高低差が8センチメートルであった,というものであるが[甲5,乙4の写真8,9],証拠[乙17,18]によれば,本件消火栓南側のすりつけ部分の南端,すなわち本件消火栓の中心から南へ0.975メートルの地点[0.35メートル÷2+0.8メートル]における切削面よりも,本件消火栓の中心から南へ5メートルの地点における切削面の方が低くなっており,切削面,ひいては本件道路は北から南へ行くほど低くなるように傾斜していること,そして,本件消火栓の中心と本件消火栓南側のすりつけ部分の南端の地点における高さの差は7.028センチメートルにとどまり,8センチメートルよりも小さい数値になっていることが認められることに照らせば,前記の実況見分調書記載の数値をそのまま正確なものとして採用することはできず,他に,本件消火栓が切削された周囲の路面から8センチメートルの高さで突出していたと認めるに足りる証拠はない。)(3) 本件制水弁の切削面からの突出状況本件制水弁は,本件事故現場の交差点東側部分の南行車線上に,その中心が本件段差から2.8メートル南,車道東端(東側歩道の縁石西端)から2.1メートル西の位置に埋設されたもので,本件事故当時,アスファルト舗装が切削された周囲の路面から突出し,その周囲に,長径(東西)2.7メートルの楕円形にアスファルトですりつけ舗装 さで突出していたと認めるに足りる証拠はない。)(3) 本件制水弁の切削面からの突出状況本件制水弁は,本件事故現場の交差点東側部分の南行車線上に,その中心が本件段差から2.8メートル南,車道東端(東側歩道の縁石西端)から2.1メートル西の位置に埋設されたもので,本件事故当時,アスファルト舗装が切削された周囲の路面から突出し,その周囲に,長径(東西)2.7メートルの楕円形にアスファルトですりつけ舗装 の縁石西端)から2.1メートル西の位置に埋設されたもので,本件事故当時,アスファルト舗装が切削された周囲の路面から突出し,その周囲に,長径(東西)2.7メートルの楕円形にアスファルトですりつけ舗装がなされていた(甲3,5,乙2,4)。(四) 本件事故現場付近の安全対策(1) 前記第二の一2(三)のとおり,本件事故当時,本件事故現場付近には,本件道路が工事中であることを示す保安灯や照明は設置されていなかった。(2) また,本件事故当時,南行車両に対しては,本件事故現場の交差点北側の東側歩道上で,本件制水弁から北へ17.8メートルの地点に「道路工事中」の看板が,本件制水弁から北へ5.5メートルの地点に「徐行」の看板が各設置されていたが,北行車両に対しては,道路工事中であることや段差が生じていることを知らせる標示は,本件事故現場付近のみならず,本件工事区間内のどこにも設置されていなかった(甲2,5,15,乙1,4)。( この点について,被告らは,乙7の35[被告B撮影の本件工事区間の写真]の中央やや右より上部に背面が写っている看板が,北行車両に対して「工事中につき徐行」又は「この先段差あり」という内容の注意を喚起する標示であると主張し,被告近畿道路資材代表者本人(D)の陳述書(丁7)にもこれに沿う陳述記載部分があるが,乙7の35の写真には看板の内容は写っていない上,撮影した日時も明らかでなく,写されている状況が本件事故当時の状況と変わらないものであると認めるに足りる証拠もないこと,被告尼崎市の道路改良課職員で本件工事の監督員であるEは,尼崎北警察署員に対し,本件工事区間に設置した看板は本件事故現場の交差点北側の東側歩道上の2枚だけであった旨供述していること(甲15),被告近畿道路資材の営業部長Fも,同署員に 事の監督員であるEは,尼崎北警察署員に対し,本件工事区間に設置した看板は本件事故現場の交差点北側の東側歩道上の2枚だけであった旨供述していること(甲15),被告近畿道路資材の営業部長Fも,同署員に対し,本件工事区間及び前工事区間の合計約400メートルの区間全体で使用した看板は4枚のみであった旨供述していること(甲18)などに照らし,被告近畿道路資材代表者本人の上記陳述記載部分は採用することができず,他に,本件事故当時,本件工事区間内において,被告らが主張するような北行車両に対して「工事中につき徐行」又は「この先段差あり」という内容の注意を喚起する標示が設置されていたと認めるに足りる証拠はない。 ,本件工事区間及び前工事区間の合計約400メートルの区間全体で使用した看板は4枚のみであった旨供述していること(甲18)などに照らし,被告近畿道路資材代表者本人の上記陳述記載部分は採用することができず,他に,本件事故当時,本件工事区間内において,被告らが主張するような北行車両に対して「工事中につき徐行」又は「この先段差あり」という内容の注意を喚起する標示が設置されていたと認めるに足りる証拠はない。)(五) 本件事故当日の被告尼崎市職員による指導と被告Bによる点検状況前記のとおり被告尼崎市の道路改良課職員で本件工事の監督員である三方清司は,本件事故当日である平成7年12月21日の午後3時か4時ころに,本件事故現場の交差点付近の見回りをした際,本件制水弁周囲のすりつけ舗装が不十分で危険であると感じたことから,被告Bに対し,本件制水弁のすりつけ舗装をやり直すこと,交差点内の他の部分も点検すること,本件工事区間の始点(南端)に置かれていた「道路工事中」の看板を本件工事区間の終点(北端)に移しておくこと,本件工事区間の終点に「段差あり」の看板を追加して置くことを指示した(甲15)。そこで,被告Bは,同日の作業終了後の午後6時ころに点検したところ,本件制水弁の周囲のすりつけ舗装が不十分で危険であると感じたため,既にされていたすりつけの上から長径(東西)2.7メートルの楕円形に追加のすりつけ舗装を行ったが,本件消火栓については,その周囲に広く(南北1.95メートル,東西2.7メートル)すりつけ舗装がなされているため追加の舗装は 上から長径(東西)2.7メートルの楕円形に追加のすりつけ舗装を行ったが,本件消火栓については,その周囲に広く(南北1.95メートル,東西2.7メートル)すりつけ舗装がなされているため追加の舗装は不要であると感じたことから,特に措置は施さなかった(甲25,26)。前記Eは,同日夕方に帰庁した後,被告Bの携帯電話に架電して確認したところ,すりつけ舗装は終わったが看板はまだ設置していないとのことであったので,看板を設置するよう再度指示をした(甲15)。(六) 道路使用条件等前記第二の一2(三)のとおり,本件工事及び前工事に伴う尼崎北警察署長による本件道路の使用の許可に当たっては,工事中の路面の整備や事故防止に関して,掘削跡を復旧(仮復旧を含む。)する場合は路面に高低差のないようにすること,夜間は作業帯の周囲に照度の高い保安灯を設置するとともに照明をすることという条件が付されていた。 のことであったので,看板を設置するよう再度指示をした(甲15)。(六) 道路使用条件等前記第二の一2(三)のとおり,本件工事及び前工事に伴う尼崎北警察署長による本件道路の使用の許可に当たっては,工事中の路面の整備や事故防止に関して,掘削跡を復旧(仮復旧を含む。)する場合は路面に高低差のないようにすること,夜間は作業帯の周囲に照度の高い保安灯を設置するとともに照明をすることという条件が付されていた。また,建設事務次官通達「建設工事公衆災害防止対策要綱(土木工事編)」によれば,本件工事及び前工事のような舗装路面の切削工事について,「施工者は,道路を掘削した箇所を車両の交通の用に供しようとするときは,埋戻したのち,原則として,仮舗装を行い,又は覆工を行う等の措置を講じなければならない。この場合,周囲の路面との段差を生じないようにしなければならない。やむを得ない理由で段差が生じた場合は,5パーセント以内の勾配ですりつけるものとし,施工上すりつけが困難な場合には,標示板等によって通行車両に予知させなければならない。」とされており(乙20),本件工事の工事施工計画書においても,「切削にて出来る段差は,5%以内になるようにアスファルト合材にてすり付け舗装を行い,安全を図ります。」とされていた(乙14)。(七) Cの事故の状況 ,本件工事の工事施工計画書においても,「切削にて出来る段差は,5%以内になるようにアスファルト合材にてすり付け舗装を行い,安全を図ります。」とされていた(乙14)。(七) Cの事故の状況Cは,本件事故当日の午後6時15分ころ,勤務先から原動機付自転車を運転して帰宅途中,時速約30キロメートルで本件道路を北から南に向かって進行し,本件事故現場の交差点に差し掛かったところ,進路上の本件制水弁が本件工事のために切削されていたアスファルト路面から突出していることに気付かず,突出していた本件制水弁に乗り上げて転倒し,加療約1か月間を要する左足第一趾挫傷兼末節骨骨折等の傷害を負った。なお,Cは,事故当時,前方を注視して原動機付自転車を運転していたが,東側歩道上に設置されていた前記(四)(2)の「道路工事中」の看板にも,「徐行」の看板にも気付かず,本件事故現場の交差点北端(南行車線停止線の0.9メートル南の地点)から本件工事区間が始まり,アスファルト路面が切削されていることにも気付いていなかった(前記第二の一3(一),甲2,5,8,乙1,4)。 挫傷兼末節骨骨折等の傷害を負った。