平成26年10月30日判決言渡平成26年(行ケ)第10067号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成26年9月9日判決 原告株式会社ジェフグルメカード 訴訟代理人弁護士岩渕正紀同岩渕正樹訴訟代理人弁理士飯田昭夫同本宮照久 被告株式会社ぐるなび 訴訟代理人弁護士藤原総一郎同岡田淳同増田雅史同久保利英明同上山浩同中村直人 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が無効2013-890011号事件について平成26年2月7日にした審決を取り消す。 第2 前提となる事実 1 特許庁における手続の経緯等 (1) 被告は,「ぐるなびギフトカード全国共通お食事券」の文字(標準文字)からなる商標(以下「本件商標」という。)について,指定役務を第36類「食事券の発行」として商標登録(平成23年7月12日登録出願,同年12月22日設定登録。登録番号第5459425号)を受けた商標権者である(甲1の1・2)。 (2) 原告は,平成25年 第36類「食事券の発行」として商標登録(平成23年7月12日登録出願,同年12月22日設定登録。登録番号第5459425号)を受けた商標権者である(甲1の1・2)。 (2) 原告は,平成25年2月28日,特許庁に対し,本件商標の登録の無効を求める審判を請求し,特許庁は,上記請求を無効2013-890011号事件として審理をした結果,平成26年2月7日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本を,同月17日,原告に送達した(弁論の全趣旨)。 2 審決の理由審決の理由は,別紙審決書写しに記載のとおりである。その要旨は,原告が本件商標の登録の無効理由として引用する商標は,原告が,役務「ギフトカード(前払式証票)の発行」について使用している「全国共通お食事券」の文字からなるもの(以下「引用商標」という。)であるところ,引用商標は,「加盟契約をしている全国の飲食店において食事の提供を受けることができる前払式証票の発行」という役務(以下「本件役務」という。)との関係で自他役務の識別機能を果たし得ない語であり,原告の使用によっても,原告の取扱いに係る本件役務を表すものとして一般に広く認識されているとの事情は認められないから,本件商標には,商標法4条1項15号,同項10号又は同項19号違反は認められないし,本件商標は役務の質の誤認を生じさせるものではなく,また,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めることもできないから,同項16号又は同項7号違反も認められず,同法46条1項により無効とすることはできない,というものである。 第3 原告の主張 1 取消事由1(「全国共通お食事券」の語の識別性及び周知性の認定判断の誤り) (1) 識別性についてア生来的な識別力について(ア) 審決は,「全国共 ある。 第3 原告の主張 1 取消事由1(「全国共通お食事券」の語の識別性及び周知性の認定判断の誤り) (1) 識別性についてア生来的な識別力について(ア) 審決は,「全国共通お食事券」の語は,「我が国内のどこでも食事の提供を受けることができる券」ほどの意味を有すると解釈し,また,「加盟契約をしている全国の飲食店において食事の提供を受けることができる前払式証票の発行」を「本件役務」と特定した上で,同語は,「加盟契約をしている全国の飲食店における飲食物の提供役務の代金の支払に充当することができる前払式証票としての食事券であること,すなわち,そのような価値を有する前払式証票を発行するという,本件役務の質を記述的に表示した語である。」と判断した。 (イ) しかし,「全国共通お食事券」の構成中の語で辞書に掲載されているのは「全国」,「共通」,「食事」,「券」の四つであるところ,辞書に掲載されている意味合いを総合すると,「全国共通お食事券」から生じる記述的な意味合いは,「全国のどこにおいても,どれにも通用する,食べ物に利用できる金券」というものである。したがって,「全国共通お食事券」の語より,このような意味合いまで看取されないというのであれば,また,需要者・取引者は,このような意味合いまで看取して実際の取引に資するものではないというのであれば,「全国共通お食事券」の語は,暗示的な語であるとしても,直接的かつ具体的に役務の質を記述し,説明する語ではないというべきである。 また,「食事券」とは,「食べ物に利用できる金券」であり,飲食店で食事の提供を受けることができる券は「飲食店食事券」等であるから,原告の取扱いにかかる本件役務は,「加盟店で利用可能な食事券(前払式証票)の発行」である。このことは,原告の加盟店には,飲食店以 店で食事の提供を受けることができる券は「飲食店食事券」等であるから,原告の取扱いにかかる本件役務は,「加盟店で利用可能な食事券(前払式証票)の発行」である。このことは,原告の加盟店には,飲食店以外に宅配や持ち帰りの店舗が掲載されていること,「レストラン食事券」が一般に使用されていること,被告も,被告商品の発行開始前のギフトカードとして,プリペイド方式の「ぐるなびレストランカード」というギフトカードを発売していたことからも明らかである。 (ウ) 商標法3条1項3号は,その役務の質,その役務の提供の用に供する物を普 通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は識別力がないと規定しているが,商標審査基準においても,指定役務の質等を「間接的」に表示する商標は,同号に該当しないとの判断手法が示されており,審決取消訴訟でも同手法に従った判断がされている(甲108,知財高裁平成21年(行ケ)第10023号判決)。 したがって,審決がいうように,「全国共通お食事券」の語が役務の質を記述し,説明する語であるというためには,そこから一義的な意味合いが直接的に看取されなければならないはずである。しかるに,審決の上記判断は,「全国共通お食事券」の語は,「加盟契約をしている全国の飲食店における飲食物の提供役務の代金の支払に充当することができる前払式証票を発行する」という本件役務の質を記述的に表示した語である,と判断しているにもかかわらず,原告の発行に係るギフトカード(以下「原告商品」という。)に関して使用されている「全国共通お食事券」の語は,「『全国共通の取扱店で利用することができる食事券』ほどの意味合いを認識させる,役務の質ないし内容を説明する記述的な表示」(審決32頁1行目ないし3行目),というように,前記判断とは別異の漠然とした意味合いを 通の取扱店で利用することができる食事券』ほどの意味合いを認識させる,役務の質ないし内容を説明する記述的な表示」(審決32頁1行目ないし3行目),というように,前記判断とは別異の漠然とした意味合いを引き出して,「記述的な表示」と判断している。このことや,「全国共通お食事券」とは「サービスの抽象的な質」を示す表示であるとの被告の審判段階での主張,「全国共通」の意味合いは漠然としたものであるとの異議申立事件における異議決定の内容(甲41)からも明らかなように,「全国共通お食事券」からは,直接かつ具体的に本件役務の質を記述し,説明するような一義的な意味合いが看取されるものではない。 