令和6(ワ)10842 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年11月13日 大阪地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-95037.txt

キーワード

判決文本文9,413 文字)

令和7年11月13日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和6年(ワ)第10842号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日令和7年9月16日判決 原告StyleOn株式会社代表者代表取締役 訴訟代理人弁護士高木淳 被告株式会社京童 代表者代表取締役訴訟代理人弁護士冨宅恵 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は、原告に対し、443万7059円及びこれに対する令和6年12月5日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本判決で用いる用語・原告商品1 :別紙原告商品目録記載1の商品(バッグ)・原告商品2 :別紙原告商品目録記載2の商品(財布)・原告各商品 :原告商品1及び原告商品2の総称 ・被告商品1 :別紙被告商品目録記載1の商品(バッグ) ・被告商品2 :別紙被告商品目録記載2の商品(財布)・被告各商品 :被告商品1及び被告商品2の総称・不競法 :不正競争防止法 2 事案の概要本件は、原告商品1及び原告商品2を販売する原告が、被告商品1が原告商品 1の形態を、被告商品2が原告商品2の形態をそれぞれ模倣した商品であり、被告による被告各商品の販売が不正競争(不競法2条1項3号)に当たると主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償金443万7059円及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償金443万7059円及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 3 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)(1) 当事者(甲1、2)ア原告は、衣料品、革製品等の輸入及び販売等を目的とする株式会社である。 イ被告は、コンピューター通信を利用した通信販売等を目的とする株式会社である。 (2) 原告各商品の販売等ア原告は、令和2年8月から、ECサイト(楽天市場)において原告商品1の販売を開始した(甲3、5、弁論の全趣旨)。 イ原告は、令和元年7月から、ECサイト(楽天市場)において原告商品2の販売を開始した(甲6、8、弁論の全趣旨)。 ウ被告の取締役は、令和3年6月5日、原告各商品を購入し、被告の旧本社に郵送した。 (3) 被告各商品の販売被告は、令和3年6月5日より後に、被告各商品の販売を開始した。 4 争点 (1) 原告が請求主体となるか(争点1) (2) 被告商品1は原告商品1の形態を模倣したものであるか(争点2)(3) 被告商品2は原告商品2の形態を模倣したものであるか(争点3)(4) 原告の損害額(争点4)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(原告が請求主体となるか)について 【原告の主張】原告は、原告各商品を含め、自社の販売する商品について、自社(デザイン担当の従業員)でデザインを立案し、商品化前に試作品を作成し、必要に応じて改良をした上で商品化して販売している。 よって、原告は、自ら原告各商品を開発し、費用を投下したので、原告各商品 について、不競法 デザインを立案し、商品化前に試作品を作成し、必要に応じて改良をした上で商品化して販売している。 よって、原告は、自ら原告各商品を開発し、費用を投下したので、原告各商品 について、不競法2条1項3号に係る損害賠償請求の主体となる。 【被告の主張】同号の「商品形態」が保護されるのは、先行者が商品形態の開発のために投下した費用、労力の回収を可能にすることにより、公正な競業秩序を維持するためである。商品の形態がありふれた形態であって、その開発のために特段の費用、 労力を要しない場合、同号による保護の必要はない。 