平成28年2月9日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成27年(ワ)第8132号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成27年11月19日判決 原告西川産業株式会社 同訴訟代理人弁護士宮野勉 同城山康文 同鈴木洋介 同補佐人弁理士北口貴大 被告株式会社エアウィーヴホールディングス 被告株式会社エアウィーヴ 被告株式会社エアウィーヴマニュファクチャリング上記3名訴訟代理人弁護士田中昌利 同山内貴博 同西原聖子 主文 1 被告らは,原告に対し,連帯して330万円及びこれに対する平成27年1月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行する。 支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。 - 2 - 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求被告らは,原告に対し,連帯して880万円及びこれに対する平成27年1月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,「なごみ」の文字を横書きしてなり,指定商品をマットレス,布団等とする別紙商標権目録記載の商標権(以下「本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)を有する原告が,被告らに対し,被告らによる別紙被告ら標章目録記載の各標章(以下,それぞれを同目録の番号により「被告ら標章1」などといい,これらを「被告ら各標章」と総称する。)の使用が本件商標権の侵害に当たる旨主張して,民法719条,709条,商標法38条3項に基づき損害賠償金880万円及びこれに対する商標権侵害行為の後の日である平成27年1月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。 1 争いのない事実当事者原告は,寝具,寝装品,インテリア用品,ベビー用品等の製造,販売等を業とする株式会社である。 被告らは,寝具類,マットレス,クッション等を取り扱うグループ会社であり,被告株式会社エアウィーヴマニュファクチャリングが製造を,被告株式会社エアウィーヴが販売を,被告株式会社エアウィーヴホールディングスがマーケティング活動を行っている。 原告の商標権原告は,本件商標権を有しており,原告の商品のうち少なくともタオルケット,キルトケット,ガーゼケット,ソフトケット及びパッドシーツに- 3 マーケティング活動を行っている。 原告の商標権原告は,本件商標権を有しており,原告の商品のうち少なくともタオルケット,キルトケット,ガーゼケット,ソフトケット及びパッドシーツに- 3 -本件商標を使用している。 被告らによる被告ら各標章の使用被告らは,平成26年10月20日頃~12月26日頃の間,「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」という名称のマットレスに敷き布団的な要素を付加した商品(以下「被告ら商品」という。)を販売し,その広告等に被告ら各標章を付して宣伝を行った。被告らは,その後,上記名称を「エアウィーヴ四季布団和匠(わしょう)」に変更した。 被告ら商品の売上額被告らの上記期間の被告ら商品の売上額は4億円である。 2 争点 本件商標と被告ら各標章の類否本件商標の商標登録(以下「本件商標登録」という。)の無効理由の有無ア商標法3条1項3号該当性イ商標法4条1項11号該当性ウ無効審判請求の除斥期間経過について原告の損害額 3 争点に関する当事者の主張 (原告の主張)ア本件商標の外観は平仮名3文字の「なごみ」であり,装飾等はなく,称呼は「ナゴミ」であり,「気持ちが穏やかになること。くつろいだ気分になること。」等の観念が生じる。 イ被告ら各標章は,いずれも「エアウィーヴ四季布団」の部分が一連に表記される一方,その直後の「和」の部分が隅付き括弧に挟まれて強調され,「エアウィーヴ四季布団」の部分と分断されている。また,被告- 4 -ら標章3及び4では,「【和】」の部分と「エアウィーヴ四季布団」の部分が上下あるいは左右に段を分けて配置され,文字の大きさは前者が後者に比べ一辺当たり約3倍も大きい。 さらに,被告ら商品は「エアウィーヴ 及び4では,「【和】」の部分と「エアウィーヴ四季布団」の部分が上下あるいは左右に段を分けて配置され,文字の大きさは前者が後者に比べ一辺当たり約3倍も大きい。 さらに,被告ら商品は「エアウィーヴ四季布団」シリーズに属するところ,同シリーズに属するもう一つの商品名は「エアウィーヴ四季布団」であり,「エアウィーヴ四季布団」と「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」は被告らのカタログにおいて見開きページの左右に並べて表示されている。