平成20(ニ)4 再審請求

裁判年月日・裁判所
平成20年7月25日 東京簡易裁判所 棄却
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判決文本文4,321 文字)

-1-平成20年(ニ)第4号東京簡易裁判所決定主文再審原告の再審の請求を棄却する。 申立費用は,再審原告の負担とする。 事実 及び理由第1再審の趣旨 原判決を取り消す。 再審原告に対する再審被告の請求を棄却する。 本案及び再審訴訟費用は再審被告の負担とする。 第2事案の概要 はじめに本件は,再審被告を原告,再審原告を被告とする東京簡易裁判所平成17年()(「」。),ハ第64718号立替金請求事件以下基本事件というについて同裁判所が平成17年6月20日に言い渡し,同年7月11日の経過により確,,定した判決について基本事件の訴状等及び判決正本の送達は無効であるから民事訴訟法338条1項3号の再審事由があるとして申し立てた再審事件である。 前提となる事実(本件再審事件記録,東京簡易裁判所平成20年(サ)第070089号民事雑事件(強制執行停止)記録及び基本事件記録(以下「一件記録」という)によって,容易に認められる)。 。 (1)基本事件の原告は再審被告であり被告は再審原告A及びBの3名以,,(下「基本事件被告ら」という)である。 。 (2)再審被告は,平成17年5月18日,東京簡易裁判所に,基本事件被告らに対する基本事件を提起した。 再審被告は,平成14年6月13日,Aが有限会社Zから自動車を購入する-2-に当たり,B及び再審原告を連帯保証人として,Aとの間で前記購入代金等の立替払契約を締結し,同月28日に前記有限会社Zに代金を立替払いしたと主張して,基本事件被告らに対し残代金等191万3600円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求めた。 (3)Aは,Bの夫であると共に,再審原告の養父であり,B,再審原告と共に再審原告の住所地に同居していたところ, 告らに対し残代金等191万3600円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求めた。 (3)Aは,Bの夫であると共に,再審原告の養父であり,B,再審原告と共に再審原告の住所地に同居していたところ,平成17年5月22日,Aを受送達者とする基本事件の訴状副本,第1回口頭弁論期日(平成17年6月20日午前10時00分)の呼出状及び甲第1号証(以下「訴状等」という)の交。 付送達を受けると共に,B及び再審原告をそれぞれ受送達者とする基本事件の訴状等についても,同人らの同居者として,その交付を受けた。 (4)基本事件被告らは,基本事件の第1回口頭弁論期日に欠席し,それぞれ請求原因事実はすべて認めると記載した答弁書を提出したので,答弁書の陳述が擬制された上,口頭弁論は終結され,同日,基本事件被告らは,請求原因事実を争わないとして,再審被告の請求を認容する旨の判決(以下「基本事件判決」という)が言い渡された。 。 (5)基本事件被告らに対する,基本事件判決の判決書に代わる調書正本(以下「判決正本」という)は,基本事件被告ら各自を受送達者として送達がな。 され,平成17年6月25日に,各受送達者本人が交付を受けた。 (6)基本事件被告らは,いずれも基本事件判決に対して控訴せず,基本事件は平成17年7月11日の経過をもって確定した。 (7)再審原告は,平成20年6月4日,本件再審の訴えを提起した。 再審原告の主張(1)Aは,平成17年5月22日,再審原告を受送達者とする訴状等について,同居者として,その交付を受けたが,同訴状等を再審原告に渡さなかったので,再審原告は基本事件が係属していることを知らなかった。 (2)基本事件において,再審原告から答弁書が提出されているが,再審原告-3-は答弁書を作成した事実はなく,答弁書の記載は再審原告の筆跡 ので,再審原告は基本事件が係属していることを知らなかった。 (2)基本事件において,再審原告から答弁書が提出されているが,再審原告-3-は答弁書を作成した事実はなく,答弁書の記載は再審原告の筆跡と異なる手によるものである。 (3)再審原告は,基本事件の判決正本を,平成17年6月25日に交付されたことになっているが,Aが受領し,再審原告には渡さなかった。再審原告を受送達者とする郵便送達報告書には,Aを受送達者とする郵便送達報告書と同一の受領印が押捺されている。なお,この印影は,再審原告が通常使用している委任状(乙4)の印影と異なる。 (4)再審原告は,平成20年3月24日に,給料債権の債権差押命令が発せられて驚き,調査の結果初めて基本事件の存在を知った。 (5)基本事件の請求原因は,再審原告がAの債務を連帯保証したというものであるが,再審原告はAの債務について,再審被告との間で連帯保証契約を締結した事実はなく,Aが勝手に基本事件の甲1号証の連帯保証人欄に再審原告の住所氏名を記載の上,適当な再審原告印を押捺したものである。 このことからすると,Aは,再審原告の名前を使って,勝手に連帯保証契約を締結したことを再審原告に知られることを恐れていたと考えられ,基本事件について,受領した再審原告あての訴状等及び判決正本を同人に渡さず,隠匿する理由は十分にあった。 