- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 控訴人(1)原判決を取り消す。 (2)被控訴人が控訴人に対し平成16年3月26日付けでした原判決別紙物件目録記載1及び2の各土地(以下「本件各土地」という)に係る平成15。 年度の固定資産課税台帳登録価格についての審査の申出を棄却する旨の決定(以下「本件決定」という)を取り消す。 。 (3)訴訟費用は,1,2審とも被控訴人の負担とする。 被控訴人主文同旨第2事案の概要等 本件は,控訴人が所有する本件各土地と隣接する他人所有の土地(本件隣接地)とが一体として建物敷地として利用されているところ,控訴人は,本件各土地の平成15年度(基準年度)の土地課税台帳に登録された価格を不服として,被控訴人に対し審査の申出をし,被控訴人がこれを棄却する旨の本件決定をしたことから,上記登録価格は,所有者が異なり,かつ,価格差のある隣接地とを一体評価した結果,適正な時価を上回る価格となっており,このような価格を容認した本件決定は違法であるなどと主張して,その取消しを求めた事案である。 原審は,評価基準に従って,所有者の異なる本件各土地と本件隣接地とを一画地(本件一画地)として評価したこと,本件一画地について算出した単位地積当たり評点数を本件各土地の地積に乗じてその評点数を求め,これに評点1- 2 -点当たりの価額を乗じて求めた金額を本件各土地の価格としたことは,いずれ,,も適法であるとして本件決定に取消原因となる瑕疵は認められないと判断し控訴人の請求を棄却した。控訴人は,これを不服として控訴した。 本件の前提となる事実は,原判決事実及び理由「第2事案の概要」の1に記載のとおりであるから,これを引用する。 当事者 いと判断し控訴人の請求を棄却した。控訴人は,これを不服として控訴した。 本件の前提となる事実は,原判決事実及び理由「第2事案の概要」の1に記載のとおりであるから,これを引用する。 当事者の主張は,次項において当審における主張を付加するほか,原判決事実及び理由「第2事案の概要」の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 当審における主張(1)控訴人ア原判決は,評価基準において,所有者が異なる一体利用地を一画地として評価し,その評価額を基にして1筆ごとの土地の価格を決定するものと定めたとしても,このような評価基準の考え方には合理性が認められ,地方税法に違反するものではないと判断した。 しかし,土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は,当該,「」固定資産の基準年度に係る賦課期日における価格すなわち適正な時価で土地課税台帳に登録されたものであるから,地方税法は,土地の課税標準が「適正な時価」であることを要求し,評価基準の定めに合理性が認められるためには,土地の課税標準が「適正な時価」であることが必要である。原判決は,この点について何ら判断を示していない。 イ原判決は,土地の取引価格は,登記簿上の筆にこだわることなく,その実際の利用状況等からみて,一体として取引に供されるべきものと認められる土地の区画ごとに評価・決定するのが相当であるという。しかし,所有者が異なる場合はそうではない。この場合,建物を取り壊した時に一体利用できる保証は何もないし,一体で売却できる保証も全くないからである。原判決は,行政実務上の制約,一体評価について,土地利用の一体性- 3 -が外見上明白な場合に限定されていること,評価基準において同一所有者に属することを要するか否かに言及されていないこと,土地評価において更地主義が 制約,一体評価について,土地利用の一体性- 3 -が外見上明白な場合に限定されていること,評価基準において同一所有者に属することを要するか否かに言及されていないこと,土地評価において更地主義が採用されていることを一体評価が許されることの根拠に挙げるが,いずれも「適正な時価」を上回る一体評価が許されることの根拠にはならない。 また,原判決は,不動産鑑定実務をも根拠に挙げるが,A不動産鑑定士の鑑定評価書(甲14。以下「A鑑定」という)においては,一体価格。 は算定の一段階にすぎないのであり,個別価格の合計との差額である「増分価値」の配分が評価の核心であり,個別の土地価格の単価は一体地の単価(平均単価)にはならないのである。隣接する一体利用された画地が異なる所有者に属する場合は,一体とした一体宅地の「適正な時価」が,そ「」,れぞれの宅地所有者の当該所有宅地の適正な時価を上回る場合があり本件各土地の固定資産評価は,本件隣接地と本件各土地を一体画地として評価したことにより,個別の「適正な時価」を上回っており,違法であることが明らかである。 ()()ウ所得税基本通達33-15-2及び法人税基本通達13-1-6は,一団の土地の区域内に土地を有する2以上の者が,その一団の土地上に共同で建築した建物を区分所有又は共有する場合,各人が所有する土地の面積又は価額の比と各人が区分所有する部分の建物の床面積(当該建物の階その他の部分ごとに利用の効用が異なるときは,その異なる効用に係る適正な割合を勘案して算定した床面積)の比又は共有の持分の割合とが,,おおむね等しい場合相互に借地権の設定はなかったものにする旨を定め本件各土地については,上記おおむね等しい場合にあたるとして借地権の設定はなかったものとして取り扱われている。 しか 割合とが,,おおむね等しい場合相互に借地権の設定はなかったものにする旨を定め本件各土地については,上記おおむね等しい場合にあたるとして借地権の設定はなかったものとして取り扱われている。 しかしながら,本件固定資産評価においては,本件各土地と本件隣接地とでは,面積比が67.3対32.7で,価額の比も67.3対32.7- 4 -であり,他方,床面積比は57対43であり,各階ごとの効用に係る適正. . ,な割合を勘案して算定した床面積比においても546対454であり上記通達でいうおおむね等しい場合には当たらないこととなり,明らかに矛盾が生じている。上記通達が前提としているように,各所有土地の単位面積当たりの適正な時価が異なるとすると,一体評価による単位面積当たりの価格は,低額の方の土地のそれを上回り,違法な評価とならざるを得ないのである。 エ被控訴人がいう本件一画地の価格は5億3021万6000円であるから,A鑑定がいう単独地価格に増分価値を面積比によって配分する方法をとることで算定すると,本件各土地の適正な時価は,2億8098万9000円であり,本件隣接地は2億4922万7000円となり,この比は53対47であり,床面積比とほぼ等しい結果となり,両評価の矛盾はなくなる。 本件各土地の適正な時価は,2億8098万9000円であり,固定資産評価における3億5690万3000円は適正な時価を上回り違法である。 (2)被控訴人ア控訴人は,本件各土地の固定資産評価額3億5690万3000円が本件各土地の客観的交換価値を上回ることをもって,上記評価額が違法と主張するようではあるが,控訴人が提出したA鑑定によれば,本件各土地の平成15年1月1日時点の評価額が6億0084万3000円であり,控訴人の主張に従って,本件隣接地所有者との ,上記評価額が違法と主張するようではあるが,控訴人が提出したA鑑定によれば,本件各土地の平成15年1月1日時点の評価額が6億0084万3000円であり,控訴人の主張に従って,本件隣接地所有者との間の契約内容の比(55パーセント対45パーセント)で増分価値を配分しても,本件各土地の価格は6億2357万2950円であるし,本件各土地と本件隣接地の単独地価格の比で配分したとしても,4億7601万円となるのである(原審における控訴人の主張。いずれにしても,それら算定価格は固定資産評価額)- 5 -を大きく上回るから,本件各土地の固定資産評価額は「適正な時価」の範囲内にあり,控訴人の主張は失当である。 イ固定資産の評価において,評価基準に従って決定した価格は,評価基準が定める評価の方法によっては適切に算定することができない特別の事情が存しない限り「適正な時価」と推認するのが相当であり(最高裁平成15年7月18日第2小法廷判決,評価基準の合理性を検討した原判決は)正当である。 ウ控訴人は,本件各土地の固定資産評価は所得税基本通達及び法人税基本通達の規定と矛盾し違法である旨を主張する。 しかし,所得税,法人税がいわゆる所得課税であるのに対し,固定資産税は資産税であって,税目が全く異なるから,控訴人の指摘する通達が存するからといって本件各土地の固定資産評価が違法となるものではない。 法は税目ごとにそれぞれの目的に応じて土地を評価することを認めているといえるから,他の税目の通達を根拠とする主張はそれ自体失当である。