消費者は「【和】(なごみ)」の部分で両者を区別するから,同部分は商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。 したがって,本件商標との類否判断に当たっては,被告ら各標章のうち「【和】(なごみ)」の部分を抽出することが合理的である。 ウ本件商標と被告ら各標章の「【和】(なごみ)」の部分は称呼及び観念が同一である。 エ原告は寝具の総合メーカーであり,本件商標を付した商品群を製造販売し,敷き布団,マットレスも製造販売している。被告ら各標章の使用により商品の出所を誤認混同するおそれを否定する事情は存在しない。 オ以上のとおり,被告ら各標章は本件商標と類似しており,被告らは被告ら各標章を本件商標の指定商品と同一の商品に付して使用し原告の本件商標権を侵害している。 (被告らの主張)被告らは常に「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」を一体として表示しているところ,被告ら各標章のうち「エアウィーヴ」の部分は,被告らの会社名であり被告らのブランドそのものを表示する部分である。被告らは平成19年以来,眠りの質を追求したマットレスとして「エアウィーヴ」商品の販売を続け,各種メディアを利用した- 5 -幅広い宣伝活動を行い,一般需要者の間において高い周知性を獲得した。「エアウィーヴ」は商品の出所識別 を追求したマットレスとして「エアウィーヴ」商品の販売を続け,各種メディアを利用した- 5 -幅広い宣伝活動を行い,一般需要者の間において高い周知性を獲得した。「エアウィーヴ」は商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。 また,「四季布団」の部分も,四季を通して快適に使用できるという被告ら商品の特徴を表す被告らの造語であり,高い識別力を有する。 これに対し,被告らは「【和】(なごみ)」の部分を単独で使用したことはない上,「なごみ」の語は様々な会社の種々の商品に使用されており,その識別力は極めて低い。 被告ら各標章は,いずれも全体について同一の書体を用いている。 被告ら標章1及び2は,「四季布団」の部分と「【和】(なごみ)」の部分の文字の大きさが同じであり,横一列に整然と記載され,全体がまとまりよく一体的に表されている。被告ら標章3及び4は,「エアウィーヴ四季布団」の部分と「【和】(なごみ)」の部分とで文字の大きさが異なったり改行されたりしているものの,これらの表示されたパンフレットには同一の書体・同一の大きさで一体的に表された「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」という表示が複数存在するほか,被告らは,被告ら標章3及び4以外にデザイン性を持たせた表示をしたことはない。 また,隅付き括弧が付されているからといって当該部分の独立性が高いとはいえない上,「なごみ」の部分は隅付き括弧の外にある。 以上の事情によれば,被告ら各標章から「【和】(なごみ)」の部分を切り離して本件商標との類否判断を行うことは許されない。 本件商標と被告ら各標章の一部とでは,「ナゴミ」という称呼が類似する点があるが,被告ら各標章は,被告らの会社名及びブランドとして著名性を有する「エアウィーヴ」及び被告らの造語である 許されない。 本件商標と被告ら各標章の一部とでは,「ナゴミ」という称呼が類似する点があるが,被告ら各標章は,被告らの会社名及びブランドとして著名性を有する「エアウィーヴ」及び被告らの造語である「四季布団」を伴う点において本件商標とは外観,称呼,観念のいずれにつ- 6 -いても著しく相違する。また,「【和】」の部分についても,「ワ」と読めば「なごみ」とは異なる観念が生じる。 上記のとおり「エアウィーヴ」はそれ自体被告らのブランド名として著名であり,これを含む標章の付された商品に出所の誤認混同が生じることはあり得ない。また,被告ら商品は,布団的要素を付加したマットレスであり,四季を問わず使用できるのに対し,原告が本件商標を付している商品は,タオルケット等夏に使用する薄手の商品のみであり,被告ら商品とは用途・素材において大きく異なるから,この点においても出所の誤認混同が生じる余地はない。 ウしたがって,本件商標と被告ら各標章は類似しない。 (被告らの主張)ア商標法3条1項3号該当性について「なごむ」という言葉には,「なごやかにする」という意味もあるところ,原告が本件商標を使用する寝具は人をくつろいだ気分にさせ,なごやかにするために使用されるものであって,本件商標は,そのような商品の効能を示すものにすぎない。