令和5 年4 月13 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和3 年(ワ)第6147 号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和5 年2 月10 日判決 原告帝國纎維株式会社 同訴訟代理人弁護士木村和也同坂本哲也同水沼 淳 同訴訟代理人弁理士境澤正夫 被告日本機械工業株式会社 同訴訟代理人弁護士堀籠佳典 同服 部 謙太朗同岡 田 健太郎同訴訟代理人弁理士福田伸一同水﨑 慎同補佐人弁理士高橋克宗 同伊藤 表 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は、別紙被告製品目録1 及び同目録2 記載の各物件を製造し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸出し、又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 2 被告は、前項記載の各製品及びその半製品を廃棄せよ。 3 被告は、原告に対し、7 億8705 万円及びこれに対する令和3 年4 月8 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、発明の名称を「大容量送水システム」とする発明についての特許(以下「本件特許」といい、その特許請求の範囲請求項1 記載の特許発明を「本件 支払え 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、発明の名称を「大容量送水システム」とする発明についての特許(以下「本件特許」といい、その特許請求の範囲請求項1 記載の特許発明を「本件発明」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)の特許権者であ る原告が、①別紙被告製品目録1 及び同目録2 記載の各製品(以下、それぞれ「被告製品1」、「被告製品2」といい、被告製品1 及び2 を併せて「被告各製品」という。)はいずれも本件発明の技術的範囲に属するから、被告による被告各製品の製造、販売等は本件特許権の侵害に当たる旨、及び、②仮に被告が被告製品2 を構成する燃料供給装置を販売していないとしても、後記被告送水車 2 及び被告ホース車両の販売については間接侵害(特許法(以下「法」という。) 101 条2 号)が成立する旨を主張して、本件特許権に基づく被告各製品等の製造、販売等の差止め(法100 条1 項)及び廃棄(同条2 項)を求めると共に、不法行為による損害賠償請求権(民法709 条、損害額につき法102 条1 項)に基づき、合計7 億8705 万円の損害賠償及びこれに対する不法行為後である令 和3 年4 月8 日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲の証拠(以下、書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者 原告は、消防ホース及び各種消防・防災機器・救急救命器具・防災用品の 製造・販売・設置及び保守・点検・修理、消防・救急救助用車両・その他特殊車両等の製造・架装・販売及び保守・点検・修理等を目的とする株式会社で 種消防・防災機器・救急救命器具・防災用品の 製造・販売・設置及び保守・点検・修理、消防・救急救助用車両・その他特殊車両等の製造・架装・販売及び保守・点検・修理等を目的とする株式会社であり、エネルギー・産業基盤災害向け防災特殊車輛等を製造販売している。 被告は、消防ポンプ自動車の製造販売等を主な目的とする株式会社である。 (2) 本件特許権 原告は、次の特許権(本件特許権)を有している(甲10。本件特許に係る明細書及び図面を「本件明細書」という。)。 登録番号特許第5695790 号発明の名称大容量送水システム出願日平成26 年10 月16 日 出願番号特願2014-211320 号登録日平成27 年2 月13 日特許請求の範囲(請求項1)(a) 取水用水中ポンプ、油圧ホースを介して該取水用水中ポンプを駆動するディーゼルエンジン、該ディーゼルエンジンの燃料を貯蔵するタ ンクでありかつ該タンク内の燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサーが付設された燃料タンク、および前記取水用水中ポンプにより取水した水を吐水する吐水機構を少なくとも積載した大容量送水車輌、(b) 該大容量送水車輌と別個に設けられた燃料備蓄タンク、 (c) 該燃料備蓄タンクと前記大容量送水車輌の間に設けられ、かつ、前記燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料残量レベル信号に基づいて、前記燃料備蓄タンク内に備蓄されている燃料の前記燃料タンクへの供給と停止をオン・オフ制御により自動的に行う自動供給ポンプ機構、 を少なくとも有して構成されてなることを特徴とする大容量送水システ ム。 (3) 本件発明の構成要件の分説A1 取水用水中ポンプ、 により自動的に行う自動供給ポンプ機構、 を少なくとも有して構成されてなることを特徴とする大容量送水システ ム。 (3) 本件発明の構成要件の分説A1 取水用水中ポンプ、A2 油圧ホースを介して該取水用水中ポンプを駆動するディーゼルエンジン、 A3 該ディーゼルエンジンの燃料を貯蔵するタンクでありかつ該タンク内の燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサーが付設された燃料タンク、A4 および前記取水用水中ポンプにより取水した水を吐水する吐水機構A5 を少なくとも積載した大容量送水車輌、 B 該大容量送水車輌と別個に設けられた燃料備蓄タンク、C 該燃料備蓄タンクと前記大容量送水車輌の間に設けられ、かつ、前記燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料残量レベル信号に基づいて、前記燃料備蓄タンク内に備蓄されている燃料の前記燃料タンクへの供給と停止をオン・オフ制御により自動的に行う自動供給ポ ンプ機構、D を少なくとも有して構成されてなることを特徴とする大容量送水システム。 (4) 被告による被告送水車1 及び被告燃料供給装置1 の販売東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)は、原告及び被告に対し、 平成26 年11 月28 日付け「『KK 大容量送水車他(新基準)』に関する事前価格調査依頼について」と題する書面(甲6 の1)を交付し、柏崎刈羽原子力発電所における原子炉又は使用済み燃料プール内の炉心損傷によって建屋外へ放出される放射性物質の拡散抑制を目的とする、自動供給装置を含む大容量送水車輌等に係る価格及び納品時期の見積りを依頼した。 被告は、東京電力に対し、同社作成の平成26 年12 月8 日付け「購入追加 仕様書」(甲1 する、自動供給装置を含む大容量送水車輌等に係る価格及び納品時期の見積りを依頼した。 被告は、東京電力に対し、同社作成の平成26 年12 月8 日付け「購入追加 仕様書」(甲11)に基づいて、①大容量送水車(品番:34112。以下「被告送水車1」という。)5 台及び②燃料供給装置(品番:34112。以下「被告燃料供給装置1」という。)5 セットを販売した。「自動燃料供給装置全体系統図」(別紙全体系統図。乙1。以下「全体系統図」という。)、「燃料供給装置取扱説明書」(乙3。以下「被告説明書1」という。)及び「大容量送水車取扱説明書」 (乙4。以下「被告説明書2」という。)は、いずれも被告送水車1 及び被告燃料供給装置1 に関するものである。 (5) 被告による被告ホース車両及び被告送水車2 の販売被告は、平成25 年12 月9 日付け「購入仕様書」(甲7 の2)に基づき、可搬型送水設備用ホース車両2 台(以下「被告ホース車両」という。)を販売し、 また、同日付け「購入仕様書」(甲7 の3)及び平成26 年2 月28 日付け「購入仕様書(内容変更)」(乙2。以下「乙2 文献」という。)に基づき、可搬型送水ポンプ車両2 台 (以下「被告送水車2」という。)を販売した。なお、被告ホース車両及び被告送水車2 の販売先は証拠上明らかでない。 (6) 被告製品1 の構成 別紙「被告製品1 の構成(原告の主張)」記載の原告主張に係る被告製品1の構成のうち、被告送水車1 が構成a1-1、a1-2、a1-4 及びa1-5 を備え、これらの構成が構成要件A1、A2、A4 及びA5 をそれぞれ充足すること、被告燃料供給装置1 が構成b1 を備え、この構成が構成要件B を充足することは、当事者間に争いがない。 を備え、これらの構成が構成要件A1、A2、A4 及びA5 をそれぞれ充足すること、被告燃料供給装置1 が構成b1 を備え、この構成が構成要件B を充足することは、当事者間に争いがない。 (7) 被告製品2 の構成被告製品2 は、別紙被告製品目録2 記載のとおり、被告送水車2 及び被告ホース車両からなるものであるところ、被告送水車2 は、被告送水車1 と同じ構成を有する。 3 争点 (1) 被告各製品の本件発明に係る構成要件充足性等 ア被告製品1(ア) 構成要件A3 の充足性(争点1-1)被告送水車1 の車両燃料タンクに付設されたレベルスイッチは、同タンク内の燃料残量レベルを常時検知するものといえるか(イ) 構成要件C の充足性(争点1-2) 被告燃料供給装置1 の燃料タンクへの燃料の供給と停止の制御は、燃料残量レベル信号に基づいてされているといえるか(ウ) 構成要件D の充足性(争点1-3)被告送水車1 と被告燃料供給装置1 とが、組み合わされた「システム」といえるか イ被告製品2(ア) 本件発明の技術的範囲への属否(争点2-1)(イ) 間接侵害の成否(争点2-2)(2) 無効の抗弁の成否(争点3)ア無効理由1(争点3-1) 乙2 を主引例とする新規性又は進歩性欠如の有無イ無効理由2(争点3-2)乙20 を主引例とする進歩性欠如の有無ウ無効理由3(争点3-3)乙19 を主引例とする進歩性欠如の有無 (3) 消滅時効の抗弁の成否(争点4)(4) 原告に生じた損害及び損害額(争点5)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1(構成要件A3 の充足性)について(原告の主張) (1) 効の抗弁の成否(争点4)(4) 原告に生じた損害及び損害額(争点5)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1(構成要件A3 の充足性)について(原告の主張) (1) 被告送水車1 の構成 被告送水車1 は、構成a1-1、a1-2、a1-4 及びa1-5 に加え、別紙「被告製品 1 の構成(原告の主張)」記載の構成a1-3-1 及びa1-3-2 を有する。 (2) 本件発明の構成要件A3 の充足構成a1-3-1 及びa1-3-2 のレベルスイッチ(フロートスイッチ)は、該タンク内の燃料量がLow になったときの液面レベルとFull になったときの液面 レベルを常時検知しているから、本件発明の「燃料残量計センサー」(構成要件A3)に該当する。 したがって、被告送水車1 の構成a1-3-1 及びa1-3-2 は、本件発明の構成要件A3 を充足する。 (被告の主張) (1) 被告送水車1 の構成被告送水車1 の構成のうち、原告主張に係る構成a1-3-1 及びa1-3-2 に相当するものは、以下のとおりである。 a1-3-1’ 車両エンジンの燃料を貯蔵する燃料タンクであり、かつ、該タンク内の燃料量がLow になったときとFull になったときにそれぞれ 所定の回路を閉じる(電流を流す)レベルスイッチ(フロートスイッチ)が付設された車両燃料タンクであって、a1-3-2’ 車両燃料タンク内の燃料量がLow になり、前記レベルスイッチが、燃料タンクへの燃料補給管路に設けられた燃料受入口バルブを「開」にする回路に電流を流すと、燃料受入口バルブは開弁し、燃料タンク への燃料注入が許容されて、燃料供給装置からの燃料の補給(注入)が開始され、車両燃料タンク内の燃料量がFu 口バルブを「開」にする回路に電流を流すと、燃料受入口バルブは開弁し、燃料タンク への燃料注入が許容されて、燃料供給装置からの燃料の補給(注入)が開始され、車両燃料タンク内の燃料量がFull になり、前記レベルスイッチが、燃料タンクへの燃料補給管路に設けられた燃料受入口バルブを「閉」にする回路に電流を流すと、燃料受入口バルブは閉弁し、燃料タンク への燃料注入が拒絶されて、燃料供給装置からの燃料の供給(注入) が停止される、車両燃料タンク、(2) 構成要件A3 の非充足被告送水車1 のレベルスイッチは、タンク内の燃料量がLow になったときとFull になったときに所定の回路を閉じる(電流を流す)だけであり(構成a1-3-1’)、「該タンク内の燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサー」 (構成要件A3)に当たらない。 したがって、被告送水車1 の構成a1-3-1’及びa1-3-2’は、本件発明の構成要件A3 を充足せず、被告送水車両1 と被告燃料供給装置1 を組み合わせたものも同様である。 2 争点1-2(構成要件C の充足性)について (原告の主張)(1) 被告燃料供給装置1 の構成被告燃料供給装置1 は、構成b1 に加え、別紙「被告製品1 の構成(原告の主張)」記載の構成c1 を有する。 (2) 構成要件C の充足 被告製品1 の構成c1 のうち、「フロートスイッチによって常時検知されて送られてくる燃料の残量がFull となったとき、その燃料受入口バルブが開となることによって補給管路内の圧力が上昇し、一定時間(5 分間)継続したことを検知すると、燃料供給を停止」するという点、及び「フロートスイッチによって常時検知されて送られる燃料の残量がLow が開となることによって補給管路内の圧力が上昇し、一定時間(5 分間)継続したことを検知すると、燃料供給を停止」するという点、及び「フロートスイッチによって常時検知されて送られる燃料の残量がLow となったとき、その燃 料受入口バルブが閉となることにより生じる同圧力の低下を検知すると、燃料供給を再開する」という点は、本件発明の構成要件C3 の「燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料残量レベル信号に基づいて、前記燃料備蓄タンク内に備蓄されている燃料の前記燃料タンクへの供給と停止をオン・オフ制御により自動的に行う」に該当する。 すなわち、被告製品1 においては、燃料タンクユニット(受け入れ側)の 燃料タンクに設けられたレベルスイッチが、燃料タンク内の燃料残量レベルを常時検知した上で、検知した燃料残量レベルの増減に基づく補給管路内の圧力の変化が被告燃料供給装置1 に伝達されており、被告燃料供給装置1 は、レベルスイッチから伝達された燃料残量レベル信号に基づいて燃料供給の継続、停止を行っているといえる。 したがって、被告燃料供給装置1 の燃料タンクへの燃料の供給と停止の制御は燃料残量レベル信号に基づいてされているといえるから、被告燃料供給装置1 の構成c1 は、本件発明の構成要件C を充足する。 (被告の主張)(1) 被告燃料供給装置1 の構成 被告燃料供給装置1 の構成のうち、原告主張に係る構成c1 に相当するものは、以下のとおりである。 c1’ 前記燃料備蓄タンクと大容量送水車の間に設けられ、最大4 つの送水車両の燃料タンクに接続が可能であり、補給管路内の圧力の上昇が一定時間(5 分間)継続したことを検知すると、燃料補給ポンプの 動作を停止し、同圧力の低 量送水車の間に設けられ、最大4 つの送水車両の燃料タンクに接続が可能であり、補給管路内の圧力の上昇が一定時間(5 分間)継続したことを検知すると、燃料補給ポンプの 動作を停止し、同圧力の低下を検知すると、燃料補給ポンプの動作を再開する燃料供給装置(2) 構成要件C の非充足被告燃料供給装置1 の圧力スイッチ(PS-01)が検知する補給管路内の圧力の上昇及び低下は、燃料タンクにおける燃料の残量の変化に基づき生じる ものではない。被告燃料供給装置1 に接続された全ての燃料タンクの燃料注入口バルブが閉じられると、全ての経路での燃料吐出が締め切られて、締切運転状態となり、補給管路内の圧力の上昇が生じるが、この圧力の上昇は、単に、全ての燃料タンクの燃料注入口バルブを閉じることによって生じるのであって、燃料タンクにおける燃料の残量の変化に基づき生じるのではない。 また、燃料受入口バルブの閉弁・開弁の状態とタンク内の燃料量に直接の関 係はない。 加えて、被告送水車1 のレベルスイッチ(フロートスイッチ)は、燃料タンク内の燃料量がLow になったときとFull になったときに所定の回路を閉じる(電流を流す)だけであり、燃料の残量(レベル)を常時検知しているわけではないし、Low でもFull でもないときは、回路に電流を流すことは なく、何らの信号も発しない(燃料の残量が変化しても、開弁/閉弁状態は変化しない。)。 以上のとおり、被告送水車1 の車両エンジン用燃料タンクの「燃料の残量」は、本件発明の「燃料残量レベル信号」に当たらず、また、前記のとおり、被告送水車1 のレベルスイッチは「常時検知する燃料残量計センサー」(構成 要件A3)ではないから、該レベルスイッチの動作をもって「燃料残量計セン レベル信号」に当たらず、また、前記のとおり、被告送水車1 のレベルスイッチは「常時検知する燃料残量計センサー」(構成 要件A3)ではないから、該レベルスイッチの動作をもって「燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる」ともいえない。