平成19(ワ)11489等 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年12月15日 大阪地方裁判所
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判決文本文68,821 文字)

- 1 -平成23年12月15日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成19年第11489号損害賠償請求事件(以下「第1事件」という。),同年第15110号同事件(以下「第2事件」という。),平成22年第7740号同事件(以下「第3事件」という。)口頭弁論終結日平成23年8月23日判 決第1・第3事件原告,第2事件被告株式会社吉野(以下「原告」という。)同訴訟代理人弁護士薬袋真司同平野和宏第1・第3事件被告,第2事件原告有限会社グリッタージャパン(以下「被告会社」という。)第1・第3事件被告 P1(以下「被告P1」という。)被告ら訴訟代理人弁護士谷口哲一同松山和徳同山澤祐介 主文 1 被告会社は,その販売するカーワックス若しくはシャンプーの容器又はその包装に,別紙被告標章目録記載1-5及び1-7の各表示を付し,同表示を付した同商品を販売し若しくは販売のために展示し,又は同商品に関するカタログ,パンフレット等の広告に同表示を付して展示し若しくは頒布してはならない。 2 被告会社は,別紙被告標章目録記載1-5及び1-7記載の各表示を付したカーワックス,シャンプー,これらの容器及び包装- 2 -並びに同商品に関するカタログ,パンフレット等の広告を廃棄せよ。 3 被告会社は,原告に対し,4325万1602円及びこれに対する平成22 クス,シャンプー,これらの容器及び包装- 2 -並びに同商品に関するカタログ,パンフレット等の広告を廃棄せよ。 3 被告会社は,原告に対し,4325万1602円及びこれに対する平成22年11月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 4 原告は,被告会社に対し,572万9947円及びこれに対する平成19年12月8日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 5 原告の被告会社に対するその余の請求及び被告P1に対する請求並びに被告会社のその余の請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,第1事件ないし第3事件を通じ,これを3分し,その2を原告の,その1を被告会社の負担とする。 7 この判決は,第3項及び第4項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 第1事件(原告の被告らに対する請求) 被告会社は,その販売するカーワックス若しくはシャンプーの容器又はその包装に,別紙被告標章目録記載の各表示(以下「被告各表示」という。)を付し,同表示を付した同商品を販売し若しくは販売のために展示し,又は同商品に関するカタログ,パンフレット等の広告に同表示を付して展示し,頒布してはならない。  被告会社は,被告各表示を付したカーワックス,シャンプー,これらの容器及び包装並びに同商品に関するカタログ,パンフレット等の広告を廃棄せよ。 ア (主位的請求)- 3 -被告らは,原告に対し,各自,8760万4847円及び内金8239万4547円に対する平成19年12月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ (予備的請求)被告らは,原告に対し,各自,5406万1285円及びこれに対する平成22年11月5日から支払済みまで 9年12月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 イ (予備的請求)被告らは,原告に対し,各自,5406万1285円及びこれに対する平成22年11月5日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 第2事件(被告会社の原告に対する請求)原告は,被告会社に対し,1978万1100円及びこれに対する平成19年12月8日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 3 第3事件(原告の被告らに対する請求)被告らは,原告に対し,各自,3841万0192円及び内金3067万0994円に対する平成19年1月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要1 第1事件は,「GOLDGlitter」という商品名のカーワックス(以下,原告が製造していた同商品名のカーワックスを「本件商品」という。)を製造し,被告会社に納入していた原告が,被告会社及びその代表者取締役である被告P1に対し,被告会社が原告以外の者に製造させたカーワックス及び車専用のシャンプーに「GOLDGlitter」及びこれを含む商品表示類を付して販売したことについて,下記ア,イの請求をする事案である。 記ア差止・廃棄請求(原告の被告会社に対する請求) 不正競争防止法に基づく請求(主位的請求)- 4 -被告会社による被告各表示を付したカーワックス等を販売する行為が不正競争防止法2条1項1号又は同項13号の不正競争に当たることを理由とする,同法3条1項に基づく被告各表示の使用等の差止請求,及び同条2項に基づく被告各表示を付したカーワックス等の廃棄請求(なお,同法2条1項1号を理由とする請求と同項13号を理由とする請求との関係は,選択的併合である。) 表示の使用等の差止請求,及び同条2項に基づく被告各表示を付したカーワックス等の廃棄請求(なお,同法2条1項1号を理由とする請求と同項13号を理由とする請求との関係は,選択的併合である。) 商標権侵害に基づく請求(予備的請求)被告会社の被告表示1-1を付したカーワックス等を販売する行為が原告の後記本件商標権を侵害することを理由とする,商標法36条1項に基づく被告表示1-1の使用等の差止請求,及び同条2項に基づく被告表示1-1を付したカーワックス等の廃棄請求イカーワックス等販売に係る損害賠償請求(原告の被告らに対する請求) 不正競争防止法に基づく請求(主位的請求)被告会社の上記アの行為を理由とする不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求(被告P1に対しては,会社法429条1項,民法709条又は719条,法人格否認の法理に基づく請求) 商標権侵害に基づく請求(上記の請求に対する予備的請求)被告らの上記アの行為を理由とする,民法709条に基づく損害賠償請求(被告P1に対しては,会社法429条,民法709条又は719条,法人格否認の法理に基づく請求) 一般不法行為に基づく請求(上記の請求と選択的請求)- 5 -被告らが,「GOLDGlitter」という商品名のカーワックスを,原告以外の者に製造させ,これを販売したことを理由とする不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求(被告P1に対しては,会社法429条,民法709条又は719条,法人格否認の法理に基づく請求) 債務不履行に基づく請求(上記の請求に対する予備的請求)被告会社は,原告に対し,「GOLDGlitter」という商品名のカーワックスを,すべ 否認の法理に基づく請求) 債務不履行に基づく請求(上記の請求に対する予備的請求)被告会社は,原告に対し,「GOLDGlitter」という商品名のカーワックスを,すべて原告から仕入れる債務を負担していたにもかかわらず,原告以外の者をして同商品名のカーワックスを製造させてこれを販売し,原告から本件商品を仕入れなかったこと,また,本件商品の特約店として原告の本件商品の売上げを損なう行為を行わない債務を負担していたにもかかわらず,原告以外の者をして「GOLDGlitterEVOLUTION」という商品名のカーワックスを製造させてこれを販売し,原告の本件商品の売上げを損なわせたことが,いずれも原告と被告会社間の本件商品の売買契約上の義務に違反することを理由とする,債務不履行に基づく損害賠償請求(被告P1に対しては,会社法429条,民法709条又は719条,法人格否認の法理に基づく請求) 第2事件は,被告会社が,原告に対し,主位的には,原告と被告会社間の本件商品の売買契約上の義務に違反したことを理由として,債務不履行に基づく損害賠償請求を,予備的には,上記売買契約の解除に基づく原状回復請求をする事案である。  第3事件は,原告が,被告らに対し,被告会社設立前の被告P1並びに後記本件継続的取引関係及び後記本件販売代理店契約上の- 6 -同人の地位を承継した被告会社(以下「被告ら」という。)は,平成7年4月20日から平成19年1月9日にかけて,実際には本件商品の広告宣伝に使用しないにもかかわらず,原告に本件商品の広告宣伝費名目で金員を負担させ,原告をして同金額の損害を被らせたことを理由として,一般不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求をする事案である(なお,被告P1に対する請求は,被告会社 商品の広告宣伝費名目で金員を負担させ,原告をして同金額の損害を被らせたことを理由として,一般不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求をする事案である(なお,被告P1に対する請求は,被告会社の代表者として平成15年12月25日以降についても責任を負うとの主張に基づくものであり,被告会社に対する請求は,法人格否認の法理又は信義則により同日以前についても責任を負うとの主張に基づくものである。)。 2 判断の基礎となる事実以下の各事実は,当事者に争いがないか,掲記の各証拠及び弁論の全趣旨により,容易に認定することができる。  当事者ア原告は,自動車用品の販売,ワックス等の油脂加工製品の販売を業とする株式会社である。 イ被告会社は,平成15年12月25日に被告P1の事業を法人成りして設立された,自動車部品,用品の販売等を業とする特例有限会社である。 ウ被告P1は,かつて「ガレージP1」という屋号でカーポート販売事業を営んでいたが,平成7,8年頃から「グリッタージャパン」という屋号で本件商品の販売事業を営むようになり,被告会社を設立した後は,同社の代表者取締役を務めている者である。  本件商品及び被告各商品の販売に係る事実関係ア本件商品の販売開始原告の創業者であるP2は,平成6年春までに,自動車のボデ- 7 -ィ部分のつや出し効果だけでなく,自動車のウインドウ部分に塗布してもギラギラした油膜を形成することなく撥水効果が得られるという特徴を有するカーワックスを開発し,平成6年春頃までに,原告において,商品名を「GOLDGlitter」として製造販売を開始した。 イ本件商品の販売の経緯等 く撥水効果が得られるという特徴を有するカーワックスを開発し,平成6年春頃までに,原告において,商品名を「GOLDGlitter」として製造販売を開始した。 イ本件商品の販売の経緯等 原告は,平成6年9月頃,被告P1(当時の屋号は「ガレージP1」)との間で,本件商品の取引を開始した(以下,原告と被告P1との間の本件商品に関する継続的な取引関係を「本件継続的取引関係」という。)。  被告P1は,平成13年6月9日,株式会社協和興材(以下「協和興材」という。)との間で,委託者を被告P1,受託者を協和興材とする本件商品の販売代理店契約を締結し(乙2。 以下「本件販売代理店契約」という。),その後,本件商品は,総発売元を協和興材として,市場で広く販売されるようになった。 他方,被告P1は,原告との間の本件商品の取引につき売買契約書を作成していなかったが,本件販売代理店契約締結以前から,両者間では,本件継続的取引関係に基づき,被告P1が代金前払いで一定数量の発注をし,その後被告P1の具体的な納品依頼に基づき,原告が本件商品を納入するという取引が継続的にされており,平成13年頃以降は,その1回の発注数量は4000本となり,1か月に1,2回の頻度で発注されていた(以下,本件販売代理店契約が締結された後の原告と被告P1との間の上記契約関係を「本件基本契約」という。なお,本件基本契約に基づき,原告及び被告P1がいかなる債務を負う- 8 -かについては,当事者間に争いがある。)。  被告P1は,平成15年12月25日,その事業を法人成りして被告会社を設立し,その後は,被告会社において,被告P1の本件継続的取引関係における地位を承継し,原告との間で上記の扱いに従った本件商品の取引をしていた。また,被告P1と協和興材との本件販売 して被告会社を設立し,その後は,被告会社において,被告P1の本件継続的取引関係における地位を承継し,原告との間で上記の扱いに従った本件商品の取引をしていた。また,被告P1と協和興材との本件販売代理店契約に基づく関係も,被告会社と協和興材間に引き継がれた。 ウ本件商品に付されている表示について 原告は,平成6年春以降,本件商品に別紙原告標章目録記載1ないし3の各表示(以下,別紙原告標章目録記載1の表示を「原告表示1」などといい,原告表示1ないし5を総称して「原告各表示」という。)を付して販売していた。  本件商品は,平成13年に,カーグッズマガジン誌主催の「2001 CarGoodsoftheYear」においてカーケア部門賞第1位を受賞した(甲5,52。以下「平成13年受賞」という。)。 これを受けて,本件商品には,原告表示5(別紙原告標章目録記載5の表示)のシールも付されるようになった。  平成14年2月以降,本件商品には,原告表示4(別紙原告標章目録記載4の表示)も付されるようになった。  また,平成13年受賞後に,本件商品を2本ないし3本梱包したものがバリューセット又はバリューパックとして販売されるようになったところ,これらのセットの外箱には,「2000-2001 CarGoodsoftheyear ゴールドグリッターはカーグッズ・オブ・ザ・イヤーの『カーケア部門賞』に輝きました。」などと記載された別紙被告標章目録記載1-7と同一ないし類似の表示が付されている(甲104)。 - 9 -ウ被告会社による被告商品1及び3の販売開始 被告会社は,遅くとも平成16年4月1日以降,原告に相談することなく,原告における本件商品の製造について,平成 る(甲104)。 - 9 -ウ被告会社による被告商品1及び3の販売開始 被告会社は,遅くとも平成16年4月1日以降,原告に相談することなく,原告における本件商品の製造について,平成14年から平成15年にかけて携わっていたP3をしてカーワックスを製造させ,これに別紙被告標章目録記載1-1ないし1-6の各表示(以下,別紙被告標章目録記載1-1の表示を「被告表示1-1」などといい,被告表示1-1ないし1-7を総称して「被告表示1」という。別紙被告標章目録記載の各表示の略語表記については,以下同様とする。)を付して(すなわち,商品名は本件商品と同じ「GOLDGlitter」である。),協和興材に対し,当該商品がP3製造に係る商品であることを告げないまま,従前からの本件商品に関する取引の延長で販売した(以下,同商品を「被告商品1」という。なお,被告表示1-1が原告表示1と,被告表示1-2が原告表示2と,被告表示1-3が原告表示2及び3と,被告表示1-4が原告表示4と,被告表示1-5が原告表示5と,被告表示1-6が原告表示4とそれぞれ同一ないし類似であることは,当事者間に争いがない。)。 また,被告会社は,被告商品1を2本又は3本梱包したものをバリューセット(バリューパック)として,その外箱に被告表示1-7を付して,協和興材に販売していた。  さらに,被告会社は,遅くとも平成16年8月1日以降,P3に製造させた別のカーワックスに被告表示1-3,3-1,3-2,7-1,7-2,10-1,10-2を付して,「GOLDGlitterEVOLUTION」との商品名で,協和興材に販売した(以下,同商品を「被告商品3」とい- 10 -う。)。 エ本件商品に関する取引関係の解消原告は,平成18年12月頃,被告 terEVOLUTION」との商品名で,協和興材に販売した(以下,同商品を「被告商品3」とい- 10 -う。)。 エ本件商品に関する取引関係の解消原告は,平成18年12月頃,被告会社による上記ウの行為を知り,平成19年1月15日,被告会社に対し,従前からの取引関係(本件継続的取引関係)を解消する旨申し入れた(なお,平成19年1月15日の取引解消の申入れが,本件基本契約の解除として有効であるかについては,当事者間に争いがある。)。 同日以降,原告は被告会社に本件商品を納入していない。 また,協和興材も,平成19年6月25日,被告会社との間で本件販売代理店契約を合意解除して,被告会社との取引を止めた(甲17,乙5)。その後,協和興材は,原告製造に係るカーワックスを原告から直接仕入れるようになり,同商品を「パーマラックス」との商品名で販売している。 オ原告による本件商標権の取得原告は,平成19年1月30日に別紙商標公報記載の商標について出願し,同年6月19日に下記のとおりの商標登録を受けた(以下,この商標権を「本件商標権」といい,本件商標権に係る登録商標を「本件商標」という。)。 記登録番号第5057809号出願日平成19年1月30日登録日平成19年6月29日商品区分第3類指定商品つや出し剤登録商標別紙商標公報記載のとおりカ被告会社による被告商品2,4及び5の販売開始- 11 - 被告会社は,遅くとも平成19年9月20日以降,P3に製造させたカーワックスに別紙被告標章目録記載2-1,2-2,6-1ないし6-3の各表示を付して,「GoldGlitterPLUS」という商品名で販売し(以下,同商品 9年9月20日以降,P3に製造させたカーワックスに別紙被告標章目録記載2-1,2-2,6-1ないし6-3の各表示を付して,「GoldGlitterPLUS」という商品名で販売し(以下,同商品を「被告商品2」という。),また,同じくP3に製造させたカーワックスに別紙被告標章目録記載1-3,4-1,4-2,8-1ないし8-3,11-1,11-2の各表示を付して,「GoldGlitterEVOLUTIONPLUS」という商品名で販売した(以下,同商品を「被告商品4」という。)。  さらに,被告会社は,遅くとも平成19年11月1日以降,P3に製造させたシャンプーに別紙被告標章目録記載1-3,5-1,5-2,9-1ないし9-5,12-1,12-2,13-1,13-2,14-1,14-2の各表示を付して,「GoldGlitterEVOSYAM」という商品名で販売した(以下,同商品を「被告商品5」といい,被告商品1ないし5を総称して「被告各商品」という。)。 3 争点 第1事件についてア不正競争防止法2条1項1号該当を理由とする請求 原告各表示が被告会社にとって他人の周知商品表示に当たるか (争点1-1) 被告表示2ないし14は原告各表示と類似するか(争点1-2) 被告P1の責任 (争点1-3) 原告の損害 (争点1-4)- 12 -イ一般不法行為に基づく請求被告会社による被告商品1の販売が一般不法行為を構成するか (争点2)ウ債務不履行に基づく請求 被告会社が,被告商品1を製造販 被告会社による被告商品1の販売が一般不法行為を構成するか (争点2)ウ債務不履行に基づく請求 被告会社が,被告商品1を製造販売することにより原告から本件商品を仕入れなかったこと,被告商品3を製造販売することにより原告の利益を損なわせたことが,債務不履行を構成するか (争点3-1) 原告の損害 (争点3-2)エ不正競争防止法2条1項13号該当を理由とする請求 被告各表示は,被告各商品の品質について誤認させるような表示に該当するか (争点4-1) 原告の損害 (争点4-2)オ商標権侵害に基づく請求被告会社が被告商品1に被告表示1-1を付して販売した行為が,本件商標権を侵害するか (争点5) 第2事件について原告が被告会社に本件商品を納入しなかったことが債務不履行を構成するか (争点6) 第3事件について被告らが,本件商品の広告宣伝費名目で原告に費用負担をさせていたことが一般不法行為を構成するか (争点7)第3 争点に関する当事者の主張 1 不正競争防止法2条1項1号該当を理由とする請求について 争点1-1(原告各表示が被告会社にとって他人の周知商品表示に当たるか)について- 13 -【原告の主張】ア原告各表示に商品表示性が認められること原告表示1ないし4は,いずれも本件商品の標章であるところ,標章は,不正競争防止法2条1項1号において商品等表示の具体例として規定されているもので,本来的に出所表示として機 示性が認められること原告表示1ないし4は,いずれも本件商品の標章であるところ,標章は,不正競争防止法2条1項1号において商品等表示の具体例として規定されているもので,本来的に出所表示として機能しており,商品表示性が認められる。 