平成26年2月13日判決言渡平成24年(行ウ)第139号蒲郡競走場都市ガス公金支出差止請求事件 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,A株式会社に対し,同社との間で締結した蒲郡競走場に係る都市ガス供給契約に基づく一切の公金支出,又は債務その他の義務の負担をしてはならない。 第2 事案の概要 1 本件は,蒲郡市が蒲郡競走場の施設改修に当たり,空調熱源とする都市ガスの供給契約を随意契約の方法によりA株式会社(以下「A」という。)との間で締結したことについて,蒲郡市の住民である原告らが,上記契約は随意契約の制限を定めた地方自治法234条に反して違法であると主張して,蒲郡市の執行機関である被告に対し,同法242条の2第1項1号に基づき,上記契約に基づく一切の公金支出又は債務その他の義務の負担の差止めを求めた住民訴訟である。 2 関係法令の定め本件に関係する法令の定めは,別紙「関係法令の定め」に記載のとおりである。 3 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。以下,書証番号は特記しない限り枝番を含む。)(1) 当事者ア原告らは,蒲郡市の住民である。 イ被告は,蒲郡市の執行機関である。 (2) 本件ガス供給契約締結に至る経緯等ア蒲郡市は,平成20年頃,競艇施設である蒲郡競走場の施設改善工事を計画立案し,平成22年4月26日,株式会社B(以下「B」という。)との間で,同 競走場の施設改善に係る実施設計委託契約(以下「本件委託契約」という。)を締結した。(甲5,乙2の3,弁論の全趣旨)イ蒲郡市は,本件委託契約に基づいてBから提出 という。)との間で,同 競走場の施設改善に係る実施設計委託契約(以下「本件委託契約」という。)を締結した。(甲5,乙2の3,弁論の全趣旨)イ蒲郡市は,本件委託契約に基づいてBから提出された報告書の内容を踏まえ,蒲郡競走場の空調熱源として都市ガスを導入することでコスト削減を図ることができるものと考え,平成23年3月頃,Bに対し,本件委託契約に基づき,C株式会社(以下「C」という。)とAの両社に対する都市ガス供給条件の調査を依頼した。 これを受けて,Bは,同月31日付けで,両社に対する調査の結果,Aによる都市ガス供給がより有利と判断する旨の書面を提出した。(甲4,5,乙7の5,弁論の全趣旨)ウ蒲郡市は,平成23年8月8日,Aに対し,使用場所を「蒲郡競走場」,使用開始時期を「平成25年11月予定」とする都市ガスの使用の申込みをし,同日,蒲郡市とAとの間で,都市ガス供給契約(以下「本件ガス供給契約」という。)が締結された。(乙8,弁論の全趣旨)エ本件ガス供給契約締結当時,蒲郡市において都市ガスを供給している一般ガス事業者は,AとCの2社であったが,蒲郡競走場の所在地は,これら2社の供給区域外であった。本件ガス供給契約締結後,Aは,蒲郡競走場の所在地を供給区域に加える供給区域の変更につき,ガス事業法8条所定の許可を受けた。(乙2の3,弁論の全趣旨)(3) 原告Dによる1度目の住民監査請求ア原告Dは,平成24年3月30日,蒲郡市監査委員に対し,「Bは公平で客観的な資料を作成していないので,Bに対して違法・不当な公金の支出であり,違法・不当な契約の履行であるので是正する措置(CとAの公開入札など)を請求します」などと記載した同日付けの住民監査請求書を提出して,住民監査請求(以下「第1次監査請求」という。)をし 支出であり,違法・不当な契約の履行であるので是正する措置(CとAの公開入札など)を請求します」などと記載した同日付けの住民監査請求書を提出して,住民監査請求(以下「第1次監査請求」という。)をした。(甲3,乙2の1,2)イ蒲郡市監査委員は,平成24年5月28日,①本件委託契約に基づく業務の実施ないし支出に違法・不当な点はない,②都市ガス納入業者の選定は,行政上の 事実行為であって,住民監査請求の対象となる財務会計上の行為には当たらないが,上記①の監査請求の対象行為に関連するものとして判断を示すこととするとした上で,地域性を踏まえてAへの申込みをしたものであるから,都市ガス納入業者としてAを選択した点につき是正の必要はない旨の判断をし,第1次監査請求を棄却し,原告Dに対してその旨通知した。(甲5,乙2の3)(4) 原告Dによる2度目の住民監査請求ア原告Dは,蒲郡市監査委員に対し,平成24年8月7日,「請求の要旨」を「蒲郡市長に対し,蒲郡競艇場における都市ガス供給会社選定について,選定のやり直しその他の是正措置を求める」とする住民監査請求(以下「第2次監査請求」という。)をした。(乙3の1)イ蒲郡市監査委員は,平成24年9月3日,第1次監査請求と同一内容であるとして第2次監査請求を却下し,原告Dに対してその旨通知した。(乙3の2)(5) 原告らによる住民監査請求ア原告D及び原告Eは,平成24年9月21日,蒲郡市長に対し,①蒲郡競走場におけるAとの都市ガス供給契約の申込み又はその締結を取り消す措置を求めること,②Aによる都市ガス供給に伴う蒲郡競走場施設改善機械設備工事等に係る契約を取り消す措置を求めることを内容とする住民監査請求(以下「第3次監査請求」という。)をした。(甲1,乙4の1)イ こと,②Aによる都市ガス供給に伴う蒲郡競走場施設改善機械設備工事等に係る契約を取り消す措置を求めることを内容とする住民監査請求(以下「第3次監査請求」という。)をした。(甲1,乙4の1)イ蒲郡市監査委員は,平成24年11月15日,前記ア①の請求のうち,原告Dの請求に係る部分については,原告Dがした第1次監査請求と同一の監査対象についての再度の監査請求であって不適法であるとして却下し,原告Eの請求は理由がないとして棄却するとともに,同②の請求については,原告らの請求は理由がないとして棄却した。原告らは,同月16日,上記監査結果の通知書を受領した。(甲2,乙4の2)(6) 本件訴えの提起原告らは,平成24年12月12日,本件訴えを提起し,本件ガス供給契約の締 結の事実の有無が不明であるとして,主位的には,同契約が既に締結されている場合を想定して,これに基づく一切の公金支出又は債務その他の義務の負担行為の差止めを求め,予備的には,同契約が未締結である場合を想定して,同契約が締結された場合の一切の公金支出又は債務その他の義務の負担行為の差止めを求めた。これに対し,被告が,平成25年3月7日付けの準備書面において,本件ガス供給契約については,蒲郡市長が平成23年8月8日に申込書(乙8)をAの担当者に交付し,同担当者がこれを受領したことによって締結されたものであり,本件ガス供給契約の締結日は同日であることを明らかにしたため,原告らは,平成25年4月15日の本件口頭弁論期日において,上記予備的請求を取り下げた。