さらに、被告送水車 1 及び被告燃料供給装置1 において、「燃料の前記燃料タンクへの供給と停止」の「オン・オフ制御」は被告送水車1 内において完結しており、かつ、被告燃料供給装置1 は、燃料残量レベル信号「に基づいて」「燃料の前記燃料 タンクへの供給と停止をオン・オフ制御により自動的に行う」ものでもない。 したがって、被告燃料供給装置1 の構成c1’は本件発明の構成要件C を充足せず、被告送水車両1 と被告燃料供給装置1 を組み合わせたものも同様である。 3 争点1-3(構成要件D の充足性) (原告の主張)「システム」とは、「複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体」を意味する。被告送水車1 及び被告燃料供給装置1 は、「柏崎刈羽原子力発電所に放水設備を設置し、原子炉又は使用済み燃料プール内の炉心損傷によって建屋外へ放出される放射性物質の拡散抑制 を目的とする」ものであることなどから、仮に別々の品目であるとしても、一 体として利用されるシステムそのものであり、本件発明の構成要件D を充足する。 (被告の主張)被告が販売したのは被告送水車1(5 台)と被告燃料供給装置1(5 セット)に過ぎず、両者が一体となったシステムを販売したわけではない。そもそも、 被告送水車1 は、送水車両の一種であり、単独での使用が可能であるし、被告燃料供給装置1 は、基本的にどのような送水車両でも燃料タンクに接続可能な汎用的な ムを販売したわけではない。そもそも、 被告送水車1 は、送水車両の一種であり、単独での使用が可能であるし、被告燃料供給装置1 は、基本的にどのような送水車両でも燃料タンクに接続可能な汎用的な装置である。納入後に必ず被告送水車1 が被告燃料供給装置1 に接続されるものでもない。 したがって、被告送水車1 及び被告燃料供給装置1 は1 つの「システム」で はなく、本件発明の構成要件D を充足しない。 4 争点2-1(被告製品2 に係る本件発明の技術的範囲への属否)について(原告の主張)被告製品2 は、被告製品1 と同一の構成を有している。したがって、被告製品2 は、本件発明の技術的範囲に属する。 (被告の主張)否認ないし争う。 被告は、被告製品2 を販売していない。被告製品目録2 記載の各仕様書に基づき販売されたのは、被告ホース車両及び被告送水車2 であり、燃料供給装置は含まれていない。また、被告ホース車両は、送水機能を備えないホースを搬送する ための車両に過ぎない。さらに、被告送水車2 は被告送水車1 と同じ構成を有するが、被告送水車1 は本件発明の構成要件を充足しない。 したがって、いずれにせよ被告製品2 は、本件発明の技術的範囲に属しない。 争点2-2(間接侵害の成否)について(原告の主張) 仮に、被告が中部電力株式会社(以下「中部電力」という。)浜岡原発向けに 燃料供給装置を販売していないとしても、被告が被告ホース車及び被告送水車 2 を販売した行為については、以下のとおり、間接侵害(法101 条2 号)が成立する。 (1) 「その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)」の要件を充足すること 被告が中部電力 、以下のとおり、間接侵害(法101 条2 号)が成立する。 (1) 「その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)」の要件を充足すること 被告が中部電力浜岡原発向けに販売した被告ホース車及び被告送水車2 は、燃料備蓄タンク及び自動供給ポンプ機構と併せて加工され、組み立てられ、これによって、大容量送水システムという、本件特許権の構成要件を全て充足する物が生産されている。 したがって、被告が販売した被告ホース車及び被告送水車2 は、大容量送 水システムという「物の生産に用いる物」に該当する。 (2) 「その発明による課題の解決に不可欠なもの」の要件を充足すること本件発明の目的は、大型機器・設備の冷却や消火活動等のために必要な大量の水を確実に連続的に大量に送水することを実現する大容量送水システムを提供することにあり、特に、取水用のポンプの稼働を確実に継続して実現 する大容量送水システムと、該システムを使用した具体的な大容量送水方法を提供することにある。この目的を達成するためには、実際に送水を行う大容量送水車両の存在が必要不可欠であることから、被告ホース車及び被告送水車2 は、本件特許権の技術手段を特徴付けている特有の構成をもたらす特徴的な部材といえる。 したがって、被告ホース車及び被告送水車2 は、本件発明における課題の解決に不可欠なものに該当する。 (3) 「その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら」の要件を充足すること東日本大震災を契機に、原子力発電所においては、震災を含む災害時への 対応の中でも、大型機器・設備の冷却や消火活動等のために必要な大量の水 を送水することを可能にするシステムの重要性が強く 災を契機に、原子力発電所においては、震災を含む災害時への 対応の中でも、大型機器・設備の冷却や消火活動等のために必要な大量の水 を送水することを可能にするシステムの重要性が強く認識されるに至った。 このような需要の高まりにより、原告及び被告のように送水車両の販売を業とする事業者は、技術開発、電力会社との契約獲得に向けた激しい競争を繰り広げていた。そのような折に出願公開され、登録された本件特許権は、原子力発電所向けの送水車両の販売を業とする同業者にとっては注目すべきニ ュースであり、本件特許権の存在は、被告を含む同業者が当然に知るところとなった。 一方で、本件特許権である大容量送水システムは、取引額及び利益率が非常に高い。また、原子力発電所という性質上取引の秘匿性は高く、一旦原子力発電所に納品されてしまえばその所在を明らかにすることも困難という性 質を有する。 このような事情から、被告は、本件特許権の存在並びに被告ホース車及び被告送水車2 が本件発明の実施に用いられることを知りながら、被告ホース車及び被告送水車2 を販売したものである。 (4) 「業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為」 の要件を充足すること被告が被告ホース車及び被告送水車2 を販売する行為は、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為に該当する。 (被告の主張)否認ないし争う。 前記のとおり、被告送水車1と被告燃料供給装置1とを組み合わせたものは、本件発明の技術的範囲に属さない。そうすると、仮に、被告送水車2 と被告燃料供給装置1 を組み合わせたとしても、本件発明の技術的範囲に属さない。したがって、被告ホース車及び被告送水車2 を製造販売する行為について、本件発明 ない。そうすると、仮に、被告送水車2 と被告燃料供給装置1 を組み合わせたとしても、本件発明の技術的範囲に属さない。したがって、被告ホース車及び被告送水車2 を製造販売する行為について、本件発明の間接侵害は成立しない。 また、原告が被告に対し本件発明について最初に通知(警告)したのは平成 27 年8 月10 日付け通知書であるが、同日以降に、被告が被告送水車2 を販売した事実はない。したがって、被告送水車2 の販売について間接侵害(法101条2 号)が成立する余地はない。 6 争点3-1(無効理由1)について(被告の主張) (1) 乙2 発明乙2 文献は、中部電力が調達しようとする設備の仕様を納入業者に対して示した平成25 年12 月9 日付け「購入仕様書」につき変更された内容(仕様)を示したものであり、本件特許出願日以前の平成26 年2 月28 日頃、被告その他の納入業者に対し、守秘義務を負わせることなく頒布されたもので ある。 乙2 文献には、以下の発明(以下「乙2 発明」という。)が記載されている。 