「全国共通お食事券」の語は,前記のとおり,「全国のどこにおいても,どれにも通用する,食べ物に利用できる金券」という直接的かつ具体的な意味が認識され,しかも,そのような意味合いをもって実際の取引に資されるとして,初めて記述的ないし説明的な商標といえるところ,審決はそのような認定すらしていない。 (エ) したがって,審決は,「全国共通お食事券」の字義の解釈及びそれが使用される役務の特定を誤っており,その結果,そこから看取されるとする意味合いも誤ったものとなっている。本件役務は,「加盟店で利用可能な食事券(前払式証票)の 発行」であり,「全国共通お食事券」の語は,この役務を本件役務として判断されなければならないところ,当該語は,「役務の質」又は「役務の提供の用に供する物の質」の暗示的な表示に当たるとしても,直接的かつ具体的に役務の質を記述し,説明する表示に当たるものではなく,「生来的な識別力」を有し得る表示である。 (オ) なお,商標法3条1項3号については,独占適応力を欠く商標について商標登録の要件を欠くとされているが,「全国共通お食事券」の語は,「全国」「共 なく,「生来的な識別力」を有し得る表示である。 (オ) なお,商標法3条1項3号については,独占適応力を欠く商標について商標登録の要件を欠くとされているが,「全国共通お食事券」の語は,「全国」「共通」「食事」「券」の四つの語の順番を入れ替えて用いたり,また,「食事券」の語を「飲食店食事券」や「レストラン食事券」に変えれば代替可能であり,更には,「全国共通外食券」,「全国外食店共通食事券」,「全国共通グルメ券」など,種々の代替可能な名称が存在するから,独占適応性を欠くような状況にはない。 イ引用商標の識別力についてギフトカードの発行という役務の分野で,その商標が最も取引者・需要者の目に触れるのは,「役務の提供の用に供する物」に使用された場合であるところ,原告が発行する「ジェフグルメカード」(原告商品)の利用者の便宜のために原告商品と同封する平成5年以降の「加盟店リスト」,「加盟店一覧表」の小冊子の表紙,リーフレットには,必ず「全国共通お食事券」と「ジェフグルメカード」の二つが表示され,両者のうちのいずれかの表示を目にするときには,他の表示も必然的に目に入るという表示形態となっており,これらは現在までに1870万枚制作されている。 このような表示形態は,「ジェフグルメカード」といえば「全国共通お食事券」,「ジェフグルメカード」といえば「全国共通お食事券」という認識を確立するための一つの手法として採ったものである。 また,原告商品の券面中の表示形態も,「全国共通お食事券」と「ジェフグルメカード」が市場において同時に認知されるようになっており,さらに,発行主体を示す「株式会社ジェフグルメカード」が明記され,発行主体の表示と対象となる表示が一体として結びつく態様となっている。そして,この券面の基本的なデザイン構成は当初より変わっておらず, らに,発行主体を示す「株式会社ジェフグルメカード」が明記され,発行主体の表示と対象となる表示が一体として結びつく態様となっている。そして,この券面の基本的なデザイン構成は当初より変わっておらず,1億5000万枚以上発行されている。 原告商品の利用可能店舗を示すステッカーも,平成6年8月以降,「ジェフグルメカード」が「全国共通お食事券」であることを端的に需要者にアピールするため,デザインの変更を行い,中央部に大きく「全国共通お食事券」の文字が目立つ態様で表示され,「全国共通お食事券」と「ジェフグルメカード」とが結びつくような表示態様となっている。 自他役務の識別力を有するか否かの判断は,「全国共通お食事券」の表示が,原告の出所識別標識として機能しているか,という点からなされるべきである。そして,引用商標は,上記のとおりの態様で約20年にもわたり,継続して使用されてきた結果,外食産業のギフトカードの分野で原告商品を指称する又は原告商品と関係がある表示としての出所識別標識として機能するに至っており,「全国共通お食事券」という語の生来的な自他商品・役務識別機能とも相俟って,原告の業務に係る一つの表示として認識されている。 ウしたがって,「全国共通お食事券」の表示(引用商標)は,自他商品・役務識別力を欠く商標ではなく,独占適応性を欠く商標でもないから,審決は,前提事項である「全国共通お食事券」の語の識別性の認定判断を誤ったものである。 (2) 引用商標の周知性について原告は,上記(1)イのとおり,「全国共通お食事券」(引用商標)と「ジェフグルメカード」とが市場において一体的に認知されるよう事業展開を進めてきたものであり,原告商品が使用可能なブランドは1000以上,加盟店舗数は全国で約3万5000店に上っている。 原告商品に関 フグルメカード」とが市場において一体的に認知されるよう事業展開を進めてきたものであり,原告商品が使用可能なブランドは1000以上,加盟店舗数は全国で約3万5000店に上っている。 原告商品に関する宣伝広告等(甲8,甲12の1ないし4,甲13の1ないし6,甲14,甲121の1ないし5)においても,「全国共通お食事券」と「ジェフグルメカード」が容易に分離して認識し得る態様で,かつ,両者のうちのいずれかの表示を目にするときには,他の表示も必然的に目に入るという表示形態となっており,「全国共通お食事券」といえば「ジェフグルメカード」,「ジェフグルメカード」といえば「全国共通お食事券」,というブランドを構築している。また,平成7年には, 「全国共通お食事券=ジェフグルメカード」であることを需要者に積極的にアピールする販促活動も行っており,平成17年には,年賀はがき購入の全国キャンペーン商品として,原告商品が「全国共通お食事券」の名称で紹介されている。これによれば,原告商品が「全国共通お食事券」として位置付けられていることが認識できるはずであり,また,発行当初,そのような位置付けにするための広告がされてきた。原告商品の加盟社128社(24296店舗)の被告代表者宛の抗議文(甲60の1ないし14,甲80の1ないし7)中にも,「『全国共通お食事券』といえば『ジェフグルメカード』と認識されるほど,法人,個人を問わず多くのお客様に利用されています。」との記述があり,加盟社及び従業員のかかる認識を示している。 以上によれば,引用商標は,外食産業のギフトカードの分野において,遅くとも本件商標の出願日である平成23年7月12日までには,原告商品を指称する出所識別標識として広く一般に認識されるに至っていたことは明らかであるから,引用商標の周知性を否定し ドの分野において,遅くとも本件商標の出願日である平成23年7月12日までには,原告商品を指称する出所識別標識として広く一般に認識されるに至っていたことは明らかであるから,引用商標の周知性を否定した審決の認定は誤っている。 2 取消事由2(商標法4条1項15号該当性判断の誤り)実際の取引の現場では,原告商品と被告の発行に係るギフトカード(以下「被告商品」という。)を取り違える事態が生じている(甲45ないし52)。原告の注意喚起にもかかわらず,このような錯誤が生じている要因は,両商品が「全国共通お食事券」という名称で同じだからであり,現場では,「全国共通お食事券」は,原告の商品名という位置付けで捉えられ,原告商品の加盟社やその従業員にあっては,「全国共通お食事券」とは,原告商品を指すという認識が既に出来上がっていたからであり,引用商標の認知度を示している。 