また,原告表示5については,平成13年受賞の事実を示すもので,これにより商品が特定され,ひいてはその出所が特定されることから,原告表示5は出所表示として機能し,商品表示性が認められる。 イ原告各表示に周知性が認められること原告各表示は,以下のないしの事情等により,遅くとも平成16年4月時点では,本件商品が原告の商品であることを示す商品表示として需要者の間に広く認識され,現在に至っている。  協和興材による広告宣伝等協和興材は,本件商品が原告の商品であるとの前提で,その広告宣伝等のため,平成10年から平成19年までの間,チラシ,ポスター,パンフレット,ビデオ,ホームページを作成するとともに(甲51,52),毎月雑誌に広告を掲載するなどし(甲52,53),さらに本件商品の販売促進用のグッズを作成するなど,合計1億0527万4800円を負担した(甲49)。  カー用品専門誌における受賞の事実本件商品は,平成13年受賞のほか,カーグッズプレス誌(徳間書店)主催の「2004 TheUser’sJudgeNo.1」の読者人気グッズで第1位も受賞しており(甲50,51),このことか- 14 -らしても,原告各表示が需要者に広く知られていたものであることは明らかである。  本件商品の販売ルートそのほか,本件商品は,日本で最も有名な外国車のディーラーである株式会社ヤナセ(以下「ヤナセ」という。)の「愛車セット」にも選ばれている(甲5・129頁)。  カー 品の販売ルートそのほか,本件商品は,日本で最も有名な外国車のディーラーである株式会社ヤナセ(以下「ヤナセ」という。)の「愛車セット」にも選ばれている(甲5・129頁)。  カー用品の売上げのランキング本件商品は,カー用品の主要5チェーン(オートバックス,イエローハット,モンテカルロ,ドライバースタンド,ジェームス)でのカー用品売れ筋ランキングにおいて,しばしば上位にランキングされている(甲60の1~8)。 ウ原告各表示は,原告の商品表示であって被告らの商品表示ではないこと 本件商品は原告固有の商品であること本件商品の商品名を決定するとともに,原告各表示のデザイン,容器の選択及び外箱のデザインを行ったのは原告であり,また本件商品を開発・製造し,その品質管理をしていたのは原告である。さらに,原告は,本件商品の製法を開示する人物を限定するなどしてきた。これらの点から,本件商品は原告固有の商品といえる。  被告らの本件商品の取引上の位置づけについてa 被告らは,原告から仕入れた本件商品を,そのまま協和興材に転売ないし販売委託していただけであり,その製造はもとより,品質管理や商品化に関する企画にも関与したことがない。このように,被告らは,本件商品の流通経路における販売チャンネルとして系列化された流通業者で- 15 -あって,単なる特約店にすぎないから,出所表示機能及び品質保証機能を果たす商品表示の主体としての固有の地位を有するものではない。 原告は,平成7年以降,被告P1以外にも,株式会社竹一(以下「竹一」という。),竹村産業株式会社(以下「竹村産業」という。)等の販売ルートにより本件商品を販売していたが,そのことについて被告P1から,契約違反等のクレームを述べられたこ 株式会社竹一(以下「竹一」という。),竹村産業株式会社(以下「竹村産業」という。)等の販売ルートにより本件商品を販売していたが,そのことについて被告P1から,契約違反等のクレームを述べられたことはない。また,本件販売代理店契約の後も,本件商品を製造するのは原告であり,本件商品を多数の小売店や消費者に総発売元として販売するのは協和興材である。そして,被告らは,原告が協和興材を通じて消費者に販売するための中間業者として,原告が納入した本件商品に何ら手を加えることもなく協和興材に納入し,中間マージンを得ていただけである。 したがって,本件商品に付された原告各表示には,被告ら独自の業務上の信用が化体する余地はない。 b 被告らは,平成7年末から,前払いによる取引形態になっている点につき,このように被告らが前払いに伴う売上げ減少の場合のリスクを負ってきたのは,被告らが本件商品の権利者であるからにほかならないと主張する。 しかしながら,被告らは,原告との間で一定数量を仕入れる約束をすることによって,特約店の地位を確保していたのであるから,前払いは権利者であることの証左とはならない。また,本件販売代理店契約を締結した後,被告P1は,ごく短期間,広告宣伝費の一部を負担しただけであるにもかかわらず,本件商品は年間7万本ほどの売上げが- 16 -あったのであるから,現実には被告らにリスクはなく,被告らの主張には理由がない。 また,被告らは,本件商品について,被告P1が防腐剤の添加や匂いを柑橘系にすることについて原告に指示したと主張するが,そのような事実はない。 c 被告らは,本件商品のパンフレット,外箱及び取扱説明書の作成等を主体的に行っていたと主張する。 しかしながら,本件商品の外箱のデザインや取扱説明書等は,被告らとの取引開始 ような事実はない。 c 被告らは,本件商品のパンフレット,外箱及び取扱説明書の作成等を主体的に行っていたと主張する。 しかしながら,本件商品の外箱のデザインや取扱説明書等は,被告らとの取引開始前に既に原告が作成,使用していたものを,被告P1や協和興材の意見を聞いて一部変更したものにすぎない。 また,被告らは,マガジン通信社や交友社を通じて本件商品の広告宣伝を主体的に行っていたと主張する。 しかし,仮に被告らの主張する広告宣伝の事実があったとしても,広告には,グリッタージャパンのみならず,「GoldGlitter販売提携」の表示の下,協和興材の商号等も記載されており,また,本件商品はマイクロロン認定ショップなどでの購入が可能である旨の案内も記載されており,さらに,広告の一部に掲載されたイラスト等も協和興材側で作成したものであることからすると,少なくとも,被告P1が独自に広告宣伝を行ったものとは評価できない。  被告らが提出する書証についてa 乙3号証について被告らは,乙3号証について,平成7年頃にP4が被告P1に持参したもので,その頃,同書証に記載されたとおり,- 17 -原告から,被告P1に対し,本件商品の一切を任せる旨の申し出があり,被告P1はこれを了承していたと主張する。 しかしながら,乙3号証は,原告が作成したものではなく,P4が被告P1のところに持参したこともない。また,実際の原告と被告らとの取引は,契約期間,取引形態,発注本数,容器の供給,商品名等において,乙3号証の記載とは異なっていることからしても,乙3号証は信用できない。 b 乙24号証について被告らは,乙24号証を理由に,被告らは単なる特約店ではなかったと主張する。 しかしながら,単なる特約店であっても,その販売活動に支障 しても,乙3号証は信用できない。 b 乙24号証について被告らは,乙24号証を理由に,被告らは単なる特約店ではなかったと主張する。 しかしながら,単なる特約店であっても,その販売活動に支障となる不当な広告宣伝に対処するのは当然であるところ,むしろ,被告P1は,製造者である原告の協力が不可欠と考えたからこそ,記名者の一番上に原告の記名をして押印を求めてきたのであり,同号証は,被告らが単なる特約店ではなかったことの根拠となるものではない。 c 乙17号証,乙25号証の1・2について被告らは,乙17号証,乙25号証の1・2を理由に,被告らが単なる特約店ではないと主張している。 しかしながら,乙17号証は特約店の募集広告,乙25号証の1・2は特約店契約のようであるが,協和興材が二次特約店となったのと同じように,被告P1が他の業者を二次特約店とする契約を締結することは,単なる特約店としてなしうるところであり,乙17号証や乙25号証の1・2をもって本件商品が被告ら固有の商品であったとすることはできない。 - 18 -なお,乙17号証,乙25号証の1・2は,いずれも協和興材が総発売元になる前のものであるところ,その当時,原告は,被告P1以外にも本件商品を販売していたのであるから,この点からしても,乙17号証や乙25号証の1・2をもって本件商品が被告ら固有の商品であったとすることはできない。  小売店等の認識について本件商品の取引者・需要者は,一般消費者のほか小売店も含まれるところ,原告各表示は,少なくとも取引者・需要者である小売店の間では,被告らの商品ではなく,原告製造に係る商品を示すものとして認識されている。 a 小売店の認識について本件商品の梱包用段ボールには,原告表示1と同様の構成のマークとともに である小売店の間では,被告らの商品ではなく,原告製造に係る商品を示すものとして認識されている。 a 小売店の認識について本件商品の梱包用段ボールには,原告表示1と同様の構成のマークとともに原告の名称が表示されている(甲45の1~6)。本件商品は,原告から被告らへ納入された後,そのまま協和興材に納入され,同社から小売店,一般消費者へと流通していたのであるから(甲37),上記梱包用段ボールの表示から,小売店間では,原告表示1は,原告製造に係る商品を示すものとして認識されているといえる。 被告らは,本件商品の小売店への送り主は被告らであったと主張するが,協和興材は,被告らから小売店に本件商品を直接送付する場合であっても,協和興材を送り主とするよう求めていたし,被告らが小売店に直接送付する場合であっても,協和興材が売主であることは,小売店は当然に認識していることから,それによって小売店が被告らを売主や製造業者と認識することはない。 - 19 -b 協和興材の認識について協和興材も,本件商品は原告製造に係る商品との認識の下,取引を継続してきたのであり,被告らが自由に製造業者を選択し得るものとは考えていなかった。 それ故,協和興材は,被告会社がP3に被告商品1を製造させていることを知った後は,被告会社に抗議し,取引を停止するに至っている(甲17,18,55,59)。  一般消費者の認識についてa 外箱等の表記について本件商品のうち被告らに納入した分の外箱には,①当初のごく短期間,発売元をグリッタージャパン,製造元を原告として表示していたが,②平成13年12月頃からは,総発売元を「協和興材」,製造・企画元を原告及びグリッタージャパンとして表示しており,被告会社設立後も平成19年1月15日までの間,同様の を原告として表示していたが,②平成13年12月頃からは,総発売元を「協和興材」,製造・企画元を原告及びグリッタージャパンとして表示しており,被告会社設立後も平成19年1月15日までの間,同様の表示で販売していた(「有限会社」なる会社の種類を示す文字も付されていない。)。なお,製造・企画元にグリッタージャパンと表示したのは,被告P1からの要望を受け入れたものにすぎない。 上記①の表示では,商品の出所を示すのは,製造元である原告の表示であり,発売元とされるグリッタージャパン(被告P1)の表示は,販売促進のための特約店表示にすぎず出所表示ではない。また,上記②の表示では,被告らの表示は,製造・企画元として表示された原告の表示の下又は横にあり,その位置からしても単なる特約店であることを示すものにすぎない。 さらに,バリューセットの外箱については,その表面にあ- 20 -る逆三角形の開口部からは本件商品(1本用)の外箱のデザインが見え,裏面には本件商品の外箱の裏面の記載が流用されており,原告が製造した商品として販売されていたといえる。 b 広告宣伝について本件商品の広告や雑誌のランキングの記事に原告の名称が記載されていないとしても,上記aのとおり,外箱等から需要者に本件商品の製造者が原告であることが認識可能であること,協和興材も,原告製造に係るカーワックスであるからこそ本件商品を販売していたことなどからすれば,広告等に原告の名称の記載がないことは,原告各表示が,原告の周知商品表示であることの妨げとはならない。  被告P1の商標登録について被告P1は,「GOLDGlitter」の文字商標を商標登録しているが,原告はこれを容認していない。原告が被告P1の商標登録に不服がありながら,内容  被告P1の商標登録について被告P1は,「GOLDGlitter」の文字商標を商標登録しているが,原告はこれを容認していない。原告が被告P1の商標登録に不服がありながら,内容証明郵便や抗議文書を送付していないのは,専門的知識が不足していた上に,被告らとの取引自体が継続していたからである。  仮定的主張なお,原告各表示の主体に,原告のみならず被告会社も含まれるとしても,被告会社が原告に無断で被告各表示を使用することは契約当事者間の信頼関係を破壊するものであり,到底,許されない。 【被告らの主張】ア原告各表示は商品表示に該当しないこと原告各表示は,カーワックスとしてはありふれた「輝き」とそ- 21 -こから容易に連想される「黄金」を組み合わせて英訳したにすぎないこと等から,出所表示機能を有するとはいえない。 また,原告表示5についても,カーケア部門賞を受賞した商品であることを示すだけで,取り立てて強調するものではない。 したがって,原告各表示は,いずれも商品表示に該当しない。 イ原告各表示に周知性が認められないことカーワックスは狭い業界の中で様々な商品・種類があり,その中で本件商品の売上本数が第1位というわけでもない。そうすると,原告各表示が需要者の間で周知であるなどとはいえない。 ウ原告各表示は,被告らの出所を表示するものであること 被告らは,原告から本件商品の一切を任されていたことa 本件商品は,当初全く売れることなく,そのため,原告は,平成7年末頃,本件商品の容器や商品名,発売元について被告P1が自由に定め,原告は被告P1の指示に従って納品するという取り決めで,本件商品の一切を被告P1に任せる旨の申入れを行い(乙3),被告P1はこれを承諾した。 被告P1は 品名,発売元について被告P1が自由に定め,原告は被告P1の指示に従って納品するという取り決めで,本件商品の一切を被告P1に任せる旨の申入れを行い(乙3),被告P1はこれを承諾した。 被告P1は,本件商品の取扱説明書や外箱裏面の説明書きを作成したり(乙10~14),防腐剤の添加を指示したりした上,本件商品のユーザーからの苦情を受けて原告に欠陥を指摘し,その対応策を提案するなどしている。また,被告P1は,「GOLDGlitter」の文字商標について商標登録も行っており,被告P1の屋号及び被告会社の商号も,単なる特約店ではあり得ない「グリッタージャパン」という名称であるが,この点につき,原告からは何らの抗議も受けていない。 さらに,被告らは,原告に対し,遅くとも平成7年末には,- 22 -本件商品の代金を前払いして,決まった本数を納入させており(乙26),一方で,協和興材は,被告らに対し,月々の売上げから広告宣伝費の分担金を控除した金額を後払いで支払っていた。このような金銭の流れからすれば,売上げ減少によるリスクを最も被るのは被告らであるところ,被告らが長年このようなリスクを負ってきたのは,本件商品の権利者であるからにほかならない。 このような経緯からして,本件商品は,被告ら固有の商品というべきであるから,原告各表示が,原告が主張するように被告会社にとって「他人の商品等表示」であるとは認められない。 b 原告は,乙3号証の内容の契約は締結されていないと主張するが,乙3号証は見積書であり,その内容どおりの契約が締結されないこともあり得る。 また,原告は,被告らが単なる特約店であったと主張するが,本件商品の類似商品が流通を始めたときには,被告P1は,原告や協和興材とともに申入れを行っているし(乙24),また,被告ら自身 あり得る。 また,原告は,被告らが単なる特約店であったと主張するが,本件商品の類似商品が流通を始めたときには,被告P1は,原告や協和興材とともに申入れを行っているし(乙24),また,被告ら自身も,特約店や地区代理店を募集し,実際に,複数の特約販売代理基本契約を締結しているが(乙25),このような募集や契約締結は,単なる特約店では到底なし得ない。 さらに,原告は,自身が被告らに対して従属的な地位に立たなければならない理由はないなどと主張するが,客観的な事実として,被告P1が関与した後に本件商品の売上げが伸びていることからすれば,販売力がない原告としては,販売力がある被告らに対して従属的な地位に立たなければなら- 23 -ない理由があったのである。  被告らによる広告宣伝活動について被告らは,本件商品の販路拡大のために広告宣伝を行ってきた。被告らは,原告から本件商品の一切を譲り受けた当初から宣伝を行っている(乙27,28)。また,平成12年には,年間600万6000円の費用を負担して,マガジン通信社を通じた宣伝活動を行い,平成13年には,年間548万1000円の費用を負担して,マガジン通信社及び交友社を通じた宣伝活動を行った。平成14年には,協和興材にも広告宣伝費(126万円)を支払っており,平成15年には,協和興材の代金との相殺(相殺分は168万円)という形で広告宣伝費を負担していた(乙29~31)。そのほか,平成12年から平成15年にかけ,広告宣伝のためにアルバイトを雇うなどもしている(乙32)。 一方,原告は,被告P1に本件商品の一切を任せた後は,営業担当の従業員も雇用せず,独自の宣伝活動は行っていない。 また,被告らは,平成14年以降,「バリューセット」を販売しているが,「 一方,原告は,被告P1に本件商品の一切を任せた後は,営業担当の従業員も雇用せず,独自の宣伝活動は行っていない。 また,被告らは,平成14年以降,「バリューセット」を販売しているが,「バリューセット」の外箱は被告らの負担で製造しており(乙33),このことからも,本件商品が原告固有の商品とは到底いえない。  本件商品の一般消費者の認識についてa 本件商品の広告について本件商品の広告には,長い間,グリッタージャパンという被告らの名称が記載されており,被告らの特約店である協和興材が販売提携先として記載されてきた(乙15)。また,本件商品の広告の作成も被告らが中心となって行ってきた- 24 -(乙16)。 一方で,原告の名称は,エンドユーザーの目に最も触れるはずの広告には一切出てこない(乙15~18)。 このように,エンドユーザーには,明らかに本件商品は被告ら固有の商品と認識されていた。また,原告が証拠提出する雑誌の記事(甲60の1~8)をみても,本件商品がエンドユーザーに原告の商品とは認識されていなかったことが明白である。 b 本件商品の外箱の表示上も,発売元として被告らが表示されているため,原告各表示は,被告らの商品表示というべきである。原告各表示には,原告の名称の表示もあるが,文字の大きさや記載順等を考慮すれば,原告の出所を表示していると解し難い。なお,外箱に原告の名称も表示されているのは,被告P1が原告に配慮してあえて表示したものにすぎない。  小売店等の認識についてa 小売店の認識について小売店に対する荷物の送り主は被告らであって原告ではなく,原告は,小売店と直接取引をしているわけでもない。 なお,梱包用段ボールに原告の名称のみ表示されているのは,手間 a 小売店の認識について小売店に対する荷物の送り主は被告らであって原告ではなく,原告は,小売店と直接取引をしているわけでもない。 