昭和34(く)32 保護処分決定に対する抗告事件

裁判年月日・裁判所
昭和34年11月18日 名古屋高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  本件抗告の理由は、原決定において認定された恐喝、傷害の事実は、少年として 身に覚えのないものであり、仮りに、そのような事

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判決文本文2,327 文字)

主文 本件抗告を棄却する。 理由 本件抗告の理由は、原決定において認定された恐喝、傷害の事実は、少年として身に覚えのないものであり、仮りに、そのような事実があつたとしても、少年は、犯行後充分反省悔悟し、正業に従事しているばかりでなく、本件については、既に試験観察に付されていたものであるから、今、改めて少年院送致処分をすることは不当である。なお、少年は、昭和三四年一一月をもつて成人に達するのであるから、それ迄に正業に従事する機会が与えられるよう考慮してもらいたいというのである。 本件記録を調査してみると、原決定(1)において認定した恐喝、傷害、暴行の各事実は、原裁判所における審判の際の本人の供述、その他各関係者の司法警察員又は司法巡査に対する各供述調書並びに医師AのBに対する診断書により明認できるところであり、同(2)の事実についても、少年が実父のCに対し殴打のうえ傷害を蒙らせ、警察の呼出しに応じないばかりか、家庭においても、保護者であるC夫婦に対し暴言を吐き、同人らにおいて少年の保護、育成については既にさじを投げていることも、右Cの司法警察員に対する、同Dの司法巡査に対する各供述調書並びに医師Eの右Cに対する診断書により明らかである。そして、記録を精査してみても、少年の虞犯性を否定すべき資料は存しない。しかも、少年に対しては、原決定にもいうごとく、前記(1)の事実について原裁判所において、試験観察の処分がなされていたのにも拘らず、少年においては自己の非行に対する反省の念が乏しく、同時に、職業に専心する気力に欠け、永続性がないので常に不安定で落ちつかず、しかも前記のごとく保護者において、少年に対する保護、矯正の能力がなく、むしろ適当な矯正施設に入所させて貰いたいと希望している状況にあるので、 する気力に欠け、永続性がないので常に不安定で落ちつかず、しかも前記のごとく保護者において、少年に対する保護、矯正の能力がなく、むしろ適当な矯正施設に入所させて貰いたいと希望している状況にあるので、原決定が少年を矯正施設に入所させて性格の矯正と環境の調整を図るのが相当であると認めて、原処分に出でたことが、不相当なものであるとは、とうてい認められない。 (なお、当裁判所が本件記録を受理したこと記録上明らかな昭和三四年一一月一六日当時においては、同一四年一一月一五日出生の本人が既に満二〇才に達し、少年の身分を喪つていたことは明らかである。然し、原裁判所が決定をした同年一〇月一五日当時においては、本人は、未だ少年たる身分を保有していたものであるから、原決定が本人に対し、少年院送致の原処分をしたことには、なんらの違法はなかつたわけである。そこで、本件の場合のごとく、原決定当時少年であつた者が、抗告審において成年に達した場合、抗告審として、なお原決定を維持し、抗告を棄却できるかどうかについては、多少疑問がないわけではない。蓋し、その場合には成年の者に対し保護処分をする結果となるからである。 勿論、この問題は、より本質的には、この場合の抗告審の性格をどのようにきめるかによつて、結論を異にする。当裁判所としては、この点について次のように考える。すなわち、少年審判規則四八条一項によれば、抗告裁判所は、抗告の趣意に含まれている事項に限り調査すれば足りるものであり、抗告裁判所としては、抗告理由があるときでも、自判の措置に出ることが認められてなく、常に原決定を取り消して事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送することとなつていること(少年法三三条、特に、その二項)、ことに、同法一九条二項、二三条三項の規定が抗告審の審判について準用されていないこ 消して事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送することとなつていること(少年法三三条、特に、その二項)、ことに、同法一九条二項、二三条三項の規定が抗告審の審判について準用されていないこと、(すなわち、抗告審において本人が成年に達した場合に保護処分ができないものとすれば、右少年法一九条二項、二三条三項の規定によることとなるわけであろうが、その場合には、原決定を取り消したうえ、事件を原裁判所に差し戻すまでもなく、抗告審において直ちに同条所定の措置に出でても然るべきものと思われる。)次に、同法三四条、四七条によれば、抗告の申立がなされた場合であつても、原決定は当然に効力を失うものではなく、又抗告申立はその執行停止の効力を有するものでもなく、原裁判所は、直ちにその執行を命ずることができるもので、原裁判所又は抗告裁判所が特に執行停止の決定をした場合に限つて、その執行を停止すべきものであること、等に<要旨>徴すれば、抗告審は、原決定の当否に対するいわゆる批判審の性格を有するものであり、原決定当時本人が少</要旨>年である限り、抗告審にいたり本人が成年に達した場合であつても、なお、本人が少年であつた当時になされた保護処分は維持されるべきものと考える。すなわち、保護処分に附すべき少年であるかどうかの本人の年令は、原決定当時を標準としてきめるべきものと考えるのである。なお、場合を異にするが、少年院法一一条も、成年者に対し保護処分を継続し得べきことを認めているのである。)以上の次第であつて、本件抗告は、その理由がないので、少年法三三条一項に従い、これを棄却することとし、主文のとおり決定した。 (裁判長裁判官影山正雄裁判官谷口正孝裁判官中谷直久) これを棄却することとし、主文のとおり決定した。 (裁判長裁判官影山正雄 裁判官谷口正孝 裁判官中谷直久)

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