(顕著な事実)第3 争点及び当事者の主張本件の争点は,(1)原告Dについての出訴期間徒過の有無(本案前の争点),(2)本件ガス供給契約締結の違法性(本案の争点)であり,これに関する当事者の主張は,次のとおりであ 争点及び当事者の主張本件の争点は,(1)原告Dについての出訴期間徒過の有無(本案前の争点),(2)本件ガス供給契約締結の違法性(本案の争点)であり,これに関する当事者の主張は,次のとおりである。 1 原告Dについての出訴期間徒過の有無(本案前の争点)について(被告の主張)原告Dが本件訴えを提起したのは平成24年12月12日であり,原告Dに対して第1次監査請求の結果があった平成24年5月28日から30日の出訴期間を徒過している。 なお,第3次監査請求は,第1次監査請求と同一内容の不適法な監査請求であるから,原告Dが第3次監査請求の結果の通知を受領した日から30日以内に本件訴えを提起したとしても,適法な出訴期間内に本件訴えを提起したことにはならない。 したがって,原告Dの訴えは,訴訟要件を欠き不適法である。 (原告Dの主張)原告Dは,第1次監査請求においては本件委託契約に基づくBに対する公金の支出のみを監査請求の対象としており,第2次監査請求において初めて蒲郡競走場における都市ガス供給会社選定を問題とした。第2次監査請求は適法であるにもかか わらず不適法として却下されたため,原告Dは,本件ガス供給契約締結行為の違法性を明示して改めて第3次監査請求を行い,第3次監査請求の結果が通知された平成24年11月16日から30日以内に本件訴えを提起したものである。したがって,原告Dの訴えは,出訴期間を徒過しておらず,訴訟要件に欠けるところはない。 2 本件ガス供給契約締結の違法性(本案の争点)について(原告らの主張)(1) 本件ガス供給契約は,地方自治法234条2項,地方自治法施行令167条の2第1項2号に該当することを理由に随意契約の方法で締結されたが,蒲郡市における都市ガス供給業務は,AとCの2社 )(1) 本件ガス供給契約は,地方自治法234条2項,地方自治法施行令167条の2第1項2号に該当することを理由に随意契約の方法で締結されたが,蒲郡市における都市ガス供給業務は,AとCの2社による競争入札が可能である上,年間700万円以上の使用料金の支払が半永続的に続くことが予測される大規模なプロジェクトである。これに加え,ガス事業についても競争促進に向けた改革が進められていることや,随意契約の方法により都市ガス供給契約が締結された実例は供給可能業者が一社のみの場合であることを考慮すれば,都市ガス供給契約の締結は,同号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」には該当しないから,随意契約の方法による本件ガス供給契約の締結は違法である。 (2) 仮に随意契約の方法によること自体は適法であるとしても,次の諸点に照らせば,蒲郡市が契約の相手方としてAを選定した判断には裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある。 ア蒲郡市は,本来最も重視すべきガス料金を考慮していない。また,仮にガス料金を考慮していたとしても,AがBに回答した価格は,導入準備中のガス空調向け価格であり,調査当時の価格ではCの方が割安な料金であった。 イ蒲郡市と,豊橋市に本社を置くAとのつながりが強いという事情は見当たらないし,隣接地域との連携を図るにはむしろ蒲郡市を含め周辺の自治体にも都市ガスを供給しているCの方が適している。 ウ蒲郡市は,天災発生時の復旧対応について何ら調査を行っていない。 (被告の主張) (1) 一般ガス事業については,許可制が採られ(ガス事業法3条),導管等の二重投資を回避する観点から,許可に当たって供給区域を設定することにより(同法6条2項3号),地域独占が認められており,供給区域外の地域を供給区域に変更するに 制が採られ(ガス事業法3条),導管等の二重投資を回避する観点から,許可に当たって供給区域を設定することにより(同法6条2項3号),地域独占が認められており,供給区域外の地域を供給区域に変更するには,同法8条所定の許可が必要とされている。本件ガス供給契約締結当時,蒲郡競走場の所在地を供給区域としている一般ガス事業者は存在しなかったから,仮に入札によって供給業者を決定したとしても,当該供給業者は,ガス事業法8条所定の供給区域の変更許可を受けなければならず,入札結果によって都市ガス供給が確約される状態ではなかった。 また,一般ガス事業者は,ガス料金その他の供給条件について供給約款を定め,経済産業大臣の認可を得なければならない(ガス事業法17条1項)。ガス料金を引き下げる場合その他のガスの使用者の利益を阻害するおそれがないと見込まれる場合には,供給条件を変更することができるものの(同条3項),変更後の供給約款を経済産業大臣に届け出なければならず(同条4項),一般ガス事業の用に供する設備の効率的な使用その他の効率的な事業運営に資すると見込まれる場合には,認可を受けた供給条件とは異なる供給条件を設定した約款を,ガスの使用者が供給約款に代えて選択し得るものとして定めることができるが(同条6項),この選択約款についても,経済産業大臣に対する届出が必要であり(同条7項),これら約款の公表や約款どおりの供給を義務付けられている(同法19条,20条)。 このように,都市ガスの供給については,供給区域ごとに一般ガス事業者が定められ,供給約款の認可又は届出によって供給条件が規制されているのであって,入札によってガス料金を自由に競い合うことができるわけではないから,ガス供給契約の締結は,地方自治法施行令167条の2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争 て供給条件が規制されているのであって,入札によってガス料金を自由に競い合うことができるわけではないから,ガス供給契約の締結は,地方自治法施行令167条の2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当するというべきである。 (2) なお,原告らは,都市ガス供給契約の締結に当たっては,原則として競争入札によって行われるべきである旨主張するけれども,蒲郡競走場での年間予想使用量に照らせば,既に小売自由化が図られている年間契約ガス使用料10万立方メー トルでの大口供給ではなく,小口供給での契約締結が前提となる。この場合,ガス料金は供給約款により定められており,入札によって柔軟に価格を下げられるものではないことは,前記(1)のとおりである。