なお,Cは,事故当時,前方を注視して原動機付自転車を運転していたが,東側歩道上に設置されていた前記(四)(2)の「道路工事中」の看板にも,「徐行」の看板にも気付かず,本件事故現場の交差点北端(南行車線停止線の0.9メートル南の地点)から本件工事区間が始まり,アスファルト路面が切削されていることにも気付いていなかった(前記第二の一3(一),甲2,5,8,乙1,4)。(八) 原告の進行状況,本件事故の状況等(1) 原告は,本件事故当日午前6時30分ころ,本件道路の東方に位置する丸徳運輸株式会社(尼崎市a町g丁目nーo所在)に出勤するため,通勤用の原動機付自転車を運転して本件道路を北から南に向かって走行し,本件事故現場の交差点を通り掛かったが,その時点では本件工事は開始されておらず,路面は通常の状態であった(甲17)。(2) 原告は,同日午後7時30分ころ,東大阪市の作業現場から荷物を運んで丸徳運輸株式会社事務所に帰社し,翌日の仕事の打合せをした後,同社事務所敷地内で原動機付自転車を洗車して,午後8時30分ころ,原動機付自転車を運転し 7時30分ころ,東大阪市の作業現場から荷物を運んで丸徳運輸株式会社事務所に帰社し,翌日の仕事の打合せをした後,同社事務所敷地内で原動機付自転車を洗車して,午後8時30分ころ,原動機付自転車を運転して同社事務所を出発し,帰路に就いた(甲17)。(3) 原告は,原動機付自転車を運転して,本件道路と交差する道路から尼崎市a町b丁目f番地のg先の交差点を右折して,直ちに本件道路の本件工事区間の始点(南端)から本件工事区間に入り,時速約40キロメートルの速度で北上し,約100メートル進行して,同日午後8時40分ころ,本件事故現場の交差点に差し掛かったが,進路上に存した本件消火栓及びその周囲が工事のため切削されたアスファルト路面から突出した状態であることに気付かず,そのまま進行したところ,突出した本件消火栓及びその周囲に乗り上げて原動機付自転車の前輪が大きく跳ね上がったため,原告は,ハンドルを取られて路上に投げ出され,路面にたたきつけられた。原動機付自転車は転倒して,前輪と後輪の前後が入れ替わった状態で路面を滑走し,本件消火栓から21.2メートル北の地点で停止し,原告は,滑走する原動機付自転車の後を追うように,身体を進行方向に直角に伸ばした状態で路上を転がっていき,本件消火栓から12.9メートル北の地点で停止した(甲6,13,14,乙5,8,弁論の全趣旨)。 ったため,原告は,ハンドルを取られて路上に投げ出され,路面にたたきつけられた。原動機付自転車は転倒して,前輪と後輪の前後が入れ替わった状態で路面を滑走し,本件消火栓から21.2メートル北の地点で停止し,原告は,滑走する原動機付自転車の後を追うように,身体を進行方向に直角に伸ばした状態で路上を転がっていき,本件消火栓から12.9メートル北の地点で停止した(甲6,13,14,乙5,8,弁論の全趣旨)。(4) 原告は,救急車でヒトラ外科医院に搬送され,同日午後10時36分ころ,兵庫医大病院に転送された(乙21)。以上の(一)ないし(八)の事実が認められ,上記認定を覆すに足りる証拠はない。なお,乙21(兵庫医大病院の診療録)によれば,原告が同日午後10時36分ころにヒトラ外科病院から兵庫医大病院に転送された際の兵庫医大病院のカルテに,「アルコール臭(+)」と記 証拠はない。なお,乙21(兵庫医大病院の診療録)によれば,原告が同日午後10時36分ころにヒトラ外科病院から兵庫医大病院に転送された際の兵庫医大病院のカルテに,「アルコール臭(+)」と記載されていることが認められるから,本件事故当時,原告は,酒気を帯びて原動機付自転車を運転していたと推認されるが,その飲酒量,飲酒時刻等は明らかでなく,飲酒が原動機付自転車の運転に具体的に影響を与えたと認めるに足りる証拠はない。また,被告Bは,原告の進行速度について,本件事故と同態様の交通事故に関する東京地方裁判所八王子支部平成10年1月21日判決の事案において,時速50キロメートルの速度で自動二輪車を運転していて,マンホールに接触し,転倒した被害者及び自動二輪車の各停止位置との比較から,一般に,車両のスピードが速ければ速いほど,衝突・転倒した後も前方に進もうとする力が働き,道路上を滑走する距離は長く,衝突地点から遠方まで進んで停止するから,原告は,上記事案の被害者(時速50キロメートル)よりも高速度で走行していたことになる旨主張するが,一般に,障害物に乗り上げて運転者が路上に投げ出された二輪車ないしは当該運転者の停止する位置は,二輪車の進行速度だけでなく,道路面の状況,二輪車の転倒状況(障害物への乗り上げの位置・角度),二輪車の路面との接触及び滑走の態様,運転者の転がる態様などの様々な条件によって左右されるものと考えられるから,上記のような比較のみをもってしては,前記認定を覆すに足りない。 度で走行していたことになる旨主張するが,一般に,障害物に乗り上げて運転者が路上に投げ出された二輪車ないしは当該運転者の停止する位置は,二輪車の進行速度だけでなく,道路面の状況,二輪車の転倒状況(障害物への乗り上げの位置・角度),二輪車の路面との接触及び滑走の態様,運転者の転がる態様などの様々な条件によって左右されるものと考えられるから,上記のような比較のみをもってしては,前記認定を覆すに足りない。2 上記1認定の事実に基づき,本件道路が道路としての安全性を備えていたか否かについて検討する。(一) 上記認定事実によれば,本件工事の結果,本件消火栓は切削された周囲の路面から約5センチメートルの高さで突出していたにもかかわらず,その周囲には 全性を備えていたか否かについて検討する。(一) 上記認定事実によれば,本件工事の結果,本件消火栓は切削された周囲の路面から約5センチメートルの高さで突出していたにもかかわらず,その周囲には建設事務次官通達「建設工事公衆災害防止対策要綱(土木工事編)」の定める基準(勾配5パーセント以内)を満たさない不十分なすりつけ舗装しかなされていなかった上,夜間,本件消火栓の存在及び危険性について注意を喚起するための保安灯や照明という保安設備は設置されず,北行車両に対しては,道路工事中であることや段差が生じていることを知らせる標示も,本件事故現場付近のみならず,本件工事区間内のどこにも設置されていなかった,というのであって,事故防止のための措置が講じられていなかったというに等しく,このような状況の下では,原動機付自転車等の二輪車が,本件消火栓及びその周囲が切削されたアスファルト路面から突出していることやその程度に気付かないまま進行し,ハンドルを取られるなどして転倒するような交通上の危険性が存在していたものというべきである(なお,上記建設事務次官通達は,法令ではないが,その定めるすりつけの基準は,道路の安全性を判断する資料となるものであり,また,直接的には,掘削した路面と周囲の路面との段差が生じた場合[本件についていえば本件段差]について定めるものではあるが,切削した路面と突出した本件消火栓との段差についても,同様に判断資料となるものということができる。被告らは,本件消火栓の周囲の勾配は消火栓南側の南北方向で6.25パーセントであり,上記通達の基準値である5パーセントはわずかに超えるものの,ほぼ同程度の勾配となっていたと主張するが,6.25パーセントの勾配をもって5パーセントの勾配とほぼ同程度であるとまでいうことはできない。 ついて定めるものではあるが,切削した路面と突出した本件消火栓との段差についても,同様に判断資料となるものということができる。被告らは,本件消火栓の周囲の勾配は消火栓南側の南北方向で6.25パーセントであり,上記通達の基準値である5パーセントはわずかに超えるものの,ほぼ同程度の勾配となっていたと主張するが,6.25パーセントの勾配をもって5パーセントの勾配とほぼ同程度であるとまでいうことはできない。)。したが る5パーセントはわずかに超えるものの,ほぼ同程度の勾配となっていたと主張するが,6.25パーセントの勾配をもって5パーセントの勾配とほぼ同程度であるとまでいうことはできない。)。したがって,本件道路の本件事故現場付近は,道路として通常有すべき安全性を欠いていたというべきである。(二) 被告らは,前記第三の一2(一)のとおり,本件道路は道路として通常有すべき安全性を十分備えていたとし,本件事故現場付近には,工事中であることを示す保安灯や照明は設置されていなかったものの,街灯やスーパーマーケットの照明があり,これらの照明により本件事故現場は十分な照度が得られていたのであり,前照灯を点けて通常の注意を払って走行していれば,本件消火栓を発見し,これを回避することは容易であった旨主張する(北行車両に対しては,道路工事中であることや段差が生じていることを知らせる標示は,本件事故現場付近のみならず,本件工事区間内のどこにも設置されていなかったことは前記1(四)(2)説示のとおりである。)。しかしながら,本件事故の目撃者(本件事故現場の交差点南東の歩道上から,原告の原動機付自転車が本件消火栓に乗り上げて転倒し,滑走を始めた直後に目撃したG及び原告の後方を約20メートル離れて軽四輪自動車で同方向に進行していた同僚のH)は,いずれも,警察署員に対し,本件事故現場付近は,路面の段差等の程度を認識できるだけの明るさはなかった旨供述しており(甲13,14),実際,前記1(七)のとおり,本件事故の約2時間半前の午後6時15分ころに原動機付自転車を運転して本件道路を北から南に向かって進行し,本件事故現場の交差点に差し掛かったCも,本件制水栓がアスファルト路面から突出していることに気付かずに本件事故と同様の事故に遭っていることに照らし,本 を運転して本件道路を北から南に向かって進行し,本件事故現場の交差点に差し掛かったCも,本件制水栓がアスファルト路面から突出していることに気付かずに本件事故と同様の事故に遭っていることに照らし,本件事故現場付近は路面の段差等の程度を認識できるだけの十分な照度が得られていたと認めることはできないのであって,上記(一)の認定判断は揺るがない。 