- 1 - 主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人松島幸三,同渡辺勝志,同杉山雄一の上告趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論に鑑み記録を調査しても,同法411条を適用すべきものとは認められない。 付言すると,本件は,被告人が,(1) クレジット代金の支払資金を工面しようなどと考え,夜間,強盗の目的で女性(当時91歳)方に侵入し,同女に暴行脅迫を加えたところ,抵抗を受けたため,金品強取のため同女の殺害を決意し,二,三分間にわたり同女の頸部を両手で強く絞め付けて窒息死させたが,金品を発見できなかったという住居侵入,強盗殺人の事件,(2) その後,(1)の犯行に関する捜査が自己に及んだことから,自動車内で寝泊まりする逃走生活を送っていたところ,同車が故障し,その修理代金等に窮したため,顔見知りの男性(当時76歳)を殺害して金品を強取することを決意し,夜間,同人方に侵入し,同人の帰宅を待ち伏せた上,所携の重さ約1.1㎏の金属製バールで同人の頭部等を多数回にわたり強い力で殴打して脳挫傷,外傷性くも膜下出血及び失血により死亡させて殺害し,現金約5万円等を強取したという住居侵入,強盗殺人の事件,その他無免許運転等からなる事案である。 上記(1)及び(2)の各犯行は,1年2か月余りのうちに,別個の機会に敢行された2件の強盗殺人等であり,極めて悪質である。その犯行動機はいずれも金品目当て- 2 -で酌量すべき点は認められず,被告人の人命軽視の態度は強い非難に値する。いずれの犯行も,一人暮らしの被害者を狙い,下見をするなど,(1)の犯行の殺害 る。その犯行動機はいずれも金品目当て- 2 -で酌量すべき点は認められず,被告人の人命軽視の態度は強い非難に値する。いずれの犯行も,一人暮らしの被害者を狙い,下見をするなど,(1)の犯行の殺害の点を除くと,計画性が認められる上,その殺害態様は,執ようで,残虐かつ冷酷なものである。何ら落ち度のない2名の被害者の生命を奪ったという結果は誠に重大であり,各被害者の遺族の処罰感情は厳しい。加えて,被告人は,相当以前のものとはいえ,放火や強盗致傷等を含む懲役前科4犯を有している。 そうすると,(1)の犯行において当初から被害者の殺害をも計画していたとは認め難いこと,被告人は,本件各犯行に及んだことについて被告人なりの反省の情を示し,各遺族に謝罪の意を表すなどしたこと,高齢であることなど,被告人のため酌むべき事情を十分考慮しても,その刑事責任は極めて重大であり,原判決の死刑の科刑は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官水野美鈴公判出席(裁判長裁判官櫻井龍子裁判官宮川光治裁判官金築誠志裁判官白木勇)
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