a3-1-1 水中ポンプ、a3-1-2 水中ポンプを駆動するディーゼルエンジン、 a3-1-3 ディーゼルエンジンの燃料を貯蔵する燃料タンクであり、かつ、少なくともタンク内の燃料残量レベルがlow レベルとなったこととhigh レベルとなったことを検知するセンサー(液面計又はレベルスイッチ)が付設された燃料タンク、a3-1-4 水中ポンプにより取水した水を吐水する送水ポンプ a3-1-5 を積載した、容量が1460m3/h 以上、揚程が120m 以上の可搬型送水ポンプ車両、b3-1 可搬型送水ポンプ車両に積載されていない外部燃料備蓄タンク、c3-1 外部 a3-1-5 を積載した、容量が1460m3/h 以上、揚程が120m 以上の可搬型送水ポンプ車両、b3-1 可搬型送水ポンプ車両に積載されていない外部燃料備蓄タンク、c3-1 外部燃料備蓄タンクと大容量送水車両の間に設けられ、燃料を補給する(燃料タンクへの補給管路に燃料吐出圧力を印加する)外部燃料供 給機構と、可搬型送水ポンプ車両に積載され、前記センサー(液面計又 はレベルスイッチ)によりタンク内の燃料残量レベルにつき、low レベルが検知されるとon となり、残量レベルhigh が検知されるとoff となる燃料補給用の弁、d3-1 を有する送水システム(2) 一致点及び相違点 ア一致点a3-1-1 取水用水中ポンプ、a3-1-2 該取水用水中ポンプを駆動するディーゼルエンジン、a3-1-3 該ディーゼルエンジンの燃料を貯蔵するタンクでありかつ該タンク内の燃料残量レベルを検知するセンサーが付設された燃料タンク、 およびa3-1-4 前記取水用水中ポンプにより取水した水を吐水する吐水機構a3-1-5 を少なくとも積載した大容量送水車輌、b3-1 該大容量送水車輌と別個に設けられた燃料備蓄タンク、c3-1 該燃料備蓄タンクと前記大容量送水車両の間に設けられた、供給 ポンプ機構d3-1 を少なくとも有して構成されてなることを特徴とする大容量送水システム。 イ相違点本件発明と乙2 発明は、以下の点で形式的に相違する。 (ア) 相違点3-1-1本件発明では、「油圧ホースを介して該取水用水中ポンプを駆動する」であるのに対し、乙2 発明では、取水用のポンプが「油圧ホースを介して」駆動するものであるか不明である点(イ) 相違点3-1-2 発明では、「油圧ホースを介して該取水用水中ポンプを駆動する」であるのに対し、乙2 発明では、取水用のポンプが「油圧ホースを介して」駆動するものであるか不明である点(イ) 相違点3-1-2 「燃料タンク」の燃料残量レベルに係るセンサーにつき、本件発明で は、「該タンク内の燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサー」であるのに対し、乙2 発明では、少なくともタンク内の燃料残量レベルがlow レベルとなったこととhigh レベルとなったことを検知するセンサー(液面計又はレベルスイッチ)である点(ウ) 相違点3-1-3 「前記燃料備蓄タンク内に備蓄されている燃料の前記燃料タンクへの供給と停止」につき、本件発明では、「該燃料備蓄タンクと前記大容量送水車輌の間に設けられ」た「自動供給ポンプ機構」が、「前記燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料残量レベル信号に基づいて、」「オン・オフ制御により自動的に行う」のに対し、乙2 発明では、 大容量送水車両が積載した「燃料タンク」の燃料受入口バルブが、「前記燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料残量レベル信号に基づいて、」「オン・オフ制御により自動的に行う」ものである点(3) 相違点の検討ア相違点3-1-1 について 乙19~乙23 によれば、ディーゼルエンジンが取水用水中ポンプを駆動する場合に、油圧ホースを介することは技術常識である。したがって、相違点3-1-1 は実質的な相違点ではない。 仮に、相違点3-1-1 を相違点とみたとしても、乙9 及び乙12~15 によれば、ディーゼルエンジンが取水用水中ポンプを駆動する場合に、油圧ホ ースを介することは周知慣用の技術であって、相違点3-1-1 に係る本件発明 点とみたとしても、乙9 及び乙12~15 によれば、ディーゼルエンジンが取水用水中ポンプを駆動する場合に、油圧ホ ースを介することは周知慣用の技術であって、相違点3-1-1 に係る本件発明の構成は当業者にとって容易に想到し得る。 イ相違点3-1-2 について乙2 発明では、「燃料タンク」の燃料残量レベルに係るセンサーは、少なくともタンク内の燃料残量レベルがlow レベルとなったこととhigh レベ ルとなったことを検知するセンサーであるものの、それが、液面計である かレベルスイッチであるかは特定されていない。 しかし、本件発明における「該タンク内の燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサー」は液面計だけでなくレベルスイッチをも包含するとする原告の主張を前提にするならば、乙2 発明の「少なくともタンク内の燃料残量レベルがlow レベルとなったこととhigh レベルとなったこと を検知するセンサー」は、それが液面計であってもレベルスイッチであっても、本件発明の「該タンク内の燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサー」に該当する。 したがって、相違点3-1-2 は実質的な相違点ではない。 仮に、相違点3-1-2 を相違点と考えたとしても、タンク内の液体の残量 を検知するセンサーとして液面計を採用するかレベルスイッチを採用するかは当業者が適宜選択できる事項に過ぎないから、いずれにせよ、相違点3-1-2 は実質的な相違点でないか、その点に係る本件発明の構成は当業者にとって容易に想到し得る。 ウ相違点3-1-3 について ポンプ等の送液装置において、締切運転を防止するために、配管内の圧力変動を圧力スイッチ等で検出し、ポンプを自動的に駆動停止することは、周知慣用の技術である。 送 違点3-1-3 について ポンプ等の送液装置において、締切運転を防止するために、配管内の圧力変動を圧力スイッチ等で検出し、ポンプを自動的に駆動停止することは、周知慣用の技術である。 送水車両側の燃料受入口において燃料供給のオン・オフ制御を行い、燃料供給装置側で締切運転防止を行うことが本件発明の技術的範囲に属す るという原告の主張を前提とすれば、乙2 発明に上記周知慣用の技術を組み合わせることにより、相違点3-1-3 に係る本件発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 エ以上のとおり、仮に、充足論における原告のクレーム解釈を前提とするならば、上記相違点3-1-1~3-1-3 は、いずれも、実質的な相違点でないか、 当業者にとって当該相違点に係る本件発明の構成を容易に想到し得るもの である。 (原告の主張)(1) 乙2 文献が引用例として不適格であること乙2 文献は、中部電力から株式会社関水社(以下「関水社」という。)に提示されたものである。その際、中部電力は関水社に対して守秘義務を課し ている。このため、乙2 文献記載の事項は、「頒布された刊行物に記載された発明」(法29 条1 項3 号)に該当しない。 したがって、乙2 文献は引用例として不適格であり、これにより本件発明の新規性及び進歩性は否定されない。 (2) 本件発明が新規性及び進歩性を有すること ア一致点及び相違点乙2 文献記載の水中ポンプ、送水ポンプ及びこれらのポンプ一式を搭載する可搬型送水ポンプ車両(燃料タンクのレベルによりon-off する燃料補給用の弁が設けられている。)は、それぞれ本件発明の構成要件A1、A4 及びA5 に相当する構成である。 他方、乙2 文献は、本件発明の 両(燃料タンクのレベルによりon-off する燃料補給用の弁が設けられている。)は、それぞれ本件発明の構成要件A1、A4 及びA5 に相当する構成である。 他方、乙2 文献は、本件発明の構成要件A2、A3、B~D に相当する構成を開示していない(以下、この相違点を順に「相違点①」などとする。)。 したがって、本件発明は乙2 文献記載の発明とは異なる。 イ相違点①について乙2 文献は、水中ポンプの駆動に必要な原動機がディーゼルエンジンで あることを開示も示唆もしていない。原動機がディーゼルエンジンであっても、油圧モータ以外にも、乙21 や乙22 に記載された電動機により水中ポンプを駆動することができるところ、この場合には油圧ホースを用いない。 したがって、乙2 文献は、水中ポンプを駆動する原動機がディーゼルエ ンジンであること及びディーゼルエンジンが油圧ホースを介して水中ポ ンプを駆動することについて、開示も示唆もしていない。 また、「大容量泡放水消火システムの泡剤混合装置」に係る発明を開示する乙19、「消防用ポンプ装置」に係る発明を開示する乙20 及び「油圧式水中ポンプ」に係る発明を開示する乙23 に各記載の発明は、いずれも乙 2 発明とは技術分野を全く異にする。乙21 及び乙22 には、「電動機」と いう記載があるのみであり、油圧ホースを用いることは開示も示唆もされていない。 したがって、相違点①に係る本件発明の構成は当業者が容易に想到できるものではない。 ウ相違点②について 乙2 文献は、水中ポンプの駆動に必要な原動機がディーゼルエンジンであること、水中ポンプ用ディーゼルエンジンの燃料タンク及びその燃料タンクに燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサーが付設されて 2 文献は、水中ポンプの駆動に必要な原動機がディーゼルエンジンであること、水中ポンプ用ディーゼルエンジンの燃料タンク及びその燃料タンクに燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサーが付設されていることを開示も示唆もしていない。 