に気付かずに本件事故と同様の事故に遭っていることに照らし,本 を運転して本件道路を北から南に向かって進行し,本件事故現場の交差点に差し掛かったCも,本件制水栓がアスファルト路面から突出していることに気付かずに本件事故と同様の事故に遭っていることに照らし,本件事故現場付近は路面の段差等の程度を認識できるだけの十分な照度が得られていたと認めることはできないのであって,上記(一)の認定判断は揺るがない。なお,交差点の北西角にあったマンション1階のスーパー「グリーンガーデンa店」の照明については,警察署員作成の実況見分調書においても,本件事故の目撃者らの警察署員に対する供述調書においても言及されていないから,その照明が本件事故現場の交差点を照らしていて明かるかったとは到底認められず,そもそも,道路の安全性を判断するに当たって,常に営業しているとは限らない店舗の照明を考慮するのは相当でないというべきである。そして,前記1(八)(3)のとおり,本件事故は,原告が原動機付自転車を運転して本件工事区間内を時速約40キロメートルの速度で北上し,本件事故現場の交差点に差し掛かったが,進路上に存した本件消火栓及びその周囲が工事のため切削されたアスファルト路面から突出した状態であることに気付かず,そのまま進行したところ,突出した本件消火栓及びその周囲に乗り上げて原動機付自転車の前輪が大きく跳ね上がったため,原告は,ハンドルを取られて路上に投げ出され,路面にたたきつけられた,というものであるから,後記三説示のとおり原告にも本件事故の発生につき過失が認められるとしても,本件道路の本件事故現場付近が前記(一)のとおり道路として通常有すべき安全性を欠いていたことと本件事故の発生との間には相当因果関係が認められるというべきであり,被告ら主張のように本件事故をもって原告の自損事故ということはできない。二争点2(本件事 て通常有すべき安全性を欠いていたことと本件事故の発生との間には相当因果関係が認められるというべきであり,被告ら主張のように本件事故をもって原告の自損事故ということはできない。二争点2(本件事故についての各被告の責任の有無)について 1 被告B前記一1認定の事実によれば,本件工事の施工業者である被告Bは,本件工事の結果,本件事故当日の作業終了の時点において,本件消火栓がアスファルト舗装の切削された周囲の路面から約5センチメートルの高さで突出していたことを認識していたのであるから,同被告としては,本件道路の本件事故現場付近を路面が切削された状態で一般の通行の用に供するに当たっては,原動機付自転車等の二輪車が本件消火栓にハンドルを取られて転倒することなどがないように,本件消火栓の周囲に前記建設事務次官通達の定める基準を満たす十分なすりつけ舗装を行って段差を緩和するとともに,北行車両に対しても道路工事中であることや段差が生じていることを知らせる標示を設置し,夜間には,周囲に保安灯や照明という保安設備を設置して注意を喚起するなどの交通安全の措置を講ずべき義務があったというべきであって,本件工事に伴う尼崎北警察署長による道路使用の許可にも段差のすりつけ舗装及び保安設備につき同様の条件が付されていたところである。 基準を満たす十分なすりつけ舗装を行って段差を緩和するとともに,北行車両に対しても道路工事中であることや段差が生じていることを知らせる標示を設置し,夜間には,周囲に保安灯や照明という保安設備を設置して注意を喚起するなどの交通安全の措置を講ずべき義務があったというべきであって,本件工事に伴う尼崎北警察署長による道路使用の許可にも段差のすりつけ舗装及び保安設備につき同様の条件が付されていたところである。それにもかかわらず,被告Bは,上記義務に違反して,本件道路の本件事故現場付近を,前記一2(一)のように,段差のすりつけ舗装不十分,「道路工事中」等の看板及び夜間の保安設備の不備という,道路として通常有すべき安全性を欠いた危険な状態のまま一般の通行の用に供したものであるから,同被告には道路工事上及び管理上の過失がある。したがって,被告Bは,民法709条に基づき,原告が本件事故により被った損害を賠償する責任を負うといわな ま一般の通行の用に供したものであるから,同被告には道路工事上及び管理上の過失がある。したがって,被告Bは,民法709条に基づき,原告が本件事故により被った損害を賠償する責任を負うといわなければならない。2 被告近畿道路資材(一) 証拠(甲18,19,24,25,乙14)によれば,被告Bは,被告近畿道路資材が行う道路改修等の工事を請け負い,自ら必要な人員を揃えるものの,被告近畿道路資材の指示の下,被告Bが工事現場の監督として,工事の施工に当たることを業務の内容としていたこと(甲24),本件工事において,被告近畿道路資材が実測し,日程を組み工事計画を立て,この計画に従って,被告Bが現場監督として工事を進めることになっていたこと(甲19),工事の進捗及び事故防止については被告Bに一応任されていたが,被告近畿道路資材から,営業部長のFが2,3日に1回現場に赴き,工事の進み具合の確認や必要な指示等を与えていたこと(甲18,19,24),本件工事についての被告近畿道路資材の工事施工計画書において,被告Bは,被告近畿道路資材の現場代理人(現場組織表)とされ,緊急時の体制においては,対策部長兼庶務係長とされていること(乙14)が認められる。以上の事実関係によれば,被告近畿道路資材と被告Bとの関係が,内部的には請負契約関係であったとしても,民法715条の使用者責任の関係では,被告近畿道路資材をもって同条にいう使用者,被告Bをもって同じく被用者と認めるのが相当である。 資材の工事施工計画書において,被告Bは,被告近畿道路資材の現場代理人(現場組織表)とされ,緊急時の体制においては,対策部長兼庶務係長とされていること(乙14)が認められる。以上の事実関係によれば,被告近畿道路資材と被告Bとの関係が,内部的には請負契約関係であったとしても,民法715条の使用者責任の関係では,被告近畿道路資材をもって同条にいう使用者,被告Bをもって同じく被用者と認めるのが相当である。(二) そして,被告近畿道路資材が,被告Bの選任及び監督につき,相当の注意をし,あるいは相当の注意をしても本件事故が発生したとの事実を認めるに足りる証拠はない。(三) したがって,被告近畿道路資材は,民法715条に基づき,被告Bの使用者として,同被告 ,相当の注意をし,あるいは相当の注意をしても本件事故が発生したとの事実を認めるに足りる証拠はない。(三) したがって,被告近畿道路資材は,民法715条に基づき,被告Bの使用者として,同被告が本件事故により原告に与えた損害を賠償する責任を負うというべきである。3 被告尼崎市(一) 前記一2(一)のとおり,本件事故当時,本件道路の本件事故現場付近は,道路として通常有すべき安全性を欠いていたものであるから,本件道路の管理に瑕疵があったものというべきである。そして,本件事故の発生が上記瑕疵に起因することは,前記一2(二)末尾に説示したところから明らかである。したがって,被告尼崎市は,国家賠償法2条1項に基づき,本件事故により原告に生じた損害を賠償する責任を負うというべきである(なお,各被告の上記損害賠償債務は,不真正連帯債務の関係にあると解される。)。(二) この点について,被告尼崎市は,本件事故は原告の前方不注視,交通法規不遵守に起因する自損事故というべきであって,被告尼崎市においては,本件事故現場につき社会通念上合理的に期待されるべき管理体制の下にあって結果発生につき予見可能性があったとはいい難いと主張する。しかしながら,本件事故が原告の自損事故といえないことは前記一2(二)説示のとおりであるし,道路工事によって路面に本件消火栓のようなものが突出していれば,これに原動機付自転車等の二輪車がハンドルを取られて転倒する事故が発生しうることは容易に予見できるものであるから,被告尼崎市に本件事故の発生につき予見可能性がなかったとは到底いうことができない。 結果発生につき予見可能性があったとはいい難いと主張する。しかしながら,本件事故が原告の自損事故といえないことは前記一2(二)説示のとおりであるし,道路工事によって路面に本件消火栓のようなものが突出していれば,これに原動機付自転車等の二輪車がハンドルを取られて転倒する事故が発生しうることは容易に予見できるものであるから,被告尼崎市に本件事故の発生につき予見可能性がなかったとは到底いうことができない。また,被告尼崎市は,被告近畿道路資材との間の請負契約(甲16)において,請負人である同被告が工事の施工に伴い,第三者に損害を与えることのない 可能性がなかったとは到底いうことができない。また,被告尼崎市は,被告近畿道路資材との間の請負契約(甲16)において,請負人である同被告が工事の施工に伴い,第三者に損害を与えることのないよう細心の注意を尽くすべき旨を定めたほか,被告尼崎市の担当者は,本件事故当日においても,被告近畿道路資材等に対し,本件消火栓付近のすりつけの手直しや工事看板の設置についての具体的指示を行っており,道路管理者として要求される危険回避措置はすべて完了したのであるから,被告尼崎市にとって,本件事故の回避可能性はなかったと主張する。