令和5年10月5日東京地方裁判所刑事第10部宣告令和5年特第1070号金融商品取引法違反被告事件 主文 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、株式会社A証券取引所(以下「A証券取引所」という。)が開設する有価証券市場に株券を上場していた株式会社B(以下「B」という。)の代表取締役副社長兼最高執行責任者を務めていたものであるが、令和3年3月30日頃、その職 務に関し、Bが新たに算出した令和2年4月1日から令和3年3月31日までの事業年度におけるBが属する企業集団の売上高の予想値について、Bが令和2年10月30日に公表していた予想値に比較して減少し、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして内閣府令で定める基準に該当する差異が生じた旨のBの業務等に関する重要事実を知り、あらかじめBの株券を売り付けさせて損失の発生を回避 させる目的をもって第1 前記重要事実の公表前である令和3年4月4日頃から同月15日頃までの間、兵庫県内又は東京都内において、Cに対し、複数回にわたり、面前などで、Bの株券の売付けを勧めたものであり、これにより売付けを勧められた同人が、法定の除外事由がないのに、前記重要事実の公表前である同日及び同月16日、D証券 会社、E証券会社及びF証券会社を介し、東京都中央区(住所省略)所在のA証券取引所において、Bの株券合計9200株を代金合計1億4857万6000円で売り付け第2 前記重要事実の公表前である同月15日頃、東京都内において、Gに対し、複数回にわたり、面前などで、Bの株券の売付けを勧めたものであり、これにより 売付けを勧められた同人が、法定の除外 第2 前記重要事実の公表前である同月15日頃、東京都内において、Gに対し、複数回にわたり、面前などで、Bの株券の売付けを勧めたものであり、これにより 売付けを勧められた同人が、法定の除外事由がないのに、前記重要事実の公表前で ある同月16日、前記F証券会社を介し、A証券取引所において、Bの株券合計2000株を代金合計3286万円で売り付けた。 (量刑の理由)本件は、上場会社の代表取締役副社長等を務めていた被告人が、同社が属する企業集団の売上高の予想値が、直近に発表したものより約14パーセント減少するこ とを知り、同社の株価が下落する可能性が高いと考え、知人女性2名に対し、同社の株式の売付けを推奨した事案である。確実に損失の発生を回避させようと、上記予想値の発表までに、被推奨者らに対して繰り返し売却を勧めるなどしており、被推奨者らは、合計1万1200株を合計約1億8000万円で売り付け、それぞれ約1800万円及び約450万円の損失を回避したのであって、金融商品市場の公 正性・健全性や、それらに対する投資家の信頼を害する悪質な犯行といえる。交際関係にあり、被告人が勧めて同社の株式を取得させていた被推奨者らの損失を回避したいという身勝手な動機に基づく安易な犯行であり、上場会社の役員という責任ある立場の自覚を欠いていたと言わざるを得ない。被告人の刑事責任は軽く見ることはできない。 他方で、被告人が事実を認めて反省の態度を示し、二度と同様の行為はしない旨述べていること、既に上記会社の役員を辞任していること、見るべき前科もないことなど、被告人のために酌むべき事情も認められる。 以上の事情を総合考慮すると、被告人に対しては、主文掲記の刑を科した上で、その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。 るべき前科もないことなど、被告人のために酌むべき事情も認められる。以上の事情を総合考慮すると、被告人に対しては、主文掲記の刑を科した上で、その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。 主文 (求刑懲役1年6月) 令和5年10月10日 東京地方裁判所刑事第10部 裁判長裁判官 世森ユキコ 裁判官 日野周子 裁判官 友近仁洸
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