また,本件商標は平仮名3文字を並べただけであり,普通に用いられる方法により表示されている。 さらに,「なごみ」という標章は,人をなごやかな気持ちにさせるという効能を意識して広く様々な商品に使用されている。 このように,本件商標は,商品の効能を普通に用いられる方法で表示する標章からなる商標であり,自他識別機能を有しないから,商標法3条1項3号に該当する。 イ商標法4条1項11号該当性について このように,本件商標は,商品の効能を普通に用いられる方法で表示する標章からなる商標であり,自他識別機能を有しないから,商標法3条1項3号に該当する。 イ商標法4条1項11号該当性について本件商標の出願日より前である昭和59年6月25日の商標登録出願により以下の商標(登録番号第1863585号。以下「引用商標」と- 7 -いう。)が登録された。 引用商標は,本件商標と呼称及び観念が一致し,外観も平仮名部分は完全に一致する。また,引用商標の指定商品には家具が含まれ,家具には寝台が含まれるところ,寝台は本件商標の指定商品である第22類や第24類の商品と類似するから,引用商標と本件商標の指定商品は類似する。したがって,本件商標は商標法4条1項11号に該当する。 ウ無効審判請求の除斥期間経過について商標法47条1項は特許庁の無効審判手続において審判請求ができないことをいうのみである。瑕疵のある特許権に基づく権利行使は認めないという最高裁平成12年4月11日第三小法廷判決・民集54巻4号1368頁の趣旨,これを踏まえて立法された特許法104条の3及びこれを引用する商標法39条の法意に照らせば,無効審判請求の除斥期間の経過は侵害訴訟における権利行使制限の抗弁を主張する妨げにはならない。 仮に同条,特許法104条の3が直接的に適用されないとしても,商標登録に無効理由があることが明らかな場合には損害賠償等の請求は権利の濫用に当たり許されないと解すべきである。 (原告の主張)ア商標法3条1項3号該当性について「なごみ」とは,人間の内面の感情や精神状態を表現する言葉として用いられるものであり,寝具等の物品の効能を表す言葉ではない。仮に効能として考えるとしても,それは需要者が商品を使用したことにより- 「なごみ」とは,人間の内面の感情や精神状態を表現する言葉として用いられるものであり,寝具等の物品の効能を表す言葉ではない。仮に効能として考えるとしても,それは需要者が商品を使用したことにより- 8 -その内面に間接的に生じるにすぎず,このような間接的な効能は商標法3条1項3号の「効能」に該当しない。 イ商標法4条1項11号該当性について寝台と本件商標の指定商品である「まくら,マットレス,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」は,インターネットの大手商品販売サイトや寝装品・インテリア用品に関する業界雑誌において明確に異なる分類の商品とされ,寝具類とベッドでは製造業者も異なるから,類似の商標が使用されても営業主体の誤認混同は生じない。 引用商標が寝台について用いられた例もなく,引用商標の指定商品と本件商標の指定商品は類似しない。 ウ無効審判請求の除斥期間経過について本件商標は昭和63年9月30日に設定登録されており,既に商標法3条1項3号,4条1項11号を理由とする無効審判を請求することはできない(同法47条1項)。権利行使制限の抗弁は無効審判により無効にされるべき場合にのみ認められるものであり(同法39条,特許法104条の3),被告らの抗弁は認められない。また,原告による本件商標権の行使が権利濫用に当たることもない。 (原告の主張)ア被告らによる平成26年10月20日~12月末の間の被告ら商品の売上額は4億円であり,本件商標の使用料率は2%が相当であるから,原告が被った損害は800万円を下らない。 また,弁護士費用は80万円が相当である。 イ被告らは本件商標権の侵害により原告に損害が発生していない旨主張するが,原告が現に本件商標を原告の商品に付して使用していること,被告 下らない。 また,弁護士費用は80万円が相当である。 イ被告らは本件商標権の侵害により原告に損害が発生していない旨主張するが,原告が現に本件商標を原告の商品に付して使用していること,被告らは,被告ら商品が従来の「エアウィーヴ四季布団」の改良版であ- 9 -ることを示すためあえて「【和】(なごみ)」という商品名を選択したこと,商標法38条3項に基づく請求において商品間の具体的な競合関係の有無は問われないことに照らし,被告らの主張は失当である。 (被告らの主張)本件商標が商品の効能を一般的に意味するだけの表示を普通に用いられとおりである。また,損害賠償の対象とされた期間における本件商標を使用した原告の商品の販売数量は極めて少ない。さらに,本件商標を使用している原告の商品と被告ら商品が競合しないこと,被告らは被告ら商品の名称として高い識別力を有する「エアウィーヴ四季布団」という表示を必る。 