主文 1 原告の主位的請求を棄却する。 2 被告が、別紙対象消費者目録記載の対象消費者に対し、個々の消費者の事情によりその金銭の支払請求に理由がない場合を除いて、次の金銭支払義務を負うことを確認する。 (1) 被告と別紙対象消費者目録記載1及び2の各対象消費者との間で締結された別紙商品目録記載の商品に係る売買契約に基づき支払われた売買代金相当額の原状回復義務(2) 被告と別紙対象消費者目録記載3及び4の各対象消費者との間で締結された別紙商品目録記載の商品に係るチケット振替契約に基づき充当された代 金相当額の原状回復義務(3) 前記(1)及び(2)の原状回復義務に係る金員に対する請求日の翌日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金支払義務 3 訴訟費用は、これを10分し、その1を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 請求の趣旨(1) 主位的請求被告が、別紙対象消費者目録記載の対象消費者に対し、個々の消費者の事 情によりその金銭の支払請求に理由がない場合を除いて、次の金銭支払義務を負うことを確認する。 ア被告と別紙対象消費者目録記載1及び2の各対象消費者との間で締結された別紙商品目録記載の商品に係る売買契約に基づき支払われた売買代金相当額及び対象消費者が特定適格消費者団体に支払うべき報酬及び費用相 当額の債務不履行に基づく損害賠償義務 イ被告と別紙対象消費者目録記載3及び4の各対象消費者との間で締結された別紙商品目録記載の商品に係るチケット振替契約に基づき充当された代金相当額及び対象消費者が特定適格消費者団体に支払うべき報酬及び費用相当 紙対象消費者目録記載3及び4の各対象消費者との間で締結された別紙商品目録記載の商品に係るチケット振替契約に基づき充当された代金相当額及び対象消費者が特定適格消費者団体に支払うべき報酬及び費用相当額の債務不履行に基づく損害賠償義務ウ前記ア及びイの損害賠償義務に係る金員に対する請求日の翌日から支払 済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金支払義務(2) 予備的請求1主文同旨(3) 予備的請求2被告が、別紙対象消費者目録記載の対象消費者に対し、個々の消費者の事 情によりその金銭の支払請求に理由がない場合を除いて、次の金銭支払義務を負うことを確認する。 ア被告と別紙対象消費者目録記載1及び2の各対象消費者との間で締結された別紙商品目録記載の商品に係る売買契約に基づき支払われた売買代金相当額の不当利得返還義務 イ被告と別紙対象消費者目録記載3及び4の各対象消費者との間で締結された別紙商品目録記載の商品に係るチケット振替契約に基づき充当された代金相当額の不当利得返還義務ウ前記ア及びイの不当利得返還義務に係る金員に対する請求日の翌日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金支払義務 2 請求の趣旨に対する答弁(1) 本案前の答弁本件訴えを却下する。 (2) 本案の答弁原告の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要等 1 事案の要旨本件は、消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(以下「特例法」という。)上の特定適格消費者団体である原告が、大阪市内の公園で被告が主催したイベントが中止されたことにより、このイベントに参加する目的で被告にチケット代金を支払った者及び過 去 以下「特例法」という。)上の特定適格消費者団体である原告が、大阪市内の公園で被告が主催したイベントが中止されたことにより、このイベントに参加する目的で被告にチケット代金を支払った者及び過 去に他のイベントに参加する目的で被告にチケット代金を支払ったが、チケット振替契約により前記イベントに参加する権利を取得していた者(別紙対象消費者目録記載の対象消費者。以下「本件各対象消費者」という。)に対する被告の債務が履行不能となったと主張し、被告に対し、共通義務確認の訴え(特例法2条4号)に係る請求として、以下の各請求をした事案である。 (1) 主位的に、特例法3条1項3号に基づき、被告の債務不履行を理由とする損害賠償義務として、被告が本件各対象消費者に対し、チケット代金相当額の支払義務、本件各対象消費者が原告に支払うべき報酬及び費用相当額の支払義務を負うことの確認を求めるとともに、これらに対する本件各対象消費者が履行請求をした日の翌日から各支払済みまで民法所定の年3 パーセントの割合による遅延損害金の支払義務を負うことの確認を求めたもの(2) 予備的に、特例法3条1項2号に基づき、原状回復義務(予備的請求1)又は不当利得返還義務(予備的請求2)として、被告が本件各対象消費者に対し、チケット代金相当額の支払義務を負うことの確認を求めると ともに、これらに対する本件各対象消費者が履行請求をした日の翌日から各支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払義務を負うことの確認を求めたもの 2 前提事実(当事者間に争いがない事実のほか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実を含む。) (1) 当事者 ア原告は、令和4年号外法律第59条による改正前の特例法65条1項により内 に争いがない事実のほか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実を含む。) (1) 当事者 ア原告は、令和4年号外法律第59条による改正前の特例法65条1項により内閣総理大臣の認定を受け、同法69条により令和4年8月19日にその有効期間の更新を受けた特定適格消費者団体である(甲1)。 イ被告は、イベント運営、演出道具の販売を事業内容とする株式会社である。 (2) 本件イベントの開催計画等ア被告は、令和3年12月17日から同月19日までの3日間、大阪市A区内に所在するA公園の球技広場・野球場において、「LanternNight~空飛ぶクリスマスツリー~2021」(以下「本件イベント」という。)の開催を計画した。 イ本件イベントは、前記会場において、クリスマスマーケット等の催事を行うとともに、参加者が一斉に、被告が用意したLEDスカイランタンを空に飛ばすことを内容とするものであった。いずれの開催日も、午後4時開場、午後8時最終入場、午後8時30分ランタン・リリース、午後9時閉場の計画であった。 ウ本件イベントのチケット代金は、大人チケット4500円、団体チケット(4名)1万7000円、ペアチケット9000円、子供チケット2500円、VIPチケット1万5000円であった(甲2)。 エ本件イベントの公式ホームページには、各チケット代金の記載の下に、「チケット購入」と記載された枠があり、その枠内の「チケットを 選択する」タブの直下に、「天災や感染症拡大防止等のやむを得ない理由、お客様都合によるお申込み後の返金はお受けしておりません。」と記載されていた。また、前記枠内下方に、「本イベントはチケット規定に則り運営されますので、必ず以下のチケット規約をご確認ください。 理由、お客様都合によるお申込み後の返金はお受けしておりません。」と記載されていた。また、前記枠内下方に、「本イベントはチケット規定に則り運営されますので、必ず以下のチケット規約をご確認ください。 (チケットの購入完了をもって、チケット規約に同意したものとみなし ます。)」と記載され、その直下に「チケット規約」タブが存在してい た。(甲2)オ本件イベントのチケット規約2条には、以下の内容の定めがある(甲7)。 「当社は、以下の事項に該当する場合、本イベントの運営を中止、中断、変更、停止、廃止、遅滞できるものとし、返金はございません。 戦争、暴動、騒乱、労働争議、地震、噴火、大雨、洪水、津波、火災、停電、感染症拡大、その他の非常事態により、本サービスの提供が通常どおりできなくなった場合(以下略)」(3) 本件イベントの開催中止等 被告は、令和3年12月17日及び同月19日、いずれも前記各日に開催予定であった本件イベントを中止することを決定した。なお、同月18日の本件イベントについては、計画どおり開催された。 被告は、令和3年12月17日及び同月19日の本件イベントについて、各中止に伴うチケット代金の返還をしなかった。 3 争点及び当事者の主張(1) 本案前の争点(主位的請求並びに予備的請求1及び2に共通)ア本案前の争点1本件各対象消費者が相当多数であるといえるか(特例法2条4号)(原告の主張) 多数性の要件については、消費者が数十人程度であればこれを満たすといえるところ、本件各対象消費者は5773人であり、そのうち別イベントへの振替えに応じてこれに参加した者を除いても、その人数は1200人以上となる。被告は、本件各対象消費者のうち多数者に対し、別イベントへの振替え 件各対象消費者は5773人であり、そのうち別イベントへの振替えに応じてこれに参加した者を除いても、その人数は1200人以上となる。被告は、本件各対象消費者のうち多数者に対し、別イベントへの振替え又は返金を行ったため多数性の要件を満たさな いと主張するが、本件口頭弁論終結時において、そうした措置を受けて いない消費者が数十人を下回ることはない。 また、多数の者に対して別イベントへの振替え又は返金を行ったとの被告の前記主張は、時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。 (被告の主張) 本件口頭弁論終結時において、本件各対象消費者5773人のうち、5386人を下らない者に対し、別イベントへの振替え又はチケット代金の返還を完了しており、別イベントへの振替え又は返金が未了である者はほとんどいないから、本件訴えは、多数性の要件を満たさない。 イ本案前の争点2 被告の金銭の支払義務が、本件各対象消費者に共通する事実上及び法律上の原因に基づくものといえるか(特例法2条4号)(原告の主張)本件各対象消費者は、本件イベントのチケットを購入したか、或いは、過去に他のイベントのチケットを購入したが、チケット振替契約により 本件イベントの参加権を取得した者であり、本件イベントの中止によって、いずれも被告に対する損害賠償請求権を有している。 本件イベントの中止後に、別イベントへの振替えに応じてこれに参加した者については、簡易確定手続においてそうした事情の有無を審理すれば良く、その点は、本件訴えに係る共通性の要件の充足の有無に影響 しない。 (被告の主張)本件各対象消費者のうち、別イベントへの振替えに応じてこれに参加した者と、そうでない者とでは、金銭の支払義務の存否並びにその事実上及び法律上の 充足の有無に影響 しない。 (被告の主張)本件各対象消費者のうち、別イベントへの振替えに応じてこれに参加した者と、そうでない者とでは、金銭の支払義務の存否並びにその事実上及び法律上の発生原因が異なるから、本件訴えは、共通性の要件を欠 く。 ウ本案前の争点3簡易確定手続において本件請求に係る被告に対する金銭の支払請求権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認められるか(特例法3条4項)(原告の主張) 被告は、被告の公式ホームページにおけるオンライン手続によって本件イベントのチケットを販売しており、チケット購入者に関する情報を把握しているはずであって、追って行われる簡易確定手続において、チケット購入者の特定や、振替対象とされた別イベントへの参加の有無等を容易に特定することができるから、本件訴えは、支配性の要件を満た す。 (被告の主張)本件各対象消費者のうち、別イベントへの振替えに応じてこれに参加した者については、それぞれ参加手続の方法が異なるため、被告において、どの者が振替対象とされた別イベントに参加したかを正確に把握す ることができない。したがって、簡易確定手続において、チケット購入者の特定や振替対象とされた別イベントへの参加の有無を審理するには相当の時間を要するから、本件訴えは、支配性の要件を欠く。 (2) 本案の争点ア主位的請求について (ア) 本案の争点1(請求原因)本件イベントの中止により、被告の債務は社会通念上履行不能となったか(原告の主張)本件イベントは、特定の日時場所において実施されることに意味が あるから、令和3年12月17日及び同月19日の本件イベントが中 止となった以上、その後に被告が本件各対象消 原告の主張)本件イベントは、特定の日時場所において実施されることに意味が あるから、令和3年12月17日及び同月19日の本件イベントが中 止となった以上、その後に被告が本件各対象消費者に対して別イベントへの振替えに関する参加案内をしたとしても、被告の債務は、社会通念上履行不能となったというべきである。 (被告の反論)被告は、令和3年12月17日及び同月19日に開催予定であった 本件イベントを中止したものの、追って開催を予定していた同種・同内容の複数の別イベントへの振替えを認めることとし、本件各対象消費者に対し、前記各同日中に、振替えに関する参加案内をした上、令和4年5月13日にも同旨の案内をした。 以上のとおり、本件各対象消費者が別イベントへの振替えを認めら れ、別イベントへの参加が可能であった以上、被告の債務は、社会通念上履行不能となったとはいえない。 (イ) 本案の争点2(抗弁)本件イベントの中止が、被告の責めに帰することができない事由によるか (被告の主張)令和3年12月17日及び同月19日の朝の時点で、本件イベントの会場付近の地域には強風注意報が発表されており、イベント開催時刻に天候が回復する見込みもなかった。本件イベントは、参加者が一斉にLEDスカイランタンを空に飛ばすことを内容とする企画であ って、雨や風等の気象条件による影響を強く受ける上、会場には相当数のテントが設営されることから、強風によりテントが倒壊して来場者等に危害をもたらすおそれもあった。 以上のとおり、被告は、悪天候により令和3年12月17日及び同月19日の本件イベントを中止する判断をしたのであるから、本件イ ベントの中止は、被告の責めに帰することができない事由によるもの というべきで 告は、悪天候により令和3年12月17日及び同月19日の本件イベントを中止する判断をしたのであるから、本件イ ベントの中止は、被告の責めに帰することができない事由によるもの というべきである。 (原告の反論)被告は、令和3年12月17日及び同月19日の本件イベントを中止する一方で、同月18日については、予定どおり開催した。同月17日及び同月19日の朝の時点の気象状況は、同月18日のそれと比 較して大差がなく、同日に本件イベントを開催できた以上、同月17日及び同月19日に本件イベントを中止せざるを得ない状況にあったとはいえない。被告は、恣意的な判断によって同月17日及び同月19日の本件イベントを中止したものであって、被告の責めに帰することができない事由があったとはいえない。 (ウ) 本案の争点3(抗弁)被告が別イベントへの振替えに関する参加案内をしたことが、弁済の提供にあたるか(被告の主張)前記(ア)のとおり、被告は、令和3年12月17日及び同月19日 の本件イベントに参加する予定であった本件各対象消費者に対し、追って開催を予定していた同種・同内容の別イベントへの振替えを認め、これに関する参加案内をしており、これにより債務の本旨に従った弁済の提供を行ったというべきである。 (原告の反論) 本件各対象消費者は、本件イベントのチケット売買契約又は他のイベントからの振替契約によって、令和3年12月17日及び同月19日という特定の日時における本件イベントに参加する権利を取得したのであって、当初予定された日時場所と異なる別イベントへの振替えが認められたとしても、債務の本旨に従った弁済の提供があったと はいえない。 (エ) 本案の争点4(抗弁)本件イベントの中止が、チケッ 定された日時場所と異なる別イベントへの振替えが認められたとしても、債務の本旨に従った弁済の提供があったと はいえない。 (エ) 本案の争点4(抗弁)本件イベントの中止が、チケット規約2条に定める事由に該当するか(被告の主張)前記(イ)のとおり、令和3年12月17日及び同月19日の本件イ ベントについては、いずれも朝の時点で会場付近の地域に強風注意報が発表されており、イベント開催時刻に天候が回復する見込みもなかったのであり、雨や風等の気象条件による影響を強く受ける本件イベントの内容等を踏まえれば、チケット規約2条の「その他の非常事態により、本サービスの提供が通常どおりできなくなった場合」に該当 すると解されるのであって、被告は、同規定に基づき、本件イベントの運営を中止等することができたというべきである。 (原告の反論)前記(イ)のとおり、令和3年12月17日及び同月19日の朝の時点の気象状況は、同月18日のそれと比較して大差がなく、同月17 日及び同月19日に本件イベントを中止せざるを得ない状況にあったとはいえない。 また、強風という気象条件は、文言上も、チケット規約2条が定める「戦争、暴動、騒乱、労働争議、地震、噴火、大雨、洪水、津波、火災、停電、感染症拡大、その他の非常事態」のいずれの事由にも該 当しない。 (オ) 本案の争点5(再抗弁)チケット規約2条が、消費者契約法8条の2又は同法10条により無効であるか(原告の主張) a チケット規約2条は、被告がイベントを中止した場合でも、消費 者に対し一切返金を行わないものであるから、民法536条1項、542条1項に比して消費者の権利を制限する内容というべきである。加えて、イベント中止時の返金を一切否定して 止した場合でも、消費 者に対し一切返金を行わないものであるから、民法536条1項、542条1項に比して消費者の権利を制限する内容というべきである。加えて、イベント中止時の返金を一切否定していること、消費者にのみイベント中止に起因するリスクのすべてを負わせていること、中止基準を具体的に定めていないため、いかなる場合に返 金を受けられないかを消費者が認識不可能であること等に照らし、チケット規約2条は、信義則に反し消費者の利益を一方的に害する条項というべきであるから、消費者契約法10条に反し無効である。 