また,蒲郡競走場への都市ガス供給に当たっては,ガス料金以外にも導管敷設工事に伴う負担金の有無や,工事期間等の要素を考慮することも必要となるから,ガス料金のみによってガス供給契約の相手方を決すれば足りるものでもない。 (3) 本件ガス供給契約締結当時,供給区域の変更許可を受けて蒲郡競走場に都市ガスを供給し得る可能性を有していた一般ガス事業者は,CとAの2社だけであった。蒲郡市は,次の諸事情を勘案し,Aを選択したのであって,そのことに裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はない。 アガス料金Bによる調査結果によれば,Aの方がCよりも1立方メートル当たりのガス料金が2.7円も割安であった。 イ地域密着性Aは,蒲郡市と同じ東三河地域に本社があるところ,東三河地域を構成する自治体間では積極的に相互の連携が図られているなど,東三河地域は強い一体性・自立性を有している。また,Aは,蒲郡市内におけるLP(液化石油)ガスの供給世帯割合がCの同割合よりも高く,蒲郡市内 成する自治体間では積極的に相互の連携が図られているなど,東三河地域は強い一体性・自立性を有している。また,Aは,蒲郡市内におけるLP(液化石油)ガスの供給世帯割合がCの同割合よりも高く,蒲郡市内の関連施設において市民を対象としたイベントを開催する等の地域的貢献もしているなど,蒲郡市とつながりが深く地域密着性を有している。 ウ天災発生時の復旧対応本件ガス供給契約は,公共性が高く,住民の生命・健康等にも直結するものであるため,天災発生時には都市ガス供給の迅速かつ適切な復旧が求められる。前記イのとおり,Aは蒲郡市とのつながりも強く,また,ガス供給の管轄区域も東三河地域に集中していることから,迅速かつ適切な復旧が期待できる。 第4 当裁判所の判断 1 原告Dについての出訴期間徒過の有無(本案前の争点)について(1) 被告は,原告Dによる第3次監査請求は,第1次監査請求と同一内容の不適法な監査請求であるから,第3次監査請求の結果通知から30日以内に本件訴えを提起しても出訴期間を遵守したことにはならないところ,原告Dの訴えは,第1次監査請求の結果通知から30日の出訴期間を徒過した後に提起されたものであるから,不適法である旨主張する。 (2) 地方自治法242条1項の規定による住民監査請求に対し,同条3項の規定による監査委員の監査の結果が請求人に通知された場合において,請求人たる住民は,上記監査の結果に対して不服があるときは,同法242条の2第1項の規定に基づき同条の2第2項1号の定める期間内に訴えを提起すべきものであり,同一住民が先に監査請求の対象とした財務会計上の行為又は怠る事実と同一の行為又は怠る事実を対象とする監査請求を重ねて行うことは許されていないものと解するのが相当である(最高裁昭和57年(行ツ)第1 同一住民が先に監査請求の対象とした財務会計上の行為又は怠る事実と同一の行為又は怠る事実を対象とする監査請求を重ねて行うことは許されていないものと解するのが相当である(最高裁昭和57年(行ツ)第164号同62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号122頁参照)。そして,住民監査請求の対象は,請求人たる住民の選択によって決せられるものであるが,個々の住民監査請求においていかなる財務会計上の行為又は怠る事実が監査請求の対象とされているかについては,請求書の記載内容等に照らして客観的に判断すべきものである。 そこで,このような観点から,本件において,第3次監査請求で対象とされた本件ガス供給契約締結という財務会計上の行為が,第1次監査請求においても監査請求の対象とされていたかどうかについて検討するに,前記前提事実によると,①原告Dは,「Bは公平で客観的な資料を作成していないので,Bに対して違法・不当な公金の支出であり,違法・不当な契約の履行であるので是正する措置(CとAの公開入札など)を請求します」などと記載した住民監査請求書を提出して第1次監査請求をしたところ,②蒲郡市監査委員は,「本件委託契約に基づく業務の実施ないし支出に違法・不当な点はない」とするとともに,「都市ガス納入業者の選定は,行政上の事実行為であって,住民監査請求の対象となる財務会計上の行為には当た らないが,上記監査請求の対象行為と関連するものとして判断を示すこととする」とした上で,「地域性を踏まえてAへの申込みをしたものであるから,都市ガス納入業者としてAを選択した点につき是正の必要はない」旨の判断をし,第1次監査請求を棄却したというのである。 そうすると,第1次監査請求において,原告Dが住民監査請求の対象として明示していたのは,本件委託契約に基づくBに対す つき是正の必要はない」旨の判断をし,第1次監査請求を棄却したというのである。 そうすると,第1次監査請求において,原告Dが住民監査請求の対象として明示していたのは,本件委託契約に基づくBに対する公金の支出のみであり,蒲郡市監査委員の側においても,本件ガス供給契約の締結そのものが住民監査請求の対象とされていると認識することはなく,単に本件ガス供給契約締結の前提となる都市ガス納入業者の選定という事実行為について,本来は住民監査請求の対象となる財務会計上の行為には該当しないものであるとした上で,あくまでもBに対する公金の支出と関連するものとして念のために判断を示したにとどまるのであるから,本件ガス供給契約の締結は,第1次監査請求においては住民監査請求の対象とはされていなかったというべきである。 そして,前記前提事実によると,原告Dは,その後,「蒲郡競艇場における都市ガス供給会社選定について,選定のやり直しその他の是正措置を求める」とする第2次監査請求をし,さらに,「①蒲郡競走場におけるAとの都市ガス供給契約の申込み又はその締結を取り消す措置を求めること,②Aによる都市ガス供給に伴う蒲郡競走場施設改善機械設備工事等に係る契約を取り消す措置を求めること」を内容とする第3次監査請求をしたというのであるから,本件ガス供給契約の締結自体は,第3次監査請求において初めて住民監査請求の対象とされたとみるのが相当である。 以上によると,地方自治法242条の2第2項1号所定の出訴期間は,第3次監査請求の結果通知から30日以内となるところ,前記前提事実によると,本件訴えは,第3次監査請求の結果が通知された平成24年11月16日から30日以内である同年12月12日に提起されたというのであるから,原告Dの訴えは,出訴期間内に提起された適法な訴えというこ と,本件訴えは,第3次監査請求の結果が通知された平成24年11月16日から30日以内である同年12月12日に提起されたというのであるから,原告Dの訴えは,出訴期間内に提起された適法な訴えということになる。 