上記のとおり基本事件に関して,Aと再審原告の間には事実上の利害関係があり,Aが再審原告あての訴状等及び判決正本を再審原告に交付することが期待できない場合に当たり,実際に基本事件の訴状等及び判決正本は,再審原告に交付されなかったので,再審原告は基本事件が提起されていることを知らず,訴訟手続に関与する機会が与えられないまま,基本事件判決がなされたのであるから,基本事件判決には民事訴訟法3 正本は,再審原告に交付されなかったので,再審原告は基本事件が提起されていることを知らず,訴訟手続に関与する機会が与えられないまま,基本事件判決がなされたのであるから,基本事件判決には民事訴訟法338条1項3号の再審事由がある。 第3当裁判所の判断 訴状等の送達の効力-4-民事訴訟法106条1項は,就業場所以外の送達をすべき場所において送達を受けるべき者に出会わないときは,使用人その他の従業者又は同居者であって,書類の受領について相当のわきまえのあるものに書類を交付することによって,受送達者に対する送達の効力が生ずるものとしている。一件記録によると,本件においては,A及び再審原告が同居していた時期である,平成17年5月22日21時に,同居者Aが再審原告を受送達者とする訴状等の書類を受け取ったことが認められる。そうすると,基本事件において,同居者であるAに上記書類が交付されたことにより,受送達者である再審原告への送達の効力は生じていると言うべきである。しかし,再審原告は,再審原告に無断で同人を連帯保証人とした契約を締結したAが,発覚を恐れて,訴状等を再審原告には渡さなかったので,再審原告は基本事件が係属していることを知らなかったと主張するが,下記2のとおり,再審原告が基本事件について答弁書を作成していることからすると,訴状等により基本事件の係属を知っていたことが認められる。 答弁書の作成一件記録によると,次の事実が認められる。 再審原告を含む基本事件被告らは,訴状等と同封して東京簡易裁判所から送付された答弁書の用紙を使用して,平成17年6月12日付けの答弁書を作成し,同月14日に東京簡易裁判所に提出している。各答弁書の記載内容は,全員同一であり,請求原因事実は全て認め,平成17年9月10日から毎月10日までに1万円の分割 17年6月12日付けの答弁書を作成し,同月14日に東京簡易裁判所に提出している。各答弁書の記載内容は,全員同一であり,請求原因事実は全て認め,平成17年9月10日から毎月10日までに1万円の分割払いを希望するというものであるが,Aのみ,それに加えて裏面の私の言い分欄に「Y社は,車を売却したか何も言って来てない」と記載している。これら3通の,答弁書の筆跡及び印影は,それぞれが異なっていることが認められる。再審原告は,再審原告が,答弁書を作成した事実はな,,。 く答弁書の記載は再審原告の筆跡と異なる手によるものであると主張するしかし,一件記録にある再審原告の平成20年5月23日付け訴訟委任状及-5-び同年6月13日付け陳述書の各住所,氏名の筆跡と,平成17年6月12日付け答弁書の筆跡を対照すると,約3年間の期間経過があること及び文書作成時の条件の違いなどを考慮に入れると,異なる筆跡であると断定することはできなく,また,答弁書作成日の翌日に,AとBが離婚し,Aと再審原告が離縁しているとはいえ,その後ほぼ2週間にわたり,基本事件被告らが同居していたことからすると,訴状等を受け取った基本事件被告らが合意の上,それぞれ同一内容の答弁書を作成し,東京簡易裁判所へ提出したものと考えるのが自然である。 判決正本の送達の効力一件記録によると,判決正本は,基本事件被告らの同居期間中である平成17年6月25日20時に,再審原告を含む基本事件被告ら各本人に対し,それぞれ交付送達がされている。ただ,その際押捺された印鑑は,全てが同一のものであったことが認められる。このことから,再審原告は,AがBの弟の名をかたって債務を負担させたり,Bに金銭の借入れを繰り返させたことなどからすると,再審原告に無断で同人を連帯保証人にしたAが,発覚を恐れて,再審原告 られる。このことから,再審原告は,AがBの弟の名をかたって債務を負担させたり,Bに金銭の借入れを繰り返させたことなどからすると,再審原告に無断で同人を連帯保証人にしたAが,発覚を恐れて,再審原告あての書類も受領し,再審原告に渡さなかったものであると主張するが,再審原告を受送達者とする郵便送達報告書によると,郵便の業務に従事する者である,C郵便局配達担当者Dが受送達者本人に渡したことが認められる。このことからすると,再審原告の住所に赴いた前記配達担当者は,基本事件被告らにそれぞれ送達書類を交付し,その際同人らは同一の印鑑を受領者の押印欄に押捺したことが認められる。 再審原告への判決正本の送達の効力は生じている。 以上のことからすると,再審原告は,基本事件の訴状等の送達を受け,答弁書を作成し,東京簡易裁判所へ提出した後,判決正本の送達を受けたが,控訴の申立をせず,基本事件判決が確定したことが認められるので,再審事由はないというべきである。 -6-よって,主文のとおり決定する。 平成20年7月25日東京簡易裁判所民第4室武井誠裁判官

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