原告は、原告各商品の具体的な開発過程、開発のために特段の費用、労力を投下したことを立証していないから、原告各商品について、同号に係る損害賠償請求の主体とはならない。 2 争点2(被告商品1は原告商品1の形態を模倣したものであるか)について 【原告の主張】原告商品1及び被告商品1の形態は、別紙「主張対比表1(原告商品1と被告商品1)」の「形態の特徴」の「原告の主張」欄記載のとおりであり、同表「実質的同一性の有無(相違点の有無)」の「原告の主張」欄のとおり、外観の大きさ、バッグの外側のポケット、内部構造、ハンドル部分の生地の合わせ等において、 同一又はほぼ同一であり、相違する点は些細な相違にすぎない。よって、両形態 は実質的に同一である。 また、原告商品1の形態は、同表「原告商品1の形態がありふれているか否か」の「原告の主張」欄のとおり、全体としてみるとありふれた形態とはいえず、機能上不可欠な形態でもない。 そして、同表「依拠性の有無」の「原告の主張」欄のとおり、被告は、原告商 品1に依拠して被告商品1を製造販売した。 以上によれば、被告商品1は、原告商品1 能上不可欠な形態でもない。 そして、同表「依拠性の有無」の「原告の主張」欄のとおり、被告は、原告商 品1に依拠して被告商品1を製造販売した。 以上によれば、被告商品1は、原告商品1の形態を模倣したものである。 【被告の主張】原告商品1及び被告商品1の形態は、別紙「主張対比表1(原告商品1と被告商品1)」の「形態の特徴」の「被告の主張」欄記載のとおりであり、同表「実質 的同一性の有無(相違点の有無)」の「被告の主張」欄のとおり、複数の点において相違するから、実質的に同一であるとはいえない。 また、原告商品1の形態は、同表「原告商品1の形態がありふれているか否か」の「被告の主張」欄のとおり、原告商品1より前に販売されていた商品に見られる形態であり、ありふれた形態である。 加えて、同表「依拠性の有無」の「被告の主張」欄のとおり、被告は、原告商品1に依拠して被告商品1を製造販売していない。 以上のとおり、被告商品1は、原告商品1の形態を模倣したものではない。 3 争点3(被告商品2は原告商品2の形態を模倣したものであるか)について【原告の主張】 原告商品2及び被告商品2の形態は、別紙「主張対比表2(原告商品2と被告商品2)」の「形態の特徴」の「原告の主張」欄記載のとおりであり、同表「実質的同一性の有無(相違点の有無)」の「原告の主張」欄のとおり、外観の大きさ、財布の内部構造は、同一又はほぼ同一であり、相違点に係る原告商品2の形態を被告商品2の形態とすることは容易である。よって、両形態は、実質的に同一で ある。 また、原告商品2の形態は、同表「原告商品2の形態がありふれているか否か」の「原告の主張」欄のとおり、全体としてみるとありふれた形態とはいえず、機 は、実質的に同一で ある。 また、原告商品2の形態は、同表「原告商品2の形態がありふれているか否か」の「原告の主張」欄のとおり、全体としてみるとありふれた形態とはいえず、機能上不可欠な形態でもない。 そして、同表「依拠性の有無」の「原告の主張」欄のとおり、被告は、原告商品2に依拠して被告商品2を製造販売した。 以上によれば、被告商品2は、原告商品2の形態を模倣したものである。 【被告の主張】原告商品2及び被告商品2の形態は、別紙「主張対比表2(原告商品2と被告商品2)」の「形態の特徴」の「被告の主張」欄記載のとおりであり、同表「実質的同一性の有無(相違点の有無)」の「被告の主張」欄のとおり、複数の点におい て相違するから、実質的に同一であるとはいえない。 また、原告商品2の形態は、同表「原告商品2の形態がありふれているか否か」の「被告の主張」欄のとおり、原告商品2より前に販売されていた商品に見られる形態であり、ありふれた形態である。 加えて、同表「依拠性の有無」の「被告の主張」欄のとおり、被告は、原告商 品2に依拠して被告商品2を製造販売していない。 以上のとおり、被告商品2は、原告商品2の形態を模倣したものではない。 4 争点4(原告の損害額)について【原告の主張】(1) 被告商品1 被告は、被告商品1の販売を開始した令和3年10月から令和5年8月25日(原告商品1の販売開始から3年経過日)までの間、被告商品1の販売により、少なくとも359万8702円(=2618円(販売価格)×30%(利益率)×4582個(販売個数))の利益を得た。 (2) 被告商品2 被告は、被告商品2の販売を開始した令和3年10月から令和4年7 8702円(=2618円(販売価格)×30%(利益率)×4582個(販売個数))の利益を得た。 (2) 被告商品2 被告は、被告商品2の販売を開始した令和3年10月から令和4年7月4日 (原告商品2の販売開始から3年経過日)までの間、被告商品2の販売により、43万4988円(=2580円(販売価格)×30%(利益率)×562個(販売個数))の利益を得た。 (3) 弁護士費用40万3369円 (4) 上記(1)ないし(3)の合計額443万7059円が原告の損害額である。 【被告の主張】いずれも否認ないし争う。 第4 判断事案に鑑み、争点2及び3について判断する。 1 争点2(被告商品1は原告商品1の形態を模倣したものであるか)について(1) 形態の特徴原告商品1と被告商品1の形態の特徴は、次のとおりであると認められる(甲3、4、乙1ないし4。なお、各形態の特徴について、以下、同認定の「形態ア」「同イ」などと表記する。)。 【原告商品1の形態】アバッグの前面及び後面の横幅が23センチメートルで開口部を含めると30センチメートルイバッグの高さ(縦の長さ)が19センチメートルウバッグの外側にはオープンポケットが1つ エバッグの前面及び後面に手持ちのためのハンドルが各1つオ上記エのハンドル持ち手高が8センチメートルカ上記エのハンドルは生地を2枚合わせにしている。 キバッグの内部は4つの仕切られた収納部が存在し,中央部にオープンポケットがある。また、中央部のオープンポケット前方に1つ、後方に2つの収 納部が存在し、後方の2つの収納部幅は概ね1:2である。 仕切られた収納部が存在し,中央部にオープンポケットがある。また、中央部のオープンポケット前方に1つ、後方に2つの収 納部が存在し、後方の2つの収納部幅は概ね1:2である。 クバッグ前面のハンドルの延長部分に縦約3センチの縦長長方形のタグが存在する。 ケバッグ前面上部とバッグ後面上部に各2ヶ所、上記エのハンドルと本体との取付部があり、同取付部に丸型の補強鋲が存在し、「□」及び「×」状の縫目がない。 【被告商品1の形態】ア´ バッグの前面及び後面の横幅は23センチメートルである。 イ´ バッグの高さ(縦の長さ)が18.5センチメートルウ´ バッグの外側にはオープンポケットが1つエ´ バッグの前面及び後面に手持ちのためのハンドルが各1つ オ´ 上記エ´のハンドル持ち手高が10.5センチメートルカ´ 上記エ´のハンドルは生地を2枚合わせにしている。 キ´ バッグの内部は4つの仕切られた収納部が存在し、中央部にオープンポケットがある。また、中央部のオープンポケット前方に1つ、後方に2つの収納部が存在し、後方の2つの収納部幅は概ね1:2である。 ク´ バッグ前面にタグがない。 ケ´ バッグ前面上部,バッグ後面上部に各2ヶ所、上記エのハンドルと本体との取付部があり、同取付部に補強鋲が存在せず、約4センチメートル四方の「□」状の縫目,「×」状の縫目が存在する。 (2) 実質的同一性 ア原告商品1と被告商品1は、バッグ前面及び後面の横幅が23センチメートルであり(形態ア)、バッグの高さ(縦の長さ)も19センチメートルと18.5センチメートルと (2) 実質的同一性 ア原告商品1と被告商品1は、バッグ前面及び後面の横幅が23センチメートルであり(形態ア)、バッグの高さ(縦の長さ)も19センチメートルと18.5センチメートルと、若干の違いはあるものの、その長さないし横幅との比として近似しているほか、外側にオープンポケットがある点(同ウ)、バッグ前面及び後面に手持ちのためのハンドルが各1つあり、2枚合わせの生 地である点(同エ、カ)、収納部の形状(同キ)において共通するもので、一 見すると、両商品の全体的印象には共通するものがあるように受け止められる部分はある。 しかし、原告商品1の販売開始日(令和2年8月頃)より以前から、バッグ前面及び後面の開口部を含まない横幅と高さ(縦の長さ)をほぼ上記と同程度(形態ア、イ)とするトートバッグは存在しており(乙28・30)、こ のトートバッグも含め、バッグ前面の外側にオープンポケットを備え、バッグ前面及び後面に各1つの手持ちハンドルを備え、当該ハンドルが2枚合わせの生地からなる(形態ウ、エ、カ)トートバッグも存在していた(乙27・29、28・30)。加えて、バッグ内部に4つに仕切られた収納部が存在し、中央部にオープンポケットがあるなどの形態(形態キ)についても、バッグ 内側で複数に仕分けられた収納機能を備えさせることに伴う形状の域を出ていないといえる上、上記のトートバッグ(乙27・29、28・30)は、ほぼ同様の形態の収納部を備えていたものでもある。