したがって,被告の上記主張は,採用することができない。 (3) なお,第3次監査請求は,本件ガス供給契約の締結日(平成23年8月8日)から1年以上経過した平成24年9月21日にされているけれども,前記前提事実のとおり,本件ガス供給契約については,本件訴えの提起後,被告において,蒲郡市長が平成23年8月8日に申込書(乙8)をAの担当者に交付し,同担当者がこれを受領したことによって締結されたものであることを明らかにし,これによって初めて本件ガス供給契約が同日に締結されたことが明確になったものである。前記前提事実によると,本件ガス供給契約の申込みがされた平成23年8月8日当時,蒲郡競走場の所在地はAの供給区域外であり,蒲郡競走場へのガス供給に必要となる供給区域の変更許可がされていなかったというのであるから,住民にとって,申込みがあったことを知り得たとしても,これにより本件ガス供給契約が締結されたのかどうかが判然としなかったのは,無理からぬところであり,本件全証拠を精査してみても,本件訴え提起後に被告によって上記釈明がなされる以前において,住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて本件ガス供給契約が締結されたことを知ることができたことをうかがわせる事情も見当たらないから,第3次監査請求が本件ガス供給契約締結から1年を経過した後にされたことについて,地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由があるというべきである。 したがって,本件訴えは,訴訟要件を欠くものではなく,適法である。 2 本件ガス供給契約の違法 た後にされたことについて,地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由があるというべきである。 したがって,本件訴えは,訴訟要件を欠くものではなく,適法である。 2 本件ガス供給契約の違法性(本案の争点)について(1) 前記前提事実に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,本件ガス供給契約の締結に至る経緯等として,次の事実が認められる。 ア蒲郡市では,平成20年頃,競艇施設である蒲郡競走場の施設改善工事を計画し,平成21年10月1日,Bに対し,蒲郡競走場施設改善の基本設計を委託することにより空調設備の熱源についての比較検討をした。Bは,蒲郡競走場の所在地が都市ガスの供給区域外であり,都市ガスの供給に必要なインフラ整備も進んでいなかったため,電気を用いた方式で基本設計を実施したが,都市ガスの導入が可 能であれば経済的に有利(効率的)である旨の試算をした。(甲4,弁論の全趣旨)イ蒲郡市は,平成22年4月26日,Bに対し,蒲郡競走場の施設改善に係る実施設計を委託した(本件委託契約)。Bから,空調熱源として電気ではなく都市ガスにした方が経済面及び設備面において有利(効率的)である旨の報告書が提出されたことを受けて,蒲郡市は,平成23年3月頃,Bに対し,都市ガスの導入が可能かどうか確認するため,C及びAに対し,①平成25年11月に供給することが可能か,②蒲郡市において公道部分のガス配管敷設工事に関して費用を負担することが必要か,③1立方メートル当たりの平均ガス料金は幾らになるかの3点について確認するよう指示した。(甲5,乙2の3)ウこれを受けて,Bは,平成23年3月17日付けで,C及びAに対し,①蒲郡競走場への都市ガス供給の可否(前提条件として,供給開始は平成25年11月予定,ガス空調設備はGHP1300H 2の3)ウこれを受けて,Bは,平成23年3月17日付けで,C及びAに対し,①蒲郡競走場への都市ガス供給の可否(前提条件として,供給開始は平成25年11月予定,ガス空調設備はGHP1300HP程度,年間ガス使用量は9万~12万立方メートル程度),②大口契約及び小口契約各々の場合において公道部分のガス配管敷設工事費用のうち,蒲郡市が費用負担する部分の有無及び概算金額,③ガス料金設定(平成23年3月時点の1立方メートル当たりの平均単価)の3点について,回答を依頼する旨の文書を発出した。(乙7の1,2)エこれに対し,Aは,平成23年3月25日付けで,①蒲郡市提示の前提条件での都市ガス供給は可能であること,②公道部分のガス配管敷設工事代金は全額Aが負担すること,③ガス料金は1立方メートル当たり76円程度であること(ただし,準備中のガス空調向け料金メニューをベースに試算した場合の平均単価。月別の使用量などにより単価は変動することがある。)を回答した。(乙7の3)オ一方,Cは,平成23年3月29日付けで,①蒲郡市提示の前提条件での都市ガス供給は可能であること,②公道部分のガス配管敷設工事代金は全額Cが負担すること,③ガス料金は年間予測使用量に基づけば小口契約を前提とするのが適当であり,小口契約によれば1立方メートル当たり平均78.7円であること(平成23年3月の単価による試算。単価は原料購入価格により毎月変動する。)を回答 するとともに,参考として,Aが同社のホームページで公開している当時の小口契約価格によれば,ガス料金は平均で1立方メートル当たり平均83.6円となる旨の試算を提出した。なお,年間契約ガス使用量が10万立方メートル以上の場合には,大口契約として,需要者とガス供給者との間の交渉により料金その他の契約条件を 1立方メートル当たり平均83.6円となる旨の試算を提出した。なお,年間契約ガス使用量が10万立方メートル以上の場合には,大口契約として,需要者とガス供給者との間の交渉により料金その他の契約条件を個別に定めることが可能であり,一般ガス事業者による供給区域外への供給や一般ガス事業者以外の者による供給も許されるが,正当な理由なく使用量が年間契約ガス使用量に達しないときは大口基準未達補償料の支払義務が発生することとなる(ガス事業法2条7項,37条の7の3,37条の9,ガス事業法施行規則3条参照)。(甲12の2,乙7の4)カ両社からの回答を受けて,Bは,平成23年3月31日,蒲郡市に対し,都市ガスの供給開始及びガス配管敷設工事費の負担については,C及びA両社とも違いはないが,ガス料金については,Aが1立方メートル当たり2.7円割安となっているのでAによる都市ガス供給がより有利であると判断する旨を記載した書面を提出した。(乙7の5,9)キ蒲郡商工会議所会頭は,経済産業大臣に対し,「愛知県蒲郡市における都市ガス供給について」と題する平成23年4月13日付け書面を提出した。