このように本件商標に顧客吸引力は認められず,被告ら各標章の使用は被告ら商品の売上げに寄与していない一方,被告ら商品の売上げは「エアウィーヴ」の周知著名性並びに被告らの企業努力及び被告ら商品の品質の高さに起因するものであるから,原告に損害は発生していない。仮に発生していたとしても,相当な使用料率は0%に近い。 第3 当裁判所の判断 本件商標と被告ら各標章の類否を判断するに当たり,原告は被告ら各標章中の「【和】(なごみ)」の部分を抽出して対比すべき旨主張するのに対し,被告らは「エアウィーヴ四季布団」の部分を含む被告ら各標章の全体と対比すべき旨主張する。 そこで判断するに,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる(なお,書証の枝番号の記載は省略する。以下同じ。)。 ア本件商標の外観は,別紙商標権 全体と対比すべき旨主張する。 そこで判断するに,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる(なお,書証の枝番号の記載は省略する。以下同じ。)。 ア本件商標の外観は,別紙商標権目録記載のとおり,楷書体で同一の大- 10 -きさの平仮名3文字「なごみ」を等間隔で横書きに配置したものであり,これにより「ナゴミ」の称呼が生じる。また,「なごみ」の語は,「気持ちが穏やかになる,くつろいだ気分になる」といった意味の動詞「なごむ」の名詞形であり,平易な日本語であって,本件商標からは「ナゴミ」の称呼に伴って「穏やかな気持ち,くつろいだ気分」といった観念が想起される。(甲12,乙6)イ原告は,江戸時代以前に創業したとする平成25年度1月期の売上額約360億円の大手の寝具,寝装品等の製造卸売業者である。原告は,遅くとも平成16年頃から,本件商標を春夏向けのタオルケット,ガーゼケット,キルトケット,ソフトケット,パッドシーツ等の商品に使用している。また,原告は,別の商品名で敷き布団,マットレス等を販売している。(甲1,5,13,20,29)ウ被告ら標章1は販売店に展示中の被告ら商品に掛けられたカバーの上に置かれた薄板に,被告ら標章2は被告ら商品を宣伝するプレスリリースに,被告ら標章3は被告ら商品のパンフレットに,被告ら標章4は被告ら商品のカタログに,それぞれ使用されている。(甲6~9)被告ら各標章の外観は,別紙被告ら標章目録記載のとおりである。被告ら標章1は「エアウィーヴ四季布団【和】(なごみ)」の文字及び記号を横書きしたもので,書体及び色(黒)は同一であるが,文字等の大きさは「エアウィーヴ」の部分に比し「四季布団【和】」の部分が約1. 5倍,「(なごみ)」の部分が約3分の2であり,「エアウィーヴ」と「四季布団」 たもので,書体及び色(黒)は同一であるが,文字等の大きさは「エアウィーヴ」の部分に比し「四季布団【和】」の部分が約1. 5倍,「(なごみ)」の部分が約3分の2であり,「エアウィーヴ」と「四季布団」の間に半角程度のスペースがある。被告ら標章2は同1と同じ文字及び記号を横書きしたもので,書体及び色(赤)は同一で,文字等の大きさもほぼ同一であるが,「エアウィーヴ」と「四季布団」の間に1文字程度のスペースがある。被告ら標章3は,えんじ色の背景に白抜き文字で「エアウィーヴ四季布団」の文字と「【和】」の文字及び- 11 -記号を2段に横書きしたもので,書体は同一であるが,下段の文字等は上段に比し3倍程度の大きさであり,「和」の文字の上に「なごみ」と振り仮名が付されている。被告ら標章4は,縦線を挟んで右側に「エアウィーヴ四季布団」の文字を,左側に「【和】(なごみ)」の文字及び記号を縦書きしたもので,書体及び色(えんじ。縦線を含む。)は同一であるが,文字等の大きさは「エアウィーヴ四季布団」の部分に比し「【和】」の部分が約4倍,「(なごみ)」の部分が約2倍となっている。 エ 「エアウィーヴ」は,被告株式会社エアウィーヴが平成19年に販売を開始した寝具の上に敷いて使用するマットレスパッドの商品名であり,「air(空気)」と「weave(編む)」を組み合わせた造語である。その後,被告らが製造販売するマットレス等の商品にはいずれも「エアウィーヴ」の語が冠され,著名なオリンピック選手が使用したことなど被告らによる宣伝広告活動を通じて,平成22年頃以降マスメディアに取り上げられる回数も急増し,「エアウィーヴ」の語は,被告ら商品の発売時点において,被告らが製造販売するマットレス等のブランド名として寝具類の需要者の間に広く認識されていた。(甲2,6,乙 ィアに取り上げられる回数も急増し,「エアウィーヴ」の語は,被告ら商品の発売時点において,被告らが製造販売するマットレス等のブランド名として寝具類の需要者の間に広く認識されていた。