前記1(2)のとおり,引用商標は,遅くとも平成23年7月12日には,原告商品を指称する出所識別標識として認識されるに至っていたものであり,本件商標は,引用商標との関係において,商標法4条1項15号に該当する。したがって,本件商標が同号に違反して登録されたということはできないとする審決は,この認定判断を誤ったものであり,取り消されるべきである。 3 取消事由3(商標法4条1項10号該当性判断の誤り)本件商標は,周知著名な引用商標に係る「全国共通お食事券」の文字をその構成要素の一部に含むから,商標法4条1項10号の規定に違反して登録されたものである。したがって,本件商標が同号に違反して登録されたということはできないとする審決は,この認定判断を誤ったものであり,取り消されるべきである。 4 取消事由4(商標法4条1項16号該当性判断の誤り)前記のとおり,審決は,「全国共通 して登録されたということはできないとする審決は,この認定判断を誤ったものであり,取り消されるべきである。 4 取消事由4(商標法4条1項16号該当性判断の誤り)前記のとおり,審決は,「全国共通お食事券」の語は,「加盟契約をしている全国の飲食店における飲食物の提供役務の代金の支払に充当することができる前払式証票としての食事券」であること,すなわち,「そのような価値を有する前払式証票を発行する」という,本件役務の質を記述的に表示した語である,と結論付けている。 審決のこのような判断が誤っていることは前記のとおりであるが,仮に,前記判断をもって記述的というのであれば,「食事券の発行」を指定役務とする本件商標は,「加盟契約をしている全国の飲食店における飲食物の提供役務の代金の支払に充当することができる前払式証票としての食事券」以外の食事券の発行との関係では,役務の質の誤認を生じさせる商標に該当する,との判断がなされなければならないはずである。審決は,自ら「本件役務」を認定しておきながら,認定した役務との関係で本件商標が役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるか否かの判断をしておらず,そのような判断を欠いた審決は,違法であって,取り消されるべきである。 5 取消事由5(商標法4条1項19号該当性判断の誤り)(1) 審決は,「全国共通お食事券」の語が,自他役務の識別機能を有しないこと及び原告の業務に係る役務を表示するものとして周知であるということができないとして,本件商標は,商標法4条1項19号の該当要件を備えていないと判断しているが,引用商標が自他役務識別力及び周知性を有することは前記1のとおりであるから,審決の判断は誤っている。 (2) そして,被告は,以下のとおり,商標法4条1項19号規定の「不正の目的」の下,本件商標を採択し,こ 他役務識別力及び周知性を有することは前記1のとおりであるから,審決の判断は誤っている。 (2) そして,被告は,以下のとおり,商標法4条1項19号規定の「不正の目的」の下,本件商標を採択し,これを「不正の目的をもって使用」するものである。 すなわち,被告は,本件商標のほかに,同時期に「ぐるなびグルメカード」,「ぐるなびお食事券全国共通グルメ券」,「ぐるなびお食事券」,「ぐるなびギフトカード」という商標も出願していたところ,新たな事業として展開するギフトカードの名称としては,そのうち「ぐるなびギフトカード」を採択した。そうであるにもかかわらず,被告は,実際の被告商品での使用に当たっては,「全国共通お食事券」を付して使用している。被告は,審判段階で,被告商品は原告商品とは完全に差別化した商品である旨主張しており,完全な差別化を図るのであれば,その一部に原告の「全国共通お食事券」の表示を含む名称を採択する必然性はなかったはずである。 また,被告は,被告のギフトカードを指称する商標として,①被告が運営する「ぐるなび食市場」というショッピングサイト上の店舗内では,「全国共通お食事券【ぐるなびギフトカード】」という商標を,②被告のウェブサイトでは,「全国共通お食事券」という商標を,③被告が発行する「ぐるなびグルメニュース」においては,「ぐるなび全国共通お食事券」という商標を使用しており,これらの使用商標の使用態様は,本件商標中の「全国共通お食事券」という要素に変更を加えることなく,それを前面に押し出す形のものとなっている。さらに,被告は,本件商標のほかに,ロゴ登録商標でも商標権を取得しているが,実際には,ロゴ登録商標に「全国共通お食事券」という文字を付加した態様の商標を使用している。 被告によるこれらの使用態様への変更は,原告商品 件商標のほかに,ロゴ登録商標でも商標権を取得しているが,実際には,ロゴ登録商標に「全国共通お食事券」という文字を付加した態様の商標を使用している。 被告によるこれらの使用態様への変更は,原告商品の名称たる「全国共通お食事券」へのすり寄り行為にほかならない。 さらに,被告は,ギフトカードと「ポイントご利用券」とを包摂した「全国共通お食事券サービス」なるサービスを宣伝し,その後,全国共通お食事券のデジタル版と称して「ぐるなびデジタルマネーギフト」を開始するなどしており,これらにおいても「全国共通お食事券」の表示をそのまま用い,前払式支払手段以外のポイント券やデジタルマネーの分野でも同表示に化体した原告の信用を借用しようとし,一方で,金券をクーポン券と同じに扱って,その価値を希釈化させている。 このように,被告は,自己の販促戦略の都合において,原告の信用を低下させ, 取引者,消費者の間に「全国共通お食事券」の出所識別について混同・混乱を生じさせて,その事態に乗じて被告のギフトカードないし「全国共通お食事券」の名を付したその他の商品の販売等事業の拡大を図っているものであるから,「不正の目的」の下,本件商標を採択し,「不正の目的をもって使用する」ものである。 (3) したがって,本件商標に商標法4条1項19号違反がないとする審決は,その認定判断を誤ったものであり,取り消されるべきである。 6 取消事由6(商標法4条1項7号該当性判断の誤り)前記5(2)のとおり,被告は,自己の販促戦略の都合において,「全国共通お食事券」の表示を前払式支払手段以外のポイント券やデジタルマネーの分野でも使用し,原告の信用を借用しようとしている。前記1(2)の原告商品の加盟社の抗議文は,本件商標の登録を認めることは,商標の使用をする者の業務上の信 式支払手段以外のポイント券やデジタルマネーの分野でも使用し,原告の信用を借用しようとしている。前記1(2)の原告商品の加盟社の抗議文は,本件商標の登録を認めることは,商標の使用をする者の業務上の信用の維持の観点,需要者利益の保護の観点に照らして許されるべきものではなく,自由競争の限度を超えた社会通念上是認できないものであるとの立場からなされたものであり,本件における原告の主張は,需要者利益の保護の観点に照らして外食産業界の全体を消費者の立場でとらえてのものである。 このように,本件商標は,その出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,知財高裁平成18年9月20日判決が,商標法4条1項7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に含まれる場合として挙げる「登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合」に該当する。 