同書面には,①蒲郡市における都市ガスの供給区域は,東西両端のごく一部の地区に限られており,中心部を含むほぼ全域が都市ガス未普及地域であること,②蒲郡市は,東三河地区にあって豊橋市や豊川市等との文化的,経済的な結びつきが強く,愛知県としても平成24年度の東三河県庁設置に向けて動いていること等から,都市ガスのインフラ整備についても東三河全体として取り組んでいくべきであり,蒲郡市の中心市街地や商工業地区への都市ガス供給は,特に地元とつながりが深く地域貢献にも実績のある企業グループによることが望ましいと考えていること,③蒲郡市の公共施設,工業団地及び市内企業,一般家庭等への 中心市街地や商工業地区への都市ガス供給は,特に地元とつながりが深く地域貢献にも実績のある企業グループによることが望ましいと考えていること,③蒲郡市の公共施設,工業団地及び市内企業,一般家庭等への都市ガス供給に係る供給区域等変更の許可に当たっては,市民や地元企業の意向を十分に酌んで,慎重な対応をするよう要望すること等が記載されていた。(乙6) ク蒲郡市は,Bの調査結果や蒲郡商工会議所の要望内容,地理的条件等からみた天災発生時の復旧対応の難易等も踏まえ,平成23年8月8日,Aに対し,使用場所を「蒲郡競走場」,使用開始時期を「平成25年11月予定」とする施設改善後の蒲郡競走場における都市ガス供給契約を申し込んだ。その結果,蒲郡市とAとの間で,同日,本件ガス供給契約が成立した。(甲4,6,乙8)ケ一般ガス事業については,許可制が採られ(ガス事業法3条),導管等の二重投資を回避する観点から,許可に当たって供給区域を設定することにより(同法6条2項3号),地域独占が認められており,供給区域外の地域を供給区域に変更するには,同法8条所定の許可が必要とされている。そして,一般ガス事業者は,ガス料金その他の供給条件について供給約款を定め,経済産業大臣の認可を得なければならないものとされており(同法17条1項),ガス料金を引き下げる場合その他のガスの使用者の利益を阻害するおそれがないと見込まれる場合には,供給条件を変更することができるものの(同条3項),変更後の供給約款を経済産業大臣に届け出なければならず(同条4項),一般ガス事業の用に供する設備の効率的な使用その他の効率的な事業運営に資すると見込まれる場合には,認可を受けた供給条件とは異なる供給条件を設定した約款を,ガスの使用者が供給約款に代えて選択し得るものとして定めることがで る設備の効率的な使用その他の効率的な事業運営に資すると見込まれる場合には,認可を受けた供給条件とは異なる供給条件を設定した約款を,ガスの使用者が供給約款に代えて選択し得るものとして定めることができるが(同条6項),この選択約款についても,経済産業大臣に対する届出が必要とされており(同条7項),これら約款の公表や約款どおりの供給を義務付けられている(同法19条,20条)。 本件ガス供給契約締結当時,蒲郡競走場の所在地を供給区域としている一般ガス事業者は存在しなかったため,蒲郡競走場において都市ガスの供給を受けるには,年間契約ガス使用量10万立方メートル以上の大口契約を締結するか,あるいは,蒲郡競走場の所在地を供給区域に加える旨の供給区域変更許可を受けた一般ガス事業者との間で,約款どおりの供給条件により供給契約を締結するしかなかった。(甲4,12の2,乙14)コ本件ガス供給契約締結当時,蒲郡市において都市ガスを供給している一般ガ ス事業者は,CとAの2社のみであった。このうち,Cは,名古屋市内に本社を置き,名古屋市を始めとする愛知県の広い範囲に都市ガスを供給していたが,その供給区域の中心は,愛知県の北西部であり,静岡県との県境である東三河地域では,北西部ほどには供給区域が広がっていなかった。 一方,Aは,豊橋市内に本社を置き,豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市といった愛知県東部の東三河地域と,浜松市を中心とする静岡県西部の遠州西部地域を供給区域としていた。また,Aは,本社のある豊橋市と蒲郡市とが地理的に近い関係にあることもあって,蒲郡市内にある自社の関連施設において市民向けの各種イベントを開催したり,同市における廃油のリサイクル事業に参加するなどの活動を展開しており,蒲郡市におけるAのLPガス供給世帯数は,約8000世帯 ,蒲郡市内にある自社の関連施設において市民向けの各種イベントを開催したり,同市における廃油のリサイクル事業に参加するなどの活動を展開しており,蒲郡市におけるAのLPガス供給世帯数は,約8000世帯,約27%に上っていて,CのLPガス供給世帯数よりも多かった。(甲8,10,乙10ないし12,16,弁論の全趣旨)サなお,Aは,本件ガス供給契約締結後,蒲郡競走場の所在地を供給区域に加える供給区域の変更につき,ガス事業法8条所定の許可を受けた。(乙2の3,弁論の全趣旨)(2) 随意契約によることができることを定めた地方自治法234条2項,同施行令167条の2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」には,普通地方公共団体が契約を締結するに当たり競争入札の方法によることが不可能又は著しく困難とはいえないとしても,当該契約の目的・内容に相応する資力,信用,技術,経験等を有する相手方を選定してその者との間で契約を締結するという方法をとるのが当該契約の性質に照らし又はその目的を達成する上でより妥当であり,ひいては当該普通地方公共団体の利益の増進につながる場合も含まれ,上記に該当するか否かは,普通地方公共団体の契約担当者が,契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法制限を加えている法令の趣旨を勘案し,個々具体的な契約ごとに,当該契約の種類,内容,性質,目的等諸般の事情を考慮して,その合理的な裁量に基づいて判断すべき ものと解される(最高裁昭和57年(行ツ)第74号同62年3月20日第二小法廷判決・民集41巻2号189頁参照)。 そこで,このような観点から,本件について検討するに,前記(1)で認定した事実によると,①本件ガス供給契約の目的は,蒲郡競走場における空調熱 20日第二小法廷判決・民集41巻2号189頁参照)。 