b チケット規約2条は、被告がイベントを中止した場合でも、消費 者に対し一切返金を行わないものであり、解除権には直接言及していないものの、解除に伴う原状回復請求権の一切の行使を禁じたのと同様の結果を導き、実質的に事業者の履行不能に対する消費者の解除権を放棄させるから、消費者契約法8条の2に反し無効である。 (被告の主張)a 本件各対象消費者は、チケット規約2条により、本件イベントが中止された場合にチケット代金が返還されないことを認識した上でチケットを購入した。また、被告においても、本件イベントの中止に伴いチケット代金の返還こそ要しないものの、本件各対象消費 者に対して別イベントへの振替えを認めることで、これに応じて無料で別イベントに参加する消費者の人数分に応じて別イベントの売上減少を甘受せざるを得ないのであり、応分のリスクを負担している。したがって、チケット規約2条は、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものとはいえず、消費者契約法10条に反し ない。 b チケット規約2条は、チケット代金の返還を制限しているものの、解除権の行使そのものが制限されているわけではない。また、 に害するものとはいえず、消費者契約法10条に反し ない。 b チケット規約2条は、チケット代金の返還を制限しているものの、解除権の行使そのものが制限されているわけではない。また、本件各対象消費者は、本件イベントと同種・同内容の別イベントへの振替えによる参加が可能であるから、チケット規約2条は、いわば解除権行使の結果としての原状回復方法を制限しているだけと いえる。加えて、消費者契約法8条の2は、事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる場合に関する規定であるが、被告は、本件イベントのチケットの販売に際し、あらかじめ、天候不順等の事由により返金がされない場合があることを示しており、チケットの購入者は、そうした約定を知った上で自らの選択 によってチケットを購入したのであるから、チケット規約2条をもって、消費者にその解除権を「放棄させる」ものともいい難い。したがって、チケット規約2条は、消費者の解除権を放棄させる条項とはいえず、消費者契約法8条の2に反しない。 イ予備的請求1(原状回復請求)について (ア) 前記ア(ア)(本案の争点1、請求原因)に同じ(イ) 前記ア(エ)(本案の争点4、抗弁)に同じ(ウ) 前記ア(オ)(本案の争点5、再抗弁)に同じウ予備的請求2(不当利得返還請求)について(ア) 前記ア(ア)(本案の争点1、請求原因)に同じ (イ) 本案の争点6(請求原因)本件イベントの中止が、本件各対象消費者及び被告双方の責めに帰することができない事由によるか(原告の主張)仮に本件イベントの中止が、被告の責めに帰することができない事 由によるものだとしても、本件各対象消費者に何らの帰責事由がない ことは明らかといえ、本件各対象消費者は、民法 告の主張)仮に本件イベントの中止が、被告の責めに帰することができない事 由によるものだとしても、本件各対象消費者に何らの帰責事由がない ことは明らかといえ、本件各対象消費者は、民法536条1項により、反対給付の履行を拒むことができる。本件各対象消費者は、既にチケット代金の支払を了しており、反対給付を履行済みであるから、危険負担の効果として、既履行債務について不当利得返還請求をすることができるというべきである。 (被告の反論)民法536条1項は、その文言上、債権者に未履行債務についての履行拒絶権を付与しているにすぎず、同条項に基づき、債権者に既履行債務に関する不当利得返還請求権が生じるわけではない。 (ウ) 前記ア(エ)(本案の争点4、抗弁)に同じ (エ) 前記ア(オ)(本案の争点5、再抗弁)に同じ第3 争点に対する判断 1 前記前提事実に加え、後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (1) 本件イベントの実施及び中止について ア被告は、令和3年12月17日午前10時頃、被告公式ツイッター及び公式ホームページにおいて、同日に開催予定であった本件イベントを強風のため中止することを発表した(乙2の1、乙31)。 イ令和3年12月18日の本件イベントは、予定どおり開催されたが、開催中にイベント会場に設営されたテントが倒壊するなどの事態が発 生した(乙5の1ないし5)。 ウ被告は、令和3年12月19日午前11時頃、被告公式ツイッター及び公式ホームページにおいて、同日に開催予定であった本件イベントを強風のため中止することを発表した(乙4の1、乙32)。 (2) 本件イベント当日の天候 ア令和3年12月17日、本件イベントの会場であるA公園が所在する に開催予定であった本件イベントを強風のため中止することを発表した(乙4の1、乙32)。 (2) 本件イベント当日の天候 ア令和3年12月17日、本件イベントの会場であるA公園が所在する 大阪市には、午前4時23分に強風注意報が発表され、同注意報は終日継続された。 同日の風速は、被告が本件イベントの中止を発表した午前10時では風速1.9メートル毎秒であったものの、午前10時10分には同4. 1メートル毎秒、午前10時20分には同5.6メートル毎秒に上昇し、 開場時刻である午後4時でも3.5メートル毎秒であって、その後、閉場時刻である午後9時までの間の風速は、4.3ないし7.4メートル毎秒であった。 (甲4、5、乙3)イ令和3年12月18日、大阪市には、前日に発表された強風注意報が 継続され、午前9時33分に解除されたものの、午後3時31分に再度発表され、終日継続された。 同日の風速は、開場時刻である午後4時で1.8メートル毎秒であり、その後、閉場時刻である午後9時までの間の風速は、1.8ないし3. 3メートル毎秒であった。 (甲4、5、乙7)。 ウ令和3年12月19日、大阪市には、前日に発表された強風注意報が継続され、午後11時2分に解除された。 同日の風速は、被告が本件イベントの中止を発表した午前11時で4.7メートル毎秒、開場時刻である午後4時で4.1メートル毎秒で あり、その後、閉場時刻である午後9時までの間の風速は、1.8ないし5.5メートル毎秒であった。 (甲4、5、乙6)(3) 本件イベントの振替手続ア被告は、令和3年12月17日及び同月19日、前記各日の本件イベ ントに参加予定であった消費者に対し、いずれも、本件イベントを中止 4、5、乙6)(3) 本件イベントの振替手続ア被告は、令和3年12月17日及び同月19日、前記各日の本件イベ ントに参加予定であった消費者に対し、いずれも、本件イベントを中止 すること、後日開催予定の別イベントへの振替えが可能であることを伝えるメールを送信した(乙2の2、乙4の2)。 イ被告は、令和4年5月13日にも、中止となった令和3年12月17日及び同月19日の本件イベントに参加予定であった消費者に対し、前記アと同旨のメールを送信し、振替対象とされた別イベントの公式ホー ムページで振替手続の案内を掲載した(乙8、28)。 ウ被告は、令和4年10月27日、中止となった令和3年12月17日及び同月19日の本件イベントに参加予定であった消費者に対し、令和4年に開催予定の別イベントへの振替えが可能であることを伝えるメールを送信し、振替対象とされた別イベントの公式ホームページに振替 手続の案内(申請フォーム等を通じて振替えを申し込むもの)を掲載した(乙29、30)。 エ被告は、本訴提起後の令和7年5月23日、被告公式ホームページにおいて、本件各対象消費者のうち、前記アないしウによる別イベントへの振替えをしていない消費者を対象として、チケット代金の返金を行う 旨の案内を掲載するとともに、それらの返金対象となる消費者に対し、同旨のメールを送信した。なお、前記案内では、今後の返金スケジュールとして、同日から同年7月22日までを返金申込みの期間とし、同月31日をもって返金完了とする旨の記載がされていた。(乙51の1ないし4)。 2 本案前の争点について(1) 本案前の争点1(多数性)について開催が中止された令和3年12月17日及び同月19日の本件イベントに参加予定であった本件各 1の1ないし4)。 2 本案前の争点について(1) 本案前の争点1(多数性)について開催が中止された令和3年12月17日及び同月19日の本件イベントに参加予定であった本件各対象消費者は、5773名の多数に上るところ(当事者間に争いがない。)、前記1(3)アないしエに認定のとおり、 その後、被告は、本件各対象消費者に対して別イベントへの振替えやチケ ット代金の返還を申し出ており、本件各対象消費者のうち、これに応じて、振替対象とされた別イベントに参加し、或いは、チケット代金の返還を受けた者が相当数いるであろうことは、一応是認して良い。しかしながら、本件において、そうした者の人数を具体的に把握すべき証拠はなく、仮に被告が推計するところに拠ったとしても、振替対象とされた別イベントに 参加した者は約4542名であり、また、チケット代金の返還申込みをした者は約844名で、うち実際に返金を了した者は348名にとどまるというのであるから、本件口頭弁論の終結時点では、本件各対象消費者のうち、なお数百名という規模の者が本件訴えの対象となる消費者として残ることになる。 特例法は、消費者の財産的被害を集団的に回復することで、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするところ、特例法が定める消費者団体訴訟制度は、消費者と事業者との間に情報の質や量、交渉力の格差があること、訴訟には相応の時間、費用及び労力がかかり、少額被害の回復に見合わない場合 があること、個々の消費者と事業者間の訴訟等を通じ一定の被害回復がされたとしても、他の消費者との間で同種のトラブルがなくなるわけではなく、別途、抜本解決の選択肢を設けるべきこと等を踏まえ、内閣総理大臣が認定した 々の消費者と事業者間の訴訟等を通じ一定の被害回復がされたとしても、他の消費者との間で同種のトラブルがなくなるわけではなく、別途、抜本解決の選択肢を設けるべきこと等を踏まえ、内閣総理大臣が認定した消費者団体に対し、特別な権限を付与したものであって、そうした消費者団体訴訟制度の趣旨・目的を考慮すれば、特例法2条4号が定 める「消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害等」というためには、消費者個々が訴訟を提起する場合よりも消費者団体訴訟制度を利用した方が審理の効率化が図られる程度の人数規模である必要があり、消費者数名という規模であれば不十分というべきであるが、数十名程度の消費者に被害が生じた場合であれば、先の趣旨・目的に十分適うとこ ろといって良く、本件訴えは、「相当多数の消費者」に生じた財産的被害 等に関するものといえるから、特例法2条4号の多数性の要件を満たすと認められる(なお、原告は、任意返金措置に関する被告の一連の主張が時機に後れた攻撃防御方法であり却下されるべきであると主張するが、前記主張により新たな争点整理又は証拠調べを要することはなく、訴訟の完結を遅延させるとは認められないから、前記主張を時機に後れた攻撃防御方 法として却下することはしない。)。 (2) 本案前の争点2(共通性)について本件各対象消費者は、令和3年12月17日又は同月19日の本件イベントのチケットを購入したか、或いは、過去に他のイベントのチケットを購入したものの、チケット振替契約により令和3年12月17日又は同月 19日の本件イベントへの参加権を取得した者であって、各々の請求を基礎付ける事実関係は、主要部分においていずれも共通しているといえる。 また、その基本的な法的根拠についても、本件イベントの中止により被告 9日の本件イベントへの参加権を取得した者であって、各々の請求を基礎付ける事実関係は、主要部分においていずれも共通しているといえる。 