○ 主文一原告の請求を棄却する。 二訴訟費用のうち参加によって生じた部分は補助参加人の負担とし、その余は原告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 被告が平戊五年五月二〇日付けで原告に対してした国税徴収法二四条二項に基づく告知(平成五年六月一日付け通知により一部取り消された後のもの)を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 第二当事者の主張一請求原因 1 (一)原告、補助参加人及び株式会社Aは、平成四年一二月八日、Aが補助参加人との継続的取引によって取得する売掛金債権(以下「代金債権」という。)を担保のため原告に譲渡し、原告は、Aとの間で別途締結した当座貸越契約に基づき、右譲渡に係る代金債権を担保とし、その支払期日未到来の代金債権残高を貸越極度額として、Aに対し貸付けを行うことを内容とする「一括支払システムに関する契約」(以下「本件契約」という。)を締結した。 (二) 本件契約においては、(1)原告に担保のため譲渡された代金債権について、国税徴収法(以下「法」という。)二四条に基づく譲渡担保権者に対する告知が発せられたときは、これを担保とした原告のAに対する当座貸越債権は何らの手続きを要せず弁済期が到来するものとし、同時に担保のため譲渡した代金債権は当座貸越債権の代物弁済に充当されること、(2)右代物弁済に充てられる代金債権の評価額は、原告が前取りした利息額を代物弁済日の翌日から代金債権の支払期日までの日数に応じて按分した金額を代金債権の額面金額から差し引いた金額とし、原告の有する当座貸越債権は、代金債権の評価額と右按分した金額との合計金額により消滅することとの約定がされている(以下「本件条項」という。) て按分した金額を代金債権の額面金額から差し引いた金額とし、原告の有する当座貸越債権は、代金債権の評価額と右按分した金額との合計金額により消滅することとの約定がされている(以下「本件条項」という。)。 2 原告は、本件契約及び前記当座貸越契約に基づき、平成五年三月一八日、Aから別紙債権目録記載(一)の債権(一〇一四万二八四〇円)を担保のため譲り受け、同月二五日、Aに右同額の貸付け(弁済期平成五年六月二一日)をし、さらに同年四月一六日、Aから同目録記載(二)の債権(一四九四万五八六五円)を担保のため譲り受け(以下、右各譲受債権を「本件代金債権」という。)、同月二〇日、Aに右同額の貸付け(弁済期平成五年七月二〇日)をした。 3 被告は、平成五年五月二〇日、法二四条二項に基づき、原告に対し、原告が本件契約によりAから担保のため譲り受けた本件代金債権を含む平成五年一月一日から同年三月三一日までの取引に係る代金債権からAの別紙租税債権目録記載の法人税等(以下「本件国税」という。)を徴収する旨の告知を発し、右告知は同日原告に到達した。 その後、被告は、平成五年六月一日、右告知のうち、平成五年一月一日から同月三一日までの取引分の代金債権に係る部分を取り消す旨の通知をし、その限度で右告知は一部取り消された(以下、一部取消し後の右告知を単に「本件告知」という。)。 4 原告は、本件告知を不服として、平成五年七月五日、被告に異議申立てをしたところ、同年一〇月一日付けで棄却されたため、同月二九日、国税不服審判所長に審査請求をしたが、右請求は平成七年六月一九日付けで棄却された。 5 しかしながら、法二四条二項の告知は、これが相手方に到達した時点で譲渡担保財産が存在していることが必要であるところ、本件条項により、被告が本件告知を発した時点で、本件代金債権は、原告の された。 5 しかしながら、法二四条二項の告知は、これが相手方に到達した時点で譲渡担保財産が存在していることが必要であるところ、本件条項により、被告が本件告知を発した時点で、本件代金債権は、原告のAに対する当来貸越債権の代物弁済に充てられて原告に確定的に帰属しており、本件告知が原告に到達した時点ではもはや譲渡担保財産ではなくなっていたのであるから、本件告知はその要件を欠き違法である。 よって、原告は、本件告知の取消しを求める。 二請求原因に対する認否請求原因1ないし4の事実は認めるが、同5は争う。 