そこで,このような観点から,本件について検討するに,前記(1)で認定した事実によると,①本件ガス供給契約の目的は,蒲郡競走場における空調熱源として都市ガスを供給するものであるところ,ガス事業法上,都市ガスの供給については,許可制が採られ,供給区域ごとに許可を受けた特定の一般ガス事業者のみとしかガス供給契約を締結することができず,ガス料金その他の供給条件についても,当該事業者が定めて認可を受けた供給約款に従うことが義務付けられているため,複数の供給者が入札によって料金を自由に競い合うことはできない制度となっていること,②ガス事業法によると,年間契約ガス使用量が10万立方メートル以上の場合には,大口契約として,需要者とガス供給者との交渉により料金その他の契約条件を個別に定めることが可能であり,一般ガス事業者による供給区域外への供給や一般ガス事業者以外の者による供給も許されているが,正当な理由なく使用量が年間契約ガス使用量に達しないときは大口基準未達補償料を支払わなければならないものとされていること,③蒲郡競走場において見込まれる年間ガス使用量は,9万~12万立方メートル程度にとどまり,大口契約を締結した場合には,大口基準未達補償料の支払義務が発生するおそれがあることから,Cは,蒲郡市の照会に対し,大口契約ではなく,通常の小口契約とするのが適当であると回答し,Aも,同様に小口契約を前提とする回答をしていたこと,④蒲郡市は,本件ガス供給契約に先立ち,供給区域の変更許可を受けて蒲郡競走場に都市ガスを供給し得る可能性を有していた一般ガス事業者であるC及びAに対し,Bを介して導管敷設工事に伴う負担金の有無やガス料金等を照会し,その回答結果を比較検討したものであって,それによれば,負担金の有 スを供給し得る可能性を有していた一般ガス事業者であるC及びAに対し,Bを介して導管敷設工事に伴う負担金の有無やガス料金等を照会し,その回答結果を比較検討したものであって,それによれば,負担金の有無等には2社の間に違いはなく,ガス料金については,Aの回答額の方がCよりも1立方メートル当たり2.7円下回っていたこと,⑤Aは,豊橋市内に本社を置き,愛知県東部の東三河地域と浜松市を中心とする静岡県西部という,蒲郡市に近接する限られた地域に都市ガスを供給していたのに対し,Cは, 名古屋市内に本社を置き,愛知県北西部を中心とする広範な地域に都市ガスを供給していたが,蒲郡市のある東三河地域では,愛知県北西部ほどには供給区域が広がっておらず,蒲郡市におけるLPガスの供給世帯数も,Aの方がCを上回っていたこと,⑥蒲郡商工会議所は,地域的な結びつき等を考慮して東三河全体として都市ガスのインフラ整備に取り組んでいくべきであり,地元とのつながりが深く地域貢献にも実績のある企業グループによる都市ガス供給が望ましいとの意見を表明していたこと,⑦蒲郡市は,これらC及びAに対する照会結果や蒲郡商工会議所の要望,地理的条件からみた天災発生時の復旧対応の難易等も踏まえて,Aとの間で本件ガス供給契約を締結したものであること等を指摘することができる。 これら諸点に照らすと,本件ガス供給契約の締結に当たっては,競争入札の方法によって契約を締結することが不可能又は著しく困難であったとまではいえないとしても,蒲郡市において,ガス事業法の規制により契約の相手方や料金その他の契約条件を自由には決められないという都市ガス供給契約の性質上,競争入札によることが適当ではなく,導管敷設工事に伴う負担金の有無やガス料金等のほか,東三河地域の地域的な結びつきや産業振興等,地理的条件か 条件を自由には決められないという都市ガス供給契約の性質上,競争入札によることが適当ではなく,導管敷設工事に伴う負担金の有無やガス料金等のほか,東三河地域の地域的な結びつきや産業振興等,地理的条件からみた天災発生時の復旧対応の難易等をも考慮して,特定の相手方を選定してその者との間で契約を締結するのが妥当であると考えたことには十分首肯するに足りる理由があったというべきであり,契約の相手方として,東三河地域に活動拠点を置いて都市ガスを供給してきた実績を有するAを選定して同社との間で本件ガス供給契約を締結したことに合理性を欠く点があるということもできない。 したがって,本件ガス供給契約の締結は,地方自治法234条2項,同施行令167条の2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当するのであるから,蒲郡市が本件ガス供給契約を随意契約の方法により締結したことは適法であり,また,蒲郡市が契約の相手方としてAを選択した判断につき,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということもできない。 (3) これに対し,原告らは,AとCの2社による競争入札が可能であった以上,随意契約の方法によることは違法である旨主張する。 しかしながら,前記(1),(2)で認定,説示したとおり,本件ガス供給契約の締結に当たっては,大口契約を締結するのに十分な年間ガス使用量を見込めなかったため,通常の小口契約によらざるを得なかったところ,通常の小口契約の場合,大口契約のように,契約当事者が料金その他の契約条件を自由に定めることは許されず,あらかじめ認可された供給約款の定める料金その他の供給条件に従わなければならないのであるから,原告らが主張するように,本件ガス供給契約締結に当たり,競争原理に基づいて契約の相手方を決定 は許されず,あらかじめ認可された供給約款の定める料金その他の供給条件に従わなければならないのであるから,原告らが主張するように,本件ガス供給契約締結に当たり,競争原理に基づいて契約の相手方を決定する入札の方法によるべきであるということはできない。 したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。 (4) また,原告らは,本件ガス供給契約を随意契約の方法によって締結したこと自体は適法であるとしても,①蒲郡市はガス料金を考慮していないか,これを考慮したとしても,Aの回答した導入準備中の空調向け価格を前提に判断したのは不当である,②蒲郡市とAとの地域的なつながりが強いということはない,③天災発生時の復旧対応について具体的な調査をしていないなどとして,蒲郡市がAとの間で本件ガス供給契約を締結したことは違法である旨主張する。 しかしながら,上記①の点については,前記(1)で認定した事実によると,蒲郡市は,Bを介してガス料金を照会し,より安いガス料金を提示したAと本件ガス供給契約を締結したのであるから,蒲郡市が料金面を全く考慮せずに本件ガス供給契約を締結したということはできない。また,Aの回答したガス料金は導入準備中の空調向け価格であって平成23年3月当時の単価ではなかったことは,原告らの指摘するとおりであるけれども,Aは,自社内部の検討を踏まえて書面により正式に回答しているのであるから,少なくとも供給開始が予定されている平成25年11月時点におけるガス空調向けの料金設定をある程度の確度で見越して上記価格提示をしたものと考えられる。