主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨(1) 原告が,被告オリンパス株式会社IMS企画営業部部長付きとして勤務する雇用契約上の義務がないことを確認する。 (2) 被告らは,原告に対し,連帯して金1000万円及びこれに対する平成20年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 仮執行宣言 2 請求の趣旨に対する答弁(1) 主文1,2項と同旨(2) 仮執行免脱宣言第2 当事者の主張 1 請求原因(1) 当事者等被告オリンパス株式会社(以下「被告会社」という。)は,デジタルカメラ,医療用内視鏡,顕微鏡,非破壊検査機器(NDT)等の製造販売を主たる業とする株式会社である。 被告X1は,原告の所属するIMS事業部事業部長で,IMS事業部を統轄する権限を有する。 被告X2は,IMS事業部の一部門であるIMS国内販売部の部長で,被告X1のすぐ下の職位であり,原告が,IMS企画営業部に異動になる前は,原告の直属の上司であった。 原告は,昭和60年1月から,被告会社に正社員として勤務している。原 告の資格はP2(係長格相当)である。 (2) 配転命令無効確認(請求の趣旨(1))についてア原告の職歴及びNDTシステムの概要原告は,昭和60年1月1日から平成4年まで,被告会社の技術開発センター及び辰野事業場においてカメラの研究開発業務に従事した。 平成6年,原告は,希望して営業職に転換し,国内販売部門,海外営業部門,ニューヨーク駐在,関連会社であるオリンパスイメージング株式会社のデジタルカメラ開発企画部門に配属された。 平成17年10月1日より,原告は被告会社IMS事業部に異動 国内販売部門,海外営業部門,ニューヨーク駐在,関連会社であるオリンパスイメージング株式会社のデジタルカメラ開発企画部門に配属された。 平成17年10月1日より,原告は被告会社IMS事業部に異動した。 原告は,1年間IMS事業部IMS企画営業部工業用内視鏡販売部門に配属となり,販売部門チームリーダー及びマーケティング部門チームリーダーの職位についた。 平成18年11月より,原告は,日本法人であるオリンパスNDT株式会社(以下,「ONDT」という。また,その国内販売部門を「ONDTジャパン」といい,被告会社を「OT」ということがある。)においてNDTシステムの営業に携わることになった。 平成19年4月1日ONDTは,被告会社と合併し,被告会社に吸収された。 原告は,同日から,IMS事業部国内販売部NDTシステムグループ営業チームリーダーの職位につき,NDTシステム営業販売業務の統括責任者として業務に従事していた。 NDTとは,非破壊的に鉄鋼製品等の傷を探知する検査機器をいい,NDTシステムは,NDTの中でも特に高度な技術レベル装置をいい,主に鉄鋼会社の製造ラインにインラインで設置される。NDTシステムは,注文に応じて設計製造され,検査規模や検査対象により,金額は異なるが,大型であれば,一機あたり2億円前後で取引され,その商談には最低でも 半年程度の綿密な打合せが必要となる。実際に納品するには,約1か月から2か月を要し,被告会社担当者は,商談先工場において,ほぼ連日常駐して作業を行う。 ONDTジャパンは,検査対象物を破壊することなく物体内部の傷や表面の目に見えない傷を探傷する検査方法である超音波探傷技術及び渦流探傷技術を利用した検査機器の販売を行っていた。 X3株式会社(以下「X3」という。)は,鉄鋼製品の 壊することなく物体内部の傷や表面の目に見えない傷を探傷する検査方法である超音波探傷技術及び渦流探傷技術を利用した検査機器の販売を行っていた。 X3株式会社(以下「X3」という。)は,鉄鋼製品のうち丸棒鋼を製造し,ONDT関係会社アールディーテックが受注した大型NDTシステム国内第1号機の納品先であり,最重要顧客であった。平成16年に第1号機が納入され,平成18年8月に第2号機が備え付けられた。 イ配転命令被告会社は,平成19年10月1日付けで原告に対し,IMS事業部IMS企画営業部部長付きへの配置転換(以下「本件配転」という。)を命じた(以下「本件配転命令」という。)。本件配転命令によって,原告は,新事業創生探索活動として,主にSHM(構造ヘルスモニタリング,StructuralHealthMonitoring 以下「SHM」という。)のビジネス化に関する調査研究を行う業務を担当することになった。 ウ就業規則及び労働協約の規定被告会社の就業規則(以下,単に「就業規則」という。)33条には「業務の都合により従業員に対し,同一事業場内の所属変更および職種の変更を命ずることがある。」との定めがあり,同34条には,「前2条の場合,従業員は正当な理由がなければ,これを拒むことができない。」と規定する。 被告会社と原告が加入するオリンパス労働組合間の労働協約(以下,単に「労働協約」という。)」40条は,「会社は職務の任免にあたっては,組織の必要性と効率性の観点から最も合理的に行う。」とし,41条(1) には,「会社は業務の都合により,組合員に事業場間の派遣,転勤,転籍または社外勤務を命ずることができる。」との定めがあり,同条(3)は,「会社は異動にあたり,人材の適所配置を狙いとしたチャレンジシステムを有効に活 務の都合により,組合員に事業場間の派遣,転勤,転籍または社外勤務を命ずることができる。」との定めがあり,同条(3)は,「会社は異動にあたり,人材の適所配置を狙いとしたチャレンジシステムを有効に活用する」と規定する。 エ就業規則34条「正当な理由」に該当する評価根拠事実(ア) 就業規則及び労働協約によれば,被告会社には労働契約上,原告を適材適所に基づいて配置すること,また,それを確保する上でも説明と納得のための手続を履行すべき義務を負担する。特に,能力成果主義処遇制度のもとでは,これらは,配転命令権を画する重要な要素である。 そして,被告会社においては,自分のキャリアプランを登録するキャリアプランデータベースが作成されている。キャリアプランは,労働者との話合いを通じてラインに立つ上司が将来性を評価した上で,決定承認するものである。 したがって,被告会社は,労働者に対し,キャリアプランの結果に基づき適材適所の人事配置をなすことを,労働契約上義務づけられている。 平成19年8月当時,原告と被告会社の間で,原告が所属していたIMS国内販売部NDTシステムグループにおいて,NDTシステムの取引先への定着と市場開拓を通じてキャリア形成を図ることが合意されていた。 よって,本件配転命令は,労働契約の基本的部分を変更して,営業職から全く異なる職種への異動を命じるものであって,債務不履行を構成し,就業規則及び労働協約に定める配転命令を拒否することが可能な合理的事情に該当する。 また,公益通報者保護法5条は,公益通報したことを理由とする不利益な取扱いを禁止している。加えて,被告会社はコンプライアンスについて行動憲章や行動規範を定めており,高い倫理観をもって業務に当た ることを求めている。したがって,被告会社は,原告に対し, 利益な取扱いを禁止している。加えて,被告会社はコンプライアンスについて行動憲章や行動規範を定めており,高い倫理観をもって業務に当た ることを求めている。したがって,被告会社は,原告に対し,労働契約上,主観的な疑いを根拠に法令違反となりかねない行為を社内通報した場合であっても,このような社内通報を抑制するような環境を作らないように配慮するとともに,そのような社内通報を理由に職務職場配置,賃金などの労働条件について不利益な取扱いをしない義務を負う。 (イ) 業務上の必要性についてa 本件配転命令前の原告の業務状況等についてIMS事業部へ転籍当時の被告会社の原告に対する高い期待とIMS事業部配属後の原告に対する高い評価からして,本件配転命令には業務上の必要性がない。 b 本件配転命令の内示時点における原告の担当案件の状況について本件配転命令の内示時点における原告の担当案件と原告が外された後の極めて不十分な結果及び被告会社が被った甚大な損失,原告がONDTに必要とされていた理由と原告にNDTシステムを担当させることの業務上の必要性からして,本件配転命令には業務上の必要性がない。 c 本件配転命令は人選の合理性がない原告が新たに担当することになった新事業創生探索活動とは,主にSHM(構造ヘルスモニタリング)のビジネス化に関する調査研究を行う業務である。この構造ヘルスモニタリングは,非常に技術的専門性が高く,ここ15年以上営業職であった原告の適任の業務をとはいえない。 被告会社の本件配転命令が原告の形成してきた技能経験を生かすものであるという説明は言い訳にすぎず,原告の積んできた経験と技能はSHM担当としてのはん用性が全くない,d 本件配転命令後の状況について NTT西日本(大阪・名古屋配転)事 を生かすものであるという説明は言い訳にすぎず,原告の積んできた経験と技能はSHM担当としてのはん用性が全くない,d 本件配転命令後の状況について NTT西日本(大阪・名古屋配転)事件・大阪高等裁判所平成21年1月15日判決に照らし,本件配転命令の時点及びその後のSHM業務について,その戦略性のなさと低い位置づけや,成果が上がる可能性の乏しさ,上司その他から成果を上げるための援助も与えられなかったこと,むしろ逆に社内外人脈への接触禁止その他の仕打ちによって成果を上げることが阻害されたことが認められ,本件配転命令には業務上の必要性がない。 (ウ) 不当な動機目的についてa 平成18年12月,X3から,従業員のX4がONDTジャパンに入社した。X4は,ONDTジャパンから事業譲渡を受けた被告会社において平成19年4月1日付けで,NDTシステム技術チームリーダーに任命された。 b 平成19年4月上旬,原告は,NDTシステムグループ技術チームに入ることになったX5から,X4がX3からX4の後輩が入社することになっている,3号機の受注をおみやげとして持ってくると言っていたと聞いた。 c 原告は,X3から1度ならず2度も社員を引き抜いたことが企業倫理上道義上問題があると考えた。また,原告は,被告会社社員は商談先社内に長期間にわたって常駐して対応しなければならないところ,商談先はX3と丸棒鋼で競合する会社がほとんどであって,X3退職直後の者が常駐することになれば,商談先は機密漏洩を危ぐするほか,X3に対するビジネスに支障が生じ,不正競争防止法に違反するおそれがあると判断した。 d 平成19年4月12日,原告は,被告会社の取引先であるX3から二人目の転職者が,転職とともにNDTシステム3号機の受注のおみやげを持ってくる行 正競争防止法に違反するおそれがあると判断した。 d 平成19年4月12日,原告は,被告会社の取引先であるX3から二人目の転職者が,転職とともにNDTシステム3号機の受注のおみやげを持ってくる行為をIMS事業部長被告X1に通報した。この通 報は,一人目の採用者X4及び被告X2との間で,二人目をそそのかし,その在職中に正当に取得できうるX3内の営業秘密を,転職後に不正使用,開示することを約束して,転職の便宜を図って,刑事罰の対象となる不正競争防止法第21条2項5号関連の共犯行為がまさに生じようとしていると原告が思料したことに基づくものであった。 