このように、原告商品1と被告商品1において共通すると原告が強調する各形態は、いずれも先行する同種商品として、既に同一ないし類似の形態が存在していたものである から、これらを原告商品1の形態の実質的同一性の判断において、重視することはできない(なお 強調する各形態は、いずれも先行する同種商品として、既に同一ないし類似の形態が存在していたものである から、これらを原告商品1の形態の実質的同一性の判断において、重視することはできない(なお、原告商品1と先行同種商品とで横幅に一定の差異があると見たとしても、トートバックとしてごくありふれた前面及び後面が長方形状という形態を前提に、その横幅に一定の差異があるというにとどまるもので、この点での原告商品1と被告商品1との共通性を重視することがで きないとの評価に違いはない。)。 イ他方、原告商品1と被告商品1は、ハンドルの持ち手高(形態オ)に8センチメートルであるか10.5センチメートルであるかという違いがある上、バッグ前面の縦約3センチメートルの長方形タグの有無(同ク)、ハンドルと本体との取付部の約4センチメートル四方の縫い目の形状及び丸型補強 鋲の有無(同ケ)においても相違する。 この点、原告は、上記相違点は些細なものであると主張する。しかし、ハンドル本体との取付部の縫い目の形状、同部の補強鋲の有無や、バッグ前面の長方形タグの有無という相違点については、バッグ前面の形態が需要者の最も注目する部分であると解されること、上記縫い目の大きさ(約4センチメートル四方)や長方形タグ(縦約3センチメートル)がバッグ全体の大き さに比して小さいものとはいえないことからすれば、先行する同種商品との比較のもと原告商品1固有の形態といえる部分が限られている中で、商品全体の形態に対する需要者の印象に影響する相違点があるといえる。また、ハンドルの持ち手高が数センチメートル相違する点については、需要者において、これのみで大きく印象を異にするとまでいえるかはともかくとして、上 記のように原告商品1固有の形態とい いえる。また、ハンドルの持ち手高が数センチメートル相違する点については、需要者において、これのみで大きく印象を異にするとまでいえるかはともかくとして、上 記のように原告商品1固有の形態といえる部分が限られている中で、相違点として軽視することはできない。 ウ以上より、原告商品1と被告商品1の形態は、実質的に同一(不競法2条5項)であると認めることはできない。 なお、上記のような先行同種商品の形態との比較検討に加え、原告が、原 告商品1の形態のデザイン過程を立証するよう被告ないし裁判所から繰り返し求められながら、これを直接示す証拠を一切提出することができなかったという訴訟経過も踏まえると、原告商品1の形態が、原告の労力等を投下して開発した成果たる「他人の商品の形態」(不競法2条1項3号)に当たることについても、疑義があるといわざるを得ないところである(争点1)。 (3) したがって、被告商品1は、原告商品1との形態上の共通部分や前記前提事実記載の事実経過からして、原告商品1を参考にしてデザインされたことはうかがわれるものの、原告商品1の「形態」を「模倣」したものであると認めることはできない。 2 争点3(被告商品2は原告商品2の形態を模倣したものであるか)について (1) 形態の特徴 原告商品2と被告商品2の形態の特徴は、次のとおりであると認められる(甲6、7、乙5ないし7。なお、各形態の特徴について、以下、同認定の「形態A」「同B」などと表記する。)。 【原告商品2の形態】A 長方形になっており、そのうちの一角が丸みを帯びている。 B 高さが9センチメートル、幅が11.5センチメートル、マチが2センチメートルC 内部の中央部分に小銭を入れるためのポケ A 長方形になっており、そのうちの一角が丸みを帯びている。 B 高さが9センチメートル、幅が11.5センチメートル、マチが2センチメートルC 内部の中央部分に小銭を入れるためのポケットが付いている。 D 内部の両方の側面には、それぞれ2つずつの段違いでカード等を入れるためのポケットが付いている。 E 財布の開け閉めのためのチャックがL 字型になっている。 F 外部全体が凹凸のない面である【被告商品2の形態】A´ 長方形になっており、そのうちの一角が丸みを帯びている。 