三被告の主張 1 本件告知の適法性(一) Aは、平成五年五月二〇日当時、本件国税(法定納期限等はいずれも平成四年一二月二二日である。)を滞納していたが、平成五年五月一三日に銀行取引停止処分を受けて事実上倒産し、本件国税の全額を徴収するに足る財産を有していなかった。 (二) そこで、被告は、本件代金債権から本件国税を徴収するため、法二四条二項に基づき、原告に対し、本件告知をしたものである。 (三) 本件告知は、本件代金債権を法二四条一項所定の譲渡担保財産として、その譲渡担保権者である被告に対しされたもので、適法である。 2 本件条項の趣旨本件条項は、譲渡担保の目的物である代金債権を原告に帰属させることにより被担保債権である当座貸越債権を消滅させるという約定であることからすれば、本件契約に基づく代金債権の譲渡担保(以下「本件譲渡担保」という。)は、帰属清算型の譲渡担保である。したがって、債権者である原告が、債務者であるAに対し、清算金の支払若しくはその提供又は目的債権の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をしない限り、本件譲渡担保権及びその被担保債権である当座貸越債権は消滅しないものと解される(最高裁第一小法廷昭和六二年二月一二日判決・民 の提供又は目的債権の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をしない限り、本件譲渡担保権及びその被担保債権である当座貸越債権は消滅しないものと解される(最高裁第一小法廷昭和六二年二月一二日判決・民集四一巻一号六七頁参照)。本件譲渡担保権の実行において、右のような清算義務が生ずることは、本件条項が、その実行の際に、担保の目的である代金債権の評価を行い、Aと原告との間で清算する旨を規定していることなどからも明らかである。 そうすると、本件条項により、被告が本件告知を発した時点で、本件代金債権を目的とする譲渡担保権が直ちに消滅することを前提として本件告知の違法をいう原告の主張は、失当である。 3 法二四条五項の解釈法二四条五項は、同条二項の告知をした後に譲渡担保権の被担保債権が債務不履行その他弁済以外の理由により消滅した場合においても、なお譲渡担保財産が存続するものとみなして、滞納処分ができる旨規定している。これは、本来、譲渡担保権と国税債権との優劣関係は、法二四条六項により、告知の有無にかかわらず決せられ、国税債権が優先する場合には、譲渡担保権が実行された後でもなお存続するものとみなして滞納処分を認めたとしても、譲渡担保権者に何ら新たな不利益を課すものではないが、譲渡担保財産から滞納国税を徴収するためには、法二四条一項の要件が備わっていることが必要であり、石要件が備わっているか否かは譲渡担保権者の利害に影響する事柄であることから、税務署長において、右要件を具備していると判断したことを公示ないし明示して、優先関係の基準時を明確にすべく規定されたものと解される。したがって、その基準時は客観的に截然と定めるものでなければならないところ、告知の到達を基準時とすると、譲渡担保権者の不在等の個別的事情によって基準時が左右されることになり妥当ではないか と解される。したがって、その基準時は客観的に截然と定めるものでなければならないところ、告知の到達を基準時とすると、譲渡担保権者の不在等の個別的事情によって基準時が左右されることになり妥当ではないから、法二四条五項にいう「第二項の規定による告知・・・をした後」とは、税務署長の意思が外部的に明らかになった「告知書が発せられた時以後」と解すべきである。 そうすると、仮に本件条項により、本件告知が発せられた時点で、本件代金債権が譲渡担保財産でなくなるとしても、他方、それと同時に、法二四条五項により、本件代金債権は譲渡担保財産として存続するものとみなされるから、本件告知が到達した時点で譲渡担保財産が存在しないとする原告の主張は失当である。 4 本件条項の無効本件条項は、次のとおり、無効であるか又は被告に対しその効力を対抗できないものであるから、本件告知を発した以後も本件代金債権は譲渡担保財産であって、本件告知の違法をいう原告の主張は失当である。 (一) 本件条項の脱法行為性本件条項は、設定者が国税を滞納したまま倒産しても、銀行は法二四条の物的納税責任を回避して債権回収の確実性を確保するとともに、代金債権の支払企業の二重払いの危険も避けることを目的として、従前の一括支払システムに関する契約に後から追加されたもので、法二四条の物的納税責任を回避するという同条を潜脱する違法な目的により設けられたものである。そして、本件条項は、常に法二四条三項の滞納処分を回避する法的効果を生じさせるもので、譲渡担保財産からの優先弁済を確保しようとした法二四条五項、六項の趣旨・目的に反するものであるが、国税の徴収に関する規定は、納税者に平等、公平に適用され、担保権者及び担保権設定者等の個人の意思による変更を許さない強行法規であって、これらの強行法規に反する私人間の合意は 的に反するものであるが、国税の徴収に関する規定は、納税者に平等、公平に適用され、担保権者及び担保権設定者等の個人の意思による変更を許さない強行法規であって、これらの強行法規に反する私人間の合意は、その法的効果が否定され、また、これを回避する脱法行為も許されないものである。 右のとおり、本件条項は、原告が法二四条の物的納税責任を回避することのみを目的として合意され、法二四条五項、六項の趣旨・目的を害する法的効果を生じさせる内容のものであって、これらの強行法規を潜脱する脱法行為というべきであるから、無効とされるべきである。 仮に、本件条項が契約当事者間においては有効であるとしても、本件条項のように、法二四条の物的納税責任を回避し、第三者たる被告の権利を侵害することのみを目的とする合意は、被告には対抗できないというべきである。 (二) 無清算特約の無効性本件条項が、法二四条二項の告知が発せられることにより、清算を要することなく直ちに本件代金債権が譲渡担保財産でなくなるとの趣旨であるとすれば、それは、実質的に、最高裁判所の判例によりその効力を原則として否定されている無清算特約を認めるのと同様の結果をもたらすことになる点で、民法一七五条に違反し、無効と解すべきである。 四被告の主張に対する原告の認否及び反論(認否) 1 被告の主張1(一)のうち、被告主張の法定納期限等、Aが平成五年五月一三日に銀行取引停止処分を受けて事実上倒産したことは認めるが、その余は不知。 2 同1(二)は認めるが、(三)は争う。 3 同2ないし4は争う。 (反論) 1 本件条項は、法二四条二項の告知が発せられたときは、原告の何らの意思表示を要することなく当座貸越債権の期限が到来し、同時に譲渡された代金債権が当座貸越債権の代物弁済に充当されるという内容の約定であり、右告知が発 法二四条二項の告知が発せられたときは、原告の何らの意思表示を要することなく当座貸越債権の期限が到来し、同時に譲渡された代金債権が当座貸越債権の代物弁済に充当されるという内容の約定であり、右告知が発せられた時点で、清算手続を行わずに、右代金債権を目的とする譲渡担保権を消滅させる趣旨の約定であることは明らかである。 2 法二四条二項の告知が、譲渡担保権者の物的納税責任の発生要件かどうかは別としても、少なくとも、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することの予告としての意味がある以上、法二四条五項にいう「告知をした後」とは、告知の到達後と解すべきであって、これを告知を発した以後と解釈することはできない。 3 (一)譲渡担保の実行がいつ終了するかは、譲渡担保権者の物的納税責任の追及の可否が決せられるという重要な事項であるのに、法が何らの規定も設けていないことは、これを譲渡担保権を設定する当事者の合意に委ねた趣旨であって、譲渡担保権の実行完了時期と告知との問題について規定がない以上、本件条項の有効性を肯定したとしても、法二四条の実効性を損なうとか、脱法行為となるとかいえないことは明らかである。 のみならず、本件条項はあくまで売掛債権の譲渡担保に関する特約であり、その効力を認めたからといって、清算手続完了まで譲渡担保権が消滅しない不動産やゴルフ会員権などの場合にまで法二四条の規定が機能しなくなるわけではなく、法二四条の物的納税責任が全く実効性のないものになるものではない。 (二) また、銀行が代金債権を担保として取得し貸付けを行う一括支払システム(本件契約)は、法二四条の適用のない手形割引や手形の譲渡担保による金融と同一の機能を右するものであるから、銀行が担保として取得する代金債権についても、本件条項により法二四条の適用を排除することには合理性が認めら 、法二四条の適用のない手形割引や手形の譲渡担保による金融と同一の機能を右するものであるから、銀行が担保として取得する代金債権についても、本件条項により法二四条の適用を排除することには合理性が認められるべきであり、本件条項の有効性を肯定すべきである。 (三) 最高裁大法廷昭和四五年六月二四日判決(民集二四巻六号五八七頁)が、差押のできない財産を取引当事者の合意によって作り出すような相殺の予約も有効であるとし、また、最高裁第一小法廷昭和五一年一一月二五日判決(民集三〇巻一〇号九三九頁)が、手形割引依頼人が仮差押の申請を受けたときは銀行に対し割引手形の買戻債務を負い直ちに弁済する旨の約定の効力を認めたのは、相殺の担保的機能に対する当事者の合理的な期待が認められるからであるが、原告も、本件契約に基づき、代金債権のみを唯一の担保として貸付けを行うのであって、本件条項により代金債権に対する法二四条の物的納税責任の追及を排除して、債権の回収を図ることに合理的な期待を有するものであるから、本件条項の効力が認められるべきである。 4 本件条項は、代物弁済に充てられる代金債権の評価額を、その額面金額から戻し利息金額を差し引いた金額とし、この評価額と戻し利息との合計額で当座貸越債権を消滅させることとしている以上、清算金の支払は不要である。つまり、譲渡担保権の実行によって原告が取得する代金債権は、当座貸越債権に見合った債権額であって、債務者であるAに何らの不利益も生じないし、むしろ、第三債務者の無資力の危険を担保権者である原告が負担するのであり、このような契約について清算の必要は全くないから、無清算の合意であることを理由に本件条項の無効をいう被告の主張は失当である。 第三証拠(省略)○ 理由一請求原因1ないし4の各事実は当事者間に争いがない。 二法二 清算の必要は全くないから、無清算の合意であることを理由に本件条項の無効をいう被告の主張は失当である。 第三証拠(省略)○ 理由一請求原因1ないし4の各事実は当事者間に争いがない。 二法二四条二項によれば、同条一項の規定により譲渡担保財産(納税者が譲渡した財産でその譲渡により担保の目的となっているもの)から納税者が滞納した国税を徴収しようとするときは、譲渡担保権者に対して、所定の事項を記載した書面により告知しなければならないとされているが、右告知が適法であるといえるためには、納税者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められることのほかに、告知が相手方に到達した時点において、当該相手方が譲渡担保権者であること、すなわち譲渡担保財産が存在していることが必要であると解すべきである。 そこで、本件告知が原告に到達した時点で、本件代金債権が譲渡担保財産であったといえるかどうかについて検討する。 三本件条項の趣旨について被告は、本件譲渡担保は帰属清算型の譲渡担保であるから、原告がAに対し、清算金の支払若しくはその提供又は目的債権の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をしない限り、譲渡担保権及び被担保債権は消滅しないと解すべきである旨主張する。 確かに、債権者が目的物を適正に評価してその所有権を自己に帰属させる帰属清算型の譲渡担保が不動産に設定されている場合には、清算金の支払若しくはその提供又は目的不動産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知がされない限り、譲渡担保権の実行は完了せず、被担保債権も消滅しないと解するのが、契約当事者の通常の意思に合致するといえる。しかし、不動産の譲渡担保についての右のような解釈が金銭債権の譲渡担保についてそのまま当てはまるかどうかはさておき、少なくとも本件条項の文言及び弁 るのが、契約当事者の通常の意思に合致するといえる。