また、その基本的な法的根拠についても、本件イベントの中止により被告の本件イベントを開催する債務が履行不能になったことに基づき、チケット代金相当額の損害賠償請求権、原状回復請求権又は不当利得返還請求権 を取得したとするものであって、共通性があると認められる(被告は、本件各対象消費者のうち、別イベントへの振替えに応じてこれに参加した者と、そうでない者とでは、金銭の支払義務の存否並びにその事実上及び法律上の発生原因が異なると反論するが、被告が指摘する、振替対象とされた別イベントへの参加の有無等は、追って行われる簡易確定手続で審理判 断されるべき事柄であって、本件訴えに係る共通性の要件に影響するものとはいえない。)。 したがって、本件各対象消費者の被告に対する前記の各請求権は、いずれも共通する事実上及び法律上の原因に基づくものであって、本件訴えは、特例法2条4号の共通性の要件を満たすと認められる。 (3) 本案前の争点3(支配性)について 簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であるとして、特例法3条4項に基づき共通義務確認の訴えを却下し得るのは、個々の消費者の対象債権の存否及び内容に関して審理判断をすることが予想される争点の多寡及び内容、当該争点に関する個々の消費者の個別の事情の共通性及び重要性、想定される審理内容等に照 らして、消費者ごとに相当程度の審理を要する場合であると解される。 この点に関し、被告は、本件各対象消費者のうち、振替対象とされた別イベントに参加した者の中には、本件イベントのチケットを転売した者や、直接会場に来てそ 相当程度の審理を要する場合であると解される。 この点に関し、被告は、本件各対象消費者のうち、振替対象とされた別イベントに参加した者の中には、本件イベントのチケットを転売した者や、直接会場に来てその場で振替えを求めてきた者等がおり、被告において、どの者がそうした別イベントに参加したかを正確に把握できていない ことを指摘し、簡易確定手続における審理判断に相当の時間を要すると主張する。しかしながら、本件において、被告指摘の事情があることを認めるべき的確な証拠はない上、仮に、本件各対象消費者のうち、被告が別イベントへの振替えを案内する際に用いた申請フォーム等以外の方法により、個別に、別イベントへの振替えを申し出てこれに参加した者が一定数 存在するにせよ、そうした例外的な取扱いを含めて所要の手続を行ったのは、被告自身であり(弁論の全趣旨)、被告が振替手続を行った者に関する情報を何ら所持していないとは容易に考え難いというべきであって、前記(1)に説示したとおり、被告が振替対象とされた別イベントに参加した者の人数について具体的な推計を試みているところも、これに副う。以上 によれば、被告指摘の点をもって、本件につき簡易確定手続で対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であるとは認められず、その他本件において、これを認めるべき十分な証拠はない。 したがって、本件訴えは、特例法3条4号の支配性の要件を満たすと認められる。 3 主位的請求について (1) 本案の争点1(履行不能、請求原因)についてア前記前提事実(2)アに認定のとおり、本件イベントは、令和3年12月17日から同月19日までの3日間という特定の日に、大阪市A区内のA公園という特定の会場で、開催予定であったイベントである。本件イベ 記前提事実(2)アに認定のとおり、本件イベントは、令和3年12月17日から同月19日までの3日間という特定の日に、大阪市A区内のA公園という特定の会場で、開催予定であったイベントである。本件イベントへの参加に当たっては、前記3日間のうち特定の1日を対象と するチケットを購入する必要があったこと(弁論の全趣旨)、同ア及びイに認定のとおり、本件イベントには「空飛ぶクリスマスツリー」というイベント名が冠された上、その企画内容も、会場でクリスマスマーケット等を行いつつ、参加者がランタン・リリースを行うものであったことに照らし、本件イベントについては、単に開催概要として一定の日時 場所が予定されていたというにとどまらず、クリスマスを間近に控えた前記3日間という特定の日にイベントを開催することを本質的要素とするもので、前記3日間での開催それ自体が被告の債務となっていたというべきである。したがって、同(3)に認定のとおり、被告が同月17日及び同月19日の本件イベントを中止した以上、前記各日の本件イベ ント開催に関する被告の債務は、いずれも社会通念上履行不能になったと認められる。 これに対し、被告は、その後に同種・同内容の別イベントへの振替えを認める措置を取ったことを指摘し、被告の前記債務が履行不能になったとはいえないと反論する。本件イベントは、前記前提事実(2)イに認 定のとおり、参加者が一斉に、被告が用意したLEDスカイランタンを空に飛ばすことを内容とする点で、振替対象とされた別イベントと共通する面があるとはいえるものの(弁論の全趣旨)、本件イベントが特定の日時場所で開催されることを本質的要素とするものであることは、前記説示のとおりであって、本件各対象消費者の一部が、被告の申出に応 じて別イベントへの振替え 弁論の全趣旨)、本件イベントが特定の日時場所で開催されることを本質的要素とするものであることは、前記説示のとおりであって、本件各対象消費者の一部が、被告の申出に応 じて別イベントへの振替えを申し込み、これに参加したことに伴い、そ うした一部の消費者との関係で、事後に生じた当事者間の合意に基づき、被告の履行不能に起因する各人の権利義務が消滅等することはあり得るとしても、被告が別イベントへの振替えに関する申出をしたことから、直ちに、本件イベントの開催に関する被告の債務が履行不能にならないとはいい難い。その他本件において、被告の反論を容れ、前記認定 を覆すべき証拠はない。 イしたがって、本案の争点1に関する原告の主張は、理由がある。 (2) 本案の争点2(被告の帰責性、抗弁)についてア前記前提事実(2)イに認定のとおり、本件イベントは、参加者が一斉にLEDスカイランタンを空に飛ばすことを内容とするものであると ころ、使用されるスカイランタンが、ビニール製風船に充填されたヘリウムガスで空高くまで浮かび上がらせる仕様となっていたこと、風船の周りを和紙で覆ってLED光源を付した構造となっていたこと、糸を付けてイベント終了後に回収できるようになっていたことは、当事者間に争いがない。 