したがって,本件商標が,商標法4条1項7号に該当しないとした審決は,その認定判断を誤ったものであり,取り消されるべきである。 第4 被告の主張 1 取消事由1(「全国共通お食事券」の語の識別性及び周知性の認定判断の誤り)について(1) 識別性について ア生来的な識別力について原告は,「全国共通お食事券」の語は,役務の質の抽象的な表示に当たることを認めつつ,直接的かつ具体的に役務の質を記述・説明する表示には当たらないから,「生来的な識別力」が存在するなどと主張する。しかし,そもそも「抽象的」な質の表示と「具体的」な質の表示を区分して,後者に限って自他識別標識性が否定されるべきという主張は,原告独自の解釈にすぎない。加えて,審決が判示した「全国共通お食事券」の語の意味は,一般用語の単純な組合せにすぎない「全 な質の表示を区分して,後者に限って自他識別標識性が否定されるべきという主張は,原告独自の解釈にすぎない。加えて,審決が判示した「全国共通お食事券」の語の意味は,一般用語の単純な組合せにすぎない「全国共通お食事券」の表現から直接的かつ具体的に導かれることは明白であるから,原告の主張は理由がない。 イ引用商標の識別力について原告は,「全国共通お食事券」なる表示が,長年の使用実績の結果として,原告業務に係る表示として認識されていると主張する。しかし,審決が認定したとおり,原告の述べるような「全国共通お食事券」と「ジェフグルメカード」との併記(とりわけ,識別性の強いハウスマークである「ジェフグルメカード」との併記)の事実は,このうち「全国共通お食事券」の部分が単独では自他識別機能を持たないことの端的な証左である。 「全国共通お食事券」の表示は説明的記載にすぎないところ,説明的記載を商品や役務の名称に付記することは一般的であって,そのことは,むしろ当該説明的記載それ自体が自他識別機能を持たないことの裏付けである。 したがって,原告の主張は理由がない。 (2) 引用商標の周知性について原告は,原告商品の宣伝広告について,「全国共通お食事券」と「ジェフグルメカード」の両者のうちいずれかの表示を目にするときには,他の表示も必然的に目に入るなどと主張する。しかし,原告商品が往々にして,「ジェフグルメカード」単独で表記されてきた実態があるのに対し,「全国共通お食事券」の単独表記の実態は存在せず,両表示が併記されてきた事実は,「全国共通お食事券」の部分が単独では自他識別機能を持たないことの端的な証左であることは前記(1)イのとおりである。 また,原告が指摘する抗議文は,原告商品の加盟社が提出したものであって,食事券市場におけ の部分が単独では自他識別機能を持たないことの端的な証左であることは前記(1)イのとおりである。 また,原告が指摘する抗議文は,原告商品の加盟社が提出したものであって,食事券市場における取引者の認識を調査したものですらないし,これらの抗議文が送付された経緯(甲60の1,甲76,78)からすれば,原告が,日本フードサービス協会に関係する飲食店らに対し,自らの独占的な地位を守り被告を排除すべく,働きかけを行ったことを端的に示しているから,これらの抗議文は取引者の認識を反映したものではない。したがって,原告の主張には理由がない。 2 取消事由2(商標法4条1項15号該当性判断の誤り)について原告は,原告商品と被告商品の取違えの事実があったとし,その要因が,両商品名が「全国共通お食事券」という名称で同じだからであるなどと主張する。しかし,そもそも「全国共通お食事券」という表示が自他識別機能を有しないことは前記1(2)のとおりであるから,原告の主張は前提において誤っているし,原告商品の名称は「ジェフグルメカード」,「ジェフグルメカード全国共通お食事券」又は「全国共通お食事券ジェフグルメカード」であり,本件商標とは全く異なるものである。 また,原告の提出する証拠は,差出人が黒塗りされるなど信用性が低いものである上,他社商品との取違えが発生する可能性は,同種の商品を扱う以上,その表示態様にかかわらず抽象的に存在しうる。本件においても,被告商品の通算発行金額は平成25年4月末日時点で2億0250万8000円に達していたのであるから,一定の確率で取り違えが発生すること自体は,きわめて自然である。そのため,仮に原告が主張するとおりの事例が発生していたとしても,このような事例が,被告商品の発売から1年半以上も経過するまで発生しなかったことは で取り違えが発生すること自体は,きわめて自然である。そのため,仮に原告が主張するとおりの事例が発生していたとしても,このような事例が,被告商品の発売から1年半以上も経過するまで発生しなかったことは,かえって,商標法4条1項15号の「混同」を生ずるおそれがないことを裏付けるものである。 よって,原告の主張には理由がない。 3 取消事由3(商標法4条1項10号該当性判断の誤り)について審決の認定するとおり,「全国共通お食事券」の語が,原告の取扱いに係る本件役務を表すものとして一般に広く認識されているということはできないのであるから,商標法4条1項10号該当性判断の誤りについての原告の主張には理由がない。 4 取消事由4(商標法4条1項16号該当性判断の誤り)について原告は,本件商標が「加盟契約をしている全国の飲食店における飲食物の提供役務の代金の支払に充当することができる前払式証票としての食事券」以外の食事券の発行との関係では,役務の質の誤認を生じさせる商標に該当するなどと主張する。 しかし,「全国共通お食事券」の語は,「我が国内のどこでも食事の提供を受けることができる券」(審決),「全国に共通して食事に利用できる金券」(本件と同一当事者間の平成26年(ネ)第10024号事件判決)といった意味を有するのだから,広く「食事券の発行」においても役務の質の誤認が生じないことは明らかである。 よって,原告の主張には理由がない。 5 取消事由5(商標法4条1項19号該当性判断の誤り)について「全国共通お食事券」の表示が自他識別機能を有し,かつ周知であるとの原告の主張が成り立たないことは前記のとおりであるから,「不正の目的」の要件について議論するまでもなく,原告の主張には理由がない。 この点を措くとしても,被告は,食事券の発行という つ周知であるとの原告の主張が成り立たないことは前記のとおりであるから,「不正の目的」の要件について議論するまでもなく,原告の主張には理由がない。 この点を措くとしても,被告は,食事券の発行という役務の質を取引者・需要者にわかりやすく伝えるために「全国共通お食事券」という表現を選んだ上で,その出所を明らかにするために「ぐるなびギフトカード」との表示を併記しているのであって,「全国共通お食事券」という語を「不正の目的」をもって使用しているものではない。また,原告商品と被告商品とは,「ジェフグルメカード」と「ぐるなびギフトカード」という表示により明確に区別できる上,そもそもコンセプトが大きく異なり,券面の種類やデザインにも独自の工夫が施されていることから,被告に原告商品に対する「信用」なるものにただ乗りする意図などない。また,「全国共通お食事券」の表示に化体した「原告の信用」など存在せず,被告の行為が原告の信用を低下させることはないから,原告の主張には理由がない。 