e 平成19年5月21日,被告X1と被告X2は,原告を新宿モノリス25階応接室に呼び出し,ホワイトボードで入り口を封鎖し,容易に出られないようにして被告X1は手に持っている紙をペンでたたきながら,「なにをがたがたやっているんだ」,「あれほど口を出すなといったじゃないか」とどう喝威圧し,口封じをしようとした。原告は,被告X1の形相に恐怖を感じ,たまたま原告の携帯電話に電話がかかってきたことを理由に大急ぎでホワイトボードの下を何とかくぐり抜け,応接室から脱出した。 平成19年5月24日ころ,原告は,かぜをひいて健康状態が優れなかったが,医師から出張に行けると言われ,そのことで被告X2にも医師から伝えてもらったにもかかわらず,被告X1は,被告X2を介して,その医師の判断を無視して原告に精神的に問題があると虚偽の理由を挙げて出張取りやめを決定事項としてX6に伝えた。しかし,X6が出張中の原告の様子を被告X2に報告することを条件に出張中止は撤回された。 f そこで,原告は,平成19年6月11日,被告会社コンプライアンス室に電話をした。被告会社コンプライアンス室の室長X7及びX8が原告及 子を被告X2に報告することを条件に出張中止は撤回された。 f そこで,原告は,平成19年6月11日,被告会社コンプライアンス室に電話をした。被告会社コンプライアンス室の室長X7及びX8が原告及びONDT経理部X9と会って,原告がX3からの引き抜きの件を説明し,顧客からの信用失墜を防ぎたいと考えている等と相談した。 g しかし,コンプライアンス室は,平成19年7月3日,原告からの 相談に対する回答を電子メールで送信したが,IMS事業部長被告X1,被告会社人事部長X10にも同時配信し,更にX5があて先に含まれていた。 被告X1は,7月ころから原告に対する配置転換の検討を始めた。 h 被告会社コンプライアンス室が原告に対するメールを被告X1とX10人事部長に配信し,原告が通報した事実が被告X1に判明したため,X7室長の提案で平成19年7月12日に開かれた関係修復の会においても,被告X1は原告に「もっと大ごとにしたいのか」「覚悟していっているのか」と強い口調で原告が平成19年6月11日にコンプライアンス室に相談したことを責め,どう喝した。 i 被告会社は,平成19年8月末に,10月1日付けで原告が所属していたNDTシステムグループをIMS国内販売部からIMS企画営業部へグループごと異動させる組織編成を行うことを決定し,当時NDTシステムグループに所属していた原告以外の社員は,全員そのままIMS企画営業部に異動させた。 しかし,被告会社は本件配転命令により,原告のみをNDTシステムグループから外し,更に原告をチームにもグループにも所属させないIMS企画営業部部長付きとして配属させたのである。 また,原告は会社から貸与されているパソコンのモバイル用通信カードと携帯電話を返却するように指示された。 加えて,原告は,新た 所属させないIMS企画営業部部長付きとして配属させたのである。 また,原告は会社から貸与されているパソコンのモバイル用通信カードと携帯電話を返却するように指示された。 加えて,原告は,新たに担当することになった新規事業創生探索について何らの引継ぎを受けることはなかった。 j 平成19年8月28日,被告X2は,原告に対し,顧客訪問をすべてキャンセルするように指示した。 原告は,本件配転命令及びその後の理不尽な取扱いについて被告会社代表取締役あてに電子メールを送信して異議をとなえたが,被告会 社は産業医の受診診断を求めるだけであった。 k したがって,本件配転命令は,原告が被告X1及び被告X2らの画策した引き抜き行為に横やりを入れ,コンプライアンス室に通報したことに対し,報復としてなされたものである。また,原告をNDTシステム担当等から外すことでX3とのトラブルを収束させる目的でなされた恣意的なものである。 すなわち,本件配転命令は,①前記のように業務上の必要性もないのに,②被告会社人事制度の根幹的要請部分である適材適所に基づく通常の人員配置と異なるものであり,③このような配転命令が行われたのは,原告がX3社員の引き抜き問題について不正競争防止法に抵触することになるとの懸念から,被告会社コンプライアンス室に申告するなどの行動を制限し,無化することを意図,動機とするものである。 被告会社は,社員に対し,コンプライアンスに基づく業務の執行とこれに反する事態に直面したときには良心に恥じないように事実を申告するなどの行動を要求しており,また,公益通報者保護法は,一定の法令違反について疑いをもって社内申告した労働者に対する不利益取扱いを禁止している。 前記のような意図動機に基づく本件配転命令は,被告会社の義務及 要求しており,また,公益通報者保護法は,一定の法令違反について疑いをもって社内申告した労働者に対する不利益取扱いを禁止している。 前記のような意図動機に基づく本件配転命令は,被告会社の義務及び公益通報者保護法に反して違法無効である。 (エ) 本件配転命令によって被る不利益不合理性について本件配転命令は,①職業生活の基盤となり,しかも,被告会社の人事制度において待遇を決定するための不可欠な基盤である原告の職能形成の可能性を否定し,②そのために原告の将来の待遇に著しい不利益を与えることを予定され,③仕事を通じて形成された対内的,対外的な人間関係を否定し,④職場内外における労働者としての人格的評価をおとし めるという著しい不利益を加えるものであって,⑤被告会社の労働契約上の義務に反する著しく不合理なものである。 (オ) 本件配転命令をめぐる会社規定と手続及びその違法性について本件配転命令は,①原告の適性と意欲に基づいて確認されたキャリアプランを一方的に破棄するという基本的性質を有し,②前記のように業務上の必要性もないのに著しい不利益を加えるものであって,③被告会社の労働契約上の義務に違反するものであるのに,④何らの協議調整もなくなされた。 被告会社の労働協約及び就業規則によれば,社員は合理的な事情に基づく限り,配転命令を拒否できるものとされ,前記のように本件配転命令を拒否できる合理的な事情があるから,被告会社は,原告に対し,本件配転命令に従うように命ずる権限はない。 したがって,そのような場合,被告会社には,労働者の配転命令に対する同意を得るため十分な協議調整を行う労働契約上の義務があるのに,そうした措置を講じなかった。 よって,被告会社が原告に本件配転命令に従わせることは,本件配転命令にかかる権限を濫 配転命令に対する同意を得るため十分な協議調整を行う労働契約上の義務があるのに,そうした措置を講じなかった。 よって,被告会社が原告に本件配転命令に従わせることは,本件配転命令にかかる権限を濫用したものとして違法無効を免れない。 (カ) 以上により,原告は,被告会社に対し,原告被告会社間の労働契約に基づき,請求の趣旨第1項の判決を求める。 (3) 不法行為に基づく慰謝料等請求(請求の趣旨(2))についてア前提事実(ア) 請求原因(2)エ(ウ)不当な動機目的についてaからjのとおり(イ) 本件配転命令後のハラスメント被告らは,本件配転命令後も,原告を精神的に追い詰め退職に追い込もうとして次の行為をした。 被告らは,原告に対し,何らのトラブルが生じた事実がないにもかか わらず,人脈接触禁止という業務命令を行った。 X11担当部長及びX12部長により,毎月ほかの社員が受けていない2人がかりでの進ちょく報告と題した面談がなされ,その中で原告の業務レポートなどにはほとんど目を通していないにもかかわらず,一方的に「全く評価に値しない」,「何もやっていないに等しい」,「テイタラク」などと言って,原告に屈辱感を与えた。 原告にとって本件配転命令後の業務は,自らがこれまで培ってきた能力とはかけ離れた高度専門的な研究領域であるにもかかわらず,質問は直属の上司からはほとんど答えてもらえず,SHMについての知識を深めることが業務目標であったにもかかわらず,途中から資料整理だけが目標であると目標をすり替えるなどの嫌がらせを行った。 本件配転命令後,原告の期末の査定は,全欠者又は欠席率40パーセント未満の病欠者を対象とするような極めて低い評価を行って,原告の勤労意欲をそいだ。 X11担当部長は,原告に対してだけ,「オ 本件配転命令後,原告の期末の査定は,全欠者又は欠席率40パーセント未満の病欠者を対象とするような極めて低い評価を行って,原告の勤労意欲をそいだ。 X11担当部長は,原告に対してだけ,「オマエ」と呼び,原告に対する侮辱を繰り返した。 (ウ) 公益通報者保護法違反請求原因(2)エ(ウ)不当な動機目的についてd記載のとおり原告は思料して,被告X1及び被告会社コンプライアンス室に通報した。しかるに,被告らは,この行為を嫌悪して,本件配転命令及び不利益な人事査定を行った。これは,通報を理由とする不利益取扱いを禁止した公益通報者保護法5条に違反する。 イ本件権利侵害前記ア記載の前提事実は,原告の人間としての誇りや尊厳という原告の人格的利益を傷付けるものである。 また,公益通報者保護法に基づく公益通報において,通報者の氏名と通 報対象事実は,秘匿されるべき人格的利益を有するところ,被告会社コンプライアンス室による漏洩により,原告は,極めて秘密性の高い個人情報を意図しない第三者に漏洩され,精神的平穏を侵害された。 ウ被告らの責任(ア) 被告会社の責任被告会社は,前記請求原因(2)エ(ア)記載の労働契約上の義務を負うほか,労働契約上労働者の就労の権利及び名誉等の人格的利益を保護し,それが侵害されるおそれがあるときはこれを防止する義務を負う。また,条理上,労働契約の付随義務として,あるいは社会通念上の義務として,労働者が安心して職務に従事できるように職場環境を良好に保つべき職場環境調整義務がある。 前記ア記載の被告会社の行為は,以上の労働契約上の義務に違反するから,民法709条により損害賠償義務を負う。 また,被告会社は,後述のように被告X1及び被告X2の不法行為が職務を執行するにつき行われたもの の被告会社の行為は,以上の労働契約上の義務に違反するから,民法709条により損害賠償義務を負う。 また,被告会社は,後述のように被告X1及び被告X2の不法行為が職務を執行するにつき行われたものであるから,これについて民法715条に基づく責任を負う。 (イ) 被告X1の責任被告X1は,請求原因(2)エ(ウ)不当な動機目的についてe第1段落のとおりどう喝するほか,原告がコンプライアンス室に通報した報復として本件配転命令を決行し,本件配転命令後も,X11担当部長及びX12の上司として,原告に対する嫌がらせを積極的に指示した。仮に,そうでないとしても,これらの嫌がらせを辞めさせるなど適切な措置をとらず放置した。 これらの行為は,原告の前記権利を侵害するものとして,民法709条及び719条に基づいて損害賠償責任を負う。 (ウ) 被告X2の責任 本件配転命令に先立ち,本件配転命令について,原告の直属の上司として被告X2は,原告に十分な動機付けをする義務があり,原告の意向を確認するべきであった。 しかし,被告X2は,これらの義務を怠ったものであり,民法709条に基づき責任を負う。 (エ) 各被告相互の責任関係被告らは間には,原告を被告会社から排除し,退職に追い込む目的で本件配転命令を含む人格権侵害を行っており,相互に利用補充関係が認められるから,主観的関連共同がある。 