昭和53(行ウ)2 法人税更正処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和56年11月5日 山口地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 被告が原告に対し昭和五一年一二月二五日付でなした、原告の昭和四九年八月

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判決文本文5,724 文字)

○ 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 被告が原告に対し昭和五一年一二月二五日付でなした、原告の昭和四九年八月 二八日から昭和五〇年一月三一日までの事業年度(以下「第一事業年度」という) の所得金額を二二〇万七七七一円、納付すべき税額を六一万七九〇〇円とする更正 処分を取消す。 2 被告が原告に対し昭和五一年一二月二五日付でなした、原告の昭和五〇年二月 一日から昭和五一年一月三一日までの事業年度(以下「第二事業年度」という)の 所得金額を五〇八二万八一三八円、納付すべき税額を二〇四三万二四〇〇円とする 更正処分のうち、所得金額一七六万六六四六円、納付すべき税額四九万四六〇〇円 を超える部分を取消す。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 二 請求の趣旨に対する答弁 主文同旨 第二 当事者の主張 一 請求原因 1 原告は自動車部品の販売等を業とする会社である。商品の販売についてはデイ レクター、チーフ、インストラクター及びトレーダーなる名称で販売店を区分し販 売の指導を行なつており、販売店はその販売実績により右の後者より前者へ昇格す る。 2 原告は、第一、第二事業年度分の各法人税につき被告に対し確定申告をしたと ころ、被告は右各事業年度分につき更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を した。そこで、原告は右各処分を不服として国税不服審判所長に対し審査請求した が、同所長はこれを棄却する旨の裁決をした(確定申告から審査請求に対する裁決 までの経過及びその各内容は別表一の1《第一事業年度分》、2《第二事業年度 分》のとおりである)。 3 しかしながら、右各更正処分には、原告の第一事業年度の所得金額は一八万二 二二九円の欠損、第二事業年度の所得金額は一七六万六六四六円であるにかかわら ず、これを 第二事業年度 分》のとおりである)。 3 しかしながら、右各更正処分には、原告の第一事業年度の所得金額は一八万二 二二九円の欠損、第二事業年度の所得金額は一七六万六六四六円であるにかかわら ず、これを過大に認定した違法があるので、請求の趣旨掲記のとおりその取消を求 める。 二 請求原因に対する認否 請求原因1、2の事実は認め、同3は争う。 三 被告の主張 原告の第一、第二事業年度の各所得金額は別表二の1、2のとおりであり、右事業 年度分につき被告のなした各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定は適法であ る。 四 被告の主張に対する認否及び反論 1 被告の主張のうち、第一事業年度につき海外研修料(未使用分)二三九万円を 益金に計上してないこと、第二事業年度につき海外研修料(未使用分)六五三万六 〇〇〇円を益金に計上してないこと、販売商品サンシヤインパワーの取付費用四二 五二万〇四九〇円を預り負担金として損金計上したこと、土地(土地購入の仲介手 数料)六〇万円、役員賞与(代表者に対する厚生費)一〇万円を所得金額の算定に 際し加算すべきことは認めるが、その余は否認ないし争う。 2 海外研修料は預り負担金であり、課税さるべきものではない。 3 商品(サンシヤインパワー)取付費用は法人税法二二条三項一号の売上原価に 該当し、本件商品販売時点においてその債務は既に確定している。 第三 証拠(省略) ○ 理由 一 請求原因1、2の事実は当事者間に争いがない。 二 被告が原告の第一、第二事業年度分につきなした各更正処分の適法性について 検討する。 