【DRY-RUN】主 文 原審判を取り消す。 本件を神戸家庭裁判所洲本支部に差し戻す。 理 由 本件抗告の要旨は、「抗告人の申立にかかる神戸家庭裁判所洲本支部昭和二七
主 文 原審判を取り消す。 本件を神戸家庭裁判所洲本支部に差し戻す。 理 由 本件抗告の要旨は、「抗告人の申立にかかる神戸家庭裁判所洲本支部昭和二七年 (家)第七七号遺産分割申立事件について、同裁判所は、昭和三〇年一二月二六日 附をもつて、共同相続人間において相続財産の範囲に争があるとの理由で、申立を 却下する旨の審判をしたけれども、相続財産の範囲は明瞭であるから分割の審判を なすべきものである。仮りに、その範囲に争があり全遺産の分割の審判をすること ができないとしても、争のない一部の遺産については分割の審判をなすべきであ る。よつて、原審判を取り消しさらに家事審判規則第一九条に基き相当の裁判を求 めるため抗告に及ぶ。」というのである。 一件記録により審査するに、抗告人は亡Aの妻であり相手方等は同人の父母であ るところ、Aが昭和二三年七月二三日死亡するにともない抗告人がその相続人とし て共同相続人たる相手方等に対し被相続人Aの遺産の分割を申し立てたが、抗告人 が相続財産と主張する物件の大部分につき相手方等は相手方Bの固有財産である等 の理由でこれを争うものである。これに対し、原裁判所は、共同相続人が遺産の分 割に関して家庭裁判所に請求することができるのは遺産を分割すべきかどうか及び その分割の方法についての審判であつて、家庭裁判所が審判することができるのも これに限られており、遺産の範囲につき争があるときはこれが確定は民事訴訟事項 であつて審判の対象となりえず、また、本件において争のない部分についてのみ分 割の審判をすることは争ある部分が真にどの程度遺産の範囲に属するかによつて民 法第九〇六条の分割の基準に相違をきたすおそれがあるから両者を切りはなして審 判をすることは同条の趣旨に反するとの見解の下に、遺産分割の審判の申 は争ある部分が真にどの程度遺産の範囲に属するかによつて民 法第九〇六条の分割の基準に相違をきたすおそれがあるから両者を切りはなして審 判をすることは同条の趣旨に反するとの見解の下に、遺産分割の審判の申立はその 要件を欠く不適法なものと判断したことは明らかである。 <要旨>然しなから、家庭裁判所が遺産分割の審判をするに際し相続財産の範囲に 争のある場合これを確定するため</要旨>の審理をなし得ないものと解せねばならな い根拠はない。何となれば、法が遺産の分割を家庭裁判所の審判事項と定めた決意 を考えるときは、遺産の範囲について当事者間に争がなくその範囲の明確な場合に のみこれが分割を家庭裁判所に委ねたものと解すべきではなく、相続財産の範囲に つき共同相続人間に争があると否とを問わずその範囲が不明確な場合においてこれ を確定するための審理は当該審判手続によらしめたものとみるのが相当であるから である。すなわち、家庭裁判所においては事実の調査及び必要があると認める証拠 調をして相続財産の範囲を確定した上正当な当事者間において分割の審判をなすべ きであつて、それが確定したならば審判自体の効力を否定することはできないもの である。尤も、右審判はその前提となつた相続財産の範囲につき既判力を有するも のでないから、第三者はもちろん当事者においても別に訴をもつてその帰属を争う ことはさまたげなく、その結果、分割の審判における相続財産の範囲の認定と別訴 における認定とに差異を生じひいて分割によつて各相続人が取得した相続財産に瑕 疵あることとなり民法第九一一条の規定により共同相続人相互に担保の責に任ぜね ばならない場合の生じることもあり得るであろうが、これがため審判手続において 相続財産の範囲を審理し認定することを否定する論拠となすに足りない。 そうであるとすると、これと異る見解の下に遺産 に任ぜね ばならない場合の生じることもあり得るであろうが、これがため審判手続において 相続財産の範囲を審理し認定することを否定する論拠となすに足りない。 そうであるとすると、これと異る見解の下に遺産分割の申立を却下した原審判は その余の判断をするまでもなく不当であり取り消さるべぎであるので、家事審判規 則第一九条第一項に従い原裁判所に差し戻すこととし、主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官 吉村正道 裁判官 竹内貞次 裁判官 吉井参也)
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