また,被告らの人格権侵害は,全体として原告に対する報復見せしめの効果を発生させることから,客観的関連共同がある。 エ損害(ア) 賞与の減額原告は,本件配転命令後の被告会社の不当な人事評価により,不合格点とされ,次の損害を被った。 a 第140PA期(平成19年4月から同年9月,なお,以下,単に第140PA期ということがある。) 原告は,本件配転命令後の被告会社の不当な人事評価により,不合格点とされ,次の損害を被った。 a 第140PA期(平成19年4月から同年9月,なお,以下,単に第140PA期ということがある。)基本給41万8600円賞与妥結月数 3.7か月合格点とした場合の賞与額 154万8820円総支給額 147万1400円差額 7万7420円b 第140PB期(平成19年10月から平成20年3月)基本給41万8600円賞与妥結月数 3.3か月合格点とした場合の賞与額 138万1380円 総支給額 131万2300円差額 6万9080円c 第141PA期(平成20年4月から同年9月)基本給42万1000円賞与妥結月数 2.8か月合格点とした場合の賞与額 117万8800円総支給額 111万9900円差額 5万8900円d 第141PB期(平成20年10月から平成21年3月)基本給42万1000円賞与妥結月数 1.6か月合格点とした場合の賞与額 67万3600円総支給額 63万9900円差額 3万3700円e 差額の合計23万9100円(イ) 慰謝料被告らの行為によって被った原告の慰謝料としては,876万0900円を下らない。 (ウ) 弁護士費用弁護士費用としては100万円が相当因果関係のある損害である。 (4) よって,原告は,被告らに対し,民法709条,715条,719条に基づく損害賠償請求として,請求の趣旨第2項のとおり金1000万円及び本訴状送達の日の翌日である平成20年2月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の各支払を求める。 2 請求原因に対する認否(1) 請求原因(1)は認める おり金1000万円及び本訴状送達の日の翌日である平成20年2月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の各支払を求める。 2 請求原因に対する認否(1) 請求原因(1)は認める。 (2) 請求原因(2)配転命令無効確認についてア請求原因(2)アからウは認める。 イ(ア) 請求原因(2)エ(ア)は争う。キャリアプランに対する上司のコメントは次の人事異動がないことを約束するものではない。 (イ) 請求原因(2)エ(イ)は否認する。原告に対する業務上の指示は正当なものである。 (ウ) 請求原因(2)エ(ウ)のうちaは認める。 同bは知らない。 同c及びdのうち原告が被告X1に対し,平成19年4月12日に「X3からの二人目の転職希望者はとりやめるべきである」及び「重要案件を漏らしたX4氏を処分するべきである」旨の意思表示をしたことは認め,その余は知らない。。 同eのうち平成19年5月21日に原告,被告X1,被告X2及びX4の4人が,被告会社新宿本社25階応接室において会議を行ったこと,被告X2が,原告の体調を心配し原告の出張の中止を提案したが,X6が原告を出張に生かせることを主張し,両者で協議した結果,同行するX6が原告の様子を見て被告X2に毎日報告することを条件に出張に行かせるという結論になったことは認め,その余は否認する。 同fは認める。 同gは認めるが,コンプライアンス室は,関係者間の関係修復をするため,原告の承諾の下で,被告X1及びX10人事部長に同時配信した。 X5への送信は,X3の採用に関する原告の情報源はX5とコンプライアンス室では聞いていたことなどから,X5を通報者と誤解してあて先に入れたものである。 同hのうち平成19年7月12日被告X1らと原告及びX5との関係修 用に関する原告の情報源はX5とコンプライアンス室では聞いていたことなどから,X5を通報者と誤解してあて先に入れたものである。 同hのうち平成19年7月12日被告X1らと原告及びX5との関係修復の会合が持たれたこと,その会合に被告X1,被告X2,X5,X 7コンプライアンス室室長等が集まったことは認め,その余は否認する。 同iのうち原告が平成19年10月1日付けでIMS企画営業部部長付きとなったこと,原告の指揮下にある担当者がいないこと,原告の新たな直属の上司がX11担当部長であること,NDTシステムチームが企画営業部の所属となったこと,原告が会社から貸与されているパソコンのモバイル用通信カードと携帯電話を返却するように指示されたことを認め,その余は否認する。 同jは認める。 同kは争う。 (エ) 請求原因(2)エ(エ)は否認する。 (オ) 請求原因(2)エ(オ)は否認する。 (3) 請求原因(3)不法行為に基づく慰謝料等請求についてア(ア) 請求原因(3)ア(ア)は前記⑵請求原因に対する認否イ(ウ)のとおり。 (イ) 請求原因(3)ア(イ)は否認する。 (ウ) 請求原因(3)ア(ウ)は否認する。 イ請求原因(3)イは否認する。 ウ請求原因(3)ウは否認する。 エ請求原因(3)エは否認する。 3 抗弁-配転について(1) 業務上の必要性についてア本件配転命令によって,原告は,SHM(構造ヘルスモニタリング)のビジネス化に関する調査研究を行う業務を担当することになった。ここで,SHMとは,一定期間にわたって時間軸上で対象物(構造物)の健全性を監視するシステムであって,航空機のメンテナンスの場面において注目されている。 イ被告会社において,構造ヘルスモニタリングビジネスが被告会社の非破 わたって時間軸上で対象物(構造物)の健全性を監視するシステムであって,航空機のメンテナンスの場面において注目されている。 イ被告会社において,構造ヘルスモニタリングビジネスが被告会社の非破 壊検査ビジネスの拡大に寄与すると期待して,平成17年から取組を開始し,被告会社IMS事業部では,平成19年度及び平成20年度事業部方針の中で,構造ヘルスモニタリング技術フィージビリティー(実現可能性)と事業性の検討を継続推進することを重点施策としている。 ウ原告が米国駐在経験があり英会話にたん能であること,工業高等専門学校出身であること,NDT機器の販売業務に従事し営業職の経験があることから,このような新事業創生探索活動の担当者として原告は適任であった。 (2) 著しい職業上及び生活上の不利益について本件配転命令は,原告をIMS事業部内で異動させるものにすぎず,原告の勤務地,給与その他の処遇に関して一切の変更は生じていない。 (3) 不当な動機目的について原告によるコンプライアンス室への通報は,既に社内の正規の手続にのっとった対応が完了しているから,報復する理由がない。 4 抗弁に対する認否(1)ア抗弁(1)アは認める。 イ抗弁(1)イは否認する。 ウ抗弁(1)ウのうち原告が適任であることは否認し,その余は認める。 (2) 抗弁(2)のうち原告の勤務地に変更がないことは認め,その余は否認する。 (3) 抗弁(3)は否認する。 理由 1 請求原因(1)は当事者間に争いがない。 2 請求原因(2)配転命令無効確認のうち請求原因(2)アからウは当事者間に争いがないから,以下,請求原因(2)エ及び抗弁について検討する。 (1) 「使用者は業務上の必要に応じ,その裁量により労働者の勤務場所を決定する 令無効確認のうち請求原因(2)アからウは当事者間に争いがないから,以下,請求原因(2)エ及び抗弁について検討する。 (1) 「使用者は業務上の必要に応じ,その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきであるが,転勤,特に転居を伴う転勤は, 一般に,労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから,使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく,これを濫用することの許されないことはいうまでもないところ,当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であつても,当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等,特段の事情の存する場合でない限りは,当該転勤命令は権利の濫用になるものではないというべきである」(最高裁判所昭和61年7月14日判決)。すなわち,配転命令は,配転の業務上の必要性とは別個の不当な動機や目的をもってなされた場合には,権利濫用となる。また,配転命令が,当該人員配置の変更を行う必要性と,その変更に当該労働者をあてるという人員選択の合理性に比し,その命令がもたらす労働者の職業上ないし生活上の不利益が不釣合いに大きい場合には権利濫用となる。 そして,業務上の必要性については,「当該転勤先への異動が余人をもつては容易に替え難いといつた高度の必要性に限定することは相当でなく,労働力の適正配置,業務の能率増進,労働者の能力開発,勤務意欲の高揚,業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは,業務上の必要性の存在を肯定すべきである」(前記最高裁判所判決)。 (2) まず,原告は,請求原因(2)エ(ア)において,配転命令について様々な 化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは,業務上の必要性の存在を肯定すべきである」(前記最高裁判所判決)。 (2) まず,原告は,請求原因(2)エ(ア)において,配転命令について様々な契約上の義務が存在し,本件配転命は全く異なる職種への異動であると主張する。 しかし,証拠(甲25,甲129,甲130,乙7,被告X1)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 被告会社におけるキャリアプランデータベースとは,各PA期初の育成面接において,被告会社労働組合員全員が自分のキャリアプランを登録するものである。人事部はこれを活用して,より職場ニーズや労働者本人のニーズにあった人事異動を実現できるよう尽力するものとされ,職制もこのデータ ベースを活用して,常に部下のキャリアプランを意識した育成を実施するように求められている。キャリアプランデータベースの登録内容としては,現職について感じていること,現在までの担当業務と達成目標,これまでに経験した職種,今後就きたい職種,能力開発テーマ,本人への育成コメント等がある。しかし,被告会社作成の「活力ある人と組織を目指してオリンパスの人事制度」によれば,キャリアプラン自体の位置づけは必ずしも明確ではなく,上司の承認手続についても記載がない。しかも,被告X1の供述によれば,キャリアプランを承認するのは第3階層(BM)である部長の責任範囲であり,被告X1が本件配転を決定したことが認められるところ,第2階層(HM)である事業部長被告X1は目を通さないのである。 