なお,梱包用段ボールに原告の名称のみ表示されているのは,手間や費用等を考慮して当初からのものを使用するメリットが大きかったことから,そのまま使用していたものであり,自己の固有の商品か否かという観点から梱包用段ボールを選定していたわけではない。 したがって,小売店は本件商品を被告らの商品として認識していたのであり,その証左として,小売店が本件商品につ- 25 -いて原告に苦情を申し入れることはなかったし,本件商品に関する紛争が生じた後,複数の小売店が,被告会社に対し,本件商品の取引の継続を申し入れている。 b 協和興材の認識原告は,協和興材は本件商品を原告の商品と認識しており,それ故,協和興材は,被告会社が原告以外の者に被告商品1を製造させていたことが判明した後に,被告会社との取引を取り止めたと主張する。しかし,被告P1は,協和興材に対し,原告以外の製造ルートの存在をきちんと説明しており,協和興材もそのことを了承していた。また,協和興材は,本件商品の広告宣伝費の負担を,原告ではなく被告らに求めてきており(乙23),本件商品を被告ら固有の商品と認識していたことは明らかである。 したがって,協和興材も,原告各表示は,原告の出所表示という認識ではなかった。  争点1-2(被告表示2ないし14は原告各表示と類似するか)について【原告の主張】ア被告表示2ないし14の要部について被告表示2の要部は,いずれも「ゴールドグリッター」なる片仮名文字部分である。 被告表示3ないし5,10ないし14の要部は,いずれも「ゴールドグリッター」又は「ゴールドグリター」なる片仮名文字部分であ 示2の要部は,いずれも「ゴールドグリッター」なる片仮名文字部分である。 被告表示3ないし5,10ないし14の要部は,いずれも「ゴールドグリッター」又は「ゴールドグリター」なる片仮名文字部分である。 被告表示6ないし9の要部は,いずれも「GoldGlitter」なるアルファベット文字部分である。 - 26 -イ類否について上記要部を前提にすれば,被告表示2ないし5,10ないし14は,いずれも原告表示4と類似し,被告表示6ないし9は,いずれも原告表示3と類似する。 ウ被告らの主張について被告らは,「PLUS」又は「Plus」(プラス),「EVOLUTION」又は「Evolution」(エボリューション)の語を付加することにより完全に別の商品となる旨主張するが,これらの付加表示部分は,当該商品の品質や機能がよくなったことを示す一般的な用語から構成されているにすぎない表示であり,それ自体に自他商品識別力がないものである。 また,被告らは「SHAMPOO」又は「Shampoo」の語を付加することにより,全く別のカテゴリーのものになると主張するが,商品表示の類否と商品のカテゴリーの問題は区別されるべきであって,被告らの主張は失当である。 さらに,被告らは被告表示9-4及び9-5の「EVOSHAM」なる語が造語であり,「EVOLUTIONSHAMPOO」の短縮表示とは認められないと主張するが,上記被告表示では,「EVO」と「SHAM」との間にスペースが設けられており,しかも被告表示12-1及び12-2等も併記されていることからして,被告らの主張には理由がない。 【被告らの主張】ア原告が主張する要部について原告は,被告表示2ないし14の各表示のうち「GoldGlitter」,「ゴール ていることからして,被告らの主張には理由がない。 【被告らの主張】ア原告が主張する要部について原告は,被告表示2ないし14の各表示のうち「GoldGlitter」,「ゴールドグリッター」ないし「ゴールドグリター」の部分を要部と主張するが,カーワックスにおいて「輝き」- 27 -という表示は一般的であり,「輝き」から「黄金」の連想は容易であるところ,「ゴールドグリッター」の表示はそれを英訳したものにすぎず,何ら特徴はない。また,「Gold」と「Glitter」は一般的な英単語であり,要部とは評価し難い。 イ類否についての被告らの主張 被告表示2ないし4のうち「プラス」は,一般人の認識としては「新版(ニューバージョン)」などを想起させるのであり,「エボリューション」は,これが付くことにより全く別の商品に生まれ変わったことを容易に想起させるのであり,これらの語が付くことにより全く別の商品として整理されるべきである。  被告表示5のうち「シャンプー」は,従前のカーワックスである本件商品のカテゴリーを超える概念であることから,これが付加されることにより完全に別商品になったというべきである。  被告表示6ないし8のうち,「PLUS」又は「Plus」,「EVOLUTION」又は「Evolution」の部分の意味内容からすれば,これらが付加されたことにより全くの別の商品であることは優に認められる。しかも,本件商品の表示の要部は「GoldGlitter」ではない。  被告表示9-1ないし9-3のうち「SHAMPOO」又は「Shampoo」は,これらが付加されたことにより全く別のカテゴリーのものになることから類似性は皆無である上,これらの表示には「Evolution」ま -1ないし9-3のうち「SHAMPOO」又は「Shampoo」は,これらが付加されたことにより全く別のカテゴリーのものになることから類似性は皆無である上,これらの表示には「Evolution」まで付加されている。 被告表示9-4及び9-5のうち「EVOSHAM」に至っては完全な造語であり,「EVOLUTIONSHAMPO- 28 -O」を短縮して表示したものとは到底認められない。 ウ以上のとおり,被告表示2ないし9は,原告表示3ないし4とは類似せず,また,被告表示10ないし14が原告表示4と類似しないことについても,上記と同様である。  争点1-3(被告P1の責任)について【原告の主張】被告P1は,被告会社の代表者取締役であるところ,被告会社の不正競争を主導して行ったものであるから,会社法429条1項,民法709条又は719条に基づき,被告会社と連帯して,原告が被った損害を賠償すべき責任がある。また,被告P1は,法人格否認の法理により,被告会社の背後にある実体である個人として,被告会社と連帯して,原告が被った損害を賠償すべき責任がある。 【被告らの主張】否認ないし争う。 本件は,法人格否認の法理が適用される場面ではない。  争点1-4(原告の損害)について【原告の主張】不正競争防止法2条1項1号に基づく請求における原告の損害は,以下のとおりである。 ア被告各商品の販売による財産的損害 被告商品1の販売による損害平成16年4月1日から平成19年12月27日までの間の被告会社の被告商品1の販売による利益は,下記aの販売本数に下記bの1本当たりの利益を乗じて,少なくとも5651万8734円であることから,原告は同額の損害を被った(不正競争防止法5 日までの間の被告会社の被告商品1の販売による利益は,下記aの販売本数に下記bの1本当たりの利益を乗じて,少なくとも5651万8734円であることから,原告は同額の損害を被った(不正競争防止法5条2項)。 - 29 -a 被告商品1の販売本数被告商品1の販売本数は,平成16年4月から同年12月までの分が少なくとも1万8033本,平成17年1月から平成19年12月27日までの分が少なくとも6万6855本である(被告会社は,平成19年1月16日以降も,協和興材以外に対して被告商品1を販売していた。甲103)。 b 被告会社における被告商品1の1本当たりの利益被告会社における被告商品1の1本当たりの利益は,平成16年4月1日から同年12月末までに販売した分については少なくとも525.53円であり,平成17年1月以降に販売した分については少なくとも703.64円である。  被告商品2の販売による損害平成19年9月20日から同年12月27日までの間の被告会社の被告商品2の販売本数は少なくとも9764本,1本当たりの利益は少なくとも500円であることから,被告商品2の販売による利益は少なくとも488万2000円であり,原告は同額の損害を被った(同項)。  被告商品3の販売による損害平成16年8月1日から平成19年12月27日までの間の被告会社の被告商品3の販売本数は少なくとも1万5377本,1本当たりの利益は少なくとも500円であることから,被告商品3の販売による利益は少なくとも768万8500円であり,原告は同額の損害を被った(同項)。  被告商品4の販売による損害平成19年9月20日から同年12月27日までの間の被 販売による利益は少なくとも768万8500円であり,原告は同額の損害を被った(同項)。  被告商品4の販売による損害平成19年9月20日から同年12月27日までの間の被告会社の被告商品4の販売本数は少なくとも3255本,1本- 30 -当たりの利益は少なくとも500円であることから,被告商品4の販売による利益は少なくとも162万7500円であり,原告は同額の損害を被った(同項)。  被告商品5の販売による損害平成19年11月1日から同年12月27日までの間の被告会社の被告商品5の売上高は少なくとも374万8000円であり,そのうち利益はこれに5%を乗じた少なくとも18万7400円であることから,原告は同額の損害を被った(同条3項)。 イ無形損害原告は,被告らの被告各商品の販売により,その信用を毀損されるとともに,本件商品の売上減少による財務状態の悪化により存続の危機に追い込まれるなどしており,これによって被った無形損害は400万円を下回ることはない。 ウ弁護士費用被告らの不正競争と相当因果関係のある弁護士費用相当損害額は,608万2940円が相当である。 【被告らの主張】ア損害についての原告の主張は,否認ないし争う。 イ不正競争ないし不法行為による原告の損害は存在しないこと原告は,本件商品を被告会社に対してのみ販売していたのであり,被告会社が原告の得意先を奪ったり,エンドユーザーを奪ったりしたわけではない。 原告の売上げが落ちたとしても,その原因は被告会社が本件商品を購入しなかったことに尽きるのであって,被告会社が被告各商品を販売したことではない。 - 31 -したがって,仮に,被告らの不正競争ないし不法行為が認 ちたとしても,その原因は被告会社が本件商品を購入しなかったことに尽きるのであって,被告会社が被告各商品を販売したことではない。 - 31 -したがって,仮に,被告らの不正競争ないし不法行為が認められるとしても,それによる損害はない。 2 争点2(被告会社による被告商品1の販売が一般不法行為を構成するか)について【原告の主張】 被告商品1の販売が一般不法行為を構成すること被告会社は,本件商品の特約店であり,かつ,原告に対し,被告会社以外と本件商品の取引をしないように求めていた。それにもかかわらず,被告会社は,原告に無断で,被告商品1に原告の商号や商品メーカーコードを付し,あたかも原告が製造した正規品であるかのように装って協和興材に販売した。これによって,原告は,本件商品の販売活動上の利益,すなわち偽造品を販売されない利益及び偽造品の販売期間中に,同販売本数に相当する本件商品を販売する利益を侵害された。 よって,被告会社の上記行為は,故意又は過失によって原告の法律上保護される利益を侵害したものであって,不法行為を構成する。  被告P1の責任上記1【原告の主張】と同様,被告P1は,被告会社の代表者取締役であるところ,被告会社の不法行為を主導して行ったものであるから,会社法429条1項,民法709条又は719条に基づき,あるいは法人格否認の法理により,原告に対し,被告会社と連帯して損害賠償すべき責任がある。  損害について被告らの不法行為によって被った原告の損害は,合計5057万6752円を下らない(なお,遅延損害金も含めた主張は,別紙損- 32 -害金計算書(不法行為)[原告の主張]のとおりである。)。 ア被告商品1の販売による逸失利益平成16年4月1日から平成18年12月3 らない(なお,遅延損害金も含めた主張は,別紙損- 32 -害金計算書(不法行為)[原告の主張]のとおりである。)。 ア被告商品1の販売による逸失利益平成16年4月1日から平成18年12月31日までの間の被告商品1の販売による逸失利益は,以下のとおり,少なくとも4325万1602円である。  平成16年4月から同年12月までの間の逸失利益は,年間販売本数が少なくとも1万8033本,1本当たりの原告の逸失利益が525.53円であることから,少なくとも947万6882円である。 a 被告商品1の販売本数について被告商品1の平成16年4月から同年12月までの間の販売本数は,2万5520本と推定され(甲110の2),少なくとも1万8033本の限度で認められることは明らかである。 b 1本当たりの逸失利益について原告の被告会社に対する本件商品の販売価格は1本当たり875円(税別)である。 そして,その経費として,① ワックス原液と完成ワックス製造用の添加剤225円② ボトル代等 127.70円③ 輸送代(ガソリン代) 0.663円がかかることから,1本当たりの逸失利益額は,525.53円である。  平成17年1月から平成18年12月までの間の逸失利益額は,年間販売本数が少なくとも2万4000本,1本当たり- 33 -の原告の逸失利益が703.64円であることから,少なくとも3377万4720円である。 a 被告商品1の販売本数について被告商品1の平成17年1月から平成18年12月までの間の販売本数は,5万9700本と推定されるのであって,少なくとも4万8000本(2万4000本×2)の限度で認められることは明らかである。 b 1本当 平成17年1月から平成18年12月までの間の販売本数は,5万9700本と推定されるのであって,少なくとも4万8000本(2万4000本×2)の限度で認められることは明らかである。 b 1本当たりの逸失利益について原告の被告会社に対する本件商品の販売価格は1本当たり875円(税別)である。 そして,その経費としては,平成17年1月以降は,ワックス原液を含めてすべてを原告で製造することになったことから,① ワックス原液の製造原価 43.00円② ボトル代等 127.70円③ 輸送代(ガソリン代) 0.663円がかかり,1本当たりの逸失利益額は,703.64円である。 イ無形損害原告は,被告らの平成16年4月から平成18年末までの間の被告商品1の販売により,原告の営業上の利益を害されるとともに,信用を毀損されたものであり,これによって原告が被った無形損害は,少なくとも300万円である。 ウ弁護士費用被告らの上記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は,432万160円である。 - 34 -エ被告らの主張に対する反論被告らは,被告会社が被告商品1の販売実績を上げたのは自らの営業努力によるものであって,不法行為と損害との因果関係がないと主張するが,特約店が転売利益を得るために当該商品についての営業努力を行うのは当たり前のことである。しかも,本件商品は被告らから二次特約店である協和興材に販売されていたところ,被告会社は本件商品の偽造品である被告商品1を本件商品の販売ルートであたかも本件商品であるかのように偽って納入していたのであり,被告会社の営業努力を論じること自体誤りである。 【被告らの主張】 会社は本件商品の偽造品である被告商品1を本件商品の販売ルートであたかも本件商品であるかのように偽って納入していたのであり,被告会社の営業努力を論じること自体誤りである。 【被告らの主張】 一般不法行為の成否について被告会社による被告商品1の販売は,自らの固有の商品を販売しただけであり,正当な営業行為であるから,不法行為には該当しない。 さらにいうと,「ゴールドグリッター」を含む被告会社の商号や,その登録商標の存在に加え,そのような事実が長期間にわたり継続していたにもかかわらず,原告から何らの異議もなかったことからすれば,「ゴールドグリッター」という呼称を被告会社が自由に使用することになっていたことは明らかである。被告会社は,このような原告の事前承諾に基づいて「ゴールドグリッター」という表示を使用していたのであり,不法行為責任が発生する余地はない。 仮に上記承諾が認められなかったとしても,被告会社の行為は,被告会社が商品の供給を原告に依存することから,原告が出荷停止となった場合の責任を負わされる可能性があり,そのような事態を回避するため,やむを得ずに他の仕入れ先を確保しようとしたもの- 35 -である。したがって,その行為には正当な理由があるというべきであり,不法行為は成立しない。  被告P1の責任被告P1の責任についての原告の主張は,否認ないし争う。 本件は,法人格否認の法理が適用される場面ではない。  損害についてア仮に,被告会社の行為について一般不法行為が成立するとしても,被告会社の販売実績は,被告会社自身の営業努力によるものであり,原告が販売に寄与した度合いは極めて小さい。被告会社の営業努力による利益は損害に算入すべきではない。 また,そのほかの主張 ,被告会社の販売実績は,被告会社自身の営業努力によるものであり,原告が販売に寄与した度合いは極めて小さい。被告会社の営業努力による利益は損害に算入すべきではない。 また,そのほかの主張は,上記1【被告らの主張】イと同じである。 イ被告が原告以外に製造させ,納入させた商品(被告商品1)の本数は,平成16年4月1日以降は1万5684本,平成17年は1万4806本,平成18年は1万5140本である。なお,被告会社が,原告以外から仕入れて,協和興材以外に納品するという販売ルートは存在しない。 ウ本件商品1本当たりの利益についての原告の主張は,机上の空論にすぎない。そもそも原告は法人税も納付していないいわゆる赤字会社であるから,利益は得られておらず(甲88~90),したがって,本件商品の1本当たりの原告の利益はゼロである。 なお,試しに,原告の平成15年6月から平成18年5月までの営業利益(甲88~90)を該当期間の総販売数で除して,1本当たりの利益を算出すると,1.6926円となる。 また,原告の主張によれば,平成16年4月以前の利益から平成16年4月以降の利益を差し引くと,客観的に原告の損害が算- 36 -定されるはずであるところ,その場合,最も原告に有利に計算しても,1本当たりの利益が61円を超えることはない。 エ無形損害及び弁護士費用についての原告の主張は,否認ないし争う。 3 債務不履行に基づく請求について 争点3-1(被告会社が被告商品1を製造販売することにより,原告から本件商品を仕入れなかったこと,被告商品3を製造販売することにより,原告の利益を損なわせたことが債務不履行を構成するか)について【原告の主張】ア被告商品1の販売について被告会社設立後,本件商品 かったこと,被告商品3を製造販売することにより,原告の利益を損なわせたことが債務不履行を構成するか)について【原告の主張】ア被告商品1の販売について被告会社設立後,本件商品は,協和興材を総発売元,製造・企画元を原告及びグリッタージャパンとして販売されており,平成19年1月15日に原告と被告会社との取引関係(本件継続的取引関係)が解消されるまでの間,本件商品は,同様の表示で販売されていた。これは,原告,被告会社及び協和興材の間で,本件商品を被告会社が原告から仕入れ,協和興材に転売ないし販売委託する商流を前提とした取引関係が形成されていたものであり,被告会社は,原告に対し,本件商品については,すべて原告に発注し,原告から仕入れる債務を負担していたものである。 それにもかかわらず,被告会社は,総発売元である協和興材から発注を受けた本件商品の一部について,原告に発注して原告から仕入れることなく,P3に製造させた被告商品1を協和興材に納入し,そのほかP3に製造させた被告商品1を協和興材以外にも納入しており,かかる行為は,被告会社の原告に対する上記債務の不履行に該当する。 - 37 -イ被告商品3の販売についてまた,被告会社は,原告,被告会社及び協和興材の間での上記のような商流を前提とした取引関係の形成(しかも,原告は,被告P1の要請により,被告ら以外の者に対して,本件商品の販売を控えていた。)