しかし,たとえ,被告尼崎市主張のように,被告尼崎市と被告近畿道路資材との間の請負契約において,第三者に損害を与えることのないよう細心の注意を尽くすべき旨を定めたとしても,それだけでは足りず,前記一1(五)認定の事実によれば,被告尼崎市の道路改良課職員で本件工事の監督員であるEは,本件事故当日である平成7年12月21日の午後3時か4時ころに,本件事故現場の交差点付近の見回りをした際,本件制水弁周囲のすりつけ舗装が不十分で危険であると感じたことから,被告Bに対し,本件制水弁のすりつけ舗装をやり直すこと,交差点内の他の部分も点検すること,本件工事区間の始点(南端)に置かれていた「道路工事中」の看板を本件工事区間の終点(北端)に移しておくこと,本件工事区間の終点に「段差あり」の看板を追加して置くことを指示した,というのであるが,本件消火栓の付近に保安灯や照明という保安設備を設置すべきことまでは指示しておらず,その指示は不十分なものであったというべきであるから,被告尼崎市に本件事故の回避可能性がなかったということはできない。三争点3(原告の過失の有無[過失相殺の当否])について 工事中」の看板を本件工事区間の終点(北端)に移しておくこと,本件工事区間の終点に「段差あり」の看板を追加して置くことを指示した,というのであるが,本件消火栓の付近に保安灯や照明という保安設備を設置すべきことまでは指示しておらず,その指示は不十分なものであったというべきであるから,被告尼崎市に本件事故の回避可能性がなかったということはできない。三争点3(原告の過失の有無[過失相殺の当否])について 1 前記一1(八)(3)認定の事実によれば,原告 いうべきであるから,被告尼崎市に本件事故の回避可能性がなかったということはできない。三争点3(原告の過失の有無[過失相殺の当否])について 1 前記一1(八)(3)認定の事実によれば,原告は,原動機付自転車を運転して,尼崎市a町b丁目f番地のg先の交差点を右折して,直ちに本件道路の本件工事区間の始点(南端)から本件工事区間に入り,本件事故現場までアスファルト路面が切削された本件道路を約100メートルにわたって走行してきたものであるから,路面が切削されて粗雑な状況であることを認識できたはずであり,したがって,原告としては,路面に突出物があるかもしれないことを予測して,減速した上,路面の突出物にハンドルを取られたりしないよう,通常よりいっそう注意して走行すべきであったにもかかわらず,原告は,酒気を帯びた上(ただし,前示のとおり,その飲酒量,飲酒時刻等は明らかでなく,飲酒が原動機付自転車の運転に具体的に影響を与えたと認めるに足りる証拠はないが,些かなりとも影響がなかったとまではいい切れない。),漫然と原動機付自転車の最高速度である時速30キロメートル(道路交通法22条1項,道路交通法施行令11条)を約10キロメートル超過する時速約40キロメートルで走行した過失があるといわなければならない。そして,安全性を欠いた本件道路の状況,被告B及び原告の各過失の内容及び程度等,本件に顕われた一切の事情を斟酌すると,本件事故の発生についての原告の過失割合を3割と認め、過失相殺の法理により,被告らが原告に支払うべき損害賠償額から3割を減額するのが相当というべきである。2(一) なお,被告らは,本来,原動機付自転車は,道路の左側に寄って通行しなければならないところ(道路交通法18条1項),本件消火栓は,本件道路の北行車線の中央線寄りに位 当というべきである。 の内容及び程度等,本件に顕われた一切の事情を斟酌すると,本件事故の発生についての原告の過失割合を3割と認め、過失相殺の法理により,被告らが原告に支払うべき損害賠償額から3割を減額するのが相当というべきである。2(一) なお,被告らは,本来,原動機付自転車は,道路の左側に寄って通行しなければならないところ(道路交通法18条1項),本件消火栓は,本件道路の北行車線の中央線寄りに位 当というべきである。2(一) なお,被告らは,本来,原動機付自転車は,道路の左側に寄って通行しなければならないところ(道路交通法18条1項),本件消火栓は,本件道路の北行車線の中央線寄りに位置し,本件消火栓西端から道路左端まで1.575メートルの距離があったから,原告が上記交通法規を遵守して道路左側を通行していれば,本件消火栓に接触して本件事故を起こすことはなかったはずであると主張する。しかし,道路交通法18条1項は,「車両……は,車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き,自動車及び原動機付自転車にあっては道路の左側に寄って,……当該道路を通行しなければならない。」と規定する一方,「ただし,……道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは,この限りでない。」と規定しているところ,前記一1(三)(2)認定の事実によれば,北行車線の切削されていない街渠部分(幅0.65メートル)の東端と本件消火栓の西端との距離は,1.425メートル(街渠部分の東端と本件消火栓の中心との距離1.65メートルー本件消火栓の横[東西]0.45メートルの2分の1である0.225メートル)であったが,同街渠部分と切削された路面との間に段差が生じていたのであるから,北行車線の左側に寄りすぎるとかえって危険であり,原告が北行車線の右側寄り(中央線寄り)を走行していたのは,本件道路の状況に照らし,不適切な通行方法であったということはできないのであって,この点を捉えて過失相殺を基礎づける原告の過失とすることはできない。(二) また,被告らは,本件事故直後,ヘルメットが原告の頭から外れていたというのであるから,その装着の仕方が極めて不十分であったと主張するところ,前記Gは,尼崎北警察署員に対し,本件事故直後,ヘルメットが転んでいた原告から少し離れた地 ヘルメットが原告の頭から外れていたというのであるから,その装着の仕方が極めて不十分であったと主張するところ,前記Gは,尼崎北警察署員に対し,本件事故直後,ヘルメットが転んでいた原告から少し離れた地点に落ちていたと供述しているが(甲13),当該ヘルメットの形状,破損状況,ヘルメットが外れた原因等を認めるに足りる証拠はないから,上記Gの供述のみをもって,被告ら主張のようにヘルメットの装着の仕方が極めて不十分であったとの事実を認めることはできないし,他に同事実を認めるに足りる証拠はない。 ったと主張するところ,前記Gは,尼崎北警察署員に対し,本件事故直後,ヘルメットが転んでいた原告から少し離れた地点に落ちていたと供述しているが(甲13),当該ヘルメットの形状,破損状況,ヘルメットが外れた原因等を認めるに足りる証拠はないから,上記Gの供述のみをもって,被告ら主張のようにヘルメットの装着の仕方が極めて不十分であったとの事実を認めることはできないし,他に同事実を認めるに足りる証拠はない。四争点4(原告の負った傷害及びその治療の状況,後遺障害の内容・程度)について 1 証拠(甲27ないし30,60の1~13・52~67・96~105・63の1~4,64,65,乙21,27,29の1・2,30の1・2,31,32の1・2,33ないし35)によれば,以下の(一)ないし(四)の事実が認められる。(一) 原告の治療経過(1) 兵庫医大病院救急部(平成7年12月21日から平成8年1月17日まで入院[入院日数28日])原告は,本件事故直後(平成7年12月21日),いったん,ヒトラ外科病院に救急搬送されたが,頭部CTにより頭蓋内出血が認められたことから,同日,兵庫医大病院救急部に転送され,頭部CT及び胸部レントゲン撮影等の検査の結果,脳挫傷,急性硬膜外血腫,急性硬膜下血腫,気脳症,右側頭骨骨折,頭蓋底骨折,右鎖骨骨折等の診断を受けて,入院となった。カルテの「来院時のリスク」欄には,「生命に危険のあるほど重篤な系列疾患を有す」の項目にチェックが施されている。本件事故当日の頭部CT検査では,原告には左側頭部硬膜外血腫,右硬膜下血腫,気脳,脳浮腫が認められ,同病院救急部において,脳挫傷に対する治療を中心に保存的治療 にチェックが施されている。本件事故当日の頭部CT検査では,原告には左側頭部硬膜外血腫,右硬膜下血腫,気脳,脳浮腫が認められ,同病院救急部において,脳挫傷に対する治療を中心に保存的治療が行われたところ,原告は,意識状態がほぼ正常域に改善したので,平成8年1月17日,原告本人の強い希望により退院した。(2) 田中病院(平成8年2月2日から平成9年7月8日まで通院[実通院日数177日],その間,平成8年2月3日から同月28日まで26日,及び,同年3月21日から同年7月27日まで129日入院)原告は,上記(1)のとおりいったん退院したものの,右鎖骨部の疼痛が強かったことから再度入院を勧められたが,兵庫医大病院に空床がなかったため,田中病院を紹介され,平成8年2月2日同病院を外来受診し,同月3日同病院に入院した。 院(平成8年2月2日から平成9年7月8日まで通院[実通院日数177日],その間,平成8年2月3日から同月28日まで26日,及び,同年3月21日から同年7月27日まで129日入院)原告は,上記(1)のとおりいったん退院したものの,右鎖骨部の疼痛が強かったことから再度入院を勧められたが,兵庫医大病院に空床がなかったため,田中病院を紹介され,平成8年2月2日同病院を外来受診し,同月3日同病院に入院した。