一方,被告会社においては,目標管理制度が採用され,目標管理制度は,結果管理ではなく,結果を生み出すプロセス管理も重要な要素であり,リーダーの役割は,部下の行動が目標達成できない方向に向かっている場合,それを軌道修正し は,目標管理制度が採用され,目標管理制度は,結果管理ではなく,結果を生み出すプロセス管理も重要な要素であり,リーダーの役割は,部下の行動が目標達成できない方向に向かっている場合,それを軌道修正し,目標達成できるようにすることであり,部下の価値創造力を向上させ,組織力を強化させることにある,そのためには日ごろからのコミュニケーションと適切な指導が不可欠である,目標管理制度はマネジメントそのものであるとされている。 このようにキャリアプラン自体は,原則的に労働者が作成するものである。 飽くまで人事部は,人事異動の際,労働者の希望にあった人事異動を実現できるよう尽力するにすぎない上に,被告会社における目標管理制度において,キャリアプランに記載された「本人への育成コメント」や上司の承認手続の位置づけは不明確である。これらを考えると,キャリアプランの記載自体を根拠に被告会社に労働契約上の義務を認めることはできない。 したがって,原則どおり,被告会社においては,労働契約において職種が限定されていない限り,企業は,業務上の必要に応じ,その裁量により労働者の勤務内容を決定することができるものと解される。そして,弁論の全趣 旨によれば,原告と被告会社間に営業職・開発(技術)職というような職種に関する明確な雇用契約はないことが認められる。 したがって,本件において,就業規則34条「正当な理由がなければ,これを拒むことはできない」との規定は,前記判例と同じ枠組みによって判断をするべきであり,業務上の必要性については,企業の合理的運営に寄与する点があれば,これを肯定するべきである。 なお,公益通報者保護法5条等については,別途検討する。 原告は大阪高等裁判所平成21年1月15日判決を有利に援用するが,当該労働者らが長時間の新幹線通勤又 あれば,これを肯定するべきである。 なお,公益通報者保護法5条等については,別途検討する。 原告は大阪高等裁判所平成21年1月15日判決を有利に援用するが,当該労働者らが長時間の新幹線通勤又は単身赴任を余儀なくさせるものであったことなどを前提事実としており,企業と労働者の利益を衡量して判断する権利濫用の枠組みにおいては,事案が全く異なる 3 請求原因(2)配転命令無効確認エ(エ)本件配転命令によって被る不利益不合理性及び抗弁(2)について,最初に検討する。 まず,本件配転命令による勤務地に変更がないことは当事者間に争いがない。 加えて,原告は,本件配転命令の結果,原告の賞与が減少したと主張するが,本件配転命令との因果関係はさておき,原告主張を前提としても,その金額は平成19年4月から2年間で合計23万9100円にすぎない。逆に,第141PA期においては,原告の基本給は増額されている。 更に,原告に賃金の減額が伴う地位の降格があったことを認定するに足りる証拠はない。 そして,前記2(2)記載のとおり被告会社におけるキャリアプランを根拠に労働契約上の義務を認めることはできないから,これを理由に原告に不利益又は不合理性を認めることはできない。 また,原告は本件配転命令により,取引先や社内関係者との接触を断たれたと主張するが,本件配転命令にそのような内容は含まれておらず,理由がない。 したがって,形式的客観的には,本件配転命令による原告に生ずる不利益は わずかなものである。 なお,原告は,IMS企画営業部部長付きという異例な役職につけられており,事実上の不利益を被っていると主張する。 しかし,証拠(甲25)によれば,部長付という役職自体正規の役職として存在し,原告本人尋問の結果によれば,原告自身部長付NDTシ 例な役職につけられており,事実上の不利益を被っていると主張する。 しかし,証拠(甲25)によれば,部長付という役職自体正規の役職として存在し,原告本人尋問の結果によれば,原告自身部長付NDTシステム統括という役職名で仕事をしていたことが認められ,事実上の不利益があったとしても,これを重視することはできない。 4 次に,請求原因(2)配転命令無効確認エ(ウ)不当な動機目的及び抗弁(3)について検討する。 (1) 証拠(甲2から甲7)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア被告会社のコンプライアンスヘルプライン運用規定(以下「コンプライアンスヘルプライン運用規定」という。)には次のように定められている。 (利用対象事項)4条従業員等は,従業員等が関与する以下の事項について,上長または専門部署への相談・報告が困難である場合,ヘルプラインを利用して通報することができる。(1)組織的または個人による法令,社規則,企業行動憲章・行動規範に反する,または反する可能性があると感じる行為(以下,法令違反等) (2)業務において生じた法令違反等や企業倫理上の疑問や相談(通報要領)8条従業員等は,ヘルプラインを利用して法令違反等の通報をする際,次の事項に留意する。(1) 通報内容は,法令違反等に関して客観的で合理的根拠に基づいた誠意あるものに限られるものとし,個人的利益を図る目的,個人に対する私怨,誹謗中傷する目的,個人の不平不満や意見を表明する目的で通報をしてはならない。(2) 通報する際は,客観的な合理的根拠とそれに基づく推測とを区別して述べ,噂を含む曖昧な事実を客観的事実として断言したり,誤解を与えるような表現をしたりすることは避けなければならず,付表の連絡シートの内容に従って,「いつ・ どこで・誰が・何を とを区別して述べ,噂を含む曖昧な事実を客観的事実として断言したり,誤解を与えるような表現をしたりすることは避けなければならず,付表の連絡シートの内容に従って,「いつ・ どこで・誰が・何を・どのように」をできる限り明確にし,原則として所属部署及び氏名を明らかにしなければならない。 (守秘義務)14条ヘルプライン宛てに送信された電子メール・書面・電話は,原則としてコンプライアンス室長及び限定されたコンプライアンス室の担当者のみが受信するものとする。 2 コンプライアンス室の担当者は,通報者本人の承諾を得た場合を除き,通報者の氏名等,個人の特定されうる情報を他に開示してはならない。 3 コンプライアンス室及び調査・対応チーム等,通報された事案に関与したすべての者は,調査・対応上必要な場合を除き,通報内容及び調査内容を他(自らの所属長を含む。)に一切開示してはならない。 (通報者の保護)16条国内オリンパスグループは,通報者に対して,ヘルプラインを利用したという事実により不利益な処遇を行ってはならない。不利益な処遇とは,解雇,降格,減給等の懲戒処分や不利益な配置転換等の人事上の措置のほか,業務に従事させない,もっぱら雑務に従事させる等の事実上の措置を含む。 イ被告会社は,オリンパスグループ企業行動憲章を定め,その前文で「法令遵守はもとより,高い倫理観を持って企業活動を行う」とし,社員に徹底させていた。 (2) 証拠(甲1,甲9,甲12から甲23,甲28から甲35,甲37から甲39,甲41,甲43,甲44,甲61,甲74,甲78,甲96,甲101,甲129,甲130,甲134から甲136,甲143,甲155,甲186,乙1から乙15,証人X10,証人X7,証人X12,原告本人,被告X1)及び弁論の全趣旨によれば,次の 8,甲96,甲101,甲129,甲130,甲134から甲136,甲143,甲155,甲186,乙1から乙15,証人X10,証人X7,証人X12,原告本人,被告X1)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。なお,事実認定に際し,主要な証拠は括弧内に掲記した。 平成17年10月1日付けで,原告は,オリンパスイメージング株式会社デジタルカメラ部門から,被告会社IMS事業部への転属命令が発令され, 異動した。 平成18年2月1日,原告は,それまでIMS企画営業部IMS東京グループの構成員であったが,そのチームリーダーとなった(甲39)。 平成18年5月16日,原告は自らの「139Pキャリアプラン」において,現在担当している業務の内容について,顧客密着型(国内セールス,開発と協業)のスペシャルオーダーの受注及び販売拡大と記載し,平成18年6月1日,被告X1は,その育成者コメント欄で,「卓越した推進力と,困難な利害対立の場面もその障害を取り除き,正しい方向に導く交渉能力を有する。一方で,あまりにも率直な為,時として仕事の繋がり・目的・計画性が見えづらくなったり,強引になってしまうことがあり,問題意識を当事者意識としてより強く意識し取り組んでいってもらうことを期待する。」と記載した(甲134)。 平成18年7月1日,原告は,IMS企画営業部IMSマーケティンググループアプリケーションチームのチームリーダーとなった(甲39)。 平成18年10月ころ,被告会社において,「2007年度Eゾーン昇格検討業務最終分科会用評定集計表」が作成され,原告について「顧客情報の評価検討の体制構築。自分・メンバー・開発メンバーの意識と関係,顧客情報の把握・分析・検討のプロセスを模索しながら変えている途上であり,具体的・戦略的な課題分析 が作成され,原告について「顧客情報の評価検討の体制構築。自分・メンバー・開発メンバーの意識と関係,顧客情報の把握・分析・検討のプロセスを模索しながら変えている途上であり,具体的・戦略的な課題分析や施策提案にはまだ至っていない。ソリューションビジネスの捉え方も「改造レベルも含む」という広く抽象的なもので,潜在ニーズへの具体的なアプローチ方法や,掘り起こした具体的なニーズやソリューションの例示もなく,内容がわからなかった。エモーショナル・対人的な取組みに終始,しかし論理的・分析的な取組みは弱い。フィージビリティのある具体的な商品・システム,販売戦略の策定において,リーダーシップを発揮し,具体的な提案としての成果を期待したい。」とコメントされ,フィージビリティー(実現可能性)のある具体的な戦略の策定において指導力 を発揮することが指摘され,昇格はなされなかった(乙15)。これに先立ち,被告会社は,原告について「2007年度Eゾーン昇格候補者推薦書」を作成し,原告の推薦機能として営業販促とし,被推薦者の今後の課題として,「目的を高い次元で達成する為にあらゆる手段(時には上司をも使う)を駆使し,その目的を達成するという行動的な点において,また会社の事業が置かれている立場を理解し,組織上或いは仕事上問題と考える事象について意見具申出来るという点において非凡な能力があるが,あまりにも率直な為,時として仕事の繋がり・目的・計画性が見えづらくなったり強引になってしまうことがある。仕事に対する取り組みとして良い面・悪い面は表裏一体であり,変革推進を行うには問題意識を当事者意識としてより強く意識する事が必要である。」と記載した(甲143)。なお,被告会社においては,職能ゾーン資格制度を採用し,E(エグゼクティブ),P(プロフェッショナル),S うには問題意識を当事者意識としてより強く意識する事が必要である。」と記載した(甲143)。なお,被告会社においては,職能ゾーン資格制度を採用し,E(エグゼクティブ),P(プロフェッショナル),S(スタッフ)の三つのゾーンに分け,Eゾーンは経営職層として最上位資格であった(甲129)。 