により,原告に対し,特約店として,本件商品の原告の利益を損なう行為をしないという義務を負担していたものである。 被告商品3は,カーワックスという用途だけでなく,具体的な商品の性状(液体ワックス),用法(水で希釈して塗布),容器の形状(シュリンクと箱)等も本件商品と酷似しており,本件商品と市場において完全に競合して 3は,カーワックスという用途だけでなく,具体的な商品の性状(液体ワックス),用法(水で希釈して塗布),容器の形状(シュリンクと箱)等も本件商品と酷似しており,本件商品と市場において完全に競合しているのであって,このような商品を本件商品の総発売元である協和興材に対して販売することは,必然的に原告の本件商品の売上げ及び利益を損なうものであるから,上記債務に違反するものであるし,また信義則に照らして到底許されるものでもない。しかも,被告商品3は,本件商品の名称を含んだ商品名を用いており,本件商品の市場の評価に便乗するものである点に照らして,より背信性が高いといわなければならない。 ウ被告P1の責任について被告P1は,被告会社の代表者取締役であるところ,会社法429条1項,民法709条又は719条に基づき,被告会社と連帯して,原告が被った損害を賠償すべき責任がある。また,被告P1は,法人格否認の法理により,被告会社の背後にある実体たる人として,被告会社と連帯して,原告が被った損害を賠償すべき責任がある。 【被告らの主張】- 38 -ア債務不履行についての原告の主張について債務不履行についての原告の主張は争う。 原告が主張する被告会社の債務については,いついかなる合意があったのかも定かではなく,合意の存在を認めるに足りる証拠もない。 また,事実上の取引関係が形成されていたことをもって,被告会社の債務が認められることもあり得ない。被告会社は,原告に対し,その売上げにかかわらず,原告から代金前払いで1か月当たり4000本を仕入れる債務(反面,原告は被告らに本件商品の一切を譲渡した。)を負うとともに,協和興材に対し,同社から発注があった本件商品をその都度納入する債務を負担していたにすぎない。原告の主張は, 000本を仕入れる債務(反面,原告は被告らに本件商品の一切を譲渡した。)を負うとともに,協和興材に対し,同社から発注があった本件商品をその都度納入する債務を負担していたにすぎない。原告の主張は,被告らは本件商品を原告から仕入れなければならないが,他方で,原告は本件商品を被告ら以外に販売してもよいという何とも自己都合的な主張であり,到底認められない。 イ被告P1の責任について被告P1の責任についての原告の主張は,否認ないし争う。 本件は,法人格否認の法理が適用される場面ではない。  争点3-2(原告の損害)について【原告の主張】被告会社の上記各債務不履行によって被った原告の損害は,合計5406万1284円を下らない(なお,遅延損害金も含めた主張は,別紙損害金計算書(債務不履行)[原告の主張]のとおりである。)。 ア被告商品1の販売による逸失利益について上記2【原告の主張】アと同じ計算により,少なくとも43- 39 -25万1602円である。 イ被告商品3の販売による逸失利益について 平成16年8月から同年12月までの間の逸失利益は,年間販売本数が少なくとも2007本,1本当たりの原告の逸失利益が525.53円であることから,少なくとも105万4738円である。 a 被告商品3の販売本数について被告商品3の平成16年8月から同年12月までの間の販売本数は,2020本と推定されるのであって,少なくとも2007本の限度で理由があることは明らかである。 b 1本当たりの逸失利益について上記2【原告の主張】アbと同じ。  平成17年1月から平成18年12月までの間の逸失利益は,年間販売本数が少なくとも9600本,1本当 明らかである。 b 1本当たりの逸失利益について上記2【原告の主張】アbと同じ。  平成17年1月から平成18年12月までの間の逸失利益は,年間販売本数が少なくとも9600本,1本当たりの原告の逸失利益が703.64円であることから,少なくとも675万4944円である。 a 被告商品3の販売本数について被告商品3の平成17年1月から平成18年12月までの間の販売本数は,6517本と推定され,9600本のうち少なくとも6517本の限度で理由がある。 b 1本当たりの逸失利益について上記2【原告の主張】アbと同じ。  よって,被告商品3販売による逸失利益は,少なくとも780万9682円を下らない。 ウ無形損害被告会社は,特約店であるにもかかわらず,本件商品の販売を- 40 -疎かにする一方で,被告商品1及び3の販売をしており,これは原告に対する重大な背信行為である。これにより原告の受けた無形損害は,少なくとも300万円(年間100万円)を下らない。 【被告らの主張】原告の損害額を算定するに当たって,本件商品1本当たりの利益は,確定申告書類である決算報告書により認定されるべきである(上記2【被告らの主張】ウ参照)。 4 不正競争防止法2条1項13号該当を理由とする請求について 争点4-1(被告各表示は,被告各商品の品質について誤認させるような表示に該当するか)について【原告の主張】ア被告各商品の品質が本件商品のものとは異なること 被告商品1の品質についてa 被告商品1は,本件商品とは異なる品質の商品である。 被告商品1には,本件商品には含まれていない塩素が含まれてい とは異なること 被告商品1の品質についてa 被告商品1は,本件商品とは異なる品質の商品である。 被告商品1には,本件商品には含まれていない塩素が含まれている。また,被告商品1と本件商品とではフーリエ変換赤外線分析スペクトルによる定量結果の成分比が異なり,ケイ光X線分析スペクトルによる成分(特にエステル系)の相対的な割合も異なる。さらに,全固形分,石油エーテル抽出物量も異なる。これらは,製品によるばらつきや誤差の範囲を超えた品質について有意差のある相違である。 また,本件商品と被告商品1とでは,色や匂いも異なる。 本件商品は黄色いワックスであるのに対し,被告商品1はより白色に近い。また,本件商品は柑橘系の香りがするのに対し,被告商品1は有機溶剤の匂いがする。 さらに,被告商品1については,購入者から,匂いがおか- 41 -しいとか,ノズルが詰まるといった苦情が協和興材に対して申し立てられており,実際にも,被告商品1では,固着物が確認できる(甲54)。 被告各商品を製造したP3は,本件商品の製造には平成14年から平成15年の1年間しか関与しておらず,被告各商品は,本件商品から変更が加えられているというべきである。  被告商品2ないし5の品質について被告商品2ないし5は,本件商品の改良品又はシリーズ商品として販売されており,本件商品と品質が異なることが明らかである。 イ被告各表示は品質誤認表示であること 被告表示1-5及び1-7について被告表示1-5及び1-7は,いずれも平成13年受賞の事実を表示するものであるところ,同受賞はカーワックスの品質が消費者に評価されたことを意味することから,被告 -5及び1-7について被告表示1-5及び1-7は,いずれも平成13年受賞の事実を表示するものであるところ,同受賞はカーワックスの品質が消費者に評価されたことを意味することから,被告表示1-5及び1-7は,いずれもカーワックスの品質を表す表示である。 被告商品1は,平成13年受賞の本件商品とは品質が異なっているため,被告表示1-5及び1-7を付するのは,品質誤認表示に該当する。  その他の被告各表示について被告商品1に付された被告表示1-1ないし1-4,1-6は,本件商品に付された原告各表示と同一又は類似する表示であるところ,需要者は,これらの表示によって,通常のカーワックスと異なる極めて優れた顕著な効果を有するカーワック- 42 -スであって,平成13年受賞の受賞歴もあるという本件商品と同じ商品であると認識することから,被告表示1-1ないし1-4,1-6は,いずれも品質誤認表示である。 また,被告商品2ないし5に付された被告表示2ないし14は,その要部が,本件商品に付された原告各表示と同一又は類似する表示であるところ,需要者は,これらの表示によって,上記品質を有する本件商品の改良品又はシリーズ商品であると認識することから,被告表示2ないし14は,いずれも品質誤認表示である。 ウ被告P1の責任上記1【原告の主張】と同様,被告P1は,被告会社の代表者取締役であるところ,被告会社の不法行為を主導して行ったものであるから,会社法429条1項,民法709条又は719条に基づき,あるいは法人格否認の法理により,原告に対し,被告会社と連帯して損害賠償すべき責任がある。 【被告らの主張】ア被告各商品の品質について 被告商品1の品質について 条に基づき,あるいは法人格否認の法理により,原告に対し,被告会社と連帯して損害賠償すべき責任がある。 【被告らの主張】ア被告各商品の品質について 被告商品1の品質について被告商品1を製造したP3は,約1年半もの間本件商品の製造に携わっていたのであり,その製法を熟知したものであるから,その製造・調合方法が記載されたいわゆる「レシピ」を見なくても,本件商品の製造が可能であり,被告商品1は本件商品と同じ品質である。 仮に,原告商品と被告商品1の含有物に相違があったとしても,それと商品全体としての品質の相違との関係は不明である。特に,色や匂いについては,時間とともに変化するのであ- 43 -って,商品間の品質の相違を直ちに示すものではない。また,原告が検査の対象としたワックスについては,それが被告商品1であるかも疑わしい。  被告商品2ないし5の品質について被告商品2ないし5については,改良品であることから,品質の相違は当然である。 イ被告各表示が品質誤認表示に当たらないこと 被告表示1-5及び1-7について原告は平成13年受賞を強調するが,同受賞は被告P1の営業努力の成果であり,品質の評価とは関係しない。 また,被告表示1-5及び1-7は,品質を何ら具体的に示したものではなく,これらの表示がエンドユーザーの品質に関する認識にいかなる影響を与えるのかは全く不明である。  その他の被告各表示について「ゴールドグリッター」という表示について,需要者が特徴を有する表示として理解しているとまでは到底認められず,せいぜい「多少使い勝手がよい」という程度であって,このような特徴が「品質」に該当する余地はない。 という表示について,需要者が特徴を有する表示として理解しているとまでは到底認められず,せいぜい「多少使い勝手がよい」という程度であって,このような特徴が「品質」に該当する余地はない。 なお,雑誌の記事(甲5)は,被告P1及び協和興材がお膳立てをした宣伝の一環であり,本件商品についてされた「通常のカーワックスと異なる極めて優れた顕著な効果を有する」などという宣伝文句(甲5)も,実際にそのような効果があることを前提にしたものではない。 ウ被告P1の責任被告P1の責任についての原告の主張は,否認ないし争う。 本件は,法人格否認の法理が適用される場面ではない。 - 44 - 争点4-2(原告の損害)について【原告の主張】ア被告商品1(被告表示1-5及び1-7の使用)の販売による財産的損害上記1【原告の主張】アと同じ(すなわち,被告商品1は,いずれも被告表示1-5又は1-7を付して販売されていた。)。 イ被告商品2ないし5の販売(被告表示2ないし14の使用)による財産的損害上記1【原告の主張】アないしと同じ。 ウ無形損害上記1【原告の主張】イと同じ。 なお,被告表示1-5及び1-7を付した被告商品1の販売行為のみをみても,これによって原告の信用が毀損され,また,被告会社が原告の特約店であるにもかかわらず,本件商品の販売を疎かにする一方で偽造品である被告商品1を販売した行為は,原告に対する重大な背信行為である。よって,被告表示1-5及び1-7を付した被告商品1の販売行為により原告の被った無形損害は,400万円を下回ることはない。 エ弁護士費用上記1【原告の主張】ウと同じ。 なお,被告表示1-5 被告表示1-5及び1-7を付した被告商品1の販売行為により原告の被った無形損害は,400万円を下回ることはない。 エ弁護士費用上記1【原告の主張】ウと同じ。 なお,被告表示1-5及び1-7を付した被告商品1の販売行為と相当因果関係のある弁護士費用相当損害金としても,逸失利益及び無形損害の合計額金6051万8734円の10%である金605万1873円が相当である。 【被告らの主張】否認ないし争う。 - 45 -ア被告商品1の販売(被告表示1-5及び1-7の使用)による財産的損害 損害の有無について原告の平成16年4月以前の利益から平成16年以降の利益を差し引くと,客観的に原告の被った損害が算定されるはずであるところ,両利益にはほとんど差がない(甲111,112)。したがって,不正競争ないし不法行為が認められるとしてもそれによる損害はない(不正競争防止法5条2項は適用の前提を欠く。)。 また,そのほかの主張は,上記1【被告らの主張】イと同じである。  被告会社が責任を負うべき範囲被告表示1-5は,協和興材創出に係るものであるところ,万が一,原告に損害が生じているとしても,その場合は協和興材も責任を負うべきであることから,被告会社の責任は減縮されるべきである。)。  被告表示1-5を付した被告商品1の販売本数についてa 被告会社の協和興材への被告商品1の販売本数は,平成16年4月から同年12月までの分が1万5684本,平成17年1月から同年12月までの分が1万4806本,平成18年1月から同年12月までの分が1万5140本である。 なお,被告表示1-5についてみるに,協和興材が被告会社に交付した被告表示1-5のシールの数量には 同年12月までの分が1万4806本,平成18年1月から同年12月までの分が1万5140本である。 なお,被告表示1-5についてみるに,協和興材が被告会社に交付した被告表示1-5のシールの数量には限りがあり,被告会社が納入した被告商品1の全部に被告表示1-5を添付していた訳ではない(例えば,バリューパックについては被告表示1-5を添付していない。)。 - 46 -b 平成19年以降,被告会社は,被告表示1-5を付した被告商品1を販売していない(甲13等参照)。  被告会社における被告商品1の1本当たりの利益について原告は,被告商品1の1本当たりの被告会社の利益は,703.64円(平成16年分については525.53円)などと主張する。 しかしながら,被告会社の決算報告書(乙42~44)及び損益計算書(乙45)によれば,平成16年4月1日から同年9月30日までの営業利益は527万2706円,同年10月1日から平成18年12月31日までの営業利益は1007万5076円となるところ,平成16年4月1日から平成18年12月31日までの間の被告会社の被告商品1の販売本数は,19万5046本であるため,被告商品1の販売による1本当たりの利益は,78.6807円である。  以上によれば,被告表示1-5を付した被告商品1の販売本数は,多くても4万5630本であるから,被告表示1-5を付した被告商品1の販売によって被告会社が得た利益は,359万0200円となり,原告の損害は,多くてもその金額である(なお,この計算は,被告商品3の販売による営業利益等を考慮していないため,実際には同金額を下回る。)。 イ被告商品2ないし5の販売(被告表示2ないし14の使用)による財産的損害否認ないし争う。 ウ無 商品3の販売による営業利益等を考慮していないため,実際には同金額を下回る。)。 イ被告商品2ないし5の販売(被告表示2ないし14の使用)による財産的損害否認ないし争う。 ウ無形損害について原告から具体的な主張はされておらず,原告の主張には理由がない。 - 47 -また,万が一信用毀損が問題となるとしても,被告表示1-5は協和興材が作成し,同社が添付を指示していたのであるから,その損害賠償責任は協和興材が負うべきであり,被告会社に責任はない。 エ弁護士費用について原告の財産的損害,無形損害が認められないことから,弁護士費用についても,損害がない。 5 争点5(被告会社が被告商品1に被告表示1-1を付して販売した行為が,本件商標権を侵害するか)について【原告の主張】 商標権侵害の成否についてア類否について被告商品1と本件商標の指定商品は同一であり,被告表示1-1と本件商標とは「GOLDGlitter」なる英文字の有無が相違するものの,その他の構成はほぼ同一なので,類似している。 なお,被告らは,第1回弁論準備手続で,原告の平成19年12月28日付け訴変更申立書に対する答弁書を陳述して,本件商標と被告表示1-1とが類似することを認め,自白が成立している。これを撤回して類似しない旨の主張をすることは,自白の撤回に当たるから異議がある。 イ被告らの主張に対する反論 先使用権について被告らは,原告が本件商標を付した商品を,協和興材にそのまま転売ないし販売委託していただけの流通業者にすぎず,本件商標の登録出願時に被告らを出所とし,その品質を保証する- 48 -商標が周知になっていたものではない。  権利濫用について本件商標は,原告が使用してきた原告 ただけの流通業者にすぎず,本件商標の登録出願時に被告らを出所とし,その品質を保証する- 48 -商標が周知になっていたものではない。  権利濫用について本件商標は,原告が使用してきた原告表示1からその一部である「GOLDGlitter」なる英文字部分を除いたものであり,従来から使用している標章の一部を商標登録したにすぎないのであって,その権利行使は権利濫用に該当しない。 なお,原告が商標権侵害に基づく損害賠償請求をしているのは,被告商品1についてであり,当該商品は被告会社が原告から購入したものではないことから,被告らの主張は失当である。  損害について被告会社の,本件商標が登録された平成19年6月29日から平成19年12月27日までの間の,被告表示1-1を付した被告商品1の販売本数は少なくとも7085本,1本当たりの利益は少なくとも500円であることから,被告商品1の販売による利益は少なくとも354万2500円であり,原告は同額の損害を被った(商標法38条2項)。 【被告らの主張】 商標権侵害の成否についてア類否について本件商標と被告表示1-1は類似しないイ先使用権について被告らは,本件商標が登録される以前から,被告表示1-1を用いて独占的に本件商品を販売してきたのであるから,仮に被告表示1-1が本件商標に類似しているとしても,被告らは,本件商標を使用する権利を有している。 - 49 -ウ権利濫用について本件紛争及び本件商標出願の経緯に照らすと,原告の本件商標権に基づく権利行使は権利濫用に当たり,許されない。  損害について否認ないし争う。 被告会社は,被告表示1-1を付した商品を,その在庫 件商標出願の経緯に照らすと,原告の本件商標権に基づく権利行使は権利濫用に当たり,許されない。  損害について否認ないし争う。 被告会社は,被告表示1-1を付した商品を,その在庫を捌ききるまで販売していたにすぎない。原告の主張は,専ら自ら代金を得て納入した商品を販売する者に対して,その販売利益をも要求するものであり,到底認められない。 6 争点6(原告が被告会社に本件商品を納入しなかったことが債務不履行を構成するか)について【被告会社の主張】 原告の債務不履行責任についてア原告は,被告P1の個人事業時代から,被告P1と本件商品の継続的売買についての契約(第2事件の甲1。本件継続的取引関係)を締結して本件商品の取引を行っており,その契約関係は,被告会社設立後は被告会社に承継された。そして,遅くとも平成17年12月以降,その契約内容は,原告が被告会社に対し,本件商品を1本当たり852円で,毎月最低4000本は納入し,これに対して被告会社が,毎月初めに原告に4000本分の代金として340万5615円を前払いするというものであった。 イ被告会社は,原告との間の上記契約に基づき,平成18年12月5日,同月分(4000本)の前払金として340万5615円を原告に支払い(第2事件の甲4),平成19年1月9日,同月分(4000本)の前払金として340万5615円を原告に支払った(第2事件の甲5。