本件イベントが相当多数のランタン・リリースを主たる企画内容とするものである以上、強風による影響を大きく受けることは容易に想定でき、あえて強風下で開催することで、多数のスカイランタンが想定外の遠方まで飛ばされたり、思わぬ方向に流されるなどした上、周囲の木や電柱等に引っ掛かったり、スカイランタンの糸同士が絡まり合ったり し、イベント終了後のランタン回収が困難となることはもとより、近隣の人や施設等に一定の被害を与える可能 るなどした上、周囲の木や電柱等に引っ掛かったり、スカイランタンの糸同士が絡まり合ったり し、イベント終了後のランタン回収が困難となることはもとより、近隣の人や施設等に一定の被害を与える可能性があったといい得る。また、本件イベントでは、前記前提事実(2)イに認定のとおり、会場内でクリスマスマーケット等の催事が行われる予定であったところ、催事場では、ドーム型の木枠にビニールを被せた簡易テントや装飾品が設置され るほか、キッチンカーや縁日ゲーム、フォトスポット等が用意されてい たのであって(当事者間に争いがない。)、強風下での開催により会場内のテントが倒壊するなどして、催事を安全に遂行できない可能性も否定し難いところであった(前記1(1)イ及び同(2)アないしウに認定のとおり、同月18日の大阪市における気象条件は、同月17日及び同月19日に比べ、風速がおしなべて低かったにもかかわらず、同月18日の 本件イベントに際し、会場内に設営されたテントが倒壊する事態が発生していた。)。同(1)ア及びウに認定のとおり、被告は、同月17日及び同月19日の午前中に本件イベントの中止を発表したが、同(2)ア及びウに認定のとおり、各発表時点において、大阪市には強風注意報が発表されており、イベント開催の予定時刻に気象条件が好転する確たる見 込みもなかったことを踏まえると(乙3、6、弁論の全趣旨)、同月17日及び同月19日の本件イベントの中止は、合理的な見地から、安全かつ円滑なイベント開催が見込めないためにされたやむを得ない判断ということができ、そうした判断に基づく被告のイベント不開催については、被告の責めに帰することができない事由によるものと認められ る。 この点に関し、原告は、現場付近における実際の状況が、本件イベ ができ、そうした判断に基づく被告のイベント不開催については、被告の責めに帰することができない事由によるものと認められ る。 この点に関し、原告は、現場付近における実際の状況が、本件イベントを中止する程度のものでなく、また、同様の気象条件であった令和3年12月18日には本件イベントを開催していることに照らし、同月17日及び同月19日のイベント開催が不可能であったとはいえないと 反論する。しかし、前者について、本件においてこれを認めるべき的確な証拠は存しないところであるし、後者についても、前記1(2)アないしウに認定のとおり、同月17日及び同月19日の各イベント中止決定時には、大阪市に強風注意報が発表されていたのに対し、同月18日には、午前9時33分に前日から継続していた強風注意報が解除される状 況にあったこと、イベント開催が予定された午後4時ないし午後9時の 風速の最高値が、同月17日7.4メートル毎秒、同月19日5.5メートル毎秒であったのに対し、同月18日では3.3メートル毎秒であったこと等の相違がみられるのであり、さらには、同(1)イに認定のとおり、同月18日の本件イベントで会場内のテント倒壊が発生したことから、同月19日の開催の是非を判断するに際しては、被告が安全性の 確保にいっそう慎重になって然るべきともいい得るのであって、本件イベントを安全に開催し得るかについて、被告が主催者として相応に慎重な態度を取ったことをもって、不合理と断じるのは相当でないというべきである。 その他、本件において、原告の反論を容れ、前記の認定判断を覆すべ き証拠はない。 イしたがって、本案の争点2に関する被告の主張は、理由がある。 4 予備的請求1について(1) 請求原因について前記3( 告の反論を容れ、前記の認定判断を覆すべ き証拠はない。 イしたがって、本案の争点2に関する被告の主張は、理由がある。 4 予備的請求1について(1) 請求原因について前記3(1)ア(本案の争点1)に認定説示したとおり、被告が令和3年1 2月17日及び同月19日の本件イベントを中止したことにより、前記各日の本件イベント開催に関する被告の債務は、いずれも社会通念上履行不能になったと認められる(前記3(1)アの説示に照らし、被告が別イベントへの振替えに関する申出をしたことをもって、債務の本旨に従った弁済の提供を行ったと評価する余地がないことも、明らかである。)。 したがって、本件各対象消費者は、民法542条1項1号により、前記各日の本件イベントに関するチケット売買契約又はチケット振替契約を無催告解除することができ、その場合に被告には解除に基づく原状回復としてチケット代金相当額を返還する義務が生じることになる。 (2) 本案の争点4(チケット規約2条該当性、抗弁)について ア被告は、令和3年12月17日及び同月19日の本件イベントについ て、チケット規約2条に基づき、本件イベントの中止によるチケット代金相当額の返還義務を負うことはないと主張する。 この点に関し、前記前提事実(2)オに認定のとおり、チケット規約2条には、被告がイベントの運営を中止した場合にチケット代金の返還を要しない事由として、①「戦争、暴動、騒乱、労働争議」といった治安 や社会秩序の混乱が想定されるとき、②「地震、噴火、大雨、洪水、津波」といった天災が発生したときが挙げられており、加えて、③「火災、停電」といったイベント開催の対象施設等が使用不能等となる事態が想定されるとき、④「感染症拡大」といった公衆衛生上 、大雨、洪水、津波」といった天災が発生したときが挙げられており、加えて、③「火災、停電」といったイベント開催の対象施設等が使用不能等となる事態が想定されるとき、④「感染症拡大」といった公衆衛生上の必要性が生じたときが具体的に列挙されているが、その一方で、強風によるイベント中 止の場合にチケット代金の返還を要しないことを直接規定する条項はなく、強風が不返金の対象事由となることを推知させるような文言等も存しない。 