そもそもガス料金は,その時々の原料購入価格や使用量等 により変動するものであり,その供給開始時の正確な価格を前もって予測することは困難であるから,供給開始予定時期(平成25年11月)の2年以上 そもガス料金は,その時々の原料購入価格や使用量等 により変動するものであり,その供給開始時の正確な価格を前もって予測することは困難であるから,供給開始予定時期(平成25年11月)の2年以上前に行われた単価の照会は,その後の価格変動を念頭に置いた上で参考となる資料を収集しようとしてなされたという意義を有するにすぎない。そうすると,蒲郡市がAからの回答に記載されていた導入準備中の空調向け価格とCからの回答に記載されていた現行価格を基に検討を進めた点が不当であるということはできない。 上記②の点については,前記(1)で認定したとおり,Aが,蒲郡市と同じ東三河地域に位置する豊橋市に本社を置き,東三河地域を都市ガス供給業務の拠点の一つとしていたことや,蒲郡市内に関連施設を有し,市民向けの各種イベントの開催や同市における廃油リサイクル事業に参加するなどの活動を展開していたこと等に照らすと,当時,Aと蒲郡市との間にはそれ相応の地域的なつながりがあったということができるから,この点を契約締結に際して考慮したことが不当であるということはできない。 上記③の点については,蒲郡市が天災発生時の復旧対応について具体的な調査までしていなかったとしても,C及びAそれぞれの本社所在地や供給区域の広狭,蒲郡市との位置関係等は,前記(1)で認定したとおりであるから,これら諸点に照らすと,蒲郡市において,蒲郡市の近隣である豊橋市に本社があり,都市ガスの供給区域も東三河地域周辺に限定されているAの方が大地震等の天災発生時に迅速に対応し得ると判断して,この点を契約締結に際して考慮したことが不相当であるということはできない。 したがって,原告らの上記各主張は,いずれも採用することができない。 3 小括以上によれば,蒲郡市が,Aとの間で,本件ガス供給契 に際して考慮したことが不相当であるということはできない。 したがって,原告らの上記各主張は,いずれも採用することができない。 3 小括以上によれば,蒲郡市が,Aとの間で,本件ガス供給契約を随意契約の方法により締結したことは適法であるから,本件請求は理由がない。 第5 結論以上の次第で,原告らの本件請求はいずれも理由がないからこれを棄却すること として,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官福井章代 裁判官富澤賢一郎 裁判官平野佑子 (別紙)関係法令の定め 1 地方自治法234条1項売買,賃借,請負その他の契約は,一般競争入札,指名競争入札,随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。 234条2項前項の指名競争入札,随意契約又はせり売りは,政令で定める場合に該当するときに限り,これによることができる。 2 地方自治法施行令167条の2第1項地方自治法234条2項の規定により随意契約によることができる場合は,次に掲げる場合とする。 1号 (略)2号不動産の買入れ又は借入れ,普通地方公共団体が必要とする物品の製造,修理,加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。 3号以下(略) 3 ガス事業法(平成23年法律第109号による改正前のもの。以下,単に「ガス事業法」という。)2条7項この法律において「大口供給」とは,ガスの使用者の一定数量以上の需要に応じて行う導管によるガスの供給( 成23年法律第109号による改正前のもの。以下,単に「ガス事業法」という。)2条7項この法律において「大口供給」とは,ガスの使用者の一定数量以上の需要に応じて行う導管によるガスの供給(経済産業省令で定める密接な関係を有する者に対し て行うものを除く。)であつて,経済産業省令で定める要件に該当するものをいう。 3条一般ガス事業を営もうとする者は,経済産業大臣の許可を受けなければならない。 5条経済産業大臣は,3条の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ,同条の許可をしてはならない。 1号その一般ガス事業の開始が一般の需要に適合すること。 2号その一般ガス事業のガス工作物の能力がその供給区域又は供給地点におけるガスの需要に応ずることができるものであること。 3号その一般ガス事業の開始によつてその供給区域の全部若しくは一部において又はその供給地点についてガス工作物が著しく過剰とならないこと。 4号その一般ガス事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。 5号その一般ガス事業の計画の実施が確実であること。 6号特定ガス発生設備に係るものにあつては,当該特定ガス発生設備によるガスの供給が円滑に実施される見込みがあり,かつ,その供給地点につき,特定ガス発生設備に代えて,これ以外のガス工作物によりすみやかにガスの供給を行なうべき確実な計画を有するものであること。 7号その他その一般ガス事業の開始が公益上必要であり,かつ,適切であること。 6条1項経済産業大臣は,3条の許可をしたときは,許可証を交付する。 6条2項 許可証には,次の事項を記載しなければならない。 1,2号 (略)3号供給区 6条1項経済産業大臣は,3条の許可をしたときは,許可証を交付する。 6条2項 許可証には,次の事項を記載しなければならない。 1,2号 (略)3号供給区域並びに供給地点群ごとに供給地点及びその数4号 (略) 8条1項一般ガス事業者は,6条2項3号の事項を変更しようとするときは,経済産業大臣の許可を受けなければならない。 8条2項5条の規定は,前項の許可に準用する。 8条3項 (略) 17条1項一般ガス事業者は,ガスの料金その他の供給条件について,経済産業省令で定めるところにより,供給約款を定め,経済産業大臣の認可を受けなければならない。 これを変更しようとするときも,同様とする。 17条2項 (略)17条3項一般ガス事業者は,1項後段の規定にかかわらず,ガスの料金を引き下げる場合その他のガスの使用者の利益を阻害するおそれがないと見込まれる場合として経済産業省令で定める場合には,1項の認可を受けた供給約款(次項の規定による変更の届出があつたときは,変更後の供給約款。以下この条において同じ。)で設定したガスの料金その他の供給条件を変更することができる。 17条4項一般ガス事業者は,前項の規定によりガスの料金その他の供給条件を変更したときは,経済産業省令で定めるところにより,変更後の供給約款を経済産業大臣に届 け出なければならない。 