(甲2,6,乙2)被告ら商品は,被告らが製造販売する「エアウィーヴ四季布団」シリーズの一つであり,同シリーズに属する別の商品の名称は「エアウィーヴ四季布団」である。これらは従来の「エアウィーヴ」商品より厚みがあり敷き布団のようにも使用できること,厚い空気層により夏は涼しく冬は暖かく四季を通して快適に使用できることが特徴とされており,「四季布団」はこのような特徴を踏まえた被告らの造語である。被告ら商品は,「エアウィーヴ四季布団」に機能を付加した新商品として発売された。(甲6,7,14,乙3)- 12 -オ本件商標と「ナゴミ」の称呼を共通にする標章として,空気清浄機に使用された「NAGOMI(なごみ)」,ボディソープに使用された「なごみ」,メディカルチェアに使用された「NAGOMI」と毛筆体の「和」の文字の組合せ,トレーニングチェアに使用された「森の音」の文字等と「なごみ」の組合せ,果実酒に使用された「島のなごみ」,レンガに使用された「和(なごみ)」がある。(乙1)上記事実関係に基づき,本件商標と被告ら各標章の類否について検討する。 ア本件商標から「ナゴミ」の称呼及び「穏やかな気持ち,くつろいだ気 イ被告ら各標章については,その全体から,「エアウィーヴシキフトンナゴミ」ないし「エアウィーヴシキブトンナゴミ」の称呼が生じ,「エアウィーヴ」の語の周知性及び「四季布団」の漢字の意義から「被告らの製造販売に係るマットレス類であって,年間を通じて使用し得る敷き布団であり,穏やかな気持ち,くつろいだ気分にさせるもの」といった観念が生じると認め の周知性及び「四季布団」の漢字の意義から「被告らの製造販売に係るマットレス類であって,年間を通じて使用し得る敷き布団であり,穏やかな気持ち,くつろいだ気分にさせるもの」といった観念が生じると認められる。 一方,被告ら各標章は,称呼上は13音,外観上は14文字及び記号4個又は2個(被告ら標章4は更に縦線)からなる比較的長いものであり,必ずしも一息で発音され,一目で視認され得るものでない。これに加え,被告ら標章1及び2については,「和」の文字が隅付き括弧で囲まれて目立つようになっており,その後ろに括弧付きで「なごみ」と表記されているため,被告ら標章3及び4については,「エアウィーヴ四季布団」の部分と振り仮名付きの「和」の文字部分ないし「【和】(なごみ)」の部分を分けて2段又は2列に表記され,しかも「和」の文字等が大きいため,いずれもその外観上「和」の読み方を示すものと理解される「なごみ」の部分が,「エアウィーヴ四季布団」の部分から独立- 13 -して,被告ら各標章に接した需要者の関心を引くとみることができる。 そうすると,被告ら各標章からは,上記の標章全体から生じる称呼及び観念だけでなく,「なごみ」の部分から「ナゴミ」の称呼及びこれに伴う観念が生じると認められる。 ウ上記ア及びイによれば,本件商標と被告ら各標章は,称呼及び観念を共通にするということができる。 エ標は,被告ら商品の発売の少なくとも約10年前から原告によって本件商標の指定商品に含まれるタオルケット等の商品に使用されている。また,原告は大手の寝具類の製造卸売業者であり,マットレス,敷き布団等も販売している。その上,「なごみ」の語は他社の商品名を含め一般に広く使われる名詞であり,本件商標の指定商品である寝具類を使用した者が穏やかな気持ち,くつろいだ気分になるこ ,マットレス,敷き布団等も販売している。その上,「なごみ」の語は他社の商品名を含め一般に広く使われる名詞であり,本件商標の指定商品である寝具類を使用した者が穏やかな気持ち,くつろいだ気分になることがあり得るが,これは使用者が主観的に感得するものであり,「なごみ」自体は上記指定商品の効能(保温,吸汗等)を直接表示するものでない。そうすると,本件商標はその指定商品につき相応の出所表示機能を有しており,「ナゴミ」と称呼される標章が原告以外のマットレスや敷き布団に使用された場合には,原告の「なごみ」という名称の商品の存在を知っている需要者において,これを原告の商品と誤認するおそれがあるということができる。 一方,被告ら各標章は,被告らの製造販売する商品の名称として広く知られた「エアウィーヴ」の文字及び被告ら商品の特徴を示す造語「四季布団」を含むものであり,これらの部分から「エアウィーヴシキフトン」ないし「エアウィーヴシキブトン」との称呼及び「被告らの製造販売に係るマットレス類であって,年間を通じて使用し得る敷き布団」と- 14 -ら商品の名称のうち「【和】」の文字等は,被告ら各標章の外観上「エアウィーヴ四季布団」の部分と区別され需要者の関心を引く部分であり,シリーズ商品である「エアウィーヴ四季布団」と区別する指標ともなるから,被告ら商品を指称するに当たり「なごみ」の部分が常に省略されるとは解し難い。そうすると,「エアウィーヴ」が周知であることを考慮しても,被告ら各標章から「ナゴミ」の称呼及びこれに伴う観念が生じることがないとみることはできない。 