以下,これらの個別の契約を「本件- 50 -個別契約」という。)。 ウしかし,原告は,被告会社に納入すべき本件商品のうち,平成18年12月分のうち2730本を納入せず(第2事件の甲6),また,平成19年1月分については一切納入せず,合計6730本につき納品義務を履行しなかった。  被告会社の前払金相当額 ち,平成18年12月分のうち2730本を納入せず(第2事件の甲6),また,平成19年1月分については一切納入せず,合計6730本につき納品義務を履行しなかった。  被告会社の前払金相当額の損害原告は,被告会社に対し,平成18年12月分及び平成19年1月分の本件個別契約の債務不履行に基づき,本件商品6730本分の前払金相当額573万3960円の損害賠償債務を負う。  被告会社の逸失利益ア被告会社は,協和興材との間の本件販売代理店契約に基づき,協和興材に対して本件商品を単価1470円(税込)で販売し(第2事件の甲8),一本当たり618円の利益を受けていた。 イしかし,原告が,上述のとおり平成18年12月分の本件商品2730本を納入せず,また平成19年1月以降は一切納入しなかったため,被告会社と協和興材との本件販売代理店契約が解除される平成19年6月25日までの間,被告会社は,協和興材への販売利益を得ることができなかった。 ウしたがって,原告は,被告会社に対し,平成18年12月分ないし平成19年5月分の本件個別契約の債務不履行によって被告会社に生じた逸失利益として,1本当たり618円の利益に,納入されなかった平成18年12月分2730本,平成19年1月から5月までの5か月分の2万本(1か月当たり4000本)の合計2万2730本分を乗じた金額である1404万7140円の損害賠償債務を負う。  原告の主張に対する反論- 51 -ア原告は,平成19年1月15日,被告会社に対し,本件基本契約を解除したと主張するが,被告会社の代表者である被告P1は,同日,原告代理人を名乗る数名の人物が事務所に来て,威嚇するような態度で何か申入れをしたが,被告P1は萎縮して話の内容を全く理解できず,一方的に原告代理人 するが,被告会社の代表者である被告P1は,同日,原告代理人を名乗る数名の人物が事務所に来て,威嚇するような態度で何か申入れをしたが,被告P1は萎縮して話の内容を全く理解できず,一方的に原告代理人を名乗る者たちに言い掛かりをつけられたという認識があるにすぎない。したがって,原告による本件商品の継続的売買についての契約の解除がされたとはいえないし,仮に,原告が解除の意思表示をしていたとしても,そもそも解除事由が存在しないことから,解除は無効である。 イ原告は,協和興材から被告会社への本件商品の発注がなくなったために,被告会社に損害が生じていないと主張するが,そもそも協和興材からの発注がなくなったことは,原告の不当な働きかけが原因であり,原告の被告会社に対する納品義務の不履行により,協和興材からの発注がなくなったと評価できる。  小括よって,被告会社は,原告に対し,本件個別契約の債務不履行に基づき,上記前払金相当額及び逸失利益の合計額1978万1100円及びこれに対する催告の翌日以降の日である平成19年12月8日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 なお,被告会社は,原告による本件基本契約の解除を認めるものではないが,仮に解除が有効とするなら,その解除を前提として原状回復請求として上記前払金相当額の支払を請求する。 【原告の主張】 原告は,被告会社に対し,平成19年1月15日時点での本件商- 52 -品の未納入分(6730本)の前払金の返還債務として,618万3188円(但し,これは振込送金の際に控除されていた広告宣伝分担金の分を含んだ金額である。)の支払債務が存在していたことは認める。なお,本件商品の納入単価は,875円である。 しかしながら,原告は,遅くと (但し,これは振込送金の際に控除されていた広告宣伝分担金の分を含んだ金額である。)の支払債務が存在していたことは認める。なお,本件商品の納入単価は,875円である。 しかしながら,原告は,遅くとも第11回弁論準備手続期日において,被告会社の原告に対する上記前払金返還請求権及び債務不履行に基づく損害賠償請求権(第2事件における請求債権)を受働債権として,主位的に,原告の被告会社に対する不法行為に基づく損害賠償請求権(第3事件における請求債権)を自働債権とし,予備的に,原告の被告らに対する,同人らの平成19年12月28日から平成21年4月14日までの被告商品1ないし5の販売を理由とする損害賠償請求権(不正競争防止法違反,商標権侵害。第1事件における請求債権の一部)を自働債権として,対当額で相殺する旨の意思表示をした。 したがって,未清算の前払金は存在せず,被告会社の請求には理由がない。  原告は,平成19年1月15日,被告会社に対し,被告会社の違法・背信行為を理由として本件基本契約を解除し,取引関係を解消した(甲2,9,10,12,56)。したがって,原告に本件商品を被告会社に納入すべき義務はなく,仮に,被告会社に損害が生じたとしても,原告がこれを賠償する義務はない。  また,原告と被告会社間の取引は,被告会社から前払金の支払がなされた後,被告会社から原告に対する具体的な納品依頼(本数及び納品日の指定)がされてから本件商品を納入することとされていた。しかるところ,被告会社は,平成18年12月26日以降,原告に対し,本件商品の具体的な納品依頼を行っていないから,そも- 53 -そも原告には具体的な納品義務が発生していない。 さらに平成19年1月当時,協和興材は,被告会社の背信行為を理由として,被告会社から納品を受ける 体的な納品依頼を行っていないから,そも- 53 -そも原告には具体的な納品義務が発生していない。 さらに平成19年1月当時,協和興材は,被告会社の背信行為を理由として,被告会社から納品を受けることを控えざるを得ない状況にあったから,協和興材から被告会社への発注は存在せず,そうであった以上,被告会社が協和興材を通じて本件商品を転売することはそもそもできなかった。この点からも被告会社に損害の発生はないといえる(なお,仮に何らかの損害があったとしても,上記相殺により,損害賠償請求権は消滅している。)。  なお,被告会社が,平成19年1月から5月までの間の本件商品の1本当たりの転売利益を618円と主張する点については,否認する。 7 争点7(被告らが,本件商品の広告宣伝費名目で原告に費用負担をさせていたことが一般不法行為を構成するか)について【原告の主張】 被告らは,原告に対し,真実は本件商品の広告宣伝費を負担していないにもかかわらず,被告らにおいて広告宣伝費を負担しているかのように原告を欺き,平成9年4月20日から平成19年1月9日までの間に別紙損害金及び遅延損害金計算書(広告宣伝費)[原告の主張]の年月日及び被害額欄記載のとおり合計金3350万4182円を,本件商品の広告宣伝費名目で原告に負担させた(被告らが原告に対して支払うべき本件商品の代金(1本当たり875円)から広告宣伝費名目で別紙損害金及び遅延損害金計算書[原告の主張]記載の各金額を控除していた。)。上記被告らの行為は詐欺であり,不法行為を構成する。 したがって,原告は,被告らに対し,不法行為に基づき上記広告宣伝費名目の合計金3350万4182円及び弁護士費用相当額- 54 -335万円の損害賠償請求権を有する(なお,別紙損害金及び遅延損害金計 がって,原告は,被告らに対し,不法行為に基づき上記広告宣伝費名目の合計金3350万4182円及び弁護士費用相当額- 54 -335万円の損害賠償請求権を有する(なお,別紙損害金及び遅延損害金計算書[原告の主張]において,弁護士費用相当損害についての遅延損害金の計算は,不法行為の後の日である平成19年1月16日を起算日としている。)。  原告は,平成19年1月15日,被告会社との間の本件基本契約を解除したが,この時点において,原告には,被告会社から受領していた本件商品の前払金残金(前払金として受領していたもののうち,具体的な納品指示を受けていなかった本数相当額)として金618万3188円が存在した。 原告は,平成19年1月15日(遅くとも同年12月19日)までに,上記損害賠償請求権の一部を自働債権,解除に伴い発生した前払金残金返還請求権を受働債権として,対当額で相殺する旨の意思表示をしており,その残額を請求する(別紙損害金及び遅延損害金計算書(広告宣伝費)[原告の主張]においては,当該相殺を前提とする計算を行っている。)。  なお,被告P1及び被告会社が全期間にわたり共同不法行為責任を負うのは次の理由による。 ア被告P1の責任(民法709条)被告P1は,被告会社設立前は,自ら原告から広告宣伝費を詐取しており,また,被告会社を設立した後の平成16年1月7日以降は,被告会社の代表者という地位にある者として原告から広告宣伝費を詐取したものである。 よって,被告P1は,平成19年1月までの全期間にわたる不法行為責任を負う。 イ被告会社の責任(民法709条,会社法350条)被告会社が設立された後の平成16年1月7日から平成19- 55 -年1月9日までの間の広告宣伝費詐取は,被告会社の代表者取締役であ 負う。 イ被告会社の責任(民法709条,会社法350条)被告会社が設立された後の平成16年1月7日から平成19- 55 -年1月9日までの間の広告宣伝費詐取は,被告会社の代表者取締役である被告P1が会社の職務として行ったものであり,被告会社の不法行為として,被告会社は民法709条に基づき,あるいは特例有限会社として会社法350条に基づき,代表者取締役である被告P1がその職務を行うについて原告に加えた損害であることを理由に損害賠償責任を負う。 また,被告会社は,設立前の平成15年12月5日までの広告宣伝費詐取についても,法人格否認の法理ないし信義則に基づき,不法行為責任を負う。すなわち,被告会社と被告P1は実質的に同一人であり,しかも,被告会社は,原告との取引において被告P1の地位をそのまま引き継いだばかりでなく,広告宣伝費についての詐取行為も,そのまま承継して詐取し続けていたものである。これらの事情に照らせば,被告会社が被告P1との別人格性を貫くことは正義衡平の観念に反するものであるから,両者を同一視して事案の公平な解決を図るべきである。 よって,被告会社も,平成19年1月までの全期間にわたる不法行為責任を負う。 【被告らの主張】被告らが,広告宣伝費を原告に負担させたという原告の主張は否認する。そもそも,原告の広告宣伝費の負担を裏付ける書証類は一切ない。 原告は,原告と被告らとの間で本件商品が定価で取引されていたことを前提に,実際に被告会社が支払った金額との差額が広告宣伝費であると主張しているが,そもそも,毎月大量かつ継続的に仕入れる場合に定価で購入することはありえない。しかも,本件においては,売れ行きに関係なく被告会社は毎月4000本もの本件商品を購入し,- 56 -しかもその代金を前払いして 毎月大量かつ継続的に仕入れる場合に定価で購入することはありえない。しかも,本件においては,売れ行きに関係なく被告会社は毎月4000本もの本件商品を購入し,- 56 -しかもその代金を前払いしていたのであるから,定価の取引を前提とする原告の主張は一般の取引常識と余りにかけ離れた主張である。 第4 当裁判所の判断 1 本件商品の製造販売の経緯等について 上記第2の2の判断の基礎となる事実のほか,証拠(原告代表者,証人P4,証人P5,証人P3,被告P1の各尋問結果のほか掲記の各証拠。なお,以下,各尋問調書を「原告代表者」,「証人P4」,「証人P5」,「証人P3」及び「被告P1」と表記する。)及び弁論の全趣旨を総合すると,本件商品の製造販売の経緯等について以下の事実が認められる。  本件商品の販売に関する事実経過等ア本件商品の販売開始原告は,平成6年春頃までに,本件商品の販売を開始したところ,当初は,自ら小売りで販売するほか,竹一を通じてガソリンスタンドを経営する竹村産業に販売するなど複数の取引先に販売していた(原告代表者2頁)。 イ被告P1による本件商品の販売 被告P1は,平成6年9月頃,本件商品の販売を開始し,平成7,8年頃,屋号を「グリッタージャパン」として,本件商品を継続的に仕入れて販売するようになり(本件継続的取引関係),その頃,複数の業者と本件商品の販売に係る特約販売基本契約を締結するなどした(乙25,26,被告P1 9頁)。 原告と被告P1の取引形態は,平成7年秋以降,被告P1が前払金を支払って一定数量の本数を発注し,その後,具体的な納品依頼をして本件商品の納入を受ける形態となり,その発注本数は,遅くとも平成9年7月頃以降は2000本単位,平成- 57 - 被告P1が前払金を支払って一定数量の本数を発注し,その後,具体的な納品依頼をして本件商品の納入を受ける形態となり,その発注本数は,遅くとも平成9年7月頃以降は2000本単位,平成- 57 -12年11月頃以降は4000本単位となった(原告代表者32頁)。  被告P1は,平成9年7月24日,本件商品の商標として用いられていた「GOLDGlitter」の文字商標について,商標登録出願をし,平成10年10月23日に商標登録を受けた(乙1。以下「被告商標権」という。)。  エンジン添加剤であるマイクロロンの販売などを営んでいた協和興材は,本件商品の存在を知り,画期的なカーワックスであることから自ら販売しようと考え,平成9年頃から,被告P1を介して,本件商品を仕入れるようになった(甲59,証人P5 2頁,被告P1 14頁)。  その後,被告P1による本件商品の販売は,協和興材に対するものが多くを占めるようになり,平成11年頃には,被告P1と協和興材は,本件商品のパッケージやチラシの内容などを協議して決めるなどしていた(乙10,11)。  被告P1は,平成13年6月9日,協和興材との間で,本件商品の販売に関する本件販売代理店契約を締結した(乙2)。 被告P1は,上記契約の締結に際し,従前,本件商品の取引をしていた他の特約店との取引関係をほぼ解消し,本件商品の販売ルートが協和興材だけとなるよう整理した(甲59)。 協和興材は,マイクロロンの販売ルートを利用して,本件商品の販売に力を入れ(甲59),全国展開で販売するようになり,本件商品は,ヤナセでも取り扱われるようになった(甲5)。  被告P1は,本件販売代理店契約締結の後,協和興材以外のルートでも販売することにより本件商品の小売価格にばらつきが生じることを防ぐために, 商品は,ヤナセでも取り扱われるようになった(甲5)。  被告P1は,本件販売代理店契約締結の後,協和興材以外のルートでも販売することにより本件商品の小売価格にばらつきが生じることを防ぐために,原告に対し,被告P1を介して- 58 -する協和興材による販売ルート以外での取引を止めるよう申し入れた。これを受けて,原告は,従前の取引先のうち竹村産業だけを残し,他との取引を止めた(弁論の全趣旨)。  平成15年6月頃,有限会社ミトスが,液体光沢剤「ミトスクラブ」を,「ゴールドグリッター」の製造元が製造した「ゴールドグリッター」の改良品であると宣伝して販売していたことがあり(乙48・4頁),そのため,原告,被告P1及び協和興材は連名で,宣伝を扱う雑誌社に対し,有限会社ミトスの上記宣伝は虚偽である旨注意喚起する文書を送付した(乙24)。 また原告は,上記問題につき,同月23日,「ゴールドグリッターは,余に出して栽(ママ)きました,グリッタージャパン様,協和興財(ママ)株式会社様に総て販売をおまかせ致しております。」などと記載した,上記有限会社ミトスの販売する製品に原告が関わっていないことを明らかにする誓約書を,被告P1及び協和興材宛に提出した(乙9)。  平成15年12月25日,被告P1は,グリッタージャパンとしての個人事業を法人成りさせて被告会社を設立し,それ以前の原告との取引関係及び協和興材との本件販売代理店契約を含む取引関係は,そのまま被告会社に承継された。  被告各商品の販売ア被告会社は,遅くとも平成16年4月1日以降,平成14年から平成15年にかけて原告で本件商品の製造に携わっていたP3に被告商品1を製造させた上,本件商品と同じ外箱を用いて協和興材に納入するようになった(証人P3 3頁)。被告商 月1日以降,平成14年から平成15年にかけて原告で本件商品の製造に携わっていたP3に被告商品1を製造させた上,本件商品と同じ外箱を用いて協和興材に納入するようになった(証人P3 3頁)。被告商品1は,協和興材から,カー用品店のチェーン店であるイエロ- 59 -ーハットに納入され,同店舗で販売された(被告P1 25,26頁)。なお,P3が製造した被告商品1は,本件商品とは品質が異なるものであった(詳細は後記5イで検討する。)。 なお,協和興材は,上記取引において,被告商品1は,原告製造に係る本件商品であるとの認識で被告会社から納入を受け,市場に流通させていた。 イまた,被告会社は,P3に被告商品1を改良したカーワックス(被告商品3)を新たに開発製造させた上,協和興材に対し,本件商品を上回る商品を開発したので是非取り扱って欲しい旨連絡し,平成16年8月以降,被告商品3を協和興材に納入するようになった。なお,被告商品3の外箱には,製造元として「Across」と表記され,原告名は表記されていなかったが(甲66の2),協和興材においては,ゴールドグリッターの名称が付されている以上,原告が製造に関わっているものと考えて,製造元を確認することなく,本件商品3を取り扱っていた(証人P5 4,5頁,甲13・4枚目)。  本件商品に関する取引関係の解消 。 ア原告代表者は,被告会社からの発注が減ってきたことから,平成18年12月頃,協和興材に直接問い合わせて確認したところ,原告の被告会社に対する納品数よりも,被告会社の協和興材に対する納品数の方が多いことが判明し(原告代表者,証人P5 3頁),その後,被告会社が被告商品1を本件商品と偽って協和興材に納入していたことが明らかになった(原告代表者8,9頁,甲46,77)。 イ原 品数の方が多いことが判明し(原告代表者,証人P5 3頁),その後,被告会社が被告商品1を本件商品と偽って協和興材に納入していたことが明らかになった(原告代表者8,9頁,甲46,77)。 イ原告は,平成19年1月15日,原告代表者の夫であり原告の専務取締役であるP4らをして被告会社に赴かせ,本件商品につ- 60 -いての取引(本件継続的取引関係)を終了させる旨告げるとともに,損害を賠償するよう求めた(乙19・4頁)。 ウその後,原告は,被告会社に対する本件商品の納入を一切止め,他方,上記経緯を知った協和興材も,在庫品として保有する「GOLDGlitter」又は「ゴールドグリッター」との標章を付した本件商品を販売するほかは,被告会社との取引を止めた。そして,新たに原告において「パーマラックス」という商品名のカーワックスを企画製造し,これを協和興材に直接納入し,協和興材で販売している(甲17,乙19)。 エ被告会社は,被告商標権に基づき,協和興材に対し,「GOLDGlitter」又は「ゴールドグリッター」との標章を付した本件商品の販売の差止めを求めるほか,原告と協和興材の新商品である「パーマラックス」という商品名のカーワックスの販売の差し止めも求める仮処分事件を大阪地方裁判所に申し立て,同年6月25日の同事件の審尋期日において,協和興材との間で,本件販売代理店契約を合意解除するとともに,「GOLDGlitter」又は「ゴールドグリッター」の標章を付したつや出し剤(カーワックス)の協和興材による販売を,同年9月30日までに限り了解する旨の和解をした(甲17,乙5)。  本件商品の販売本数原告から被告らに対する販売本数は,平成13年6月から平成14年5月までで約6万8000本,同年6月から平成15年5月 でに限り了解する旨の和解をした(甲17,乙5)。  本件商品の販売本数原告から被告らに対する販売本数は,平成13年6月から平成14年5月までで約6万8000本,同年6月から平成15年5月までで約8万本,同年6月から平成16年5月までで約7万6000本であり(甲56),売上げは年間約7万本であった。 