しかし、不動産の譲渡担保についての右のような解釈が金銭債権の譲渡担保についてそのまま当てはまるかどうかはさておき、少なくとも本件条項の文言及び弁論の全趣旨によれば、本件契約の当事者である原告、補助参加人及びAは、法二四条二項の告知が発せられた時点で、直ちに原告が当座貸越債権の代物弁済として代金債権を確定的に取得することにして譲渡担保権の実行を完了させ、譲渡担保権を消滅させることにより、原告が担保のために譲り受けた代金債権に対する法二四条三項所定の滞納処分(物的納税責任)を回避しようとする意図の下に本件条項を合意したことは明らかであり、その合意の効力いかんはともかく、本件条項は、法二四条二項の告知が発せられた時点で直ちに、担保のため原告に譲渡された代金債権を当座貸越債権の代物弁済に充て、被担保債権である当座貸越債権及び譲渡担保権を消滅させることを約したものと解するのが相当であって、被告の主張する本件条項の解釈は失当である。 四法二四条五項の解釈について被告は、法二四条五項にいう「告知をした後」とは、同条二項の告知が発せられた時以後を意味するから、本件告知が発せられたことにより、本件代金債権が譲渡担保財産でなくなるとしても、被告との関係では、なお譲渡担保財産として存続するものとみなされるのであって、本件告知が到達した時点で譲渡担保財産が不存在ということはできない旨主張する。 しかし、法二四条二項の告知は、税務署長が譲渡担保財産について滞納処分を執行するための前提となるものであり、譲渡担保権者が告知を受けたときは、一定期間内に国税が完納されない限り第二次納税義務者とみなされて当該譲渡担保財産につき滞納処分を受ける地位に立たされるのであるから、そのような告知は相手方に到達して初めて効力を 告知を受けたときは、一定期間内に国税が完納されない限り第二次納税義務者とみなされて当該譲渡担保財産につき滞納処分を受ける地位に立たされるのであるから、そのような告知は相手方に到達して初めて効力を有するものであることはいうまでもないし、しかも、法二四条三項が「告知書を発した日から一〇日を経過した日」と規定しているのに対し、同条五項は「告知・・・をした後」と規定しており、かかる規定の文言からしても、右「告知・・・をした後」とは、譲渡担保権者が告知を受けた後、すなわち告知が譲渡担保権者に到達した後と解するのが相当であって、これを被告が主張するように告知を発した以後と解することはできない。 五本件条項の効力 1 法は、国税と他の債権との調整について国税優先の原則(八条)を前提とした上、国税と譲渡担保権の被担保債権との優劣関係を、国税の法定納期限等と譲渡担保権設定との先後関係で決することとし(二四条六項)、国税が優先する場合で、納税者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときは、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができるものとしている(二四条一項)。したがって、法二四条六項により国税に劣後することになる譲渡担保権者は、同条一項所定の要件が具備される限り、譲渡担保財産から国税を徴収されることを受忍すべき地位にあるのであるが、法は、譲渡担保財産から国税を徴収するにあたっては、譲渡担保権者に予告することが妥当であるとの趣旨から、税務署長が滞納処分に先立って譲渡担保権者に対しその旨の告知を行うものとし(二四条二項)、他方、告知をした後に、債務不履行その他弁済以外の理由により被担保債権が消滅した場合においても、譲渡担保財産が存続するものとみなして滞納処分ができる旨の規定を設けることで(同条五項)、譲渡担保権者が 他方、告知をした後に、債務不履行その他弁済以外の理由により被担保債権が消滅した場合においても、譲渡担保財産が存続するものとみなして滞納処分ができる旨の規定を設けることで(同条五項)、譲渡担保権者が、告知を契機として、滞納処分までの間に譲渡担保権の実行を完了して国税の徴収を回避しようとすることを防止し、反面、告知の前に、譲渡担保権者が譲渡担保財産を確定的に取得した場合には、その利益を保護し、当該財産からの国税の徴収をしないこととして、国税収入の確保と譲渡担保権者の利益とを調整しているものと解される。 