ディーゼルエンジンが燃料タンクを備え、燃料タンクには燃料レベルを 常時検知する燃料センサーが付設されていること自体が技術常識であるとしても、乙2 文献において水中ポンプの駆動に必要な原動機がディーゼルエンジンであることについて一切開示も示唆もされていない以上、相違点②に係る本件発明の構成も当業者が容易に想到できるものではない。 エ相違点③~⑤について 配管内の圧力変動を圧力スイッチ等で検出しポンプを自動的に駆動停止する締切運転防止は周知慣用の技術ではない。また、少なくとも乙2 文献は、締切運転に係る技術及びこれを採用することを全く開示も示唆もしていない。 したがって、乙2 文献は、本件発明の構成要件B、C 及びD を全く開示 も示唆もしていないものであり、当業者が乙2 発明から相違点③~⑤に係 る本件発明の構成を容易に想到することはできない。 オ小括以上のとおり、本件発明と乙2発明とは異なるものであり、また、乙2発明と乙8~15、乙19~23及び乙24~26の各記載事項から本件発明を容易に想到することは当業者であっても極めて困難である。 したがって、無効理由1は存しない。 7 争点3-2(無効理由2)について(被告の主張)(1) 乙20 発明特開2009-291289 号公報(乙20)には、以下の発明(以下「乙20 発明」と いう。)が記載されている。 a3-2-1 取水ポンプ13、a3-2-2 油圧駆動系14 を介して取水ポンプ13 9-291289 号公報(乙20)には、以下の発明(以下「乙20 発明」と いう。)が記載されている。 a3-2-1 取水ポンプ13、a3-2-2 油圧駆動系14 を介して取水ポンプ13 を駆動する車輛エンジン26、a3-2-3 車両エンジン26 の燃料を貯蔵する燃料タンク、 a3-2-4 取水ポンプ13 により取水した水を給送するメインポンプ12 及びホース17、a3-2-5 を搭載した、大量の水(例えば、2 万L/min)を給送することができる消防ポンプ車d3-2 を有する送水システム (2) 一致点及び相違点ア一致点a3-2-1 (a)取水用水中ポンプ、a3-2-2 該取水用水中ポンプを駆動するエンジン、a3-2-3 該エンジンの燃料を貯蔵するタンクである燃料タンク、および a3-2-4 前記取水用水中ポンプにより取水した水を吐水する吐水機構 a3-2-5 を少なくとも積載した大容量送水車両、d3-2 を少なくとも有して構成されてなることを特徴とする大容量送水システム。 イ相違点本件発明と乙20 発明は、以下の点で形式的に相違する。 (ア) 相違点3-2-1油圧駆動系を介して取水用水中ポンプを駆動することに関し、本件発明1 が、「油圧ホース」を介して取水用水中ポンプを駆動するのに対して、乙20 発明では、「油圧ホース」を介するものであるか否か明らかでない点 (イ) 相違点3-2-2本件発明1 は、「ディーゼルエンジン」を備えるのに対し、乙20 発明は、車両エンジンを備えるものの「ディーゼルエンジン」であることは明記されていない点(ウ) 相違点3-2-3 本件発明1 は、「該タンク内の燃料残量レベルを常時検知す 対し、乙20 発明は、車両エンジンを備えるものの「ディーゼルエンジン」であることは明記されていない点(ウ) 相違点3-2-3 本件発明1 は、「該タンク内の燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサーが付設された燃料タンク」、「該大容量送水車輌と別個に設けられた燃料備蓄タンク」及び「該燃料備蓄タンクと前記大容量送水車輌の間に設けられ、かつ、前記燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料残量レベル信号に基づいて、前記燃料備蓄タンク内に 備蓄されている燃料の前記燃料タンクへの供給と停止をオン・オフ制御により自動的に行う自動供給ポンプ機構」を備えた「大容量送水システム」であるのに対し、乙20 発明は、「燃料タンク」は備えるものの、それ以上の構成を備えたシステムでない点(3) 相違点の検討 ア相違点3-2-1、3-2-2 について 油圧駆動系を構成するために「油圧ホース」を利用すること及び車輌を駆動する車輌エンジンとして「ディーゼルエンジン」を採用することは、いずれも周知技術であって、発明の具現化の際に当業者が適宜採用し得たものにすぎない。したがって、相違点3-2-1、3-2-2 に係る本件発明1 の構成は、乙20 発明においても当業者が容易に想到し得たものである。 イ相違点3-2-3 について活動中の消防ポンプ車等が外部から燃料の補給を受けることができるようにすることは周知の事項である。また、防災活動の作業を省力化し、なるべく少ない人数の防災要員で運用できるようにする必要すなわち課題が存在することは、周知の事項であり、防災活動の作業の省力化は、燃料 の補給にも当てはまる。 さらに、消防活動中の消防ポンプ車等が外部から燃料の補給を受けることについて、防災活動 なわち課題が存在することは、周知の事項であり、防災活動の作業の省力化は、燃料 の補給にも当てはまる。 さらに、消防活動中の消防ポンプ車等が外部から燃料の補給を受けることについて、防災活動作業の省力化のために燃料の補給を自動化するという自明の課題を解決する具体的方策として、燃料等の消費液体の補給をタンク内の残量に基づいて自動的に行うことは周知の事項である。 そうすると、乙20 発明にこれらの周知の事項を適用し、相違点3-2-3 に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到できたことである。 ウ小括以上より、本件発明は、乙20 発明及び周知の事項に基づいて容易に発 明できたものである。 (原告の主張)(1) 本件発明と乙20 発明は、相違点3-2-1~3-2-3 において相違するから、これらの発明は異なるものである。 (2) 相違点3-2-3 について 本件発明の特許出願時において、大容量送水車両が積載するディーゼルエ ンジンに燃料を自動供給することは、当業者に自明の課題ではなかった。 したがって、乙20 発明と、乙19、乙21~23、乙27~30、乙31~36、乙37~39 から相違点3-2-3 に係る本件発明の構成を容易に想到することは、当業者であっても極めて困難である。 (3) 以上より、無効理由2 は存しない。 8 争点3-3(無効理由3)について(被告の主張)(1) 乙19 発明特開2008-93199 号公報(乙19。以下「乙19 文献」という。)には、以下の発明(以下「乙19 発明」という。)が記載されている。 a3-3-1 海水を汲み上げるように駆動される水中ポンプ33、a3-3-2 油圧ポンプ32 により循環される作業 。)には、以下の発明(以下「乙19 発明」という。)が記載されている。 a3-3-1 海水を汲み上げるように駆動される水中ポンプ33、a3-3-2 油圧ポンプ32 により循環される作業油により水中ポンプ33 を駆動する大型ディーゼルエンジンの駆動装置31、a3-3-3 該ディーゼルエンジンの燃料を貯蔵する燃料タンク、a3-3-4 水中ポンプ33 により取水した水を送水する送水ポンプ34、 a3-3-5 を少なくとも搬送する車両、d3-3 を少なくとも有して構成されてなることを特徴とする大容量放水消火システム。 (2) 一致点及び相違点ア一致点 a3-3-1 取水用水中ポンプ、a3-3-2 該取水用水中ポンプを駆動するエンジン、a3-3-3 該エンジンの燃料を貯蔵するタンクである燃料タンク、およびa3-3-4 前記取水用水中ポンプにより取水した水を吐水する吐水機構a3-3-5 を少なくとも搬送する車輌、 d3-3 を少なくとも有して構成されてなることを特徴とする大容量送 水システム。 イ相違点本件発明と乙19 発明は、以下の点で形式的に相違する。 (ア) 相違点3-3-1油圧駆動系を介して取水用水中ポンプを駆動することに関し、本件発 明が、「油圧ホース」を介して取水用水中ポンプを駆動するのに対して、乙19 発明では、「油圧ホース」を介するものであるか否か明らかでない点(イ) 相違点3-3-2本件発明では、車輌が、取水用水中ポンプ、ディーゼルエンジン、燃 料タンク及び吐水機構を「積載」する「大容量送水車輛」であるのに対し、乙19 発明では、車輌が、取水用水中ポンプ、ディーゼルエンジン、燃料タンク及び吐水機構を「搬送」するが、「積載」 ン、燃 料タンク及び吐水機構を「積載」する「大容量送水車輛」であるのに対し、乙19 発明では、車輌が、取水用水中ポンプ、ディーゼルエンジン、燃料タンク及び吐水機構を「搬送」するが、「積載」しているかは不明である点(ウ) 相違点3-3-3 本件発明は、「該タンク内の燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサーが付設された燃料タンク」、「該大容量送水車輌と別個に設けられた燃料備蓄タンク」及び「該燃料備蓄タンクと前記大容量送水車輌の間に設けられ、かつ、前記燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料残量レベル信号に基づいて、前記燃料備蓄タンク内に備蓄されてい る燃料の前記燃料タンクへの供給と停止をオン・オフ制御により自動的に行う自動供給ポンプ機構」を備えた「大容量送水システム」であるのに対し、乙19 発明は、「燃料タンク」は備えるものの、それ以上の構成を備えたシステムでない点(3) 相違点の検討 ア相違点3-3-1 について 油圧駆動系を構成するために「油圧ホース」を利用することは周知技術であり、発明の具現化の際に当業者が適宜採用し得たものに過ぎない。したがって、相違点3-3-1 に係る本件発明の構成は、乙19 発明によって容易に想到し得たものである。 イ相違点3-3-2 について 本件明細書の記載によれば、本件発明において、取水用水中ポンプ、ディーゼルエンジン、燃料タンク及び吐水機構が「車輛」に「積載」されることの技術的意義は、大規模災害発生時等においては、消火活動等を必要とする現場の位置を予め特定できないことに鑑み、実際現場の位置に応じて、「大容量送水」装置をいち早く適切な位置に移動させ、消火活動等を開 始できるようにするためであると理解される。そ 等を必要とする現場の位置を予め特定できないことに鑑み、実際現場の位置に応じて、「大容量送水」装置をいち早く適切な位置に移動させ、消火活動等を開 始できるようにするためであると理解される。そうすると、本件発明において、「積載」は、大容量送水の装置を必要な場所に移動させることができることに意義がある。この点において、「積載」であるかその他の「搬送」(実際には、「牽引」くらいしか考えられない。)であるかで違いはなく、車両で「搬送」する際に、「積載」とするか「牽引」とするかは単なる設計 事項に過ぎない。また、一般的に、車両による「搬送」の典型的な態様は「積載」であり、乙19 発明の「搬送」の具体的な態様として「積載」とすることは容易である。 したがって、相違点3-3-2 に係る本件発明の構成は、当業者にとって容易に想到し得る。 ウ相違点3-3-3 について無効理由2 の相違点3-2-3 で述べたのと同じ理由により、相違点3-3-3に係る本件発明の構成は当業者にとって容易に想到し得る。 エ小括以上より、本件発明は、乙19 発明及び周知の事項に基づいて容易に発 明できたものである。 (原告の主張)(1) 乙19 文献は、本件発明の構成要件A「水中ポンプ、大型ディーゼルエンジン、燃料タンクおよび送水ポンプを積載した大容量送水車輛」を開示も示唆もするものではない。また、乙19 文献の図4 には、車両に積載されるポンプ装置30 が記載されず、またポンプ装置30 が牽引可能に記載されておら ず、地上に配置されて稼働するように記載されている。これは、「大重量の連結金具が付いた送水ホースを持ち上げて装着するというホース装着作業を、容易にする」という乙19 発明の課題を解決する観点からも整合す 地上に配置されて稼働するように記載されている。これは、「大重量の連結金具が付いた送水ホースを持ち上げて装着するというホース装着作業を、容易にする」という乙19 発明の課題を解決する観点からも整合する記載である。 したがって、乙19 発明はかえって、「水中ポンプ、大型ディーゼルエンジ ン、燃料タンクおよび送水ポンプを積載した大容量送水車輛」(本件発明の構成要件A)から遠ざける構成を有している。 (2) 相違点3-3-3 については、無効理由2 の相違点3-2-3 と同様の理由により、乙21~23、乙27~39 から、本件発明の構成要件B、C 及びD を有すること、並びに本件発明に係る大容量送水車輌のように、火災現場や水害現場に移動 してから長期間にわたり稼働するディーゼルエンジンの燃料タンクへ自動給油することは、一切開示も示唆もされていない。 (3) 以上のとおり、本件発明と乙19 発明とは異なるものであり、また、乙19発明と、乙21~23、乙27~39 から相違点3-3-3 に係る本件発明の構成を容易に想到することは当業者であっても極めて困難である。 したがって、無効理由3 は存しない。 9 消滅時効の抗弁の成否(争点4)(被告の主張)原告は、被告に対し、本件特許を示して平成27 年8 月10 日付け通知書を送付したところ、その通知書には、被告送水車1 及び被告燃料供給装置1 が本件 特許権を侵害している旨が記載されている。 したがって、本件訴訟の提起時(令和3 年3 月11 日)において、原告が損害及び加害者を知った時から3 年以上経過している。 そこで、被告は、本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償債務につき、被告第5 準備書面の陳述(令和5 年2 月10 日実施の弁論準備 、原告が損害及び加害者を知った時から3 年以上経過している。 そこで、被告は、本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償債務につき、被告第5 準備書面の陳述(令和5 年2 月10 日実施の弁論準備手続期日)により消滅時効を援用する。 (原告の主張)特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権については、被害者としては、加害者による物件の製造販売等を認識していたとしても、当該物件が自己の特許発明と対比してその技術的範囲に属し、当該加害者の行為が被害者の有する特許権を侵害する行為であることを現実に認識していなければ、これによる損 害の発生を現実に認識し得ず、加害者に対して損害賠償請求権を行使することができない。したがって、「損害及び加害者を知った」というためには、加害者の行為が被害者の特許権を侵害する行為であることを現実に認識することを要する。 被告製品1 は、カタログが作成されているものでも、量産されて市場で入手 し実機を分析等することが可能なものでもなく、また、厳密な情報管理を行う原子力発電所に納品されているものである以上、原告において、本件訴訟提起以前に、被告製品1 の詳細な仕様を把握することは不可能であった。したがって、少なくとも原告が通知書を送付した平成27 年8 月10 日時点において被告製品1 と本件発明を対比することはできず、被告の行為が本件特許権を侵害す る行為であることを現実に認識することはできなかった。 以上より、本件特許権侵害の不法行為に基づく被告の損害賠償債務につき、消滅時効は完成していない。 原告に生じた損害及び損害額(争点5)(原告の主張) (1) 原告の逸失利益(法102 条1 項) 被告の侵害行為がなければ、原告は東京電力に対して大容量 い。 原告に生じた損害及び損害額(争点5)(原告の主張) (1) 原告の逸失利益(法102 条1 項) 被告の侵害行為がなければ、原告は東京電力に対して大容量送水車輌等を販売できたはずである。これにより得られたであろう利益は4 億5140 万円を下らない。 また、被告の侵害行為がなければ、原告は中部電力に対して大容量送水車輌等を販売できていたはずである。これにより得られたであろう利益は2 億 6410 万円を下らない。 (2) 弁護士費用原告は、上記損害の回復のために、代理人弁護士に委任して本件訴訟を提起することを余儀なくされた。このため、原告が支払うべき弁護士費用も、被告の上記不法行為と因果関係を有する損害である。 上記弁護士費用相当損害金は、上記逸失利益額の約1 割である7155 万円を下らない。 (被告の主張)否認ないし争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点1-2(構成要件C の充足性)について事案に鑑み、まず争点1-2(構成要件C の充足性)について判断する。 (1) 本件明細書の記載等本件明細書(甲10)には、次のような記載がある(「/」は改行部分を意味する。)。 ア技術分野本発明は、大容量送水システムに関する。(【0001】)さらに詳しくは、大型機器・設備の冷却あるいは消火活動等のために必要となる大量の水を、川や海、湖沼などの無限水利ポイントからたとえ短時間でも途切れることなく、確実に連続して、無人運転のもとで取水と送 水を行うことや、洪水地帯等からの大量の水の排出・送水を可能にする大 容量送水システムに関する。(【0002】)イ背景技術近年、大型機器・設備の冷却をするため、あるいは消火活動等 行うことや、洪水地帯等からの大量の水の排出・送水を可能にする大 29 容量送水システムに関する。