なお,原告は,竹村産業に対しても本件商品を販売していたが,その売上本数は,平成14年から平成18年までの5年間で合計4- 61 -40本程度であった(甲56)。  本件商品の主体に関する表示ア本件商品の外箱の表示本件商品の発売当初の外箱には,販売元として「株式会社吉野」と表示され,商品容器にも同じ表示がされていた(甲25の2)。 また,本件商品には内容液が黄色ではなくピンク色の商品も存在したが,その商品の外箱には,発売元として「株式会社吉野」と表示され,製造元として「YOSHINOCHEMICAL」と表示されていた(甲26)。 平成11年11月頃,本件商品の外箱には,発売元として「GlitterJapan」,製造元として「株式会社吉野」と表示されることとなった(甲6別紙6,乙12)。 平成13年12月以降,本件商品の外箱には,総発売元として「株式会社協和興材」,製造元として「株式会社吉野」及び「グリッタージャパン」と表示されるようになった(甲6別紙7,弁論の全趣旨。なお,商品容器には,発売元として「GlitterJapan」,製造元として「株式会社吉野」と表示されている。)。また,そのほかに,本件商品の外箱には,総発売元として「株式会社協和興材」,製造・企画元として「株式会社吉野」及び「グリッタージャパン」と表示され,商品容器にも同じ表示がされたものが存在する(甲6別紙8,甲38の1 本件商品の外箱には,総発売元として「株式会社協和興材」,製造・企画元として「株式会社吉野」及び「グリッタージャパン」と表示され,商品容器にも同じ表示がされたものが存在する(甲6別紙8,甲38の1~4)。 また,平成13年受賞後に販売されるようになったバリューセット(バリューパック)の外箱には,総発売元として「株式会社協和興材」,製造・企画元として「株式会社吉野」及び「グリッタージャパン」と表示されたものが存在する(甲104の3・4,乙33の2)。 - 62 -イ本件商品の梱包用段ボールの表示本件商品は,20本入りで梱包用段ボールに詰め合わせて原告から出荷され,その後も被告ら及び協和興材を通じて小売店に販売されるまで,同じ梱包用段ボールに入ったままの状態で取引されていた(弁論の全趣旨)。この梱包用段ボールには,側面に原告表示1とともに「株式会社吉野」と表示されている。同段ボールは,平成13年6月に協和興材が総発売元になった後,1年当たり600枚を5,6回発注していた(原告代表者5,6頁)。 なお,バリューセット(バリューパック)の販売については,「株式会社吉野」と表示されてない別の梱包用段ボールが使用されていた(被告P1 23頁)。  本件商品の広告宣伝ア発売当初の広告宣伝本件商品の発売当初,原告は,販売ルートを探すためにチラシの作成等を行っていたが,竹一,竹村産業等に販売するようになってからは,これらの販売先で広告宣伝がされていた(原告代表者13頁)。 当初作成されたチラシには,発売元として「株式会社吉野」と表示され,案内文には「株式会社吉野」と表示されていた(甲6別紙1~5,甲21,22)。 イ被告P1との取引開始後の広告宣伝被告P1が,原告と本件商 は,発売元として「株式会社吉野」と表示され,案内文には「株式会社吉野」と表示されていた(甲6別紙1~5,甲21,22)。 イ被告P1との取引開始後の広告宣伝被告P1が,原告と本件商品を代金前払いで取引するようになった平成7年秋以降,本件商品について,以下のような広告宣伝がされている。  自動車専門誌である月刊誌「LEVOLANT」(株式会社立風書房発行)には,平成12年2月号から平成15年12月号に- 63 -かけて合計20回,1ないし2頁を割いて,本件商品の広告が掲載されている(乙27,28,34の1~18)。これらの広告には,当初,「GlitterJapan」と表示され,「GoldGlitter販売提携」として「㈱協和興材」などが表示されていたが,平成14年7月号には,企画元として「GlitterJapan」,「GoldGlitter総発売元」として「㈱協和興材」と表示され,平成15年8月号からは,「株式会社協和興材」,「GlitterJapan」と表示されている。なお,いずれについても原告は表示されていない。  また,マガジン通信社が作成したとされる本件商品のチラシには,「GlitterJapan」と表示され,「GoldGlitter販売提携」として「㈱協和興材」などが表示されているもの(乙17,16の2,15の1・6。なお,作成時期は,乙17は平成9年頃,乙16の2は平成10年頃,乙15の1は平成14年頃,乙15の6は平成15年終わり頃とされている。),「GlitterJapan」,「GoldGlitter特約店」として「㈱協和興材」等が表示されているもの(乙15の7。作成時期は平成15年終わり頃とされている。)などがある。なお,いずれについても原告は表示されていない。 GoldGlitter特約店」として「㈱協和興材」等が表示されているもの(乙15の7。作成時期は平成15年終わり頃とされている。)などがある。なお,いずれについても原告は表示されていない。  自動車用品の専門誌である月刊誌「CarGoodsMagazine」(株式会社三栄書房発行)の平成14年12月号には,本件商品を3頁にわたって紹介する記事が掲載されているが(甲5),そこには取材協力として「協和興材,吉野,グリッタージャパン」と記載されており,開発者であるP2の- 64 -話などが掲載されている。  月刊誌「AM(オートマート)NETWORK」(㈱自動車産業通信社発行)には,平成16年2月号から平成19年8月号にかけて合計8回,主要カー用品専門チェーン売れ筋ランキング)のワックス部門に本件商品が登場している(甲60の1~8)。そこには,「協和興材ゴールドグリッター」と表示されている。  そのほか,本件商品は,外車の輸入代理店として有名なヤナセにおいても車載用品として採用されるようになったほか(甲5),平成13年受賞のほかに,平成16年に,カーグッズプレス誌主催の「2004 TheUser’sJudgeNo.1」において読者人気グッズ第1位に選ばれている(甲50,51)。 2 争点1-1(原告各表示が被告会社にとって他人の周知商品表示に当たるか)について 原告各表示の周知商品表示性原告表示1ないし4は,いずれも商品名を表示したものであるところ,上記1の認定事実,とりわけ平成13年6月以降の売上本数(上記1)や本件商品の広告宣伝状況(カー用品専門誌の受賞歴を含む。上記1)等に照らせば,原告表示1ないし4は,遅くとも平成16年4月頃には,カーワックスを取り扱う需要者(小売業者や一般消費 (上記1)や本件商品の広告宣伝状況(カー用品専門誌の受賞歴を含む。上記1)等に照らせば,原告表示1ないし4は,遅くとも平成16年4月頃には,カーワックスを取り扱う需要者(小売業者や一般消費者)の間において,周知商品表示となっていたと認められる。 他方,原告表示5は,その表示を付された商品についての平成13年受賞の事実を記述するものと理解されるにすぎず,需要者に商品名であると理解されるものではない。そして,平成13年受賞の事実は,本件商品の商品名が周知性を獲得したことを推認させる事- 65 -情の一つであるけれども,当該事実そのものは,本件商品の出所を識別させるものとはいえず,したがって平成16年4月当時,原告表示5は,需要者の間で,周知商品表示となっていたとは認められないというべきである。  原告表示1ないし4は,被告会社にとって「他人の」商品表示であるかについてア上記のとおり,原告表示1ないし4は,遅くとも平成16年4月頃には,需要者の間で周知性を獲得していたといえるところであるが,その周知性獲得の過程における原告,被告ら及び協和興材の関係は,以下のようなものであったと認められる。 すなわち,上記1に認定したとおり,本件商品の販売について,被告P1と協和興材との間では,平成13年6月9日に本件販売代理店契約が締結され,これにより,協和興材は,グリッタージャパン(被告P1)の販売代理店として,グリッタージャパン(被告P1)が納入した本件商品を小売店に販売するものとされ(乙2),同時に,グリッタージャパン(被告P1)は,他の特約店との関係をほぼ解消し,本件商品の納入先を協和興材だけに絞っている。 他方,被告P1と協和興材との取引の前段階である原告と被告P1との間では,それ以前 グリッタージャパン(被告P1)は,他の特約店との関係をほぼ解消し,本件商品の納入先を協和興材だけに絞っている。 他方,被告P1と協和興材との取引の前段階である原告と被告P1との間では,それ以前からの被告P1が前払金を支払う形での取引関係が継続されるとともに,被告P1からの申入れにより,原告は,本件商品の納品先を,竹村産業を例外として被告会社のみに絞っている(なお,例外扱いとなっている竹村産業は,当時の原告代表者のP6が関与する会社であり(甲56・5頁),販売本数も上記1のとおり,5年間で合計440本程度と限定的である。)。 - 66 -以上のように,本件販売代理店契約が締結された平成13年6月9日以降の本件商品の販売については,原告が製造して被告らに納入し,被告らがこれを協和興材にさらに納入し,協和興材が市場に出すという一本化した製造販売ルートが確立していたものといえ,原告,被告ら及び協和興材の三者により,本件商品を販売する体制となっていたものといえる(上記1イの本件販売代理店契約後に,有限会社ミトス社の商品が「ゴールドグリッター」の改良品と宣伝されていた際に,三者の連名で雑誌社に注意喚起の文書を送付していることも,上記三者の関係を裏付けるものである。)。 イそして,上記1アのとおり,本件商品の外箱には,平成11年11月頃,原告及び「GlitterJapan」(被告P1)が表示されており,本件販売代理店契約が締結された後は,原告,「グリッタージャパン」(被告P1)及び協和興材の三者が表示されるようになっている。また,上記1のとおり,車関係の雑誌やチラシでの広告には,製造元である原告の表示は少なく,むしろ販売過程に関与する「GlitterJapan」(被告P1)及び協和興材が表示されたものが多 いる。また,上記1のとおり,車関係の雑誌やチラシでの広告には,製造元である原告の表示は少なく,むしろ販売過程に関与する「GlitterJapan」(被告P1)及び協和興材が表示されたものが多く存在している。このような表示等の内容からすると,本件商品が,原告,被告ら及び協和興材の一本化した製造販売ルートにより市場で販売されていたこと及びそれに関与する三者の関係は,需要者にとっても,十分に認識されていたものといえる(なお,上記1イのとおり,梱包用段ボールには,原告しか表示されていないが,そもそも梱包用段ボールは,小売業者が目にすることはあっても,一般消費者が目にするものではないし,また,梱包用段ボールに付された原告の表示は,原告が製造者であることのみが示さ- 67 -れており,上記のとおり被告ら及び協和興材が販売過程に関与していることが,当該表示によって打ち消されるわけでもない。)。 ウ以上のような原告,被告ら及び協和興材の関係並びに需要者の認識を踏まえると,本件商品に付された原告表示1ないし4は,本件商品の製造販売に関与する原告,被告ら及び協和興材の三者の出所表示として,需要者の間に広く認識されていたものと認められる。 エこれに対し,原告は,被告らは,原告が協和興材を通じて本件商品を販売するための中間業者として中間マージンを得ていただけの存在にすぎないから,原告表示1ないし4の各表示に被告ら独自の業務上の信用が化体する余地はなく,これらの表示が被告らの出所表示となることはあり得ないかのように主張する。 しかし,本件外箱の表示,広告宣伝時の表示など,需要者が直截,目にする部分において,被告らが本件商品の製造販売において独立した商品等主体として関わっている旨が表示されているのであるから,需要者としては,当然,被 箱の表示,広告宣伝時の表示など,需要者が直截,目にする部分において,被告らが本件商品の製造販売において独立した商品等主体として関わっている旨が表示されているのであるから,需要者としては,当然,被告らも本件商品の出所の主体であると理解するであろうし,現実の取引においても,本件商品の総発売元である協和興材と直接の取引関係にあるのは原告ではなく被告らであって,被告らが,本件商品の販売において独立した主体的立場を有していることは明らかである。また,被告P1は,その屋号を「グリッタージャパン」とし,「GOLDGlitter」の文字商標の登録までしていたことからしても,本件商品の販売において,積極的な役割を果たしていたといえる(なお,原告は,これらについて被告P1が原告に無断で行ったと主張するが,これらの事実から,少なくとも,被告P1が,本件商品の販売において,自らの屋号を「グリッタージャパ- 68 -ン」とし,対外的にそのような屋号の事業体として認識されるだけの利害関係を有していたことは否定できないから,無断であったか否かは,この場面では問題とならないというべきである。)。 よって,原告表示1ないし4が被告らの出所表示となることはあり得ないとする原告の主張は失当である。 オ以上によれば,原告表示1ないし4は,不正競争防止法2条1項1号の周知商品表示であると認められるものの,その出所識別機能は原告,被告P1(被告会社設立以降は被告会社)及び協和興材の三者について生じており,被告会社にとって「他人の」周知商品表示であるとは認められないから,被告会社が,その製造販売する商品に原告表示1ないし4と同一ないし類似する被告表示1-1ないし1-4,1-6を付したとしても,これをもって,不正競争防止法2条1項1号の不正競争を構成するものと ら,被告会社が,その製造販売する商品に原告表示1ないし4と同一ないし類似する被告表示1-1ないし1-4,1-6を付したとしても,これをもって,不正競争防止法2条1項1号の不正競争を構成するものと認めることはできないというべきである。 したがって,被告会社の上記行為が不正競争を構成することを前提とする原告の被告らに対する請求はその余の判断に及ぶまでもなく理由がない。 なお,原告は,原告各表示の主体に,原告のみならず被告会社も含まれるとしても,被告会社が原告に無断で被告各表示を使用することは契約当事者間の信頼関係を破壊するもので,到底許されないと主張するが,仮にそうであるとしても,それは当事者間の契約関係上の問題として処理されるべきことであり,それによって被告会社の行為が不正競争防止法2条1項1号の不正競争に当たることにはならないのであって,原告の主張には理由がない。 3 争点2(被告会社による被告商品1の販売が一般不法行為を構成す- 69 -るか)及び争点3-1(被告会社が被告商品1を製造販売することにより,原告から本件商品を仕入れなかったこと,被告商品3を製造販売することにより,原告の利益を損なわせたことが債務不履行を構成するか)について 上記2のとおり,平成13年6月以降の本件商品の製造販売については,原告,被告ら及び協和興材で一本化されていたものと認められる。 ところで,そもそも協和興材が本件商品を販売するようになったきっかけは,原告製造に係る本件商品の品質を高く評価したためと認められるから,被告らと協和興材との取引(本件販売代理店契約に基づく取引)の対象となった商品は,あくまで原告製造に係る本件商品であったと認められる。そして,そうであるから,被告らと協和興材との取引(本件販売代理店契約 と協和興材との取引(本件販売代理店契約に基づく取引)の対象となった商品は,あくまで原告製造に係る本件商品であったと認められる。そして,そうであるから,被告らと協和興材との取引(本件販売代理店契約に基づく取引)において協和興材が被告らに発注する場合,その対象商品はあくまで原告製造に係る本件商品であることが前提とされており,したがって,被告らも,そのことを前提に,協和興材に対し,原告製造に係る本件商品を納入すべき義務を負っていたものと認められる(このことは,被告会社が,協和興材に原告以外の者の製造に係る被告商品1を納入していたことが発覚した平成19年1月15日以降,協和興材が被告会社との取引を止めたことからも裏付けられている。)。 他方,原告と協和興材との間については直接の取引関係はないけれども,原告と被告P1との間については,被告P1は,協和興材との本件販売代理店契約を締結した後に,原告に対し,同契約を理由として,被告P1以外への本件商品の販売を止めるように求め,現実に止めさせている。このように,被告P1が原告の取引先を実質的に被告P1に限定させた目的は,協和興材との本件販売代理店- 70 -契約の締結によって,協和興材のルートだけで本件商品を販売しようとした点にあり,その前提として本件商品調達のための取引を一本化するために,原告に対して,取引ルートの限定を求めたものと認められる。 すなわち,原告と被告P1との間には,従来から本件商品を原告が製造して被告P1に納入する継続的取引についての契約関係(本件継続的取引関係)が成立していたものと認められるが,本件販売代理店契約の頃の契約関係(本件基本契約)としては,原告は,さらに,その契約関係において,被告P1だけに本件商品を販売する義務を負うとともに,その裏返しとして,被告P1は のと認められるが,本件販売代理店契約の頃の契約関係(本件基本契約)としては,原告は,さらに,その契約関係において,被告P1だけに本件商品を販売する義務を負うとともに,その裏返しとして,被告P1は,本件商品を販売する場合には,すべて原告に発注し,原告から仕入れるべき義務を負うことになったものと解するのが相当である。そして,この本件基本契約に基づく原告と被告P1の間の権利義務関係は,被告会社設立後は被告会社に承継されているものというべきである(なお,原告は,本件販売代理店契約があった後も,竹村産業との間での本件商品の取引関係を残しているが,上記2アのとおり,その取引は数量的に僅かなものであるし,そのような関係を残したのは,原告と竹村産業との特殊な関係に由来することに照らせば,そのような事実は,原告と被告らとの間に上記のような権利義務関係があったと解することの妨げにはならないというべきである。)。 そうすると,被告会社が,協和興材から本件商品の発注を受けたにもかかわらず,その一部を原告に発注せず,これに代えてP3に製造させた被告商品1を本件商品と同じものとして協和興材に納入したり,さらには他の販売ルートにおいても,本件商品と同じものとして被告商品1を販売したりした行為は,本件商品を販売する場合には原告に発注するという上記義務に違反し,またその結果,- 71 -被告商品1の出荷数量分だけ,原告に対する本件商品の発注数量を減少させて原告に損害を与えたものであるから,原告に対する関係で債務不履行を構成するものというべきである。  なお,原告は,被告会社による被告商品1の販売が不法行為を構成すると主張して,上記行為を原因とする損害賠償につき,主位的には不法行為に基づく損害賠償請求をしている(争点2)。 しかしながら,被告会社の上記 告は,被告会社による被告商品1の販売が不法行為を構成すると主張して,上記行為を原因とする損害賠償につき,主位的には不法行為に基づく損害賠償請求をしている(争点2)。 しかしながら,被告会社の上記行為は,協和興材に対する関係においては,原告製造に係らない商品を,そうであるように偽って納入した行為として不法行為を構成するともいえるが(なお,協和興材に被告商品1の製造者について説明していたとする被告らの主張については,被告商品1の外箱は本件商品と同じものが使用され,製造者が異なることは明示されていなかったし,協和興材の代表者P5もこの点は明確に否定し,被告商品1の製造者が原告ではないことが判明した後に,被告会社との取引を停止するに至っていることに照らして,およそ認められない。),原告との関係においては,単に継続的な製造販売契約上,認められる上記義務に違反したというにとどまるのであって,これをもって不法行為を構成するとはいえない。  