平成18年10月12日,被告X1は,原告に対し,ONDTジャパンへの異動を内示した。このころ,被告X2は,原告に対し,取引先の従業員が中途採用により入社する予定があることを原告に伝えた。 平成18年11月1日,原告は,IMS企画営業部IMSマーケティンググループチームリーダーではなくなり,構成員となった(甲39)。 平成18年11月,原告は,NDTシステムの営業を担当することとなった。 平成18年12月,X3からX4がONDTジャパンに入社した。 平成19年2月,原告はX3を訪問後,被告X2に対し,X4にX3の従業員と連絡を取らせないようにX3のX13取締役から言われた旨伝えた。 平成19年3月28日,被告X2は,原告の第139PB期の評価表を作成し,第1次評価として116点,「課題としては,NDTシステムG統括 として,技術,営業をしっかりとマネジメントし,且つ顧客の信頼を維持向上させながらも,Quebecを巻き込んだ新体制構築をできるだけ早期実現させる事に向かっての取り組みである」と記載された(甲32)。 平成19年4月1日付けで,ONDTジャパンは,被告会社に事業譲渡し,同日付で原告は,NDTシステムグループ営業チームリーダーの辞令を受けた(甲39)。原告の名刺には,「部長付NDTシステム統括」との肩書が付された(原告本人)。 平成19年4月1日付けで,X4は,被告会社NDTシステム技術チームリーダーに任命された。 辞令を受けた(甲39)。原告の名刺には,「部長付NDTシステム統括」との肩書が付された(原告本人)。 平成19年4月1日付けで,X4は,被告会社NDTシステム技術チームリーダーに任命された。 平成19年4月12日,原告は,IMS事業部長の被告X1を訪ね,X3からの2人目の転職希望者の件はとりやめるべきであるなどと言った。 平成19年4月13日,原告は,被告X2に対し,電子メールを送信した。 その内容は,昨日の件ですが,飲み会の場でX4氏が複数名に対して発言した内容については,社内機密事項の漏洩に値し,特に直ちに同じようなことの繰り返しを防ぐため,厳しい措置と指導を課すに値すると考えます,以下が,飲み会の場(X5君の歓迎会)でのX4氏の発言内容です,1X3からX4氏の後輩がオリンパスに入社することになっている,2その人はオリンパスに採用される際に,X3の3号機システムの受注を持ってくる,3X14には絶対しゃべらないことの口止めを要求したというものであった(乙13)。 平成19年4月13日,被告X2は,被告X1に前記電子メールを転送し,相談したが,同日,被告X1は,X2に対し,X14にはあまり大騒ぎするなと言ってください,他に大事なことはたくさんありますなどと電子メールを送信した(乙13)。 平成19年4月16日9時56分,被告X1は,原告に電子メールを送信した。その内容は,原告が被告X1に提言しに来たのは大間違い,原告のボ スは被告X2だ,すべてのことはX1-X2-原告-メンバー(顧問)の指揮命令系統で動くことだ,被告X1に直接来ること自体が被告X2の顔をつぶす,被告X2が,X3のことは任せろと原告に指示した,被告X1は,被告X2に国内販売の機能を委嘱している,X3の人の件もやり方は任せている,X3との関係性 X1に直接来ること自体が被告X2の顔をつぶす,被告X2が,X3のことは任せろと原告に指示した,被告X1は,被告X2に国内販売の機能を委嘱している,X3の人の件もやり方は任せている,X3との関係性を損なわない前提でしか動かないことも約束している,X3との関係性の件,言われるまでもなく微妙である,だからアプローチを慎重にしている,最初に言っているのは「買収後の組織経営の安定化」だなどというものであった(甲9)。 平成19年4月16日11時28分,被告X2は,原告に対し,X4君にはX2より口頭にて厳重に注意する,当日の参加者及び他のメンバーへのアクションは起こさないなどと電子メールで送信した(乙13の2)。 平成19年4月下旬,原告は,X4から,X3から入社することになっているのは同社設備部所属のX15であり,内定していることを聞いた。 平成19年5月21日,原告,被告X1,被告X2及びX4が,被告会社新宿本社の25階応接室で会議を行った。応接室にはホワイトボードがあった。原告は,携帯電話に電話がかかってきた後,自ら応接室を退出した。 平成19年6月11日ころ,,原告は,コンプライアンスヘルプラインにその趣旨は不明確であったものの電話をかけ,被告会社コンプライアンス室長X7とその部下であるX8が,原告及びX9と会って話を聞いた。原告及びX9は,X7及びX8に対し,X3からの引き抜きの件を説明し,X3からの引き抜きがまだ実行されるかもしれないし,第2,第3の引き抜きが発生する可能性も否定できない,顧客からの信頼失墜を招くことを防ぎたいと考えている等と相談した。 平成19年7月3日14時36分,コンプライアンス室長X7から原告に対し,コンプライアンス室への相談に対する回答(以下「本件回答」という。)が電子メールで届いた。電子メ 考えている等と相談した。 平成19年7月3日14時36分,コンプライアンス室長X7から原告に対し,コンプライアンス室への相談に対する回答(以下「本件回答」という。)が電子メールで届いた。電子メールは,原告とX5をあて先として,被告X 1,被告会社X10人事部長へも同報配信されていた(甲12)。その内容は,「相談や申告の事実と内容は,秘密を厳守し,通報者が不利益な処遇を受けることがないよう配慮しています」,「今回の通報は,通報者とその内容を人事部及び職制に開示することについて承諾を得た上で,具体的な経過を確認いたしました。その結果と処置について,以下の通り連絡します。」,「4 本件に対する処置 (1)取引先担当者の採用に関する注意喚起採用に関しては人事部がチェックし,問題があれば個々に注意しており,改めて注意喚起を行うかどうかは人事部に一任する。人事部では,取引先担当者の採用に関する明文化された基準はないが,基本的には道義的な問題があり,”採用は控える”というのが原則だと考えている。採用する場合には,当事者が当社への転職を希望し,取引先と当社との間で機密保持誓約を含む同意が成立しない限り行わないこととしている。」などというものであった(甲12)。 平成19年7月3日,X9,X5,原告,X7コンプライアンス室長,X8の5名が会合を持った,X7コンプライアンス室長は,原告及びX5に対し,X5を通報者として扱ったことに対し,謝罪した。なお,原告は,X7が,通報者の氏名は社規則で極秘情報扱いされているにもかかわらず,被告X1及び被告会社人事部長X10に配信したことについて,謝罪したと主張するが採用できない。 平成19年7月3日20時58分,X7コンプライアンス室長は,被告X1に対し,原告及びX5らに深くおわびさせていただ 会社人事部長X10に配信したことについて,謝罪したと主張するが採用できない。 平成19年7月3日20時58分,X7コンプライアンス室長は,被告X1に対し,原告及びX5らに深くおわびさせていただいたこと,被告X1にも直接事情を御説明させていただきたい等を内容とする電子メールを送信し,原告にも同報送信した(甲13)。 平成19年7月4日12時23分,X7コンプライアンス室長は,X5に対し,本件回答において,「X5様のお名前を記載しましたが,本件ヘルプラインにX5様は関係しておらず,誤って記載・配信してしまいました。ま た,本件に関し,機密保持の約束を守らずにX5様およびX1HM,X10BMにメールを配信してしまいました。上記2点,訂正させていただくとともに,重ねて深くお詫び申し上げます。」との電子メールを送信し,原告にも同報送信した(乙6)。 平成19年7月4日13時10分,X7コンプライアンス室長は,X5に対し,再度,電子メールを送信し,原告にも同報送信したが,直前の電子メールの「本件に関し,機密保持の約束を守らずに」を「本件に関し,X14様との機密保持の約束を守らずに」と書き加えたものであった(甲14)。 平成19年7月9日15時38分,X7コンプライアンス室長は,原告に対し,X16取締役も入ってもらって,被告X1,被告X2,原告,X5及びX7コンプライアンス室長とで関係正常化への打合せを設定したい,7月12日御都合はつくでしょうかなど記載された電子メールを送信した(甲16)。 平成19年7月9日16時17分,原告は,X7コンプライアンス室長に対し,「1.日時 7月12日(木)PM1:30以降なら何時でもOKです。2.メンバーあくまで,業務及び人間関係両側面の正常化が狙いである事の軸は振れておりませんので ,X7コンプライアンス室長に対し,「1.日時 7月12日(木)PM1:30以降なら何時でもOKです。2.メンバーあくまで,業務及び人間関係両側面の正常化が狙いである事の軸は振れておりませんので,X2BMは勿論入って頂き,以下のメンバーでお願いします。X16取締役,X1HM,X7BM,X5,X14」などと記載されていた(甲18)。 平成19年7月12日,被告X1,被告X2,X5,X16取締役,X7コンプライアンス室長及び原告との関係修復の会合が持たれた。 平成19年7月ころ,被告X1は,原告の本件配転命令について検討を始めた(被告X1)。 平成19年8月8日,X16取締役,被告X2,原告が姫路のX3を訪問した。X16取締役は,X3のX13取締役に対し,X4に続く2人目の採用予定者であったX15の採用の件について謝罪をした。 平成19年8月18日,原告は「140Pキャリアプラン」を被告会社に対し,提出し,具体的な異動希望として,短期的,中期的,長期的のいずれについても,事業部や商品分野として,NDTシステムとし,希望部署名として,IMS国内販売部NDTシステムグループと記載した。平成19年8月20日,被告X2は,原告の140Pキャリアプランの育成コメント欄に「非破壊分野とは言え,IMS事業部に取って全く新しいビジネスとなるシステム製品の販売を担当している。従来組織からの世代交代を押し進めつつ新販売体制構築に取り組んでいる。今までに蓄積した知識と経験をフルに活用し事業拡大に尽力することを期待する」とコメントした(甲135)。 平成19年8月27日,原告は,被告X1,被告X2及びX12部長と面談し,同年10月1日付けで予定されていた本件配転命令の説明を受け,途中からX5が同席した。原告は,被告X1と話をしたが,異 。 平成19年8月27日,原告は,被告X1,被告X2及びX12部長と面談し,同年10月1日付けで予定されていた本件配転命令の説明を受け,途中からX5が同席した。原告は,被告X1と話をしたが,異動に納得しない原告は,被告X1とともにX16取締役の部屋を訪れた。この後,原告は,様々な理由により9月24日まで被告X1らとの面談をしなかった。 平成19年8月28日,被告X2は,原告に対し,明日以降のユーザー訪問をキャンセルして,明朝被告会社新宿本社に出社するように指示した(甲20)。 平成19年8月29日,原告は,被告会社代表取締役社長に対し,X7コンプライアンス室長が作成した平成19年7月3日20時58分の被告X1に対する電子メール及び同月4日13時10分のX5に対する電子メールを添付して,「X17社長殿添付を送信させて頂きました。