(【0002】)イ 背景技術近年、大型機器・設備の冷却をするため、あるいは消火活動等のために必要な大量の水を、川や海、湖沼などの無限水利ポイントから所望の地点に送水することが要請される場合があり、そうした送水装置に関する提案5もされている(特許文献1-2)。(【0003】)こうした送水装置を稼働させる場合、特に長期間にわたり稼働させて長期にわたる連続的な送水を行うような場合、たとえ短時間であってもその送水が途切れないことが要請されるケースがある。(【0004】)こうした要請に対して、特許文献1、2では、十分な対応ができていない10のが現状である。(【0006】)ウ 発明が解決しようとする課題本発明の目的は、上述したような点に鑑み、大型機器・設備の冷却やあるいは消火活動等のために必要な大量の水を、たとえ短時間でも途切れることなく、確実に連続的に大量に送水することを実現する大容量送水シス15テムを提供することにあり、特に、取水用のポンプの稼働を短時間でも途切れることなく、確実に継続して実現する大容量送水システムと、該システムを使用した具体的な大容量送水方法を提供することにある。(【0008】)エ 発明の効果請求項1にかかる本発明の大容量送水システムによれば、無限水利ポイン20トなどから取水を行う取水用水中ポンプの駆動を行うディーゼルエンジンへの燃料供給を、たとえ短時間であっても途絶えることなく、確実に連続無人運転を行うことができる。その点で、大型機器・設備の冷却やあるいは消火活動等のために必要な大量の水を、たとえ短時間でも途切れることなく、確実に連続的に大量に送水することを実現する大容量送水シ 続無人運転を行うことができる。その点で、大型機器・設備の冷却やあるいは消火活動等のために必要な大量の水を、たとえ短時間でも途切れることなく、確実に連続的に大量に送水することを実現する大容量送水システ ムが提供される。(【0012】) すなわち、本発明によれば、取水用水中ポンプを油圧駆動させるディーゼルエンジンの燃料がなくなるという事態に起因する取水・送水の停止という事態発生を確実になくすことができ、途切れることなく、連続的に大量に送水することを実現できる。(【0013】)したがって、本発明の大容量送水システムを用いれば、例えば、/(a)原 子力関係設備の冷却等を連続的に行うのに必要な、大量の水の連続的な取水・送水、/(b)泡混合消火方式や通常の消火活動等でその消火活動を連続的に行うのに必要な、大量の水の連続的な取水・送水、/(c)洪水・冠水などの災害対応時(災害発生前、災害発生後)で必要な、緊急かつ連続的な大量の水の排出と水輸送、/など、各種の連続した大容量送水が要請され る事態などに対応し、その要請に極めて有効に応えることができるものである。(【0014】)これら(a)、(b)または(c)などにより、原子力関係設備の安全な稼働運転を実現することや、大規模な石油コンビナート火災等の消火を効果的に行うこと、あるいは自然災害の未然発生防止や災害からの早期の復旧回復を行 い得るようにすることなどは、すべて、自然環境の破壊防止、自然環境の回復、CO2 の削減などの効果にも繋がるものであり、意義は大きい。 (【0015】)オ発明を実施するための形態図1にシステム構成の全体概要を示したように、本発明の大容量送水シス テム1は、以下の要件(a)、(b)および(c)を少なくとも有して構成 (【0015】)オ発明を実施するための形態図1にシステム構成の全体概要を示したように、本発明の大容量送水シス テム1は、以下の要件(a)、(b)および(c)を少なくとも有して構成されていることを特徴とする。(【0020】) すなわち、/(a)取水用水中ポンプ3、油圧ホース(油圧ホース(送り)5A、油圧ホース(戻り)5B)を介して該取水用水中ポンプ3を駆動するディーゼルエンジン6、該ディーゼルエンジン6の燃料を貯蔵するタンクであってかつ該タンク内の燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサー…が付設された燃料タンク4、および前記取水用水中ポンプ3により取水した水 を吐水する吐水機構7を少なくとも積載した大容量送水車輌2、/(b)該大容量送水車輌2と別個に設けられた燃料備蓄タンク8、/(c)該燃料備蓄タンク8と前記大容量送水車輌2の間に設けられ、かつ、前記燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料残量レベル信号に基づいて、前記燃料備蓄タンク8内に備蓄されている燃料の前記燃料タンク4への供給と停 止をオン・オフ制御により自動的に行う自動供給ポンプ機構10、/である。 (【0021】) 図1において、2個の取水用水中ポンプ3によって川や海、湖沼などの無限水利ポイント15から取水された水は、取水用水中ポンプ3から取水送水ホ ース9を介して大容量送水車輌2に送られる。(【0022】)大容量送水車輌2には、取水用水中ポンプ3を駆動するディーゼルエンジン6、該ディーゼルエンジン6の燃料を貯蔵するタンクであってかつ該タンク内の燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサー…が付設され た燃料タンク4、および取水用水中ポンプ3により取水した水を吐水する吐水機構7が設けら 蔵するタンクであってかつ該タンク内の燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサー…が付設され た燃料タンク4、および取水用水中ポンプ3により取水した水を吐水する吐水機構7が設けられている。(【0023】)11、12は、送燃料(送油)ホースであり、燃料備蓄タンク8内に備蓄されている、大容量送水車輌2に積載されているディーゼルエンジン6の燃料(軽油)を、自動供給ポンプ機構10に送り(送油ホース11)、さらに、自動 供給ポンプ機構10から大容量送水車輌2に積載された燃料タンク4に燃料を送る(送油ホース12)…軽油用の送油ホースである。(【0024】)14は、燃料タンク4内の燃料残量レベルを常時検知する燃料残量計センサーによって検知された燃料タンク4内の燃料残量を示すレベル信号を自動供給ポンプ機構10に送る信号ケーブルであって、かつ、大容量送水車輌2に 積載されているバッテリー13から自動供給ポンプ機構10に駆動電力を送る電源ケーブルである。(【0025】)自動供給ポンプ機構10は、受信した燃料タンク4内の燃料残量を示す残量レベル信号に基づいて、燃料備蓄タンク8内から燃料タンク4への燃料の供給と停止をオン・オフ制御によって電磁弁の開閉を自動的に行うように設 定されている。(【0026】)上述したように大容量送水システム1を構成することにより、自動供給ポンプ機構10は、受信した燃料タンク4内の燃料残量を示す残量レベル信号に応じて、燃料備蓄タンク8内から燃料タンク4へのディーゼルエンジン6の燃料の供給と停止をオン・オフ制御によって自動的に行うことができる。 これにより、取水水中ポンプ3を油圧駆動させるディーゼルエンジン6の燃料がなくなるという事態に起因する取水・送水の停止という事態発生を確実に オン・オフ制御によって自動的に行うことができる。 これにより、取水水中ポンプ3を油圧駆動させるディーゼルエンジン6の燃料がなくなるという事態に起因する取水・送水の停止という事態発生を確実になくすことができ、取水水中ポンプ3の運転を途切れることなく連続的な大容量送水システムの無人稼働と無人での取水・送水ができるものである。(【0029】) (2) 被告燃料供給装置1について ア証拠(乙1、3)及び弁論の全趣旨によれば、被告燃料供給装置1 について、以下の事実が認められる。 (ア) 被告製品1 は、可搬型重大事故等対処設備側に「燃料タンクユニット(受け入れ側)」が配置され、燃料供給設備側に「ポンプユニット」と、当該ポンプユニットと別置され、これと「供給」及び「戻り」各2 本の 燃料ホースで接続された「タンクユニット」が配置されたものである。 (イ) 全体系統図によれば、可搬型重大事故等対処設備側に配置されている燃料タンクユニット(受け入れ側)の燃料タンクには、LS(レベルスイッチ)が設けられていることが示されている。当該LS(レベルスイッチ)は、「H」の場合は燃料受入口バルブを閉止し、「L」の場合は開放すると いう形で、燃料タンクユニット(受け入れ側)内の燃料受入口バルブ(SOV)の制御に用いられていることが理解される。 また、被告説明書2 によれば、被告送水車1 において、車両エンジン用給油システムスイッチは、車両エンジンの自動給油システムに使用され、自動燃料供給装置へ接続した場合に「ON」にされる。その場合、電 動式のバルブである「車両エンジン用給油システムバルブ」は、燃料タンクの燃料がLow レベルでバルブ「開」、Full レベルでバルブ「閉」となるとされている。 (ウ) 全 る。その場合、電 動式のバルブである「車両エンジン用給油システムバルブ」は、燃料タンクの燃料がLow レベルでバルブ「開」、Full レベルでバルブ「閉」となるとされている。 (ウ) 全体系統図及び被告説明書1 によれば、燃料供給設備側に配置されるポンプユニットには「PS01」(圧力スイッチ)が設けられていることが示 されている。当該PS01(圧力スイッチ)は、燃料タンクユニット(受け入れ側)と接続できるようになっているボール弁V017~V020 と「燃料補給ポンプ」との間の管路の圧力を検知するものであり、ポンプ吐出圧力が「H: 0.32MPa」又は「L:0.04MPa」になると「制御盤」にフィードバックし、制御盤の制御によりバルブ「MV001」を開閉し、「燃料補給ポン プ」の動作を停止又は再開するものであることが理解される。 また、被告説明書1 によれば、被告燃料供給装置1 は、その起動方法として圧力スイッチによる自動起動と、操作盤の押釦操作による手動起動があることが記載されていると共に、自動起動の場合、「圧力スイッチ(PS-01)が低(0.04MPa)を検知することにより、電動ボール弁(SV001)が自動開放され燃料補給ポンプが自動起動します。」、「燃料が充填され 受け入れ側の電動ボール弁が閉止し、圧力スイッチ(PS-01)が高(0.32MPa)を検知すると、電動ボール弁(SV001)が自動閉止し、5 分間後に燃料補給ポンプが自動停止します。」との記載がある。 イ上記各認定事実によれば、被告燃料供給装置1 は、「前記燃料備蓄タンクと大容量送水車の間に設けられ、最大4 つの送水車両の燃料タンクに接続 が可能であり、補給管路内の圧力の上昇が一定時間(5 分間)継続したことを検知すると 供給装置1 は、「前記燃料備蓄タンクと大容量送水車の間に設けられ、最大4 つの送水車両の燃料タンクに接続 が可能であり、補給管路内の圧力の上昇が一定時間(5 分間)継続したことを検知すると、燃料補給ポンプの動作を停止し、同圧力の低下を検知すると、燃料補給ポンプの動作を再開する燃料供給装置」(構成c1’)と見るのが相当である。 ウ構成要件C の充足性について 本件発明の構成要件C は、「前記燃料備蓄タンク内に備蓄されている燃料の前記燃料タンクへの供給と停止」のための「オン・オフ制御」を、「前記燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料残量レベル信号に基づいて」「自動的に行う」ことを特定する。特許請求の範囲の記載によれば、この「前記燃料残量計センサー」とは、「該ディーゼルエンジン の燃料を貯蔵する…タンク内の燃料残量レベルを常時検知する」(構成要件A3)ものと理解される。このような理解は、本件明細書の各記載(段落【0021】、【0023】、【0025】、【0026】、【0029】)にも沿う。 しかるに、被告燃料供給装置1 においては、圧力スイッチPS01(PS-01)が、燃料タンクユニット(受け入れ側)と接続できるようになっているボ ール弁V017~V020 と「燃料補給ポンプ」との間の補給管路内の圧力を検 知し、その検知信号に基づいて、燃料供給設備側に配置されたタンクユニット内の燃料につき、可搬型重大事故等対処設備側に配置された燃料タンクユニット(受け入れ側)に接続される補給管路への供給と停止のオン・オフ制御を自動的に行うものである。ここで、上記検知による検出値が燃料タンクユニット(受け入れ側)の燃料残量レベルをそのまま反映したも のであることを認めるに足りる証拠はない。 と停止のオン・オフ制御を自動的に行うものである。ここで、上記検知による検出値が燃料タンクユニット(受け入れ側)の燃料残量レベルをそのまま反映したも のであることを認めるに足りる証拠はない。 他方、可搬型重大事故等対処設備側に配置されている燃料タンクユニット(受け入れ側)の燃料タンクに設けられているLS(レベルスイッチ)は、燃料タンクの燃料がLow レベルで車両エンジン用給油システムバルブを開放し、Full レベルで閉止するという形で制御するものであるが、その際、 燃料供給設備側のポンプユニットに対し、燃料タンクユニット(受け入れ側)の燃料タンクに関する信号を送る構成を有していると認めるに足りる証拠はない。 そうすると、被告燃料供給装置1 における燃料の供給と停止のオン・オフ制御は、燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料タン ク内の燃料残量レベルに係る信号(燃料残量レベル信号)に基づくものとはいえない。 したがって、被告燃料供給装置1 は、「燃料残量計センサーによって常時検知されて送られる燃料残量レベル信号に基づいて」、燃料備蓄タンク内に備蓄されている燃料の燃料タンクへの供給と停止をオン・オフ制御によ り自動的に行うものとはいえない。 以上より、被告製品1 に含まれる被告燃料供給装置1 は、本件発明の構成要件C を充足しない。 (3) 原告の主張についてこれに対し、原告は、被告燃料供給装置1 に係る構成につき構成c1'ではな く構成c1 と把握すべきであり、被告燃料供給装置1 においては、燃料タンク ユニット(受け入れ側)の燃料タンクに設けられたLS(レベルスイッチ)が、燃料タンク内の燃料残量レベルを常時検知した上で、検知した燃料残量レベルの増減に基づく補給管路内 、燃料タンク ユニット(受け入れ側)の燃料タンクに設けられたLS(レベルスイッチ)が、燃料タンク内の燃料残量レベルを常時検知した上で、検知した燃料残量レベルの増減に基づく補給管路内の圧力の変化が被告燃料供給装置1 に伝達されていることから、LS(レベルスイッチ)から伝達された燃料残量レベル信号に基づいて燃料供給の継続、停止が行われている旨を主張する。 しかし、前記のとおり、燃料タンクユニット(受け入れ側)の燃料タンクに設けられたLS(レベルスイッチ)が、燃料供給設備側のポンプユニットに対し、燃料タンクユニット(受け入れ側)の燃料タンクに関する信号を送る構成を有していると認めるに足りる証拠はなく、また、被告燃料供給装置1の圧力スイッチは、「燃料補給ポンプ」と4 つのボール弁との間の管路の圧力 を検知するものであり、その検出値は、燃料タンクユニット(受け入れ側)の燃料残量レベルをそのまま反映するものと認めるに足りる証拠はない。 したがって、この点に関する原告の主張は採用できない。 (4) 小括以上より、被告製品1 は、本件発明の技術的範囲に属さない。したがって、 その余の点につき論ずるまでもなく、被告による被告製品1 の製造販売等をもって本件特許権の侵害ということはできない。 2 被告製品2 について(1) 争点2-1(本件発明の技術的範囲への属否)について原告は、被告製品1 が本件発明の技術的範囲に属するものであり、かつ、 被告製品2 が被告製品1 と同一の構成を有していることを前提に、被告製品 2 は本件発明の技術的範囲に属する旨を主張する。しかし、前記のとおり、被告製品1 は本件発明の技術的範囲に属さないことから、この点に関する原告の主張はその前提を欠き、採用できない。 (2) 製品 2 は本件発明の技術的範囲に属する旨を主張する。しかし、前記のとおり、被告製品1 は本件発明の技術的範囲に属さないことから、この点に関する原告の主張はその前提を欠き、採用できない。 (2) 争点2-2(間接侵害の成否)について 原告は、被告ホース車及び被告送水車2 につき、被告燃料供給装置1 と組 み合わせることを前提に、間接侵害(法101 条2 号)が成立する旨を主張する。しかし、前記のとおり、被告製品1 は本件発明の技術的範囲に属さないところ、被告送水車2 は被告送水車1 と同じ構成を有するものである。そうすると、被告送水車2 と被告燃料供給装置1 とを組み合わせたものも、本件発明の技術的範囲に属さないこととなる。 したがって、その余の点につき論ずるまでもなく、被告による被告送水車 2 及び被告ホース車両の販売について、間接侵害(法101 条2 号)が成立するとは認められない。この点に関する原告の主張は採用できない。 (3) 小括以上より、被告による被告ホース車及び被告送水車2 の製造販売等をもっ て本件特許権の侵害ということはできない。 3 まとめ以上のとおり、被告各製品のいずれについても、被告による本件特許権の侵害は認められないから、原告は、被告に対し、本件特許権に基づく差止め及び廃棄請求権並びに本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権を有しな い。 第5 結論よって、原告の請求はいずれも理由がないから、これらをいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47 部 裁判長裁判官 杉浦正樹 裁判官 東京地方裁判所民事第47 部 裁判長裁判官 杉浦正樹 裁判官小口五大 裁判官稲垣雄大は、てん補につき、署名押印することができない。 裁判長裁判官杉浦正樹
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