2 ところが、本件条項は、右のとおり譲渡担保財産に対する滞納処分に先立ち法二四条二項の告知が行われることに着目し、右告知が発せられることを条件に譲渡担保財産である代金債権が当然に被担保債権の代物弁済に充てられることをあらかじめ合意することにより、右告知が発せられた時点で、譲渡担保権を消滅させることとしたものであって、その結果、原告に右告知が到達した時には、常にその譲渡担保権の実行が完了していることになり、告知の要件である譲渡担保財産の存在が欠けることとなる。したがって、本件条項は、本件譲渡担保が国税の法定納期限等の後に設定されたもので、国税に劣後している場合であっても、国税債権者が法二四条に基づき当該譲渡担保財産から国税を徴収する機会を、事実上全く奪ってしまうという効果をもつものであり、このことは、法の規定にかかわらず、私人間の合意により、法二四条に基づく国税の徴収の対象とならない譲渡担保財産を作り出すことにほかならないというべきであって、国税と譲渡担保権との優劣を定めた法二四条六項の趣旨、さらには告知を契機として滞納処分までに譲渡担保権の実行を完了して国税の徴収を回避することを防止しようとした同条五項の趣旨を完全に没却するものであること 渡担保権との優劣を定めた法二四条六項の趣旨、さらには告知を契機として滞納処分までに譲渡担保権の実行を完了して国税の徴収を回避することを防止しようとした同条五項の趣旨を完全に没却するものであることが明らかである。しかも、本件条項は、前記のとおり、原告が担保のために譲り受けた代金債権に対する物的納税責任を回避しようとする意図の下に定められたものであって、他に本件条項を定めるに至った合理的理由は何ら窺うことができないのである。 3 そうすると、本件条項は、法二四条の規定に反し、私人間の合意によって、国税の徴収が及ばない譲渡担保財産を創出するものであり、当事者間においてその効力を認めることはともかくとして、少なくとも国税債権者との関係では、原告は、右合意の効果を主張して、代金債権が譲渡担保財産でなくなったことを理由に法二四条に基づく物的納税責任の追及を免れることはできないと解するのが相当である。 4 (一)原告は、法が譲渡担保権の実行の終了時期について何らの規定も設けていないことは、これを当事者の合意に委ねた趣旨であって、本件条項は法二四条の実効性を損なうものでない旨主張する。 しかし、国税の徴収に関する規定は、その性質上、納税者に公平、平等に適用されるべきものであり、国税と譲渡担保権との調整に関する規定も、私人の意思によってこれを左右することは許されないと解すべきであるところ、本件条項は、本件譲渡担保の目的である代金債権について、およそ法二四条に基づく国税の徴収ができないという実質的な効果をもつもので、法二四条の実効性を損なうものであることは明らかであり、そのような私人間の合意を法が許容しているということはできない。 なお、原告は、本件条項の有効性を認めても、不動産などの譲渡担保については法二四条の規定が機能する旨主張するが、本件においては であり、そのような私人間の合意を法が許容しているということはできない。 なお、原告は、本件条項の有効性を認めても、不動産などの譲渡担保については法二四条の規定が機能する旨主張するが、本件においては、本件契約に基づき担保のため原告に譲渡される代金債権について、法二四条の物的納税責任を追及する余地を全くなくしてしまうことになる本件条項の効力が問題なのであって、他の譲渡担保財産について、右責任の追及の余地があることは、本件条項が有効であることの理由になるものでないことはいうまでもない。 (二) また、原告は、銀行が代金債権を担保として取得し貸付けを行う一括支払システムは、法二四条の適用のない手形割引や手形の譲渡担保による金融と同一の機能を有するものであるから、原告が当座貸越債権の担保として取得する代金債権について、法二四条の適用を排除することには合理性が認められる旨主張する。 