X3殿(姫路市)への納入24Hインラインフル稼働のオリンパスPAUTシステムとはメーカーであるオリンパスにどのような責務(主に半永久的サポート責務)が生じての納入かも現実的には物凄いです。恐れ入りますが,オリンパスにとって,高価なシステムの採用を英断して頂いた,X3殿からの信頼が大失墜している中,一歩間違えると会社にとっても本当に大変な事になりかねない 事,特に,本日回答のご指示を受けている,5日か6日アポでのオリンパスの対応(対応の最低条件も提示されております。)が最大のキーとなりますので,なんとか信頼回復に向け,会社として決してマイナスにはならない様,これまでの経緯,状況精査の上,宜しくお願い申し上げます。」と混乱した内容の電子メールを送信した(甲78)。 平成19年8月31日から同年9月14日まで,原告は有給休暇を取得した(甲186)。 平成19年9月3日,被告X2は,原告に 申し上げます。」と混乱した内容の電子メールを送信した(甲78)。 平成19年8月31日から同年9月14日まで,原告は有給休暇を取得した(甲186)。 平成19年9月3日,被告X2は,原告に対し,当面全ユーザー,業務委託先,ONDT等担当者へメール,電話等による連絡を取らないこと,指示の理由はユーザー側で混乱が生じているからです,窓口を一本化します,X3で起きたトラブルは既にX3担当者連絡を取り処理を進めていますなどという指示を電子メールで送信した(甲21)。 平成19年9月24日,被告X2とX12部長は,原告に対し,人事異動を内示し,原告が,同年10月1日付けでIMS企画営業部部長付きとなり,新事業創生探索活動業務を行うように指示された。原告の業務には部下はおらず,新たな直属の上司はX11担当部長であった。原告は,モバイル通信用カードと携帯電話を返却するように指示された。なお,NDTシステムチームはそれまでの国内販売部から企画営業部の所属となり,原告の後任として,X18がグループリーダーに就任した。 平成19年10月1日以降,原告は,現在のIMS企画営業部部長付きに着任した。 平成19年10月31日,被告会社では,原告の「第140PB業務目標設定カード」において,原告の達成目標として,「SHMに関わる知識レベルを高める X11SBMレベルに到達している」とし,その実施方法として「社内外有識者等による勉強有効な顧客からの勉強」などとし,また,達成目標として「ONDTとのコミュニケーションレベルを高める 1)O NDT情報提供5件以上 2)OT及びONDT共通認識のプロジェクト現実的進捗」とし,その実施方法として,「X24及びONDTSHMメンバーとの定期的打ち合わせ,情報交換会の実施」とした,加えて,達成 T情報提供5件以上 2)OT及びONDT共通認識のプロジェクト現実的進捗」とし,その実施方法として,「X24及びONDTSHMメンバーとの定期的打ち合わせ,情報交換会の実施」とした,加えて,達成目標として「これまでになかった新しい情報の収集新情報10件以上発掘」とし,その実施方法として「社内外有識者,研究開発機関,部門からの情報収集」とし,達成目標として,「TechnologyApplicationMapの完成度を高める」とし,実施方法として「ONDT側チームとのコミュニケーションによる確からしさのレビュー実施」などと記載した(甲43)。 平成19年11月30日,人事部のX19は,原告に対し,本件配転の件も含めて話をしたいとして,同年12月4日の都合を問い合わせたが,原告とX19の面会は実現しなかった。 平成19年12月5日,被告X2は,原告と,前期(平成19年4月から同年9月まで)の評価フィードバックを行うための面接をした(甲29,甲30)。その際,「第140PA業務目標設定カード」及び対象期140PAの「評価表」を交付され,「第140PA業務目標設定カード」の「リーダー評価」欄に,業務指示違反及び社内情報の顧客への漏洩との記載があったが,被告X2は,社内情報の顧客への漏洩との記載を組織の規律を乱したとの記載に書き換えた。 平成19年12月25日,原告代理人は,被告会社に対し,「平成19年4月,貴社X1IMS事業部長,X2IMS国内販売部長およびX4社員が,貴社の重要顧客であり,かつ通知人が営業担当者であったX3株式会社(以下「X3」といいます)の調達部社員を貴社に引き抜くことを計画し,遂行しようとしていたことが通知人に発覚しましたが,かかる行為は企業倫理上好ましくないと考え未然に中止させようとした通知人に対し (以下「X3」といいます)の調達部社員を貴社に引き抜くことを計画し,遂行しようとしていたことが通知人に発覚しましたが,かかる行為は企業倫理上好ましくないと考え未然に中止させようとした通知人に対し,貴社X1事業部長らは,5月下旬に通知人をホワイトボードで入り口を塞いだ狭い応接室 に閉じこめ,恫喝するなどさまざまないやがらせ,報復的人事等を行っております」などとする要望書を送付した(甲33)。なお,要望書中には不正競争防止法については何ら指摘がない。 平成20年1月10日,被告会社は,要望書に対し,回答書を送付し,「閉じこめ」等の表現については,事実を誇張歪曲するものである,X3社員の「引き抜き」に関しては,既にX3との間で円満に解決しており,両社のいずれにも損害や信用の失墜は生じていないなどと回答した(甲35)。 平成20年2月18日,原告は,本件訴訟を提起した。 なお,X3が,被告会社に対し,X4が被告会社に入社した件及びX15が採用予定となったが結局実現しなかった件を内容証明郵便で抗議するなど正式に法的手段に訴えた証拠は全くない。 (3) 以上認定事実を前提として検討する。 アまずもって,前記3で述べたように,本件配転命令による原告の不利益は,賞与減額についての原告主張を前提としても,わずかなものであり,本件配転命令が報復目的とは容易に認定し難い。 イ原告による被告X1及び被告会社コンプライアンス室に対する通報内容及び被告らの認識内容について前記認定のように,平成19年6月11日,原告及びX9は,X7及びX8に対し,X3からの引き抜きの件を説明し,X3からの引き抜きがまだ実行されるかもしれないし,顧客からの信頼失墜を招くことを防ぎたいと考えている等と相談したこと,平成19年7月9日原告がX7に対して に対し,X3からの引き抜きの件を説明し,X3からの引き抜きがまだ実行されるかもしれないし,顧客からの信頼失墜を招くことを防ぎたいと考えている等と相談したこと,平成19年7月9日原告がX7に対して送信した電子メールの内容は「業務及び人間関係両側面の正常化が狙いである事の軸は振れておりません」というものであったこと,平成19年8月29日原告が被告会社代表取締役社長に送信した電子メールには,X3からの信頼を失墜したことなどが記載されていること,平成19年7月3日の本件回答は「X3(株)から担当者(技術TX4TL)を採用したこ と」などについて回答するものであったことを総合すれば,原告の通報は,X3従業員の転職による取引先からの信用失墜などビジネス関係の悪化及び事業部内での人間関係の悪化に関するものであったと被告会社は認識したと認められる。 この点,原告は,不正競争防止法第21条2項5号関連の共犯行為がまさに生じようとしたと思料していたとか,被告X2が,X3内の営業秘密を不正使用,開示することを約束させて,2人目の転職をそそのかした,NDTシステム検査ノウハウやX3の特殊鋼生産上の営業機密であると主張する。 しかし,原告は,平成19年8月29日の被告会社代表取締役に対する電子メールでも不正競争防止法について言及していないばかりか,平成19年12月25日の内容証明郵便においても,不正競争防止法について全く言及していない。なお,平成19年7月3日の本件回答において「取引先と当社との間で機密保持誓約を含む同意が成立しない限り行わないこととしている。」との記載はあるが,これは転職の場合の一般論を述べているにすぎない。 加えて,不正競争防止法2条6項によれば,「営業秘密」とは,「秘密として管理されている生産方法,販売方法その他の としている。」との記載はあるが,これは転職の場合の一般論を述べているにすぎない。 加えて,不正競争防止法2条6項によれば,「営業秘密」とは,「秘密として管理されている生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって,公然と知られていないものをいう」とされる。しかるに,原告の主張によっても,検査ノウハウや特殊鋼生産上の営業機密という「営業秘密」の内容は抽象的にすら明らかでない。原告の通報では,X3の従業員が被告会社に転職することによって,具体的に誰のどのような利益を損なうのか明らかでないのである。加えて,現時点においてすら,被告会社に対し,X3から,従業員の転職について会社として正式な抗議があったことを示す証拠は全くない。 したがって,原告の被告X1又は被告会社コンプライアンス室に対する 通報内容について,被告会社は,不正競争防止法については全く認識していなかったものと認められる。 結局,被告会社の認識としては,原告の通報内容は,業務及び人間関係両側面の正常化を目的とするものであった。 そして,被告会社にしてみれば,X3から従業員が転職することにより,直ちに営業秘密の漏洩が生じるというのは飛躍があり,本件配転命令による原告の不利益がわずかなものである点も考慮すれば,被告会社が原告の通報を理由に,本件配転を命ずることは考えにくい。また,X3からの転職に直接関与していなかった原告を配転させることにより,X3とのトラブルを収束させることになるとは考えられないし,このような抽象的な通報を理由に,被告会社が,コンプライアンス室に対する申告を制限したり,無化する目的を有していたとは,到底考え難い。 なお,平成19年4月16日,被告X1は,原告が被告X1に,X3からの2人目の採用は取りやめるべきであ ,コンプライアンス室に対する申告を制限したり,無化する目的を有していたとは,到底考え難い。 なお,平成19年4月16日,被告X1は,原告が被告X1に,X3からの2人目の採用は取りやめるべきであると言ったことに対し,被告X2にやり方は任せているなどと電子メールで述べている。しかし,これは,未決定の人事情報を慎重に扱うように指示したものであり,これをもって,直ちに不当違法な目的を推認することはできない。 また,以上によれば,公益通報者保護法にいう「通報対象事実」に該当する通報があったものと認めることはできない。 ウこの点,原告は,平成19年8月27日に行われた内示の際,これまで実施されてきた原告に対する配転後の業務内容等の説明が全くなく,これまでのNDTシステムに関する取引の引継ぎや打ち合わせを全くさせなかったことなどから,本件配転命令は異常な経過のもとで発令されていると主張する。 しかし,原告は,本件配転に納得せず,取締役の部屋を訪れたりし,被告X1らと面談をせず,9月14日まで有給休暇を取得するなどしている のであるから,被告会社が原告に対し,配転後の業務内容等の説明や引継ぎ打ち合わせができなかったとしても,これをもって,違法不当な目的を推認することはできない。 また,原告は,平成19年9月3日の被告X2の原告に対する電子メールにより,原告のコンプライアンス通報を根拠として,原告をNDTシステム担当から除外し関係者に対する接触を封じる意図の下に本件配転命令がなされたと主張する。 