6 取消事由6(商標法4条1項7号該当性判断の誤り)前記5のとおり,被告が「原告の信用」なるものを借用しようとしているという原告の主張は何ら根拠がなく,原告が指摘する抗議文送付の点は,むしろ,食事券 市場における新規参入者の排除行為であり,原告の行為こそ,公正な競争秩序を歪めるものである。よって,原告の主張には理由がない。 第5 当裁判所の判断当裁判所は,原告の各取消事由の主張にはいずれも理由がなく,審決にはこれを取り消すべき違法はないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 1 取消事由1(「全国共通お食事券」の語の識別性及び周知性の認定判断の誤り)及び2(商標法4条1項15号該当性判断の誤り)について(1) 原告は,「全国共通お食事券」の語が, のとおりである。 1 取消事由1(「全国共通お食事券」の語の識別性及び周知性の認定判断の誤り)及び2(商標法4条1項15号該当性判断の誤り)について(1) 原告は,「全国共通お食事券」の語が,本件役務との関係で自他役務の識別機能を果たし得ないものであって,引用商標が原告の役務を表示するものとして広く一般に知られていたとは認められない,との審決の認定判断には誤りがあると主張する。 商標法4条1項15号の「混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性や独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである(最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁参照)。審決の上記認定判断は,商標法4条1項15号該当性との関係では,原告が主張する引用商標が,そもそも自他役務の識別機能を果たしうる,周知著名な「他人の表示」に当たるかどうかを判断しているものと解される。そこで,そのような観点から,引用商標が,自他識別機能を果たし得る「他人の表示」に当たるかどうかを検討する。 (2) まず,「全国共通お食事券」という語自体の意味について検討する。 ア証拠(文中掲記)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 「全国共通お食事券」及び「全国共通」の語は,辞書類には掲載されていない(甲100,101)。「全国共通お食事券」の構成中,「全国」,「共通」,「食事」, 「券」の語は,辞書(広辞苑第6版,大辞林第2版)に掲載されており,それぞれ, 辞書類には掲載されていない(甲100,101)。「全国共通お食事券」の構成中,「全国」,「共通」,「食事」, 「券」の語は,辞書(広辞苑第6版,大辞林第2版)に掲載されており,それぞれ,「全国」は,「国内全体。国じゅう。」等,「共通」は,「二つまたはそれ以上のもののどれにも通ずること,あてはまること。」ないし「二つ以上のもののどれにもあてはまり,通用すること。また,そうしたさま。」等,「食事」は,「生存に必要な栄養分をとるために,毎日の習慣として物を食べること。また,その食物。」等,「券」は,「荘園・田地などの所有を証明する手形。また,割符・切手・信用証書・印紙・証文の類。」ないし「金額・条件・資格などを書き記してある紙片。債券・証券・入場券・乗車券・食券など。切符。てがた。わりふ。切符・切手・印紙・証文の類。」を意味するとされている(甲100,101)。 (イ) 実際の各種金券における使用例をみると,本件商標登録時までに,「全国共通」の文字は,「全国共通図書券」,「全国共通商品券」,「全国共通ゆうえんち券」,「全国共通スポーツ券」,「全国共通花とみどりのギフト券」などの例で,全国の加盟店(取扱店)で利用できる商品券(ギフト券)の名称又はその説明文に使用されており(甲92,104の1),また,「お食事券」の文字は,「レストランお食事券」等として,取扱先のレストラン等で使える商品券(ギフト券)の説明文等に使用されていた(甲86,102の3)。 (ウ) このような「食事券」の取引者及び需要者は,加盟店の経営者及び従業員並びに一般消費者であると認められ(弁論の全趣旨),上記(イ)の各用語を上記と異なる意味で理解するものと認めるに足りる証拠はない。 イ上記認定事実によれば,「全国共通お食事券」のうち,「全国共通」は「全国で共通 であると認められ(弁論の全趣旨),上記(イ)の各用語を上記と異なる意味で理解するものと認めるに足りる証拠はない。 イ上記認定事実によれば,「全国共通お食事券」のうち,「全国共通」は「全国で共通して」程度の意味と解されるし,「お食事券」も,社会通念上,「取扱店で利用できる食事券」程度の意味と解されるから,「全国共通お食事券」は,上記の取引者及び需要者からみると,「全国で共通して取扱店で利用できる食事券」程度の意味で認識される語であると認められる。したがって,同語を,「全国で共通して取扱店で利用できる食事券」という商品について使用すれば,これに接する取引者及び需要者をして,商品の品質を記述的に表示したものと認識させるものといえるし,そ のような食事券の発行という役務について使用すれば,これに接する需要者をして,役務の質を記述的に表示したものと認識させるものといえる。 そうすると,「全国共通お食事券」という語は,上記のような商品又は役務との関係では,これに接する取引者及び需要者にその出所を表示するものとは認識されないものといえるから,同語は,これらの商品又は役務についての自他識別標識としての機能を果たし得ないものである。 (3) 次に,「全国共通お食事券」という語が,上記のとおり一般的には自他識別標識としての機能を果たし得ないとしても,原告による引用商標の使用によって,原告の役務の出所を表示するものとして取引者及び需要者に一般に認識されるに至ったものといえるかどうかについて判断する。 ア証拠(文中掲記)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (ア) 原告は,平成4年8月に設立された株式会社であり,「ジェフグルメカード全国共通お食事券」という商品券(原告商品)の発行に関する事業を主要な業務としている(甲2ない 下の事実が認められる。 (ア) 原告は,平成4年8月に設立された株式会社であり,「ジェフグルメカード全国共通お食事券」という商品券(原告商品)の発行に関する事業を主要な業務としている(甲2ないし4)。原告は,外食産業の業界団体である社団法人日本フードサービス協会とその加盟社及び金融機関の出資により設立された(甲5)。 原告は,「ジェフグルメカード全国共通お食事券」の文字(標準文字)からなり,指定役務を第36類「前払式証票の発行」外とする商標の商標権者(平成23年10月13日登録出願,平成24年4月27日登録)である。なお,原告は,被告が本件商標の登録を出願した後の平成23年10月13日,「全国共通お食事券」の文字(標準文字)からなる商標についても,指定役務を「前払式証票の発行」(出願後,「全国共通の取り扱い店で利用できる食事券の発行」と補正された。)とする登録出願をしたが,平成24年6月11日,拒絶査定をされた(甲85,86)。 (イ) 原告商品は,券面額500円の商品券である(甲4)。