原告は,同病院において,クラビクルバンド固定など,主として右鎖骨骨折に対して安静加療を受け,同月28日,兵庫医大病院耳鼻咽喉科に後記(3)の手術施行のため転院し,平成8年3月21日田中病院に再入院した。そして,再入院後も同様の安静加療を受け,同年4月22日クラビクルバンドが除去され,同年6月21日のX線検査で仮骨形成が認められ,同年7月25日からリハビリテーションを開始し,同月27日退院した。以後,リハビリテーションのため通院加療を受け,平成9年7月8日,症状が固定したとして治療が打ち切られた。(3) 兵庫医大病院耳鼻咽喉科(平成8年1月5日から平成11年7月27日まで通院[実通院日数145日],その間,平成8年2月28日から同年3月21日まで23日入院)原告は,兵庫医大病院救急部に入院中,右耳の聴力低下を訴え,平成8年1月5日,同病院耳鼻咽喉科を受診し,以後,右外傷性顔 日],その間,平成8年2月28日から同年3月21日まで23日入院)原告は,兵庫医大病院救急部に入院中,右耳の聴力低下を訴え,平成8年1月5日,同病院耳鼻咽喉科を受診し,以後,右外傷性顔面神経麻痺,右感音性難聴,右側頭骨骨折,眩暈の診断名で同科を外来受診することとなった。そして,原告は,同年2月28日から同年3月21日までの間は入院し,同月6日,右顔面神経麻痺に対して右顔面神経減荷術を受けた。上記手術後,通院して治療を受け,右顔面神経麻痺は改善したが,難聴による耳鳴り,眩暈(ふらつき)は存続し,平成11年7月27日に症状固定の診断がなされた。(4) 兵庫医大病院脳神経外科(平成8年1月11日から平成11年7月31日まで通院[実通院日数123日])原告は,兵庫医大病院救急部に入院中の平成8年1月11日,頭部外傷の後遺症の診断のため,同病院脳神経外科を外来受診し,以後2年間にわたり,脳波検査を年2回程度行って経過観察することになっていたが,同年6月4日,歩行時のふらつき,記憶障害,運動性の失語が著明化してきたことから,再び同科を受診した。 (4) 兵庫医大病院脳神経外科(平成8年1月11日から平成11年7月31日まで通院[実通院日数123日])原告は,兵庫医大病院救急部に入院中の平成8年1月11日,頭部外傷の後遺症の診断のため,同病院脳神経外科を外来受診し,以後2年間にわたり,脳波検査を年2回程度行って経過観察することになっていたが,同年6月4日,歩行時のふらつき,記憶障害,運動性の失語が著明化してきたことから,再び同科を受診した。同月20日に実施されたベントン視覚記銘力検査では視覚的記銘力障害があるとされ,三宅式対語記銘力検査においても,成績の数値上は聴覚的記銘力障害があるとは認められないものの,反応時間が遅い,回答に自信がもてないといった面があり,多少記銘力に不安があると指摘され,また,ウェクスラー成人知能評価尺度(WAIS-R)による知能検査では,言語性IQ92,動作性IQ94,全検査IQ92であって,全体的な知的レベルとしてはそれほど問題がないようであるが,符号問題での成績が特異的に悪く,視覚運動系の機敏性や短期間の記憶,暗記力に難があるといえるかもしれないと指摘された。原告は,記銘力障害,言語障 的な知的レベルとしてはそれほど問題がないようであるが,符号問題での成績が特異的に悪く,視覚運動系の機敏性や短期間の記憶,暗記力に難があるといえるかもしれないと指摘された。原告は,記銘力障害,言語障害,歩行障害の診断名で同科を外来受診し,平成11年7月31日症状固定の診断がなされた。(5) 兵庫医大病院精神科・神経科(平成9年6月20日から平成12年12月15日まで通院[実通院日数65日],その間,平成10年2月27日から同年7月30日までの154日,平成11年6月14日から同年9月21日までの100日入院)原告は,平成9年1月ころから,記憶障害に加えて,焦燥感が次第に増強し,易怒的衝動的な性格変化が目立ち,激しい怒りとともに暴力を振るい,後に健忘を残すといった精神運動発作を起こすようになり,兵庫医大病院脳神経外科の紹介で,同年6月20日,同病院精神科・神経科を外来受診し,器質性人格変化,症候性てんかんの診断名で投薬治療が開始された。原告は,記銘力障害が目立ったが,自覚,内省力は保たれており,投薬を開始されてからは,過敏で突然怒り出し大声を出すことはあっても暴力を振るうまでには至らないようになった。しかし,本件事故の賠償問題で相手方との間で行き違いが生じると,すぐに情動のコントロールができなくなり,また,記憶障害,頭痛,眩暈などの症状が悪化すると,焦燥感が増し,不眠がちとなり,平成10年に入ると,飲酒量が増え,生活が徐々に不規則になっていき,外来治療では対処不可能になったので,同年2月27日から同年7月30日まで閉鎖病棟に任意入院した(なお,入院後の検査により,健忘を残す易刺激性,衝動行為はてんかんとは別のものであろうと結論づけられている。 が生じると,すぐに情動のコントロールができなくなり,また,記憶障害,頭痛,眩暈などの症状が悪化すると,焦燥感が増し,不眠がちとなり,平成10年に入ると,飲酒量が増え,生活が徐々に不規則になっていき,外来治療では対処不可能になったので,同年2月27日から同年7月30日まで閉鎖病棟に任意入院した(なお,入院後の検査により,健忘を残す易刺激性,衝動行為はてんかんとは別のものであろうと結論づけられている。乙32の1の23頁)。その結果,全般的に症状が軽快したので,外泊を重ねて同年7月 入院した(なお,入院後の検査により,健忘を残す易刺激性,衝動行為はてんかんとは別のものであろうと結論づけられている。乙32の1の23頁)。その結果,全般的に症状が軽快したので,外泊を重ねて同年7月30日に退院し,外来通院に切り替えられたものであるが,平成11年1月ころから,頓服薬で焦燥感を抑えることが困難になったと述べることが多くなり,同年6月には,服薬が不規則となり,生活リズムの乱れ,衝動行為も再発したことから,同月14日から同年9月21日まで入院した。その後も,同科に通院して治療を続け,平成12年12月15日症状固定と診断された。(二) 現在の症状(後遺障害の内容)原告には現在以下のような症状が認められる。(1) 右肩の運動障害右上肢の挙上時疼痛,痺れ感,項部の緊張感,右鎖骨部・両側胸部の疼痛,右肩関節の可動域の制限がある。(2) 右顔面神経麻痺右顔面神経麻痺は,40点法で34点(85パーセント)でほぼ固定しているが,病的共同運動が認められる。(3) 難聴,耳鳴り,平衡機能障害,歩行障害右耳に感音性難聴(平成11年7月6日の聴力検査では4分法で78.8dB,6分法で79.2dB)が認められ,これによる耳鳴りが認められる。また,眩暈などの平衡機能障害が残存しており,歩行については,左右に動揺するなど不安定性が著しい。( この点について,被告近畿道路資材は,平成11年9月4日の原告の行動調査の結果(丁4[ビデオテープ],丁5[同日実施の行動調査報告書],丁6[ビデオテープの8場面をプリントアウトしたもの])によれば,原告は,通常人と同様に佇立,歩行し,書類に署名するなどしており,歩行障害等の動作の障害は認められないと主張するが,上 動調査報告書],丁6[ビデオテープの8場面をプリントアウトしたもの])によれば,原告は,通常人と同様に佇立,歩行し,書類に署名するなどしており,歩行障害等の動作の障害は認められないと主張するが,上記ビデオテープに撮影されている原告の行動状況は極く短時間のものにすぎないのであって,長期間にわたる観察に基づく医師の診断結果を覆すには足りないというべきである。 の動作の障害は認められないと主張するが,上 動調査報告書],丁6[ビデオテープの8場面をプリントアウトしたもの])によれば,原告は,通常人と同様に佇立,歩行し,書類に署名するなどしており,歩行障害等の動作の障害は認められないと主張するが,上記ビデオテープに撮影されている原告の行動状況は極く短時間のものにすぎないのであって,長期間にわたる観察に基づく医師の診断結果を覆すには足りないというべきである。)そして,歩行障害については,受傷直後から側頭骨骨折による難聴,顔面神経麻痺がみられており,顔面神経と解剖学的に近接する前庭神経(平衡機能)の障害が原因であるとされる。(4) 記銘力障害,全般的知能低下平成10年4月7日及び平成11年7月29日に行われた記銘力検査では,三宅式対語記銘力検査,ベントン視覚記銘力検査のいずれにおいても,記銘力障害が認められ,本件事故以降の生活史上の体験も極く断片的にしか想起されず,新しい知識,情報の獲得も強く制限されている。( この点について,被告近畿道路資材は,前掲平成11年9月4日の原告の行動状況の調査結果[丁4ないし6]によれば,原告は,自己の氏名を何ら問題なく記載し,さらに自動車を運転して帰宅できているのであるから,記銘力障害は認め難いと主張するが,記銘力障害が認められるとする前記の各種検査結果を覆すには足りない。)