1 前記争いのない請求原因1の事実、成立に争いのない乙第一、第二号証、第一 一号証、原本の存在と成立に争いのない乙第五号証、証人Aの証言により真正に成 立したと認める乙第七号証、証人A、同Bの各証言及び弁論の全趣旨によれば、原 告は自動車のエンジ のない乙第一、第二号証、第一 一号証、原本の存在と成立に争いのない乙第五号証、証人Aの証言により真正に成 立したと認める乙第七号証、証人A、同Bの各証言及び弁論の全趣旨によれば、原 告は自動車のエンジン部分に取付けるサンシヤインパワーなる商品(以下「本件商 品」という)を販売するものであるが、その形態はさん下の販売店を上位からデイ レクター、チーフ、インストラクター及びトレーダーの四階級に区分し、デイレク ター、チーフには原告が本件商品を直接販売し、インストラクター、トレーダーは 上位の販売店のみから本件商品を購入するものとしてこれを系列化し、新たに販売 店になろうとする者あるいは上位の販売店になろうとする者に対しては本件商品の 購入と入会金、スポンサー料等の名目による金員支払を義務づけ、一方新たな販売 店を勧誘した販売店、下位の販売店を昇格させた販売店に対しては前記スポンサー 料名目の利得を取得させるというもので、販売店組織の拡大と商品販売高が結びつ いたいわゆるマルチ商法による販売形態であることが認められ、これに反する証拠 はない。 いわゆるマルチ商法においては、販売店はもとより商品を消費者に販売することに より利益を得ることも可能であるが、前掲第一、第二号証によつても明らかなごと く、販売店の多くは商経験が乏しいうえに商品自体販売困難な商品であること等か ら、その多額の出資を回収し利益を得るためには、新たな販売店を勧誘し、下位の 販売店を昇格させスポンサー料名目の利益を得ることに躍起とならざるを得ない。 しかしこれが無限に続けられるものでないことは明らかであり、結局はほとんどの 者が破たんをきたすこととなるのである。 本件商品の販売に関しても同様であり、前掲乙第七号証、成立に争いのない乙第一 二号証、証人Aの証言及び同証人の証言により真正に成立したと認める乙第九号証 んどの 者が破たんをきたすこととなるのである。 本件商品の販売に関しても同様であり、前掲乙第七号証、成立に争いのない乙第一 二号証、証人Aの証言及び同証人の証言により真正に成立したと認める乙第九号証 によれば、昭和四九年一一月から昭和五一年九月までの間に自動車に実際に取付け られた本件商品の数は販売数の約一一パーセントに過ぎず、そのほとんどは販売店 の段階で死蔵又は廃棄されたものと認められるのである。 2 前掲乙第五号証、第七号証、第一二号証、成立に争いのない乙第一三号証の一 ないし三、第一四号証、証人Aの証言により真正に成立したと認める乙第八号証、 弁論の全趣旨により真正に成立したと認める乙第二四号証及び証人A、同B(ただ し後記措信しない部分を除く)によれば、販売店がデイレクターに昇格するには本 件商品の購入とスポンサー料の支払の外、原告に海外研修料として一八万二五〇〇 円を支払わなければならず、これを支払わない限りはデイレクターに昇格できない こと、右海外研修料について研修不参加の場合の返還や研修実施後余剰の出た場合 の清算に関しては何ら定めはなく、実際にも、原告が徴収した海外研修料がその実 施した海外研修の費用の支払いにはあてられているものの、不参加者に対する返還 や余剰金の清算がなされたことのないことが認められ、証人Bの証言中右認定に反 する部分は措信せず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。 右事実によれば、返還義務もなく余剰金の清算もなされない本件海外研修料は、原 告の事業活動に基づく収益の性質を有するものであり、法人税法二二条二項にいう 益金に算入されるべきものであつて、原告主張のような預り金の性質を有するもの ではないというべきである。 なお、原告が現実に海外研修等を実施したときは、その事業年度において所要額が 損金として算定されるのであつて、仮りに右海外 であつて、原告主張のような預り金の性質を有するもの ではないというべきである。 なお、原告が現実に海外研修等を実施したときは、その事業年度において所要額が 損金として算定されるのであつて、仮りに右海外研修料が引当金であるとしても、 いまだ未確定の債務につき負債(負債性引当金)として損金処理することは、法人 税法上許容されていないところである(法人税法二二条三項、法人税基本通達二- 一-四参照)。 3 原告が第二事業年度につき本件商品の取付費用四二五二万〇四九〇円を預り負 担金として損金計上したことは当事者間に争いがなく、右争いない事実、前掲乙第 一一号証、成立に争いのない乙第六号証、証人A、同B(ただし後記措信しない部 分を除く)の証言及び弁論の全趣旨によれば、原告は、その指定の取付工場で取付 確認カードを提示のうえ本件商品を取付けた場合には、原告が取付費用の半額を負 担する旨の約定で本件商品を販売したこと、右により本件商品が取付けられた場 合、指定工場は取付確認カードを原告に送付して費用の半額を原告に請求し、原告 は右請求により始めて費用の半額を指定工場に支払うこと、原告は、販売した本件 商品のうち第二事業年度期末現在いまだ取付けがなされていない分についての取付 費用の半額分として、四二五二万〇四九〇円を預り負担金として損金に計上したこ とが認められ、証人Bの証言中右認定に反する部分は措信せず、他に右認定に反す る証拠はない。 