原告商品は,平成4年12月1日から発売が開始され,総発行枚数は同月から平成24年3月までで約1億5827万枚であり,平成24年10月時点で全国の3万5000店を超える取扱加盟店で,券面金額と等額で取扱商品と引き換えることができるものである(甲 17,64,65)。 (ウ) 原告商品の券面(表面)の表示は,発売当初は,「ジェフグルメカードお食事券」であったが(甲83,114の1ないし4),発売後約1年以降頃から,「ジェフグルメカード全国共通お食事券」と表示されるようになった(甲4,112)。 変更後の原告商品の外観は,別紙原告商品目録記載のとおりであり(甲17),表面の上部には,「ジェフグルメカード」との記載と,その下段に「全国共通 お食事券」と表示されるようになった(甲4,112)。 変更後の原告商品の外観は,別紙原告商品目録記載のとおりであり(甲17),表面の上部には,「ジェフグルメカード」との記載と,その下段に「全国共通お食事券」との記載があるが,「ジェフグルメカード」の方が「全国共通お食事券」よりも約1. 5倍の大きさの文字であり,表面中央部には,「gourmetcard」の文字を図形化して色彩を付した図形標章と,その下にさらに「ジェフグルメカード」との記載,右下部には,券面額と「株式会社ジェフグルメカード」との記載がある。 また,裏面には,「ジェフグルメカードの使用について」との表題の下に,「全国のジェフグルメカード取扱加盟店にて額面金額と等額で取扱商品とお引換え(販売)致します。」等の使用における注意書きの記載と,その左側に上記図形標章等が記載されているが,「全国共通お食事券」との記載はない。 また,原告商品の販売の際に用いられる専用封筒及びその封印シールには,「gourmetcard」の文字を図形化して色彩を付した図形標章と,その下に「ジェフグルメカード」との表記があるのみで,「全国共通お食事券」の語は表示されていない(甲94)。 (エ) 原告商品が販売される際には,顧客に対し,原告商品の取扱店舗を記載した加盟店リスト(甲21,甲67の1ないし20)ないし加盟店一覧表(甲66の1ないし3)が配布される(具体的記載内容は作成時期によって異なる。)。加盟店一覧表の表紙には,平成4年作成のものには,「ジェフグルメカード」との記載があるのみで,「全国共通お食事券」という表示がなかったが(甲111の1),平成5年頃作成以降の加盟店リストないし加盟店一覧表の表紙には,「全国共通お食事券ジェフグルメカード」との記載がされるようになった(甲66の1ないし3, 」という表示がなかったが(甲111の1),平成5年頃作成以降の加盟店リストないし加盟店一覧表の表紙には,「全国共通お食事券ジェフグルメカード」との記載がされるようになった(甲66の1ないし3,甲67の4ないし16,甲111の2。なお,平成19年2月頃作成分以降は,加盟店リ ストの表紙の「全国共通お食事券」の文字は赤字で表示された。)。しかし,これらの表紙においても,本件商標の登録出願時までは,常に「ジェフグルメカード」の文字の方が「全国共通お食事券」よりも約1.5倍大きい字体で表記されていた(なお,本件商標の登録出願後である平成24年6月頃になってから,加盟店リストの表紙の「全国共通お食事券」の文字と「ジェフグルメカード」の文字が同じ大きさに変更された。甲67の17ないし20)。また,加盟店リストの2枚目以降の加盟店名の冒頭には,平成8年4月作成分までは,「全国共通お食事券ジェフグルメカード加盟社・店舗名」と併記されていたが(甲67の1ないし3),その後は,単に「ジェフグルメカード加盟店情報」とのみ表記された(甲67の4ないし16)。 (オ) 原告商品の利用可能店舗を顧客に示すために原告が加盟店に対して配布し,加盟店舗の出入口等に貼付されるステッカー(以下「原告加盟店ステッカー」という。)は,原告商品の発行当初,楕円形のもので赤線の外枠で囲まれ,その中央部に「gourmetcard」の文字を図形化して色彩を付した図形標章及び下段に赤地に白抜きの文字で「ジェフグルメカード加盟店」との表示がされているもので,「全国共通お食事券」の表示はなかったが(甲115の1・2),平成6年8月頃に「全国共通お食事券」を含むものに変更された(甲112,116)。変更後の原告加盟店ステッカーの外観は,別紙原告加盟店ステッカー目録記載のとお の表示はなかったが(甲115の1・2),平成6年8月頃に「全国共通お食事券」を含むものに変更された(甲112,116)。変更後の原告加盟店ステッカーの外観は,別紙原告加盟店ステッカー目録記載のとおりであり(甲19),楕円形のもので赤線の外枠で囲まれ,その上部に「gourmetcard」の文字を図形化して色彩を付した図形標章の表示があり,その中央部に赤地に白抜きの大きな文字で「全国共通お食事券」との表示があり,その下部に白地に赤色の文字(「全国共通お食事券」よりもポイントの小さい文字)で「ジェフグルメカード」「加盟店」との二段組みの表示がある。 (カ) 原告商品の発売開始時には,新聞において,「全国の外食店共通の食事券」,「全国共通の食事券」あるいは「共通食事券」などの見出しと共に,「日本フードサービス協会は・・全国共通の食事券「ジェフグルメカード」を発行する。」,「食事券は『ジェフグルメカード』名称で,額面500円」などと報道されているものの, 「全国共通お食事券」との表示の記載はなかった(甲11)。原告商品については,その後,①平成7年ないし8年頃に,全国新聞における広告(甲13の1ないし6)や原告商品の購入者に対するプレゼントキャンペーン(販促活動)(甲81)が行われ,②平成10年頃には全国ネットのテレビ番組における出演者の賞品等としてテレビでその画像が放映され(甲12の1ないし4),③平成17年には年賀はがき購入の全国キャンペーン商品として採用されて年賀キャンペーンの案内に掲載された(甲82)。これらにおいては,「全国共通お食事券」との文字の表記はされたものの,いずれにおいても「全国共通お食事券」との表示のみが単独で使用されることはなく,常に「ジェフグルメカード」との表示と共に使用されていた(上記年賀キャンペーンの 食事券」との文字の表記はされたものの,いずれにおいても「全国共通お食事券」との表示のみが単独で使用されることはなく,常に「ジェフグルメカード」との表示と共に使用されていた(上記年賀キャンペーンの案内及びテレビ放映の一部においては,原告商品の券面自体の画像が表示され,これにより「ジェフグルメカード」が表示されていた。)。 一方,原告のウェブサイト上(平成25年2月時点)においては,「ジェフグルメカードを最大10000円分プレゼント」など,原告商品を「ジェフグルメカード」との表記のみで表示している部分があった(甲93の1・2)。 また,平成10年6月から7月に行われた日本経済新聞社の一般消費者に対するギフト券ブランド認知度調査の際は,ギフト券ブランド認知度調査は,「ジェフグルメカード」をブランド名として行われた(甲14,92)。 イ上記認定事実によれば,原告商品は,全国の原告商品の取扱店において共通して利用できる食事券であること,原告商品は,長年にわたり全国的に広く販売されてきたこと,原告は,原告商品につき,当初は,「ジェフグルメカード」,「お食事券」とのみ表示していたが,平成5年頃から,「ジェフグルメカード」と共に,「全国共通お食事券」という表示も使用するようになり,原告加盟店ステッカーにおいては「全国共通お食事券」の文字が中央に大きく表記されるようになったことが認められる。