また,記銘力障害により,認識,思考判断など,知能全般の低下が見られ,平成10年4月7日に行われたウェクスラー成人知能評価尺度(WAIS-R)による知能検査では,言語性IQ92,動作性IQ76,総合IQ84であったが,平成11年7月29日に行われた同検査では,言語性IQ76,動作性IQ66,総合IQ69であり,境界線(70点から79点)を下回っており,また,長谷川式簡易知能評価スケ 76,総合IQ84であったが,平成11年7月29日に行われた同検査では,言語性IQ76,動作性IQ66,総合IQ69であり,境界線(70点から79点)を下回っており,また,長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)では,平成9年10月31日及び平成11年6月22日がいずれも18点,同年8月26日が19点でいずれも痴呆(20点以下が痴呆とされている。)と判定されている。そして,平成10年3月5日及び平成11年6月25日実施の頭部MRIにおいて,左側頭葉に萎縮性変化が認められ,記銘力障害と関係しているとされている。 であり,境界線(70点から79点)を下回っており,また,長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)では,平成9年10月31日及び平成11年6月22日がいずれも18点,同年8月26日が19点でいずれも痴呆(20点以下が痴呆とされている。)と判定されている。そして,平成10年3月5日及び平成11年6月25日実施の頭部MRIにおいて,左側頭葉に萎縮性変化が認められ,記銘力障害と関係しているとされている。(5) 器質性人格障害衝動性亢進,情動の不安定性,不安耐性の低下がみられ,情動が過剰に刺激されやすく,些細な刺激に興奮しやすい。そして,頭部打撲による左側優位ではあるが,両側性の側頭葉極から底面の脳挫傷による器質性精神症候群と考えられるとされている。(三) 原告の労働能力についての医師の意見(1) 田中病院I院長(甲27)右上肢を挙上して行う労働に対しては少なからず影響がある。(2) 兵庫医大病院耳鼻咽喉科J医師(甲29)顔面神経麻痺は残存するものの,労働には差し支えない。耳鳴り,眩暈(ふらつき)に関しては未だ不安定で,肉体作業は困難である。平衡障害が残存しているため,トラック運転業務は危険と考えられ,デスクワークが望ましい。(3) 兵庫医大病院脳神経外科K医師(甲28)記銘力障害,歩行障害等により,通常の労働能力は欠如する。相当時間の精神作業への従事,相当時間の歩行,相当時間の佇立による静止状態の持続,相当重量の荷物の運搬などを要する肉体作業への職業としての従事については,不能である。(4) 兵庫医大病院 。相当時間の精神作業への従事,相当時間の歩行,相当時間の佇立による静止状態の持続,相当重量の荷物の運搬などを要する肉体作業への職業としての従事については,不能である。(4) 兵庫医大病院精神科・神経科L医師(甲30)記銘力の障害はあらゆる職種の業務遂行に重大な障害となり,通常の業務に就くことは不可能と考えざるを得ない。記銘力の障害及び心理的負荷への耐性の低下だけでも業務遂行に重大な障害となる上,歩行の不安定性が著しく,動作全般に強い障害があり,肉体作業への従事も不可能と考えられる。さらに,持続性の頭痛,眩暈感など自覚症状も強く,日常生活に影響している。(四) 労働者災害補償保険における後遺障害の等級認定原告は,平成13年1月17日,尼崎労働基準監督署長に対し,本件事故に関し,通勤途上の労働災害を理由として障害給付の請求を行ったところ,同年5月10日,支給決定がなされ,同決定において,労働者災害補償保険法施行規則別表第一の第3級第3号(神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの)と認定された(甲64,65)。 る。(四) 労働者災害補償保険における後遺障害の等級認定原告は,平成13年1月17日,尼崎労働基準監督署長に対し,本件事故に関し,通勤途上の労働災害を理由として障害給付の請求を行ったところ,同年5月10日,支給決定がなされ,同決定において,労働者災害補償保険法施行規則別表第一の第3級第3号(神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの)と認定された(甲64,65)。2 そこで,上記1認定の事実に基づき,原告の後遺障害の内容・程度及びその後遺障害と本件事故との因果関係について,検討する。(一) 前記1認定の事実によれば,原告には,右肩関節の可動域の制限が認められるほか,脳損傷を原因として,歩行障害などの平衡機能障害,記銘力障害が残存し,器質的人格変化として心理的な負荷への耐性の低下が認められ,とりわけ,記銘力障害及び心理的負荷に対する耐性の低下が就労の重大な障害となっているのであって,これらを総合すれば,原告には,労働者災害補償保険法施行規則別表第一の第3級第3号(神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労 的負荷に対する耐性の低下が就労の重大な障害となっているのであって,これらを総合すれば,原告には,労働者災害補償保険法施行規則別表第一の第3級第3号(神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの)に相当する後遺障害が残存しており,その労働能力を完全に(100パーセント)喪失したものと認められる。この点について,被告らは,原告は,本件事故後に自動車の運転免許の更新を受け,日常的に自動車を運転している(平成8年4月16日に通行禁止違反,同年10月9日及び平成9年7月30日に各速度違反で検挙された。)のであるから,中枢神経に障害が残存しているとは認められず,労働能力を完全に(100パーセント)喪失するような後遺障害が残存しているとは考えられないだけでなく,労働能力を大幅に喪失したとも考えられないと主張する。確かに,原告が,本件事故の後,2回にわたって自動車の運転免許の更新を受け,平成8年4月16日に通行禁止違反,同年10月9日及び平成9年7月30日に各速度違反で検挙されたことは,当事者間に争いがなく,平成11年9月4日には1人で自動車を運転したことが認められる(丁4ないし6)。しかしながら,証拠(甲45,証人M)によれば,上記3回の交通違反は,いずれも,原告が妻Mなどの運転に苛立って強引に運転を交替した直後に犯したものであるし,平成11年9月4日は,Mが長女(当時5歳)を自宅から自動車で幼稚園に送る前に林皮膚科医院に連れて行った際に原告が同乗していたものであるが,受診を終えてMが同医院駐車場に戻ると,自動車のバッテリーが上がってしまっていたため,Mが,JAFに連絡の上,同医院駐車場に自動車と原告を残したまま,バスで長女を幼稚園に送って行ったが,原告が,戻って来るので駐車場で待っているようにと た直後に犯したものであるし,平成11年9月4日は,Mが長女(当時5歳)を自宅から自動車で幼稚園に送る前に林皮膚科医院に連れて行った際に原告が同乗していたものであるが,受診を終えてMが同医院駐車場に戻ると,自動車のバッテリーが上がってしまっていたため,Mが,JAFに連絡の上,同医院駐車場に自動車と原告を残したまま,バスで長女を幼稚園に送って行ったが,原告が,戻って来るので駐車場で待っているようにと ,自動車のバッテリーが上がってしまっていたため,Mが,JAFに連絡の上,同医院駐車場に自動車と原告を残したまま,バスで長女を幼稚園に送って行ったが,原告が,戻って来るので駐車場で待っているようにとのMの言に従わないで,修理後に自動車を運転して帰宅してしまったものであることが認められるから(なお,自宅から同医院への往路について,丁4によれば,原告は,長女の受診の際,林皮膚科医院の中に入らず,駐車場に駐車した自動車内に残っていたことが認められるところ,送って来た親が医院の中に入らず,5歳の長女1人だけで受診させるとは考え難いから,Mが長女を送るために自動車を運転してきたものと認められる。),上記事実のみによって,原告が日常的に自動車を運転しているとの事実を認めることはできないし,他に,これを認めるに足りる証拠はない(なお,丁5[平成11年9月4日実施の行動調査報告書]には,原告の自動車である「ラルゴの車内は相変わらず乱雑な様子で」「当日も位置情報発信装置を前回までの手順で取り付け完了。」との記載があるから,被告近畿道路資材は,平成11年9月4日の前にも何回か,同じ調査会社に同様の原告の行動調査を依頼したことがあることが認められるところ,本件訴訟において,平成11年9月4日実施の行動調査報告書[丁5]しか提出していないことに照らし,原告は,行動調査が実施された他の日には自動車を運転しなかったものと推認される。)。そして,原告が,一定時間,自動車を運転することができたとしても,そのことから直ちに,原告は自動車の職業運転手としての労働能力を回復しているといえないことはもとより,労働能力を完全に喪失するような後遺障害は残存していないということはできないのであって,前記認定を覆すに足りないというべきである。(二) 原告に認められる前 しているといえないことはもとより,労働能力を完全に喪失するような後遺障害は残存していないということはできないのであって,前記認定を覆すに足りないというべきである。 ,原告は自動車の職業運転手としての労働能力を回復しているといえないことはもとより,労働能力を完全に喪失するような後遺障害は残存していないということはできないのであって,前記認定を覆すに足りないというべきである。