しかし,原告が本件配転命令に納得していないという状況の下で,原告が望まない異動の内示がなされたことを取引先へ告げ混乱することを防ぐため,取引先への接触を禁止すること自体不合理とは認められない。 エ平成19年7月3日にX7が送信 ていないという状況の下で,原告が望まない異動の内示がなされたことを取引先へ告げ混乱することを防ぐため,取引先への接触を禁止すること自体不合理とは認められない。 エ平成19年7月3日にX7が送信した電子メールについて,通報者及び通報内容を開示することについて原告の承諾があったか否かについてそもそも,平成19年7月3日の本件回答自体,「相談や申告の事実と内容は,秘密を厳守し,通報者が不利益な処遇を受けることがないように配慮しています」,「今回の通報は,通報者とその内容を人事部及び職制に開示することについて承諾を得た上で,具体的な経過を確認いたしました。」とされており,原告の承諾があったことを前提としている。 加えて,同月4日12時23分,X7コンプライアンス室長は,X5を名あて人として,「X5様のお名前を記載しましたが,本件ヘルプラインにX5様は関係しておらず,誤って記載・配信してしまいました。また,本件に関し,機密保持の約束を守らずにX5様およびX1HM,X10BMにメールを配信してしまいました。上記2点,訂正させていただくとともに,重ねて深くお詫び申し上げます。」との電子メールを送信し,原告にも同報送信したことが認められる。 このように,7月4日の電子メールがX5を名あて人とすること,内容もX5に対する謝罪になっていることなどに照らせば,少なくとも7月4 日の最初の電子メールは,X5に対する謝罪であったことが認められる。 その後,同日13時10分にX7コンプライアンス室長は,X5に対し,再度,電子メールを送信し,原告にも同報送信したが,直前の電子メールの「本件に関し,機密保持の約束を守らずに」を「本件に関し,X14様との機密保持の約束を守らずに」と書き加えたものであったが,これは,証拠(乙9,乙11,証人X にも同報送信したが,直前の電子メールの「本件に関し,機密保持の約束を守らずに」を「本件に関し,X14様との機密保持の約束を守らずに」と書き加えたものであったが,これは,証拠(乙9,乙11,証人X7)及び弁論の全趣旨によれば,原告の要求により,X7コンプライアンス室長が後から付け加えたものであると推認され,これを理由に原告の承諾があったことを否定することはできない。 また,前記認定のように原告による被告会社コンプライアンス室に対する通報は「業務及び人間関係両側面の正常化が狙いである」から,当然,被告X1等関係者に通報者及び通報内容が知られることは容易に想定しうることであり,原告が平成19年7月9日に送信した電子メールもそれを前提とした内容である。 結局,本件回答を被告X1及びX10人事部長に送信することについて,原告の承諾があったものと認められる。 オ以上によれば,被告会社に本件配転命令について,違法不当な目的は認め難い。また,公益通報者保護法違反も成立せず,コンプライアンスヘルプラインに通報したことを理由とする不利益取扱を禁止したコンプライアンスヘルプライン運用規定にも反しない。 5 請求原因(2)配転命令無効確認エ(イ)業務上の必要性及び抗弁(1)について検討する。 (1)ア当該人員配置の変更を行う必要性(新事業創生探索活動の内容及び重要性)について(ア) まず,一般論として,証拠(甲66,甲67,甲116,乙3,乙7,被告X1)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 SHM(構造ヘルスモニタリング)とは,一定期間にわたって対象物 (橋脚等の構造物)の健全性を監視するシステムであり,構造物のストックの増大と,少子高齢化の影響により,より少ない人数の技術者で効率的経済的に構造物の維持管理を実施 定期間にわたって対象物 (橋脚等の構造物)の健全性を監視するシステムであり,構造物のストックの増大と,少子高齢化の影響により,より少ない人数の技術者で効率的経済的に構造物の維持管理を実施するため,研究開発の必要性が高まっている。特に,先端的な複合材料を用いた構造を採用する航空機のメンテナンスの場面において注目されている。 新事業創生探索活動の具体的内容としては,文献や研究者,技術者,ユーザーなどが集うシンポジウム等から情報を収集して,諸外国におけるSHMの研究やビジネス化の動向,市場のSHMに対するニーズの状況等を把握すること,社内でこれらをレポートにまとめ,情報を共有すること,社内の関連する担当者との議論の中で被告会社内でどのようにビジネス化するかを協議することにある。そして,被告会社のような精密技術メーカーにとっては,このような活動は最先端技術の動向を見すえ,常に新規事業の開拓可能性を検討し続けてゆくことは極めて重要である。 (イ) 次に,被告会社における取り組みについて,証拠(甲51,甲52,甲83,甲158,甲159,乙4,乙7,証人X1)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。なお,事実認定に際し,主要な証拠は括弧内に掲記した。 平成18年10月7日付けで作成された第139PA期のマーケティンググループのグループリーダー方針の期末報告において,SHMフィージビリティー検証と事業性検討については,SHMの事業性検討の試行錯誤が続き,具体的なビジネス化は10年先と推測とされ,問題点とその対策として,どの項目も即効性が見えない重いテーマであるため,日常業務をこなしながらやる場合は,工数配分の明確化と予算付けが必要とされた(甲158)。 平成19年3月に作成されたIMS事業部の140P方針及び重点施 も即効性が見えない重いテーマであるため,日常業務をこなしながらやる場合は,工数配分の明確化と予算付けが必要とされた(甲158)。 平成19年3月に作成されたIMS事業部の140P方針及び重点施 策によれば,社長指針として,更なる事業拡大に向けて周辺事業の可能性について探索を進めるとされ,IMS周辺新事業探索-将来成長に向けてとして,構造物ヘルスモニタリング技術フィージビリティーと事業性検討とされた(乙4)。 平成19年4月30日付けで作成された第139PB期のマーケティンググループのグループリーダー方針の期末報告において,SHMフィージビリティー検証と事業性検討については,目標と実績の差異として,SHMは進展できずとされ,問題点とその対策としては何らの記載がなかった(甲159)。 平成19年7月30日付けで,原告の前任者であるX18課長は,ONDTへの出張報告において,SHM(構造ヘルスモニタリング)について,ここ数年で大きなビジネスになる可能性は低いという認識でX24とも一致し,後1年,ターゲットを絞った活動の結果で方向性を見極めることで異論はなかった,今後当面のSHM関連活動のメインはONDTでのAirbusやGuidedWave関連でのパートナーとの検討になる,被告会社としては国内の探索活動は継続するがMEMS等の被告会社内のシナジー活用は当面見込めそうもない,ONDTへの開発費支援の適当な課題が絞れれば資金援助でONDT支援をする可能性はあると記載した(甲83)。 原告が担当する前の平成19年9月末までは,新事業創生探索活動は,IMS事業部企画営業部マーケティンググループに所属し,①RVI/NDT複合製品検討,②SHM(構造ヘルスモニタリング)フィージビリティー検証と方向付け,③RT製品・サーモ製 新事業創生探索活動は,IMS事業部企画営業部マーケティンググループに所属し,①RVI/NDT複合製品検討,②SHM(構造ヘルスモニタリング)フィージビリティー検証と方向付け,③RT製品・サーモ製品への参入見極めが目標とされ,担当者として,②はX11担当部長のもとで,X18課長及びX20チームリーダーが担当していた(甲51)。そして,マーケティンググループは,平成19年10月8日現在で,①,②に関しては, 期末の報告として,「実質的成果なし」との報告を行った(甲51)。 平成19年10月以降,原告が新事業創生探索活動としてSHMを担当するようになってからは,前記のRVI/NDT複合製品検討はマーケティンググループリーダーであるX21が担当している(甲52)。 一方,原告は,IMS事業部IMS企画営業部長付きとしてSHMフィージビリティーの検証のみを担当している。 平成20年4月に作成されたIMS事業部の141P事業部方針(最終確定)によれば,IMS事業への社長指針として,更なる事業拡大に向けて周辺事業の可能性について探索を進めるとされ,IMS事業部方針及び重点施策として,将来成長に向けての新事業の探索を継続推進し09基本計画において方向性を明確化するとされ,具体的には構造物ヘルスモニタリングの事業フィージビリティー検討とされた(乙4)。 以上認定事実を総合すれば,新事業創生探索活動としてSHMフィージビリティー検証作業は,短期的な成果を期待できないものの,長期的な成果を否定するものではなかったことが認められる。 (ウ) したがって,当該人員配置を行う業務上の必要性を認めることができる。 イ人員配置の変更に当該労働者をあてるという人員選択の合理性必要性(原告の新事業創生探索活動の担当者としての適性)について証 がって,当該人員配置を行う業務上の必要性を認めることができる。 イ人員配置の変更に当該労働者をあてるという人員選択の合理性必要性(原告の新事業創生探索活動の担当者としての適性)について証拠(甲39,乙5,乙7,証人X1)及び弁論の全趣旨から次の事実が認められる。 原告は,被告会社の米国法人であるオリンパスアメリカインクにおいて数年間の米国駐在の経験を有しており,英語がたん能である。 原告は,X22高等専門学校で機械工学を専攻し,卒業後はX23株式会社に3年間勤務した後,被告会社に入社した。昭和60年に入社後,約9年以上,技術者として研究開発部門に所属した。 原告は,国内及び米国において営業職の経験もしており,特に被告会社IMS事業部に異動になった後は,NDT機器の販売営業業務に従事していた。 これらの事実によれば,原告は,英文の研究レポート等の文献や国際シンポジウムからの情報収集の業務をこなすことができ,技術面でのバックボーンを有しており,しかも,営業に携わったことがあって,ビジネス化の可否についても的確な評価が可能である。 したがって,人員選択の合理性必要性は認められる。なお,前記4(2)認定のように平成18年10月ころ,被告会社「2007年度Eゾーン昇格検討業務最終分科会用評定集計表」において,フィージビリティー(実現可能性)のある具体的な戦略の策定が,原告の課題と指摘されている。 ウ以上によれば,本件配転命令は,労働力の適正配置及び業務の能率推進円滑化に資するものである。原告自身にとっても,新たな技術や事業分野の調査研究が自らの能力開発につながることは明らかであり,業務上の必要性を肯定できる。 (2) これに対し,原告は,SHMは非常に技術的専門性が高く,原告の適任とはいえないとし,人選 術や事業分野の調査研究が自らの能力開発につながることは明らかであり,業務上の必要性を肯定できる。 (2) これに対し,原告は,SHMは非常に技術的専門性が高く,原告の適任とはいえないとし,人選の合理性がないと主張する。 しかし,新事業創生探索活動は,技術面と営業面の両方の素養がある人材が適した職務であり,技術的専門性が高いことが,人選の合理性を否定する理由にはならない。なお,原告本人尋問の結果によれば,原告自身,平成17年にIMS事業部に異動になった際,技術的バックボーンがあることが異動の理由であった,当時NDTシステムについては何らの知識をもっていなかったと述べている。 また,本件配転前の原告に対する評価が高いことが業務上の必要性を否定する理由にはならない。 原告は本件配転命令の内示時点において,原告がNDTシステムについて 大きな成果を上げており,本件配転命令により,原告が担当から外れた結果,NDTシステムの案件は悲惨で不十分なものとなったと主張する。しかし,原告が担当していたNDTシステムが悲惨で不十分なものとなったことを認定するに足りる証拠はないし,仮に,そのような結果であったとしても,本件配転命令との因果関係は不明である。 (3) 原告は,被告会社が,業務成果を上げるための援助もしない,むしろ,原告が成果を上げることを阻害していたと主張し,社外人脈やONDTケベックとの接触禁止を指摘する。 しかし,証拠(甲43,甲74,甲101,乙10,証人X12)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 平成19年10月31日,原告の「第140PB業務目標設定カード」において,被告会社は,前記4⑵記載のとおり記載したことが認められる。これによれば,本件配転命令直後は,X12及びX11担当部長は,原告に 19年10月31日,原告の「第140PB業務目標設定カード」において,被告会社は,前記4⑵記載のとおり記載したことが認められる。これによれば,本件配転命令直後は,X12及びX11担当部長は,原告に対し,社内外有識者等による勉強や顧客からの勉強,ONDTSHMメンバーとの打ち合わせを期待していたものと認められる。 そして,平成20年3月14日,X11担当部長は,原告に対し,「システムビジネス担当時に知りえた社外企業との接触は禁止であり,その理由は混乱を避けるためである」,「業務目的に照らして,どうしても接触が不可避である場合がもし発生したら,どうするかをその都度判断する」,「その他の社外との接触必要が生じた場合は,X11の承認を取ってから行うこと」,「ONDTメンバーとの接触に関しても」,「X11を通してコミュニケーションすることで,業務への支障はないと判断する」,「SHMは,事業化にはまだ時間がかかる,まだまだ新しくて特殊な技術領域である。世間ではSHMの概念さえ十分に固まっていない。一般のNDT業界の顧客から有効な情報を得ようとするには,SHMの正しく深い知識が必須。もしそれなしに顧客とコミュニケーションを行えば,不正確な情報の入手,不必要 な情報漏えい,オリンパスに対する間違った期待や失望,を生み出す恐れがある」と電子メールで指示したことが認められる。 このX11担当部長の指示は,混乱を避けるために上司の判断を待って社外やONDTメンバーとの接触をするように指示するものであって,一切の接触を禁止したものではないし,新事業創生探索活動が長期的な成果を求めることから,被告会社への誤った期待を生じさせかねないなど,X11担当部長の指示に一定の合理性が認められ,これをもって,業務上の必要性を否定することはできない。 業創生探索活動が長期的な成果を求めることから,被告会社への誤った期待を生じさせかねないなど,X11担当部長の指示に一定の合理性が認められ,これをもって,業務上の必要性を否定することはできない。 更に,原告は,社内人脈の疎外,部内にも紹介をさせないと主張するが,会議に参加させるかどうかは被告会社の裁量に属するし,被告会社が,原告を社内で疎外し,孤立化させることを目的としていたことを裏付けるに足りる証拠は認められない。 以上によれば,被告会社が原告が成果を上げることを阻害していたことは認められない。 (4) 原告は,X11担当部長による原告に対する査定が,第140PB期から第141PB期まで3期連続して,長期病欠者や全欠者に対する労働協約上の最低評価よりも低い50点台という異常な低評価となっており,原告は入社以来初めて昇給が停止されたと主張するので検討する。 証拠(甲43,甲44,甲85から甲87,甲96,甲148,甲154,甲155,乙10,証人X12,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。なお,事実認定に際し,主要な証拠は括弧内に掲記した。 平成19年10月31日,前記4(2)認定のように被告会社は,原告の「第140PB業務目標設定カード」において,原告の達成目標実施方法等について記載した書面を作成した(甲43)。 平成20年4月8日,X11担当部長は,原告の「第140PB業務目標 設定カード」「評価表」の期末評価として,1次評価として58点を,X12は3次評価として90点をつけた(甲44)。 平成20年10月2日,X11担当部長は,原告の「第141PA業務目標設定カード」の期末評価として,1次評価として55点を,X12は3次評価として90点をつけた(甲85)。 平成21年4月 平成20年10月2日,X11担当部長は,原告の「第141PA業務目標設定カード」の期末評価として,1次評価として55点を,X12は3次評価として90点をつけた(甲85)。 平成21年4月10日,X11担当部長は,原告の「第141PB業務目標設定カード」「評価表」の期末評価として,1次評価として51点を,X12は3次評価として90点をつけた(甲148)。 なお,3次評価90点は,第138PA期においては,賞与の評価別支給係数表において一番低評価である「E」評価とされ,当年度入社社員等の特殊者の賞与区分(成果)の評価として,出勤率40パーセント未満の病欠者等や全欠者がこれに該当する,また,これらの者は,昇給区分において,昇給据置きレベルとされている(甲86)。平成17年作成の被告会社の「職場マネジメント」ハンドブックによれば,C-評価以下はほとんどいません,目標未達のメッセージを踏まえたD,E評価もメンバー育成の観点で必要な場合もありますと記載されている(甲87)。 以上認定事実によれば,確かに,第140PA期以降は定かではないものの,第138PA期において3次評価で90点はE評価とされ,当年度入社社員,期中異動者,期中入社者,定年退職者等の特殊者のうち全欠者等がこれに該当し,C-評価以下がほとんどいないとされていることが認められる。 しかし,一方で,平成17年作成の「職場マネジメント」ハンドブックによれば,目標未達のメッセージを踏まえたD,E評価もメンバー育成の観点で必要な場合もありますとされ,新入社員等の特殊者以外については,一定程度存在することがうかがわれる。そして,そもそも,人事考課制度においては,査定権者の広範な裁量が認められ,前記4(2)記載の平成18年10月ころの「2007年度Eゾーン昇格検討業務」において原 定程度存在することがうかがわれる。そして,そもそも,人事考課制度においては,査定権者の広範な裁量が認められ,前記4(2)記載の平成18年10月ころの「2007年度Eゾーン昇格検討業務」において原告に厳しい評価がな されていること,前記のように本件配転命令に違法不当な目的が認められないことなどに照らせば,原告に対する査定が裁量権を濫用していることを認めることはできない。 よって,原告に対する査定が低いことを理由に,業務上の必要性を否定することはできない。 (5) なお,原告は,大阪高等裁判所平成21年1月15日判決を援用するが,前記のように,本件と事案が異なるから,参考とはならない。また,本件配転命令が発令された時点で,被告会社は違法不当な目的を有していなかったのであるから,本件配転命令後の事情をもって,直ちに業務上の必要性を否定することはできない。 (6) 以上によれば,本件配転命令は権利の濫用とは認められない。また,原告が,被告X1やコンプライアンス室に通報をしたことを理由に本件配転が命じられたとは認められない。 6 請求原因(2)配転命令無効確認エ(オ)本件配転命令をめぐる会社規定と手続及びその違法性について前記のように,本件配転命令は権利の濫用とは認められず,本件配転命令について就業規則34条「正当な理由」は認めることができないから,原告の主張は前提を欠き,理由がない。 結局,本件配転命令は権利の濫用とは認められず,請求の趣旨(1)の請求は理由がない。 7 請求原因(3)不法行為に基づく慰謝料等請求について(1) 請求原因(3)ア前提事実についてまず,前記5(2)で認定した事実によれば,本件配転命令について,被告会社に違法不当な目的を認めることができず,被告らが本件配転命令後も原告を精神的に (1) 請求原因(3)ア前提事実についてまず,前記5(2)で認定した事実によれば,本件配転命令について,被告会社に違法不当な目的を認めることができず,被告らが本件配転命令後も原告を精神的に追い詰め退職に追い込もうとした事実は認められない。 なお,請求原因1(2)エ(ウ)の平成19年5月21日の事実は,原告自身携 帯電話に電話がかかってきたことを理由に応接室から退出したと主張しており,これをもって応接室に閉じこめたと評価して,不法行為が成立するとは言い難い。また,被告X1によって,違法と評価するようなどう喝があったとも認定し難い。 加えて,前記5(3)記載のX11担当部長の平成20年3月14日の電子メールによる指示は,前記5(3)記載のとおり,理由があり,これをもって不法行為を構成するとは認め難い。 また,本件配転命令後の原告の査定については,前記5(4)記載のとおり,これを不法行為を構成するとは認め難い。 その他,被告らが,違法不当な目的で本件配転命令を命じ,本件配転後も原告を精神的に追い詰め退職に追い込もうとした事実が認められない以上,原告が主張する事実は,社会通念上,いずれも不法行為を構成するとまではいえない。 (2) 請求原因(3)イ権利侵害について原告は,被告会社コンプライアンス室による通報者と通報対象事実の漏洩により,精神的平穏を害されたと主張するが,前記4(3)エのとおり原告の承諾の下でなされている。 したがって,被告会社がコンプライアンスに関する行動憲章や行動規範を定めているとしても,不法行為を構成しないことは明らかである。 (3) よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の主張は理由がない。 8 以上のように,原告の請求は理由がないから,いずれも棄却することとして,訴 為を構成しないことは明らかである。 (3) よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の主張は理由がない。 8 以上のように,原告の請求は理由がないから,いずれも棄却することとして,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第36部裁判官田中一隆
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