また,本件商標出願時までに,原告商品以外に,「全国共通お食事券」という表示が使用された商品券が発行されていたことは証拠上認められない。 しかし,そもそも,原告商品を指し示す表示として,これまで「全国共通お食事 券」という語が単独で使用されたことはなく,同語は,常に「ジェフグルメカード」という語と併記されて使用されてきたものである(原告も争っていない。) 示す表示として,これまで「全国共通お食事 券」という語が単独で使用されたことはなく,同語は,常に「ジェフグルメカード」という語と併記されて使用されてきたものである(原告も争っていない。)。また,併記の具体的形態をみても,取引者及び一般消費者が最も直接的に原告商品の表示として目にする原告商品の券面(表面)においては,上段の「ジェフグルメカード」の文字の方が「全国共通お食事券」の文字の約1.5倍の大きさの目立つ文字で表記された上,中央部の大きい図形標章も「グルメカード」という文字を表したものとなっており,その下部にも「ジェフグルメカード」とさらに記載され,加盟店リスト及び加盟店一覧表の表紙等にも同様に「ジェフグルメカード」という表示の方が大きく表記されており,「全国共通お食事券」の語よりも看る者の注意を惹くものとなっている(上記ア(ウ),(エ))。さらに,原告加盟店ステッカーにおいても,「全国共通お食事券」が単体で使用されているものではなく,「ジェフグルメカード」の文字標章及び図形標章がその上下に表示されている(同(オ))。そして,前記のとおり,「全国共通お食事券」という語は,「全国で共通して取扱店で利用できる食事券」程度の意味と理解されるものであるから,これを看た者をして,そのような原告商品の品質を記述的に説明したものと認識させる表示であるのに対し,「ジェフグルメカード」という名称は,そのような記述的な表示ではなく,原告商品の発売元(出所)である原告会社名を含む,自他識別力を有するものであり,原告商品を表示する商標として単体で使用されている例(上記(ウ),(エ),(カ))もあるように,原告商品の発売当初から,それのみで原告商品の出所を表示する機能を有するものであることからすれば,「全国共通お食事券」と「ジェフグルメカード」が れている例(上記(ウ),(エ),(カ))もあるように,原告商品の発売当初から,それのみで原告商品の出所を表示する機能を有するものであることからすれば,「全国共通お食事券」と「ジェフグルメカード」が併記されている表示を見た取引者及び需要者としては,「全国共通お食事券」とは,原告商品の記述的,説明的な表示であり,「ジェフグルメカード」の表示の方が原告商品の出所を示すものと認識するものと認められる。 したがって,前記アの認定事実や「全国共通お食事券」という表示を使用した商品券が他に存在したとは認められないことを考慮しても,取引者及び需要者が,「全国共通お食事券」という語が単独で原告商品ないしこれを発行するという原告の役 務についての出所を示す表示であると認識するものとは認められない。 (4) 以上によれば,引用商標は,本件商標の出願時に,原告商品の発行,すなわち「全国で共通して取扱店で利用できる食事券の発行」という原告の役務の出所を表示するものとして,取引者及び需要者に認識されていたとは認められないから,「他人の表示」に当たるとはいえない。したがって,被告が,引用商標をその構成中に含む本件商標をその指定役務に使用しても,その出所について混同を生ずるおそれがあるとは認められず,商標法4条1項15号該当性を否定した審決の認定判断に誤りはない。 (5) 原告の主張についてア原告は,「食事券」とは,「食べ物に利用できる金券」であり,飲食店での食事の提供を受けることができるものに限られないから,「本件役務」とは,「加盟店で利用可能な食事券(前払式証票)の発行」と認定すべきであり,そのように認定した本件役務との関係では,「全国共通お食事券」の語は,直接的かつ具体的に役務の質を記述し,説明する表示に当たるものではなく,「生来的な識別力」 前払式証票)の発行」と認定すべきであり,そのように認定した本件役務との関係では,「全国共通お食事券」の語は,直接的かつ具体的に役務の質を記述し,説明する表示に当たるものではなく,「生来的な識別力」を有し得る表示であるから,審決の認定は誤っていると主張する。 原告の主張するところは必ずしも明らかではないが,審決が,本件役務(引用商標の語が使用されている原告の役務)を,「加盟契約をしている全国の飲食店において食事の提供を受けることができる前払式証票の発行」と認定したことについて,「飲食店」とは,店内で飲食できる店に限られるとの前提の下,原告商品は,上記審決の認定に係る役務よりも広い範囲で利用可能なものであるから,審決は本件役務の特定を誤っているし,「全国共通お食事券」の語は,このような正しい原告の役務の質を「直接的かつ具体的に」に記述するものではない,との主張をするものと解することができる。 確かに,原告商品は,弁当販売店やピザ宅配専門店等においても使用できるものであるから(甲67の6ないし16),「飲食店」についての上記原告の解釈を前提とすると,本件役務を,「加盟契約をしている全国の飲食店において食事の提供を受 けることができる前払式証票の発行」と認定した審決の認定は正確性を欠くとはいえる。しかし,上記(2)イのとおり,「全国共通お食事券」の語は,「全国で共通して取扱店で利用できる食事券」と理解されるものであり,原告の役務は,「全国で共通して取扱店で利用できる食事券」である原告商品を発行するというものであるから,同語は,原告の役務の質を直接的に記述したものといえる。したがって,同語が,原告の役務の質を「直接的かつ具体的に」に記述するものではない,との上記原告の主張は理由がない。 また,原告は,「全国共通お食事券」から生じる 質を直接的に記述したものといえる。したがって,同語が,原告の役務の質を「直接的かつ具体的に」に記述するものではない,との上記原告の主張は理由がない。 また,原告は,「全国共通お食事券」から生じる記述的な意味合いは,「全国のどこにおいても,どれにも通用する,食べ物に利用できる金券」であるとも主張するが,前記認定のとおり,社会通念上,「食事券」とは,その取扱店でのみ利用できるものであることは明らかであり,同主張を採用することはできない。 イ原告は,加盟店リスト,原告商品の券面,原告加盟店ステッカー等において,「全国共通お食事券」と「ジェフグルメカード」のうちのいずれかの表示を目にするときには,他の表示も必然的に目に入り,両者が結びつくような表示態様を採ってきており,その結果,「全国共通お食事券」という語は,「ジェフグルメカード」を指称する又はジェフグルメカードと関係がある出所識別標識として機能するに至ったと主張する。 しかし,前記(3)イのとおり,両者が常に併記されているとしても,「全国共通お食事券」の語から理解される一般的な意味,併記されている「ジェフグルメカード」という表示が単独で原告商品の出所表示機能を有すること,及び両語の具体的な併記の態様からすれば,これを看た取引者及び需要者としては,「ジェフグルメカード」とは「全国共通お食事券」という内容のものである,と理解するだけであり,「全国共通お食事券」という表示が,「ジェフグルメカード」という特定の原告商品のみを指し示す表示であると認識するものとは認められない。