ところで、チケット規約2条には、⑤「その他の非常事態により、本サービスの提供が通常どおりできなくなった場合」を不返金の対象事由 とする規定が設けられており、被告は、令和3年12月17日及び同月19日の本件イベントの中止がこれに該当すると主張する。しかしながら、前記3(2)に認定説示したとおり、前記各両日における本件イベントの中止は、被告がイベント中止を発表した時点で、大阪市に強風注意報が発表され、イベント開催の予定時刻に気象条件が好転する確たる見 込みがなかったことのみならず、本件イベントの内容が、強風による影響を大きく受けることを考慮したものである。強風注意報は、強風により災害が発生するおそれがあると予想されるときに、注意を呼びかける目的で発表される予報であり(乙1、弁論の全趣旨)、現に災害が発生し、或いは、災害発生の具体的蓋然性が認められるような場合(チケッ ト規約2条に「非常事態」という文言が用いられている以上、気象状況 に由来する事態としては、当然、そのような場合が想定されていると解すべきである。)とは自ずから状況を異にするというべく、前記1(2)ア及びウに認定のとおり、前記各両日に大阪市に強風注意報が発表されており、本件イベントの開催が予定されていた時間帯に一定の強風が吹いて きである。)とは自ずから状況を異にするというべく、前記1(2)ア及びウに認定のとおり、前記各両日に大阪市に強風注意報が発表されており、本件イベントの開催が予定されていた時間帯に一定の強風が吹いていたからといって、それが直ちに前記⑤の非常事態に該当するとは 認められない(被告は、前記各両日の気象状況をもって、正しくチケット規約2条が定める「非常事態」に他ならないとも強調するが、非常事態という文言が有する通常の意味内容からしても、強風注意報の発表にとどまる前記各両日の気象状況がこれに該当するとは考え難い。)。前記3(2)アに説示したとおり、本件イベントは、強風による影響を大き く受ける内容の企画であり、あえて強風下で開催することで、近隣の人や施設等に一定の被害を与える可能性があったことは認められ、チケット規約2条が定める「本サービスの提供が通常どおりできなくなった場合」に該当する余地があるとはいい得るが、先に説示したとおり、それが「非常事態」によるサービス提供の不能に当たるとは認められないと いうべきである。その他本件において、被告の前記主張を認めるべき証拠はない(被告は、「大雨」により本サービスの提供が通常どおりできなくなった場合がチケット規約2条における不返金の対象事由に該当するのであれば、比較衡量の問題として、強風の場合もこれと同様に取り扱い、チケット規約2条該当性を肯定すべきであるというが、チケッ ト規約2条では、大雨が不返金の対象事由として挙げられる一方、強風は対象事由とされておらず、強風が対象事由となることを推知させるべき特段の文言等も存しないことは、先に説示したとおりであり、そうした点を捨象して、社会生活上、大雨と同様に発生する一般的可能性があるという理由のみをもって、強風についてもチケット規約2 推知させるべき特段の文言等も存しないことは、先に説示したとおりであり、そうした点を捨象して、社会生活上、大雨と同様に発生する一般的可能性があるという理由のみをもって、強風についてもチケット規約2条該当性を 首肯すべしとするのは無理があろう。チケット規約2条を作成、準備し たのは被告自身であり、強風による影響を大きく受ける内容の本件イベントを企画したのも被告である。チケット規約2条は、イベントが中止された場合にチケット代金を一切返還しないという内容の条項であって、イベント参加を申し込んでチケット代金を払い込んだ消費者側に不利益を与える内容であるから、その解釈においては、規約内容の合理性 はもとより、規約を読んだ消費者の理解の明確性にも十分配慮をすべき筋合いにあるといえ、そうした意味合いからも、被告の前記主張を容易く採用するわけにはいかない。)。 イしたがって、本案の争点4に関する被告の主張は、理由がない。 第4 結論 よって、原告の主位的請求は、理由がないから棄却すべきであるが、予備的請求1は、理由があるからこれを認容することとして、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第3民事部 裁判長裁判官高島義行 裁判官神田温子 裁判官南夢衣子 別紙対象消費者目録 1 被告との間で、別紙商品目録記載(1)のチケットの売買契約を締結し、同契約に基づき売買代金を支払った消費者 2 被告との間で、別紙商品目録記載(2)のチケットの売買契約を締結し、同契約に基づき売買代金を支払った消費者 3 被告との間で、別紙商品目録記載(3)又は(4)のチケットの売買契約を締結 2 被告との間で、別紙商品目録記載(2)のチケットの売買契約を締結し、同契約に基づき売買代金を支払った消費者 3 被告との間で、別紙商品目録記載(3)又は(4)のチケットの売買契約を締結し、同契約に基づき売買代金を支払った後、同売買代金相当額を対価とするチケットの振替契約に基づき、別紙物件商品目録記載(1)のチケットを取得した消費者 4 被告との間で、別紙商品目録記載(1)、(3)又は(4)のチケットの売買契約を締結し、同契約に基づき売買代金を支払った後、同売買代金相当額を対価とするチケットの振替契約に基づき、別紙物件商品目録記載(2)のチケットを取得した消費者以上 別紙商品目録 (1) 令和3年12月17日を開催日とする「LanternNight~空飛ぶクリスマスツリー~2021」のチケット (2) 令和3年12月19日を開催日とする「LanternNight~空飛ぶクリスマスツリー~2021」のチケット(3) 令和2年8月22日及び同月23日を開催日とする「京都七夕スカイランタン祭り2020」のチケット(4) 令和3年8月13日及び同月14日を開催日とする「京都七夕スカイランタン 祭り2021」のチケット以上
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