また,原告は,被告会社がP3をして被告商品3を製造させた行為についても,これにより,原告の利益を損なわせたことが債務不履行に当たるとして損害賠償請求をしている(争点3。なお,この点について,不法行為に基づく損害賠償請求はしていない。)。 しかしながら,上記のとおり,原告と被告らとの間の本件商品に係る取引の経緯に照らして,被告会社は,本件商品を販売する場合には,原告に対して本件商品を発注すべき義務を負っていたことは認められるが,既述のとおり,これとても明示的な合意に基づい- 72 -て認定できる義務ではなく,あくまで,協和興材との本件販売代理店契約に基づく取引を開始するに当たり,被告P1が,前段階となる原告製造に係る本件商品の販売ルートを限定するため,原告の取引の自由を制限させたことの裏返しとして ,あくまで,協和興材との本件販売代理店契約に基づく取引を開始するに当たり,被告P1が,前段階となる原告製造に係る本件商品の販売ルートを限定するため,原告の取引の自由を制限させたことの裏返しとして,原告と被告P1間の継続的な製造販売契約に伴い,被告P1(被告会社設立以降は被告会社)が黙示的に負うべきものとして認められる義務にすぎないものである。したがって,さらにこれを敷衍して,被告会社が,原告に対し,原告の本件商品の販売による利益を損なわないようにするという,本件商品の販売そのものには直接関係しない取引行為を規制する部分に及ぶ義務を,本件基本契約に基づいて負っていたと解することは,商道徳上の問題はともかく,法的な義務としてみた場合には,否定するのが相当といわざるを得ない。 また,既にみたように,不正競争防止法の観点からは,原告各表示は,原告及び被告会社両社にとって,お互いに「他人の商品等表示」とはいえないから,被告会社が,原告各表示と類似する表示を付した商品を製造販売することは,原告に対する関係で債務不履行はもとより不法行為も構成するものとは認められない(なお,被告会社が,被告商品3を原告製造に係る商品であると欺いて,あるいは原告製造に係る商品であるとの誤解を奇貨として,協和興材に販売していた場合には,被告会社は協和興材に対する関係で不法行為責任を負うべきであるが,このことと原告に対する関係で債務不履行ないし不法行為に基づく責任が生じることか否かについては別問題である。)。  以上のとおり,本件においては,被告会社が本件商品について,原告から仕入れなかった行為(P3に被告商品1を製造させた行為)が,原告に対する債務不履行を構成すると認められる。 - 73 -なお,原告は,被告会社による被告商品1の販売に係る債務不履 ,原告から仕入れなかった行為(P3に被告商品1を製造させた行為)が,原告に対する債務不履行を構成すると認められる。 - 73 -なお,原告は,被告会社による被告商品1の販売に係る債務不履行に基づく損害賠償請求について,会社法429条1項,民法709条又は719条,あるいは法人格否認の法理により被告P1個人の責任についても主張している。しかしながら,平成16年4月以降において,原告に対して上記債務を負っていたのは被告会社のみである。また,本件において,被告P1の行為が会社法429条1項の要件を満たすものであったとは認められず,さらに,被告会社の法人格を否認するような事情もおよそ認められないことから,被告P1個人の責任を認めることはできない(不法行為を前提とする主張に理由がないことは,既に述べたとおりである。)。 4 争点3-2(原告の損害)について上記3で認定判断したところによれば,原告は,被告会社が被告商品1を販売した数量分だけ,本件商品の販売機会を喪失したことになるから,被告会社による被告商品1の販売がなかった場合における原告の逸失利益が,原告に生じた損害と認めるのが相当である。 なお,原告は,これに加えて被告会社による被告商品1の販売により無形損害が生じたと主張するが,財産的損害を填補してもなお回復困難な損害が生じたことを認めるに足りる証拠はないから,無形損害についての損害賠償請求には理由がない(なお,債務不履行に基づく損害については,弁護士費用は主張されていない。)。 以下においては,被告商品1の販売による原告の逸失利益の額について判断する。  被告商品1の販売本数ア本件商品及び被告商品1のバリューセット(2本入り)による販売本数について 原告及び被告会社間の取引についての物品 利益の額について判断する。  被告商品1の販売本数ア本件商品及び被告商品1のバリューセット(2本入り)による販売本数について 原告及び被告会社間の取引についての物品受領書(甲108- 74 -の1~133)及び協和興材における発注明細表(甲109の1・3)によれば,平成16年4月から平成18年12月までの間にバリューセット(2本入り)として販売された,本件商品及び被告商品1の販売本数は以下のとおりであると認められる。 a 本件商品の被告会社から協和興材への販売本数1万7640本(A)b 本件商品の被告会社から協和興材以外への販売本数2820本(B)c 被告商品1の被告会社から協和興材への販売本数1万0460本(C) 被告商品1について,被告会社が協和興材以外へ販売していた事実を直接認めるに足りる証拠はないが,上記認定のとおり,本件商品については,被告会社から協和興材へ販売したものと,それ以外へ販売したものがあることが認められるから,被告会社が,協和興材以外の第三者に対する販売ルートを有していたことは明らかである(なお,本件商品について,被告会社から協和興材以外への販売ルートがあったことについては,当事者間に争いはない。)。 そうであれば,P3製造に係る被告商品1についても,本件商品についてと同程度の割合で,協和興材と協和興材以外の第三者に販売されていたものと推認するが相当である(被告らは,被告商品1について,協和興材以外に販売した事実を否認し,被告会社においては,本件商品と被告各商品とは保管場所を別にしていたと主張する。しかし,そのような保管方法について具体的に認めるに足りる証拠はなく,またそのような保管- 75 -方法につ 認し,被告会社においては,本件商品と被告各商品とは保管場所を別にしていたと主張する。しかし,そのような保管方法について具体的に認めるに足りる証拠はなく,またそのような保管- 75 -方法について合理性も認められないから,上記のとおり推認するのが相当である。)。 したがって,被告商品1について,被告会社から協和興材以外の第三者に販売した本数は,下記計算式に基づき1672本(D)と認められる。 (計算式) 1 万0460 本(C)×2820 本(B)/1 万7640 本(A)=1672 本(小数点以下切り捨て)イ被告会社から協和興材への本件商品及び被告商品1の販売本数証拠(甲114,115)及び弁論の全趣旨によれば,被告会社から協和興材への,バリューセットを含む本件商品及び被告商品1の販売本数の合計は,平成16年4月から同年12月までが5万8414本(E),平成17年1月から平成18年12月までが13万6650本(F)であると認められる。 ウ被告会社の被告商品1の販売本数原告は,被告商品1の販売数量は,上記イ認定の協和興材への販売数量に対して上記アの本件商品の販売数量と被告商品1の販売数量の比率を乗じて得られる旨主張するところ,その計算方法は合理的なものであるといえるから,これにより被告商品1の販売本数を計算すると以下のとおりと認められる(なお,上記アによれば,被告会社から協和興材への本件商品及び被告商品1の販売本数の合計は2万8100本(G)(=1万7640本(A)+1万0460本(C))であり,被告商品1の販売本数は1万2132本(H)(=1万0460本(C)+1672本(D))であると認められるので,以下の計算式はこの数値を用いる。)。 - 76 - 平成16年4月から同年12月 被告商品1の販売本数は1万2132本(H)(=1万0460本(C)+1672本(D))であると認められるので,以下の計算式はこの数値を用いる。)。 - 76 - 平成16年4月から同年12月まで 2万5219本(計算式) 5 万8414 本(E)×1 万2132 本(H)/2 万8100 本(G)=2 万5219 本(小数点以下切り捨て) 平成17年1月から平成18年12月まで 5万8997本(計算式) 13 万6650 本(F)×1 万2132 本(H)/2 万8100 本(G)=5 万8997 本(小数点以下切り捨て) 本件商品1本当たりの原告の利益ア本件商品の販売価格原告の被告会社に対する本件商品の販売価格は,4000本当たり340万5615円であり,1本当たり852円と認められる。 なお,原告は,1本当たりの販売価格は875円であり,852円との差額分は,広告宣伝費として被告会社に不当に負担させられていたと主張するが,差額分は継続的取引に伴う値引き分と見るのが相当であることは後記8のとおりであるから,原告の主張には理由がない。 イ本件商品の製造販売に係る1本当たりの経費本件商品の製造販売に係る経費は,以下のとおりと認めるのが相当である。 なお,人件費については,原告において代表者のP7,P4,P8の3名が役員(固定給)として稼働しており,他の者は時間外労働が生じないように稼働していたことからすれば,上記の販売本数の増加程度(1か月当たり,多くても平均2802本程度)であれば,新たに人件費が生じなかったといえる(甲100,- 77 -101)。  ワックス原液の原価a 平成16年1月から同 数の増加程度(1か月当たり,多くても平均2802本程度)であれば,新たに人件費が生じなかったといえる(甲100,- 77 -101)。  ワックス原液の原価a 平成16年1月から同年12月まで原告はワックス原液と完成ワックス製造用の添加剤(原液をベースに最終調合と撹拌をするためのものである)をP2(屋号「吉野化学工業所」)から購入しており,その1本当たりの価格は,平成16年当時225円(税別)と認められる(甲91の1・2,92の1・2,100,101)。 b 平成17年1月から平成18年12月まで原告はワックス原液を含めて原告で製造しており,その製造原価は,1本当たり43円(税別)と認められる(弁論の全趣旨)。  ワックスの原液以外の原価ワックス原液以外の原価としては,以下のものが認められ,その合計は,1本当たり127.70円である。 ボトル代 30.50円(甲93の1)スプレー・キャップ代 49.00円(甲93の1)ボトルに巻くシュリンク代 10.50円(甲96)液漏れ防止用ポリ袋代 0.90円(甲96)取扱説明書 3.20円(甲95)化粧箱代 26.00円(甲96)厚紙箱 3.20円(甲96の5より,10本当たりの金額が32円であることから,1本当たりの金額は,3.20円と認められる。)段ボール箱 4.40円(甲96の1より,20本当たりの金額は88円であること- 78 -から,1本当たりの金額は,4.40円と認められる。) 輸送費本件商品を原告から被告会社まで車で配達する際の輸送費(ガソリン代)は,原告から被告会社までの距離が11キ あること- 78 -から,1本当たりの金額は,4.40円と認められる。) 輸送費本件商品を原告から被告会社まで車で配達する際の輸送費(ガソリン代)は,原告から被告会社までの距離が11キロメートルであり,平成16年からの3年間のガソリンの平均価格が1リットル当たり140円(税別)を超えなかったこと(甲97の1~99の3,100,101)を基に,1リットル当たりの燃費を7キロメートルとすると,1回の配達(往復)によるガソリン代は440円である。 平成16年1月から平成18年12月までの3年間の納品本数(15万3370本)を配達回数(231回)で割ると,1回当たりの配達本数は,663.93本となる。 したがって,本件商品1本当たりの輸送費は0.66円(税別)である。 (計算式) 140 円×11/7×2=440 円 15 万3370 本÷231 回=663.93 本(小数点第3位以下切り捨て) 440 円÷663.93 本=0.66 円(小数点第3位以下切り捨て)ウ本件商品1本当たりの利益以上によれば,本件商品1本当たりの原告の利益は,以下のとおりと認められる。  平成16年1月から同年12月まで 498.64円(計算式) 852 円-(225 円+127.70 円+0.66 円)=498.64 平成17年1月から平成18年12月まで 680.64円- 79 -(計算式) 852 円-(43 円+127.70 円+0.66 円)=680.64 円なお,被告らは,原告の決算報告書(甲88~90)の営業利益の金額を根拠として本件商品の販売について,原告に利益は出ていなかったと主張するが,決算報告書におけ 6 円)=680.64 円なお,被告らは,原告の決算報告書(甲88~90)の営業利益の金額を根拠として本件商品の販売について,原告に利益は出ていなかったと主張するが,決算報告書における営業利益の算出に当たって控除される販売費及び一般管理費の中には,本件商品の1本当たりの利益を算出するに当たって控除するのを相当としないものも多く含まれていることから(人件費など),これらを控除された後の営業利益を基準にする被告らの主張は採用できない。  逸失利益について上記,によれば,被告会社が被告商品1を販売したことによる原告の販売機会の喪失による逸失利益は,以下のとおり,合計5273万0920円と認められるところ,原告は,被告商品1についての逸失利益を4325万1602円と主張していることから,同金額の限度で逸失利益を認める。 (計算式)ア平成16年4月から同年12月まで498.64 円×2 万5219 本=1257 万5202 円(小数点以下切り捨て)イ平成17年1月から平成18年12月まで680.64 円×5 万8997 本 =4015 万5718 円(小数点以下切り捨て)ウ合計 1257 万5202 円+4015 万5718 円=5273 万0920 円 以上のとおり,原告の被告会社に対する債務不履行に基づく請求- 80 -は,4325万1602円の限度で理由がある。 5 争点4(不正競争防止法2条1項13号該当を理由とする請求)について 争点4-1(被告各表示は,被告各商品の品質について誤認させるような表示に該当するか)についてア被告各表示の品質表示該当性 被告表示1-5及び1-7の品質表示該当性 求)について 争点4-1(被告各表示は,被告各商品の品質について誤認させるような表示に該当するか)についてア被告各表示の品質表示該当性 被告表示1-5及び1-7の品質表示該当性被告表示1-5は,「三栄書房カーグッズマガジン誌主催読者が選ぶ「2001 CarGoodsoftheyear」[カーケア部門賞]第1位」と記載されており,カー用品の専門誌であるカーグッズマガジン誌の読者らによって,同表示が付された商品がカーケア商品の部門で1位に選ばれたことを表示するものと認められる。そして,同表示がカーワックスに付された場合,これに接した需要者は,そのカーワックスが,そのようにカーケア専門誌の読者の支持を得ている商品であるという事実を認識するとともに,カーワックスという商品の性質上,その選定理由は,商品が高品質なものであると考えられたからと理解されることからすると,被告表示1-5は,商品の品質についての表示であると認めるべきである。 また,被告表示1-7は,「2001 CARGOODSOFTHEYEARCARCAREDIV. No.1」,「2000-2001 CarGoodspftheyear」,「ゴールドグリッターはカーグッズ・オブ・ザ・イヤーの『カーケア部門賞』に輝きました。」,「主催=三栄書房」などと記載されており,被告表示1-5と異なって選定主体を記載していないものの,やはり三栄書房という出版社の表示が付され,「2000-2001」という年度とともに,「カーグッ- 81 -ズ・オブ・ザ・イヤーの『カーケア部門賞』に輝きました。」と記載されているから,同表示がカーワックスに付された場合,これに接した需要者は,そのカーワックスが,雑誌社が年度ごとに主催する何らかの選 ズ・オブ・ザ・イヤーの『カーケア部門賞』に輝きました。」と記載されているから,同表示がカーワックスに付された場合,これに接した需要者は,そのカーワックスが,雑誌社が年度ごとに主催する何らかの選定において特別な賞を受賞した商品であるという事実を認識するとともに,カーワックスという商品の性質上,被告表示1-5と同様,その選定理由は,その商品が高品質なものと考えられたからと理解されることからすると,被告表示1-7も,商品の品質についての表示であると認めるべきである。  その他の被告各表示の品質表示該当性a 原告は,さらに進んで,その他の被告表示1(被告表示1-1ないし1-4,1-6)についても,原告各表示と同一又は類似しているため,これによって,需要者は,カーグッズ・オブ・ザ・イヤーのカーケア部門賞を受賞した,原告製造に係る本件商品と同じ品質の製品と認識することから,これらも品質表示に当たると主張する。 しかしながら,上記2のとおり原告表示1ないし4は,いずれも本件商品の周知商品表示であるけれども,これらの表示自体が品質を示す表示でないことは明らかであるし,また,これらの表示自体が,品質の裏付けとなる平成13年受賞の事実と分け難く一体となって需要者に認識されているとまで認めるに足りる証拠はないから,原告表示1ないし4が,品質表示に該当するとの原告の主張は失当である。 したがって,その他の被告表示1(被告表示1-1ないし1-4,1-6)は,いずれも品質表示に当たるとはいえない。 - 82 -b また,原告は,被告表示2ないし14については,その要部が,原告各表示と同一又は類似しており,これを付された商品は本件商品のシリーズ商品であると理解されることから,やはり品質表示に当たると主張する。 は,被告表示2ないし14については,その要部が,原告各表示と同一又は類似しており,これを付された商品は本件商品のシリーズ商品であると理解されることから,やはり品質表示に当たると主張する。 しかしながら,原告表示1ないし4が品質表示に当たるといえないことは上記のとおりであるから,被告表示2ないし14が,原告表示1ないし4と同一又は類似しているとしても,被告表示2ないし14はいずれも品質表示に当たるとはいえない。 イ被告表示1-5及び1-7の品質誤認表示該当性 被告表示1-5及び1-7には,平成13年受賞の事実が表示されているところ,平成13年受賞当時,「GOLDGlitter」という商品名のカーワックスとしては,上記第2の2のとおり原告製造に係る本件商品だけが販売されていて,P3製造に係る被告商品1はまだ販売されていなかったのであるから,同受賞は,原告製造に係る本件商品の品質が評価対象であり,被告商品1の品質は評価対象でなかったことは明らかである。 したがって,被告商品1は,平成13年受賞の対象商品ではないことから,被告表示1-5及び1-7は,品質誤認表示に当たるというべきであるが,一方,被告商品1は,上記1のとおり,本件商品の製造に携わっていたP3が製造したものであるところ,全く品質が同一であれば,品質誤認表示ではないと解する余地もある。  そこで,本件商品と被告商品1の各品質について検討するに,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,①成分について,- 83 -本件商品のカーワックスからは,金属の酸化腐食を誘発する塩素が検出されていないのに対し(甲40),被告商品1のカーワックスからは,塩素が検出されること(甲41),②カーワックスの液の色は,いずれも黄色系であるが,本件商品では ,金属の酸化腐食を誘発する塩素が検出されていないのに対し(甲40),被告商品1のカーワックスからは,塩素が検出されること(甲41),②カーワックスの液の色は,いずれも黄色系であるが,本件商品ではより黄色が強く,被告商品1ではより白色が強く沈殿物が生じていること(甲46,54),③匂いについて,本件商品では,柑橘系の香りがするのに対し,被告商品1では溶剤の匂いがすること(甲2,14,37)が認められる。