しかし、手形割引は手形の売買であるから、これにより譲渡された手形に法二四条の適用がないことは明らかであるし、また、譲渡担保に供された手形について同条が適用されないことは、法附則五条四項に「法二四条の規定は、手形その他政令で定める財産については、当分の間、適用しない」と規定されていることによるものであって(なお、現在のところ、法二四条の適用除外を定めた政令は制定されていない。)、本件のような代金債権(指名債権)について法二四条の適用を排除することを認めた規定がない以上、たとえ本件契約が手形割引と同様の機能を営んでいるとしても、これについて同条の適用を否定すべき理由はなく、原告の主張は失当である。 (三) さらに、原告は、本件契約に基づき代金債権のみを唯一の担保として貸付けを行うのであって、本件条項により貸付債権の回収を図ることに合理的な期待を有するから、最高裁判決がその効 は失当である。 (三) さらに、原告は、本件契約に基づき代金債権のみを唯一の担保として貸付けを行うのであって、本件条項により貸付債権の回収を図ることに合理的な期待を有するから、最高裁判決がその効力を認めた相殺の予約や割引手形の買戻債務に関する約定と同様に、本件条項も有効である旨主張する。 しかし、原告引用の最高裁判決はいずれも、相殺に関連した事案についてのものであって、法二四条五、六項との抵触の有無が問題とされている本件とは事案を異にしており、右各判決が当事者間の約定の効力を認めていることから、直ちに本件条項の有効性を基礎づけることができないことはいうまでもない。また、債権者にとって、担保権はその被担保債権を回収するための重要な役割を担うものであるが、法は、そのような担保権であっても国税との関係では劣後する場合があるとしているのであり、本件契約に基づき、代金債権を担保として当座貸越を行う原告にとって、代金債権がいかに貸付金の引当てとして重要なものであり、そのことについて期待を有しているとしても、だからといって、法二四条の物的納税責任の追及を回避するような約定をすることが許されることになるわけではない。 5 したがって、その余の点について判断するまでもなく、原告は、本件条項に基づき、本件告知が発せられた時点で本件代金債権が原告に確定的に帰属し譲渡担保財産でなくなったことを国税債権者である被告に主張することはできないというべきであり、本件告知が原告に到達した時点において、本件代金債権はAから原告に担保のため譲渡された譲渡担保財産であり、原告はその譲渡担保権者であったということになる。 六そして、成立に争いのない乙第一号証によれば、原告に対し本件告知がされた平成五年五月二〇日当時、Aが既に法定納期限等を徒過した本件国税(その法定納期限等が 渡担保権者であったということになる。 六そして、成立に争いのない乙第一号証によれば、原告に対し本件告知がされた平成五年五月二〇日当時、Aが既に法定納期限等を徒過した本件国税(その法定納期限等が平成四年一二月二二日であることは当事者間に争いがない。)を滞納していたことが認められ、Aが平成五年五月一三日に銀行取引停止処分を受けて事実上倒産したこと(この点は当事者間に争いがない。)からすれば、Aは、平成五年五月二〇日当時、本件国税の全額を徴収するに足る財産を右していなかったものと推認することができるから、本件告知はその要件に欠けるところがなく、適法である。 七以上の次第で、原告の本件請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)の負担につき、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九四条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官佐藤久夫岸日出夫徳岡治)債権目録Aの補助参加人に対する、(一) 平成五年二月一日から同月二八日までの取引に係る代金債権一〇一四万二八四〇円(支払期日平成五年六月二一日)(二) 平成五年三月一日から同月三一日までの取引に係る代金債権一四九四万五八六五円(支払期日平成五年七月二〇日)以上
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