したがって,原告の上記主張を採用することはできない。 ウ原告は,①原告商品の加盟社128社が被告代表者宛に出した抗議文中にも, 「全国共通お食事券」といえば「ジェフグルメカード」と認識されるとの記述があるこ 張を採用することはできない。 ウ原告は,①原告商品の加盟社128社が被告代表者宛に出した抗議文中にも, 「全国共通お食事券」といえば「ジェフグルメカード」と認識されるとの記述があること,②実際の取引の現場においては,原告の注意喚起にもかかわらず,原告商品と被告商品を取り違える事態が生じており,このことは,引用商標の認知度を示しているなどと主張して,引用商標は,外食産業のギフトカードの分野において,遅くとも本件商標の出願日には,原告商品を指称する出所識別標識として広く一般に認識されるに至っていたと主張する。 しかし,引用商標が,原告商品を指称する出所識別標識として一般に認識されるに至っていたとは認められないことは前記認定のとおりである。また,上記②の取り違えの内容は,全国の原告商品の加盟店で,平成25年4月から7月の間に合計8件,それ以前に合計5件,被告商品を顧客から誤って提示され,又は受領したという報告を受けたという程度のものであり(甲45ないし52),引用商標が原告商品を表示するものとして広く一般的に認識されていたことを証するものとはいえない。以上によれば,原告の指摘する上記①,②の事実をもって上記認定を覆すには足りず,原告の上記主張を採用することはできない。 2 取消事由3(商標法4条1項10号該当性判断の誤り)について商標法4条1項10号は,「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標」を前提とした規定であるところ,前記1(2)ないし(5)で認定,判断したところによれば,引用商標である「全国共通お食事券」は,そもそも原告の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないから,本件商標が,商標法4条1項10号の たところによれば,引用商標である「全国共通お食事券」は,そもそも原告の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないから,本件商標が,商標法4条1項10号の規定に違反して登録されたとの審決の判断に誤りはない。 したがって,同号該当性判断の誤りをいう原告の主張は理由がない。 3 取消事由4(商標法4条1項16号該当性判断の誤り)原告は,「全国共通お食事券」の語を,「加盟契約をしている全国の飲食店における飲食物の提供役務の代金の支払に充当することができる前払式証票としての食事券」と解釈するならば,「食事券の発行」を指定役務とする本件商標は,「加盟契約 をしている全国の飲食店における飲食物の提供役務の代金の支払に充当することができる前払式証票としての食事券」以外の食事券の発行との関係では,役務の質の誤認を生じさせる商標に該当する,との判断がなされなければならないのに,審決は同判断を欠いていると主張する。 しかし,「全国共通お食事券」の語が,「全国で共通して取扱店で利用できる食事券」と理解されることは前記1(2)イのとおりである。もっとも,原告の主張する趣旨は,本件商標を,その指定役務である「食事券の発行」のうち,「全国で共通して取扱店で利用できる食事券」以外の食事券の発行に使用するときには,役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるというものとも解される。しかし,「食事券の発行」との指定役務について,「全国で共通して取扱店で利用できる食事券の発行」以外の食事券の発行(例えば,「全国で共通して非取扱店でも利用できる食事券の発行」などの役務)は,実際にはおよそ考え難いことからすれば,本件商標が,指定役務を「全国共通の取扱店で利用できる食事券の発行」に限定していなくとも,役務の質の誤認を生じ 扱店でも利用できる食事券の発行」などの役務)は,実際にはおよそ考え難いことからすれば,本件商標が,指定役務を「全国共通の取扱店で利用できる食事券の発行」に限定していなくとも,役務の質の誤認を生じさせるおそれがあると認めることはできない(原告自身,「ジェフグルメカード全国共通お食事券」という商標について,指定役務を「前払式証票の発行」とする商標登録をしており,同商標中の「全国共通お食事券」という表示が,当該指定役務との関係で役務の質の誤認を生じさせるものとは解していないものと考えられる。)。 したがって,原告の主張する点について審決が判断していないとしても,その点が,本件商標が商標法4条1項16号に該当しないとの審決の結論を左右するものではなく,同号該当性についての審決の判断を取り消すべきであるとの原告の主張は理由がない。 4 取消事由5(商標法4条1項19号該当性判断の誤り)原告は,引用商標が自他役務識別力及び周知性を有することを前提として,商標法4条1項19号該当性についての審決の判断は誤りであると主張する。 しかし,引用商標が,原告の役務を表示するものとして取引者及び需要者に認 識されている商標とは認められないことは前記1(2)ないし(5)で判示したとおりであるから,その余の点について判断するまでもなく,本件商標が同号に該当しないとの審決の判断に誤りはなく,原告の主張は理由がない。 5 取消事由6(商標法4条1項7号該当性判断の誤り)について原告は,本件商標は,その出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に当たるから,商標法4条1項7号に該当するのに,これに該当しないとの審決の判断は誤っていると主張する。 原告の主張は, ることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に当たるから,商標法4条1項7号に該当するのに,これに該当しないとの審決の判断は誤っていると主張する。 原告の主張は,引用商標に原告の信用が化体されており,被告は,引用商標と同一の表示を含む本件商標を出願,使用することにより原告の信用を借用,ただ乗りしようとしているとの理解を前提とするものである。しかし,引用商標が原告の役務を表示するものとして取引者及び需要者の間に認識されているとは認められないことは前記1(2)ないし(5)で判示したとおりであるから,引用商標に原告の信用が化体されているということはできず,引用商標を含む本件商標を出願することが,社会的相当性を欠くものであるとも,本件商標の登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するとも認められない。 したがって,本件商標が商標法4条1項7号に該当しないとの審決の判断に誤りはなく,原告の主張を採用することはできない。 6 以上のとおり,原告の各取消事由の主張にはいずれも理由がなく,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官設樂一 裁判官大寄麻代 裁判官平田晃史 別紙原告商品目録 別紙原告加盟店ステッカー目録 告加盟店ステッカー目録
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