【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告理由は、「原判決ハ釈明権ノ不行使及職権調査不行使ノ為審理不尽及理由不 備ノ
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告理由は、「原判決ハ釈明権ノ不行使及職権調査不行使ノ為審理不尽及理由不 備ノ違法アリ抑々被上告人ノ本訴請求ハ被上告人所有ノ大阪市a区bD精工株式会 社ノ建物ガ昭和二十年六月下旬大阪市ニ於ケル空襲ニヨリ爆撃セラレタルガ同建物 及機械工具材料等ハE火災保険株式会社F支店ニ金八十万円ノ保険ニ加入シ居リ査 定ノ結果損害金額四十万円ト査定セラレ該金員ヲ被保険者タル被上告人ニ支払フコ トトナリタリ、然ル処該金員ハ新円ニテ自由支払ヲスルモノニ非レバ被上告人ハ之 ヲ新円ニテ受取リ度シトシテ上告人ニ依願シ上告人トノ間ニ該保険金ヲ上告人ニ譲 渡シ上告人ハ新円三十万円ヲ被上告人ニ引渡スコトトノ協定成立シタルヲ以テ上告 人ハ該保険金ヲ受取ルコトトシ右保険会社ヨリG銀行H支店ノ上告人ノ預金口座ニ 支払ヒアリ、上告人ハ新円交付ノ為被上告人宛本件小切手ヲ振出交付シタルモノナ リ依ツテ被上告人ハ支払ヲ受クル為本件小切手ヲ支払場所G銀行H支店ニ呈示シテ 之カ支払ヲ求メタルモ支払拒絶セラレクルヲ以テ上告人ニ対シ之カ支払ヲ請求シタ ルモノ之即本件ノ訴訟ナリ而シテ本件訴訟ニ於テ第一審及第二審共上告人敗訴ノ判 決言渡アリタルガ第二審ノ口頭弁論終結アリタル後上告人ガ調査シタル結果ニヨレ バ本件ノ如キ戦災保険金ハ昭和二十二年二月中支払ヲ為サズ一切解消スル旨ノ法令 ノ発布アリ之ガ為右保険会社ヨリG銀行H支店ノ上告人ノ口座ニ支払アリタル右保 険金モ解消セラレ支払ナキコトト為リタルコト判明シタリ、然ラバ被上告人ノ本件 小切手金ニ付キテモ之カ支払ヲ請求スルコトヲ得サル筋合ナリ右昭和二十二年二月 中発布セラレタル戦災保険金支払解消ノ法令ハモトヨリ強行法規ナレバ原審トシテ ハ此ノ点ニ付釈明ヲ為シ或ハ職権調査ヲ 告人ノ本件 小切手金ニ付キテモ之カ支払ヲ請求スルコトヲ得サル筋合ナリ右昭和二十二年二月 中発布セラレタル戦災保険金支払解消ノ法令ハモトヨリ強行法規ナレバ原審トシテ ハ此ノ点ニ付釈明ヲ為シ或ハ職権調査ヲ為シタル上判断スベキニ拘ラズ事茲ニ出デ - 1 - ズ上告人ヲ敗訴セシメタルハ審理不尽且理由不備ノ違法アルモノニシテ原判決ハ破 毀セラルベキモノナリ」というのである。 しかし、上告審においては、裁判所の職権調査事項に関するものを除いては、原 審に提出されない新な事実を主張して上告の理由とすることは、許されない。しか るに、本件において所論のような小切手振出の原因関係に基く抗弁事実につき原審 において全然主張がなかつたことは、記録上明かであつて、しかも、その事実は裁 判所の職権調査事項でないことはいうまでもないから、たとえ、上告人が被上告人 の請求を拒否し得べき事由のあることを、原審口頭弁論終結後に知つたとしても、 上告の理由として、かような事実を主張することは、できないのである。又原裁判 所が当事者の主張しない前示事実について審理をしなかつたのは、当然のことであ つて原判決には、所論のような違法はなく、論旨は理由がない。 よつて民事訴訟法第四百一条、第九十五条、第八十九条を適用して、主文の通り 判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎 裁判官 井 上 登 裁判官 庄 野 理 一 裁判官 島 保 裁判官 河 村 又 介 - 2 - 保 裁判官 河 村 又 介 - 2 -
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