昭和32(オ)193 県議会議員当選の効力に関する決定取消請求

裁判年月日・裁判所
昭和32年5月24日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所 秋田支部
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。      上告人補助参加人の参加によつて生じた費用は右補助参加人の負担とす る。          理    由

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判決文本文3,196 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 上告人補助参加人の参加によつて生じた費用は右補助参加人の負担とする。 理由 上告人代理人小西伝助、同伊能幹一、同原則雄の上告理由は添付の別紙記載のとおりである。 上告理由第一点について。 論旨は、本件係争投票中「小畑」、「オバタ」、「おばた」その他これに類する記載のある投票について、原判決が、本件選挙と同時に行われた知事選挙の候補者小畑Dの氏を記載したものもあり得ると認め、上告人補助参加人小幡谷Cに対する有効投票と認めなかつたことを非難して、原判決は憲法一四条、三二条に違反する旨を主張するのであるが、これらの投票を有効とするかどうかは、公職選挙法六七条、六八条の解釈適用の問題であつて、所論は憲法違反に名を藉りるに過ぎないものと認める。 論旨は、原判決が、同時選挙においては、選挙人が両選挙の投票を間違えてする虞があるとしたのをもつて経験則に反するというのである。 論旨もいうように、同時選挙の場合でも、投票所の施設や事務従事者の注意によつて、右の混同がある程度避けられることはいうまでもないが、このような方法によつて避けることができるのは、一の選挙の投票をする意思で他の選挙の投票をするような誤であつて、選挙人が一の選挙の候補者を他の選挙の候補者と誤認して投票するような誤まで完全に防ぎ得るものではない。他の選挙の候補者氏名を記載する例は、従来の選挙でもしばしば見受けるところであり、本件選挙においても、知- 1 -事選挙の候補者小畑D、E、Fの氏名を明確に記載した投票もあつたことは原判決が認定しているところであつて、原審の右の判断が所論のように経験則に反するものということはできない。 論旨はまた、これらの投票を知事 補者小畑D、E、Fの氏名を明確に記載した投票もあつたことは原判決が認定しているところであつて、原審の右の判断が所論のように経験則に反するものということはできない。 論旨はまた、これらの投票を知事候補者の氏を記載したものとして無効とするならば、他の選挙に類似の氏名の候補者がある場合には、当該候補者は不当に不利益を受けるというのであるが、その反面かかる投票を有効とすれば、候補者は不当に利益を受けるともいい得るのであつて、いずれにせよ、これらの投票が本件選挙の候補者小幡谷Cに対してなされたものか、知事選挙の候補者小畑Dを選挙する意思でなされたものか明かでない以上、これを無効とすることもやむを得ないのである。 論旨は理由がない。 同第二点について。 論旨は、原判決は、最高裁判所昭和二四年(オ)二七号、同二五年七月六日の判決の趣旨を誤解している旨を主張し、本件の場合は、投票所の施設、事務従事者の選挙人に対する注意等によつて、両選挙の混同を生じないように十分に留意したのであつて、右先例の場合と場合を異にする旨を論ずるのである。もとより、本件の場合と先例の場合とで事情は必ずしも同じではない。しかし前述のように、このような注意をしても選挙人自身が知事選挙の候補者を議員選挙の候補者ととりちがえることまで完全に防止することはできないのである。選挙人の意思が何人を選挙しようとする趣旨か推測できる限り推測して有効とすべきことは所論のとおりであるけれども、本件の場合、投票者の意思が、知事候補者小畑Dを議員候補者と誤認して同人を議員に選挙する意思をもつて投票したるものか、小幡谷Cを選挙しようとしてその氏を誤記したものか、いずれとも推測できないのである。原判決が確認できないとしたのは、用語として妥当でないかも知れないが、その趣旨とするところは右と異るところはな か、小幡谷Cを選挙しようとしてその氏を誤記したものか、いずれとも推測できないのである。原判決が確認できないとしたのは、用語として妥当でないかも知れないが、その趣旨とするところは右と異るところはないものと解され、論旨は理由がないものといわなければなら- 2 -ない。 同第三点について。 論旨は、原判決は公職選挙法四六条、六七条の解釈を誤つた違法があるというのであるが、右四六条は本件投票の効力を判断するについて直接関係のある条文ではない。右六七条は「……その選挙人の意思が明白であれば、その投票を有効とするようにしなければならない。」と規定しているのであるが、本件の投票によつては前述のように選挙人の意思が明白でないのであるから、同条によつて本件投票を有効とすることはできない。さらに同条は「第六十八条の規定に反しない限りにおいて、……」と規定しており、本件投票の効力に関する判断は、右六八条に反するかどうかの判断であり、前述のように、投票者の意思が明白でない以上、右六八条によつて無効とすべく右六七条によつて有効とする余地はない。 論旨はまた、本件選挙に際しては混同を生じないよう十分の措置がとられた旨を述べるのであるが、かかる措置によつても混同を生ずるおそれが全く存在しないといえないことは前述のとおりである。 同第四点について。 原判決が本件選挙の投票中に知事選挙の候補者E、F、小畑Dの氏名を漢字または仮名をもつて明確に記載した投票が相当数あつたと認定したのに対し、論旨は、右認定は証拠に基かない認定である旨を主張する。 しかし、原判決が右の認定をしたのは「投票に対する検証調書の記載、証人Gの証言によつて真正に成立したものと認める乙第二、三号証の記載並びに同証言」によつたものであることは、原判文上明白である。論旨は、これらの証拠によつて、 をしたのは「投票に対する検証調書の記載、証人Gの証言によつて真正に成立したものと認める乙第二、三号証の記載並びに同証言」によつたものであることは、原判文上明白である。論旨は、これらの証拠によつて、かかる投票の数が相違する点をとらえて原判決を非難するのであるが、原判決もその数までも確定する趣旨ではなく、たゞ取り違えて投票したことが明白な投票も存在する事実を認定する資料にしたに過ぎないのであるから、原判決に所論のような- 3 -違法はない。 同第五点について。 論旨は乙第二号証、同第三号証は事件後の作成にかかるものであつて、原判決がかかる文書を証拠として採用したことを違法であると主張する。しかし、事件後作成された文書だからといつて常に証拠能力がないわけではなく、本件の場合、その作成の経緯によつてこれを証拠として採用することについて何等妨げとなるものではなく、また、右乙二、三号証のみによつて事実を認定したのではないから、原判決に所論のような違法はない。論旨は要するに、原審の専権に属する証拠の取捨選択を非難するに過ぎず採用することができない。 同第六点について。 論旨は、原判決は当事者の主張した事項につき判断を遺脱したか又は理由不備であると主張するのであるが、要するに、両選挙の混同を生じた原因について説明がないと主張するに帰する。 しかし、原判決は証拠によつて本件選挙において知事候補者の氏名を明確に記載した投票があつた事実を認定しているのであつて、かかる事実が存在する以上、その原因まで明かにする必要はない。論旨は理由がない。 以上説明のとおり本件上告は理由がないからこれを棄却することとし、民訴四〇一条、九五条、八九条、九四条後段に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第二小法廷裁判 り本件上告は理由がないからこれを棄却することとし、民訴四〇一条、九五条、八九条、九四条後段に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎裁判官池田克裁判官河村大助- 4 -裁判官奥野健一- 5 -

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