(二) 原告に認められる前 しているといえないことはもとより,労働能力を完全に喪失するような後遺障害は残存していないということはできないのであって,前記認定を覆すに足りないというべきである。(二) 原告に認められる前記1(二)の記銘力障害,器質性人格障害,顔面神経麻痺,難聴,歩行障害等の障害はいずれも脳損傷を原因とすると認められ,同(一)認定の原告の治療経過も併せ考えると,右肩の運動障害を含めて,原告の前記1(二)認定の後遺障害は,いずれも本件事故との相当因果関係が認められ,したがってまた,同(一)認定の原告の入通院はいずれも本件事故と相当因果関係があるというべきである。この点について,被告らは,原告の易怒性,衝動性は,必ずしも脳損傷に伴う器質的障害による人格的変化とはいえず,原告が本来有する性格的素因と事故後の心因的要因に基づくものというべきであると主張し,兵庫医大病院精神科・神経科における原告の診療録(乙32の1・2,33)にも,原告の衝動的行動につき,飲酒や心理的因子の影響が大きいとする旨の記載も存在する。しかしながら,同病院同科の医師も,脳損傷による器質的変化の影響を否定していないのであって,易怒性,衝動性といった性格変化と本件事故との間に因果関係が認められないとまでいうことはできない。もっとも,原告の飲酒や心理的因子が,原告の入通院期間,とりわけ,兵庫医大病院精神科・神経科における入通院期間の長期化に影響を与えていると推認されることに鑑み,これを,後記五1(七)の慰謝料の算定に当たり考慮するのが相当というべきである。その他,以上の認定判断に反する被告近畿道路資材及び被告Bの主張は,いずれも採用することができない。五争点5(原告が賠償を受けるべき損害の額)について 1 原告の被った損害の額(一) 治療費 判断に反する被告近畿道路資材及び被告Bの主張は,いずれも採用することができない。五争点5(原告が賠償を受けるべき損害の額)について 1 原告の被った損害の額(一) 治療費合計 298万6750円前記四2(二)説示のとおり,本件事故から症状固定時までの同1(一)認定の原告の入通院は,いずれも本件事故と相当因果関係があるから,これに要した治療費はすべて本件事故と相当因果関係がある損害というべきである。 判断に反する被告近畿道路資材及び被告Bの主張は,いずれも採用することができない。五争点5(原告が賠償を受けるべき損害の額)について 1 原告の被った損害の額(一) 治療費合計 298万6750円前記四2(二)説示のとおり,本件事故から症状固定時までの同1(一)認定の原告の入通院は,いずれも本件事故と相当因果関係があるから,これに要した治療費はすべて本件事故と相当因果関係がある損害というべきである。そして,証拠(甲67,丁8)によれば,原告は,本件事故から平成10年8月31日までの間に治療費として265万4620円を支出したことが認められる。また,証拠(甲60の1~13・52~67・96~105・110~113)によれば,原告は,その後,兵庫医大病院脳神経外科,耳鼻咽喉科及び精神科・神経科における治療費として33万2130円を支出したことが認められる(合計298万6750円)。なお,証拠(甲60の14~51,68~95,乙31,35)によれば,原告は,以上の治療費以外にも,兵庫医大病院脳神経外科において平成11年10月7日から平成12年12月28日までの間,同病院耳鼻咽喉科において平成11年9月28日から平成12年12月26日までの間,それぞれ受診して治療費を支出したことが認められるが,これらの受診は,いずれも各科における症状固定日(脳神経外科が平成11年7月31日,耳鼻咽喉科が同月27日)より後の受診であって,症状固定後の治療の必要性について主張,立証がないから,その治療費は,本件事故と相当因果関係がある損害と認めることはできない。(二) 診断書等文書代 5万1950円弁論の全趣旨によれば,原告は,診断書等文書代 治療費は,本件事故と相当因果関係がある損害と認めることはできない。(二) 診断書等文書代 5万1950円弁論の全趣旨によれば,原告は,診断書等文書代として5万1950円を支出したことが認められ,これは,本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。(三) 入院経費 59万5400円前記四1(一)の(1)ないし(3),(5)認定の事実によれば,原告の入院期間は合計458日であり(ただし,田中病院から兵庫医大病院耳鼻咽喉科に転院した平成8年2月28日及び同耳鼻咽喉科から田中病院に転院した同年3月21日は,いずれも各1日として計算。),そのすべてにつき本件事故と相当因果関係があると認められ,そして,1日当たりの入院経費は1300円と認めるのが相当であるから,458日分で合計59万5400円を要したものと認められる。 (5)認定の事実によれば,原告の入院期間は合計458日であり(ただし,田中病院から兵庫医大病院耳鼻咽喉科に転院した平成8年2月28日及び同耳鼻咽喉科から田中病院に転院した同年3月21日は,いずれも各1日として計算。),そのすべてにつき本件事故と相当因果関係があると認められ,そして,1日当たりの入院経費は1300円と認めるのが相当であるから,458日分で合計59万5400円を要したものと認められる。(四) 交通費合計 114万5940円(1) 原告の交通費 55万0960円前記四1(一)の(2)ないし(5)認定の事実によれば,原告は症状固定の日まで合計延べ510日通院しており,そのすべてにつき本件事故と相当因果関係があるものと認められるから,これに要した交通費は本件事故と相当因果関係がある損害と認められる。弁論の全趣旨によれば,兵庫医大病院と田中病院は近接しており,公共交通機関の最寄り駅はいずれも阪神電鉄k駅であること,原告の自宅から同駅までの公共交通機関による片道運賃は710円であることが認められる。そして,証拠(甲27,60の1~13・52~67・96~105,63の2~4,乙21,29の1・2,3 駅までの公共交通機関による片道運賃は710円であることが認められる。そして,証拠(甲27,60の1~13・52~67・96~105,63の2~4,乙21,29の1・2,30の1・2,31,32の1・2,33ないし35)によれば,上記合計延べ510日のうち,平成9年1月以降において,入院中に他の病院又は他の診療科を受診した日を除外し,かつ,同じ日に兵庫医大病院の二つの診療科を受診し又は田中病院と兵庫医大病院を受診した場合は1日として計算すると,実際の通院日数は286日になること,平成8年の1月から7月の間において,入院中に他の病院又は他の診療科を受診した日を除外し,かつ,同じ日に田中病院と兵庫医大病院耳鼻咽喉科を受診した日(7月30日)を1日として計算すると,実際の通院日数は5日になること(1月23日,30日,2月2日,7月29日,上記30日),同年8月から12月の間において,田中病院には,8月2日に通院しているほか,通院日は判明しないものの,8月3日から12月31日までの期間に96日通院していること(田中病院の実通院日数177日から,通院日の判明している平成9年1月9日から症状固定日の同年7月8日までの間の実通院日数76日及び2月2日,3月18日,7月29日,30日,8月2日の合計5日を差し引いたもの),同期間において,兵庫医大病院には,耳鼻咽喉科に10日,脳神経外科に11日通院しており,実際の通院日数は20日(10月29日は両診療科に通院している。 月31日までの期間に96日通院していること(田中病院の実通院日数177日から,通院日の判明している平成9年1月9日から症状固定日の同年7月8日までの間の実通院日数76日及び2月2日,3月18日,7月29日,30日,8月2日の合計5日を差し引いたもの),同期間において,兵庫医大病院には,耳鼻咽喉科に10日,脳神経外科に11日通院しており,実際の通院日数は20日(10月29日は両診療科に通院している。)であることが認められる。したがって,原告の実際の通院日数の合計は,上記286日,5日(1月23日,30日,2月2日,7月29日,30日),96日(平成8年8月3日から同年12月31日までの期間については,兵庫医大病院耳鼻咽喉科及び脳神経外科の の通院日数の合計は,上記286日,5日(1月23日,30日,2月2日,7月29日,30日),96日(平成8年8月3日から同年12月31日までの期間については,兵庫医大病院耳鼻咽喉科及び脳神経外科の通院日のすべてが田中病院の通院日96日のいずれかの日と重なっているものとして計算する。)及び1日(平成8年8月2日)の合計である388日となるから,本件事故と相当因果関係の認められる原告の交通費は,55万0960円となる(710円×2(往復)×388回)。(2) 妻の交通費について 59万4980円前記四1(二)の(3)ないし(5)のとおり,原告は歩行の不安定性が著しい上,記銘力障害,衝動性亢進,情動の不安定性,不安耐性の低下が認められることからすれば,原告の通院には,自宅から通院した際のみならず,田中病院入院中の兵庫医大病院への通院及び同病院入院中の田中病院への通院の際にも,妻などの付き添いを要したというべきである。そして,証拠(乙29の1・2,30の1,31,34,35)によれば,原告は,田中病院入院中に,兵庫医大病院耳鼻咽喉科に27回,同病院脳神経外科に8回通院しており,その実通院日数は30日であること(平成8年6月4日,11日,18日,同年7月2日,23日の5日間は,同じ日に両診療科に通院しているので,各1日として計算。),兵庫医大病院耳鼻咽喉科入院中に田中病院に1日(平成8年3月18日)通院していることが認められる。