平成13(行コ)40 情報一部非公開決定処分取消請求控訴

裁判年月日・裁判所
平成14年2月12日 名古屋高等裁判所
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判決文本文3,312 文字)

主文 1 本件控訴を棄却する。 2 被控訴人の控訴人に対する平成12年9月29日付け公文書非公開決定処分のうち,地縁団体代表者の印影を非公開とした部分を取り消す。 3 控訴費用は2分し,その各1を控訴人及び被控訴人それぞれの負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人(1) 原判決を取り消す。 (2) 主位的請求被控訴人が控訴人に対し,平成13年7月19日付けで行った地縁団体羽根井本町町内会の規約変更認可申請書について平成12年9月29日になされた非公開決定処分に対する異議決定のうち,控訴人の異議申立てを棄却した部分を取り消す。 (3) 当審における予備的請求主文第2項同旨(4) 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 2 被控訴人(1) 主文第1項同旨(2) 控訴人の当審における予備的請求を棄却する。 (3) 控訴費用は控訴人の負担とする。 第2 事案の概要(以下,略称については,原則として,原判決に準ずる。) 1 本件は,控訴人が,被控訴人に対し,豊橋市情報公開条例(本件条例)に基づき,代表者の印影のある町内会(本件団体)の規約変更認可申請書の公開を求めたところ,平成12年9月29日,同条例6条1項2号(法人等情報)に該当することを理由とする非公開決定処分がなされ(12豊広第118号通知書に記載された処分,本件原処分),これに対する異議申立てに対し,平成13年7月19日,当該文書にある申請者代表者の印影以外の部分について本件原処分を取り消して公開する旨の異議決定(本件決定)がなされた等の事実関係下において,控訴人が,本件取消訴訟により,本件原処分の違法等を理由として,本件決定のうち,控訴人の異議申立てを棄却した部分の取消を求めたところ,請求を棄却されたことから,控訴し,主 た等の事実関係下において,控訴人が,本件取消訴訟により,本件原処分の違法等を理由として,本件決定のうち,控訴人の異議申立てを棄却した部分の取消を求めたところ,請求を棄却されたことから,控訴し,主位的には原判決を取り消して本件決定のうち上記部分の取消を求め,予備的に本件原処分のうち,申請者代表者の印影を非公開とした部分の取消請求を追加的に併合して提起した事案である(行政事件訴訟法19条1項,20条)。 2 本件原処分のうち,本件決定において取り消されなかった部分は,平成12年6月25日に地縁団体羽根井本町町内会が被控訴人に対し提出した規約変更認可申請書(本件公文書)に表示された同町内会代表者名下の印影(以下「本件印影」という。)につき,これを非公開とする部分であり,この部分が控訴人の当審における予備的請求において処分取消請求の対象となる部分である(なお,控訴人の控訴の趣旨では,本件原処分全体の取消を求める表現となっているが,その趣旨は,本件決定により取り消されなかった印影を非公開とした部分の取消を求めるものと善解できる。仮に,本件原処分全体の取消請求であるとするなら,本件原処分のうち,上記を除く部分は本件決定により取り消されたものであるから訴の利益を欠くものであることを付言する。)。 3 争いのない事実等及び本件の争点は,原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の1及び2のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決5頁5行目の「決定」を「本件決定」と,7行目「本件決定の違法事由」を「① 本件決定の違法事由としての本件原処分の違法事由の主張の可否,② 本件決定ないし本件原処分の違法事由の存否」と改める。)。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,控訴人の主位的請求は理由がないが,当審における予備的請求は理由があるものと判断する の主張の可否,② 本件決定ないし本件原処分の違法事由の存否」と改める。)。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,控訴人の主位的請求は理由がないが,当審における予備的請求は理由があるものと判断する。その理由は,次のとおりである。 2 主位的請求について本件決定の違法の理由として本件原処分の違法事由を主張することができない点,本件決定固有の違法事由が認められず,その適法性が認められる点は,原判決「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」1のとおりであるから,これを引用する。 したがって,主位的請求は理由がない。 3 当審における予備的請求について(1) 被控訴人は,本件印影につき,これを広く一般に公開すると不測の事態が生じるなどとして,本件条例6条1項2号(以下「本件条項」という。)に該当する非公開事由が存する旨主張するので,この点につき検討する。 (2) 本件条項は,非公開とされる法人等に関する情報につき,「公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」と定める。 ところで,本件条例においては,市民の知る権利を尊重し,実施機関の保有する情報の一層の公開を図り,もって行政の説明責任が全うされることを目的とし,その解釈及び運用に当たっては,個人情報の保護に最大限の配慮をしつつも,公文書の公開を請求する権利を十分に尊重する必要があるとされている(1条,3条)。 このような観点から検討すると,本件条項中の「その他正当な利益」とは,その直前に規定された「権利,競争上の地位」に準ずる,法的な保護に値する利益をいうものと解されるのであって,豊橋市情報公開条例の解釈及び運用(甲3の2)に例示されている営業方針,経理・人事等内部管理に関する事項を秘密にすべき利益,名誉,社会的評価などはこれに該当する 利益をいうものと解されるのであって,豊橋市情報公開条例の解釈及び運用(甲3の2)に例示されている営業方針,経理・人事等内部管理に関する事項を秘密にすべき利益,名誉,社会的評価などはこれに該当するが,単に法人等が公開を望まない等という主観的な利益だけでは,「その他正当な利益」には該当しないと解すべきである。 また,本件条項の「害するおそれ」とは,上記の利益が侵害される具体的な危険が存する場合をいうものであって,単に抽象的な危険が想定されるというだけでは足りないものと解される。 (3) これを本件印影についてみるに,本件印影は,規約変更認可申請書(本件公文書)の他の記載と相まって,町内会の代表者が地方公共団体に対し申請行為をした際における意思表示の存在を表すものに過ぎず,通常,その形状等を特に秘匿すべき性質のものとはみられず,上記申請行為により町内会の外部に表示されたことからみても秘密性が高いとはみられない上,本件印影の公開により,町内会である本件団体について,法的な保護に値する利益が侵害されることは具体的に想定し難く,また,本件団体に不利益となる何らかの具体的な危険が存するとの主張,立証もない。被控訴人の主張する「不測の事態」なるものは,その具体的内容が不明確であって,直ちに本件条項の上記解釈を充足する事由となるとは認められない。 そうすると,本件印影につき,本件条項に該当する非公開事由が存すると認めることはできない。 (4) 以上によると,本件原処分のうち本件決定により取り消されなかった部分(本件公文書に押捺された本件印影を非公開とする部分)は,違法であって,取り消されるべきものというほかないから,予備的請求は理由がある。 第4 結論よって,控訴人の主位的請求を棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却し,控訴人の当審にお 違法であって,取り消されるべきものというほかないから,予備的請求は理由がある。 第4 結論よって,控訴人の主位的請求を棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却し,控訴人の当審における予備的請求は理由があるからこれを認容し,控訴審における訴訟費用の負担についてこれを定めて,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第1部裁判長裁判官田村洋三裁判官小林克美裁判官戸田久・

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