ところで、原告が損金計上した右取付費用が法人税法二二条三項一号、二号のいず れに該当するものであるかはともかく、そのいずれであるにしても、右取付費用は 当該事業年度終了の日までに債務として確定していなければならないのであり(法 人税法二二条三項二号、法人税基本通達二-一-四参照)、そして右債務の確定あ りといいうるためには、当該事業年度の終了の日ま 当該事業年度終了の日までに債務として確定していなければならないのであり(法 人税法二二条三項二号、法人税基本通達二-一-四参照)、そして右債務の確定あ りといいうるためには、当該事業年度の終了の日までに、(一)債務が成立してい ること、(二)当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生し ていること、(三)金額を合理的に算定できること、という三つの要件を全て充た していなければならない(法人税基本通達二-一-一五参照)と解するのが相当で ある。 これを本件についてみるに、原告は、前認定のとおり本件商品が原告の指定工場に おいて取付けられた後同工場からの請求を受けて始めて、取付費用の半額を支払う こととなるのであるから、右請求を受けた時点において原告の取付費用に係る債務 は確定すると言うべきである。これに対し原告は本件商品販売の時点で債務は確定 する旨主張するが、なるほど右時点において原告が将来取付費用の半額を負担する 旨の債務が成立したと認められるとしても、原告は前記1認定のとおり本件商品販 売につきマルチ商法という特異な販売形態をとつているため、本件商品が最終的に 消費者にまで売却され取付けられるのはごくわずかであり、原告がデイレクターや チーフに販売した時点で最終的に取付けられることとなるであろう数量を合理的に 算定することは不可能と言わざるを得ないのであるから、前記(二)及び(三)の 要件を充足しないものと認めるのが相当である。 右のとおり原告が損金計上した取付費用四二五二万〇四九〇円は確定した債務と言 えず、これを損金計上することは法人税法により禁止されているところである。 4 以上の認定を基礎として係争事業年度における原告の所得金額を算定する。 (一) 原告の第一事業年度について、海外研修費(未使用分)二三九万円を益金 に計上していないことは当事者 ているところである。 4 以上の認定を基礎として係争事業年度における原告の所得金額を算定する。 (一) 原告の第一事業年度について、海外研修費(未使用分)二三九万円を益金 に計上していないことは当事者間に争いがなく、右海外研修費を益金に算入すべき ことは前記2のとおりであるから、原告の第一事業年度の所得金額は、別表二の1 のとおり二二〇万七七七一円と認められる。 (二) 原告の第二事業年度について、海外研修費(未使用分)六五三万六〇〇〇 円を益金に計上していないことは当事者間に争いがなく、これを益金に計上すべき ことは前同様であり、商品取付費用については前記3のとおりこれを損金計上する ことは許されないところ、原告が右四二五二万〇四九〇円を預り負担金として損金 計上していることは当事者間に争いがないので、所得金額計算上は右同額を加算す べきである。又繰越欠損金一八万二二二九円については第一事業年度につき前記 (一)のとおり欠損を生じないので、所得金額計算上右金額を加算すべきである。 土地六〇万円、役員賞与一〇万円を所得金額算定に際し加算すべきことは当事者間 に争いがない。 第一事業年度の所得金額が前記(一)のとおり認定されたことによる未払事業税一 三万二四二〇円を所得金額算定上減算すべきである。 以上によれば、原告の第二事業年度の所得金額は別表二の2のとおり五〇八二万八 一三六円と認められる。 5 右の次第で原告の第一事業年度の所得金額を二二〇万七七七一円、第二事業年 度の所得金額を五〇八二万八一三六円と認定のうえなした被告の別表一の1、2の 各更正処分及び過少申告加算税賦課決定は適法であつて、違法な点はない。 三 よつて原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担に つき民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官 西岡宜兄 紙浦健二 上田昭 定は適法であつて、違法な点はない。 三 よつて原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担に つき民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官 西岡宜兄 紙浦健二 上田昭典) 別表一 別表二

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