被告らは,上記相違点は,いずれも経年変化に由来するものもあり,直ちに本件商品と被告商品1の製品間の品質の差に由来するものではない旨主張するが,その主張を裏付ける客観的な立証はない。また,そもそも被告商品1は,P3の本件商品の製造方法に関する記憶に基づいて製造されているというのであるが,同人が本件商品の製造に関与していたとしても,その製造ノウハウや詳細な成分内容までを正確に知悉していたことを認めるに足りる証拠はないのであるから,被告商品1が本件商品と全く同じ成分からなる商品であるとはおよそ考えられず,むしろ本件商品と被告商品1とでは,製品間の品質が異なるものと認められる。  以上の事実によれば,被告商品1は,本件商品とは品質を異にする商品であり,被告表示1-5及び1-7はいずれも品質誤認表示であると認められる。 ウしたがって,原告主張に係る不正競争防止法2条1項13号の不正競争に該当する行為のうち,被告会社が被告商品1に被告表示1-5及び1-7を付して販売する行為だけが,不正競争防止法2条1項13号の不正競争に該当すると認められ,その余の行- 84 -為は同号の品質誤認の不正競争には該当しない。  争点4-2(原告の損害)についてア原告は,被告会社が平成16年4月1日から平成19年12月27日までの められ,その余の行- 84 -為は同号の品質誤認の不正競争には該当しない。  争点4-2(原告の損害)についてア原告は,被告会社が平成16年4月1日から平成19年12月27日までの間に被告商品1に被告表示1-5及び1-7の表示を付して販売したことにより,その販売による利益相当額の損害を受けたと主張する(不正競争防止法5条2項)。 イところで品質誤認表示を付した商品の販売行為等が不正競争と定められている所以は,品質を誤認させるような表示によって競業行為がされた場合,潜在的顧客に誤認が惹起されて不当な誘引がされることになり,その結果,公正な競争秩序が害され,ひいては競業者の利益が害されるからであると解される。本件に即していえば,平成13年受賞の対象ではない被告商品1に被告表示1-5及び1-7が付されたことによって,需要者が,被告商品1をそのような受賞を受けた品質を有する商品と誤認し,その結果,商品選択が歪められ,競業者である原告に損害が生じることが問題とされているということになる。 そしてこのように,需要者の認識という観点からみるとき,被告商品1には被告表示1-5及び1-7のみならず,需要者間で周知商品表示として認識されていた原告表示1ないし4と同一ないし類似の表示(被告表示1-1ないし1-4,1-6)が付されていたことが考慮されなければならない。 すなわち,被告表示1-5及び1-7は,確かに品質に関する表示であるが,商品選択が歪められることを問題とすべき原告の本件商品と被告会社の被告商品1には,いずれも同一ないし類似の商品出所表示(原告表示1ないし4と被告表示1-1ないし1-4,1-6)が付され,しかもそれが周知商品表示であるとい- 85 -うのであるから,そのような同一ないし類似の周知商品表 一ないし類似の商品出所表示(原告表示1ないし4と被告表示1-1ないし1-4,1-6)が付され,しかもそれが周知商品表示であるとい- 85 -うのであるから,そのような同一ないし類似の周知商品表示が付された商品に接した需要者に,被告表示1-5及び1-7が付されているか否かによって当該商品の品質が異なるとの認識を生ぜしめられ,それが具体的な損害となって現れるとは考えにくいことといわなければならない(同じ店頭に並ぶ同一商品であっても,出荷時期の相違等により,ある賞の受賞歴を示す表示が付されていたり付されていなかったりする例はないわけではなく,需要者にとってみれば,本件は,いってみればこのような例と同じと考えられる。)。 したがって,被告表示1-5及び1-7を付した被告商品1の販売等の行為は不正競争に該当し,また原告の営業上の利益を侵害されるおそれ自体は認められるから,これに対する差止請求は認められるべきであるが,本件で問題とすべき取引状況における本件商品と被告商品1との商品選択の場面を前提にするとき,これによって本件商品を製造販売する原告に具体的な損害が発生することを認めるに足りる主張立証がされているとはいえないから,原告の損害賠償請求には理由がないといわなければならない(なお,平成16年4月から平成18年12月までの被告商品1の販売については,仮に損害の発生があるとしても,その損害は上記4で認定した損害の一部であって,それに全て含まれることになるから,これとは別に損害額を認定する余地もない。)。 6 争点5(被告会社が被告商品1に被告表示1-1を付して販売した行為が,本件商標権を侵害するか)について 本件商標と被告表示1-1との類否についてア本件商標権の指定商品は,被告表示1-1が付して使用され 商品1に被告表示1-1を付して販売した行為が,本件商標権を侵害するか)について 本件商標と被告表示1-1との類否についてア本件商標権の指定商品は,被告表示1-1が付して使用されている被告商品1と同一である。 - 86 -イ本件商標の構成は,別紙商標公報記載のとおりであり,円の内側の上側半分に翼を広げた鷲をモチーフとした図形が描かれ,その鷲の頭部の上には「21」との文字が記載され,また円は円周の内側に向かって,小さな山形状の図形がのこぎりの刃のように密に並んでいる構成である(見方によっては,円の内側に,さらにもう一つの円があり,その円には,円周の外側に向かって小さな山形状の図形がのこぎりの刃のように密に並んでいるようにも見ることができる。)。 被告表示1-1は,この本件商標の円の内側の下半分(鷲をモチーフとした図形の下)に,小さめの「GOLD」という文字を上段に,大きめの「Glitter」という文字を下段に記載したほかは,本件商標と同じ構成をとる標章である。 ウそこで検討するに,本件商標と被告表示1-1は,上記のとおりの構成をとることから,外観は一見して異なるが,被告表示1-1が本件商標の外観構成を利用していることは明らかであるので,外観が類似しているという余地がある。しかしながら,本件商標は,「21」の文字からしか称呼を生ぜしめないのに対し,被告表示1-1は,「21」の文字から生じる称呼のほか,「GOLD」,「Glitter」の文字から,「ゴールド」,「グリッター」との称呼が生じるから,本件商標と被告表示1-1は,称呼が明らかに類似しない。 また,観念の点についてみても,被告標章1-1は,日本人の平均的英語力からすると,少なくとも「黄金のグリッター」ないしは「金色のグリッター」との観念 -1は,称呼が明らかに類似しない。 また,観念の点についてみても,被告標章1-1は,日本人の平均的英語力からすると,少なくとも「黄金のグリッター」ないしは「金色のグリッター」との観念が生じ,この観念は,本件商標から生じるものではないから,観念の点でも本件商標と被告表示1-1は,全く類似しないというべきである。 - 87 -したがって,本件商標と被告表示1-1は類似するとはいえない。 なお,被告らは,第1回弁論準備手続期日で,原告の平成19年12月28日付け訴変更申立書に対する答弁書を陳述し,原告の「被告商品1と本件商標の指定商品は同一であり,被告表示1-1と本件商標とは,「GOLDGlitter」なる英文字の有無が相違するものの,その他の構成はほぼ同一であるので,類似である」との主張を認めているが,被告らによるこの陳述は,具体的事実に関する陳述ではなく,それに対する評価を前提とした法律判断についての陳述にすぎないから,裁判所を拘束する自白とはいえない。したがって,被告らの上記陳述により自白が成立したことを前提として,その撤回に異議を述べる原告の主張は失当である。  被告の権利濫用の主張についてまた,仮に,本件商標と被告表示1-1が類似するものと判断すべきとしても,原告の被告会社に対する本件商標権に基づく権利行使は,以下のとおり権利濫用として許されないというべきである。 なぜなら,そもそも本件商標に「GOLDGlitter」の文字が付加された被告表示1-1(原告表示1と同一である。)については,上記2で判断したとおり平成16年4月時点において,原告,被告ら及び協和興材の三者についての周知商品表示と認められ,平成19年1月時点においても,同様の周知商品表示であったと認められることから,被告 記2で判断したとおり平成16年4月時点において,原告,被告ら及び協和興材の三者についての周知商品表示と認められ,平成19年1月時点においても,同様の周知商品表示であったと認められることから,被告らによる使用が,不正競争防止法2条1項1号の不正競争を構成するものではない。 それにもかかわらず,原告は,被告会社との取引関係(本件継続的取引関係)を解消することになった平成19年1月15日の直後- 88 -である同月30日に,被告表示1-1から,その要部である「GOLDGlitter」なる文字部分を除いただけの本件商標の登録出願を行っている。被告P1が「GOLDGlitter」の文字商標について商標権を有していたこと(上記1イ),原告が本件商標をそのままで使用する見込みがあったとも認められないことを考慮すると,原告が,原告と被告会社間の紛争が拡大することが予想された時点で,あえて,このような本件商標の出願をした動機・意図には,被告表示1-1から,被告P1が商標権を有する「GOLDGlitter」なる文字部分を除くことによって商標権の取得を可能にした上で,その商標権を行使することによって,被告会社の事業を妨げようという意図に出たことは明らかといわざるを得ず,これは,商標権制度を悪用するものといわざるを得ない。 したがって,仮に被告表示1-1が本件商標に類似しているとしても,原告による被告会社に対する本件商標権の行使は,権利濫用であって許されないというべきである。  小括以上のとおり,原告の商標権侵害に基づく請求は,その余について判断するまでもなく理由がない。 7 争点6(原告が被告会社に本件商品を納入しなかったことが債務不履行を構成するか)について 上記1イのとおり,平成18年当時においても, について判断するまでもなく理由がない。 7 争点6(原告が被告会社に本件商品を納入しなかったことが債務不履行を構成するか)について 上記1イのとおり,平成18年当時においても,原告と被告会社間での本件商品の取引は,本件基本契約に基づき,被告会社が一定数量を発注して,その代金相当額を前払いで原告に支払い,その後,被告会社の具体的納品依頼により,原告が被告会社に本件商品を納入することとされていた。 - 89 -そして,被告会社は,平成18年12月5日に同月分4000本分の前払金として340万5615円を原告に支払い,平成19年1月9日に同月分4000本分の前払金として340万5615円を原告に支払ったこと,また,それにもかかわらず,原告は,平成18年12月分としては合計1370本しか被告会社に納入しておらず,したがって,原告が被告会社に,本件商品の取引関係の解消を申し入れた平成19年1月15日の時点において,原告から被告会社に対し,なお合計6730本の本件商品が納入されていなかったことについては,当事者間に争いがない。  被告会社は,原告が,原告と被告会社間の本件商品の売買契約上の義務に違反したことを理由として,上記6730本の前払金相当額並びに上記6730本及び平成19年2月から5月までの分として1万6000本(1か月当たり4000本)の本件商品の転売利益を得られなかったとして当該転売利益相当額の損害賠償を求めている。 しかしながら,原告は,上記1のとおり,平成18年末に,被告会社が本件商品と同じ商品名である被告商品1を協和興材に販売していることを知り,平成19年1月15日,原告代表者の夫であり原告の専務取締役であるP4らをして被告会社に赴かせ,同社に対し,取引関係の解消を申し入れたことが認められる 被告商品1を協和興材に販売していることを知り,平成19年1月15日,原告代表者の夫であり原告の専務取締役であるP4らをして被告会社に赴かせ,同社に対し,取引関係の解消を申し入れたことが認められるところ,上記3で検討したとおり,被告会社による被告商品1の販売行為(被告会社が原告から本件商品を仕入れなかったこと)は,被告会社の原告に対する債務不履行を構成するとともに,その不履行となった債務は,本件基本契約の根底に関わる債務であるから,これに違背して被告商品1を販売した被告会社の行為は,原告に対する著しい背信行為であり,これよって原告と被告会社間の本件基本契約にお- 90 -ける信頼関係は破壊されたものということができる。 したがって,平成19年1月15日にされた原告の被告会社に対する取引の解消の申入れは,上記被告会社の債務不履行を理由とする本件基本契約の解除の意思表示として有効というべきであり,これにより,法的にも原告と被告会社との間の本件商品に係る取引関係は解消されたと認められる。 そうすると,被告会社の原告に対する平成19年2月から5月までの間の本件商品1万6000本の販売についての転売利益相当額の損害賠償請求は,そもそも平成19年1月15日以降も原告と被告会社間の本件基本契約がなお有効であることを前提にしたものであることから,当該請求については,その余の判断に及ぶまでもなく理由がないというべきである。  また,6730本の前払金相当額及びこれについての転売利益相当額の損害賠償請求について検討するに,原告と被告会社間の本件商品の取引においては,被告会社から前払金の支払がなされた後,被告会社が原告に具体的納品依頼(本数及び納品日の指定)をした後に,原告が被告会社に本件商品を納入することとされていたことが認められるところ の取引においては,被告会社から前払金の支払がなされた後,被告会社が原告に具体的納品依頼(本数及び納品日の指定)をした後に,原告が被告会社に本件商品を納入することとされていたことが認められるところ,被告会社から原告に対し,本件商品の平成18年12月分の2730本及び平成19年1月分の4000本について,平成19年1月15日以前に具体的納品依頼がされた事実は認められない。したがって,本件基本契約が解除された当時,原告は被告会社に対し,本件商品の具体的納品義務を負っていたとは認められないから,原告の当該義務の履行遅滞を理由とする損害賠償請求には理由がない(被告会社から前払金を受領することにより原告が負っていた未納品相当本数の抽象的な納入義務については,結局,その履行義務が具体化する前に,解除に伴い消滅したものと- 91 -認められる。)。  したがって,被告会社の原告に対する債務不履行に基づく損害賠償請求にはすべて理由がないことになる。 なお,被告会社は,予備的に,平成19年1月15日の解除が有効である場合については,本件商品6730本の前払金相当額について,当該解除に基づく原状回復請求をするところ,被告会社が原告に支払った6730本の前払金については,原告は,これを被告会社に対し,原状回復義務に基づき返還すべきであるといえるが,6730本分に相当する金額は572万9947円である。 (計算式) 340 万5615 円×2730 本/4000 本+340 万5615 円=572 万9947 円よって,被告会社の原告に対する請求は,原状回復請求として支払済みの前払金相当額の572万9947円及びこれに対する催告の後の日である平成19年11月8日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める る請求は,原状回復請求として支払済みの前払金相当額の572万9947円及びこれに対する催告の後の日である平成19年11月8日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある(なお,原告は,原状回復義務の対象となる前払金相当額を618万3188円であると主張しているが,この金額は,実際に交付された金額ではなく,原告が主張する広告宣伝費相当額を含んだ金額であることから,上記認定を左右するものではない。)。 8 争点7(被告らが,本件商品の広告宣伝費名目で原告に費用負担をさせていたことが一般不法行為を構成するか)について 原告と被告らとの間における本件商品の取引は,本来,本件商品の単価を875円(消費税別)とする約定であったところ,被告会社が実際に原告に支払っていたのは同金額を下回る金額(4000本当たり340万5615円であり,1本当たり852円)である- 92 -と認められる。 この差額分について,原告は,被告P1から広告宣伝費の原告負担分であると説明されていたにもかかわらず,実際には,広告宣伝には充てられていないことから,被告らについて,原告に対する不法行為が成立すると主張する。 しかしながら,被告会社が本件商品の売買代金を原告に支払うに当たって,広告宣伝費分だけを控除して支払うなどの合意がされた事実を的確に認めるに足りる証拠はない。 また,上記1イのとおり,原告と被告らの取引では,1回の発注単位を4000本とし,代金を前払いとすることが通例となっていたことが認められるのであるから,仮に本件商品の1本当たりの定価が875円であったとしても,実際には,これを値引きして取引されたとしても何ら不自然な点はなく,むしろ前払いによる大量発注であるにもかかわらず定価取引である あるから,仮に本件商品の1本当たりの定価が875円であったとしても,実際には,これを値引きして取引されたとしても何ら不自然な点はなく,むしろ前払いによる大量発注であるにもかかわらず定価取引である方が不自然とさえいえる(原告代表者も,前払いでのまとめ買いによる安価販売を認めている。原告代表者13頁)。 その上,広告宣伝費の負担というのであれば,実際に支出される経費を前提とする負担をいうものと理解するのが自然であるところ,原告の主張によっても,それは各取引ごとに一定額で決められていたというのであるから,実際の広告宣伝の実績とは関係しないものであって,その点でも広告宣伝費の負担合意があったとみることは不自然である。  なお,平成9年から平成10年頃に原告が被告P1に対して広告宣伝費を明示的に負担していたことを裏付ける請求書や領収書(甲80の1~3,81の1~3)が一部提出されているが,仮にそうであれば,帳簿上も売上げを,定価販売を前提として計上し,広告- 93 -宣伝費の支出を経費として計上する扱いがされるはずであるところ,それに沿った立証もない。また,同時期以外については,広告宣伝費名目であることの客観的な立証もないことからすれば,上記請求書や領収書の存在をもって,広告宣伝費名目で金銭が詐取されていたなどと認めることはできない。  以上のとおり,被告らが,原告を欺いて広告宣伝費名目の負担をさせて同額分の売買代金の支払を免れ,同額の損害を原告に与えたという不法行為は認められる余地はない。 第5 結語以上のとおり,本件では,第1事件のうち,不正競争防止法2条1項13号の不正競争に当たることを理由とする同法3条1項に基づく差止め・廃棄請求の一部,被告会社に対する債務不履行に基づく損害賠償請求の一部及び第2事 本件では,第1事件のうち,不正競争防止法2条1項13号の不正競争に当たることを理由とする同法3条1項に基づく差止め・廃棄請求の一部,被告会社に対する債務不履行に基づく損害賠償請求の一部及び第2事件のうち契約解除に基づく原状回復請求の一部については,いずれも理由があるからこれらを認容し,原告の被告会社に対するその余の請求及び被告P1に対する請求並びに被告会社の原告に対する請求については,いずれも理由がないからこれらを棄却することとし,認容する損害賠償請求及び原状回復請求については,いずれも仮執行宣言を付することとし,認容する差止め・廃棄請求については,いずれも仮執行宣言を付するのが相当でないからこれを付さないこととして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官森崎英二 - 94 - 裁判官達野ゆき 裁判官網田圭亮

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