したがって,原告の妻は,前記(1)の原告の実際の通院日数388日に上記30日と1日を加えた419日分の交通費合計59万4980円(710円×2[往復]×419日)を要したものと認められ,これは,付添人の交通費として,本件事故と相当因果関係があると認められ 診療科に通院しているので,各1日として計算。),兵庫医大病院耳鼻咽喉科入院中に田中病院に1日(平成8年3月18日)通院していることが認められる。したがって,原告の妻は,前記(1)の原告の実際の通院日数388日に上記30日と1日を加えた419日分の交通費合計59万4980円(710円×2[往復]×419日)を要したものと認められ,これは,付添人の交通費として,本件事故と相当因果関係があると認められ 88日に上記30日と1日を加えた419日分の交通費合計59万4980円(710円×2[往復]×419日)を要したものと認められ,これは,付添人の交通費として,本件事故と相当因果関係があると認められる。(五) 休業損害 2559万8270円証拠(甲38)によれば,原告は,本件事故当時,丸徳運輸株式会社でトラック運転手として稼働し,平成6年12月から平成7年11月までの1年間(365日間)に給料及び手当等498万0900円及び賞与15万円の合計513万0900円の支給を受けていたことが認められ,これを覆すに足りる証拠はない。そして,前記四1(一)認定の事実に照らすと,原告は,本件事故により,本件事故の翌日である平成7年12月22日から最終の症状固定日(兵庫医大病院精神科・神経科関係)である平成12年12月15日までの1821日間(平成8年及び同12年はうるう年),休業を余儀なくされたものと認められるから,原告の休業損害は,2559万8270円(513万0900円÷365日×1821日)となる(1円未満切捨て。以下同じ。)。(六) 後遺障害による逸失利益 7887万2194円原告は,昭和38年6月5日生で,最終の症状固定時(平成12年12月15日)において37歳であったから,就労可能年数は30年であったと推認される。そして,前記四2(一)認定の事実によれば,原告は,労働者災害補償保険法施行規則別表第一の第3級第3号に該当する後遺障害により,30年にわたってその労働能力を完全に喪失したことになるから,前記(五)の年額513万0900円を基礎として,ライプニッツ方式により年5分の割合で中間利息を控除して(30年のライプニッツ係数15.3 30年にわたってその労働能力を完全に喪失したことになるから,前記(五)の年額513万0900円を基礎として,ライプニッツ方式により年5分の割合で中間利息を控除して(30年のライプニッツ係数15.372),原告の後遺障害による逸失利益を算出すると,7887万2194円となる。 年額513万0900円を基礎として,ライプニッツ方式により年5分の割合で中間利息を控除して(30年のライプニッツ係数15.3 30年にわたってその労働能力を完全に喪失したことになるから,前記(五)の年額513万0900円を基礎として,ライプニッツ方式により年5分の割合で中間利息を控除して(30年のライプニッツ係数15.372),原告の後遺障害による逸失利益を算出すると,7887万2194円となる。なお,被告尼崎市及び被告近畿道路資材は,中間利息を控除するに当たっては,事故時(32歳)から67歳までの35年間の中間利息(ライプニッツ係数16.374)から,事故時から症状固定時までの5年間の中間利息(ライプニッツ係数4.329)を控除する方式(ライプニッツ係数12.045)によるべきであると主張する。しかしながら,同被告らの上記主張は,債務発生時期である不法行為時の現価を算定するとして,事故時(不法行為時)を基準に中間利息を控除すべきであるとするものであるが,そもそも逸失利益の算定に際して,中間利息を控除すべきものとされているのは,将来に及ぶ逸失利益が一時金賠償の方式で支払われるため,将来の損害額を先払いする形になり,これを利殖に回すことのできる可能性があるからであるところ,後遺障害が残存するか否かは,事故時においては未だ明確でなく,症状が固定して初めて判明するものであって,症状固定時に損害が発生すると解されるから,事故時においては,未だ逸失利益という損害は発生しておらず,被害者は利殖に回すことができないにもかかわらず,その中間利息を控除する結果となる上記主張は採用することができず,前記説示のとおり,症状固定時を基準として中間利息を控除するのが相当というべきである。(七) 慰謝料 2000万円原告の入通院状況とその経過,原告の後遺障害が労働者災害補償保険法施行規則別表第一の第3級第3号 うべきである。(七) 慰謝料 2000万円原告の入通院状況とその経過,原告の後遺障害が労働者災害補償保険法施行規則別表第一の第3級第3号に相当するものであること,その後遺障害の具体的な内容及び程度,前記四2(二)説示のとおりの原告の飲酒や心理的因子の影響を考慮すると,原告の精神的苦痛を慰謝するに足る金額は,原告主張の通常慰謝料及び後遺障害慰謝料の合計で2000万円と認めるのが相当である。 級第3号 うべきである。(七) 慰謝料 2000万円原告の入通院状況とその経過,原告の後遺障害が労働者災害補償保険法施行規則別表第一の第3級第3号に相当するものであること,その後遺障害の具体的な内容及び程度,前記四2(二)説示のとおりの原告の飲酒や心理的因子の影響を考慮すると,原告の精神的苦痛を慰謝するに足る金額は,原告主張の通常慰謝料及び後遺障害慰謝料の合計で2000万円と認めるのが相当である。(八) 本件損害賠償請求のための刑事事件記録謄写代 1万0210円弁論の全趣旨によれば,原告が本件事故に関する刑事事件記録を謄写し,そのために1万0210円の費用を支出したことが認められ,その費用は,本件事案に照らし,本件事故と相当因果関係がある損害というべきである。2 過失相殺等上記1の(一)ないし(八)の損害額の合計は1億2926万0714円であるところ,前記三1に説示したところ(過失相殺の法理)に従い3割を減額すると,9048万2499円となる。3 損害の填補 3223万2392円(一) 証拠(甲67,丁8)によれば,原告は,被告近畿道路資材及び被告Bから,本件事故による治療費,休業補償として,1734万3020円の支払いを受けたことが認められる。(二) また,原告が,本件事故につき,労災保険給付として,ⅰ休業補償給付961万9022円,ⅱ後遺障害給付一時金300万円,ⅲ年金給付227万0350円の支給を受けたことは原告の自認するところであり,その合計額は,1488万9372円となる。(三) したがって,上記2の過失相殺等による減額後の損害額9048万2499円から上記(一)及び(二)の填補額合計32 は原告の自認するところであり,その合計額は,1488万9372円となる。(三) したがって,上記2の過失相殺等による減額後の損害額9048万2499円から上記(一)及び(二)の填補額合計3223万2392円を控除すると,残額は5825万0107円となる 4 弁護士費用 600万円上記3(三)の填補額控除後の残額,本件事故の態様,本件の審理経過等に照らすと,本件事故と相当因果関係にあるものとして被告らに負担させるべき原告の弁護士費用は600万円と認めるのが相当である。5 原告が賠償を受けるべき損害の額 6425万0107円したがって,原告が本件事故による損害の賠償として支払いを受けるべき額は,上記3(三)の填補額控除の残額5825万0107円に上記4の弁護士費用の損害600万円を加算した6425万0107円となる。 の態様,本件の審理経過等に照らすと,本件事故と相当因果関係にあるものとして被告らに負担させるべき原告の弁護士費用は600万円と認めるのが相当である。5 原告が賠償を受けるべき損害の額 6425万0107円したがって,原告が本件事故による損害の賠償として支払いを受けるべき額は,上記3(三)の填補額控除の残額5825万0107円に上記4の弁護士費用の損害600万円を加算した6425万0107円となる。第五結論以上によれば,原告の被告らに対する請求は,6425万0107円及びこれに対する不法行為の日である平成7年12月21日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払いを求める限度で理由があるからこれを認容し,その余を失当として棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文,65条1項ただし書を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する(なお,被告尼崎市の仮執行免脱の宣言の申立ては,相当でないのでこれを却下することとする。)。(平成13年8月21日口頭弁論終結)神戸地方裁判所尼崎支部第一民事部裁判長裁判官水野武裁判官土居三千 成13年8月21日口頭弁論終結)神戸地方裁判所尼崎支部第一民事部裁判長裁判官水野武裁判官土居三千代裁判官新阜創太郎
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