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,控訴人の請求は理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は,次項において判断を付加するほか,原判決事実及び理由「第3当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 地方税 ,控訴人の請求は理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は,次項において判断を付加するほか,原判決事実及び理由「第3当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 地方税法は,各納税義務者の所有する1筆ごとの土地を評価するにあたり,その評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続については具体的な定めを置かず,すべて評価基準の定めに委ねており,その評価基準において,所有者が異なる一体利用地であっても外形上一見明白に一体をなしていると認められる場合には一画地として評価し,その評価額を基にして1筆ごとの土地の価格を決定するものと定めているものと解することができ,そうすることについては合理性が認められ,このことが地方税法に違反するものとまでいうことはできない。控訴人の主張を斟酌しても,このような評価基準による上記の評価方法- 6 -には合理性が認められるのであり,これを地方税法違反とする控訴人の主張は理由がない。 そして,所有者が異なる一体利用地(一画地)について算出した単位地積当たり評点数を各土地に均一に適用することについては,評価基準は,所有者が異なる一体利用地を一画地と認定しこれに画地計算法を適用した場合の各筆の宅地の評点数の付設方法(一画地の評価額の配分方法)については,特段の定めを置いておらず,特段の定めをしないことによって,控訴人が主張するような特別な配分方法をいずれも採用しないこととし,算出した評点数(単位地積当たり)をそのまま各筆の宅地に適用すべきこととしたものと解するのが相当である。そして,この結果,一画地の評価額を各筆の宅地の面積の比で按分する配分方法を採ったのと同じことになるが,一体利用地を一画地と認定するのは,一体として取引の単位になると認められるためであり,各筆の宅地は当該取引単位の構成部 の評価額を各筆の宅地の面積の比で按分する配分方法を採ったのと同じことになるが,一体利用地を一画地と認定するのは,一体として取引の単位になると認められるためであり,各筆の宅地は当該取引単位の構成部分にすぎないものとみることも可能であり,これらの各構成部分を一画地全体の単価をもって均等に評価することにも相応の合理性があるというべきである。したがって,これをもって地方税法による委任の範囲を逸脱する違法なものとすることはできない。 控訴人は,本件各土地の固定資産評価が「適正な時価」を上回るもので合理性は認められないし違法であると主張するが控訴人がいう本件各土地の適,,「正な時価」の価額は,本件各土地の客観的な交換価値をいうものではない。すなわち,控訴人が本件各土地の「適正な時価」であると主張した2億6300万円は,A鑑定において本件各土地の単独地価格として算出している価格であり,本件各土地が本件隣接地と一体利用されこれを前提に評価すべきであるから,単独地としての評価額は適正な時価とはいえないし,控訴人が当審でいう2億8098万9000円は,被控訴人の主張する本件固定資産評価における一体画地の算定価格を基礎に,控訴人がいうところの増分価値を配分する方法によって算定した価格にすぎないものであり,本件各土地の固定資産評価額が- 7 -これを上回るからといって違法と評価されるべきものではない。本件各土地の固定資産評価額が本件各土地の客観的な交換価値を上回るものでないことは,A鑑定から明らかというべきである。 また,控訴人は,本件各土地につき,所得税基本通達及び法人税基本通達の規定の適用においては,その価額も考慮し借地権が設定されなかったものとされたが,本件各土地の固定資産評価における価額を前提にこの通達を適用すれば異なる結果になるとし 得税基本通達及び法人税基本通達の規定の適用においては,その価額も考慮し借地権が設定されなかったものとされたが,本件各土地の固定資産評価における価額を前提にこの通達を適用すれば異なる結果になるとして,固定資産評価がこの通達と矛盾し違法である旨を主張する。 しかし,所得税,法人税がいわゆる所得課税であり,その目的にしたがって課税上の取り扱いが定められるものであり,その取り扱いの定めや前提とする資産評価は,資産税である固定資産税の課税評価の方法の合理性を決する上で考慮すべきものではない。控訴人が指摘する所得税基本通達及び法人税基本通達が存するからといって本件各土地の固定資産評価が違法となるものではなく,控訴人の上記主張は理由がない。 したがって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第14民事部裁判長裁判官西田美昭裁判官犬飼眞二裁判官窪木稔
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