オ以上によれば,被告らの前記主張を採用することはできず,被告ら各標章はいずれも本件商標に類似すると判断するのが相当である。 商標法3条1項3号該当性について被告らは きない。 オ以上によれば,被告らの前記主張を採用することはできず,被告ら各標章はいずれも本件商標に類似すると判断するのが相当である。 商標法3条1項3号該当性について被告らは,本件商標はその指定商品の「効能」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる旨主張する。しかし,「なごみ」の語が上記指定商品の効能を直接表示するものでなって,本件商標が商標法3条1項3号に該当するとは認められない。 商標法4条1項11号該当性について本件商標と引用商標が類似することは当事者間に争いがなく,指定商品の類否につき,被告は,引用商標の指定商品「家具」に含まれる寝台(ベッド)が本件商標の指定商品に類似するから,本件商標は商標法4条1項11号に該当する旨主張する。 そこで判断するに,引用商標の指定商品が「家具,畳類,建具,屋内装置品,屋外装置品,記念カツプ類,葬祭用具」であるのに対し(乙7。ただし,平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令の別表第20類によるもの),本件商標の商品及び役務の区分並びに指定商品は別紙商標権目録記載のとおりであって(なお,平成20年10月8日に書換登録がされる前の商品区分は上記改正前の別表第17類,指定商品は「被服- 15 -(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」である。甲3),両者の指定商品が原材料,用途等を異にすること,寝台が本件商標の指定商品から除外されていることは明らかである。これに加え,寝台と寝具類が異なる業者により製造される場合が多いこと(甲28)を考慮すると,本件商標の指定商品が引用商標の指定商品に類似すると認めることはできない。 したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件商標登録に無効理由があることを が多いこと(甲28)を考慮すると,本件商標の指定商品が引用商標の指定商品に類似すると認めることはできない。 したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件商標登録に無効理由があることをいう被告らの主張を採用することはできない。 以上によれば,被告らは本件商標に類似する被告ら各標章をその指定商品に属する商品の広告等に使用したものとして,原告に対し損害賠償義務を負うと認められる。 被告らによる平成26年10月20日~12月末の間の被告ら商品の売上額が4億円であることを被告らは争っていない。これを前提に本件商標の使用に対し受けるべき金銭の額(商標法38条3項)についてみるに,本件商標は昭和63年に商標登録を受け,その後2度にわたり存続期間の更新登録がされ,遅くとも平成16年から原告のタオルケット等の商品に使用されており,相応の信用が備わっているとみられる。一方,本件商標を構成する「なごみ」の語は普通名詞であって,複数の業者が各種の商品件商標を使用するタオルケット等と被告らが被告ら各標章を使用する被告ら商品は具体的な用途,機能等が異なること(同イ及びエ),被告ら各標章中の「エアウィーヴ」の語が被告らのブランドとして周知であり(同エ),被告らは被告ら商品についても各種メディアを通じて宣伝広告活動を行ったこと(甲6~9,乙4)に照らすと,発売から約2か月で4億円という売上額に達したことについては被告らの営業努力に起因する部分が- 16 -大きいと解される。 これらの事情を総合すると,本件における上記金銭の額は,300万円と認めるのが相当である。 なお,被告らは本件商標権の侵害行為により原告に損害が生じていないとも主張するが,以上に説示したところに照らし,失当というべきである。 本件訴訟の経緯等に照らすと 円と認めるのが相当である。 なお,被告らは本件商標権の侵害行為により原告に損害が生じていないとも主張するが,以上に説示したところに照らし,失当というべきである。 本件訴訟の経緯等に照らすと,被告らによる本件商標権の侵害行為と相当因果関係がある弁護士費用相当の損害は30万円と認められる。 以上によれば,原告の請求は330万円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由がある。 主文 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官長谷川浩二 裁判官藤原典子 裁判官萩原孝基
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