17条5項 (略)17条6項一般ガス事業者は,その一般ガス事業の用に供する設備の効率的な使用その他の効率的な事業運営に資すると見込まれる場合には,ガスの料金及びその料金を適用するために必要となるその他の供給条件について1項の認可を受けた供給約款で設定したものと異なる供給条件を設定 な使用その他の効率的な事業運営に資すると見込まれる場合には,ガスの料金及びその料金を適用するために必要となるその他の供給条件について1項の認可を受けた供給約款で設定したものと異なる供給条件を設定した約款を,ガスの使用者が供給約款に代えて選択し得るものとして,定めることができる。 17条7項一般ガス事業者は,前項の規定により約款を定めたときは,経済産業省令で定めるところにより,その約款(以下「選択約款」という。)を経済産業大臣に届け出なければならない。これを変更したときも,同様とする。 17条8項 (略) 19条一般ガス事業者は,17条1項の規定により供給約款の認可を受け,同条4項の規定により供給約款の変更の届出をし,若しくは前条2項の規定による供給約款の変更があつたとき,又は17条7項の規定により選択約款の届出をしたときは,その供給約款又は選択約款をその実施の日の10日前から,営業所,事務所その他の事業場において,公衆の見やすい箇所に掲示しておかなければならない。 20条一般ガス事業者は,17条1項の認可を受けた供給約款(同条4項の規定による変更の届出があつたときは,変更後の供給約款)(18条2項の規定による変更があつたときは,変更後の供給約款)又は17条7項の規定による届出をした選択約款以外の供給条件により,その供給区域における一般の需要に応じガスを供給して はならない。ただし,大口供給を行う場合においてその供給の相手方と合意したとき,又は特別の事情がある場合において経済産業大臣の認可を受けたときは,この限りでない。 37条の7の3第1項ガス導管事業者は,大口供給を行おうとするとき(特定ガス発生設備においてガスを発生させ,導管によりこれを供給する場合を除く。)は,供給の相 ときは,この限りでない。 37条の7の3第1項ガス導管事業者は,大口供給を行おうとするとき(特定ガス発生設備においてガスを発生させ,導管によりこれを供給する場合を除く。)は,供給の相手方その他経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。 37条の7の3第2項前項の規定による届出をした者は,その届出が受理された日から30日を経過した後でなければ,その届出に係る大口供給をしてはならない。 37条の7の3第3項経済産業大臣は,1項の規定による届出に係る大口供給が次の各号に適合していると認めるときは,前項に規定する期間を短縮することができる。 1号その大口供給が一般ガス事業者の供給区域において行われるものであるときは,その大口供給を行うことにより,当該一般ガス事業者の供給区域内のガスの使用者の利益が阻害されるおそれがないこと。 2号その大口供給が一般ガス事業者の供給区域以外の地域であつて,一般ガス事業の開始が見込まれる地域において行われるものであるときは,その大口供給を行うことにより,当該一般ガス事業の開始が著しく困難となるおそれがないこと。 37条の7の3第4項経済産業大臣は,1項の規定による届出に係る大口供給が前項各号のいずれかに適合しないと認めるときは,その届出をした者に対し,その届出を受理した日から30日(次項の規定により2項に規定する期間が延長された場合にあつては,当該延長後の期間)以内に限り,その届出の内容を変更し,又は中止すべきことを命ずることができる。 37条の7の3第5項経済産業大臣は,1項の規定による届出に係る大口供給が3項各号に適合するかどうかについて審査するため相当の期間を要し,当該審査が2項に規定する期間内に終了しないと認める相 37条の7の3第5項経済産業大臣は,1項の規定による届出に係る大口供給が3項各号に適合するかどうかについて審査するため相当の期間を要し,当該審査が2項に規定する期間内に終了しないと認める相当の理由があるときは,30日の範囲内において,同項の期間を延長することができる。この場合において,経済産業大臣は,その届出をした者に対し,遅滞なく,当該延長後の期間及び当該延長の理由を通知しなければならない。 37条の9第1項一般ガス事業者及びガス導管事業者以外の者は,大口供給を行おうとするとき(特定ガス発生設備においてガスを発生させ,導管によりこれを供給する場合を除く。)は,供給の相手方その他経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。 37条の9第2項37条の7の3第2項から第5項までの規定は,前項の届出に準用する。 4 ガス事業法施行規則3条法2条7項の経済産業省令で定める要件は、次の各号のいずれにも適合することとする。 1号一の供給地点について供給を約した年間のガス供給量が,熱量46メガジュールのガスを常温及び常圧で10万立方メートル以上供給するものに相当する量であること。 2号当該ガスの供給に係る契約において,実際に年間に供給したガスの量が正当な理由なく前号に定める量に達しなかつた場合には,ガスの使用者が大口基準未達補償料をガスの供給者に支払う旨を約していること。 3号 1号のガスの供給を3年以上行つている場合であつて,ガスの使用者が至近の3年において,連続して実際に供給したガスの量が正当な理由なく同号に定める量に達しなかつたものでないこと。 3条2項2年以上継続するガスの供給を約した場合の1年目のガス供給量に対する前項1号の適用について 続して実際に供給したガスの量が正当な理由なく同号に定める量に達しなかつたものでないこと。 3条2項2年以上継続するガスの供給を約した場合の1年目のガス供給量に対する前項1号の適用については,2年目以降に供給することを約した年間のガス供給量が同号に適合する場合に限り,同号中「年間のガス供給量」とあるのは,「1年目の後半6月間のガス供給量を2倍したもの」とすることができる。 3条3項1項2号の大口基準未達補償料は,10万立方メートルのガスの量から実際の年間ガス供給量を減じたものに,ガス料金のうちガス供給量に応じて算定した料金の年間の総額(次項において「年間のガス料金総額」という。)を実際の年間ガス供給量で除したものを掛けて得られる金額以上でなければならない。 3条4項2項の規定により1項1号を読み替えて適用した場合の前項の適用については,「実際の年間ガス供給量」とあるのは「実際の1年目の後半6月間のガス供給量を2倍したもの」と,「年間のガス料金総額」とあるのは「当該1年目の後半6月間のガス料金総額を2倍したもの」とする。 以上
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