B´ 高さが9.5センチメートル、幅が11.3センチメートル、マチが2 センチメートルC´ 内部の中央部分に小銭を入れるためのポケットが付いている。 D´ 内部の両方の側面には、それぞれ2つずつの段違いでカード等を入れるためのポケットが付いている。 E´ 財布の開け閉めのためのチャックがL 字型になっている。 F´ 外部全体が斜めの網目模様となっている。 (2) 実質的同一性ア原告商品2と被告商品2は、長方形で一角が丸みを帯びている点(形態A)、マチ(形態Bの一部)、内側に小銭入れ部分と各側面に各2つのポケットを備える点(形態C、D)、L字型の開閉のチャックを備えている点(同E)に おいて共通するほか、財布の高さが9センチメートルと9.5センチメート ル、幅が11.5センチメートルと11.3センチメートルと、それら長さ及び比において近似しているものでもある(形態B)。 しかし、原告商品2の販売開始日である令和元年7月より以前から、上記形態A、C、Eの各形態や内部の各側面に複数のカード等を入れるポケットを備えるほか、高さ及び幅の各長さ・比を上記程度(形態B)とする しかし、原告商品2の販売開始日である令和元年7月より以前から、上記形態A、C、Eの各形態や内部の各側面に複数のカード等を入れるポケットを備えるほか、高さ及び幅の各長さ・比を上記程度(形態B)とする財布は 存在していた(乙20ないし24)ことからすれば、これらの部分の共通性を原告商品2の形態の実質的同一性の判断において、重視することはできない。 イ他方、原告商品2と被告商品2は、外部面の凹凸や模様の有無において相違する。 この点、原告は、上記相違点を認めつつも、原告商品2の外側の素材を被告商品2の外側の素材とすることは容易に着想できるものであるから、両形態は実質的に同一であるなどと主張する。しかし、原告商品2の外側の素材は「本革」であり、被告商品2の外側の素材は「合成皮革(PU)」であるから、素材による「光沢及び質感」(不競法2条4項)が異なることに加え、凹 凸や模様が一切施されていない原告商品2とは異なり、被告商品2には凹凸のある網目様の模様が施されており、「商品の外部の形状」(同条項)においても相違している。そして、これら形態は、財布の需要者にとって強く関心を有する部分といえることからすれば、先行する同種商品との比較のもと原告商品2固有の形態といえる部分が限られている中で、上記相違点は、商品 全体の形態に対する需要者の印象に影響するものといえる。 ウ以上より、原告商品2と被告商品2の形態は、実質的に同一(不競法2条5項)であると認めることはできない。 なお、上記のような先行同種商品の形態との比較検討に加え、原告が、原告商品2の形態のデザイン過程を立証するよう被告ないし裁判所から繰り 返し求められながら、これを直接示す証拠を一切提出することができなかっ たという訴訟 較検討に加え、原告が、原告商品2の形態のデザイン過程を立証するよう被告ないし裁判所から繰り返し求められながら、これを直接示す証拠を一切提出することができなかったという訴訟経過も踏まえると、原告商品2の形態が、原告の労力等を投下して開発した成果たる「他人の商品の形態」(不競法2条1項3号)に当たることについても、疑義があるといわざるを得ないところである(争点1)。 したがって、被告商品2は、原告商品2との形態上の共通部分や前記前提事実記載の事実経過からして、原告商品2を参考にしてデザインされたことはうかがわれるものの、原告商品2の「形態」を「模倣」したものであると認めることはできない。 第5 結論 よって、その余の点について判断するまでもなく原告の請求は理由がないから、いずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官 松川充康 裁判官 阿波野右起 裁判官 島田美喜子 (別紙)原告商品目録 1 商品名ミニトートバッグ 【前面】 【後】 島田美喜子 (別紙)原告商品目録 1 商品名ミニトートバッグ 【前面】【後面】【内部】【底】【側面】 2 商品名ミニ財布 【前面】【後面】【内部】【側面1】【側面2】【側面3】【側面4】【側面5(開いた状態)】 (別紙)被告商品目録 1 商品名ミニトートバッグ 【前面】【後面】【内部】【側面】 2 商品名ミニ財布 【前面】【後面】【内部】【側面1】【側面2】【側面3】【側面4】【側面5(開いた状態)】

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る