平成17(行コ)44 行政文書不開示決定取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成16年(行ウ)第381号)

裁判年月日・裁判所
平成17年5月11日 東京高等裁判所 情報公開
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判決文本文2,169 文字)

主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人が控訴人に対し,平成16年7月16日付けでした,行政文書の一部不開示決定のうち,財団法人興農会と千代田エンジニアリング有限会社との間の土地賃貸借契約書を不開示とする部分を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,被控訴人が,平成16年7月16日,控訴人に対してした,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づく控訴人の開示請求について一部不開示とする決定(以下「本件一部不開示決定」という。)のうち,財団法人興農会(以下「興農会」という。)と千代田エンジニアリング有限会社(以下「千代田」という。)との間の土地賃貸借契約(以下「本件契約」という。)の契約書(以下「本件契約書」という。)を不開示とする部分の取消しを求めた事案である。 争点は,本件契約書が法5条2号イ及びロに該当するかどうかであるが,控訴人は,本件契約の違法性も争点であると主張する。 原審は,本件契約書は,法5条2号イ及びロに該当すると認め,本件一部不開示決定のうち,本件契約書を不開示とした部分は適法であるとして,控訴人の請求を棄却した。 2 法令の定め,前提事実及び当事者の主張は,当審における控訴人の主張を次のとおり付加するほか,原判決「事実及び理由」第2の1ないし4に摘示されたとおりであるから,これを引用する。 (控訴人の当審における主張)(1) Aは,興農会の理事であり,千代田のオーナーの立場にあるところ,本件契約は,Aが両者を代理して行った自己契約であり,かつ,興農会に損失を与えるものであるから,仮に興農会の理事会及び千代田の取締役 ) Aは,興農会の理事であり,千代田のオーナーの立場にあるところ,本件契約は,Aが両者を代理して行った自己契約であり,かつ,興農会に損失を与えるものであるから,仮に興農会の理事会及び千代田の取締役会で承認が得られたとしても,無効である。したがって,法5条2号イ及びロに該当するかどうかについて審理するまでもなく,司法上,社会正義の正当性の観点から,本件契約書の不開示によって,司法上保護を与えることは許されない。 (2) 本件契約は,興農会の理事らが私的に不正蓄財する目的で行われたものであるから,公にされることで第三者に有利に援用される可能性や,興農会及び千代田の競争上の地位の侵害等の問題を生ずる余地はないものであり,法5条2号イ及びロに該当しない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件契約書は,法5条2号イ及びロの不開示情報に該当するから,本件一部不開示決定のうち,本件契約書を不開示とした部分は適法であり,控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は,次のとおり原判決を訂正し,控訴人の当審における主張に対する判断を付加するほか,原判決「事実及び理由」第3の1ないし3に説示されたとおりであるから,これを引用する。 (原判決の訂正)原判決5頁18行目の「財産法人」を「財団法人」に改める。 (控訴人らの主張に対する判断)(1) 控訴人は,本件契約について,Aが興農会と千代田の双方の代理人として行った自己契約として無効であると主張する(なお,同一人が当事者双方の代理人となるのは双方代理である。)。しかし,本件契約の有効,無効は,法5条2号イ及びロの要件とは直接関わりのない問題である。また,控訴人は,社会正義の正当性の観点から,本件契約書の不開示について,司法上保護を与えることは許されないと主張するが,本件開示請求は,法4条 5条2号イ及びロの要件とは直接関わりのない問題である。また,控訴人は,社会正義の正当性の観点から,本件契約書の不開示について,司法上保護を与えることは許されないと主張するが,本件開示請求は,法4条1項に基づくものであるから,法5条の制限に服するものであり,同条2号イ,ロの規定を無視することはできない。 (2) 控訴人は,本件契約書について,本件契約は,興農会の理事らが私的に不正蓄財する目的で行われたものであるとして,これが公にされても第三者に有利に援用される可能性はなく,また,興農会及び千代田の競争上の地位の侵害等の問題を生ずる余地はないとして,法5条2号イには当たらないと主張する。しかしながら,賃貸借契約書には,賃貸借契約という取引行為に関する重要な情報が記載されるのが通常であり,これが公にされることは,一般に,その当事者の競争上の地位を害するおそれがあることは,原判決説示のとおりである。なお,控訴人の主張は,「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要である」と認める(法5条2号ただし書)べき事情には当たらない。したがって,控訴人の上記の主張も採用することができない。 (3) 控訴人のその余の主張も,上記の判断を左右するものではない。 2 よって,控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第11民事部裁判長裁判官富越和厚裁判官桐ヶ谷敬三裁判官佐藤道明 裁判官佐藤道明

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